JP2004148506A - 塗工フィルム及びその貼り付け方法 - Google Patents

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直哉 春田
Takeshi Tomiyama
猛 富山
Toshio Kondo
壽夫 近藤
Takeshi Akagi
雄 赤木
Osamu Isozaki
理 磯崎
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Abstract

【課題】加工性、仕上がり性に優れた塗工フィルムを提供する。
【構成】3種類以上の樹脂フィルムを積層してなるフィルムであって、上層フィルム(I)が架橋性樹脂塗料(A)、及び下層が粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(III)であり、そして該層(I)と層(III)との間に、自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲である熱可塑性樹脂(B)で形成されたフィルム(II)を必須として含有することを特徴とする塗工フィルム。
【選択図】なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な塗工フィルム及び積層方法に関する。
【従来の技術及びその課題】従来、メラミン硬化性樹脂塗料、イソシアネート硬化性樹脂塗料、酸化硬化性樹脂塗料などの架橋性樹脂塗料は、金属板(鋼鈑、アルミ板、鉄板等)、木材、上記金属以外の無機材料(コンクリート、セラミック、ガラス等)、プラスチック(ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ナイロン等)等の基材に、それぞれの基材の性質に応じて防食性、意匠性、耐久性、耐候性、耐擦り傷性等の機能を付与させるために基材に直接塗装が施されている。この様な基材に直接塗装するためには最適な塗装方法を選択する必要があり面倒であること、一般的に均一な塗装膜厚が保持できないこと、塗装により塗装欠陥を生じ易いこと、塗装に必要な塗料が必要以上に消費されること、塗装の作業環境や安全衛生上の管理を安全に行うことが難しいこと、塗装された塗膜を回収することが困難であり環境汚染の点からも好ましくないといった問題点があった。
【0002】
また、一般的に塗料は、塗装手段、塗膜性能、意匠性等の塗装目的により使用するために、当然の如く品種が多くなり無駄な塗料が多く製造されるために、従来から品種統合や塗料の有効利用方法が当該分野で要求されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、上層が従来から使用されている架橋性樹脂塗料から形成されるフィルム層、そして中間層が、それ自体実質的に粘着性がなく、特定の伸び率を有する熱可塑性フィルム層で形成された、即ちキャステングによる複層被膜であり、下層として接合剤層を有する塗工フィルムが、従来からの問題点を全て解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
即ち、本発明は、
1、3種類以上の樹脂フィルムを積層してなるフィルムであって、上層フィルム(I)が架橋性樹脂塗料(A)、及び下層が粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(III)であり、そして該層(I)と層(III)との間に、自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲である熱可塑性樹脂(B)で形成されたフィルム(II)を必須として含有することを特徴とする塗工フィルム(以下、このものを「第1発明と略す。」)、
2、プラスチックフィルムに感圧性粘着剤を積層してなるアプリケーションフィルム層(C)、上記上層フィルム(I)、上記フィルム(II)、上記接合剤層(III)及び離型性フィルム層(D)を順次積層してなることを特徴とする転写可能な塗工フィルム(以下、このものを「第3発明と略す。」)、
3、熱可塑性樹脂(B)が、水性ウレタン樹脂エマルションで形成されることを特徴とする上記1又は2に記載の塗工フィルム、
4、水性ウレタンエマルションが、ポリイソシアネート化合物と、該ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物とを反応させて親水基含有イソシアネート末端プレポリマーを製造し、次いでこのものを水に分散せしめ、更に、アミン類で以て鎖伸長せしめてなるものであることを特徴とする上記1、2又は3に記載の塗工フィルム、
5、上記1、3又は4に記載の塗工フィルムを、該塗工フィルムの接合剤層(III)が被着体表面に面するように、熱及び/又は圧力により接合させることを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法(以下、このものを「第2発明と略す。」)、
6、上記1、3又は4に記載の塗工フィルムを、加熱により成型させながら立体面を有する被着体表面に接合させることを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法、
7、上記2に記載の塗工フィルムを、該塗工フィルムの接合剤層(III)が被着体表面に面するように、圧力により接合させた後、アプリケーションフィルム層(C)を剥離することを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法(以下、このものを「第4発明と略す。」)
に係わる。
【0005】
以下、本願発明の構成要件について説明する。
【0006】
第1発明:
第1発明は、3種類以上の樹脂フィルムを積層してなるフィルムであって、上層フィルム(I)が架橋性樹脂塗料(A)、及び下層が粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(III)であり、そして該層(I)と層(III)との間に、自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲である熱可塑性樹脂(B)で形成されたフィルム(II)を必須として含有することを特徴とする塗工フィルムである。
【0007】
第1発明で使用する上層フィルム(I)は、本発明の塗工フィルムである複層フィルムの最上層を構成するフィルムであり、従来から公知の架橋性樹脂塗料(A)を用いて得られるフィルムが使用できる。
【0008】
架橋性樹脂塗料(A)としては、例えば、アミノ硬化性樹脂塗料、イソシアネート硬化性樹脂塗料、酸エポキシ硬化性樹脂塗料、加水分解性シラン硬化性樹脂塗料、水酸基エポキシ基硬化性樹脂塗料、ヒドラジン硬化性樹脂塗料、酸化重合型硬化性樹脂塗料、光(熱)ラジカル重合型樹脂塗料、光(熱)カチオン重合型樹脂塗料及びこれらの2種以上の組合せによる硬化性樹脂塗料が挙げられる。
【0009】
架橋性樹脂塗料(A)には、必要に応じて従来から塗料に配合される添加剤、例えば、着色顔料、体質顔料、メタリック顔料、着色パール顔料、流動性調整剤、ハジキ防止剤、垂れ止め防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、つや消し剤、艶出し剤、防腐剤、硬化促進剤、硬化触媒、擦り傷防止剤、消泡剤、溶媒等を特に制限なしに使用することができる。
【0010】
架橋性樹脂塗料(A)の形態は、架橋性樹脂を使用した粉体塗料、架橋性樹脂の液状樹脂を使用した無溶剤型塗料(架橋性もしくは非架橋性の樹脂をラジカル重合性モノマーに溶解もしくは分散した無溶剤型塗料も含む)、架橋性樹脂を水に溶解もしくは分散した水性塗料、及び架橋性樹脂を有機溶剤に溶解もしくは分散した有機溶剤型塗料(非水分散型塗料も含む)等のいずれの形態であっても構わない。
【0011】
フィルム(I)の乾燥膜厚は、1μm〜200μm、特に20μm〜80μmの範囲が好ましい。1μm未満になると、耐候性、耐溶剤性、鮮鋭性が低下し、一方、200μmを超えると、塗工フィルムが脆弱になるので好ましくない。
【0012】
架橋性樹脂塗料(A)により形成されたフィルム(I)は、架橋性樹脂に含まれる官能基の一部もしくは全部が反応したものである。また、フィルム(I)の架橋の程度は、例えば、下記したゲル分率が50〜100重量%の範囲のものが好ましい。
【0013】
ゲル分率:フリーのフィルムをはがしとり300メッシュのステンレススチール製の網状容器に入れソックスレー抽出器でアセトン溶媒を用いて還流温度で2時間抽出させた後、次式に従ってゲル分率の算出を行なった。
【0014】
ゲル分率(%)=(抽出した後の重量/抽出前の試料の重量)×100
アミノ硬化性樹脂塗料:
該塗料としては、例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などの基体樹脂と、架橋剤としてのアミノ樹脂からなる組成物があげられる。
【0015】
アクリル樹脂及びビニル樹脂としては、カルボキシル基含有重合性単量体(必要に応じて使用できる、特に水性塗料として使用する場合に配合される)、水酸基含有重合性単量体及びその他の重合性単量体を共重合せしめて得られる、10〜200mgKOH/g、好ましくは25〜70mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有するものが使用できる。
【0016】
カルボキシル基含有重合性単量体は1分子中にカルボキシル基と重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸などがあげられる。水酸基含有重合性単量体は1分子中に水酸基と重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜8個のヒドロキシアルキルエステルなどがあげられる。
【0017】
その他の重合性単量体は、カルボキシル基含有重合性単量体及び水酸基含有重合性単量体と共重合可能な、1分子中に重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜24個のアルキル又はシクロアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等の官能性(メタ)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル単量体;スチレン、ビニルトルエン、プロピオン酸ビニル、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、ベオバモノマー(シェル化学製品)等のビニル単量体などがあげられる。上記アクリル樹脂又はビニル樹脂は一般に5000〜40000の範囲内の数平均分子量を有することができる。
【0018】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価アルコール及び多塩基酸をエステル化反応させてなるポリエステル樹脂が挙げられる。
【0019】
多価アルコールは1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがあげられる。多塩基酸は1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物などがあげられる。さらに、これらの多価アルコールと多塩基酸のエステル化反応において、必要に応じて、アルコール成分の一部として一価アルコール、グリシジル基を有するモノエポキシ化合物を使用し及び/又は酸成分の一部として安息香酸やt−ブチル安息香酸などの一塩基酸を使用することができる。また、ポリエステル樹脂は、ヒマシ油、桐油、サフラワー油、大豆油、アマニ油、トール油、ヤシ油などの油成分又はそれらの脂肪酸で変性されたポリエステル樹脂も包含される。これらのポリエステル樹脂は一般に500〜10000の範囲内の数平均分子量を有することができる。
【0020】
ポリエステル樹脂は10〜200mgKOH/g、好ましくは25〜70mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することができる。
【0021】
アミノ樹脂架橋剤は加熱により基体樹脂と反応して三次元の硬化した塗膜を形成する。かかるアミノ樹脂として、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素、ジシアンジアミドなどとホルムアルデヒドとの縮合又は共縮合によって得られるものがあげられ、さらにこのものを炭素数1〜8のアルコール類で変性したものやカルボキシル基含有アミノ樹脂等も使用することができる。これらのアミノ樹脂は、通常、アミノ基1当量に対してホルムアルデヒド約0.5〜約2当量をpH調節剤(例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、アミン類)を使用し、アルカリ性又は酸性にてそれ自体既知の方法により反応させることによって製造することができる。
【0022】
アミノ硬化性樹脂塗料を有機溶剤系として使用する場合には、上記した樹脂を有機溶剤に溶解もしくは分散することにより得られる。有機溶剤としては、例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、メチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系の溶媒等を使用できる。
【0023】
また、水性として使用する場合には、酸モノマーにより酸基を導入した(通常、5〜300mgKOH/g、好ましくは100mgKOH/gの範囲内の酸価)アクリル樹脂やポリエステル樹脂を中和剤で中和した樹脂を水に溶解もしくは分散することにより得られる。
【0024】
中和剤としては、例えば、アンモニア又はトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類又は水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などの塩基性物質を用いて中和し、この後、適当な固形分にするため水および必要に応じ水と相溶性のある有機溶剤を添加し、水希釈される。
【0025】
また、上記した以外に水性アクリル樹脂は、例えば、イオン性又は非イオン性の低分子又は高分子界面活性物質、水溶性樹脂などを分散安定剤として用い、上記の重合性単量体を水性媒体中でそれ自体既知の方法で乳化重合することによって製造することができる。
