JP6639407B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子に関する。
近年、光電変換素子としての太陽電池が注目されている。特開2012−28718号公報には、n型の結晶シリコン基板とp型の非晶質シリコン層との間に、真性(i型)非晶質シリコンを介在させた裏面接合型太陽電池が開示されている。真性非晶質シリコンを介在させることによって、パッシベーション性が向上し、n型結晶シリコン基板とp型非晶質シリコン層の界面におけるキャリアの再結合が抑制され、光電変換効率が向上する。
特開2012−28718号公報のように、n型結晶シリコン基板とp型非晶質シリコン層との間に、真性非晶質シリコン等のパッシベーション膜を設けることによってパッシベーション性を向上させることができるが、一方で直列抵抗成分が高くなり、光電変換効率が低下する。
本発明の目的は、直列抵抗成分を低減し、光電変換効率を向上可能な光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明に係る光電変換素子は、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面上に形成された第1導電型を有する第1非晶質半導体層と、前記半導体基板の一方の面上に形成され、かつ前記半導体基板の面内方向において前記第1非晶質半導体層に隣接して形成され、前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第2非晶質半導体層と、前記第1非晶質半導体層の上に形成された第1電極と、前記第2非晶質半導体層の上に形成された第2電極とを備え、前記半導体基板上に成膜された一の薄膜において、膜厚が最大である点を第1の点とし、当該一の薄膜の面内方向において当該薄膜の膜厚の減少率が第1の減少率から前記第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点、または当該一の薄膜の面内方向において当該一の薄膜の膜厚の変化率の符号が負から正に変化する点を第2の点とし、当該一の薄膜の面内方向において前記第1の点から前記第2の点までの領域を膜厚減少領域と定義したとき、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層の少なくとも一方の半導体層は、前記膜厚減少領域を有し、前記少なくとも一方の半導体層に形成された電極の少なくとも一部は、前記膜厚減少領域上に形成されている。
本発明によれば、直列抵抗成分を低減し、光電変換効率を向上させることができる。
図1は、第1実施形態に係る光電変換素子を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す電極を拡大した模式図である。 図3Aは、図2に示すn型半導体層の膜厚を測定した結果を示す図である。 図3Bの(a)は、シリコン基板の表面の顕微鏡写真を示す図である。図3Bの(b)は、図3Bの(a)に示すシリコン基板の表面の高さを測定した結果を示す図である。 図3Cの(a)は、シリコン基板上のパッシベーション膜とシリコン基板表面との界面から半導体層表面までの膜厚を測定した結果を例示した図である。図3Cの(b)は、図3Cの(a)に示す各膜厚をプロットし直した結果を示す図である。 図4は、隣接するn型半導体層とp型半導体層の膜厚減少領域が重なっている状態を示す断面図である。 図5は、n型電極の構成を示す断面図である。 図6Aは、第1実施形態に係る光電変換素子の製造工程を説明する図である。 図6Bは、第1実施形態に係る光電変換素子の製造工程を説明する図である。 図6Cは、第1実施形態に係る光電変換素子の製造工程を説明する図である。 図6Dは、第1実施形態に係る光電変換素子の製造工程を説明する図である。 図7は、メタルマスクの厚さ及び開口幅と、膜厚減少領域及びテーパー形状領域との関係を説明する図である。 図8は、n型電極の両端部の位置が各々異なる4つの電極の断面図である。 図8に示す各電極の直列抵抗成分と開放電圧とを測定した結果を示す図である。 図10は、第2実施形態に係る光電変換素子の電極の断面図である。 図11は、図10に示すn型半導体層の膜厚を測定した結果を示す図である。 図12は、第4実施形態に係る光電変換素子の断面図である。 図13は、図12に示す電極が形成された領域を拡大した模式図である。 図14は、第1パッシベーション層と第2パッシベーション層の膜厚の比率)とその光電変換効率の測定結果とを示す図である。 図15は、第5実施形態に係る光電変換素子の断面図である。 図16Aは、第6実施形態に係る光電変換素子の断面図である。 図16Bは、第6実施形態における配線シートの一部を拡大した模式図である。 図17Aは、第7実施形態に係る光電変換素子の断面図である。 図17Bは、図17Aに示すシリコン基板の表面の顕微鏡写真を示す図である。 図18は、第8実施形態に係る光電変換モジュールの構成を示す概略図である。 図19Aは、第9実施形態による光電変換素子を備える太陽光発電システムの構成を示す概略図である。 図19Bは、図19Aに示す太陽光発電システムの他の構成例を示す概略図である。 図20は、図19Aに示す光電変換モジュールアレイの構成を示す概略図である。 図21Aは、第10実施形態による光電変換素子を備える太陽光発電システムの構成を示す概略図である。 図21Bは、図21Aに示す太陽光発電システムの他の構成例を示す概略図である。
本発明の一実施形態に係る光電変換素子は、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面上に形成された第1導電型を有する第1非晶質半導体層と、前記半導体基板の一方の面上に形成され、かつ前記半導体基板の面内方向において前記第1非晶質半導体層に隣接して形成され、前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第2非晶質半導体層と、前記第1非晶質半導体層の上に形成された第1電極と、前記第2非晶質半導体層の上に形成された第2電極とを備え、前記半導体基板上に成膜された一の薄膜において、膜厚が最大である点を第1の点とし、当該一の薄膜の面内方向において当該薄膜の膜厚の減少率が第1の減少率から前記第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点、または当該一の薄膜の面内方向において当該一の薄膜の膜厚の変化率の符号が負から正に変化する点を第2の点とし、当該一の薄膜の面内方向において前記第1の点から前記第2の点までの領域を膜厚減少領域と定義したとき、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層の少なくとも一方の半導体層は、前記膜厚減少領域を有し、前記少なくとも一方の半導体層に形成された電極の少なくとも一部は、前記膜厚減少領域上に形成されている(第1の構成)。
第1の構成によれば、第1非晶質半導体層と第2非晶質半導体層の少なくとも一方の半導体層において、膜厚減少領域を有する。膜厚減少領域を有する半導体層上に形成された電極の少なくとも一部は、膜厚減少領域の少なくとも一部に接して形成されている。膜厚減少領域の膜厚は、当該半導体層の第1の点における膜厚よりも薄いため、膜厚が均一な非晶質半導体層を設ける場合と比べ、直列抵抗成分を低減させることができる。
また、第2の構成に係る光電変換素子は、第1の構成において、前記膜厚減少領域を有する前記半導体層は、前記半導体基板と同じ導電型を有することとしてもよい。
第2の構成によれば、半導体基板と同じ導電型の半導体層に膜厚減少領域が設けられているため、多数キャリアに対する直列抵抗成分をより低減することができる。
また、第3の構成に係る光電変換素子は、第1又は第2の構成において、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層の各々は、前記膜厚減少領域を有し、隣接する前記第1非晶質半導体層と前記第2非晶質半導体層の前記膜厚減少領域は、離間して配置されていることとしてもよい。
第3の構成によれば、第1非晶質半導体層と第2非晶質半導体層の膜厚減少領域とが重なって配置される場合と比べ、膜厚減少領域における膜厚が薄いため、直列抵抗成分を低減することができる。
また、第4の構成に係る光電変換素子は、第1から第3のいずれかの構成の前記膜厚減少領域を有する前記半導体層において、前記膜厚減少領域におけるドーパント濃度は、前記膜厚減少領域よりも膜厚が厚い領域のドーパント濃度より高いこととしてもよい。
第4の構成によれば、膜厚減少領域を有する半導体層において、膜厚減少領域におけるドーパント濃度は、膜厚減少領域よりも膜厚が厚い領域のドーパント濃度よりも高い。そのため、膜厚減少領域における直列抵抗を低減できるとともに、膜厚減少領域を有する半導体層と、当該半導体層上に形成される電極との間のコンタクト抵抗を低減することができる。
また、第5の構成に係る光電変換素子は、第1から第4のいずれかの構成において、さらに、前記半導体基板と、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層との間に形成された第1パッシベーション膜を備えることとしてもよい。
第5の構成によれば、直列抵抗成分の低減を図るとともに、半導体基板のパッシベーション性を向上させることができる。
また、第6の構成に係る光電変換素子は、第5の構成において、さらに、前記第1パッシベーション膜と、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層との間に形成され、第2パッシベーション膜を備え、前記第1パッシベーション膜及び前記第2パッシベーション膜は、真性非晶質半導体からなることとしてもよい。
第6の構成によれば、さらに、第1非晶質半導体層及び第2非晶質半導体層と第1パッシベーション膜との界面におけるキャリアの再結合を抑制することができる。
また、第7の構成に係る光電変換素子は、第6の構成において、前記第2パッシベーション膜は、前記膜厚減少領域を有することとしてもよい。
第7の構成によれば、第2パッシベーション膜における膜厚減少領域の膜厚は、第2パッシベーション膜における第1の点の膜厚より薄いため、第2パッシベーション膜における膜厚減少領域において直列抵抗成分を低減することができる。
また、第8の構成に係る光電変換素子は、第6又は第7の構成において、前記第2パッシベーション膜は、前記第1パッシベーション膜よりも膜厚が薄いこととしてもよい。
