〈実施形態1〉
以下、本発明の実施形態1に係るインターポーザの構造及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、第1部材と第2部材との上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。また、以下の説明で基板の第1面及び第2面は基板の特定の面を指すものではなく、基板の表面方向又は裏面方向を特定するもので、つまり基板に対する上下方向を特定するための名称である。
[インターポーザの構成]
図1を用いて、本発明の実施形態1に係るインターポーザの構成について詳細に説明する。実施形態1のインターポーザ10は、多層配線構造体110、第1パッド120、ピラー130、第2パッド160、及び絶縁層169を有する。ピラー130は、第1パッド120の面に対して垂直な方向に突出した形状をしており、ピラー130の平面視における面積は第1パッド120の平面視における面積に比べて小さい。ここで、第1パッド120及びピラー130は連続している。換言すると、第1パッド120及びピラー130は同一材料である。また、換言すると、第1パッド120及びピラー130は一体形成されている。ピラー130はその先端にはんだが形成され、当該はんだを介して外部装置を実装する。
多層配線構造体110は複数の配線層を有する。具体的には、多層配線構造体110は、第1配線層140及び第2配線層150を有する。第1配線層140は、第1導電層142及び第2導電層144を含む。第2配線層150は、第1導電層152及び第2導電層154を含む。また、多層配線構造体110は、第1パッド120と第1配線層140とを離隔する絶縁層139、第1配線層140と第2配線層150とを離隔する絶縁層149、及び第2配線層150と第2パッド160とを離隔する絶縁層159を有する。ここで、絶縁層139は第1パッド120を側方から支持している。また、図1では、多層配線構造体110上に設けられた第2パッド160上に、集積回路が形成されたチップを実装するためのバンプ220が配置されている。
絶縁層139には開口部137が設けられており、開口部137を介して第1配線層140は第1パッド120に接続されている。絶縁層149には開口部147が設けられており、開口部147を介して第2配線層150は第1配線層140に接続されている。絶縁層159には開口部157が設けられており、開口部157を介して第2パッド160は第2配線層150に接続されている。絶縁層169には開口部167が設けられており、第2パッド160の一部を露出する。ここで、絶縁層139、149、159、169は有機絶縁層であってもよく、無機絶縁層であってもよい。
上記の構造を換言すると、第1パッド120は、多層配線構造体110の第1面112側に配置され、第1配線層140に電気的に接続されている。また、第2パッド160は、多層配線構造体110の第2面114側に配置され、第2配線層150に電気的に接続されている、ということもできる。
図1では、ピラー130が開口部137と同じ位置に配置されている。図示しないが、ピラー130と開口部137とは平面視において互いに重畳している。このようにすることで、ピラー130の先端部にはんだを形成して外部装置に実装する際に、ピラー130は開口部137に配置された第1配線層140によって支持されるため、実装の際に受ける力によってピラー130が多層配線構造体110の方向に沈み込んでしまうことを抑制することができる。また、図1では、ピラー130の径と開口部137の径とが略同一の構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、開口部137の径がピラー130の径よりも大きく、平面視において、ピラー130が開口部137の内側に位置するようにピラー130が配置されていてもよい。ここでは、ピラー130と開口部137とが平面視において重畳する構成を例示したが、この構成に限定されず、両者が平面視においてずれて配置されていてもよい。
図1では、第1配線層140、第2配線層150、及び第2パッド160が2層の導電層で構成された構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、第1配線層140、第2配線層150、及び第2パッド160は1層の導電層で構成されていてもよく、3層以上の導電層で構成されていてもよい。また、図1では、絶縁層が1層で構成された構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、絶縁層は2層以上の絶縁層で構成されていてもよい。2層以上の絶縁層で構成される場合、無機絶縁層と有機絶縁層との組み合わせで構成されていてもよい。例えば、絶縁層139、149、159、169の全て又はいずれかが無機絶縁層上に有機絶縁層が形成された構造であってもよい。
[インターポーザの各部材の材質]
図1に示すインターポーザ10に含まれる各部材(各層)の材料について詳細に説明する。
第1パッド120及びピラー130は、例えば銅(Cu)を用いることができる。また、第1パッド120及びピラー130は、Cu以外にも金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等の金属またはこれらを用いた合金などから選択された材料を用いることができる。
第1導電層142、152、162は、下地の絶縁層139、149、159と密着性がよい導電材料を使用することができる。例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、Ni、Cr、Al、あるいはこれらの合金などを使用することができる。特に、第1導電層142、152、162の上に形成される第2導電層144、154、164がCuを含む場合、第1導電層142、152、162は、Cuの拡散を抑制する材料を使用することができ、例えば窒化チタン(TiN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化タンタル(TaN)等を使用してもよい。また、上記の材料以外にも、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)などの高融点金属を用いることができる。つまり、第1導電層142、152、162は第2導電層144、154、164のバリア層としての機能を有する。ここで、第1導電層142、152、162の厚さは、特に制限はないが、例えば、50nm以上400nm以下の範囲で適宜選択することができる。
第2導電層144、154、164は、第1導電層142、152、162との密着性が良く、電気伝導度が高い導電材料を使用することができる。例えば、Cu、Au、Ag、Pt、Rh、Sn、Al、Ni、Cr等の金属またはこれらを用いた合金などから選択することができる。
絶縁層139、149、159、169は、無機絶縁層、有機絶縁層、又は無機絶縁層と有機絶縁層との積層構造を用いることができる。
無機絶縁層としては、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)、窒化シリコンカーバイト(SiCN)、炭素添加シリコンオキサイド(SiCO)などを使用することができる。ここで、絶縁層139、149、159、169として、上記の無機絶縁層を単層で使用してもよく、積層で使用してもよい。
有機絶縁層としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリベンゾオキサゾール、シアネート樹脂、アラミド、ポリオレフィン、ポリエステル、BTレジン、FR−4、FR−5、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン 、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルポリサルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミドなどを用いることができる。また、上記の樹脂に、ガラス、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ等、無機フィラーを併用して用いてもよい。ここで、絶縁層139、149、159、169に使用する樹脂は、応力緩和を目的として、常温にて1×109[dyne/cm2]以下のヤング率を有する樹脂を使用してもよい。
[第1パッド120及びピラー130の構造]
図2乃至図4を用いて、本発明のインターポーザにおける第1パッド及びピラーの構造について詳しく説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るインターポーザにおけるパッド及びピラーの結晶状態を示す断面模式図である。図2に示すように、第1パッド120及びピラー130が連続しているため、第1パッド120とピラー130との境界には界面が確認されない。また、第1パッド120に示す点線及びピラー130に示す点線はいずれも結晶粒界122、132を示す。つまり、結晶粒界122及び結晶粒界132によって囲まれた領域が1つの単結晶である。図2に示すように、第1パッド120の結晶粒界122とピラー130の結晶粒界132とは連続している。
図2では、第1パッド120及びピラー130が一体形成されているため、第1パッド120とピラー130との間に界面が確認されず、結晶粒界が連続している。ただし、電界によって加速された電子がピラー130の金属原子に衝突することで発生するマイクロボイドが、第1パッド120とピラー130との界面に偏析する現象を抑制することができればよく、第1パッド120とピラー130との間に界面が存在してもよく、結晶粒界が連続していなくてもよい。また、上記の現象を抑制することができれば、第1パッド120とピラー130とが異なる材料であってもよい。
図3を用いて、本発明のインターポーザにおける第1パッド及びピラーによる作用効果を説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るインターポーザにおいて、電界の印加によって発生するマイクロボイドの動きを説明する図である。第1パッド120及びピラー130に通電すると、高電界によって加速された電子eがピラー130中の金属原子に衝突し、マイクロボイド134が発生する。発生したマイクロボイド134はピラー130の表面を移動して第1パッド120に到達する。そして、第1パッド120の表面を移動する。
