JP2021140467A - 長尺管管理システム、長尺管管理方法、およびプログラム - Google Patents

長尺管管理システム、長尺管管理方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複数の管の端部同士に周溶接が施される長尺菅の製造設備における操業および長尺管の品質を適切に管理する。【解決手段】長尺管管理装置は、製造設備において搬送される素管をトラッキングする。長尺管管理装置は、トラッキングした素管の端部ごとに、製造設備における操業および長尺管の品質を管理するための情報を設定する。トラッキング情報は、管の搬送経路に配置されたセンサにより管が検出されたことを示す在荷検出情報を含み、データ管理手段は、トラッキング情報に基づいて、製造設備における管のそれぞれの位置を特定し、位置を特定した管の端部ごとに、製造設備における操業および長尺管の品質の少なくとも一方を管理するための情報を設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、長尺管管理システム、長尺管管理方法、およびプログラムに関し、特に、複数の管の端部同士に周溶接が施されることにより構成される長尺管の周溶接部に対する操業および品質を管理するために用いて好適なものである。
特許文献1、2に開示されているように、コイルドチュービングと称されるリールに巻き取られた管が知られている。コイルドチュービングは、例えば、洋上においてリールから巻き出され、海底油田や海底ガス田等の坑井に降下される。コイルドチュービングは、例えば、洋上のホスト設備と海底坑井とを繋ぐ制御ラインとして機能するアンビリカルケーブルを収容するアンビリカルチューブとして利用される。アンビリカルチューブは、電線、高圧油圧ホース、光ケーブル等を内部に含んでいる。
一つのリールに巻き取られるコイルドチュービングは、一般的に3000フィートを超えるような長尺の管であるため、コイルドチュービングとしては、複数の管の端部同士に周溶接を施して形成される長尺管が広く用いられる。
コイルドチュービングとして用いられる長尺管の製造設備は、一般的に、搬送装置と、溶接装置と、巻取装置とを有する。搬送装置は、管を長手方向に搬送する。溶接装置は、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置で搬送される複数の管の端部同士に周溶接を施して長尺管を形成する。巻取装置は、前記搬送装置の終端側に配置され、前記搬送装置で搬送される前記長尺管をリールに巻き取る。
このように長尺菅には複数の周溶接部が形成され、長尺菅がリールに巻き取られるとリールから長尺管を巻き戻さなければ周溶接部を確認することができないこと等から、長尺菅の周溶接部に対する操業および品質を管理することは極めて重要である。
製品の操業および品質を管理する技術として特許文献3、4に記載の技術がある。
特許文献3には、食品加工工場において牛乳を加工して製造する場合を例に挙げ、トレースキーとなる固有の情報を設定し、工場の操業に従って各稼働設備に発生する様々なデータを、設備情報ファイル、運転記録情報ファイル、品質記録情報ファイル、日報情報ファイル、グラフ情報ファイル、および製造情報ファイルに分類し、各ファイルの情報にトレースキーを付与することが記載されている。トレースキーとなる固有の情報は、各製品に付与された固有の管理記号であっても、設備名称であっても、原料名称およびロット番号であっても、製品名称およびロット番号であってもよいとされている。
特許文献4には、半導体の製造プロセスを例に挙げ、製造ラインにおける製造工程と製造設備とを相互に関連付けて各々における管理基準データを準備し、製造工程における製品検査データおよび製造設備における作業データを収集し、収集した製造工程における製品検査データ、製造設備における作業データを、当該製造工程、当該製造設備に対応する管理基準データと比較することにより、当該製造設備、当該製造設備について異常の有無を判定することが記載されている。
特開2017−219315号公報 国際公開第2019/198733号 特開2005−293274号公報 特開平9−50949号公報
しかしながら、長尺菅を製造する際に行われる周溶接の操業を管理する場合には、長尺管を構成する管の両端のそれぞれを個別に管理しなければならない。また、特許文献1、2に記載されているように、長尺管を製造する際には、リールに巻き取られる前に周溶接部の品質が所定の条件を満たしているか否かが検査される。周溶接部の品質が所定の条件を満たさない場合には、当該周溶接部を切断して、周溶接が再び行われる。この際、その場で再溶接を行うこともあるが、周溶接を行った2つの管のうちの一方又は両方を一旦製造ラインから取り除く場合もある。このような場合、必要に応じて、取り除かれた管の端部に開先加工するなどの調整を行った後、当該管が、再び製造ラインに投入されることがある。
一方、特許文献3、4において例示されている牛乳や半導体の製造においては、このような操業が行われて製造される長尺菅の周溶接部に対する操業および品質を適切に管理することはできない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、複数の管の端部同士に周溶接が施されることにより構成される長尺菅の製造設備における操業および長尺管の品質を適切に管理することができるようにすることを目的とする。
本発明の長尺管管理システムは、管を長手方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送された2つの管の端部同士に周溶接を施して長尺管を形成する溶接装置と、前記搬送装置で搬送される前記長尺管をリールに巻き取る巻取装置と、前記溶接装置と前記巻取装置との間に配置され、前記長尺管の周溶接部を検査する検査装置と、を有する製造設備における操業および前記長尺管の品質を管理する長尺管管理システムであって、前記管の位置を特定するための情報であるトラッキング情報を取得するトラッキング情報取得手段と、前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するためのデータ処理を実行するデータ管理手段と、を有し、前記トラッキング情報は、前記管の搬送経路に配置されたセンサにより前記管が検出されたことを示す在荷検出情報を含み、前記データ管理手段は、前記トラッキング情報に基づいて、前記製造設備における前記管のそれぞれの位置を特定し、位置を特定した前記管の端部ごとに、前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するための情報を設定することを特徴とする。
本発明の長尺管管理方法は、管を長手方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送された2つの管の端部同士に周溶接を施して長尺管を形成する溶接装置と、前記搬送装置で搬送される前記長尺管をリールに巻き取る巻取装置と、前記溶接装置と前記巻取装置との間に配置され、前記長尺管の周溶接部を検査する検査装置と、を有する製造設備における操業および前記長尺管の品質を管理する長尺管管理方法であって、前記管の位置を特定するための情報であるトラッキング情報を取得するトラッキング情報取得工程と、前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するためのデータ処理を実行するデータ管理工程と、を有し、前記トラッキング情報は、前記管の搬送経路に配置されたセンサにより前記管が検出されたことを示す在荷検出情報を含み、前記データ管理工程は、前記トラッキング情報に基づいて、前記製造設備における前記管のそれぞれの位置を特定し、位置を特定した前記管の端部ごとに、前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するための情報を設定することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記長尺管管理システムの各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、複数の管の端部同士に周溶接が施されることにより構成される長尺菅の製造設備における操業および長尺管の品質を適切に管理することができる。
長尺管の製造設備の概略構成の一例を示す図である。 長尺管管理システムの構成の一例を示す図である。 長尺管管理装置の機能的な構成の一例を示す図である。 データ管理部の処理の一例を説明する図である。 データ管理部により管理される情報の第1の例を示す図である。 データ管理部により管理される情報の第2の例を示す図である。 周溶接部を形成する素管の端部の一例を示す図である。 長尺管管理方法の一例を説明するフローチャートである。 図8Aに続くフローチャートである。 入熱管理装置の機能的な構成の一例を示す図である。 各鋼管の端部に形成される周溶接部の一例を示す模式的に示す図である。 複数の分割領域の一例を説明する図である。 周溶接部に対する入熱量の時間変化を示す情報と、周溶接部に対する入熱量の閾値を示す情報の表示例を示す図である。 入熱管理方法の一例を説明するフローチャートである。 測長装置の機能的な構成の一例を示す図である。 測長ロールを用いた長尺管の長さの測定方法の一例を説明する図である。 オフセット量の変更量を説明する図である。 直管の尾端部が上流側通過センサを通過する様子の一例と、直管の尾端部が下流側通過センサを通過する様子の一例を示す図である。 オフセット量の変更量を導出する際の測長装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 測長分解能を更新する際の測長装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 長尺管の長さを導出する際の測長装置の処理の一例を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
尚、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。また、図中のX−Y−Z軸は、各図における向きの関係を示す。○の中に●が付されている記号は、紙面の奥側から手前側に向かう方向を示す。紙面の奥側から手前側に向かう方向がZ軸の正の方向である。また、各図において、説明および表記の都合上、構成の一部を必要に応じて省略または簡略化している。
<製造設備1>
図1は、長尺管の製造設備1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、製造設備1は、溶接装置2と、巻取装置3と、X線検査装置4と、測長ロール5と、通過センサ6と、スキッド7と、開先加工機8と、バーコードリーダ9と、在荷センサ10と、を有する。また、製造設備1は、溶接装置2、巻取装置3、X線検査装置4、スキッド7、および開先加工機8の動作を制御する制御装置100を有する。尚、この他にも、製造設備1は、鋼管P'、P、長尺管P1を搬送する搬送装置を有するが、搬送装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、各種のローラ(例えば、サイドクランプローラ、Vローラ、ピンチローラ)等を用いた公知の技術により実現することができる。そこで、ここでは、表記の都合上、搬送装置の図示を省略する。尚、搬送装置も制御装置100により制御される。
本実施形態の鋼管P'、P、長尺管P1は、例えば、ステンレス鋼管である。溶接装置2bによって鋼管P'に周溶接が施されることによって2つの鋼管P'が1つの鋼管Pとされ、溶接装置2aによって鋼管Pに周溶接が施されることによって長尺管P1が形成される。長尺管P1がアンビリカルチューブとして用いられる場合には、鋼管P'、Pは、好ましくは二相ステンレス鋼管とされる。鋼管P'、Pは、電縫管であっても、継目無管であってもよい。
本実施形態では、製造設備1は、メインラインMLと、ダブルジョイントラインDLとを有する。図1において、白抜きの矢印線は、鋼管P'、P、長尺管P1の搬送方向を示す。
ダブルジョイントラインDLでは、2つの鋼管P'の端部同士に周溶接を施して当該2つの鋼管P'を1つの鋼管Pにする。以下の説明では、鋼管P'を必要に応じて素管P'と称し、鋼管Pを直管Pと称する。
メインラインMLでは、ダブルジョイントラインDLで製造された複数の直管Pの端部同士に周溶接を施して長尺管P1にする。
まず、ダブルジョイントラインDLの構成の一例を説明する。
ダブルジョイントラインDLは、溶接装置2bと、受入・払出装置7と、開先加工機8と、バーコードリーダ9a〜9bと、在荷センサ10a〜10hとを有する。
受入・払出装置7は、4つの受入・払出装置7a〜7dを有する。
受入・払出装置7は、例えば、スキッドと、ストッパーと、キッカーと、搬送装置と、を有する。
スキッドの上に素管P'または直管Pが置かれる。受入・払出装置7aの投入スキッド、受入・払出装置7bの開先加工機投入スキッド、受入・払出装置7cの直管溶接前投入スキッドには、素管P'が置かれる。受入・払出装置7dの溶接・巻取ライン前スキッドには、直管Pが置かれる。尚、各スキッドには、複数の素管P'または直管Pを置くことが可能である。
スキッドの上に素管P'または直管Pが置かれると、素管P'または直管Pは、その長手方向に対して垂直な方向(Y軸の正の方向)に不図示のストッパーが配置されている方向に転がる。スキッド上で停止した素管P'または直管Pのうち、ストッパーに最も近い位置にある素管P'または直管Pは、キッカーにより上方にはね上げられ、搬送装置上に置かれる。素管P'または直管Pは、搬送装置により次工程に送られる。本実施形態では、受入・払出装置7は、制御装置100によって駆動される。
受入・払出装置7a、7bの間、受入・払出装置7bと開先加工機8のとの間、開先加工機8と受入・払出装置7cとの間、受入・払出装置7cと溶接装置2bとの間においては、素管P'は、その長手方向に対して垂直な方向(Y軸の正の方向)に搬送される。
4つの受入・払出装置7a、7b、7c、7dのそれぞれには、在荷センサ10a、10b、10c、10dが配置される。在荷センサ10a、10b、10cは、それぞれ、投入スキッド、開先加工機投入スキッド、直管溶接前投入キッドに素管P'が置かれるとオンし、投入スキッド、開先加工機投入スキッド、直管溶接前投入キッドから素管P'が除かれるとオフするセンサであり、素管P'を検出したことまたは検出しなくなったことを示す在荷検出情報を出力する。在荷センサ10dは、溶接・巻取ライン前スキッドに直管Pが置かれるとオンし、溶接・巻取ライン前スキッドから直管Pが除かれるとオフするセンサであり、直管Pを検出したことまたは検出しなくなったことを示す在荷検出情報を出力する。在荷センサ10a〜10dは、例えば、送受信機を有する。送受信機は、信号を送信することと、当該信号を受信することとを行う。信号は、例えば、光信号または赤外線信号等の電波信号である。送受信機が送受信する信号の伝搬経路に素管P'または直管Pが配置されると、素管P'または直管Pで信号が反射される。送受信機は、当該信号の受信によりオンし、素管P'または直管Pがスキッドに置かれたことを検出する。送受信機は、当該信号を受信しなくなるとオフする。
開先加工機8は、受入・払出装置7bから搬送された素管P'の長手方向の端部に対して開先加工を施す。開先加工機8は、開先加工機8a、8bを有する。開先加工機8aは、素管P'のX軸の正の方向側の端部が、所定の形状および寸法の開先となるように、素管P'のX軸の正の方向側の端部を加工するためのものである。開先加工機8aは、素管P'のX軸の負の方向側の端部が、所定の形状および寸法の開先となるように、素管P'のX軸の負の方向側の端部を加工するためのものである。
開先加工機8a、8bには、それぞれ、在荷センサ10e、10fが配置される。在荷センサ10e、10fは、それぞれ、開先加工機8a、8bの所定の位置に素管P'が配置されるとオンし、開先加工機8a、8bの所定の位置から素管P'が除かれるとオフするセンサであり、素管P'を検出したことまたは検出しなくなったことを示す在荷検出情報を出力する。在荷センサ10e、10fは、在荷センサ10a〜10dと同じ原理で、素管P'を検出する。
開先加工機8で開先加工が施された素管P'は、搬送装置により、受入・払出装置7cに搬送される。
以下の説明では、本実施形態では、X軸の正の方向側を必要に応じてE側とも称し、X軸の負の方向側を必要に応じてW側とも称する。
素管P'の表面には、当該素管P'の識別情報(ID)を記憶するバーコードが表示(印刷)されている。バーコードリーダ9a、9bは、それぞれ、受入・払出装置7aの投入スキッド、受入・払出装置7cの直管溶接前投入スキッドに置かれた素管P' に表示されているバーコードを読み取るためのものである。バーコードリーダ9a、9bは、例えば、作業者によって持ち運びされることが可能なものである。作業者は、受入・払出装置7aの投入スキッドに置かれた素管P'に表示されているバーコード、受入・払出装置7cの直管溶接前投入スキッドにセットされた素管P'に表示されているバーコードを、バーコードリーダ9a、9bに読み取らせるように、バーコードリーダ9a、9bを操作する。これにより、バーコードリーダ9a、9bは、当該バーコードの情報を読み取る。尚、ここでは、受入・払出装置7aの投入スキッドに置かれた素管P'および受入・払出装置7cの直管溶接前投入スキッドにセットされた素管P'に表示されているバーコードを読み取る場合を例に挙げて説明する。しかしながら、素管P'に表示されているバーコードを読み取る場所は、これらに限定されない。例えば、溶接装置2bにセットされた素管P'に表示されているバーコードを読み取るようにしてもよい。
溶接装置2bは、制御装置100によって駆動され、受入・払出装置7cから搬送された2つの素管P'の端部同士に周溶接を施して1本の鋼管Pを形成する装置である。
溶接装置2bにより周溶接が施される2つの素管P'は、受入・払出装置7cから搬送装置によって、溶接装置2bの所定の位置(溶接位置)まで搬送される。より具体的には、受入・払出装置7cから先行して搬送される素管P'は、X軸に沿って溶接装置2bのX軸の負の方向側(W側)に搬送される。そして、不図示の位置センサ(公知のエリアセンサ等)により端部が溶接位置に達したことを検出された時点で搬送が停止される。次いで、受入・払出装置7cから後行して搬送される素管P'が、同様に、X軸に沿って溶接装置2bのX軸の負の方向側(W側)に搬送され、その端面(W側の端部の面)が先行材の端面(E側の端部の面)に接触した時点で搬送が停止される。なお、後行材の端面が先行材の端面に接触したことは、例えば、搬送装置を構成する駆動装置(例えばモータ)の負荷変動(例えば電流値の変動)により検出することができる。
本実施形態の溶接装置2bは、周溶接機(円周溶接機)21と、周溶接機21を挟んで素管P'の搬送方向(素管P'の長手方向(X軸方向))に沿って配置された一対の把持装置22a、22bと、溶接電源23とを含む。溶接装置2bは、この他、2つの素管P'の長手方向の端部同士に周溶接を施すための公知の装置を含んでいてもよい。例えば、溶接装置2bは、周溶接部PWを冷却する冷却装置を含んでいてもよい。冷却装置の冷却方法としては、例えば強制空冷を例示できる。
以下の説明では、先行して搬送される素管P'と、当該素管P'の次に後行して搬送される素管Pとを必要に応じて、各素管P'と称する。
各把持装置22a、22bは、各素管P'の端部を把持する。即ち、素管P'の搬送方向の下流側(X軸の負の方向側)に配置された把持装置22aは、先行して搬送される素管P'の尾端部側の領域(W側の領域)を把持する。素管P'の搬送方向の上流側に配置された把持装置22bは、後行して搬送される素管P'の先端部側の領域(E側の領域)を把持する。そして、各把持装置22a、22bは、各素管P'の軸心が合致するように、各素管P'の位置を調整する。
その後、溶接電源23は、所定の溶接電流が流れるように、周溶接機21の電極と、素管P'との間に溶接電圧を印加する。周溶接機21は、周溶接機21の電極と、素管P'との間に溶接電圧が印加された状態で、位置調整された各素管P'の端部を溶接予定箇所(目標位置)として、各素管Pの周方向に沿って所定の速度で移動しながら、各素管P'の外周側から、各素管P'の端部同士に周溶接を施す。これにより、各素管P'の端部には、周溶接部PWが形成される。周溶接は、例えば、TIG溶接により実現される。
溶接装置2bには、在荷センサ10g、10hが配置される。在荷センサ10g、10hは、それぞれ、後行する素管P'、先行する素管P'が溶接装置2bに存在するとオンし、後行する素管P'、先行する素管P'が溶接装置2bに存在しなくなるとオフするセンサであり、素管P'を検出したことまたは検出しなくなったことを示す在荷検出情報を出力する。在荷センサ10g、10hは、在荷センサ10a〜10dと同じ原理で、素管P'を検出する。また、溶接装置2bには、前述のとおり、素管P'の端部が溶接装置2bの溶接位置(周溶接機21による周溶接が施される位置)に到達したことを検出するための不図示の位置センサ(公知のエリアセンサ等)が配置されている。
溶接装置2bにより、2つの素管P'に対して周溶接が施されることにより形成される直管Pは、搬送装置により、受入・払出装置7dの溶接・巻取ライン前スキッドに搬送される。溶接装置2bと受入・払出装置7dとの間においては、直管Pは、その長手方向に対して垂直な方向(Y軸の正の方向)には搬送される。
受入・払出装置7dからメインラインMLに直管Pが搬送される。受入・払出装置7とメインラインMLとの間においては、直管Pは、その長手方向に対して垂直な方向(Y軸の正の方向)には搬送される。
