JP2017025310A - 耐熱性に優れた熱硬化性樹脂に対応した構成要素としてのシドノン - Google Patents

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Abstract

【課題】高耐熱性を示すシドノンに基づく熱硬化性材料の生成に対応した方法及びプラットフォームを提供すること。【解決手段】シドノン及びアルケンまたはアルキンの1つを含むモノマー混合物を与えることを含む、熱硬化性樹脂組成物の生成法。このモノマー混合物は、熱的に活性化され、そのためオリゴマーが、前記アルケンまたはアルキンと前記シドノンとの1,3−双極性環化付加反応により形成される。次いでこのオリゴマーを硬化させ、その結果、架橋したポリマーを含む熱硬化性樹脂組成物を形成する。【選択図】図9

Description

本発明は、熱硬化性樹脂に関し及び特にシドノンに基づく熱硬化性樹脂の生成に関する。
メソイオン複素環式芳香族化合物[1]としてのシドノンは、単純な熱活性化及び不活性副生成物としてのCOの唯一の発生により、非常に効率的な1,3−双極性環化付加反応を受ける。活性アルケンとの二重環化付加反応は、ジアゾノルボルネンを与える一方で、アルキンとのディールス・アルダー反応は、各々芳香族ピラゾールをもたらす[6、7](図1参照)。シドノンはまた、マクロ分子合成のために使用され、及びこれら各々の多官能性モノマーの環化付加反応から得られる低分子量から中分子量の直鎖状ポリマーは、高いガラス転移温度(T)及び熱安定性を示す[8−10]。ポリスチレン共重合体を生み出す架橋に対応したアプローチとして、シドノンマレイミド環化付加反応の研究が行われ、そのポリスチレン共重合体は、当該シドノンマレイミド環化付加反応化学からもたらされた、耐熱性の良い環化付加反応体のために、優れた熱安定性を示した[11]。これらの優れた熱特性及び容易な生成条件が、シドノンを、耐熱性で高架橋の熱硬化性樹脂ポリマーの生成に対応する、非常に関心の高い有望な材料にしている。
新規の熱硬化性材料の形成に対応したシドノン反応の利用に関連した技術分野において、教示となるものはない。したがって、高耐熱性を示すシドノンに基づく熱硬化性材料の生成に対応した方法及びプラットフォームが必要である。そのような材料は、熱伝導性などの先進用途に対応する新規複合材料の生産に対して、拡張性があり及び多目的のプラットフォームとなるので、関心が高い。
Earl, J. C.; Mackney, A. W., Journal of the Chemical Society (Resumed), 1935, 899-900. Sun, K. K., Tetrahedron Letters, 1986, 27, 317-320. Huisgen, R.; Grashey, R.; Gotthardt, H.; Schmidt, R., Angewandte Chemie International Edition in English, 1962, 1, 48-49. Sun, K. K., Macromolecules, 1987, 20, 726-729. Stille, J. K.; Bedford, M. A., Journal of Polymer Science Part B: Polymer Letters, 1966, 4, 329-331. Stille, J. K.; Bedford, M. A., Journal of Polymer Science Part A-1: Polymer Chemistry, 1968, 6, 2331-2342. Intemann, J. J.; Huang, W.; Jin, Z.; Shi, Z.; Yang, X.; Yang, J.; Luo, J.; Jen, A. K. Y., ACS Macro Letters, 2013, 2, 256-259.
本開示は、選択された望ましい特性を有する、シドノンに基づく架橋材料の生成に対応した、多目的モジュール型プラットフォームとしての合成法を提供する。本発明の1つ以上の態様において、耐熱性の熱硬化性樹脂及び(多)官能性シドノンからの、そのような熱硬化性樹脂の生成法を提供する。特に、本発明は、1,3−双極性としての(多)官能性シドノンと多官能性アルケンまたはアルキンモイエティーとの[4+2]環化付加反応を介した、耐熱性熱硬化性樹脂の合成に対応した多目的の生成法を記述する。1つ以上の実施形態において、繰り返し架橋単位としてのジアゾノルボルネンまたはピラゾールを伴う高度に架橋した網目構造は、効率的な2段階Bステージ法により得られる。そのような実施形態において、最初に合成される可溶性オリゴマーは、空気中で熱硬化し、不溶性の架橋熱硬化性樹脂を生み出す。このアプローチは、単純な架橋注型用オリゴマー溶液の加熱により、固体基材上での熱硬化フィルムの生成を可能にする。
本発明の実施形態は、シドノン及びアルケンまたはアルキンの1つを含有するモノマー混合物を与えることを含む、熱硬化性樹脂組成物の生成法を包含する。本発明の特定の実施形態において、当該シドノンは、モノ−シドノン、ビス−シドノン、及びトリス−シドノンから成る群から選ばれる。当該アルケンまたはアルキンは、ビス−マレイミド、トリス−マレイミド、ビス−アルキン、及びトリス−アルキンから成る群から選ばれる。
本発明の1つ以上の実施形態において、異なるシドノンの混合物と、異なるアルケン、異なるアルキンまたはそれらの組み合わせの混合物との共重合を提供する。特定の実施形態において、多官能性シドノンとモノ−シドノンとの混合物は、多官能性アルケン、アルキンまたはそれらの混合物との共重合において、架橋密度を低くした熱硬化性樹脂の形成に使用される。
オリゴマーは、熱的に活性化されたそのモノマー混合物により形成され、ここでそのオリゴマーは、当該シドノンのアルケンまたはアルキンへの1,3−環化付加反応により形成される。1つの実施形態において、当該オリゴマーは、90℃未満の温度で形成される。当該オリゴマーは次いで、300℃で5時間までの条件で硬化され、そのため架橋ポリマーを含む熱硬化性樹脂組成物を形成する。硬化に先立ち、当該オリゴマーは部分的に架橋され、及び当該熱硬化性樹脂は、硬化後は完全にまたは十分に架橋される。当該可溶性オリゴマーは、硬化に先立ち、溶液から多様な部材(例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ポリエチレンテレフタレート)にコートされて良い。
本発明の特定の実施形態において、当該熱硬化性樹脂は、2官能シドノンの、2官能マレイミドまたは3官能アルキンとの環化付加反応により生成される(図3参照)。その結果得られた熱硬化性樹脂は、370℃以上の非常に高いガラス転移温度を伴う、400℃から520℃までの非常に高い熱安定性を示す。さらに、ピラゾールの繰り返し単位を含む、この完全な芳香族熱硬化性樹脂は、数時間の試験期間において300℃の耐熱性を有することが判った。説明事例の機械的剛性は、ヤング率で5.0GPaを超え及び硬さは、0.5GPa以上である。さらに、当該熱硬化性樹脂は、25−350℃の温度範囲での熱膨張係数が、51.8μm/(m.℃)以下の値を示す。これらの耐熱性を有する高性能熱硬化性樹脂は、マイクロエレクトロニクス及び航空機産業を含む多数の用途に使用されるであろう。以下の実施例のセクションでは、本研究の結果得られた材料特性における、このモジュ−ル型プラットフォームの汎用性及び異なる構成要素の影響を示す。
当該シドノンに基づくプラットフォームの圧倒的な優位性は、分子設計の高い自由度であることが、明らかになるであろう。用途での望ましい特性は、当該ポリマーの適切な部分構造の導入により、なんなく達成できる。望ましい特性の例示は、強靭性、柔軟性、加工性である。さらに、任意の官能基の組み合わせ(ジ−シドノン+ジ−マレイミドまたはトリ−シドノン+ジ−アルキンなど)を、合成または用途のニーズに合わせて選ぶことができる。
本発明のその他の目的、特徴及び優位性は、以下の詳細な記述から、当業者には明らかになるであろう。しかしながら、詳細な記述及び特定の事例は、本発明のいくつかの実施形態に示されて解説される一方で、それらに限定はされないことは理解されよう。本発明の範囲内での多数の変更及び修正は、本発明の主旨からの逸脱なしに行われて良く、及び本発明は全てのそのような修正を含む。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
熱硬化性樹脂組成物の生成法であって、シドノン及びアルケンまたはアルキンの少なくとも1つのモノマー混合物の提供、前記混合物の熱的活性化によるオリゴマー形成、及びそのオリゴマーを硬化し、そのため架橋したポリマーを含有する熱硬化性樹脂の形成を含む、前記方法。
(項目2)
前記シドノンが、フェニルビス−シドノンである、上記項目に記載の前記方法。
(項目3)
前記フェニルビス−シドノンが、還流エタノール中で、1,4−ジアミノベンゼンを臭化酢酸エチルで置換し、塩を得て、その塩を、0℃の亜硝酸ナトリウムの水溶液でニトロシル化し、及びそのニトロシル化した塩を、CHCl中にて、無水トリフロロ酢酸で環化することにより合成される、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目4)
前記アルケンが、2官能アルケンであり及び前記アルキンが、トリス−アルキンである、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目5)
前記アルケンが、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドである、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目6)
前記アルキンが、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンである、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目7)
前記オリゴマーが、前記アルケンまたはアルキンと前記シドノンとの1,3−双極性環化付加反応により形成される、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目8)
前記オリゴマーが、100℃以下の温度で形成される、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目9)
前記オリゴマーが、少なくとも以下の1つを含み、ここで、x、y、及びzが整数である、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目10)
