JP2021024118A - 防食積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材上に、容易にかつ安全にエポキシ樹脂系防食層を形成可能であり、密着性、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる防食層を形成できる防食積層体を提供すること。【解決手段】シリコーン樹脂系粘着層(X)と、エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された防食層(Y)とを有する、防食積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、防食積層体および防食被膜付き基材の製造方法に関する。
防食塗料組成物や防汚塗料組成物は、多くの場合、構造物などを製造する現場で塗装されている(以下「現場塗装」ともいう。)。これらの塗料組成物は、塗装のために、多量の揮発性有機化合物(VOC)を含有していることが多く、このVOCによる塗装環境や塗装作業者等への悪影響が懸念されている。また、現場塗装では、塗布した塗料組成物を加熱等することが容易ではないため、塗料組成物によっては、塗膜が形成できるまでの時間が長くなる場合や、所望の物性を有する塗膜を得ることができない場合があった。
さらに、大型構造物などに塗料組成物を塗装する際には、その作業性の点から、スプレー塗装が採用されることが多い。一方、塗装時のスプレー飛沫が、他の塗料組成物に混入したり、塗装対象面とは異なる面に付着したりすることなどによって、他の塗料組成物を塗装する際に、付着不良等の問題を生じる場合もあった。
このような問題を解決するための一方法として、単に貼着するだけで、基材上に防食層および/または防汚層を形成できる、貼着シートが検討されている。
例えば、特許文献1では、離型性シート上に、粘着剤層、ベースシート層、シリコーン系プライマー層および反応硬化形シリコーン樹脂含有防汚塗料の硬化被膜層を順次積層してなる防汚性貼着シートが開示されている。
特開平6−033024号公報
従来、船舶や鋼構造物、特に、過酷な腐食環境である船舶や海洋構造物に塗装する防食塗料組成物として、防食性、耐水性、耐薬品性などに優れているエポキシ樹脂系塗料組成物が使用され、特に優れた防食性を有する防食塗膜を形成できるため、エポキシ樹脂とアミン硬化剤とを反応させるエポキシ樹脂系塗料組成物が広く使用されている。
このようなエポキシ樹脂系塗料組成物は、低温下では硬化しにくい。このため、所望の防食層を基材上に容易に形成することを目的とし、また、現場塗装における前記問題を解決することを目的とし、エポキシ樹脂系防食層を有する貼着シートを用いることが考えられる。しかしながら、従来のエポキシ樹脂防食塗料組成物からなる塗膜は、前述の防食性および耐水性と、可撓性(高屈曲性、高伸び率)とを両立させることが難しく、粘着層との積層体である貼着シートとすることは困難であった。
本発明は、基材上に、容易にかつ安全にエポキシ樹脂系防食層を形成可能であり、密着性、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる防食層を形成できる防食積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、下記構成例によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成例は、以下の通りである。
[1] シリコーン樹脂系粘着層(X)と、
エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された防食層(Y)と
を有する、防食積層体。
[2] 前記アミン系硬化剤(B)が、モノまたはポリアルキレングリコールのジアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物である、[1]に記載の防食積層体。
[3] 前記防食塗料組成物(y)が、さらに、液状炭化水素樹脂、水酸基含有液状樹脂およびフェノール骨格を有する液状化合物からなる群より選択される1種以上を含む液状化合物(D)を含有する、[1]または[2]に記載の防食積層体。
[4] 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が270以下である、[1]〜[3]の何れかに記載の防食積層体。
[5] 前記防食塗料組成物(y)が、さらにシランカップリング剤を含有する、[1]〜[4]の何れかに記載の防食積層体。
[6] JIS K 7161:2014に準拠して測定した破断伸び率が4〜20%である、[1]〜[5]の何れかに記載の防食積層体。
[7] 離型層と、[1]〜[6]の何れかに記載の防食積層体とを含む、離型層付き防食積層体。
[8] 基材の少なくとも一部の表面に、[1]〜[6]の何れかに記載の防食積層体、または、[7]に記載の離型層付き防食積層体から離型層を剥離した防食積層体を配置固定する工程を含む、防食被膜付き基材の製造方法。
本発明によれば、貼着するだけで基材上に防食層を形成することができるため、現場において、基材上に防食層を容易に形成することができ、防食層を基材上に形成する際には、VOCが揮発することがないため、安全に防食層を形成することができる。
また、防食層を予め形成しているため、所望の均一な物性を有する防食層を基材上に形成でき、密着性、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる防食層を基材上に形成できる。特に、本発明によれば、可撓性に優れる防食積層体が得られるため、角部分や凹凸面などの平面以外の基材に対しても、防食層を容易に形成することができ、また、基材に変形等が生じた場合であっても、スムーズにその変形に追随して、クラックや剥がれ等が生じにくい防食層を基材上に形成することができる。
≪防食積層体≫
本発明に係る防食積層体(以下「本積層体」ともいう。)は、
シリコーン樹脂系粘着層(X)と、
エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された防食層(Y)と
を有する。
<シリコーン樹脂系粘着層(X)>
シリコーン樹脂系粘着層(X)としては、ポリシロキサン構造を有する層であれば特に制限されず、本発明の効果を損なわない範囲で、公知のシリコーンレジンおよび/またはシリコーンゴムを含むシリコーン樹脂系粘着層を採用することができる。
このような粘着層(X)は、耐熱性や耐寒性に優れ、使用可能温度の広さ、防食層(Y)との密着性、および耐水性や耐薬品性に優れる等の点から、シロキサンに有機基が結合したポリオルガノシロキサン、特に、シロキサンに有機基が2つ結合したポリジオルガノシロキサンを含む層であることが好ましい。
粘着層(X)がポリオルガノシロキサンを含有する場合、該ポリオルガノシロキサンは、1種でもよく、2種以上でもよい。
該有機基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基等の炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、密着性、耐久性等の点から、メチル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、反応性等の点から、ビニル基が好ましい。
前記ポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルシロキサンを主な構成単位とするポリオルガノシロキサン、ビニル基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましい。
また、前記ポリオルガノシロキサンは、水酸基等の各種官能基が導入されていてもよく、具体的には、両末端に水酸基を有する樹脂が挙げられる。
粘着層(X)中のポリオルガノシロキサンの含有量は、粘着性、防食層(Y)との密着性、および、凝集力により優れる粘着層を容易に得ることができる等の点から、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%である。
粘着層(X)を形成する材料(粘着剤)としては、一般に、過酸化物硬化型シリコーン樹脂系の粘着剤と、付加反応型シリコーン樹脂系の粘着剤が挙げられる。粘着層(X)を形成する際には、これらの粘着剤を2種以上用いてもよい。
前記過酸化物硬化型シリコーン樹脂系粘着剤は、硬化剤(架橋剤)として、1種または2種以上の過酸化物を含有し、通常、該粘着剤を、硬化(架橋)させて粘着層として使用する。
前記過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化−p−クロロベンゾイル、過酸化−2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチルが挙げられる。
