JP6628059B2 - ミノキシジル含有外用剤 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、ミノキシジルを含有する外用剤に関する。
ミノキシジルは、化学名を6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキサイドと称し、外用により、発毛、育毛、又は、養毛など(以下、育毛等という)の効果が得られることが知られており、米国特許第4139619号等に育毛剤としての適応が開示されている。そして、近年では、育毛等を目的として、ミノキシジルを含有する外用剤が一般に広く使用され、ミノキシジルを含有する種々の外用組成物も提案されている。
ミノキシジル1%を含有する液剤は「壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛の進行予防の効能効果」で一般用医薬品として使用されており、また、ミノキシジル2%を含有する液剤が世界各国で一般用医薬品(OTC)として承認されている。近年では、ミノキシジル5%を含有する液剤も育毛等の効能効果が更に高められたものとして主要国等で一般医薬品として承認され広く使用されている。
一般に、ミノキシジルを含有する外用剤を頭皮に塗布することにより、育毛等に有効なミノキシジル等の成分が頭皮の真皮内に浸透して、真皮内の毛根を包み毛髪の成長をつかさどる毛包に直接に作用して、頭髪の育毛等を促進する作用を奏することが知られている。
育毛等の有効成分としてのミノキシジルを真皮内に浸透して頭髪の育毛等を促進するための方策として、様々な提案がなされている。
特開昭63−150211(特許文献1)には、ミノキシジルにグリセリンとプロピレングリコールの双方の多価アルコールを添加した外用剤が開示され、ミノキシジルの経皮吸収率が高まり、ミノキシジルの配合量を少なくすることができることが開示されている。
特開平11−349451(特許文献2)には、揮発性溶媒(エチルアルコールまたはイソプロピルアルコール)50〜99V/V%、水、多価アルコール(ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、および分子量200〜600のポリエチレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上)、pH調節剤、およびミノキシジルからなる育毛剤であって、これにより保管安定性を確保しつつ、頭皮への投与時におけるミノキシジルの毛乳頭への選択的に吸収性に優れる育毛剤を提供できることが開示されている。
特開2015−101557(特許文献3)には、ミノキシジル誘導体に、プラセンタエキス、酒粕エキス、イワベンケイ根エキスのうちの1以上の成分を加えてなる育毛剤であって、頭皮への浸透性を高め、経皮吸収の改善、促進が図られることが開示されている。
再表2014/006983(特許文献4)には、ミノキシジル等の育毛成分とサリチル酸誘導体とメントール等の清涼剤とエタノールと精製水とを含有し、経皮吸収促進剤としてポリエチレングリコール、ジイソプロピルアジペート、レシチン、乳酸エステル類、モノカプリル酸の中鎖脂肪酸グリセリド類などを含有する育毛剤が開示されている。
他方、育毛等の効果を奏する外用剤として、ユーカリ油を含有する種々の外用剤が提案されている。
特開2005−206536(特許文献5)には、(A)ユーカリエキス、(B)多価アルコール、(C)血行促進剤、(D)毛包賦活剤、(E)極性油剤を含有する育毛剤組成物が提案され、育毛効果が高く、頭皮に対する刺激が低く、かつ製剤の経時的安定性にも優れる育毛剤が開示されている。
また、特開2006−143640(特許文献6)にはユーカリエキス0.0001〜0.5重量%を含有する養毛・育毛量が提案され、特開2008−208117(特許文献7)には、ユーカリエキス0.00001〜1質量%を含有する育毛剤組成物が提案されている。
特開昭63−150211 特開平11−349451 特開2015−101557 再表2014/006983 特開2005−206536 特開2006−143640 特開2008−208117
ミノキシジルを含有する外用剤において、上記従来技術のように、ミノキシジルの皮膚吸収性を向上させる種々の提案が開示されているが、しかしながら、ミノキシジルの皮膚吸収性が充分であるとは言い難く、ミノキシジルの皮膚吸収性を更に高めたミノキシジル含有外用剤が要求されている。