尚、本実施形態では、一度製造設備1に置かれた素管P'の長手方向の向きは、その後、変更されることはないものとする。本実施形態では、素管P'が初めて置かれる場所が、ダブルジョイントラインDLの受入・払出装置7aである場合を例に挙げる。例えば、素管P'の長手方向の端部のうち、第1の端部がE側に配置され、第2の端部がW側に配置された状態で、ダブルジョイントラインDLの受入・払出装置7aの投入スキッドに初めて素管P'が置かれたとする。この場合、搬送中の素管P'は、第1の端部がE側に配置され、第2の端部がW側に配置された状態のまま、ダブルジョイントラインDLを搬送される。溶接装置2bにより直管Pとなった後も、素管P'の第1の端部がE側に配置され、第2の端部がW側にされた状態が維持されるようにする。そして、この状態が維持されて、直管Pは、メインラインMLに搬送される。従って、メインラインMLに搬送された直管Pを構成する2つの素管P'のうち、メインラインMLにおいて先行するのは、溶接装置2bに搬送された段階では後行する素管P'になる。
また、後述するように製造設備1から直管Pまたは素管P'が取り除かれることがある。この場合、取り除かれる前の素管P'の長手方向の向きと同じ向きで製造設備1に再び置かれることになる。例えば、素管P'の長手方向の端部のうち、第1の端部がE側に配置され、第2の端部がW側に配置された状態で素管P'が取り除かれたとする。この場合、当該素管P'は、第1の端部がE側に配置され、第2の端部がW側に配置された状態で製造設備1に再び置かれる。
次に、メインラインMLの構成の一例を説明する。
メインラインMLにおいては、直管Pは、その長手方向(X軸方向)に一直線上に搬送される。直管Pは、通常、X軸の正の方向(E側)に一直線上に搬送される。ただし、巻取装置3から長尺管P1が巻き戻されるような操業が行われる場合、直管Pは、X軸の負の方向(W側)に一直線上に搬送される。以下の説明では、先行して搬送される直管Pと、当該直管Pの次に後行して搬送される直管Pとを必要に応じて、各直管Pと称する。
溶接装置2aは、制御装置100によって駆動され、メインラインMLの上流側から搬送される複数の直管Pの端部同士に周溶接を施して長尺管P1を形成する装置である。
本実施形態の溶接装置2aは、周溶接機(円周溶接機)21と、周溶接機21を挟んで直管Pの搬送方向(直管Pの長手方向(X軸方向))に沿って配置された一対の把持装置22a、22bと、溶接電源23と、車輪24a〜24cとを有する。また、本実施形態の溶接装置2は、冷却装置(図示せず)も有する。冷却装置の冷却方法としては、例えば強制空冷を例示できる。周溶接機21、把持装置22a、22b、および溶接電源23は、溶接装置2bと同じもので実現することができる。
溶接装置2aは、直管Pの搬送方向に沿って移動可能とされている。具体的には、例えば、溶接装置2aは、エアシリンダ等の駆動機器(図示せず)に取り付けられている。製造設備1の床面には、直管Pおよび長尺管P1の搬送方向(X軸方向)に沿ってレール(図示せず)が設けられている。制御装置100によって、前記駆動機器を駆動することにより、溶接装置2aの車輪24a〜24dがレール上で転動する。このように、溶接装置2aは、直管Pおよび長尺管P1の搬送方向(X軸方向)に沿って移動可能とされている。
制御装置100は、各直管Pの端部が溶接装置2aの周溶接機21により周溶接を施すことが可能な所定の位置に到着したタイミングで、搬送装置および巻取装置3の動作を停止させる。
その後、制御装置100は、各把持装置22a、22bを駆動する。これにより、各把持装置22a、22bが、各直管Pの端部を把持する。即ち、直管Pの搬送方向の上流側(X軸の負の方向側)に配置された把持装置22aは、後行して搬送される直管Pの先端部側の領域(E側の領域)を把持する。搬送方向下流側に配置された把持装置22bは、先行して搬送される直管P(長尺管P1)の尾端部側の領域(W側の領域)を把持する。そして、各把持装置22a、22bは、各直管Pの軸心が合致するように、各直管Pの位置を調整する。
その後、溶接電源23は、所定の溶接電流が流れるように、周溶接機21の電極と、直管Pとの間に溶接電圧を印加する。周溶接機21は、周溶接機21の電極と、直管Pの間に溶接電圧が印加された状態で、位置調整された各直管Pの端部を溶接予定箇所(目標位置)として、各直管Pの周方向に沿って所定の速度で移動しながら、各直管Pの外周側から、各直管Pの端部同士に周溶接を施す。これにより、各直管Pの端部には、周溶接部PWが形成される。周溶接は、例えば、TIG溶接により実現される。
溶接装置2aには、在荷センサ10k、10lが配置される。在荷センサ10k、10lは、それぞれ、後行する直管P、先行する直管Pが溶接装置2aに存在するとオンし、後行する直管P、先行する直管Pが溶接装置2aに存在しなくなるとオフするセンサであり、直管Pを検出したことまたは検出しなくなったことを示す在荷検出情報を出力する。在荷センサ10k、10lは、在荷センサ10a〜10dと同じ原理で、直管Pを検出する。
バーコードリーダ9cは、溶接装置2aで周溶接が施される前の直管Pを構成する直管P' に表示されているバーコードを読み取るためのものである。バーコードリーダ9cは、バーコードリーダ9a、9bと同じもので実現される。
巻取装置3は、溶接装置2aに対して直管P(長尺管P1)の搬送方向の下流側(E側)に配置されている。巻取装置3は、制御装置100によって駆動され、メインラインMLの上流側から搬送される長尺管P1をリール31に巻き取る装置である。
具体的には、本実施形態の巻取装置3は、リール31をその中心軸周りに回転させる回転機構(図示せず)と、中心軸方向(Y軸の方向)にリール31を往復移動させる移動機構(図示せず)とを有する。巻取装置3は、回転機構によってリール31を回転させると共に、移動機構によってリール31を移動させることで、長尺管P1をリール31の外表面上に巻き取る。
X線検査装置4は、溶接装置2と巻取装置3との間に配置される。X線検査装置4は、制御装置100によって駆動され、長尺管P1の周溶接部PWを検査する装置である。
制御装置100は、溶接装置2aによって形成された長尺管P1の周溶接部PWがX線検査装置4の配置位置(具体的には、X線検査装置4が有するX線源によってX線が照射される位置)に到着したタイミングで、搬送装置および巻取装置3の動作を停止する。これにより、長尺管P1を停止させる。そして、制御装置100は、X線検査装置4を駆動する。
X線検査装置4は、X線検査装置本体41と、X線検査装置本体41の入側および出側の開口部近傍に取り付けられたX線漏洩抑制機構42と、車輪43a〜43bとを有する。X線検査装置本体41は、長尺管P1がX線検査装置本体41の入側(長尺管P1の搬送方向の上流側)および出側(長尺管P1の搬送方向の下流側)の開口部から外部に突出した状態で長尺管P1の周溶接部PWを検査する。X線漏洩抑制機構42は、X線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWが検査されている最中に、X線検査装置本体41の入側および出側の開口部から外部へのX線の漏洩を抑制する。
X線検査装置本体41は、筐体41aと、筐体41aの入側および出側にそれぞれ設けられ、筐体41aと連通する一対のスリーブ41bと、筐体41a内に配置されたX線検査機41cとを有する。X線検査装置本体41は、長尺管P1が筐体41a内に配置されたX線検査機41cおよび各スリーブ41bに挿通された状態で、X線検査機41cによって長尺管P1の周溶接部PWを検査する。
X線検査機41cは、回転機構部(図示せず)と、X線源(図示せず)と、X線画像検出器(図示せず)と、画像処理装置(図示せず)とを有する。
X線源は、回転機構部に取り付けられ、回転機構部が回転することにより、長尺管P1の周方向(すなわち長尺管P1の中心軸周り)に回転する。
X線画像検出器は、長尺管P1を挟んでX線源に対向する位置に配置され、X線源から照射されて長尺管P1を透過したX線を検出して画像化する装置である。X線画像検出器も回転機構部に取り付けられ、回転機構部が回転することにより、X線源と一体的に長尺管P1の周方向に回転する。回転機構部の回転の際、X線源とX線画像検出器は、互いの間に長尺管P1を挟んで対向する状態を維持する。
画像処理装置は、X線画像検出器で撮像したX線画像に画像処理を施して、長尺管P1の周溶接部PWを検査する装置である。画像処理装置は、例えば、X線画像に対して画像処理を施すことで、画素濃度の大きい(明るい)画素領域を欠陥領域として抽出する。そして、画像処理装置は、抽出した欠陥領域の面積の大小を評価して、周溶接部PWの良否を判断する。
X線漏洩抑制機構42は、前述のように、X線検査装置本体41の入側および出側の開口部近傍に取り付けられている。具体的には、X線漏洩抑制機構42は、X線検査装置本体41が有する一対のスリーブ41bの略円形の開口部の近傍に取り付けられている。より具体的には、X線漏洩抑制機構42は、一対のスリーブ41bのうち、長尺管P1の搬送方向の上流側に設けられたスリーブ41bに対してはその上流側の開口部の近傍に取り付けられ、長尺管P1の搬送方向の下流側に設けられたスリーブ41bに対してはその下流側の開口部の近傍に取り付けられている。X線検査装置本体41の入側および出側に取り付けられた各X線漏洩抑制機構42は、同様の構成を有する。
X線漏洩抑制機構42は、径方向(長尺管P1の径方向)に開閉可能な複数の部材から構成された閉塞部材を有する。
閉塞部材が有する複数の部材が径方向に閉じた位置にあるとき、その内側に長尺管P1が挿通する略円形の開口部が形成される。
制御装置100は、X線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWが検査される際(すなわち、X線源からX線が照射される際)、閉塞部材を構成する複数の部材が径方向に閉じた位置となるようにX線漏洩抑制機構42を駆動する。このため、複数の部材が径方向に閉じた位置に到達した後に、X線検査装置本体41によって長尺管P1の周溶接部PWを検査すれば、X線検査装置本体41の開口部(スリーブ41bの開口部)から外部へのX線の漏洩を抑制することが可能である。
一方、制御装置100は、X線検査装置本体41による長尺管P1の周溶接部PWの検査が終了し(すなわち、X線源からのX線の照射が停止し)、搬送装置1によって長尺管P1を搬送する際に、X線漏洩抑制機構42を駆動する。これにより、閉塞部材を構成する複数の部材が径方向に開いた位置となる。複数の部材が径方向に開いた位置にあるとき、閉塞部材は、長尺管P1の周溶接部PWに干渉しない位置となっている。このため、X線検査装置本体41でのX線検査が終了した後に、長尺管P1を搬送しても、長尺管P1の周溶接部PWが閉塞部材に干渉するおそれがなく、搬送に支障が生じない。
尚、本実施形態では、X線の漏洩をより一層抑制するため、図1に示すように、X線漏洩抑制機構42と同様の構成を有する一対のX線漏洩抑制機構42Aが筐体41a内に取り付けられている。
X線検査装置4は、溶接装置2aとは独立に、管Pの搬送方向(管Pの長手方向)に沿って移動可能とされている。具体的には、例えば、X線検査装置4は、エアシリンダ等の駆動機器(図示せず)に取り付けられている。前述したように、製造設備1の床面には、直管Pおよび長尺管P1の搬送方向(X軸方向)に沿ってレール(図示せず)が設けられている。制御装置100によって、前記駆動機器を駆動することにより、X線検査装置4の車輪43a〜43dがレール上で転動する。このように、X線検査装置4は、搬送装置1(X軸方向)に沿って移動可能とされている。
以上に説明したX線検査装置4によって長尺管P1の周溶接部PWが検査され、周溶接部PWが正常であると判断された場合、制御装置100が搬送装置および巻取装置3を駆動する。これにより、長尺管P1は搬送され、リール31に巻き取られる。
一方、X線検査装置4によって長尺管P1の周溶接部PWが不良であると判断された場合、以下の(a)〜(c)に示す手順を実行する。
(a)不良であると判断された周溶接部を切断して除去する。
(b)切断箇所に再び周溶接を施す。
(c)長尺管の再び形成された周溶接部を検査する。
尚、メインラインMLの各装置は、特許文献1、2等に記載されているように公知の技術で実現することができ、本実施形態でも、特許文献1、2等に記載されているものを採用することができる。ただし、製造設備は、長尺管Pの搬送方向の下流側に向けて、溶接装置2、X線検査装置4、および巻取装置3がこの順に配置される製造設備であって、直管Pおよび長尺管P1を搬送する搬送装置1を有する製造設備であればよい。
測長ロール5は、X線検査装置4と巻取装置3との間に配置される。測長ロール5は、X線検査装置4から搬送されている長尺管P1に接触し、長尺管P1の搬送に伴って回転する。長尺管P1が搬送方向の下流側(X軸の正の方向側)に搬送されている場合、測長ロール5は、図1の紙面に向かって時計回りの方向に回転する。長尺管P1が搬送方向の上流側(X軸の負の方向側)に搬送されている場合、測長ロール5は、図1の紙面に向かって反時計回りの方向に回転する。
測長ロール5の回転軸には、測長ロール5の回転に伴いパルス信号を発生するロータリーエンコーダが取り付けられている。
本実施形態では、X線検査装置4の車輪43aの回転軸にも、車輪43aの回転に伴いパルス信号を発生するロータリーエンコーダが取り付けられている。
尚、ロータリーエンコーダは、回転体の回転を電気信号であるパルス信号に変換する機能を有していれば、どのようなものであってもよい。
通過センサ6は、搬送中の直管Pの端部の通過を検出するセンサである。図1では、溶接装置2よりも上流側に通過センサ6が配置される場合を例示する。通過センサ6は、上流側通過センサ61と、下流側通過センサ62とを有する。
上流側通過センサ61、下流側通過センサ62は、それぞれ、送信機(投光器)61a、62aおよび受信機(受光器)61b、62bを有する。送信機61a、62aおよび受信機61b、62bは、直管Pを間に挟んで正対する位置に配置される。送信機61a、62aは、受信機61b、62bに向けて信号を送信する。信号は、例えば、光信号または赤外線信号等の電波信号である。
受信機61b、62bは、送信機61a、62aから送信された信号を受信する。受信機61b、62bが、送信機61a、62aから送信された信号を受信しない場合、送信機61a、62aと受信機61b、62bとの間に直管Pが存在することになる。一方、受信機61b、62bが、送信機61a、62aから送信された信号を受信している場合、送信機61a、62aと受信機61b、62bとの間に直管Pが存在していないことになる。
例えば、受信機61b、62bが、送信機61a、62aから送信された信号を受信していない状態から受信した状態に変化するタイミングが、上流側通過センサ61、下流側通過センサ62を直管Pの尾端部が通過するタイミングになる。
尚、図1では、溶接装置2よりも上流側に通過センサ6が配置される場合を例示する。しかしながら、メインラインMLを搬送中の直管Pまたは長尺管P1の端部の通過を検出することができる位置であれば、通過センサ6は、どの位置に配置されていてもよい。例えば、X線検査装置4と巻取装置3との間に通過センサ6が配置されていてもよい。
<長尺管管理システム>
図2は、長尺管管理システムの構成の一例を示す図である。本実施形態では、長尺管管理システムは、製造設備1と、長尺管管理装置200と、入熱管理装置300と、測長装置400とを有する。長尺管管理装置200、入熱管理装置300、および測長装置400のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを含む情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
長尺管管理装置200は、製造設備1において搬送される素管P'をトラッキングし、製造設備1における操業および長尺管P1の品質をリアルタイムで管理する。尚、トラッキングとは、素管P'および周溶接部PWの位置を追跡することである。
入熱管理装置300は、溶接装置2a、2bにより、各素管P'、各直管Pに対して周溶接が施されているときに、各素管P'、各直管Pの周溶接部PWに対する入熱量を管理する。
測長装置400は、製造設備1で製造される長尺管P1の少なくとも一部分の長さを、長尺管P1の搬送中(長尺管P1が巻取装置3で巻き取られる前)に測定する装置である。
長尺管管理装置200、入熱管理装置300、および測長装置400は、それぞれ、製造設備1の各装置(制御装置100等)と、ネットワークを介して相互に通信可能となっている。また、長尺管管理装置200は、入熱管理装置300および測長装置400と、ネットワークを介して相互に通信可能となっている。
尚、本実施形態では、長尺管管理装置200、溶接部の入熱管理装置300、および測長装置400がそれぞれ異なる装置である場合を例示するが、長尺管管理装置200、溶接部の入熱管理装置300、および測長装置400のうち、少なくとも2つの装置の機能を1つの装置で実現してもよい。また、以下の説明では、溶接部の入熱管理装置300を、必要に応じて、入熱管理装置300と称する。
<長尺管管理装置200>
図3は、長尺管管理装置200の機能的な構成の一例を示す図である。以下に、本実施形態の長尺管管理装置200が有する機能の一例を説明する。
[識別情報取得部201]
識別情報取得部201は、バーコードリーダ9a〜9cにより読み取られたバーコードの情報を受信する。
識別情報取得部201は、バーコードの情報から素管P'の識別情報(ID)を取得し、取得した素管P'の識別情報と、当該素管P'の識別情報を受信したタイミングと、当該素管P'の識別情報の送信元のバーコードリーダの識別情報とを相互に関連付けて記憶する。以下の説明では、このように関連付けられる情報を、必要に応じて、素管識別情報と称する。また、素管P'の識別情報を、必要に応じて、材料ピースNoと称する。
[材料情報取得部202]
材料情報取得部202は、識別情報取得部201により取得された素管P'の識別情報に基づいて、当該素管P'の属性情報の取得を、上位のコンピュータ(ビジコン)に依頼する。そして、材料情報取得部202は、当該素管P'の属性情報を、当該上位のコンピュータ(ビジコン)から受信して記憶する。素管P'の属性情報には、例えば、素管P'の寸法、材質、および仕様(開先加工の要否等)が含まれる。以下の説明では、このようにして取得される素管P'の属性情報を、必要に応じて、材料情報と称する。
[開先情報取得部203]
開先情報取得部203は、開先加工機8a、8bにより行われた開先加工の結果を示す情報を受信する。例えば、開先加工機8a、8bの作業者は、開先加工機8a、8bの傍らに配置されている情報処理装置に、開先加工の結果を入力する。すると、当該情報処理装置は、長尺管管理装置200に、当該開先加工の結果を示す情報を送信する。開先情報取得部203は、当該情報を受信する。
開先情報取得部203は、開先加工の結果を示す情報と、当該情報を受信したタイミングと、とを相互に関連付けて記憶する。以下の説明では、このようにして関連付けられる情報を、必要に応じて、開先情報と称する。開先加工の結果には、例えば、開先の寸法および形状が含まれる。
[溶接情報取得部204]
溶接情報取得部204は、溶接装置2aまたは2bで行われた周溶接の結果を示す情報を受信する。本実施形態では、溶接情報取得部204は、周溶接の結果を示す情報を入熱管理装置300から受信する。溶接情報取得部204は、周溶接の結果を示す情報と、当該情報を受信したタイミングとを相互に関連付けて記憶する。以下の説明では、このようにして関連付けられる情報を、必要に応じて、溶接結果情報と称する。尚、周溶接の結果には、例えば、入熱量、および入熱量が異常であるか否かを示す情報が含まれる。また、溶接結果情報には、周溶接を行った溶接装置の識別情報が含まれていてもよい。入熱管理装置300は、素管P'または直管Pの端部の外周面を素管P'または直管Pの周方向において複数に分割した複数の分割領域ごとに入熱量を導出する。入熱管理装置300により入熱量を導出する手法の一例の詳細については後述する。
[検査結果情報取得部205]
検査結果情報取得部205は、X線検査装置4による周溶接部PWの検査の結果を示す情報を受信する。本実施形態では、検査結果情報取得部205は、周溶接部PWの検査の結果を示す情報を、X線検査装置4から受信する。検査結果情報取得部205は、周溶接部PWの検査の結果を示す情報と、当該情報を受信したタイミングとを相互に関連付けて記憶する。以下の説明では、このようにして関連付けられる情報を、必要に応じて、検査結果情報と称する。検査の結果には、例えば、周溶接部PWの良否が含まれる。
[測長情報取得部206]
測長情報取得部206は、長尺管P1の測長の結果を示す情報を受信する。本実施形態では、測長情報取得部206は、長尺管P1の測長の結果を示す情報を測長装置400から受信する。測長情報取得部206は、長尺管P1の測長の結果を示す情報と、当該情報を受信したタイミングとを相互に関連付けて記憶する。以下の説明では、このようにして関連付けられる情報を、必要に応じて、測長結果情報と称する。長尺管P1の測長の結果には、長尺管P1の長手方向において相互に隣り合う2つの周溶接部PWの一方から他方までの長さが含まれる。また、長尺管P1の測長の結果には、長尺管P1の始端部から、長尺管P1を構成する素管P'同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の始端部に最も近い周溶接部PWまでの長さが含まれる。これらの長さにより、各素管P'の長手方向の長さが特定される。測長装置400により長尺管P1の長さを導出する手法の一例の詳細については後述する。
[トラッキング情報取得部207]
