JP6629560B2 - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂成形品の製造方法及びそれに用いる成形装置に関する。
結晶性のポリエステル樹脂は、結晶化により高耐熱性及び高弾性を示す産業上有用な樹脂材料である。そして、この結晶性のポリエステル樹脂を用いた樹脂成形品の製造方法として熱成形法が広く知られている。
熱成形法では、結晶性のポリエステル樹脂を熱成形用シートに一次成形し、次いで、その熱成形用シートを真空成形や圧空成形により成形型の成形面に沿わせるように賦形して二次成形する。このとき、一次成形において、成形条件を制御してポリエステル樹脂の結晶化度を予め高めた熱成形用シートを作製した場合、二次成形において、例えば成形時間が長くなる、細かい意匠を出すことが困難となる、高耐熱性であることが寧ろ成形を困難にする、といった問題が生じる。そこで、一次成形において、ポリエステル樹脂の結晶化度を低くした熱成形用シートを作製し、二次成形において、成形型の成形面に沿わせることにより賦形して樹脂成形品を成形すると共に加熱してポリエステル樹脂の結晶化度を高めることが広く行われている。
例えば、特許文献1には、加熱金型とそれに嵌合する冷却金型とを準備し、予熱した結晶化度の低いポリエステル樹脂の熱成形用シートを、加熱金型の成形面に沿わせることにより賦形して樹脂成形品を成形すると共に加熱してポリエステル樹脂の結晶化度を高め、次いで、加熱金型に冷却金型を嵌合させて圧力操作により樹脂成形品を加熱金型から離型して冷却金型に移動させる樹脂成形品の製造方法が開示されている。
実開平6−68817号公報
特許文献1に開示された樹脂成形品の製造方法では、加熱金型の成形面上に成形された樹脂成形品を冷却金型に移動させるが、冷却金型による樹脂成形品の冷却により製造時間の短縮を図ることができるものの、その全体が冷却金型に接触して冷却されるため、樹脂成形品に大きな歪が蓄積され、冷却金型からの離型時に樹脂成形品に変形が生じる場合がある。特に樹脂成形品に成形時にアンダーカットとなるような微細な凹凸部分が含まれる場合、その部分において変形が生じやすい。
本発明の課題は、製造時間の短縮を図って生産性を向上させつつ、離型時における変形を抑制して優れた賦形性を得ることができる熱成形法による樹脂成形品の製造方法を提供することである。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、結晶性のポリエステル系樹脂をベース樹脂の主成分とする樹脂組成物で形成された熱成形用シートを、成形型の成形面に沿わせることにより賦形して樹脂成形品を成形すると共に加熱してポリエステル系樹脂の結晶化度を高めた後、前記成形型の成形面上に成形された前記樹脂成形品における前記成形型側と反対側において、前記樹脂成形品に含まれる平面部分又は曲面部分の少なくとも一部に前記成形型との間で挟持するように冷却部材を接触させて冷却し、且つ前記冷却部材が接触していない部分を空冷する。
本発明の樹脂成形品の成形装置は、熱成形用シートを沿わせることにより賦形して樹脂成形品を成形する成形面を有する成形型と、前記成形型の成形面を加熱する加熱手段と、前記成形型の成形面上に成形された樹脂成形品における前記成形型側と反対側において、前記樹脂成形品に含まれる平面部分又は曲面部分の少なくとも一部に前記成形型との間で挟持するように接触して冷却する冷却部材とを備え、前記成形型の成形面上に成形された樹脂成形品における前記成形型側と反対側において、前記樹脂成形品の前記冷却部材が接触していない部分を空冷するように構成されている。
本発明によれば、冷却部材を接触させて樹脂成形品を積極的に冷却するので、製造時間の短縮を図って生産性を向上させることができる。それに加えて、樹脂成形品に含まれる平面部分又は曲面部分では、離型時における歪の蓄積の影響による変形が小さいが、その少なくとも一部に冷却部材を接触させるので、離型時における樹脂成形品の変形を抑制して優れた賦形性を得ることができる。
樹脂成形品の斜視図である。 樹脂成形品の断面図である。 成形装置の構成を示す図である。 シート予熱部による熱成形用シートの予熱の説明図である。 成形型が降下した状態を示す図である。 成形型による樹脂成形品の成形の説明図である。 冷却部による樹脂成形品の冷却の説明図である。 成形装置の第1の変形例の構成を示す図である。 冷却部材の上面と成形型の成形面の天面部成形部及びリブ成形部との位置関係を示す平面図である。 成形装置の第2の変形例の構成を示す図である。 成形装置の第2の変形例における冷却部材の上面と成形型の成形面の天面部成形部との位置関係を示す平面図である。 成形装置の第3の変形例の構成を示す図である。 樹脂成形品の離型の説明図である。 樹脂成形品の変形例の斜視図である。 変形例の樹脂成形品の第1の製造方法の説明図である。 変形例の樹脂成形品の第2の製造方法の説明図である。 実施例の樹脂成形品の製造方法の第1の説明図である。 実施例の樹脂成形品の製造方法の第2の説明図である。 比較例1の樹脂成形品の製造方法の説明図である。 比較例4の樹脂成形品の製造方法の説明図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、熱成形法であり、まず、一次成形として、結晶化度が低い結晶性のポリエステル系樹脂をベース樹脂の主成分とする樹脂組成物で形成された熱成形用シートを作製する。次いで、二次成形として、その熱成形用シートを、成形装置の成形型の成形面に沿わせることにより賦形して樹脂成形品を成形すると共に加熱してポリエステル系樹脂の結晶化度を高めた後、成形型の成形面上に成形された樹脂成形品における成形型側と反対側において、樹脂成形品に含まれる平面部分又は曲面部分の少なくとも一部に成形型との間で挟持するように冷却部材を接触させて冷却し、且つ冷却部材が接触していない部分を空冷し、しかる後、冷却部材の樹脂成形品への接触を解き、成形型から樹脂成形品を離型する。
