JP7272894B2 - 防食積層体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、離型性シート上に、粘着剤層、ベースシート層、シリコーン系プライマー層および反応硬化形シリコーン樹脂含有防汚塗料の硬化被膜層を順次積層してなる防汚性貼着シートが開示されている。
エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された防食層(Y)と
を有する、防食積層体。
また、防食層を予め形成しているため、所望の均一な物性を有する防食層を基材上に形成でき、密着性、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる防食層を基材上に形成できる。特に、本発明によれば、可撓性に優れる防食積層体が得られるため、角部分や凹凸面などの平面以外の基材に対しても、防食層を容易に形成することができ、また、基材に変形等が生じた場合であっても、スムーズにその変形に追随して、クラックや剥がれ等が生じにくい防食層を基材上に形成することができる。
本発明に係る防食積層体(以下「本積層体」ともいう。)は、
シリコーン樹脂系粘着層(X)と、
エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された防食層(Y)と
を有する。
シリコーン樹脂系粘着層(X)としては、ポリシロキサン構造を有する層であれば特に制限されず、本発明の効果を損なわない範囲で、公知のシリコーンレジンおよび/またはシリコーンゴムを含むシリコーン樹脂系粘着層を採用することができる。
このような粘着層(X)は、耐熱性や耐寒性に優れ、使用可能温度の広さ、防食層(Y)との密着性、および耐水性や耐薬品性に優れる等の点から、シロキサンに有機基が結合したポリオルガノシロキサン、特に、シロキサンに有機基が2つ結合したポリジオルガノシロキサンを含む層であることが好ましい。
粘着層(X)がポリオルガノシロキサンを含有する場合、該ポリオルガノシロキサンは、1種でもよく、2種以上でもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、密着性、耐久性等の点から、メチル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、反応性等の点から、ビニル基が好ましい。
また、前記ポリオルガノシロキサンは、水酸基等の各種官能基が導入されていてもよく、具体的には、両末端に水酸基を有する樹脂が挙げられる。
前記過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化-p-クロロベンゾイル、過酸化-2,4-ジクロロベンゾイル、過酸化ジ-t-ブチルが挙げられる。
前記粘着剤中の過酸化物の含有量は、ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.5~2.5質量部である。
前記粘着剤中の金属触媒の含有量は、ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.5~1.5質量部である。
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した有機基としては、アルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられるが、合成および取り扱いが容易なことから、メチル基が好ましい。
なお、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおけるシロキサン骨格の構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
前記粘着剤中のシロキサン系架橋剤の含有量は、ポリオルガノシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.3~10質量部である。
防食層(Y)は、エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された層である。
該防食層(Y)は、粘着層(X)との密着性、防食性および可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる。
これら主剤成分、硬化剤成分およびその他の成分は、通常、それぞれ別個の容器にて保存、貯蔵、運搬等され、使用直前に混合して用いられる。
エポキシ樹脂(A)としては特に制限されないが、分子内に2個以上のエポキシ基を含むポリマーまたはオリゴマー、および、そのエポキシ基の開環反応によって生成するポリマーまたはオリゴマーが挙げられる。
組成物(y)に用いるエポキシ樹脂(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
これらの中でも、粘着層(X)に対する密着性に優れる防食層(Y)を容易に形成できる等の点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、さらにはビスフェノールA型またはビスフェノールF型のエポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