トラッキング情報取得部207は、トラッキング情報を取得する。前述したように、素管P'、直管Pの搬送経路に配置される在荷センサ10a〜10kは、オン・オフしたタイミングで、素管P'または直管Pを検出したこと・検出しなくなったことを示す在荷検出情報をそれぞれ出力する。在荷検出情報には、素管P'または直管Pを検出した在荷センサの識別情報が含まれているものとする。トラッキング情報取得部207は、在荷検出情報を受信する。トラッキング情報取得部207は、在荷検出情報と、当該在荷検出情報を受信したタイミングとを相互に関連付けて記憶する。在荷検出情報と、当該在荷検出情報を受信したタイミングとにより、どのタイミングにおいて、どの在荷センサにより素管P'または直管Pが検出されたのかが特定される。本実施形態では、このようにして関連付けられた情報が、トラッキング情報に含まれる。なお、トラッキング情報として、在荷センサによる情報に加えて、各受入・払出装置7のキッカーの昇降情報(各キッカーが昇降動作を行ったこととそのタイミングの情報)等を含んでもよい。在荷センサのオン・オフ情報に加えて、各キッカーの昇降情報等を併用することにより、より正確にトラッキングすることができる。
溶接装置2aによる周溶接の結果、各直管Pの端部の周溶接部PWの入熱量と閾値との関係が、入熱量が異常であることを示す所定の関係である場合、当該周溶接部PWを含む領域が切断される。このとき、端部を再加工する等の理由で、後行する直管Pが、メインラインMLから取り除かれることがある。
また、溶接装置2bによる周溶接の結果、各素管P'の端部の周溶接部PWの入熱量と閾値との関係が、入熱量が異常であることを示す所定の関係である場合にも、当該周溶接部PWを含む領域が切断される。このとき、端部を再加工する等の理由で、各素管P'の一方または両方が、ダブルジョイントラインDLから取り除かれることがある。
また、X線検査装置4により、周溶接部PWが不良であると判断された場合にも、当該周溶接部PWを含む領域が切断される。このとき、端部を再加工する等の理由で、後行する直管Pが、メインラインMLから取り除かれることがある。
以下の説明では、このようにメインラインMLまたはダブルジョイントラインDLから直管Pまたは素管P'が取り除かれることを、必要に応じてリジェクトと称する。
リジェクトによって、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の並び順が変更される。そこで、作業者は、長尺管管理装置200のユーザインターフェースを操作して、長尺管管理装置200が当該変更後の並び順を特定するために必要な情報を、長尺管管理装置200に入力する。
例えば、リジェクトされた素管P'の識別情報および位置の少なくとも一方が長尺管管理装置200に入力される。
また、リジェクトされたか否かにかかわらず、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の位置が、作業者の介入によって変更された場合、作業者は、長尺管管理装置200のユーザインターフェースを操作して、当該変更後の位置の情報を、長尺管管理装置200に入力する。
以上のような情報も、トラッキング情報に含まれる。
[作業者情報取得部208]
作業者情報取得部208は、ダブルジョイントラインDLおよびメインラインMLの各装置(溶接装置2a、2b、巻取装置3、X線検査装置4、開先加工機8)における作業者の識別情報を取得する。例えば、ダブルジョイントラインDLおよびメインラインMLの各装置の作業者は、当該装置の傍らに配置されている情報処理装置に、自身の識別情報を入力する。すると、当該情報処理装置は、長尺管管理装置200に、当該作業者の識別情報を送信する。作業者情報取得部208は、当該作業者の識別情報を受信して記憶する。
[データ管理部209]
データ管理部209は、識別情報取得部201、材料情報取得部202、開先情報取得部203、溶接情報取得部204、検査結果情報取得部205、測長情報取得部206、トラッキング情報取得部207、および作業者情報取得部208で取得された情報に基づいて、製造設備1における操業および長尺管P1の品質の少なくとも一方を管理するためのデータ処理を実行する。以下に、データ管理部209が有する機能の一例を説明する。
図4は、データ管理部209の処理の一例を説明する図である。図5は、データ管理部209により管理される情報の第1の例を示す図である。図6は、データ管理部209により管理される情報の第2の例を示す図である。
図4(a)および図4(b)において、実線の矩形は、素管P'を示す。実線の矩形内の5桁の数字は、素管P'の識別情報(材料ピースNo)を示す。破線の矩形内の情報は、周溶接部の識別情報を示す。
破線の矩形内のDまたはMと4桁の数字の組み合わせは、周溶接部PWの識別情報を示す。Dと4桁の数字の組み合わせのDは、ダブルジョイントラインDL(溶接装置2b)で形成された溶接部であることを示す。Mと4桁の数字の組み合わせのMは、メインラインML(溶接装置2a)で形成された溶接部であることを示す。
以下の説明では、周溶接部PWの識別情報を、必要に応じて、溶接Noと称する。
まず、材料ピースNoの設定について説明する。
図4(a)および図4(b)では、説明を簡単にするため、ダブルジョイントラインDLにおいて素管P'は、受入・払出装置7a(投入スキッド)でのみ外部から受け入れられるものとする。また、直管Pが外部から受け入れられることはないものとする。
図4(a)は、リジェクトが行われていないときの素管P'および直管Pの並び順の一例を示す図である。尚、以下の説明において、複数の材料ピースNoを並べて示す場合、搬送方向の先頭にあるものから順に並べて示す。
図4(a)では、材料ピースNoが「00014」、「00013」、「00012」、「00011」の素管P'が、それぞれ、受入・払出装置7a(投入スキッド)、受入・払出装置7b(開先加工機投入スキッド)、開先加工機8、受入・払出装置7c(直管溶接前投入スキッド)にあることを示す。
また、材料ピースNoが「00009」、「00010」の素管P'が、溶接装置2bにあることを示す。
また、材料ピースNoが「00007」、「00008」の素管P'(からなる直管P)が、受入・払出装置7d(溶接・巻取ライン前スキッド)にあることを示す。
また、材料ピースNoが「00004」、「00003」の素管P'(からなる直管P)と、材料ピースNoが「00006」、「00005」の素管P'(からなる直管P)が、溶接装置2aにあることを示す。
また、材料ピースNoが「00002」、「00001」の素管P'(からなる直管P)が、X線検査装置4にあることを示す。
データ管理部209は、これらの材料ピースNoを、バーコードリーダ9a〜9cで読み取られたバーコードの情報に基づいて設定する。
次に、トラッキングについて説明する。
データ管理部209は、材料ピースNoが設定された素管P'のトラッキングを行う。
前述したように、ここでは、ダブルジョイントラインDLにおいて素管P'は、受入・払出装置7a(投入スキッド)でのみ外部から受け入れられるものとする。従って、受入・払出装置7a(投入スキッド)に置かれた順で、素管P'はダブルジョイントラインDLを移動する。よって、データ管理部209は、溶接装置2aで周溶接が行われるまでは、トラッキング情報取得部207により取得されるトラッキング情報により、素管P'の位置を特定することができる。なお、トラッキング情報は、前述したように、在荷センサ10a〜10dからの在荷検出情報を含み、さらに受入・払出装置7a〜7dが備える各キッカーの昇降情報を含んでもよい。
例えば、バーコードリーダ9aで読み取られたバーコードの情報に基づく素管識別情報が識別情報取得部201により取得されると、データ管理部209は、当該素管識別情報に基づいて、受入・払出装置7a(投入スキッド)に新たに置かれた素管P'の識別情報(材料ピースNo)を設定する。
図4(a)において、バーコードリーダ9aにより識別情報(材料ピースNo)として「00014」が読み取られたことを示す素管識別情報が識別情報取得部201により取得される。データ取得部209は、受入・払出装置7a(投入スキッド)にある素材P'の識別情報(材料ピースNo)として「00014」を設定する。
その後、データ管理部209は、在荷センサ10bから出力される在荷検出情報を含むトラッキング情報がトラッキング情報取得部207により取得されると、データ管理部209は、受入・払出装置7a(投入スキッド)に置かれた素管P'が、受入・払出装置7b(開先加工機投入スキッド)に移動したと判断する。
例えば、図4(a)に示す状態の後、トラッキング情報として、在荷センサ10bから出力される在荷検出情報と、当該在荷検出情報を受信したタイミングがトラッキング情報取得部207により取得されたとする。この場合、データ管理部209は、材料ピースNoが「00014」の素管P'は、受入・払出装置7a(投入スキッド)から、受入・払出装置7b(開先加工機投入スキッド)に移動したと判断する。
この際、在荷センサ10bからの情報に加えて、受入・払出装置7aのキッカーの昇降情報を用いるとより正確にトラッキングすることができる。すなわち、データ管理部209は、受入・払出装置7aのキッカーが昇降動作を行ったという情報とその情報を受信したタイミングがトラッキング情報取得部207により取得され、その後、在荷センサ10bから出力される在荷検出情報と、当該在荷検出情報を受信したタイミングがトラッキング情報取得部207により取得された場合に、素管P'が受入・払出装置7aから、受入・払出装置7bに移動したと判断する。
以降、同様に、在荷センサ10c〜10lから在荷検出情報を含むトラッキング情報が取得されるたびに、材料ピースNoが「00014」の素管P'は、当該在荷センサ10c〜10lがある位置に移動したと判断される。
一方、溶接装置2aで周溶接が行われた後は、1本の長尺管P1となるので、在荷センサ10から出力される在荷検出情報に基づいて個々の素管P'を区別して検出することができない。そこで、データ管理部209は、検査結果情報取得部205により取得される検査結果情報に基づいて、X線検査装置4にある素管P'を特定する。例えば、データ管理部209は、X線検査装置4にある素管P'として特定していない素管P'の識別情報(材料ピースNo)うち、最も先行する(最も古い)素管P'の識別情報(材料ピースNo)を、X線検査装置4にある素管P'の識別情報(材料ピースNo)として特定する。
図4(a)に示す例では、材料ピースNoが「00002」、「00001」、「00004」が、溶接装置2aを出ている。X線検査装置4にある素管P'として特定していない素管P'の識別情報(材料ピースNo)うち、最も先行する(最も古い)素管P'の識別情報(材料ピースNo)として、材料ピースNoが「00002」の素管P'が特定される。
データ管理部209は、溶接装置2aを出た素管P'のうち、X線検査装置4にある素管P'として特定していない素管P'は、溶接装置2aとX線検査装置4との間にあると判断する。
図4(a)に示す例では、材料ピースNoが「00001」、「00004」が溶接装置2aとX線検査装置4との間にあると判断される。
データ管理部209は、検査結果情報が検査結果情報取得部205により取得され、且つ、当該周溶接部PWの検査を示す情報が、周溶接部PWが不良でないことを示す情報である場合、X線検査装置4にある素管P'は、X線検査装置4を出たと判断する。
図4(a)に示す例では、溶接Noが「D0001」の周溶接部PWが不良でない場合、データ管理部209は、材料ピースNoが「00002」の素管P'は、X線検査装置4を出たと判断する。
以上のようにしてデータ管理部209は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLのどの位置に、どの材料ピースNoの素管P'があるのかを特定することができる。素管P'を特定することができれば、当該素管P'のE側の端部およびW側の端部も特定される。
尚、前述したように、一度製造設備1(受入・払出装置7aの投入スキッド)に置かれた素管P'の長手方向の向きは、その後、変更されることはないものとする。従って、例えば、図4(a)において、ダブルジョイントラインDLにおいては、材料ピースNoが「00007」の素管P'は、材料ピースNoが「00008」の素管P'に対して先行するが、メインラインMLにおいては、逆に、材料ピースNoが「00008」の素管P'が、材料ピースNoが「00007」の素管P'に対して先行する。また、例えば、図4(a)において、材料ピースNoが「00010」の素管P'がリジェクトされたとし、リジェクト前において、図4(a)の紙面に向かって右側(E側)に当該素管P'の第1の端部が位置し、左側(W側)の端部に当該素管P'の第2の端部が位置していたものとする。この場合、当該素管P'がダブルジョイントラインDLに再び置かれる場合には、当該素管P'の第1の端部が図4(a)の紙面に向かって右側(E側)に位置し、当該素管P'の第2の端部が図4(a)の紙面に向かって左側(W側)に位置するようにする。
データ管理部209は、以上のようにしてトラッキングを行う。
次に、周溶接部PWの識別情報(溶接No)の設定と、溶接回数の更新について説明する。
データ管理部209は、トラッキング情報取得部207により取得されるトラッキング情報と、溶接情報取得部204により取得される溶接結果情報とに基づいて、溶接装置2a、2bで形成された周溶接部PWを特定する。
データ管理部209は、当該特定した周溶接部PWに対して、当該周溶接部PWの識別情報(溶接No)を設定する。また、データ管理部209は、当該周溶接部PWが形成された素管P'の端部を特定する。また、データ管理部209は、当該特定した素管P'の端部に対する溶接回数に「1」を加算する。
例えば、図4(a)に示す状態において、溶接装置2bにより周溶接が行われた場合、データ管理部209は、材料ピースNoが「00009」の素管P'のE側の端部と、材料ピースNoが「00010」の素管P'のW側の端部の周溶接部PWに対して、溶接Noとして「D0005」を設定する。また、データ管理部209は、材料ピースNoが「00009」の素管P'のE側の端部と、材料ピースNoが「00010」の素管P'のW側の端部のそれぞれの溶接回数に「1」を加算する。
同様に、図4(a)に示す状態において、溶接装置2aにより周溶接が行われた場合、データ管理部209は、材料ピースNoが「00003」の素管P'のW側の端部と、材料ピースNoが「00006」の素管P'のE側の端部の周溶接部PWに対して、溶接Noとして「M0002」を設定する。また、データ管理部209は、材料ピースNoが「00003」の素管P'のW側の端部と、材料ピースNoが「00006」の素管P'のE側の端部のそれぞれの溶接回数に「1」を加算する。
次に、周溶接の結果の設定について説明する。
前述したようにデータ管理部209は、溶接装置2a、2bで形成された周溶接部PWを特定することができる。データ管理部209は、特定した周溶接部PWに対して、周溶接の結果を示す情報を関連付けて記憶する。
次に、溶接回数の管理について説明する。
以上のようにして、データ管理部209は、図5および図6に示すように、材料ピースNoと、溶接Noと、溶接回数と、周溶接の結果とを相互に関連付けて管理することができる。図5および図6は、同じ内容を示すものであり、管理の仕方が異なるものである。図5では、材料ピースNoに対して各種の情報を関連付けて管理するテーブルを例示し、図6では、溶接Noに対して各種の情報を関連付けて管理するテーブルを例示する。尚、図5および図6においてグレーで示す部分は、未だ操業が行われていないため、情報が入力されていないことを示す。
図5および図6において、溶接機は、周溶接に使用した溶接装置2a、2bを示す。溶接機の欄の「M」はメインラインML(溶接装置2a)で行われた周溶接であることを示し、「D」はダブルジョイントラインDL(溶接装置2b)で行われた周溶接であることを示す。溶接機の欄において周溶接が行われると、当該周溶接を行った溶接装置2a、2bの情報(「M」または「D」)が最も左の欄に入力され、既に入力されている情報は、1つ右隣の欄に移動する。例えば、図5において、材料ピースNoが「00003」のW側の端部に対して、メインラインML(溶接装置2a)において周溶接が2回実行されたことを示す。
本実施形態では、周溶接部PWの溶接回数が規定回数を超えた場合、当該周溶接部PWが形成された素管P'は再利用しないものとする。図5および図6では、規定回数が3回である場合を例示する。このため、図5および図6において、溶接機の欄のマスの数は3つである。
尚、図5において、材料ピースNoが「00002」の素管P'のE側の端部に対する溶接Noおよび溶接機の欄が「−」となっているのは、材料ピースNoが「00002」の素管P'は、長尺管P1の先頭の素管P'だからである。
次に、素管P'の端部(周溶接部PW)が切断される場合の処理について説明する。
図4(a)において、溶接装置2aによる周溶接の結果、材料ピースNoが「00003」の素管P'のW側の端部と、材料ピースNoが「00006」の素管P'のE側の端部に対して形成された周溶接部PWの入熱量が異常であるとする。この場合、当該周溶接部PWは切断され、再溶接が施される(ただし、前述したように、当該素管P'の当該端部における溶接回数が予め定められた規定回数を超えた場合は、再溶接は施されない)。
図7は、周溶接部PWを形成する素管P'の端部の一例を示す図である。図7において、「E:数字」は、素管P'のE側の端部の溶接回数を示す。「W:数字」は、素管P'のW側の端部の溶接回数を示す。
図7(a)は、素管BのW側の端部と素管AのE側の端部に、入熱量が異常である周溶接部PWが形成されたことを示す。図7(a)に示す形態では、素管BのW側の端部と素管AのE側の端部の溶接回数がそれぞれ「0」から「1」になる。
図7(b)は、素管BのW側の端部と素管AのE側の端部に形成された周溶接部PWを切断したことを示す。図7(b)に示す形態では、溶接回数は更新されない。
この場合、例えば、図7(c)〜図7(e)のように再溶接が行われる。
図7(c)は、素管A、Bをリジェクトせずに、素管BのW側の端部と素管AのE側の端部とが再び周溶接されることを示す。実際の操業においては、このようにリジェクトすることなく、再溶接することが典型的な形態である。図7(c)に示す形態では、素管BのW側の端部と素管AのE側の端部の溶接回数がそれぞれ「1」から「2」になる。
図7(d)は、素管Aと素管Bを入れ替え、素管AのW側の端部と素管BのE側の端部とが再び周溶接されることを示す。図7(d)に示す形態は、素管Aと素管Bをリジェクトした後、素管Aと素管Bの順番を入れ替えて再び製造ラインに投入される場合である。図7(d)に示す形態では、素管AのW側の端部と素管BのE側の端部の溶接回数がそれぞれ「1」加算される(当該端部の元の溶接回数が0回の場合は、溶接回数はそれぞれ「0」から「1」になる。)。
尚、図7(d)に示す形態は、ダブルジョイントラインDL(溶接装置2b)において入熱量が異常である周溶接が施された場合に行われることがある。メインラインMLにおいて図7(d)に示す形態が行われることもあるが、この場合は、素管AのW側の端部および素管BのE側の端部にも周溶接部PWがあるため、図7(d)に示す形態を採用する場合には、当該周溶接部PWも切断する必要がある。
図7(e)は、素管Bをリジェクトし、別の素管CのW側の端部と素管AのE側の端部とが再び周溶接されることを示す。図7(e)に示す形態では、素管AのE側の端部の溶接回数が「1」から「2」になり、素管CのW側の端部の溶接回数が「0」から「1」になる。
図4(b)は、図4(a)において、溶接装置2bによる材料ピースNoが「00009」の素管P'のE側の端部と材料ピースNoが「00010」の素管P'のW側の端部とを周溶接した際の入熱量が異常であった等の理由により、当該溶接部を切断し、材料ピースNoが「00010」の素管P'をリジェクトした場合の素管P'および直管Pの並び順の一例を示す図である。この場合、トラッキング情報取得部207は、例えば、在荷センサ10gから出力される在荷検出情報(在荷センサ10gがオフされること)に基づいて、溶接装置2bの溶接位置から、材料ピースNoが「00010」の素管P'がリジェクトされたと判断する。その後、在荷センサ10c、10gから出力される在荷検出情報(在荷センサ10cがオフされ、その後、在荷センサ10gがオンされること)に基づいて、トラッキング情報取得部207は、後続の材料ピースNoが「00011」の素管P'が溶接装置2bのE側に位置したことを認識する。そして、トラッキング情報取得部207は、ダブルジョイントラインDLにおける素管P'の並び順(位置)を更新する。
尚、このようにせずに、トラッキング情報取得部207は、例えば、作業者による長尺管管理装置200のユーザインターフェースの操作に基づいて、材料ピースNoが「00010」の素管P'がリジェクトされ後続する複数の素管P'の位置がそれぞれ1つずつ進んだことを示す情報を取得してもよい。
以上のようにして素管P'の並び順(位置)が更新された場合、溶接情報取得部204により、更新後の素管P'に対する溶接結果情報が取得される。そして、データ管理部209により、周溶接部PWの識別情報(溶接No)の設定と、溶接回数の更新とが実行される。図4(b)に示す例では、データ管理部209は、材料ピースNoが「00009」の素管P'のE側の端部と、材料ピースNoが「00011」の素管P'のW側の端部の周溶接部PWに対して、溶接Noとして「D0006」を設定する。また、データ管理部209は、材料ピースNoが「00009」の素管P'のE側の端部と、材料ピースNoが「00011」の素管P'のW側の端部のそれぞれの溶接回数に「1」を加算する。また、データ管理部209は、材料ピースNoが「00009」の素管P'のE側の端部と、材料ピースNoが「00010」の素管P'のW側の端部の周溶接部PWに対する溶接No「D0004」を削除する。尚、データ管理部209は、当該素管P'(材料ピースNo)に対して設定されているその他の情報(溶接回数を含む)は削除しない。
また、図4(b)に示すように、リジェクトされた材料ピースNoが「00010」の素管P'は、受入・払出装置7aの投入スキッドから再び製造ラインに投入されることもある。この場合、前述したように、材料ピースNoが「00010」の素管P'の長手方向の向きは、リジェクトされる前の向きと同じ向きで、受入・払出装置7aに置かれる。
次に、素管P'の端部(周溶接部PW)の切断回数について説明する。
