本発明のカーテンエアバッグの保持部材とカーテンエアバッグ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のカーテンエアバッグ装置は、車両に搭載される乗員保護装置であり、カーテンエアバッグにより車両の乗員を保護する。カーテンエアバッグは、折り畳まれた状態で、本実施形態のカーテンエアバッグの保持部材により車両に保持される。
図1は、本実施形態のカーテンエアバッグ装置1を示す図であり、カーテンエアバッグ装置1を車両10の側壁11とともに示している。図1では、車両10を透視して、車両10に搭載されたカーテンエアバッグ装置1を鎖線で示している。また、車両10の内側からみた側壁11を実線で示し、車両10のシートに座った乗員2を二点鎖線で示している。図1の矢印Sは、車両10の前後方向(車両前後方向)である。
図示のように、車両10の側壁11は、車室内で、乗員2に対して車両10の幅方向(車両幅方向)の側方に位置する。車両10は、複数のピラー12〜14(Aピラー12、Bピラー13、Cピラー14)と、ルーフサイドレール15と、窓16C、16Dを有するドア16A、16B(前部ドア16A、後部ドア16B)を備えている。複数のピラー12〜14は、それぞれピラーガーニッシュ12A〜14Aを有し、車両10の前部から後部に向かって順に配置されている。
Aピラー12は、フロントピラーであり、ピラーガーニッシュ12Aは、Aピラー12を覆うAピラーガーニッシュ(フロントピラーガーニッシュ)である。Bピラー13は、センターピラーであり、ピラーガーニッシュ13Aは、Bピラー13を覆うBピラーガーニッシュ(センターピラーガーニッシュ)である。Cピラー14は、リアピラーであり、ピラーガーニッシュ14Aは、Cピラー14を覆うCピラーガーニッシュ(リアピラーガーニッシュ)である。ピラーガーニッシュ12A〜14Aは、車両10の内装部材であり、ピラートリムともいう。
Aピラー12は、側壁11の車両前後方向Sの前方部に位置し、Bピラー13は、側壁11の車両前後方向Sの中間部に位置する。ルーフサイドレール15は、車両前後方向Sに延び、側壁11の上縁部に沿って配置される。ヘッドライニング15Aが、車両10のルーフとルーフサイドレール15を覆う。ヘッドライニング15Aの側端が、ルーフサイドレール15に沿って配置されて、ピラーガーニッシュ12A〜14Aの上端に連結される。ルーフサイドレール15の一部は、カーテンエアバッグ装置1が取り付けられる車両10の取付面17である。取付面17は、車両前後方向Sに延び、ヘッドライニング15Aにより覆われる。
カーテンエアバッグ装置1は、側壁11の上縁部に沿って配置されて、車両10に取り付けられる。その状態で、カーテンエアバッグ装置1は、ヘッドライニング15AとAピラー12のピラーガーニッシュ12Aに覆われる。また、カーテンエアバッグ装置1は、膨張展開可能なカーテンエアバッグ20と、筒状のインフレータ3と、カーテンエアバッグ20の保持部材30を備えている。カーテンエアバッグ20は、複数の矩形状の取付片21と、筒状のガス供給部22を有し、細長い形状に折り畳まれる。複数の取付片21とガス供給部22は、カーテンエアバッグ20の上縁に設けられ、車両10の上方に突出する。
カーテンエアバッグ20は、折り畳まれた状態で、ルーフサイドレール15とAピラー12に沿って配置されて、車両10に収納される。カーテンエアバッグ20の複数の取付片21は、車両10に取り付けられる取付部であり、取付部材(ここでは、ボルト4)により、ルーフサイドレール15(取付面17)とAピラー12に取り付けられる。折り畳まれたカーテンエアバッグ20は、複数の取付片21により、ルーフサイドレール15とAピラー12に保持されて、車両前後方向Sに沿って配置される。その状態で、カーテンエアバッグ20は、ヘッドライニング15Aとピラーガーニッシュ12Aに覆われる。
インフレータ3は、シリンダタイプのガス発生装置であり、カーテンエアバッグ20のガス供給部22内に配置された状態で、ガス供給部22に固定される。また、インフレータ3は、取付部材により、ルーフサイドレール15に取り付けられて、ヘッドライニング15Aに覆われる。カーテンエアバッグ装置1の作動時に、インフレータ3は、ガス供給部22内でガスを発生して、カーテンエアバッグ20内にガスを供給する。
