JP6653801B2 - 封止材組成物、封止材及び電子基板 - Google Patents

封止材組成物、封止材及び電子基板 Download PDF

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Description

本発明は、電子基板等に設けた電子素子又は金属が露出した部分に貼付して、電子素子などの被着物を水分及び異物等から保護する封止材組成物及び封止材、そしてこれらを利用する電子基板に関する。
従来からエポキシ樹脂を原料とする封止材が知られている。この封止材は、エポキシ樹脂を硬化する前の液状の封止材組成物を基板等に塗布した後、硬化することで電子素子等の被覆、保護に用いられる。液状のものを硬化するこうしたタイプの封止材は、液状であるため電子素子の隙間に流し込み易く、電子素子を確実に覆うことできるというメリットがある一方で、所望の範囲から外に流れ出し易いことから、露出させたい部分までをも覆うおそれがあることが問題となっている。また、液状の封止材組成物では、硬化前に異物が付着し易いことや、他の部材に付着して汚すおそれがあるなど、取扱い性の悪さが懸念されている。このような問題に対して、固形のシート状封止材組成物が開発されており、例えば特開2012−087292号公報(特許文献1)などにシート状封止材組成物に関する技術が記載されている。また、特開2015−196783号公報(特許文献2)には、光硬化型のシート状封止材に関する技術が記載されている。
特開2012−087292号公報 特開2015−196783号公報
ところが、特開2012−087292号公報(特許文献1)に記載された技術によれば、基板の電子素子等の凹凸間を埋めるために、シート状の封止材組成物を加熱、軟化する必要があり、加熱に所定の時間を要し、製品の製造に時間がかかるという問題がある。また、封止材組成物の粘度が温度によって変化するため、充分に加熱できないと、封止材組成物の軟化が不十分となり、凹凸を十分に埋めることができないおそれがある。一方、加熱しすぎて低粘度になると、所定の範囲外に流れ出てしまうおそれがある。さらに耐熱性の低い電子素子には、適用できない場合がある。
また、特開2015−196783号公報に記載された光硬化型の封止材組成物は、シート状でありながら、依然として硬い組成物であるため、そのまま電子素子等へ密着させると過大な圧力がかかってしまい破損させるおそれがある。したがって、封止材組成物を凹凸へ密着させるときには加熱する必要があり、特許文献1と同じ課題を有している。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。即ち、電子素子等を被覆してからの加熱が不要で、柔軟で定形性のある封止材組成物及び封止材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の封止材組成物は以下のとおり構成される。即ち、本発明はエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムとエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物と、光重合開始剤と、を含み定形性を備える封止材組成物とした。
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムとエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物と、光重合開始剤と、を含み定形性を備える封止材組成物としたため、前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と前記液状ジエン系ゴムの反応生成物と、が定形性と柔軟性を与える封止材組成物となる。したがって、本発明の封止材組成物は、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い。なお、定形性とは、所定の作業又は外力が加わったときに形状を維持する性質である。
加えて、本発明の封止材組成物は、光を照射したときに、光重合によって硬化させることができる。したがって、加熱によらず封止材組成物を封止材に硬化して電子素子等の被着物を封止することができる。また、液状ジエン系ゴムは分子量が大きく、またその一部はエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物又はポリアミンとの間で反応生成物を形成して未反応成物を保持するマトリクスとなるため、液状成分の浸み出しの問題が生じ難い。さらに、液状ジエン系ゴムが柔軟性を付与し、封止材組成物及びその光硬化物である封止材も柔軟である。
前記本発明は、前記エポキシ基に対する反応性基がカルボキシル基であり、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物と、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとポリアミンの反応生成物と、光重合開始剤と、を含み定形性を備える封止材組成物とすることができる。
本発明は、前記エポキシ基に対する反応性基がカルボキシル基であり、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物と、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとポリアミンの反応生成物と、が定形性と柔軟性を与える封止材組成物となる。したがって、本発明の封止材組成物は、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い。
前記本発明は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と、ポリアミンと、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤と、を含む液状組成物の混合物として構成できる。エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と、ポリアミンと、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤と、を含む液状組成物の混合物としたため、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムの反応生成物と、ポリアミンと液状ジエン系ゴムの反応生成物が形成されて、共有結合、イオン間相互作用、その他の分子間相互作用等によってゲル状物又はゴム状物を形成するような高分子組成物となる。そのため、定形性と柔軟性を与え、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い封止材組成物とすることができる。
前記液状組成物が、前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物及び前記ポリアミンの合計100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムを100〜2000質量部含む封止材組成物として構成できる。前記液状組成物が、前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物及び前記ポリアミンの合計100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムを100〜2000質量部含むため、定形性に優れた封止材組成物とすることができる。
本発明はまた、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とエポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムの反応生成物と、光重合開始剤と、を含みポリアミンの反応生成物を含まずに定形性を備えるものとして構成できる。
前記本発明を、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とエポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムの反応生成物と、光重合開始剤と、を含みポリアミンの反応生成物を含まずに定形性を備えるものとして構成したため、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と前記液状ジエン系ゴムの反応生成物が形成されて、共有結合、イオン間相互作用、その他の分子間相互作用等によってゲル状物又はゴム状物を形成するような高分子組成物となる。そのため、定形性と柔軟性を与え、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い封止材組成物とすることができる。
前記本発明は、前記エポキシ基に対する反応性基がカルボキシル基である封止材組成物とすることができる。前記本発明は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムの反応生成物と、光重合開始剤と、を含みポリアミンの反応生成物を含まずに定形性を備える構成としたため、前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と前記液状ジエン系ゴムの反応生成物が定形性と柔軟性を与える封止材組成物となる。したがって、本発明の封止材組成物は、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い。
加えて、前記本発明は、光を照射したときに、光重合によって硬化させることができる。したがって、本発明の封止材組成物は、加熱によらず封止材組成物を封止材に硬化して電子素子等の被着物を封止することができる。また、液状ジエン系ゴムは分子量が大きく、またその一部はエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物との間で反応生成物を形成して未反応成物を保持するマトリクスとなるため、液状成分の浸み出しの問題が生じ難い。さらに、液状ジエン系ゴムが柔軟性を付与し、封止材組成物及びその光硬化物である封止材も柔軟である。
