JP6658315B2 - 周溶接部の検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の管の端部同士を接続するために形成された周溶接部の検査方法に関する。特に、本発明は、周溶接部の内面ビードの寸法の良否を全数判定可能な検査方法に関する。
従来、特許文献1に開示されているように、コイルドチュービングと称されるリールに巻き取られた管が知られている。このコイルドチュービングは、例えば、洋上においてリールから巻き出され、海底油田や海底ガス田等の坑井に降下される。コイルドチュービングは、例えば、洋上のホスト設備と海底坑井とを繋ぐ制御ラインとして機能するアンビリカルケーブルとして利用される。アンビリカルケーブルは、電線、高圧油圧ホース、光ケーブル等を内部に含んでいる。
一つのリールに巻き取られるコイルドチュービングは、一般的に3000フィートを超えるような長尺の管であるため、コイルドチュービングとしては、複数の管の端部同士に周溶接を施して形成される長尺管が広く用いられる。
上記のような長尺管に形成された周溶接部の検査項目の一つとして、内面ビードの寸法が挙げられる。具体的には、ルートと称される管の内面と周溶接部の内面ビードの頂部との距離(図4(a)参照)が所定の判定基準(例えば、0.8mm)を超えれば、その周溶接部の内面ビードの寸法は不良であると判定される。ルートが大きければ、アンビリカルケーブル等の長尺管の内部に電線等を挿入する際に支障が生じるおそれがあるためである。
従来、上記ルートは、長尺管に形成された周溶接部の全数を検査するのではなく、周溶接部近傍を切り取ったサンプルをオフラインでミクロ観察することで良否を判定している。すなわち、抜き取り検査を行っているに過ぎないため、検査としては必ずしも十分であるとはいえないものである。このため、周溶接部のルートをオンラインで全数判定可能な検査方法が望まれている。
UO管や電縫管などの溶接管の溶接部の検査方法としては、例えば、特許文献2、3に記載の方法が知られている。
特許文献2に記載の方法は、溶接部の外面ビード高さを光ギャップセンサによって光学的に測定する方法であるが、この方法を周溶接部のルートに適用するには、光ギャップセンサやその駆動機構を管内に挿入する必要が生じるため、長尺管の周溶接部を全数検査することは困難である。
特許文献3に記載の方法は、溶接管に向けてX線を放射するX線源と、該溶接管を挟んでX線源に対向する位置に配置され、X線源から放射されて溶接管を透過したX線を検出するX線検出器とを備えるX線検査機を用いて溶接管の溶接部を検査する方法である。特許文献3に記載の方法を周溶接部の検査に適用すれば、周溶接部の内面ビードを可視化できると考えられる。しかしながら、特許文献3には、溶接部の欠陥(ミクロクラック)を検出することについて記載されているが、周溶接部のルートの良否をX線検査機を用いて判定することについては開示も示唆も無い。
国際公開第1998/31499号 特開昭59−112210号公報 特開昭58−117445号公報
本発明は、周溶接部の内面ビードの寸法の良否を全数判定可能な検査方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、被検査管と外径及び内径が同じ基準管を用意し、この基準管の内面にルートの判定基準に応じた肉厚を有するリング部材を取り付けてX線画像を生成し、これを被検査管について生成されたX線画像と比較すれば、被検査管の周溶接部のルートの良否を比較的精度良く判定可能であることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、被検査管に向けてX線を放射するX線源と、前記被検査管を挟んで前記X線源に対向する位置に配置され、前記X線源から放射されて前記被検査管を透過したX線を検出してX線画像を生成するX線画像検出器とを備えるX線検査機を用いて被検査管の周溶接部を検査する方法であって、被検査管と外径及び内径が同じ基準管を用意し、前記基準管の内径と略同一の外径を有すると共に判定基準に応じた肉厚を有する第1リング部材を前記基準管の内面に取り付け、前記X線検査機を用いて前記第1リング部材を含む前記基準管のX線画像である第1基準画像を生成する準備工程と、前記X線検査機を用いて前記周溶接部を含む前記被検査管のX線画像である検査画像を生成する検査工程と、前記第1基準画像及び前記検査画像を用いて、前記被検査管の周溶接部の良否を判定する判定工程とを含み、前記判定工程において、前記検査画像中の前記被検査管の内面に相当する画素領域の径方向位置と、前記第1基準画像中の前記基準管の内面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、前記検査画像及び前記第1基準画像を比較した場合に、前記検査画像中の前記周溶接部の内面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第1基準画像中の前記第1リング部材の内面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向外側であれば、前記周溶接部は内面ビードの寸法が良好であると判定し、前記検査画像中の前記周溶接部の内面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第1基準画像中の前記第1リング部材の内面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向内側であれば、前記周溶接部は内面ビードの寸法が不良であると判定する、ことを特徴とする周溶接部の検査方法を提供する。
本発明に係る周溶接部の検査方法によれば、準備工程において、判定基準(ルートの判定基準)に応じた肉厚を有する第1リング部材が内面に取り付けられ、被検査管と外径及び内径が同じ基準管のX線画像である第1基準画像が生成される。
また、検査工程において、実際の検査対象である被検査管のX線画像である検査画像が生成される。
さらに、判定工程において、検査画像中の被検査管の内面に相当する画素領域の径方向位置と、第1基準画像中の基準管の内面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、検査画像及び第1基準画像が比較される。被検査管の内面に相当する画素領域の径方向位置と、基準管の内面に相当する画素領域の径方向位置とが合致した状態で、検査画像及び第1基準画像を比較するため、検査画像中のルート(被検査管の内面に相当する画素領域の径方向位置と、内面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置との距離)が第1基準画像中の判定基準(基準管の内面に相当する画素領域の径方向位置と、第1リング部材の内面に相当する画素領域の径方向位置との距離)を超えるか否かを比較的容易に判定可能である。
すなわち、判定工程において、検査画像中の内面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、第1基準画像中の第1リング部材の内面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向外側であれば、周溶接部は内面ビードの寸法が良好である(ルートが判定基準以下である)と判定することが可能である。一方、検査画像中の内面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、第1基準画像中の第1リング部材の内面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向内側であれば、周溶接部は内面ビードの寸法が不良である(ルートが判定基準を超えている)と判定することが可能である。
本発明によれば、第1基準画像及び検査画像を比較するだけで、比較的容易に判定可能であるため、周溶接部の内面ビードの寸法の良否を全数判定可能である。
なお、本発明において、「径方向位置」とは、被検査管及び基準管の径方向に相当する方向についての位置を意味する。また、「径方向外側」とは、被検査管及び基準管の中心軸側と反対側に相当する側を意味する。さらに、「径方向内側」とは、被検査管及び基準管の中心軸側に相当する側を意味する。
周溶接部の他の検査項目として、外面ビードの寸法が挙げられる。具体的には、キャップと称される被検査管の外面と周溶接部の外面ビードの頂部との距離(図4(a)参照)が所定の判定基準(例えば、0.8mm)を超えれば、その周溶接部の外面ビードの寸法は不良であると判定される。キャップの良否は、被検査管の外面側から判定できるため、例えば特許文献2に記載のような光学的に測定する方法を適用することも考えられる。しかしながら、ルートの良否を判定するために用いるX線検査機をキャップの良否にも用いれば、検査装置のコストを低減できる点で好ましい。