保持部材30は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の外周(外面)に沿って配置されて、カーテンエアバッグ20に装着される。また、保持部材30は、筒状をなし、カーテンエアバッグ20の一部を囲む。折り畳まれたカーテンエアバッグ20は、保持部材30の内側に配置される。
保持部材30は、Bピラー13のピラーガーニッシュ13Aに対して車両10の上方に配置される。また、保持部材30は、1以上のボルト4により、カーテンエアバッグ20の取付片21と共にルーフサイドレール15に取り付けられて、折り畳まれたカーテンエアバッグ20をルーフサイドレール15に保持する。ここでは、保持部材30は、2つのボルト4により、2つの取付片21と共に、ルーフサイドレール15に設けられた車両10の取付面17に取り付けられる。
保持部材30は、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bよりも車両前後方向Sに長く、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bに沿って配置される。保持部材30の一端(前端)は、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bよりも車両10の前方側に位置し、保持部材30の他端(後端)は、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bよりも車両10の後方側に位置する。ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bは、保持部材30の下方で、保持部材30の両端の間の領域に位置する。
図2は、車両10内で膨張展開したカーテンエアバッグ20を示す図である。図2では、ヘッドライニング15AとAピラー12のピラーガーニッシュ12Aを省略する。
図示のように、車両の緊急時(側面衝突時等)には、車両10の指示装置から受信した作動信号に基づいて、インフレータ3が作動する。インフレータ3は、ガスを発生して、カーテンエアバッグ20内にガスを供給する。ガスにより、カーテンエアバッグ20は、折り畳み形状を解消しつつ、カーテン状に膨張展開する。その際、膨張するカーテンエアバッグ20により、ヘッドライニング15Aとピラーガーニッシュ12Aが押し開かれて、カーテンエアバッグ20が車室に向かって展開する。
車両10内で、カーテンエアバッグ20は、ガスにより、下方に膨張展開して、側壁11を覆う。また、カーテンエアバッグ20は、側壁11と乗員2の間の空間で、側壁11に沿って膨張展開する。乗員2は、カーテンエアバッグ20により受け止められて保護される。カーテンエアバッグ20の膨張展開時に、保持部材30の一部がBピラー13のピラーガーニッシュ13Aに向かって移動して、保持部材30がピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの全体を覆う。保持部材30により、カーテンエアバッグ20がピラーガーニッシュ13Aの上端13Bに接触せず、カーテンエアバッグ20の展開が補助される。膨張展開する際に、カーテンエアバッグ20は、ピラーガーニッシュ13Aにより阻害されずに、車室に向かって展開し、側壁11及びピラーガーニッシュ13Aに沿って膨張展開する。
図3、図4は、本実施形態の保持部材30の斜視図であり、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の一部を囲む前の保持部材30を示している。また、図3、図4は、保持部材30により保持されるカーテンエアバッグ20の一部を鎖線で模式的に示している。図3は、カーテンエアバッグ20側からみた保持部材30を示し、図4は、図3に示す保持部材30の裏側を示している。
図示のように、保持部材30は、板状の垂直壁40と、垂直壁40に連続する板状の水平部50を有する。合成樹脂を射出成形することで、保持部材30が一体成形される。また、保持部材30は、垂直壁40及び水平部50からなる略L字状の断面形状に形成されている。保持部材30の断面形状は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の長手方向Rに直交する断面の形状である。カーテンエアバッグ20は、折り畳まれた状態で、水平部50に載置される。垂直壁40と水平部50は、カーテンエアバッグ20の長手方向Rに沿って配置される。