このような本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法によれば、冷却部材を接触させて樹脂成形品を積極的に冷却するので、製造時間の短縮を図って生産性を向上させることができる。それに加えて、樹脂成形品に含まれる平面部分又は曲面部分では、離型時における歪の蓄積の影響による変形が小さいが、その少なくとも一部に冷却部材を接触させるので、離型時における樹脂成形品の変形を抑制して優れた賦形性を得ることができる。
以下、具体例を示して説明する。
(樹脂成形品)
図1及び2は、本実施形態の製造方法により製造する樹脂成形品10を示す。
この樹脂成形品10は、下方に開口した薄肉部材であって、外形が長方形を底面とする錐台に形成されている。樹脂成形品10の上部には、上方に突出したリブ11がその縁に沿って延びるように設けられており、そのリブ11で囲まれた部分が天面部12に構成されている。この天面部12は、樹脂成形品10に含まれる凹凸を有さない最大の平面部分であり、また、樹脂成形品10の上部における開口側を向く面のうちの最大の平面部分でもある。樹脂成形品10の4つの側面部13のそれぞれの下部の横方向の中央部には、内側に突出して横方向に延びるように形成された係合部14が設けられている。この樹脂成形品10は、食料品店等において販売されている弁当や惣菜の容器の蓋部材であり、食料品が盛りつけられた樹脂トレイTの上から被せられ、係合部14が樹脂トレイTの外周の縁部に係合するように構成されている。
(一次成形)
上記の樹脂成形品10の製造に際し、一次成形では、結晶化度が低い結晶性のポリエステル系樹脂をベース樹脂の主成分とする樹脂組成物で形成された熱成形用シートを作製する。
熱成形用シートを形成する樹脂組成物は、ベース樹脂の他、配合剤として可塑剤及び結晶核剤を含んでもよい。なお、熱成形用シートを形成する樹脂組成物の組成については、特開2014−51646号公報に詳細に開示されている。そして、このような熱成形用シートは、例えば単軸又は二軸押出機に、これらのベース樹脂並びに配合剤の可塑剤及び結晶核剤を投入して混練すると共に、シート状に押出成形することにより作製され、それを巻き取ったシートロールとして回収することができる。熱成形用シートの厚さは、二次成形での成形性の観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは150μm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは300μm以下である。
熱成形用シートの結晶化度は、二次成形での成形性の観点から、好ましくは80%未満、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。なお、結晶化度は、密度法、IR法、X線法、比熱法(融解熱法)、あるいはNMR法等、通常知られた方法により求めることができるが、本明細書において結晶化度は下記式の相対結晶化度により求められる。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm}×100
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、降温速度−500℃/分で200℃から25℃まで降温し、25℃で1分間保持した後、更に2ndRUNとして、昇温速度15℃/分で25℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
この結晶化度は、熱成形用シートの成形条件の設定により制御することができる。上記の結晶化度を得る観点からは、一次成形の押出成形におけるシリンダー温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、また、好ましくは270℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下である。ダイス(出口)温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは175℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、また、好ましくは270℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下である。押出成形後に熱成形用シートを冷却する冷却ロールのロール温度は、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下である。熱成形用シートの巻取速度(引き取り速度)は、好ましくは0.5m/min以上、より好ましくは1.0m/min以上、更に好ましくは1.5m/min以上である。
熱成形用シートを形成する樹脂組成物におけるベース樹脂は、結晶化度が低い結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とする。ベース樹脂には、単一種のポリエステル系樹脂のみが含まれていても、また、複数種のポリエステル系樹脂がブレンドされて含まれていても、どちらでもよい。ベース樹脂には、離型時における樹脂成形品10の変形抑制効果を損なわない範囲で、ポリエステル系樹脂以外の樹脂成分を含んでいてもよい。ベース樹脂におけるポリエステル系樹脂の含有量は50質量%以上であるが、二次成形での離型性及び透明性、並びにポリエステル系樹脂が後述のポリ乳酸系樹脂である場合における生分解性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、また、二次成形での成形性の観点から、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、更に好ましくは99質量%以下である。
結晶性のポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分とから得られる結晶性ポリエステル樹脂の他、例えばポリ乳酸系樹脂が挙げられる。ポリ乳酸系樹脂とは、ポリ乳酸樹脂、若しくは、乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体樹脂、又は、それらの混合物である。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられる。
