JP2009210339A - 欠陥検査方法、欠陥検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射線画像を用いた欠陥検査において、被検査部位の形状と欠陥を自動的に区別することのできる欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】表面形状計測手段30が被検査部位を走査して得た計測結果データを取得する計測ステップと、放射線撮像手段41を移動させながら被検査部位を撮像して得た撮像画像データを取得する撮像ステップと、被検査部位の所定部位を基準として、計測結果データと、撮像画像データを走査して得られる濃淡パターンデータとを対応付ける対応ステップと、対応ステップで対応付けした計測結果データと濃淡パターンデータの差分を求める差分算出ステップと、差分に基づき被検査部位の内部欠陥を検査する検査ステップと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検査物の被検査部位の内部欠陥を検査する方法、およびその装置に関するものである。
従来、配管の検査装置に関し、『管内面の腐食状況とともに管外面の状況も高精度に測定する。』ことを目的とした技術として、『管1内を走行するテレビカメラ11を回動しながら管内面を撮影して、管内の溶接部の状況や腐食の状況を観察する。そして腐食等の部分の表面を表面処理手段13で清掃した後、光源12から一定角度傾いたスリット光を照射しながらスリット光の像を撮影し、管内面の凹凸の深さ,高さを算出し、その幅,長さと共に表示する。その後、センサ部14の探触子20からその部分に超音波を送波し、板厚を測定し制御部に送り、管内面の凹凸の深さ,高さ等と共に表示する。』というものが提案されている(特許文献1)。
また、X線検査に関し、『モニタ装置の画像上で溶接部の欠陥を精度良く検出する。』ことを目的とした技術として、『X線センサ9としてCCDを使用し、X線センサ9で連続して撮像したX線透過画像を演算処理部24で積分処理してノイズを除去して連続した合成画像を形成して表示部25に表示する。検査者が表示された合成画像を確認して欠陥の種類を入力すると、判定支援部26は欠陥の種類に応じた欠陥判定用のカーソルを表示部25に表示し、入力した疵種と表示されたカーソルにより示された位置と寸法を示す判定経過図を作成する。』というものが提案されている(特許文献2)。
また、超音波検査における形状エコー判別に関し、『超音波探傷試験方法において被検体の探傷面及び探傷面裏側にある溶接継手の溶接部形状によって発生する形状エコーと欠陥エコーとを判別する方法において、正しく判別できない場合があり、超音波探傷試験の信頼性を下げる原因となっていた。』ことを課題とする技術として、『超音波探傷試験方法において欠陥エコーと形状エコーを判別する場合に超音波探傷を行う探傷面及び探傷面裏側における溶接継手の溶接部形状による影響が大きいため超音波探傷試験を行う時に溶接部形状を計測し、超音波探傷試験結果に形状計測結果を加えて判定することにより、形状エコーと欠陥エコーを正しく判別できるようになった。』というものが提案されている(特許文献3)。
特開平5−26653号公報(要約) 特開2000−180387号公報(要約) 特開2005−77389号公報(要約)
上記特許文献2に記載のような放射線透過画像を用いた欠陥検査において、溶接部の形状(例えば溶接ビード)が欠陥とともに重畳的に検出される場合があり、欠陥と溶接部形状を区別することが困難であった。
一方、上記特許文献3に記載の技術では、超音波探傷による欠陥位置の特定と、例えば上記特許文献1に記載のようなレーザ光を用いた溶接部の形状計測技術とを併用し、欠陥と溶接部形状を区別することが行われている。
しかし、放射線画像を用いた欠陥検査では、欠陥や溶接部形状の位置は2次元平面上に画像の濃淡パターンとして暗黙的に表れるため、これを超音波探傷のような欠陥座標を特定する技術と併用しても、そのままでは欠陥と溶接部形状を確実かつ自動的に区別することが困難である。
したがって、放射線画像を用いた欠陥検査では、人間が放射線画像を目視して欠陥や溶接部形状の位置を判定することが行われる。また、位置とともに、その画像が欠陥であるのか、それとも溶接部の表面形状であるのかを、経験的に判断する場合もある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、放射線画像を用いた欠陥検査において、被検査部位の形状と欠陥を自動的に区別することのできる欠陥検査方法を提供することを目的とする。