保持部材30の垂直壁40は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の車両幅方向の外側に配置される壁部であり、保持部材30が車両10の取付面17に取り付けられた状態で、取付面17に隣接する。カーテンエアバッグ20は、垂直壁40の車両幅方向の内側に配置され、垂直壁40は、カーテンエアバッグ20の側面に接触する。
保持部材30の水平部50は、垂直壁40から水平方向に向かって突出し、カーテンエアバッグ20の下方に配置される。保持部材30は、垂直壁40と水平部50からなり、垂直壁40と水平部50の間で1回屈曲する屈曲形状に形成されている。垂直壁40の端部41(上端部)は、保持部材30の一端部であり、水平部50の端部51(突端部)は、保持部材30の他端部である。
保持部材30は、垂直壁40と水平部50の間の角部31(屈曲部)に形成された複数の凸部32を有する。また、垂直壁40は、カーテンエアバッグ20の反対側の面に形成された複数の凸部42を有する。複数の凸部32は、保持部材30の角部31を補強する補強部であり、複数の凸部42は、垂直壁40を補強する補強部である。凸部32、42の補強により、角部31と垂直壁40の剛性は、水平部50の剛性よりも高い。そのため、カーテンエアバッグ20の膨張展開時には、角部31と垂直壁40の変形が抑制されて、水平部50が垂直壁40に支持された状態で変形する。従って、垂直壁40は、水平部50を支持する支持部でもある。
保持部材30の水平部50は、折り曲げ可能な突出部であり、垂直壁40及び折り畳まれたカーテンエアバッグ20から突出する形状(突出形状)に形成されている。水平部50は、折り曲げ変形により、突出形状から、カーテンエアバッグ20の外周に沿う形状に変形する。また、水平部50は、並列する複数の溝52を有し、複数の溝52の位置でフレキシブルに折り曲げられる。複数の溝52は、水平部50のカーテンエアバッグ20とは反対側の面に形成され、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の長手方向Rに沿って延びる。
折り畳まれたカーテンエアバッグ20は、水平部50の載置面53に載置される。複数の溝52は、カーテンエアバッグ20(載置面53)の反対側に位置する水平部50の反対面54に直線状に形成される。水平部50の複数の溝52の部分は、水平部50の溝52以外の部分よりも薄く、変形し易い。そのため、保持部材30をカーテンエアバッグ20に装着するときに、水平部50は、複数の溝52の位置で、カーテンエアバッグ20に向かって折り曲げられて(図3の矢印Y1参照)、カーテンエアバッグ20の外周に沿って変形する。
水平部50の折り曲げにより、水平部50の端部51は、垂直壁40の端部41に重なる。垂直壁40の端部41と水平部50の端部51は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の上方で、互いに重ね合わせて連結される。また、垂直壁40の端部41と水平部50の端部51は、互いに連結された状態で、ピラーガーニッシュ13Aの上方の取付面17に取り付けられる。保持部材30は、連結された端部41、51により、車両10の取付面17に取り付けられる。
垂直壁40の端部41と水平部50の端部51は、互いに連結された状態で車両10の取付面17に取り付けられる取付部43、55を有する。2つの取付部43が、垂直壁40の端部41に設けられて、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の長手方向Rに離れた位置に形成される。また、2つの取付部55が、水平部50の端部51に設けられて、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の長手方向Rに離れた位置に形成される。水平部50の折り曲げにより、水平部50の2つの取付部55が、それぞれ垂直壁40の取付部43に重なる。
