JP6657149B2 - 炭化珪素半導体素子の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化珪素半導体素子を製造する方法に関し、特に、保護膜形成ガスと反応性エッチングガスとを用いたプラズマにより、炭化珪素基板をエッチングして、炭化珪素半導体素子を製造する方法に関する。
炭化珪素基板は、従来から広く用いられているシリコン基板やヒ化ガリウム基板などに比べ、結晶の格子定数が小さくバンドギャップが大きいという特徴を有し、優れた物性を備えていることから、上記シリコン基板やヒ化ガリウム基板ではカバーすることのできない分野への応用が期待されており、当該炭化珪素基板を用いた半導体素子を製造すべく、炭化珪素基板にエッチング加工を施すための方法が種々提案されている。
本願出願人も、炭化珪素基板をエッチングする方法として、特開2015−73081号公報に開示されたエッチング方法を提案している。
このエッチング方法は、炭化珪素基板の表面に開口部を有するマスクを形成した後、シリコン系ガス及び酸素ガスを含む保護膜形成用原料ガスと反応性エッチングガスとを、保護膜形成用原料ガスの流量と反応性エッチングガスの流量との和に対するシリコン系ガスの流量の比が所定の値となるように、処理チャンバ内に供給してプラズマ化し、この生成されたプラズマによって炭化珪素基板をエッチングして、当該炭化珪素基板に所望のテーパ角度を有するテーパ状のエッチング構造を形成する方法である。
このエッチング方法においては、形成すべきエッチング構造のテーパ角度に応じて、前記シリコン系ガスの流量の比を設定することで、サブトレンチの発生を抑えた上で、所望のテーパ角度を有するテーパ状のエッチング構造を形成することができる。
特開2015−73081号公報
ところで、従来から、所謂スーパージャンクション構造を有し、高耐圧性と低オン抵抗性とを兼ね備えた半導体素子の開発は盛んに行われているが、近年、更なるオン抵抗の低減等を図るべく、スーパージャンクション構造を有する炭化珪素半導体素子の開発に注目が集まっている。
上記スーパージャンクション構造とは、n導電型の部分とp導電型の部分とが横方向に交互に配列した構造であり、この構造は、例えば、基板上にn導電型の層を形成した後、このn導電型の層にトレンチ(エッチング構造)を形成し、このトレンチ内にp導電型の層を形成することによって形成される。尚、n導電型の部分とp導電型の部分とのピッチ間隔を狭くするために、n導電型の層に形成するトレンチは、一般的にアスペクト比を高くすることが好ましいことから、スーパージャンクション構造を有する炭化珪素半導体素子を製造するためには、炭化珪素基板に高アスペクト比(例えば14程度)のトレンチを形成することが重要である。
ここで、炭化珪素基板にトレンチを形成する場合、マスクのエッチングレートに対する炭化珪素基板のエッチングレートの比(以下、「マスク選択比」という)が低いと、エッチング処理時にマスクが後退して、当該マスクの開口部の幅が徐々に広がり、形成されるエッチング構造の開口部もこれに合わせて幅が広くなるため、アスペクト比の高いエッチング構造を形成することができない。したがって、炭化珪素基板に高アスペクト比のトレンチを形成するためには、マスク選択比を可能な限り高くすることが肝要である。
また、高性能な半導体素子を実現するためには、基板に形成されるエッチング構造にサブトレンチが形成されないようにするだけでなく、エッチング構造の底部をラウンド化することも重要である。
上記従来のエッチング方法は、サブトレンチの発生を抑えつつ、底部がラウンド化されたエッチング構造を精度良く形成でき、また、マスク選択比も良好な値であるものの、高アスペクト比のエッチング構造を形成するという観点からすると、マスク選択比をより高くできることが望ましい。
そこで、本願発明者は、より高いマスク選択比で炭化珪素基板をエッチング可能な条件について鋭意研究を重ねた結果、シリコン系ガス及び酸素ガスを含む保護膜形成ガス及び反応性エッチングガスを用い、これらのガスの総流量に対するシリコン系ガスの添加割合を所定範囲内の値に設定するとともに、炭化珪素基板を所定範囲内の温度に調整した状態で、当該炭化珪素基板をプラズマエッチングした場合に、形成されるエッチング構造の形状が、底部がラウンド化し、サブトレンチの発生していない形状になるだけでなく、マスク選択比が従来よりも格段に高くなることを見出した。
本発明は上記本願発明者らが見出した知見に基づきなされたものであり、サブトレンチがなく、底部がラウンド化したエッチング構造を形成でき、更に、従来よりも高いマスク選択比で炭化珪素基板をエッチングすることできる炭化珪素半導体素子の製造方法の提供を、その目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、
少なくともシリコン系ガス及び酸素ガスを含む保護膜形成ガスと、反応性エッチングガスとを用いたプラズマにより、二酸化珪素マスクが形成された炭化珪素基板をエッチングする炭化珪素半導体素子の製造方法であって、
前記保護膜形成ガスと前記反応性エッチングガスとの総流量に対する前記シリコン系ガスの添加割合を40%以上50%以下とし、