ポリ乳酸樹脂としては、市販されているポリ乳酸樹脂、例えば、三井化学社製:レイシアH−100、H−280、H−400、H−440等や、Nature Works社製:Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D、トヨタ自動車社製:エコプラスチックU'z S−09、S−12、S−17等の他、乳酸やラクチドから合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度90%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、耐熱性及び透明性の向上の観点から、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるステレオコンプレックスポリ乳酸を用いてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル、コハク酸ジオクチルなどのコハク酸エステル、ジオクチルアジペートなどのアジピン酸エステルといった多価カルボン酸エステル;グリセリンなどの脂肪族ポリオールの脂肪酸エステル等が挙げられる。また、透明性、耐熱性、及び耐ブリード性の観点からポリ乳酸系樹脂に好適な可塑剤としては、例えば、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2−メチルコハク酸、アジピン酸などの飽和ジカルボン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとのジエステル;飽和ジカルボン酸とベンジルアルコールとのジエステル、アセチルクエン酸と1−ブチルアルコールとのトリエステル等が挙げられる。可塑剤として、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。樹脂組成物における可塑剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して、二次成形での成形性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、二次成形での離型性及び透明性、並びにポリエステル系樹脂がポリ乳酸系樹脂である場合における生分解性の観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である。
結晶核剤としては、置換基を有していてもよい総炭素数8〜22の脂肪酸類と、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、m−キシレンジアミン等のジアミン類とのジアミドが挙げられ、具体的には、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、ヘキサメチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、メタキシレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド等が挙げられる。結晶核剤として、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。樹脂組成物における結晶核剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して、二次成形での成形性の観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、また、二次成形での離型性及び透明性、並びにポリエステル系樹脂がポリ乳酸系樹脂である場合における生分解性の観点から、好ましくは0.85質量部以下、より好ましくは0.75質量部以下、更に好ましくは0.65質量部以下である。
熱成形用シートを形成する樹脂組成物は、二次成形での離型時における樹脂成形品10の変形抑制効果を損なわない範囲で、その他の配合剤として、非イオン性界面活性剤、加水分解抑制剤、コアシェル型ゴム、無機充填剤、有機充填剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を含んでいてもよい。
(二次成形)
<成形装置>
図3は、本実施形態の樹脂成形品10の製造方法における二次成形に用いる成形装置20を示す。
この成形装置20は、熱成形法のうちの真空成形法により樹脂成形品10を連続して成形することができるものであり、シート予熱部210、成形型220、加熱部230、冷却部240、及びシートトランスファー部(不図示)を備える。
シート予熱部210は、温度調整可能なヒータ211を有する。この成形装置20では、図4に示すように、シート予熱部210において二次成形前の熱成形用シートSを両側から加熱するように構成されている。
成形型220は、シート予熱部210の下流側に上下可動に設けられている。成形型220は、熱伝導率の高い金属等で形成されており、下方に開口するように形成された凹部の内側表面で構成された成形面221を有する。成形面221は、製造する樹脂成形品10に対応する形状に形成されており、従って、樹脂成形品10のリブ11、天面部12、側面部13、及び係合部14を成形するリブ成形部222、天面部成形部223、側面部成形部224、及び係合部成形部225が構成されている。なお、樹脂成形品10の内側に突出した係合部14は、成形後の離型時に係合部成形部225に係合するためアンダーカットに相当する。成形型220には、中空部226が形成されていると共に、各々、その中空部226から延びて成形面221に開口した複数の通気路227が形成されている。中空部226は、成形型220の外部に設けられた真空ポンプ(不図示)に接続されている。この成形装置20では、図5に示すように、成形型220が熱成形用シートSに近接するように降下した後、成形型220の中空部226を減圧することにより、図6に示すように、通気路227を介して熱成形用シートSを成形型220側に吸引し、成形面221にシート予熱部210で予熱された熱成形用シートSを沿わせることにより賦形して樹脂成形品10を成形するように構成されている。