本発明に係る欠陥検査方法は、被検査物の被検査部位の表面形状を計測する表面形状計測手段と、放射線を用いて前記被検査部位を撮像する放射線撮像手段と、を用いて前記被検査物の内部欠陥を検査する方法であって、前記表面形状計測手段が前記被検査部位を走査して得た計測結果データを取得する計測ステップと、前記放射線撮像手段を移動させながら前記被検査部位を撮像して得た撮像画像データを取得する撮像ステップと、前記被検査部位の所定部位を基準として、前記計測結果データと、前記撮像画像データを走査して得られる濃淡パターンデータとを対応付ける対応ステップと、前記対応ステップで対応付けした前記計測結果データと前記濃淡パターンデータの差分を求める差分算出ステップと、前記差分に基づき前記被検査部位の内部欠陥を検査する検査ステップと、を有するものである。
本発明に係る欠陥検査方法では、放射線撮像手段の撮像画像データをそのまま用いるのではなく、同データから得られる濃淡パターンを用いることとし、これと表面形状計測手段の計測結果データとの差分に基づき被検査部位の内部欠陥を検査する。
そのため、形式の異なる2種類のデータを、差分演算が可能な形式に揃え、これらに基づき被検査部位の形状と欠陥を自動的に区別して内部欠陥のみを検出することができるのである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る欠陥検査装置を用いた検査作業イメージである。ここでは、配管10の被検査部位20を検査する例を示す。また、欠陥検査装置の全体構成は、後述の図2で改めて説明する。
図1(a)は配管10の外部における作業イメージ、図1(b)は配管10の内部における作業イメージを示すものである。
配管10は、被検査部位20で円周方向に突合せ溶接されており、被検査部位20には円周方向に沿って溶接ビードが形成されている。溶接ビードには、配管10の外壁に沿った表ビード21と、内壁に沿った裏ビード22がある。これらについては、後述の図3で改めて説明する。
表面形状計測装置30は、被検査部位20の外壁部分を配管10の円周方向に沿って回転移動し、表面形状を計測する装置である。
表面形状計測装置30の構成例としては、上記特許文献1に記載されているレーザスリットとカメラを用いた計測装置が挙げられる。
計測結果データは、表面形状計測装置30が内蔵するHDD(Hard Disk Drive)等の書き込み可能な記憶装置に格納してもよいし、図示しないコンピュータ等に有線または無線で接続してこれに出力するようにしてもよい。また、計測完了後に計測結果データのみ取り出すようにしてもよい。
表面形状計測装置30の動作制御は、表面形状計測装置30が内蔵するマイコンやCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で構成された制御部が自律的に行うように構成してもよいし、外部のコンピュータ等の演算装置と表面形状計測装置30を接続して、その演算装置の指示により動作制御を行うように構成してもよい。
管内検査装置40は、配管10の内部に設置され、または自走により移動し、被検査部位20を内側から検査する装置である。
管内検査装置40は、表面形状計測装置30と同様の機能を備えた表面形状計測装置41(図示せず)を備え、被検査部位20の内壁部分を配管10の円周方向に沿って回転して走査し、表面形状を計測する。
また、管内検査装置40は、X線撮像装置42(図示せず)を備え、被検査部位20を配管10の内側から配管10の円周方向に沿って回転し、同部位のX線透過画像を内側から撮像する。
表面形状計測装置41の計測結果データと、X線撮像装置42の撮像画像データは、管内検査装置40が内蔵するHDD等の書き込み可能な記憶装置に格納してもよいし、図示しないコンピュータ等に有線または無線で接続してこれに出力するようにしてもよい。また、計測完了後に計測結果データのみ取り出すようにしてもよい。
管内検査装置40の動作制御は、管内検査装置40が内蔵するマイコンやCPU等の演算装置で構成された制御部が自律的に行うように構成してもよいし、外部のコンピュータ等の演算装置と管内検査装置40を接続してその演算装置の指示により動作制御を行うように構成してもよい。
図2は、本実施の形態1に係る欠陥検査装置の全体構成図である。
本実施の形態1に係る欠陥検査装置は、表面形状計測装置30、管内検査装置40、演算装置50を備える。
図2では、各機器が接続されている構成を図示したが、表面形状計測装置30の計測結果データと管内検査装置40の撮像画像データを演算装置50が後にオフラインで取得することとし、各機器を接続しない構成としてもよい。