前記炭化珪素基板の温度を40℃以上180℃以下に調整してエッチングする炭化珪素半導体素子の製造方法に係る。
ここで、上記のように、保護膜形成ガスと反応性エッチングガスとの総流量に対するシリコン系ガスの添加割合を40%以上50%以下とし、炭化珪素基板の温度を40℃以上180℃以下の範囲内に調整することは、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果見出した新たな知見によるものである。
即ち、本願発明者らは、鋭意実験を重ねた結果、上記シリコン系ガスの添加割合を40%以上50%以下として炭化珪素基板をエッチングする場合、炭化珪素基板の温度を40℃以上180℃以下に調整することにより、以下に述べるような特徴があるという新たな知見を見出した。具体的に言うと、上記条件下で炭化珪素基板をエッチングした場合、形成されるエッチング構造は、その底部がラウンド化し、サブトレンチのない形状となり、更に、炭化珪素基板の温度と、二酸化珪素マスクのエッチングレートに対する炭化珪素基板のエッチングレートの比(マスク選択比)との間には、当該温度範囲内においてマスク選択比の極大値が存在する非線形の関係があるという新たな知見を見出した。
また、本願発明者らは、保護膜形成ガスと反応性エッチングガスとの総流量に対するシリコン系ガスの添加割合を40%より小さくした場合、保護膜が十分に形成されないためサブトレンチが発生し易くなる一方、上記シリコン系ガスの添加割合を50%より大きくした場合には、保護膜の形成量が過多となり、保護膜からなる庇によって、二酸化珪素マスクやエッチング構造の開口部が閉塞する、或いは開口幅が極端に狭くなり、エッチング構造内部へのイオンや反応種の進入が阻害されてエッチングが停止するという問題が生じるという知見を得た。
そこで、上記炭化珪素半導体素子の製造方法においては、これらの知見に基づいて、炭化珪素基板をエッチングする際に、サブトレンチの発生を抑えて底部をラウンド化しつつ、マスク選択比が極力高くなるように、シリコン系ガスの添加割合を40%以上50%以下とし、炭化珪素基板の温度を40℃以上180℃以下の範囲内に調整するようにしている。
また、炭化珪素基板を高温(例えば、190℃以上)でエッチングする場合、基板を高温に加熱するための専用設備が必要になることも多く、上記炭化珪素半導体素子の製造方法の実施に必要な装置のコストが増加する。したがって、炭化珪素基板の温度は、エッチング処理に支障の出ない範囲内で、汎用性の高い設備で調整できる程度の温度であることが好ましいが、上記40℃以上180℃以下という炭化珪素基板の温度範囲であれば、汎用性の高い設備での温度調整も可能である。
そして、上記炭化珪素半導体素子の製造方法によれば、シリコン系ガスの添加割合を40%以上50%以下とするとともに、炭化珪素基板の温度を40℃以上180℃以下に調整した状態で、当該炭化珪素基板をエッチングすることによって、底部がラウンド化され、サブトレンチの発生していないエッチング構造を形成でき、また、マスク選択比を従来よりも高くすることができる。
このように、形成されるエッチング構造が、底部がラウンド化され、サブトレンチの発生していないものになるとともに、マスク選択比が従来よりも高くなるのは、保護膜が形成される時間当たりの量と、保護膜が除去される時間当たりの量との相関関係によるものだと考えられる。
以下、上記炭化珪素半導体素子の製造方法によって炭化珪素基板をエッチングする際に、サブトレンチがなく、底部がラウンド化されたエッチング構造が形成する過程について、図1を参照して説明する。尚、図1において、炭化珪素基板にはK、二酸化珪素マスクにはM、保護膜にはH、庇にはH1、エッチング構造にはTの符号をそれぞれ付している。
まず、図1(a)に示すように、炭化珪素基板Kにおける二酸化珪素マスクMの開口部下に位置する部分が、反応性エッチングガスをプラズマ化することによって生成したイオンによるスパッタリングやラジカルなどの反応性を有するエッチング種(以下、単に「エッチング種」という)との化学反応によってエッチングされる。
また、これと同時に、シリコン系ガスに由来するSiなどの、反応性を有する保護膜形成種(Si)(以下、単に「保護膜形成種」という)と酸素ガスに由来する保護膜形成種(O)との化学反応や、炭化珪素基板Kのエッチングよって生成したシリコン原子を含む反応生成物に由来する保護膜形成種(Si)と酸素ガスに由来する保護膜形成種(O)との化学反応によって、エッチング構造Tの側壁や二酸化珪素マスクMに酸化珪素系の化合物からなる保護膜Hが形成される。尚、図1においては、保護膜Hが形成され易い二酸化珪素マスクMの上面及び二酸化珪素マスクMの側壁上部に形成された保護膜Hのみを図示し、エッチング構造Tの側壁や二酸化珪素マスクMの側壁下部に形成された保護膜Hについては図示を省略している。
このように、炭化珪素基板Kに保護膜が形成されつつ、当該炭化珪素基板Kがエッチングされるようにしているため、炭化珪素基板Kは深さ方向にエッチングされる。