垂直壁40の取付部43は、矩形状の突片であり、係合部44と取付孔45を有する。また、垂直壁40は、取付部43に装着される装着部46と、装着部46を取付部43に接続する折り曲げ可能な接続部47を有する。係合部44は、複数の係合突起44Aを有し、係合突起44Aにより、水平部50の取付部55及び装着部46と係合する。複数の係合突起44Aは、弾性変形可能なフックであり、円形状の取付孔45の周囲に形成されている。装着部46は、矩形状のタブであり、嵌め孔46A、凹部46B、及び、凸部46Cを有する。嵌め孔46Aと凸部46Cは、凹部46Bに位置する。
水平部50の取付部55は、係合孔56を有し、ループ形状に形成されている。取付部43、55の連結時には、水平部50の取付部55を垂直壁40の取付部43まで移動させて(図3の矢印Y1参照)、係合部44の係合突起44Aを係合孔56内に配置する。また、水平部50の取付部55を係合突起44Aに引っ掛けて、係合突起44Aに取付部55を係合する。これにより、水平部50の端部51を取付部43の係合部44及び垂直壁40の端部41に係合する。次に、接続部47を折り曲げて、装着部46を取付部43に押し付ける(図3の矢印Y2参照)。
係合部44の複数の係合突起44Aは、装着部46の嵌め孔46Aに挿入されて、嵌め孔46Aに嵌る。同時に、複数の係合突起44Aが嵌め孔46Aの縁部に引っ掛けられて、装着部46が複数の係合突起44Aに係合する。これにより、装着部46は、取付部43の係合部44に係合して、取付部43に装着される。嵌め孔46Aと取付孔45は向かい合っており、取付孔45は装着部46により塞がれない。ボルト4(図1参照)は、取付孔45に挿入されて、取付孔45内に配置される。取付孔45内のボルト4により、端部41、51(取付部43、55)が車両10の取付面17に取り付けられる。
水平部50の取付部55は、装着部46の凹部46B内に収容され、装着部46の凸部46Cは、取付部55の係合孔56内に配置される。水平部50の取付部55は、取付部43と装着部46の間に挟まれて、垂直壁40の取付部43に連結される。これにより、垂直壁40の端部41と水平部50の端部51が、互いに重ね合わせて連結される。端部41、51をボルト4により取付面17に取り付けたときには、取付部43に接触する凸部46Cにより、凹部46B内の取付部55が潰れるのが防止される。
図5〜図7は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20に保持部材30を装着する手順を示す図である。図5A〜図7Aは、カーテンエアバッグ20の一部と保持部材30を図3の矢印Y3方向からみて示し、保持部材30のカーテンエアバッグ20に隠れた部分を鎖線で示している。図5B〜図7Bは、図5A〜図7AのZ−Z線で切断したカーテンエアバッグ20と保持部材30の断面図である。
図示のように、垂直壁40の2つの取付部43の位置をカーテンエアバッグ20の2つの取付片21の位置に合わせて、保持部材30をカーテンエアバッグ20に沿って配置する(図5参照)。
カーテンエアバッグ20は、車両10への取付片21に形成された円形状の貫通孔23を有する。係合部44の係合突起44Aを、取付片21の貫通孔23に挿入して、貫通孔23内に配置する。取付片21を、係合突起44Aに引っ掛けて、係合突起44Aに係合する。これにより、カーテンエアバッグ20の取付片21が、取付部43の係合部44及び垂直壁40の端部41に係合し、垂直壁40の端部41に配置される。また、保持部材30の垂直壁40を折り畳まれたカーテンエアバッグ20の外周に沿って配置し、カーテンエアバッグ20を保持部材30の水平部50に載置する。
次に、保持部材30の水平部50を、複数の溝52の位置で折り曲げて、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の外周に沿って配置する(図6参照)。その際、複数の溝52の開きが大きくなり、水平部50がカーテンエアバッグ20の外周に沿って折り曲げられる。また、保持部材30が筒状に変形して、保持部材30の垂直壁40と水平部50がカーテンエアバッグ20の一部を囲む。水平部50の折り曲げにより、保持部材30は、カーテンエアバッグ20の外周に沿うコンパクトな形状になる。