第8の構成によれば、パッシベーション性の向上を図るとともに、直列抵抗成分を低減することができる。
また、第9の構成に係る光電変換素子は、第5の構成において、前記第1パッシベーション膜は、キャリアがトンネル可能な絶縁物で構成されていることとしてもよい。第9の構成によれば、半導体基板をパッシベーションするとともに、キャリアを容易に取り出すことができる。
また、第10の構成に係る光電変換素子は、第9の構成において、前記絶縁物は、少なくとも第4族元素を含む非晶質半導体の酸化物、窒化物、及び酸窒化物のいずれか、又は多結晶シリコンからなることとしてもよい。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。光電変換素子1は、シリコン基板11、ARC(Anti Reflection Coat)12、パッシベーション層13、n型半導体層(第1非晶質半導体層)15n、p型半導体層(第2非晶質半導体層)15p、n型電極16n、及びp型電極16pを備える。
シリコン基板11は、例えば、n型の単結晶シリコン基板である。シリコン基板11の厚さは、例えば、100〜150μmである。なお、シリコン基板11は、n型の単結晶シリコン基板に代えて、p型の単結晶シリコン基板を用いてもよい。
図1において、シリコン基板11の一方(Z軸負方向側)の面はテクスチャが形成されている。テクスチャは、シリコン基板11の表面反射率を低下させ、短絡電流を増加させる。以下の説明において、テクスチャが形成されている面をシリコン基板11の受光面と称し、他方(Z軸正方向側)の面を裏面と称する。
シリコン基板11の受光面を覆うように、ARC12が形成されている。ARC12は、例えば、厚さ60nm程度の窒化シリコン膜を堆積して構成されている。ARC12は、シリコン基板11の表面反射率を低下させ、短絡電流を増加させる。
シリコン基板11の裏面上には、パッシベーション層13が形成されている。パッシベーション層13は、シリコン基板11の熱酸化膜で構成されている。なお、パッシベーション層13としては、例えば、非晶質シリコン、又は非晶質シリコンの酸化物、窒化物、及び酸窒化物、又は多結晶シリコン等であってもよい。パッシベーション層13の厚さは、例えば1〜20nmが好ましく、1〜3nmがより好ましい。本実施形態において、パッシベーション層13の厚さは2nmである。
図1に示すように、パッシベーション層13の上には、面内方向(X軸方向)において、n型半導体層(第1非晶質半導体層)15nとp型半導体層(第2非晶質半導体層)15pが交互に隣接して形成されている。隣接するn型半導体層15nとp型半導体層15nは、所定の距離(G)を隔てて配置されている。
n型半導体層15nは、水素を含有するn型の非晶質半導体層である。n型半導体層15nは、例えばリン(P)を不純物として含有する、n型非晶質シリコン、n型非晶質シリコンゲルマニウム、n型非晶質ゲルマニウム、n型非晶質シリコンカーバイド、n型非晶質シリコンナイトライド、n型非晶質シリコンオキサイド、n型非晶質シリコンオキシナイトライド、n型非晶質シリコンカーボンオキサイド等であってもよい。n型半導体層15nの厚さは、例えば、3〜50nmである。
p型半導体層15pは、水素を含有するp型の非晶質半導体層である。p型半導体層15pは、例えばボロン(B)を不純物として含有する、p型非晶質シリコン、p型非晶質シリコンゲルマニウム、p型非晶質ゲルマニウム、p型非晶質シリコンカーバイド、p型非晶質シリコンナイトライド、p型非晶質シリコンオキサイド、p型非晶質シリコンオキシナイトライド、p型非晶質シリコンカーボンオキサイド等であってもよい。p型半導体層15pの厚さは、例えば、5〜50nmである。
シリコン基板11の面内方向(X軸方向)において、n型半導体層15nの幅は、p型半導体層15pの幅よりも小さい。n型半導体層15nの面積とp型半導体層15pの面積の和に対するp型半導体層15pの面積の割合が高いほど、光照射によって生成される少数キャリア(正孔)が、p型半導体層15pに到達するまでに移動する距離が減少する。その結果、p型半導体層15pに到達するまでに再結合する正孔の数が減少し、短絡電流が増加し、光電変換効率が向上する。
n型半導体層15nの上には、n型電極16nが形成されている。p型半導体層15pの上には、p型電極16pが形成されている。n型電極16n及びp型電極16pは、後述する2つの導電層を積層して構成されている。n型電極16n及びp型電極16pの詳細な構造の説明については後述する。
なお、本明細書において、n型及びp型の非晶質半導体層には、微結晶相が含まれてもよい。また、微結晶相は、平均粒子径が1〜50nmである結晶を含む。
ここで、n型半導体層15n及びp型半導体層15pの形状について説明する。図2は、図1に示すn型半導体層15nが形成された部分を拡大した模式図である。また、図3Aは、触針段差計にてn型半導体層15nを面内方向(X軸方向)にスキャンし、n型半導体層15nの膜厚を測定した結果を示している。
図2に示すように、n型半導体層15nは、L、T、Rで示す3つの領域を有する。以下、領域Lをフラット領域L、領域Tを膜厚減少領域T、領域Rをテーパー形状領域Rと称する。なお、p型半導体層15pの構造の図示を省略するが、p型半導体層15pもn型半導体層15nと同様に、フラット領域L、膜厚減少領域T、テーパー形状領域Rを有する。以下、各領域について具体的に説明する。
図3Aに示すように、n型半導体層15nは、n型半導体層15nの略中心となるC点からスキャン方向の長さが280μmの間、及びC点から380μmの間は膜厚が殆ど変化していない。フラット領域Lは、最大の膜厚から膜厚が殆ど変化しない領域であり、図3Aの例では、スキャン方向の長さが280μm〜380μmの間の領域である。
また、図3Aに示すように、フラット領域Lの一方の端部K10からK11(K1)の領域と、フラット領域Lの他方の端部K20からK12(K1)の領域は、膜厚が緩やかに減少している。これに対し、K11からK21(K2)の領域及びK12からK22(K2)の領域は、膜厚が急峻に減少している。つまり、フラット領域Lの一方の端部K10からK11の領域、及びフラット領域Lの他方の端部K20からK12の領域における膜厚の減少率(第1減少率)よりも、K11からK21の領域及びK12からK22の領域における膜厚の減少率(第2減少率)が大きくなっている。
膜厚減少領域Tは、n型半導体層15nにおいて膜厚の減少率が緩やかに変化する領域であり、図3Aにおいて、フラット領域Lの端部K10から点K11までの領域と、フラット領域Lの端部K20から点K12までの領域である。すなわち、本実施形態において、膜厚減少領域は、シリコン基板11上に成膜される一の薄膜において、当該薄膜の膜厚が最大となる点を第1の点とし、当該薄膜の面内方向において膜厚の減少率が第1の減少率から第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点を第2の点とした場合、当該薄膜の面内方向における第1の点から第2の点までの領域である。
テーパー形状領域Rは、テーパー状に成膜された領域であり、点K2(K21,K22)からn型半導体層15nの下方端K3(K31,K32)までの領域である。テーパー形状領域Rの幅は、後述する半導体層の成膜条件等によって変動するが、例えば400μm以下であり、100μm以下がより好ましい。
図2において、n型半導体層15nの膜厚減少領域Tにおける膜厚の減少量dが、フラット領域Lの膜厚hの5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。つまり、図3Aにおいて、フラット領域Lの端部K10,K20から点K11,K21までの膜厚の減少量が、フラット領域Lの膜厚の5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。図3Aの縦軸は、フラット領域Lの膜厚を1.0として規格化したn型半導体層15nの膜厚を示している。図3Aに示すように、膜厚減少領域Tは、フラット領域Lの膜厚よりも20%以上減少しており、好ましい状態である。また、膜厚減少領域Tの幅は、後述する成膜方法によって制御可能であり、20μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。
なお、図1及び図2では、便宜上、シリコン基板11の表面が平坦な例を図示したが、シリコン基板11の表面は凹凸形状を有する場合がある。図3Bの(a)は、シリコン基板11の表面の顕微鏡写真である。また、図3Bの(b)は、シリコン基板11表面の高さを測定した結果を示す図である。
図3Bの(a)(b)に示すように、シリコン基板11におけるダメージ層を除去するためのエッチングによって、テクスチャが形成されていないシリコン基板11の面にも1μm程度の凹凸が形成される場合がある。上記図3Aに示すシリコン基板11の膜厚は、シリコン基板11の凹凸を除いた膜厚である。シリコン基板11に凹凸がある場合のn型半導体層15n、p型半導体層15pにおける膜厚減少領域Tは、以下のようにして判断することができる。
例えば、シリコン基板11の表面に凹凸が形成されている場合において、シリコン基板11の表面にパッシベーション膜13を形成し、パッシベーション膜13の上にn型半導体層15n又はp型半導体層15pを形成して、走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影する。撮影結果から、パッシベーション膜13とシリコン基板11の表面の界面を確認することができる。図3Cの(a)は、パッシベーション膜13とシリコン基板11の表面との界面11Sからn型半導体層15n又はp型半導体層15pの表面までの膜厚hを測定した結果を表す模式図である。図3Cの(a)に示す各膜厚hをプロットし直すことにより、図3Cの(a)に示す各膜厚hを、図3Cの(b)に示すように表すことができる。つまり、図3Aで示したように、シリコン基板11の表面が略平坦なものとして半導体層(n型半導体層15n、p型半導体層15p)の膜厚を特定できる。よって、シリコン基板11の表面が凹凸形状を有している場合であっても、n型半導体層15n、p型半導体層15pにおける各膜厚減少領域Tを、このような方法を用いることで検証可能である。また後述するように、シリコン基板11の両面にテクスチャが形成されている基板を用いた場合においても、上記の方法で、テクスチャ上の膜厚を測定しプロットしなおすことで膜厚減少領域Tを判断することができる。