そして、上記炭化珪素半導体素子の製造方法においては、保護膜形成ガスと反応性エッチングガスとの総流量に対するシリコン系ガスの添加割合を40%以上50%以下とするとともに、炭化珪素基板の温度を40℃以上180℃以下に調整した状態で、当該炭化珪素基板Kをエッチングするようにしていることで、保護膜Hが形成され易い二酸化珪素マスクMの側壁上部に適度な量の保護膜Hが形成され、これが庇H1となり、エッチングに関与するイオンやエッチング種の進入口たる開口部の幅が狭くなる。尚、図1では、二酸化珪素マスクMの側壁上部に庇H1が形成された状態を図示したが、二酸化珪素マスクMの膜厚が薄い場合には、二酸化珪素マスクMの側壁からエッチング構造Tの側壁にかけて庇H1が形成され得る。
これにより、電界が集中し易いエッチング構造Tにおける底面と側壁とが交差する部分(以下、「交差部」という)T1に関しては、イオンなどの進入経路が庇H1によって遮られているか、庇H1に電荷がチャージされることによりイオンの進行方向が曲げられて、当該交差部T1にイオンが当たり難くなっているか、又はその両方の効果により、エッチングが進行し難くなっているものと考えられる。一方、エッチング構造Tにおける底面の中央部T2に関しては、庇H1の形成による影響を受け難いため、前記交差部T1と比較してイオンなどが作用し易く、相対的にエッチングが進行し易くなる。したがって、前記交差部T1より中央部T2の方が多くエッチングされ、エッチング構造Tの底部がラウンド化される。
このように、前記交差部T1のエッチングが抑えられつつ、前記中央部T2が多くエッチングされることで、徐々にエッチング構造Tが深くなり(図1(b)参照)、最終的に、図1(c)に示すような、サブトレンチがなく、高いラウンド度を有したエッチング構造Tが形成される。
更に、上記炭化珪素半導体素子の製造方法においては、シリコン系ガスの添加割合、及び炭化珪素基板の温度を前記所定の範囲内とした上で、炭化珪素基板Kをエッチングするようにしていることにより、マスク選択比が従来よりも高くなる。このように、マスク選択比が高くなる理由について、以下説明する。
保護膜Hは、保護膜形成種たるSiとOとで形成された酸化珪素系の成分が炭化珪素基板Kや二酸化珪素マスクMに付着することで形成され、酸化珪素系の成分が付着する部分の温度によって、SiとOとの結合の強さが変化し、その密度が変化する。また、保護膜Hの形成量は、シリコン系ガスの添加割合によって変化する。
したがって、シリコン系ガスの添加割合を上記所定の範囲内とすることにより、少なくとも二酸化珪素マスクMの上部には、保護膜Hが過不足なく形成されるようになり、更に、炭化珪素基板Kの温度を上記所定の範囲内とすることで、形成される保護膜Hが適度な密度となる。これにより、二酸化珪素マスクMのエッチングレートが見かけ上低下する、或いは形成される保護膜Hの量と除去される保護膜Hの量とがほぼ同量となって二酸化珪素マスクMのエッチングが見かけ上停止する、場合によっては形成される保護膜Hの量が除去される保護膜Hの量よりも多くなり、二酸化珪素マスクMの量が見かけ上増加する。その結果、マスク選択比が従来よりも高くなると考えられる。尚、図1は、二酸化珪素マスクMに形成された保護膜Hが時間の経過とともに増加、言い換えれば、二酸化珪素マスクMの量が見かけ上増加していく状態を示している。
尚、上記炭化珪素半導体素子の製造方法において、前記シリコン系ガスとしては、SiFガスやSiClガスを例示することができ、また、前記反応性エッチングガスとしては、SFガスやNFガス、Fガスを例示することができる。
また、上記炭化珪素半導体素子の製造方法においては、前記炭化珪素基板をエッチングする際に、前記炭化珪素基板を載置する基台にバイアス電力を印加するようにしても良い。このようにすれば、反応性エッチングガスに由来するイオンを炭化珪素基板に入射させ、スパッタリングによるエッチングを積極的に起こすことができるため、異方性エッチングによって高アスペクト比のエッチング構造を形成し易くなり、また、エッチング構造の形成に要する時間を短縮することができる。
尚、上記基台に印加するバイアス電力の大きさは、小さすぎるとスパッタリングによるエッチングが起こり難く、また、大きすぎるとエッチング構造の形状悪化を引き起こし易くなるため、200W以上800W以下程度であることが好ましい。
尚、本願における「マスク選択比」とは、二酸化珪素マスクのエッチングレートに対する炭化珪素基板のエッチングレートの比、即ち、(炭化珪素基板のエッチングレート)/(二酸化珪素マスクのエッチングレート)で定義されるものである。但し、二酸化珪素マスクのエッチングレートは、エッチング処理前の厚さとエッチング処理後の厚さを基に算出するものであるが、二酸化珪素マスク上に保護膜が形成されている場合には、その形成されている保護膜の厚さも含めたものをエッチング処理後の二酸化珪素マスクの厚さとして用いて算出するものとする。また、本願においては、上述したように、二酸化珪素マスクのエッチングが見かけ上停止する、或いは、二酸化珪素マスクの量が見かけ上増加するような場合のマスク選択比を、便宜上、「無限大」と表現する。
