〈実施形態1〉
以下、本発明の実施形態1に係る貫通電極基板の構造及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、第1基板と第2基板との上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。また、以下の説明で基板の第1面及び第2面は基板の特定の面を指すものではなく、基板の表面方向又は裏面方向を特定するもので、つまり基板に対する上下方向を特定するための名称である。
[貫通電極基板の構成]
図1を用いて、本発明の実施形態1に係る貫通電極基板の構成について詳細に説明する。実施形態1では、第1基板100の一方の面(第1面101側)には、多層配線構造体199、チップ230、232などの外部装置、及び外部装置の放熱板としても機能する第2基板200が配置され、第1基板100の他方の面(第2面102)には、多層配線構造体199に接続された第2バンプ115が配置された構造について説明する。ただし、この構造に限定されず、例えば、第1基板100の下面にも多層配線構造体、外部装置、及び放熱板が配置されていてもよい。また、多層配線構造体にはトランジスタ、抵抗素子、容量素子、ダイオード素子、及びコイルなどの素子が含まれていてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の概要を示す断面図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係る貫通電極基板10は、第1面101及び第1面101とは反対側の第2面102を有し、第1面101と第2面102とを貫通する貫通孔120が設けられた第1基板100と、貫通孔120の内部に配置され、第1面101と第2面102とを接続する貫通電極110とを有する。
また、貫通電極基板10は、第1基板100の第1面101上に配置され、貫通電極110に接続された第1配線層130と、第1配線層130上に配置され、開口部137が設けられた絶縁層139と、絶縁層139上に配置され、開口部137を介して第1配線層130に接続された第1導電層142及び第2導電層144を含む配線層140と、配線層140上に配置され、開口部147が設けられた絶縁層149と、絶縁層149上に配置され、開口部147を介して配線層140に接続された第1導電層152及び第2導電層154を含む配線層150と、配線層150上に配置され、開口部157が設けられた絶縁層159と、絶縁層159上に配置され、開口部157を介して配線層150に接続された第1導電層162及び第2導電層164を含む第2配線層160と、第2配線層160上に配置され、開口部167が設けられた絶縁層169と、を有する。ここで、第1配線層130から第2配線層160まで配置された複数の配線層及び複数の絶縁層を多層配線構造体199という。また、第1配線層130、配線層140、150、及び第2配線層160の最小加工寸法はL/S(ライン/スペース)=2/2μmである。
また、貫通電極基板10は、開口部167を介して第2配線層160に接続された第1バンプ210を介して実装された、電子回路を有するチップ230、232と、チップ230、232の第1バンプ210とは反対側に接着層240を介して貼り付けられた第2基板200と、チップ230、232が実装された領域に対応する多層配線構造体199の第1領域201よりも外周側に位置する第2領域202において、多層配線構造体199と第2基板200との間隔を保持するスペーサ220と、を有する。
[貫通電極基板の製造方法]
図2乃至図16を用いて、本発明の実施形態1に係る貫通電極基板の製造方法を説明する。図2乃至図16において、図1に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。ここで、貫通電極基板としてガラス基板を使用した場合の製造方法について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板内部にレーザ光を照射する工程を示す断面図である。図2では、フェムト秒レーザを第1基板100に照射することで、貫通孔120を形成したい領域の第1基板100の材質を変化させる。ここで、光源300から出射されたレーザ光301は第1基板100の第1面101側から入射され、第1基板100の内部の貫通孔120を形成したい領域で焦点を結ぶ。レーザ光301が焦点を結んだ位置では、高いエネルギーが第1基板100に供給され、第1基板100の材質が変化して変質層103が形成される。
図2では、変質層103は、第1基板100の第1面101に対して直交する方向に矩形に形成された製造方法を例示したが、この製造方法に限定されない。例えば、貫通孔120の側壁が基板の表面に直交する面に対して傾斜するように変質層103を形成してもよい。より具体的には、第1基板100の第1面101から基板内部に向かって、貫通孔120の径が小さくなるように、断面図において台形になるように変質層103を形成してもよい。第1基板100の深さ方向に変質層103の径が変化するように変質層103を形成する場合、レーザ光301の焦点サイズを変化させながら光源300の焦点深度を板厚方向に走査すればよい。
図3は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板内部に変質層を形成する工程を示す断面図である。変質層103は所望の貫通孔の形状に合わせて、適宜形状を変更することができる。実施形態1の製造方法では、第1基板100を第2面102側から薄板化して変質層103の底側を露出させ、露出した変質層103をエッチングすることで貫通孔を形成するため、図2及び図3では、変質層103が第1基板100の板厚方向全てに形成されていない(つまり、有底孔の形状に変質層103が形成される)方法を例示した。一方で、第1基板100を薄板化する工程を設けずに、変質層103をエッチングする工程だけで貫通孔120を形成する場合は、基板を板厚方向に全て変質させてもよい。ここで、変質層103の領域が後の貫通孔の径の大きさになるため、所望の貫通孔の径の大きさに合わせて変質層の径の大きさを調整すればよい。
図4は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、変質層上に第1配線層を形成する工程を示す断面図である。図4に示すように、第1基板100上に、変質層103に接する第1配線層130を形成する。第1配線層130は、PVD(Physical Vapor Deposition)法(真空蒸着法およびスパッタリング法等)、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、又はめっき法によって形成することができる。また、第1配線層130は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。