本実施形態では、シリコン基板11としてn型の単結晶シリコン基板を用いるため、n型半導体層15nの低抵抗化が重要となる。そのため、p型半導体層15pの膜厚減少領域Tの幅より、n型半導体層15nの膜厚減少領域Tの幅が大きいことが好ましい。シリコン基板11にp型の単結晶シリコン基板を用いる場合には、上記とは逆に、p型半導体層15pの膜厚減少領域Tの幅が、n型半導体層15nの膜厚減少領域Tの幅よりも大きいことが好ましい。また、膜厚減少領域Tの膜厚の減少量についても、シリコン基板11と同じ導電型を有する半導体層の膜厚の減少量が、他方の半導体層の膜厚の減少量よりも大きいことがより好ましい。
ここで、隣接するn型半導体層15nとp型半導体層15pの膜厚減少領域Tが重なっている場合の模式図を図4に示す。図4に示すように、n型半導体層15nの膜厚減少領域Tn上に、p型半導体層15pの膜厚減少領域Tpが形成されると、膜厚が厚くなるためパッシベーション性は向上する。しかしながら、n型半導体層15nとp型半導体層15pにおける膜厚減少領域Tn、Tpの上にn型電極16n、p型電極16pをそれぞれ形成しても、直列抵抗成分は減少せず、低抵抗化の効果は得られなくなる。そのため、低抵抗化を考慮した場合、隣接する半導体層における各膜厚減少領域Tが重ならないほうが好ましい。さらに、生産性の歩留まりなどを考慮すると、隣接する半導体層における各膜厚減少領域Tの端部となるK1点の間隔が、20μm以上離れていることが好ましく、100μm以上がより好ましい。
次に、図5を用いて、n型電極16n及びp型電極16pの構造について説明する。図5は、n型半導体層15nが配置されている領域を拡大した模式図である。図5に示すように、n型電極16nは、第1導電層161と第2導電層162とを積層した積層構造を有する。なお、図示を省略するが、p型電極16pもn型電極16nと同様に、第1導電層161と第2導電層162とを積層した積層構造を有する。
第1導電層161は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO、IWO(Indium Tungsten Oxide)等の透明導電膜で構成されている。
第2導電層162は、例えば、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Sn(錫)、Pt(プラチナ)、Au(金)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Co(コバルト)等の金属、又はこれらの金属の合金、又はこれら金属の積層膜であってもよい。
第1導電層161は、n型半導体層15n及びp型半導体層15pと密着性の高い透明導電膜が用いられることが好ましい。第1導電層161の厚さは、例えば3〜100nmが好ましい。また、第2導電層162は、第1導電層161よりも導電率の高い金属を用いることが好ましい。第2導電層162の厚さは、50nm以上が好ましい。本実施形態における第2導電層162の厚さは、例えば0.8μm程度である。
なお、この例では、n型電極16n及びp型電極16pは、第1導電層161と第2導電層162とを積層した積層構造を有するが、第1導電層161を設けず、第2導電層162を、n型半導体層15n又はp型半導体層15pに接するように形成してもよい。この場合には、第2導電層162は、n型半導体層15n及びp型半導体層15pと密着性の高い金属を用いることが好ましい。具体的には、第2導電層162は、例えば、1〜10nm程度の厚さのTi(チタン)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)等のいずれかの金属と、Al(アルミニウム)又はAg(銀)等を主成分とする光を反射させる金属とを積層した積層構造を有することとしてもよい。
図5に示すように、n型電極16nは、膜厚減少領域Tの上にも形成されている。具体的には、n型電極16nのX軸方向の両端部Z1,Z2が、膜厚減少領域T内に位置するようにn型電極16nは形成されている。図示を省略するが、p型電極16pもn型電極16nと同様、p型半導体層15pにおける膜厚減少領域T内に、p型電極16pのX軸方向の両端部が位置するように形成されている。
(光電変換素子1の製造方法)
次に、図6A〜6Dを用い、光電変換素子1の製造方法について説明する。
まず、バルクのシリコンから100〜300μmの厚さのウェハを切り出し、ウェハ表面のダメージ層を除去するためのエッチングと、厚さを調整するためのエッチングとを行う。これらのエッチングされたウェハの片面に保護膜を形成する。保護膜は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン等が用いられる。保護膜が形成されたウェハを、NaOH、KOH等のアルカリ溶液(例えば、KOH:1〜5wt%、イソプロピルアルコール:1〜10wt%の水溶液)を用いてウェットエッチングを行う。このとき、異方性エッチングによって、保護膜が形成されていない面にテクスチャ構造が形成される。エッチング後に保護膜を除去することにより、図6Aに示すシリコン基板11が生成される。
続いて、図6Aに示すように、シリコン基板11の受光面にARC12を形成し、裏面にパッシベーション層13を形成する。以下、ARC12は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とを積層した積層構造を有し、パッシベーション層13は、酸化シリコン膜で構成されている場合について説明する。
この場合、まず、シリコン基板11の表面を熱酸化させ、受光面の酸化膜と裏面のパッシベーション層13とを形成する。その後、受光面の酸化膜の上に窒化シリコン膜を形成することによりARC12を形成する。シリコン基板11の酸化は、ウェット処理および熱酸化処理のいずれを用いてもよい。ウェット処理の場合、例えば、シリコン基板11を過酸化水素、硝酸、又はオゾン水等に浸漬し、その後、ドライ雰囲気で800〜1000℃に加熱する。また、熱酸化処理の場合には、例えば、シリコン基板11を酸素又は水蒸気の雰囲気で900〜1000℃に加熱する。窒化シリコン膜の形成は、スパッタ法、EB(Electron Beam)蒸着法、TEOS(TetraEthOxySilane)法等によって行うことができる。
熱酸化膜の形成後、プラズマCVD(Plasma Enchanced Chemical Vapor Deposition)を用い、パッシベーション層13を窒素プラズマで窒化し、さらに500℃以上でアニールすることにより、シリコン基板11の裏面にSiON膜が形成される。このように、パッシベーション層13をSiONで形成することにより、パッシベーション層13の上に形成されるp型半導体層15pに含有されるボロン等の不純物がシリコン基板11に拡散することを抑制することができる。また、トンネル電流を流すことができる膜厚のパッシベーション層13を形成した場合であっても、有効にボロン等の不純物の拡散を抑制することができる。
太陽電池の作製において、シリコン基板11の表面のパッシベーション性は重要なポイントの1つである。本実施形態では、1回の成膜によって、パッシベーション膜13が、シリコン基板11表面の全面に略均一な膜厚で形成される。意図的に複数回の成膜によって、シリコン基板11の表面の全面をパッシベーションするのではなく、本実施形態のように、1回の成膜でパッシベーション膜13を形成することは、製造プロセスの観点より好ましい。なお、パッシベーション膜13は、完全に面内が均一な膜厚でなくてもよい。また、パッシベーション膜13はシリコン基板11の表面の全面に限らず、ウェハ周辺やアライメントマーク部分等、シリコン基板11の表面の一部にパッシベーション膜13が形成されていなくてもよい。このように、パッシベーション膜13をシリコン基板11の略全面において略均一に形成することにより、シリコン基板11のパッシベーション性を向上させることができる。
次に、図6Bに示すように、パッシベーション層13の上にメタルマスク110を配置し、n型半導体層15nを形成する。本実施形態では、フラット領域Lの幅が約100μm、膜厚減少領域Tの幅が約150μmとなるようにn型半導体層15nが形成される。
メタルマスク110(110A)は、シリコン基板11上のn型半導体層15nが形成される部分に開口110aを有する。メタルマスク110の厚さMは200μmであり、開口幅Oは400μmである。メタルマスク110は、ステンレス鋼、銅、ニッケル、ニッケルを含む合金(例えば、42アロイ、又はインバー材等)、モリブデン等の金属で構成されていてもよい。シリコン基板11の熱膨張係数と、原料コストとを考慮するとメタルマスク110は42アロイがより好ましい。メタルマスク110の厚さMに関し、製造コストを考慮すると、メタルマスク110を1回で使い捨てることは問題となる。メタルマスク110を何度も使用することによって生産のランニングコストを抑制することができるため、メタルマスク110を再生して多数回使用することが好ましい。この場合、メタルマスク110に付着する成膜物を、弗酸やNaOHを用いて除去する。再生回数を考慮すると、メタルマスク110の厚さMは、30μm〜300μm程度が好ましい。
なお、本実施形態では、メタルマスクを用いる例を説明するが、メタルマスクに代えて、ガラス、セラミック、有機フィルム等で構成されたマスクを用いてもよい。
n型半導体層15nは、例えば、プラズマCVDを用いて形成される。プラズマCVD装置が備える反応室に導入される反応ガスは、シランガス、水素ガス、及び水素希釈されたホスフィンガス(ホスフィン濃度:1%)である。この場合、水素ガス流量は0〜100sccm、シランガス流量は40sccm、ホスフィンガス流量は40sccmである。シリコン基板11の温度は、例えば、130〜180℃である。また、反応室内の圧力は、40〜120Paであり、RFパワー密度は5〜15mW/cmである。これにより、リンがドープされたn型非晶質シリコン(n型半導体層15n)が形成される。
n型半導体層15nの膜厚減少領域Tの幅や膜厚減少量は、成膜圧力を変えることによって制御することができる。また、メタルマスク110Aの厚さMと開口幅Oによっても制御することができる。メタルマスク110の厚さMを厚くすると、図7に示すように、メタルマスク110A上の開口部110a近傍の領域Saにおける成膜が顕著となり、それに伴って膜厚減少領域Tの幅も広くなる。また、開口幅Oを狭くすることによって、この現象は顕著に現れる。このように、メタルマスク110の厚さMと開口幅O、成膜圧力などを制御することで、適切な膜厚減少領域Tを形成することができる。