前記オリゴマーが、300℃以下の温度で硬化する、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目11)
前記オリゴマーが部分的に架橋し及び前記熱硬化性樹脂が完全に架橋する、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目12)
前記熱硬化性樹脂組成物が、300℃を超えるガラス転移温度(T)及び/または400℃以上の耐熱性を有する、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目13)
前記熱硬化性樹脂組成物が、以下の少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目14)
シドノン及びアルケンまたはアルキンの1つを含むモノマー混合物を与え、そのモノマー混合物を熱的に活性化したオリゴマーを形成し、ここで、前記オリゴマーが、前記アルケンまたはアルキンと前記シドノンとの1,3−双極性環化付加反応により形成され、及び、前記オリゴマーを硬化させ、そのため、架橋したポリマーを含む熱硬化性樹脂組成物を形成することを含む、熱硬化性樹脂組成物の生成法。
(項目15)
前記シドノンが、モノ−シドノン、ビス−シドノン、及びトリス−シドノンから成る群から選ばれる、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目16)
前記アルケンまたはアルキンが、ビス−マレイミド、トリス−マレイミド、ビス−アルキン、及びトリス−アルキンから成る群から選ばれる、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目17)
前記オリゴマーが、90℃未満の温度で形成される、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目18)
前記オリゴマーが部分架橋し及び前記熱硬化性樹脂が完全架橋している、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目19)
前記オリゴマーが、硬化に先立ち、部材にコートされる、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目20)
前記部材が、アルミニウムまたは銅部材である、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目21)
前記熱硬化性樹脂組成物の熱伝導性を高めるために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目22)
構成要素が、前記熱硬化性樹脂組成物の物理的強靭性を高めるために添加される、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目23)
前記熱硬化性樹脂組成物の接着性を高めるために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目24)
前記熱硬化性樹脂組成物の浸透性網目構造を形成するために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目25)
前記熱硬化性樹脂組成物の相分離無機添加物に作用するために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の前記方法。
(項目26)
任意の1つ以上の上記項目の方法により生成される物質の組成物。
(項目27)
シドノンモノマーまたはオリゴマーと、第二の商業用熱硬化性樹脂の共レジンとの混合により生成される物質の組成物であって、そのため添加される第二の商業用熱硬化性樹脂に対して、前記シドノンが主要レジンである、前記組成物。
(項目28)
前述の熱硬化性樹脂の熱機械特性を向上または低下させるために、商業用熱硬化性樹脂とシドノンオリゴマーまたはモノマーとの混合により生成される物質の組成物。
(項目29)
前記熱機械特性が、Tg、Tm、及びTdから選ばれる、上記項目のいずれか一項に記載の前記組成物。
(項目30)
前記商業用熱硬化性樹脂が、Tactix(商標)、Primaset(商標)、 Locktite(商標) 、及び/またはPETI−330(商標)組成物である、上記項目のいずれか一項に記載の前記組成物。
(摘要)
シドノン及びアルケンまたはアルキンの1つを含むモノマー混合物を与えることを含む、熱硬化性樹脂組成物の生成法。このモノマー混合物は、熱的に活性化され、そのためオリゴマーが、前記アルケンまたはアルキンと前記シドノンとの1,3−双極性環化付加反応により形成される。次いでこのオリゴマーを硬化させ、その結果、架橋したポリマーを含む熱硬化性樹脂組成物を形成する。
図面の参照は、参照番号のように、対応する部分のあらゆる場所に示す「注記」:図1、3、31、33、37、44、48、53、54、55及び56において、3置換ピラゾールのみが示されている。潜在的な4置換異性体は、明瞭ではなく除外する。
図1は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、フェニルシドノンとアルケン及びアルキンの各々との、[4+2]環化付加反応の反応経路を説明している。 図2は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂の生成に利用する「Bステージアプローチ」の概略図である。 図3は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、シドノンの環化付加反応を介した、熱硬化性樹脂の2組の生成に使用するモノマー構成要素の構造を図解する。 図4は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、フェニルビス−シドノンの生成に利用する合成戦略を図解する。 図5は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、ビス−シドノンの8の生成に利用する合成戦略を図解する。 図6は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル]プロパンの生成に利用する合成戦略を図解する。 図7は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼンの生成に利用する合成戦略を図解する。 図8は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン13の生成を図解する。 図9は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーIの生成に対する合成スキームを図解する。 図10は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーIのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のグラフである。 図11は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、モデル化合物M−IとO−I.2のスペクトル比較における、H−NMRによるオリゴマーO−Iの分子組成検討を図解する。 図12は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、T≦350℃において安定な全てのオリゴマーを示す、熱重量分析(TGA)データを図解する。 図13は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、O−I及び対応するTS−IのTGAデータを図解する。 図14は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、O−I及びTS−IのFT−IRスペクトルを図解する。 図15は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、300℃、5時間で得られた架橋した熱硬化性樹脂ポリマーTS−IのTGAグラフである。 図16は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、架橋した熱硬化性樹脂ポリマーTS−Iの示差走査熱量測定(DSC)のグラフである。 図17は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、300℃、5時間でのTS−Iの加熱エージングを解説したグラフである。 図18は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂TS−I、TS−IV及びTS−Vのヤング率及び硬さを図解する。 図19は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、温度の関数としてフィルムの寸法変化を測定する、自立の熱硬化性樹脂フィルムTS−Iの熱機械分析を図解する。 図20は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、TS−Iの自立フィルムに対する、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及びtanδを図解する。 図21は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、TS−I、TS−IV及びTS−Vの接着性を図解する。 図22は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーIIの生成に対応した合成スキームを図解する。 図23は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、開始モノマー及びオリゴマーIIの積み重ねたH−NMRスペクトルを図解する。 図24は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、フェニルビス−シドノン4及びオリゴマーIIのGPCを図解する。 図25は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、生成した熱硬化性樹脂IIの積み重ねたIRスペクトルを図解する。 図26は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂IIのTGAデータを図解する。 図27は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーIIIの生成に対応した合成スキームを図解する。 