JP6633380B2 - オイル貯留機構 - Google Patents
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Description
このようなオイル貯留機構としては、例えば、車両の変速機に取り付けられるものがある。
車両の変速機に取り付けられるオイル貯留機構には、車両の急な動きの際に貯留オイルの偏りによってストレーナの吸入口から空気を吸い込んでしまうことを防止するために、オイルガイドが設けられたものがある。特許文献1によれば、フロート型のオイルガイド(バッフルプレート4)が貯留オイルに浮かべられており、車両の急な動きの際にオイルガイドが移動することにより貯留オイルの上方への移動を防止している。
従って、時間経過と共にオイルガイドの上部に帰還オイルが蓄積され、オイルガイドの下部にある貯留オイルが枯渇してしまい、ストレーナの吸入口から空気の吸い込みが起こってしまう虞がある。
これにより、オイルガイド(特に浮体)が貯留オイルに油没した場合には浮力が発生し、浮体が油面に近づく方向へ移動(浮上)しやすくされる。また、貯留オイルがオイルパン内部で偏った場合において、帰還オイルへの浮体の油没が早まる。
これにより、貯留オイルがオイルパン内部で偏った場合において、帰還オイルへの浮体の油没が早まる。
これにより、車両の車幅方向におけるオイルガイドの下部から上部への貯留オイルの移動が制限される。
これにより、オイルガイドが貯留オイルに油没した場合において、更に大きな浮力が発生する。
第1の実施の形態におけるオイル貯留機構の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るオイル貯留機構1がオイルの供給を必要とする機構としての変速機2の下方に配置された車両100を示した図である。尚、図1は、車両100に搭載された各部のうち、本発明に係る部分としてオイル貯留機構1、変速機2、エンジン3のみを示したものである。
オイル貯留機構1は、図2に示すように、オイルを貯留するためオイルパン4と、オイルパン4から変速機2にオイルを供給するストレーナ5と、オイルパン4に貯留されたオイル(以降、貯留オイルと記載)に浮かべられるオイルガイド6と、オイルガイド6の上方への移動を規制するための規制部材7とを備えている。
ストレーナ5は、オイルパン4に貯留された貯留オイルを吸入するための円筒形状とされた吸入部5aと、図示しない濾材と、吸入したオイルに含まれる金属粉等を吸着するための図示しないマグネットなどを備えている。吸入口5bの先端には吸入口5bが設けられている。図2乃至図4には、吸入部5aの一部を示している。吸入部5aの内部には、吸入したオイルが通過する吸入路が形成されている。
ストレーナ5は吸入部5aがオイルパン4の貯留オイルから露出しないように浸された状態で、上部に位置する図示しない別の部材(例えば変速機2)に固定されている。
オイルガイド6の車幅方向の長さは、オイルパン4の側方内壁4c、4cの間の距離と略同じとされ、側部が側方内壁4c、4cと当接される。
オイルガイド6の前後方向の長さは、オイルパン4の前方内壁4aと後方内壁4bの距離よりも短くされる。即ち、貯留オイルの偏りが無い状態においては、図4に示すように、オイルガイド6の前方側に隙間S1、後方側に隙間S2が生じ、液面の一部がオイルガイド6の下方に位置せずに表出する。尚、貯留オイルの偏りが無い状態とは、例えば、車両が一定速度で直線道路を走行中である場合や、停車中である場合など、貯留オイルに力が働いていない状態である。
オイルガイド6が前方に移動した状態においては、図5に示すように、隙間S1がオイルガイド6によって閉塞され、隙間S2が図4よりも広くされる。
また、オイルガイド6が後方に移動した状態においては、図6に示すように、隙間S2がオイルガイド6によって閉塞され、隙間S1が図4よりも広くされる。
浮体8,8は、一方がオイルガイド6の前方端6a付近に配置され、他方が後方端6b付近に配置されている。
[2−1.通常時の動作状態]
通常時のオイルガイド6の動作状態について、図7を参照して説明する。
通常時とは、オイルの一部が変速機2の各部に供給されている状態であって且つ貯留オイルに偏りが生じていない状態であり、例えば、一定速度で直線道路を走行しているときや、信号でエンジン3が運転状態で停車しているときなどである。
尚、オイルガイド6の前後方向における位置は、図7に示す状態(即ちオイルパン4の略中央に位置している状態)だけでなく、場合によって、オイルガイド6の前方端6aがオイルパン4の前方内壁4aと当接している状態(即ち前方へ変位している状態)や、オイルガイド6の後方端6bがオイルパン4の後方内壁4bと当接している状態(即ち後方へ変位している状態)があり得る。
