JP6636912B2 - ペンタサイクリックアニオン塩を含む組成物と、電池電解質としてのその使用 - Google Patents

ペンタサイクリックアニオン塩を含む組成物と、電池電解質としてのその使用 Download PDF

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Description

ペンタサイクリックアニオン塩:電池のための組成
本発明は、電池電極のための、ペンタサイクリックアニオン塩の組成物、特にリチウム −トリフルオロメチル−4,5−ジカルボニトリルイミダゾレートに関する。
リチウム‐イオン電池は少なくとも1の負電極、1の正電極、セパレーター及び電解質を含む。電解質は、粘性と比誘電率の間の良好な折衷を有するために、一般に有機カーボネートの混合物である溶媒に、溶解されたリチウム塩からなる。
塩の中で最も広く使用されているリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)は、要求される多数の質の多くを有する、しかしフッ化水素酸ガスの形成によって質を下げる不利な点を有する。これは、特に特定の車両のためのリチウム‐イオン電池の近い将来における使用の文脈で、安全面の問題を引き起こす。
それゆえ、文献WO2010/023413に教示されるように、他の塩は、Li−イオン電池の電解質、特にLiTDI(リチウム −トリフルオロメチル−4,5−ジカルボニトリルイミダゾレート)及びLiPDI(リチウム 1−ペンタフルオロメチル−4,5−ジカルボニトリルイミダゾレート)を提供するために開発された。これらの塩は、より少ないフッ素原子を有すること、及びより弱いLiPFのリン‐フッ素結合の代わりに強い炭素‐フッ素結合を含むこと、という有利な点を有する。加えて、これらの塩は、約6mS/cmの非常に良好な伝導性、及びイミダゾレートアニオンとリチウムカチオンの間の非常に良好な分離性を有する。
文献WO2010/023413は、これらのペンタサイクリックアニオンの生成のためのいくつかの合成経路、ここでそれらのうちの1は無水フッ酸のような酸誘導体を用いるジアミノマレオニトリル(DAMN)の濃縮とそれに続くプロトン/リチウム交換からなる、を提案する。得られた塩は、Li−イオン電池のための電解質の範囲内でのそれの性能水準について、最適な組成物を達成するように、その後精製される。
しかしながら、WO2010/023413の精製工程の後に生成される塩は、電池についての適用の問題を引き起こす。分析の一般的な方法は、電池の電解質としてのそれらの利用に対して有害となりうる、塩中に存在する有機及び無機不純物、の同定及び/又は定量を可能にしなかった。
本発明の第一の対象は、上記の欠点を有さないペンタサイクリックアニオン塩の組成物である。
本発明の対象はまた、電池の電解質としてのこの組成物の使用である。
本発明の対象はまた、第一の対象に係る組成物を得るための製造方法である。
本発明は、電池の電解質の性能水準、特にSEI(固体電極界面)の確立の質及びまた充放電サイクルの間の電池の容量の維持力、について適する、ペンタサイクリック塩の組成物中に存在するイオン性及び非イオン性化合物の含有量のスレショルド、を提供する。
本発明は、式(I):
Figure 0006636912

[上式中、Rfは1から5の炭素原子を有するフッ化アルキル基又はフッ素原子を表す]
のイミダゾール化合物のリチウム塩を含む組成物に関する。
ある組成物の形態によれば、RfはCF、CHF、CHF、CHF、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C11、COCF、COCF、COCF又はCFOCF好ましくはCF、C、COCF、COCF又はCFOCFを表す。
別の組成物の形態によれば、RfはFを表す。
本発明に係る組成物は、式(I)の塩、並びにナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ストロンチウム、バナジウム、アンモニウム、銀、アルミニウム、ヒ素、バリウム、シリコン、カドミウム、コバルト、クロミウム、銅、ニッケル、鉛、アンチモン、セレン、スズ、ストロンチウム及びチタンから構成される群Aから選択される少なくとも1のカチオン、並びにフルオリド、クロリド、ナイトレート、サルフェート、ホスフェート、アセテート、ホルマート、トリフルオロアセテート、ペンタフルオロアセテート及び式(II)
Figure 0006636912

のアニオンから構成される群Bから選択される少なくとも1のアニオンを含み、カチオン及びアニオンの全てが組成物の1重量%以下を表す、組成物である。