即ち、表面形状計測装置30が行う被検査部位20の外面部形状計測と、管内検査装置40が行う被検査部位20の内面形状計測およびX線画像の撮像は、演算装置50の処理とは別に行い、その結果のみ演算装置50が取得するように構成してもよい。
演算装置50は、計測処理部51、撮像処理部52、対応処理部53、差分抽出部54、検査部55を備える。以下、各部の機能について説明する。
計測処理部51は、表面形状計測装置30の計測結果データと、管内検査装置40が備える表面形状計測装置41の計測結果データとを取得し、後述の図4で説明する処理を行った上で、対応処理部53に出力する。
撮像処理部52は、管内検査装置40が備えるX線撮像装置42の撮像画像データを取得し、後述の図6で説明する処理を行った上で、対応処理部53に出力する。
対応処理部53は、計測処理部51が取得した表面形状の計測結果データと、撮像処理部52が取得した撮像画像データとを、所定基準に基づき対応付けて、その結果を差分抽出部54に出力する。対応付け処理の具体的な内容は、後述の図7で説明する。
差分抽出部54は、対応処理部53の処理結果を受け取り、対応付け処理を行った後の表面形状の計測結果データと撮像画像データとの差分を求め、検査部55に出力する。
検査部55は、差分抽出部54の処理結果を受け取り、その結果に基づき被検査部位20の内部欠陥を検査する。
これらの処理の詳細は、後述の図8で改めて説明する。
計測処理部51、撮像処理部52、対応処理部53、差分抽出部54、検査部55は、これらの機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、CPUやマイコンのような演算装置と、その動作を規定するソフトウェアとで構成することもできる。
計測処理部51、撮像処理部52は、表面形状計測装置30や管内検査装置40からデータを受け取る場合は、必要なインターフェース等を適宜備える。
図3は、表面形状計測装置30および41の計測手法を説明するものである。
図3において、被検査部位20の配管10外壁側には、溶接作業に伴い表ビード21が形成されている。同様に内壁側には、一般に表ビード21よりも小さい裏ビード22が形成されている。
表面形状計測装置30は、被検査部位20のやや斜め上方からスリットレーザ(細いレーザ光)を照射する。これが表ビード21に当たると、被検査部位20に描かれる直線上の光線のうちその部分の形状のみが、表ビード21の形状に合わせて変形する。
表面形状計測装置30は、この変形したスリットレーザの形状をカメラ等で撮像する等の手段により、表ビード21の形状を、被検査部位20の表側の表面形状計測結果として取得する。
計測結果は、図3に示すような変形したスリットレーザの形状を表す計測結果データとして、計測処理部51に引き渡される。計測結果データのデータ形式は任意のものでよいが、例えば、横軸を管長方向の計測位置、縦軸をビードの管径方向の高さとした2次元グラフの数値データとすることが考えられる。
表面形状計測装置41も、表面形状計測装置30と同様に被検査部位20の内壁側やや斜めからスリットレーザを照射し、裏ビード22の形状に合わせて変形したスリットレーザの形状を表す計測結果データを、計測処理部51に出力する。
図4は、計測処理部51の処理内容を説明する図である。
計測処理部51は、表面形状計測装置30と41の計測結果データを受け取る。この計測結果データは、図4(a)(b)に示すように、表ビード21と裏ビード22の凹凸パターン形状を表している。両者のデータ形式は、計測処理部51が取得した時点で揃っているものとするが、揃っていない場合は適宜データ変換を行ってもよい。
計測処理部51は、受け取った計測結果データを、図4(c)のように合算する。このとき、表ビード21の高さと裏ビード22の高さが同じ方向を向くように、データの向きを反転させるなどして適宜揃えておく。これは、後述の図6で説明するX線透過画像の濃淡パターンと比較し易くするための措置である。図6で改めて説明する。
合算の結果、図4(c)に示すように、表ビード21と裏ビード22の盛り上がりを重畳したような形状のデータ系列が作成される。
図5は、X線撮像装置42の撮像過程を説明するものである。
X線撮像装置42は、被検査部位20に沿って配管10の円周方向に回転して被検査部位20を走査し、被検査部位20の内壁側からX線を照射して被検査部位20のX線透過画像を撮像する。
被検査部位20のX線透過画像を得る手法としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(1)被検査部位20外側のX線撮像装置42に対向する位置にX線フィルムを配設して撮像画像を得る。