【0026】
アミノ樹脂の配合割合(固形分換算)は、水酸基含有樹脂固形分100重量部に対して約10〜200重量部、好ましくは20〜100重量部の範囲である。
【0027】
イソシアネート硬化性樹脂塗料:
該塗料としては、例えば、水酸基などの架橋性官能基を有する、上記したと同様のアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などの基体樹脂と、架橋剤としての(ブロック)ポリイソシアネート化合物からなる組成物があげられる。
【0028】
ポリイソシアネート化合物としてはフリーのイソシアネート化合物であってもよいし、ブロックされたイソシアネート化合物でもよい。フリーのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、もしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、キシレンジイソシアネート、もしくはイソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類等の有機ジイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ジイソシアネートの過剰量と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上掲した各有機ジイソシアネート同志の重合体、更にはイソシアネート・ビゥレット体等が挙げられるが、それらの代表的な市販品の例としては「バーノックD−750、−800、DN−950、−970もしくは15−455」(以上、大日本インキ化学工業(株)製品)、「ディスモジュールL、N、HL、もしくはN3390」(西ドイツ国バイエル社製品)、「タケネートD−102、−202、−110もしくは−123N」(武田薬品工業(株)製品)、「コロネートEH、L、HLもしくは203」(日本ポリウレタン工業(株)製品)又は「デゥラネート24A−90CX」(旭化成工業(株)製品)等が挙げられる。ブロックされたイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、上記、フリーのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物をオキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、マロン酸エステル、メルカプタン等の公知のブロック剤でブロックしたものが挙げられる。これらの代表的な市販品の例としては「バーノックD−550」(大日本インキ化学工業(株)製品)、「タケネートB−815−N」(武田薬品工業(株)製品)、「アディトールVXL−80」(西ドイツ国ヘキスト社製品)又は「コロネート2507」[(日本ポリウレタン工業(株)製品)等が挙げられる。
【0029】
上記(ブロック)ポリイソシアネート化合物架橋剤の配合割合は、塗膜が硬化し十分な性能を有するように配合すればよいが、水酸基含有樹脂/架橋剤の比率は重量比で80/20〜50/50の範囲がよい。
【0030】
該塗料は、上記した樹脂を上記した有機溶剤に溶解もしくは分散することにより得られる有機溶剤系塗料として使用することができる。また、酸モノマーにより酸基を導入した(通常、5〜300mgKOH/g、好ましくは100mgKOH/gの範囲内の酸価)アクリル樹脂やポリエステル樹脂の酸基を上記中和剤で中和した樹脂を水に溶解もしくは分散することにより得られる水性塗料として使用することができる。
【0031】
酸エポキシ硬化性樹脂塗料:
該塗料としては、例えば、エポキシ樹脂基体と、架橋剤としてのポリカルボン酸化合物からなる組成物があげられる。
【0032】
該エポキシ樹脂としては、例えば、従来から公知の1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂[例えば、エポキシ基を含有するラジカル重合性モノマー(例えば、(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート)、グリシジル(メタ)アクリレート等)の単独ラジカル重合体、該モノマーとその他のラジカル重合性モノマー(例えば(メタ)アクリル酸の炭素数1〜24のアルキル又はシクロアルキルエステル、スチレン等)との共重合体、エポリードGT300(ダイセル化学工業(株)社製、商品名、3官能脂環式エポキシ樹脂)、エポリードGT400(ダイセル化学工業(株)社製、商品名、4官能脂環式エポキシ樹脂)、EHPE(ダイセル化学工業(株)社製、商品名、3官能脂環式エポキシ樹脂)、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ε−カプロラクタム変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、ポリビニルシクロヘキセンジエポキサイド等]をポリカルボン酸で変性してなるものが挙げられる。
【0033】
ポリカルボン酸としては、例えば、ポリカルボン酸樹脂(アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等)、ポリカルボン酸化合物(例えば、アジピン酸、セバシン酸、フタール酸等)等が挙げられる。
【0034】
該エポキシ樹脂は、数平均分子量約500〜20000、特に700〜10000の範囲が好ましい。また、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有することが好ましい。
【0035】
該酸エポキシ硬化性樹脂塗料は、上記有機溶剤に溶解もしくは分散して有機溶剤系塗料として、またカルボキシル基を上記した上記中和剤で中和したものを水分散した水性塗料として使用することができる。
【0036】
また、該塗料に必要に応じて下記加水分解性シラン化合物や樹脂を配合して使用することができる。
【0037】
加水分解性シラン硬化性樹脂塗料:
該塗料としては、加水分解性シラン基及び/又はヒドロキシシラン基含有化合物は1分子中に少なくとも2個の加水分解性シラン基又はヒドロキシシラン基、又は少なくとも1個以上の加水分解性シラン基及びヒドロキシシラン基を含むシラン化合物を含有する塗料である。シラン化合物としては、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン等のジアルコキシシラン類;トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン等のトリアルコキシシラン類;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類;γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のその他のシラン類、これらのシラン化合物の縮合物及びビニルシラン類のラジカル(共)重合体等が包含される。
【0038】
該加水分解性シラン硬化性樹脂塗料は、上記有機溶剤に溶解もしくは分散して有機溶剤系塗料として、またそのままもしくは共重合体中にカルボキシル基を導入(上記したカルボキシル基含有不飽和モノマーを使用したもの)し導入したカルボキシル基を上記した中和剤で中和したものを水分散した水性塗料として使用することができる。
【0039】
水酸基エポキシ基硬化性樹脂塗料:
該塗料としては、水酸基を有する樹脂と脂環式骨格および/または有橋脂環式骨格にエポキシ基が直接結合した構造のエポキシ基含有官能基を1分子あたり平均2個以上、好ましくは3個以上有するエポキシ樹脂を硬化性樹脂成分として含有する塗料である。
【0040】
水酸基を有する樹脂としては、例えば、上記アミノ硬化性樹脂塗料に記載した水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などの基体樹脂以外に、例えば、アルカノールアミンにより導入された水酸基や、エポキシド化合物中に導入されたカプロラクトンの開環物、エポキシ樹脂(ビスフェノールーエピクロルヒドリン反応物等)中の2級水酸基などがあげられる。
【0041】
水酸基の含有量は、水酸基当量で20〜5,000、特に100〜1,000の範囲内が好ましく、特に第1級水酸基当量は200〜1,000の範囲内にあることが望ましい。水酸基を有する樹脂はカチオン性基を有することができる。このカチオン性基により水性化が可能となる。このカチオン性基は、例えば、エポキシ基とカチオン化剤(アミン化合物等)との反応により形成できる。
【0042】
エポキシ樹脂成分における該エポキシ基含有官能基は、脂環式骨格および/または有橋脂環式骨格とエポキシ基とからなり、脂環式骨格は、4〜10員、好ましくは5〜6員の飽和炭素環式環または該環が2個以上縮合した縮合環を含有し、また、有橋脂環式骨格は、上記単環式または多環式環を構成する炭素原子2個の間に直鎖状もしくは分岐鎖状のC1−6(好ましくはC1−4)アルキレン基〔例えば−CH2−、−CH2CH2−、−CH(CH3)−、−CH2(CH3)CH2−、−C(CH3) 2−、−CH(C2H5)CH2−など〕の橋(エンドメチレン、エンドエチレンなど)が結合した環を含有するものである。エポキシ当量は通常、100〜2,000、好ましくは150〜500、さらに好ましくは150〜250の範囲内にあることができ、また、数平均分子量は通常400〜100,000、好ましくは700〜50,000、さらに好ましくは700〜30,000の範囲内にあるのが適当である。このようなエポキシ基含有官能基を1分子中に2個以上有するエポキシ樹脂[(B)成分]は、例えば、特公昭56−8016号公報、特開昭57−47365号公報、特開昭60−166675号公報、特開昭63−221121号公報、特開昭63−234028号公報などの文献に記載されており、それ自体既知のものを使用することができる。
【0043】
ヒドラジン硬化性樹脂塗料:
該塗料としては、1分子中にヒドラジド基(−CO−NH−NH2 )を2個以上含有するポリヒドラジド化合物とカルボニル基含有化合物との反応により架橋構造を作る塗料である。
【0044】
ポリヒドラジド化合物の代表的な具体例としては、例えば、カルボジヒドラジド等のジヒドラジド、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、エイコ酸二酸ジヒドラジドなどのC2〜40個の脂肪族カルボン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジド、ピロメリト酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジドなどの芳香族ポリヒドラジド、及びマレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジヒドラジド、ビスセミカルバジド、ポリアクリル酸ポリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジ/カルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインなどのその他のポリヒドラジドなどが挙げられる。
【0045】
ポリヒドラジド化合物の配合割合は、カルボニル基含有化合物の有するカルボニル基に対して0.1〜2当量、好ましくは0.2〜1当量の範囲である。
【0046】
カルボニル基含有化合物は下記カルボニル基含有不飽和モノマーの重合体や必要に応じて上記したその他のラジカル重合反応が可能な不飽和モノマーとの共重合体が使用できる。
【0047】
カルボニル基含有不飽和モノマーは、1分子中に少なくとも1個のケト基又はアルデヒド基と1個のラジカル重合可能な二重結合を有するモノマー、即ち重合可能なモノオレフィン性不飽和のアルデヒド化合物及びケト化合物である。代表的な具体例としては、例えば、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ダイアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ビニルアルキルケトンなどが挙げられる。これらの中でもダイアセトン(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0048】
酸化重合型硬化性樹脂塗料:
該塗料としては、従来から空気酸化重合により架橋する不飽和脂肪酸を硬化成分として含有する塗料である。該塗料のヨウ素価は35〜90の範囲が好ましい。ヨウ素価はJIS K−0070の方法で測定する。ヨウ素価が30よりも少ないと、酸化重合能力が不十分になり、硬化性が悪くなる。逆にヨウ素価が100を超えると、塗料の貯蔵安定性が悪くなる。
【0049】
不飽和脂肪酸としては、天然または合成系の不飽和脂肪酸がいずれも使用でき、例えば、桐油、アマニ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、サフラワー油、トール油、大豆油、ヤシ油から得られる不飽和脂肪酸が挙げられる。上記脂肪酸は、1種または2種以上を同時に使用してよい。
【0050】
該不飽和脂肪酸を使用した塗料の種類としては、例えば、アルキド樹脂、エポキシ変性アルキド樹脂等が挙げられる。
【0051】
アルキド樹脂としては、例えば、上記乾性油もしくは半乾性油を少なくとも1種類以上の多価アルコールと良く攪拌しながら200〜250℃、10〜100分保持して得られる。必要によっては、その後多塩基酸、多価アルコール等を加えた後200〜250℃で反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂であっても良い。
【0052】
使用できる多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、数平均分子量150〜6000なるポリエチレングリコール或いはポリプロピレングリコール、又それ等のモノアルキルエーテル、ネオペンチルグリコール、ジエチルプロパンジオール、エチルブチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレングリコール付加体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0053】