本発明は、ミノキシジルを含有する外用剤において、ミノキシジルの皮膚浸透性を高め、皮膚浸透の改善及び/又は促進等の皮膚浸透性促進効果を期待できるミノキシジル含有外用剤を提供する。
なお、本発明において、「溶媒」と「溶剤」という語句は、互いに同じ意味であって、「他の固体又は液状物を溶解する液体」を意味する。「液剤」は、「他の固体又は液状物が溶媒又は溶剤に溶解された状態の液状剤」を意味する。また、「澄明」という語句は、「透明」と類似する液剤の状態を意味し、濁り、懸濁、析出固体などの現象が認められない状態を意味する。また、作用効果における「浸透促進」という語句は「透過促進」と類似の作用効果を意味する。
本発明のミノキシジル含有外用剤は、溶媒と、前記溶媒に溶解されたミノキシジルと、を含有する外用剤であって、さらに、ミノキシジルの皮膚浸透性を促進する皮膚浸透促進剤を含有し、前記皮膚浸透促進剤がラウロマクロゴールであり、該ラウロマクロゴールが前記溶媒に溶解されてなる、ことを特徴とする。
本発明において、前記皮膚浸透促進剤がラウロマクロゴールとベンジルアルコールとの双方を含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
本発明において、前記溶媒が多価アルコールと低級アルコールのうちの少なくとも一つを含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
本発明において、前記溶媒としては、多価アルコールと低級アルコールの双方を含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
本発明において、さらに、水を含有してなるミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
本発明の構成により、ミノキシジルを含有する外用剤において、人体皮膚に類似の人工皮膚膜に塗布した場合に、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性を高め、人工皮膚膜透過の改善及び/又は人工皮膚膜透過の促進等の人工皮膚膜透過性促進効果を奏するミノキシジル含有外用剤が得られる。すなわち、本発明の構成のミノキシジルを含有する外用剤を人体皮膚に塗布した場合に、ミノキシジルの皮膚浸透性を高め、皮膚浸透の改善及び/又は皮膚浸透の促進等のミノキシジルの皮膚浸透性促進効果を期待できるミノキシジル含有外用剤が得られる。
本発明のミノキシジル含有外用剤は、溶媒と、前記溶媒に溶解されたミノキシジルと、を含有する外用剤であって、さらに、ミノキシジルの皮膚浸透性を促進する皮膚浸透促進剤を含有し、前記皮膚浸透促進剤がラウロマクロゴールであることを特徴とする。
[ミノキシジルについて]
ミノキシジルの物性は、THE MERCK INDEX 第13版によると、融点248℃、プロピレングリコールへの溶解性75mg/ml、エタノールへの溶解性29mg/ml、2−プロパノールへの溶解性6.7mg/ml、水への溶解性2.2mg/ml(但し、グリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等への溶解性は記載されていない)、の性質を有する固体である。すなわち、ミノキシジルは、エタノールに29mg/ml程度の溶解性を有し、水にはわずかに溶ける程度である。
本発明のミノキシジル含有外用剤においては、ミノキシジルの含有割合は、特に限定されないが、例えば、組成物の全量に対して0.2重量%〜10重量%の範囲が望ましく、さらに望ましくは、0.5重量%〜8重量%の範囲である。
前述の公知文献により、この範囲内のミノキシジルを含有する外用剤は、優れた脱毛予防、育毛、発毛等の効果を奏することが知られている。ミノキシジルの含有割合が少なくなるに従って、育毛等の効果が低下する傾向にある。
ミノキシジルの含有割合が0.2重量%未満の外用剤の場合には、育毛等の効果が低下していく傾向があり、ミノキシジルの含有割合が10重量%を超える外用剤の場合には、人体に悪影響を及ぼす副作用が発生することが予想される。
このような観点において、本発明においては、望ましいミノキシジルの含有割合は0.2重量%〜10重量%の範囲である。
皮膚浸透促進剤としてラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤が実施可能である。
皮膚浸透促進剤としてラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤は、ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤と比べて、ミノキシジルの皮膚浸透性を高め、皮膚浸透の改善及び/又は皮膚浸透の促進等の皮膚浸透促進作用効果が期待できる。