前記粘着剤中の過酸化物の含有量は、ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.5〜2.5質量部である。
また、付加反応硬化型シリコーン樹脂系材料は、硬化剤(架橋剤)として、1種または2種以上の金属触媒および/またはシロキサン系架橋剤を含有し、通常、該粘着剤を、ヒドロシリル化架橋反応させて粘着層として使用する。
前記金属触媒としては、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とケトン類との錯体、塩化白金酸とビニルシロキサン系化合物との錯体、四塩化白金、白金微粉末、白金を担体に担持させたもの、白金黒、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等の白金系触媒、これらの白金系触媒を含む熱可塑性樹脂粉末が挙げられ、これらの中でも、塩化白金酸とビニルシロキサン系化合物との錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体が好ましい。
前記粘着剤中の金属触媒の含有量は、ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.5〜1.5質量部である。
前記シロキサン系架橋剤としては、例えば、分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを好適に用いることができる。
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した有機基としては、アルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられるが、合成および取り扱いが容易なことから、メチル基が好ましい。
なお、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおけるシロキサン骨格の構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
前記粘着剤中のシロキサン系架橋剤の含有量は、ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.3〜10質量部である。
前記粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、充填剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、着色剤(顔料や染料など)、溶剤等の、従来のシリコーン樹脂系粘着剤に用いられてきた添加剤などを含有していてもよい。
粘着層(X)としては、従来公知の方法で合成した粘着剤または市販の粘着剤を用いて層(例:シート)を形成してもよく、市販の粘着シートを用いてもよい。
粘着層(X)の厚さは、粘着力および取扱性に優れる等の点から、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μmである。
<防食層(Y)>
防食層(Y)は、エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された層である。
該防食層(Y)は、粘着層(X)との密着性、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる。
防食層(Y)の厚さは所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる本積層体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは150〜2000m、より好ましくは250〜1000μmである。
組成物(y)は、1成分型の組成物であってもよいが、通常、エポキシ樹脂(A)を含有する主剤成分と、アミン系硬化剤(B)を含有する硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である。また、必要により、主剤成分および硬化剤成分以外のその他の成分を含む3成分型以上の組成物としてもよい。
これら主剤成分、硬化剤成分およびその他の成分は、通常、それぞれ別個の容器にて保存、貯蔵、運搬等され、使用直前に混合して用いられる。
[エポキシ樹脂(A)]
エポキシ樹脂(A)としては特に制限されないが、分子内に2個以上のエポキシ基を含むポリマーまたはオリゴマー、および、そのエポキシ基の開環反応によって生成するポリマーまたはオリゴマーが挙げられる。
組成物(y)に用いるエポキシ樹脂(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、エポキシ化油系エポキシ樹脂が挙げられる。
これらの中でも、粘着層(X)に対する密着性に優れる防食層(Y)を容易に形成できる等の点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、さらにはビスフェノールA型またはビスフェノールF型のエポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂(A)としては、具体的には、例えば、エピクロルヒドリン−ビスフェノールAエポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテルタイプ);エピクロルヒドリン−ビスフェノールADエポキシ樹脂;エピクロルヒドリン−ビスフェノールFエポキシ樹脂;エポキシノボラック樹脂;3,4−エポキシフェノキシ−3',4'−エポキシフェニルカルボキシメタン等から得られる脂環式エポキシ樹脂;エピクロルヒドリン−ビスフェノールAエポキシ樹脂中のベンゼン環に結合している水素原子の少なくとも1つが臭素原子で置換された臭素化エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンと脂肪族2価アルコールとから得られる脂肪族エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンとトリ(ヒドロキシフェニル)メタンとから得られる多官能性エポキシ樹脂が挙げられる。
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(ポリ)プロピレンオキシドジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(ポリ)エチレンオキシドジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA(ポリ)プロピレンオキシドジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA(ポリ)エチレンオキシドジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型ジグリシジルエーテル類などの縮重合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)としては、フィルム成形性、防食性、耐水性および耐薬品性と、可撓性(高屈曲性、高伸び率)とを両立できる防食層(Y)を容易に得ることができる等の点から、常温(15〜25℃の温度、以下同様。)で半固形状のエポキシ樹脂が好ましい。
なお、フィルム成形性とは、組成物(y)の塗装作業性の点で、粘度調整等のために含まれる溶剤含有量が多くなると、防食層(Y)の製造時に発泡やピンホールが生じやすくなる傾向にあるため、防食層(Y)の塗膜欠陥の生じ難さを表すものである。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、前記効果を奏する防食層(Y)を容易に得ることができる等の点から、好ましくは270以下、より好ましくは200〜270、特に好ましくは230〜270である。
なお、前記エポキシ当量の値は、エポキシ樹脂の固形分当たりのエポキシ当量のことをいう。
エポキシ樹脂(A)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したスチレン換算の重量平均分子量は、得られる組成物(y)の塗装硬化条件(例:常乾塗装または焼付け塗装)などにもより一概に決定されないが、好ましくは350〜20,000、より好ましくは450〜1,500である。
なお、組成物(y)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、エポキシ当量が前記範囲にあるエポキシ樹脂と、エポキシ当量が270を超えるエポキシ樹脂とを含有してもよく、重量平均分子量が前記範囲にあるエポキシ樹脂と、重量平均分子量が20,000を超えるエポキシ樹脂とを含有してもよい。