また多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、安息香酸、アルキル安息香酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、フマール酸等の一価及び多価カルボン酸が挙げられる。これ等の1種及び数種混合して任意の割合にて使用することができる。
【0054】
エポキシ変性アルキド樹脂はエポキシ樹脂と脂肪酸から従来公知の方法で得る。例えば、エポキシ樹脂と脂肪酸を、適当な溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)中、縮合触媒を用いて、必要に応じて不活性ガス(例えば、窒素ガス等)雰囲気下において、150〜250℃で、所望の酸価となるまで反応させることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1004」、「エピコート1007」および「エピコート1009」(いずれもシェル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂);「エポトートYD−128」、「エポトートYD−011」、「エポトートYD−012」、「エポトートYD−014」、「エポトートYD−017」および「エポトートYD−019」(東都化成社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂);「エポトートST−5700」(東都化成社製、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)および「エポトートYDF−2004」(東都化成社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂)等の市販のエポキシ樹脂が使用できる。上記エポキシ樹脂は、1種または2種以上を同時に使用してよい。
【0055】
上記エポキシエステル樹脂を、エチレン性不飽和モノマーと反応させて、アクリル変性エポキシエステル樹脂を得たものも使用できる。エチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸およびイタコン酸等の不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル類、並びにそれらの混合物が挙げられる。上記アクリル系モノマー類の内、少なくとも1つがカルボン酸基を包含していることを必須とし、アクリル系モノマー1種または2種以上をスチレンと混合して使用する。
【0056】
酸化重合型硬化性樹脂塗料は有機溶剤系、無溶剤系、水系のいずれの形態であっても構わない。
【0057】
使用出来る乾燥剤としては、特に限定はない。例えばオレイン酸等の脂肪族カルボン酸、ナフテン酸等の脂環族カルボン酸を担体としたコバルト塩、マンガン塩、ジルコニュウム塩、カルシュウム塩、鐵塩、鉛塩等の金属石鹸や当該化合物をアニオン乳化剤、カチオン乳化剤、ノニオン乳化剤等を添加して水性化を施したものや、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチルパラトルイジン等の第3級アミンを挙げることができる。これらを単独又は併用して使用することができる。
【0058】
またその添加量に特に制限はないが、0.003〜0.5重量%の範囲が好ましい。0.003重量%(金属分)以下ではその効果が認められず、0.5重量%(金属分)以上使用すれば耐水性が悪くなる等の欠点がある。より好ましい使用量は0.05〜0.4重量%(金属分)の範囲である。
【0059】
光(熱)ラジカル重合型樹脂塗料:
該塗料としては、光又は熱によりラジカル重合反応を生じる不飽和樹脂に必要に応じて紫外線重合開始剤、過酸化触媒、光増感色素を配合したものが使用できる。
不飽和樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、スピラン樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂にラジカル重合性不飽和基が導入された樹脂である。ラジカル重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基やマレイン酸による基などが包含される。
不飽和樹脂の代表例としては、例えば、ウレタン樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート、アクリル樹脂マレート、アルキド樹脂アクリレート、ポリエステル樹脂アクリレート、ポリエステル樹脂マレート、フッ素樹脂アクリレート、スピラン樹脂アクリレート、ポリエーテル樹脂アクリレート、エポキシ樹脂アクリレートなどが挙げられる。
【0060】
紫外線重合開始剤としては、従来から公知のものが使用できる。
【0061】
具体的には、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−ter−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−ter−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリンプロパン−1などのアセトフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ−テルなどのベンゾイン系化合物、ジメチルベンジルケタ−ル、アシロホスフィンオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、アセトフェノン系化合物が好ましい。
【0062】
上記した紫外線重合開始剤の配合割合は、不飽和樹脂合計量100重量部当たり、通常、約0.1〜10重量部配合することが好ましい。
【0063】
更に、上記した紫外線重合開始剤による光架橋反応を促進させるために光重合促進剤を配合することができる。具体的には、例えば、トリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン、2−ジメチルアミノエタノ−ルなどの第3級アミン類、トリフェニルホスフィンなどのアルキルホスフィン類、β−チオグリコ−ルなどのチオ−ル類などが挙げられる。
【0064】
光増感剤としては、従来から公知の光増感色素を使用することができる。このものとしては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3ー置換クマリン系、3.4ー置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、フマリン系、ボレート系等の色素が挙げられる。これらのものは1種もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。ボレート系光増感色素としては、例えば、特開平5−241338号公報、特開平7−5685号公報及び特開平7−225474号公報等に記載のものが挙げられる。
【0065】
また、光線の照射源としては、従来から使用されているもの、例えば、電子線、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等の各光源により得られる光源等が挙げられる。熱線としては、例えば半導体レーザー(830nm)、YAGレーザー(1.06μm)、赤外線等が挙げられる。
【0066】
光(熱)カチオン重合型樹脂塗料:
該塗料としては、光カチオン重合性化合物が、光カチオン重合開始剤、光増感剤のもとで光を照射して架橋または重合反応によって高分子量化する塗料である。
【0067】
光(熱)カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、スチレン類、ビニル化合物、ビニルエーテル類、スピロオルソエステル類、ビシクロオルソエステル類、スピロオルソカーボナート類、環状エーテル類、ラクトン類、オキサゾリン類、アジリジン類、シクロシロキサン類、ケタール類、環状酸無水物類、ラクタム類、アルコキシシラン化合物類およびアリールジアルデヒド類などがあげられる。
【0068】
エポキシ化合物としては、従来、公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などがあげられる。
【0069】
芳香族エポキシ化合物の例としては、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能エポキシ化合物や、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルであって、例えばビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物またはビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル類、ノボラック型エポキシ樹脂類(例えば、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等)、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0070】
脂環式エポキシ化合物としては、4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ノルボルネンモノエポキサイド、リモネンモノエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、2,2−ビス〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル〕ヘキサフルオロプロパン、BHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂(軟化点71℃)などがあげられる。
【0071】
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグルシジルエーテル、アリルグルシジルエーテル、2−エチルヘキシルグルシジルエーテルなどがあげられる。
【0072】
スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレンなどがあげられる。ビニル化合物としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどがあげられる。
【0073】
ビニルエーテル類としては、例えばn−(またはiso−、t−)ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングルコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングルコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルグリコール、ネオペンチルグリコールモノビニルグリコール、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジグリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)プロパンジビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)トリフルオロプロパンジビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、アリルビニルエーテルなどのアルケニルビニルエーテル類、エチニルビニルエーテル、1−メチル−2−プロペニルビニルエーテルなどのアルキニルビニルエーテル類、4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、フェノキシエチレンビニルエーテル、p−ブロモフェノキシエチレンビニルエーテルなどのアリールビニルエーテル類、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、N−m−クロロフェニルジエタノールアミンジビニルエーテル、m−フェニレンビス(エチレングリコール)ジビニルエーテルなどのアラルキルジビニルエーテル類、ウレタンポリビニルエーテル(例えば、ALLIED−SIGNAL社製、VECtomer2010)などをあげることができる。
【0074】
スピロオルソエステル類としては、1,4,6−トリオキサスピロ(4,4)ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ(4,4)ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ(4,5)デカンなどが、ビシクロオルソエステル類としては、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ(2,2,2)オクタン、1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ(2,2,2)オクタンなどが、スピロオルソカーボネート類としては、1,5,7,11−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどのような環状エーテル類があげられる。
【0075】
環状エーテル類としては、オキセタン、フェニルオキセタンなどのオキセタン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのテトラヒドロフラン類、テトラヒドロビラン、3−プロピルテトラヒドロビランなどのテトラヒドロビラン類およびトリメチレンオキサイド、s−トリオキサンなどがあげられる。ラクトン類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチルラクトン、δ−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどがあげられる。オキサゾリン類としては、オキサゾリン、2−フェニルオキサゾリン、2−デシルオキサゾリンなどがあげられる。
【0076】