続いて、水平部50の端部51(取付部55)を垂直壁40の端部41(取付部43の係合部44)に係合する。カーテンエアバッグ20の取付片21は、水平部50の端部51(取付部55)と垂直壁40の端部41(取付部43)の間に挟まれる。その状態で、垂直壁40の装着部46を取付部43に装着する(図7参照)。これにより、水平部50の端部51が垂直壁40の端部41に保持され、垂直壁40の端部41と水平部50の端部51が連結される。また、カーテンエアバッグ20の取付片21が、垂直壁40の端部41と水平部50の端部51に取り付けられる。
保持部材30は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の一部に装着される。続いて、インフレータ3をカーテンエアバッグ20のガス供給部22に固定して、カーテンエアバッグ装置1を製造する(図1参照)。その後、ボルト4等により、カーテンエアバッグ装置1が車両10に取り付けられて、カーテンエアバッグ装置1が車両10に搭載される。
図8は、車両10に搭載されたカーテンエアバッグ装置1の断面図であり、図1のX−X線で切断した車両10とカーテンエアバッグ装置1を示している。
図示のように、車両10は、溶接により取付面17に固定されたナット18を有する。ボルト4が、垂直壁40の取付孔45に挿入された状態で、ナット18に取り付けられる。ボルト4とナット18により、垂直壁40の端部41と水平部50の端部51は、互いの間にカーテンエアバッグ20の取付片21を挟んだ状態で、取付片21と共に、ピラーガーニッシュ13Aの上方に位置する車両10の取付面17に取り付けられる。
車両10において、保持部材30は、Bピラー13のピラーガーニッシュ13Aの上方に配置されて、折り畳まれたカーテンエアバッグ20をルーフサイドレール15に保持する。保持部材30の水平部50は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の車両幅方向の内側に配置され、カーテンエアバッグ20の側面に接触する。折り畳まれたカーテンエアバッグ20は、水平部50の車両幅方向の外側に配置されるとともに、水平部50と垂直壁40の間に配置される。
保持部材30と折り畳まれたカーテンエアバッグ20は、ルーフサイドレール15とヘッドライニング15Aの間の空間に収納されて、ヘッドライニング15Aに覆われる。保持部材30の下方で、ヘッドライニング15Aの側端15Bが、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bに接触して、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bに連結される。保持部材30はヘッドライニング15Aに接触せず、保持部材30とヘッドライニング15Aの間には空間が形成される。
インフレータ3がガスを発生するときには(図1参照)、ガスがインフレータ3からカーテンエアバッグ20の前端と後端に向かって供給されて、カーテンエアバッグ20が次第に膨張する。その際、ガスは、インフレータ3から保持部材30の位置まで達し、カーテンエアバッグ20の保持部材30に保持された部分にも供給される。ガスにより、カーテンエアバッグ20は、保持部材30の内側で膨張する。
図9〜図11は、保持部材30の位置で膨張展開するカーテンエアバッグ20を示す断面図である。
図示のように、カーテンエアバッグ20の膨張が開始すると、カーテンエアバッグ20から保持部材30に加えられる力により、保持部材30の水平部50が所定位置で破断する。
水平部50の端部51は、膨張するカーテンエアバッグ20から加えられる力により破断可能な脆弱部57を有する。脆弱部57は、水平部50の他の部分よりも脆弱な部分であり、端部51の一部(破断可能部)である。例えば、水平部50の端部51に弱化部(切欠き、肉薄部、段部等)を形成することで、水平部50の端部51に脆弱部57が形成される。或いは、水平部50の端部51内で、力の集中部が脆弱部57になり破断する。ここでは、カーテンエアバッグ20の膨張により、水平部50の取付部55が破断する。例えば、取付部55は、2箇所の付け根で破断して、水平部50の他の部分から分離する。そのため、取付部55の一部が端部51の脆弱部57である。