本発明は、特に、第一の充電での最適な電解質の性能水準及び充放電サイクルの間のそれらの維持を提供することにより、先行技術の欠点を克服することを可能にする。本発明に係る組成物は、第一の充電での良好なSEI(固体電解質界面)、及び電池の作動サイクルの間の容量の優れた維持力、も提供する。
実施例1及び2の532nmのラマンスペクトルを示す。
本発明に係る組成物は、(i)式(I):
Figure 0006636912

[上式中、Rfは1から5の炭素原子を有するフッ化アルキル基又はフッ素原子を表す]
のイミダゾール化合物のリチウム塩、並びに(ii)ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ストロンチウム、バナジウム、アンモニウム、銀、アルミニウム、ヒ素、バリウム、シリコン、カドミウム、コバルト、クロミウム、銅、ニッケル、鉛、アンチモン、セレン、スズ、ストロンチウム及びチタンから構成される群Aから選択される少なくとも一つのカチオン、並びに(iii)フルオリド、クロリド、ナイトレート、サルフェート、ホスフェート、アセテート、ホルマート、トリフルオロアセテート、ペンタフルオロアセテート及び式(II)のアニオンから構成される群Bから選択される少なくとも1のアニオンを含み、カチオンとアニオンの全てが組成物の0より多く1重量%以下を表す。
実施態様によれば:
・ ‐ナトリウムの量が0から500ppmの間、及び好ましくは0から100ppmの間である;
・ ‐カリウムの量が0から1000ppmの間、及び好ましくは0から500ppmの間、及び有利には0から100ppmの間である;
・ ‐カルシウムの量が0から70ppmの間である;
・ ‐鉄の量が0から10ppmの間である;
・ ‐マグネシウムの量が0から10ppmの間である;
・ ‐マンガンの量が0から5ppmの間である;
・ ‐ストロンチウムの量が0から5ppmの間である;
・ ‐バナジウムの量が0から10ppmの間である;
・ ‐以下のカチオン:Ag、Al、As、Ba、Si、Cd、Co、Cr、Cu、Ni、Pb、Sb、Se、Sn、Sr、Ti、及びZnの総量が0から200ppmの間である;
・ ‐アンモニウム(NH+)の量が0から10ppmの間である;
・ ‐フルオリドの量が0から100ppmの間、及び好ましくは0から10ppmの間である;
・ ‐アセテートの量が0から30ppmの間、及び好ましくは0から5ppmの間である;
・ ‐ホルマートの量が0から200ppmの間、及び好ましくは0から10ppmの間である;
・ ‐クロリドの量が0から500ppmの間、及び好ましくは0から100ppmの間、及び有利には0から50ppmの間である;
・ ‐ナイトレートの量が0から150ppmの間、及び好ましくは0から100ppmの間、及び有利には0から50ppmの間である;
・ ‐サルフェートの量が0から500ppmの間、及び好ましくは0から150ppmの間、及び有利には0から25ppmの間である;
・ ‐ホスフェートの量が0から100ppmの間、及び好ましくは0から10ppmの間である;
・ ‐トリフルオロアセテートの量が0から100ppmの間である;
・ ‐ペンタフルオロアセテートの量が0から200ppmの間、及び好ましくは0から100ppmの間である;
・ ‐式(II)のアニオンの量が0から600ppmの間、及び好ましくは0から400ppmの間である;
・ −RfがF、CF3、CHF2、CH2F、C2HF4、C2H2F3、C2H3F2、C2F5、C3F7、C3H2F5、C3H4F3、C4F9、C4H2F7、C4H4F5、C5F11、C3F6OCF3、C2F4OCF3、C2H2F2OCF3、又はCF2OCF3、好ましくはCF3、C2F5、C2F4OCF3、C2H2F2OCF3又はCF2OCF3を表す。
出願者は、本発明に係る好適な組成物が、水平軸に関連して非常にわずかに逸れるラマン分光のベースラインにより、特徴付けられうることを発見した。以下の条件下:
532nmのグリーンレーザー励起波長
共焦点絞り=1000μ
ネットワーク600ライン
検出器2800cm−1
及びスペクトルは、1秒毎に16スキャンの5回の測定の追加から生じる、でJOBIN YVON顕微鏡を使用して、ラマン分析は実行された。