また、図7に示すように、プラズマCVDなどの気相成膜法を用いて半導体層を成膜した場合、メタルマスク110Aの下部、つまり、パッシベーション層13とメタルマスク110Aの隙間の領域Sbに原料が回り込み、テーパー状に成膜される。反応室における圧力が高いほど原料の回り込みが大きくなり、テーパー形状領域Rの幅が大きくなる。テーパー形状領域Rの幅は、プラズマCVD装置の反応室における圧力や、メタルマスク110Aとパッシベーション層13の隙間の距離によって変動する。テーパー形状領域Rの幅は狭いことが好ましく、400μm以下が好ましい。より好ましくは100μm以下である。
続いて、図6Cに示すように、メタルマスク110Aを除去し、n型半導体層15nが形成されていない領域に開口部110bを有するメタルマスク110(110B)をシリコン基板11上に配置し、p型半導体層15pを形成する。
p型半導体層15pは、例えばプラズマCVDを用いて形成される。プラズマCVD装置が備える反応室に導入される反応ガスは、シランガス、水素ガス、及び水素希釈されたジボランガス(ジボラン濃度:2%)である。この場合、水素ガス流量は0〜100sccm、シランガス流量は40sccm、ジボランガス流量は40sccmである。シリコン基板11の温度は、130〜180℃である。また、反応室内の圧力は、40〜120Paであり、RFパワー密度は5〜15mW/cmである。これにより、ボロンがドープされたp型非晶質シリコン(p型半導体層15p)が形成される。
なお、p型半導体層15pにおいても、n型半導体層15nと同様に、成膜圧力、メタルマスク110Bの厚さと開口幅を調整することにより、p型半導体層15pの膜厚減少領域Tを制御することができる。
図6Cにおいて、メタルマスク110Bを除去することにより、パッシベーション層13の上に、n型半導体層15nとp型半導体層15pとが隣接して形成される。
続いて、図6Dに示すように、n型半導体層15nとp型半導体層15nの間をメタルマスク110(110C)で覆い、n型半導体層15nとp型半導体層15nの上に、n型電極16n及びp型電極16pを形成する。メタルマスク110Cは、開口部110cの端部が、隣接するn型半導体層15nとp型半導体層15pの膜厚減少領域T内に位置するように配置される。
n型電極16n及びp型電極16pは、第1導電層161と第2導電層162nとを積層した積層構造を有する。第1導電層161及び第2導電層162は、スパッタ法、EB蒸着法、イオンプレーティング法、熱CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ゾルゲル法、液状にした原料を噴霧して加熱する方法、又はインクジェット法等を用いて形成することができる。本実施形態では、第1導電層161がITO、IWO、ZnOのいずれかで構成されている。また、第2導電層162は、第1金属と第2金属の積層膜で構成されている。
第1導電層161は、例えばスパッタリングを用いて形成する。第1導電層161がITOの場合、以下の成膜条件でスパッタリングを行ってもよい。例えば、SnOを0.5〜4wt%ドープしたITOターゲットを用い、アルゴンガス、又はアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを導入する。シリコン基板11の温度は25〜250℃であり、ガス圧力は0.1〜1.5Pa、投入電力は0.01〜2kWである。また、第1導電層161がZnOの場合は、上記ITOターゲットに代えて、Alを0.5〜4wt%ドープしたZnOターゲットを用いる。
第2導電層162は、例えばEB蒸着法を用いて形成してもよいし、第1導電層161をシード層とし、メッキ成膜法によって第2導電層162を形成してもよい。例えば、第2導電層162の第1金属としてTiを成膜し、第1金属の上に、第2金属としてAlを成膜することにより、TiとAlの積層膜(Ti/Al)からなる第2導電層162が形成される。なお、第1金属としては、Ti以外に、例えば、Ni、W、Co等を用いてもよい。又は、これら金属の合金を用いてもよいし、これらの金属とP又はBとの合金を用いてもよい。また、第2金属として、Al以外に、例えばCu、Sn等を用いてもよい。
メタルマスク110Cの開口部110cの幅の端部が、n型半導体層15n及びp型半導体層15pの各膜厚減少領域T内に位置するようにメタルマスク110Cを配置することにより、図5に示すように、n型電極16nの両端部Z1,Z2がn型半導体層15nの膜厚減少領域T内に位置するようにn型電極16nが形成される。また、図示を省略するが、p型電極16pも同様に、p型電極16pの両端部Z1,Z2がp型半導体層15pの膜厚減少領域T内に位置するように形成される。
上記した製造方法により、図1に示す光電変換素子1が形成される。光電変換素子1において、p型半導体層15pとシリコン基板11は、パッシベーション層13を介してpn接合を形成する。pn接合に光が入射すると、電子と正孔とが生成される。電子と正孔は、パッシベーション層13をトンネリングして、n型半導体層15nとp型半導体層15pにそれぞれ移動し、n型電極16nとp型電極16pを通じて、電流として外部に取り出される。パッシベーション層13によって、シリコン基板11とn型半導体層15nとの間の界面、及びシリコン基板11とp型半導体層15pとの間の界面の欠陥が低減される。
上述した実施形態では、n型電極16n及びp型電極16pは、各電極の両端部Z1,Z2が、対応する半導体層における膜厚減少領域T内に位置するように形成される例を説明した。ここで、n型電極16n及びp型電極16pの両端部Z1,Z2の位置と、光電変換素子の直列抵抗成分Rs及び開放電圧Vocとの関係について説明する。
図8の(a)〜(d)は、n型電極16nの両端部Z1,Z2の位置が各々異なる4つの電極(161n、16n、162n、163n)を示す模式図であり、図9は、図8の(a)〜(d)に示す各n型電極を用いた場合の直列抵抗成分Rsと開放電圧Vocとを測定した結果を示す図である。
図8の(a)〜(d)に示す各n型電極の下のn型半導体層15nは、フラット領域L、膜厚減少領域T、テーパー形状領域Rを有する。図8の(a)は、n型電極161nの両端部Z1,Z2がフラット領域L内に位置し、図8の(b)は、上述した実施形態と同様、n型電極16nの両端部Z1,Z2が膜厚減少領域T内に位置している。また、図8の(c)は、n型電極162nの両端部Z1,Z2がテーパー形状領域R内に位置し、図8の(d)は、n型電極163nの両端部Z1,Z2がテーパー形状領域Rの外側に位置している。
図8の(a)に示すn型電極161nの場合、膜厚減少領域Tを形成しない場合と略同様の特性を有する。そのため、図9に示すように、図8の(a)の場合の直列抵抗成分Rs及び開放電圧Vocをそれぞれ1.0とし、これをレファレンスとする。
図9に示すように、図8の(b)に示すn型電極16nの場合、図8の(a)に示す電極161nよりも直列抵抗成分Rsが88%まで低下し、開放電圧Vocはn型電極161nの場合と同じである。つまり、図8の(b)に示すn型電極16nを用いた場合は、n型電極161nを用いた場合と比べ、パッシベーション性を確保しつつ、低抵抗化を図ることができる。また、図9に示すように、図8の(c)に示すn型電極162n、及び図8の(d)に示すn型電極163nを用いた場合、図8の(b)に示すn型電極16nを用いた場合に比べて直列抵抗成分Rsが低下するが、開放電圧Vocも若干低下する。よって、図8の(c)に示すn型電極162n、及び図8の(d)に示すn型電極163nのように、n型電極16nの両端部Z1,Z2がテーパー形状領域Rの内側や外側に位置する場合には、低抵抗化を図ることができる。上記のとおり、n型電極16nの両端部Z1,Z2が膜厚減少領域T内に位置する図8の(b)の場合、パッシベーション性を確保しつつ、低抵抗化を図ることができるため、図8の(c)(d)のn型電極162n、163nを用いた場合よりも好ましいと言える。
なお、上記実施形態の例では、n型半導体層15nとp型半導体層15pのそれぞれに膜厚減少領域Tを形成する例を説明したが、いずれか一方の半導体層に膜厚減少領域Tが設けられている場合であっても低抵抗の効果を得ることができる。よって、n型半導体層15nとp型半導体層15pの少なくとも一方の半導体層において膜厚減少領域Tが設けられていればよい。
上述した実施形態では、n型及びp型半導体層15n,15pにおける膜厚減少領域Tは、n型及びp型半導体層15n,15pの中心部分よりも膜厚が薄い。そのため、膜厚減少領域Tにn型電極16n又はp型電極16pの少なくとも一部を形成することにより、直列抵抗を減少させることができ、光電変換素子の特性を向上させることができる。
また、上述した実施形態では、n型及びp型半導体層15n、15pを形成する際、メタルマスク110の開口部の幅やメタルマスク110の厚さ、又は成膜圧力を制御することで、フラット領域Lと膜厚減少領域Tが1回の成膜で形成される。フラット領域Lに比べて膜厚減少領域Tは、相対的に成膜レートが遅くなるため、フラット領域Lよりも不純物濃度が相対的に増加する。その結果、膜厚減少領域Tにおける直列抵抗成分を低減し、さらにコンタクト抵抗を低減することができる。
また、上述した実施形態では、メタルマスク110を用い、n型及びp型半導体層15n、15pの上に、導電率の異なる第1導電層161及び第2導電層162を1回の成膜で形成することができる。そのため、フォトリソグラフィー等を用いて第1導電層161及び第2導電層162を形成する場合と比べ、光電変換素子1の製造工程を短縮し、製造コストを低減することができる。
また、上述した実施形態では、シリコン基板11の裏面に、熱酸化処理によって形成されたシリコンの非晶質膜がパッシベーション層13として全面に形成される。そのため、面内分布は若干生じるものの、略均一な膜厚でシリコン基板11の裏面を覆い、パッシベーションすることができる。また、上述した実施形態では、略均一なパッシベーション膜13の上に、膜厚減少領域Tを有する半導体層(n型半導体層15n、p型半導体層15p)が離間して形成され、膜厚減少領域Tの上に電極(n型電極16n、p型電極16p)が形成されている。このように構成することで、シリコン基板11の界面におけるパッシベーション性と低抵抗化を両立することができるため、より好ましい。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、n型半導体層15n及びp型半導体層15pがフラット領域Lを有する構成について説明したが、本実施形態では、n型半導体層15n及びp型半導体層15pにフラット領域Lが形成されていない構成について説明する。