カーテンエアバッグ20の膨張時に、脆弱部57が破断して、折り曲げられた水平部50が垂直壁40の端部41から解放される(図9参照)。カーテンエアバッグ20の膨張に伴い、保持部材30の水平部50は、折り曲げを解消しつつ、脆弱部57で破断した部分を先端にして、ヘッドライニング15Aに向かって移動する。その際、複数の溝52により、水平部50は、折り曲げを解消する方向(複数の溝52の開きが元の開き(図3〜図5に示す開き)に戻る方向)に容易に変形する。
ここでは、水平部50は、複数の溝52の部分で折り曲げられた際に弾性変形する。脆弱部57が破断すると、水平部50の弾性変形が弾性力により復元して、水平部50の折り曲げの一部又は全部が解消される。このように、水平部50は、弾性力による復元を利用して折り曲げの一部又は全部を自ら解消可能であり、折り曲げの解消により、折り曲げ前の元の形状(図3〜図5に示す形状)に向かって自ら変形する。脆弱部57の破断(端部41からの解放)に伴い、水平部50は、元の形状に向かって容易に変形する。
これに対し、水平部50が複数の溝52の部分で折り曲げられた際に塑性変形する場合であっても、水平部50は溝52の部分で容易に変形する。そのため、膨張展開するカーテンエアバッグ20に押されることで、水平部50は、折り曲げを解消して、元の形状に向かって容易に変形する。従って、水平部50の変形態様に関わらず、カーテンエアバッグ20の膨張展開の初期に、複数の溝52により、水平部50の折り曲げが容易に解消される。また、水平部50がヘッドライニング15Aに向かって正確に移動して、カーテンエアバッグ20が円滑かつ正確に展開する。
保持部材30の水平部50は、車両幅方向の内側に向かって移動して、ヘッドライニング15Aに接触する。膨張するカーテンエアバッグ20により、水平部50がヘッドライニング15Aに押し付けられて、ヘッドライニング15Aが車両幅方向の内側に押される。これにより、ヘッドライニング15Aの側端15Bがピラーガーニッシュ13Aの上端13Bから外れて、ヘッドライニング15Aとピラーガーニッシュ13Aの間に開口5が形成される(図10参照)。カーテンエアバッグ20は、開口5を通り、車室に向かって展開する。
カーテンエアバッグ20の膨張展開が進行すると、保持部材30の水平部50は、カーテンエアバッグ20により押されて変形しつつ、開口5から車室に押し出されて、ピラーガーニッシュ13Aに向かって移動する。その際、複数の溝52の開きが元の開きに戻り、更に、溝52の開きが元の開きよりも小さくなるように、水平部50が反対面54側に向かって変形する。水平部50の複数の溝52の部分は変形し易いため、水平部50が膨張展開するカーテンエアバッグ20により容易に変形して、カーテンエアバッグ20の展開が円滑かつ正確に進行する。
水平部50は、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの全体を覆い、カーテンエアバッグ20とピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの間に配置される。水平部50により、カーテンエアバッグ20がピラーガーニッシュ13Aの上端13Bに接触するのが防止される。また、水平部50により、ピラーガーニッシュ13Aと車両10のボディーの間の隙間にカーテンエアバッグ20が入り込むのが防止される。
保持部材30の水平部50が膨張展開するカーテンエアバッグ20により押されて変形するのに伴い、複数の溝52の開きが次第に小さくなる。溝52が閉じるまで、水平部50は、溝52の部分で、反対面54側に向かって容易に折れ曲がり、膨張展開するカーテンエアバッグ20の形状に対応して円滑に変形する。溝52が閉じた後では、水平部50が溝52以外の部分でも変形する必要があるため、水平部50が変形し難くなる。その結果、水平部50の変形が、溝52が閉じる前と比較して抑制される。水平部50は、例えば、折り曲げ変形、又は、湾曲変形により、反対面54側に向かって変形する。