[ラウロマクロゴールについて]
ラウロマクロゴールは、ラウリルアルコールに酸化エチレンを付加重合させて得られる化学構造を有し、ポリオキシエチレンラウリルエーテルとも呼ばれ、付加重合された酸化エチレン基(ポリオキシエチレン基とも言う)の付加モル数により、数種類のラウロマクロゴールが製品化されて入手できる。例えば、2モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(化粧品成分表示名称:ラウレス−2)、約4モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(化粧品成分表示名称:ラウレス−4)、6モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(化粧品成分表示名称:ラウレス−6)、9モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(化粧品成分表示名称:ラウレス−9)、21モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(化粧品成分表示名称:ラウレス−21)、25モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(化粧品成分表示名称:ラウレス−25)等がある。
酸化エチレン基の付加モル数の増大に伴って、無色又は微黄色の透明な液体、半流動性液体、ワセリン状又はロウ状の半固形を有する物質となる。例えば、常温において、2〜7モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴールは液状を呈し、9モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴールは液状〜半流動性を有する液状を呈する。21モル〜25モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴールはワセリン状又はロウ状の半固形を有する物質となり、昇温により液状を有するようになる。
本発明に含有されるラウロマクロゴールの種類としては、特に限定されなく、上記の種々のラウロマクロゴールが実施可能である。9モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール、2モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール、及び、25モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴールについて、その人工皮膚膜透過性促進効果の有効性を確認している。本実験結果から、その他の酸化エチレン基のモル数を有するラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤も、人工皮膚膜透過性促進効果を有することが想到される。
酸化エチレン基の付加モル数に関連なくラウロマクロゴールはエタノール又はイソプロピルアルコール等の低級アルコールに極めて溶けやすい。
約9モル以下の酸化エチレン基を有するラウロマクロゴールは水に溶けやすく、10モル以上の酸化エチレン基を有するラウロマクロゴールはモル数が多くなるに従って、水への溶解性が低下していく傾向がある。
ラウロマクロゴールの多価アルコールに対する溶解性の公知資料は見付からなかったが、発明者らの実験によれば、液状〜半流動性の1gのラウロマクロゴール(9モルの酸化エチレン基を含有するポリオキシエチレンラウリルエーテル:ラウレス−9)は、常温で、グリセリン、プロピレングリコール又は1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールの10gに溶解することを確認している。
液状〜半流動性の1gのラウロマクロゴール(ラウレス−9)は、常温で、8gの多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール)と2gの低級アルコール(エタノール又はイソプロピルアルコール)とを混合して粘性を低くした混合溶媒に容易に溶解することを確認している。
半固形状の1gのラウロマクロゴール(25モルの酸化エチレン基を含有するポリオキシエチレンラウリルエーテル:ラウレス−25)は、約50℃に昇温状態で、グリセリン、プロピレングリコール又は1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールの10gに容易に溶解することを確認している。