また、本願における「ラウンド度」は、図2に示すように、エッチング構造Tの側壁における直線部分の下端を通る基準線SLとエッチング構造底面TBとの間の距離Δdに相当し、基準線SLよりもエッチング構造底面TBが下方にある場合(図2左図参照)が「+」、上方にある場合(図2右図参照)が「−」として定義されるものである。尚、ラウンド度が「+」である場合は、エッチング構造底部がラウンド化していることを意味し、ラウンド度が「−」である場合は、サブトレンチが発生していることを意味する。
上記炭化珪素半導体素子の製造方法によれば、サブトレンチのない、底部がラウンド化されたエッチング構造を形成できるだけでなく、マスク選択比を従来よりも格段に高くすることができる。
炭化珪素基板にエッチング構造が形成する過程を説明するための説明図である。 ラウンド度を説明するための説明図である。 一実施形態に係る炭化珪素半導体素子の製造方法を実施するためのエッチング装置の概略構成を示した断面図である。 基台及び温度調整装置を示した断面図である。 実施例1〜3並びに比較例1及び2におけるエッチング条件及び実験結果をまとめた表である。 実施例1のエッチング構造を示した写真である。 比較例2のエッチング構造を示した写真である。 比較例3〜6におけるエッチング条件及び実験結果をまとめた表である。 比較例4のエッチング構造を示した写真である。 比較例2,3及び7におけるエッチング条件及び実験結果をまとめた表である。 実施例1,4及び5並びに比較例4におけるエッチング条件及び実験結果をまとめた表である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る炭化珪素半導体素子の製造方法を実施するのに用いるエッチング装置1の概略構成を示した図である。
前記エッチング装置1は、閉塞空間を有する処理チャンバ11と、この処理チャンバ11内に昇降自在に配設され、炭化珪素基板Kが載置される基台15と、この基台15を昇降させる昇降シリンダ19と、処理チャンバ11内にエッチングガス、保護膜形成ガス及び不活性ガスを供給するガス供給装置20と、処理チャンバ11内に供給されたエッチングガス、保護膜形成ガス及び不活性ガスをプラズマ化するプラズマ生成装置30と、基台15に高周波電力を供給する高周波電源35と、処理チャンバ11内の圧力を減圧する排気装置40と、基台15及び基台15に載置された炭化珪素基板Kの温度を調整する温度調整装置50とから構成される。
前記処理チャンバ11は、相互に連通した内部空間を有する上チャンバ12及び下チャンバ13から構成され、上チャンバ12は、下チャンバ13よりもその内径が小径となるように形成される。
図4に示すように、前記基台15は、小径部16a及びこの小径部16aの下側に設けられ、外周部が外側に張り出した大径部16bからなる円板状の基台本体16と、当該基台本体16の小径部16a上に設けられ、上面に炭化珪素基板Kを保持する静電チャック17と、大径部16bの外周部上面に設けられ、環内部に小径部16a及び静電チャック17が配置される環状部材18とから構成され、下チャンバ13内に配置されている。前記基台本体16は、その下面に昇降シリンダ19が接続され、当該基台本体16の内部には、後述する温度調整装置50によって熱媒体が供給される空間16cが形成されている。また、前記静電チャック17は、電極板を一対の絶縁層で挟み込んだものであり、電極板に適宜電圧を印加することにより、炭化珪素基板Kが静電チャック17上に吸着保持される。
前記ガス供給装置20は、エッチングガスとして、SFガスを供給するSFガス供給部21と、保護膜形成ガスとして、SiFガス及びOガスをそれぞれ供給するSiFガス供給部22及びOガス供給部23と、不活性ガスとして、例えば、Arガスなどを供給する不活性ガス供給部24と、一端が上チャンバ12の上面に接続し、他端が分岐して前記SFガス供給部21、SiFガス供給部22、Oガス供給部23及び不活性ガス供給部24にそれぞれ接続した供給管25とを備えており、SFガス供給部21、SiFガス供給部22、Oガス供給部23及び不活性ガス供給部24から供給管25を介して、処理チャンバ11内にSFガス、SiFガス、Oガス及び不活性ガスを供給する。
前記プラズマ生成装置30は、所謂誘導結合プラズマ(ICP)を生成する装置であって、上チャンバ12に配設された環状のコイル31と、当該コイル31に高周波電力を供給する高周波電源32とから構成され、高周波電源32によってコイル31に高周波電力を供給することで、上チャンバ12内に供給されたSFガス、SiFガス、Oガス及び不活性ガスをプラズマ化する。
また、前記高周波電源35は、前記基台15に高周波電力を供給することで、基台15とプラズマとの間にバイアス電位を与え、SFガス、SiFガス、Oガス及び不活性ガスのプラズマ化により生成されたイオンを、基台15上に載置された炭化珪素基板Kに入射させる。尚、基台15に供給する高周波電力の大きさは、200W以上800W以下程度であることが好ましい。