なお、フィルム成形性とは、組成物(y)の塗装作業性の点で、粘度調整等のために含まれる溶剤含有量が多くなると、防食層(Y)の製造時に発泡やピンホールが生じやすくなる傾向にあるため、防食層(Y)の塗膜欠陥の生じ難さを表すものである。
なお、前記エポキシ当量の値は、エポキシ樹脂の固形分当たりのエポキシ当量のことをいう。
該市販品としては、常温(15~25℃の温度、以下同様。)で液状のものとして、「E-028」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量180~190、粘度12,000~15,000mPa・s/25℃)、「jER807」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量160~175、粘度3,000~4,500mPa・s/25℃)等が挙げられる。常温で半固形状のものとして、「jER834」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量230~270)等が挙げられる。常温で固形状のものとして、「jER1001」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450~500)、「jER1004」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量875~975)、「jER1007」(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量1750~2200)等が挙げられる。
また、前述の半固形状または固形状のエポキシ樹脂を溶剤で希釈し、溶液とした「E-834-85X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(834タイプエポキシ樹脂溶液)、エポキシ当量255)、「E-001-75X」(大竹明新化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のキシレン溶液(1001タイプエポキシ樹脂溶液)、エポキシ当量475)、「EPICLON N-740-80X」(DIC(株)製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液)等も使用することができる。
組成物(y)の不揮発分100質量%に対するエポキシ樹脂(A)の含有量は、前記と同様の理由から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
また、組成物(y)が主剤成分と硬化剤成分とからなる2成分型の組成物である場合、エポキシ樹脂(A)は主剤成分に含まれ、該主剤成分中のエポキシ樹脂(A)の含有量は、前記と同様の理由から、好ましくは5~80質量%、より好ましくは5~50質量%である。
JIS K 5601-1-2:2008に従って、組成物(y)(2成分型の組成物の場合、主剤成分と硬化剤成分とを混合した直後の組成物)1±0.1gを平底皿に量り採り、質量既知の針金を使って均一に広げ、23℃で24時間放置後、110℃で1時間、常圧下で乾燥させ、加熱残分および針金の質量を量ることで算出する。
アミン系硬化剤(B)は、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であり、より可撓性(高屈曲性、高伸び率)に優れる防食層を形成できる等の点から、モノまたはポリアルキレングリコールのジアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であることが好ましい。
組成物(y)に用いるアミン系硬化剤(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
ジアミノアルキルエーテルとしては特に制限されないが、アルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~5である。
該不飽和脂肪酸としては、カルボキシ基の炭素原子も含む炭素原子数が、好ましくは12~24個であり、より好ましくは16~18個であり、かつ、1分子中に不飽和結合を1個または2個以上有するカルボン酸が望ましい。このような不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、エライジン酸等の不飽和結合を1個有する脂肪酸;リノール酸等の不飽和結合を2個有する脂肪酸;リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和結合を3個以上有する脂肪酸が挙げられる。さらに、動植物から得られる脂肪酸も用いることができ、該脂肪酸としては、例えば、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸が挙げられる。
なお、前記アミン系硬化剤(B)の活性水素当量の値は、アミン系硬化剤(B)の固形分当たりの活性水素当量のことをいう。
後述のシランカップリング剤としては、反応性基としてアミノ基やエポキシ基を有するシランカップリング剤を使用することができるため、反応性基の種類によって、該シランカップリング剤がエポキシ樹脂(A)に対して反応性を有するのか、アミン系硬化剤(B)に対して反応性を有するのかを判断し、反応比を算出する必要がある。