データ管理部209は、素管P'のW側の端部と素管P'のE側の端部に形成された周溶接部PWが切断された場合、当該素管P'の端部の切断回数に「1」を加算する。図5および図6において、脱の欄の数値は、この回数を示す。
周溶接部PWに対する周溶接の結果が、入熱量が異常であることを示す場合、当該周溶接部PWは切断される。また、周溶接部PWの検査の結果、当該周溶接部PWが不良である場合、当該周溶接部PWは切断される。そこで、データ管理部209は、溶接情報取得部204により取得された溶接結果情報に含まれる周溶接の結果を示す情報が、入熱量が異常であることを示す情報である場合、当該周溶接が行われた周溶接部PWが形成された素管P'の端部の切断回数に「1」を加算する。また、データ管理部209は、検査結果情報取得部205により取得された検査結果情報に含まれる周溶接部PWの検査の結果を示す情報が、周溶接部PWが不良であることを示す情報である場合、当該周溶接部PWが形成された素管P'の端部の切断回数に「1」を加算する。
また、以上のようにすることに代えて、例えば、以下のようにして素管P'の端部の切断回数を計数してもよい。
例えば、溶接装置2a、2bの作業者は、溶接装置2a、2bの傍らに配置されている情報処理装置に、周溶接部PWが切断されたことを示す情報を入力する。すると、当該情報処理装置は、長尺管管理装置200に、当該情報を送信する。データ管理部209は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)に基づいて、溶接装置2a、2b(在荷センサ10k〜10l、10h〜10g)にある素管P'を特定する。そして、データ管理部209は、特定した素管P'の端部の切断回数に「1」を加算する。
次に、バーコードリーダ9a以外のバーコードリーダ9b、9cによりバーコード情報が読み取られる場合について説明する。
バーコードリーダ9b、9cは、それぞれ溶接装置2a、2bの直前(すぐ上流側)にあり、これから周溶接が施される素管P'の識別情報(材料ピースNo)を取得するためのものである。前述したように、通常は、素管P'の位置は、バーコードリーダ9aにより取得された識別情報に基づき、順次トラッキングされているため、バーコードリーダ9b、9cにより取得される識別情報は、バーコードリーダ9aにより取得され、その後トラッキングされた識別情報と同一である。
ただ、実際の操業においては、何らかの理由(例えば、設備トラブル等)により、作業者により、素管P'の並び順(搬送順)が入れ替わることがあり得る。
バーコードリーダ9b、9cは、これから周溶接が施される素管P'の識別情報に間違いがないか確認するために用いられる。溶接回数を含む溶接情報を素管P'毎(素管P'のそれぞれの端部毎)に管理するには、どの素管P'に周溶接が施されるのか間違いがないように把握しておかなければいけないからである。なお、バーコードリーダ9b、9cによる情報と、トラッキング情報とが異なる場合は、周溶接が施される直前で読み取られた識別情報を正とし、以降のトラッキングに反映する。
次に、素管P'の長さの設定について説明する。
前述したように、データ管理部209は、検査結果情報取得部205により取得される検査結果情報に基づいて、検査が行われた周溶接部PWを特定することができる。そして、データ管理部209は、測長情報取得部206により取得された測長結果情報に基づいて、特定した周溶接部PWを形成した素管P'のうちE側にある素管P'の長さを導出し、当該素管P'の材料ピースNoに関連付けて記憶する。図5において測長値の欄には、このようにして導出された素管P'の長さが入力される。データ管理部209は、溶接装置2a、2bにおける周溶接部PWに対する入熱量が異常であること、検査装置4における検査の結果、周溶接部PWが不良であること、および周溶接部PWが切断されたことのうち、何れかが成立したと判断した場合に、当該周溶接部PWが形成された素管P'に対する測長値を削除するのが好ましい。
次に、周溶接部PWの検査の結果の設定について説明する。
データ管理部209は、検査結果情報取得部205により取得される検査結果情報に基づいて、検査が行われた周溶接部PWに対して、周溶接部PWの検査の結果を関連付けて記憶する。図6に示す例では、X線検査結果の欄に、周溶接部PWが不良でないことを示す情報として「〇」が入力されていることを示す。
尚、周溶接部PWが不良である場合には、当該周溶接部PWが切断されて、再溶接が行われる。典型的には、前述した図7(c)のようにして再溶接が行われる。この場合、データ管理部209は、当該周溶接部PWが形成された素管P'の端部に対する切断回数と溶接回数にそれぞれ「1」が加算される。尚、メインラインMLにおいては、特許文献1に記載されているようにして再溶接を行うことができる。即ち、X線検査装置4をX軸の正の方向側(E側)移動した後、周溶接部PWが切断された素管P'の位置(X線検査装置4の移動前の位置)まで溶接装置2aを移動させて周溶接が再度実行される。この場合、切断前の元の周溶接が溶接装置2aにより施されていた場合は、当該周溶接部PWの識別情報(溶接No)は更新されない。例えば、図4(a)において、材料ピースNoが「00001」、「00004」の素管P'の周溶接部PWが不良であり、上記のようにメインラインMLにおいて再溶接される場合、材料ピースNoが「00001」、「00004」の素管P'の周溶接部PWの溶接Noは「M0001」のまま変更されない。
一方、切断前の元の周溶接が溶接装置2bにより施されていた場合は、当該溶接部PWの識別情報(溶接No)は更新される。例えば、図4(a)において、材料ピースNoが「00004」、「00003」の素管P'(からなる直管P)の周溶接部PWが不良であり、この周溶接部PWを切断し、メインラインで再溶接する場合について説明する。当該周溶接部PWは元はダブルジョイントラインDLの溶接装置2bで溶接されたものであるため、その溶接Noは「D0002」である。しかし、切断後の再溶接は、メインラインMLの溶接装置2aにより施されるため、溶接Noは、「D0002」から例えば「M0003」に変更される。このように、データ管理部209は、周溶接部PWの再溶接が行われた場合、当該周溶接部PWに溶接処理を行う溶接装置が変わったか否かを、元の溶接Noとトラッキング情報とに基づいて判定し、当該周溶接部PWに溶接処理を行う溶接装置が変わったと判定すれば、それに伴い、溶接Noを更新する。
次に、素管P'の端部の開先加工の結果の設定について説明する。
データ管理部209は、開先情報取得部203により取得された開先情報を取得すると、その時点で開先加工機8a、8b(在荷センサ10e、10f)にある素管P'のE側の端部、W側の端部に対して、開先加工の結果を示す情報を関連付けて記憶する。データ管理部209は、周溶接部PWが切断された場合、当該周溶接部PWが形成された素管P'の端部に関連付けられた開先加工の結果を示す情報を削除するのが好ましい。
最後に、作業者の管理について説明する。
データ管理部209は、作業者情報取得部208により取得された作業者の識別情報を、材料ピースNoに関連付けて記憶する。本実施形態では、説明を簡単にするため、同一の工程(装置)を扱う作業者は変更されないものとする。図5および図6において設備作業者の欄には、このようにして導出された作業者の識別情報が入力される。
[出力部210]
出力部210は、データ管理部209により管理されている情報を出力する。データ管理部209により管理されている情報の出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、長尺管管理装置200の外部または内部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信のうち、少なくとも1つを採用することができる。出力部210は、例えば、図5または図6に示すテーブルをコンピュータディスプレイに表示する。
また、出力部210は、溶接回数が予め定められた規定回数(本実施形態では「3」)になった場合になった場合、溶接回数が規定回数になった素管P'および周溶接部PWに関する情報を報知するのが好ましい。例えば、出力部210は、1つの長尺管P1の製造が終了した後に図5または図6に示すテーブルを表示する場合、溶接回数が「3」になった素管P'および周溶接部PWの識別情報(材料ピースNo、溶接No)をコンピュータディスプレイに表示する。また、出力部210は、1つの長尺管P1の製造を実行しているときに図5または図6に示すテーブルを更新しながら表示する場合、図5および図6に示すテーブルにおいて、溶接回数が「3」である材料ピースNoおよび溶接Noの欄の表示態様を他の欄の表示態様と異ならせてもよい。尚、図5または図6に示すテーブルの表示の更新は、例えば、各欄の値が更新される度に実行される。
[フローチャート]
次に、図8Aおよび図8Bのフローチャートを参照しながら、長尺管管理装置200により実行される長尺管管理方法の一例を説明する。尚、図8Aおよび図8Bのフローチャートの繰り返し周期は、例えば、長尺管管理装置200のクロック周波数に基づく周期である。また、ここでは、説明を簡単にするために、リジェクトは行われないものとし、再溶接は、図7(c)に示すようにして行われるものとする場合を例に挙げる。
ステップS801において、作業者情報取得部208は、作業者の識別情報を取得する。そして、データ管理部209は、各工程(装置)に対する作業者の識別情報を設定する。前述したように本実施形態では説明を簡単にするため、同一の工程(装置)を扱う作業者は変更されないものとする。従って、図5および図6に示す設備作業者の欄の内容は、ステップS801の処理が終了した時点で確定する。また、図5および図6に示す設備作業者の同一の列の内容は、同じである。
次に、ステップS802において、データ管理部209は、識別情報取得部201により、素管識別情報と、当該素管P'の識別情報を受信したタイミングと、当該素管P'の識別情報の送信元のバーコードリーダの識別情報)が取得されたか否かを判定する。この判定の結果、素管識別情報が取得されていない場合、後述するステップS808の処理が実行される。
一方、素管識別情報が取得された場合、ステップS803の処理が実行される。ステップS803において、データ管理部209は、ステップS802で取得されたと判定された素管識別情報により特定される素管P'の材料情報が材料情報取得部202により取得されているか否かを判定する。この判定の結果、素管P'の材料情報が取得されている場合、ステップS804の処理を省略して後述するステップS805の処理が実行される。
一方、素管P'の材料情報が取得されていない場合、ステップS804の処理が実行される。材料情報取得部202は、データ管理部209からの指示に基づいて、ステップS802で取得されたと判定された素管識別情報により特定される素管P'の材料情報を、上位のコンピュータ(ビジコン)から取得する。データ管理部209は、ステップS802で取得されたと判定された素管識別情報により特定される素管P'の識別情報(材料ピースNo)と材料情報とを相互に関連付けて記憶する。そして、ステップS805の処理に進む。
ステップS805において、データ管理部209は、ステップS802で取得されたと判定された素管識別情報に含まれる、素管P'の識別情報の送信元のバーコードリーダの識別情報に基づいて、当該素管識別情報に含まれる、素管P'の識別情報(材料ピースNo)のトラッキングを開始しているか否かを判定する。データ管理部209は、ステップS802で取得されたと判定された素管識別情報に含まれる、素管P'の識別情報の送信元のバーコードリーダの識別情報が、バーコードリーダ9aの識別情報である場合に、当該素管識別情報に含まれる、素管P'の識別情報(材料ピースNo)のトラッキングを開始していないと判定する。
この判定の結果、トラッキングを開始している場合、後述するステップS808の処理が実行される。一方、トラッキングを開始していない場合、ステップS806の処理が実行される。ステップS806において、データ管理部209は、受入・払出装置7a(投入スキッド)にある素管P'の識別情報(材料ピースNo)として、当該素管識別情報に含まれる、素管P'の識別情報(材料ピースNo)を設定する。
次に、ステップS807において、データ管理部209は、1つの長尺管P1の製造が終了したか否かを判定する。この判定は、例えば、測長情報取得部206により取得される、長尺管P1の測長の結果を示す情報に基づいて行われる。データ管理部209は、長尺管P1の尾端部まで測長が終了している場合、1つの長尺管P1の製造が終了したと判定する。
この判定の結果、1つの長尺管P1の製造が終了していない場合、前述したステップS802の処理が再び実行される。一方、1つの長尺管P1の製造が終了した場合、後述するステップS827の処理が実行される。
前述したように、ステップS802において、素管識別情報が取得されていないと判定された場合、ステップS808の処理が実行される。また、ステップS805において、ステップS802で取得されたと判定された素管識別情報に含まれる、素管P'の識別情報(材料ピースNo)のトラッキングを開始していると判定された場合にも、ステップS808の処理が実行される。
ステップS808において、データ管理部209は、トラッキング情報取得部207により在荷検出情報が取得されたか否かを判定する。在荷検出情報には、素管P'または直管Pを検出した在荷センサの識別情報が含まれている。この判定の結果、在荷検出情報が取得されていない場合、後述するステップS810の処理が実行される。
一方、在荷検出情報が取得された場合、ステップS809の処理が実行される。ステップS809において、データ管理部209は、当該在荷検出情報に基づいて、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の並び順(位置)を更新する。そして、前述したステップS807の処理が再び実行される。
前述したように、ステップS808において在荷検出情報が取得されたと判定された場合、ステップ810の処理が実行される。ステップS810において、データ管理部209は、開先情報取得部203により、開先情報が取得されたか否かを判定する。この判定の結果、開先情報が取得されていない場合、後述するステップS812の処理が実行される。
一方、開先情報が取得された場合、ステップS811の処理が実行される。ステップS811において、データ管理部209は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)に基づいて、開先加工機8a、8b(在荷センサ10e、10f)にある素管P'のE側の端部、W側の端部を特定する。そして、データ管理部209は、特定した素管P'のE側の端部、W側の端部に対して、開先加工機8a、8bによる開先加工の結果を示す情報を設定する。そして、前述したステップS807の処理が再び実行される。
前述したように、ステップS810において開先情報が取得されていないと判定された場合、ステップS812の処理が実行される。ステップS812において、データ管理部209は、溶接情報取得部204により、溶接結果情報が取得されたか否かを判定する。この判定の結果、溶接結果情報が取得されていない場合、後述するステップS818の処理が実行される。
一方、溶接結果情報が取得された場合、ステップS813の処理が実行される。ステップS813において、データ管理部209は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、ステップS812で取得されたと判定された溶接結果情報とに基づいて、溶接Noの設定対象の周溶接部PWを特定する。そして、データ管理部209は、特定した周溶接部PWに対し溶接No(識別情報)を設定する。尚、図8Aおよび図8Bのフローチャートでは、リジェクトは行われないので、溶接装置2a、2bを変えずに図7(c)のようにして再溶接が行われるものとする。前述したようにこのような場合には、溶接No(識別情報)は変更されない。従って、データ管理部209は、トラッキング情報に基づいて、当該特定した周溶接部PWが再溶接により形成されたものであると判断した場合、当該周溶接部PWに対し、再溶接前の溶接No(識別情報)と同じ溶接Noを設定する。また、データ管理部209は、当該特定した周溶接部PWに対して、ステップS812で取得されたと判定された溶接結果情報に含まれる周溶接の結果を示す情報を設定する。
次に、ステップS814において、データ管理部209は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、ステップS812で取得されたと判定された溶接結果情報とに基づいて、周溶接部PWが形成された素管P'の端部を特定する。そして、データ管理部209は、特定した素管P'の端部に対する溶接回数に「1」を加算する。また、データ管理部209は、ステップS812で取得されたと判定された溶接結果情報に含まれる周溶接の結果を示す情報が、入熱量が異常であることを示す情報を含む場合、特定した素管P'の端部に対する切断回数に「1」を加算する。
次に、ステップS815において、データ管理部209は、溶接回数が規定回数以上である素管P'および周溶接部PWがあるか否かを判定する。この判定の結果、溶接回数が規定回数以上である素管P'および周溶接部PWがない場合、ステップS817の処理を省略して、前述したステップS807の処理が再び実行される。
一方、溶接回数が規定回数以上である素管P'および周溶接部PWがある場合、ステップS816の処理が実行される。ステップS816において、出力部210は、溶接回数が規定回数になった素管P'および周溶接部PWの情報を報知する。そして、前述したステップS807の処理が再び実行される。
前述したように、ステップS812において溶接結果情報が取得されていないと判定された場合、ステップS817の処理が実行される。ステップS817において、データ管理部209は、検査結果情報取得部205により、検査結果情報が取得されたか否かを判定する。この判定の結果、検査結果情報が取得されていない場合、後述するステップS822の処理が実行される。
一方、検査結果情報が取得された場合、ステップS818の処理が実行される。ステップS818において、データ管理部209は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、ステップS817で取得されたと判定された検査結果情報とに基づいて、周溶接部PWの検査の結果の設定対象の周溶接部PWを特定する。そして、データ管理部209は、特定した周溶接部PWに対して、ステップS817で取得されたと判定された検査結果情報に含まれる周溶接部PWの検査の結果を示す情報を設定する。
次に、ステップS819において、データ管理部209は、ステップS819で取得されたと判定された検査結果情報に含まれる周溶接部PWの検査の結果を示す情報が、周溶接部PWが不良であることを示す情報であるか否かを判定する。この判定の結果、周溶接部PWが不良でない場合、ステップS820の処理が実行される。ステップS820において、データ管理部209は、当該周溶接部PWのE側にある素管P'がX線検査装置4から出た位置になるように、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の位置を更新する。そして、前述したステップS807の処理が再び実行される。
一方、周溶接部PWが不良である場合、ステップS821の処理が実行される。ステップS821において、データ管理部209は、当該周溶接部PWが形成された当該周溶接部PWが形成された素管P'の端部に対する切断回数に「1」を加算する。そして、前述したステップS807の処理が再び実行される。
前述したように、ステップS817において検査結果情報が取得されていないと判定された場合、ステップS822の処理が実行される。ステップS822において、データ管理部209は、測長情報取得部206により、測長結果情報が取得されたか否かを判定する。この判定の結果、測長結果情報が取得されていない場合、前述したステップS807の処理が再び実行される。
一方、測長結果情報が取得された場合、ステップS823の処理が実行される。ステップS823において、データ管理部209は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、ステップS822で取得されたと判定された測長結果情報に基づいて、検査が行われた周溶接部PWを形成した素管P'のうちE側にある素管P'の長さを導出し、当該素管P'に対して設定する。そして、前述したステップS807の処理が再び実行される。
前述したように、ステップS822において測長結果情報が取得されていないと判定された場合、ステップS824の処理が実行される。ステップS824において、データ管理部209は、トラッキング情報取得部207により、作業者が長尺管管理装置200のユーザインターフェースを操作することにより長尺管管理装置200に入力されたトラッキング情報が取得されたか否かを判定する。この判定の結果、作業者が長尺管管理装置200のユーザインターフェースを操作することにより長尺管管理装置200に入力されたトラッキング情報が取得されていない場合、前述したステップS807の処理が再び実行される。
一方、作業者が長尺管管理装置200のユーザインターフェースを操作することにより長尺管管理装置200に入力されたトラッキング情報が取得された場合、ステップS825の処理が実行される。ステップS825において、データ管理部209は、当該トラッキング情報に基づいて、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)を更新する。そして、前述したステップS807の処理が再び実行される。
前述したように、ステップS807の判定の結果、1つの長尺管P1の製造が終了したと判定された場合、ステップS826の処理が実行される。ステップS826において、出力部210は、ステップS802〜S825の繰り返し処理でデータ管理部209により管理されている情報を出力する。