図28は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、フェニルビス−シドノン4及びオリゴマーIIIのGPCを図解する。 図29は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、生成した熱硬化性樹脂IIIの積み重ねたIRスペクトルを図解する。 図30は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂IIIのTGAデータを図解する。 図31は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーIVの生成に利用する戦略を図解する。 図32は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、トリスアルキルベンゼン及びクロロホルム中の2組のオリゴマーのゲル浸透クロマトグラムである。 図33は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、モデル化合物M−IVとオリゴマーO−IV及びO−VのH−NMRスペクトルの比較を図解する。 図34は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーO−IVa及びO−IVbのTGAグラフである。 図35は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、TS−IVのTGAグラフである。 図36は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、TS−IVの等温TGAグラフである。 図37は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーVの生成に対応した合成スキームを図解する。 図38は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、異なる条件下で生成されたTS−Vの積み重ねIRスペクトルを図解する。 図39は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、異なる条件下で生成されたTS−VのTGAデータを図解する。 図40は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、300℃、5時間におけるTS−Vの加熱エージングを図解する。 図41は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、部分架橋後に得られた柔軟な自立フィルムのストリップ片を示す差し込み画像を伴う、不完全な架橋を示唆するTS−Vの硬化前フィルムのTGAデータを図解する。 図42は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、TS−Vの熱機械分析を図解する。 図43は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、TS−Vの自立フィルムに対する、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及びtanδを図解する。 図44は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーVIの生成に対応した戦略を図解する。 図45は、本発明の1つ以上の実施形態における、開始モノマー及びオリゴマーVIの積み重ねたH−NMRスペクトルを図解する。 図46は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン及び異なる条件下で生成したオリゴマーVIのGPCを図解する。 図47は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマー及び架橋した熱硬化性樹脂VIのTGAデータを図解する。 図48は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマーVIIの生成に対応した戦略を図解する。 図49は、本発明の1つ以上の実施形態における、開始モノマー及びオリゴマーVIIの積み重ねたH−NMRスペクトルを図解する。 図50は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、オリゴマー及び架橋したポリマーIVのTGAデータを図解する。 図51は、例えば、架橋密度を減らすために選択された直鎖状セグメントを含む共重合反応により、調整された熱硬化性化合物の機械特性において有用な、概略的に示す事例化合物を提供する。 図52は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂−I(TS−I)の生成に対応した戦略を図解する。 図53は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂−IV(TS−IV)の生成に対応した戦略を図解する。 図54は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂−V(TS−V)の生成に対応した戦略を図解する。 図55は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂−VI(TS−VI)の生成に対応した戦略を図解する。 図56は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱硬化性樹脂−VII(TS−VII)の生成に対応した戦略を図解する。 図57は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、熱環化付加反応を介した熱硬化性樹脂の生成に対応する、多官能性シドノン及びアルケン/アルキンモノマーを図解する。 図58は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、モデル化合物M−Iに対応した戦略を図解する。 図59は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、モデル化合物M−IIに対応した戦略を図解する。 図60は、本発明の1つ以上の実施形態に従う、多様な熱硬化性樹脂に対応した特性値を図解する。
本明細書に記述または参照される多数の技術及び手順は、当業者には良く理解されており、及び従来の手法に一般的に採用されている。好ましい実施形態の記述において、参照が、添付図面の一部を形成して作成されて良く、及び図解で示されるように、本発明の特定の実施形態で実行されて良い。別の実施形態が活用されて良く、及び構造の変更が、本発明の範囲を逸脱すること無く行われて良いことは理解されよう。
特に定めの無い限り、本明細書で使用する全ての技術用語、表記及びその他の特定用語または専門用語は、本発明が関連する技術分野において当業者により一般に理解される意味を有することを意図している。いくつかのケースにおいて、通常理解される意味を有する用語は、わかりやすく及び/または素早い参照のために本明細書で定義し、及び本明細書でのそのような定義の内包は、当技術分野で一般に理解される内容を超えて相当の違いを表すと解釈される必要はない。
本発明の実施形態は、熱硬化性樹脂組成物の生成法を含む。多様な従来からの熱硬化性樹脂に関わる方法及び組成物が、当技術分野では公知であり、及び解説事例が、例えば以下に記述される。HANDBOOK OF THERMOSET PLASTICS,Third Edition(Pdl Handbook)2013、CHEMICAL RESISTANCE,VOL.2,SECOND EDITION:ELASTOMERS,THERMOSETS & RUBBERS(Plastics Design Library)1995、THERMOSETS AND COMPOSITES:MATERIAL SELECTION,APPLICATIONS,MANUFACTURING AND COST ANALYSIS(Pdl Handbook)2013 by Michel Biron、及び the HANDBOOK OF THERMOSET RESINS by Debdatta Ratna(Sep 30,2009)。本発明の熱硬化性樹脂生成法は一般的に、シドノンを含有するモノマー混合物の提供を含む。この文脈において、多様な従来からのシドノンに関わる方法及び組成物が、当技術分野では公知であり、及び解説事例が、例えば以下に記述される。SYDNONES:VERSATILE HETEROCYCLES 2014,by Shahrukh Asundaria、METAL COMPLEXES OF SYDNONES,SYDNONE IMINES,AND THEIR INFRARED SPECTRA 1994 by Theresa Shu−Ying Lim Mao、及びSYNTHETIC APPLICATIONS OF 1,3−DIPOLAR CYCLOADDITION CHEMISTRY TOWARD HETEROCYCLES AND NATURAL PRODUCTS(Chemistry 2002)by Albert Padwa and William H.Pearson。
ここに開示する本発明は、多数の実施形態を有する。1つ以上の実施形態において、熱硬化性樹脂組成物の生成法を提供する。当該方法は、シドノン及びアルケンまたはアルキンの1つを含有するモノマー混合物の提供を含む。特定の実施形態において、異なるシドノン混合物と、異なるアルケン、異なるアルキンまたはそれらの組み合わせの混合物との共重合を提供する。オリゴマーが、そのモノマー混合物の熱的な活性化により形成される。当該オリゴマーは次いで硬化され、そのため架橋ポリマーを含む熱硬化性樹脂組成物が形成される。
本発明の1つ以上の態様において、シドノンに基づく熱硬化性樹脂組成物の生成に対応する合成手順は、3つの主要なステップに基づく(図2に示す)。第一ステップにおいて、(多)官能性シドノンが多官能性アルケン及びアルキンと同様に、各々モノマー構成要素として合成される。第二ステップにおいて、溶解したモノマー混合物の熱的活性化により、部分架橋した低分子量オリゴマー、溶液から容易に加工される硬化前の熱硬化性樹脂を産出する。第三ステップには、高温でのオリゴマーの最終硬化を含む。熱硬化性樹脂としての架橋ポリマーの三次元(芳香族)網目構造は、溶液または注型フィルム(固相)のいずれかから得られて良い。