従来の構造では、図58に示すようにピラー930の表面を移動するマイクロボイド934はバリア金属層940によって移動が規制されるため、ピラー930とバリア金属層940との界面に大きなボイド936を形成してしまっていた。しかし、本発明のインターポーザによると、第1パッド120とピラー130との間にバリア金属層が配置されていないため、ピラー130表面を移動するマイクロボイド134の移動は、第1パッド120とピラー130との間で規制されず、第1パッド120に進行する。したがって、従来のように第1パッド120とピラー130との間に大きなボイドが形成されることを抑制することができる。
図4は、本発明の一実施形態に係るインターポーザにおいて、パッドとピラーとの間に発生したボイドを埋める様子を説明する図である。本発明のインターポーザによると、第1パッド120とピラー130との間にバリア金属層が配置されていないため、第1パッド120とピラー130との間に大きなボイドが形成されることが抑制される。また、第1パッド120とピラー130との間にボイド136が形成された場合であっても、第1パッド120から第1パッド120の金属原子124がボイド136に供給されるため、ボイド136を埋める又はボイド136の成長を抑制することができる。
以上のように、実施形態1に係るインターポーザによると、第1パッド120とピラー130とが連続していることで、ピラー130で発生したマイクロボイド134は第1パッド120とピラー130との間で移動を規制されない。したがって、マイクロボイド134が第1パッド120とピラー130との間に偏析する現象が抑制されるため、第1パッド120とピラー130との間に大きなボイドが形成されることを抑制することができる。つまり、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。
また、第1パッド120及びピラー130が同一材料であれば、第1パッド120及びピラー130の物性を変化させることなく、第1パッド120とピラー130との間に形成されたボイド136を埋めることができる。また、第1パッド120及びピラー130が一体形成されていることで、ピラー130で発生したマイクロボイド134が第1パッド120とピラー130との間に偏析することを抑制できる。また、第1パッド120の結晶粒界122とピラー130の結晶粒界132とが連続していることで、金属原子124は粒界に沿って移動しやすいためボイド136を埋める又はボイド136の成長を抑制する効果はより顕著になる。さらに、マイクロボイド134も粒界に沿って移動しやすいため、第1パッド120とピラー130との間にマイクロボイド134が偏析することを抑制できる。
[インターポーザの製造方法]
図5乃至図19を用いて、本発明の実施形態1に係るインターポーザの製造方法を説明する。図5乃至図19において、図1に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。ここで、シリコン基板を使用してインターポーザを作製する製造方法について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラーを形成する領域に開口部が設けられた絶縁層を形成する工程を示す図である。図5に示すように、基板100上に開口部107が設けられた絶縁層109を形成する。ここで、開口部107は後の工程でピラー130が形成される位置に設けられる。絶縁層109は、CVD法を用いた無機絶縁層又は塗布法を用いた有機絶縁層によって形成することができる。また、絶縁層109は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。ここで、有機絶縁層として、感光性樹脂又は非感光性樹脂を使用することができる。
図6は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、パッドを形成する領域が開口されたレジストを形成する工程を示す図である。図6に示すように、絶縁層109上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことによりレジストパターン210を形成する。レジストパターン210は、少なくとも図1に示す第1パッド120のパターンが形成される位置が開口されるように設けられる。
図7は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラー及びパッドを形成する工程を示す断面図である。図7に示すように、レジストパターン210を形成後、基板100に通電して電解めっき法を行い、レジストパターン210から露出している基板100上に、図1に示すピラー130及び第1パッド120を形成する。ここでは、同一の工程でピラー130及び第1パッド120を形成する製造方法を例示したが、この製造方法に限定されない。例えば、ピラー130及び第1パッド120を異なる工程で形成してもよい。具体的には、電解めっき法によってピラー130を形成し、第1パッド120をスパッタリング法によって形成してもよい。
図8は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、レジストを除去する工程を示す断面図である。図8に示すように、ピラー130及び第1パッド120を形成した後に、レジストパターン210を構成するフォトレジストを有機溶媒により除去する。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。
図9は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、パッド上に絶縁層を形成する工程を示す断面図である。図9に示すように、第1パッド120上及び絶縁層109上に絶縁層139を形成する。ここで、絶縁層139は第1パッド120のパターン端部を覆うように基板の全面に形成され、第1パッド120の一部を露出する開口部137が設けられる。絶縁層139は、CVD法を用いた無機絶縁層又は塗布法を用いた有機絶縁層によって形成することができる。また、絶縁層139は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。
絶縁層139を積層で形成する場合は、目的に応じて異なる性質を有する材料を形成することができる。例えば、第1パッド120の材料としてCu等の熱拡散しやすい材料が用いられた場合、絶縁層139を第1無機絶縁層、第2無機絶縁層、及び有機絶縁層のようにそれぞれ性質の異なる層の積層構造を用いることができる。第1無機絶縁層としては、Cuの熱拡散を抑制する性質の層を第1パッド120上にCVD法で形成することができる。また、第2無機絶縁層としては、第1無機絶縁層よりも有機絶縁層との密着性が良好な層を第1無機絶縁層上にCVD法で形成することができる。また、有機絶縁層としては、第1パッド120のパターンによって形成された段差を緩和又は平坦化し、誘電率が低い層を上記の第2無機絶縁層上に塗布法で形成することができる。ここで、有機絶縁層として、感光性樹脂又は非感光性樹脂を使用することができる。
図10は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、絶縁層上及びパッド上に第1導電層(バリア層)及びシード層を形成する工程を示す断面図である。図10に示すように、絶縁層139上及び開口部137の底部で露出された第1パッド120上に、後に形成する第2導電層144(又はめっき層326)に対するバリア層として機能する第1導電層142を形成し、第1導電層142上に、後に第2導電層144の一部となるシード層325を形成する。なお、第1導電層142は絶縁層139とシード層325との密着層としても機能する。つまり、絶縁層139とシード層325との密着性に比べて、絶縁層139と第1導電層142との密着性の方が高い。ただし、絶縁層139とシード層325との密着性が良好であれば、第1導電層142を省略することもできる。第1導電層142及びシード層325は、それぞれPVD法又はCVD法等により形成することができる。シード層325に使用する材料は、後にシード層325上に形成するめっき層326と同じ材質を選択することができる。シード層325は、後の工程でめっき層326を形成する際に、電解めっき法におけるシードとして用いられる。ここで、第1導電層142及びシード層325の各々は、好ましくは20nm以上1μm以下の膜厚で形成するとよい。また、第1導電層142及びシード層325の各々は、より好ましくは100nm以上300nm以下の膜厚で形成するとよい。第1導電層142及びシード層325の膜厚を同じでもよく、異なっていてもよい。
図11は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、シード層上にレジストマスクを形成する工程を示す断面図である。図11に示すように、シード層325上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことによりレジストパターン329を形成する。レジストパターン329は、少なくとも図1に示す第1配線層140のパターンが形成される領域を露出するように形成される。
図12は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、レジストマスクから露出したシード層上にめっき層を形成する工程を示す断面図である。図12に示すように、レジストパターン329を形成後、シード層325に通電して電解めっき法を行い、レジストパターン329から露出しているシード層325上に、図1に示す第1配線層140のパターンが形成される領域にめっき層326を形成する。ここで、シード層325及びめっき層326を合わせて第2導電層144という。
図13は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、シード層上のレジストマスクを除去する工程を示す断面図である。図13に示すように、めっき層326を形成した後に、レジストパターン329を構成するフォトレジストを有機溶媒により除去する。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。
図14は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、めっき層から露出したシード層及び第1導電層をエッチングする工程を示す断面図である。図14に示すように、レジストパターン329によって覆われ、上にめっき層326が形成されなかった領域のシード層325及び第1導電層142を除去(エッチング)することで、各々の配線を電気的に分離する。シード層325及び第1導電層142のエッチングによって、めっき層326の表面もエッチングされて薄膜化するため、この薄膜化の影響を考慮してめっき層326の膜厚を設定することが好ましい。この工程におけるエッチングとしては、ウェットエッチング、ドライエッチング、又はミリングを使用することができる。この工程によって、シード層325から形成された第1導電層142及びめっき層326から形成された第2導電層144が形成され、第1配線層140が形成される。なお、図14では、シード層325及びめっき層326を区別せずに一体型の第2導電層144として表記した。
