JP6669035B2 - 車両用接合構造 - Google Patents
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Description
このため、応力集中の発生箇所が、樹脂成形部の内部であって、貫通孔の外側になる。これにより、貫通孔の縁部を起点としてかしめ部にクラックが生じることを防止することができる。
また、たとえ、折返し部の延出端近傍において応力集中により樹脂成形部にクラックが生じたとしても、このクラックは貫通孔の外側に発生し、かつ、クラックの伝搬が第1接合面で止まるので、かしめ部にクラックが生じることを防止することができる。
さらに、請求項2に記載された発明に係る車両用接合構造は、請求項1に記載の発明において、前記樹脂成形部は、車両前後方向及び車両幅方向に延在して車両下部を覆う板状のフロアパンであって、クロスメンバ及び左右一対のフロアサイドメンバにより周囲が囲まれた領域内に配置され、前記クロスメンバ及び前記フロアサイドメンバに支持されており、前記金属板は、前記樹脂成形部の補強部材として設けられている。
図1〜図4を用いて、本発明の第1実施の形態に係る車両用接合構造を説明する。車両用接合構造は本実施の形態において自動車等の車両後部に適用されている。
図3及び図4に示されるように、車両後部30は、図示を省略した車室の後部座席よりも車両後方側に位置する荷室32を備えている。この荷室32には、車両前後方向及び車両幅方向に延在して車両下部を覆う板状のリアフロアパンとしての樹脂成形部12が設けられている。樹脂成形部12は平面視において矩形状に形成されている。
そして、金属板14は樹脂成形部12に接合され、この接合構造に本実施の形態に係る車両用接合構造10が適用されている。
図1(A)及び図1(B)に示されるように、車両用接合構造10は、樹脂成形部12と、金属板14と、かしめ部20とを備えている。
樹脂成形部12は、ここでは炭素繊維と樹脂材料との複合材料である炭素繊維強化樹脂材、又はガラス繊維と樹脂材料との複合材料であるガラス繊維強化樹脂材により形成されている。この種の樹脂材は軽量化並びに高剛性化の点において優れた特性を備えている。
金属板14には、第2接合面14Aから非接合面14Bへ板厚方向に貫通する貫通孔16が配設されている。図2に示されるように、貫通孔16は、金属板本体14Cにその長手方向に沿って所定の間隔において複数個設けられている。配設個数は限定されるものではないが、貫通孔16はここでは4個配設されている。貫通孔16の開口形状は平面視において円形状に形成されている。金属板14は、ここでは鉄等の金属材、又はアルミニウム合金等の軽金属材により形成されている。
また、延出部18Aの第1接合面12Aからの長さ、言い換えると、延出部18Aの金属板14の第2接合面14Aから延出端18Cまでの高さHは、金属板14の厚さよりも大きな寸法とされ、かつ、樹脂成形部12の裏面12Bに達しない寸法とされている。
加えて、延出先端部18Bの折曲げ開始の根元部位にも、貫通孔16の内側へ突出する円弧状のアール部R2が設けられている。アール部R2は、アール部R1よりも大きな曲率半径を有し、アール部R1と同様に応力が集中し難い形状とされている。
図1(B)に示されるように、かしめ部本体20Bの張出しによる直径L2は、当然のことながら貫通孔16の開口径L1よりも大きい寸法(L2>L1)とされ、更に延出端18Cの開口径L3よりも大きい寸法(L2>L3)とされている。かしめ部本体20Bの厚さは、同一方向となる金属板14の厚さよりも大きい寸法とされている。
一方、連結部20Aは、かしめ部本体20Bの下面中央部から貫通孔16及び折返し部18を介して樹脂成形部12に一体に形成されている。より具体的に説明すると、連結部20Aは、貫通孔16の内部及び折返し部18の内部を通って樹脂成形部12に一体に形成されている。
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用接合構造10では、図1(A)及び図1(B)に示されるように、樹脂成形部12の第1接合面12Aに金属板14の第2接合面14Aが重合わされて、樹脂成形部12に金属板14が配置される。金属板14は第2接合面14Aから非接合面14Bへ貫通する貫通孔16を有し、この金属板14はかしめ部20により樹脂成形部12に接合される。かしめ部20は、貫通孔16を塞ぎ、非接合面14Bに沿って貫通孔16の外側に張出して形成され、かつ、貫通孔16を介して樹脂成形部12に一体に形成される。
図5を用いて、本発明の第2実施の形態に係る車両用接合構造10を説明する。なお、本実施の形態において、第1実施の形態に係る車両用接合構造10の構成要素と同一又は実質的に同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図5に示されるように、折返し部18は、貫通孔16の縁部から樹脂成形部12の内部へ貫通孔16の図1(B)に示される開口径L1よりも拡がってテーパ状に延出された延出部18Aを備えている。折返し部18は、第1実施の形態の折返し部18の延出部18Aを省略して延出先端部18Bだけを残した形状とされている。当然のことながら、延出端18Cは貫通孔16の外側に位置する。
また、本実施の形態に係る車両用接合構造10では、折返し部18の延出部18Aが貫通孔16の縁部において一箇所の折曲げ部位(1回の折曲げ加工)により形成されるので、金属板14の構造及び加工を簡素化することができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、板状の樹脂成形部と金属板との接合構造に車両用接合構造が適用されているが、本発明では、ブロック状の樹脂成形部と金属板との接合構造に車両用接合構造が適用可能である。
また、上記実施の形態では、金属板に配設された貫通孔の平面視における開口形状が円形状とされているが、この形状に本発明は限定されない。例えば、本発明は、貫通孔の開口形状を、楕円形状、長孔形状、矩形状、五角形以上の多角形状としてもよい。
勿論、本発明は、車室後部に限定されるものではなく、車室内等、樹脂成形部と金属板との接合構造を有す部分に広く適用可能である。
12 樹脂成形部
12A 第1接合面
14 金属板
14A 第2接合面
14B 非接合面
16 貫通孔
18 折返し部
18A 延出部
18C 延出端
20 かしめ部
Claims (2)
- 第1接合面を有し、樹脂材料を含んで構成される樹脂成形部と、
前記第1接合面に第2接合面を重合わせて配置され、前記第2接合面からこの第2接合面とは反対側の非接合面へ貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔の縁部に一体に形成され、前記縁部から前記樹脂成形部の内部へ前記貫通孔の開口径以上に拡がって延出された折返し部を有する板状の金属板と、
前記貫通孔を塞ぎ、前記非接合面に沿って前記貫通孔の外側に張出して形成され、かつ、前記貫通孔及び前記折返し部を介して前記樹脂成形部に一体に形成されて、前記樹脂成形部の前記第1接合面に前記金属板の前記第2接合面を接合するかしめ部と、
を備え、
前記折返し部の延出端は、平面視で前記貫通孔の外側に円形状に形成されている車両用接合構造。 - 前記樹脂成形部は、車両前後方向及び車両幅方向に延在して車両下部を覆う板状のフロアパンであって、クロスメンバ及び左右一対のフロアサイドメンバにより周囲が囲まれた領域内に配置され、前記クロスメンバ及び前記フロアサイドメンバに支持されており、
前記金属板は、前記樹脂成形部の補強部材として設けられている請求項1に記載の車両用接合構造。
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