1つ以上の実施形態において、当該シドノンは、モノ−シドノン、ビス−シドノン、及びトリス−シドノンから成る群から選ばれる。特定の実施形態において、当該シドノンは、フェニルビス−シドノンまたは酸素ブリッジ型ビス−シドノンのいずれかである。当該フェニルビス−シドノンは、いかなる精製ステップをも必要としない以下の合成法により、優れた純度を伴い高収率で合成される。最初に、塩を得るために、1,4−ジアノベンゼンを、還流エタノール中の臭化酢酸エチルで置換する。次いでこの塩を、0℃における亜硝酸ナトリウムの酸性溶液でニトロシル化する。このニトロシル化塩をさらに、フェニルビス−シドノンを産出するために、CHCl中の無水トリフロロ酢酸で環化する。酸素ブリッジ型ビス−シドノンを、フェニルビスシドノンに対応する前述と同様の手順に従い、生成した。1つ以上の実施形態において、アルケンまたはアルキンは、2官能アルケン、ビス−マレイミド、トリス−マレイミド、ビス−アルキン、及びトリス−アルキンから成る群から選ばれる。特定の事例において、これらのモノマーは、文献に記述され、及び当該アルケンは、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド、1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−(1,3−フェニレンジオキシ)ビスマレイミド、及び4,4’−(4,4’−イロプロピリデンジフェニル−1,1’−ジイルジオキシ)ビスマレイミドであり、及び当該アルキンは、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン及び1,3,5−トリエチニルベンゼンである。
本発明の1つ以上の実施形態において、当該熱硬化性樹脂の1つ以上の材料特性、例えば、架橋密度を調節するために、特定化合物の選択された分量を有する混合物の共重合により、熱硬化性樹脂が形成される。この方法において、本発明のそうした実施形態は、例えば、この共重合を介して、その機械的性質を調節する(例えば、図51に示される概略経路図を参照)。実施形態は、例えば、異なるシドノンの混合物と異なるアルケン、異なるアルキンまたはそれらの組み合わせの混合物とを含む。特定の実施形態において、当該熱硬化性樹脂の架橋密度は、その網目構造への直鎖状及び/または末端セグメントの含有により変動する。そのような実施形態において、多官能性シドノンとモノ−シドノンとの混合物が、多官能性アルケンまたはアルキンとの共重合に使用される。1つ以上の実施形態において、異なる多官能性アルケン、異なるアルキンまたはそれらの組み合わせの混合物が、異なるシドノン混合物との共重合に使用される。特定の事例において、当該モノ−シドノンは、N−フェニルシドノンである。
1つ以上の実施形態において、当該オリゴマーは、当該シドノンのアルケンまたはアルキンへの1,3−双極性環化付加反応により形成される(アルキンポリマーに対しては、唯一3置換ピラゾールユニットが示され、潜在的な4置換異性体は、明確ではなく除外される)。当該オリゴマーは、通常は80℃以下の温度で形成される。特定の例示において、当該オリゴマーは、通常は170℃以上の温度で形成される。当該オリゴマーは、以下の1つであって良い。
ここで、x、y、及びzは、整数である。
一般的に、当該オリゴマーは、300℃までの、それ以上ではない温度で硬化する。硬化前に、当該オリゴマーは、部分架橋しており、及びその熱硬化性樹脂は、硬化後には完全にまたは十分に架橋する。当該オリゴマーは、硬化に先立ち、部材(例えば、ガラス、銅、アルミニウム)上にコートされて良い。特定の例示において、当該熱硬化樹脂組成物は、370℃以上のガラス転移温度(T)及び/または400℃以上の耐熱性を有する。当該熱硬化樹脂組成物は、以下の1つであって良い。
特定の実施形態において、強化した物理特性、例えば非限定的に、機械的靭性、接着性、熱伝導性などを与えるために、架橋が完了する前に、構成成分を、当該シドノンオリゴマーに加える。特定の実施形態において、無機成分を、その熱伝導性を高めるため加える。前述の添加物には、非限定的に、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、グラフェン、カーボンナノ チューブ、黒鉛炭素窒化、炭化ケイ素を含む。特定の実施形態において、添加物は、強化した物理的靭性を与えるために、酸化亜鉛、酸化グラファイト、グラフェン、シリカ、アルミナ、カーボンナノチューブ、ヒュームド酸化物などから選ばれる。さらなる実施形態において、主成分に特定の作用、例えば、浸透性、相分離性、表面湿潤性などを与えるために、共添加物が選ばれる。共添加物には、非限定的に、イオン化液体、エポキシ、フェノール、黒鉛の酸化物及び窒化物、ベンゾキサジン、シラン、ポリシルセスキオキサン、シルセスキオキサン、イミダゾール、トリアジン、イミドを含んで良い。当技術分野における熟練者には、多機能な性質を与えるために、1つ以上の添加物が選ばれ、及びこれらの構成成分添加物の範囲は、制約的ではなく、包括的でもないことは、認識されよう。
1つ以上の実施形態において、シドノンオリゴマーと第二熱硬化性樹脂との多成分混合物を開示する。特定の例示において、当該シドノンオリゴマーは、関連樹脂の熱−物理的性質を強化するために、Tactix(商標)、Primaset(商標)、Locktite(商標)、PETI−330(商標)などの、従来から商業用熱硬化性樹脂への添加物(または共レジン)と考えられる。特定の実施形態において、任意の従来から公知のポリマーまたはプレポリマー及び/またはモノマーは、熱安定性または熱伝導性を除く任意の特性を強化するために、必要に応じて(または適切に)、当該シドノンオリゴマーまたはモノマーに添加できる。これらのケースにおいて、全ての有機性の共添加物は、当該シドノンモノマーまたは関連するオリゴマーとブレンドできる。
フェニルビス−シドノンと相応する芳香族アルケンまたはアルキン誘導体との1,3−双極性環化付加反応は、樹脂各々の架橋点の分子構造が変動している、新規熱硬化性樹脂の異なる2つの分類に繋がる、新規で容易な汎用性の高い合成経路を表す(図3)。本発明の例示的な実施形態として、8つの異なる熱硬化性樹脂を生成した。それらの全ては、高架橋の芳香族網目構造から成り、及びしたがって高いT(>300℃)と著しく改善された耐熱性(≧400℃)を保持する。図解された例示に対応して、機械的特性の検討及び多様な基材(例えば、銅、アルミニウムなど)への接着性を提供する。さらに、各分類に1つの熱硬化性樹脂は、各熱硬化性樹脂分類のオリゴマー及び熱硬化性樹脂の硬化反応及び分子構造における詳細検討に対応した、例示的な実施形態としての役割を果たす。
ビス−シドノンモノマーの合成
当該例示的な熱硬化性樹脂は、2つの異なる2官能シドノンモノマーに基づいている。これらの基本的な構成要素への容易な接触を与えるために、効率的な合成経路を開発した。
フェニルビス−シドノン4。1,4−ジアミノベンゼンの臭化酢酸エチルでの置換から開始し、次いで保護されたエステル1の加水分解を行い、双性イオン体2を産出した(図4)。その後、0℃の亜硝酸ナトリウム水溶液を伴った2のニトロシル化に向けた第一試作は、19%収率で、3を与えた。3の憂慮すべき低い収率は、おそらく目的物質と共に正体不明の不純物(粘着性のある黒い固体)の大量形成のためであり、次に氷酢酸中における亜硝酸ナトリウムの酸性溶液を使用したニトロシル化に対し、高収率になる条件の最適化を行い、その結果、3の純度と共に収率の著しいい改善(77%)をもたらした。最終的に、45℃での無水トリフロロ酢酸を使用した3の環化反応で、当該フェニルビス−シドノン4を得た。特に、4の最適化された合成手順が、全体として収率を向上させ、及び各ステップで精製の必要がないほどの高純度をもたらした。
フェニルビス−シドノン8。フェニルビス−シドノン4で確立したと同様な手順を使用して、当該ビス−シドノン8を生成した(図5)。4,4’−オキシジアニリンの臭化酢酸エチルでの置換から開始し、次いで保護されたエステル5の加水分解を行い、双性イオン体6を産出した。その後、氷酢酸中における亜硝酸ナトリウムの酸性溶液を使用したニトロシル化を通して、N−ニトロソ化化合物7を得た。最終的に、45℃での無水トリフロロ酢酸を使用した7の環化水和反応で、メソイオン物質8を得た。
ビス−マレイミドモノマーの合成
2つのビス−マレイミドモノマーを、ジアミンに相応するビスアミド酸のイミド化により生成した。
ビス−マレイミド10。30mmolの2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを、室温において一定速度で攪拌している150mLのアセトンに溶解した。この溶液に、65mmolの粉末状無水マレイン酸を、分けて添加した。黄色の沈殿物が形成され、及びそれを30分間連続して攪拌した。それをろ過し及び冷アセトンで洗浄し、そして乾燥した。その収率は、80%であった。得られた黄色のビスアミド酸9(図6)を、150mLのアセトンに分散した。40mmolの無水酢酸ナトリウム及び40mLの無水酢酸を、その反応混合物に加え、及び3時間還流した。その茶色の溶液を粉砕氷に注ぎ、及び黄色沈殿物として、表題の化合物を得た。その2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンをろ過し、氷冷水で洗浄し、及び真空乾燥した。その収率は、90%であった。
ビス−マレイミド12。ビス−マレイミド10で確立したと同様な手順を使用して、4,4’−(1,3−フェニレンジオキシ)ジアニリンから、この化合物を生成した。30mmolのジアミンを、室温において一定速度で攪拌している150mLのアセトンに溶解した。この溶液に、65mmolの粉末状無水マレイン酸を、分けて添加した。黄色の沈殿物が形成され、及びそれを30分間連続して攪拌した。それをろ過し及び冷アセトンで洗浄し、そして乾燥した。その収率は、85%であった。得られた黄色のビスアミド酸11(図7)を、150mLのアセトンに分散した。40mmolの無水酢酸ナトリウム及び40mLの無水酢酸を、その反応混合物に加え、及び3時間還流した。その茶色の溶液を粉砕氷に注ぎ、及び黄色沈殿物として、表題の化合物を得た。その1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼンをろ過し、冷水で洗浄し、及び真空乾燥した。その収率は、90%であった。
トリスアルキンモノマーの合成
1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンン13。フェニルビス−シドノン4とのディールス・アルダー環化付加反応に対応したトリス−アルキンモノマーを、図8に示す単一ステップで生成した。1,3,5−トリブロモベンゼンとフェニルアセチレンの薗頭クロスカップリングにより、収率90%で13を得た。
Bステージアプローチを介した熱硬化性樹脂形成に対応する一般的手順