アジリジン類としては、アジリジン、N−エチルアジリジンなどがあげられる。シクロシロキサン類としては、ヘキサメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサンなどがあげられる。ケタール類としては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン、2−フェニル−1,3−ジオキサン、2,2−ジオクチル−1,3−ジ オキソランなどがあげられる。環状酸無水物類としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸などが、ラクタム類としては、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−カプロラクタムなどがあげられる。またアリールジアルデヒド類としては1,2−ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,2−ナフタレンジアルデヒドなどがあげられる。
【0077】
これらの光カチオン重合性化合物100重量部に対して光増感剤は0.01〜10重量部の範囲で用いるのが望ましく、好ましくは0.1〜5重量部の範囲が望ましい。光増感剤が0.01重量部未満になると硬化性が低下し、一方10重量部を超えると値段が高くなったり耐水性等の塗膜性能が低下したりするので好ましくない。
【0078】
光カチオン重合開始剤としては、従来から公知のものを使用することができる。開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩等が好ましいものとして挙げられる。具体的には、商品名として例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−170(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICAT−II(ダイセル化学工業社製、商品名)、CI−2734、CI−2758、CI−2855(以上、日本曹達社製、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製、商品名)、BBI102(ミドリ化学社製、商品名)等が挙げられる。
【0079】
光カチオン重合剤はこれらの光カチオン重合性化合物100重量部当り、0.01〜20重量部の範囲で用いるのが望ましく、好ましくは0.1〜10重量部の範囲が望ましい。光カチオン重合開始剤が0.01重量部未満になると硬化性が低下し、一方20重量部を超えると値段が高くなったり耐水性等の塗膜性能が低下したりするので好ましくない。
【0080】
活性エネルギー線に使用される光源としては、例えば特に制限なしに超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、タングステン灯等やアルゴンレーザー(488nm)、YAGーSHGレーザー(532nm)、UVレーザー(351〜364nm)に発振線を持つレーザーも使用できる。熱線としては、例えば半導体レーザー(830nm)、YAGレーザー(1.06μm)、赤外線等が挙げられる。
【0081】
第1発明において、上層フィルム(I)と中間層フィルム(II)との層間には、必要に応じて、従来から公知のプラスチックフィルム(透明または不透明のものでよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS等各種合成樹脂フィルム等)、金属フィルム(アルミニウム、金属蒸着膜等)や粘(接)着剤層(天然ゴム、アクリル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、シリコンゴム、弗素ゴム、ポリビニルブチラ−ル等)、印刷層(ポリアミド樹脂、塩化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体などを樹脂成分とし、着色剤、有機溶剤を配合してなるもの)、架橋もしくは非架橋性樹脂着色塗膜層(例えば上記架橋性樹脂塗料(A)や、ポリアミド樹脂、塩化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体などの非架橋性樹脂成分に着色顔料、メタリック顔料、パール顔料などの着色剤を含有するものなどが使用できる。)等のその他の層を設けることができる。これらの層は適宜組合せて使用することができる。上記したその他の層において、印刷層、架橋もしくは非架橋性樹脂着色塗膜層は、特に架橋性樹脂塗料(A)としてクリヤーを使用した際に使用することが好ましい。
【0082】
上層フィルム(I)と中間層フィルム(II)との間の必要に応じて設けられる層を使用する場合には、その膜厚は、特に制限されないが1層もしくは複層のトータル膜厚として、10〜100μm、特に20〜80μmの範囲内が好ましい。
【0083】
第1発明で使用する中間層フィルム(II)は、熱可塑性樹脂(B)により形成され、そして形成されたフィルム(II)は引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.050mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)50〜1000%の範囲のものである。
【0084】
引張り破断伸び率は、長さ200mm、幅10mm、厚み0.050mmの試料(単離フィルム)を−10℃の測定温度で引張速度200mm/分で測定したときの値である。該測定機としては、例えば、恒温槽付万能引張試験機(島津製作所オートグラフS−D型)を使用して測定することができる。
【0085】
本明細書において、引張り破断伸び率は、[(破断した時の試料の長さ(mm)−元の試料の長さ(mm))/元の試料の長さ(mm)]×100(%)を示す。
フィルム(II)の引張り破断伸び率が50%未満になると、3次曲面への追従性が悪く貼付作業性が劣り、一方、1000%を超えると 少しの張力で伸びすぎて貼付作業性が劣るといった欠点がある。
【0086】
また、中間層フィルム(II)は、常温(20℃)で実質的に粘着性がないことが好ましい。具体的には、ガラス転移温度が−40℃〜80℃、特に−20℃〜40℃の範囲が好ましい。ガラス転移温度が−40℃未満になると、粘着性が高くなり取り扱いが困難となり、一方、ガラス転移温度が80℃超えると伸び率が低下し加工性等が劣るので好ましくない。
【0087】
フィルム(II)は上記した条件を満足するものであれば特に制限なしに従来から公知の熱可塑性樹脂により形成されたものを使用することができるが、特に水性ウレタン樹脂エマルションにより形成されたものを使用することが、上記した破断伸び率の点、溶媒として水を使用しているので無公害・安全・衛生的である等の観点から好ましい。
【0088】
該水性ウレタン樹脂エマルションとして特に有用なるものとしては、種々な方法で製造され得るものである。当該水性ウレタン樹脂エマルションの一般的なる調製法としては、イオン性の官能基(反応性極性基)を有する化合物を、ウレタン化反応の際に、一部、共重合せしめて得られる、いわゆる親水基含有イソシアネート末端プレポリマーを、水に分散せしめ、次いで、アミン類で以て鎖伸長せしめるという方法が知られている。
【0089】
用いられる上記の親水基含有イソシアネート末端プレポリマーとしては、従来公知のポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物とから製造されるようなものである。
【0090】
ポリイソシアネート化合物としは、例えば、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;4・4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環族ジイソシアネ−ト;キシリレンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ポリフェニルメタンジイソシアネ−ト(以下ポリメリックMDI)などの芳香族ジイソシアネ−ト;及びこれらのイソシアヌレ−ト体やビュウレット体等の類似の化合物が挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して使用できる。
【0091】
イソシアネート末端プレポリマーの製造において用いられる、上記したイソシアネート基と反応し得る活性水素を含有する化合物としては、平均分子量300〜10,000、好ましくは、500〜5,000なる範囲内の、いわゆる高分子量化合物と、分子量が300以下なる、いわゆる低分子量化合物とに分けられる。
【0092】
そのうち、高分子量化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオールまたはポリチオエーテルポリオールなどが、特に代表的なものである。
【0093】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレンングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量が300〜6,000なる範囲内のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAまたはハイドロキノン、あるいはそれらのアルキレンオキシド付加体などのような、各種のグリコール成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸または1,2−ビス(フェノキシ)エタンーp,p’−ジカルボン酸、あるいはそれらの各種ジカルボン酸の無水物類またはエステル形成性誘導体類;p−ヒドロキシ安息香酸またはp−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはそれらの各種ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などのような、各種の酸成分とからの脱水縮合反応によって得られるポリエステルのほかに、ε−カプロラクトンの如き、各種の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル類、あるいはそれらの共重合ポリエステル類などが特に代表的なものである。
【0094】
ポリエーテルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリデリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプエロパン、ソルビトール、しょ糖、アコニット糖、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタール酸または1,2,3−プロパントリチオールの如き、少なくとも2個の活性水素原子を有する各種の化合物の1種または2種以上を、開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランまたはシクロヘキシレンの如き、各種のモノマーの1種または2種以上をも用いて、常法により、付加重合した形のものが、特に代表的なものである。
【0095】
ポリカーボネートポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはジエチレングリコールの如き、各種のグリコール類と、ジフェニルカーボネートまたはホスゲンとの反応によって得られるような化合物が、特に代表的なものである。
【0096】
一方、低分子量化合物とは、分子量が300以下なる、分子内に少なくとも2個以上の活性水素を有する化合物を指称するものであって、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリエステルポリオールの原料として用いた、各種のグリコール成分;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトールまたはペンタエリスリトールの如き、各種のポリヒドロキシ化合物;あるいはエチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラミンの如き、各種のアミン化合物などである。
【0097】
そして、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中に親水基を導入せしめる方法としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素を有し、かつ、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホネート基またはエチレンオキサイドの繰り返し単位を有する親水基含有化合物の少なくとも1種以上を、プレポリマーの製造時に、共重合せしめるという方法などが挙げられる。
【0098】
かかる親水基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸の如き、各種のスルホン酸含有化合物類、あるいはそれらの各種誘導体類をはじめ、それらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオール類;2,2−ジメチロ−ルプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸の如き、各種のカルボン酸含有化合物類、あるいはそれらの各種誘導体類をはじめ、さらには、それらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオール;あるいは少なくとも30重量%以上の、エチレンオキシドの繰り返し単位を有し、かつ、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素を有する、しかも、分子量が300〜10,000なる、ポリエチレン−ポリアルキレン共重合体の如き、各種のノニオン基含有化合物類またはそれらを共重合せしめて得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどが特に代表的なものであり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよいが、本発明において、特に好ましい親水基含有化合物としては、カルボキシル基含有化合物類;あるいはその誘導体類またはそれらを共重合せしめて得られるポリエステルポリオールなどである。