エポキシ樹脂(A)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品を用いてもよい。
該市販品としては、常温(15〜25℃の温度、以下同様。)で液状のものとして、「E−028」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量180〜190、粘度12,000〜15,000mPa・s/25℃)、「jER807」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量160〜175、粘度3,000〜4,500mPa・s/25℃)等が挙げられる。常温で半固形状のものとして、「jER834」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量230〜270)等が挙げられる。常温で固形状のものとして、「jER1001」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500)、「jER1004」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975)、「jER1007」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量1750〜2200)等が挙げられる。
また、前述の半固形状または固形状のエポキシ樹脂を溶剤で希釈し、溶液とした「E−834−85X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(834タイプエポキシ樹脂溶液)、エポキシ当量255)、「E−001−75X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(1001タイプエポキシ樹脂溶液)、エポキシ当量475)、「EPICLON N−740−80X」(DIC(株)製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液)等も使用することができる。
組成物(y)中のエポキシ樹脂(A)の含有量は、防食性、高可撓性および耐クラック性により優れる防食層を得ることができる等の点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
組成物(y)の不揮発分100質量%に対するエポキシ樹脂(A)の含有量は、前記と同様の理由から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
また、組成物(y)が主剤成分と硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である場合、エポキシ樹脂(A)は主剤成分に含まれ、該主剤成分中のエポキシ樹脂(A)の含有量は、前記と同様の理由から、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%である。
なお、組成物(y)の不揮発分(加熱残分)は、以下のようにして算出できる。
JIS K 5601−1−2:2008に従って、組成物(y)(2成分型の組成物の場合、主剤成分と硬化剤成分とを混合した直後の組成物)1±0.1gを平底皿に量り採り、質量既知の針金を使って均一に広げ、23℃で24時間放置後、110℃で1時間、常圧下で乾燥させ、加熱残分および針金の質量を量ることで算出する。
また、本明細書では、主剤成分または硬化剤成分を構成する原材料(例:エポキシ樹脂(A))中、主剤成分、硬化剤成分およびその他の成分中それぞれの溶剤以外の成分を「固形分」という。
[アミン系硬化剤(B)]
アミン系硬化剤(B)は、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であり、より可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる防食層を形成できる等の点から、モノまたはポリアルキレングリコールのジアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であることが好ましい。
組成物(y)に用いるアミン系硬化剤(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
モノまたはポリアルキレングリコールとしては特に制限されないが、アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5であり、ポリアルキレングリコールが好ましく、アルキレングリコール数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。
ジアミノアルキルエーテルとしては特に制限されないが、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
ポリカルボン酸としては、カルボキシ基を2つ以上有する化合物であれば特に制限されないが、不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸が好ましい。なお、該ダイマー酸は、通常は、少量の単量体または三量体を含んでいる。
該不飽和脂肪酸としては、カルボキシ基の炭素原子も含む炭素原子数が、好ましくは12〜24個であり、より好ましくは16〜18個であり、かつ、1分子中に不飽和結合を1個または2個以上有するカルボン酸が望ましい。このような不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、エライジン酸等の不飽和結合を1個有する脂肪酸;リノール酸等の不飽和結合を2個有する脂肪酸;リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和結合を3個以上有する脂肪酸が挙げられる。さらに、動植物から得られる脂肪酸も用いることができ、該脂肪酸としては、例えば、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸が挙げられる。
モノもしくはポリアミノアルキルエーテル、または、モノもしくはポリアルキレングリコールのジアミノアルキルエーテル100質量部に対する、ポリカルボン酸の使用量は、好ましくは50〜300質量部である。
アミン系硬化剤(B)の活性水素当量は、防食性により優れる防食層を容易に得ることができる等の点から、好ましくは50以上、より好ましくは100以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
なお、前記アミン系硬化剤(B)の活性水素当量の値は、アミン系硬化剤(B)の固形分当たりの活性水素当量のことをいう。
防食性、塗膜強度および乾燥性に優れる防食層を容易に得ることができる等の点から、アミン系硬化剤(B)は、下記式(1)で算出される反応比が、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上となるような量、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下となるような量で用いることが望ましい。
反応比={(アミン系硬化剤(B)の配合量/アミン系硬化剤(B)の活性水素当量)+(エポキシ樹脂(A)に対して反応性を有する成分の配合量/エポキシ樹脂(A)に対して反応性を有する成分の官能基当量)}/{(エポキシ樹脂(A)の配合量/エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量)+(アミン系硬化剤(B)に対して反応性を有する成分の配合量/アミン系硬化剤(B)に対して反応性を有する成分の官能基当量)} ・・・(1)
ここで、前記式(1)における「アミン系硬化剤(B)に対して反応性を有する成分」としては、例えば、後述するシランカップリング剤、エポキシ基含有反応性希釈剤およびアクリレート化合物が挙げられ、また、「エポキシ樹脂(A)に対して反応性を有する成分」としては、例えば、後述するその他のアミン系硬化剤およびシランカップリング剤が挙げられる。前記各成分の「官能基当量」とは、これらの成分1molの質量からその中に含まれる官能基のmol数を除して得られた1mol官能基あたりの質量(g)を意味する。
後述のシランカップリング剤としては、反応性基としてアミノ基やエポキシ基を有するシランカップリング剤を使用することができるため、反応性基の種類によって、該シランカップリング剤がエポキシ樹脂(A)に対して反応性を有するのか、アミン系硬化剤(B)に対して反応性を有するのかを判断し、反応比を算出する必要がある。
[体質顔料(C)]