図15は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、第1配線層上に多層配線構造を形成する工程を示す断面図である。図14に示した構造に対して、図9乃至図14に示す工程を繰り返すことで第1配線層140上に絶縁層149を介して第2配線層150(第1導電層152及び第2導電層154の積層構造)を形成し、第2配線層150上に絶縁層159を介して第2パッド160(第1導電層162及び第2導電層164の積層構造)を形成する。つまり、図5乃至図15に示す工程によって、基板100上に、複数の配線層を有する多層配線構造体110を形成する。
図16は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、多層配線構造体に支持基板を貼り付ける工程を示す断面図である。図16に示すように、多層配線構造体110の上部に接着層240を介して支持基板200を貼り付ける。ここで、接着層240には、部材を挟んで両面に粘着層が配置されている。接着層240の粘着層のうち多層配線構造体110側の粘着層(以下、基板粘着層という)は、刺激(この例では所定温度以上の熱)の印加によって粘着力が低下する。接着層240の支持基板200側の粘着層(以下、支持粘着層という)は、例えば、感圧粘着剤であってもよい。また、支持粘着層は、少なくとも基板粘着層の粘着力が低下する刺激の程度においては、粘着力がほとんど低下しない。また、基板粘着層及び支持粘着層は両方又は一方が導電性を有していてもよい。
図17は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、基板を裏面側から薄板化する工程を示す断面図である。図17に示すように、基板100を裏面側(基板100の多層配線構造体110とは反対側)から研削することで基板100を薄板化する。ここで、基板100の薄板化としては、機械研削又はCMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いることができる。ここで、基板100の薄板化は、例えば基板100の板厚が10μm程度になるまで薄板化する。これは、例えば機械研削によって基板100の薄板化を行う場合、機械研削の面内ばらつきの影響で研削レートが早い領域において、ピラー130の形状が変化してしまうことを抑制するためである。
図18は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、基板を裏面側からエッチングして除去する工程を示す断面図である。図18に示すように、薄板化された基板100を裏面側からエッチングして除去する。ここで、例えば、絶縁層109としてポリイミドを用いた場合、基板100のシリコンとポリイミドとのエッチングレートの選択比が5以上になるように、CF系又はCHF系のガスを含む混合ガスを用いたドライエッチングによって、薄板化された基板100を裏面側からエッチングして除去する。ここで、絶縁層109としてポリイミド、基板100としてシリコンを用いた構造のエッチングの例を示したが、この例に限定されない。ここで用いられるエッチング条件は、基板100と絶縁層109とのエッチングレートの選択比が3以上になるように選択すればよい。好ましくは、基板100と絶縁層109とのエッチングレートの選択比が5以上になるように選択すればよい。また、基板100と絶縁層109とのエッチングレートの選択比を3以上にすることができない場合であっても、少なくとも基板100とピラー130との選択比が5以上になるようにエッチング条件を選択すればよい。
図19は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラー側面の絶縁層をエッチングする工程を示す断面図である。図19に示すように、ピラー130を残しつつ、露出した絶縁層109を基板100の裏面側からエッチングすることで、ピラー130を下方に突出させる。換言すると、ピラー130の側面又は側方の絶縁層109をエッチングすることで、ピラー130が第1パッド120及び絶縁層139から下方に突出した形状を得る。ここで、例えば、絶縁層109としてポリイミドを用いて、ピラー130としてCuを用いた場合、ピラー130を残存させて絶縁層109をエッチングするように、NH3、H2、又はO2ガスを用いたドライエッチングによって絶縁層109をエッチングすることができる。
ここで、図19では、絶縁層109だけがエッチングされ、絶縁層109と絶縁層139との界面でエッチングがストップする製造方法について説明したが、この製造方法に限定されない。例えば、詳しくは後述するが、絶縁層109が全てエッチングされず、絶縁層109の一部がピラー130の側面又は側方に残存していてもよい。つまり、絶縁層109がピラー130を側方から支持する構造であってもよい。また、絶縁層109に加えて絶縁層139の一部もエッチングされ、第1パッド120の側面の一部が露出されていてもよい。また、絶縁層109だけをエッチングし、絶縁層139をエッチングしないようにするために、絶縁層109と絶縁層139との間に絶縁層109のエッチングにおけるエッチングストッパを設けてもよい。
そして、図19に示すようにピラー130が形成された状態の多層配線構造体110に対して所定温度以上の熱処理を行う。この熱処理によって、接着層240の多層配線構造体110側の粘着層である基板粘着層の粘着力が低下し、多層配線構造体110から接着層240及び支持基板200を剥離することができる。ここで、熱処理は多層配線構造体110及び支持基板200全体を加熱する方法であってもよく、レーザ照射等によって接合箇所を局所的に加熱する方法であってもよい。支持基板200を剥離して表面に露出した第2パッド160に接するバンプ220を形成することで、図1に示すインターポーザ10を得ることができる。
〈実施形態2〉
本発明の実施形態2に係るインターポーザの構造及びその製造方法について、図20乃至図27を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態2に係るインターポーザ20において、図1に示したインターポーザ10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[インターポーザの構成]
図20を用いて、本発明の実施形態2に係るインターポーザの構成について詳細に説明する。実施形態2のインターポーザ20は、多層配線構造体110、無機絶縁層300、第1パッド120、ピラー130、第2パッド160、及び絶縁層169を有する。ピラー130は、第1パッド120の面に対して垂直な方向に突出した形状をしており、ピラー130の平面視における面積は第1パッド120の平面視における面積に比べて小さい。ここで、第1パッド120及びピラー130は連続している。換言すると、第1パッド120及びピラー130は同一材料である。また、換言すると、第1パッド120及びピラー130は一体形成されている。ピラー130はその先端にはんだが形成され、当該はんだを介して外部装置を実装する。無機絶縁層300は多層配線構造体110及び第1パッド120の下方に配置され、ピラー130を側方から支持する。
図20に示す多層配線構造体110は、図1に示す多層配線構造体110と同様の構造を用いることができる。したがって、ここでは多層配線構造体110の詳細な説明は省略する。
[インターポーザの各部材の材質]
図20に示すインターポーザ20に含まれる各部材(各層)の材料は、図1に示すインターポーザ10に含まれる各部材と同様の材料を用いることができる。ただし、インターポーザ20の無機絶縁層300としては、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)、窒化シリコンカーバイト(SiCN)、炭素添加シリコンオキサイド(SiCO)などを使用することができる。ここで、無機絶縁層300として、上記の無機絶縁層を単層で使用してもよく、積層で使用してもよい。
[第1パッド120及びピラー130の構造]
インターポーザ20の第1パッド120及びピラー130の構造は、第1パッド120の下方にピラー130を側方から支持する無機絶縁層300が設けられている点を除いて、インターポーザ10と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
以上のように、実施形態2に係るインターポーザによると、インターポーザ10と同様に、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。また、ピラー130は側方から無機絶縁層300によって支持されているため、ピラー130の機械的強度を向上させることができる。また、ピラー130の側方が無機絶縁層300によって支持されている領域では、マイクロボイドの進行を遅くすることができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。
[インターポーザの製造方法]
図21乃至図27を用いて、本発明の実施形態2に係るインターポーザの製造方法を説明する。図21乃至図27において、図20に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。ここで、シリコン基板を使用してインターポーザを作製する製造方法について説明する。
図21は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、有機絶縁層及び無機絶縁層の上方にレジストマスクを形成する工程を示す断面図である。図21に示すように、基板100上に絶縁層109及び無機絶縁層300を形成し、無機絶縁層300上に開口部312が設けられたレジストパターン310を形成する。ここで、開口部312は後の工程でピラー130が形成される位置に設けられる。絶縁層109は、CVD法を用いた無機絶縁層又は塗布法を用いた有機絶縁層によって形成することができる。また、絶縁層109は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。ここで、有機絶縁層として、感光性樹脂又は非感光性樹脂を使用することができる。無機絶縁層300はCVD法を用いて形成することができる。ここで、無機絶縁層300は単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。