前記排気装置40は、気体を排気する真空ポンプ41と、一端が前記真空ポンプ41に接続し、他端が下チャンバ13の側面に接続した排気管42とからなり、この排気管42を介して、真空ポンプ41が前記処理チャンバ11内の気体を排気し、処理チャンバ11内部を所定圧力に維持する。
前記温度調整装置50は、熱媒体を利用して、基台15及び炭化珪素基板Kの温度を調整する装置であり、図4に示すように、一端が分岐し、その分岐した各端部が、載置される炭化珪素基板Kの裏面と対向するように基台15に接続した第1供給管51と、一端が前記基台本体16に形成された空間16cに接続した2本の第2供給管52と、前記第1供給管51の他端に接続した第1媒体供給部53と、前記第2供給管52の他端に接続した第2媒体供給部54とから構成されている。尚、本例においては、第1媒体供給部53から供給された熱媒体が前記第1供給管51を介して、前記静電チャック17の上面と炭化珪素基板Kの裏面との間に供給されるようにしている。また、第2媒体供給部54から供給された熱媒体が前記第2供給管52の一方を介して前記空間16c内に供給され、空間16cに供給された熱媒体が他方の第2供給管52を介して第2媒体供給部54に戻る構成とし、温度管理された熱媒体が図4に図示した矢印方向に循環するようにしている。
この温度調整装置50によれば、前記第1媒体供給部53及び第2媒体供給部54から炭化珪素基板Kを所望の温度に調整するために必要な熱媒体を適宜供給することで、炭化珪素基板Kを所定の温度に調整することができる。尚、第1媒体供給部53及び第2媒体供給部54から供給する熱媒体の種類は特に限定されるものではなく、また、各媒体供給部53,54から異なる熱媒体を供給するように構成しても良い。また、図示しないが、基台本体16をヒータで加熱するようにしても良い。尚、この場合、ヒータは、基台本体16の内部又は表面に取り付ければ良い。
例えば、第1媒体供給源53から熱媒体たる冷却ガスとしてHeガスを供給するとともに、第2媒体供給部54からフッ素系不活性流体や純水などを供給する。
次に、以上のように構成されたエッチング装置1を用いて、炭化珪素基板Kに対してエッチング処理を施し、当該炭化珪素基板Kにエッチング構造Tを形成する過程を説明する。
尚、エッチング処理に先立って、炭化珪素基板Kの表面には、任意の方法で二酸化珪素マスクMを形成した後、所定の幅の開口部を備えたマスクパターンを形成する。二酸化珪素マスクMを形成する方法としては、例えば、化学気相蒸着法(CVD)や物理気相蒸着法(PVD)などの蒸着法を例示することができる。
炭化珪素基板Kに対するエッチング処理においては、まず、炭化珪素基板Kを処理チャンバ11内に搬入して基台15上に載置し、前記温度調整装置50によって、炭化珪素基板Kの温度を40℃以上180℃以下の範囲内の所定温度となるように調整し、炭化珪素基板Kの温度が平衡状態になるまで待機する。
ついで、上記所定の温度で平衡状態に達した炭化珪素基板Kをエッチングする。具体的には、前記各ガス供給部21,22,23,24から処理チャンバ11内にSFガス、SiFガス、Oガス及びArガスをそれぞれ供給し、高周波電源32によってコイル31に高周波電力を印加し、処理チャンバ11内に供給した各ガスをプラズマ化する。また、高周波電源35によって基台15に高周波電力を印加する。
本実施形態においては、SFガス、SiFガス及びOガスの総流量に対するSiFガスの添加割合、具体的に言えば、SFガスの供給流量、SiFガスの供給流量及びOガスの供給流量を合計した総流量に占めるSiFガスの供給流量の割合が40%以上50%以下となるように、各ガスの供給流量を設定した上で、各ガスを処理チャンバ11内に供給するようにしている。
そして、SFガス及びSiFガスのプラズマ化により生成したフッ素イオンやエッチング種(例えば、フッ素ラジカル)によって炭化珪素基板Kがエッチングされる。また、Oガスのプラズマ化により生成した保護膜形成種(O)が、炭化珪素基板Kがイオンによってスパッタリングされることで生じた保護膜形成種(Si)、炭化珪素基板Kのエッチングによって生成したシリコン原子を含む反応生成物(SiF)に由来する保護膜形成種(Si)、及びSiFガスに由来する保護膜形成種(Si)と反応して、炭化珪素基板K及び二酸化珪素マスクMに保護膜Hが形成される。このとき、エッチング構造Tの開口部に保護膜Hからなる庇H1が形成されつつ、炭化珪素基板Kの異方性エッチングが進行するため、図1(c)に示すようなサブトレンチのない高ラウンド度を有したエッチング構造Tが当該炭化珪素基板Kに形成される。
また、上記のようにして炭化珪素基板Kにエッチング処理を施す場合、マスク選択比の極めて高いエッチング処理ができるため、高アスペクト比のエッチング構造Tを形成することが可能である。
このように、炭化珪素基板Kに形成されるエッチング構造Tの形状がサブトレンチのない高ラウンド度を有した形状となり、且つマスク選択比が極めて高くなる理由について以下説明する。