体質顔料(C)としては特に限定されないが、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、マイカ、アルミニウム粉、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、クレー、カオリン、ベントナイト、カリ長石、ナトリウム長石、ガラスフレーク、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、石膏、ウォラストナイト、および、ロックウールやガラス繊維などの繊維状フィラーが挙げられる。これらの中でも、タルク、シリカ、マイカ、アルミニウム粉、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、カリ長石、ナトリウム長石、石膏が好ましく、特に、吸油量が少なく、組成物(y)の粘度調整とVOC低減化が容易となる点、塗膜硬度の高い防食層(Y)を容易に得ることができる等の点から、カリ長石、ナトリウム長石がより好ましい。
組成物(y)に用いる体質顔料(C)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
得られる防食層の柔軟性等を向上させることができる等の点から、組成物(y)は、液状炭化水素樹脂、水酸基含有液状樹脂およびフェノール骨格を有する液状化合物からなる群より選択される1種以上を含む液状化合物(D)を含有することが好ましく、該化合物(D)としては、フェノール骨格を有する液状化合物が好ましい。
前記水酸基含有液状樹脂としては、水酸基を有している液状の樹脂であれば特に制限されないが、例えば、キシレン系樹脂、ジシクロペンタジエン-アリルアルコール共重合樹脂が挙げられる。
フェノール変性炭化水素樹脂中におけるフェノール類の含有量は、硬化性や靭性に優れ、低吸水率の防食層を容易に得ることができる等の点から、好ましくは5~50質量%であり、かつ、該樹脂1分子当り平均1~3個のフェノール類が付加した樹脂であることが好ましい。
組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来の防食塗料組成物等に配合されてきた、前記(A)~(D)以外のその他の添加剤を含有していてもよい。
該その他の添加剤としては、例えば、反応性希釈剤、シランカップリング剤、前記(D)以外のその他の可塑剤、アクリレート化合物、前記(C)以外のその他の顔料、タレ止め剤(沈降防止剤)、前記(B)以外のその他の硬化剤、硬化促進剤、無機脱水剤(安定剤)、分散剤、消泡剤、防汚剤が挙げられる。
組成物(y)に用いるその他の添加剤はそれぞれ、1種でもよく、2種以上でもよい。
応性希釈剤を用いることで、組成物(y)の低温での硬化促進作用を向上させることができる。
応性希釈剤としては、エポキシ基を含有する応性希釈剤であることが好ましい。該エポキシ基含有反応性希釈剤としては、25℃における粘度が500mPa・s以下のエポキシ化合物であれば特に制限されず、単官能型であっても、多官能型であってもよい。
シランカップリング剤を用いることで、得られる防食層(Y)の粘着層(X)への密着性をさらに向上させることができるのみならず、得られる防食層の耐塩水性等の防食性をも向上させることができる。
シランカップリング剤の含有量が前記範囲にあると、組成物(y)の粘度を低減できるため、塗装作業性が向上するだけでなく、得られる防食層(Y)の粘着層(X)に対する密着性および防食性が向上する。
組成物(y)は、その硬化速度を向上させる等の点から、アクリレート化合物を含んでいてもよい。
前記アクリレート化合物としては、例えば、単官能または多官能の脂肪族(メタ)アクリレートモノマー、単官能または多官能の芳香族(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。
組成物(y)は、前記体質顔料(C)以外のその他の顔料を含むことが好ましい。
該その他の顔料としては特に制限されず、従来公知の顔料を用いることができ、具体的には、着色顔料、防錆顔料等が挙げられる。
PVC[%]=組成物(y)中の全ての顔料の体積の合計×100/組成物(y)中の不揮発分の体積
前記タレ止め剤(沈降防止剤)としては、Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの有機粘土系ワックス、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等、従来公知のものを使用できるが、中でも、アマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックスおよび有機粘土系ワックスが好ましい。
組成物(y)は、防食性のさらなる向上等の点から、前記アミン系硬化剤(B)以外のその他の硬化剤を用いてもよい。
前記アミン系硬化剤(B)以外のその他の硬化剤としては特に制限されず、従来公知の硬化剤を使用することができるが、アミン系硬化剤(その他のアミン系硬化剤)が好ましい。
この芳香族系アミン硬化剤として、より具体的には、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
なお、前記その他のアミン系硬化剤の活性水素当量の値は、その他のアミン系硬化剤の固形分当たりの活性水素当量のことをいう。
その他の硬化剤の使用量が前記範囲にあると、防食性に優れ、適度の可撓性(塗膜の伸び率)と耐屈曲性とを有し、しかも経済的に低コストな防食層を容易に得ることができる。