加熱部230は、成形型220に付設された温度調整可能なヒータにより構成されている。この成形装置20では、加熱部230が成形型220の成形面221を加熱することにより、熱成形用シートSを加熱してポリエステル系樹脂の結晶化度を高めるように構成されている。従って、この加熱部230が成形型220の成形面221を加熱する加熱手段を構成する。
冷却部240は、成形型220の下方に上下可動に設けられており、下から順に積層するように設けられたステージ241、部材支持台242、及び冷却部材243を有する。
ステージ241上には弾性体のパッキン244を介して部材支持台242が載置されており、ステージ241に立設された複数の案内ロッド245が、それに対応するように部材支持台242に形成された案内孔246に遊嵌してそれらの横方向の位置ずれが防止されている。また、ステージ241と部材支持台242との間には複数のコイルスプリング247が介設されている。冷却部材243は、熱伝導率の高い金属等で形成された直方体のブロック状部材であり、部材支持台242に固設されている。冷却部材243の各側面には複数の冷却ガス噴出口248が形成されており、各冷却ガス噴出口248は、冷却部材243の内部及び部材支持台242に形成された冷却ガス流路249を介して冷却部240の外部に設けられた冷却ガス源(不図示)に接続されている。
冷却部240は、冷却部材243の上面243aが成形型220の天面部成形部223に対応するように位置付けられている。この成形装置20では、成形型220の成形面221上に樹脂成形品10が成形された後、図7に示すように、冷却部240が上昇し、冷却部材243が、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10における成形型220側と反対側、つまり、内側において、樹脂成形品10に含まれる最大の平面部分である天面部12に成形型220との間で挟持するように接触して冷却するように構成されている。従って、この成形装置20では、このように成形型220に冷却部材243が嵌合しないので、成形型220と冷却部材243との衝突を避けるために精度を高める必要がなく、そのため樹脂成形品10の製造時における調整時間の短縮化を図ることができる。また、冷却部材243の上面243aの辺縁243bが樹脂成形品10に接触しないように構成されている。このように冷却部材243の上面243aの辺縁243bが樹脂成形品10に接触しないので、その辺縁243bが樹脂成形品10の天面部12の内側に転写された痕が残らないため、成形性の向上を図ることができる。更に、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10の内側において、樹脂成形品10の冷却部材243が接触していない部分、具体的には、リブ11及び側面部13を、それらに対して冷却部材243に形成された冷却ガス噴出口248から冷却ガスを吹き付けて空冷するように構成されている。従って、冷却部材243に設けられた冷却ガス噴出口248が、樹脂成形品10の冷却部材243が接触していない部分に対して冷却ガスを吹き付けるガス吹付手段を構成する。なお、冷却部240には、冷却効率を高めて製造時間を短縮する観点から、冷却部材243を熱交換により冷却する水冷機構或いは空冷機構が設けられていてもよい。また、図8に示すように、冷却部材243の外部に設けた冷却ガス噴出ノズルNにより、樹脂成形品10の冷却部材243が接触していない部分に対して冷却ガスを吹き付けるガス吹付手段を構成してもよい。
ここで、冷却部240が上昇し、冷却部材243が樹脂成形品10に接触するとき、ステージ241と部材支持台242との間に介設されたパッキン244及びコイルスプリング247の作用により、初期接触から面接触に至るまでの間における冷却部材243の樹脂成形品10への接触時の衝撃が緩和される。従って、これらのステージ241と部材支持台242との間にパッキン244及びコイルスプリング247が介設された構造が、冷却部材243の樹脂成形品10への接触時の衝撃を緩和させる緩衝手段を構成する。このような緩衝機構により冷却部材243の樹脂成形品10への接触時の衝撃が緩和されることから、冷却部240には高い加工精度や操作精度が要求されない。
また、図9に示すように、冷却部材243の上面243aは成形型220の天面部成形部223よりも大きく、平面視において、冷却部材243の上面243aが成形型220の天面部成形部223を含んでいる。従って、この成形装置20では、冷却部材243が樹脂成形品10の平面部分である天面部12の内側の全面に接触するように形成されており、冷却部材243の上面243aの辺縁243bは樹脂成形品10に接触しない。そのため冷却部材243の上面243aの辺縁243bが樹脂成形品10に接触しないので、その辺縁243bが樹脂成形品10の天面部12の内側に転写された痕が残ることはなく、成形性の向上を図ることができる。一方、冷却部材243の上面243aは成形型220のリブ成形部222の外周で囲われる部分よりも小さく、平面視において、冷却部材243の上面243aが成形型220のリブ成形部222の外周で囲われる部分に含まれている。従って、この成形装置20では、冷却部材243が、樹脂成形品10の平面部分である天面部12に接触したとき、それ以外の部分には接触しないように形成されている。
シートトランスファー部は、シート予熱部210の上流側に設けられたシートロールから引き出されて成形型220の下流側まで引き出された熱成形用シートSを移動させるシート搬送機構である。この成形装置20では、シートトランスファー部により、熱成形用シートSを上流側から下流側にシート予熱部210及び成形型220での加工に合わせてステップ状に移動させるように構成されている。