図10は、本実施形態に係る光電変換素子の電極の断面図である。図10の例において、電極24nは、n型半導体層25nとn型電極26nとを含む。n型半導体層25nとn型電極26nはそれぞれ、第1実施形態におけるn型半導体層15n及びn型電極16nと同様の材料で構成されている。図10に示すように、n型半導体層25nは、膜厚減少領域T1とテーパー形状領域Rとを有する。
n型半導体層25nは、上述した第1実施形態と同様に、メタルマスク110を用いて形成される。メタルマスク110の厚さ、開口部の幅、又は成膜圧力を制御することにより、膜厚減少領域T1とテーパー形状領域Rが形成される。
図11は、メタルマスク110の開口幅Oを、第1実施形態と同様に400μmとし、成膜圧力を第1実施形態の成膜圧力よりも高く(例えば150Pa)した場合のn型半導体層25nの膜厚の測定結果を示している。
図11に示すn型半導体層25nの中心となる点C10の膜厚と、第1実施形態におけるn型半導体層15nの中心点Cの膜厚とは略同じである。図11に示すように、n型半導体層25nのC10からK10までの領域の膜厚の減少率は、K10からK20までの領域の膜厚の減少率よりも小さい。図11において、C10からK10までの各領域T1がn型半導体層25nにおける膜厚減少領域である。
なお、図11に示すように、上記成膜条件下では、点K20からn型半導体層25nの外側に向けて略同じ膜厚となっており、テーパー形状領域Rが形成されていないが、成膜圧力やメタルマスク110とパッシベーション層13との間の隙間の距離を調整することにより、テーパー形状領域Rを形成することができる。
また、図10に示すように、第1実施形態と同様、n型半導体層25nの膜厚減少領域T1内にn型電極26nの両端部Z1、Z2が位置するようにn型電極26nを形成する。このように構成することにより、図8の(a)に示したn型電極161nの場合と比べ、直列抵抗成分を低減することができる。よって、n型及びp型半導体層15n、15pにおいて、フラット領域Lが形成されていない場合でも、膜厚減少領域T1の上に、n型電極16n及びp型電極16pの少なくとも一部が形成されていれば、低抵抗化を図ることができる。
(製造方法)
本実施形態における光電変換素子は、上述した第1実施形態と同様の製造方法によって形成される。つまり、本実施形態におけるn型半導体層25n及びp型半導体層(図示略)は、図6B、6Cに示すメタルマスク110A,110Bを用い、成膜圧力、メタルマスク110の厚さM、メタルマスク110の開口幅O等を適宜調整することにより形成することができる。
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、図1におけるパッシベーション層13をシリコンの熱酸化膜で構成する例を説明したが、本実施形態では、パッシベーション層13として、水素を含有する真性(i型)非晶質半導体層で構成する例について説明する。
i型非晶質半導体層は、例えば、i型非晶質シリコン、i型非晶質シリコンゲルマニウム、i型非晶質ゲルマニウム、i型非晶質シリコンカーバイド、i型非晶質シリコンナイトライド、i型非晶質シリコンオキシナイトライド、i型非晶質シリコンオキサイド、又はi型非晶質シリコンカーボンオキサイド等を用いてもよい。
i型非晶質半導体層の厚さは、例えば、1〜10nmである。このように、i型非晶質半導体層をi型非晶質シリコンオキシナイトライドや、i型非晶質シリコンナイトライドで形成することにより、i型非晶質半導体層上に形成されるp型半導体層15pに含有されるボロン等の不純物がシリコン基板11に拡散することを抑制することができる。また、i型非晶質半導体層によって、シリコン基板11とn型半導体層15nとの間の界面、及びシリコン基板11とp型半導体層15pとの間の界面の欠陥を低減することができる。
(光電変換素子の製造方法)
本実施形態では、第1実施形態におけるパッシベーション層13として、i型非晶質シリコン層を形成する。i型非晶質シリコン層は、ARC12を形成する前に形成してもよいし、ARC12を形成した後に形成してもよい。また、ARC12を、i型非晶質シリコン層(例えば5nm)、n型非晶質シリコン層(例えば8nm)、シリコンの窒化膜(例えば60nm)をこの順に積層した3層構造としてもよい。
この場合、まず、シリコン基板11の受光面に、例えば、プラズマCVDを用いて、非晶質シリコン半導体層(i型非晶質シリコン層とn型非晶質シリコン層)を形成する。続いて、同じプラズマCVD装置において、反応ガスとしてアンモニアガスを追加し、シリコンの窒化物又は酸窒化物(SiN、SiON)からなるシリコンの窒化膜を形成する。これにより、真空雰囲気で上記3層を連続で成膜することができる。
さらに、プラズマCVD装置の反応室において真空状態でシリコン基板11を反転し、シリコン基板11の裏面にパッシベーション層13として、上記i型非晶質シリコン層を成膜する。i型非晶質シリコン層は、プラズマCVDを用いて、シリコン基板11の裏面の略全面に形成される。プラズマCVD装置が備える反応室に導入される反応ガスは、シランガス及び水素ガスである。この場合、水素ガス流量は0〜100sccm、シランガス流量は40sccmである。シリコン基板11の温度は、130〜180℃である。また、反応室内の圧力は、40〜120Paであり、RFパワー密度は5〜15mW/cmである。
シリコン基板11の裏面の略全面に成膜されたi型非晶質シリコン層の膜厚は、例えば8nmである。i型非晶質シリコン層の膜厚は、2〜20nm程度が好ましく、より好ましくは3〜12nm程度である。
次に、プラズマCVD装置の反応室において真空状態で、パッシベーション層13の上の適切な位置にメタルマスク110を配置する。そして、第1実施形態と同様の成膜条件の下、n型及びp型半導体層15n、15pと、n型及びp型電極16n、16pを順に成膜する。このようにすることにより、真空雰囲気内で光電変換素子を作製することができる。
なお、シリコン基板11の裏面にパッシベーション層13を成膜する際の熱履歴によって受光面のパッシベーション性が低下する現象が生じる場合がある。シリコン基板11の裏面を成膜する前に、受光面における非晶質シリコン半導体層上にシリコンの窒化膜を形成しておくことで、シリコンの窒化物膜によって上記パッシベーション性の低下を抑制することができる。
本実施形態では、パッシベーション層13としてi型非晶質シリコン層をシリコン基板11の裏面の略全面に1回の成膜で形成することができる。そのため、面内分布は若干生じるものの、略均一な膜厚でシリコン基板11の裏面を覆い、パッシベーションすることができる。また、上述した実施形態では、略均一なパッシベーション膜13の上に、膜厚減少領域Tを有する半導体層(n型半導体層15n、p型半導体層15p)が離間して形成され、膜厚減少領域Tの上に電極(n型電極16n、p型電極16p)が形成されている。このように構成することで、シリコン基板11の界面におけるパッシベーション性と低抵抗化を両立することができるため、より好ましい。
<第4実施形態>
上述した第1実施形態から第3実施形態では、1層のパッシベーション層13を形成する場合を例に説明したが、本実施形態では、2層のパッシベーション層13を形成する場合を例に説明する。なお、本実施形態では、パッシベーション層13として、上述した第3実施形態と同様にi型非晶質シリコン層を用いる。
図12は、本実施形態に係る光電変換素子100の断面を示す模式図である。また、図13は、図12に示すn型半導体層15nが形成された領域を拡大した模式図である。図12及び図13において、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付している。
図12に示すように、パッシベーション層13の上において、n型半導体層15n、p型半導体層15pが形成される位置にパッシベーション層13と同じi型非晶質シリコン層からなるパッシベーション層131が形成されている。以下、パッシベーション層13を第1パッシベーション層13、パッシベーション層131を第2パッシベーション層131と称する。
図13に示すように、n型半導体層15nは、膜厚減少領域Tを有し、n型半導体層15nの下に形成される第2パッシベーション層131も膜厚減少領域tを有する。また、図示を省略するが、p型半導体層15pも同様に、膜厚減少領域Tを有し、p型半導体層15pの下に形成される第2パッシベーション層131も膜厚減少領域tを有する。
本実施形態では、プラズマCVDを用いて、シリコン基板11の裏面の略全面に、i型非晶質シリコン層からなる第1パッシベーション層13を成膜する。第1パッシベーション層13の膜厚は約5nmである。続いて、第1パッシベーション層13の上にメタルマスク110D(図示略)を配置する。メタルマスク110Dは、開口部を有し、n型半導体層15nを形成する部分に開口部が位置するように、第1パッシベーション層13の上に配置される。そして、i型非晶質シリコン層からなる第2パッシベーション層131を成膜し、続けて、n型非晶質シリコン層からなるn型半導体層15nを成膜する。
次に、メタルマスク110Dを除去し、シリコン基板11上に、n型半導体層15nを覆うメタルマスク110E(図示略)を配置する。メタルマスク110Eは、開口部を有し、p型半導体層15pを形成する部分に開口部が位置するように配置される。そして、i型非晶質シリコン層からなる第2パッシベーション層131を成膜し、続けて、p型非晶質シリコン層からなるp型半導体層15pを成膜する。
なお、n型半導体層15nの面内方向の幅は例えば約400μmであり、p型半導体層15pの面内方向の幅は例えば約1200μmである。また、n型半導体層15nの下に形成される第2パッシベーション層131の膜厚は例えば約1nmであり、n型半導体層15nの膜厚は例えば約13nmである。p型半導体層15pの下に形成される第2パッシベーション層131の膜厚は例えば約3nmであり、p型半導体層15pの膜厚は例えば約15nmである。また、この例において、第1パッシベーション層13の膜厚は、約5nmである。