特に、急停止時などのオイルガイド6の動作状態について、図8乃至図10を参照して説明する。
急停止時などとは、車両100が急発進、急加速、急停止、急減速などを行ったときである。
オイル貯留機構1にオイルガイド6が設けられていない場合、貯留オイルに前方への慣性力が働き、図8に示す状態となる。尚、オイルガイド6が設けられていない場合、規制部材7も不要であるため、図8には示していない。
貯留オイルの大部分がオイルパン4の前方に移動することによって、ストレーナ5の吸入口5bが貯留オイルから露出し、空気の吸い込みが起きてしまう虞がある。
この場合、図9に示すように、前方への慣性力によって貯留オイルとオイルガイド6が前方へ移動すると共に、オイルガイド6が上方へ移動される。このとき、オイルガイド6の前方端6aがオイルパン4の前方内壁4aに当接することにより、オイルガイド6の更なる前方への移動が規制される。
この状態においては、オイルガイド6の上方及び前方への移動が規制されることによって、貯留オイルの移動も規制され、ストレーナ5の吸入口5bが貯留オイルから露出することなく貯留オイルを吸入することが可能である。
尚、この後、車両100が一定速度に達することにより、図7に示す状態へと戻る。
車両100が下り坂や上り坂を走行しているときのオイルガイド6の動作状態について、図11乃至図15を参照して説明する。
ここでは、下り坂走行を例に説明する。
下り坂に差し掛かると、図11に示すように、貯留オイルとオイルガイド6が前方に移動すると共に、オイルガイドがオイルパン4の底面に対して上方に移動される。このとき、オイルガイド6の前方端6aがオイルパン4の前方内壁4aに当接すると共に、オイルガイド6の上面が規制部材7の下面に当接する。
即ち、オイルガイド6は前方及び上方への移動が規制されることにより、貯留オイルの前方及び上方への移動が規制される。
下り坂に差し掛かると、図13に示すように、貯留オイルとオイルガイド6が前方に移動すると共に、オイルガイドがオイルパン4の底面に対して上方に移動される。このとき、オイルガイド6の前方端6aがオイルパン4の前方内壁4aに当接すると共に、オイルガイド6の上面が規制部材7の下面に当接する。
従って、貯留オイルの前方及び上方への移動が規制されることにより、ストレーナ5の吸入口5bから空気の吸い込みが起きることを防止する。
このとき、オイルガイド6に取り付けられた浮体8は貯留オイルに対して浮力を有するため、浮体8に浮力が発生する。
オイルガイド6は、浮体8に発生した浮力に応じて、上方及び後方に力が掛かる。オイルガイド6は、規制部材7によってストレーナ5の挿通方向への移動が規制されていることから、オイルガイド6は、規制部材7の下面と摺動しながらストレーナ5の挿通方向に直交する方向へ(即ち車両後方斜め上方向へ)移動し、図15に示す状態となる。
従って、帰還オイルは隙間S1からオイルガイド6の下部へ流入することにより、ストレーナ5の吸入口5bが貯留オイルから露出することなく貯留オイルを吸入することが可能となる。
第2の実施の形態におけるオイル貯留機構1Aの構成について説明する。
第2の実施の形態におけるオイル貯留機構1Aは、図16に示すように、オイルガイド6の前方端6a及び後方端6bだけでなく、車両100の車幅方向における外周部にも浮体8が取り付けられる。
これにより、帰還オイルがオイルガイド6の上部に蓄積された場合に、浮体8に発生する浮力が増すため、より確実にオイルガイド6を図15に示す状態へと移動させる(即ち隙間S1を発生させる)ことができる。
[4−1.第1の変形例]
第1の変形例では、前述とは異なる形状とされた規制部材7Bを有するオイル貯留機構1Bについて説明する。
規制部材7Bは、図17に示すように、前後方向の長さがオイルパン4の前方内壁4aと後方内壁4bの距離と略同じ長さとされ、前端の中央部に前方切欠7bが形成され、後端の中央部に後方切欠7cが形成されている。
同様に、オイルガイド6の後方端6bとオイルパン4の後方内壁4bの間の隙間と、規制部材7Bの後方切欠7cとオイルパン4の後方内壁4bの間の隙間が重なり合った部分が隙間S2とされる。
また、オイルガイド6及び貯留オイルが後方に移動した際には、隙間S2が消失し、隙間S1が最大の大きさとされる。
車両の旋回時においては、貯留オイルに対して車幅方向の慣性力が働く。従って、貯留オイルはオイルパン4のいずれかの側方内壁4cに押しつけられるように移動する(偏る)。このとき、図18に示すオイル貯留機構1Bの構成であれば、オイルパン4の側方からオイルガイド6の上方への貯留オイルの流出を規制部材7Bによって防止することができる。