前記本発明は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤と、を含みポリアミンが含まれない液状組成物の混合物として構成できる。エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤と、を含みポリアミンが含まれない液状組成物の混合物として構成したため、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と前記液状ジエン系ゴムの反応生成物が形成されて、ゲル状物又はゴム状物を形成するような高分子組成物となる。そのため、定形性と柔軟性を与え、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い封止材組成物とすることができる。
前記液状組成物が、前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムを100〜2600質量部含む封止材組成物として構成できる。前記液状組成物が、前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムを100〜2600質量部含むため、定形性に優れた封止材組成物とすることができる。
前記液状組成物にさらにポリアミン以外のエポキシ樹脂硬化剤を含む封止材組成物として構成できる。前記液状組成物にさらにポリアミン以外のエポキシ樹脂硬化剤を含む封止材組成物としたため、封止材としたときの低透湿性、防水性を高めることができる。
前記本発明は、(メタ)アクリロイル基を有せずエポキシ基に対する反応性基を有する液状ジエン系ゴムをさらに含む封止材組成物とすることができる。前記本発明を(メタ)アクリロイル基を有せずエポキシ基に対する反応性基を有する液状ジエン系ゴムをさらに含むものとしたため、取扱い性が良く、さらに最大引張応力を高めて伸長時に破断し難くすることができる。そして、電子素子を覆う追従性を高めることができ、低荷重で電子素子の凹凸を埋めたり、電子素子の表面に沿わせたりすることができ、伸長時に欠陥が生じ難くすることができる。さらに、(メタ)アクリロイル基由来の架橋密度を減らすことで、硬化後の伸縮性を高めることができ、フレキシブル基板及び伸長基材に対して好適な封止材とすることができる。
前記本発明は、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムが、(メタ)アクリロイル基を有しエポキシ基に対する反応性基を有しない第1の液状ジエン系ゴムと、エポキシ基に対する反応性基を有し(メタ)アクリロイル基を有しない第2の液状ジエン系ゴムの混合物である封止材組成物とすることができる。前記本発明を、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムが、(メタ)アクリロイル基を有しエポキシ基に対する反応性基を有しない第1の液状ジエン系ゴムと、エポキシ基に対する反応性基を有し(メタ)アクリロイル基を有しない第2の液状ジエン系ゴムの混合物であるものとしたため、1分子中にエポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基との両方の反応性基を含まない液状ジエン系ゴムを用いることができる。
前記本発明は、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとポリアミンの反応生成物と、光重合開始剤と、を含みエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物を含まずに定形性を備える封止材組成物として構成できる。
前記本発明は、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとポリアミンの反応生成物と、光重合開始剤と、を含みエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物を含まずに定形性を備える構成としたため、前記ポリアミンと前記液状ジエン系ゴムの反応生成物が定形性と柔軟性を与える封止材組成物となる。したがって、本発明の封止材組成物は、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い。
加えて、本発明の封止材組成物は、光を照射したときに、光重合によって硬化させることができる。したがって、加熱によらず封止材組成物を封止材に硬化して電子素子等の被着物を封止することができる。また、液状ジエン系ゴムは分子量が大きく、またその一部はポリアミンとの間で反応生成物を形成して未反応成物を保持するマトリクスとなるため、液状成分の浸み出しの問題が生じ難い。さらに、液状ジエン系ゴムが柔軟性を付与し、封止材組成物及びその光硬化物である封止材も柔軟である。
前記本発明は、ポリアミンと、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤と、を含みエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を含まない液状組成物の混合物である封止材組成物として構成できる。ポリアミンと、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤と、を含みエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を含まない液状組成物の混合物である構成としたため、ポリアミンと液状ジエン系ゴムの反応生成物が形成されて、ゲル状物又はゴム状物を形成するような高分子組成物となる。そのため、定形性と柔軟性を与え、凹凸のある基板に貼着するとき、比較的小さな荷重で押しつけることで密着し、凹部へ密着させ易い封止材組成物とすることができる。
前記液状組成物が、前記ポリアミン100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムを100〜2000質量部含む封止材組成物として構成できる。前記液状組成物が、前記ポリアミン100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムを100〜2000質量部含むため、定形性に優れた封止材組成物とすることができる。
そして、前記何れかの封止材組成物の光硬化体である封止材として構成することができる。前記何れかの封止材組成物の光硬化体である封止材としたため、この封止材もまた柔軟性を有し、好適な接着性を備えている。したがって、本発明は被着体に対する気密性に優れ、優れた封止効果を備えた封止材である。換言すれば、封止材組成物が柔軟なため、封止する電子素子にシート状に形成した封止材組成物を圧着するだけでそれらの電子素子の凹凸を埋めることができる。また、大きな電子素子を覆う場合であっても、封止材組成物が伸長しながら電子素子の表面に沿って密着しながら電子素子を覆うことができる。
そしてまた、貯蔵弾性率が0.7〜5.4MPaである封止材として構成することができる。貯蔵弾性率が0.7〜5.4MPaであるように構成したため、強度が大きくフレキシブル性にも優れた封止材とすることができる。
前記本発明は、前記何れかの封止材で電子素子が封止された電子基板とすることができる。前記本発明を前記何れかの封止材で電子素子が封止された電子基板としたため、電子素子が水分及び異物等から好適に保護された電子基板である。
前記本発明は、封止材の厚さTに対する前記電子素子の高さTが、T>Tであるとともに、前記電子素子の凹凸を埋めた封止材表面が略平滑である電子基板とすることができる。前記本発明を、封止材の厚さTに対する前記電子素子の高さTが、T>Tであるとともに、前記電子素子の凹凸を埋めた封止材表面が略平滑である電子基板としたため、複数の高さの異なる電子素子を有する電子基板であっても、封止材がその表面を覆って略平滑な平面を形成することができる。そのため、これらの電子素子を外気から隔離して封止するだけでなく、安定的に保持することもできる。
前記本発明は、封止材の厚さTに対する前記電子素子の高さTが、T≦Tであるとともに、前記電子素子の外面に沿って前記封止材が密着している電子基板とすることができる。前記本発明を、封止材の厚さTに対する前記電子素子の高さTが、T≦Tであるとともに、前記電子素子の外面に沿って前記封止材が密着しているものとしたため、複数の高さの異なる電子素子を有する電子基板であっても、封止材が少なくともその側面を覆うことができる。そのため、これらの電子素子の側面を封止して安定的に保持することもできる。
前記本発明は、貯蔵弾性率が0.7〜50MPaであるフレキシブル基材を備える電子基板とすることができる。前記本発明を、貯蔵弾性率が0.7〜50MPaであるフレキシブル基材を備える電子基板としたため、前記封止材がこのフレキシブル基材と積層することで、封止材の過度な伸びを防止でき封止材の破損がし難い電子基板である。
本発明の封止材組成物及び封止材によれば、定形性と柔軟性を有し、取扱い性に優れる。また、本発明の電子基板によれば、電子素子が水分及び異物等から好適に保護された電子基板である。
本発明の封止材組成物及びその硬化体である封止材について実施形態に基づいて詳しく説明する。各実施形態において重複する材料、材質、製造方法、作用効果、機能等については重複説明を省略する。
<封止材組成物>
本発明の封止材組成物は、電子素子を配置した電子基板(「基板」ともいう)等に貼付し、圧着して電子素子を覆うとともに密着させた後、光を照射し硬化して封止材とし、電子素子に対する接着性を高めて、電子素子を水分及び異物等から保護するものである。
(1)第1実施形態:
第1実施形態としての封止材組成物は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と、ポリアミンと、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤とを必須成分とする液状混合物を加熱して得られるゲル状組成物又はゴム状組成物である。以下、これらの成分から説明する。
エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴム:
エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴム(以下、単に液状ジエン系ゴムともいう)は、封止材組成物中に含まれる光硬化成分であり、封止材にゴム弾性(柔軟性)、低透湿性、防水性、被着体に対する密着性を付与する成分である。また、封止材の機械的強度を向上させ、封止材の伸縮性を高める効果がある。
エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムは、単一の分子内にエポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基の両方を有する場合だけでなく、エポキシ基に対する反応性基を有するが(メタ)アクリロイル基を有しない液状ジエン系ゴムと、(メタ)アクリロイル基を有するがエポキシ基に対する反応性基を有しない液状ジエン系ゴムとの混合物とすることもできる。したがって、前記液状ジエン系ゴムは、混合物としての液状ジエン系ゴム中にエポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有していれば良い。
液状ジエン系ゴムは、常温で液状であり、封止材組成物中では、その一部がエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物又はポリミアンと反応生成物を形成するとともに、未反応の液状ジエン系ゴムは、この反応生成物及びエポキシ樹脂硬化体でなるマトリクスによって保持されている。
液状ジエン系ゴムの粘度は、1〜1000Pa・sであることが好ましい。1Pa・s未満の場合には、架橋構造が3次元的に密になりすぎ、硬化後の封止材が脆くなるおそれがある。一方、1000Pa・sを超えると、被着体への接着力が低下するおそれがある。
液状ジエン系ゴム1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は、2〜3であることが好ましい。官能基数が1の場合には、架橋構造が発達せず、封止材の強度が低くなるおそれがある。一方、官能基数が4を超えると、架橋構造が3次元的に密になりすぎることで、封止材が脆くなるおそれがある。
エポキシ基に対する反応性基としては、例えば酸無水物基、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、イミド基、イミダゾール基、メルカプト基を例示できるが、エポキシ基との反応性が適度であることや、材料の入手性が良いことからカルボキシル基及び酸無水物基が好ましい。
液状ジエン系ゴムは、単独で硬化したときに、貯蔵弾性率E’が0.01〜10MPaとなる成分であることが好ましい。貯蔵弾性率が0.01MPa未満の場合には、封止材の強靭性が極度に弱くなり、封止対象を充分に保護できなくなるおそれがある。貯蔵弾性率が10MPaを超える場合には、封止材が必要以上に硬くなるおそれがある。
なお液状ジエン系ゴムの具体例としては、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレンなどを例示することができる。
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物:
第1実施形態の封止材組成物では、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を必須の原材料として形成され、封止材組成物中では主に、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムとの反応生成物及びエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンとの反応生成物として含有される。さらに後述のエポキシ樹脂の硬化剤を含むときはエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とエポキシ樹脂の硬化剤とが反応したエポキシ樹脂硬化体としても含まれる。未反応のエポキシ基を有するエポキシ成分が含まれていても良い。
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物には、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシモノマー及びオリゴマーを用いることができる。また、分子の一部に、ポリエチレングリコール骨格、ポリプロレピレングリコール骨格、ポリエーテル骨格、ウレタン骨格、ポリブタジエン骨格、ニトリルゴム骨格等の柔軟骨格を含んでいるものを用いると、封止材組成物の硬さをより柔軟にできる点で好ましい。
上記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物として、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、柔軟骨格を有するエポキシ樹脂として、ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを反応させポリアルキレングリコール骨格を有する化合物を合成し、ポリアルキレングリコール骨格を有する化合物の末端をさらにエポキシ化して得られる「芳香族ジヒドロキシ化合物とポリアルキレングリコールが結合し、末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物」、プロパンジオール、ブタンジオール等のアルカンジオール又はジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールをエポキシ化し、さらにビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させ、その生成物をエポキシ化して得られる「アルカンジオール又はポリアルキレングリコールと芳香族ジヒドロキシ化合物が結合し、末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物」、脂肪族、芳香族炭化水素化合物、プロパンジオール、ブタンジオール等のアルカンジオール又はジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールをジビニルエーテル化し、さらにビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させ、その生成物をエポキシ化して得られる「脂肪族骨格、芳香族骨格、又はアルカンジオール、ポリアルキレングリコールと芳香族ジヒドロキシ化合物が結合し、末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物」、ダイマー酸又はセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸とビスフェノールAエポキシ樹脂、その他のエポキシ化剤を反応させることで得られる「脂肪族骨格を有するエポキシ化合物」、プロピレンオキシド等のポリアルキレングリコーンの末端をエポキシ化して得られる「末端にエポキシ基を有するポリアルキレングリコール構造を有するエポキシ化合物」等を挙げることができる。
これらの中でも、硬化後の柔軟性と脆さ改善の点から、脂肪族骨格、芳香族骨格、若しくはアルカンジオール又はポリアルキレングリコールと芳香族ジヒドロキシ化合物が結合し、末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物を用いることが好ましい。
これらのエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもかまわない。また、上記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物は、常温で液体であっても固体であっても良い。なお、本発明で常温という場合は25℃の状態をいうものとする。
ポリアミン:
第1実施形態の封止材組成物では、ポリアミンを必須の原材料として形成され、封止材組成物中では主に、ポリアミンと液状ジエン系ゴムとの反応生成物及びポリアミンとエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物との反応生成物として含有される。またポリアミンは、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物に対して一般的な硬化剤であり、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンとが反応したエポキシ樹脂硬化体の骨格中にも含まれることになる。未反応のポリアミン成分が含まれていても良い。
本発明においてポリアミンとは、少なくとも分子量100を超え、アミノ基を2つ以上含む化合物を指すものとする。例えば脂肪族ポリアミン、ポリエーテルポリアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン、ポリアミドアミン、アミンアダクトなどを挙げることができる。
ポリアミンは液状でも固形であっても良いが、封止材組成物の必須成分としてエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を含んでいるため、いわゆる潜在性硬化剤といわれるポリアミンを用いることが好ましい。潜在性硬化剤を用いれば、混合後に直ちに硬化することがないため、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物及び液状ジエン系ゴムとの混合時の粘度上昇を抑制することができるからである。封止材組成物を硬化してなる封止材は、水及び水蒸気から被着体を保護するため、封止材中に気泡が存在すると封止材の特性を悪化させることになる。そのため、封止材組成物の製造過程で気泡を除去する必要があるが、原材料を混合した直後の粘度上昇が急激であると気泡の除去が困難になるおそれがある。しかしながら、製造時の粘度上昇を抑えることができれば封止材中の気泡も確実に脱泡することができるため、潜在性硬化剤を用いれば気泡に起因する特性の悪化を防ぐことができる。
上記潜在性硬化剤は、一例として常温で固形であるが、所定の温度で溶融して活性化する性質を有するものを例示できる。前記ポリアミンの中では、特に60℃〜120℃の範囲で活性化する芳香族アミン、アミンアダクトが好適である。
脂肪族アミン類としては、ヘキサメチレンジアミン、2,5‐ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N‐ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が挙げられる。
ポリエーテルポリアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が挙げられる。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N‐アミノエチルピペラジン、ビス(4‐アミノ‐3‐メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9‐ビス(3‐アミノプロピル)2,4,8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミン類としては、テトラクロロ‐p‐キシレンジアミン、m‐キシレンジアミン、p‐キシレンジアミン、m‐フェニレンジアミン、o‐フェニレンジアミン、p‐フェニレンジアミン、2,4‐ジアミノアニゾール、2,4‐トルエンジアミン、2,4‐ジアミノジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノ‐1,2‐ジフェニルエタン、2,4‐ジアミノジフェニルスルホン、4,4’‐ジアミノジフェニルスルホン、m‐アミノフェノール、m‐アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2‐(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α‐(m‐アミノフェニル)エチルアミン、α‐(p‐アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’‐ビス(4‐アミノフェニル)‐p‐ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
上記具体例の中でも、他の原材料との相溶性及び封止材の柔軟性を考慮すると、脂肪族アミン類、ポリエーテルポリアミン類、脂環式アミン類を用いることが好ましい。
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンを合わせた含有量は、封止材組成物及び封止材中に5〜50質量%含まれることが好ましい。5質量%未満では、封止材組成物が所定の定形性を有することができないおそれがある。一方、50質量%を超えると、封止材が硬くなりすぎるおそれがある。また、相対的に光硬化成分である液状ジエン系ゴムの含有量が少なくなるため、密着性が低下するおそれがある。なお、任意成分としての後述のエポキシ樹脂の硬化剤をさらに含む場合には、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンに加え、このエポキシ樹脂の硬化剤を合わせた含有量が封止材組成物及び封止材中に5〜50質量%含まれることが好ましい。その理由は前記同様である。
また、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの合計100質量部に対して、液状ジエン系ゴムの配合量は100〜2000質量部であることが好ましく、400〜1600質量部であることがより好ましい。液状ジエン系ゴムが100質量部未満である場合には、封止材組成物及び封止材が硬くなるおそれがある。また、封止材の密着性が低下するおそれがある。一方、液状ジエン系ゴムが2000質量部を超えると、封止材組成物の定形性が損なわれ、貼着作業が難しくなるなど取扱い性が損なわれるおそれがある。
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムの反応生成物、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物:
封止材組成物には上記のように、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムの反応生成物が含まれる。この反応生成物は、より詳しくは、液状ジエン系ゴムが備えるエポキシ基に対する反応性基と、エポキシ基が反応することで生じるものである。また、これに加え、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物を含む。さらに液状ジエン系ゴムの有するエポキシ基に対する反応性基がカルボキシル基の場合には、ポリアミンと、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムの反応生成物を含む
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムの反応生成物、ポリアミンと液状ジエン系ゴムの反応生成物、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物は、共有結合を形成したり、イオン間相互作用を形成したり、その他の相互作用を形成している。即ち、液状ジエン系ゴム自体は液状であり多量に含まれると封止材組成物の定形性が損なわれるおそれがあるが、反応生成物を形成することで液状ジエン系ゴムの含有量が減少するとともに、これを保持する反応性生物が増加して封止材組成物に定形性を与えるとともに適度な柔らかさを維持していると考えられる。
そして、これらの反応生成物は、反応前の各成分と比較して相対的に高粘度となるか、又は固体となる。したがって、具体的には、引張り破断伸びが大きく向上し、封止材組成物を伸ばしたときに、千切れ難くさせることができる。したがって、平坦な封止材組成物を凹凸のある封止対象に貼付するとき、凹凸に沿って伸ばされた部分が破断し難くなり、封止材が破断することに起因する不具合の発生を抑えることができる、また、このことは換言すれば、凹凸の大きい封止対象に対して適用することができるようになる。
反応生成物について個別的にみると、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムの反応生成物を含む場合には、動的粘弾性測定の温度特性について、貯蔵弾性率の温度変化が小さく、定形性に優れた耐熱性のある封止材組成物となる。一方、ポリアミンと液状ジエン系ゴムの反応生成物によって定形性を有する場合には、動的粘弾性測定で測定される貯蔵弾性率が、温度が高くなるにしたがって著しく低下する熱可塑性に優れた封止材組成物となり、温度が高くなると柔軟性が増す封止材組成物を得ることができる。こうした封止材組成物は、被着対象が微細な凹凸を有するときに補助的に加熱することで凹凸の隅々まで封止材組成物を密着させることができる。そして、この両者の特徴は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの双方の割合を変更することで調整することができる。
なお、液状ジエン系ゴムの(メタ)アクリロイル基とポリアミンのアミノ基が反応して反応生成物を形成する場合に、全ての(メタ)アクリロイル基が反応に寄与してしまうと、封止材組成物の光反応性が失われるおそれがあるが、発明者らが鋭意検討したところ、ポリアミンを過剰に添加した場合であっても、未反応の(メタ)アクリロイル基を残存させることができることを確認しており、ポリアミンと液状ジエン系ゴムとの反応生成物の生成に起因して封止材組成物の光硬化の不具合が生じることは確認されなかった。
光ラジカル重合開始剤:
光ラジカル重合開始剤は、液状ジエン系ゴムを光反応させて硬化させるものである。具体的には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アセトフェノン系、アシルフォスフィン系等の光重合開始剤を用いることができる。光ラジカル重合開始剤の配合量は、液状ジエン系ゴムの配合量100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましい。
その他の成分:
(メタ)アクリロイル基を有せずエポキシ基に対する反応性基を有する液状ジエン系ゴムをさらに含むものとすることができる。(メタ)アクリロイル基を有せずエポキシ基に対する反応性基を有する液状ジエン系ゴムをさらに含むものとすれば、封止材組成物の取扱い性を良いものとし、さらに最大引張応力を高めて伸長による破断を生じ難くすることができる。そのため、電子素子を覆う追従性を高めることができ、低荷重で電子素子の凹凸を埋めたり、電子素子の表面に沿わせたりすることができ、封止材の伸長で欠陥を生じ難くすることができる。また、(メタ)アクリロイル基由来の架橋密度を減らすことで、硬化後の伸縮性を高めることができ、フレキシブル基板及び伸長基材に対して好適な封止材とすることができる。
任意成分の例として、エポキシ樹脂の硬化剤を含むことができる。上記必須成分であるポリアミンとここでのエポキシ樹脂の硬化剤とを区別するために、本明細書及び請求の範囲においてエポキシ樹脂の硬化剤という場合には、上記のポリアミン以外であって、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物との間で硬化反応を起こし得るものをいうものとする。
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とエポキシ樹脂の硬化剤とを熱硬化させて得るエポキシ樹脂硬化体は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムとの反応生成物、ポリアミンと液状ジエン系ゴムとの反応生成物と共に、封止材組成物及び封止材に定形性を与える成分である。また、封止材の低透湿性、防水性を高めることに寄与している。エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物として柔軟骨格を有するエポキシ樹脂を用いたときは、封止材組成物及び封止材の柔軟性を高めることができる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、一般的に使われているエポキシ樹脂硬化剤の中で前述のポリアミン以外のものを用いることができる。例えば、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート類、ブロックイソシアネート等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂の硬化剤は単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。また、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物に対するエポキシ樹脂の硬化剤の配合割合は、一般的にエポキシ樹脂の主剤と硬化剤として用いられる場合の配合割合と同じとすることができる。