ここでは、水平部50の複数の溝52のうち、ピラーガーニッシュ13Aの上端13B近傍の溝52が閉じた際に、水平部50とピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの間に隙間6が形成される(図10参照)。その結果、溝52が閉じた状態で、水平部50は、膨張展開するカーテンエアバッグ20により押されて、隙間6の分だけ変形する。水平部50がピラーガーニッシュ13Aの上端13Bに接触する際には(図11参照)、水平部50が変形し難いため、水平部50とピラーガーニッシュ13Aの上端13Bとが強く衝突するのが抑制される。また、水平部50がピラーガーニッシュ13Aに接触するときに、ピラーガーニッシュ13Aの衝撃が緩和され、水平部50とピラーガーニッシュ13Aの変形が抑制される。
保持部材30の水平部50により、カーテンエアバッグ20がピラーガーニッシュ13Aの上端13Bに接触するのが防止され、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの変形が抑制される。また、水平部50は、カーテンエアバッグ20の展開方向である下方に向かって移動する。そのため、カーテンエアバッグ20が水平部50に引っ掛かるのが防止されて、カーテンエアバッグ20が円滑に展開する。水平部50は、カーテンエアバッグ20の展開をガイドするガイド部でもある。カーテンエアバッグ20がガスにより車両10の側壁11に沿って下方に膨張展開するときに、車両10のピラーガーニッシュ13Aの位置で、カーテンエアバッグ20は、水平部50によりガイドされる。
車両10の取付面17に取り付けられた状態で、保持部材30は、カーテンエアバッグ20の展開がピラーガーニッシュ13Aに阻害されないように、カーテンエアバッグ20の展開を補助する。保持部材30により、カーテンエアバッグ20が車両10の側壁11に沿って下方に膨張展開するのを、ピラーガーニッシュ13Aに阻害されないように補助する。
側面衝突時には、車両10の側壁11が衝突車両によって車両幅方向の内側に移動して、Bピラー13が車両幅方向の内側に変形する。同時に、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bが車両幅方向の内側に移動する。この場合でも、水平部50の複数の溝52の部分が、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの位置に応じて折れ曲がる。水平部50は、折り曲げ変形により、ピラーガーニッシュ13Aの移動に対応して容易に変形して、カーテンエアバッグ20の展開を補助する。そのため、カーテンエアバッグ20が円滑に展開する。
上記したように、水平部50の複数の溝52のうち、ピラーガーニッシュ13Aの上端13B近傍の溝52が閉じた際に、水平部50とピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの間に隙間6が形成される(図10参照)。この隙間6は、例えば、側面衝突時にピラーガーニッシュ13Aの上端13Bが車両幅方向の内側に移動する量に基づいて設定される。このようにすることで、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bが車両幅方向の内側に移動したときに、ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bと水平部50とが強く衝突するのが抑制される。また、カーテンエアバッグ20の膨張展開が保持部材30により補助されて、カーテンエアバッグ20が円滑に展開する。
以上説明したように、本実施形態の保持部材30により、カーテンエアバッグ20が膨張展開するのをピラーガーニッシュ13Aに阻害されないように補助して、カーテンエアバッグ20を円滑に展開させることができる。また、カーテンエアバッグ20を側壁11に沿って正確に膨張展開させることができる。保持部材30の水平部50が元の形状に向かって自ら変形可能であるため、カーテンエアバッグ20の展開挙動への影響を小さくすることができる。その結果、カーテンエアバッグ20の保持部材30により覆われている部分と保持部材30により覆われていない部分との展開挙動の差を小さくして、カーテンエアバッグ20を、より均一に展開させることができる。
ピラーガーニッシュ13Aの上端13Bが車両幅方向の内側に移動したときには、保持部材30の水平部50がピラーガーニッシュ13Aの上端13Bの移動に対応して変形する。そのため、カーテンエアバッグ20の膨張展開中に、水平部50により、カーテンエアバッグ20の展開がピラーガーニッシュ13Aに阻害されないように補助することができる。