ステップS824の処理が終了すると、図8Aおよび図8Bのフローチャートによる処理が終了する。
[まとめ]
以上のように、長尺管管理装置200は、製造設備1において搬送される素管P'をトラッキングする。長尺管管理装置200は、トラッキングした素管P'の端部ごとに、製造設備1における操業および長尺管P1の品質を管理するための情報を設定する。製造設備1における操業および長尺管P1の品質を適切に管理することができる。
また、長尺管管理装置200は、トラッキング情報に基づいて、素管P'の識別情報(材料ピースNo)を設定することと、溶接結果情報とトラッキング情報とに基づいて、周溶接部PWの識別情報(溶接No)を設定することと、素管P'の識別情報と周溶接部PWの識別情報を関連付けることと、素管P'の識別情報と周溶接部PWの識別情報との少なくとも一方に、製造設備1における操業および長尺管P1の品質するための情報を関連付ける。従って、素管P'の単位および周溶接部PWの単位で、製造設備1における操業および長尺管P1の品質を管理することができる。
また、長尺管管理装置200は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、溶接結果情報とに基づいて、周溶接部PWに対して識別情報(溶接No)を設定し、当該識別情報(溶接No)に対し、周溶接の結果を示す情報を設定する。また、長尺管管理装置200は、素管P'の端部のそれぞれに対する溶接回数を計数する。従って、周溶接部PWに対する操業(溶接回数)および周溶接部PWの品質(周溶接の結果)をリアルタイムで管理することができる。
また、長尺管管理装置200は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、検査結果情報とに基づいて、周溶接部PWの識別情報(溶接No)に対して、周溶接部PWの検査の結果を示す情報を設定する。従って、周溶接部PWの品質(周溶接の検査の結果)をリアルタイムで管理することができる。
また、長尺管管理装置200は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、開先情報とに基づいて、素管P'の端部に対して、開先加工の結果を示す情報を設定する。従って、素管P'の端部に対する操業をリアルタイムで管理することができる。
また、長尺管管理装置200は、メインラインML、ダブルジョイントラインDLにおける直管P、素管P'の現在の並び順(位置)と、測長結果情報とに基づいて、素管P'に対して、当該素管P'の長さを示す情報を設定する。従って、素管P'の品質をリアルタイムで管理することができる。
また、長尺管管理装置200は、溶接回数が規定回数になった素管P'および周溶接部PWに関する情報を報知する。従って、同一の素管P'に対し規定回数以上の周溶接がなされることを抑制することができる。
[変形例]
本実施形態では、製造設備1が、ダブルジョイントラインDLとメインラインMLとを含む場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ダブルジョイントラインDLはなくてもよい。
また、リジェクトの形態は、図7(d)に示す形態に限定されない。例えば、溶接装置2bによる周溶接の結果、入熱量が異常である場合、入熱量が異常である周溶接部PWを含む領域が切断される。この場合、データ管理部209は、当該周溶接部PWが形成されていた素管P'の端部の切断回数に「1」を加算する。
その後、周溶接部PWを含む領域の切断により分離された素管P'はリジェクトされる。この場合、データ管理部209は、素管P'がリジェクトされたことを、在荷センサ10g、10hから出力される在荷検出情報に基づいて特定する。そして、データ管理部209は、当該リジェクトされた素管P'の端部に対して設定されている溶接No(識別情報)を削除する。尚、データ管理部209は、当該リジェクトされた素管P'(材料ピースNo)に対して設定されているその他の情報は削除しない。
その後、当該リジェクトされた素管P'は、例えば、受入・払出装置7aの投入スキッドに置かれる。
<入熱管理装置300>
次に、入熱管理装置300について説明する。本実施形態では、入熱管理装置300は、溶接装置2a、2bにより、各直管P、各素管P'に対して周溶接が施されているときに、各直管P、各素管P'の周溶接部PWに対する入熱量を管理する。溶接装置2a、2bのそれぞれに対して同じようにして入熱量が管理される。従って、<入熱管理装置300>の欄においては、素管P'、直管Pを、必要に応じて、鋼管Pと総称する。図9は、入熱管理装置300の機能的な構成の一例を示す図である。
[データ取得部310]
データ取得部310は、溶接電圧および溶接電流を溶接電源23から取得することと、周溶接機21の溶接トーチの回転数を周溶接機21から取得することとを、入熱管理装置300における所定のサンプリング周期で繰り返し実行する。周溶接にTIG溶接が用いられる場合、例えば、タングステン電極棒と、各鋼管P(の溶接予定箇所)との間に印加される電圧が溶接電圧であり、当該溶接電圧が印加されることにより、タングステン電極棒と、各鋼管P(の溶接予定箇所)に流れる電流が溶接電流である。以下の説明では、入熱管理装置300における同一のサンプリング時刻(サンプリングを行うタイミング)でデータ取得部310により取得される溶接電圧、溶接電流、および周溶接機21の溶接トーチの回転数の組を、必要に応じて、同一のサンプリング時刻におけるデータセットと称する。
[入熱量導出部320]
入熱量導出部320は、各鋼管Pの端部の外周面を鋼管Pの周方向において複数に分割した複数の分割領域ごとに、各鋼管Pの周溶接部PWに対する入熱量を導出する。
図10は、各鋼管Pの端部に形成される周溶接部PWの一例を示す模式的に示す図である。図11は、複数の分割領域の一例を説明する図である。図11に示す例では、鋼管Pの周方向において、鋼管Pの外周面を8等分に分割した8個の分割領域1101〜1108を示す。図11に示す角度(0°、45°等)は、鋼管Pの中心軸OからY−Z平面に延びる仮想線の、鋼管Pの中心軸OからY軸の正の方向に延びる仮想線とのなす角度であって、紙面に向かって時計回りの方向を正の方向とする角度である。図11に示す例では、0°の位置(鋼管Pの中心軸OからY軸の正の方向に延びる仮想線と鋼管Pの外周面との交点の位置)が、周溶接(の1回のパス)の開始位置であるものとする。尚、α°の位置とは、鋼管Pの中心軸Oからα°の方向に延びる仮想線と鋼管Pの外周面との交点の位置である。また、以下の説明では、周溶接(の1回のパス)の開始位置を、必要に応じて、溶接開始位置と称する。
分割領域1101は、鋼管Pの周方向における0°の位置から45°の位置までの領域である。分割領域1102は、鋼管Pの周方向における45°の位置から90°の位置までの領域である。分割領域1103は、鋼管Pの周方向における90°の位置から135°の位置までの領域である。分割領域1104は、鋼管Pの周方向における135°の位置から180°の位置までの領域である。分割領域1105は、鋼管Pの周方向における180°の位置から225°の位置までの領域である。分割領域1106は、鋼管Pの周方向における225°の位置から270°の位置までの領域である。分割領域1107は、鋼管Pの周方向における270°の位置から315°の位置までの領域である。分割領域1108は、鋼管Pの周方向における315°の位置から0°(=360°)の位置までの領域である。
分割領域1101〜1108のうちの1つの分割領域に対する周溶接に要する時間は、入熱管理装置300における所定のサンプリング周期よりも長い。このため、分割領域1101〜1108のうちの1つの分割領域に対する周溶接が行われている間に、同一のサンプリング時刻におけるデータセットとして、複数のデータセットが、データ取得部310により取得される。
そこで、まず、入熱量導出部320は、同一のサンプリング時刻におけるデータセット(溶接電圧、溶接電流、および周溶接機21の溶接トーチの回転数)に基づいて、当該サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量(J/mm)を導出する。
前述したように本実施形態では、データ取得部310は、周溶接機21の溶接トーチの回転数(rpm)を取得する。そこで、入熱量導出部320は、周溶接機21の溶接トーチの回転数(rpm)を、周溶接機21の溶接トーチの回転速度(1秒当たりの移動距離(mm/s))に変換し、周溶接機21の溶接トーチの回転速度を溶接速度とする。周溶接機21の溶接トーチと各鋼管Pの端部とは近接している。このため、本実施形態では、周溶接機21の溶接トーチの回転半径が、各鋼管Pの外径DP(mm)に近似されるものとする。周溶接機21の溶接トーチの回転数をRS(rpm)とすると、1秒当たりの移動距離(mm/s)として表される溶接速度SS(mm/s)は、以下の(1)式で表される。
SS=RS/60×DP×π ・・・(1)
入熱量導出部320は、同一のサンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Q(J/mm)を、当該サンプリング時刻においてデータ取得部310により取得された溶接電圧V(V)および溶接電流I(A)と、当該サンプリング時刻においてデータ取得部310により取得された溶接速度RSを用いて(1)式により導出された溶接速度SS(mm/s)とを用いて、以下の(2)式により導出する。
Q=V×I/SS ・・・(2)
また、入熱量導出部320は、各サンプリング時刻において導出された溶接速度SSとサンプリング周期との積の、各鋼管Pの端部の周溶接が開始されてからの積算値と、溶接開始位置(0°の位置)と、各鋼管Pの外径DPと、に基づいて、現在のサンプリング時刻において周溶接が行われている位置を特定する。即ち、入熱量導出部320は、溶接開始位置(0°の位置)を起点として、図11の紙面に向かって時計回りに、各サンプリング時刻において導出された溶接速度SSとサンプリング周期との積の、各鋼管Pの端部の周溶接が開始されてからの積算値の距離だけ、各鋼管Pの外周に沿って進めた位置を、現在のサンプリング時刻において周溶接が行われている位置として特定する。
入熱量導出部320は、このようにして特定した位置に基づいて、複数の分割領域1101〜1108のうちの1つの分割領域における周溶接が終了したか否かを判定する。この判定の結果、複数の分割領域1101〜1108のうちの1つの分割領域における周溶接が終了した場合、入熱量導出部320は、当該1つの分割領域に対して周溶接が施されているときの各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qに基づいて、周溶接部PWの当該1つの分割領域の部分に対する入熱量を導出する。
本実施形態では、入熱量導出部320は、当該1つの分割領域に対して周溶接が施されているときの各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qの代表値を、周溶接部PWの当該1つの分割領域の部分に対する入熱量として導出する。本実施形態では、代表値として、平均値を採用する。ただし、代表値は、平均値に限定されず、例えば、中央値または最頻値であってもよい。
本実施形態では、以上のようにして、複数の分割領域1101〜1108ごとに、各鋼管Pの周溶接部PWに対する入熱量が導出される。
[比較部330]
比較部330は、周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量と、閾値とを比較することを、周溶接部PWの複数の分割領域1101〜1108の部分に対する入熱量のそれぞれについて個別に行う。本実施形態では、周溶接部PWの複数の分割領域1101〜1108の部分に対する入熱量のそれぞれに対し、同じ値の閾値を用いる場合を例に挙げて説明する。閾値は、各鋼管Pの端部に対して与える入熱量の想定値に基づいて、入熱管理装置300に予め設定される。また、各鋼管Pの端部に対し、複数パスの周溶接が施される場合がある。そして、各鋼管Pの端部に対して与える入熱量の想定値がパス毎に異なる場合がある。この場合、パス毎に異なる閾値が、入熱管理装置300に予め設定される。尚、一周分の周溶接(溶接開始位置(0°の位置)から一周して再び溶接開始位置(0°の位置)に戻るまでの周溶接)で1回のパスとなる。最後のパスにおいては、溶接開始位置で周溶接を終わらせずに、溶接開始位置の先まで周溶接を行ってから、周溶接を終了させてもよい。
本実施形態では、比較部330は、周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量が、閾値以下であるか否かを判定する。周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量が、閾値以下の場合、当該分割領域の部分に対する入熱量は過大ではなく、設定(制御指令)通りに周溶接が施されたことになるものとする。一方、周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量が、閾値を上回る場合、当該分割領域の部分に対する入熱量は過大であり、異常であるものとする。
[表示・出力部340]
表示・出力部340は、複数の分割領域1101〜1108毎に導出された周溶接部PWに対する入熱量を示す情報と、複数の分割領域1101〜1108毎の周溶接部PWに対する入熱量の閾値を示す情報とを含む情報を表示装置に表示する。
図12は、周溶接部PWに対する入熱量の時間変化を示す情報と、周溶接部PWに対する入熱量の閾値を示す情報の表示例を示す図である。
図12(a)は、複数の分割領域1101〜1108の何れの分割領域の部分においても、周溶接部PWに対する入熱量が、閾値を上回らない場合の表示例を示す。図12(b)は、分割領域1103の部分において、周溶接部PWに対する入熱量が、閾値を上回る場合の表示例を示す。
図12(a)および図12(b)において、グラフ1201は、閾値THを示す。
グラフ1202a、1202bは、各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qを示す。
時刻t0は、溶接開始時刻を示す。時刻t1、t2、t3、t4、t5、t6は、それぞれ、分割領域1101、1102、1103、1104、1105、1106、1107、1108に対する周溶接が終了した時刻を示す。従って、期間t0〜t1、t1〜t2、t2〜t3、t3〜t4、t4〜t5、t5〜t6、t6〜t7、t7〜t8は、それぞれ、分割領域1101、1102、1103、1104、1105、1106、1107、1108に対する周溶接が行われている期間を示す。
図12(a)において、点1211a、1212a、1213a、1214a、1215a、1216a、1217a、1218aは、それぞれ、周溶接部PWの分割領域1101、1102、1103、1104、1105、1106、1107、1108の部分に対する入熱量を示す。同様に、図12(b)において、点1211b、1212b、1213bは、それぞれ、周溶接部PWの分割領域1101、1102、1103の部分に対する入熱量を示す。
前述したように本実施形態では、周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量は、当該1つの分割領域に対して周溶接が施されているときの各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qの代表値(平均値)である。
従って、図12(a)において、点1211a、1212a、1213a、1214a、1215a、1216a、1217a、1218aは、それぞれ、グラフ1202aの期間t0〜t1、t1〜t2、t2〜t3、t3〜t4、t4〜t5、t5〜t6、t6〜t7、t7〜t8における値の代表値(平均値)を示す。同様に、図12(b)において、点1211b、1212b、1213bは、それぞれ、グラフ1202bの期間t0〜t1、t1〜t2、t2〜t3における値の代表値(平均値)を示す。
本実施形態では、表示・出力部340は、入熱量導出部320により、各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qが導出される度に、サンプリング周期毎の周溶接部PWに対する入熱量Qの時間変化を示す情報(グラフ1202a、1202b)の表示を更新する。これにより、作業者は、溶接部PWに対する入熱量Qをリアルタイムで監視することができる。
表示・出力部340は、入熱量導出部320により、周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量が導出される度に、複数の分割領域1101〜38毎の溶接部PWに対する入熱量の時間変化を示す情報(点1211a〜1218a、1211b〜1213b)の表示を更新する。
図12(a)では、全ての分割領域1101〜38に対する周溶接が終了したときの表示例を示す。図12(b)では、複数の分割領域1101〜1108のうち、分割領域1101〜33に対する周溶接が終了したときの表示例を示す。
尚、図12(a)および図12(b)において、横軸を時刻t0〜t8で表記せず、例えば、横軸の期間t0〜t1、t1〜t2、t2〜t3、t3〜t4、t4〜t5、t5〜t6、t6〜t7、t7〜t8の領域を、それぞれ、分割領域1101、1102、1103、1104、1105、1106、1107、1108として表記してもよい。
表示・出力部340は、複数の分割領域1101〜38毎の溶接部PWに対する入熱量が閾値THを上回る場合、当該入熱量が、過大な入熱量であり、異常であることを示す情報を出力する。本実施形態では、表示・出力部340は、例えば、複数の分割領域1101〜38毎の溶接部PWに対する入熱量のうち、閾値THを上回る入熱量を示す情報の表示態様を、閾値TH以下の他の入熱量を示す情報の表示態様と異ならせる。例えば、表示・出力部340は、点1213bの形を、点1211b、1212bの形と異なる形で表示する(点1213を×で表示している)。また、表示・出力部340は、このようにすることに代えてまたは加えて、例えば、点1213bの色や大きさを、点1211b、1212bの色や大きさと異ならせてもよい。また、表示・出力部340は、例えば、表示画面の点1213b以外の領域に、入熱量が異常であることを示す情報を表示しても、入熱量が異常であることを示す情報をポップアップ表示してもよい。
また、表示・出力部340は、複数の分割領域1101〜38毎の溶接部PWに対する入熱量のうち、閾値THを上回る入熱量を示す情報の表示態様を、他の入熱量を示す情報の表示態様と異ならせることに加えて、以下のようにしてもよい。即ち、表示・出力部340は、各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qを示す情報のうち、入熱量が異常である分割領域の部分の表示態様を、他の部分の表示態様と異ならせてもよい。例えば、表示・出力部340は、図12(b)において、グラフ1202bのうち、期間t2〜t3の部分の表示の形態を、期間t0〜t2の部分の表示の形態と異ならせてもよい。表示の形態として、例えば、色、濃度、線種、および線の太さの少なくとも1つを採用することができる。図12(b)に示す例では、グラフ1202bの期間t2〜t3の部分を薄いグレーで表示している。
また、表示・出力部340は、複数の分割領域1101〜38毎の溶接部PWに対する入熱量と、複数の分割領域1101〜38毎の周溶接部PWに対する入熱量が、閾値を上回るか否かを示す情報とを含む情報を、周溶接の結果を示す情報として、長尺管管理装置200に送信する。
[フローチャート]
次に、図13のフローチャートを参照しながら、入熱管理装置300が行う入熱管理方法の一例を説明する。
ステップS1301において、入熱管理装置300は、複数の分割領域1101〜38を識別する変数iに1を設定する。また、入熱管理装置300は、パス数を識別する変数jに1を設定する。ここでは、変数iが、1、2、3、4、5、6、7、8であることは、分割領域1101、1102、1103、1104、1105、1106、1107、1108であることを示すものとする。また、変数jは、j番目のパスであることを示すものとする。
次に、ステップS1302において、入熱管理装置300は、変数iおよび変数jに対応する閾値THを設定する。本実施形態では、変数iおよび変数jによらずに同じ値の閾値THを用いるものとする。変数iおよび変数jに応じて閾値THを変更する場合、入熱管理装置300は、例えば、変数iおよび変数jと閾値THとが相互に関連付けられて登録されたルックアップテーブルを予め記憶しておき、変数iおよび変数jに対応する閾値THを、当該ルックアップテーブルから読み出せばよい。
次に、ステップS1303において、入熱管理装置300は、入熱管理装置300における所定のサンプリング周期で到来するサンプリング時刻になるまで待機する。入熱管理装置300における所定のサンプリング周期で到来するサンプリング時刻になると、ステップS1304の処理が実行される。ステップS1304において、データ取得部310は、溶接電圧および溶接電流を溶接電源23から取得することと、周溶接機21の溶接トーチの回転数を周溶接機21から取得することとを行う。
次に、ステップS1305において、入熱量導出部320は、周溶接機21の溶接トーチの回転数を用いて、(1)式により、溶接速度SSを導出する。入熱量導出部320は、溶接電圧V、溶接電流I、および溶接速度SSを用いて、(2)式により、現在のサンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qを導出する。また、入熱量導出部320は、現在のサンプリング時刻において周溶接が行われている位置を特定する。