エポキシ樹脂の硬化剤の含有量は、上記のとおり、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンとエポキシ樹脂の硬化剤の合計含量が封止材組成物及び封止材中に5〜50質量%となることが好ましい。5質量%未満では、封止材組成物が所定の定形性を有することができないおそれがある。一方、50質量%を超えると、封止材が硬くなりすぎるおそれがある。また、相対的に光硬化成分である液状ジエン系ゴムの含有量が少なくなるため、密着性が低下するおそれがある。
エポキシ樹脂の硬化剤以外にも本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種添加剤を適宜配合することができる。例えば、シランカップリング剤、重合禁止剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリイソプレン又はポリブタジエン等の可塑剤、粘着付与剤、硬化促進剤等が挙げられる。例えばエポキシ基と反応する官能基が酸無水物基である場合は、反応を促進するために前記硬化促進剤として、三級アミンを含むクレイを添加することが好ましい。また、例えば、シリカ、クレイ等の絶縁性フィラー、導電性フィラー、軟磁性体フィラー及び熱伝導性フィラーなど種々の充填剤により、用途に応じた機能を付与することもできる。
(2)第2実施形態:
第2実施形態としての封止材組成物は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤とを必須成分として含んでおり、ポリアミンを含まないものである。これらの原材料については第1実施形態で説明したものと同じである。任意成分についても第1実施形態と同じであり、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤を含むことができる。
第2実施形態の封止材組成物でもエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物は主に、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムとの反応生成物として含有される。こうした反応生成物を含有することで、定形性に優れた耐熱性のある封止材組成物とすることができる。より具体的には、動的粘弾性測定の温度特性について、貯蔵弾性率の温度変化の小さい封止材組成物を得ることができる。
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の含有量は、封止材組成物及び封止材中に5〜50質量%含まれることが好ましい。5質量%未満では、封止材組成物が所定の定形性を有することができないおそれがある。一方、50質量%を超えると、封止材が硬くなりすぎるおそれがある。また、相対的に光硬化成分である液状ジエン系ゴムの含有量が少なくなるため、密着性が低下するおそれがある。なお、任意成分としての後述のエポキシ樹脂の硬化剤をさらに含む場合には、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とこのエポキシ樹脂の硬化剤を合わせた含有量が封止材組成物及び封止材中に5〜50質量%含まれることが好ましい。その理由は前記同様である。
また、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物100質量部に対して、液状ジエン系ゴムの配合量は100〜2600質量部であることが好ましく、400〜1600質量部であることがより好ましい。液状ジエン系ゴムが100質量部未満である場合には、封止材組成物及び封止材が硬くなるおそれがある。また、封止材の密着性が低下するおそれがある。一方、液状ジエン系ゴムが2600質量部を超えると、封止材組成物の定形性が損なわれ、貼着作業が難しくなるなど取扱い性が損なわれるおそれがある。
本実施形態の封止材組成物はポリアミンを含まないため、保管安定性の向上を図ることができる。また、ポリアミンとエポキシ基の反応による架橋を含まないため硬化して封止材とした際の柔軟性及び伸縮性の向上を図ることができる。さらに封止材組成物の取扱い性に優れる。
(3)第3実施形態:
第3実施形態としての封止材組成物は、ポリアミンと、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムと、光重合開始剤とを必須成分として含んでおり、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を含まないものである。これらの原材料については第1実施形態で説明したものと同じである。任意成分については第1実施形態と同じとすることができるが、エポキシ樹脂の硬化剤を含ませても反応の対象となるエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を含まないため、エポキシ樹脂の硬化剤を含有させたことによる特徴は出にくい。
第3実施形態の封止材組成物でもポリアミンは主に、ポリアミンと液状ジエン系ゴムとの反応生成物として含有される。こうした反応生成物を含有することで、熱可塑性に優れた封止材組成物とすることができる。具体的には、封止材組成物の温度特性について、動的粘弾性測定で測定される貯蔵弾性率が、温度が高くなるにしたがって著しく低下する封止材組成物を得ることができる。すなわち、温度が高くなると柔軟性を増す封止材組成物を得ることができる。こうした封止材組成物は、被着対象が微細な凹凸を有するとき、補助的に加熱することで凹凸の隅々まで封止材組成物を密着させることができる。
ポリアミンの含有量は、封止材組成物及び封止材中に5〜50質量%含まれることが好ましい。5質量%未満では、封止材組成物が所定の定形性を有することができないおそれがある。一方、50質量%を超えると、封止材が硬くなりすぎるおそれがある。また、相対的に光硬化成分である液状ジエン系ゴムの含有量が少なくなるため、密着性が低下するおそれがある。
また、ポリアミン100質量部に対して、液状ジエン系ゴムの配合量は100〜2000質量部であることが好ましく、400〜1600質量部であることがより好ましい。液状ジエン系ゴムが100質量部未満である場合には、封止材組成物及び封止材が硬くなるおそれがある。また、封止材の密着性が低下するおそれがある。一方、液状ジエン系ゴムが2000質量部を超えると、封止材組成物の定形性が損なわれ、貼着作業が難しくなるなど取扱い性が損なわれるおそれがある。
<封止材組成物の製造>
第1実施形態〜第3実施形態の何れの封止材組成物を製造する場合にも、それぞれの実施形態で用いる原材料である液状組成物(以下単に「液状組成物」)を準備する。そして、この液状組成物を加熱する。
第1実施形態の封止材組成物の場合は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムとの反応生成物が生じ、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物であるエポキシ樹脂硬化体が生じる。さらにエポキシ樹脂の硬化剤を含むときには、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とエポキシ樹脂の硬化剤の反応生成物であるエポキシ樹脂硬化体が生じる。そして、これらの反応により液状組成物は固化し、固体の封止材組成物が得られる。
第2実施形態の封止材組成物の場合は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムとの反応生成物が生じる。さらにエポキシ樹脂の硬化剤を含むときには、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とエポキシ樹脂の硬化剤の反応生成物であるエポキシ樹脂硬化体が生じる。そして、これらの反応により液状組成物は固化し、固体の封止材組成物が得られる。
第3実施形態の封止材組成物の場合は、ポリアミンと液状ジエン系ゴムとの反応生成物が生じる。そして、この反応により液状組成物は固化し、固体の封止材組成物が得られる。
<封止材組成物の性質>
第1実施形態〜第3実施形態の何れの封止材組成物も所定の定形性を有している。そのため、封止対象に貼着したとき、目的とする範囲内に確実に貼着することでき、所定の範囲外に流れ出てしまうおそれがない。また、これらの封止材組成物は、23℃における貯蔵弾性率E’を0.004〜0.75MPaの範囲とすることができる。貯蔵弾性率E’を0.004〜0.75MPaとすることで、極めて柔軟であることから、封止材組成物を加圧して電子基板に密着させるときに、電子基板に過大な応力を与えることのない低い荷重で電子素子の凹凸に柔軟に追従させることができる。したがって、電子基板に負荷をかけずに、電子基板との間に隙間なく密着させて確実に封止することができる。0.004MPaより低い場合には、封止材組成物の強度が弱く、凹凸のある封止対象に貼付したとき、凹凸に沿って伸ばされた部分で破断し易くなるおそれがある。一方、0.75MPaを超えると必要以上に硬くなり、封止材組成物を封止対象に貼付するとき、大きな圧力が必要となるおそれがある。また、貯蔵弾性率E’は0.01〜0.60MPaの範囲とすることが好ましい。貯蔵弾性率E’が0.01以上であれば、封止材組成物を剥離フィルムから剥すときに変形し難く、貼着作業等の取扱い性に優れるためである。貯蔵弾性率E’が0.60以下であれば、電子基板への負荷を極めて小さくすることができるためである。なお、電子基板には、樹脂基板、フレキシブル基板、伸長基板等が含まれる。
封止材組成物は、粘着性を有していても良いし、有していなくても良いが、所定の粘着性を有していることが好ましい。封止材組成物が粘着性を有している方が、被着対象に封止材組成物を配置した後に、振動及び衝撃によって位置ずれせず、貼着、封止作業がし易いためである。粘着力は必ずしも強い必要性はないが、被着対象に封止材組成物を配置した後に、振動及び衝撃によって位置ずれしない程度の粘着性を有していることが好ましい。具体的には、封止材組成物の厚みの25%の高さの突起を備える基板に封止材組成物を貼着して密着させた後に、30秒程度隙間を生じさせない程度の粘着性を備えることが好ましい。