組成物(y)は、硬化速度の調整、特に促進に寄与できる硬化促進剤を含むことが好ましい。
前記硬化促進剤としては、例えば、三級アミン類が挙げられ、具体的には、例えば、トリエタノールアミン、ジアルキルアミノエタノール、トリエチレンジアミン[1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン]、2,4,6-トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール(例:「バーサミンEH30」(ヘンケル白水(株)製)、「Ancamine K-54」(エボニックジャパン(株)製))が挙げられる。
組成物(y)は、製膜性等の点から、溶剤を含有していてもよい。
前記溶剤としては特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ブチルセロソルブ等のエーテル系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、イソプロパノール、n-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール系溶剤、ミネラルスピリット、n-ヘキサン、n-オクタン、2,2,2-トリメチルペンタン、イソオクタン、n-ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
組成物(y)は、前記各種成分を混合すればよく、この混合の際には、公知の混合機、攪拌機等を用いることができる。
前記各種成分は、所定の量となるように、一度にまたは分割して混合すればよく、この際には、任意の順序で加えればよいが、各成分の反応性を考慮して、主剤成分と、硬化剤成分とを調製し、防食層(Y)を形成する直前にこれらを混合することが好ましい。
本積層体は、防食性が求められる基材に用いられ、特に、VOCが籠もりやすい箇所を防食したい時に好適に使用される。
本積層体を用いて、基材全面を防食することも可能であるが、本積層体は、特に、補修用途に好適に使用される。
なお、本発明において、シート状、フィルム状、テープ状、帯状、短冊状等は、特に区別しているわけではない。
また、本積層体が前記板状体である場合、その積層方向見た場合(平面図)の形状も特に制限されず、例えば、多角形、(楕)円形が挙げられるが、好ましくは四角形である。
破断伸び率が前記範囲にある本積層体は可撓性に優れるといえ、このような本積層体を用いることで、角部分や凹凸面などの平面以外の基材に対しても、防食層を容易に形成することができ、また、基材に変形等が生じた場合であっても、スムーズにその変形に追随して、クラックや剥がれ等が生じにくい防食層を得ることができる。
前記その他の層としては、例えば、防汚塗料組成物より形成された防汚層、離型層、耐候性塗料組成物より形成された耐候層が挙げられる。これらのうち、離型層以外の層を用いる場合、該層は、防食層(Y)の粘着層(X)とは反対側に設けることが好ましい。なお、本積層体を基材に配置固定(貼着)した後、配置固定した本積層体上に、防汚塗料組成物等の組成物から塗膜を形成してもよい。前記離型層は、粘着層(X)の防食層(Y)とは反対側に設けることが好ましく、この場合、該離型層を粘着層(X)から剥離して、本積層体を基材に配置固定(貼着)することができる。
該離型層付き防食積層体は、粘着層(Y)に接した離型層を有することが好ましく、本積層体の最外層の両面に離型層を有することがより好ましい。
なお、該離型層としては特に制限されず、従来公知の離型性を有する層を制限なく用いることができるが、例えば、離型性を有する樹脂製フィルム、所定の支持体を離型剤等で処理することで得られる離型性を付与した支持体が挙げられる。
本積層体の製造方法としては特に制限されず、例えば、
(I)離型層上に、粘着剤を用いて粘着層(X)を形成した上に、または、市販の粘着シート(粘着層(X))上に、組成物(y)を用いて防食層(Y)を形成する方法、
(II)離型層上に、組成物(y)を用いて防食層(Y)を形成し、その上に、粘着剤を用いて粘着層(X)を形成する、または、市販の粘着シート(粘着層(X))を配置する方法、
(III)Tダイフィルム成形法やインフレーションフィルム成形法等の公知の多層フィルム成形方法により、粘着剤と組成物(y)とを共押出しする方法、
が挙げられる。
これらの中でも、防食層(Y)や粘着層(X)の有する機能がより発揮される積層体を容易に得ることができる等の点から、(II)の方法が好ましい。
なお、前記(I)や(II)の方法で得られる積層体は、離型層を剥離して本積層体としてもよいし、離型層を剥離せず、そのまま離型層付き防食積層体としてもよい。
前記乾燥(硬化)は、常温下で行ってもよく、加熱下で行ってもよい。
乾燥(硬化)の際の温度としては、好ましくは80~150℃、より好ましくは80~130℃が挙げられ、乾燥(硬化)の際の時間としては、好ましくは1~10分、より好ましくは3~5分が挙げられる。
乾燥(硬化)の際の温度としては、好ましくは60~150℃、より好ましくは80~130℃が挙げられ、乾燥(硬化)の際の時間としては、好ましくは1~60分、より好ましくは1~30分が挙げられる。