これらの条件下で、何れのラマン線もない4500cm−1と3000cm−1の間、で引かれたスペクトルのベースラインの偏差は、水平軸に関連した一定の傾き因子aを超えてはいけない。この因子は、式がy=ax+byであり、yが強度であり、xが波長であり、かつaが水平軸に関連した線形回帰直線の傾きを表し、かつbが微量の不純物により引き起こされた蛍光の効果による波長4500cm−1での強度yの移動を表すことを伴う、4500cm−1と3000cm−1の間のスペクトルのベースラインの、線形回帰により定義される。y及びbは、ラマン強度単位の構成子で表現される。ラマンスペクトルが蛍光性不純物の存在によるベースライン偏差を示さない時、a=0である。bの値は装置、特にレーザーのエイジング状態、に依存し、他のラマン顕微鏡で調べられた同一粉末は、異なるbの値、及びその結果として異なるラマン強度y、を提供するであろう。
他方、4500cm−1と3000cm−1の間のラマンスペクトルのベースライン、についての回帰直線の傾きaは、実質同一のままであろう。
4500cm−1と3000cm−1の間の傾きaの絶対値は、それゆえ好ましくはa≦25、最大の許容傾き因子、より好ましくはa≦15及び更により好ましくはa≦5である。
本発明のある好適な実施態様によれば、組成物は、式(I)の塩、及び群Aから選択される少なくとも1のカチオン、及び群Bから選択される少なくとも1のアニオンを含み、カチオン及びアニオンの全てが組成物の0より多く1重量%以下を表し、かつナトリウム及び/又はカリウムは0ppmより多く100ppm以下の量で存在する。
本発明の別の好適な形態によれば、組成物は、式(I)の塩、及び群Aから選択される少なくとも1のカチオン、及び群Bから選択される少なくとも1のアニオンを含み、カチオン及びアニオンの全てが組成物の0より多く1重量%以下を表し、かつトリフルオロアセテート及び/又はペンタフルオロアセテートは0ppmより多く100ppm以下の量で存在する。
本発明のある特に好適な実施態様によれば、組成物は、式(I)の塩、及び群A及び選択される少なくとも1のカチオン、及び群Bから選択される少なくとも1のアニオンを含み、カチオン及びアニオンの全てが組成物の0より多く1重量%以下を表し、ナトリウム及び/又はカリウムは0ppmより多く100ppm以下の量で存在し、かつトリフルオロアセテート及び/又はペンタフルオロアセテートが0ppmより多く100ppm以下の量で存在する。
本発明の実施態様が何であれ、式(I)の塩は、組成物の、少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.9重量%、及び有利には少なくとも99.95重量%を表す。
好ましくは、溶媒1リットルあたりそれが1モルの濃度で存在する時、式(I)の塩を含む可視光領域で非吸収性の組成物は、ハーゼン色数<10を有する。
可視光領域で非吸収性の溶媒として、特にアセトニトリル、エタノール、酢酸エチル及び水から構成されるものに言及されてもよい。
好ましくは、式(I)の化合物は、リチウム −トリフルオロメチル−4,5−ジカルボニトリルイミダゾレートである。
式(I)の化合物がリチウム 1−トリフルオトメチル−4,5−ジカルボニトリルイミダゾレートである時、リチウムは本発明に係る組成物の3.4重量%と3.8重量%の間、好ましくは3.55重量%と3.65重量%の間及び有利には3.59と3.61重量%の間を表す。
リチウムイミダゾールの調製
本発明の対象はまた、第一の対象に係る組成物を得るための方法である。この方法は、事前に調整された式(I)の化合物を含有する塩の溶液を活性炭上で処理する少なくとも1の工程、それに続く処理された溶液の再結晶化の少なくとも1の工程を、含む。
式(I)の化合物を含有する塩の溶液は、文献WO2010/023413(第10頁第28行から第12頁第16行)に記載された方法、すなわち、第一の工程での、無水又はアルデヒドO=CHR又はケタールを用いる濃縮による、ジアミノマレオニトリルから出発する酸の調製、とそれに続くその酸がリチウム塩に変換される間の第二の工程、により調製されうる。この溶液は、文献WO2013/072591に記載される方法によっても調製されうる。
式(I)の塩の組成物を調製するための方法は、前に記載されるように、(i)溶媒(S)存在下、活性炭上での、水素化リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びそれらの組み合わせ、から好ましくは選択される、リチウム塩基と式(III)のイミダゾール化合物の反応、から生じる溶液を処理する少なくとも1の工程;(ii)溶媒(S)中、式(I)の塩の組成物の溶液を与えるように、活性炭を分離する少なくとも1の工程、並びに(iii)工程(ii)で得られた溶液を濃縮する少なくとも1の工程、それに続く結晶の形成まで冷却する少なくとも1の工程、並びに(iv)少なくとも1のろ過‐乾燥及び/又はろ過工程、それに続く少なくとも1の乾燥工程、を含む。