ラウロマクロゴールの人体に与える副作用としては、特別なものは知られていない。
望ましくは、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールの含有量が、組成物の全量に対して、0.2〜10重量%であり、より望ましくは、0.5〜8重量%である。
ラウロマクロゴールの含有量が、組成物の全量に対して、0.2重量%未満の場合には、ミノキシジルの皮膚透過を促進する効果が充分に発揮されない傾向がある。ラウロマクロゴールの含有量が、0.2重量%を超えて多くなるに従ってミノキシジルの皮膚透過促進作用は増加していく傾向にある。ラウロマクロゴールの含有量が、約6重量%を超えて多くなるに従って、そのミノキシジルの皮膚透過促進作用は緩やかな増加傾向になる。
ラウロマクロゴールの人体に与える副作用としては、特別なものは知られていないが、一般的に、何らかの副作用の観点において、ラウロマクロゴール含有量は、できる限り少量の添加含有が望ましく、約10重量%以下の含有量が望ましい。特に、ラウロマクロゴール含有量が約6重量%を超える場合には、上記のラウロマクロゴール含有量に比例したミノキシジル皮膚透過促進作用の比例増加が穏やかな増加になることが想到されるために、約10重量%以下の含有量において充分なミノキシジル皮膚透過促進作用を奏することが期待できる。
[ラウロマクロゴールと、更にベンジルアルコールとの双方を含む皮膚浸透促進剤について]
本発明において、皮膚浸透促進剤が、ラウロマクロゴールに加えて、更にベンジルアルコールとの双方を含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
皮膚浸透促進剤としてラウロマクロゴールに加えてベンジルアルコールとの双方を含有するミノキシジル含有外用剤は、ラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤、又は、ベンジルアルコールのみを含有するミノキシジル含有外用剤と比較して、人工皮膚膜に塗布後、約1〜3時間後の短時間経過後におけるミノキシジル透過量が増加し、優れた人工皮膚膜透過促進作用効果を奏する。すなわち、ラウロマクロゴールと、更にベンジルアルコールとの双方の皮膚浸透促進剤を含有するミノキシジル含有外用剤は、皮膚に塗布後の短時間経過後のミノキシジルの皮膚浸透性を高め、1〜3時間後の短時間経過後のミノキシジル透過量の増加促進作用効果が期待できる。
ベンジルアルコールは、フェニルメタノールとも命名され、沸点205℃で、融点−15℃、の常温で無色の液体であり、エタノールと相溶性、混和性を有し、水にはやや溶けやすい性質を有する。
ベンジルアルコールは、その濃度や量に依存して、皮膚に付着した場合には、皮膚をやや刺激する性質があり、また、人によっては、その濃度に依存してアレルギー性接触皮膚炎が生じると言われている。従って、一般的に、このような副作用の観点において、できる限り少量の添加含有が望ましい。
皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールに加えてベンジルアルコールを含むミノキシジル含有外用剤において、ラウロマクロゴールが0.2〜10重量%を含有し、ベンジルアルコールが0.1〜1.0重量%を含有するとともに、ラウロマクロゴールがベンジルアルコールよりも多く含有するミノキシジル含有外用剤が望ましい。
ラウロマクロゴールの含有量が、組成物の全量に対して、0.2重量%未満の場合には、ミノキシジルの皮膚透過を促進する効果が充分に発揮されない傾向がある。ラウロマクロゴールの含有量が、0.2重量%を超えて多くなるに従ってミノキシジルの皮膚透過促進作用は増加していく傾向にある。ラウロマクロゴールの含有量が、約6重量%を超えて多く含有する場合には、上記のラウロマクロゴール含有量に比例したミノキシジル皮膚透過促進作用の比例増加が穏やかな増加になることが想到されるために約10重量%以下の含有量において充分なミノキシジル皮膚透過促進作用を奏することが期待できる。ラウロマクロゴールの人体に与える副作用としては、特別なものは知られていないが、一般的に、何らかの副作用の観点において、できる限り少量の添加含有が望ましい。