ステップ1:オリゴマー形成。開始モノマーを、無水NMPに溶解し、次いで凍結ポンプ融解サイクルを使用して得られた溶液を脱気した。その混合物を、多様な時間において望ましい温度で反応させた。反応が完結した後、その反応混合物を室温まで冷却し、及び当該オリゴマーを、メタノールを使用して沈殿させた。得られた固体をブフナー漏斗上でろ過し、及び乾燥した。
ステップ2:最終硬化。NMP溶液への滴下注型で、そのBステージオリゴマーの固体フィルムを、空気中でガラススライドまたはTGAるつぼ容器上に生成した。T=300℃、5時間でのそのフィルムの単純加熱により、反応した前駆体オリゴマーの最終架橋を誘導した。その得られた熱硬化性樹脂フィルムは、どの溶剤にも不溶であることを見出し、及び著しい膨潤は、目視では観察できず、その結果、高架橋物質が成功裏に生成したことを示していた。
図3に説明するように、本明細書に開示する熱硬化性樹脂は、2つのグループに分類できる。以下の実施例において、A分類は、TS−I、II及びIIIを含み、及びB分類は、TS−IV、V、VI及びVIIを含む。例えば、本発明の1つ以上の実施形態に従い、多様な熱硬化性樹脂の生成に対応した戦略を図説する、図52−56を参照のこと。
実施例1:熱硬化性樹脂I
熱硬化性樹脂I(TS−I、A分類)は、フェニルビス−シドノン4と、2官能アルケン14としての1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイドとの環化付加反応に基づく。
溶液中でのオリゴマー形成。前述のB−ステージアプローチを利用して、熱硬化性樹脂ポリマーTS−Iを生成するために、熱硬化性樹脂Iの前駆体としての可溶性オリゴマー(O−I)を、フェニルビス−シドノン及びビス−マレイミド14から生成し、その結果、当該オリゴマーは、ジアゾノルボルネン架橋モイエティーから成る。効率的なB−ステージに向けた主要な課題は、当該オリゴマー形成に対する適切な反応条件の開発である。全ての反応性モノマーは、反応基の良好な混合を確かなものにし及び最終硬化におけるモノマーの相分離を避けるように消費されねばならない一方で、当該オリゴマーは、容易な加工を可能にし、及びその最終架橋に反応基を依然として含有するためには、完全に可溶性であることが必要である。しかしながら、その最終目標は、両官能基の化学量論量によってのみ達成が可能な、完全に架橋した網目構造であり、1つのモノマーを、過剰には使用できない。したがって、上述の基準を完全に満たす可溶性オリゴマーの形成を可能にするためには、反応温度及び時間などの個々の反応条件の検討が、不可欠である。
ジアゾノルボルネン−オリゴマーI。フェニルビス−シドノン4及びビス−マレイミド14を、不活性雰囲気下において、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で、(二重)1,3−双極性環化付加反応を介在した反応に供した。図9に示すように、この反応は、一般物質オリゴマーI与え、ここで架橋部xの自由反応基y及びzとの反応比率は、その反応条件に依存する。これら構造性サブユニットの分布における反応温度及び時間の影響を検討するために、その条件を、表1に網羅するように変動させた。
1当量のビス−シドノン及び2当量のビス−マレイミドを含む化学量論溶液に対する反応温度の変化で、寡占的なオリゴマー形成が、T≦80℃の温度に対してのみ起こることが明らかになった。対照的に、T>90℃の条件に対しては、かなりの程度のモノマーの架橋が見出され、それゆえ不溶性物質がもたらされた。反応時間の影響についてさらに検討を実施し、及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で、90℃以下の温度条件においては、可溶性オリゴマーの分子量は、反応温度及び時間と共に増加し、しかし5kDaを超えないことが明らかになった(表2及び図10)。これらの結果は、多様な極性溶媒に可溶であるO−I前駆体オリゴマーの生成を可能にする、幅広い加工方法の存在を示している。
熱硬化性樹脂の生成に対して、前駆体としての可溶性オリゴマーを使用するためには、それらの反応性が保持されていることが保証されねばならない。第一環化付加反応は、非常に活性なピラゾリン中間体を産出し、それは急速に寡占的に、各々のジアゾノルボルネンユニットを生み出す、第二環化付加反応に進むことが知らており、その反応性の保持は、フリーのシドノン(y)及びマレイミド基(z)の存在のみにより決定される。したがって、これらの低分子量物質における、各々異なる構造ユニットのx、y、及びzの分布は、H−NMRを使用し定性的に検討する(図11)。当該異なるオリゴマーのH−NMRスペクトルで、開始モノマーに対応するピークの減少に伴って、その芳香族及び脂肪族領域の新しいピークの出現を示すことを見出した。想定のように、第一環化付加反応からの中間体ピラゾリンに対応するピークは観察されなかった。新しく生まれるピークの正確な位置づけをさらに可能にするために、N−フェニルシドノンとN−フェニルマレイミドとの環化付加反応から、小分子のモデル化合物M−Iを合成し、及びそのM−Iに対応するスペクトルを、例示的なオリゴマーであるO−I.2と比較して、図11に示した。
O−I.2及びM−Iのスペクトル比較により、明白なスペクトル類似性は、構造的な類似性を示す。モデル化合物M−IにおけるジアゾノルボルネンのプロトンHa’、Hb’及びHc’は、O−I.2の脂肪族領域における一連のピークと良く相関しており、したがってO−I.2におけるジアゾノルボルネン構成要素からのプロトンHa、Hb及びHcの存在を示している。特に、O−I.2におけるジアゾノルボルネンの各プロトンの一連のピークは、異なるサブユニットx、y及びzの混合物による可能性がある。O−I.2の最下流位にある9.05ppmのピークは、シドノンモイエティーの未反応末端のHdプロトンから出現していると思われる。さらに、7.1ppmのピークは、末端マレイミドモイエティーzのHeプロトンと相互に関連していると思われる。架橋部xの自由末端基y及びzとの比率の定量的解析が、それらピークの重なりにより妨げられるとしても、各々のシグナルの存在は、僅かに架橋したオリゴマーにおける反応性末端基の保持を明確に示しており、完全に架橋した熱硬化性樹脂へさらに硬化するための、O−I.2における反応性の保持を保証している。
当該オリゴマーの熱的性質を検討するために、各々のサンプルのTGA評価を実施し、及び得られたグラフを図12に示す。異なる条件下で得られた全てのオリゴマーは、T〜75℃で2−5%の一次重量減少、次いで、150℃で開始するおよそ92%までの二次重量減少を示した。その後、全てのオリゴマーは、T〜350℃で、完全な分解の開始を示した。これらデータは、観察された初期の2回の重量減少が、やや架橋した当該物質における、末端シドノンとマレイミド基の環化付加反応の結果のCOの発生に帰することができることを、強く示唆している。提案したように、この反応は最終的に、T≦350℃まで安定な、高架橋の熱硬化性樹脂材料をもたらす。さらに、異なる条件下で生成された当該オリゴマーの熱的挙動に、著しい差異は観察されなかった。
固体状態における、前駆体オリゴマーの加熱硬化。NMP中のO−I.2(55%固形分)溶液を調合した。TS−Iのガラスへの接着性は弱いので、ガラスプレートを包んだ銅箔上に、その溶液を注いだ。そのフィルムを、60℃で24時間、空気循環炉中で乾燥し、溶媒を除去した。銅箔上に固定されたそのフィルムを、検出可能な分解が無い状態までの重合をほぼ完全に保証するために、100℃で5時間から開始して、50℃毎の間隔で、最終温度が300℃に達するまで重合した。そのフィルムは、黒茶色をしており、その厚みは0.1−0.2mmの範囲であった。300℃、5時間の重合で得られたTS−Iの初期の及び均質なフィルムを、FT−IR及びTGAを使用して分析した(図13及び14)。ポリマーフィルムのFT−IRスペクトルで、1750cm−1におけるシドノンのカルボニル伸縮の消費/消失が明らかになり、300℃での完全硬化を示唆していた。さらに、TS−IのTGAにおいて、一連の重量減少が見られなかったので、300℃での完全架橋を示していた。さらに、得られたTS−Iのフィルムは、いずれの溶媒にも不溶であることが判り、及び目視での著しい膨潤は観察されず、その結果高度に架橋した材料が成功裏に生成したことを示していた。特に、前述の硬化は、不活性雰囲気下と同様に、空気中でも実施できた。両条件下で得られたTS−Iの熱的安定性に、差異は観察されなかった。
TS−Iの熱的評価。TS−Iの熱安定性を、窒素雰囲気下でTGAを使用して評価し、図15及び表3にまとめた。熱硬化性樹脂TS−Iは、低含有量の芳香族環及び熱的に不安定な脂肪族のジアゾノルボルネンモイエティーの存在にもかかわらず、412℃での5%重量損失温度(Td5%)で、熱安定性の良好な領域を示した。さらに、当該熱硬化性樹脂のガラス転移温度を、DSCにより決定し、及び>300℃であることを見出した(図16)。この値は、高度に架橋した3次元網目構造及びそれに伴う制約された分子鎖の緩和に割り当てることができ、その結果、高い架橋密度を示している。
熱重量分析により得られた分解温度は、熱硬化性ポリマーの熱安定性評価に必須なパラメーターであると思われるが、しかし長期にわたる高温での安定性を意味してはいない。したがって、当該熱硬化性ポリマーに対する、経時における熱分解プロセスを特定するために、300℃での短期間の等温熱重量分析を実施した。等温条件下−不活性雰囲気下の300℃で300分−で、熱硬化性樹脂TS−Iの重量減少は、わずかに0.5%であり(図17)、その結果この材料の高耐熱性を示した。
TS−Iの機械的及び熱機械的特性。精密な寸法公差が要求され及び負荷時の変形を排除する材料における熱硬化性樹脂の適用性は、架橋した網目構造の剛性または硬直性及びその硬さにより決まる。これらのパラメーターに関連して、当該シドノンに基づく熱硬化性樹脂を検討するために、硬化した熱硬化性樹脂フィルムに対して、ナノインデンテーション試験を実施した。図18に示すように、これらの機械的測定値は、TS−Iは、室温で、約5.0GPa(表4)を上回るヤング率を持ち、その結果一般の商業的に入手可能な熱硬化性樹脂の剛性を上回る優れた機械的特性を表すことを示した。さらに、当該シドノンに基づく熱硬化性樹脂の硬さは、0.6GPaにせまり(表4)、その結果、個々の分子設計を通して、望ましい材料特性を成功裏に導入したことをさらに示している。当該シドノンに基づくポリマーの網目構造は、高度に架橋し、その結果、高い剛性と硬さの優れた組み合わせを示す、固い構成要素から成る。