メタルマスクの開口幅によって半導体層における膜厚減少領域Tの幅や膜厚の減少量が変動する。シリコン基板11にn型の非晶質シリコンを用いている場合は、n型半導体層15nの低抵抗化が重要となる。そのため、p型半導体層15pの膜厚減少領域Tの幅よりn型半導体層15nの膜厚減少領域Tの幅が大きいことが好ましい。p型の非晶質シリコンをシリコン基板11として用いる場合には、上記とは逆に、n型半導体層15nの膜厚減少領域Tの幅よりp型半導体層15pの膜厚減少領域Tの幅が大きいことが好ましい。また、第2パッシベーション層131も膜厚減少領域tを有することで、第2パッシベーション層131に膜厚減少領域tを有しない場合と比べ、膜厚減少領域tの部分における膜厚が薄くなるため、より低抵抗化することができる。
本実施形態では、第1パッシベーション層13の膜厚(約5nm)よりも、n型半導体層15nの下に形成される第2パッシベーション層131の膜厚(約1nm)とp型半導体層15pの下に形成される第2パッシベーション層131の膜厚(約3nm)の方が薄い。第1パッシベーション層13と第2パッシベーション層131の合計膜厚を10nmとして、第1パッシベーション層13の膜厚H1と第2パッシベーション層131の膜厚H2の比率(H1/H2)を変化させて光電変換効率を測定した。図14は、第1パッシベーション層13と第2パッシベーション層131の膜厚の比率(H1/H2)とその光電変換効率の測定結果とを示す図である。
図14に示すように、膜厚比率が1.0以上において光電変換効率が24.0%以上となっており、膜厚比率が0.25のときに光電変換効率が22.3%と最も低くなった。これにより、第1パッシベーション層13と第2パッシベーション層131の合計膜厚で光電変換効率が決まるのではなく、第1パッシベーション層13の膜厚が、第2パッシベーション層131の膜厚より厚い方が、光電変換特性が良くなることが分かる。
よって、本実施形態のように、第1パッシベーション層13がシリコン基板11の略全面に形成され、第1パッシベーション層13上の一部に第2パッシベーション層131を形成する場合には、n型半導体層15n及びp型半導体層15pの少なくとも一方の半導体層の下に形成される第2パッシベーション層131の膜厚を、第1パッシベーション層13の膜厚よりも薄くすることにより、光電変換素子の特性を向上させることができる。
つまり、シリコン基板11の略全面に形成された第1パッシベーション層13の上の一部に第2パッシベーション層131を形成する場合には、第2パッシベーション層131の膜厚を第1パッシベーション層13よりも薄くすることが好ましい。また、本施形態のように、2層のパッシベーション層を形成する場合には、n型半導体層15nの下に形成される第2パッシベーション層131においても膜厚減少領域が形成されていることが、低抵抗化の観点からより好ましい。
<第5実施形態>
上述した第1実施形態〜第4実施形態では、n型半導体層15nとp型半導体層15pの少なくとも一方の半導体層における膜厚減少領域Tは、当該半導体層の中心から外側に向かって膜厚が減少する領域の例を説明したが、膜厚減少領域は以下のように構成されていてもよい。
図15は、本実施形態に係る光電変換素子の断面を示す模式図である。図15に示すように、光電変換素子101におけるn型及びp型半導体層15n、15pの少なくとも一方は、膜厚減少領域として、膜厚が最大となる点Cmから各半導体層の内側に向かって膜厚が減少する領域T2を有する。膜厚減少領域T2は、膜厚が最大となる点Cm(第1の点)から、半導体層の面内方向において膜厚の変化率の符号が負から正に変化する点Cn(第2の点)までの領域である。
すなわち、膜厚減少領域は、シリコン基板11上に成膜される一の薄膜において、膜厚が最大となる点を第1の点とし、当該薄膜の面内方向において膜厚の減少率が第1の減少率から第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点、または、当該薄膜の面内方向において膜厚の変化率の符号が負から正に変化する点を第2の点とした場合、当該薄膜の面内方向における第1の点から第2の点までの領域である。
<第6実施形態>
本実施形態では、上述した第1実施形態から第5実施形態に係る光電変換素子をモジュール化する場合について説明する。
光電変換素子をモジュール化する場合には、図16Aに示すように、n型半導体層15n及びp型半導体層15pを覆い、n型電極16n及びp型電極16pの上で離間するように、絶縁膜17を形成する。絶縁膜17は、例えば、Si、Al、Ti、ジルコニア等の酸化膜、Si又はAlの窒化物膜、Si又はAlの酸窒化物膜等の無機絶縁膜を用いてもよい。また、絶縁膜17は、例えば、イミド系樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、液晶ポリマー等の有機物であってもよい。なお、イミド系樹脂としては、例えばポリイミドでもよい。フッ素樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でもよい。また、絶縁膜17は、レジストをスクリーン印刷で形成してもよいし、シリコン樹脂等を用いてもよい。
次に、図16Aに示す光電変換素子102と電気的に接合される外部配線回路(以下、配線シートと称する)について説明する。図16Bは、本実施形態における配線シートの一部を拡大した模式図である。
配線シート200は、絶縁基材201の上に、配線材202a、202bが形成されて構成されている。絶縁基材201は、絶縁性の材料であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリイミド等を用いてもよい。絶縁基材201の膜厚は特に限定されないが、25μm以上、150μm以下程度が好ましい。また、絶縁基材201は、1層構造でもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。
配線材202a、202bは、導電性の材料であればよく、例えば、Cu、Al、Ag等のいずれかの金属でもよいし、又はこれらいずれかの金属を主成分とする合金等であってもよい。配線材202a、202bの膜厚は特に限定されないが、例えば、10μm以上、80μm以下が好ましい。配線材202a、202bの膜厚が10μm以下になると配線抵抗が高くなることがある。また、80μm以上になると、配線シート200と光電変換素子101とを貼り合せる際に熱をかける必要がある。配線材202a、202bと、光電変換素子101のシリコン基板11の熱膨張係数の違いなどにより、配線シート200の反りが大きくなるため、配線材202a、202bの膜厚は80μm以下がより好ましい。
配線材202a、202bの表面の一部には、ニッケル、金、白金、パラジウム、銀、錫、インジウム、ITOなどの導電性材料が形成されてもよい。このように構成することで、配線材202a、202bと光電変換素子101のn型及びp型電極16n、16pとの電気的接続が良好となり、配線材202a、202bの耐候性が向上する。配線材202a、202bは、1層構造でもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。
なお、配線シート200の形状及び配線材202a、202bのパターンは、図16Bに示すものに限定されない。
配線シート200の配線材202a、202bと、光電変換素子102の裏面に形成されたn型電極16n及びp型電極16pとが接合される。例えば、図16Bに示す破線枠200Aにおける配線材202aは光電変換素子101のp型電極16pと接合され、配線材202bは光電変換素子102のn型電極16nと接合される。また、破線枠200Bにおける配線材202aは光電変換素子101のn型電極16nと接合され、配線材202bはp型電極16pと接合される。つまり、図16BにおいてY軸方向に隣接する光電変換素子102の同じ導電型の各電極は、互いに異なる配線材と接合される。
このようにして接合することにより、各光電変換素子102は、電気的に直列に接続される。これにより、光電変換素子102に太陽光が入射して発生した電流は、配線シート200における配線材202a、202bを通じて外部に出力することができる。
光電変換素子102のn型電極16n及びp型電極16pと、配線シート200の配線材202a、202bとを接合する方法は特に限定されないが、以下の方法を用いることができる。例えば、半田樹脂、半田、導電性接着剤、熱硬化型銀ペースト、低温効果型銅ペースト、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、及び絶縁性接着剤(NCP:Non Conductive Paste)のいずれか1種類以上の導電性接着剤を用いて接合してもよい。例えば、半田樹脂は、タムラ科研(株)製のTCAP−5401−27等を用いてもよい。また、絶縁性接着剤は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂等のいずれかを用いてもよいし、熱硬化型又は光硬化型の樹脂を用いてもよい。また、導電性接着剤は、錫及びビスマスの少なくとも一方を含む半田粒子などを用いてもよい。より好ましくは、錫と、ビスマス、インジウム、銀等のいずれかとの合金であることが好ましい。このように構成することで、半田融点を抑えることができ、低温での接着プロセスが可能となる。
本実施形態では、図16Aに示すように、光電変換素子102は、非晶質半導体層であるn型半導体層15n及びp型半導体層15pと、n型電極16n及びp型電極16pの上に、絶縁膜17が形成されている。つまり、絶縁膜17は、非晶質半導体層の上と、n型電極16n及びp型電極16pの上とに存在し、絶縁膜17が形成される下地が異なる。下地が異なる絶縁膜17は、接着プロセスによる熱により、下地の熱膨張係数の違いから剥離等が生じることがある。そのため、特に、200℃以下での接着プロセスが好ましく、低温で硬化し、電気的に接合できる、熱硬化型銀ペースト、低温効果型銅ペースト、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト等を用いることが好ましい。
なお、n型電極16nとp型電極16pの上に上記導電性接着剤を塗布する際、隣り合う導電性接着剤が短絡しないように、導電性接着剤同士を空間的に分離し、電気的に絶縁する。このとき、導電性接着剤は、配線シート200と光電変換素子102との導通を阻害しないように塗布される。