図22は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、無機絶縁層をエッチングする工程を示す断面図である。図22に示すように、レジストパターン310をマスクとして無機絶縁層300に開口部302を形成する。開口部302はドライエッチングによって形成してもよく、ウェットエッチングによって形成してもよい。図22では、無機絶縁層300のみをエッチングする方法を例示したが、無機絶縁層300のエッチングと同時に絶縁層109をエッチングしてもよい。
図23は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、無機絶縁層上のレジストマスクを除去する工程を示す断面図である。図23に示すように、無機絶縁層300に開口部302を形成した後に、レジストパターン310を構成するフォトレジストを有機溶媒により除去する。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。
図24は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、無機絶縁層をマスクとして有機絶縁層をエッチングする工程を示す断面図である。図24に示すように、開口部302が設けられた無機絶縁層300をハードマスクとして、絶縁層109をエッチングすることで絶縁層109に開口部107を形成する。開口部107は例えばO2ガスを用いたドライエッチングを用いて形成することができる。
図25は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、パッドを形成する領域が開口されたレジストを形成する工程を示す断面図である。図25に示すように、無機絶縁層300上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことによりレジストパターン210を形成する。レジストパターン210は、少なくとも図20に示す第1パッド120のパターンが形成される位置が開口されるように設けられる。
図26は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラー及びパッドを形成する工程を示す断面図である。図26に示すように、レジストパターン210を形成後、基板100に通電して電解めっき法を行い、レジストパターン210から露出している基板100上に、図20に示すピラー130及び第1パッド120を形成する。ここでは、同一の工程でピラー130及び第1パッド120を形成する製造方法を例示したが、この製造方法に限定されない。例えば、ピラー130及び第1パッド120を異なる工程で形成してもよい。具体的には、電解めっき法によってピラー130を形成し、第1パッド120をスパッタリング法によって形成してもよい。
図27は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、レジストを除去する工程を示す断面図である。図27に示すように、ピラー130及び第1パッド120を形成した後に、レジストパターン210を構成するフォトレジストを有機溶媒により除去する。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。
以降の製造方法については、図9乃至図19に示す製造方法と同様であるので、ここでは説明を省略する。ただし、図19に示す絶縁層109を基板100の裏面側からエッチングする工程において、無機絶縁層300のエッチングレートと絶縁層109のエッチングレートとの選択比が大きい条件で絶縁層109をエッチングすることが好ましい。このようにすることで、インターポーザ20の製造工程において、下方に突出したピラー130を形成する際に、無機絶縁層300をエッチングストッパとしても利用することができる。
〈実施形態3〉
本発明の実施形態3に係るインターポーザの構造及びその製造方法について、図28を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態3に係るインターポーザ30において、図1に示したインターポーザ10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[インターポーザの構成]
図28を用いて、本発明の実施形態3に係るインターポーザの構成について詳細に説明する。実施形態3のインターポーザ30は、絶縁層109、多層配線構造体110、第1パッド120、ピラー130、第2パッド160、及び絶縁層169を有する。ピラー130は、第1パッド120の面に対して垂直な方向に突出した形状をしており、ピラー130の平面視における面積は第1パッド120の平面視における面積に比べて小さい。ここで、第1パッド120及びピラー130は連続している。換言すると、第1パッド120及びピラー130は同一材料である。また、換言すると、第1パッド120及びピラー130は一体形成されている。ピラー130はその先端にはんだが形成され、当該はんだを介して外部装置を実装する。絶縁層109は多層配線構造体110及び第1パッド120の下方に配置され、ピラー130を側方から支持する。
ここで、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合は、20%以上60%以下であることが好ましい。より好ましくは、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合は30%以上50%以下であるとよい。ここで、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合が下限よりも小さいと、ピラー130を支持する絶縁層109の領域が小さくなってしまうため、ピラー130の強度が低下してしまう。一方、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合が上限よりも大きいと、表面の露出されるピラー130の表面積が小さくなってしまうため、ピラー130の先端と外部装置との間の接続不良が発生しやすくなってしまう。
図28に示す多層配線構造体110は、図1に示す多層配線構造体110と同様の構造を用いることができる。したがって、ここでは多層配線構造体110の詳細な説明は省略する。
[インターポーザの各部材の材質]
図28に示すインターポーザ30に含まれる各部材(各層)の材料は、図1に示すインターポーザ10に含まれる各部材と同様の材料を用いることができる。ただし、インターポーザ30の絶縁層109としては、無機絶縁層、有機絶縁層、又は無機絶縁層と有機絶縁層との積層構造を用いることができる。
無機絶縁層としては、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)、窒化シリコンカーバイト(SiCN)、炭素添加シリコンオキサイド(SiCO)などを使用することができる。ここで、絶縁層109として、上記の無機絶縁層を単層で使用してもよく、積層で使用してもよい。
有機絶縁層としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリベンゾオキサゾール、シアネート樹脂、アラミド、ポリオレフィン、ポリエステル、BTレジン、FR−4、FR−5、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン 、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルポリサルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミドなどを用いることができる。また、上記の樹脂に、ガラス、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ等、無機フィラーを併用して用いてもよい。
[第1パッド120及びピラー130の構造]
インターポーザ30の第1パッド120及びピラー130の構造は、第1パッド120の下方にピラー130を側方から支持する絶縁層109が設けられている点を除いて、インターポーザ10と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
以上のように、実施形態3に係るインターポーザによると、インターポーザ10と同様に、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。また、ピラー130は側方から絶縁層109によって支持されているため、ピラー130の機械的強度を向上させることができる。また、ピラー130の側方が絶縁層109によって支持されている領域では、マイクロボイドの進行を遅くすることができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。
[インターポーザの製造方法]
本発明の実施形態3に係るインターポーザ30の製造方法は、実施形態1に係るインターポーザ10の製造方法と類似の方法で作製することができる。具体的には、インターポーザ10の製造方法において、図18に示す絶縁層109の一部を残すように絶縁層109をエッチングすることで、図28に示すインターポーザ30を得ることができる。それ以外の製造方法については、インターポーザ10の製造方法と同様であるので、ここでは説明を省略する。
ここで、絶縁層109のエッチングにおいて、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合が、20%以上60%以下になるように絶縁層109をエッチングすることが好ましい。より好ましくは、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合が30%以上50%以下になるように絶縁層109をエッチングするとよい。ここで、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合が下限よりも小さいと、ピラー130を支持する絶縁層109の領域が小さくなってしまうため、ピラー130の強度が低下してしまう。一方、ピラー130の高さに対する絶縁層109の厚さの割合が上限よりも大きいと、表面の露出されるピラー130の表面積が小さくなってしまうため、ピラー130の先端と外部装置との間の接続不良が発生しやすくなってしまう。