第1配線層130を積層で形成する場合は、上記の形成方法を複数組み合わせることができる。例えば、スパッタリング法で第1導電層を形成した後に、第1導電層をシード層としてめっき法で第2導電層を形成することができ、第1導電層及び第2導電層によって積層の第1配線層130を形成することができる。ここで、第1基板100には変質層103は形成されているが、第1基板100の第1面101には有底孔などの凹凸が形成されていないため、第1配線層130の形成に対する制約はほとんどない。
図5は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1配線層上に絶縁層を形成する工程を示す断面図である。図5に示すように、第1基板100の第1面101上及び第1配線層130上に絶縁層139を形成する。ここで、絶縁層139は第1配線層130のパターン端部を覆うように基板の全面に形成され、第1配線層130の一部を露出する開口部137が設けられる。絶縁層139は、CVD法を用いた無機絶縁層又は塗布法を用いた有機絶縁層によって形成することができる。また、絶縁層139は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。
絶縁層139を積層で形成する場合は、目的に応じて異なる性質を有する材料を形成することができる。例えば、第1配線層130の材料としてCu等の熱拡散しやすい材料が用いられた場合、絶縁層139を第1無機絶縁層、第2無機絶縁層、及び有機絶縁層の性質の異なる層の積層構造を用いることができる。第1無機絶縁層としては、Cuの熱拡散を抑制する性質の層を第1配線層130上にCVD法で形成することができる。また、第2無機絶縁層としては、第1無機絶縁層よりも有機絶縁層との密着性が良好な層を第1無機絶縁層上にCVD法で形成することができる。また、有機絶縁層としては、第1配線層130のパターンによって形成された段差を緩和又は平坦化し、誘電率が低い層を上記の第2無機絶縁層上に塗布法で形成することができる。ここで、有機絶縁層として、感光性樹脂又は非感光性樹脂を使用することができる。
図6は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1配線層上及び絶縁層上にシード層を形成する工程を示す断面図である。図6に示すように、絶縁層139上及び開口部137の底部で露出された第1配線層130上に、後に第1導電層142となるシード層325を形成する。シード層325は、PVD法又はCVD法等により形成することができる。シード層325に使用する材料は、後にシード層325上に形成するめっき層326と同じ材質を選択することができる。シード層325は、後の工程でめっき層326を形成する際に、電解めっき法におけるシードとして用いられる。ここで、シード層325は、好ましくは20nm以上1μm以下の膜厚で形成するとよい。また、シード層325は、より好ましくは100nm以上300nm以下の膜厚で形成するとよい。
図7は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、シード層上にレジストマスクを形成する工程を示す断面図である。図7に示すように、シード層325上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことによりレジストパターン329を形成する。レジストパターン329は、少なくとも図1に示す配線層140のパターンが形成される領域を露出するように形成される。
図8は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、レジストマスクから露出したシード層上にめっき層を形成する工程を示す断面図である。図8に示すように、レジストパターン329を形成後、シード層325に通電して電解めっき法を行い、レジストパターン329から露出しているシード層325上に、図1に示す配線層140のパターンが形成される領域にめっき層326を形成する。
図9は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、シード層上のレジストマスクを除去する工程を示す断面図である。図9に示すように、めっき層326を形成した後に、レジストパターン329を構成するフォトレジストを有機溶媒により除去する。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。
図10は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、めっき層から露出したシード層をエッチングする工程を示す断面図である。図10に示すように、レジストパターン329によって覆われ、上にめっき層326が形成されなかった領域のシード層325を除去(エッチング)することで、各々の配線を電気的に分離する。シード層325のエッチングによって、めっき層326の表面もエッチングされて薄膜化するため、この薄膜化の影響を考慮してめっき層326の膜厚を設定することが好ましい。この工程におけるエッチングとしては、ウェットエッチングやドライエッチングを使用することができる。この工程によって、シード層325から形成された第1導電層142及びめっき層326から形成された第2導電層144が形成され、配線層140が形成される。
図11は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1配線層上に多層配線構造を形成する工程を示す断面図である。図10に示した構造に対して、図5乃至図10に示す工程を繰り返すことで配線層140上に絶縁層149を介して配線層150(第1導電層152及び第2導電層154の積層構造)を形成し、配線層150上に絶縁層159を介して第2配線層160(第1導電層162及び第2導電層164の積層構造)を形成する。また、第2配線層160上に、チップ230、232の外部端子に対応する位置に開口部167が設けられた絶縁層169を形成する。つまり、図4乃至図11に示す工程によって、第1基板100上に、第1配線層130と、複数の絶縁層及び複数の配線層を介して第1配線層130に電気的に接続する第2配線層160と、を有する多層配線構造体199を形成する。
図12は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、多層配線構造体上に第1バンプを介して電子回路を有するチップを実装する工程を示す断面図である。図12に示すように、開口部167を介して第2配線層160に接する第1バンプ210を形成する。第1バンプ210は、チップ230、232の外部端子に対応する位置に設けられる。また、ロジック回路、メモリ回路などの電子回路を有するチップ230、232を第1バンプ210を介して多層配線構造体199に実装する。ここで、チップ230、232は、第3基板と、第3基板上に形成された電子回路と、を含んでいる。チップ230、232の外部端子が第3基板の電子回路が形成された面側に配置されている場合、外部端子が第1バンプ210と接触するように、フェイスダウン方式で実装される。