<成形操作>
二次成形では、上記の成形装置20を用い、一次成形で作製した熱成形用シートSのシートロールをガイドに取り付け、そこから引き出された熱成形用シートSを、図4に示すように、シート予熱部210において予熱する。ヒーターの温度は、成形性の観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上、更に好ましくは300℃以上であり、また、同様の観点から、好ましくは450℃以下、より好ましくは400℃以下、更に好ましくは350℃以下である。予熱時間(シート予熱部210での滞在時間)は、成形性の観点から、5秒以上、より好ましくは7秒以上、更に好ましくは10秒以上であり、また、製造時間の短縮の観点から、20秒以下、より好ましくは18秒以下、更に好ましくは15秒以下である。
次いで、シートトランスファー部を稼働させ、図5に示すように、予熱した熱成形用シートSを成形型220の下方に移動させると共に、加熱部230により加熱した成形型220を降下させて熱成形用シートSに近接させて停止した後、成形型220の中空部226を減圧する。このとき、図6に示すように、熱成形用シートSは、通気路227を介して成形型220側に吸引され、成形面221に沿うように賦形されて樹脂成形品10に成形される。また、熱成形用シートSを形成するポリエステル系樹脂の結晶化度が高められる。成形型220の成形面221の温度、つまり、成形温度は、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)以上で且つ融点(Tm)未満の温度であり、成形性、離型性、及び冷却効率の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは82℃以上、更に好ましくは85℃以上、より更に好ましくは88℃以上であり、また、同様の観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは120℃以下である。成形時間(中空部226を減圧している時間)は、成形性の観点から、2秒以上、より好ましくは3秒以上、更に好ましくは4秒以上であり、また、製造時間の短縮の観点から、10秒以下、より好ましくは8秒以下、更に好ましくは6秒以下である。
続いて、中空部226の減圧を解除すると共に成形型220の加熱を停止し、図7に示すように、冷却部240を上昇させ、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10の内側において、樹脂成形品10に含まれる最大の平面部分である天面部12に成形型220の天面部成形部223との間で挟持するように冷却部材243の上面243aを接触させて冷却する。冷却部材243の温度は、成形性、離型性、及び冷却効率の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上、より更に好ましくは20℃以上であり、また、同様の観点から、好ましくは50℃未満、より好ましくは45℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
また、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10の内側において、樹脂成形品10の冷却部材243が接触していない部分、具体的には、リブ11及び側面部13を、それらに対して冷却部材243に形成された冷却ガス噴出口248から冷却ガスを吹き付けて空冷する。冷却ガスとしては、例えば、空気、窒素ガス等が挙げられる。冷却ガスの温度は、成形性、離型性、及び冷却効率の観点から、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下である。冷却ガス噴出口の直径は、成形性、離型性、及び冷却効率の観点から、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは2.0mm以上であり、また、同様の観点から、好ましくは15mm以下、より好ましくは7.0mm以下、更に好ましくは5.0mm以下である。冷却ガスの圧力は、成形性、離型性、及び冷却効率の観点から、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.03MPa以上、更に好ましくは0.07MPa以上であり、また、同様の観点から、好ましくは0.25MPa以下、より好ましくは0.2MPa以下、更に好ましくは0.15MPaである。
冷却時間(冷却部材243の接触時間)は、成形性の観点から、0.5秒以上、より好ましくは1秒以上、更に好ましくは2秒以上であり、また、製造時間の短縮の観点から、5秒以下、より好ましくは4秒以下、更に好ましくは3.5秒以下である。
この冷却部240による冷却において、冷却部材243が樹脂成形品10に接触するとき、ステージ241と部材支持台242との間に介設されたパッキン244及びコイルスプリング247の作用により、初期接触から面接触に至るまでの間における冷却部材243の樹脂成形品10への接触時の衝撃が緩和され、それにより樹脂成形品10が冷却部材243から受ける接触衝撃の影響の低減を図ることができる。