〈実施形態4〉
本発明の実施形態4に係るインターポーザの構造及びその製造方法について、図29を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態4に係るインターポーザ40において、図1に示したインターポーザ10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[インターポーザの構成]
図29を用いて、本発明の実施形態4に係るインターポーザの構成について詳細に説明する。実施形態4のインターポーザ40は、多層配線構造体110、第1パッド120、ピラー130、第2パッド160、絶縁層169、及びバリア層170を有する。ピラー130は、第1パッド120の面に対して垂直な方向に突出した形状をしており、ピラー130の平面視における面積は第1パッド120の平面視における面積に比べて小さい。ここで、第1パッド120及びピラー130は連続している。換言すると、第1パッド120及びピラー130は同一材料である。また、換言すると、第1パッド120及びピラー130は一体形成されている。ピラー130はその先端にはんだが形成され、当該はんだを介して外部装置を実装する。バリア層170は第1パッド120の下方及びピラー130の側方に配置され、ピラー130を側方から支持する。
図29に示す多層配線構造体110は、図1に示す多層配線構造体110と同様の構造を用いることができる。したがって、ここでは多層配線構造体110の詳細な説明は省略する。
[インターポーザの各部材の材質]
図29に示すインターポーザ40に含まれる各部材(各層)の材料は、図1に示すインターポーザ10に含まれる各部材と同様の材料を用いることができる。ただし、インターポーザ40のバリア層170としては、ピラー130よりも融点が高い材料を用いることができる。具体的に、バリア層170として、高融点金属と呼ばれる材料を用いることができ、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)などを用いることができる。また、バリア層170としては、上記の金属の化合物又は上記の金属の合金を用いることもできる。図29では、バリア層170が単層である構造を例示したが、バリア層170が上記の材料の積層であってもよい。
[第1パッド120及びピラー130の構造]
インターポーザ40の第1パッド120及びピラー130の構造は、第1パッド120の下方及びピラー130を側方にバリア層170が設けられている点を除いて、インターポーザ10と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
以上のように、実施形態4に係るインターポーザによると、インターポーザ10と同様に、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。また、ピラー130は側方からバリア層170によって支持されているため、ピラー130の側方がバリア層170によって支持されている領域では、マイクロボイドの進行を遅くすることができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。また、バリア層170はピラー130の酸化を抑制することができる。
[インターポーザの製造方法]
図30乃至図39を用いて、本発明の実施形態4に係るインターポーザの製造方法を説明する。図30乃至図39において、図29に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。ここで、シリコン基板を使用してインターポーザを作製する製造方法について説明する。
図30は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、開口部が設けられた絶縁層上にバリア金属層及び導電層を形成する工程を示す断面図である。図30に示すように、基板100上に開口部107が設けられた絶縁層109を形成し、絶縁層109上及び開口部107内部に後にバリア層170となるバリア金属層410並びに後に第1パッド120及びピラー130となる導電層420を形成する。ここでは、バリア金属層410及び導電層420はスパッタリング法によって形成する。ただし、バリア金属層410及び導電層420は蒸着法によって形成してもよく、無電解めっき法によって形成してもよい。ここで、開口部107は後の工程でピラー130が形成される位置に設けられる。絶縁層109は、CVD法を用いた無機絶縁層又は塗布法を用いた有機絶縁層によって形成することができる。また、絶縁層109は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。ここで、有機絶縁層として、感光性樹脂又は非感光性樹脂を使用することができる。
図31は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、パッドを形成する領域が開口されたレジストを形成する工程を示す断面図である。図31に示すように、導電層420上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことによりレジストパターン210を形成する。レジストパターン210は、少なくとも図29に示す第1パッド120のパターンが形成される位置が開口されるように設けられる。
図32は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、導電層上にさらに導電層を形成する工程を示す断面図である。図32に示すように、レジストパターン210を形成後、バリア金属層410及び導電層420に通電して電解めっき法を行い、レジストパターン210から露出している導電層420をさらに成長させて厚膜化する。ここで、レジストパターン210下のバリア金属層410及び導電層420は、全面をエッチングすることで除去するため、厚膜化された導電層420も膜減りする。したがって、上記の膜減り量を考慮して厚膜化する導電層420の量を調整する。
図33は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、レジストを除去する工程を示す断面図である。図33に示すように、導電層420を厚膜化した後に、レジストパターン210を構成するフォトレジストを有機溶媒により除去する。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。フォトレジストを除去することで、導電層420の厚膜領域422及び薄膜領域424を得ることができる。
図34は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、レジストによって覆われていた導電層及びバリア金属層をエッチングする工程を示す断面図である。図34に示すように、レジストパターン210によって覆われ、厚膜化されなかった領域の導電層420及びバリア金属層410を除去(エッチング)することで、各々の配線を電気的に分離する。導電層420及びバリア金属層410のエッチングによって、導電層420の表面もエッチングされて薄膜化するため、この薄膜化の影響を考慮して導電層420の膜厚を設定することが好ましい。この工程におけるエッチングとしては、ウェットエッチングやドライエッチングを使用することができる。この工程によって、図29に示す第1パッド120、ピラー130、及びバリア層170を形成することができる。
図35は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、多層配線構造体に支持基板を貼り付ける工程を示す断面図である。図35に示すように、実施形態1の図9乃至図16と同様の製造方法によって多層配線構造体110を形成し、多層配線構造体110の上部に接着層240を介して支持基板200を貼り付ける。ここで、接着層240には、部材を挟んで両面に粘着層が配置されている。接着層240の粘着層のうち多層配線構造体110側の粘着層(基板粘着層)は、刺激(この例では所定温度以上の熱)の印加によって粘着力が低下する。接着層240の支持基板200側の粘着層(支持粘着層)は、例えば、感圧粘着剤であってもよい。また、支持粘着層は、少なくとも基板粘着層の粘着力が低下する刺激の程度においては、粘着力がほとんど低下しない。また、基板粘着層及び支持粘着層は両方又は一方が導電性を有していてもよい。
図36は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、基板を裏面側から研削する工程を示す断面図である。図36に示すように、基板100を裏面側から研削することで基板100を薄板化する。ここで、基板100の薄板化としては、機械研削又はCMPを用いることができる。ここで、基板100の薄板化は、例えば基板100の板厚が10μm程度になるまで薄板化する。これは、例えば機械研削によって基板100の薄板化を行う場合、機械研削の面内ばらつきの影響で研削レートが早い領域において、ピラー130の形状が変化してしまうことを抑制するためである。
図37は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、基板を裏面側からエッチングして除去する工程を示す断面図である。薄板化された基板100を裏面側からエッチングして除去する。ここで、例えば、絶縁層109としてポリイミドを用いた場合、基板100のシリコンとポリイミドとのエッチングレートの選択比が5以上になるように、CF系又はCHF系のガスを含む混合ガスを用いたドライエッチングによって、薄板化された基板100を裏面側からエッチングして除去する。ここで、絶縁層109としてポリイミド、基板100としてシリコンを用いた構造のエッチングの例を示したが、この例に限定されない。ここで用いられるエッチング条件は、基板100と絶縁層109とのエッチングレートの選択比が3以上になるように選択すればよい。好ましくは、基板100と絶縁層109とのエッチングレートの選択比が5以上になるように選択すればよい。また、基板100と絶縁層109とのエッチングレートの選択比を3以上にすることができない場合は、少なくとも基板100とバリア層170との選択比が5以上になるようにエッチング条件を選択すればよい。
図38は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラー先端のバリア金属層を除去する工程を示す断面図である。図38に示すように、ピラー130を構成するバリア層170のうち絶縁層109から露出したバリア層170を除去することで、導電層420によって形成されたピラー130を露出する。バリア層170は、フッ化水素(HF)によるウェットエッチング又はClガスを用いたドライエッチングによって除去することができる。ここでは、絶縁層109から露出したバリア層170を除去して導電層420を露出する製造方法を例示したが、バリア層170を除去せず、ピラー130がバリア層170によって覆われていてもよい。