しかしながら、実際の応用に対しては、当該材料は、幅広い温度範囲にわたり、それらの優れた機械特性を維持しなければならない。これらの材料は、非常に密に架橋しているため、その網目構造セグメントの可動において、温度依存性が変化するために、機械的な構造安定性の変化だけが起こり得る。温度の上昇は、二次鎖の可動の増加を起こし得て、及びそれゆえ機械的強度の減少と同時にその材料の膨張を引き起こすことが可能である。温度に誘発され高められた可動の直接的な影響を、熱硬化性樹脂TS−Iの熱膨張係数として決定した。これに対応して、各々の自立フィルムにおいて、熱機械分析(TMA)を実施した。図19は、温度の関数としての(TS−Iに対しては、300℃まで)、熱硬化性樹脂フィルムの寸法変化を示す。TS−Iに対するこの温度範囲における熱膨張率(CTE)は、51.8μm/(m.℃)であり(表5)、それゆえ高温における優れた寸法安定性を示している。
連結鎖の可動における温度の影響を測定する、より直接的な試みにおいて、TS−Iの自立フィルムを、動的機械分析(DMA)により試験した。図20は、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及びtanδの温度依存性を示す。TS−Iに対する2.7の室温貯蔵弾性率は、これら材料の例外的な剛性に、再び光を当てる。さらに、その温度依存性は、マクロ分子の網目構造における熱転位に結論を見出すことを可能にする。325℃まで、TS−IのE’は、一定に維持され、その後は急激に低下する。tanδの376℃とE’’の368℃とにおける最大値の組み合わせにおいて、この変化は、TS−Iのガラス転移温度(Tg)に割り当てられる。TS−Iはまた、tanδ及びE’’の各々〜90℃及び70℃における広い肩ピークとして現れた、低いサブのガラスβ2転移を明らかにした。これらの低いβ2転移は、おそらく両熱硬化性ポリマーにおける硬化後の不完全な網目構造形成によるものである。要約すると、これらの結果は、部分的または完全な芳香族分子骨格の高い架橋密度及び固いマトリクスが、両熱硬化性樹脂に、どのくらい例外的に優れた熱機械特性をもたらしたかを明確に示した。
最終的に、硬化したフィルムとしてのこれら熱硬化性ポリマーの利用は、この材料の基材への接着性に決定的に依存する。したがって、その接着力を、標準化された手順に従った剪断接着試験を実施して評価した。当該反応性前駆体オリゴマー(O−I)の溶液を、剪断接着試験の構成において、無研磨の2枚のアルミニウム基材の、重ね合わせ部の表面に塗布した。当該オリゴマーを、空気中で300℃までの傾斜温度プロファイルを使用して硬化させ、次いで300℃で5時間の最終硬化ステップで硬化させた。その基材を破壊するまで引っ張り、分析を行い、及びその剪断接着力を、図21にまとめた。記載のように、熱硬化性樹脂TS−Iは、約0.6 MPaの平均接着力を示した。
実施例2:熱硬化性樹脂−II
熱硬化性樹脂II(TS−II、A分類)は、フェニルビス−シドノン4とビス−マレイミド10、バルクな2官能アルケンモノマーである、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンとの環化付加反応に基づく。
溶液IIにおけるオリゴマー形成。不活性雰囲気下で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中での(二重)1,3−双極性環化付加反応を介して、フェニルビス−シドノン4及びビス−マレイミドIIを反応させた。図22に示すように、この反応は、当該オリゴマーIIを与えた。当該オリゴマー形成における反応温度及び時間の影響を、表6に網羅した。オリゴマーIの生成との比較では、使用したバルクなビス−マレイミド10に対しては、より高い反応温度及びより長い時間が必要である。
当該オリゴマーIIを、H−NMRを使用して、特徴付けた。図23に示すように、新しいピークの出現に伴うモノマーピークの減少で、オリゴマー形成を確認する。5.9及び4.6ppm周辺でのプロトンは、シドノンとマレイミド間の環化付加反応の後に形成されたジアゾノルボルネンのプロトンの向きを示している。
GPCデータのように、2つのモノマーの消失及びオリゴマーIIに対応する新規ピークの出現は、110℃、6時間での完全な反応の方向を示した。その平均分子量(M)を、2.0kDaの範囲内に見出した(図24、表7)。
固体状態における、前駆体オリゴマーIIの加熱硬化。NMP中のO−II(55%固形分)溶液を調合した。その得られた溶液を、ガラスプレート上に滴下で注ぎ、次いでその滴下注型フィルムを、傾斜硬化法により、空気中で加熱した。温度は、1℃/分の速度で、25℃から300℃まで傾斜で上昇させ、次いで300℃の等温で5時間保持した。重合したフィルムのFT−IRスペクトルで、1740cm−1でのシドノンのカルボニル伸縮の消失が明らかになり、完全硬化を示唆した(図25)。得られたフィルムは、いかなる溶媒にも不溶であることが判明し、オリゴマーの架橋を示した。
TS−IIの熱的評価。TS−IIの熱安定性を、窒素雰囲気下で、TGAを使用して評価し、及びその結果を図26にまとめた。熱硬化性樹脂TS−IIは、390℃での5%重量減少温度(Td5%)を伴い、熱安定性の良好な範囲を示した。
実施例3:熱硬化性樹脂−III
熱硬化性樹脂−III(TS−III、A分類)は、フェニルビス−シドノン4とビス−マレイミドIII、2官能アルケンモノマーである、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼンとの環化付加反応に基づく。
フェニルビス−シドノン4と当該ビス−マレイミドとの反応は、熱硬化性樹脂IIIの前駆体としての役割を果たす、ジアゾノルボルネンに基づくオリゴマーIII(図27)を与えた。その反応を、不活性雰囲気下の110℃、5時間で、NMP中で実施した。メタノール中に沈殿させた後、当該オリゴマーを単離した。
GPC評価において、2つのモノマーの消失及びオリゴマーIIIに対応する新規ピークの出現は、完全な反応の方向を示した。その平均分子量(M)を、2.3kDaの範囲内に見出した(図28、表8)。
固体状態における、前駆体オリゴマーIIIの加熱硬化。NMP中のO−III(55%固形分)溶液を調合した。その得られた溶液を、ガラスプレート上に滴下で注ぎ、次いでその滴下注型フィルムを、傾斜硬化法により、空気中で加熱した。温度は、1℃/分の速度で、25℃から300℃まで傾斜で上昇させ、次いで300℃の等温で5時間保持した。重合したフィルムのFT−IRスペクトルで、1740cm−1でのシドノンのカルボニル伸縮の消失が明らかになり、完全硬化を示唆していた(図29)。得られたフィルムは、いかなる溶媒にも不溶であることが判明し、オリゴマーの架橋を示した。
TS−IIIの熱的評価。TS−IIIの熱安定性を、窒素雰囲気下で、TGAを使用して評価し、及びその結果を図30にまとめた。熱硬化性樹脂TS−IIIは、390℃での5%重量減少温度(Td5%)を伴い、熱安定性の良好な範囲を示した。
実施例4:熱硬化性樹脂IV
熱硬化性樹脂IV(TS−IV、B分類)は、フェニルビス−シドノン4と、トリス−アルケン13である、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンとのディールス・アルダー反応に基づく。
溶液中でのオリゴマー形成。フェニルビス−シドノンと当該トリス−アルケン13との反応は、熱硬化性樹脂IVの完全な芳香族網目構造に対応する前駆体としての役割を果たす、ピラゾールに基づくオリゴマーIVを与えた。フェニルビス−シドノン4及び1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン13を反応させ、各々のディールス・アルダー環化付加反応を介して、オリゴマーIVを産出した(図31)。その反応は、不活性雰囲気下の170℃、12時間で、NMP中で実施した。メタノール中に沈殿後、得られたオリゴマー混合物が、DCM、CHCl、NMP、DMFなどを含む一連の有機溶媒に可溶であることを見出した。
異なる分子量を持つ、オリゴマーIVa及びIVbの2組を、アセトン中での低分子オリゴマーの選択的溶解性により分離した。得られた物質を、GPC分析により、分子量分布について検討し、及びその結果を、図32及び表9に示した。全てのオリゴマーの分子量は、≦3kDaであることが判った(表9)。
H−NMRを利用したオリゴマーO−IVの構造解析は、開始モノマーに対応したシグナルの減少に伴う、新しい芳香族ピークセットの出現を示し、当該2つのサブユニット間で、成功裏にディールス・アルダー反応行われたことを示した。O−Iでの検討と同様に、モデル化合物M−IVを合成し、そのオリゴマーO−IVにおけるピラゾール架橋点へのピークの割り当てを進めた。図33に示すように、〜9ppmにおける新規のピークのセットは、M−IVにおけるピラゾールユニットによく対応しており、したがってO−IVにおけるピラゾール構成要素の成功裏な組み込みを示している。自由活性基の決定に関連して、未反応シドノンモイエティーからの末端プロトンの特定は、そのピラゾールモイエティーからの各プロトンとの重複により妨げられた。したがって、O−IVにおける自由活性基の正確な割り当ては、実施できなかった。
両オリゴマーIVa及びIVbの熱的特性を、TGAを使用して分析し、及び各々のグラフを図34に示す。TGAデータにより証明されるように、両オリゴマーは、各々さらなる架橋性を、まだ保持している。当該オリゴマーIVaは、〜80℃及び〜180℃での2つの連続した重量減少と、それに次ぐ〜500℃での分解を示した。対照的に、オリゴマーIVbは、〜215℃での単一の初期の重量減少と、それに次ぐ〜500℃での分解を受けた。この初期の連続重量減少は、その架橋前の物質における末端シドノンとアルキンモイエティーの環化付加反応からのCOの発生に、主として起因していると思われる。この結果は、両オリゴマーが、自由活性末端基を含んでいることを示している。
固体状態における、前駆体オリゴマーIVの加熱硬化。高速攪拌混合機を使用して、O−IVの均質スラリーを、NMP中に48%固形分として溶解し調合した。得られた溶液を、滴下注型、スピンコート及びブレードコートの3種の異なる技術を使用し、銅箔上に注いだ。300℃まで0.1℃/分の速度で、次いで300℃で5時間そのフィルムを加熱する傾斜加熱プロトコルを使用した、空気循環炉中で、得られたフィルムの硬化を実施した。当該O−IVは、これらの条件下で成功裏に硬化し、TS−IVを産出した。
O−IVのTS−IVへの完全な転換を裏付ける詳細分析を、以下のように実施した。TS−IVのフィルムを、FT−IRを利用して分析した。予想外に、そのFT−IRスペクトルで、1740cm−1でのシドノンのカルボニル伸縮の消費/消失が明らかになり、300℃での完全硬化を示唆していた。さらに、得られたTS−IVのフィルムは、いかなる溶媒にも不溶であることが判り、及び著しい膨潤は、目視では観察できず、それゆえ、高架橋物質が成功裏に生成したことを示していた。特に、前述の硬化は、不活性雰囲気下とともに空気中でも実行された。両条件下で得られたTS−IVの熱的安定性において、差異は観察されなかった。