本積層体は、防食性が求められる基材の少なくとも一部の表面に配置固定、具体的には、貼着して、防食被膜付き基材として使用される。つまり、防食被膜付き基材の製造方法は、基材の少なくとも一部の表面に、本積層体、または、前記離型層付き防食積層体から離型層を剥離した本積層体を配置固定、具体的には、貼着する工程を含む。
この場合、通常、本積層体の粘着層(X)が基材に接するように配置固定される。
該鉄鋼基材としては、例えば、鉄鋼構造物、具体的には、船舶、海洋構造物、プラント、橋梁、タンク等の基材が挙げられる。
エポキシ樹脂1(注1)5質量部、エポキシ樹脂2(注2)11質量部、反応性希釈剤(注4)3質量部、シランカップリング剤(注5)1質量部、フェノール変性炭化水素樹脂(注6)12質量部、脂肪族アクリレート(注7)0.5質量部、タルク(注8)26質量部、カリ長石(注9)18質量部、チタン白(注10)6質量部、黄色弁柄(注11)1.5質量部、雲母(注12)5質量部、タレ止め剤(注15)1.5質量部、キシレン 6.5質量部、n-ブタノール 2質量部、および、1-メトキシ-2-プロパノール 1質量部を、ハイスピードディスパーを用い、56~60℃で混合した後、30℃以下まで冷却することで、主剤成分を調製した。
離型紙上に、得られた防食塗料組成物を乾燥膜厚が300μmとなるように、フィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分乾燥(硬化)させることで、防食層(Y)を形成した。
表1に示す各成分を、表1に示す量で用いた以外は、実施例1と同様にして、防食塗料組成物を調製し、調製した防食塗料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、積層防食シートおよび防食被膜付き試験板を作製した。
なお、表1中の数値は質量部を示す。表1中の各成分の詳細を表2に示す。
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下装置、加熱冷却ジャケットおよび攪拌機を備えた反応容器に、メチルエチルケトン30質量部を仕込み、窒素気流下で80±5℃の温度条件に保持しつつ、滴下装置より、2-エチルヘキシルアクリレート((株)日本触媒製、「AEH」)90質量部、アクリル酸(東亜合成(株)製、「98%アクリル酸」)10質量部、重合開始剤として2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)((株)日本ファインケム製、「ABN-V」)1質量部、および、メチルエチルケトン16質量部からなる混合物を1時間かけて滴下した。その後、同温度で1時間撹拌を行った後、減圧蒸留によってメチルエチルケトンを除去し、2-エチルヘキシルアクリレート((株)日本触媒製、「AEH」)90質量部およびアクリル酸(東亜合成(株)製、「98%アクリル酸」)10質量部を加えてアクリル系モノマー混合物を得た。
製造例1で得られたアクリル系モノマー混合物100質量部に対して、光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASFジャパン(株)製、「イルガキュア651」)0.1質量部、架橋剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(MIWON Specialty Chemical社製、「MIRAMER M200」)0.5質量部を添加し、十分に混合した混合物を、隙間0.2mmのフィルムアプリケーターを用いて、前記実施例1と同様にして形成した防食層(Y)の上に塗装し、さらに紫外線ランプ(水銀灯)により紫外線を照射(紫外線照度:50mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)することにより、平均厚さ50μmの粘着層を形成し、積層防食シートを得た。得られた積層防食シートを用い、実施例1と同様にして防食被膜付き試験板を作製した。
前記実施例1と同様にして形成した防食層(Y)の上に、粘着層として、ポリエステル系粘着シート(ユニチカ(株)製、「XP-1586-45EA」、平均厚さ50μm)を貼り付けることで、積層防食シートを得た。得られた積層防食シートを用い、実施例1と同様にして防食被膜付き試験板を作製した。
作製した積層防食シートを、JIS K 5600-5-1:1999「耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」に準拠した円筒型マンドレル屈曲試験器(オールグッド(株)製)を用い、マンドレルの直径を変えながら、用いたマンドレルにおいて、積層防食シートに割れの発生の有無や、粘着層(X)と防食層(Y)との間での剥がれの有無を目視で確認し、以下の基準に従って耐屈曲性を評価した。結果を表3に示す。
評価結果が3以上の場合、積層防食シートの製造、輸送、施工等の際に必要とされる耐屈曲性を有するといえる。
5:直径2mmのマンドレルを用いた場合でも、割れおよび剥がれが生じなかった。
4:直径2mmのマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じたが、直径4mm以上のマンドレルを用いた場合には、割れおよび剥れが生じなかった。
3:直径4mmのマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じたが、直径6mm以上のマンドレルを用いた場合には、割れおよび剥れが生じなかった。