図13は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、スペーサを形成する工程を示す断面図である。図13に示すように、チップ230、232が配置された領域の外周側において、絶縁層169上にスペーサ220を形成する。換言すると、スペーサ220は、チップ230、232が実装された多層配線構造体199の第1領域201よりも外周側に位置する第2領域202において、多層配線構造体199と図1に示す第2基板200との間隔を保持する。
ここで、スペーサ220は、スペーサ220の高さがチップ230、232の高さ(第3基板の裏面の高さ)と略同一の高さになるように形成される。スペーサ220はディップ法などによって、第2領域202の必要な領域にだけ形成することができる。ここで、図13では、第2領域202は第1基板100の外周に対応しているが、この例に限定されない。例えば、スペーサ220をチップ230とチップ232との間の領域に形成してもよい。また、スペーサ220は第1領域201の外周を囲むように連続的に形成されていてもよい。一方、スペーサ220は第2領域202において、離散的に形成されていてもよい。
図14は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、チップの裏面側に第2基板を貼り付ける工程を示す断面図である。図14に示すように、チップ230、232の第1バンプ210とは反対側に接着層240を介して第2基板200を貼り付ける。
ここで、接着層240は、第2基板200を貼り付けた後の工程に対する耐熱性を有している。例えば、接着層240は、図1に示す貫通電極110及び第2バンプ115のリフロ―温度に対する耐熱性を有していてもよい。より具体的には、接着層240は250℃以上の耐熱性を有していてもよい。ここで、接着層240が耐熱性を有するとは、熱処理によって接着層240の形状変化又は物性変化が発生しないことを意味する。
また、第2基板200は、熱伝導率が高い材質を用いることができる。例えば、第2基板200は、チップ230、232が形成された第3基板よりも熱伝導率が高くてもよい。より具体的には、第2基板200として金属板を用いることができる。上記の金属板として、特に銅板などの熱伝導率が高い金属板を第2基板200として用いることができる。ここで、熱収縮による内部応力の発生を抑制するために、第2基板200として、第2基板200の熱膨張係数はチップ230、232が形成された第3基板の熱膨張係数と近い材質を用いることができる。
また、スペーサ220が第1領域201の外周を囲むように連続的に形成されている場合、第1基板100(多層配線構造体199)、第2基板200、及びスペーサ220によって密閉された空間に不活性ガスが充填されていてもよい。又は、当該空間が真空状態又は減圧状態となっていてもよい。
図15は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板を裏面側から薄板化する工程を示す断面図である。図15に示すように、第1基板100の多層配線構造体199とは反対の第2面102側から、第1エッチングで第1基板100を薄板化する。第1エッチングは、例えばウェットエッチングやCMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いることができる。ここで、図15では、第1エッチングによって変質層103が露出されるまで第1基板100を薄板化する製造方法を例示したが、この製造方法に限定されず、第1エッチングは変質層103が露出するまで第1基板100を薄板化しなくてもよい。つまり、薄板化後の第1基板100の板厚が変質層103の深さよりも厚くなるように第1エッチングを行ってもよい。この場合、第1エッチングとして、ダイシング法や研削法を用いることができる。つまり、第1エッチングとして、高速で基板を薄板化することが可能な荒削りを用いることができる。
薄板化にウェットエッチングを使用する場合、フッ酸(HF)、バッファードフッ酸(BHF)、界面活性剤添加バッファードフッ酸(LAL)などを使用することができる。エッチングに使用する薬液は基板の材質によって適宜選択することができる。また、薄板化にCMPを使用する場合、研磨剤として酸化セリウム(セリア)を使用することができる。セリアを使用したCMPは、ガラスや酸化シリコンを高速研磨することができる。セリアは、機械的な研磨作用だけでなく、水と共に作用して化学的に酸化シリコンを研磨する作用を有し、高い研磨速度を得ることができる。
図16は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板の裏面側から変質層を選択的に除去する工程を示す断面図である。図16に示すように、第1エッチングと同様に、第1基板100の多層配線構造体199とは反対側から、第2エッチングで変質層103を選択的に除去し、第1基板100を貫通して第1配線層130を露出する貫通孔120を形成する。第2エッチングは、ウェットエッチングを使用することができる。ここで、第2エッチングは、第1エッチングと同じエッチング条件であってもよく、第1エッチングとは異なるエッチング条件であってもよい。第2エッチングを第1エッチングと同じ条件で処理する場合、第1エッチング及び第2エッチングは連続して処理してもよい。つまり、第1エッチング及び第2エッチングは同一工程で行われ、一つのエッチング条件で第1基板100の薄板化及び変質層103の選択エッチングによる貫通孔形成を行ってもよい。
そして、図16に示す貫通孔120に、第1配線層130に接続する貫通電極110及び第2バンプ115を形成することで図1に示す貫通電極基板10を形成することができる。ここで、貫通電極110及び第2バンプ115は同一工程で形成してもよく、異なる構成で形成してもよい。貫通電極110及び第2バンプ115を同一工程で形成する場合、第1配線層130をシード層とするめっき法によって形成してもよく、はんだめっき法などの方法で第1基板100の第2面102側から形成してもよい。
[貫通電極基板の各部材の材質]
図1に示す貫通電極基板10に含まれる各部材(各層)の材質について詳細に説明する。
第1基板100は、ガラス基板を使用することができる。また、ガラス基板の他にも、石英基板、サファイア基板、樹脂基板などの絶縁基板、シリコン基板、炭化シリコン基板、化合物半導体基板などの半導体基板、ステンレス基板などの導電性基板を使用することができる。また、基板に使用する材料として、熱膨張係数が2×10-6[/K]以上17×10-6[/K]以下の範囲の材料を使用することができる。また、これらが積層されたものであってもよい。薄板化する前の第1基板100の厚さは、特に制限はないが、例えば、100μm以上800μm以下の厚さの基板を使用することができる。第1基板100の厚さは、より好ましくは、200μm以上400μm以下であるとよい。上記の基板の厚さの下限よりも基板が薄くなると、基板のたわみが大きくなる。その影響で、製造過程におけるハンドリングが困難になるとともに、基板上に形成する薄膜等の内部応力により基板が反ってしまう。また、上記の基板の厚さの上限よりも基板が厚くなると貫通孔の形成工程が長くなる。その影響で、製造工程が長期化し、製造コストも上昇してしまう。