すなわち、好ましくは、前記準備工程において、前記基準管の外径と略同一の内径を有すると共に判定基準に応じた肉厚を有する第2リング部材を前記基準管の外面に取り付け、前記X線検査機を用いて前記第2リング部材を含む前記基準管のX線画像である第2基準画像を生成し、前記判定工程において、前記検査画像中の前記被検査管の外面に相当する画素領域の径方向位置と、前記第2基準画像中の前記基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、前記検査画像及び前記第2基準画像を比較した場合に、前記検査画像中の前記周溶接部の外面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第2基準画像中の前記第2リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向内側であれば、前記周溶接部は外面ビードの寸法が良好であると判定し、前記検査画像中の前記周溶接部の外面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第2基準画像中の前記第2リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向外側であれば、前記周溶接部は外面ビードの寸法が不良であると判定する。
上記の好ましい方法によれば、準備工程において、判定基準(キャップの判定基準)に応じた肉厚を有する第2リング部材が外面に取り付けられ、被検査管と外径及び内径が同じ基準管のX線画像である第2基準画像が生成される。
そして、判定工程において、検査画像中の被検査管の外面に相当する画素領域の径方向位置と、第2基準画像中の基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、検査画像及び第2基準画像が比較される。被検査管の外面に相当する画素領域の径方向位置と、基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とが合致した状態で、検査画像及び第2基準画像を比較するため、検査画像中のキャップ(被検査管の外面に相当する画素領域の径方向位置と、外面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置との距離)が第2基準画像中の判定基準(基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置と、第2リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置との距離)を超えるか否かを比較的容易に判定可能である。
すなわち、判定工程において、検査画像中の外面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、第2基準画像中の第2リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向内側であれば、周溶接部は外面ビードの寸法が良好である(キャップが判定基準以下である)と判定することが可能である。一方、検査画像中の外面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、第2基準画像中の第2リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向外側であれば、周溶接部は外面ビードの寸法が不良である(キャップが判定基準を超えている)と判定することが可能である。
上記の好ましい方法によれば、第2基準画像及び検査画像を比較するだけで、比較的容易に判定可能であるため、周溶接部の外面ビードの寸法の良否を全数判定可能である。
周溶接部の更に他の検査項目として、アライメントが挙げられる。具体的には、ミスアライメントと称される被検査管の周溶接部を挟んだ両外面間の距離(図4(a)参照)が所定の判定基準(例えば、0.3mm)を超えれば、その周溶接部のアライメントは不良であると判定される。アライメントの良否も、被検査管の外面側から判定できるため、例えば特許文献2に記載のような光学的に測定する方法を適用することも考えられる。しかしながら、ルートの良否を判定するために用いるX線検査機をアライメントの良否にも用いれば、検査装置のコストを低減できる点で好ましい。
すなわち、好ましくは、前記準備工程において、前記基準管の外径と略同一の内径を有すると共に判定基準に応じた肉厚を有する第3リング部材を前記基準管の外面に取り付け、前記X線検査機を用いて前記第3リング部材を含む前記基準管のX線画像である第3基準画像を生成し、前記判定工程において、前記検査画像中の前記被検査管の周溶接部を挟んだ両外面のうち径方向内側に位置する一方の外面に相当する画素領域の径方向位置と、前記第3基準画像中の前記基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、前記検査画像及び前記第3基準画像を比較した場合に、前記検査画像中の前記被検査管の周溶接部を挟んだ両外面のうち径方向外側に位置する他方の外面に相当する画素領域の径方向位置が、前記第3基準画像中の前記第3リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向内側であれば、前記周溶接部はアライメントが良好であると判定し、前記検査画像中の前記被検査管の前記他方の外面に相当する画素領域の径方向位置が、前記第3基準画像中の前記第3リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向外側であれば、前記周溶接部はアライメントが不良であると判定する。
上記の好ましい方法によれば、準備工程において、判定基準(ミスアライメントの判定基準)に応じた肉厚を有する第3リング部材が外面に取り付けられ、被検査管と外径及び内径が同じ基準管のX線画像である第3基準画像が生成される。
そして、判定工程において、検査画像中の被検査管の周溶接部を挟んだ両外面のうち径方向内側に位置する一方の外面に相当する画素領域の径方向位置と、第3基準画像中の基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、検査画像及び第3基準画像が比較される。被検査管の径方向内側に位置する一方の外面に相当する画素領域の径方向位置と、基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とが合致した状態で、検査画像及び第3基準画像を比較するため、検査画像中のミスアライメント(被検査管の径方向内側に位置する一方の外面に相当する画素領域の径方向位置と、径方向外側に位置する他方の外面に相当する画素領域の径方向位置との距離)が第3基準画像中の判定基準(基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置と、第3リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置との距離)を超えるか否かを比較的容易に判定可能である。
すなわち、判定工程において、検査画像中の被検査管の径方向外側に位置する他方の外面に相当する画素領域の径方向位置が、第3基準画像中の第3リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向内側であれば、周溶接部はアライメントが良好である(ミスアライメントが判定基準以下である)と判定することが可能である。一方、検査画像中の被検査管の径方向外側に位置する他方の外面に相当する画素領域の径方向位置が、第3基準画像中の第3リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向外側であれば、周溶接部はアライメントが不良である(ミスアライメントが判定基準を超えている)と判定することが可能である。
上記の好ましい方法によれば、第3基準画像及び検査画像を比較するだけで、比較的容易に判定可能であるため、周溶接部のアライメントの良否を全数判定可能である。
なお、上記の好ましい方法で用いる第3リング部材は、前述の第2リング部材と同様に基準管の外面に取り付けられるものである。このため、第3リング部材を第2リング部材と一体化して形成することも可能である。
