JP6671187B2 - 溶融成形用樹脂組成物及び溶融成形方法 - Google Patents
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Description
従って、PVAでは、通常の熱可塑性樹脂で行われているような溶融成形を容易に行うことができないのが現状であった。
しかしながら、流延法ではPVAの溶解に用いた多量の水や有機溶媒を乾燥する必要があり、製造工程が複雑で生産効率が悪く、更に、乾燥に大量の熱エネルギーが必要であるため、製造コストが高くなるという問題点があった。
また、多量の可塑剤を使用すると、得られた成形体がべたつき、ブロッキングを起こしやすく、更に、PVAが本来有している強度などの機械的物性が損なわれるという問題があった。
例えば、特許文献1には、最適な酸化防止剤(加工安定剤)として、ヒドラジン系化合物を使用する方法が記載されており、特許文献2には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法を用いた場合でも、溶融成形を行う際の粘度上昇を防止することができず、得られる成形体の品質は充分なものではなかった。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る水酸基含有樹脂は、溶融成形を行う際の主材料となる物質である。
上記水酸基含有樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等のほか、デンプン、デキストリン、セルロース等の多糖類等が挙げられる。また、上記ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールにエチレン、メチルメタアクリレート、アクリルアミド等が共重合したポリビニルアルコール変成物、ポリビニルアセタール変成物等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール変成物が好ましい。
また、上記水酸基含有樹脂としては、水酸基を付加した樹脂を使用してもよい。このような樹脂としては、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂、水酸基含有ポリエーテル樹脂等が挙げられる。
なお、「構成単位に0.5〜6個の水酸基を有する」とは、構成単位当たりの水酸基の個数が0.5〜6個であることを意味し、水酸基含有樹脂を構成する各構成単位のモル構成比と各々の構成単位が有する水酸基数から、構成単位当りの水酸基の平均個数を算術平均することにより求めることが出来る。
上記構成単位の水酸基の個数が0.5個以上であることで、高い親水性及び/又は水溶性を得ることが出来、6個以下であることで、比較的良好な溶融成形性を付与することが出来る。上記構成単位の水酸基の個数の好ましい下限は0.7個、より好ましい下限は0.8個であり、好ましい上限は3個である。
上記ケン化度のより好ましい下限は70モル%、更に好ましい下限は80モル%、より好ましい上限は99.5モル%である。更に好ましい上限は99モル%である。
上記ケン化度の調整方法は特に限定されない。ケン化度は、ケン化条件、すなわち加水分解条件により適宜調整可能である。
本発明で用いられる酸化防止剤は、下記式(1)で表される亜リン酸エステル類である。
上記炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
また、*−COR7−で示される基における*は、カルボニル基がホスファイト基の酸素原子と結合する部位であることを示す。R7における、炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。
上記*−COR7−で示される基としては、mが0である*−CO−、または、mが1でありR7としてはエチレンである*−CO(CH2CH2)−が好ましい。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記と同様のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、アルキル部分が前記の炭素数1〜8のアルキルと同様のアルキルであるアルコキシ基が挙げられる。また、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、アラルキル部分が前記炭素数7〜12のアラルキルと同様のアラルキルであるアラルキルオキシ基が挙げられる。
化合物1:6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン
本発明の溶融成形用樹脂組成物は、上記水酸基含有樹脂、酸化防止剤とともに溶媒を含んでいてもよい。上記溶媒としては、水、有機溶剤等が挙げられる。
また、本発明の溶融成形用樹脂組成物は、可塑剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、防腐剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、核剤等の一般的に使用される添加剤を含むものであってもよい。