第1配線層130及び第1導電層142、152、162は、下地の第1基板100又は絶縁層139、149、159と密着性がよい導電材料を使用することができる。例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)これらの化合物、あるいはこれらの合金などを使用することができる。特に、第1導電層142、152、162の上に形成される第2導電層144、154、164が銅(Cu)を含む場合、第1導電層142、152、162は、Cuの拡散を抑制する材料を使用することができ、例えば窒化チタン(TiN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化タンタル(TaN)等を使用してもよい。ここで、第1導電層142、152、162の厚さは、特に制限はないが、例えば、50nm以上400nm以下の範囲で適宜選択することができる。
第2導電層144、154、164は、第1導電層142、152、162との密着性が良く、電気伝導度が高い導電材料を使用することができる。例えば、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等の金属またはこれらを用いた合金などから選択することができる。
絶縁層139、149、159、169は、無機絶縁層、有機絶縁層、又は無機絶縁層と有機絶縁層との積層構造を用いることができる。
無機絶縁層としては、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)、窒化シリコンカーバイト(SiCN)、炭素添加シリコンオキサイド(SiOC)などを使用することができる。ここで、絶縁層139、149、159、169として、上記の無機絶縁層を単層で使用してもよく、積層で使用してもよい。
有機絶縁層としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリベンゾオキサゾール、シアネート樹脂、アラミド、ポリオレフィン、ポリエステル、BTレジン、FR−4、FR−5、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン 、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルポリサルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミドなどを用いることができる。また、上記の樹脂に、ガラス、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ等、無機フィラーを併用して用いてもよい。ここで、絶縁層139、149、159、169に使用する樹脂は、応力緩和を目的として、常温にて1×109[dyne/cm2]以下のヤング率を有する樹脂を使用してもよい。
第1バンプ210及び第2バンプ115としては、高さや形状の均一性が高く、導電性が高い材料を用いることができる。例えば、Au、Ag、Cu、Ni、はんだ等の金属またはこれらを用いた合金などから選択することができる。
接着層240としては、チップ230、232及び第2基板200と十分な接着力を有し、熱伝導率が高い材料を用いることができる。
第2基板200としては、熱伝導率が高い材料を用いることができる。例えば、Cuを含む材料を用いることができる。
以上のように、実施形態1に係る貫通電極基板の製造方法によると、チップ230、232などの外部装置の支持基板である第2基板200を利用して多層配線構造体199が形成された第1基板100を薄板化することができるため、薄板化のための支持基板の貼り付け・剥離工程を省略することができる。また、第1基板100の貫通孔120を形成したい領域に変質層103を形成し、多層配線構造体199を形成した後に変質層103を除去することで、多層配線構造体199加工されていない平坦な基板上に形成することができる。その結果、工程数を低減することができ、製造期間が短く歩留まりが向上する貫通電極基板の製造方法を提供することができる。
また、上記の第2基板200として放熱板などのように熱伝導率が高い材質の基板を用いることで、チップ230、232の回路駆動によって発生する熱を効率よく外部に放出することができる。また、第1エッチングのエッチング条件と第2エッチングのエッチング条件とを同一のエッチング条件とすることで、第1基板100の薄膜化と貫通孔120の形成とを1つの工程で行うことができる。
また、第2領域202にスペーサ220を形成することで、スペーサがない構造に比べて多層配線構造体が形成された第1基板と第2基板とを強固に固定することができる。したがって、第1基板の薄板化の工程において、薄板化の面内均一性を向上させることができる。また、第1基板100、第2基板200、及びスペーサ220によって密閉された空間に不活性ガスを充填する又は当該空間を真空状態若しくは減圧状態にすることで、第1バンプ210及びチップ230、232が酸素や水分と接触しにくくなるため、導電材料の酸化などによる高抵抗化の問題を抑制することができる。
〈実施形態1の変形例1〉
図17は、本発明の一実施形態の変形例に係る貫通電極基板の概要を示す断面図である。図17に示す実施形態1の変形例1に係る貫通電極基板11は、図1に示す貫通電極基板10と類似しているが、貫通電極基板11はスペーサ220が配置された領域の断面構造が、チップ230、232が形成された領域における第1バンプ210が形成された領域の断面構造と同じ構造となっている点において、貫通電極基板10と相違する。
図17に示すように、貫通電極基板11は、多層配線構造体199とスペーサ220との間に、第1バンプ210と同じ工程で形成された第3バンプ222を有している。また、第3バンプ222が形成された第2領域202には、第1導電層162と同じ工程で形成された第1導電層224と、第2導電層164と同じ工程で形成された第2導電層226とを有している。そして、チップ230、232が配置された第1領域201における第2配線層160及び第1バンプ210が配置された領域の構造と同じように、第3バンプ222は絶縁層169に設けられた開口部227を介して第2導電層226に接している。
〈実施形態2〉
本発明の実施形態2に係る貫通電極基板の構造及びその製造方法について、図18乃至図33を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態2に係る貫通電極基板20において、図1に示した貫通電極基板10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[貫通電極基板の構成]
図18に示す貫通電極基板20は、図1に示す貫通電極基板10に類似しているが、貫通電極基板20は、第1基板100に設けられた貫通孔120に形成されたコンフォーマルな貫通電極330によって、第1基板100の第1面101に形成された第1電極332と第2面102に形成された第2電極334とが接続されている点、第1基板100の第1面101上に絶縁層として第1フィルム状樹脂310が形成され、第2面102上に絶縁層として第2フィルム状樹脂320が形成されている点、及び第1基板100の第2面102側に形成された第2バンプ350と貫通電極330との接続構造において、貫通電極基板10と相違する。