次に、ステップS1306において、表示・出力部340は、ステップS1305で導出された情報(現在のサンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qと、現在のサンプリング時刻において周溶接が行われている位置)に基づいて、各サンプリング周期における周溶接部PWに対する入熱量Qを示す情報の表示(グラフ1202a、1202b)を更新する。尚、図12(a)および図12(b)において、縦軸、横軸、および閾値THを示す情報(グラフ1201)は、例えば、図13のフローチャートが開始されたタイミングで表示される。
次に、ステップS1307において、入熱量導出部320は、ステップS1305で導出された、現在のサンプリング時刻において周溶接が行われている位置に基づいて、i番目の分割領域(変数iにより識別される分割領域)における周溶接が終了したか否かを判定する。この判定の結果、i番目の分割領域における周溶接が終了していない場合、ステップS1303の処理が実行される。そして、次のサンプリング時刻に対するステップS1303〜S1306の処理が実行される。
そして、ステップS1307において、i番目の分割領域における周溶接が終了したと判定されると、ステップS1308の処理が実行される。ステップS1308において、入熱量導出部320は、i番目の分割領域に対して周溶接が施されているときの各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量Qの代表値を、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量として導出する。
次に、ステップS1309において、比較部330は、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量が閾値以下であるか否かを判定する。この判定の結果、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量が閾値以下でない場合、ステップS1310の処理が実行される。ステップS1310において、表示・出力部340は、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量を示す情報の表示を更新する(例えば、点1213bを追加する)。このとき、表示・出力部340は、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量を示す情報(点1213b)の表示態様を、閾値以下の他の入熱量を示す情報(点1211b〜1212b)の表示態様と異ならせる。そして、後述するステップS1312の処理が実行される。
ステップS1309の判定の結果、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量が閾値以下である場合、ステップS1311の処理が実行される。ステップS1311において、表示・出力部340は、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量を示す情報の表示を更新する(例えば、点1211a〜1218a、1211b〜1212bのうち、i番目の分割領域に対応する点を追加する)。このとき、周溶接部PWのi番目の分割領域の部分に対する入熱量を示す情報の表示態様は、閾値以下の他の入熱量を示す情報の表示態様と同じである。そして、以下のステップS1312の処理が実行される。
ステップS1312において、入熱管理装置300は、分割領域1101〜38を識別する変数iが、複数の分割領域の総数を示す値Iであるか否かを判定する。図11に示す例では、I=8である。この判定の結果、分割領域1101〜38を識別する変数iが、複数の分割領域の総数を示す値Iでない場合、ステップS1313の処理が実行される。ステップS1313において、入熱管理装置300は、分割領域1101〜38を識別する変数iに1を加算する。そして、ステップS1303の処理が実行され、次の分割領域に対するステップS1303〜S1311の処理が実行される。
ステップS1312の判定の結果、変数iが、複数の分割領域の総数を示す値Iである場合、ステップS1314の処理が実行される。ステップS1314において、パス数を識別する変数jが、パスの総数を示す値Jであるか否かを判定する。尚、1パスで周溶接を終える場合、ステップS1314の判定は行わなくてもよい。この判定の結果、パス数を識別する変数jが、パスの総数を示す値Jでない場合、ステップS1315の処理が実行される。ステップS1315において、入熱管理装置300は、複数の分割領域1101〜38を識別する変数iに1を設定する。また、入熱管理装置300は、パス数を識別する変数jに1を加算する。そして、ステップS1302の処理が実行され、次のパスに対するステップS1302〜S1313の処理が実行される。
ステップS1314の判定の結果、パス数を識別する変数jが、パスの総数を示す値Jである場合、ステップS1316の処理が実行される。
ステップS1316において、表示・出力部340は、複数の分割領域1101〜38毎の溶接部PWに対する入熱量と、複数の分割領域1101〜38毎の周溶接部PWに対する入熱量が、閾値を上回るか否かを示す情報とを含む情報を、周溶接の結果を示す情報として、長尺管管理装置200に送信する。ステップS1316の処理が終了すると、図13のフローチャートによる処理は終了する。
[まとめ]
以上のように、入熱管理装置300は、各鋼管Pの外周面を鋼管Pの周方向において複数に分割した複数の分割領域1101〜38ごとに、周溶接部PWに対する入熱量を導出し、周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量と閾値とを比較することを、複数の分割領域1101〜38の部分に対する入熱量のそれぞれについて個別に行う。従って、複数の分割領域1101〜38毎に、周溶接部PWに対する入熱量を管理することができる。よって、鋼管の端部同士の周溶接部に対する入熱量を適切に管理することができる。
また、入熱管理装置300は、複数の分割領域1101〜38ごとに導出された周溶接部PWに対する入熱量を示す情報と、当該入熱量に対する閾値を示す情報とを含む情報を表示装置に表示する。従って、複数の分割領域1101〜38毎に、周溶接部PWに対する入熱量が異常であるか否かを作業者に容易に判断させることができる。
また、入熱管理装置300は、周溶接部PWの1つの分割領域の部分に対する入熱量が、当該入熱量の閾値以下でなく、当該入熱量と当該閾値との関係が、入熱量が異常であることを示す所定の関係である場合、当該入熱量が異常であることを示す情報を出力する。従って、複数の分割領域1101〜38毎に、周溶接部PWに対する入熱量が異常であるか否かを作業者に一層容易に判断させることができる。
また、入熱管理装置300は、所定のサンプリング周期で周溶接部PWに対する入熱量を導出し、1つの分割領域が周溶接されている間に導出した周溶接部PWに対する入熱量の代表値を、当該1つの分割領域に対する入熱量として導出する。1つの分割領域が周溶接されている間に繰り返し到来する各サンプリング時刻において、周溶接部PWに対する入熱量が繰り返し導出される。このような各サンプリング時刻における周溶接部PWに対する入熱量の代表値を、1つの分割領域に対する入熱量とすることにより、周溶接部PWの各分割領域1101〜38の部分に対する入熱量を、より高精度に導出することができる。
また、入熱管理装置300は、溶接電圧Vと、溶接電流Iと、溶接速度SSとに基づいて、周溶接部PWに対する入熱量Qを導出する。従って、周溶接部PWに対する入熱量Qを定量的に導出することができる。
[変形例]
本実施形態では、鋼管Pの周方向において、鋼管Pの外周面を8等分に分割した8個の分割領域1101〜38を例に挙げて説明した。しかしながら、複数の分割領域の数は8個に限定されない。また、複数の分割領域は、鋼管Pの外周面を等分割したものでなくてもよい。
本実施形態では、複数の分割領域1101〜38に対する入熱量に対し、同じ値の閾値を用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、複数の分割領域1101〜38に対する入熱量毎に、閾値を設定してもよい。また、複数の分割領域1101〜38を2つ以上のグループに分け、グループ毎(同一のグループに属する分割領域毎)に、異なる閾値を設定してもよい。
本実施形態では、複数の分割領域1101〜1108毎に導出された周溶接部PWに対する入熱量を示す情報の表示態様を、入熱量が異常である部分と正常である部分とで異ならせることにより、分割領域に対する入熱量が異常であることを示す情報を出力する場合を例に挙げて説明した。具体的には、点1213bの表示態様を、点1211b、1212bの表示態様と異ならせた。しかしながら、分割領域に対する入熱量が異常であることを示す情報の出力の方法は、複数の分割領域1101〜1108毎に導出された周溶接部PWに対する入熱量を示す情報の表示を用いる方法に限定されない。例えば、分割領域に対する入熱量が異常であることを示す情報を、図12に示す表示を行う画面とは別の画面で表示してもよい。また、分割領域に対する入熱量が異常であることを示す情報を、音により出力してもよい。
本実施形態では、各鋼管Pを静止させた状態で、周溶接機21の溶接トーチを回転させる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、周溶接機21の溶接トーチを固定して、各鋼管Pの中心軸Oを回転軸として各鋼管Pを回転させてもよい。周溶接機21の溶接トーチと各鋼管Pとの双方を回転させてもよい。周溶接機21の溶接トーチの回転速度ベクトルと各鋼管Pの回転速度ベクトルとの差が溶接速度となる。
本実施形態では、入熱量の上限に関する閾値のみを設定し、入熱量が閾値を上回る場合に入熱量が過大であると判定している。本実施形態において、入熱量の上限値のみを監視しているのは、入熱量が不足する場合は、周溶接部PWの形状に影響が出るため、溶接後に行われるX線検査により検出できるからである。しかしながら、入熱量の上限に関する閾値(第1の閾値)に加え、下限に関する閾値(第2の閾値)も設定し、入熱量不足の場合も検出するようにしてもよい。このような構成は、溶接装置と巻取装置との間にX線検査装置が配置されていない設備の場合に、特に有効である。
<測長装置400>
次に、測長装置400について説明する。
測長装置400は、製造設備1で製造される長尺管P1の少なくとも一部分の長さを、長尺管P1の搬送中(長尺管P1が巻取装置3で巻き取られる前)に測定する装置である。図14は、測長装置400の機能的な構成の一例を示す図である。以下に、測長装置400が有する機能の一例を説明する。
[測長開始判定部411]
測長開始判定部411は、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達したか否かを判定する。図15は、測長ロール5を用いた長尺管P1の長さの測定方法の一例を説明する図である。図15(a)は、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達した状態の一例を示す図である。測長ロール5の測長基準位置は、測長ロール5のX軸方向(長尺管P1の搬送方向)の基準位置である。図15(a)〜図15(e)では、測長ロール5の測長基準位置が、測長ロール5の回転軸のX軸方向の位置である場合を例示する。
図15(a)では、長尺管P1の始端部PSの基端(長尺管P1の本体側の端)のX軸方向の位置が、測長ロール5の測長基準位置である場合に、測長開始判定部411は、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定する場合を例示する。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。測長開始判定部411は、長尺管P1の始端部PSのその他の所定の箇所(例えば、重心または先端(長尺管P1の本体側とは反対側の端))のX軸方向の位置が、測長ロール5の測長基準位置である場合に、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定してもよい。
尚、長尺管P1の始端部PSは、例えば、特許文献1に記載されているように、継手である。継手は、例えば、長尺管P1に水圧試験を施す際、水圧試験用の水を供給する配管と接続(螺合)され、高圧下でもシール性能を維持可能な公知の構造を有する。始端部PSである継手の一端部と、長尺管P1の本体を構成する先頭の管Pの一端部に対して、溶接装置2aにより周溶接が施され、周溶接部PWが形成される。また、始端部PSはなくてもよい。この場合、先頭の直管P(素管P')の始端部が、長尺管P1の始端部になる。
長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達したか否かを判定する方法の例を説明する。
まず、作業者は、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達したタイミングで、搬送装置1および巻取装置3の駆動を停止させる。その後、作業者は、測長装置400のユーザインターフェースを操作して、長尺管P1の始端部PSが測長ロール5の測長基準位置に到達したことを示す情報を、測長装置400に入力する。その後、作業者は、搬送装置1および巻取装置3の駆動を再開させる。この場合、測長開始判定部411は、このような操作に基づいて、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定することができる。
また、測長開始判定部411は、長尺管P1の始端部PSの位置を検出するセンサから出力される信号に基づいて、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達したか否かを判定することができる。
[測長用信号取得部412]
測長用信号取得部412は、測長ロール5の回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダから出力されるパルス信号を、測長用信号として、所定のサンプリング周期で繰り返し受信する。
[始端部固定判定部413]
始端部固定判定部413は、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されたか否かを判定する。図15(b)は、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定された状態の一例を示す。図15(b)では、表記の都合上、長尺管P1の始端部PSが、リール31の側面の内側にある状態を示す。しかしながら、リール31において長尺管P1の始端部PSが固定される位置は、リール31の側面の内側の位置に限定されない。例えば、特許文献1に記載のように、長尺管P1の始端部PSは、リール31の外側面に固定されてもよい。
長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されたか否かを判定する方法の例を説明する。
まず、作業者は、巻取装置3による動作を停止させ、長尺管P1の始端部PSを、リール31の所定の位置に、固定治具を用いて固定する。その後、作業者は、測長装置400のユーザインターフェースを操作して、長尺管P1の始端部PSをリール31の所定の位置にしたことを示す情報を、測長装置400に入力する。その後、作業者は、搬送装置1および巻取装置3の駆動を再開させる。この場合、始端部固定判定部413は、このような操作に基づいて、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されたと判定することができる。
また、始端部固定判定部413は、リール31の所定の位置における長尺管P1の始端部PSの装着を検出するセンサから出力される信号に基づいて、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されたか否かを判定することができる。
[検査情報取得部414]
検査情報取得部414は、X線検査装置4(X線検査装置本体41)による検査位置に長尺管P1の周溶接部PWが位置していることを示す情報を取得する。以下の説明では、この情報を、必要に応じて、検査中情報と称する。
前述したように、長尺管P1の周溶接部PWが検査される際には、長尺管P1の周溶接部PWは、X線検査装置4の配置位置(X線検査装置4が有するX線源によってX線が照射される位置)に位置する。この場合、X線源によってX線が照射される位置が、X線検査装置4による検査位置である。なお、X線が照射される位置は、例えば、長尺管P1に向けてレーザビームを照射するレーザポインタとそれを監視するカメラを用いることで、正確に把握することができる。
また、周溶接部PWが正常である場合、X線検査装置4による長尺管P1の周溶接部PWの検査が終了すると、搬送装置1および巻取装置3が駆動する。
検査情報取得部414は、長尺管P1の周溶接部PWが、X線検査装置4の配置位置(X線源によってX線が照射される位置)に位置してから、搬送装置1および巻取装置3が駆動するまでの間の期間内の所定のタイミングにおいて、検査中情報を取得する。
後述するように、本実施形態では、このタイミングに基づいて、長尺管P1の長さの測定が行われる。このタイミングであれば、周溶接部PWを直接的に検出しなくても、周溶接部PWの位置が、X線検査装置4の配置位置(X線源によってX線が照射される位置)であることが分かる。従って、長尺管P1の周溶接部PWがX線検査装置4の配置位置に位置する度に、測長ロール5の回転量に基づいて長尺管P1の移動量を導出すれば、長尺管P1の長手方向において隣り合う2つの周溶接部PWの一方から他方までの長さを導出することができる。本実施形態では、検査情報取得部414により検査中情報が取得されるタイミングが、測長タイミングの一例である。
検査中情報の取得方法の例を説明する。
まず、作業者は、X線源からX線を照射することを指示した後、測長装置400のユーザインターフェースを操作して、X線検査装置4によって長尺管P1の周溶接部PWが検査されたことを示す情報を、測長装置400に入力する。その後、X線検査装置4による検査が終了すると、作業者は、搬送装置1および巻取装置3の駆動を再開させる。この場合、検査情報取得部414は、このような操作により、検査中情報を取得する。
また、X線検査装置4は、X線源からX線を照射することを作業者が指示したタイミングで検査中情報を生成して測長装置400に送信することができる。
また、周溶接部PWが不良である場合、前述した(a)〜(c)に示す手順で、周溶接部PWの除去と、周溶接部PWの再形成と、周溶接部PWの再検査とが実施される。この場合、検査情報取得部414は、測長の取り消しを示す測長取消情報を取得する。
測長取消情報の取得方法の例を説明する。
作業者は、周溶接部PWが不良であることを認識すると、測長装置400のユーザインターフェースを操作して、測長の取り消しを示す情報を、測長装置400に入力する。この場合、検査情報取得部414は、このような操作により、測長取消情報を取得する。
また、X線検査装置4は、周溶接部PWが不良であることを判定したタイミングで測長取消情報を生成して測長装置400に送信することができる。
[測長終了判定部415]
測長終了判定部415は、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したか否かを判定する。図15(c)は、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達した状態の一例を示す図である。
図15(c)では、長尺管P1の尾端部PEの基端(長尺管P1の本体側の端)のX軸方向の位置が、測長ロール5の測長基準位置である場合に、測長終了判定部415は、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定する場合を例示する。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。長尺管P1の尾端部PEのその他の所定の箇所(例えば、重心または先端(長尺管P1の本体側とは反対側の端))のX軸方向の位置が、測長ロール5の測長基準位置である場合に、測長終了判定部415は、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定してもよい。
尚、長尺管P1の尾端部PEは、例えば、特許文献1に記載されているように、継手である。尾端部PEである継手の一端部と、長尺管P1の本体を構成する先頭の直管P(素管P')の一端部に対して、溶接装置2aにより周溶接が施され、周溶接部PWが形成される。尾端部PEである継手の一端部と、長尺管P1の本体を構成する先頭の直管P(素管P')の一端部とに形成される周溶接部PWに対するX線検査装置4による検査は実施しても実施しなくてもよい。また、尾端部PEはなくてもよい。この場合、最後尾の直管P(素管P')の尾端部が、長尺管P1の尾端部になる。
長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したか否かを判定する方法の例を説明する。
まず、作業者は、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したタイミングで、巻取装置3による動作を停止させる。その後、作業者は、測長装置400のユーザインターフェースを操作して、長尺管P1の尾端部PEが測長ロール5の測長基準位置に到達したことを示す情報を、測長装置400に入力する。その後、作業者は、搬送装置1および巻取装置3の駆動を再開させる。この場合、測長開始判定部411は、このような操作に基づいて、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定することができる。
また、測長開始判定部411は、長尺管P1の尾端部PEの位置を検出するセンサから出力される信号に基づいて、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したか否かを判定することができる。