Figure 0006636912
50と2の間の、好ましくは20と2の間の、及びより好ましくは15と2の間の体積因子により溶液が濃縮される時、好ましくは、冷却工程が実行される。
ある方法の変形例によれば、前に記載される結晶化工程(iii)の前に、工程(ii)で回収された溶液がエバポレートして乾燥され、その後、得られた固体が工程(i)に使用されるものとは異なる溶媒(S)に溶解される。
冷却温度は、−150から0℃の間、好ましくは−12から−2℃の間であってもよい。
これらの条件下で、LiTDiについての典型的な再結晶化収率は約90%である。
例えば、Rfがトリフルオロメチル基を表す時にLiTDIがえられ、Rfがペンタフルオロエチル基を表す時にLiPDIが得られる。
溶媒(S)として、水、あるいは有機溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはベンジルアルコールのようなアルコール、エチレンもしくはジメチルカーボネートのようなアルキルカーボネート、アセトニトリル、酢酸エチル、及びテトラヒドフラン(THF)から選択される、から構成されるものに言及されてもよい。
好ましくは、有機溶媒は、式(III)のイミダゾール化合物のリチウム化のための反応工程、及び/又は活性炭を用いて処理する工程のために使用される。リチウム化反応のための溶媒が、活性炭を用いて処理する工程のためのものとは異なってもよい。
有利には、方法は、活性炭を用いて処理する工程(i)及び/又はエバポレートして乾燥させる工程後の再溶解のために、アセトニトリル存在下で実行される。
活性炭は、好ましくは、フィジカル炭素と呼ばれる炭素の商業的に利用可能なグレード、すなわち高温での蒸気のみを用いて活性化される、から選択される。フィジカル炭素の中で、松のような”ソフトな”植物原料から誘導されるそれらが、特に好まれる。
活性炭は、粉末化されてもよく、または粒状であってもよく、または上記の有機溶媒又は水について不活性であるバインダーと粉末炭素を混合することにより得られる、複合ろ過媒体、の形状であってもよい。しかしながら、粒状又はフィルターの形状の活性炭は、加工の間にダストを制限するために好まれる。
−BETにより測定される、活性炭の多孔性は、好ましくは900から1800m/gの間、有利には900から1300m/gの間、及びより特別には900から1100m/gの間である。
活性炭の主な多孔性は、本来マイクロ孔、メソ孔又はマクロ孔であってもよい。メソ多孔性は好まれる。
処理のために使用される活性炭の粒径D10は、好ましくは5と10μmの間、有利には5と8μmの間である。
処理のために使用される活性炭の粒径D50は、好ましくは20と40μmの間、有利には25と35μmの間である。28と30μmの間の粒径D50は特に好まれる。
灰含有量は、蒸気活性炭について、好ましくは5重量%以下、有利には3重量%以下である。
酸で洗浄されるフィジカル炭素について、灰含有量は、好ましくは1重量%以下である。
沸騰により脱炭素化された水100ml中での4gの溶解、それに続く10分間の沸騰及びその後の熱い条件下でのろ過、の後に得られるろ過液上、で測定される炭素の初期のpHは、好ましくは10と6の間、及び有利には10と7の間である。
好ましくは、活性炭を用いて処理する工程について使用される式(I)の塩の組成物の溶液は、溶媒1リットルあたり、50と500gの間の塩であり、有利には100と250g/lの間である。アセトニトリル1リットルあたり、130と200gの間のLiTDIの溶液は、特に有利な結果を与えた。
好ましくは、処理される、溶液中の、使用される炭素/(I)の重量の重量比は、1:5と1:8の間である。本発明に係る好適な溶媒であるアセトニトリル、中の溶液は、1:5と1:88の間,及び好ましくは1:6と1:8の間の炭素対(I)の重量比を有する。このように、LiTDIの固体塩7.5gについて炭素を1g用いる処理は、有利な結果を与えた。
活性炭を用いる処理のための温度は、好ましくは0と60℃の間である。
CECAの2SW及び3SW範囲の粉末化された活性炭、又はこれらのグレードに基づく任意のろ過媒体は、特に適している。
ある実施態様によれば、工程(i)での使用前に、活性炭は水性浸出にかけられる。水性浸出は、3barまで及ぶ範囲の圧力を使用するろ過により、蒸留水又はイオン交換水と粉末化された活性炭とを用いて、実行されうる。