(2)シンチレータのような発光部材を被検査部位20外側のX線撮像装置42に対向する位置に配設し、カメラと被検査部位20の間にシンチレータを介在させ、シンチレータが発光した光を撮像することで、被検査部位20の撮像画像を得る。
図6は、撮像処理部52の処理内容を説明する図である。
X線撮像装置42が撮像した被検査部位20のX線透過画像は、X線が裏ビード22〜表ビード21を透過することから、表ビード21と裏ビード22が同一画像内に重畳された濃淡パターンとして撮像される。
図6(a)は、被検査部位20のX線透過画像を管周方向に展開して帯状表示した例である。同図に示すように、表ビード21はその他の部分と異なる画像濃度で撮像され、その中央部に重畳するように、裏ビード22がさらに異なる画像濃度で撮像される。
また、被検査部位20に内部欠陥23が内在している場合は、その部分が他の部分とは異なる画像濃度で撮像される。
なお、図6(a)は、説明の簡易の観点から、X線透過画像のネガ・ポジには配慮していないことを付言しておく。
図6(b)は、図6(a)に示すX線透過画像のある位置を管長方向に走査して得られる画像濃淡パターンをグラフ化したものである。ここでは、図6(a)の内部欠陥23が存在している位置を走査した例を示す。
図6(b)のように、縦軸を画像濃度、横軸を管長方向の位置として走査結果をグラフ化すると、表ビード21と裏ビード22の濃淡パターンが重畳され、2重盛り上がりの山状のグラフが形成される。
また、内部欠陥23が存在している部分は、他の部分と画像濃度が異なるため、この部分のみグラフ形状が崩れて現れる。
図6(b)のグラフ形状は、内部欠陥23の形状が現れていることと、グラフの縦横軸および基準位置が異なる点を除けば、図4(c)で説明した表面形状の計測結果データと同じ形式であると言える。
そこで、図4(c)のグラフと図6(b)のグラフを比較することにより、表ビード21と裏ビード22の形状を、内部欠陥23と区別することができるのである。具体的な手法については、以下の説明で詳細を述べる。
図7は、対応処理部53の処理内容を示すものである。
対応処理部53は、図4(c)で説明した表面形状の計測結果データと、図6(b)で説明したX線透過画像の濃淡パターンとを受け取り、両者の対応付けを行う。
なお、両者のデータを得る際の被検査部位20上における位置は、相互に一致しているものとする。即ち、図4(c)の計測結果データを得る際のスリットレーザ照射位置と、図6(b)の濃淡パターンを得る際のX線透過画像の走査位置とは、データ取得時に別途位置合わせを行うなどして一致させておく。
ここでいう対応付けとは、以下のようなことをいう。
即ち、図4(c)で説明した表面形状の計測結果データと、図6(b)で説明したX線透過画像の濃淡パターンデータとは、同じ位置について取得したものであっても、計測手法が異なるため、データのスケールやサンプリング幅等が異なっている場合がある。
そこで、対応処理部53は、両者の比較が容易になるように、所定基準をもって両者の対応付けを行う。
図7では、図7(a)に示す表面形状の計測結果データと、図7(b)に示す濃淡パターンとが、横軸方向にずれている例を示した。
この場合、対応処理部53は、例えば表ビード21に相当する部分を基準として、両者の位置が合致するように、データの補正を行う。ここでは、図7(a)の計測結果データを右方向にずらし、図7(a)(b)の表ビード21の位置が重なるようにする。
この対応付け手法以外にも、例えば裏ビード22の位置を基準とする手法や、これらの双方を基準とする手法など、種々の対応付け手法が考えられる。また、横軸方向のみならず、縦軸方向の対応付けを行ってもよい。
対応処理部53は、対応付けを行った結果を差分抽出部54に出力する。
図8は、差分抽出部54の処理内容を説明するものである。
図8(a)(b)は、対応付け処理後の表面形状の計測結果データとX線透過画像の濃淡パターンを示す。
差分抽出部54は、図8(a)(b)に示すような、対応処理部53の処理結果を受け取って、計測結果データと濃淡パターンデータの差分を求める。差分を求めた結果、図8(c)に示すように、内部欠陥23に相当する部分のみが残ることになる。
差分抽出部54は、図8(c)のような差分算出結果を検査部55に出力する。
検査部55は、差分抽出部54の処理結果を受け取り、これに基づき内部欠陥23を検出する。図8(c)の例では、内部欠陥23に相当する部分の値の大きさが所定の閾値を超えている場合に、当該箇所に内部欠陥が存在するものと判定する。
このように、所定の閾値を用いて内部欠陥23を検出するのは、表面形状の計測結果データやX線透過画像の濃淡パターンに、一定の計測ノイズ等が含まれていることに配慮したものである。