本発明によれば、周溶接部の内面ビードの寸法の良否を全数判定可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る周溶接部の検査方法を適用する長尺管の製造設備の概略構成を模式的に示す平面図である。 図2は、図1に示すX線検査装置本体が具備するX線検査機の概略構成を模式的に示す図である。 図3は、図1に示すX線漏洩抑制機構の概略構成を模式的に示す図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る周溶接部の検査方法で良否を判定する対象と、各対象の良否を判定するのに用いるリング部材の概略構成を模式的に示す図である。 図5は、図1に示す画像処理装置が実行する周溶接部のルートの良否判定方法を説明する説明図である。 図6は、図1に示す画像処理装置が実行する周溶接部のキャップの良否判定方法を説明する説明図である。 図7は、図1に示す画像処理装置が実行する周溶接部のアライメントの良否判定方法を説明する説明図である。 図8は、図1に示す制御装置が実行する手順による溶接装置及びX線検査装置の動きを説明する平面図である。 図9は、図1に示す制御装置が実行する手順による溶接装置及びX線検査装置の動きを説明する平面図である。 図10は、図1に示す制御装置が実行する手順による溶接装置及びX線検査装置の動きを説明する平面図である。 図11は、図1に示す制御装置が実行する手順による溶接装置及びX線検査装置の動きを説明する平面図である。 図12は、図1に示す制御装置が実行する手順による溶接装置及びX線検査装置の動きを説明する平面図である。 図13は、図1に示す制御装置が実行する手順による溶接装置及びX線検査装置の動きを説明する平面図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る周溶接部の検査方法について、コイルドチュービング等の長尺管の製造設備に適用する場合を例に挙げて説明する。最初に、製造設備の全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る周溶接部の検査方法を適用する長尺管の製造設備の概略構成を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る長尺管の製造設備(以下、適宜、単に「製造設備」という)100は、搬送装置1と、溶接装置2と、巻取装置3と、X線検査装置4とを備えている。また、本実施形態に係る製造設備100は、搬送装置1、溶接装置2、巻取装置3及びX線検査装置4の動作を制御する制御装置5を備えている。さらに、本実施形態に係る製造設備100は、複数の管Pが載置された搬入台6を備えている。
本実施形態に係る製造設備100は、好ましい構成として、溶接装置2とX線検査装置4とが、搬送装置1に沿って互いに別個に移動可能とされている。すなわち、溶接装置2とX線検査装置4とが、管Pの搬送方向(管Pの長手方向)に沿って互いに別個に移動可能とされている。具体的には、例えば、溶接装置2及びX線検査装置4は、それぞれエアシリンダ等の駆動機器(図示せず)に取り付けられており、下部にはそれぞれ車輪(図示せず)が取り付けられている。また、床面には、管Pの搬送方向に沿ってレール(図示せず)が設けられている。制御装置5によって、前記駆動機器を駆動することにより、溶接装置2及びX線検査装置4は、それぞれの車輪がレール上で転動して、搬送装置1に沿って互いに別個に移動可能とされている。このため、後述のように、X線検査装置4によって周溶接部が不良であると判断された場合に、搬送装置1及び巻取装置3を逆方向に駆動する必要がない。また、例えば、周溶接を施す管Pの長さに応じて、溶接装置2とX線検査装置4との離間距離を調整して管Pの長さに略等しい距離に設定すれば、溶接装置2による周溶接と、X線検査装置4による周溶接部の検査とを並行して行い、製造効率を高めることも可能である。
本実施形態の管Pは、例えば、ステンレス鋼管であり、溶接装置2によって管Pに周溶接が施されることによって形成される長尺管P1がアンビリカルケーブルとして用いられる場合には、好ましくは二相ステンレス鋼管とされる。管Pは、電縫管であっても、継目無管であってもよい。
搬送装置1は、制御装置5によって駆動され、管Pをその長手方向(図1に示すX方向)に一直線上に搬送する装置である。具体的には、本実施形態では、搬入台6に載置された複数の管Pが、搬送装置1に向けて長手方向に直交する方向(図1に示すY方向)に順次搬入され、搬送装置1が、搬入された複数の管Pを長手方向に搬送する。なお、搬入台6は、所定の搬入機構(図示せず)を具備し、制御装置5によって搬入機構が駆動されることで、複数の管Pが順次搬入される。
本実施形態の搬送装置1は、サイドクランプローラ11と、Vローラ12とを具備する。
サイドクランプローラ11は、溶接装置2に対して管Pの搬送方向(X方向)上流側において、管Pを水平方向に挟持するように配置されている。サイドクランプローラ11は、モータ等を駆動源として回転することで、管Pの長手方向に駆動力を付与する。
Vローラは、搬入台6から管Pが搬入される位置から巻取装置3までの間において、管P(長尺管P1を含む)の下方に配置されている。Vローラは、管Pを下方から支持し、管Pの長手方向への搬送に伴って回転する。
以上の構成により、溶接装置2によって周溶接を施される前の管P及び巻取装置3によってリール31に巻き取られる前の長尺管P1は、サイドクランプローラ11によって長手方向の駆動力を付与され、巻取装置3によってリール31に巻き取られた後の長尺管P1は、巻取装置3によって長手方向の駆動力を付与され、それぞれ長手方向に搬送されることになる。
なお、本実施形態では、搬送装置1として、駆動力を付与するサイドクランプローラ11と、駆動力を付与せずに従動するだけのVローラ12とを具備する構成について説明したが、これに限るものではない。搬送装置としては、例えば、サイドクランプローラ11に代えて、管Pを搬送方向上流側から下流側に押すプッシャを採用するなど、管Pを長手方向に搬送できる限りにおいて種々の構成を採用可能である。
溶接装置2は、搬送装置1に沿って配置されている。溶接装置2は、制御装置5によって駆動され、搬送装置1で搬送される複数の管Pの端部同士に周溶接を施して長尺管P1を形成する装置である。
本実施形態の溶接装置2は、周溶接機(円周溶接機)21と、周溶接機21を挟んで管Pの搬送方向(管Pの長手方向)に沿って配置された一対の把持装置22とを具備する。また、本実施形態の溶接装置2は、冷却装置(図示せず)も具備する。冷却装置の冷却方法としては、例えば強制空冷を例示できる。
制御装置5は、各管Pの端部が周溶接機21の配置位置に到着したタイミングで、搬送装置1及び巻取装置3の動作を停止し、各把持装置22を駆動する。これにより、各把持装置22が、各管Pの端部を把持する。すなわち、管Pの搬送方向上流側に配置された把持装置22で搬送方向上流側に位置する管Pの先端部を把持し、搬送方向下流側に配置された把持装置22で搬送方向下流側に位置する管P(長尺管P1)の後端部を把持する。そして、各把持装置22は、各管Pの軸心が合致するように、各管Pの位置を調整する。次いで、制御装置5は、周溶接機21を駆動し、周溶接機22が、位置調整された各管Pの端部同士に周溶接を施す。最後に、制御装置5は、冷却装置を駆動し、冷却装置が、形成された周溶接部PWを冷却する。周溶接部PWの冷却が終了した後、制御装置5は、各把持装置22による把持を解除し、搬送装置1及び巻取装置3を駆動して、長尺管P1を搬送する。
巻取装置3は、搬送装置1に沿って、溶接装置2に対して管P(長尺管P1)の搬送方向下流側に配置されている。巻取装置3は、制御装置5によって駆動され、搬送装置1で搬送される長尺管P1をリール31に巻き取る装置である。
具体的には、本実施形態の巻取装置3は、リール31をその中心軸周りに回転させる回転機構(図示せず)と、中心軸方向(Y方向)にリール31を移動させる移動機構(図示せず)とを具備する。巻取装置3は、回転機構によってリール31を回転させると共に、移動機構によってリール31を移動させることで、長尺管P1をリール31の外表面上に巻き取る。
X線検査装置4は、本発明の一実施形態に係る周溶接部PWの検査方法を実行するための装置である。X線検査装置4は、搬送装置1に沿って、溶接装置2と巻取装置3との間に配置されている。X線検査装置4は、制御装置5によって駆動され、長尺管P1の周溶接部PWを検査する。
制御装置5は、溶接装置2によって形成された長尺管P1の周溶接部PWがX線検査装置4の配置位置(具体的には、後述するX線源412によってX線が放射される位置)に到着したタイミングで、搬送装置1及び巻取装置3の動作を停止することで長尺管P1を停止させ、X線検査装置4を駆動する。