【0099】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中の親水基の含有量としては、カルボキシル基、スルホン酸基またはスルホネート基などの親水基の場合には、最終的に得られるポリウレタン樹脂の固形分100部当り、少なくとも0.01当量以上、好ましくは、0.01〜0.2当量なる範囲内が適切であり、また、ノニオン基含有化合物の場合には、最終的に得られるポリウレタン樹脂の固形分当り、少なくとも3重量%以上、好ましくは、5〜30重量%なる範囲内が適切である。
【0100】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマーは、従来公知の方法で製造され、たとえば、前掲した如き、各種のポリイソシアネート化合物と、活性水素含有化合物(親水基含有化合物をも含む。)とを、イソシアネート基と活性水基との当量比が、1.1:1〜3:1、好ましくは、1.2:1〜2:1となるような比率で、20〜120℃にて、好ましくは、30〜100℃にて反応せしめるというような方法に従って行われる。
【0101】
ポリアミン系鎖伸長剤として特に代表的なものとしては、エチレンジアミン、1,2ープロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチルー4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンもしくは1,4−シクロヘキサンジアミンの如き、各種のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンもしくはトリエチレンテトラミンの如き、各種のポリアミン類;ヒドラジン類;または酸ヒドラジド類;あるいは水などであり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0102】
当該ポリアミン系鎖伸長剤は、水性ウレタン樹脂エマルションを得るために必要なる、分散媒としての水に溶解させて使用され、また、その使用量としては、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中のイソシアネート基に対して、当量比で、0:1〜1:1なる範囲、好ましくは、0.6:1〜0.98:1なる範囲内が適切である。
【0103】
使用する水の量は、プレポリマーと水相との混合後に、O/W型の水分散体になるだけの最低限の量があればよく、ポリウレタン樹脂の固形分に対して100〜1,000重量%なる範囲内が適切である。
【0104】
親水基含有イソシアネート末端プレポリマーの親水基がカルボキシル基である場合には、カルボキシル基を中和するために必要な中和剤として、トリメチルアミンまたはトリエチルアミンの如き、各種の三級アミン類を、カルボキシル基に対して、当量比で、0.5:1〜1.5:1なる範囲内、好ましくは、1:1〜1.3:1なる範囲内が適切であり、かかる割合で以て、上述したポリアミン系鎖伸長剤の水溶液中に含有せしめる必要がある。
【0105】
かかる中和剤は、親水基含有イソシアネート末端プレポリマー中に、予め、添加することも出来るが、これらの三級アミン類は、ウレタン化反応の強力なる触媒でもある処から、副反応を起こし易く、加えて、プレポリマーが着色し易くなる処から、好ましくない。
【0106】
水性ウレタン樹脂エマルションは、通常、アミン類との鎖伸長反応が完結する前に、あるいは、この鎖伸長反応が完結してから、次の脱溶剤工程に移される。
【0107】
水性ウレタン樹脂エマルションとしては、商品名としては、例えばスーパーフレックス410、同左420、同左600、同左150、同左126、同左107M、スーパーフレックスE―2500(以上、第1工業製薬株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0108】
水性ウレタン樹脂エマルション中には必要により補助配合剤を含有させることができる。補助配合剤としては、たとえば染料、顔料、無機充填剤、有機改質剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、架橋剤、その他添加剤などが挙げられる。染料としては直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、金属錯塩染料などが挙げられる。顔料としては、カ−ボンブラック、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ、紺青などの無機顔料およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系アンスラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、フタロシアニン系などの有機顔料などがあげられる。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、ガラス繊維、チタン酸カリウムウイスカーなどが挙げられる。有機改質剤としてはフッ素樹脂系粉末、アクリル樹脂系粉末、シリコーン樹脂系粉末、ポリアミド樹脂系粉末、ウレタン樹脂系粉末などが挙げられる。安定剤としてはヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、燐系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。これら安定剤は耐候性の向上や耐熱劣化防止のための添加剤である。
【0109】
可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどが挙げられる。界面活性剤(整泡剤など)としてはシロキサンオキシアルキレンブロック共重合体などのシリコーン系整泡剤が挙げられる。消泡剤としてはジメチルシロキサン系などのシリコーン系のものが挙げられる。架橋剤としてはアミノ樹脂[メチロール化および/またはアルコキシ化(メチル〜ブチル)された尿素、メラミンなど]、エポキシ化合物[ビスフェノールA型グリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型グリシジルエーテル、エチレングリコール〜ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどのグリシジルエーテルグリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどにアルキレンオキシド(炭素数2〜3)を付加させたもののグリシジルエーテルなど]、ポリエチレン尿素化合物(ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−エチレン尿素など)、ブロックイソシアネート系(たとえばトリメチロ−ルプロパン1モルとヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはトルエンジイソシアネート3モルから合成されるアダクト体;ヘキサメチレンジイソシアネートの水変性物、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートの3量化物などをフェノール、メチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタムなどでマスキングしたブロックイソシアネートなど)、水性ポリイソシアネート系(例えばポリオキシアルキレン[炭素数2〜4]ポリオールとポリイソシアネートとの反応物)などが挙げられる。その他添加剤としては難燃剤、揺変剤、帯電防止剤、殺菌剤等が挙げられる。
【0110】
補助配合剤の添加量は樹脂組成物の重量固形分に対して重量基準で、染料は通常0〜50%、好ましくは0〜20%、顔料、無機充填剤および有機改質剤は通常0〜170%、好ましくは0〜150%、安定剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、可塑剤は通常0〜100%、好ましくは0〜50%、界面活性剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、消泡剤および、その他の添加剤は通常0〜20%、好ましくは0〜10%、架橋剤は通常0〜50%、好ましくは0〜40%である。これらの補助配合剤は通常の攪拌だけによる混合でもよいし、分散混合装置(ボールミル、ニーダー、サンドグラインダー、ロールミル、フラットストーンミルなど)を用いて分散混合することによって得ることもできる。混合する順序はどの順序でもよい。
【0111】
水性ウレタン樹脂エマルションの膜厚は種々変えることが出来るが、通常5〜500μm、好ましくは10〜250μmである。塗布方法はスプレー塗装、刷毛塗り、コテ塗り、ロール塗り、流し塗りおよび浸漬法ナイフコ−タ−、グラビアコ−タ−、スクリ−ン印刷、リバ−スロ−ルコ−タ−、などがある。乾燥は室温ないし加温(たとえば40〜270℃で10秒〜60分)で行うことができる。
【0112】
第1発明において、接合剤層(III)は本発明の塗工シートを被着体に貼り付けるための接合剤である。かかる接着剤としては、例えば、硬化剤を含有する、ビスフェノ−ル型エポキシ樹脂、レゾ−ル型エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アミノプラスト樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、(イソ)ブチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共共重合体、合成ゴム、天然ゴムなどから選ばれた1又は2種以上の樹脂を含む熱硬化性又は熱可塑性の接着剤などがあげられる。さらに、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−モノソヂウムソルト、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−トリソヂウムソルトなどのトリアジンチオ−ル系化合物も接着剤として使用することができる。これらの接合剤としては、種類に応じて、感圧性粘着剤、感熱接着剤、硬化タイプの接着剤として使用することができる。
【0113】
接合剤層(III)の膜厚は、通常1〜100μm、特に5〜50μmの範囲が好ましい。
【0114】
本発明の塗工フィルムは、PVC、アクリル、ポリカーボネートをはじめとする各種プラスチックのフィルム、鋼板、板材等(以下被着体とする)に接合剤(III)面側を貼り合わせることによって、耐候性、耐光性、耐湿性、耐熱性、耐汚染性、撥水性、耐沸騰水性等の機能を被着体表面に付与し、内装建材、外装建材、装飾品、包装用、保護膜、案内、掲示、マーキング、保存用等広範囲な用途に利用できる機能性のあるフィルムにある。
【0115】
なお、本発明の塗工フィルムは、該層の表面にエンボス加工や湿熱条件下での揉み加工などにより微細な凹凸紋(以下、「シボ」と言う)を形成する場合にはシボ形成も上記のようなシボが形成されていてもよい。
【0116】
本発明の塗工フィルムの製造方法は、特に制限なしに製造することができる。具体的には、例えば、ポリプロピレンシ−ト(離型紙)に架橋性樹脂塗料(A)塗装し、架橋させた後、離型紙を必要に応じて剥離した後、片面に熱可塑性樹脂(水性ウレタン樹脂エマルション)を塗装し、乾燥を行い、次いで接合剤を塗装し、剥離紙を剥離していない場合には剥離することにより得られる。また、接合剤面には離型紙を必要に応じて設けることができる。
【0117】
第2発明:
第2発明は、上記した塗工フィルムを、該塗工フィルムの接合剤層(III)が被着体表面に面するように、熱、又は圧力又は熱をかけながら圧力により接合させることを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法である。
【0118】
また、本発明においては、塗工フィルムを、加熱により成型させながら立体面を有する被着体表面に接合させることもできる。また、加熱による成型は、例えば金型や真空成型などの成型機を使用して行うことができる。これらの成型は従来から公知の方法により行うことができる。
【0119】
成型加工温度は、塗工フィルム及びプラスチック材料の種類に応じて適した温度を設定すれば良い。
【0120】
また、成型加工は、例えば、未架橋前の塗工フィルムを接合剤(III)層面がプラスチック成型品の外面に接するように、塗工フィルムを同時に成型加工したのち、塗工フィルムを架橋させることも可能である。
【0121】
第3発明:
第3発明は、プラスチックフィルムに感圧性粘着剤を積層してなるアプリケーションフィルム層(C)、上記上層フィルム(I)、上記フィルム(II)、上記接合剤層(III)及び離型性フィルム層(D)を順次積層してなることを特徴とする転写可能な塗工フィルムである。
【0122】
アプリケーションフィルム層は、プラスチックフィルム(A1)と感圧性粘着剤層(A2)を構成要素とする貼付及び剥離可能なフィルムである。該フィルム(A1)は、20℃での伸び率が200%以上、好ましくは300〜800%で破断強度が100kg/cm以上のプラスチックフィルムの範囲のフィルムである。該フィルム(A1)の伸び率が200%未満になると3次元による加工性が悪く貼付作業性が劣る。該フィルム(A1)の破断強度が100kg/cm未満になるとフィルム(I)の表面にスキージ等により貼り付ける際に、アプリケーションフィルム層(C)とフィルム(I)面との間に泡等を巻き込み易くなり、そのためにフィルム(I)の塗膜外観(ユズ肌、ヘコミ、平滑性等)が悪くなる。また、破断強度は、3次曲面部への貼付が容易におこなうために好ましくは400kg/cm 以下がよい。
プラスチックフィルム(A1)の膜厚は、約50〜200μm、好ましくは約60〜150μmの範囲がよい。
プラスチックフィルム(A1)としては、特にポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が好ましい。
【0123】
粘着剤層(A2)としては、一般的に知られているもの、例えば、天然ゴム系、変性ゴム系、合成ゴム系、ポリアクリル酸エステル系、セルロース系、ポリ酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリエーテル系、ポリビニルブチラール系及びこれらの2種以上の変性樹脂等が挙げられる。