例として、出願人は、ガードナースタンダードによれば典型的に5から7の吸収を伴う茶色の初期溶液を活性炭を用いて処理するいくつかの工程後、塩(I)の1モラー有機溶媒溶液について、ハーゼン色数<10を得た。
活性炭を用いる処理の最後に、式(I)の塩は、有機溶媒からの再結晶化の工程にかけられる。
電解質の調製
このように調製された式(I)の化合物、特にLiTDI及びLiPDIは、適当な溶媒中でそれらを可溶化することにより、電解質の調製のために使用されうる。
例えば、式(I)の化合物は、以下の炭酸塩:炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、並びに以下のグリム:エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールt−ブチルメチルエーテル、から選択される1から5までの成分の、溶媒又は溶媒の混合物、に溶解される。溶媒の混合物が使用される時、成分のそれぞれの重量比は、最小量で存在する成分に対して、好ましくは1と10の間、より優先的には1と8の間である。
電解質中での式(I)の化合物の濃度は、好ましくは0.1mol/lから5mol/lまで、及び有利には0.2mol/lから2.5mol/lまでである。
この電解質は、それ自体が既知の方法で正極と負極の間にそれを配置することによる、電池又は電池セルの製造のためにその後使用されうる。
実験項
ハーゼン色数は、可視領域で非吸収性の溶媒中の式(I)の溶解について、1mol/lの濃度で、分光測光計Hach Lico150で、直径11mmのセル中で、ハーゼンスタンダードにより測定される。溶液がハーゼン色数10未満の値を与える時、より一層の正確性のために50mmキュベットを使用することにより、光路長は増加される。この実施例で与えられたハーゼン色数の値は、同一溶液の3の測定の平均値である。
ICP−AESデータは、ICAP 6500分光計(Thermo Electronics)で得られる。
Li、K、Na及び提供されたリストの微量の元素の、定量化のためのサンプリング:
(I)の試料は超純水中で溶解される。2の希釈液が用いられた:Na、K及び微量の元素Ag、Al、As、Ba、Si、Cd、Co、Cr、Cu、Ni、Pb、Sb、Se、Sn、Sr、Ti、Znの測定のための1g/l、及びリチウムの分析のための0.1g/l。
定性的パノラマ式分析:
元素及び微量の、準定量的”パノラマ式”分析のために適用されるICP−AES条件は:
プラズマ源出力:1150W
噴霧器の気体流量:0.7l/min
冷却流量=16l/min
トーチ高さ:12mm
ポンプ速度:50rpm
分光帯域7pmから200nm、ピクセルあたり3.5nm
波長範囲:167nmから847nm
である。
Li、K及びNaを測定するためのICP−AES定量法は、5の較正点を使用した。
微量の元素Ag、Al、As、Ba、Si、Cd、Co、Cr、Cu、Ni、Pb、Sb、Se、Sn、Sr、Ti及びZnの分析については、準定量法は2の較正点に基づく。
2つの方法のために、較正は、マトリックス効果を最小化するように標準試料を試料自体に加えることにより、実行される。
Li、Na及びK元素の測定について、水性溶液中でのカチオンクロマトグラフィーよりもICP−AESが好まれる。
実施例について、イオンクロマトグラフィー(IC)のアニオン分析のための条件は以下:
装置Dionex ICS 5000 DUAL
カラムASII−HC
流量1ml/min
溶離液15分のうちに2mmol/lから20mmol/lまでの勾配のKOH
伝導性に関する検出
50mAの適用電流を用いたサプレッサーASRS 4mm
存在するアニオン種あたりの要求される感度による、LiTDI5g/l及び10g/lの溶液50μlの注入
0.05mg/lから1mg/lまでの範囲の5つの合成溶液を用いるそれぞれのアニオン種の較正
である。
実施例について、19F、H及び13CNMRでの(I)又は(II)のような、フッ素化された種のNMR分析のための条件は以下の通りである:
装置:
NMRスペクトル及び定量化は、BBFOタイプの5mmプローブ上で、13Cについて100.62MHz及び19Fについて376.47MHzで、Bruker AV 400分光計で、実行された。
サンプリング:
(I)の試料はDMSO−d6中で溶解される(0.6ml中で約30mg)。フルオリド、又はフルオリドの求められない存在を確認するために使用される追加のLiF、の検出の場合、DMSO中でのLiFの非溶解性のために(I)の溶媒はDOである。
定量:
19FNMRによる相対的な定量は、シグナルに寄与するフッ素の数により量られるフッ素化された種、のシグナルの積分により、当業者によく知られた方法で、実行される。