なかでも、ジグリセリンが好ましい。
上記可塑剤の含有量を上述の範囲内とすることで、溶融成形用樹脂組成物の成形性を高め、得られる成形物が優れた物性を有するものとなる。
なお、他の添加剤の含有量については、目的とする物性に応じて適宜調整することができる。
本発明の溶融成形用樹脂組成物は、溶融成形を行う際の粘度上昇を抑制して、充分な品質を有する成形体を作製することが可能であることから、溶融成形において、特に好適に使用することができる。
上記溶融成形の方法としては、押出成形、インフレーション成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、圧縮成形、カレンダー成形、など公知の成形法を用いることができる。なかでも、押出成形に使用することが好ましい。
上記溶融する方法としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の混合機により混合した後、単軸又は二軸押出機等の溶融混練機にて溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練時の温度は、水酸基含有樹脂の融点以上であって、かつ、熱劣化しない温度範囲で適宜設定することができるが、好ましくは100〜250℃である。
また、得られた薄膜状の水酸基含有樹脂成形体を積層することで、多層構造の水酸基含有樹脂成形体を作製することができる。なお、本発明の溶融成形用樹脂組成物を用いた場合、特に安定して多層構造の水酸基含有樹脂成形体を作製することができる。
上記積層の方法としては、特に限定されるものではないが、ラミネート、共押出等一般的な手法を用いることが出来る。
PVA樹脂−1(ケン化度88モル%、重合度500、構成単位当たりの水酸基数0.88)50重量部、PVA樹脂−2(ケン化度98モル%、重合度1000、構成単位当たりの水酸基数0.98)50重量部、酸化防止剤(スミライザーGP、住友化学社製:2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、上記化合物1)0.2重量部、可塑剤(ジグリセリン)5重量部をプリブレンドした後、二軸押出機にて溶融混練し、ストランドカットのペレットを得た。
得られたペレットについて、単軸φ50mmの押出機にて溶融押し出しを行った(樹脂温度:228℃、押出量10kg/hr)。押出機から平織りのステンレスメッシュを介してT字型金型にてシート状に押し出することで、厚さ50μmの樹脂シートを得た。
なお、ステンレスメッシュは入り口側から 40/60/100/40メッシュの構成とした。
PVA樹脂−1、PVA樹脂−2、酸化防止剤、可塑剤を表1に示す種類、量に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂シートを得た。
なお、酸化防止剤としては、以下のものを使用した。
ヒドラジン系酸化防止剤(アデカスタブCDA−6、ADEKA社製)
フェノール系酸化防止剤(イルガノックス3114、BASF社製)
フェノール系酸化防止剤(アデカスタブAO−30、ADEKA社製)
リン系酸化防止剤(イルガフォス168、BASF社製)
アスコルビン酸
(1)樹脂圧上昇率
実施例及び比較例において、押出機から押し出す際の1次側の樹脂圧(MPa)を時間軸に対してプロットし、その傾きから樹脂圧上昇率(MPa/day)を求めた。
得られた樹脂シートの着色と、形状(筋、穴、欠損)を目視観察し、以下の基準で評価した。
(2−1)着色
◎:樹脂由来の僅かな着色はあるが、ほぼ透明である。
○:樹脂由来の僅かな着色以外に、若干にごりを視認出来る。
△:明らかな着色が認められる。
×:熱による着色以外に、変色(色調の変化)が認められる。
◎:ダイライン(筋)はほとんど無く、穴、欠損も認められない。
○:若干ダイラインは認められるが、穴、欠損はほとんど認められない。
△:端部に若干の穴、欠損が認められる。
×:端部以外にも穴、欠損が認められる。
Claims (6)
- 水酸基含有樹脂及び酸化防止剤を含有し、
前記水酸基含有樹脂は、構成単位に0.5〜6個の水酸基を有し、
前記水酸基含有樹脂は、ケン化度が70〜99.5モル%であるポリビニルアルコールであり、
前記酸化防止剤は、下記式(1)に示す構造を有する
ことを特徴とする溶融成形用樹脂組成物。
- 水酸基含有樹脂100重量部に対して、酸化防止剤を0.2〜2重量部含有することを特徴とする請求項1記載の溶融成形用樹脂組成物。
- ポリビニルアルコールの重合度は、300〜5000であることを特徴とする請求項1又は2記載の溶融成形用樹脂組成物。
- ポリビニルアルコールの変性量は5モル%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の溶融成形用樹脂組成物。
- 請求項1、2、3又は4記載の溶融成形用樹脂組成物を溶融し、成形することを特徴とする水酸基含有樹脂成形体の製造方法。
- 溶融成形用樹脂組成物を、押出機で溶融した後、金型により薄膜状に押し出す工程を有することを特徴とする請求項5記載の水酸基含有樹脂成形体の製造方法。
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