ところで、図10A及びBに示すように、冷却部材243の上面243aが成形型220の天面部成形部223よりも小さく、平面視において、冷却部材243の上面243aが成形型220の天面部成形部223に含まれ、そのため冷却部材243が樹脂成形品10の平面部分である天面部12の内側の一部に接触する構成であってもよい。ここで、天面部12における冷却部材243の接触面積は、冷却効率を高めて製造時間を短縮する観点から、天面部12の面積の好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上である。但し、この場合、冷却部材243の上面243aの辺縁243bが樹脂成形品10の天面部12の内側に転写された痕が残る虞がある。しかしながら、本実施形態の樹脂成形品10の製造方法では、図9に示すように、冷却部材243の上面243aは成形型220の天面部成形部223よりも大きく、平面視において、冷却部材243の上面243aが成形型220の天面部成形部223を含んでおり、そのため冷却部材243が樹脂成形品10の平面部分である天面部12の内側の全面に接触すると共に、冷却部材243の上面243aの辺縁243bが樹脂成形品10に接触しないので、その辺縁243bが樹脂成形品10の天面部12の内側に転写された痕が残ることはなく、成形性の向上を図ることができる。なお、図11に示すように、冷却部材243の上面243aが成形型220の天面部成形部223と形状が一致した構成であってもよく、この場合も、冷却部材243の上面243aの辺縁243bが樹脂成形品10の天面部12の内側に転写された痕が残ることはないが、成形型220及び冷却部材243に高い加工精度が必要であり、加えて、冷却部材243を樹脂成形品10に接触させる際の高い操作精度も必要である。
また、本実施形態の樹脂成形品10の製造方法では、冷却部材243が樹脂成形品10の天面部12の内側に接触したとき、それ以外の部分に接触しないように形成されているので、それによって冷却部材243が余計な部分に接触し、その部分に大きな歪みが蓄積されて成形型220からの離型時に変形が生じるのを回避することができる。
最後に、図12に示すように、冷却部240を降下させて冷却部材243の樹脂成形品10への接触を解くと共に、成形型220を上昇させて成形型220から樹脂成形品10を離型し、その後、シートトランスファー部を稼働させて樹脂成形品10を下流側に移動させ、不要部分を切断除去して回収する。成形型220への熱成形シートの吸引開始から冷却部材243の樹脂成形品10の接触解除までの製造時間は、生産性の観点から、好ましくは13秒以内、より好ましくは10秒以内、更に好ましくは7秒以内である。
得られた樹脂成形品10を形成する樹脂組成物の結晶化度は、高耐熱性及び高弾性の観点から、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上であり、また、高弾性と可撓性との両立の観点から、好ましくは99%以下、より好ましくは98%以下、更に好ましくは95%以下である。本実施形態の樹脂成形品10の製造方法では、透明性に優れた樹脂成形品10を得ることができるが、樹脂成形品10の天面部12のヘイズ値は、透明性の観点から、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは4%以下である。ヘイズ値は、JISK7136に基づいて測定される。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、樹脂成形品10として、最大外径よりも深さが小さい容器の蓋部材を示したが、特にこれに限定されるものではなく、図13に示すように、最大外径よりも深さが大きいコップを構成する樹脂成形品10であってもよい。この場合、図14Aに示すように、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10における成形型220側と反対側、つまり、内側において、樹脂成形品10に含まれる凹凸を有さない平面部分である底面部15の少なくとも一部に成形型220との間で挟持するように冷却部材243を接触させて冷却してもよい。ここで、底面部15における冷却部材243の接触面積は、冷却効率を高めて製造時間を短縮する観点から、底面部15の面積の好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上である。また、図14Bに示すように、樹脂成形品10に含まれる凹凸を有さない最大の曲面部分である側面部13の少なくとも一部に成形型220との間で挟持するように冷却部材243を接触させて冷却してもよい。ここで、側面部13における冷却部材243の接触面積は、冷却効率を高めて製造時間を短縮する観点から、側面部13の面積の好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上である。
ここで、本実施形態の製造方法が好適である樹脂成形品は、最大外径をa及び深さをbとしたとき、a/bが、二次成形での離型性及び冷却効率の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは2.0以上、より更に好ましくは5.0以上、より更に好ましくは10以上であり、また、二次成形での成形性の観点から、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは100以下、より更に好ましくは50以下である。
上記実施形態では、樹脂成形品10に含まれる単一の平面部分に冷却部材243を接触させる構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、樹脂成形品10に含まれる複数の平面部分に冷却部材243を接触させる構成であってもよく、単一又は複数の曲面部分に冷却部材243を接触させる構成であってもよく、単一又は複数の平面部分と単一又は複数の曲面部分とに冷却部材243を接触させる構成であってもよい。
上記実施形態では、単一の冷却部材243を用いた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、複数の冷却部材を用いた構成であってもよい。
上記実施形態では、熱成形法のうちの真空成形法で樹脂成形品10を成形する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、圧空成形法で成形する構成であってもよい。
上記実施形態では、樹脂成形品10の冷却部材243が接触していない部分に対して冷却ガスを吹き付けて空冷する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、単に自然空冷する構成であってもよい。