粘着剤層(A2)の膜厚は、約3〜20μm、好ましくは5〜10μmの範囲である。
【0124】
離型性フィルム層(D)は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(E1)の片面に離型処理剤層(E2)を有するフィルムが好ましい。
フィルム(E1)は、離型処理剤層(E2)を有する面は微細な凹凸がないものが好ましい。
フィルム(E1)の膜厚は、約12〜200μm、特に50〜100μmの範囲が好ましい。
【0125】
離型処理剤層(E2)は、フィルム(E1)に付着し、離型処理剤層(E2)と粘着剤層(D)との付着力が、アプリケーションフィルム層(A)とクリヤー層(B)と接着力よりも小さいものが使用される。これにより転写フィルムからアプリケーションフィルムが剥離することなく離型性ポリエチレンテレフタレートフィルム(E)を剥離することができ、被着物にマーキング用転写フィルムの貼付が可能となる。
離型処理剤(E2)は、上記したものであれば従来から公知のものを使用することができるが、特にアミノ樹脂硬化型シリコン変性アルキド樹脂を使用することが好ましい。該樹脂としては、例えば、アルキド樹脂(プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール成分と(無水)フタル酸、isoフタル酸、(無水)マレイン酸等の酸成分と椰子油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油等の油脂類やこれらの脂肪酸とを反応させてなるアルキド樹脂をダウコーニング社製の商品名DCZ−6016、DC3037等、信越化学社製の商品名KRー218、東レシリコン社製の商品名SFー8427等のシリコン中間体で変性してなるシリコン変性アルキド樹脂100重量部にアミノ樹脂を10〜100重量部配合してなるものが挙げられる。該樹脂はトルエン、キシレン、ジイソブチルケトン等の有機溶剤に溶解して使用することができる。
離型処理剤層(E2)の膜厚は、約0.5〜10μm、特に2〜5μmの範囲が好ましい。
【0126】
上記した塗工フィルムにおいて、成型加工させる際には、例えば、未架橋前の塗工フィルムを成型加工したのち、塗工フィルムを架橋させることも可能である。
【0127】
第4発明:
第4発明は、第3発明に記載の塗工フィルムを、該塗工フィルムの接合剤層(III)が被着体表面に面するように、圧力により接合させた後、アプリケーションフィルム層(C)を剥離することを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法である。
【0128】
更に詳しくは、第3発明に記載の塗工フィルムから(E)層を剥離したのち、出現した接合剤層(III)面を被着物面に押し当ててアプリケーションフィルム(C)の上から圧力を加えることにより貼付けることができる。また、貼付後は該フィルム(C)はフィルム(I)面から剥離される。
【0129】
該転写フィルムは、必要に応じて目的とする文字、模様、印等のマークになるようにカット(キスカット)し、次いでマークに不必要な転写フィルムを取り除いたのち、アプリケーションフィルム(C)を貼付ることによりマーク入りの転写フィルムを得ることができる。また、該マークが入った転写フィルムは使用し易いように適当な大きさにカット(ダイカット)することができる。
【0130】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を詳細に説明する。なお実施例及び比較例中の「部」及び「%」は重量基準である。また、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0131】
実施例1
膜厚150μmのポリプロピレンシ−ト(離型紙)にレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚10μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで、レタンPG−80クオーツZ(関西ペイント株社製、商品名、クリヤー)を乾燥膜厚20μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで上記離型紙を剥離してメタリック調の着色フィルム(本発明フィルム層(I)に相当)を製造した。
【0132】
次いで得られた着色フィルムのメタリック塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。
【0133】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
【0134】
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0135】
上記で得られた実施例1の粘着加工した塗工フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0136】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0137】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0138】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0139】
実施例2
上記離型紙にウレタンジアクリレ−ト(ポリエステルジオ−ル“無水フタル酸/ネオペンチルグリコ−ル”1モルにヘキサメチレンジイソシアネ−トを2モル反応させた末端イソシアネ−ト基含有ポリエステルに、更に、該末端イソシアネ−ト基含有ポリエステル1モル当たり2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト2モルを反応させてなる平均分子量約3000オリゴマ−)75重量部、メチルメタクリレ−ト10重量部、ブチルアクリレ−ト10重量部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1のアセトフェノン系開始剤5重量部、2,4−ジメチルチオキサントンのチオキサントン系開始剤4重量部を配合したもの]を膜厚が10ミクロンになるようにスクリ−ン印刷し500mj/cm2の条件で紫外線を照射してクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0140】
次いで、得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0141】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0142】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0143】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0144】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0145】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0146】
実施例3
エポキシ当量950のビスフエノールA型エポキシ樹脂[商品名「エピコート1004」、シエル化学(株)製]1900部をブチルセロソルブ993部に溶解し、ついで、ジエタノールアミン210部を80〜100℃で滴下後、100℃で2時間保持して固形分68%、第1級水酸基当量528、アミン価53をもつ樹脂(A−1)を得た。この樹脂(A−1)110部(固形分75部)に、硬化剤(B成分)としてEHPE3150(ダイセル化学工業(株)製、商品名、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドを用いたシクロヘキサン骨格を持つものエポキシ樹脂、エポキシ当量175〜195)の80%ブチルセロソルブ溶液31部(固形分25部)を配合して(A−B)混合物を得た。
【0147】
一方、上記樹脂(A−1)14.8部に10%ぎ酸水溶液4.4部を加え、撹拌しながら脱イオン水15部を配合した。さらに、チタン白20部、カーボンブラツク1部、キュアゾールC11Z(四国化成工業(株)製)4部を加え、ボールミルで24時間分散後、脱イオン水を配合して固形分50%の顔料ペースト(P−1)を得た。
【0148】
上記(A−B)混合物141部に、10%ぎ酸水溶液12.0部加え、撹拌しながら脱イオン水を配合して固形分30%のエマルジヨン333部を得た。
【0149】
上記した離型紙に該エマルションを塗布し、140℃で20分間乾燥し、20μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0150】
次いで、得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0151】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0152】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0153】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0154】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0155】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0156】
実施例4
窒素ガスを還流した清浄な容器に、亜麻仁油300部、大豆油250部、D・グリセリン20.5部、ペンタエリスリトール78.1部 水酸化リチウム0.05部を仕込み攪拌し乍ら250℃に1時間保持した後、200℃に冷却し、ペンタエリスリトール50部、無水フタル酸300部を仕込み230℃に昇温し、酸価30になるまで4〜5時間反応した後、150℃に冷却し無水フタル酸27部を加えて2時間攪拌後、nーブチルセロソルブ465部、トリエチルアミン75部を加えて良く攪拌し不揮発分65%の粘稠な樹脂液を得た。
【0157】
上記した離型紙に該樹脂液を塗布し、80℃で20分間乾燥し、20μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0158】
次いで、得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0159】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0160】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0161】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0162】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0163】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0164】
実施例5
ソフレックス1630クリア−(関西ペイント(株)、商品名、メラミン硬化型アクリル樹脂系クリア−)を上記した離型紙に該樹脂液を塗布し、80℃で20分間乾燥し、20μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0165】
次いで、得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0166】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0167】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0168】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0169】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0170】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0171】
実施例6
KINO#400クリア−(関西ペイント(株)、商品名、酸エポキシ硬化型アクリル樹脂系クリア−)を上記した離型紙に該樹脂液を塗布し、80℃で20分間乾燥し、20μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0172】
得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0173】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0174】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0175】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0176】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0177】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0178】
実施例7
窒素ガスを還流した清浄な容器に、トルエン85部を仕込み110℃に加熱した後、スチレン10部、メチルメタクリレ−ト20部、イソブチルメタクリレ−ト65部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部の混合液に重合開始剤2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を2部溶解させた溶液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で2時間放置し、トルエンを15部を加えて反応を終了し、冷却して不揮発分50%の粘稠な加水分解性シラン硬化性アクリル樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液のDSC測定によるガラス転移温度は64℃、GPC(ゲルパ−ミッションクロマトグラフ)測定による重量平均分子量は16000だった。