体質顔料(C)としては特に限定されないが、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、マイカ、アルミニウム粉、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、クレー、カオリン、ベントナイト、カリ長石、ナトリウム長石、ガラスフレーク、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、石膏、ウォラストナイト、および、ロックウールやガラス繊維などの繊維状フィラーが挙げられる。これらの中でも、タルク、シリカ、マイカ、アルミニウム粉、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、カリ長石、ナトリウム長石、石膏が好ましく、特に、吸油量が少なく、組成物(y)の粘度調整とVOC低減化が容易となる点、塗膜硬度の高い防食層(Y)を容易に得ることができる等の点から、カリ長石、ナトリウム長石がより好ましい。
組成物(y)に用いる体質顔料(C)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
得られる防食層のコスト面におけるメリットのみならず、防食性、特に耐塩水性および耐湿性等に優れる防食層を容易に形成することができる等の点から、体質顔料(C)の含有量は、組成物(y)の不揮発分100質量%に対し、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
[液状化合物(D)]
得られる防食層の柔軟性等を向上させることができる等の点から、組成物(y)は、液状炭化水素樹脂、水酸基含有液状樹脂およびフェノール骨格を有する液状化合物からなる群より選択される1種以上を含む液状化合物(D)を含有することが好ましく、該化合物(D)としては、フェノール骨格を有する液状化合物が好ましい。
なお、本明細書において、「液状化合物」とは、25℃において、液体である化合物のことをいい、具体的には、25℃におけるE型粘度計で測定した粘度が10,000mPa・s以下である化合物のことをいう。
前記液状炭化水素樹脂としては特に制限されないが、例えば、ジシクロペンタジエン系樹脂、C9系石油樹脂、クマロン樹脂、スチレン樹脂、テルペン樹脂が挙げられる。
前記水酸基含有液状樹脂としては、水酸基を有している液状の樹脂であれば特に制限されないが、例えば、キシレン系樹脂、ジシクロペンタジエン−アリルアルコール共重合樹脂が挙げられる。
前記フェノール骨格を有する液状化合物としては、ヒドロキシ基がベンゼン環に結合している基本骨格を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、フェノール、クレゾール、カルダノールなどのアルキルフェノール類や、フェノール変性炭化水素樹脂が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂(A)との相溶性がよい等の点から、フェノール変性炭化水素樹脂が好ましい。
前記フェノール変性炭化水素樹脂としては、例えば、特開平9−268209号公報、特開平7−196793号公報等に記載されているように、石油や石炭の分解油留分に含まれるジオレフィン、モノオレフィン類やα−メチルスチレンと、フェノール類(フェノール化合物)とを共重合した樹脂が挙げられる。
前記フェノール変性炭化水素樹脂としては、さらに詳しくは、C5留分を原料にしたC5系(脂肪族系)石油樹脂;C9留分を原料にしたC9系(芳香族系)石油樹脂;C5・C9共重合石油樹脂;C5留分に含まれるシクロペンタジエンを熱二量化して得られるジシクロペンタジエンを原料にしたジシクロペンタジエン樹脂;α−メチルスチレン;などと、フェノール類とを反応させた炭化水素樹脂が挙げられる。これらの中でも、石油や石炭の分解油留分に含まれるスチレン、ビニルトルエン、クマロン、インデン、テルペンやα−メチルスチレンなどを、フェノール類と付加重合させた樹脂が好ましい。
これらの中では、特に、石油の分解油留分に含まれるジオレフィン、モノオレフィンなどのC9留分を、フェノール類の存在下でカチオン重合して得られたフェノール変性C9系石油樹脂を使用するのが低価格であり、また、作業性の点で好ましい。
前記フェノール変性炭化水素樹脂としては、水酸基価5〜60程度、好ましくは20〜60の樹脂が望ましい。水酸基価がこの範囲にあると、作業性に優れた組成物が得られる傾向にあり、粘着層(X)との密着性により優れる防食層(Y)が得られる傾向にある。なお、フェノール変性C9系石油樹脂の水酸基価を前記範囲に調整するには、C9留分100質量部に対し、通常、フェノール類を5〜40質量部程度、好ましくは10〜30質量部の量で用いればよい。
前記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノールが挙げられる。
フェノール変性炭化水素樹脂中におけるフェノール類の含有量は、硬化性や靭性に優れ、低吸水率の防食層を容易に得ることができる等の点から、好ましくは5〜50質量%であり、かつ、該樹脂1分子当り平均1〜3個のフェノール類が付加した樹脂であることが好ましい。
前記フェノール変性炭化水素樹脂の平均分子量は、通常200〜1000であり、粘度は、通常30〜10,000mPa・s/25℃である。
前記フェノール変性炭化水素樹脂としては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、「NEVOXY EPX−L」、「NEVOXY EPX−L2」(以上、Neville Chemical社製/フェノール変性炭化水素樹脂)、「HIRENOL PL−1000S」(KOLON社製/フェノール変性炭化水素樹脂)が挙げられる。
組成物(y)が化合物(D)を含有する場合、耐クラック性等に優れる防食層が得られる等の点から、組成物(y)の不揮発分100質量%に対する、該化合物(D)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
また、フィルム成形性および高可撓性(高破断伸び率)によりバランスよく優れる防食層を得ることができる等の点から、化合物(D)の含有量は、組成物(y)中の全てのエポキシ基を含有する化合物の固形分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上であり、可撓性、フィルム成形性、防食性、耐水性および耐薬品性等によりバランスよく優れる防食層(Y)を容易に得ることができる等の点から、より好ましくは60質量部以上であり、好ましくは100質量部以下である。
[その他の添加剤]
組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来の防食塗料組成物等に配合されてきた、前記(A)〜(D)以外のその他の添加剤を含有していてもよい。
該その他の添加剤としては、例えば、反応性希釈剤、シランカップリング剤、前記(D)以外のその他の可塑剤、アクリレート化合物、前記(C)以外のその他の顔料、タレ止め剤(沈降防止剤)、前記(B)以外のその他の硬化剤、硬化促進剤、無機脱水剤(安定剤)、分散剤、消泡剤、防汚剤が挙げられる。
組成物(y)に用いるその他の添加剤はそれぞれ、1種でもよく、2種以上でもよい。
〈反応性希釈剤〉
応性希釈剤を用いることで、組成物(y)の低温での硬化促進作用を向上させることができる。
応性希釈剤としては、エポキシ基を含有する応性希釈剤であることが好ましい。該エポキシ基含有反応性希釈剤としては、25℃における粘度が500mPa・s以下のエポキシ化合物であれば特に制限されず、単官能型であっても、多官能型であってもよい。
単官能型エポキシ基含有反応性希釈剤としては、例えば、アルキルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1〜13)、フェニルグリシジルエーテル、o−クレシルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1〜20、好ましくは1〜5、例:メチルフェニルグリシジルエーテル、エチルフェニルグリシジルエーテル、プロピルフェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル)、フェノールグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、フェノール(EO)nグリシジルエーテル(繰り返し数n=3〜20、EO:−C24O−)が挙げられる。
多官能型エポキシ基含有反応性希釈剤としては、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、モノまたはポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル(アルキレン基の炭素数1〜5、例:エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが挙げられる。