TS−IVの熱的評価。TS−IVの熱安定性を、窒素雰囲気下で、TGAを使用して評価し、及びその結果を図35及び表10にまとめた。熱硬化性樹脂TS−IVは、高い芳香族含有量及び固いポリマー骨格により、540℃にせまるTd5%を伴う非常に高い熱安定性を示めす。さらに、DSCにより決定したガラス転移温度は、>300℃であることが判った。このことは、その高架橋の3次元網目構造及びその結果生じる制限された分子鎖の緩和を示している。
熱重量分析により得られた分解温度は、熱硬化性ポリマーの熱安定性評価に必須なパラメーターであると思われるが、しかし長期にわたる高温での安定性を意味してはいない。したがって、両熱硬化性ポリマーに対する、経時における熱分解プロセスを特定するために、300℃での短期間の等温熱重量分析を実施した。TS−IVの完全な芳香族網目構造は、等温条件下において、例外的な安定性を示すことが判明した。不活性雰囲気下の300℃で300分後に、熱硬化性樹脂TS−IVの重量減少は、5時間を超えてわずかに0.1wt%(すなわち、時間当たり0.02wt%)であった(図36)。
TS−IVの機械的及び熱機械的特性。当該硬化した熱硬化性樹脂フィルムに対して、ナノインデンテーション試験を実施した。図18に示すように、これらの機械的測定値は、TS−IVは、室温で、5GPa(表11)を上回るヤング率を有し、その結果、一般の商業的に入手可能な熱硬化性樹脂の剛性を上回る優れた機械的特性を表すことを示した。さらに、当該シドノンに基づく熱硬化性樹脂の硬さは、0.6GPaにせまる(表11)。
最終的に、その接着力を、標準化された手順に従った剪断接着試験を実施して評価した。図21に示すように、熱硬化性樹脂TS−IVは、アルミニウム、多様な及び自動車産業などで一般的な部材に対して、例外的に高い接着性を示すことが判明した。15
実施例5:熱硬化性樹脂V
熱硬化性樹脂V(TS−V、B分類)は、フェニルビス−シドノン4と、トリス−アルケン14である、1,3,5−トリエチニルベンゼンとのディールス・アルダー反応に基づく。
溶液中でのオリゴマー形成。フェニルビス−シドノンと当該トリス−アルケン14との反応は、熱硬化性樹脂Vの完全な芳香族網目構造に対応する前駆体としての役割を果たす、ピラゾールに基づくオリゴマーVを与えた。図37に示すように、表12に網羅するような、異なるモル量の反応混合物を使用し、15−24時間の110℃―150℃に至る温度で、脱気したNMP中で、フェニルビス−シドノン4及び1,3,5−トリスエチニルベンゼン14を共に反応させた。150℃、15時間で、0.13Mになる可溶性オリゴマーを得る一方で、その反応混合物濃度の0.2Mまでの増加で不溶性物質の形成を伴う、完全な重合をもたらした。
特定したオリゴマーV(O−V)を特徴づけるために、プロトンNMRを利用した。図33に示すように、当該O−Vは、開始モノマーの減少に伴う新規ピークを保有し、オリゴマー形成を確認できる。δ>8.5ppmにおける全てのピークは、当該ピラゾールプロトンに対応している。さらに、〜4.3ppmでの1つ以上ピークは、オリゴマーからの未反応アルキンによると思われ、当該オリゴマーは、さらに反応する傾向を、依然として残していることを示唆している。
GPCデータのように、フェニルビス−シドノン4の消失及びO−Vに対応する新規ピークの出現は、150℃、15時間での完全な反応の方向を示した。その平均分子量(M)を、4kDaの範囲内に見出した(表13)。
固体状態における、前駆体オリゴマーVの加熱硬化。変動する時間に対応した異なる温度範囲で、すなわち、150℃2時間、200℃4時間、250℃1.5時間、及び300℃5時間のステップ硬化で、O−Vの加熱硬化を実施した。以下のように、1750cm−1(図38)における当該シドノンのカルボニル伸縮をトレースすることにより、架橋の進行状態をモニターするためにIR分光分析を利用した。当該加熱硬化性物質のこの伸縮の不在は、完全な架橋を表している。さらに、完全硬化フィルムのTGAデータはまた、300℃、5時間での完全架橋を示している(図39)。
TS−Vの熱的評価。TS−Vの熱安定性を、窒素雰囲気下で、TGAを使用して評価し、及びその結果を表14にまとめた。熱硬化性樹脂TS−Vは、やや少ない芳香族含有量及びその結果としてのやや固さの少ない骨格によると思われるTS−IVよりやや低い、507℃での5%重量減少温度を伴う、熱安定性の幅広い範囲を示した(図39)。さらに、両TS−I及びIVと同じく、TS−Vのガラス転移温度は、高架橋性の3次元網目構造のために、DSCの決定のように>300℃であることが判明し、その結果、TS−Vの高架橋密度の存在の方向が示された。
TS−Vの時間に依存する耐熱性を決定するために、TGAを利用した300℃で5時間の、短時間の加熱エージング研究を実施した。図40に示すように、当該熱硬化性樹脂−Vは、300℃では、時間当たり0.1wt%の非常にゆっくりとした分解を伴い、安定であることが判明した。これらの結果は、これら材料が、高温用途に適切であることを示唆している。
TS−Vの機械的及び熱機械的特性。TS−Vの機械的試験を可能にするために、最初に、TS−Vの自立フィルムの生成条件を最適化した。
機械的検討に対応した自立TS−Vフィルムの生成。3分間で3000rpmの高剪断混合機を使用して、O−V(35 wt%)をNMPに溶解した。得られた均質のスラリーを、ガラス基材(150℃で予備加熱)上に滴下注型した。このフィルムを、同じ温度で1−2時間加熱し、次いでそのフィルムを冷却し、及び予備硬化したフィルム片を、カッターナイフで注意深く剥がした。この予備硬化のフィルムは、柔軟で、もろさが無く、及び本来の均質な表面を有していた。このフィルム片の柔軟性は、TGAに示唆されたように、不完全架橋の特性であることが判った(図41)。
そのフィルムを完全に硬化させるために、その予備硬化したフィルム片を、2枚のガラススライドの間に入れ、及び金属クリップできつく挟んで圧力を加え、次いで5時間で300℃まで加熱した。この予備硬化及び完全硬化フィルムの間に、顕著な差異を観察できた。予備硬化フィルムが、柔軟性である一方で、完全硬化フィルムは、硬くなったことが判った。両フィルムの表面の均質性には、違いが見られなかった。
当該硬化した熱硬化性樹脂フィルムに対して、ナノインデンテーション試験を実施した。図18に示すように、これらの機械的測定値は、TS−Vは、室温で、5GPa(表15)を上回るヤング率を有し、その結果一般の商業的に入手可能な熱硬化性樹脂の剛性を上回る優れた機械的特性を表すことを示した。さらに、当該シドノンに基づく熱硬化性樹脂の硬さは、0.6GPaにせまる(表15)。
さらに、各々の自立フィルムに対して、熱機械分析(TMA)を実施した。図42は、温度の関数(TS−Vに対しては350℃まで)としての、熱硬化性樹脂フィルムの寸法変化を示す。TS−Vに対するこの温度範囲における熱膨張率(CTE)は、47.5μm/(m.℃)であり(表16)、それゆえ高温下での優れた寸法安定性を示している。
連結鎖の可動における温度の影響を測定するために、TS−Vの自立フィルムを、動的機械分析(DMA)により試験した。図43は、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及びtanδの温度依存性を示す。TS−Vに対する3.3GPaの室温貯蔵弾性率は、これら材料の例外的な剛性に、再び光を当てる。さらに、TS−Vの完全な芳香族網目構造は、〜350℃までは、E’の限界的な変化を示し、その後は着実に減少していく。貯蔵弾性率の行き先不明な急激な減少に加えて、tanδ及びE’’の顕著ではない最大値は、そのTが、500℃を超えて高いことを示唆している。TS−Vはまた、tanδ及びE’’の各々〜90℃及び70℃における広い肩ピークとしての、低いサブのガラスβ2転移を明らかにした。これらの低いβ2転移は、おそらく硬化後の不完全な網目構造形成によるものである。さらに、TS−Vにおける、高いサブのガラスβ1転移が、〜480℃でのtanδ及びE’’の最大値として、明らかになった。要約すると、これらの結果は、部分的または完全な芳香族分子骨格の高い架橋密度及び固い構造母体が、両熱硬化性樹脂に、どのくらい例外的に優れた熱機械特性をもたらしたかを明確に示した。
最終的に、その接着力を、標準化された手順に従った剪断接着試験を実施して評価した。図21に示すように、熱硬化性樹脂TS−V、アルミニウム、多様な及び自動車産業などで一般的な部材に対して、例外的に高い接着性を示すことが判明した。15
実施例6:熱硬化性樹脂VI
当該システムにより柔軟性を導入し及びその脆性を減らすために、TS−IVの生成に使用したフェニルビス−シドノン4を、酸素リンカーを含むより柔軟な、3,3’−(4,4’−ジフェニル)ビスシドニルエーテル8で置き換えた。このビス−シドノン8を、フェニルビス−シドノン4に対応して確立し及びオリゴマーIVの生成に使用した、それと同様の手順を利用して生成した。熱硬化性樹脂VI(TS−VI、B分類)は、フェニルビス−シドノン8と、トリス−アルケン13のディールス・アルダー反応に基づく。
溶液中でのオリゴマー形成。表17に網羅するように、15−24時間の100℃―200℃に至る温度で、脱気したNMP中で、3,3’−(4,4’−ジフェニル)ビスシドニルエーテル8及び1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン13(図44)を共に反応させた。T≧150℃では、反応が見られない一方、0.26Mで、170及び180℃共に15時間で、低分子量の可溶性オリゴマーが得られた。対照的に、0.13Mの高温(200℃)では、DMSO、DMFなどの極性溶媒に難溶性である、高分子量オリゴマーをもたらした。
図45に示すように、当該オリゴマーVIは、開始物質3,3’−(4,4’−ジフェニル)ビスシドニルエーテル8及び1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン13の減少に伴う新しいピークを保有しており、オリゴマーVIの成功裏な生成を確認した。δ>8.5ppmにおける全てのピークは、シドノンとアルキンモイエティーの1,3−双極性環化付加反応後に形成されたピラゾール環に対応している。
GPC検討により、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン13の消失及びオリゴマーVIに対応した新規ピークの出現は、170℃及び180℃で共に15時間での反応の完了を示唆している。その平均分子量(M)を、2.5−3.5kDaの範囲内に見出した(図46、表18)。