X線検査装置4は、X線検査装置本体41と、X線検査装置本体41の入側及び出側の開口部近傍に取り付けられたX線漏洩抑制機構42とを具備する。X線検査装置本体41は、長尺管P1がX線検査装置本体41の入側(長尺管P1の搬送方向上流側)及び出側(長尺管P1の搬送方向下流側)の開口部から外部に突出した状態で長尺管P1の周溶接部PWを検査する。X線漏洩抑制機構42は、X線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWが検査されている最中に、X線検査装置本体41の入側及び出側の開口部から外部へのX線の漏洩を抑制する。
以下、適宜、図2及び図3も参照しつつ、X線検査装置4のより具体的な構成について説明する。
図1に示すように、X線検査装置本体41は、筐体41aと、筐体41aの入側及び出側にそれぞれ設けられ、筐体41aと連通する一対のスリーブ41bと、筐体41a内に配置されたX線検査機41cとを具備する。このX線検査機41cが、本発明の一実施形態に係る周溶接部PWの検査方法を実行するために用いるX線検査機である。X線検査装置本体41は、長尺管P1が筐体41a内に配置されたX線検査機41c及び各スリーブ41bに挿通された状態で、X線検査機41cによって長尺管P1の周溶接部PWを検査する。
図2は、X線検査装置本体41が具備するX線検査機41cの概略構成を模式的に示す図である。図2(a)は斜視図を、図2(b)は長尺管P1の長手方向から見た正面図を示す。
図2に示すように、X線検査機41cは、回転機構部411と、X線源412と、X線画像検出器413と、画像処理装置414とを具備する。
回転機構部411は、例えば、長尺管P1の周方向周りを囲繞する外環部材411Aと、外環部材411Aに対して回転可能に外環部材411Aの内側に取り付けられた内環部材411Bとを具備する。
X線源412は、被検査管である長尺管P1に向けてX線を放射する装置である。X線源412は、回転機構部411の内環部材411Bに取り付けられ、内環部材411Bが外環部材411Aに対して回転することにより、長尺管P1の周方向周りに回転する。図2(b)に示すように、X線源412は、回転・停止を繰り返し、予め決められた複数の位置(図2(b)に示す例では、60°ピッチの3箇所)でX線を放射する。
X線画像検出器413は、長尺管P1を挟んでX線源412に対向する位置に配置され、X線源412から放射されて長尺管P1を透過したX線を検出してX線画像を生成する装置であり、例えばフラットパネルディテクター(FPD)が好適に用いられる。X線画像検出器413も回転機構部411の内環部材411Bに取り付けられ、内環部材411Bが外環部材411Aに対して回転することにより、X線源412と一体的に(長尺管P1を挟んでX線源412に対向する状態を維持して)長尺管P1の周方向周りに回転する。
画像処理装置414は、X線画像検出器413で生成したX線画像に画像処理を施して、長尺管P1の周溶接部PWを検査する装置である。画像処理装置414は、本発明の一実施形態に係る周溶接部PWの検査方法を実行することで、周溶接部PWの内面ビードの寸法等の良否を判定する。この判定の具体的内容については後述する。また、画像処理装置414は、例えば、X線画像に対して画像処理を施すことで、画素濃度の大きい(明るい)画素領域を欠陥領域(例えば、ポロシティ)として抽出し、抽出した欠陥領域の面積の大小を評価して、周溶接部PWの良否を判定することも可能である。
図3は、X線漏洩抑制機構42の概略構成を模式的に示す図である。図3(a)はX線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWが検査される際のX線漏洩抑制機構42の状態を示す正面図を、図3(b)は図3(a)のbb矢視断面図を示す。図3(c)はX線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWの検査が終了し、搬送装置1によって長尺管P1を搬送する際のX線漏洩抑制機構42の状態を示す正面図を、図3(d)は図3(c)のdd矢視断面図を示す。
X線漏洩抑制機構42は、前述のように、X線検査装置本体41の入側及び出側の開口部近傍に取り付けられている。具体的には、X線漏洩抑制機構42は、X線検査装置本体41が具備する一対のスリーブ41bが有する略円形の開口部410の近傍に取り付けられている。より具体的には、X線漏洩抑制機構42は、一対のスリーブ41bのうち、長尺管P1の搬送方向上流側に設けられたスリーブ41bに対してはその上流側の開口部410の近傍に取り付けられ、長尺管P1の搬送方向下流側に設けられたスリーブ41bに対してはその下流側の開口部410の近傍に取り付けられている。X線検査装置本体41の入側及び出側に取り付けられた各X線漏洩抑制機構42は、同様の構成を有するため、ここでは一つのX線漏洩抑制機構42についてのみ説明する。
X線漏洩抑制機構42は、閉塞部材421を具備する。閉塞部材421は、径方向(長尺管P1の径方向)に開閉可能な複数の部材(図3に示す例では、半分割された2つの部材42a、42b)から構成され、複数の部材42a、42bが径方向に閉じた位置にあるとき(図3(a)、(b)の状態)、内側に長尺管P1が挿通する略円形の開口部421aが形成される。具体的には、各部材42a、42bは、エアシリンダ等の駆動機器(図示せず)に取り付けられており、この駆動機器を駆動することにより、各部材42a、42bは、径方向(図3に示す例では上下方向)に開閉可能(進退動可能)とされている。閉塞部材421を構成する部材42a、42bは、例えばステンレス鋼から形成されている。
なお、図3に示す例では、各部材42a、42bは、上下方向に開閉可能とされているが、これに限るものではなく、長尺管P1の径方向(長尺管P1の長手方向に直交する方向)である限りにおいて、水平方向など他の方向に開閉可能な部材とすることも可能である。また、図3に示す例では、閉塞部材421は、2つの部材42a、42bから構成されているが、これに限るものではなく、径方向に開閉可能な複数の部材である限りにおいて、3つ以上の部材から構成することも可能である。
制御装置5は、X線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWが検査される際(すなわち、X線源412からX線が放射される際)、図3(a)、(b)に示すように、閉塞部材421を構成する複数の部材42a、42bが径方向に閉じた位置となるようにX線漏洩抑制機構42を駆動する。すなわち、制御装置5からの制御信号によってX線漏洩抑制機構42が具備するエアシリンダ等の駆動機器が駆動することで、複数の部材42a、42bが径方向に閉じた位置となる。そして、図3(a)、(b)に示すように、複数の部材42a、42bが径方向に閉じた位置にあるとき、閉塞部材421の開口部421aの径方向寸法L1は、X線検査装置本体41の入側及び出側の開口部の径方向寸法L2(スリーブ41bの開口部410の径方向寸法、図3(c)参照)よりも小さくなっている。したがい、X線検査装置本体41の開口部の一部(スリーブ41bの開口部410の一部)が閉塞部材421(複数の部材42a、42b)によって閉塞されることになる。また、複数の部材42a、42bが径方向に閉じた位置にあるとき、閉塞部材421の開口部421aの径方向寸法L1は、長尺管P1の周溶接部PW以外の径方向寸法と略同一である。したがい、閉塞部材421の開口部421aと長尺管P1との隙間が無くなるか又は極微小となる。このため、複数の部材42a、42bが径方向に閉じた位置に到達した後に、X線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWを検査すれば、X線検査装置本体41の開口部(スリーブ41bの開口部410)から外部へのX線の漏洩を抑制することが可能である。
一方、制御装置5は、X線検査装置本体41による長尺管P1の周溶接部P1の検査が終了(すなわち、X線源412からのX線の放射が停止し)し、搬送装置1によって長尺管P1を搬送する際に、図3(c)、(d)に示すように、閉塞部材421を構成する複数の部材42a、42bが径方向に開いた位置となるようにX線漏洩抑制機構32を駆動する。そして、図3(c)、(d)に示すように、複数の部材42a、42bが径方向に開いた位置にあるとき、閉塞部材421は、長尺管P1の周溶接部PWに干渉しない位置となっている。本実施形態では、閉塞部材421を構成する複数の部材42a、42bが、スリーブ41bよりも径方向外方の位置となる。このため、X線検査装置本体41でのX線検査が終了した後に、長尺管P1を搬送しても、長尺管P1の周溶接部PWが閉塞部材421に干渉するおそれがなく、搬送に支障が生じない。