組成物(y)が反応性希釈剤を含有する場合、防食性等により優れる防食層が得られる等の点から、該反応性希釈剤の含有量は、組成物(y)の不揮発分100質量%に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
〈シランカップリング剤〉
シランカップリング剤を用いることで、得られる防食層(Y)の粘着層(X)への密着性をさらに向上させることができるのみならず、得られる防食層の耐塩水性等の防食性をも向上させることができる。
シランカップリング剤としては特に制限されず、従来公知の化合物を用いることができるが、同一分子内に少なくとも2つの官能基を有し、粘着層(X)に対する密着性の向上、組成物(y)の粘度の低下等に寄与できる化合物であることが好ましく、例えば、式:「X−SiMen3-n」[nは0または1、Xは有機質との反応が可能な反応性基(例:アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、ハロゲン基、炭化水素基の一部がこれらの基で置換された基、または炭化水素基の一部がエーテル結合等で置換された基の一部がこれらの基で置換された基。)を示し、Meはメチル基であり、Yは加水分解性基(例:メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基)を示す。]で表される化合物であることがより好ましい。
シランカップリング剤としては、反応性基としてエポキシ基またはアミノ基を有する化合物が好ましく、具体的には、「KBM−403」(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)、「サイラエースS−510」(JNC(株)製)、「KBM−603」(3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、組成物(y)100質量%に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。また、エポキシ樹脂(A)の固形分100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。
シランカップリング剤の含有量が前記範囲にあると、組成物(y)の粘度を低減できるため、塗装作業性が向上するだけでなく、得られる防食層(Y)の粘着層(X)に対する密着性および防食性が向上する。
〈アクリレート化合物〉
組成物(y)は、その硬化速度を向上させる等の点から、アクリレート化合物を含んでいてもよい。
前記アクリレート化合物としては、例えば、単官能または多官能の脂肪族(メタ)アクリレートモノマー、単官能または多官能の芳香族(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。
前記アクリレート化合物の市販品としては、「M−CURE 100」(単官能の芳香族アクリレート、官能基当量257〜267g/eq)、「M−CURE 200」(二官能の芳香族アクリレート、官能基当量130〜140g/eq)、「M−CURE 201」(二官能の脂肪族アクリレート、官能基当量95〜105g/eq)、「M−CURE 300」(三官能の脂肪族アクリレート、官能基当量112〜122g/eq)、「M−CURE 400」(四官能の脂肪族アクリレート、官能基当量80〜90g/eq)(いずれも、SARTOMER COMPANY,INC製)等が挙げられる。
組成物(y)が前記アクリレート化合物を含有する場合、硬化速度により優れる組成物が得られる等の点から、該アクリレート化合物の含有量は、組成物(y)の不揮発分100質量%に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
〈(C)以外のその他の顔料〉
組成物(y)は、前記体質顔料(C)以外のその他の顔料を含むことが好ましい。
該その他の顔料としては特に制限されず、従来公知の顔料を用いることができ、具体的には、着色顔料、防錆顔料等が挙げられる。
前記着色顔料としては特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、二酸化チタン、弁柄、酸化鉄、水酸化鉄、群青等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。
前記防錆顔料としては、例えば、亜鉛粉末、亜鉛合金粉末、リン酸亜鉛系化合物、リン酸カルシウム系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、リン酸マグネシウム系化合物、亜リン酸亜鉛系化合物、亜リン酸カルシウム系化合物、亜リン酸アルミニウム系化合物、亜リン酸ストロンチウム系化合物、トリポリリン酸アルミニウム系化合物、トリポリリン酸亜鉛系化合物、モリブデン酸亜鉛系化合物、モリブデン酸アルミニウム系化合物、シアナミド亜鉛系化合物、ホウ酸塩化合物、ニトロ化合物、複合酸化物が挙げられる。
組成物(y)が前記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の含有量は、組成物(y)の不揮発分100質量%に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
組成物(y)が前記その他の顔料を含有する場合、防食性により優れる防食層を容易に得ることができる等の点から、該その他の顔料の含有量は、組成物(y)の不揮発分100質量%に対し、好ましくは5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
防食性、高可撓性および耐クラック性により優れる防食層を容易に得ることができる等の点から、組成物(y)中の顔料体積濃度(PVC)は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。
前記PVCは、前記体質顔料(C)およびその他の顔料等を含む、すべての顔料の合計の体積濃度のことをいい、具体的には下記式より求めることができる。
PVC[%]=組成物(y)中の全ての顔料の体積の合計×100/組成物(y)中の不揮発分の体積
組成物(y)中の不揮発分の体積は、組成物(y)の不揮発分の質量および真密度から算出することができる。前記不揮発分の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。
前記顔料の体積は、用いた顔料の質量および真密度から算出することができる。前記顔料の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。測定値としては、例えば、組成物(y)の不揮発分より顔料と他の成分とを分離し、分離された顔料の質量および真密度を測定することで算出することができる。
〈タレ止め剤(沈降防止剤)〉
前記タレ止め剤(沈降防止剤)としては、Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの有機粘土系ワックス、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等、従来公知のものを使用できるが、中でも、アマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックスおよび有機粘土系ワックスが好ましい。
このようなタレ止め剤(沈降防止剤)としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン 305」、「ディスパロン 4200−20」、「ディスパロン 6650」;伊藤製油(株)製の「ASAT−250F」;共栄社化学(株)製の「フローノンRCM−300」;Elementis Specialties, Inc社製の「ベントンSD−2」等の商品が挙げられる。
組成物(y)が前記タレ止め剤(沈降防止剤)を含有する場合、該タレ止め剤(沈降防止剤)の含有量は、組成物(y)の不揮発分100質量%に対し、好ましくは0.3〜3質量%である。
〈(B)以外のその他の硬化剤〉
組成物(y)は、防食性のさらなる向上等の点から、前記アミン系硬化剤(B)以外のその他の硬化剤を用いてもよい。
前記アミン系硬化剤(B)以外のその他の硬化剤としては特に制限されず、従来公知の硬化剤を使用することができるが、アミン系硬化剤(その他のアミン系硬化剤)が好ましい。
その他のアミン系硬化剤としては、後述する三級アミン(3級アミノ基のみを有するアミン化合物)を除く、アミン化合物であれば特に制限されないが、脂肪族系、脂環族系、芳香族系、複素環系アミン硬化剤などのアミン化合物が好ましい。なお、これらアミン化合物は、アミノ基が結合している炭素の種類により区別され、例えば、脂肪族系アミン硬化剤とは、脂肪族炭素に結合したアミノ基を少なくとも1つ有する化合物のことをいう。