即ち、差分抽出部54の処理後のデータに急変部分が含まれていれば、その部分に内部欠陥23が存在する可能性が高いことに鑑みたものである。
なお、このような所定閾値による検出とは別に、画像の連続性を判断することにより、内部欠陥23の存在を判定することもできる。両者の手法を併用することもできる。
また、表ビード21や裏ビード22などの表面形状の他に、溶接リップル(溶接部の波)についても、差分抽出部54の処理により削除することができる。この場合は、溶接リップルに係る凹凸パターンも、差分抽出部54の処理により削除することになる。
以上の説明では、管内検査装置40にX線撮像装置42を搭載して内側からX線透過画像を撮像する例を示したが、表面形状計測装置30にX線撮像装置を搭載し、外側からX線透過画像を撮像するようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態1によれば、表面形状計測装置30と41の計測結果データと、X線撮像装置42のX線透過画像データを走査して得た濃淡パターンとを、対応処理部53の処理により表ビード21の位置等の所定部位で対応付け、両データの差分を求めることにより内部欠陥23を検出する。
このように、X線透過画像を走査して濃淡パターンを得て表面形状の計測結果データと比較する手法により、従来では困難であった、X線透過画像から表ビード21や裏ビード22の形状に起因する画像濃淡パターンや、内外面の溶接リップルを自動的に除去することが可能になり、これによりX線画像検査の工程を自動化することができるのである。
また、本実施の形態1によれば、検査部55は、差分抽出部54の処理結果が所定の閾値を超えているか否かや、画像の連続性を判断することにより、内部欠陥23の存在を判定するので、表面形状の計測結果データやX線透過画像データに計測ノイズ等が含まれている場合でも、これを内部欠陥であるものと誤検知する可能性を低減することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、表面形状計測装置30と41の計測結果データは、スケールやサンプリング幅等が、X線撮像装置42のX線透過画像を走査して得られる濃淡パターンデータとは異なる場合があることを説明した。
本発明の実施の形態2では、両者のスケール等を揃えて差分を求め易くする際の処理基準に関し、実施の形態1とは異なる例を説明する。なお、各機器の構成や機能、本実施の形態2で説明するもの以外の動作は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図9は、対応処理部53の処理内容の別例を説明するものである。
図9(a)の表面形状計測装置30と41の計測結果データにおいて、平坦部分の開始値(1)、裏ビード22に相当する部分の高さ(2)は、図9(b)のX線透過画像の濃淡パターンデータにおける各値と異なっている。
したがってそのままでは、両者の差分を求めても、内部欠陥23に相当する部分のデータが残ることにはならず、各データを用いて自動的に内部欠陥23を検出することは困難である。
そこで、対応処理部53は、図9(a)(b)における丸印で示した基準点を、両データの対応付けを行う基準として設定し、例えば以下のようにして、計測結果データまたは濃淡パターンのデータ補正を行う。これらの処理手順は1例であり、これに限られるものではないことを付言しておく。
(1)平坦部分の開始値について
対応処理部53は、図9(a)(b)の平坦部分の開始値(1)が相互に一致するように、図9(a)のデータを全体的に減算する。
(2)裏ビード22に相当する部分の高さについて
対応処理部53は、図9(a)(b)の裏ビード22に相当する部分の高さ(2)が相互に一致するように、図9(a)のデータ全体に1未満の係数を乗算する。乗算によって平坦部分の開始位置(1)が再度ずれる場合は、改めて同部分の補正を行えばよい。
(3)表ビード21の幅について
表ビード21に相当する部分の幅についても、図9(a)(b)の丸印を基準として、横軸方向にデータを伸張ないし縮小することによって、同部分の幅を一致させることができる。
図9(a)(b)は、ともに同一部分の計測結果およびX線撮像結果であるため、以上の(1)〜(3)のような補正処理を行えば、両者のデータは一致するものと想定される。さらに誤差が残存している場合は、検査部55が内部欠陥を検出する際の検出閾値をもってその影響を除去することができる。
以上、本実施の形態2では、対応処理部53が行う処理内容について、実施の形態1とは異なる例を説明した。
実施の形態3.