ラウロマクロゴールに添加含有するベンジルアルコールの含有量が、組成物の全量に対して、0.1重量%未満の場合には、ミノキシジルの人工皮膚膜塗布後の短時間経過後の浸透性を促進する効果が著しく発揮されない傾向がある。ベンジルアルコールの含有量がラウロマクロゴール含有量よりも多い場合には、ミノキシジルの人工皮膚膜塗布後の短時間経過後の浸透性を促進する効果が少なくなる傾向があり、また、ベンジルアルコールの含有量が1.0重量%を超える場合、人体皮膚に塗布した場合の皮膚アレルギーの発症が懸念され、ベンジルアルコールの含有量はできる限り少量の添加含有が望ましい。
[ラウロマクロゴールと、更にグリセリンとの双方を含む皮膚浸透促進剤について]
本発明において、皮膚浸透促進剤がラウロマクロゴールであり、更に、皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
皮膚浸透促進剤としてラウロマクロゴールに加えて、更に皮膚浸透促進剤助剤としてグリセリンを含有するミノキシジル含有外用剤は、ラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤、又は、ラウロマクロゴールを含まなくグリセリンのみを含有するミノキシジル含有外用剤と比較して、優れた人工皮膚膜透過促進作用効果を奏する。すなわち、ラウロマクロゴールと、更に皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有するミノキシジル含有外用剤は、ミノキシジルの皮膚浸透性を高め、皮膚浸透の改善及び/又は皮膚浸透の促進等の皮膚浸透促進作用効果が期待できる。
[ミノキシジルを溶解可能な溶媒について]
ミノキシジルを溶解可能な溶媒が多価アルコールと低級アルコールのうちの少なくとも一つであるミノキシジル含有外用剤が実施できる。
すなわち、ミノキシジルを溶解可能な溶媒としては、多価アルコール、又は、低級アルコール、又は、多価アルコールと低級アルコールとの双方を有する混合溶媒が使用できる。
多価アルコール及び/又は低級アルコールは、ミノキシジルを溶解可能であるとともに、ラウロマクロゴールやベンジルアルコール等の皮膚浸透促進剤と混和又は溶解する性質を有する。
[多価アルコールについて]
本発明のミノキシジル含有外用剤において、ミノキシジルを溶解可能な溶媒としての多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、からなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールが実施できる。
グリセリンは、第十五改正日本薬局方の記載によると、グリセロール又はプロパン−1,2,3−トリオールと呼ばれる無色澄明の粘性の液体で、水又はエタノールと混和する甘味のある吸湿性のある液体である。また、前述の化粧品原料辞典に記載されているように、グリセリンは、無色無臭、シロップ状の液体であり、沸点約290℃、融点約18℃、粘度945cp(25℃)であり、水、アルコールには任意の割合で混和する。化粧品分野では、皮膚の保湿剤、皮膚の柔軟剤、製品の滑りや延びを向上する目的として、化粧品に使用されている。ミノキシジルのグリセリンへの溶解性に関する公知データは見付からなかったが、発明者らの実験により、25℃室温ではグリセリンの粘度粘性が大きいためにミノキシジルはグリセリンに短時間に容易に溶解しなかったが、約50℃の加温した10gのグリセリンに1gのミノキシジルが短時間に完全に溶解することを確認した。また、そのミノキシジル溶液を約4℃の雰囲気で5日間保管してもミノキシジルの結晶析出が認められないことを確認した。すなわち、グリセリンはミノキシジルを溶解可能であることを確認した。
なお、グリセリンは、ミノキシジルを溶解する溶媒としての機能と、前述のラウロマクロゴールとの併用による皮膚浸透促進剤助剤としての機能と、の双方の機能を有する。
プロピレングリコールは、常温でやや粘性を有する無色透明であり、沸点約188℃、融点約−59℃、粘度56cp(20℃)であり、水、エタノールに混和、可溶である性質を有する。ミノキシジルのプロピレングリコールへの溶解性は75mg/ml(THE MERCK INDEX 第13版)であり、プロピレングリコールはミノキシジルを溶解可能である。
1,3−ブチレングリコールは、常温で粘性を有する無色透明であり、沸点約207℃、明確な融点は不明であるが約−50℃、粘度104cp(25℃)、水、エタノールに混和、可溶である性質を有する。グリセリンよりもさらっとした使用感があり、ベタツキも少ないと言われている。ミノキシジルのブチレングリコールへの溶解性に関する公知データは見付からなかったが、発明者らの実験により、常温において、1gのミノキシジルは10gの1,3−ブチレングリコールに溶解可能であった。また、そのミノキシジル溶液を約4℃の雰囲気で5日間保管してもミノキシジルの結晶析出が認められないことを確認した。すなわち、1,3−ブチレングリコールはミノキシジルを溶解可能であることを確認した。