2:直径6mmのマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じたが、直径8mm以上のマンドレルを用いた場合には、割れおよび剥れが生じなかった。
1:直径10mm以上のマンドレルを用いた場合に、割れおよび/または剥がれが生じた。
破断伸び率の測定「JIS K 7161:2014」に準拠し、作製した積層防食シートの破断伸び率を測定した。具体的には以下のようにして行った。
作製した積層防食シートを切断することで、1B形のダンベル形試験片を作成し、得られた試験片を80℃で4時間強制乾燥(硬化)させた後、テンシロン(Tensilon)試験機を使用して、破断伸び率(%)を測定した。結果を表3に示す。
(1)耐塩水性試験
防食被膜の耐塩水性を、JIS K 5600-6-2:2016に準拠して測定した。具体的には以下のようにして行った。
作製した防食被膜付き試験板を、40℃の3%塩水中に180日間浸漬した後、防食被膜の外観および防食被膜下の鋼板の状態を以下の基準に従って評価した。なお、防食被膜下の鋼板の状態は、カッターナイフ等により1cm2の防食被膜を除去し、鋼板素地を露見させた箇所における錆の占める面積を評価した。結果を表3に示す。
5:防食被膜外観にフクレおよび剥がれがなく、防食被膜下(鋼板上)に錆の発生がない。
4:防食被膜外観にフクレおよび剥がれはないが、防食被膜下(鋼板上)の1%未満に錆が見られる。
3:防食被膜外観にフクレおよび剥がれはないが、防食被膜下(鋼板上)の1%以上5%未満に錆が見られる。
2:防食被膜外観の5%未満にフクレおよび/または剥がれが見られる、または、防食被膜下(鋼板上)の5%以上20%未満に錆が見られる。
1:防食被膜外観の5%以上にフクレおよび/または剥がれが見られる、または、防食被膜下(鋼板上)の20%以上に錆が見られる。
防食被膜の耐湿性を、JIS K 5600-7-2:1999に準拠して測定した。具体的には以下のようにして行った。
防食被膜付き試験板を、温度50℃、湿度95%の試験機内に180日間保持した後、防食被膜の外観および防食被膜下の鋼板の状態を、前記耐塩水性試験と同様の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
耐塩水性および耐湿性の評価結果が、いずれも3以上の場合、積層防食シートに必要とされる防食性を有するといえる。
前記で調製した防食塗料組成物を、離型紙上に、乾燥膜厚が300μmとなるようにフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分間乾燥(硬化)させることで、防食層(60mm×100mm)を形成した。このようにして形成した防食層の外観を以下の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
5:防食層の外観に発泡およびピンホール等の被膜欠陥が見られない。
4:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の1%未満に見られる。
3:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の1%以上5%未満に見られる。
2:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の5%以上20%未満に見られる。
1:形成した防食層全面に対し、発泡および/またはピンホール等の層欠陥が、形成した防食層の20%以上に見られる。
Claims (8)
- シリコーン樹脂系粘着層(X)と、
エポキシ樹脂(A)、モノまたはポリアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物であるアミン系硬化剤(B)、および、体質顔料(C)を含有する防食塗料組成物(y)より形成された防食層(Y)と
を有する、防食積層体。 - 前記アミン系硬化剤(B)が、モノまたはポリアルキレングリコールのジアミノアルキルエーテルのポリカルボン酸変性物である、請求項1に記載の防食積層体。
- 前記防食塗料組成物(y)が、さらに、液状炭化水素樹脂、水酸基含有液状樹脂およびフェノール骨格を有する液状化合物からなる群より選択される1種以上を含む液状化合物(D)を含有する、請求項1または2に記載の防食積層体。
- 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が270以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の防食積層体。
- 前記防食塗料組成物(y)が、さらにシランカップリング剤を含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の防食積層体。
- JIS K 7161:2014に準拠して測定した破断伸び率が4~20%である、請求項1~5の何れか1項に記載の防食積層体。
- 離型層と、請求項1~6の何れか1項に記載の防食積層体とを含む、離型層付き防食積層体。
- 基材の少なくとも一部の表面に、請求項1~6の何れか1項に記載の防食積層体、または、請求項7に記載の離型層付き防食積層体から離型層を剥離した防食積層体を配置固定する工程を含む、防食被膜付き基材の製造方法。
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