19FNMRによる絶対的な定量は、(I)を含有するチューブへの、α,α,α−トリフルオロトルエン(TFT)、アルドリッチ、の計量された追加により、及びこの内部標準試料のCF基のそれと比較して評価されるフッ素化された種、のシグナルの積分により、当業者によく知られる方法により実行された。376.47MHzの周波数での選択されたプローブを用いた(II)のような種の定量の限界は、約50ppmかそこらである。
質量分析は、以下の実験条件下で、(II)のような(I)の有機不純物の経験に基づいた式、を確認することを可能にする:
装置:
質量分析のスペクトルは、WATERS QTOF II分光計に、分子(I)、又は(II)のような有機不純物、の正及び負のイオン化を使用して、記録される。
サンプリング:
Rf=CFを有する(I)の試料(LiTDI)は、濃度100mg/lでメタノール中に溶解される。それらは、メタノール/水の体積比70/30の混合溶液でのフローインジェクションモードを使用する質量分析に、直接注入される。
Figure 0006636912
実施例1
コンデンサー、滴下漏斗及び熱電対を備える4リットルのジャケット付き撹拌反応器、の中で98%−純DAMN867.35gは、常温で1,4−ジオキサン2979.29g中に配置される。30℃未満の温度で反応媒体を維持する間、99%−純無水トリフルオロ酢酸1751.57gが滴下漏斗により液滴で導入され、同時に懸濁液は撹拌される。懸濁液は速やかに、茶色の溶液に変化する。無水トリフルオロ酢酸の全てが導入された時、反応媒体の温度は、ジオキサンの還流(105℃)まで上昇させられる。30分の還流後、温度は50℃まで下げられる。反応器の内容物はその後、回転式エバポレーターを使用し高い減圧下(<10mmHg)で茶色のオイルが得られるまでエバポレートされる。このオイルはその後、5リットルビーカー中で、1:1の水:オイルの比で、水に取り込まれる。混合物全体は、同質の茶色のペーストが得られるまで撹拌され、60℃で加熱され、その後、冷水及び氷の槽中で速やかに冷却される。得られた結晶はその後、濾取され、トルエン500mlでリンスされ、かつその後、減圧下でろ過‐乾燥される。
こうしてろ過‐乾燥された結晶は、60℃の温度で、1:1の結晶/水重量比で、水に再溶解され、かつその後速やかに冷却される。得られた結晶は事前に、濾取され、リンスされ、ろ過‐乾燥される。
更なる再結晶化操作の後、結晶は、19FNMRにより分析され、NMR及び質量分析により式(III)の化合物及び900ppmのトリフルオロ酢酸(TFA)として同定される構造を有する、HTDIのアミド0.2%、HTDI99.7%の相対的なフッ素化された種の組成、を示す。
事前に得られた結晶は、約40℃の温度で、アセトニトリル中で、溶媒3.5mlに対して結晶1gの割合で、溶解される。固体形態のLiCOはその後、そこへ290.2gまで少量ずつ加えられ、かつ混合物は、一昼夜常温で撹拌するために置かれる。
アセトニトリルはその後、そこへ溶媒約7.2mlに対して塩1gの濃度を得るように、加えられる。
結果として生じる溶液はその後、事前に脱イオン水で洗浄された、CECA 3SW粉末化活性炭を用いて、LiTDI塩7.5gに対して炭素1gの割合で、常温で3時間処理される。処理の最後に、溶液はろ過される。
処理は、活性炭の新たな原料を用いて、再び実行される。
4回の処理後、ハーゼン色数6の色を有する溶液が得られる。
アセトニトリルのエバポレーション及び1週間、減圧下、120℃での乾燥後、固体1118gが得られる。
α,α,α−トリフルオロトルエンを用いた内部較正を用いる19FNMR分析は、LiTDI99.74重量%、LiTDIのアミド0.19%、及びリチウムトリフルオロアセテート(Li−TFA)730ppm、を含む組成物を与える。
固体230gは、コンデンサー及び磁気バーが備えられた2リットルの丸底フラスコ中で、65℃で、アセトニトリル900ml中にそれを溶解するようにサンプルされる。固体が完全に溶解した後、丸底フラスコは、撹拌のために留まった後、LiTDI溶液を−2℃に至らす氷/塩の槽に配置される。氷槽は、自然に温まるように放置され、その氷槽中での滞留時間は少なくとも5時間あり、その後、結晶のLiTDI、及び非常にわずかに黄色がかった色を有するアセトニトリル、を含有する丸底フラスコが、アセトニトリルの体積を3倍に濃縮するように、穏やかな減圧下でのエバポレーションのために、40℃の加熱槽に移される。