図39は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラー側面の絶縁層をエッチングする工程を示す断面図である。図39に示すように、ピラー130及びバリア層170を残しつつ、露出した絶縁層109を基板100の裏面側からエッチングすることで、ピラー130及びバリア層170を下方に突出させる。換言すると、ピラー130及びバリア層170の側面又は側方の絶縁層109をエッチングすることで、ピラー130及びバリア層170が第1パッド120及び絶縁層139から下方に突出した形状を得る。ここで、例えば、絶縁層109としてポリイミドを用いて、ピラー130としてCuを用いて、バリア層170としてWを用いた場合、ピラー130及びバリア層170を残存させて絶縁層109をエッチングするように、NH3、H2、又はO2ガスを用いたドライエッチングによって絶縁層109をエッチングすることができる。
ここで、図39では、絶縁層109だけがエッチングされ、絶縁層109と絶縁層139との界面でエッチングがストップする製造方法について説明したが、この製造方法に限定されない。例えば、図28に示す実施形態3のインターポーザ30ように、絶縁層109が全てエッチングされず、絶縁層109の一部がピラー130及びバリア層170の側面又は側方に残存していてもよい。つまり、絶縁層109がピラー130及びバリア層170を側方から支持する構造であってもよい。また、絶縁層109に加えて絶縁層139の一部もエッチングされ、バリア層170又は第1パッド120の側面の一部が露出されていてもよい。また、絶縁層109だけをエッチングし、絶縁層139をエッチングしないようにするために、絶縁層109と絶縁層139との間に絶縁層109のエッチングにおけるエッチングストッパを設けてもよい。
そして、図39に示すようにピラー130及びバリア層170が形成された状態の多層配線構造体110に対して所定温度以上の熱処理を行う。この熱処理によって、接着層240の多層配線構造体110側の粘着層である基板粘着層の粘着力が低下し、多層配線構造体110から接着層240及び支持基板200を剥離することができる。ここで、熱処理は多層配線構造体110及び支持基板200全体を加熱する方法であってもよく、レーザ照射等によって接合箇所を局所的に加熱する方法であってもよい。支持基板200を剥離して表面に露出した第2パッド160に接するバンプ220を形成することで、図29に示すインターポーザ40を得ることができる。
〈実施形態5〉
本発明の実施形態5に係るインターポーザの構造及びその製造方法について、図40を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態5に係るインターポーザ50において、図1に示したインターポーザ10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[インターポーザの構成]
図40を用いて、本発明の実施形態5に係るインターポーザの構成について詳細に説明する。実施形態5のインターポーザ50は、多層配線構造体110、第1パッド120、ピラー130、第2パッド160、及び絶縁層169を有する。ピラー130は、ピラー130の延長方向に沿ってスリット330を備え、第1パッド120の面に対して垂直な方向に突出した形状をしており、ピラー130の平面視における面積は第1パッド120の平面視における面積に比べて小さい。ここで、第1パッド120及びピラー130は連続している。換言すると、第1パッド120及びピラー130は同一材料である。また、換言すると、第1パッド120及びピラー130は一体形成されている。
ピラー130はその先端にはんだが形成され、当該はんだを介して外部装置を実装する。はんだはスリット330によって隔てられたピラー130の先端だけに形成されてもよく、スリット330を塞ぐようにピラー130の先端に形成されてもよい。また、はんだの一部がスリット330の内部に形成されていてもよい。図40では、スリット330はピラー130の高さと同じ深さに形成されている構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、スリット330はピラー130の高さの半分の深さに形成されてもよい。また、スリット330は場所によって深さが異なるように形成されてもよい。
図40に示す多層配線構造体110は、図1に示す多層配線構造体110と同様の構造を用いることができる。したがって、ここでは多層配線構造体110の詳細な説明は省略する。
[インターポーザの各部材の材質]
図40に示すインターポーザ50に含まれる各部材(各層)の材料は、図1に示すインターポーザ10に含まれる各部材と同様の材料を用いることができる。
[第1パッド120及びピラー130の構造]
インターポーザ50の第1パッド120及びピラー130の構造は、ピラー130にスリット330が設けられている点を除いて、インターポーザ10と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。図41は、本発明の一実施形態に係るインターポーザのピラーの形状を示す平面図である。図41に示すように、ピラー130は第1パッド120よりも面積が小さいピラー領域340において複数設けられている。図41に示すピラー130は円柱形のピラー130がピラー領域340に複数設けられており、ピラー130間をスリット330と呼んでいる。図41では、ピラー130が円柱形状の構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、三角柱形状や四角柱形状などの多角柱形状であってもよい。また、柱形状だけでなく、錐形状であってもよい。
以上のように、実施形態5に係るインターポーザによると、インターポーザ10と同様に、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。また、ピラー130がピラー領域340に複数配置されていることで、仮に、あるピラー130と第1パッド120とが断線した場合であっても、他のピラー130と第1パッド120との接続によって電気的接続が維持される。また、各ピラー130の径が小さくなることで、第1パッド120とピラー130との間の応力集中を抑制することができる。また、スリット330の内部にはんだが形成されることで、はんだとピラー130との密着性を向上させることができる。
[インターポーザの製造方法]
図42乃至図48を用いて、本発明の実施形態5に係るインターポーザの製造方法を説明する。図42乃至図48において、図40に示す要素と同じ要素には同一の符号を付した。ここで、シリコン基板を使用してインターポーザを作製する製造方法について説明する。
図42は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラーを形成する領域に開口部が設けられた絶縁層を形成する工程を示す断面図である。図42に示すように、基板100上に複数の開口部350が設けられた絶縁層109を形成する。ここで、複数の開口部350は後の工程で複数のピラー130が形成される位置に設けられる。つまり、複数の開口部350間の絶縁層109が残っている領域は後の工程でスリットが形成される位置に対応する。絶縁層109は、CVD法を用いた無機絶縁層又は塗布法を用いた有機絶縁層によって形成することができる。また、絶縁層109は、単層で形成してもよく、又は積層で形成してもよい。ここで、有機絶縁層として、感光性樹脂又は非感光性樹脂を使用することができる。
図43は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、パッドを形成する領域が開口されたレジストを形成する工程を示す断面図である。図43に示すように、絶縁層109上にフォトレジストを塗布した後に、露光及び現像を行うことによりレジストパターン210を形成する。レジストパターン210は、少なくとも図40に示す第1パッド120のパターンが形成される位置が開口されるように設けられる。
図44は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラー及びパッドを形成する工程を示す断面図である。図44に示すように、レジストパターン210を形成後、基板100に通電して電解めっき法を行い、レジストパターン210から露出している基板100上に、図40に示すピラー130及び第1パッド120を形成する。ここでは、同一の工程でピラー130及び第1パッド120を形成する製造方法を例示したが、この製造方法に限定されない。例えば、ピラー130及び第1パッド120を異なる工程で形成してもよい。具体的には、電解めっき法によってピラー130を形成し、第1パッド120をスパッタリング法によって形成してもよい。
図45は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、レジストを除去する工程を示す断面図である。図45に示すように、ピラー130及び第1パッド120を形成した後に、レジストパターン210を構成するフォトレジストを有機溶媒により除去する。なお、フォトレジストの除去には、有機溶媒を用いる代わりに、酸素プラズマによるアッシングを用いることもできる。
図46は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、多層配線構造体に支持基板を貼り付ける工程を示す断面図である。図46に示すように、実施形態1の図9乃至図16と同様の製造方法によって多層配線構造体110を形成し、多層配線構造体110の上部に接着層240を介して支持基板200を貼り付ける。ここで、接着層240には、部材を挟んで両面に粘着層が配置されている。接着層240の粘着層のうち多層配線構造体110側の粘着層(基板粘着層)は、刺激(この例では所定温度以上の熱)の印加によって粘着力が低下する。接着層240の支持基板200側の粘着層(支持粘着層)は、例えば、感圧粘着剤であってもよい。また、支持粘着層は、少なくとも基板粘着層の粘着力が低下する刺激の程度においては、粘着力がほとんど低下しない。また、基板粘着層及び支持粘着層は両方又は一方が導電性を有していてもよい。