より具体的には、封止材組成物の厚みは0.2〜2.0mmであることが好ましい。0.2mm未満では封止材組成物の取扱いが難しい場合がある。一方で2.0mmを超えると封止材組成物の深部まで紫外線が充分に透過せず、硬化が不十分となるおそれがある。また、本発明の封止材は柔軟であることから、封止材組成物の厚みを0.5〜2.0mmとすると、電子素子を衝撃から保護する緩衝効果が高まるため好ましい。
封止材組成物は、ある程度の透明性を有することが好ましい。封止材組成物がある程度白濁していても硬化可能であるものの、透明性が大きく損なわれると、封止材組成物を光硬化させるときに深部の硬化性が損なわれるおそれがある。
<封止材の製造>
第1実施形態から第3実施形態の封止材組成物を光硬化させることで第1実施形態から第3実施形態それぞれの封止材を製造できる。より具体的には、封止材組成物を電子基板等に設けた電子素子及び金属が露出した部分に貼付して電子素子などの被着体を覆った後、光照射により、液状ジエン系ゴムを光ラジカル重合反応によって硬化させることで封止材とすることができる。このとき封止材組成物が粘着力を有している場合には、被着体に治具等で圧力をかけて封止材を押し潰しながら被着体の凹凸へ密着させる。その後に治具を持ち上げ、速やかに光を照射することで、被着体に封止材組成物が密着した状態のまま硬化させることができる。一方、封止材組成物が粘着力を有していない場合には、光透過性の治具を用いて、封止材を押し潰しながら被着体の凹凸へ密着させる。そして、この状態のまま、治具を介して光を照射することで、被着体に封止材組成物が密着した状態のまま硬化させることができる。なお、光透過性の治具としては、例えばアクリル樹脂、ガラス、サファイアなど、使用する波長の光を透過する材料を用いることができる。また、粘着性を有している封止材組成物について、粘着性を有していない封止材組成物と同様の方法を採用しても良い。
<封止材の性質>
第1実施形態から第3実施形態の封止材組成物を光照射して硬化させて形成した第1実施形態から第3実施形態の何れの封止材も、柔軟なゴム状弾性体でありフレキシブル基板に追従できる柔軟性を有している。具体的には動的粘弾性測定装置で測定される23℃における貯蔵弾性率E’を0.5〜10MPaの範囲とすることができ、0.7〜5.4MPaとすることが好ましい。こうした範囲としたため、フレキシブルに変形する用途に用いても、剥がれ又は破損のおそれがなく、封止対象を確実に封止することができる。貯蔵弾性率E’が0.5MPa未満の場合には、封止材の強度が小さくなるおそれがあり、貯蔵弾性率E’が10MPaを超えると、フレキシブル性が要求される用途に適さなくなるおそれがある。また、0.7〜5.4MPaとすれば、強度が大きくフレキシブル性にも優れた封止材とすることができる。
封止材はまた、所定の接着性を有していると共にJIS C0920に規定されたIPX7を満たす防水性能を有している。したがって、封止対象を確実に水から保護できる。
さらに、上記封止材の水蒸気透過度は50g/m・24h以下である。したがって、高湿度環境下においても、封止対象を水分から保護できる。
封止材組成物に定形性と柔軟性があるため、凹凸のある電子基板に比較的小さな荷重で封止材組成物を押しつけることで密着し、電子基板の凹部へしみ込ませ易い。また、封止材の貯蔵弾性率が小さく柔軟であることから、電子基板の凹凸を埋めた状態で硬化されたものであっても残留応力が残りにくく、長期にわたって安定して電子素子の封止が可能である。
例えば、ゴム状ではなく、一度加熱して軟化又は溶融させる従来タイプのシート状封止材では、ゴム弾性に乏しく、軟化又は溶融状態で伸長できたとしても特に高さが高い電子素子の表面に追従させようとすると千切れるおそれが高かったのに対し、本発明の封止材組成物は、400%程度の伸長も可能である場合が多く、千切れ難く高さが高い電子素子を容易に覆うことができる。
封止材の厚さTに対して電子素子の高さTを低く(T>T)し、電子素子の凹凸を封止材で埋めて表面を略平滑とすれば、複数の高さの異なる電子素子を有する電子基板であっても、その表面が平滑であるため、これらの電子素子を外気から隔離して封止するだけでなく、安定的に保持することもできる。また、封止材の厚さTに対して電子素子の高さTを高く(T≦T)し、電子素子の外面に沿って封止材を密着させれば、複数の高さの異なる電子素子を有する電子基板であっても、封止材が少なくともその側面を覆うため、これらの電子素子を安定的に保持することができる。
実施例に基づき本発明を説明する。次に説明する試料1〜試料26を作製するとともに各種試験を行った。
<試料の作製>
試料1となる封止材組成物及び封止材を作製した。具体的にはエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物として、柔軟骨格を有する液状エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「EP−4000S」)(以下、エポキシ樹脂1)を41.3質量部、ポリアミンとして変性脂肪族ポリアミン(株式会社ADEKA製「EH−4357S」)(以下、ポリアミン1)を15.9質量部、液状ジエン系ゴムとして、カルボキシル基とメタクリロイル基を有する液状ポリイソプレンゴム(30Pa・s、38℃、分子量17000、官能基数 カルボキシル基:2、メタクリロイル基:2)(以下、液状ジエン系ゴム1)を42.8質量部と、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを1.3質量部と、を混合して、均一な液状組成物を得た。
次に、この液状組成物を厚さ1.0mmとなるように一対の剥離フィルムの間に挟み込んだ状態で120℃、60分加熱することで、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物等を反応させ、シート状の封止材組成物を作製しこれを試料1の封止材組成物とした。
そして、この封止材組成物の一方面の剥離フィルムを剥して、露出した封止材組成物の表面を、厚さ1mmのエポキシ樹脂基板に貼付けてから、平坦な押板で圧力0.3MPaで5秒間加圧した。その後、照度600mW/cm、積算光量5000mJ/cmの条件で紫外線を照射して封止材を作製し、これを試料1の封止材とした。
試料2〜試料26の封止材組成物及び封止材についても、試料1の各原料と配合を表に示した各原料と配合量に変更した以外は同じ条件で作製した。なお、各試料の配合については、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンと液状ジエン系ゴムの合計を100質量部として、各原料の質量部数を記載している。
Figure 0006653801
Figure 0006653801
Figure 0006653801
Figure 0006653801
表に示す各原料は次のとおりである。
エポキシ樹脂2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社「EPICLON EXA−835LV」)
エポキシ樹脂3:エポキシ基を2個以上有し、柔軟骨格を有する液状エポキシ樹脂(DIC株式会社「EXA−4850−150」)
ポリアミン2:エポキシアミンアダクト(味の素ファインテクノ株式会社「アミキュアMY−24」)
液状ジエン系ゴム2:(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基に対する反応性基の何れも有しない液状ポリイソプレンゴム(70Pa・s、38℃、分子量28000、官能基なし)
液状ジエン系ゴム3:(メタ)アクリロイル基を有さず酸無水物基を有する液状ポリイソプレンゴム(200Pa・s、38℃、分子量34000、官能基数3=酸無水物基数3)
液状ジエン系ゴム4:(メタ)アクリロイル基を有さずカルボキシル基を有する液状ポリイソプレンゴム(430Pa・s、38℃、分子量30000、官能基数10=カルボキシル基数10)
液状ジエン系ゴム5:メタクリロイル基を有し、エポキシ基に対する反応性基を有しない液状ポリブタジエンゴム(100Pa・s、38℃、分子量4000、官能基数2=メタクリロイル基数2)
<試験方法及び試験結果>
上記各試料の封止材組成物及び封止材については以下に示す種々の観点から試験し、観察し、評価した。
(1)封止材組成物の定形性:
定形性については、剥離フィルム上に液状組成物を塗布して硬化することで形成した封止材組成物を、この剥離フィルムから引き剥がした際の封止材組成物の状態から評価することができる。ここでは封止材組成物を、形状を保ったまま剥がすことができたものを「○」とし、また、剥がすことができるものの伸びてしまうなど変形してしまうものを「△」とした。一方、固形に固まらず、封止材組成物が剥離フィルムから流れ出てしまったもの及び凝集力が極めて弱く、剥離フィルムから封止材組成物を剥すことが困難なものを「×」とした。「○」又は「△」のものは、封止材組成物として利用可能であり定形性を備えるものと評価できる。一方、「×」のものは、封止対象の所定の範囲内に貼着することが困難であったり、所定の範囲外に流れ出てしまったりするおそれがあり、定形性を備えるものではない。試料1〜26の封止材組成物の評価結果について表に示した。
(2)封止材組成物の貯蔵弾性率:
封止材組成物を幅5.0mm×長さ30.0mm(厚さは1.0mm)の大きさに切り出して測定用試験片を準備し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製「DMS6100」)を用いて、チャック間距離8mm、周波数1Hz、引張モードにて貯蔵弾性率E’を測定した。測定温度を23℃、60℃、120℃の3条件で測定することで、封止材組成物の温度特性を評価することができる。上記条件で測定した貯蔵弾性率は、0.1〜0.6MPaの範囲となることが好ましい。試料1〜26の封止材組成物の貯蔵弾性率の値について表に示した。
(3)封止材組成物の粘着性:
封止材組成物の厚みの25%の高さの突起を備える基板に封止材組成物を貼着して密着させた後に、30秒間隙間を生じさせない粘着性を備えるものを「〇」、そうした粘着性を備えないものを「×」と評価した。その評価結果について表に示した。
(4)封止材組成物のゲル分率:
所定重量W1の封止材組成物をトルエン中に常温で24時間放置した後にトルエンに溶けなかった封止材組成物を取り出し、封止材組成物中に含まれるトルエンを蒸発させた後の重量W2を測定した。封止材組成物の初期重量W1に対するトルエン不溶成分の重量W2の割合をゲル分率と定義する。
ゲル分率(%)= W2/W1 × 100
W1:試験前の封止材組成物の重量
W2:試験後の封止材組成物の重量
封止材組成物中に含まれる成分のうち、不溶成分としては3次元的に架橋したエポキシ樹脂硬化体及び反応生成物を挙げることができる。一方、トルエンへの溶出成分としては、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、ポリアミン、液状ジエン系ゴムの他に、弱い相互作用で結合している反応生成物、3次元的に架橋していない反応生成物(以下、溶出性反応生成物)を挙げることができる。したがって、ゲル分率が小さいとき、その封止材組成物には、少なくともエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、ポリアミン、液状ジエン系ゴム、溶出性反応生成物の何れかが含まる。また、ゲル分率が100%のとき、こうした溶出性物が残存していないことがわかる。
ところで、ポリアミンと液状ジエン系ゴムとで構成される封止材組成物は、上記ゲル分率が小さくなることがある。このことは、ポリアミンと液状ジエン系ゴムの反応生成物は、弱い相互作用による反応生成物の形成か、又はトルエン中で構造を保つことができるほど十分な3次元構造を有しない反応生成物の形成によって固化しているものと考えられる。ここで、官能基として、ポリアミンのアミノ基と液状ジエン系ゴムのカルボキシル基の相互作用を考えると、酸塩基相互作用が働くことが予想される。一方、ポリアミンのアミノ基と液状ジエン系ゴムの(メタ)アクリロイル基が反応する場合には、共有結合による反応生成物を形成するものと考えられる。試料1〜26の封止材組成物のゲル分率(%)について表に示した。
(5)封止材組成物の機械的強度(引張り試験):
封止材組成物の機械的強度については、JIS K 6251に従い最大引張応力(引張強さともいう)及び切断時伸び(引張破断伸びともいう)、100%伸び引張応力を測定した。まず、シート状の封止材組成物を、抜き型を用いてダンベル状1号形に切断し、ダンベル状試料の棒状部に、10mmの間隔を空けて2本の標線を付した。次に、試料の両端部に一定条件下で引張力を加え、試料が破断するまでの最大引張力、及び標線間の伸びを測定した。また、標線の伸びが100%(すなわち標線間が初期の2倍となった状態)になったときの引張力を測定した。そして、それぞれ下記式(1)、式(2)、式(3)に適用して最大引張応力、切断時伸び、100%伸び引張応力を算出した。これらの値を表に示した。
TS=F/S ・・・式(1)
=(L−L)/L×100 ・・・式(2)
TS100=F100/S ・・・式(3)
TS:最大引張応力(MPa)
:最大引張力(N)
S:試験片の初期断面積(mm
:切断時伸び(%)
:初期の標線間距離(mm)
:破断時の標線間距離(mm)
TS100:100%伸び引張応力(MPa)
100:100%伸び引張力(N)
(6)封止材の硬化性(貯蔵弾性率):
封止材組成物に光照射して形成した封止材の硬化の程度については、硬化に伴う硬さの変化が生じるため、貯蔵弾性率の変化で硬化の程度を評価した。貯蔵弾性率E’の測定は、封止材を幅5.0mm×長さ30.0mm(厚さは1.0mm)の大きさに切り出して測定用試験片を準備し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製「DMS6100」)を用いて、チャック間距離8mm、周波数1Hz、測定温度が23℃、引張モードにて行った。貯蔵弾性率は、封止材組成物では概ね0.01〜0.60MPaとなるのに対して封止材の貯蔵弾性率は0.5〜10MPaの範囲となるが、このときの貯蔵弾性率の変化率が少なくとも200%以上であることが好ましい。したがって、貯蔵弾性率の変化率が200%以上のものを「○」、200%未満のものを「×」と評価した。この評価結果と、封止材組成物から封止材に硬化する前後の貯蔵弾性率の変化の値を表に示した。
硬化性の別の評価方法として表面に粘着性を有する封止材組成物については、その粘着力が消失することで、粘着力を発現している液状ジエン系ゴムが反応して充分に硬化したものと判断することができる。
(7)封止材の防水性(浸水試験):
封止材の防水性については、JIS C0920に規定されたIPX7規格の試験で評価した。具体的には、厚さ1mmのエポキシ樹脂基板に、5mm×5mmの水没検知シールを貼り、さらにその水没検知シールを覆うように10mm×10mm×1mmの封止材組成物を貼着してから紫外線を照射することで、エポキシ樹脂基板上の水没検知シールが封止材で被覆された試験片を作製した。この試験片を水深1mの水底に静止状態で30分置いた後に取り出し、水没検知シールが水を検知したか否かで評価した。水を検知しなかった場合を「〇」、水を検知した場合を「×」と評価した。この評価結果を表に示した。
(8)封止材の接着性:
封止材は、必ずしも強い接着力は必要ないが、防水性を損なわない程度の接着力を備える必要がある。ここでは、前記IPX7の試験後の接着状態を確認し、試験後においても封止材が接着していたものを「○」、試験後に封止材が剥がれてしまったものを「×」と評価した。その評価結果を表に示した。
(9)封止材の水蒸気透過度:
封止材は、液状の水を遮断するだけに留まらず、気体の水、すなわち水蒸気をも遮断できることが好ましい。この水蒸気の透過度については、JIS Z0208に規定されたカップ法で評価することができ、その水蒸気透過度は50g/m・24h以下とすることが好ましい。この水蒸気透過度試験は、厚さ1mmの封止材でなる試験片を作製して40℃、90%RHの条件で水蒸気透過度を測定することで行った。その測定値を表に示した。
<考 察>
試料1〜6は、エポキシ樹脂1とポリアミン1の比を一定にした合計質量と、液状ジエン系ゴム1の質量との比を変化させた試料である。これらの試料について見ると、試料1〜試料4は定形性に優れているが、試料5の定形性は利用できる範囲にあるがやや悪化している。これは封止材組成物中で未反応となる液状ジエン系ゴムの割合が増えたこと及び反応生成物の架橋密度が低くなったことで定形性が悪化したものと思われる。このことから、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンと液状ジエン系ゴムの合計量に対する液状ジエン系ゴムの割合は、95.3質量%以下であれば使用可能な程度の定形性を有し、94.2質量%以下であれば定形性が良いことがわかった。一方、液状ジエン系ゴムの割合が35.0質量%と少ない試料6では、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンと液状ジエン系ゴムを混合したとき、均一な液状組成物を得ることができず、加熱した後も一部の成分が液状のまま流れ出る状態であり、定形性が「×」であったことから、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンと液状ジエン系ゴムの合計量に対する液状ジエン系ゴムの割合は、35質量%を超えることが必要であり、試料1の結果から42.8質量%以上含めば定形性に優れることが確認できた。
試料1〜5について、23℃における封止材組成物の貯蔵弾性率が0.004〜0.75で、柔軟性にすぐれる封止材組成物であり、表面は粘着性を有しているものであった。ここで、液状ジエン系ゴムの割合が増えるほど貯蔵弾性率が低下する傾向が見られた。また、各試料について貯蔵弾性率の温度依存性はほとんど見られず、加熱した場合であっても、溶け出すことはなかった。
また、試料1〜5の封止材組成物のゲル分率は69.2〜79.7%の範囲であった。ゲル分率の測定では未反応の液状ジエン系ゴムがトルエンに溶け出すため、反応してトルエンに不溶になった成分の存在が示唆される。前記ゲル分率からは、配合した液状ジエン系ゴムの半分以上が、なんらかの反応生成物を形成しており、貯蔵弾性率の温度依存性の結果から、エポキシ化合物のエポキシ基と液状ジエン系ゴムのカルボキシル基が反応して反応生成物を形成していることが示唆された。
試料1〜5の封止材組成物の切断時伸びは186〜512%であり、伸び易く破れにくい性質を有するものだった。特に液状ジエン系ゴムの割合が50.0〜94.2%のとき、切断時伸びが200%以上且つ最大引張応力が0.1MPa以上となるため、伸びに対する応力と千切れ難さのバランスに優れるものであった。
試料1〜5について、各封止材組成物は光硬化性にも優れるものであった。硬化後の封止材の貯蔵弾性率は0.8〜5.4MPaであった。この中で、特に液状ジエン系ゴムの割合が50.0%以上のものは貯蔵弾性率が4MPa以下であり、柔軟な封止材となった。また、液状ジエン系ゴム割合が88.9%以下のものは貯蔵弾性率が1MPa以上となり、ある程度の剛性を備えることがわかった。また、各試料は浸水試験の結果も良好であり、所定の接着力を有していた。また、何れも水蒸気透過度が20g/m・24h以下となり、所定の低透湿性を備えることがわかった。
試料7は、液状ジエン系ゴムを配合しなかったものであり、加熱後に硬化したものの、極度に硬く、柔軟性に乏しい硬化物が得られた。この試料7については、粘着性、光硬化性を有しなかった。
試料8は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物及びポリアミンを配合しなかったものであり、定形性を有する封止材組成物が得られなかった。したがって、封止材組成物に関する試験を実施できなかった。一方、紫外線を照射したのちは固形となり、封止材としての試験は実施することができた。
試料9及び試料10は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの配合量を変化させた試料である。試料1〜6では、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの配合量は、エポキシ当量と活性水素当量が1:1となる配合としていたが、試料9はエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物が過剰、試料10はポリアミンが過剰となる配合とした。試料9及び試料10は、何れも封止材組成物及び封止材として所定の性質を有していた。