即ち、車両の旋回時においても、空気の吸い込みを防止することができる。
第2の変形例では、前方端6aの端面及び後方端6bの端面に浮体8,8が設けられたオイルガイド6Cを備えたオイル貯留機構1Cについて説明する。
オイルガイド6Cは、図19に示すように、オイルガイド6Cの上面ではなく、前方の端面および後方の端面に浮体8,8が設けられている。
これにより、例えば、浮体8を高弾性の素材で形成することにより、オイルガイド6Cがオイルパン4の前方内壁4a及び後方内壁4bに当接した際の衝撃が緩和され、オイルパン4の傷付きを防止することができる。
通常時において浮体8,8の下面がオイルの油面と接触していないことにより、オイルガイド6Cの貯留オイルに対する移動が円滑となる。また、帰還オイルがオイルガイド6Cの上部に蓄積される前に浮力が過剰に発生してしまい、隙間S1(又は隙間S2)が消失している時間が短くなりすぎてしまうことを防止することができる。即ち、オイルガイド6Cの上方への貯留オイルの流出を適切に抑制することができる。
また、この構成によっても、浮体8を高弾性の素材で形成することにより、オイルガイド6Cがオイルパン4の前方内壁4a及び後方内壁4bに当接した際の衝撃が緩和され、オイルパン4の傷付きを防止することができる。
尚、ストレーナ5にフランジ部(不図示)が形成され、該フランジ部が規制部材7として機能してもよい。換言すれば、ストレーナ5と規制部材7は一体に形成されていてもよい。
これにより、部品点数の削減が図られ、コスト削減に寄与することができる。
<5.まとめ>
上記の実施の形態や変形例に記載したオイル貯留機構1(1A,1B,1C)は、変速機2の下部に配置されオイルが貯留されるオイルパン4と、オイルパン4から貯留オイルを吸入する吸入口5bを有したストレーナ5(具体的には吸入部5a)が挿通され、挿通方向の略直交方向に移動可能なオイルガイド6(6C)と、貯留オイルに対して浮力を有しオイルガイド6(6C)に設けられる浮体8と、を備えている。
これにより、オイルガイド6(6C)、特に浮体8が貯留オイルに油没した場合には浮力が発生し、浮体8が油面に近づく方向へ移動(浮上)しやすくされる。
従って、例えば登り坂を走行しているときなど、貯留オイルがオイルパン4内部で偏った状態が継続する場合において、変速機2からオイルパン4に戻ってきた帰還オイルがオイルガイド6(6C)上面に溜まった際に、浮体8の浮力によってオイルガイド6(6C)が油面に対して上方に移動されて帰還オイルがオイルガイド6(6C)の下部に戻りやすくされる。即ち、オイルガイド6(6C)の下部の貯留オイル量が減少することによる吸入口からの空気の吸い込みの防止が図られる。
これにより、貯留オイルがオイルパン4の内部で偏った場合において、帰還オイルへの浮体8の油没が早まる。
従って、帰還オイルのオイルガイド4下部への戻りを早めることができ、吸入口5bからの空気の吸い込みの防止がより図られる。
これにより、車両の車幅方向におけるオイルガイド6(6C)の下部から上部への貯留オイルの移動が制限される。
従って、オイルガイド6(6C)下部の貯留オイルの減少の抑制が図られる。
これにより、貯留オイルがオイルパン4内部で偏った場合において、帰還オイルへの浮体の油没が早まる。
従って、帰還オイルのオイルガイド6下部への戻りを早めることができ、吸入口5bからの空気の吸い込みの防止がより図られる。
これにより、オイルガイド6が貯留オイルに油没した場合において、更に大きな浮力が発生する。
従って、帰還オイルのオイルガイド6下部への戻りを更に早めることができ、吸入口5bからの空気の吸い込みの防止が更に図られる。
Claims (4)
- オイルが供給される機構の下部に配置されオイルが貯留されるオイルパンと、
前記オイルパンから貯留オイルを吸入する吸入口を有したストレーナが挿通され、挿通方向の略直交方向に移動可能なオイルガイドと、
前記貯留オイルに対して浮力を有し前記オイルガイドに設けられる浮体と、を備え、
前記浮体は前記オイルガイドの外周部における少なくとも車両の前後方向の外周部に設けられる
オイル貯留機構。 - 前記浮体は前記オイルガイドの外周部に設けられた
請求項1に記載のオイル貯留機構。 - 前記オイルガイドは、車両の車幅方向の側面が前記オイルパンの壁面と当接され前記ストレーナに対して車両の車幅方向への移動が規制された
請求項1に記載のオイル貯留機構。 - 前記浮体は前記オイルガイドにおける車両の車幅方向の外周部にも設けられる
請求項1に記載のオイル貯留機構。
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