ここで、第1基板100の第2面102側に形成された第2バンプ350と貫通電極330との接続構造について、詳細に説明する。第1基板100の第2面102側に形成された第2フィルム状樹脂320には、第2電極334を露出する第2開口部327及び貫通孔120に対応して設けられた開口部324が設けられている。つまり、貫通孔120は開口部324を介して外部につながっている。また、第1基板100の第2面102側には、第2開口部327を介して第2電極334に接続された第1導電層342及び第2導電層344を含む配線層340が形成されている。そして、配線層340の下面には第2バンプ350が形成されている。
図18では、第2バンプ350は配線層340を介して第2電極334に接続された構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、配線層340が配置されておらず、第2バンプ350が第2フィルム状樹脂320の第2開口部327に配置され、第2電極334と接する構造であってもよい。また、配線層340又は配線層340を配置しない場合の第2バンプ350と貫通電極330とを接触させることができれば、第2電極334を設けなくてもよい。
[貫通電極基板の製造方法]
図19乃至図33を用いて、本発明の実施形態2に係る貫通電極基板20の製造方法を説明する。図19乃至図33において、図1に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。なお、貫通電極基板20の製造方法は図1に示す貫通電極基板10の製造方法と類似しているため、詳細な説明を省略し、貫通電極基板10の製造方法とは異なる点について詳細に説明する。ここで、貫通電極基板としてガラス基板を使用した場合の製造方法について説明する。
図19は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板に有底孔を形成する工程を示す断面図である。図19に示すように、第1基板100の第1面101側に有底孔105を形成する。有底孔105は、図2及び図3の工程と同様に、第1基板100の有底孔105を形成したい領域に変質層を形成し、当該変質層を選択的にエッチングすることで形成することができる。
ここで、有底孔105を形成する方法として、第1基板100の有底孔105を形成したい領域にレーザ光を照射して変質層を形成し、薬液によってウェットエッチングすることで有底孔を形成する方法を説明したが、この方法に限定されない。例えば、高出力のレーザを第1基板100に照射し、基板を融解することで有底孔又は貫通孔を形成してもよい。例えば、ガラス基板を加工するレーザとしてはCO2レーザなどを使用することができる。
図20は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、有底孔の内部に第1電極を形成する工程を示す断面図である。図20に示すように、第1基板100の第1面101側の表面の一部及び有底孔105の内部に第1電極332及び貫通電極330を形成する。第1電極332及び貫通電極330はPVD法、CVD法、又はめっき法によって形成することができる。また、第1電極332及び貫通電極330は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。ここで、第1電極332及び貫通電極330は同一プロセスで形成された連続した層であるが、説明の便宜上第1基板100の第1面101上に形成された導電層を第1電極332と表現し、有底孔105の内部に形成された導電層を貫通電極330と表現しているに過ぎず、「第1電極332」と「貫通電極330」とを異なる部材として明確に区別するものではない。つまり、貫通電極を第1電極と表現してもよい。
図21は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板上及び第1電極上に有底孔を覆う第1フィルム状樹脂を形成する工程を示す断面図である。図21に示すように、第1基板100及び第1電極332上に有底孔105を覆うフィルム状の第1フィルム状樹脂310を貼り付ける。ここで、フィルム状樹脂とは、1μm以上100μm以下のフィルムであり、基板に形成する前からフィルム状となっている樹脂である。フィルム状樹脂は、シート状樹脂又はラミネート状樹脂ということもできる。フィルム状樹脂は、基板に形成する前からフィルム状の形態ととっているので、有底孔105上に形成しても樹脂が有底孔105内部にほとんど落ち込むことなく有底孔105の端部を覆って中空構造を形成する。
図22は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1フィルム状樹脂に第1電極を露出する第1開口部を形成する工程を示す断面図である。図22に示すように、第1フィルム状樹脂310に第1電極332を露出する第1開口部317を形成する。第1開口部317は、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって形成されてもよく、又はレーザ等のエネルギー線を用いて樹脂を昇華させることで形成されてもよい。
図23は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1開口部を介して第1電極に接続される第1配線層を形成する工程を示す断面図である。図23に示すように、第1フィルム状樹脂310上及び第1開口部317の底部で露出された第1電極332上に、第1導電層132及び第2導電層134を含む第1配線層130を形成する。換言すると、第1配線層130は、第1開口部317を介して第1電極332に接続される。
図24は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1配線層上に多層配線構造を形成する工程を示す断面図である。図24に示すように、図23に示した構造に対して、図5乃至図10に示す工程を繰り返すことで第1配線層130上に絶縁層139を介して配線層150(第1導電層152及び第2導電層154の積層構造)を形成し、配線層150上に絶縁層159を介して第2配線層160(第1導電層162及び第2導電層164の積層構造)を形成する。また、第2配線層160上に、チップ230、232の外部端子に対応する位置に開口部167が設けられた絶縁層169を形成する。つまり、第1基板100上に、第1電極332に接する第1配線層130と、複数の絶縁層及び複数の配線層を介して第1配線層130に電気的に接続する第2配線層160と、を有する多層配線構造体199を形成する。