【0179】
得られた樹脂溶液100部にネオスタンU−100(日東化成(株)社製、有機すず化合物)0.01部を混合した溶液をナイフコ−タ−で上記した離型紙に塗装し、80℃で20分間乾燥して膜厚20μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0180】
次いで、得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0181】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0182】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0183】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0184】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0185】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0186】
実施例8
清浄な容器に、脱イオン水242部、Newcol 707SF(第1工業製薬(株)、商品名、固形分30%)2.4部を加え、窒素置換後、80℃に保つ。下記組成のプレエマルションを滴下する直前に0.7部の加硫酸アンモニウムを加え、プレエマルションを3時間にわたって滴下した。
脱イオン水 352部
ダイアセトンアクリルアミド 33部
アクリル酸 3.3部
スチレン 134部
メチルメタクリレ−ト 255部
2−エチルヘキシルアクリレ−ト 147部
n−ブチルアクリレ−ト 98部
Newcol 707SF 64.5部
過硫酸アンモニウム 1.3部
滴下終了後30分より、30分間0.7部の過硫酸アンモニウムを7部を脱イオン水に溶かした溶液を滴下し、さらに2時間80℃に保って不揮発分51%のヒドラジン硬化型アクリルエマルションを得た。
このヒドラジン硬化型アクリルエマルション溶液に、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジドをアンモニア水でpHを8〜9に調整後、カルボニル基1当量に対してヒドラジド基0.3当量混合した溶液をナイフコ−タ−で上記した離型紙に塗装し、80℃で10分間乾燥して膜厚20μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0187】
次いで、得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0188】
この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0189】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0190】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0191】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0192】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0193】
実施例9
窒素ガスを還流した清浄な容器に、トルエン85部を仕込み110℃に加熱した後、スチレン20部、メチルメタクリレ−ト20部、n−ブチルメタクリレ−ト30部、グリシジルメタクリレ−ト30部および重合開始剤2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)4部溶解させた溶液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で5時間放置し、アクリル酸15部、ハイドロキノンモノメチルエ−テル0.05部およびテトラエチルアンモニウムブロマイド0.2部を仕込み、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応し、酸価がほとんど0になったことを確認し、トルエンを35部を加えて反応を終了し、冷却して不揮発分50%の粘稠なラジカル硬化性アクリル樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液のDSC測定によるガラス転移温度は37℃、GPC(ゲルパ−ミッションクロマトグラフ)測定による数平均分子量は5000で、1分子中の不飽和基の平均含有個数は9.0個だった。
次いで、得られた樹脂溶液100部に「イルガキュア184」(チバスペシャリティ−ケミカルズ社製、光ラジカル重合開始剤)2部を混合した溶液をナイフコ−タ−で上記した離型紙に塗装し、1000mj/cm2 の条件で紫外線を照射して膜厚30μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0194】
得られたクリヤー被膜表面にレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0195】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0196】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0197】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0198】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0199】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0200】
実施例10
上記したラジカル硬化性アクリル樹脂溶液100部に「パ−ブチルZ」(日本油脂社、商品名、過酸化物)2部を混合した溶液をナイフコ−タ−で上記した離型紙に塗装し、120℃で10分間乾燥して膜厚30μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0201】
得られたクリヤー被膜表面にレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0202】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0203】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0204】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0205】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0206】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0207】
実施例11
窒素ガスを還流した清浄な容器に、トルエン85部を仕込み110℃に加熱した後、3.4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ−ト40部、メチルメタクリレ−ト20部、n−ブチルメタクリレ−ト40部の混合液に重合開始剤2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を2部溶解させた溶液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で2時間放置し、トルエンを15部を加えて反応を終了し、冷却して不揮発分50%の粘稠なカチオン硬化性アクリル樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液のDSC測定によるガラス転移温度は34℃、GPC(ゲルパ−ミッションクロマトグラフ)測定による数平均分子量は8000で、1分子中のエポキシ基個数は17.6だった。
得られた樹脂溶液100部に「サイラキュアUVI−6990」(ユニオンカ−バイド社製、光カチオン・ラジカル重合開始剤)0.5部を混合した溶液をナイフコ−タ−で上記した離型紙に塗装し、1000mj/cm2 の条件で紫外線を照射して膜厚30μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0208】
得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0209】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0210】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0211】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0212】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0213】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0214】
実施例12
上記したカチオン硬化性アクリル樹脂溶液100部に「サンエイドSI−80L」(日本油脂社、商品名、過酸化物)2部を混合した溶液をナイフコ−タ−で上記した離型紙に塗装し、110℃で10分間乾燥して膜厚20μmのクリヤー被膜(本発明フィルム層(I)に相当)を得た。
【0215】
次いで、得られたクリヤー被膜表面にアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥して着色塗膜を得た。
【0216】
次いで、この着色塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。次いで離型紙を剥離した。
【0217】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0218】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0219】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0220】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0221】
実施例13
上記した離型紙にレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚10μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで、レタンPG−80クオーツZ主剤(関西ペイント株社製、商品名、クリヤー)100部とデュラネ−トMF−K60Xを50部(旭化成製、商品名、ブロックイソシアネ−ト)の混合溶液を乾燥膜厚20μmになるように塗装し80℃で10分間乾燥をおこない、次いで上記離型紙を剥離してメタリック調の着色フィルムを製造した。
【0222】
次いで得られた着色フィルムのメタリック塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。
【0223】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0224】
上記で得られた実施例13の粘着加工した塗工フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。そしてポリプロピレン成型品のクリア−皮膜層を硬化させるために120℃×30分加熱した。(クリア−皮膜層が本発明フィルム層((株))に相当)
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0225】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0226】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0227】
実施例14
膜厚150μmのポリプロピレンシ−ト(離型紙)にレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚10μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで、レタンPG−80クオーツZ(関西ペイント株社製、商品名、クリヤー)を乾燥膜厚20μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで上記離型紙を剥離してメタリック調の着色フィルム(本発明フィルム層(I)に相当)を製造した。
【0228】
次いで得られた着色フィルムのメタリック塗膜表面に下記水性ウレタン樹脂エマルション(a)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。
【0229】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で210%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0230】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0231】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0232】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
水性ウレタン樹脂エマルション(a):
ポリエステルポリオ−ル(ブチレンアジペ−ト、分子量2000)350部、トリメチロ−ルプロパン10.1部、ポリエチレングリコ−ル35部(分子量600)、PO(プロピレンオキサイド)/EO(エチレンオキサイド)ランダム共重合ポリエ−テルポリオ−ル35部(PO/EO=30/70、分子量3400)、及び1,4−ブタンジオ−ル78.3部をメチルエチルケトン400部に添加し溶解した後、イソホロンジイソシアネート310部を系内温度50℃で添加した。その後、ジブチルスズジラウレ−ト0.05部を添加し、徐々に加温して系内温度75℃とした。75℃で60分間反応させた段階でさらにジブチルスズジラウレ−ト0.05部を添加した。その後、反応を続行して75℃/200分経過した時点で冷却し、系内温度50℃とした。50℃に冷却後のウレタンプレポリマ−の遊離イソシアネ−ト基は、2.0%(対固形分)であった。