なお、X線の漏洩をより一層抑制するには、図1に示すように、X線漏洩抑制機構42と同様の構成を有する一対のX線漏洩抑制機構42Aを筐体41a内に取り付けることが好ましい。X線漏洩抑制機構42Aは、一対のスリーブ41bのうち、長尺管P1の搬送方向上流側に設けられたスリーブ41bに対してはその下流側の開口部410の近傍に取り付けられ、長尺管P1の搬送方向下流側に設けられたスリーブ41bに対してはその上流側の開口部410の近傍に取り付けられる。
以上に説明したX線検査装置4によって長尺管P1の周溶接部PWが検査され、周溶接部PWが正常であると判定された場合、制御装置5が搬送装置1及び巻取装置3を駆動することで、長尺管P1は搬送され、リール31に巻き取られる。
一方、X線検査装置4によって長尺管P1の周溶接部PWが不良であると判定された場合、前述のように、溶接装置2とX線検査装置4とが搬送装置1に沿って互いに別個に移動可能とされているため、制御装置5は搬送装置1及び巻取装置3を逆方向に駆動することなく(長尺管P1を逆方向に搬送することなく)、溶接装置2で長尺管P1に再び周溶接部PWを形成し、X線検査装置4で再び形成された周溶接部PWを検査することが可能である。長尺管P1の周溶接部PWが不良であると判定された場合の制御装置5の具体的な動作例については後述する。
以下、図4〜図7を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る周溶接部PWの検査方法について説明する。本実施形態に係る周溶接部PWの検査方法は、前述のように、X線源412と、X線画像検出器413とを備えるX線検査機41cを用いて被検査管である長尺管P1の周溶接部PWを検査する方法である。
図4は、本実施形態に係る周溶接部PWの検査方法で良否を判定する対象と、各対象の良否を判定するのに用いるリング部材の概略構成を模式的に示す図である。図4(a)は良否を判定する対象を、図4(b)はリング部材の概略構成を示す。
図4(a)に示すように、本実施形態に係る周溶接部PWの検査方法では、ルートと称される長尺管P1の内面と周溶接部PWの内面ビードの頂部との距離(長尺管P1の径方向についての距離)の良否を判定対象としている。また、本実施形態では、好ましい態様として、キャップと称される長尺管P1の外面と周溶接部PWの外面ビードの頂部との距離(長尺管P1の径方向についての距離)の良否も判定対象としている。さらに、本実施形態では、好ましい態様として、ミスアライメントと称される長尺管P1の周溶接部PWを挟んだ両外面間の距離(長尺管P1の径方向についての距離)に応じたアライメントの良否も判定対象とされている。
本実施形態に係る周溶接部PWの検査方法は、準備工程と、検査工程と、判定工程とを含む。以下、各工程について順次説明する。
<準備工程>
図4(b)に示すように、準備工程では、被検査管である長尺管P1と外径及び内径が同じ基準管P2を用意する。X線の透過率を同等にするには、長尺管P1と同種の材料から形成された基準管P2を用意することが好ましい。そして、基準管P2の内径と略同一の外径を有すると共にルートの判定基準に応じた肉厚t7(例えば、0.8mm)を有する第1リング部材7を基準管P2の内面に取り付ける(嵌め込む)。
また、基準管P2の外径と略同一の内径を有すると共にギャップの判定基準に応じた肉厚t8(例えば、0.8mm)を有する第2リング部材8を基準管P2の外面に取り付ける(嵌め込む)。
さらに、基準管P2の外径と略同一の内径を有すると共にミスアライメントの判定基準に応じた肉厚t9(例えば、0.3mm)を有する第3リング部材9を基準管P2の外面に取り付ける(嵌め込む)。なお、本実施形態では、第3リング部材9は、第2リング部材8と軸方向に一体化して形成されている。具体的には、例えば、各リング部材8、9を形成するための材料である筒状部材の外面の切削量を、筒状部材の軸方向の位置に応じて変更することにより、一体化されたリング部材8、9を形成可能である。本実施形態の第3リング部材9は、第2リング部材8と一体化して形成されているため、第2リング部材8を基準管P2の外面に取り付ける際に、同時に第3リング部材9も基準管P2の外面に取り付けられることになる。
次いで、X線検査装置4に長尺管P1が存在しない状態において、第1リング部材7、第2リング部材8及び第3リング部材9が取り付けられた基準管P2をX線検査装置4に設置する。そして、第1リング部材7にX線が放射される位置で、X線検査機41cを用いて第1リング部材7を含む基準管P2のX線画像である第1基準画像を生成する。本実施形態では、X線源412及びX線画像検出器413が上下方向に対向する位置にある状態(図2(b)に実線で示す状態)で、1枚の第1基準画像を生成する。
また、第2リング部材8にX線が放射されるように必要に応じて基準管P2の長手方向の位置を調整した後、X線検査機41cを用いて第2リング部材8を含む基準管P2のX線画像である第2基準画像を生成する。具体的には、第1基準画像と同様に、X線源412及びX線画像検出器413が上下方向に対向する位置にある状態で第2基準画像を生成する。
さらに、第3リング部材9にX線が放射されるように必要に応じて基準管P2の長手方向の位置を調整した後、X線検査機41cを用いて第3リング部材9を含む基準管P2のX線画像である第3基準画像を生成する。具体的には、第1基準画像と同様に、X線源412及びX線画像検出器413が上下方向に対向する位置にある状態で第3基準画像を生成する。
これら生成された第1基準画像〜第3基準画像は、X線検査機41cの画像処理装置414に記憶される。
<検査工程>
検査工程では、前述のように長尺管P1の周溶接部PWがX線検査装置4の配置位置(X線源412によってX線が放射される位置)に到着したタイミングで、X線検査機41cを用いて周溶接部PWを含む長尺管P1のX線画像である検査画像を生成する。具体的には、X線源412及びX線画像検出器413が上下方向に対向する位置にある状態のみならず、図2(b)に示す60°ピッチの3箇所の位置で、計3枚の検査画像を生成する。
<判定工程>
判定工程では、画像処理装置414に記憶されている第1基準画像〜第3基準画像と、検査画像とを用いて、長尺管P1の周溶接部PWの良否を判定する。具体的には、第1基準画像と3枚の検査画像とを比較して周溶接部PWのルートの良否を判定する。また、第2基準画像と3枚の検査画像とを比較して周溶接部PWのキャップの良否を判定する。さらに、第3基準画像と3枚の検査画像とを用いて周溶接部PWのアライメントの良否を判定する。なお、本実施形態では、各基準画像と検査画像とを比較するに際して、各基準画像における基準管P2の径方向の両側エッジ近傍に相当する画素領域をそれぞれ抽出すると共に、検査画像における長尺管P1の径方向の両側エッジ近傍に相当する画素領域をそれぞれ抽出して、同じ側の画素領域同士を比較する。なお、基準管P2又は長尺管P1の「径方向の両側エッジ」とは、基準管P2又は長尺管P1をX線源412及びX線画像検出器413の対向方向に直交する平面に投影した場合における、基準管P2又は長尺管P1の中心軸に対して径方向一方側のエッジ(外面エッジ及び内面エッジ)と、基準管P2又は長尺管P1の中心軸に対して径方向他方側のエッジ(外面エッジ及び内面エッジ)とを意味する。
本実施形態では、第1基準画像〜第3基準画像をそれぞれ1枚のみ生成しているが、本発明はこれに限るものではなく、検査画像と同様に、図2(b)に示す60°ピッチの3箇所の位置で、それぞれ計3枚の第1基準画像〜第3基準画像を生成することも可能である。この場合、第1基準画像と検査画像との比較は、X線源412及びX線画像検出器413が同じ位置にある状態で生成した画像同士を比較すればよい。第2基準画像及び第3基準画像についても同様である。
以下、各判定対象の判定方法について、より具体的に説明する。
<ルートの良否判定>
図5は、周溶接部PWのルートの良否判定方法を説明する説明図である。図5は、周溶接部PWのルートが不良であると判定される例を示す。図5(a)は第1基準画像(具体的には、第1基準画像における基準管P2の径方向の片側エッジ近傍に相当する画素領域)の例を模式的に示す図であり、図5(b)は第1基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルを模式的に示す図である。図5(c)は1枚の検査画像(具体的には、検査画像における長尺管P1の径方向の片側エッジ近傍に相当する画素領域)の例を模式的に示す図であり、図5(d)は検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルを模式的に示す図である。図5に示すX方向は長尺管P1及び基準管P2の長手方向に相当する方向を示す。Y方向は長尺管P1及び基準管P2の径方向に相当する方向を示す。後述の図6及び図7に示すX方向及びY方向についても同様である。