前記脂肪族系アミン硬化剤としては、例えば、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミン、アルキルアミノアルキルアミンが挙げられる。
前記アルキレンポリアミンとしては、例えば、式:「H2N−R1−NH2」(R1は、炭素数1〜12の二価の炭化水素基である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、式:「H2N−(Cm2mNH)nH」(mは1〜10の整数である。nは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン等が挙げられる。
これら以外の脂肪族系アミン硬化剤としては、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2−アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3−ビス(2'−アミノエチルアミノ)プロパン、トリス(2−アミノエチル)アミン、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン(特に、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル)、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン(MDA)、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、p−キシリレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられる。
前記脂環族系アミン硬化剤としては、具体的には、シクロヘキサンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン(特に、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルアミン)、4,4'−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン、2,4−ジ(4−アミノシクロヘキシルメチル)アニリン等が挙げられる。
前記芳香族系アミン硬化剤としては、ビス(アミノアルキル)ベンゼン、ビス(アミノアルキル)ナフタレン、ベンゼン環に結合した2個以上の1級アミノ基を有する芳香族ポリアミン化合物等が挙げられる。
この芳香族系アミン硬化剤として、より具体的には、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
前記複素環系アミン硬化剤としては、1,4−ジアザシクロヘプタン、1,11−ジアザシクロエイコサン、1,15−ジアザシクロオクタコサン等が挙げられる。
その他のアミン系硬化剤としては、さらに、前述したアミン硬化剤の変性物、例えば、ポリアミドアミン等の脂肪酸変性物、エポキシ化合物とのアミンアダクト、マンニッヒ変性物(例:フェナルカミン、フェナルカマイド)、マイケル付加物、ケチミン、アルジミンが挙げられる。
その他のアミン系硬化剤の活性水素当量は、防食性により優れる防食層を容易に得ることができる等の点から、好ましくは50以上、より好ましくは100以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
なお、前記その他のアミン系硬化剤の活性水素当量の値は、その他のアミン系硬化剤の固形分当たりの活性水素当量のことをいう。
防食性、塗膜強度および乾燥性に優れる防食層を容易に得ることができる等の点から、その他の硬化剤を用いる場合、その使用量は、前記式(1)で算出される反応比が、前記範囲となるような量で用いることが望ましい。
その他の硬化剤を用いる場合、アミン系硬化剤(B)1質量部に対して、その他の硬化剤の使用量は、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
その他の硬化剤の使用量が前記範囲にあると、防食性に優れ、適度の可撓性(塗膜の伸び率)と耐屈曲性とを有し、しかも経済的に低コストな防食層を容易に得ることができる。
〈硬化促進剤〉
組成物(y)は、硬化速度の調整、特に促進に寄与できる硬化促進剤を含むことが好ましい。
前記硬化促進剤としては、例えば、三級アミン類が挙げられ、具体的には、例えば、トリエタノールアミン、ジアルキルアミノエタノール、トリエチレンジアミン[1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン]、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール(例:「バーサミンEH30」(ヘンケル白水(株)製)、「Ancamine K−54」(エボニックジャパン(株)製))が挙げられる。
組成物(y)が前記硬化促進剤を含有する場合、該硬化促進剤の含有量は、組成物(y)の不揮発分100質量%に対し、好ましくは0.05〜2質量%である。
〈溶剤〉
組成物(y)は、製膜性等の点から、溶剤を含有していてもよい。
前記溶剤としては特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ブチルセロソルブ等のエーテル系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、イソプロパノール、n−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶剤、ミネラルスピリット、n−ヘキサン、n−オクタン、2,2,2−トリメチルペンタン、イソオクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
組成物(y)が前記溶剤を含有する場合、該溶剤の含有量は、塗工性などを考慮すると、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
環境保全や作業環境の安全性、防食層形成時の加熱による発泡やピンホールなどの塗膜欠陥の抑制等の点から、組成物(y)は、低VOC含有量の塗料組成物であることが好ましく、具体的には、組成物(y)中のVOC含有量は、好ましくは340g/L以下、より好ましくは300g/L以下、特に好ましくは270g/L以下である。
〈組成物(y)の調製方法〉
組成物(y)は、前記各種成分を混合すればよく、この混合の際には、公知の混合機、攪拌機等を用いることができる。
前記各種成分は、所定の量となるように、一度にまたは分割して混合すればよく、この際には、任意の順序で加えればよいが、各成分の反応性を考慮して、主剤成分と、硬化剤成分とを調製し、防食層(Y)を形成する直前にこれらを混合することが好ましい。
<防食積層体>
本積層体は、防食性が求められる基材に用いられ、特に、VOCが籠もりやすい箇所を防食したい時に好適に使用される。
本積層体を用いて、基材全面を防食することも可能であるが、本積層体は、特に、補修用途に好適に使用される。
本積層体の形状は特に制限されず、円柱状、角柱状等の三次元構造体であってもよいが、シート状、フィルム状、テープ状、帯状、短冊状、円盤状等の板状体であることが好ましい。つまり、前記層(X)や(Y)も板状体であることが好ましいが、三次元形状であってもよい。
なお、本発明において、シート状、フィルム状、テープ状、帯状、短冊状等は、特に区別しているわけではない。
また、本積層体が前記板状体である場合、その積層方向見た場合(平面図)の形状も特に制限されず、例えば、多角形、(楕)円形が挙げられるが、好ましくは四角形である。
本積層体の厚さは所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、本積層体が板状体である場合、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)により優れる等の点から、好ましくは170〜2000μm、より好ましくは270〜1000μmである。
本積層体は、JIS K 7161:2014に準拠して測定した破断伸び率が、好ましくは4〜20%、より好ましくは4〜10%である。
破断伸び率が前記範囲にある本積層体は可撓性に優れるといえ、このような本積層体を用いることで、角部分や凹凸面などの平面以外の基材に対しても、防食層を容易に形成することができ、また、基材に変形等が生じた場合であっても、スムーズにその変形に追随して、クラックや剥がれ等が生じにくい防食層を得ることができる。
本積層体は、粘着層(X)および防食層(Y)をそれぞれ1層以上含めば特に制限されない。粘着層(X)を2層以上含む場合、これらの層は、同一の層であっても、異なる層であってもよい。防食層(Y)についても同様である。