[検査装置移動判定部416]
前述したようにX線検査装置4は、搬送装置1(X軸方向)に沿って移動可能である。検査装置移動判定部416は、X線検査装置4が移動したか否かを判定する。前述したように、X線検査装置4の車輪43aの回転軸には、ロータリーエンコーダが取り付けられている。検査装置移動判定部416は、例えば、X線検査装置4の車輪43aの回転軸に取り付けられているロータリーエンコーダからのパルス信号の受信により、X線検査装置4が移動したと判定することができる。
[オフセット変更量導出部417]
オフセット変更量導出部417は、X線検査装置4の配置位置(X線源によってX線が照射される位置)と、測長ロール5の測長基準位置とのX軸方向(長尺管P1の搬送方向)の距離の変更量を導出する。以下の説明では、この距離を、必要に応じて、オフセット量と称する。尚、長尺管P1の搬送方向におけるX線検査装置4の初期の位置と、オフセット量の初期値は既知であるとする。
図16は、オフセット量の変更量を説明する図である。
図16(a)は、X線検査装置4の移動前の(前回の)オフセット量Xoff1の一例を示す図である。図16(b)は、X線検査装置4の移動後の(現在の)オフセット量Xoff2の一例を示す図である。
オフセット変更量導出部417は、X線検査装置4の移動が完了する度に、X線検査装置4の移動後の(現在の)オフセット量Xoff2からX線検査装置4の移動前の(前回の)オフセット量Xoff1を減算した値(=Xoff2−Xoff1)をオフセット量の変更量ΔXoffとして導出する。オフセット変更量導出部417は、オフセット量の変更量ΔXoffを既に導出している場合、当該オフセット量の変更量ΔXoffの値を、新たに導出したオフセット量の変更量ΔXoffに変更する。このようにオフセット変更量導出部417は、オフセット量の変更量ΔXoffの最新の値のみを保持するものとする。
ここでは、オフセット量Xoffは、測長ロール5の測長基準位置を基準(原点)として、長尺管P1の搬送方向の上流側(X軸の負の方向側)にX線検査装置4がある場合に正の値を有するものとする。
長尺管P1の搬送方向(X軸方向)におけるX線検査装置4の配置位置は、例えば、以下のようにして特定される。
測長装置400は、ロータリーエンコーダにおける計測値の単位量あたりの移動量の初期値を予め記憶している。インクリメンタル方式のロータリーエンコーダでは、ロータリーエンコーダにおける計測値は、ロータリーエンコーダが出力するパルス信号(一対のA相およびB相のパルス信号)のカウント数であり、単位量は、例えば1である。アブソリュート方式のロータリーエンコーダでは、ロータリーエンコーダにおける計測値は、ロータリーエンコーダが出力するパルス信号に基づいて特定される回転角度であり、単位量は、例えば1°である。
また、移動量は、X線検査装置4の配置位置の移動量である。
以下の説明では、ロータリーエンコーダにおける計測値の単位量あたりの移動量を、必要に応じて、測長分解能と称する。尚、ロータリーエンコーダにおける計測値は、回転方向が区別されるものとする。例えば、ロータリーエンコーダが時計回りに回転しているときと反時計回りに回転しているときとで、ロータリーエンコーダにおける計測値の符号は、逆になる。ロータリーエンコーダ自体は公知の技術で実現することができるので、ここでは詳細な説明を省略する。
X線検査装置4が移動している期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値と、測長分解能との積が、当該期間でのX線検査装置4の移動量になる。X線検査装置4の移動前の配置位置(X線源によってX線が照射される位置)と、X線検査装置4の移動量とに基づいて、X線検査装置4の移動後の(現在の)配置位置が導出される。
オフセット変更量導出部417は、X線検査装置4の移動後の(現在の)配置位置と、測長ロール5の測長基準位置とのX軸方向(長尺管P1の搬送方向)の距離を、X線検査装置4の移動後の(現在の)オフセット量Xoff2として導出する。
オフセット変更量導出部417は、X線検査装置4の移動後の(現在の)オフセット量Xoff2からX線検査装置4の移動前の(前回の)オフセット量Xoff1を減算した値(=Xoff2−Xoff1)をオフセット量の変更量ΔXoffとして導出する。
[測長部418]
測長部418は、測長用信号取得部412により取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、長尺管P1の少なくとも一部分の長さを導出する。
まず、測長部418による長尺管P1の移動量の導出方法の一例を説明する。
図15(d)は、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定された後、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の始端部PSに最も近い周溶接部PWが、X線検査装置4の配置位置(X線源によってX線が照射される位置)に位置した状態の一例を示す。尚、図15(b)に示す周溶接部PWは、長尺管P1の始端部PSである継手と素管P'の端部との周溶接部PWであるため、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWではない。同様に、図15(c)に示す周溶接部PWは、長尺管P1の尾端部PEである継手と素管P'の端部との周溶接部PWであるため、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWではない。
長尺管P1の長さは、例えば、以下のようにして特定される。
前述したように測長装置400は、ロータリーエンコーダにおける計測値の単位量あたりの移動量(測長分解能)を予め記憶している。ここでの移動量は、長尺管P1の移動量(測長ロール5の回転量)である。
測長ロール5により長尺管P1の移動量を測定している期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値と、測長分解能との積が、当該期間での長尺管P1の移動量になる。長尺管P1の移動量は、長尺管P1の移動量を測定している期間に測長ロール5を通過した長尺管P1の長さになる。
次に、測長部418が有する具体的な機能の一例を説明する。本実施形態では、測長部418は、始端側測長部418aと、定常測長部418bと、尾端側測長部418cとを有する。
[[始端側測長部418a]]
始端側測長部418aは、長尺管P1の始端部PSが測長ロール5の測長基準位置に到達したタイミングから、長尺管P1の始端部PSがリール31の所定の位置に固定されたタイミングまでの期間に取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該期間での長尺管P1の移動量を、当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離として導出する。図15(b)において、この距離は、長尺管P1の始端部PSから、測長ロール5の測長基準位置にある長尺管P1の部分までの長さになる。図15(b)において、この距離と、現在のオフセット量Xoffとを加算した長さは、長尺管P1の始端部PSから、X線検査装置4の配置位置にある長尺管P1の部分までの長さになる。
また、始端側測長部418aは、長尺管P1の始端部PSがリール31の所定の位置に固定されたタイミングから、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWに対する検査中情報が最初に取得されたタイミングまでの期間に取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該期間での長尺管P1の移動量を、当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離として導出する。
始端側測長部418aは、これら2つの期間において導出した、長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離の加算値を導出する。この加算値は、長尺管P1の始端部PSから、長尺管P1を構成する素管P'同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の始端部PSに最も近い周溶接部PWまでの長さである。以下の説明では、長尺管P1の始端部PSから、長尺管P1を構成する素管P'同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の始端部PSに最も近い周溶接部PWまでの長さを、必要に応じて、長尺管P1の始端部側の長さと称する。
図15(d)において、長尺管P1の始端部側の長さは、長尺管P1の始端部PSから、X線検査装置4の配置位置にある長尺管P1の部分までの長さである。
始端側測長部418aは、以上のようにして、長尺管P1の始端部側の長さを導出する。尚、本実施形態では、測長開始判定部411により、長尺管P1の始端部が測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定されたタイミングが、始端通過タイミングの一例である。
始端側測長部418aは、検査情報取得部414が測長取消情報を取得した場合、以上のようにして導出した、長尺管P1の始端部側の長さを削除する。その後、始端側測長部418aは、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWに対する検査中情報が新たに取得されたタイミングを用いて、前述したようにして、長尺管P1の始端部側の長さを導出し直す。
尚、ここでは、始端側測長部418aは、2つの期間に分けて、それぞれの期間での長尺管P1の移動量を導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、始端側測長部418aは、これら2つの期間を1つの期間として、当該1つの期間での長尺管P1の移動量を導出してもよい。
[[定常測長部418b]]
定常測長部418bは、或る検査中情報が取得されたタイミングから、当該検査中情報の次に検査中情報が取得されたタイミングまでの期間に測長用信号取得部412により取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該期間での長尺管P1の移動量を導出する。
以下の説明では、以上の検査中情報が取得された2つのタイミングのうち先のタイミングを、必要に応じて、先の検査中情報が取得されたタイミングと称し、後のタイミングを、必要に応じて、後の検査中情報が取得されたタイミングと称する。
定常測長部418bは、先の検査中情報が取得されたタイミングから後の検査中情報が取得されたタイミングまでの期間での長尺管P1の移動量と、オフセット量の変更量ΔXoffとの加算値を、当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離として導出する。この距離は、長尺管P1を構成する素管P'同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の長手方向において隣り合う2つの周溶接部PWの一方から他方までの長さである。オフセット量の変更量ΔXoffが0である場合、オフセット量の変更量ΔXoffの加算は不要である。以下の説明では、長尺管P1を構成する素管P'同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の長手方向において隣り合う2つの周溶接部PWの一方から他方までの長さを、必要に応じて、周溶接部PW間の長さと称する。
図15(e)は、図15(d)に示す長尺管P1の周溶接部PWよりも尾端側に位置する周溶接部PWが、X線検査装置4の配置位置(X線源によってX線が照射される位置)に位置した状態を示す。
例えば、図15(e)に示す長尺管P1の周溶接部PWが、図15(d)に示す長尺管P1の周溶接部PWの次にX線検査装置4の配置位置に位置する周溶接部PWであるとする。この場合、定常測長部418は、これら2つの周溶接部PWに対する検査中情報が取得されたタイミングにより定まる期間での長尺管P1の移動量を、当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離として導出する。この距離は、図15(d)に示す長尺管P1の周溶接部PWから図15(e)に示す長尺管P1の周溶接部PWまでの長さになる。
定常測長部418bは、以上のようにして、周溶接部PW間の長さを導出する。
定常測長部418bは、検査情報取得部414が測長取消情報を取得した場合、以上のようにして導出した、周溶接部PW間の長さを削除する。その後、定常測長部418bは、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWに対する検査中情報が検査情報取得部414により新たに取得されたタイミングを、後の検査中情報が取得されたタイミングとして用いて、前述したようにして、周溶接部PW間の長さを導出する。
[[尾端側測長部418c]]
尾端側測長部418cは、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWに対する検査中情報が最後に取得されたタイミングから、長尺管P1の尾端部PEが測長ロール5の測長基準位置に到達したタイミングまでの期間に取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該期間での長尺管P1の移動量を、当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離として導出する。この距離は、長尺管P1の尾端部PEから、長尺管P1を構成する素管P'同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の尾端部PEに最も近い周溶接部PWまでの長さである。以下の説明では、長尺管P1の尾端部PEから、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWのうち、長尺管P1の尾端部PEに最も近い周溶接部PWまでの長さを、必要に応じて、長尺管P1の尾端部側の長さと称する。
例えば、図15(e)に示す長尺管P1の周溶接部PWが、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWのうち、図15(c)に示す長尺管P1の尾端部PEに最も近い周溶接部PWであるとする。この場合、長尺管P1の尾端部側の長さは、図15(e)に示す長尺管P1の周溶接部PWから図15(c)に示す長尺管P1の尾端部PEまでの長さになる。
尾端側測長部418cは、以上のようにして、長尺管P1の尾端部側の長さを導出する。尚、本実施形態では、測長終了判定部415により、長尺管P1の尾端部PEが測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定されたタイミングが、尾端通過タイミングの一例である。
[出力部419]
出力部419は、測長部418により導出された長尺管P1の長さに関する情報を出力する。長尺管P1の長さに関する情報の出力の形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、測長装置400の外部または内部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信のうち、少なくとも1つを採用することができる。
前述したように、始端側測長部418aは、長尺管P1の始端部側の長さを導出する。定常測長部418bは、周溶接部PW間の長さを導出する。尾端側測長部418cは、長尺管P1の尾端部側の長さを導出する。出力部419は、これらの長さに関する情報を出力することができる。また、出力部419は、これらの長さの加算値を、長尺管P1の全長とし、長尺管P1の全長に関する情報を出力することができる。
また、出力部419は、長尺管P1の始端部側の長さと、周溶接部PW間の長さと、長尺管P1の尾端部側の長さとを、当該長さが導出される度に、当該長さを含む情報を、長尺管P1の測長の結果を示す情報として長尺管管理装置200に送信する。
[センサ通過判定部420]
センサ通過判定部420は、上流側通過センサ61から出力される信号に基づいて、直管Pの端部が上流側通過センサ61を通過したか否かを判定する。センサ通過判定部420は、下流側通過センサ62から出力される信号に基づいて、当該直管Pの端部が下流側通過センサ62を通過したか否かを判定する。
図17は、直管Pの尾端部が上流側通過センサ61を通過する様子の一例(図17(a))と、直管Pの尾端部が下流側通過センサ62を通過する様子の一例(図17(b))を示す図である。図17において、上流側通過センサ61および下流側通過センサ62の、直管Pの搬送方向(X軸方向)における距離XSは、既知である。以下の説明では、上流側通過センサ61および下流側通過センサ62の、直管Pの搬送方向(X軸方向)における距離を、必要に応じて、上流側通過センサ61および下流側通過センサ62の距離と称する。
図17に示す例では、受信機61b、62bが、送信機61a、62aから送信された信号を受信していない状態から受信した状態に変化するタイミングが、直管Pの尾端部が、上流側通過センサ61、下流側通過センサ62を通過するタイミングである。
従って、送信機61aから送信された信号を受信機61bが受信していない状態から受信した状態に変化するタイミングが、直管Pの尾端部が上流側通過センサ61を通過するタイミングである。その後、送信機62aから送信された信号を受信機62bが受信していない状態から受信した状態に変化するタイミングが、直管Pの尾端部が下流側通過センサ62を通過するタイミングである。尚、直管Pの尾端部に代えて、直管Pの先端部の通過を検出してもよい。
[更新部421]
更新部421は、直管Pの端部が上流側通過センサ61を通過したタイミングから、当該直管Pの端部が下流側通過センサ62を通過したタイミングまでの期間に取得された測長用信号(パルス信号)と、上流側通過センサ61および下流側通過センサ62の距離XSとに基づいて、測長分解能を更新する。以下の説明では、直管Pの端部が上流側通過センサ61を通過したタイミングから、当該直管Pの端部が下流側通過センサ62を通過したタイミングまでの期間を、必要に応じてセンサ通過期間と称する。
具体的に、更新部421は、上流側通過センサ61および下流側通過センサ62の距離XSを、センサ通過期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値で割った値を、測長分解能の更新値として導出する。更新部421は、測長分解能の更新値を既に導出している場合、既に導出している測長分解能の更新値を、新たに導出した測長分解能の更新値に変更する。このように、更新部421は、測長分解能の更新値の最新の値のみを保持するものとする。
測長部418は、更新部421により測長分解能の更新値が導出された場合、測長分解能の更新値を用いて、前述した処理を行う。このようにして測長分解能を更新することにより、X線検査装置4の車輪43a〜43dや、測長ロール5が摩耗しても、測長分解能を高精度の状態に維持することができる。
[フローチャート]
次に、図18〜図20のフローチャートを参照しながら、測長装置400による測長方法の一例を説明する。
図18は、オフセット量の変更量ΔXoffを導出する際の測長装置400の処理の一例を説明するフローチャートである。
ステップS1801において、検査装置移動判定部416は、X線検査装置4が移動したか否かを判定する。この判定の結果、X線検査装置4が移動すると、ステップS1802の処理が実行される。
ステップS1802において、オフセット変更量導出部417は、X線検査装置4が移動している期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値と、測長分解能との積を、当該期間でのX線検査装置4の移動量として導出する。
次に、ステップS1803において、オフセット変更量導出部417は、X線検査装置4の移動前の配置位置と、ステップS1802で導出したX線検査装置4の移動量とに基づいて、X線検査装置4の移動後の(現在の)配置位置を導出する。
次に、ステップS1804において、オフセット変更量導出部417は、ステップS1803で導出したX線検査装置4の移動後の(現在の)配置位置と、測長ロール5の測長基準位置とのX軸方向(長尺管P1の搬送方向)の距離を、X線検査装置4の移動後の(現在の)オフセット量Xoff2として導出する。
次に、ステップS1805において、オフセット変更量導出部417は、ステップS1804で導出したX線検査装置4の移動後の(現在の)オフセット量Xoff2と、X線検査装置4の移動前の(前回の)オフセット量Xoff1とに基づいて、オフセット量の変更量ΔXoffを導出する。
以上のようにして図18のフローチャートの処理が実現される。
次に、図19のフローチャートを参照しながら、測長分解能を更新する際の測長装置400の処理の一例を説明する。
ステップS1901において、センサ通過判定部420は、上流側通過センサ61から出力される信号に基づいて、直管Pの端部が上流側通過センサ61を通過したか否かを判定する。この判定の結果、直管Pの端部が上流側通過センサ61を通過した場合、ステップS1902の処理が実行される。
ステップS1902において、測長用信号取得部412は、測長ロール5の回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダから出力されるパルス信号を、測長用信号として受信する。
次に、ステップS1903において、センサ通過判定部420は、下流側通過センサ62から出力される信号に基づいて、直管Pの端部が下流側通過センサ62を通過したか否かを判定する。この判定の結果、直管Pの端部が下流側通過センサ62を通過していない場合、ステップS1902の処理が実行される。従って、直管Pの端部が上流側通過センサ61を通過してから下流側通過センサ62を通過するまでの期間、測長用信号(パルス信号)が繰り返し取得される。