図47は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、基板を裏面側から研削及びエッチングして除去する工程を示す断面図である。図47に示すように、実施形態1の図17及び図18と同様に、機械研削又はCMPを用いた基板100の薄板化、及びエッチングによる基板100の除去によって、ピラー130の先端を露出させる。
図48は、本発明の一実施形態に係るインターポーザの製造方法において、ピラー側面の絶縁層をエッチングする工程を示す断面図である。図48に示すように、ピラー130を残しつつ、露出した絶縁層109を基板100の裏面側からエッチングすることで、ピラー130を下方に突出させる。換言すると、ピラー130の側面又は側方の絶縁層109をエッチングすることで、ピラー130が第1パッド120及び絶縁層139から下方に突出した形状を得る。ここで、例えば、絶縁層109としてポリイミドを用いて、ピラー130としてCuを用いた場合、ピラー130を残存させて絶縁層109をエッチングするように、NH3、H2、又はO2ガスを用いたドライエッチングによって絶縁層109をエッチングすることができる。
ここで、図48では、絶縁層109だけがエッチングされ、絶縁層109と絶縁層139との界面でエッチングがストップする製造方法について説明したが、この製造方法に限定されない。例えば、絶縁層109が全てエッチングされず、絶縁層109の一部がピラー130の側面又は側方に残存していてもよい。つまり、絶縁層109がピラー130を側方から支持する構造であってもよい。また、絶縁層109に加えて絶縁層139の一部もエッチングされ、第1パッド120の側面の一部が露出されていてもよい。また、絶縁層109だけをエッチングし、絶縁層139をエッチングしないようにするために、絶縁層109と絶縁層139との間に絶縁層109のエッチングにおけるエッチングストッパを設けてもよい。また、パターンが密な領域において絶縁層109のエッチングレートが遅くなるエッチング条件を用いて、スリット330の領域に他の領域に比べて絶縁層109が多く残るようにしてもよい。
そして、図48に示すようにピラー130が形成された状態の多層配線構造体110に対して所定温度以上の熱処理を行う。この熱処理によって、接着層240の多層配線構造体110側の粘着層である基板粘着層の粘着力が低下し、多層配線構造体110から接着層240及び支持基板200を剥離することができる。ここで、熱処理は多層配線構造体110及び支持基板200全体を加熱する方法であってもよく、レーザ照射等によって接合箇所を局所的に加熱する方法であってもよい。支持基板200を剥離して表面に露出した第2パッド160に接するバンプ220を形成することで、図40に示すインターポーザ50を得ることができる。
ここで、実施形態5のピラー130の変形例について説明する。図49及び図50は、本発明の一実施形態に係るインターポーザのピラーの形状を示す平面図である。実施形態5では、図41に示すように、ピラー領域340に同一形状の複数のピラー130が配置された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図49に示すように、ピラー130及びスリット330がともにリング状(環状)であってもよい。又は、図50に示すように、ピラー130及びスリット330がともに線状であってもよい。
〈実施形態6〉
本発明の実施形態6に係るインターポーザの構造及びその製造方法について、図51を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態6に係るインターポーザ60において、図1に示したインターポーザ10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[インターポーザの構成]
図51を用いて、本発明の実施形態6に係るインターポーザの構成について詳細に説明する。実施形態6のインターポーザ60は、多層配線構造体110、第1パッド120、ピラー130、第2パッド160、及び絶縁層169を有する。ピラー130は、第1パッド120の面に対して垂直な方向に突出した形状をしており、ピラー130の平面視における面積は第1パッド120の平面視における面積に比べて小さい。ここで、第1パッド120及びピラー130は連続している。換言すると、第1パッド120及びピラー130は同一材料である。また、換言すると、第1パッド120及びピラー130は一体形成されている。ピラー130はその先端にはんだが形成され、当該はんだを介して外部装置を実装する。
多層配線構造体110は複数の配線層を有する。具体的には、多層配線構造体110は、第1配線層140及び第2配線層150を有する。第1配線層140は、第1導電層142及び第2導電層144を含む。第2配線層150は、第1導電層152及び第2導電層154を含む。また、多層配線構造体110は、第1パッド120と第1配線層140とを離隔する第1無機絶縁層360、第2無機絶縁層370、及び有機絶縁層380、第1配線層140と第2配線層150とを離隔する絶縁層149、並びに第2配線層150と第2パッド160とを離隔する絶縁層159を有する。ここで、第1無機絶縁層360、第2無機絶縁層370、及び有機絶縁層380は第1パッド120を側方から支持している。また、図51では、多層配線構造体110上に設けられた第2パッド160上に、集積回路が形成されたチップを実装するためのバンプ220が配置されている。
第1無機絶縁層360、第2無機絶縁層370、及び有機絶縁層380には開口部390が設けられており、開口部390を介して第1配線層140は第1パッド120に接続されている。絶縁層149には開口部147が設けられており、開口部147を介して第2配線層150は第1配線層140に接続されている。絶縁層159には開口部157が設けられており、開口部157を介して第2パッド160は第2配線層150に接続されている。絶縁層169には開口部167が設けられており、第2パッド160の一部を露出する。ここで、絶縁層149、159、169は有機絶縁層であってもよく、無機絶縁層であってもよい。また、図51では、第1パッド120と第1配線層140との間に配置された絶縁層が3層構造であり、その他の絶縁層149、159、169が1層構造である構造を例示したが、絶縁層149、159、169が第1無機絶縁層360、第2無機絶縁層370、及び有機絶縁層380と同様の3層構造であってもよい。
上記の構造を換言すると、第1パッド120は、多層配線構造体110の第1面112側に配置され、第1配線層140に電気的に接続されている。また、第2パッド160は、多層配線構造体110の第2面114側に配置され、第2配線層150に電気的に接続されている、ということもできる。
図51では、ピラー130が開口部390と同じ位置に配置されている。図示しないが、ピラー130と開口部390とは平面視において互いに重畳している。このようにすることで、ピラー130の先端部にはんだを形成して外部装置に実装する際に、ピラー130は開口部390に配置された第1配線層140によって支持されるため、実装の際に受ける力によってピラー130が多層配線構造体110の方向に沈み込んでしまうことを抑制することができる。また、図51では、ピラー130の径と開口部390の径とが略同一の構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、開口部390の径がピラー130の径よりも大きく、平面視において、ピラー130が開口部390の内側に位置するようにピラー130が配置されていてもよい。ここでは、ピラー130と開口部390とが平面視において重畳する構成を例示したが、この構成に限定されず、両者が平面視においてずれて配置されていてもよい。
図51では、第1配線層140、第2配線層150、及び第2パッド160が2層の導電層で構成された構造を例示したが、この構造に限定されない。例えば、第1配線層140、第2配線層150、及び第2パッド160は1層の導電層で構成されていてもよく、3層以上の導電層で構成されていてもよい。
[インターポーザの各部材の材質]
図51に示すインターポーザ60に含まれる各部材(各層)の材料は、図1に示すインターポーザ10に含まれる各部材と同様の材料を用いることができる。ただし、インターポーザ60の第1無機絶縁層360としては、第1パッド120及びピラー130の金属材料の拡散を抑制する材料を用いることができる。例えば、第1パッド120及びピラー130としてCuを用いた場合、第1無機絶縁層360として、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコンカーバイト(SiCN)などの窒化化合物を用いることができる。
第2無機絶縁層370としては、その上に形成する有機絶縁層380との密着性が良い材料を用いることができる。例えば、第1無機絶縁層360として、SiN、AlN、又はSiCNを用いた場合、第2無機絶縁層370として酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、炭素添加シリコンオキサイド(SiCO)などの酸化化合物を用いることができる。ここで、第2無機絶縁層370と有機絶縁層380との密着性は第1無機絶縁層360と有機絶縁層380との密着性よりも高い。
有機絶縁層380としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリベンゾオキサゾール、シアネート樹脂、アラミド、ポリオレフィン、ポリエステル、BTレジン、FR−4、FR−5、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン 、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルポリサルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミドなどを用いることができる。また、上記の樹脂に、ガラス、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ等、無機フィラーを併用して用いてもよい。
[第1パッド120及びピラー130の構造]
インターポーザ60の第1パッド120及びピラー130の構造は、インターポーザ10と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
以上のように、実施形態6に係るインターポーザによると、インターポーザ10と同様に、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。また、実施形態20の無機絶縁層300と同様に、インターポーザ60の製造工程において、下方に突出したピラー130を形成する際に、第1無機絶縁層360をエッチングストッパとしても利用することができる。