図5に示すように、ルートの良否判定を行う場合、X線検査機41cの画像処理装置414は、検査画像(図5(c))中の長尺管P1の内面に相当する画素領域PIの径方向位置(Y方向位置)と、第1基準画像(図5(a))中の基準管P2の内面に相当する画素領域PIの径方向位置(Y方向位置)とを合致させて、検査画像及び第1基準画像を比較する。具体的には、本実施形態の画像処理装置414は、検査画像中の画素領域PIのY方向位置と第1基準画像中の画素領域PIのY方向位置とが合致するように両画像をY方向に平行移動した後、画像処理装置414が具備するモニターに両画像を同時に表示する。図5に示す例では、便宜上、1枚の第1基準画像と1枚の検査画像とを同時に表示しているが、実際には、本実施形態では径方向の両側についてそれぞれ1枚の第1基準画像と3枚の検査画像とが同時に表示される。
なお、第1基準画像(図5(a))中の画素領域PIのY方向位置は、例えば、図5(b)に示す第1基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極小点を検出することにより自動的に検出可能である。また、第1基準画像において、第1リング部材7に相当する画素領域のX方向位置は予め把握可能である。このため、濃度プロファイルを評価する上記所定のX方向位置としては、第1基準画像において、第1リング部材7が取り付けられていない基準管P2の部位に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
同様に、検査画像(図5(c))中の画素領域PIのY方向位置は、例えば、図5(d)に示す検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極小点を検出することにより自動的に検出可能である。また、検査画像において、周溶接部PWに相当する画素領域のX方向位置は予め予測可能である。前述のように、制御装置5によって、周溶接部PWがX線源412によってX線が放射される位置に到着したタイミングで長尺管P1は停止するからである。このため、濃度プロファイルを評価する上記所定のX方向位置としては、検査画像において、周溶接部PWが形成されていない長尺管P1の部位に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
そして、検査画像(図5(c))中の周溶接部PWの内面ビードの頂部に相当する画素領域BIの径方向位置(Y方向位置)が、第1基準画像(図5(a))中の第1リング部材7の内面に相当する画素領域71の径方向位置(Y方向位置)と同一又は径方向(Y方向)外側であれば、周溶接部PWは内面ビードの寸法が良好である(ルートが判定基準以下である)と判定することが可能である。
検査画像中の画素領域BIのY方向位置が第1基準画像中の画素領域71のY方向位置と同一又はY方向外側であるか否かは、画像処理装置414が自動判定してもよいし、図5に示すように、画素領域71を通りY方向に直交する直線72をモニタに表示して作業者が目視で判定してもよい。
なお、第1基準画像(図5(a))中の画素領域71のY方向位置は、例えば、図5(b)に示す第1基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極小点を検出することにより自動的に検出可能である。上記所定のX方向位置としては、第1基準画像において、予め把握可能な第1リング部材7に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
同様に、検査画像(図5(c))中の画素領域BIのY方向位置は、例えば、図5(d)に示す検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極小点を検出することにより自動的に検出可能である。上記所定のX方向位置としては、検査画像において、予め予測可能な周溶接部PWに相当する画素領域の位置に設定すればよい。
一方、検査画像(図5(c))中の周溶接部PWの内面ビードの頂部に相当する画素領域BIの径方向位置(Y方向位置)が、第1基準画像(図5(a))中の第1リング部材7の内面に相当する画素領域71の径方向位置(Y方向位置)よりも径方向(Y方向)内側であれば、周溶接部PWの内面ビードの寸法が不良である(ルートが判定基準を超えている)と判定することが可能である。
図5に示す例では、画素領域BIの径方向位置が画素領域71の径方向位置よりも径方向内側であるため、周溶接部PWの内面ビードの寸法は不良であると判定される。
以上に説明したルートの良否判定方法によれば、第1基準画像及び検査画像を比較するだけで、比較的容易に判定可能であるため、長尺管P1の製造過程において、周溶接部PWの内面ビードの寸法の良否を全数判定可能である。
<キャップの良否判定>
図6は、周溶接部PWのキャップの良否判定方法を説明する説明図である。図6は、周溶接部PWのキャップが不良であると判定される例を示す。図6(a)は第2基準画像(具体的には、第2基準画像における基準管P2の径方向の片側エッジ近傍に相当する画素領域)の例を模式的に示す図であり、図6(b)は第2基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルを模式的に示す図である。図6(c)は1枚の検査画像(具体的には、検査画像における長尺管P1の径方向の片側エッジ近傍に相当する画素領域)の例を模式的に示す図であり、図6(d)は検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルを模式的に示す図である。
図6に示すように、キャップの良否判定を行う場合、X線検査機41cの画像処理装置414は、検査画像(図6(c))中の長尺管P1の外面に相当する画素領域POの径方向位置(Y方向位置)と、第2基準画像(図6(a))中の基準管P2の外面に相当する画素領域POの径方向位置(Y方向位置)とを合致させて、検査画像及び第2基準画像を比較する。具体的には、本実施形態の画像処理装置414は、検査画像中の画素領域POのY方向位置と第2基準画像中の画素領域POのY方向位置とが合致するように両画像をY方向に平行移動した後、画像処理装置414が具備するモニターに両画像を同時に表示する。図6に示す例では、便宜上、1枚の第2基準画像と1枚の検査画像とを同時に表示しているが、実際には、本実施形態では径方向の両側についてそれぞれ1枚の第2基準画像と3枚の検査画像とが同時に表示される。
なお、第2基準画像(図6(a))中の画素領域POのY方向位置は、例えば、図6(b)に示す第2基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極大点を検出することにより自動的に検出可能である。また、第2基準画像において、第2リング部材8に相当する画素領域のX方向位置は予め把握可能である。このため、濃度プロファイルを評価する上記所定のX方向位置としては、第2基準画像において、第2リング部材8が取り付けられていない基準管P2の部位に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
同様に、検査画像(図6(c))中の画素領域POのY方向位置は、例えば、図6(d)に示す検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極大点を検出することにより自動的に検出可能である。また、濃度プロファイルを評価する上記所定のX方向位置としては、ルートの良否を判定する場合と同様に、検査画像において、周溶接部PWが形成されていない長尺管P1の部位に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
そして、検査画像(図6(c))中の周溶接部PWの外面ビードの頂部に相当する画素領域BOの径方向位置(Y方向位置)が、第2基準画像(図6(a))中の第2リング部材8の外面に相当する画素領域81の径方向位置(Y方向位置)と同一又は径方向(Y方向)内側であれば、周溶接部PWは外面ビードの寸法が良好である(キャップが判定基準以下である)と判定することが可能である。
検査画像中の画素領域BOのY方向位置が第2基準画像中の画素領域81のY方向位置と同一又はY方向内側であるか否かは、画像処理装置414が自動判定してもよいし、図6に示すように、画素領域81を通りY方向に直交する直線82をモニタに表示して作業者が目視で判定してもよい。