ジプロピレングリコールは、常温で粘性を有する無色であり、沸点232℃、融点約−40℃であり、水、エタノールに混和、可溶である性質を有する。ミノキシジルのジプロピレングリコールへの溶解性に関する公知データは見付からなかったが、発明者らの実験により、約50℃において、1gのミノキシジルは10gのジプロピレングリコールに溶解可能であり、また、そのミノキシジル溶液を約4℃の雰囲気で5日間保管してもミノキシジルの結晶析出が認められないことを確認した。すなわち、ジプロピレングリコールはミノキシジルを溶解可能であることを確認した。
多価アルコールは、一般に、100℃以上の沸点を有し、沸点が高い。従って、多価アルコール中に溶解したミノキシジル含有外用剤が人体皮膚に塗布されたとき、多価アルコールの蒸発が著しく抑制されて、多価アルコール中に溶解されているミノキシジルの溶解持続が維持されて(多価アルコール中に溶解されているミノキシジルの析出が抑制され)、溶解されているミノキシジルの皮膚浸透が長時間にわたって持続する性質を有する。
多価アルコールは、低級アルコールに比べて粘度が著しく高く、そのために、常温ではミノキシジルを溶解するためには長時間を必要とし、又は、約50℃以下の昇温状態で粘度を下げて溶解し易くする必要があるが、しかしながら、約60℃を超える高温ではミノキシジルが劣化しやすい傾向があり、注意を要する。
[低級アルコールについて]
本発明のミノキシジル含有外用剤において、ミノキシジルを溶解可能な溶媒としての低級アルコールとしては、エタノールとプロピルアルコールのうちの少なくとも一つが実施できる。
エタノールは、化粧料等の外用剤の溶媒・溶剤として広く使用されている。エタノールは、ミノキシジルを29mg/mlの割合で溶解できる性質を有する(前述のTHE MERCK INDEXに記載)。第十五改正日本薬局方(日本公書協会編集、平成18年4月25日株式会社じほう発行)に記載されているように、エタノールは、無色澄明の液であり、沸点78〜79℃であって、水とは混和する性質を有する。また、エタノールは、水が存在すると殺菌性を奏する作用がある化粧品原料辞典(中央印刷株式会社、平成3年11月29日発行)。なお、無水エタノールに替えて、エタノールと水とより成る薄められた約95%体積エタノールも使用可能である。
プロピルアルコールとしては、2−プロパノール、又は、1−プロパノールが使用できる。
2−プロパノールは、イソプロピルアルコール、プロパン−2−オール、sec−プロピルアルコールとも命名され、沸点約82℃、融点約−90℃、粘度1.77mPas(30℃)の常温で無色の液体であり、多価アルコールを任意の割合で互いに混和して、混合媒体とすることができる。
1−プロパノールは、沸点約98℃、融点約−126℃、粘度約1.94mPas(30℃)の常温で無色の液体であり、多価アルコールと任意の割合で互いに混和して、混合媒体として使用することができる。
低級アルコールの含有量は、製造時においてミノキシジルを溶解できるとともに、人体皮膚に塗布時においてもミノキシジルの析出が生じない程度の含有が望ましい。
エタノールやプロピルアルコールなどの低級アルコールは、一般に、沸点が多価アルコールよりも低く、約80℃以下である。従って、低級アルコール中に溶解したミノキシジル含有外用剤が人体皮膚に塗布されたとき、低級アルコールが蒸発して、低級アルコール中に溶解されているミノキシジルの一部が析出しやすい傾向があり、その結果、析出したミノキシジルに相当する皮膚浸透性が抑制され、充分な皮膚浸透効果が損なわれる傾向にある。従って、人体皮膚に塗布時においてもミノキシジルの析出が生じない程度の含有が望ましい。
本発明において、ミノキシジルを溶解可能な溶媒としては、多価アルコールと低級アルコールの双方の溶媒を含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
多価アルコールは、ミノキシジルを高濃度で溶解できる性質を有するが、しかしながら、粘性が低級アルコールに比べて高く、例えば、グリセリンやジプロピレングリコール等の比較的に高い粘性を有する多価アルコールにミノキシジルを溶解させるためには、長時間を要する傾向がある。これに対して、比較的に高い粘度・粘性を有する多価アルコールと、比較的低い粘度・粘性を有する低級アルコールとを混合した混合溶媒は、多価アルコールの単独よりも低い粘度・粘度を有するようになり、容易に、ミノキシジルを溶解したミノキシジル含有外用剤を得ることが可能となる。すなわち、粘度の高い多価アルコールに粘度の低いエタノールを添加した混合溶媒は、粘度が低くなり、ミノキシジルを常温においても容易に溶解できる。