本例の炭化珪素半導体素子の製造方法においては、炭化珪素基板Kをエッチングする際に、SFガス、SiFガス及びOガスを同時に供給して各ガスをプラズマ化するようにしている。これにより、炭化珪素基板Kからスパッタリングによって物理的に解離した保護膜形成種(Si)や炭化珪素基板Kのエッチングによって生成したシリコン原子を含む反応生成物(SiF)に由来する保護膜形成種(Si)と、Oガスに由来する保護膜形成種(O)との化学反応だけでなく、SiFガスに由来する保護膜形成種(Si)とOガスに由来する保護膜形成種(O)との化学反応によっても保護膜Hが形成される。
そして、本例の炭化珪素半導体素子の製造方法においては、SiFガスの添加割合を40%以上50%以下にするとともに、炭化珪素基板Kを40℃以上180℃以下に調整するようにしているため、二酸化珪素マスクMの上部に適度な量の保護膜Hが形成され、これが庇H1となり、二酸化珪素マスクMに形成された開口部の幅が狭くなる。
これにより、庇H1によってエッチング構造T内へのイオンなどの進入が物理的に阻害されているか、庇H1がチャージされることによりイオンの進行方向が曲げられることで、電界が集中し易いエッチング構造Tの交差部T1に対してはイオンなどが作用し難くなっているか、又はその両方の効果が生じ、当該交差部T1のエッチングが抑えられると考えられる。一方、エッチング構造Tにおける底面の中央部T2は、交差部T1と比較してイオンなどが作用し易くなるため、相対的にエッチングされ易くなる。したがって、交差部T1よりも中央部T2の方が多くエッチングされ、その結果、底部がラウンド化され、サブトレンチの発生していないエッチング構造Tが形成する(図1参照)。
また、SiFガスの添加割合、及び炭化珪素基板Kの温度を上記所定の範囲内としたことで、マスク選択比が従来よりも極めて高くなっている。これは、以下に述べる理由によるものと考えられる。
即ち、保護膜Hは、保護膜形成種たるSiとOとで形成された酸化珪素系の成分が炭化珪素基板Kや二酸化珪素マスクMに付着することで形成されるが、酸化珪素系の成分が付着する炭化珪素基板Kや二酸化珪素マスクMの温度によって、SiとOとの結合の強さが変化し、形成される保護膜Hの密度が変化する。また、保護膜Hの形成量は、SiFガスの添加割合によって変化する。
したがって、SiFガスの添加割合を上記所定の範囲内とすることで、保護膜Hが過不足なく形成されるようになり、炭化珪素基板Kの温度を上記所定の範囲内とすることで、保護膜Hが適度な密度となる。その結果、二酸化珪素マスクMのエッチングレートが低下する、或いは形成される保護膜Hの量とエッチングにより除去される保護膜Hの量とがほぼ同量となって、二酸化珪素マスクMのエッチングが見かけ上停止する、場合によっては、形成される保護膜Hの量が除去される保護膜Hの量よりも多くなり、二酸化珪素マスクMの量が見かけ上増加するため、マスク選択比が従来よりも極めて高くなっていると考えられる。
そして、上記のように、SiFガスの添加割合を40%以上50%以下にするとともに、炭化珪素基板Kを40℃以上180℃以下に調整するようにしているのは、本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果見出した新たな知見に基づいている。
即ち、本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、SiFガスの添加割合を40%以上50%以下とした場合、炭化珪素基板Kの温度とマスク選択比との間に、炭化珪素基板Kの温度が40℃以上180℃以下の範囲内においてマスク選択比の極大値が存在する非線形の関係があるという新たな知見を見出した。そこで、本願発明者らは、この知見を基にして、マスク選択比の極大値を含むように、炭化珪素基板Kの温度を40℃以上180℃以下に調整するようにしている。つまり、SiFガスの添加割合と炭化珪素基板Kの温度とを上記所定の範囲内にすることは、上記知見を得て初めてなし得ることであると考えられる。
次に、本願発明者らが行った実験について説明する。具体的に言うと、本願発明者らは、SiFガスの添加割合及び炭化珪素基板Kの温度を変えて、二酸化珪素マスクMが形成された炭化珪素基板Kにエッチング処理を施す実験を行った。尚、各実験においては、コイルの印加電力を2000W、基台に印加するバイアス電力を400W、処理チャンバ11内の圧力を1.0Paとし、SFガス、SiFガス及びOガスと同時に、不活性ガスたるArガスを150sccmの流量で供給するようにした。
図5は、炭化珪素基板Kの温度を130℃とし、SiFガスの添加割合が16.7%から50.0%となるようにSFガス、SiFガス及びOガスの供給流量を設定した場合の実験結果をまとめた表であり、SiFガスの添加割合が16.7%の場合が比較例1、28.6%の場合が比較例2、40.0%の場合が実施例1、45.5%の場合が実施例2、50.0%の場合が実施例3である。
同図から分かるように、炭化珪素基板Kの温度が130℃、即ち、炭化珪素基板Kの温度が40℃以上180℃以下の範囲内である場合、SiFガスの添加割合が40%より小さいと、形成されるエッチング構造Tにサブトレンチが発生する。一方、SiFガスの添加割合が40%以上の場合には、サブトレンチのない高ラウンド度を有したエッチング構造Tが形成される。尚、SiFガスの添加割合を50%より大きくした場合には、エッチングが正常に進行しなくなったが、これは保護膜Hが過剰に形成されたためだと考えられる。また、同図に示すように、SiFガスの添加割合が多くなると、SiCのエッチングレートはやや低くなる傾向にあるが、SiFガスの添加割合の違いにより生じるエッチングレートの差は僅かであり、SiFガスの添加割合が40%以上50%以下においても、そのエッチングレートは十分に実用的な値となっている。