なお、第2基準画像(図6(a))中の画素領域81のY方向位置は、例えば、図6(b)に示す第2基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極大点を検出することにより自動的に検出可能である。上記所定のX方向位置としては、第2基準画像において、予め把握可能な第2リング部材8に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
同様に、検査画像(図6(c))中の画素領域BOのY方向位置は、例えば、図6(d)に示す検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極大点を検出することにより自動的に検出可能である。上記所定のX方向位置としては、検査画像において、予め予測可能な周溶接部PWに相当する画素領域の位置に設定すればよい。
一方、検査画像(図5(c))中の周溶接部PWの外面ビードの頂部に相当する画素領域BOの径方向位置(Y方向位置)が、第2基準画像(図6(a))中の第2リング部材8の外面に相当する画素領域81の径方向位置(Y方向位置)よりも径方向(Y方向)外側であれば、周溶接部PWの外面ビードの寸法が不良である(キャップが判定基準を超えている)と判定することが可能である。
図6に示す例では、画素領域BOの径方向位置が画素領域81の径方向位置よりも径方向外側であるため、周溶接部PWの外面ビードの寸法は不良であると判定される。
以上に説明したキャップの良否判定方法によれば、第2基準画像及び検査画像を比較するだけで、比較的容易に判定可能であるため、長尺管P1の製造過程において、周溶接部PWの外面ビードの寸法の良否を全数判定可能である。
<アライメントの良否判定>
図7は、周溶接部PWのアライメントの良否判定方法を説明する説明図である。図7は、周溶接部PWのアライメントが良好であると判定される例を示す。図7(a)は第3基準画像(具体的には、第3基準画像における基準管P2の径方向の片側エッジ近傍に相当する画素領域)の例を模式的に示す図であり、図7(b)は第3基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルを模式的に示す図である。図7(c)は1枚の検査画像(具体的には、検査画像における長尺管P1の径方向の片側エッジ近傍に相当する画素領域)の例を模式的に示す図であり、図7(d)は検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルを模式的に示す図である。
図7に示すように、アライメントの良否判定を行う場合、X線検査機41cの画像処理装置414は、検査画像(図7(c))中の長尺管P1の周溶接部PWを挟んだ両外面のうち径方向(Y方向)内側に位置する一方の外面(図7(c)に示す例では、周溶接部PWよりも上側に位置する外面)に相当する画素領域POの径方向位置(Y方向位置)と、第3基準画像(図7(a))中の基準管P2の外面に相当する画素領域POの径方向位置(Y方向位置)とを合致させて、検査画像及び第3基準画像を比較する。具体的には、本実施形態の画像処理装置414は、検査画像中の画素領域POのY方向位置と第3基準画像中の画素領域POのY方向位置とが合致するように両画像をY方向に平行移動した後、画像処理装置414が具備するモニターに両画像を同時に表示する。図7に示す例では、便宜上、1枚の第3基準画像と1枚の検査画像とを同時に表示しているが、実際には、本実施形態では径方向の両側についてそれぞれ1枚の第3基準画像と3枚の検査画像とが同時に表示される。
なお、第3基準画像(図7(a))中の画素領域POのY方向位置は、例えば、図7(b)に示す第3基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極大点を検出することにより自動的に検出可能である。また、第3基準画像において、第3リング部材9に相当する画素領域のX方向位置は予め把握可能である。このため、濃度プロファイルを評価する上記所定のX方向位置としては、第3基準画像において、第3リング部材9が取り付けられていない基準管P2の部位に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
同様に、検査画像(図7(c))中の画素領域POのY方向位置は、例えば、図7(d)に示す検査画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極大点を検出することにより自動的に検出可能である。また、濃度プロファイルを評価する上記所定のX方向位置としては、ルートやキャップの良否を判定する場合と同様に、検査画像において、周溶接部PWが形成されていない長尺管P1の部位に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
検査画像において、長尺管P1の周溶接部PWを挟んだ両外面のうち何れの外面がY方向内側に位置しているかについては、以下のようにして判定可能である。すなわち、周溶接部PWの上方に位置するX方向位置における濃度プロファイルの極大点から画素領域POのY方向位置を検出するのと同様に、周溶接部PWの下方に位置するX方向位置における濃度プロファイルの極大点から画素領域PO’のY方向位置を検出する。そして、画素領域POのY方向位置と画素領域PO’のY方向位置との何れがY方向内側であるかを判定すればよい。図7に示す例では、画素領域POのY方向位置の方がY方向内側になっている。
そして、検査画像(図7(c))中の長尺管P1の周溶接部PWを挟んだ両外面のうち径方向(Y方向)外側に位置する他方の外面に相当する画素領域PO’の径方向位置が、第3基準画像(図7(a))中の第3リング部材9の外面に相当する画素領域91の径方向位置(Y方向位置)と同一又は径方向(Y方向)内側であれば、周溶接部PWはアライメントが良好である(ミスアライメントが判定基準以下である)と判定することが可能である。
検査画像中の画素領域PO’のY方向位置が第3基準画像中の画素領域91のY方向位置と同一又はY方向内側であるか否かは、画像処理装置414が自動判定してもよいし、図7に示すように、画素領域91を通りY方向に直交する直線92をモニタに表示して作業者が目視で判定してもよい。
図7に示す例では、画素領域PO’の径方向位置が画素領域91の径方向位置よりも径方向内側であるため、周溶接部PWのアライメントは良好であると判定される。
なお、第3基準画像(図7(a))中の画素領域91のY方向位置は、例えば、図7(b)に示す第3基準画像の所定のX方向位置におけるY方向に沿った濃度プロファイルの極大点を検出することにより自動的に検出可能である。上記所定のX方向位置としては、第3基準画像において、予め把握可能な第3リング部材9に相当する画素領域の位置に設定すればよい。
一方、検査画像(図7(c))中の長尺管P1の周溶接部PWを挟んだ両外面のうち径方向(Y方向)外側に位置する他方の外面に相当する画素領域PO’の径方向位置が、第3基準画像(図7(a))中の第3リング部材9の外面に相当する画素領域91の径方向位置(Y方向位置)よりも径方向(Y方向)外側であれば、周溶接部PWはアライメントが不良である(ミスアライメントが判定基準を超えている)と判定することが可能である。
以上に説明したアライメントの良否判定方法によれば、第3基準画像及び検査画像を比較するだけで、比較的容易に判定可能であるため、長尺管P1の製造過程において、周溶接部PWのアライメントの良否を全数判定可能である。
以上に説明した本実施形態に係る周溶接部PWの検査方法によって長尺管P1の周溶接部PWが不良であると判断された場合、前述のように、溶接装置2とX線検査装置4とが搬送装置1に沿って互いに別個に移動可能とされているため、制御装置5は、好ましい態様として、以下の第1手順〜第6手順を実行可能である。以下、図8〜図13を適宜参照しつつ、制御装置5が実行する第1手順〜第6手順について説明する。なお、図8〜図14は、制御装置が実行する第1手順〜第6手順による溶接装置2及びX線検査装置4の動きを説明する平面図であり、便宜上、搬送装置1の図示は省略している。
<第1手順>
図8に破線で示す初期位置にあるX線検査装置4によって長尺管P1の周溶接部PWが不良であると判断された場合、制御装置5は、X線検査装置4を長尺管P1の搬送方向下流側に移動させる。X線検査装置4の移動量は、不良であると判断された周溶接部PWの切断作業の邪魔にならず、なお且つ、後述の第2手順において溶接装置2を長尺管P1の搬送方向下流側に移動させた際に、溶接装置2がX線検査装置4と干渉しないように設定することが好ましい。