さらに、多価アルコールと低級アルコールの双方の溶媒を含有するミノキシジル含有外用剤が人体皮膚に塗布されたとき、低級アルコールが蒸発した時においても、多価アルコールが残存していることにより溶媒中に溶解されているミノキシジルの溶解持続が維持されて、溶解されているミノキシジルの皮膚浸透が長時間にわたって持続する性質を有する。
[水について]
本発明の外用剤において、多価アルコールと低級アルコールのうちの少なくとも一つの溶媒に加えて、さらに、水を含有してなるミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
水としては、特に限定されないが、精製水が望ましい。精製水として、例えば、局方の常水を、蒸留により精製した精製水、イオン交換樹脂を通して精製した精製水、又は、超ろ過により精製した精製水が望ましい。「精製水」は「純水」とも呼ばれる。前述の化粧品原料辞典には、「精製水は、無色透明で、におい(匂い又は臭い)が無く、味も無く、pHが5.0〜7.0の液体である」が記載されている。また、水は人体に優しく、人体皮膚に塗布した場合、保湿作用を奏する。また、エタノール等の低級アルコール等の可燃性液体と一緒に含有する組成物において燃焼を抑制する作用も奏する。
水は、多価アルコール及び/又は低級アルコールに任意の割合で、互いに混和して、澄明な混合媒体を得ることができる。
前述したように、ミノキシジルは、融点248℃の常温で固形状を有し、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコールには所定の割合で溶解可能であり、エタノール、プロピルアルコールにも所定の割合で溶解可能であるが、水に対して、わずかに溶ける程度である(水への溶解度は約2.2mg/ml)。
水は、所定の割合の多価アルコールと混合することにより、粘度・粘性を低下した混合媒体を得ることができる利点がある。しかしながら、水の含有割合が多くなりすぎる場合には、ミノキシジルが完全に溶解されない、又は、保存中に、ミノキシジルが析出してくる傾向があり、その結果、溶解しているミノキシジルの含有率が低下して、ミノキシジルの皮膚浸透性が低下する等の不具合が生じる場合がある。従って、ミノキシジルが完全に溶解されるとともに、保存中にミノキシジルが析出してこない範囲の水の添加含有が望ましく実施できる。
[ミノキシジル、皮膚浸透促進剤、多価アルコール、低級アルコール、水とを含有する澄明又は透明の液状のミノキシジル含有外用剤について]
本発明のミノキシジル含有外用剤においてミノキシジル含有外用剤に含有されるそれぞれの含有割合としては、特に限定されないが、例えば、少なくとも、ミノキシジルと、多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び、ジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコール)と、
低級アルコール(エタノールとプロピルアルコールのうちの少なくとも一つの低級アルコール)と、水と、皮膚浸透促進剤(ラウロマクロゴールとベンジルアルコールとの双方の皮膚浸透促進剤)、を含有してなるミノキシジル含有外用剤、が実施可能である。
例えば、多価アルコールとしてはグリセリンを含有し、低級アルコールとしてはエタノールを含有するミノキシジル含有外用剤であって、ラウロマクロゴール等の皮膚浸透促進剤とミノキシジルとを、グリセリン等の多価アルコール及び/又はエタノールなどの低級アルコールに溶解した溶液に、溶解しているミノキシジルが析出しない割合の水を添加して、皮膚浸透促進剤とミノキシジルとが溶解して含有されたミノキシジル含有剤が実施可能である。
また、ミノキシジルが溶媒に完全溶解されるととともに、低温に保管時の溶解されているミノキシジルの結晶析出が抑制され、また、人体皮膚に塗布した時における多価アルコールの粘性に起因するベタツキ感等の不快感の発生が抑制され、更に、使用取扱い時における低級アルコールの蒸発に起因する引火・燃焼の発生が抑制される、等の、実用上の状態を勘案して不都合のない含有割合を有するミノキシジル含有外用剤が実施できる。