図6は実施例1、図7は比較例2で実際に形成された各エッチング構造Tを示す写真である。図6から分かるように、実施例1では二酸化珪素マスクMに庇H1が形成されており、エッチング構造Tがサブトレンチのない高ラウンド度を有した形状となっている。これに対して、比較例2では二酸化珪素マスクMに庇H1が形成されておらず、エッチング構造Tには大きなサブトレンチが形成されている(図7参照)。このように、SiFガスの添加割合によって、形成されるエッチング構造Tの形状に差異が生じるのは、上述したように、庇H1の形成の有無がエッチング構造T底部のラウンド化に影響与えるためである。
図8は、炭化珪素基板Kの温度を190℃とし、SiFガスの添加割合が28.6%から50.0%となるようにSFガス、SiFガス及びOガスの供給流量を設定した場合の実験結果をまとめた表である。尚、SiFガスの添加割合が28.6%の場合が比較例3、40.0%の場合が比較例4、45.5%の場合が比較例5、50.0%の場合が比較例6である。
同図から分かるように、炭化珪素基板Kの温度が40℃以上180℃以下の範囲外であっても、SiFガスの添加割合が40%以上であると、サブトレンチの発生が抑えられている。
しかしながら、図5に示した実施例1〜3と、図8に示した比較例4〜6とを比較すると、両者はともに、サブトレンチの発生が抑えられているものの、炭化珪素基板Kの温度が異なることによって、マスク選択比の値に大きな差が生じていることが分かる。即ち、実施例1〜3では、いずれもマスク選択比が無限大となるのに対し、比較例4〜6では、それぞれ27.0、37.9、61.2となっており、SiFガスの添加割合が同じである場合、炭化珪素基板Kの温度が低い方でマスク選択比が高くなっている。
図9は、比較例4で形成されたエッチング構造Tを示す写真であるが、同図に示した比較例4と図6に示した実施例1とを比較すると、両者ともにSiFガスの添加割合が40%であるにもかかわらず、マスク選択比の違いが、保護膜Hからなる庇H1の大きさ及び形状の違いとして現れている。
そこで、本願発明者らは、炭化珪素基板Kの温度とマスク選択比との関係をより詳細に検討するために、SiFガスの添加割合を40.0%とした場合と、28.6%とした場合とについて、それぞれ炭化珪素基板Kの温度を変化させて炭化珪素基板Kにエッチング処理を施す実験を行った。尚、コイルの印加電力、基台に印加するバイアス電力、処理チャンバ11内の圧力、Arガスの供給流量については、上記と同じ条件で行った。
図10は、SiFガスの添加割合が28.6%である場合の結果をまとめた表であり、炭化珪素基板Kの温度が155℃の場合が比較例7であり、比較例2及び3は上記と同一である。また、図11は、SiFガスの添加割合が40.0%である場合の結果をまとめた表であり、炭化珪素基板Kの温度が100℃の場合が実施例4、155℃の場合が実施例5であり、実施例1及び比較例4は上記と同一である。
図10から分かるように、SiFガスの添加割合が28.6%である場合には、炭化珪素基板Kの温度が高くなるにつれて、マスク選択比は緩やかに高くなっており、炭化珪素基板Kの温度とマスク選択比とは線形関係にある。
これに対して、SiFガスの添加割合が40.0%である場合には、図11に示すように、実施例4よりも実施例1の方がマスク選択比は高くなっているが、実施例1よりも実施例5の方が、マスク選択比は低くなっており、炭化珪素基板Kの温度とマスク選択比との間には、炭化珪素基板Kの温度がおよそ130℃付近でマスク選択比が極大値となる非線形関係がある。
つまり、本願発明者らの実験によって、SiFガスの添加割合が40%より小さい場合と、40%以上の場合とでは、炭化珪素基板Kの温度とマスク選択比との間に全く異なる関係があることが明らかとなった。
また、図5,8,10及び11から分かるように、エッチング処理時にSiFガスを保護膜形成ガスとして用いているため、各実施例及び各比較例におけるエッチングの面内均一性は良好なものとなっている。しかしながら、SiFガスの添加割合を40%以上50%以下とし、且つ、炭化珪素基板Kの温度を40℃以上180℃以下に調整している場合には、他の場合と比較して面内均一性が高くなり易い傾向にあることが分かる。特に、図11に示した実験結果に着目すると、面内均一性は、SiFガスの添加割合が40%以上50%以下である場合、炭化珪素基板Kの温度が低い方が高くなっている。
したがって、面内均一性を高くするという観点からすれば、SiFガスの添加割合を40%以上50%以下とした上で、炭化珪素基板Kの温度を40℃以上180℃以下の範囲内において、より低い温度とすることが好ましいと考えられる。