実施の形態1〜2では、表面形状計測装置30と41の計測結果データを、X線撮像装置42のX線透過画像を走査して得られる濃淡パターンと併用することにより、表ビード21と裏ビード22の凹凸形状パターンの影響を除去する手法を説明した。
本発明の実施の形態3では、表面形状計測装置30と41の計測位置、およびX線透過画像の走査位置を管周方向にずらしながら複数回の走査を行い、内部欠陥23の管周方向の大きさを検出する手法について説明する。
なお、各機器の構成と動作は概ね実施の形態1〜2と同様であるため、複数回の走査に係る差異点のみ説明する。
図10は、本実施の形態3における表面形状計測装置30の計測手法を説明するものである。本実施の形態3では、表面形状計測装置30は、被検査部位20を配管10の管周方向に移動しながら、所定間隔で被検査部位20にスリットレーザを照射することで管長方向に走査し、個々の計測結果を取得する。
スリットレーザを照射する管周方向の間隔が十分小さければ、内部欠陥23が存在する管周方向の範囲において、表面形状の計測が複数回行われることになる。
表面形状計測装置41も、被検査部位20の内壁側から同様に複数回の表面形状計測を実行する。
図11は、本実施の形態3における撮像処理部52の処理内容を説明する図である。
本実施の形態3では、撮像処理部52は、X線撮像装置42のX線透過画像を、管周方向に所定間隔で位置をずらしながら複数回走査し、各走査線上の濃淡パターンをそれぞれ取得する。このときの走査間隔および走査位置は、表面形状計測装置30と41の走査間隔および走査位置に合わせておく。
図10〜図11の処理の結果、表面形状計測装置30と41の計測結果データ、およびX線透過画像の濃淡パターンデータが、複数セット得られることになる。
各セットについて、実施の形態1の図7〜図8、または実施の形態2の図9で説明したような処理を行うことにより、各走査線上における内部欠陥23の有無と位置を検出することができる。
同様の処理を各走査線について実行し管周方向に展開することにより、検査部55は、内部欠陥23の管周方向の存在範囲を検出することができる。
以上のように、本実施の形態3によれば、表面形状計測装置30と41は、被検査部位20を管周方向に移動しながら、被検査部位20を複数回走査して同数の計測結果データを取得し、撮像処理部52は、X線透過画像を同様に複数回走査して同数の濃淡パターンデータを取得する。
検査部55は、これらの処理過程で得られる表面形状計測装置30と41の計測結果データ、およびX線透過画像の濃淡パターンデータからなる複数のセットを用いて、内部欠陥23の管周方向の存在範囲を検出することができる。
実施の形態4.
以上の実施の形態1〜3では、表面形状計測装置30と41の構成例として、スリットレーザを用いるものを説明したが、被検査部位20の表面形状を計測する手法としてその他のものを用いる装置を採用することもできる。
例えば、被検査部位20に垂直にレーザ光を照射し、その反射光を受信するまでの時間により、レーザ光照射位置の凹凸形状パターンを検出する装置を採用することもできる。これらは1例であり、その他の装置を採用することもできる。
また、以上の実施の形態1〜3では、X線撮像装置42を用いて被検査部位20のX線透過画像を撮像する例を説明したが、内部欠陥20を含め、配管10を透過して反対面に到達する放射線を用いるものであれば、その他の撮像装置を用いることもできる。
実施の形態5.