X線検査装置4が移動した後、図9に示すように、不良であると判断された周溶接部PWを切断すればよい。周溶接部PWの切断は、例えば、溶接装置2の下流側に設置された可搬式の切断機を用いて、作業者が手動で行うことが可能である。
なお、切断後の長尺管P1の端面は、バリ取りや研磨等を施し、後述の第3手順において周溶接を施し易くすることが好ましい。長尺管P1の端面のバリ取りや研磨は、例えば、溶接装置2の下流側に設置された可搬式の開先・面取り機を用いて、作業者が手動で行うことが可能である。
<第2手順>
次に、制御装置5は、図10に示すように、不良であると判断された周溶接部PWが切断された後の長尺管P1の切断箇所まで、破線で示す初期位置にある溶接装置2を長尺管P1の搬送方向下流側に移動させる。
<第3手順>
次に、制御装置5は、図11に示すように、溶接装置2を駆動して、溶接装置2によって長尺管P1の切断箇所に再び周溶接を施し、周溶接部PWを形成する。
以上に説明した第1手順〜第3手順によれば、搬送装置1及び巻取装置3(図1参照)を逆方向に駆動して長尺管P1を逆方向(上流側)に搬送する必要がない。長尺管P1を逆方向に搬送する代わりに、X線検査装置4及び溶接装置2を長尺管P1の通常の搬送方向に移動させている。
<第4手順>
次に、制御装置5は、図12に示すように、溶接装置2を長尺管P1の搬送方向上流側に移動させる。この際、溶接装置2を初期位置(図8に示す位置)まで移動させることが好ましい。これにより、後述の第5手順においてX線検査装置4を移動させても、溶接装置2がX線検査装置4に干渉しない。
<第5手順>
次に、制御装置5は、図13に示すように、長尺管P1の再び形成された周溶接部PWまで、X線検査装置4を長尺管P1の搬送方向上流側に移動させる。すなわち、X線検査装置4を初期位置(図8に破線で示す位置)まで移動させる。
なお、第4手順及び第5手順は、X線検査装置4の移動速度の方が大きくて溶接装置2とX線検査装置4とが干渉するというような支障が無い限り、同時に実行することも可能である。
<第6手順>
最後に、制御装置5は、X線検査装置4を駆動して、X線検査装置4によって長尺管P1の再び形成された周溶接部PWを検査する。
以上に説明した第4手順〜第6手順においても、長尺管P1を搬送する必要がない。
すなわち、上記の第1手順〜第6手順を実行することにより、搬送装置1及び巻取装置3を逆方向に駆動することなく(長尺管P1を逆方向に搬送することなく)、溶接装置2で長尺管P1に再び周溶接部PWを形成し、X線検査装置4で再び形成された周溶接部PWを検査することが可能である。このため、長尺管P1を逆方向に搬送することに起因する外面疵の発生や強度の劣化を抑制可能である。
上記の第1手順〜第6手順を実行した結果、再び形成された周溶接部PWが正常であると判断された場合、制御装置5が搬送装置2及び巻取装置3を駆動することで、長尺管P1は搬送され、リール31に巻き取られる。一方、再び形成された周溶接部PWが不良であると判断された場合、上記の第1手順〜第6手順が繰り返し実行されることになる。
1・・・搬送装置
2・・・溶接装置
3・・・巻取装置
4・・・X線検査装置
5・・・制御装置
7・・・第1リング部材
8・・・第2リング部材
9・・・第3リング部材
31・・・リール
41・・・X線検査装置本体
42・・・X線漏洩抑制機構
100・・・長尺管の製造設備
P・・・管
P1・・・被検査管(長尺管)
P2・・・基準管
PW・・・周溶接部

Claims (3)

  1. 被検査管に向けてX線を放射するX線源と、前記被検査管を挟んで前記X線源に対向する位置に配置され、前記X線源から放射されて前記被検査管を透過したX線を検出してX線画像を生成するX線画像検出器とを備えるX線検査機を用いて被検査管の周溶接部を検査する方法であって、
    被検査管と外径及び内径が同じ基準管を用意し、前記基準管の内径と略同一の外径を有すると共に判定基準に応じた肉厚を有する第1リング部材を前記基準管の内面に取り付け、前記X線検査機を用いて前記第1リング部材を含む前記基準管のX線画像である第1基準画像を生成する準備工程と、
    前記X線検査機を用いて前記周溶接部を含む前記被検査管のX線画像である検査画像を生成する検査工程と、
    前記第1基準画像及び前記検査画像を用いて、前記被検査管の周溶接部の良否を判定する判定工程とを含み、
    前記判定工程において、
    前記検査画像中の前記被検査管の内面に相当する画素領域の径方向位置と、前記第1基準画像中の前記基準管の内面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、前記検査画像及び前記第1基準画像を比較した場合に、
    前記検査画像中の前記周溶接部の内面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第1基準画像中の前記第1リング部材の内面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向外側であれば、前記周溶接部は内面ビードの寸法が良好であると判定し、
    前記検査画像中の前記周溶接部の内面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第1基準画像中の前記第1リング部材の内面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向内側であれば、前記周溶接部は内面ビードの寸法が不良であると判定する、
    ことを特徴とする周溶接部の検査方法。
  2. 前記準備工程において、前記基準管の外径と略同一の内径を有すると共に判定基準に応じた肉厚を有する第2リング部材を前記基準管の外面に取り付け、前記X線検査機を用いて前記第2リング部材を含む前記基準管のX線画像である第2基準画像を生成し、
    前記判定工程において、
    前記検査画像中の前記被検査管の外面に相当する画素領域の径方向位置と、前記第2基準画像中の前記基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、前記検査画像及び前記第2基準画像を比較した場合に、
    前記検査画像中の前記周溶接部の外面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第2基準画像中の前記第2リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向内側であれば、前記周溶接部は外面ビードの寸法が良好であると判定し、
    前記検査画像中の前記周溶接部の外面ビードの頂部に相当する画素領域の径方向位置が、前記第2基準画像中の前記第2リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向外側であれば、前記周溶接部は外面ビードの寸法が不良であると判定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の周溶接部の検査方法。
  3. 前記準備工程において、前記基準管の外径と略同一の内径を有すると共に判定基準に応じた肉厚を有する第3リング部材を前記基準管の外面に取り付け、前記X線検査機を用いて前記第3リング部材を含む前記基準管のX線画像である第3基準画像を生成し、
    前記判定工程において、
    前記検査画像中の前記被検査管の周溶接部を挟んだ両外面のうち径方向内側に位置する一方の外面に相当する画素領域の径方向位置と、前記第3基準画像中の前記基準管の外面に相当する画素領域の径方向位置とを合致させて、前記検査画像及び前記第3基準画像を比較した場合に、
    前記検査画像中の前記被検査管の周溶接部を挟んだ両外面のうち径方向外側に位置する他方の外面に相当する画素領域の径方向位置が、前記第3基準画像中の前記第3リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置と同一又は径方向内側であれば、前記周溶接部はアライメントが良好であると判定し、
    前記検査画像中の前記被検査管の前記他方の外面に相当する画素領域の径方向位置が、前記第3基準画像中の前記第3リング部材の外面に相当する画素領域の径方向位置よりも径方向外側であれば、前記周溶接部はアライメントが不良であると判定する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の周溶接部の検査方法。
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