また、本積層体は、粘着層(X)および防食層(Y)以外のその他の層を1層または2層以上有していてもよい。本積層体が、該その他の層を有する場合、本発明の効果がより発揮される等の点から、粘着層(X)と防食層(Y)とは接していることが好ましい。
前記その他の層としては、例えば、防汚塗料組成物より形成された防汚層、離型層、耐候性塗料組成物より形成された耐候層が挙げられる。これらのうち、離型層以外の層を用いる場合、該層は、防食層(Y)の粘着層(X)とは反対側に設けることが好ましい。なお、本積層体を基材に配置固定(貼着)した後、配置固定した本積層体上に、防汚塗料組成物等の組成物から塗膜を形成してもよい。前記離型層は、粘着層(X)の防食層(Y)とは反対側に設けることが好ましく、この場合、該離型層を粘着層(X)から剥離して、本積層体を基材に配置固定(貼着)することができる。
本積層体が市場に供される場合、その取り扱い性が容易となる等の点から、離型層との積層体である離型層付き防食積層体とすることが好ましい。つまり、該離型層付き防食積層体は、本積層体と、離型層とを含む。
該離型層付き防食積層体は、粘着層(Y)に接した離型層を有することが好ましく、本積層体の最外層の両面に離型層を有することがより好ましい。
なお、該離型層としては特に制限されず、従来公知の離型性を有する層を制限なく用いることができるが、例えば、離型性を有する樹脂製フィルム、所定の支持体を離型剤等で処理することで得られる離型性を付与した支持体が挙げられる。
<防食積層体の製造方法>
本積層体の製造方法としては特に制限されず、例えば、
(I)離型層上に、粘着剤を用いて粘着層(X)を形成した上に、または、市販の粘着シート(粘着層(X))上に、組成物(y)を用いて防食層(Y)を形成する方法、
(II)離型層上に、組成物(y)を用いて防食層(Y)を形成し、その上に、粘着剤を用いて粘着層(X)を形成する、または、市販の粘着シート(粘着層(X))を配置する方法、
(III)Tダイフィルム成形法やインフレーションフィルム成形法等の公知の多層フィルム成形方法により、粘着剤と組成物(y)とを共押出しする方法、
が挙げられる。
これらの中でも、防食層(Y)や粘着層(X)の有する機能がより発揮される積層体を容易に得ることができる等の点から、(II)の方法が好ましい。
なお、前記(I)や(II)では、離型層上に形成する粘着層(X)や防食層(Y)が、本積層体における粘着層(X)や防食層(Y)になる前、つまり、粘着剤や組成物(y)が乾燥(硬化)する前に、それぞれ組成物(y)や粘着剤(粘着シート)を設けてもよい。
また、前記その他の層を有する本積層体は、例えば、防食層(Y)上に、従来公知の方法でその他の層を形成すればよい。
なお、前記(I)や(II)の方法で得られる積層体は、離型層を剥離して本積層体としてもよいし、離型層を剥離せず、そのまま離型層付き防食積層体としてもよい。
粘着剤から粘着層(X)を形成する方法としては特に制限されないが、ダイコーター、フローコーター、ロールコーター、グラビアコーター、メイヤーバーコーター等の従来公知の方法を採用することができる。
前記乾燥(硬化)は、常温下で行ってもよく、加熱下で行ってもよい。
乾燥(硬化)の際の温度としては、好ましくは80〜150℃、より好ましくは80〜130℃が挙げられ、乾燥(硬化)の際の時間としては、好ましくは1〜10分、より好ましくは3〜5分が挙げられる。
組成物(y)から防食層(Y)を形成する方法も特に制限されないが、離型層または離型性を付与した支持体や粘着層(X)上に、組成物(y)を塗装して、乾燥(硬化)させることが好ましい。
前記塗装方法としては特に制限されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、ディッピング等の従来公知の方法を採用することができる。
前記乾燥(硬化)は、常温下で行ってもよく、加熱下で行ってもよい。
乾燥(硬化)の際の温度としては、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜130℃が挙げられ、乾燥(硬化)の際の時間としては、好ましくは1〜60分、より好ましくは1〜30分が挙げられる。
≪防食被膜付き基材およびその製造方法≫
本積層体は、防食性が求められる基材の少なくとも一部の表面に配置固定、具体的には、貼着して、防食被膜付き基材として使用される。つまり、防食被膜付き基材の製造方法は、基材の少なくとも一部の表面に、本積層体、または、前記離型層付き防食積層体から離型層を剥離した本積層体を配置固定、具体的には、貼着する工程を含む。
この場合、通常、本積層体の粘着層(X)が基材に接するように配置固定される。
前記基材としては、例えば、鉄鋼、アルミニウム製等の金属基材やコンクリート製基材が挙げられ、本発明の効果がより発揮される等の点から、鉄鋼基材が好ましい。
該鉄鋼基材としては、例えば、鉄鋼構造物、具体的には、船舶、海洋構造物、プラント、橋梁、タンク等の基材が挙げられる。
前記基材としては、錆、油脂、水分、塵埃、塩分などを除去するため、また、本積層体との密着性を向上させるために、必要により表面を処理(例えば、ブラスト処理(ISO8501−1 Sa2 1/2)、摩擦法、脱脂による油分・粉塵を除去する処理)等した基材でもよい。
本積層体を基材に配置固定、具体的には、貼着する際には、必要により、圧力をかけてもよいし、熱をかけてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
エポキシ樹脂1(注1)5質量部、エポキシ樹脂2(注2)11質量部、反応性希釈剤(注4)3質量部、シランカップリング剤(注5)1質量部、フェノール変性炭化水素樹脂(注6)12質量部、脂肪族アクリレート(注7)0.5質量部、タルク(注8)26質量部、カリ長石(注9)18質量部、チタン白(注10)6質量部、黄色弁柄(注11)1.5質量部、雲母(注12)5質量部、タレ止め剤(注15)1.5質量部、キシレン 6.5質量部、n−ブタノール 2質量部、および、1−メトキシ−2−プロパノール 1質量部を、ハイスピードディスパーを用い、56〜60℃で混合した後、30℃以下まで冷却することで、主剤成分を調製した。
ポリアミドアミン1(注16)3質量部、ポリアミドアミン2(注17)7質量部、三級アミン(注18)0.2質量部、1−メトキシ−2−プロパノール 1.8質量部、および、キシレン 1質量部を、ハイスピードディスパーを用いて混合することで、硬化剤成分を調製した。
得られた主剤成分と硬化剤成分とを塗装前に混合することで、防食塗料組成物を調製した。
離型紙上に、得られた防食塗料組成物を乾燥膜厚が300μmとなるように、フィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分乾燥(硬化)させることで、防食層(Y)を形成した。
前記防食層(Y)の上に、Dow Corning Toray SD 4592 PSA(ビニル基含有シリコーン、東レ・ダウコーニング(株)製)100質量部、BY24−742(Si−H化合物、東レ・ダウコーニング(株)製)1.0質量部、NC−25 CATALYST(白金触媒、東レ・ダウコーニング(株)製)0.9質量部、および、トルエン50質量部を混合することで得られた付加硬化型シリコーン粘着剤を、隙間0.2mmのフィルムアプリケーターを用いて塗装し、100℃で5分間乾燥(硬化)させることで平均厚さ50μmの粘着層(X)を形成し、積層防食シートを得た。
得られた積層防食シートから離型紙を剥がし、粘着層(X)が、寸法が150mm×70mm×1.6mm(厚)のブラスト処理された鋼板(以下「試験板」ともいう。)側となるように、得られた積層防食シートを試験板に貼り付けることで、防食被膜付き試験板を作製した。
[実施例2〜6および比較例1〜2]
表1に示す各成分を、表1に示す量で用いた以外は、実施例1と同様にして、防食塗料組成物を調製し、調製した防食塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、積層防食シートおよび防食被膜付き試験板を作製した。
なお、表1中の数値は質量部を示す。表1中の各成分の詳細を表2に示す。
[製造例1]
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下装置、加熱冷却ジャケットおよび攪拌機を備えた反応容器に、メチルエチルケトン30質量部を仕込み、窒素気流下で80±5℃の温度条件に保持しつつ、滴下装置より、2−エチルヘキシルアクリレート((株)日本触媒製、「AEH」)90質量部、アクリル酸(東亜合成(株)製、「98%アクリル酸」)10質量部、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)((株)日本ファインケム製、「ABN−V」)1質量部、および、メチルエチルケトン16質量部からなる混合物を1時間かけて滴下した。その後、同温度で1時間撹拌を行った後、減圧蒸留によってメチルエチルケトンを除去し、2−エチルヘキシルアクリレート((株)日本触媒製、「AEH」)90質量部およびアクリル酸(東亜合成(株)製、「98%アクリル酸」)10質量部を加えてアクリル系モノマー混合物を得た。