以上の実施の形態1〜4において、表面形状計測装置30と41の計測結果データが表す表面形状の凹凸パターンを、X線透過画像の濃淡パターンとの差分を取ることにより除去することを説明した。
この場合、表面形状の凹凸パターンに表面欠陥が明確に表れていても、これを除去することで看過してしまうことになる。そこで、以下の(1)〜(3)のように表面欠陥を看過することなきよう処理することもできる。
(1)差分抽出部54が差分を求める前の各データは、加工せずに残しておく。
(2)加工前の各データ単体で把握できる欠陥は、実施の形態1〜4で説明した手法とは別に、同データを用いて検出する。
(3)加工前の各データ単体から検出した欠陥と、実施の形態1〜4で説明した手法により検出した欠陥とを、例えばコンピュータの表示画面上で同時に画面表示することにより、内部欠陥と表面欠陥を同時に把握することができる。
実施の形態6.
以上の実施の形態1〜5において、配管10の突合せ溶接部である被検査部位20を検査する例を説明したが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、放射線透過画像を用いた内部欠陥の検査に広く適用できるものである。
なお、検出対象となる内部欠陥の種類には、例えば以下のようなものであることを付言しておく。
(1)ブローホール(気泡)
(2)スラグ巻き込み不良(介在物)
(3)融合不良
(4)内部割れ
(5)溶け込み不足(IP)
実施の形態1に係る欠陥検査装置を用いた検査作業イメージである。 実施の形態1に係る欠陥検査装置の全体構成図である。 表面形状計測装置30および41の計測手法を説明するものである。 計測処理部51の処理内容を説明する図である。 X線撮像装置42の撮像過程を説明するものである。 撮像処理部52の処理内容を説明する図である。 対応処理部53の処理内容を示すものである。 差分抽出部54の処理内容を説明するものである。 対応処理部53の処理内容の別例を説明するものである。 実施の形態3における表面形状計測装置30の計測手法を説明するものである。 実施の形態3における撮像処理部52の処理内容を説明する図である。
符号の説明
10 配管、20 被検査部位、21 表ビード、22 裏ビード、23 内部欠陥、30 表面形状計測装置、40 管内検査装置、41 表面形状計測装置、42 X線撮像装置、50 演算装置、51 計測処理部、52 撮像処理部、53 対応処理部、54 差分抽出部、55 検査部。

Claims (12)

  1. 被検査物の被検査部位の表面形状を計測する表面形状計測手段と、
    放射線を用いて前記被検査部位を撮像する放射線撮像手段と、
    を用いて前記被検査物の内部欠陥を検査する方法であって、
    前記表面形状計測手段が前記被検査部位を走査して得た計測結果データを取得する計測ステップと、
    前記放射線撮像手段を移動させながら前記被検査部位を撮像して得た撮像画像データを取得する撮像ステップと、
    前記被検査部位の所定部位を基準として、前記計測結果データと、前記撮像画像データを走査して得られる濃淡パターンデータとを対応付ける対応ステップと、
    前記対応ステップで対応付けした前記計測結果データと前記濃淡パターンデータの差分を求める差分算出ステップと、
    前記差分に基づき前記被検査部位の内部欠陥を検査する検査ステップと、
    を有することを特徴とする欠陥検査方法。
  2. 前記検査ステップにおいて前記内部欠陥を検出するための閾値を定めておき、
    前記検査ステップでは、
    前記差分が前記閾値を超えている位置に前記内部欠陥が存在するものと判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査方法。
  3. 前記内部欠陥として、被溶接物の突合せ溶接部の内部欠陥を検査する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の欠陥検査方法。
  4. 前記計測ステップでは、
    前記被検査部位の表裏双方の凹凸形状を計測してその凹凸パターンデータを前記計測結果データとして取得し、
    前記撮像ステップでは、
    前記被検査部位の放射線透過画像データを前記撮像画像データとして取得し、
    前記対応ステップでは、
    前記前記撮像画像データのうち前記表面形状計測手段の計測位置に相当する箇所を走査して得られる当該画像の濃淡パターンと、
    前記表面形状計測手段の計測位置に相当する前記計測結果データの凹凸パターンとが、
    前記所定部位において合致するように対応付けを行い、
    前記差分算出ステップでは、