ステップS1903において、直管Pの端部が下流側通過センサ62を通過したと判定されると、ステップS1904の処理が実行される。
ステップS1904において、更新部421は、ステップ702で取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該測長用信号が取得された期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値を導出する。更新部421は、上流側通過センサ61および下流側通過センサ62の距離XSを、センサ通過期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値で割った値を、測長分解能の更新値として導出する。
以上のようにして図19のフローチャートの処理が実現される。
次に、図20のフローチャートを参照しながら、長尺管P1の長さを導出する際の測長装置400の処理の一例を説明する。図20のフローチャートにおいては、図19のフローチャートにより、測長分解能の更新値が導出されている場合、(最新の)測長分解能の更新値が用いられる。また、図18のフローチャートにより、オフセット量の変更量ΔXoffが導出されている場合、(最新の)オフセット量の変更量ΔXoffが用いられる。
ステップS2001において、測長開始判定部411は、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達するまで待機する。測長開始判定部411は、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達すると、ステップS2002の処理が実行される。
ステップS2002において、測長用信号取得部412は、測長ロール5の回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダから出力されるパルス信号を、測長用信号として受信する。
次に、ステップS2003において、始端部固定判定部413は、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されたか否かを判定する。この判定の結果、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されていない場合、ステップS2002の処理が実行される。従って、長尺管P1の始端部PSが、測長ロール5の測長基準位置に到達してから、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されるまでの期間、測長用信号(パルス信号)が繰り返し取得される。
ステップS2003において、長尺管P1の始端部PSが、リール31の所定の位置に固定されたと判定されると、ステップS2004の処理が実行される。
ステップS2004において、始端側測長部418aは、ステップS2001において長尺管P1の始端部PSが測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定されたタイミングから、ステップS2003において長尺管P1の始端部PSがリール31の所定の位置に固定されたと判定されたタイミングまでの期間にステップ802において取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該測長用信号が取得された期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値を、当該期間での長尺管P1の移動量(当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離)として導出する。
次に、ステップS2005において、検査情報取得部414は、検査中情報を取得したか否かを判定する。この判定の結果、検査中情報が取得されていない場合、ステップS2006の処理が実行される。
ステップS2006において、測長用信号取得部412は、測長ロール5の回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダから出力されるパルス信号を、測長用信号として受信する。そして、ステップS2005の処理が実行される。従って、ステップS2004の処理の後、検査中情報が取得されるまでの期間、測長用信号(パルス信号)が繰り返し取得される。
ステップS2005において、検査中情報が取得されたと判定されると、ステップS2007の処理が実行される。
ステップS2007において、始端側測長部418aは、ステップS2004の処理の後、ステップS2005において検査中情報が取得されたと判定されたタイミングまでの期間にステップS2006において取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該測長用信号が取得された期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値を、当該期間での長尺管P1の移動量(当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離)として導出する。
そして、始端側測長部418aは、このようにした導出した、長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離と、ステップS2004において導出した、長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離との加算値を、長尺管P1の始端部側の長さとして導出する。出力部419は、長尺管P1の始端部側の長さを含む情報を、長尺管P1の測長の結果を示す情報として長尺管管理装置200に送信する。
次に、ステップS2008において、検査情報取得部414は、測長取消情報(測長の取り消しを示す情報)を取得したか否かを判定する。この判定の結果、測長取消情報が取得された場合、ステップS2009の処理が実行される。
ステップS2009において、始端側測長部418aは、ステップS2007で導出した長尺管P1の始端部側の長さを削除する。そして、ステップS2006の処理が実行される。
ステップS2008において測長取消情報を取得しなかったと判定されると、長尺管P1の始端部側の長さは、直近のステップS2007で導出された長さで確定する。この場合、ステップS2010の処理が実行される。
ステップS2010において、測長用信号取得部412は、測長ロール5の回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダから出力されるパルス信号を、測長用信号として受信する。
次に、ステップS2011において、検査情報取得部414は、検査中情報を取得したか否かを判定する。この判定の結果、検査中情報が取得されていない場合、ステップS2010の処理が実行される。従って、ステップS2008において測長取消情報を取得しなかったと判定された後、検査中情報が取得されるまでの期間、測長用信号(パルス信号)が繰り返し取得される。
一方、ステップS2011において、検査中情報を取得したと判定されると、ステップS2012の処理が実行される。
ステップS2012において、定常測長部418bは、ステップS2008において測長取消情報を取得しなかったと判定された後、検査中情報が取得されるまでの期間にステップS2010において取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該測長用信号が取得された期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値を、当該期間での長尺管P1の移動量(当該期間において長尺管P1が長手方向(X軸方向)に搬送された距離)として導出する。そして、定常測長部418bは、当該期間での長尺管P1の移動量と、オフセット量の変更量ΔXoffとの加算値を、周溶接部PW間の長さとして導出する。出力部419は、周溶接部PW間の長さを含む情報を、長尺管P1の測長の結果を示す情報として長尺管管理装置200に送信する。
次に、ステップS2013において、検査情報取得部414は、測長取消情報を取得したか否かを判定する。この判定の結果、測長取消情報が取得された場合、ステップS2014の処理が実行される。
ステップS2014において、定常測長部418bは、ステップS2012で導出した、周溶接部PW間の長さを削除する。そして、ステップS2010の処理が実行される。
ステップS2013において測長取消情報を取得しなかったと判定されると、周溶接部PW間の長さは、直近のステップS2012で導出された長さで確定する。この場合、ステップS2015の処理が実行される。
ステップS2015において、測長終了判定部415は、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したか否かを判定する。この判定の結果、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達していない場合、ステップS2010の処理が実行される。従って、長尺管P1の尾端部PEが測長ロール5の測長基準位置に到達するまで、ステップS2010〜S2014の処理が繰り返し実行される。すなわち、周溶接部PW間の長さが、長尺管P1の始端部PS側から順番に繰り返し導出される。
ステップS2015において、長尺管P1の尾端部PEが、測長ロール5の測長基準位置に到達したと判定されると、ステップS2016の処理が実行される。
ステップS2016において、尾端側測長部418cは、直近のステップS2011において検査中情報が取得されたタイミングから、長尺管P1の尾端部PEが測長ロール5の測長基準位置に到達したタイミングまでの期間にステップS2010において取得された測長用信号(パルス信号)に基づいて、当該測長用信号が取得された期間でのロータリーエンコーダにおける計測値の積算値を、長尺管P1の尾端部側の長さとして導出する。出力部419は、長尺管P1の尾端部側の長さを含む情報を、長尺管P1の測長の結果を示す情報として長尺管管理装置200に送信する。
以上のようにして図20のフローチャートの処理が実現される。
[まとめ]
以上のように、測長装置400は、時間的に隣り合う2つの検査中情報の取得のタイミングにより定まる期間の、長尺管P1の移動量に基づいて、周溶接部PW間の長さを導出する。従って、複数の素管P'の端部同士に周溶接が施されることにより構成される長尺管PWの各素管P'の長さ(溶接部PW間の長さ)を長尺管P1の搬送中に測定することができる。また、周溶接部PWを直接的に検出する必要がないため、溶接部PW間の長さを、高精度に且つ容易に測定することができる。
また、測長装置400は、長尺管P1の始端部PSが測長ロール5の測長基準位置に到達したタイミングから、当該タイミングの次に検査中情報が取得されたタイミングまでの期間における長尺管P1の移動量に基づいて、長尺管P1の始端部側の長さを導出する。従って、溶接部PW間の長さ以外の部分の長さとして、長尺管P1の始端部PS側の長さを、長尺管P1の搬送中に、高精度に且つ容易に測定することができる。
また、測長装置400は、長尺管P1を構成する素管P'の端部同士の周溶接部PWに対する検査中情報が最後に取得されたタイミングから、長尺管P1の尾端部PEが測長ロール5の測長基準位置に到達したタイミングまでの期間における長尺管P1の移動量に基づいて、長尺管P1の尾端部側の長さを導出する。従って、溶接部PW間の長さ以外の部分の長さとして、長尺管P1の尾端部PE側の長さを、長尺管P1の搬送中に、高精度且つ容易に測定することができる。
また、測長装置400は、オフセット量の変更量ΔXoffを導出し、オフセット量の変更量ΔXoffと、長尺管P1の移動量とに基づいて、周溶接部PW間の長さを導出する。従って、X線検査装置4が移動する場合でも、長尺管P1の各部の長さを長尺管P1の搬送中に、高精度且つ容易に測定することができる。
また、測長装置400は、測長ロール5の回転量に基づいて、長尺管P1の移動量を導出する。従って、長尺管P1の移動量を、高精度に且つ容易に測定することができる。
また、測長装置400は、ロータリーエンコーダにおける計測値の単位量あたりの移動量(測長分解能)と、測長期間でのロータリーエンコーダにおける計測値とに基づいて、長尺管P1の移動量を導出する。従って、長尺管P1の移動量を、より高精度に且つ容易に測定することができる。
また、測長装置400は、センサ通過期間でのロータリーエンコーダにおける計測値と、上流側通過センサ61および下流側通過センサ62の距離XSとに基づいて、測長分解能を更新する。従って、測長分解能の精度を維持することができる。
[変形例]
本実施形態では、X線検査装置4が周溶接部PWの検査を行う場合を例示した。しかしながら、周溶接部PWの検査は、X線を用いるものに限定されない。例えば、周溶接部PWの検査は、超音波探傷試験により実現されてもよい。
本実施形態では、測長ロール5を用いて長尺管P1の移動量を測定する場合を例示した。しかしながら、長尺管P1の移動量の導出は、測長ロール5を用いるものに限定されない。例えば、製造設備1に既存のロールを測長ロールとして用いてもよい。
本実施形態では、測長分解能を用いて長尺管P1の移動量を導出する場合を例示した。しかしながら、測長分解能を明示的に用いずに長尺管P1の移動量を導出してもよい。例えば、ロータリーエンコーダの分解能(例えば、1回転当たりに発生するパルス数)と、測長ロール5およびX線検査装置4の車輪43aの外周長とに基づいて、長尺管P1の移動量を導出してもよい。また、測長ロール5およびロータリーエンコーダを用いずに、例えば、長尺管P1の搬送速度と、検査中情報が取得されたタイミングに基づいて定まる時間(本実施形態で説明した各種の期間)とに基づいて、長尺管P1の移動量を導出してもよい。
<その他の変形例>
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1:製造設備、2:溶接装置、3:巻取装置、4:X線検査装置、5:測長ロール、6:通過センサ、7:受入・払出装置、8:開先加工機、9:バーコードリーダ、10:在荷センサ、100:制御装置、200:長尺管管理装置、300:入熱管理装置、400:測長装置

Claims (11)

  1. 管を長手方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送された2つの管の端部同士に周溶接を施して長尺管を形成する溶接装置と、前記搬送装置で搬送される前記長尺管をリールに巻き取る巻取装置と、前記溶接装置と前記巻取装置との間に配置され、前記長尺管の周溶接部を検査する検査装置と、を有する製造設備における操業および前記長尺管の品質を管理する長尺管管理システムであって、
    前記管の位置を特定するための情報であるトラッキング情報を取得するトラッキング情報取得手段と、
    前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するためのデータ処理を実行するデータ管理手段と、を有し、
    前記トラッキング情報は、前記管の搬送経路に配置されたセンサにより前記管が検出されたことを示す在荷検出情報を含み、
    前記データ管理手段は、前記トラッキング情報に基づいて、前記製造設備における前記管のそれぞれの位置を特定し、位置を特定した前記管の端部ごとに、前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するための情報を設定することを特徴とする長尺管管理システム。
  2. 前記溶接装置による周溶接の結果を示す情報を含む溶接結果情報を取得する溶接情報取得手段を更に有し、
    前記データ管理手段は、前記トラッキング情報に基づいて、前記管の識別情報を設定することと、
    前記溶接結果情報と前記トラッキング情報とに基づいて、前記溶接装置で形成された前記周溶接部の識別情報を設定すること、
    前記管の識別情報と前記周溶接部の識別情報とを関連付けることと、
    前記管の識別情報と前記周溶接部の識別情報との少なくとも一方に、前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するための情報を、前記管の端部の何れに対する情報であるかが区別されるように関連付けることと、を行うことを特徴とする請求項1に記載の長尺管管理システム。
  3. 前記データ管理手段は、前記溶接結果情報と前記トラッキング情報とに基づいて、前記周溶接部の識別情報に対して当該周溶接部に対する前記周溶接の結果を示す情報を関連付けることと、
    前記溶接結果情報と前記トラッキング情報とに基づいて、前記周溶接部が形成された前記管の端部のそれぞれに対する周溶接の回数を計数することと、を行うことを特徴とする請求項2に記載の長尺管管理システム。
  4. 前記管の外周面を前記管の周方向において複数に分割した複数の分割領域ごとに、前記周溶接部に対する入熱量を導出する入熱量導出手段を更に有し、
    前記周溶接の結果を示す情報は、前記複数の分割領域ごとの前記周溶接部に対する入熱量に関する情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の長尺管管理システム。
  5. 前記長尺管の長さを導出する測長手段を更に有し、
    前記測長手段は、時間的に隣り合う関係の2つの測長タイミングにより定まる期間での前記長尺管の移動量に基づいて、前記長尺管の長手方向において隣り合う2つの前記周溶接部の一方から他方までの長さを導出する定常測長手段を有し、
    前記測長タイミングは、前記長尺管の周溶接部が前記検査装置による検査位置に位置してから、前記検査が終了して前記長尺管の搬送が開始されるまでの間の期間内の所定のタイミングであり、
    前記長尺管の長さを示す情報は、前記長尺管の長手方向において隣り合う2つの前記周溶接部の一方から他方までの長さを含み、
    前記データ管理手段は、前記長尺管の長手方向において隣り合う2つの前記周溶接部の一方から他方までの長さを、当該2つの前記周溶接部が端部に配置された前記管の長さとして、当該管の識別情報に関連付けることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の長尺管管理システム。
  6. 前記データ管理手段は、前記検査装置による前記長尺管の周溶接部の検査の結果を含む検査結果情報と前記トラッキング情報とに基づいて、前記周溶接部の識別情報に対して当該周溶接部の検査の結果を示す情報を関連付けることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の長尺管管理システム。
  7. 前記データ管理手段は、前記周溶接部が形成された前記管の端部のそれぞれに対する切断回数を計数し、
    前記検査装置による前記長尺管の周溶接部の検査の結果、当該周溶接部が所定の条件を満たしていないと判断した後、および、前記周溶接部に対する入熱量が所定の条件を満たしていないと判断した後、の少なくとも何れか一方において、当該周溶接部が形成された前記管の端部の切断回数を更新することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の長尺管管理システム。
  8. 前記製造設備は、前記周溶接が施される前に前記管の端部に対して開先加工を行う開先加工機を更に有し、
    前記データ管理手段は、前記管の端部のそれぞれにおける開先加工の結果を示す開先情報と前記トラッキング情報とに基づいて、前記管の識別情報に対して、当該管の端部における開先加工の結果を示す情報を、当該管の端部の何れに対する情報であるかが区別されるように関連付けることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の長尺管管理システム。
  9. 前記管の端部に対する周溶接の回数が規定回数になった場合に、前記管の端部に対する周溶接の回数が規定回数になったことを示す情報を出力する出力手段を更に有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の長尺管管理システム。
  10. 管を長手方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送された2つの管の端部同士に周溶接を施して長尺管を形成する溶接装置と、前記搬送装置で搬送される前記長尺管をリールに巻き取る巻取装置と、前記溶接装置と前記巻取装置との間に配置され、前記長尺管の周溶接部を検査する検査装置と、を有する製造設備における操業および前記長尺管の品質を管理する長尺管管理方法であって、
    前記管の位置を特定するための情報であるトラッキング情報を取得するトラッキング情報取得工程と、
    前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するためのデータ処理を実行するデータ管理工程と、を有し、
    前記トラッキング情報は、前記管の搬送経路に配置されたセンサにより前記管が検出されたことを示す在荷検出情報を含み、
    前記データ管理工程は、前記トラッキング情報に基づいて、前記製造設備における前記管のそれぞれの位置を特定し、位置を特定した前記管の端部ごとに、前記製造設備における操業および前記長尺管の品質の少なくとも一方を管理するための情報を設定することを特徴とする長尺管管理方法。
  11. 請求項1〜9の何れか1項に記載の長尺管管理システムの各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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