次に、系内温度45℃にて、ジスチレン化フェノ−ルのエチレンオキサイド付加物であるポリオキシエテレンアリルフェノ−ルエ−テル型非イオン界面活性剤(HLB=15)80部添加し、10分間混合した。その後、系内内容物をホモミキサ−を用いて3000rpmで高速撹拌し、その中へ蒸留水1300部を徐々に添加し、その後、系内温度30℃にて20分間乳化を実施した。
系内温度をさらに20℃に冷却した後、エチレンジアミン10.5部を蒸留水130部に溶解したエチレンジアミン水溶液を添加した。
系内温度を20〜25℃にてコントロ−ルして、60分間ホモミキサ−を用いて3000rpmで撹拌を続行した。
次に、エバポレ−タ−により、使用溶剤であるメチルエチルケトンを減圧回収(湯浴40℃)して水性ウレタン樹脂エマルション(a)を得た。
【0233】
実施例15
膜厚150μmのポリプロピレンシ−ト(離型紙)にレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚10μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで、レタンPG−80クオーツZ(関西ペイント株社製、商品名、クリヤー)を乾燥膜厚20μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで上記離型紙を剥離してメタリック調の着色フィルム(本発明フィルム層(I)に相当)を製造した。
【0234】
次いで得られた着色フィルムのメタリック塗膜表面に下記水性ウレタン樹脂エマルション(b)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。
【0235】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で180%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0236】
実施例1と同様の方法で試験した結果、得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0237】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0238】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
水性ウレタン樹脂エマルション(b):
ポリカ−ボネ−トポリオ−ル(1,6ヘキサンのポリカ−ボネ−ト、分子量2000) 255部にトリメチロ−ルプロパン7.0部および1,4−ブタンジオ−ル57.0部を添加した後、メチルエチルケトン290部を添加して溶解した。
次に、これにイソホロンジイソシアネート260部及びジブチルスズジラウレート0.01部を系内温度50℃で添加し、徐々に加温し、系内温度75℃にて180分間反応を行い、遊離イソシアネート基を5.0%(対固形分)含有するウレタンプレポリマーを得た。次に、これにジメチロールプロピオン酸26.5部及びメチルエチルケトン120部を添加した後、ジブチルスズジラウレート0.07部を添加し、さらにトリエチルアミン9.9部を添加した。これを徐々に加温し、系内温度を50℃まで冷却すると遊離イソシアネート基を1.99%(対固形分)とカルボキシル基とを含有するウレタンプレポリマーが得られた。
次に、これに系内温度50℃でトリエチルアミン9.9部を追加し、残余のカルボキシル基を中和した。その後、蒸留水900部を徐々に添加し、ホモミキサーを用いて3000rpmで攪拌し、乳化操作を系内温度25℃で20分間実施した。
次にエチレンジアミン7.8部を蒸留水80部に溶解したエチレンジアミン水溶液を系内温度25℃で添加し、25℃で60分間攪拌混合した。
その後、エバポレーターにより、使用溶剤であるメチルエチルケトンを減圧回収(湯浴40℃)して水性ウレタン樹脂エマルション(b)を得た。
【0239】
実施例16 (転写フィルムの実施例)
膜厚150μmのポリプロピレンシ−ト(離型紙)にレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚10μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで、レタンPG−80クオーツZ(関西ペイント株社製、商品名、クリヤー)を乾燥膜厚20μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこない、次いで上記離型紙を剥離してメタリック調の着色フィルム(本発明フィルム層(I)に相当)を製造した。
【0240】
得られた着色フィルムのクリア−塗膜面にアプリケションフィルムY37PH((株)サンエ−化研製、商品名、アクリル系粘着剤付きポリプロピレンフィルム)を貼り合わせた。
【0241】
次いでメタリック塗膜表面に水性ウレタン樹脂エマルション(スーパーフレックス410、第1工業製薬(株)、商品名)をナイフコーターで塗装し100℃で10分間乾燥を行い膜厚50μmのウレタン被膜(本発明のフィルム(II)に相当)を形成した。
【0242】
ウレタン被膜の引張り破断伸び率は−10℃で170%であった。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、続いて粘着剤層に離型紙を貼り合わせて転写塗工フィルムを得た。
【0243】
上記した転写フィルムから離型紙を取り除いて粘着層を出現させ、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付けトリミング後、アプリケションフィルムをクリア−塗膜面から取り除いて、メタリック色塗工フィルムが転写されたポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
【0244】
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部および平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0245】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸せきした後、塗工フィルムが貼り付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好だった。
【0246】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼り付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0247】
比較例1
実施例1において、レタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚10μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこなってクリヤー塗膜を形成する方法をアクリック#2000クリア−(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥させて非架橋性クリヤー塗膜を形成した以外は実施例1と同様にして実施例1の積層被膜を得た。
【0248】
実施例1と同様の方法で貼付加工した結果、 得られたポリプロピレン成型品は、曲面部及び平面部ともにシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく外観良好であった。
【0249】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸漬した後、塗工フィルムが貼付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥が見られ悪かった。
【0250】
また、該ポリプロピレン成型品の耐揮発油性を評価するように、ガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼付けられた部分にシワ、フクレ、光沢低下等の欠陥がみられ耐揮発油性が劣った。
【0251】
比較例2
軟質ポリ塩化ビニルフィルムにアクリック#2000メタリック(関西ペイント(株)、商品名、アクリルラッカー塗料)を20μmになるようにスプレー塗装で塗装し、80℃で10分間乾燥させて非架橋性クリヤー塗膜を形成し、次いでレタンPG−80メタリック(関西ペイント株社製、商品名、イソシアネ−ト硬化型アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚10μmになるように塗装し80℃で20分間乾燥をおこなってクリヤー塗膜を形成させて比較例2の積層被膜を得た。
上記で得られた積層フィルムのウレタン被膜面にSKダインA−1310(綜研化学(株)製、商品名、アクリル樹脂系感圧性粘着剤)の主剤300重量部に対してM−5A硬化剤を10重量部加えた混合溶液を塗布し、80℃×2分乾燥して膜厚約25μmの粘着層を形成して、粘着加工した塗工フィルムを得た。
【0252】
上記で得られた比較例2の粘着加工した塗工フィルムを、自動車用ポリプロピレン製サイドミラ−にスキ−ジを用いて伸ばしながら圧着して貼り付け、トリミングしてメタリック色のポリプロピレン成型品(最大伸び率200倍)を製造した。
得られたポリプロピレン成型品は、曲面部及び平面部ともに光沢低下、ワレ等の欠陥が見られ、貼付作業性もフィルムのちぎれが生じ悪かった。
【0253】
該ポリプロピレン成型品を40℃上水に20日間浸漬した後、良好に塗工フィルムが貼付けられた部分の剥がれ、フクレ、光沢低下等の欠陥の異常の有無を調べた結果、いずれも異常がなく良好であった。
【0254】
また、該ポリプロピレン成型品の揮発油性を評価するように、外観が良好な部分を選んでガソリンに5時間浸せき後、2時間室温放置して評価したところ、塗工フィルムが貼付けられた部分にシワ、フクレ、アワ、光沢低下、剥がれ、ワレ等の欠陥がなく良好であった。
【0255】
【発明の効果】本発明のフィルムでは、熱硬化塗膜層が表面層として使用され、一方ウレタン樹脂層が、家具,車両あるいは建造物などへの取付け面として使用される。この取付けに際し、フィルム(II)層は屈曲性、伸びが優れるのでフィルムの取付けによるシワ等の欠陥が生じないので仕上がり外観が優れる。また、貼り付けられた塗工フィルム表面に小石や砂などの外的物がぶつかった際に、フィルム(I)表面は硬度が高いこと及び表面からの衝撃によるエネルギーをフィルム(II)で吸収するために表面硬度が高いにもかかわらず塗膜がワレ、剥がれ等の欠陥を生じることなく耐久性に優れたフィルムの性能を長期間保持できるといった効果がある。また、表面層は架橋型塗膜が形成されるので耐薬品性,耐汚染性,耐摩耗性に優れた性能を発揮する。
【0256】
また、従来のメラミン硬化性樹脂塗料、イソシアネート硬化性樹脂塗料、酸化硬化性樹脂塗料などの架橋性樹脂塗料を基材に基材に、直接塗装しなくても良いので、前もって塗装手段、塗膜性能、意匠性等の塗装目的により好適な方法を選択することができる。塗装により塗装欠陥が生じ難いこと、塗装に必要な塗料が必要以上に消費されることがない、塗装の作業環境や安全衛生上の管理を安全に行うことができる。更に、塗装された塗膜を回収することが容易であり環境汚染の点からも好ましい。
【0257】
伸び率が高度に要求される成型加工(100%以上)においてもフィルムの伸び、張力、屈曲力が優れるので光沢低下やワレ、剥がれのない仕上がり外観に優れた成型加工品が得られる。

Claims (7)

  1. 3種類以上の樹脂フィルムを積層してなるフィルムであって、上層フィルム(I)が架橋性樹脂塗料(A)、及び下層が粘着剤もしくは接着剤で形成された接合剤層(III)であり、そして該層(I)と層(III)との間に、自体実質的に粘着性がなく、引張り破断伸び率(長さ30mm、幅10mm、厚み0.05mmの試料で−10℃において引張速度200mm/分で測定したときの値)が50〜1000%の範囲である熱可塑性樹脂(B)で形成されたフィルム(II)を必須として含有することを特徴とする塗工フィルム。
  2. プラスチックフィルムに感圧性粘着剤を積層してなるアプリケーションフィルム層(C)、上記上層フィルム(I)、上記フィルム(II)、上記接合剤層(III)及び離型性フィルム層(D)を順次積層してなることを特徴とする転写可能な塗工フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂(B)が、水性ウレタン樹脂エマルションで形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工フィルム。
  4. 水性ウレタンエマルションが、ポリイソシアネート化合物と、該ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基と反応し得る活性水素含有化合物とを反応させて親水基含有イソシアネート末端プレポリマーを製造し、次いでこのものを水に分散せしめ、更に、アミン類で以て鎖伸長せしめてなるものであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の塗工フィルム。
  5. 請求項1、3又は4に記載の塗工フィルムを、該塗工フィルムの接合剤層(III)が被着体表面に面するように、熱及び/又は圧力により接合させることを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法。
  6. 請求項1、3又は4に記載の塗工フィルムを、加熱により成型させながら立体面を有する被着体表面に接合させることを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法。
  7. 請求項2に記載の塗工フィルムを、該塗工フィルムの接合剤層(III)が被着体表面に面するように、圧力により接合させた後、アプリケーションフィルム層(C)を剥離することを特徴とする塗工フィルムの貼り付け方法。
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