JP6629692B2 - ビスマレイミド化合物およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ビスマレイミド化合物およびその製造法に関する。更に詳しくは、プリント配線板などのプリプレグに用いることができる高耐熱性で且つ各種溶媒に易溶な新規のビスマレイミド化合物およびその製造法に関する。
従来、N,N′−ジフェニルメタンビスマレイミドに代表される芳香族ビスマレイミド化合物は、耐熱性に優れていることが知られている。ビスマレイミド化合物の単独重合体であるポリマレイミド系樹脂およびアミン類とともに共重合させるポリマレイミド/ポリアミン系樹脂は、含浸ワニス、積層板、成形品などに広く用いられている。
しかし、分子中にイミド構造を有する芳香族ビスマレイミド化合物は、沸点120℃以下の汎用の有機溶媒には殆ど溶解せず、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)等の高沸点非プロトン性極性溶媒にしか溶解しないなどの欠点を有している。従って、これらの溶媒に溶解させて調合したワニスの使用時には、溶媒の除去に高温を必要とし、その上にこのワニスから調整したプリプレグ中には溶媒が残存し易く、それがラミネートの際の発泡原因となってFPC(フレキシブルプリント回路基板)の品質を低下させる要因となる。
本発明は、沸点120℃以下の有機溶媒に対し高い溶解性を持つ新規なビスマレイミド化合物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の(1)〜(2)である。
(1)下記式(I)で示すビスマレイミド化合物。

(2)6−(4’−アミノフェノキシ)−1−[4”’−(4”−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,3−トリメチルインダンと、無水マレイン酸と、を反応させて(1)に記載のビスマレイミドを得るビスマレイミド化合物の製造方法。
上記式(I)で表わされるビスマレイミド化合物は、新規な化合物であり、従来の芳香族ビスマレイミド化合物に比べ、沸点120℃以下の有機溶媒に対し高い溶解性を示し、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂用原料として有用である。
実施例1のビスマレイミド化合物のNMRチャートである。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
〔本発明のビスマレイミド化合物〕
本発明のビスマレイミド化合物は、下記式(I)で示す新規なビスマレイミド化合物である。
上記式(I)で示す本発明のビスマレイミド化合物は、後述する実施例に示すように、従来の芳香族ビスマレイミド化合物に比べて、沸点120℃以下の汎用の有機溶媒に対し高い溶解性を示す。そのため、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂用原料としての有用性が期待できる。
〔本発明のビスマレイミド化合物の製造方法〕
上記式(I)に示す本発明のビスマレイミド化合物は、6−(4’−アミノフェノキシ)−1−[4”’−(4”−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,3−トリメチルインダンと、無水マレイン酸とを反応させることで容易に製造することができる。
この反応では、一般的に6−(4’−アミノフェノキシ)−1−[4”’−(4”−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,3−トリメチルインダンに対して、2〜2.5倍モル量の無水マレイン酸を用い、ケトン類または芳香族炭化水素類を反応溶媒として室温下の温度で行われビスマレイック酸を中間体として形成させる。
ここで、ケトン類としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンを用いることができる。これらの中でもメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが、反応後の縮合水を除去する工程において低温で縮合水と分離できる等の理由から好ましい。
ここで、芳香族炭化水素系溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン類、ベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンを用いることができる。これらの中でもトルエンが、反応後の縮合水を除去する工程において低温で縮合水と分離できる等の理由から好ましい。
また、脱水閉環反応を促進させる目的で、上記溶媒に非プロトン性極性溶媒を添加して脱水閉環反応を行ってもよい。非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を使用する。非プロトン性極性溶媒の使用量は、混合液100質量部に対して0.1〜25質量部、好ましくは2〜20質量部である。
次に、上記の反応で形成されたビスマレイック酸を分離せず、酸触媒の存在下で熱環化させる方法により上記式(I)に示すビスマレイミド化合物を得る。
ここで、酸触媒としては、たとえば、硫酸、リン酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、パラトルエンスルホン酸が反応後の除去の理由から好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1(ビスマレイミド化合物の製造)
攪拌機、冷却コンデンサー、温度計、窒素ガス導入管、滴下ロートを備えた100mlのガラス製四っ口フラスコに6−(4’−アミノフェノキシ)−1−[4’”−(4”−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,3−トリメチルインダン45.58gとトルエン100gを導入しA液とした。
次に、無水マレイン酸25.6g(0.26モル)及びDMAc30gを導入し、60℃に昇温しながら完全に溶解させB液とした。A液の入ったフラスコにB液を滴下して、マレイック酸を得た。マレイック酸溶液中へ酸触媒としてパラトルエンスルホン酸(PTS)を投入し、トルエンを留去して、マレイック酸溶液を得た。この中へメタノールを投入し、冷温下で2時間撹拌後、析出した結晶を濾過し黄色結晶としてビスマレイミド化合物45gを得た。
この黄色結晶の融点は193〜195℃であった。また、さらに、黄色結晶について、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を行った。得られたNMRチャートを図1に示す。また、この黄色結晶について、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析を実施した。GPCで測定した面積から、式(I)に示すビスマレイミド化合物(単量体)の割合は80%であり、残りはそのオリゴマー体であった。

このビスマレイミド化合物について、汎用の各種有機溶剤に対する溶解性調べた。結果を表1に示す。
比較例1,2
従来の芳香族ポリマレイミド化合物として、市販の4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(Cas13676−54−5)(比較例1)、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(Cas79922−55−7)(比較例2)の汎用の各種有機溶剤に対する溶解性を調べた。結果を表1に示す。

表1に示すように、実施例1に式(I)に示すビスマレイミド化合物は、従来の芳香族ビスマレイミド化合物に比べて、汎用の有機溶媒、特に、沸点120℃以下の汎用の有機溶媒に対し高い溶解性を示す。

Claims (2)

  1. 下記式(I)で示すビスマレイミド化合物。
  2. 6−(4’−アミノフェノキシ)−1−[4”’−(4”−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,3−トリメチルインダンと、無水マレイン酸と、を反応させて請求項1に記載のビスマレイミドを得るビスマレイミド化合物の製造方法。
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