    前記対応ステップの結果得られた凹凸パターンデータと濃淡パターンデータの差分を求めることにより、前記被検査部位の凹凸パターンを表すデータを削除し、
    前記検査ステップでは、残りのデータに基づき前記内部欠陥を検査する
    ことを特徴とする請求項3に記載の欠陥検査方法。
  5. 前記対応ステップでは、
    前記所定部位において前記濃淡パターンと前記凹凸パターンのスケールが一致するように前記濃淡パターンデータまたは前記凹凸パターンデータの少なくとも一方を補正する
    ことを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査方法。
  6. 前記表面形状計測手段の計測位置を前記被検査部位に沿ってずらしながら前記計測ステップを繰り返し実行するとともに、
    前記対応ステップにおける走査位置を前記被検査部位に沿ってずらしながら前記対応ステップを繰り返し実行し、
    各繰り返し毎に前記検査ステップを実行することで前記内部欠陥の前記所定方向における大きさを検出する
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の欠陥検査方法。
  7. 被検査物の被検査部位の内部欠陥を検査する装置であって、
    前記被検査部位の表面形状を計測する表面形状計測手段と、
    放射線を用いて前記被検査部位を撮像する放射線撮像手段と、
    前記表面形状計測手段が前記被検査部位を走査して得た計測結果データを取得する計測処理部と、
    前記放射線撮像手段を移動させながら前記被検査部位を撮像して得た撮像画像データを取得する撮像処理部と、
    前記被検査部位の所定部位を基準として、前記計測結果データと、前記撮像画像データを走査して得られる濃淡パターンデータとを対応付ける対応処理部と、
    前記対応処理部が対応付けした前記計測結果データと前記濃淡パターンデータの差分を求める差分算出部と、
    前記差分に基づき前記被検査部位の内部欠陥を検査する検査部と、
    を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
  8. 前記検査部が前記内部欠陥を検出するための閾値を定めておき、
    前記検査部は、
    前記差分が前記閾値を超えている位置に前記内部欠陥が存在するものと判定する
    ことを特徴とする請求項7に記載の欠陥検査装置。
  9. 前記内部欠陥として、被溶接物の突合せ溶接部の内部欠陥を検査する
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の欠陥検査装置。
  10. 前記計測処理部は、
    前記被検査部位の表裏双方の凹凸形状を計測して得た凹凸パターンデータを前記計測結果データとして取得し、
    前記撮像処理部は、
    前記被検査部位の放射線透過画像データを前記撮像画像データとして取得し、
    前記対応処理部は、
    前記前記撮像画像データのうち前記表面形状計測手段の計測位置に相当する箇所を走査して得られる当該画像の濃淡パターンと、
    前記表面形状計測手段の計測位置に相当する前記計測結果データの凹凸パターンとが、
    前記所定部位において合致するように対応付けを行い、
    前記差分算出部は、
    前記対応処理部の処理結果として得られた凹凸パターンデータと濃淡パターンデータの差分を求めることにより、前記被検査部位の凹凸パターンを表すデータを削除し、
    前記検査部は、残りのデータに基づき前記内部欠陥を検査する
    ことを特徴とする請求項9に記載の欠陥検査装置。
  11. 前記対応処理部は、
    前記所定部位において前記濃淡パターンと前記凹凸パターンのスケールが一致するように前記濃淡パターンデータまたは前記凹凸パターンデータの少なくとも一方を補正する
    ことを特徴とする請求項10に記載の欠陥検査装置。
  12. 前記表面形状計測手段の計測位置を前記被検査部位に沿ってずらしながら前記計測処理部の処理を繰り返し実行するとともに、
    前記対応処理部の処理における走査位置を前記被検査部位に沿ってずらしながら前記対応処理部の処理を繰り返し実行し、
    各繰り返し毎に前記検査部の処理を実行することで前記内部欠陥の前記所定方向における大きさを検出する
    ことを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の欠陥検査装置。
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