導電性接着剤のパターニングは、スクリーン印刷等を用いてもよい。なお、異方性導電フィルムや異方性導電ペーストの場合には、パターニングの必要はない。配線材202a、202bと、光電変換素子102上のn型電極16n及びp型電極16pとが重なるように位置合わせを行い、圧着させながら加熱処理を行うことで、接着剤の接着力によって、光電変換素子102と配線シート200とが接合される。加熱処理の温度と加熱時間は、導電性接着剤、n型電極16n及びp型電極16p、配線材202a、202bの種類によって異なるが、120〜220℃程度であればよい。本実施形態の加熱処理の温度は150℃、加熱時間は数分から1時間程度である。
上記導電性接着剤は、光電変換素子102における絶縁膜17の開口領域F(図16A参照)の上に少なくとも形成される。なお、絶縁膜17によって、電気的絶縁性が保たれているため、開口領域Fの外側に導電性接着剤が形成されてもよい。
n型電極16n及びp型電極16pの上を絶縁膜17が覆っている領域は、絶縁膜17によって電極表面の酸化等が抑制される。そのため、酸化防止、信頼性向上の観点から、絶縁膜17で覆われる領域は広い方が好ましく、n型電極16n、p型電極16pの面内方向の幅X(図16A参照)に対し、絶縁膜17の開口領域Fの両側の領域の幅J1、J2(図16A参照)の合計が、30%以上であることがより好ましい。なお、製造プロセスの尤度を考慮すると、絶縁膜17の開口領域Fは、n型電極16n、p型電極16pの略中心付近に設けられていることが好ましい。
上記のようにして、配線シート200と光電変換素子102とが接合された配線シート付き光電変換素子は、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA樹脂)が形成されたガラス基板と、EVA樹脂が形成されたPETフィルムとの間に配置される。そして、ガラス基板側のEVA樹脂を配線シート付き光電変換素子に真空圧着させる。また、PETフィルム側のEVA樹脂を配線シート付き光電変換素子に真空圧着させた状態で125℃に加熱して硬化する。このようにすることで、ガラス基板とPETフィルムとの間で硬化したEVA樹脂中に、配線シート付き光電変換素子が封止され、太陽電池モジュールが作製される。
<第7実施形態>
上述した第1実施形態から第6実施形態では、シリコン基板11の受光面にテクスチャ構造を有する場合を例に説明したが、シリコン基板11の受光面と裏面にテクスチャ構造を有していてもよい。
図17Aは、両面にテクスチャ構造が形成されたシリコン基板401を用いて作製した光電変換素子400の断面図である。なお、図17Aにおいて、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付している。
光電変換素子400は、両面にテクスチャ構造を形成したウェハを用いて、上述した図6A〜6Dに示す各工程によって作製される。
図17Bは、シリコン基板401の表面のSEM(Scanning Electron Microscopy)写真を示す図である。図17Bの(a)は、テクスチャ構造を構成するピラミッドの底辺の長さが2μm以下である場合のSEM写真を示し、図17Bの(b)は、ピラミッドの底辺の長さが10μm以下である場合のSEM写真を示している。また、図17Bの(c)は、ピラミッドの底辺の長さが15μm程度である場合のSEM写真を示している。
図17Bの(a),(b),(c)に示す3種類のテクスチャ構造を両面に形成したシリコン基板401の裏面に、p型半導体層15pとn型半導体層15nを形成した。p型半導体層15pとn型半導体層15nは、上述した実施形態と同様に、膜厚減少領域Tを有する。このように、両面にテクスチャ構造が形成されたシリコン基板401を用いても、膜厚減少領域Tを有することによるパッシベーション性と低抵抗化の効果を得ることができる。
また、テクスチャ構造を有するシリコン基板401の裏面に、膜厚減少領域Tを有するp型半導体層15p及び/又はn型半導体層15nを形成し、半導体層上に、TCO(Transparent Conductive Oxide)及び/又は電極16を形成した場合に、凹凸形状に起因するアンカー効果などによって半導体層との密着性が向上する効果が得られた。よって、太陽電池の長期信頼性を向上させるため、シリコン基板の両面にテクスチャが形成される方が好ましい。
なお、光電変換素子400は、配線シート200を用いてモジュール化される。また、本実施形態による光電変換素子に用いるシリコン基板は、上述した他の実施形態において用いてもよい。
<第8実施形態>
本実施形態では、上述した第1実施形態から第5実施形態及び第7実施形態の少なくとも1つの光電変換素子を備えた光電変換モジュールについて説明する。図18は、本実施形態に係る光電変換モジュールの構成を示す概略図である。光電変換モジュール1000は、複数の光電変換素子1001と、カバー1002と、出力端子1003,1004とを備える。
複数の光電変換素子1001は、例えば、第6実施形態に係る配線シート200上にアレイ状に配置され、直列に接続されている。直列に接続する代わりに、並列接続、または、直列と並列を組み合わせた接続を行ってもよい。
カバー1002は、耐候性のカバーからなり、複数の光電変換素子1001を覆う。カバー1002は、例えば、光電変換素子1001の受光面側に設けられた透明基材(例えばガラス等)と、光電変換素子1001の受光面側とは反対の裏面側に設けられた裏面基材(例えば、ガラス、樹脂シート等)と、前記透明基材と前記樹脂基材との間の隙間を埋める封止材(例えばEVA等)とを含む。
出力端子1003は、直列に接続された複数の光電変換素子1001の一方端に配置される配線シート付き光電変換素子1001に接続される。
出力端子1004は、直列に接続された複数の光電変換素子1001の他方端に配置される光電変換素子1001に接続される。
上述したように、上述した第1実施形態から第5実施形態に係る光電変換素子1、100〜102、及び第7実施形態に係る光電変換素子400は、素子特性が向上している。従って、光電変換モジュール1000の性能を向上させることができる。
なお、本実施形態による光電変換モジュールは、図18に示す構成に限らず、第1実施形態から第5実施形態及び第7実施形態に係る光電変換素子のいずれかを用いる限り、どのような構成であってもよい。
<第9実施形態>
図19Aは、本実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す概略図である。太陽光発電システム1100は、光電変換モジュールアレイ1101と、接続箱1102と、パワーコンディショナー1103と、分電盤1104と、電力メーター1105とを備える。太陽光発電システム1100には、「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS:Home Energy Management System)」、「ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム(BEMS:Building Energy Management System)」等の機能を付加することができる。これにより、太陽光発電システム1100の発電量の監視、太陽光発電システム1100に接続される各電気機器類の消費電力量の監視・制御等を行うことができ、エネルギー消費量を削減することができる。
接続箱1102は、光電変換モジュールアレイ1101に接続される。パワーコンディショナー1103は、接続箱1102に接続される。分電盤1104は、パワーコンディショナー1103および電気機器1110に接続される。電力メーター1105は、分電盤1104および系統連携に接続される。
光電変換モジュールアレイ1101は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力を接続箱1102に供給する。
接続箱1102は、光電変換モジュールアレイ1101が発電した直流電力を受け、その受けた直流電力をパワーコンディショナー1103へ供給する。
パワーコンディショナー1103は、接続箱1102から受けた直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を分電盤1104に供給する。
分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力および/または電力メーター1105を介して受けた商用電力を電気機器1110へ供給する。また、分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力が電気機器1110の消費電力よりも多いとき、余った交流電力を、電力メーター1105を介して、系統連携へ供給する。
電力メーター1105は、系統連携から分電盤1104へ向かう方向の電力を計測するとともに、分電盤1104から系統連携へ向かう方向の電力を計測する。
図20は、図19Aに示す光電変換モジュールアレイ1101の構成を示す概略図である。図20を参照して、光電変換モジュールアレイ1101は、複数の光電変換モジュール1120と、出力端子1121,1122とを含む。
複数の光電変換モジュール1120は、アレイ状に配列され、直列に接続される。複数の光電変換モジュール1120の各々は、図18に示す光電変換モジュール1000からなる。
出力端子1121は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1120の一方端に位置する光電変換モジュール1120に接続される。
出力端子1122は、直列に接続された複数の光電変換モジュール1120の他方端に位置する光電変換モジュール1120に接続される。
太陽光発電システム1100における動作を説明する。光電変換モジュールアレイ1101は、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力を、接続箱1102を介してパワーコンディショナー1103へ供給する。
パワーコンディショナー1103は、光電変換モジュールアレイ1101から受けた直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を分電盤1104へ供給する。