固体状態における、前駆体オリゴマーVIの加熱硬化。BステージのオリゴマーVIを、NMP中に溶解し、次いで凍結ポンプ融解サイクルを使用して、そのオリゴマー溶液を脱気した。得られた溶液を、厳しい不活性条件下で、ガラススライド/TGAるつぼ容器に、滴下注型し、次いで、その滴下注型フィルムを、150℃で1時間及び300℃で5時間過熱した。得られたフィルムは、いかなる溶媒にも不溶であることが判り、オリゴマーの架橋を示していた。
TS−VIの熱的評価。架橋したポリマーのTGAで、その開始オリゴマーと比較して、熱安定性に著しい改善を示すことが判った(図47)。熱硬化性樹脂TS−VIは、515℃における5%重量減少温度を伴う、熱安定性の幅広い範囲を示した。
実施例7:熱硬化性樹脂VIIの合成
熱硬化性樹脂VII(TS−VII、B分類)は、フェニルビス−シドノン8と、2官能アルケン14としての1,3,5−トリエチニルベンゼンに基づく。
溶液中でのオリゴマー形成。表19に網羅するように、異なるモル量の反応混合物を使用して、150℃の不活性条件下のNMP中で、3,3’−(4,4’−ジフェニル)ビスシドニルエーテル8及び1,3,5−トリエチニルベンゼン14(図48)を共に反応させた。0.33Mの反応混合物において、150℃、12時間で、完全な重合を観察した。このような条件下での完全架橋は、使用した反応混合物の高い濃度によると考えられた。対照的に、0.11Mまでの反応モル量では、可溶性の低分子量オリゴマーの生成をもたらし、DMSO、DMFなどの極性溶媒に可溶であった。
当該オリゴマーVIIを、H−NMRを使用して特徴づけた。図49に示すように、新ピークの出現に伴うモノマーピークの減少は、オリゴマーの形成を裏付ける。δ>8.5ppmにおけるプロトンは、シドノンとアルキン間の環化付加反応後に形成されたピラゾールプロトンの方向を示している。
固体状態における、前駆体オリゴマーVIIの加熱硬化。当該オリゴマーVIIをNMP中に溶解し、次いでその得られた溶液を、不活性条件下で、ガラススライド/TGAるつぼ容器に滴下注型した。その滴下注型フィルムを、150℃で1時間及び300℃、5時間で硬化させた。
TS−VIIの熱的評価。架橋したポリマーTS−VIIのTGAで、その開始オリゴマーと比較して、熱安定性に著しい改善を示すことが判った(図50)。その分解温度は、400℃と計測された。
実施例8:モデル化合物の合成
共役の異なるレベルに加えて、熱的特性もまた、その網目の3次元構造に依存する。この因子は、各々の繰り返し単位の幾何学的配置により、決定的に定まるので、本発明の具体例として、当該熱硬化性樹脂の3官能性架橋点に対応したモデル化合物として、小分子のM−I及びM−IIを合成した。
M−Iの合成。
トルエン中(20ml)のN−フェニルシドノン4(200mg、1mmol)及びN−フェニルマレイミド5(430mg、2mmol)の混合物を、95℃で6時間還流した。還流中に、その固体物質を、反応混合物から凝結させた。その反応混合物を冷却し及びろ過し、無色固体の当該物質を得た(500mg、88%)。H−NMR(600MHz、DMSO−d):δ7.37−7.28(m,8H),7.13(t,J=7.5Hz,2H),6.86−6.79(m,2H),6.67(m,3H),5.61(s,1H),4.54(d,J=6.8Hz,2H),3.61(d,J=6.8Hz,2H)、13C−NMR(126MHz,DMSO−d):δ174.3,172.9,144.3,131.7,129.3,128.6,128.4,126.5,121.1,68.2,62.9,49.3、C2720[M+Na]に対するMS(ESI):計算487.15,検出487.18。図58を参照。
M−IIの合成。
無水NMP中(0.5ml)のN−フェニルシドノン4(81mg、0.5mmol)及びフェニルアセチレン6(0.11ml、1mmol)の混合物を、170℃で15時間攪拌した。その後、その反応混合物を室温まで冷却し、及び溶離液としてヘキサン:酢酸エチル(9:1、v/v)を使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡色粉体としての純化合物を得た(40mg、36%収率)。H−NMR(500MHz,DMSO−d6):δ7.05(1H,d,J=7.1Hz),7.31−7.38(2H,m),7.46(2H,m),7.53(2H,m),7.91−7.94(4H,m)、13C−NMR(125MHz,DMSO−d):δ105.8,118.7,125.9,126.6,128.5,129.2,129.8,130.0,133.2,140.1,152.3、IR,MS。図59を参照。
参照
注記:この出願は、かっこ、例えば[x]、に囲まれた参照数字により、本明細書を通して示される多数の異なる公開物を参照する。これらの参照番号に従って整理される、これらの異なる公開物のリストは、以下に見出せる。本明細書に記載される全ての公開物を、その公開物が引用する内容と関連する、事例的な方法及び/または物質を開示し及び記述するために、提供する。
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結び
これにより、本発明の好ましい実施形態の記述を完了する。前述の本発明の1つ以上の実施形態の記述は、事例及説明の目的で提供した。本発明を網羅し、開示された詳細形態に限定することを意図してはいない。前述の教示の観点から、多くの修正及び変更が可能である。

Claims (30)

  1. 熱硬化性樹脂組成物の生成法であって、シドノン及びアルケンまたはアルキンの少なくとも1つのモノマー混合物の提供、前記混合物の熱的活性化によるオリゴマー形成、及びそのオリゴマーを硬化し、そのため架橋したポリマーを含有する熱硬化性樹脂の形成を含む、前記方法。
  2. 前記シドノンが、フェニルビス−シドノンである、請求項1に記載の前記方法。
  3. 前記フェニルビス−シドノンが、還流エタノール中で、1,4−ジアミノベンゼンを臭化酢酸エチルで置換し、塩を得て、その塩を、0℃の亜硝酸ナトリウムの水溶液でニトロシル化し、及びそのニトロシル化した塩を、CHCl中にて、無水トリフロロ酢酸で環化することにより合成される、請求項2に記載の前記方法。
  4. 前記アルケンが、2官能アルケンであり及び前記アルキンが、トリス−アルキンである、請求項1に記載の前記方法。
  5. 前記アルケンが、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドである、請求項1に記載の前記方法。
  6. 前記アルキンが、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンである、請求項1に記載の前記方法。
  7. 前記オリゴマーが、前記アルケンまたはアルキンと前記シドノンとの1,3−双極性環化付加反応により形成される、請求項1に記載の前記方法。
  8. 前記オリゴマーが、100℃以下の温度で形成される、請求項1に記載の前記方法。
  9. 前記オリゴマーが、少なくとも以下の1つを含み、ここで、x、y、及びzが整数である、請求項1に記載の前記方法。
  10. 前記オリゴマーが、300℃以下の温度で硬化する、請求項1に記載の前記方法。
  11. 前記オリゴマーが部分的に架橋し及び前記熱硬化性樹脂が完全に架橋する、請求項1に記載の前記方法。
  12. 前記熱硬化性樹脂組成物が、300℃を超えるガラス転移温度(T)及び/または400℃以上の耐熱性を有する、請求項1に記載の前記方法。
  13. 前記熱硬化性樹脂組成物が、以下の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の前記方法。
  14. シドノン及びアルケンまたはアルキンの1つを含むモノマー混合物を与え、そのモノマー混合物を熱的に活性化したオリゴマーを形成し、ここで、前記オリゴマーが、前記アルケンまたはアルキンと前記シドノンとの1,3−双極性環化付加反応により形成され、及び、前記オリゴマーを硬化させ、そのため、架橋したポリマーを含む熱硬化性樹脂組成物を形成することを含む、熱硬化性樹脂組成物の生成法。
  15. 前記シドノンが、モノ−シドノン、ビス−シドノン、及びトリス−シドノンから成る群から選ばれる、請求項14に記載の前記方法。
  16. 前記アルケンまたはアルキンが、ビス−マレイミド、トリス−マレイミド、ビス−アルキン、及びトリス−アルキンから成る群から選ばれる、請求項14に記載の前記方法。
  17. 前記オリゴマーが、90℃未満の温度で形成される、請求項14に記載の前記方法。
  18. 前記オリゴマーが部分架橋し及び前記熱硬化性樹脂が完全架橋している、請求項14に記載の前記方法。
  19. 前記オリゴマーが、硬化に先立ち、部材にコートされる、請求項14に記載の前記方法。
  20. 前記部材が、アルミニウムまたは銅部材である、請求項19に記載の前記方法。
  21. 前記熱硬化性樹脂組成物の熱伝導性を高めるために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、請求項14に記載の前記方法。
  22. 構成要素が、前記熱硬化性樹脂組成物の物理的強靭性を高めるために添加される、請求項14に記載の前記方法。
  23. 前記熱硬化性樹脂組成物の接着性を高めるために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、請求項14に記載の前記方法。
  24. 前記熱硬化性樹脂組成物の浸透性網目構造を形成するために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、請求項14に記載の前記方法。
  25. 前記熱硬化性樹脂組成物の相分離無機添加物に作用するために選ばれた、1つ以上の構成要素の追加をさらに含む、請求項14に記載の前記方法。
  26. 任意の1つ以上の前記請求項の方法により生成される物質の組成物。
  27. シドノンモノマーまたはオリゴマーと、第二の商業用熱硬化性樹脂の共レジンとの混合により生成される物質の組成物であって、そのため添加される第二の商業用熱硬化性樹脂に対して、前記シドノンが主要レジンである、前記組成物。
  28. 前述の熱硬化性樹脂の熱機械特性を向上または低下させるために、商業用熱硬化性樹脂とシドノンオリゴマーまたはモノマーとの混合により生成される物質の組成物。
  29. 前記熱機械特性が、Tg、Tm、及びTdから選ばれる、請求項28に記載の前記組成物。
  30. 前記商業用熱硬化性樹脂が、Tactix(商標)、Primaset(商標)、 Locktite(商標) 、及び/またはPETI−330(商標)組成物である、請求項28に記載の前記組成物。
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