[比較例3]
製造例1で得られたアクリル系モノマー混合物100質量部に対して、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASFジャパン(株)製、「イルガキュア651」)0.1質量部、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(MIWON Specialty Chemical社製、「MIRAMER M200」)0.5質量部を添加し、十分に混合した混合物を、隙間0.2mmのフィルムアプリケーターを用いて、前記実施例1と同様にして形成した防食層(Y)の上に塗装し、さらに紫外線ランプ(水銀灯)により紫外線を照射(紫外線照度:50mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)することにより、平均厚さ50μmの粘着層を形成し、積層防食シートを得た。得られた積層防食シートを用い、実施例1と同様にして防食被膜付き試験板を作製した。
[比較例4]
前記実施例1と同様にして形成した防食層(Y)の上に、粘着層として、ポリエステル系粘着シート(ユニチカ(株)製、「XP−1586−45EA」、平均厚さ50μm)を貼り付けることで、積層防食シートを得た。得られた積層防食シートを用い、実施例1と同様にして防食被膜付き試験板を作製した。
Figure 2021024118
Figure 2021024118
<耐屈曲性>
作製した積層防食シートを、JIS K 5600−5−1:1999「耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」に準拠した円筒型マンドレル屈曲試験器(オールグッド(株)製)を用い、マンドレルの直径を変えながら、用いたマンドレルにおいて、積層防食シートに割れの発生の有無や、粘着層(X)と防食層(Y)との間での剥がれの有無を目視で確認し、以下の基準に従って耐屈曲性を評価した。結果を表3に示す。
評価結果が3以上の場合、積層防食シートの製造、輸送、施工等の際に必要とされる耐屈曲性を有するといえる。
(評価基準)
5:直径2mmのマンドレルを用いた場合でも、割れおよび剥がれが生じなかった。
4:直径2mmのマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じたが、直径4mm以上のマンドレルを用いた場合には、割れおよび剥れが生じなかった。
3:直径4mmのマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じたが、直径6mm以上のマンドレルを用いた場合には、割れおよび剥れが生じなかった。
2:直径6mmのマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じたが、直径8mm以上のマンドレルを用いた場合には、割れおよび剥れが生じなかった。
1:直径10mm以上のマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じた。
<破断伸び率>
破断伸び率の測定「JIS K 7161:2014」に準拠し、作製した積層防食シートの破断伸び率を測定した。具体的には以下のようにして行った。
作製した積層防食シートを切断することで、1B形のダンベル形試験片を作成し、得られた試験片を80℃で4時間強制乾燥(硬化)させた後、テンシロン(Tensilon)試験機を使用して、破断伸び率(%)を測定した。結果を表3に示す。
<防食性>
(1)耐塩水性試験
防食被膜の耐塩水性を、JIS K 5600−6−2:2016に準拠して測定した。具体的には以下のようにして行った。
作製した防食被膜付き試験板を、40℃の3%塩水中に180日間浸漬した後、防食被膜の外観および防食被膜下の鋼板の状態を以下の基準に従って評価した。なお、防食被膜下の鋼板の状態は、カッターナイフ等により1cm2の防食被膜を除去し、鋼板素地を露見させた箇所における錆の占める面積を評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
5:防食被膜外観にフクレおよび剥がれがなく、防食被膜下(鋼板上)に錆の発生がない。
4:防食被膜外観にフクレおよび剥がれはないが、防食被膜下(鋼板上)の1%未満に錆が見られる。
3:防食被膜外観にフクレおよび剥がれはないが、防食被膜下(鋼板上)の1%以上5%未満に錆が見られる。
2:防食被膜外観の5%未満にフクレおよび/または剥がれが見られる、または、防食被膜下(鋼板上)の5%以上20%未満に錆が見られる。
1:防食被膜外観の5%以上にフクレおよび/または剥がれが見られる、または、防食被膜下(鋼板上)の20%以上に錆が見られる。
(2)耐湿性試験
防食被膜の耐湿性を、JIS K 5600−7−2:1999に準拠して測定した。具体的には以下のようにして行った。
防食被膜付き試験板を、温度50℃、湿度95%の試験機内に180日間保持した後、防食被膜の外観および防食被膜下の鋼板の状態を、前記耐塩水性試験と同様の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
耐塩水性および耐湿性の評価結果が、いずれも3以上の場合、積層防食シートに必要とされる防食性を有するといえる。
<フィルム形成性>
前記で調製した防食塗料組成物を、離型紙上に、乾燥膜厚が300μmとなるようにフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分間乾燥(硬化)させることで、防食層(60mm×100mm)を形成した。このようにして形成した防食層の外観を以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
5:防食層の外観に発泡およびピンホール等の被膜欠陥が見られない。
4:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の1%未満に見られる。
3:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の1%以上5%未満に見られる。
2:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の5%以上20%未満に見られる。
1:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の20%以上に見られる。
Figure 2021024118

Claims (8)

  1. シリコーン樹脂系粘着層(X)と、
    エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された防食層(Y)と
    を有する、防食積層体。
  2. 前記アミン系硬化剤(B)が、モノまたはポリアルキレングリコールのジアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物である、請求項1に記載の防食積層体。
  3. 前記防食塗料組成物(y)が、さらに、液状炭化水素樹脂、水酸基含有液状樹脂およびフェノール骨格を有する液状化合物からなる群より選択される1種以上を含む液状化合物(D)を含有する、請求項1または2に記載の防食積層体。
  4. 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が270以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の防食積層体。
  5. 前記防食塗料組成物(y)が、さらにシランカップリング剤を含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の防食積層体。
  6. JIS K 7161:2014に準拠して測定した破断伸び率が4〜20%である、請求項1〜5の何れか1項に記載の防食積層体。
  7. 離型層と、請求項1〜6の何れか1項に記載の防食積層体とを含む、離型層付き防食積層体。
  8. 基材の少なくとも一部の表面に、請求項1〜6の何れか1項に記載の防食積層体、または、請求項7に記載の離型層付き防食積層体から離型層を剥離した防食積層体を配置固定する工程を含む、防食被膜付き基材の製造方法。
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