分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力が電気機器1110の消費電力以上であるとき、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力を電気機器1110に供給する。そして、分電盤1104は、余った交流電力を、電力メーター1105を介して系統連携へ供給する。
また、分電盤1104は、パワーコンディショナー1103から受けた交流電力が電気機器1110の消費電力よりも少ないとき、系統連携から受けた交流電力およびパワーコンディショナー1103から受けた交流電力を電気機器1110へ供給する。
太陽光発電システム1100は、上述したように、素子特性が向上している第1実施形態から第5実施形態及び第7実施形態に係る光電変換素子のいずれかを備えている。従って、太陽光発電システム1100の性能を向上させることができる。
なお、本実施形態による太陽光発電システムは、図19A,20に示す構成に限らず、第1実施形態から第5実施形態及び第7実施形態に係る光電変換素子のいずれかを用いる限り、どのような構成であってもよい。また、図19Bに示すようにパワーコンディショナー1103には蓄電池1106が接続されていてもよい。この場合、日照量の変動による出力変動を抑制することができるとともに、日照のない時間帯であっても蓄電池1106に蓄電された電力を供給することができる。蓄電池1106はパワーコンディショナー1103に内蔵されていてもよい。
<第10実施形態>
図21Aは、本実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す概略図である。太陽光発電システム1200は、サブシステム1201〜120n(nは2以上の整数)と、パワーコンディショナー1211〜121nと、変圧器1221とを備える。太陽光発電システム1200は、図19A、19Bに示す太陽光発電システム1100よりも規模が大きい太陽光発電システムである。
パワーコンディショナー1211〜121nは、それぞれ、サブシステム1201〜120nに接続される。
変圧器1221は、パワーコンディショナー1211〜121nおよび系統連携に接続される。
サブシステム1201〜120nの各々は、モジュールシステム1231〜123j(jは2以上の整数)からなる。
モジュールシステム1231〜123jの各々は、光電変換モジュールアレイ1301〜130i(iは2以上の整数)と、接続箱1311〜131iと、集電箱1321とを含む。
光電変換モジュールアレイ1301〜130iの各々は、図20に示す光電変換モジュールアレイ1101と同じ構成からなる。
接続箱1311〜131iは、それぞれ、光電変換モジュールアレイ1301〜130iに接続される。
集電箱1321は、接続箱1311〜131iに接続される。また、サブシステム1201のj個の集電箱1321は、パワーコンディショナー1211に接続される。サブシステム1202のj個の集電箱1321は、パワーコンディショナー1212に接続される。以下、同様にして、サブシステム120nのj個の集電箱1321は、パワーコンディショナー121nに接続される。
モジュールシステム1231のi個の光電変換モジュールアレイ1301〜130iは、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力を、それぞれ接続箱1311〜131iを介して集電箱1321へ供給する。モジュールシステム1232のi個の光電変換モジュールアレイ1301〜130iは、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力をそれぞれ、接続箱1311〜131iを介して集電箱1321へ供給する。以下、同様にして、モジュールシステム123jのi個の光電変換モジュールアレイ1301〜130iは、太陽光を電気に変換して直流電力を発電し、その発電した直流電力をそれぞれ、接続箱1311〜131iを介して集電箱1321へ供給する。
そして、サブシステム1201のj個の集電箱1321は、直流電力をパワーコンディショナー1211へ供給する。
サブシステム1202のj個の集電箱1321は、同様にして直流電力をパワーコンディショナー1212へ供給する。
以下、同様にして、サブシステム120nのj個の集電箱1321は、直流電力をパワーコンディショナー121nへ供給する。
パワーコンディショナー1211〜121nは、それぞれ、サブシステム1201〜120nから受けた直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を変圧器1221へ供給する。
変圧器1221は、パワーコンディショナー1211〜121nから交流電力を受け、その受けた交流電力の電圧レベルを変換して系統連携へ供給する。
太陽光発電システム1200は、上述したように、素子特性が向上している第1実施形態から第5実施形態に係る光電変換素子のいずれかを備えている。従って、太陽光発電システム1200の性能を向上させることができる。
なお、本実施形態による太陽光発電システムは、図21Aに示す構成に限らず、第1実施形態から第5実施形態及び第7実施形態に係る光電変換素子のいずれかを用いる限り、どのような構成であってもよい。
また、図21Bに示すようにパワーコンディショナー1211〜121nに蓄電池1213が接続されていてもよいし、蓄電池1213がパワーコンディショナー1211〜121nに内蔵されていてもよい。この場合、パワーコンディショナー1211〜121nは、集電箱1321から受けた直流電力の一部または全部を適切に電力変換して、蓄電池1213に蓄電することができる。蓄電池1213に蓄電された電力は、サブシステム1201〜120nの発電量に応じて適宜パワーコンディショナー1211〜121n側に供給され、適切に電力変換されて変圧器1221へ供給される。
<変形例>
以上、本発明の第1〜第10実施形態にかかる光電変換素子について説明した。本発明の光電変換素子は上述の各実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
(1)上述した第1実施形態〜第10実施形態において、シリコン基板11,401は、n型単結晶シリコンからなるものでもよいし、p型単結晶シリコンからなるものでもよい。また、n型多結晶シリコン又はp型多結晶シリコンからなるものでもよい。なお、シリコン基板11,401がn型多結晶シリコンまたはp型多結晶シリコンからなる場合、シリコン基板11,401は、受光面、または受光面および裏面がドライエッチングを用いてハニカムテクスチャのようなテクスチャ構造に加工される。
(2)上述した第1実施形態〜第10実施形態では、シリコン基板11,401の受光面にARC12が形成されている場合を説明したが、ARC12が形成されていなくてもよい。また、ARC12に代えて、高濃度のn型ドーパントが拡散されたn層が形成されていてもよい。あるいは、シリコン基板11の受光面とARC12との間に、高濃度のn型ドーパントが拡散されたn層が形成されていてもよい。
(3)上述した第1実施形態〜第4実施形態では、プラズマCVD法を用いて非晶質半導体層を形成する場合を説明したが、プラズマCVD法に代えて、CatCVD(Catalytic Chemical Vapor Deposition)法を用いて非晶質半導体層を形成してもよい。CatCVD法を用いる場合、成膜条件は、例えば、シリコン基板11の温度を100〜300℃、成膜圧力を10〜500Pa、熱触媒体の温度(熱触媒体としてタングステンを使用する場合)を1500〜2000℃、RFパワー密度を0.01〜1W/cmとしてもよい。このようにすることで、品質の高い非晶質半導体層を比較的低温かつ短時間で形成することができる。
(4)また、上述した第3実施形態及び第4実施形態において、n型半導体層15nとp型半導体層15pにフラット領域Lが形成されていなくてもよい。

Claims (5)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の一方の面上に形成された第1導電型を有する第1非晶質半導体層と、
    前記半導体基板の一方の面上に形成され、かつ前記半導体基板の面内方向において前記第1非晶質半導体層に隣接して形成され、前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第2非晶質半導体層と、
    前記第1非晶質半導体層の上に形成された第1電極と、
    前記第2非晶質半導体層の上に形成された第2電極とを備え、
    前記半導体基板上に成膜された一の薄膜において、膜厚が最大となる部分の端部を第1の点とし、当該一の薄膜の面内方向において当該薄膜の膜厚の減少率が第1の減少率から前記第1の減少率よりも大きい第2の減少率に変化する点、または当該一の薄膜の面内方向において当該一の薄膜の膜厚の変化率の符号が負から正に変化する点を第2の点とし、当該一の薄膜の面内方向において前記第1の点から前記第2の点までの領域を膜厚減少領域と定義したとき、
    前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層の少なくとも一方の半導体層は、前記膜厚減少領域を有し、
    前記少なくとも一方の半導体層に形成された電極の両端は前記膜厚減少領域内に配置されている、光電変換素子。
  2. 前記膜厚減少領域を有する前記半導体層は、前記半導体基板と同じ導電型を有する、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層の各々は、前記膜厚減少領域を有し、
    隣接する前記第1非晶質半導体層と前記第2非晶質半導体層の前記膜厚減少領域は、離間して配置されている、請求項1に記載の光電変換素子。
  4. さらに、前記半導体基板と、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層との間に形成された第1パッシベーション膜を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  5. さらに、前記第1パッシベーション膜と、前記第1非晶質半導体層及び前記第2非晶質半導体層との間に形成された第2パッシベーション膜を備え、
    前記第1パッシベーション膜及び前記第2パッシベーション膜は、真性非晶質半導体からなる、請求項4に記載の光電変換素子。
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