〈実施形態7〉
本発明の実施形態7に係るインターポーザの構造及びその製造方法について、図52を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態7に係るインターポーザ70において、図1に示したインターポーザ10と同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[インターポーザの構成]
図52を用いて、本発明の実施形態7に係るインターポーザの構成について詳細に説明する。実施形態7のインターポーザ70は、多層配線構造体110、第1パッド120、ピラー130、第2パッド160、絶縁層169、バリア金属430、及び接触金属440を有する。ピラー130は、第1パッド120の面に対して垂直な方向に突出した形状をしており、ピラー130の平面視における面積は第1パッド120の平面視における面積に比べて小さい。ここで、第1パッド120及びピラー130は連続している。換言すると、第1パッド120及びピラー130は同一材料である。また、換言すると、第1パッド120及びピラー130は一体形成されている。バリア金属430及び接触金属440はピラー130の先端に配置されており、接触金属440が表面に露出している。ピラー130はその先端にバリア金属430及び接触金属440を介してはんだが形成され、当該はんだを介して外部装置を実装する。
図52に示す多層配線構造体110は、図1に示す多層配線構造体110と同様の構造を用いることができる。したがって、ここでは多層配線構造体110の詳細な説明は省略する。
[インターポーザの各部材の材質]
図52に示すインターポーザ70に含まれる各部材(各層)の材料は、図1に示すインターポーザ10に含まれる各部材と同様の材料を用いることができる。ただし、インターポーザ70の接触金属440としては耐食性が高く、酸化しにくく、外部素子との接触抵抗が低い材料を使用することが好ましい。例えば、金(Au)、白金(Pt)などを使用することができる。また、バリア金属430としては、ピラー130及び接触金属440と密着性が良く、接触金属440の拡散を抑制することができる材料が好ましい。例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)、クロム(Cr)などを用いることができる。また、上記の材料以外にも、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)などの高融点金属を用いることができる。
[第1パッド120及びピラー130の構造]
インターポーザ70の第1パッド120及びピラー130の構造は、インターポーザ10と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
以上のように、実施形態7に係るインターポーザによると、インターポーザ10と同様に、エレクトロマイグレーションを抑制することができる。その結果、第1パッド120とピラー130との間の経時劣化を抑制することができ、信頼性が高いインターポーザを得ることができる。また、はんだが接触金属440と接触するため、接触抵抗を低減することができる。
<実施形態8>
実施形態8においては、実施形態1乃至実施形態7におけるインターポーザを用いて製造される半導体装置について説明する。
図53は、本発明の実施形態8に係る半導体装置を示す図である。半導体装置1000は、3つのインターポーザ1310、1320、1330が積層され、例えば、DRAM等の半導体素子が形成されたLSI基板1400に接続されている。インターポーザ1310は、接続端子1511、1512、及びピラー1610を有している。ここで、接続端子1511が例えば図1に示すインターポーザ10の第2パッド160又はバンプ220に相当し、接続端子1512は第1パッド120に相当し、ピラー1610はピラー130に相当する。これらのインターポーザ1310、1320、1330はそれぞれが異なる材質の基板から形成されたインターポーザであってもよい。接続端子1512は、LSI基板1400の接続端子1500とピラー1610により接続されている。接続端子1511は、インターポーザ1320の接続端子1522とピラー1620により接続されている。インターポーザ1320の接続端子1521と、インターポーザ1330の接続端子1532と、についても、接続端子がピラー1630により接続する。ピラー1610、1620、1630は、例えば、Cu等の金属を用いる。
なお、インターポーザを積層する場合には、3層に限らず、2層であってもよいし、さらに4層以上であってもよい。また、ポリイミド、エポキシ樹脂等を塗布、焼成して、インターポーザと他の基板とを接着してもよい。
図54は、本発明の実施形態8に係る半導体装置の別の例を示す図である。図54に示す半導体装置1000は、MEMSデバイス、CPU、メモリ等の半導体チップ(LSIチップ)1410、1420、およびインターポーザ1300が積層され、LSI基板1400に接続されている。
半導体チップ1410と半導体チップ1420との間にインターポーザ1300が配置され、ピラー1640、バンプ1650により接続されている。LSI基板1400上に半導体チップ1410が載置され、LSI基板1400と半導体チップ1420とはワイヤ1700により接続されている。この例では、インターポーザ1300は、複数の半導体チップを積層して3次元実装するためのインターポーザとして用いられ、それぞれ機能の異なる複数の半導体チップを積層することで、多機能の半導体装置を製造することができる。例えば、半導体チップ1410を3軸加速度センサとし、半導体チップ1420を2軸磁気センサとすることによって、5軸モーションセンサを1つのモジュールで実現した半導体装置を製造することができる。
半導体チップがMEMSデバイスにより形成されたセンサなどである場合には、センシング結果がアナログ信号により出力されるようなときがある。この場合には、ローパスフィルタ、アンプ等についても半導体チップまたはインターポーザ1300に形成してもよい。
図55は、本発明の実施形態8に係る半導体装置の別の例を示す図である。上記2つの例(図53、図54)は、3次元実装であったが、この例では、2次元と3次元との併用実装に適用した例である(2.5次元という場合もある)。図55に示す例では、LSI基板1400には、6つのインターポーザ1310、1320、1330、1340、1350、1360が積層されて接続されている。ただし、全てのインターポーザが積層して配置されているだけでなく、基板面内方向にも並んで配置されている。これらのインターポーザはそれぞれが異なる材質の基板から形成されたインターポーザであってもよい。
図55の例では、LSI基板1400上にインターポーザ1310、1350が接続され、インターポーザ1310上にインターポーザ1320、1340が接続され、インターポーザ1320上にインターポーザ1330が接続され、インターポーザ1350上にインターポーザ1360が接続されている。なお、図54に示す例のように、インターポーザ1300を複数の半導体チップを接続するためのインターポーザとして用いても、このよう2次元と3次元との併用実装が可能である。例えば、インターポーザ1330、1340、1360などが半導体チップに置き換えられてもよい。
上記のように製造された半導体装置1000は、例えば、携帯端末(携帯電話、スマートフォンおよびノート型パーソナルコンピュータ等)、情報処理装置(デスクトップ型パーソナルコンピュータ、サーバ、カーナビゲーション等)、家電等、様々な電気機器に搭載される。
以下、本発明の実施形態に係るインターポーザ及びその比較例のインターポーザと同様の構造の第1パッド及びピラーを有する試験用サンプルを作製し、通電試験によって発生した不良率を評価した結果について説明する。
図56は、本発明の一実施例における試験用サンプルの概要を示す断面図である。実施例に用いた試験用サンプルは、実施形態で説明した多層配線構造体110とは異なり、第1パッド120に第1配線層140のみが接続されている。試験用サンプルのピラー130の先端にははんだバンプ190が配置されている。また、実施例に用いた試験用対向基板は、テスト基板600、テスト配線層610、ビア620、テストパッド630、及び層間膜640を有する。テスト配線層610はテスト基板600上に配置されている。層間膜640はテスト配線層610上に配置されており、層間膜640に設けられた開口部にビア620が配置されている。テストパッド630は層間膜640上及びビア620上に配置されており、ビア620はテスト配線層610とテストパッド630とを接続している。
図56に示す矢印は、本実施例における通電試験の電流のルートを示す。図56に示すように、電流は第1配線層140とテスト配線層610とがピラー130及びはんだバンプ190を介して接続されている。例えば図56の場合は、5個のピラー130及びはんだバンプ190を介して通電する。
図57は、本発明の一実施例における試験結果を示す図である。図57には、実施例1乃至実施例5、及び比較例1の試験用サンプルに対して通電試験を行い、発生した不良率を評価した結果を示す。ここで、実施例1は実施形態1(図1)の構造に対応し、実施例2は実施形態3の構造(図28)に対応し、実施例3は実施形態4の構造(図29)に対応し、実施例4は実施形態5の構造(図40)に対応し、実施例5は実施形態6の構造(図51)に対応し、比較例1は従来例の構造(図58)に対応する。また、図57の試験に用いた試験用サンプルは図56に示す構造が連続して形成されており、100個のピラー130及びはんだバンプ190を介して通電する構造の試験用サンプルである。また、図57の試験は、試験温度が130℃の環境下で40mAの通電を1000時間行った後に抵抗値を測定し、試験前後で抵抗値が10%以上上昇したサンプルを不良と判断した。試験は各々の構造のサンプルをそれぞれ100個準備し、不良発生率を算出した。
図57に示すように、比較例1の不良率が約80%であるのに対して、実施例1乃至実施例5の不良率はいずれも10%未満である。特に、実施例3に関しては不良と判断されたサンプルは存在しなかった。
以上のように、実施例1乃至実施例5の通電試験後の不良発生率の評価結果から、実施例1乃至実施例5の第1パッド及びピラーの構造によると、エレクトロマイグレーションを抑制することで第1パッドとピラーとの間の経時劣化を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。