尚、図5,8,10及び11中の「選択比(肩部)」とは、二酸化珪素マスクMの肩部におけるエッチングレートに対する炭化珪素基板Kのエッチングレートの比である。
また、同図中における「面内均一性」とは、基板上の任意のnカ所で測定した炭化珪素基板Kのエッチングレートの中の最大エッチングレート(ERMax)及び最小エッチングレート(ERMin)と、nカ所のエッチングレートから算出した平均エッチングレート(ERAve)とを基にして、以下の数式1によって算出したものであり、算出した数値が小さいほど均一性が高いことを意味する。尚、上記各実施例及び各比較例における面内均一性は、炭化珪素基板の中心部及び周縁部の2カ所で測定したエッチングレートを基に算出した。
(数式1)
面内均一性=(ERMax−ERMin)/(2×ERAve)×100
以上のように、本実施形態に係る炭化珪素半導体素子の製造方法においては、SFガス、SiFガス及びOガスの総流量に対するSiFガスの添加割合を40%以上50%以下となるように、上記各ガスを供給するとともに、温度が40℃以上180℃以下となるように炭化珪素基板の温度を調整して、当該炭化珪素基板をエッチングするようにしていることで、サブトレンチのない高ラウンド度を有したエッチング構造を形成することができるだけでなく、マスク選択比を高くすることができ、また、面内均一性も高くすることができる。
したがって、本実施形態に係る炭化珪素半導体素子の製造方法によれば、サブトレンチがなく、底部がラウンド化されたエッチング構造を炭化珪素基板全体に均一に形成することが可能であり、例えば、処理時間を長くすると、マスクの後退が抑えられた状態で深さ方向へのエッチングが進行するため、形成されるエッチング構造のアスペクト比が14以上と極めて高くすることも可能である。
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明の採り得る態様は何らこれに限定されるものではない。
例えば、上例においては、エッチングガスとして、SFガスを用いたが、これに代えて、NFガスやFガスを用いるようにしても良い。
また、上例では、シリコン系ガスとしてSiFガスを用いたが、例えば、珪素と、フッ素の同族元素である塩素との化合物であるSiClガスを用いるようにしても良い。このようにしても、SiFガスを用いた場合と同様に、SiClガスをプラズマ化することにより生成する保護膜形成種(Si)が保護膜の形成に関与するとともに、塩化物イオンや塩素ラジカルが炭化珪素基板のエッチングに関与するため、相応の効果が得られる。
更に、上例においては、エッチング処理時に基台15にバイアス電力を印加するようにしているが、基台15にバイアス電力を印加せずにエッチング処理を行うようにしても良い。
また、上例のプラズマ生成装置30は、コイル31が上チャンバ12に配設された構成となっているが、例えば、上チャンバ12の天板上方にコイルを配設した構成としても良い。
1 エッチング装置
11 処理チャンバ
15 基台
20 ガス供給装置
21 SFガス供給部
22 SiFガス供給部
23 Oガス供給部
24 不活性ガス供給部
30 プラズマ生成装置
31 コイル
32 高周波電源
35 高周波電源
40 排気装置
50 温度調整装置


Claims (6)

  1. 少なくともシリコン系ガス及び酸素ガスを含む保護膜形成ガスと、反応性エッチングガスとを用いたプラズマにより、二酸化珪素マスクが形成された炭化珪素基板をエッチングする炭化珪素半導体素子の製造方法であって、
    前記保護膜形成ガスと前記反応性エッチングガスの総流量に対する前記シリコン系ガスの添加割合を40%以上50%以下に設定するとともに、
    前記炭化珪素基板の温度を40℃以上180℃以下に調整して、
    前記二酸化珪素マスクの側壁上部、又は前記二酸化珪素マスクの側壁及びエッチング構造の開口部に庇状の保護膜を形成しつつ前記炭化珪素基板をエッチングするようにしたことを特徴とする、炭化珪素半導体素子の製造方法。
  2. 前記炭化珪素基板は、誘導結合プラズマによりエッチングされることを特徴とする請求項1記載の、炭化珪素半導体素子の製造方法。
  3. 前記シリコン系ガスは、SiFガス又はSiClガスのいずれか一方のガスであることを特徴とする請求項1又は2記載の、炭化珪素半導体素子の製造方法。
  4. 前記反応性エッチングガスは、SFガス、NFガス及びFガスの中から選択したガスであることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの、炭化珪素半導体素子の製造方法。
  5. 前記炭化珪素基板をエッチングする際に、前記炭化珪素基板を載置する基台にバイアス電力を印加することを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかの、炭化珪素半導体素子の製造方法。
  6. 前記バイアス電力は、200W以上800W以下であることを特徴とする請求項5記載の、炭化珪素半導体素子の製造方法。
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