混合物全体は、その後、常温でろ過され、かつ白色のLiTDI結晶が210gの重量、すなわち、91.3%のアセトニトリル再結晶化収率を表す。このように再結晶化されたこの分画は、19FNMR及びα,α,α−トリフルオロトルエン>99.95重量%のLiTDIを用いた内部較正により、決定される純度を有し、かつ約200ppmのLi−アミド及び100ppmより少ないLi−TFAを示す。
得られた固体のICP分析、色、及び電池における性能水準は下記の表に要約される。
Figure 0006636912
19F NMR分析に係る相対的な重量%としての、固体の組成:
Figure 0006636912
アルドリッチからのα,α,α−トリフルオロトルエン(TFT)を用いた内部較正による19F NMR分析、に係る絶対的な重量%としての固体の組成:
Figure 0006636912
ラマンの結果:y=ax+bの絶対値の傾きは、a=3.93である。
実施例2
方法は、35kgのLiTDIの目標に定められた量のためのパイロットではあるが、以前と同様に実行された。100−リットルの反応器は、4−リットルの撹拌反応器の代わりに用いられ、400−リットルの反応器は、希釈条件下での活性炭を用いた処理のために用いられる。水を用いた洗浄及びそれらのろ過にもよる、活性炭の調質は、11μmのPPクロスを備えたトゥルネルフィルター中で実行された。
得られた固体のICP分析、色、及び電池における性能水準は、下記の表に要約される:
Figure 0006636912
カチオンのICP−AES測定のセット
Figure 0006636912
19FNMR分析に係る相対的な重量%としての、固体の組成:
Figure 0006636912
ラマンの結果:x=4500cm−1とx=3000cm−1の間のスペクトルのベースライン、についての線形回帰直線y=ax+bの絶対値での傾きは、a=10.57である。
図1によれば、実施例1及び2の532nmのラマンスペクトルが得られる。4500cm−1から3000cm−1までの範囲のベースラインの線形回帰は、ラマン強度y、水平軸に対する直線の傾きa、ラマン波数x、及び強度y=0に対する波数x=0での直線内の移動b、を用いる式y=ax+bを有する直線を与える。

Claims (15)

  1. (i)式(I):
    Figure 0006636912
    [上式中、Rfは1から5の炭素原子を有するフッ化アルキル基又はフッ素原子を表す]
    のイミダゾール化合物のリチウム塩、並びに(ii)ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ストロンチウム、バナジウム、アンモニウム、銀、アルミニウム、ヒ素、バリウム、ケイ素、カドミウム、コバルト、クロミウム、銅、ニッケル、鉛、アンチモン、セレン、スズ及びチタン、から構成される群Aから選択される少なくとも一つのカチオン、並びに(iii)フルオリド、クロリド、ナイトレート、サルフェート、ホスフェート、アセテート、ホルマート、トリフルオロアセテート、ペンタフルオロアセテート及び式(II)
    Figure 0006636912
    [上式中、Rfは1から5の炭素原子を有するフッ化アルキル基又はフッ素原子を表す]
    のアニオン、から構成される群Bから選択される少なくとも一つのアニオンを含み、カチオンとアニオンの全てが、組成物の重量において、0より多く1重量%以下を表す、組成物。
  2. 以下の特徴:
    - ‐ナトリウムの量が0から500ppmの間である;
    - ‐カリウムの量が0から1000ppmの間である;
    - ‐カルシウムの量が0から70ppmの間である;
    - ‐鉄の量が0から10ppmの間である;
    - ‐マグネシウムの量が0から10ppmの間である;
    - ‐マンガンの量が0から5ppmの間である;
    - ‐ストロンチウムの量が0から5ppmの間である;
    - ‐バナジウムの量が0から10ppmの間である;
    - ‐以下のカチオン:Ag、Al、As、Ba、Si、Cd、Co、Cr、Cu、Ni、Pb、Sb、Se、Sn、Sr、Ti、及びZnの総量が0から200ppmの間である;
    - ‐アンモニウム(NH )の量が0から10ppmの間である;
    - ‐フルオリドの量が0から100ppmの間である;
    - ‐アセテートの量が0から30ppmの間である;
    - ‐ホルマートの量が0から200ppmの間である;
    - ‐クロリドの量が0から500ppmの間である;
    - ‐ナイトレートの量が0から150ppmの間である;