上記実施形態では、樹脂成形品10を1個取り成形する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、多数個取り成形する構成であってもよい。
(ポリ乳酸樹脂組成物の調製)
二軸押出機(Parker社製 HK-25D)に、ベース樹脂のポリ乳酸(NatureWorks社製 ingeo biopolymer 4032D)を投入すると共に、ベース樹脂100質量部に対して、配合剤の可塑剤(大八化学工業社製 DAIFATTY-101)1.6質量部及び結晶核剤(日本化成社製 スリパックスH)0.5質量部を投入して溶融混練し、それをストランド状に押出成形したものをカットしてポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。混練条件は、回転数を100rpm及び溶融混練温度を190℃とした。得られたポリ乳酸樹脂組成物のペレットは、80℃の温度雰囲気下で12時間乾燥させることにより水分率を500ppmとした。
(一次成形:熱成形用シートの調製)
シート用ダイスを取り付けた二軸押出機(プラスチック工学研究所社製 単層シート成形装置 型式:BTN-32)に冷却ロール及び加熱ロールを付加して構成した押出シート成形機を用い、二軸押出機に、上記のポリ乳酸樹脂組成物のペレットを投入して混練し、それをダイスから幅50cmのシート状に押出成形したものを冷却ロールに接触させながら巻き取って熱成形用シートのシートロールを得た。押出成形条件は、二軸混練部のシリンダー温度を200℃(実測値)、ダイス(出口)温度を 190℃(実測値)、冷却ロールのロール温度を30℃、及び巻取速度(引き取り速度)を2m/minとした。なお、二軸混練部のシリンダー温度及びダイス(出口)温度は、接触式温度計を用いて実測した。
熱成形用シートのポリ乳酸樹脂の結晶化度は50%であった。また、熱成形用シートの厚さをマイクロメータ(ミツトヨ社製 MDC-25MJ)を用いて測定したところ250μmであった。
(二次成形:樹脂成形品の作製)
<実施例>
単発真空圧空成形装置(脇坂製作所社製 FVS-500P WAKITEC)のガイドに上記の熱成形用シートのシートロールを取り付け、上記実施形態における図1及び2に示したのと同様の蓋部材の樹脂成形品の真空成形を行った。
具体的には、まず、熱成形用シートを、ヒータ温度を300℃に設定したシート予熱部に14秒間保持してシート表面の温度が約80℃になるまで予熱した。
次いで、シートトランスファー部を稼働させて予熱した熱成形用シートを成形型の下方に移動させた。
続いて、成形型を降下させて熱成形用シートに近接させると共に、図15Aに示すように、5秒間の真空吸引を行うことにより熱成形用シートを成形型220の成形面221に沿うように賦形して樹脂成形品10を成形した。このとき、成形型220の成形面221の温度は115℃に設定した。
樹脂成形品10の成形後、成形型220の下方に上下可動に設けられた金属製の冷却部材243を上昇させ、図15Bに示すように、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10における成形型220側と反対側、つまり、内側において、樹脂成形品10に含まれる最大の平面部分である天面部12に成形型220との間で挟持するようにその冷却部材243を接触させて冷却した。また、樹脂成形品10の冷却部材243が接触していない部分を、冷却部材243に形成された口径3.0mmの冷却ガス噴出口248から温度23℃及び圧力0.1MPaの空気を吹き付けて空冷した。冷却時間は3秒とした。
そして、冷却終了と同時に、冷却部材243を降下させて樹脂成形品10への接触を解くと共に、成形型220を上昇させて成形型220から樹脂成形品10を離型して回収した。
<比較例1>
実施例と同様の樹脂成形品10の成形後、成形型220の下方に上下可動に設けられ成形型220に嵌合し且つ真空吸引機構を備えた金属製の冷却型250を上昇させ、図15Cに示すように、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10における成形型220側と反対側にその冷却型250を近接させて配置し、冷却型250による真空吸引を行って樹脂成形品10を成形型220側から冷却型250側に移動させ、0.5秒後に成形型220を上昇させると共に冷却型250を降下させ、冷却型250から樹脂成形品10を離型して回収した。
<比較例2>
真空吸引を12秒間行ったことを除いて実施例と同様に樹脂成形品10の成形を行った後、成形型220を上昇させて成形型220から樹脂成形品10を離型して回収した。
<比較例3>
実施例と同様に樹脂成形品10の成形を行った後、成形型220を上昇させて成形型220から樹脂成形品10を離型して回収した。
<比較例4>
実施例と同様に樹脂成形品10の成形を行った後、図15Dに示すように、成形型220の成形面221上に成形された樹脂成形品10の内側に、冷却ガス噴出ノズルNから空気を吹き付けて6秒間空冷した後、成形型220を上昇させて成形型220から樹脂成形品10を離型して回収した。
(評価方法)
<離型性>
実施例及び比較例1〜4のそれぞれについて、成形型又は冷却型からの樹脂成形品の離型の形態を目視観察した。そして、「1:樹脂成形品が変形する。」、「2:樹脂成形品の周辺が変形する。」、及び「3:変形が見られない。」の3段階評価を行った。数値が高いほど離型性に優れることを意味する。
<生産性>
実施例及び比較例1〜4のそれぞれについて、成形型で真空吸引して樹脂成形品を成形する成形時間とその後の冷却時間との和を製造時間として算出した。製造時間が短いほど生産性に優れることを意味する。
<透明性>
実施例及び比較例1〜4のそれぞれについて、得られた樹脂成形品の天面部から試験片を切り出し、JISK7136に基づいてヘイズ値を測定した。なお、測定には、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製 HM-150)を用いた。そして、「A:ヘイズ値が5%以下である。」及び「B:ヘイズ値が5%よりも大きい。」と評価を行った。評価がAであれば透明性に優れることを意味する。