図25は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、チップの裏面側に第2基板を貼り付ける工程を示す断面図である。図25に示すように、開口部167を介して第2配線層160に接し、ロジック回路、メモリ回路などの電子回路を有するチップ230、232の外部端子に対応する位置に設けられた第1バンプ210を形成し、第2配線層160に接する第1バンプ210を介してチップ230、232を多層配線構造体199に実装する。また、チップ230、232の第1バンプ210とは反対側に、接着層240を介して第2基板200を貼り付ける。
図26は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板を裏面側から薄板化する工程を示す断面図である。図26に示すように、第1基板100の多層配線構造体199とは反対の第2面102側から、第1基板100を薄板化する。第1基板100の薄板化の方法としては、ウェットエッチングやCMPを使用することができる。第1基板100の薄板化によって有底孔105の底部に形成された貫通電極330の一部を露出するまで第1基板100を薄くする。
上記のように、第1基板100の薄板化によって有底孔105の底部に形成された貫通電極330の一部を露出する工程において、貫通電極330は薄板化の処理に対するストッパの機能を有していてもよい。例えば、HFを使用して薄板化を行う場合、貫通電極330としてHFにエッチングされない又はHFに対するエッチングレートが第1基板100よりも低い材料を使用することができ、Ti、TiN、Mo、MoNなどを使用することができる。
図27は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1電極を除去して貫通孔を形成する工程を示す断面図である。図27に示すように、図26に示す貫通電極330のうち第1基板100の第2面102よりも下方に突出した部分を除去する。貫通電極330の一部を除去する工程として、ドライエッチング、ウェットエッチング、又はCMPを使用することができる。この工程によって、貫通電極330は、第1基板100の第2面102と面位置になるようにエッチングされてもよく、又は第2面102に対して凹形状(上方に凹みを有する形状)となってもよく、又は第2面102に対して凸形状(下方に突出する形状)となってもよい。この工程によって、第1基板100の第1面101と第2面102とを貫通して貫通電極330(又は第1電極)を露出する貫通孔が形成される。
図28は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1電極に接続される導電層を形成する工程を示す断面図である。図28に示すように、第1基板100の第2面102側から貫通電極330(又は第1電極)に接続された導電層339を形成する。換言すると、第1基板100の薄板化された側に貫通電極330(又は第1電極)に接続された導電層339を形成する。導電層339はPVD法、CVD法、又はめっき法によって形成することができる。また、導電層339は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。
図29は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1電極に接続された第2電極を形成する工程を示す断面図である。図29に示すように、図29の導電層339をフォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって加工することで、第2電極334を形成する。換言すると、図28及び図29に示す工程によって、第1基板100の薄板化された側に貫通電極330(又は第1電極)に接続された第2電極334を形成する。ここで第2電極334は、複数の貫通電極330の各々を電気的に分離するようなパターンに加工される。
図30は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板上及び第2電極上に貫通孔を覆う第2フィルム状樹脂を形成する工程を示す断面図である。図30に示すように、第2電極334が形成された第1基板100の第2面102側、つまり第1基板100の薄板化された側に第2電極334及び貫通孔120を覆うフィルム状の第2フィルム状樹脂320を貼り付ける。ここで、第2フィルム状樹脂320として、第1フィルム状樹脂310と同様のものを用いることができる。フィルム状樹脂は、基板に形成する前からフィルム状の形態ととっているので、貫通孔120上に形成しても樹脂が貫通孔120内部にほとんど落ち込むことなく貫通孔120の端部を覆って中空構造を形成する。
図31は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第2フィルム状樹脂に第2電極を露出する第2開口部を形成する工程を示す断面図である。図31に示すように、第2フィルム状樹脂320に第2電極334を露出する第2開口部327を形成する。第2開口部327は、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって形成されてもよく、又はレーザ等のエネルギー線を用いて樹脂を昇華させることで形成されてもよい。
図32は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第2開口部を介して第2電極に接続される配線層を形成する工程を示す断面図である。図32に示すように、第2フィルム状樹脂320の下及び第2開口部327の底部で露出された第2電極334の下に、第1導電層342及び第2導電層344を含む配線層340を形成する。配線層340は、図18に示すように、第1基板100の第2面102側に形成される第2バンプ350に対応する位置に設けられる。配線層340のパターンは、第2バンプ350を形成する際のアライメント精度及び第2バンプ350の径に応じて決められる。
図33は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第2フィルム状樹脂に貫通孔に達する開口部を形成する工程を示す断面図である。図33に示すように、第2フィルム状樹脂320の貫通孔120に対応する位置に、貫通孔120に達する開口部324が設けられている。図33では、開口部324の径は貫通孔120の径と略同一である構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、開口部324の径は貫通孔120の径よりの大きくてもよく、逆に小さくてもよい。開口部324は、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって形成されてもよく、又はレーザ等のエネルギー線を用いて樹脂を昇華させることで形成されてもよい。
開口部324を介して貫通孔120と外部とがつながっていることで、例えば、貫通電極基板を構成する各部材から脱離するガスなどが貫通孔120内部に到達するような場合であっても、ガスは開口部324を介して外部に放出される。したがって、貫通孔120が他の部材で密閉されている場合に起きる、ガスが充満して貫通孔120内部の内圧が上昇し、破裂するような問題を回避することができる。