    - ‐サルフェートの量が0から500ppmの間である;
    - ‐ホスフェートの量が0から100ppmの間である;
    - ‐トリフルオロアセテートの量が0から100ppmの間である;
    - ‐ペンタフルオロアセテートの量が0から200ppmの間である;
    - ‐式(II)のアニオンの量が0から600ppmの間である;
    - ‐RfがF、CF、CHF、CHF、CHF、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C11、COCF、COCF、COCF、又はCFOCFを表す、の少なくとも1を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 式y=ax+b(式中、yが強度であり、xが波長であり、bが波長4500cm −1 での強度yの移動を表すものである)を有する直線に匹敵する4500cm−1から3000cm−1の間で引かれたラマン分光のベースラインの水平軸に関連した偏差aの絶対値が、≦25であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. ナトリウム及び/又はカリウムが0ppmより多く、100ppm以下の量で存在することを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
  5. トリフルオロアセテート及び/又はペンタフルオロアセテートが0ppmより多く100ppm以下の量で存在することを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
  6. 式(I)の塩は、組成物の少なくとも99重量%を表すことを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
  7. 溶媒1リットル当たり式(I)の塩1モルの濃度についてハーゼン色数<10を有すること、つまり可視領域で非吸収性であることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の組成物。
  8. 式(I)の化合物がリチウム 2‐トリフルオロメチル‐4,5‐ジカルボニトリルイミダゾレートであることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
  9. 事前にジアミノマレオニトリルから調整された式(I)の化合物を含有する塩の溶液を活性炭上で処理する少なくとも1の工程、それに続く処理された溶液の再結晶化の少なくとも1の工程を含むことを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物を調製するための方法。
  10. (i)溶媒(S)存在下、活性炭上でのリチウム塩基との、式(III)
    Figure 0006636912
    [上式中、Rfは1から5の炭素原子を有するフッ化アルキル基又はフッ素原子を表す]
    のイミダゾール化合物の、反応から生じる溶液を処理する少なくとも1の工程;(ii)溶媒(S)中、式(I)の塩の組成物の溶液を与えるように、活性炭を分離する少なくとも1の工程;及び(iii)工程(ii)で得られた溶液を濃縮する少なくとも1の工程、それに続く結晶の形成まで冷却する少なくとも1の工程、及び(iv)少なくとも1のろ過‐乾燥及び/又はろ過工程、それに続く少なくとも1の乾燥工程、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 工程(ii)で回収された溶液がエバポレートして乾燥され、その後得られた固体が、上記結晶化工程(iii)の前に、工程(i)について用いられたものと異なる溶媒(S)に溶解されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 溶媒(S)が、水又は有機溶媒から選択されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 活性炭が粉末化され、又は粒状である、又は複合ろ過媒体の形状であることを特徴とする、請求項9から12の何れか一項に記載の方法。
  14. −BETにより測定される活性炭の多孔性が900から1800m/gの間であることを特徴とする、請求項9から13の何れか一項に記載の方法。
  15. 請求項1から8の何れか一項に記載の組成物の、電解質、好ましくは電池電解質としての使用。
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