<賦形性>
実施例及び比較例1〜4のそれぞれについて、得られた蓋部材の樹脂成形品に適合する市販の樹脂トレイを準備し、その樹脂トレイの上に300gの錘を載せ、樹脂成形品を上から被せて係合部を樹脂トレイの縁部に係合させた。次いで、それを水平な台の上に載せ、樹脂成形品の角部を上方に持ち上げた。そして、「A:樹脂トレイが樹脂成形品に追随した。」及び「B:樹脂トレイと樹脂成形品との間に隙間ができた。」と評価を行った。評価がAであればアンダーカットに相当する係合部での賦形性が優れることを意味する。
(評価結果)
評価結果を表1に示す。
Figure 0006629560
これによれば、実施例では、離型性、生産性、透明性、及び賦形性のいずれも優れることが分かる。それに対し、比較例1では賦形性、比較例2では生産性及び透明性、比較例3では離型性及び透明性、並びに比較例4では生産性及び透明性がそれぞれ劣ることが分かる。
本発明は、樹脂成形品の製造方法及びそれに用いる成形装置の技術分野において有用である。
10 樹脂成形品
12 天面部
15 底面部
20 成形装置
220 成形型
221 成形面
230 加熱部(加熱手段)
243 冷却部材
243b 辺縁
S 熱成形用シート

Claims (15)

  1. 結晶性のポリエステル系樹脂をベース樹脂の主成分とする樹脂組成物で形成された熱成形用シートを、成形型の成形面に沿わせることにより賦形して樹脂成形品を成形すると共に加熱してポリエステル系樹脂の結晶化度を高めた後、前記成形型の成形面上に成形された前記樹脂成形品における前記成形型側と反対側において、前記樹脂成形品に含まれる平面部分又は曲面部分の少なくとも一部に前記成形型との間で挟持するように冷却部材を接触させて冷却し、且つ前記冷却部材が接触していない部分を空冷する樹脂成形品の製造方法であって、
    前記冷却部材を、前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分に接触させたとき、前記冷却部材の辺縁が前記樹脂成形品に接触しない樹脂成形品の製造方法
  2. 前記冷却部材を接触させる前記樹脂成形品の平面部分が、前記樹脂成形品の天面部又は底面部である請求項1に記載された樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記冷却部材を接触させる前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分が、前記樹脂成形品に含まれる最大の平面部分又は曲面部分である請求項1又は2に記載された樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記冷却部材を、前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分の面積の50%以上に接触させる請求項1〜3のいずれかに記載された樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記冷却部材を、前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分に接触させたとき、前記平面部分又は曲面部分以外の部分に接触させない請求項1〜4のいずれかに記載された樹脂成形品の製造方法。
  6. 前記樹脂成形品の前記冷却部材が接触していない部分に対して冷却ガスを吹き付ける請求項1〜のいずれかに記載された樹脂成形品の製造方法。
  7. 前記結晶性のポリエステル系樹脂がポリ乳酸系樹脂である請求項1〜のいずれかに記載された樹脂成形品の製造方法。
  8. 熱成形用シートを沿わせることにより賦形して樹脂成形品を成形する成形面を有する成形型と、
    前記成形型の成形面を加熱する加熱手段と、
    前記成形型の成形面上に成形された樹脂成形品における前記成形型側と反対側において、前記樹脂成形品に含まれる平面部分又は曲面部分の少なくとも一部に前記成形型との間で挟持するように接触して冷却する冷却部材と、
    を備え、
    前記成形型の成形面上に成形された樹脂成形品における前記成形型側と反対側において、前記樹脂成形品の前記冷却部材が接触していない部分を空冷するように構成された樹脂成形品の成形装置。
  9. 前記冷却部材が接触する前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分が、前記樹脂成形品に含まれる最大の平面部分又は曲面部分である請求項に記載された成形装置。
  10. 前記冷却部材は、前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分の面積の50%以上に接触するように形成されている請求項又はに記載された成形装置。
  11. 前記冷却部材は、前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分に接触したとき、前記平面部分又は曲面部分以外の部分に接触しないように形成されている請求項10のいずれかに記載された成形装置。
  12. 前記冷却部材は、前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分に接触したとき、前記冷却部材の辺縁が前記樹脂成形品に接触しないように形成されている請求項11のいずれかに記載された成形装置。
  13. 前記樹脂成形品の前記冷却部材が接触していない部分に対して冷却ガスを吹き付けるガス吹付手段を更に備えた請求項12のいずれかに記載された成形装置。
  14. 前記ガス吹付手段が前記冷却部材に設けられている請求項13に記載された成形装置。
  15. 前記冷却部材の前記樹脂成形品の平面部分又は曲面部分への接触時の衝撃を緩和させる緩衝手段を有する請求項14のいずれかに記載された成形装置。
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