そして、図33に示す配線層340(第2導電層344)に、第2バンプ350を形成することで図18に示す貫通電極基板20を形成することができる。ここで、第2バンプ350は、第2フィルム状樹脂320に設けられた第2開口部327において、配線層340を介して第2電極334に接続され、さらに貫通電極330を介して第1電極332に接続されている。換言すると、第2バンプ350は、第2開口部327を介して第1電極332に電気的に接続されている。ここで、第2バンプ350は、配線層340をシード層とするめっき法によって形成してもよく、はんだめっき法などの方法で第1基板100の第2面102側から形成してもよい。
以上のように、実施形態2に係る貫通電極基板の製造方法によると、チップ230、232などの外部装置の支持基板である第2基板200を利用して多層配線構造体199が形成された第1基板100を薄板化することができるため、薄板化のための支持基板の貼り付け・剥離工程を省略することができる。
また、上記の第2基板200として放熱板などのように熱伝導率が高い材質の基板を用いることで、チップ230、232の回路駆動によって発生する熱を効率よく外部に放出することができる。また、第1基板100に形成された有底孔105を覆うように第1フィルム状樹脂310を貼り付けることで、有底孔105によって形成された段差を緩和することができる。また、同様に、第1基板100に形成された貫通孔120を覆うように第2フィルム状樹脂320を貼り付けることで、貫通孔120によって形成された段差を緩和することができる。
また、第2領域202にスペーサ220を形成することで、多層配線構造体が形成された第1基板と第2基板とをスペーサがない構造に比べて強固に固定することができる。したがって、第1基板の薄板化の工程において、薄板化の面内均一性を向上させることができる。また、第1基板100、第2基板200、及びスペーサ220によって密閉された空間に不活性ガスを充填する又は当該空間を真空状態若しくは減圧状態にすることで、第1バンプ210及びチップ230、232が酸素や水分と接触しにくくなるため、導電材料の酸化による高抵抗化の問題を抑制することができる。また、貫通電極330に接続された第2電極334を配置することで、第2フィルム状樹脂320の第2開口部327は第2電極334を露出するように設けられればよいため、第2電極334のパターンを調整することで第2開口部327のアライメント精度を緩くすることができる。
〈実施形態3〉
本発明の実施形態3に係る貫通電極基板の構造及びその製造方法について、図34乃至図40を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態3に係る貫通電極基板30において、図1に示した貫通電極基板10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[貫通電極基板の構成]
図34に示す貫通電極基板30は、図1に示す貫通電極基板10に類似しているが、貫通電極基板30は、第1基板100が除去されている点において、貫通電極基板10と相違する。
ここで、図34では、第1配線層130及び絶縁層139の下に、第1配線層130を露出する開口部417が設けられた絶縁層410が配置されており、第2バンプ115は開口部417を介して第1配線層130に接続されている。図34では、第1配線層130及び絶縁層139と第2バンプ115との間に絶縁層410が配置された構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、絶縁層410が配置されていなくてもよい。
[貫通電極基板の製造方法]
図35乃至図41を用いて、本発明の実施形態3に係る貫通電極基板30の製造方法を説明する。図35乃至図41において、図1に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。なお、貫通電極基板30の製造方法は図1に示す貫通電極基板10の製造方法と類似しているため、詳細な説明を省略し、貫通電極基板10の製造方法とは異なる点について詳細に説明する。ここで、貫通電極基板としてガラス基板を使用した場合の製造方法について説明する。
図35は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板上に第1配線層を形成する工程を示す断面図である。図35に示すように、第1基板100を準備し、第1基板100の第1面101側に、第1配線層130を形成する。
図36は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1配線層上に絶縁層を形成する工程を示す断面図である。図36に示すように、第1基板100の第1面101上及び第1配線層130上に絶縁層139を形成する。ここで、絶縁層139は第1配線層130のパターン端部を覆うように基板の全面に形成される。また、絶縁層139には第1配線層130の一部を露出する開口部137が設けられる。絶縁層139は、CVD法を用いた無機絶縁層又は塗布法を用いた有機絶縁層によって形成することができる。また、絶縁層139は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。
図37は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1配線層上に多層配線構造を形成する工程を示す断面図である。図37に示すように図36に示した構造に対して、図5乃至図10に示す工程を繰り返すことで、第1配線層130上に絶縁層139を介して配線層140(第1導電層142及び第2導電層144の積層構造)を形成し、配線層140上に絶縁層149を介して配線層150(第1導電層152及び第2導電層154の積層構造)を形成し、配線層150上に絶縁層159を介して第2配線層160(第1導電層162及び第2導電層164の積層構造)を形成する。また、第2配線層160上に、チップ230、232の外部端子に対応する位置に開口部167が設けられた絶縁層169を形成する。つまり、上記の工程によって、第1基板100上に、第1配線層130と、複数の絶縁層及び複数の配線層を介して第1配線層130に電気的に接続する第2配線層160と、を有する多層配線構造体199を形成する。
図38は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、チップの裏面側に第2基板を貼り付ける工程を示す断面図である。図38に示すように、開口部167を介して第2配線層160に接し、ロジック回路、メモリ回路などの電子回路を有するチップ230、232の外部端子に対応する位置に設けられた第1バンプ210を形成し、第2配線層160に接する第1バンプ210を介してチップ230、232を多層配線構造体199に実装する。また、チップ230、232の第1バンプ210とは反対側に、接着層240を介して第2基板200を貼り付ける。