試料11は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物として、柔軟骨格を有しないビスフェノールFエポキシ樹脂を用いた試料である。試料11についても、試料3及び試料4とほぼ同等の試験結果であり、液状ジエン系ゴムの割合が高い場合には、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の種類を変えても、似た性質の封止材組成物及び封止材が得られることがわかった。
試料12及び試料13は、ポリアミンを配合しなかったことが特徴の試料である。すなわち、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムを主体とする液状組成物を調製し、これを加熱して封止材組成物を形成した試料である。
試料12及び試料13の封止材組成物は、何れも定形性を有していた。このことから、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物は、必ずしもポリアミン及びエポキシ樹脂の硬化剤と反応してマトリクスを形成しているわけではなく、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と液状ジエン系ゴムの反応生成物によっても、固化して定形性を与えることがわかった。また、このことは、後述の試料の試験結果から、エポキシ化合物のエポキシ基と液状ジエン系ゴムのカルボキシル基の反応によるものであることが示唆された。
試料12及び試料13の封止材組成物は、何れも試料3及び4と同等の性質を有しており貯蔵弾性率の温度依存性が小さいことも同じであった。試料12及び試料13の封止材についても、試料3及び試料4と同等の性質を有しており、ポリアミンを配合しない場合であっても、所定の封止材組成物及び封止材が得られることがわかった。
試料14及び試料15は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を配合しなかったことが特徴の試料である。すなわち、ポリアミンと液状ジエン系ゴムを主体とする液状組成物を調製し、これを加熱して封止材組成物を形成した試料である。試料14及び試料15は、何れも定形性を有していた。このことから、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を含まない場合であっても、ポリアミンと液状ジエン系ゴムの反応生成物によって固化し、定形性を備えることがわかった。
試料14及び試料15の封止材組成物は、23℃における貯蔵弾性率は比較的大きいものの、これまでの試料と異なり、貯蔵弾性率の温度依存性が大きいことが判明した。すなわち、加熱により貯蔵弾性率が大きく低下するのである。具体的には、60℃の貯蔵弾性率の値は23℃にくらべて試料14では4.3%、試料15では41%である。また、120℃の貯蔵弾性率は23℃にくらべて試料14では計算不能(少なくとも4.3%未満)、試料15では5.1%である。こうした試料は、加熱することで、より細かい凹凸へ追従させることができる点で優れる。このことは、ポリアミンと液状ジエン系ゴムは、3次元的な架橋構造の他に、トルエンの影響で乖離する弱い結合で相互作用した反応生成物を形成している可能性が示唆された。こうした反応としては、カルボキシル基とアミノ基の酸塩基相互作用及び(メタ)アクリロイル基とアミノ基の反応が考えられる。また、試料14及び試料15について、試料14のゲル分率は0%、試料15のゲル分率は82%と大きな差が生じたが、何れの試料も貯蔵弾性率の温度依存性は大きい結果だった。したがって、ポリアミンを主体として配合した場合には、得られた封止材組成物は、ゲル分率によらず、加熱により貯蔵弾性率を大きく低下させることができることがわかった。
一方、上記試料14及び試料15の封止材については、水蒸気透過率がやや高いものの、試料3及び試料4と同等の性質を有しており、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を配合しない場合であっても、封止材の性質は大きく変わらないことがわかった。
試料16から試料19は、液状ジエン系ゴムの種類を変更した試料である。具体的には、試料16は官能基を有しない液状ジエン系ゴムを用いた。試料17は酸無水物基を有し(メタ)アクリロイル基を有しない液状ジエン系ゴムを用いた。試料18は、カルボキシル基を有し(メタ)アクリロイル基を有しない液状ジエン系ゴムを用いた。試料19はカルボキシル基を有さず(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムを用いたものである。
これらの試料について封止材組成物の定形性に注目すると、試料18は「○」、試料17は「△」であった。一方、残余の試料は定形性が「×」だった。このことから、定形性を備えるためには、カルボキシル基が大きな役割を果たしていることがわかった。また、カルボキシル基は無水物になると定形性を高める効果が大きく低下するものの、無水物の化合物であっても定形性を与える効果がやや残っていることがわかった。
一方、封止材の光硬化性についても見ると(メタ)アクリロイル基を有する試料19は光硬化性が「○」だったが、残余の試料は光硬化性を有しないものだった。
以上の評価結果より、液状ジエン系ゴムは、カルボキシル基及び(メタ)アクリロイル基の両方を備えることが必要であることがわかった。
試料20〜試料22もまた試料12及び試料13と同様に、ポリアミンを配合しなかったことを特徴としながら、エポキシ樹脂と液状ジエン系ゴムの配合量を変えた試料であり、これらの何れも定形性を有していた。しかしながら、試料22では定形性が「△」となったことから液状ジエン系ゴムの割合は96.2よりも少ない方が好ましいことがわかった。
試料23及び試料24は、試料12,13,20〜22に加えて、(メタ)アクリロイル基を含まずエポキシ基と反応する官能基(カルボキシル基、酸無水物基、水酸基など)を含むジエン系ゴムを配合したものである。試料23及び試料24の封止材組成物は、切断伸びが200%以上且つ最大引張応力が0.2MPa以上となるため、非常に取扱い性に優れるとともに伸長による破断が生じ難いことがわかった。また、この試料23及び試料24の封止材についても柔軟性と伸縮性に優れていた。
試料25と試料26は、カルボキシル基を有する液状ポリイソプレンゴムと、メタクリロイル基を有する液状ポリブタジエンゴムを用いた試料であり、両試料とも定形性は「△」であり、その他の試験の結果は「○」であった。

Claims (13)

  1. エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムとエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物と、光重合開始剤と、を含み、
    前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物及び前記ポリアミンの合計100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムの配合量は100〜2000質量部であり、定形性を備える封止材組成物。
  2. 前記エポキシ基に対する反応性基がカルボキシル基であり、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とポリアミンの反応生成物と、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物と、(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとポリアミンの反応生成物と、光重合開始剤と、を含み定形性を備える請求項1記載の封止材組成物。
  3. エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物とエポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムの反応生成物と、光重合開始剤と、を含み、ポリアミンの反応生成物を含まず、
    前記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムの配合量は100〜2600質量部であり、定形性を備える封止材組成物。
  4. 前記エポキシ基に対する反応性基がカルボキシル基である請求項3記載の封止材組成物。
  5. (メタ)アクリロイル基を有せずエポキシ基に対する反応性基を有する液状ジエン系ゴムをさらに含む請求項1〜請求項何れか1項記載の封止材組成物。
  6. エポキシ基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基を有する液状ジエン系ゴムが、(メタ)アクリロイル基を有しエポキシ基に対する反応性基を有しない第1の液状ジエン系ゴムと、エポキシ基に対する反応性基を有し(メタ)アクリロイル基を有しない第2の液状ジエン系ゴムの混合物である請求項1〜請求項何れか1項記載の封止材組成物。
  7. (メタ)アクリロイル基とカルボキシル基を有する液状ジエン系ゴムとポリアミンの反応生成物と、光重合開始剤と、を含み、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の反応生成物を含まず、
    前記ポリアミン100質量部に対して、前記液状ジエン系ゴムの配合量は100〜2000質量部であり、定形性を備える封止材組成物。
  8. 請求項1〜請求項何れか1項記載の封止材組成物の光硬化体である封止材。
  9. 貯蔵弾性率が0.7〜5.4MPaである請求項記載の封止材。
  10. 請求項又は請求項記載の封止材で電子素子が封止された電子基板。
  11. 封止材の厚さTに対する前記電子素子の高さTが、T>Tであるとともに、前記電子素子の凹凸を埋めた封止材表面が略平滑である請求項10記載の電子基板。
  12. 封止材の厚さTに対する前記電子素子の高さTが、T≦Tであるとともに、前記電子素子の外面に沿って前記封止材が密着している請求項10記載の電子基板。
  13. 貯蔵弾性率が0.7〜50MPaであるフレキシブル基材を備える請求項10〜請求項12何れか1項記載の電子基板。
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