保持部材30を合成樹脂により形成することで、水平部50を容易に変形させることができる。ただし、保持部材30を合成樹脂以外の材料により形成するようにしてもよい。また、保持部材30は一体成形するのが望ましい。これに対し、垂直壁40と水平部50を別個に形成してもよい。この場合には、水平部50が垂直壁40に固定されて、保持部材30が形成される。
垂直壁40の端部41と水平部50の端部51を、予め連結した状態で、車両10の取付面17に取り付けることができる。同時に、カーテンエアバッグ20の取付片21を端部41、51と共に取付面17に取り付けることができる。そのため、保持部材30とカーテンエアバッグ20を取付面17に容易に取り付けることができる。保持部材30の2箇所を取付面17に取り付けることで、保持部材30が回転せず、保持部材30が安定する。水平部50の脆弱部57を装着部46の凹部46B内に配置するときには、ボルト4の締め付けにより脆弱部57が潰れるのを防止することができる。
複数の溝52は、折り畳まれたカーテンエアバッグ20の長手方向Rに沿って、保持部材30の水平部50に形成されている。水平部50は、複数の溝52により、カーテンエアバッグ20の外周に沿って折り曲げる方向と、折り曲げを解消する方向とに折り曲げ易く、その他の方向には折り曲げ難い。そのため、水平部50を折り畳まれたカーテンエアバッグ20の外周に沿って容易に折り曲げることができる。また、水平部50の折り曲げが容易に解消されるため、保持部材30により、カーテンエアバッグ20の展開を確実に補助できるとともに、カーテンエアバッグ20を円滑に展開させることができる。保持部材30の水平部50に要求される剛性を確保して、保持部材30により、折り畳まれたカーテンエアバッグ20をルーフサイドレール15に確実に保持することもできる。
水平部50の複数の溝52により、カーテンエアバッグ20の膨張展開時における水平部50の形状(変形形状)を調整することができる。水平部50の変形形状に対応して、複数の溝52の各間隔が設定される。例えば、複数の溝52を等間隔に形成してもよく、複数の溝52を互いに異なる間隔に形成してもよい。また、水平部50の変形形状に対応して、溝52の深さが設定される。例えば、複数の溝52を同じ深さに形成してもよく、複数の溝52を互いに異なる深さに形成してもよい。1つの溝52内で深さを変化させてもよい。具体的には、溝52の端部を他の部分よりも深く形成し、或いは、溝52の端部を他の部分よりも浅く形成する。水平部50の変形形状に対応して、溝52の幅又は断面形状を変更してもよい。
図12〜図14は、保持部材30の水平部50に形成される溝52の例を示す断面図であり、溝52の長手方向に直交する水平部50の断面を示している。図12A〜図14Aは、折り曲げられていない水平部50を示し、図12B〜図14Bは、水平部50の変形形状を示している。
図示のように、保持部材30の水平部50は、溝52の位置で折れ曲がり、溝52が閉じた状態で、所定の変形形状に変形する。
水平部50が同じ厚さであるときには(図12、図13参照)、溝52の深さを変更することで、溝52の位置の水平部50の厚さが変更される。これに伴い、水平部50の折れ曲がり易さが変化する。溝52を深くするほど、水平部50が折れ曲がり易くなる。そのため、深い溝52を有する水平部50(図13参照)は、浅い溝52を有する水平部50(図12参照)よりも容易に折れ曲がる。溝52をV字状の断面形状に形成したときには(図14参照)、溝52は、底部から開口に向かって次第に広くなる。その結果、溝52が閉じるまでに水平部50がより大きく折れ曲がり、水平部50の折れ曲がり角度が大きくなる。
なお、ここでは、保持部材30は、Bピラー13のピラーガーニッシュ13Aにおいて、カーテンエアバッグ20の展開を補助する。これに対し、Bピラー13以外のピラーのピラーガーニッシュにおいて、保持部材30によりカーテンエアバッグ20の展開を補助してもよい。また、1つのピラーガーニッシュにおいて、保持部材30によりカーテンエアバッグ20の展開を補助してもよく、複数のピラーガーニッシュにおいて、保持部材30によりカーテンエアバッグ20の展開を補助してもよい。