図39は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1基板を裏面側から薄板化する工程を示す断面図である。図39に示すように、第1基板100の多層配線構造体199とは反対の第2面102側から、第1基板100を薄板化し、第1配線層130及び絶縁層139を露出させる。ここで、図39では第1基板100を薄板化し、第1基板100が全て除去される製造方法を例示したが、この製造方法に限定されない。ここで、第1基板100の薄板化は、少なくとも第1配線層130を露出すればよく、第1基板100を全て除去する必要はない。
図40は、本発明の一実施形態に係る貫通電極基板の製造方法において、第1配線層を露出する開口部を有する絶縁層を形成する工程を示す断面図である。図40に示すように、露出された第1配線層130及び絶縁層139の下に絶縁層410を形成する。絶縁層410には図34に示すように、第1配線層130及び第2バンプ115に対応する位置に開口部417が形成される。
そして、図40に示す開口部417に、第2バンプ115を形成することで図34に示す貫通電極基板30を形成することができる。ここで、第2バンプ115は、開口部417を介して第1配線層130に接続されている。ここで、第2バンプ115は、第1配線層130をシード層とするめっき法によって形成してもよく、はんだめっき法などの方法で絶縁層410の開口部417に形成してもよい。
以上のように、実施形態3に係る貫通電極基板30の製造方法によると、チップ230、232などの外部装置の支持基板である第2基板200を利用して多層配線構造体199が形成された第1基板100を薄板化することができるため、薄板化のための支持基板の貼り付け・剥離工程を省略することができる。また、多層配線構造体199を形成した後に第1配線層130及び絶縁層139を露出させるため、加工されていない平坦な第1基板100上に多層配線構造体199を形成することができる。したがって、段差を平坦化するなどの余計な工程を追加する必要がなく、貫通電極基板を形成することができる。
また、上記の第2基板200として放熱板などのように熱伝導率が高い材質の基板を用いることで、チップ230、232の回路駆動によって発生する熱を効率よく外部に放出することができる。また、第2領域202にスペーサ220を形成することで、多層配線構造体が形成された第1基板と第2基板とをスペーサがない構造に比べて強固に固定することができる。したがって、第1基板の薄板化の工程において、薄板化の面内均一性を向上させることができる。また、第1基板100、第2基板200、及びスペーサ220によって密閉された空間に不活性ガスを充填する又は当該空間を真空状態若しくは減圧状態にすることで、第1バンプ210及びチップ230、232が酸素や水分と接触しにくくなるため、導電材料の酸化による高抵抗化の問題を抑制することができる。
〈実施形態4〉
実施形態4においては、実施形態1乃至実施形態3における貫通電極基板を用いて製造される半導体装置について説明する。
図41は、本発明の実施形態4に係る半導体装置を示す図である。半導体装置1000は、3つの貫通電極基板1310、1320、1330が積層され、例えば、DRAM等の半導体素子が形成されたLSI基板1400に接続されている。貫通電極基板1310は、接続端子1511、1512を有している。これらの貫通電極基板1310、1320、1330はそれぞれが異なる材質の基板から形成された貫通電極基板であってもよい。接続端子1512は、LSI基板1400の接続端子1500とバンプ1610により接続されている。接続端子1511は、貫通電極基板1320の接続端子1522とバンプ1620により接続されている。貫通電極基板1320の接続端子1521と、貫通電極基板1330の接続端子1532と、についても、接続端子がバンプ1630により接続する。バンプ1610、1620、1630は、例えば、インジウム、銅、金等の金属を用いる。
なお、貫通電極基板を積層する場合には、3層に限らず、2層であってもよいし、さらに4層以上であってもよい。また、貫通電極基板と他の基板との接続においては、バンプによるものに限らず、共晶接合など、他の接合技術を用いてもよい。また、ポリイミド、エポキシ樹脂等を塗布、焼成して、貫通電極基板と他の基板とを接着してもよい。
図42は、本発明の実施形態4に係る半導体装置の別の例を示す図である。図42に示す半導体装置1000は、MEMSデバイス、CPU、メモリ等の半導体チップ(LSIチップ)1410、1420、および貫通電極基板1300が積層され、LSI基板1400に接続されている。
半導体チップ1410と半導体チップ1420との間に貫通電極基板1300が配置され、バンプ1640、1650により接続されている。LSI基板1400上に半導体チップ1410が載置され、LSI基板1400と半導体チップ1420とはワイヤ1700により接続されている。この例では、貫通電極基板1300は、複数の半導体チップを積層して3次元実装するためのインターポーザとして用いられ、それぞれ機能の異なる複数の半導体チップを積層することで、多機能の半導体装置を製造することができる。例えば、半導体チップ1410を3軸加速度センサとし、半導体チップ1420を2軸磁気センサとすることによって、5軸モーションセンサを1つのモジュールで実現した半導体装置を製造することができる。
半導体チップがMEMSデバイスにより形成されたセンサなどである場合には、センシング結果がアナログ信号により出力されるようなときがある。この場合には、ローパスフィルタ、アンプ等についても半導体チップまたは貫通電極基板1300に形成してもよい。
図43は、本発明の実施形態4に係る半導体装置の別の例を示す図である。上記2つの例(図41、図42)は、3次元実装であったが、この例では、2次元と3次元との併用実装に適用した例である(2.5次元という場合もある)。図43に示す例では、LSI基板1400には、6つの貫通電極基板1310、1320、1330、1340、1350、1360が積層されて接続されている。ただし、全ての貫通電極基板が積層して配置されているだけでなく、基板面内方向にも並んで配置されている。これらの貫通電極基板はそれぞれが異なる材質の基板から形成された貫通電極基板であってもよい。
図43の例では、LSI基板1400上に貫通電極基板1310、1350が接続され、貫通電極基板1310上に貫通電極基板1320、1340が接続され、貫通電極基板1320上に貫通電極基板1330が接続され、貫通電極基板1350上に貫通電極基板1360が接続されている。なお、図42に示す例のように、貫通電極基板1300を複数の半導体チップを接続するためのインターポーザとして用いても、このよう2次元と3次元との併用実装が可能である。例えば、貫通電極基板1330、1340、1360などが半導体チップに置き換えられてもよい。
上記のように製造された半導体装置1000は、例えば、携帯端末(携帯電話、スマートフォンおよびノート型パーソナルコンピュータ等)、情報処理装置(デスクトップ型パーソナルコンピュータ、サーバ、カーナビゲーション等)、家電等、様々な電気機器に搭載される。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。