ミノキシジル含有外用剤に含有されるそれぞれの含有割合としては、ミノキシジルと皮膚浸透促進剤とが溶媒に溶解された澄明な液状の状態を有するミノキシジル含有外用剤の一実施例として、例えば、ミノキシジル0.3〜10重量%と皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴール0.2〜10重量%を含有してなるミノキシジル含有外用剤において、溶媒としての、多価アルコール10〜35重量%と、低級アルコール30〜60重量%と、水10〜40重量%とを含有してなるミノキシジル含有外用剤が実施できる。
前述のように、ミノキシジルは、多価アルコール及び低級アルコールに溶解されやすく、水には僅かに溶解される性質を有し、ミノキシジルが溶解されたミノキシジル含有外用剤を得るために、上記の含有割合の混合溶媒が望ましい。
多価アルコールが10重量%未満の場合には、低級アルコールや水の含有量の如何によっては、ミノキシジルを完全に溶解できない場合がある。多価アルコールが35重量%を超える場合には、低級アルコールや水の含有量の如何によっては、低級アルコールの蒸発により高沸点・高粘性を有する多価アルコールの残存割合が増す結果、ベタツキ感が多く発生する、などの傾向がある。
低級アルコールが30重量%未満の場合には、多価アルコールの種類や水の含有量の如何によっては、粘度の高い多価アルコールの使用時には常温におけるミノキシジルの溶解に長時間を要し、又は、ミノキシジルを完全に溶解できない場合がある。低級アルコールが60重量%を超える場合には、人体皮膚に塗布時に、引火しやすく火災発生に注意を有し、また、多価アルコールや水の含有量の如何によっては、人体皮膚に塗布した時に、低級アルコールの蒸発によりミ溶解されているノキシジルの結晶が析出する傾向がある。
水が10重量%未満の場合には、多価アルコールや低級アルコールの含有量の如何によっては、人体皮膚に塗布時に、低級アルコールの蒸発により多価アルコールの粘性に起因してベタツキ感などの不快感が生じる傾向がある。水が40重量%を超える場合には、多価アルコールや低級アルコール含有量の如何によっては、ミノキシジルが完全に溶解されない傾向がある。
なお、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールは、前述のように、多価アルコール、低級アルコールなどに溶解されやすく、水にも所定の割合で溶解でき、ミノキシジルが溶解できる混合溶媒においては、ラウロマクロゴールも容易に溶解されたミノキシジル含有外用剤が得られる。
[追加含有される他の含有成分について]
本ミノキシジル含有外用剤において、さらに、ユーカリ油、l−メントール、pH調節剤、変色防止剤、などを添加含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能である。
ユーカリ油は育毛補助剤又は香料としての機能を奏する。l−メントールは清涼化剤としての機能を奏する。
[ユーカリ油についての説明]
前述の第十五改正日本薬局方の記載によると、ユーカリ油は、無色〜微黄色で、特異な芳香を有し、中性の液であり、薄めたエタノールに澄明に混和する。また、ユーカリ油を含有する外用剤は育毛等の効果を奏することが一般に知られている。また、予備実験によると、ユーカリ油は、水に溶け難く、水とは分離する性質を有する。
本発明の、ミノキシジル含有外用剤において、さらに、ユーカリ油を含有する外用剤も実施可能である。ユーカリ油の含有量は特に限定されないが、例えば、外用剤の組成物の全量に対して、0.001〜1重量%のユーカリ油を含有する外用剤が実施可能であり、特に望ましくは、0.01〜0.1重量%のユーカリ油を含有する外用剤が更に望ましい。
ミノキシジルがグリセリン・エタノール・水の混合液剤に均一に溶解されて混合されてなる外用剤において、ユーカリ油を含有せしめた外用剤においても、ユーカリ油は分離することなく、均一に混和された外用剤が得られる。
ミノキシジルに加えて、更にユーカリ油を含有する外用剤において、「外用剤を人体に塗布した時に、特異な芳香を発散して、使用感を向上する」という作用効果が得られる。また、発明者による実験では確認していないが、公知文献から明らかのように、約0.001〜約1重量%程度のユーカリ油を含有する外用剤は育毛等の作用を奏することが知られており、ミノキシジルによる育毛等の作用に加えて、ユーカリ油による育毛等の作用をも発揮することが期待される。
ユーカリ油の含有量が0.001重量%未満の場合には、上記の「人体に塗布した時に、特異な芳香の発散による使用感の向上、及び/又は育毛促進助剤」という作用効果が十分に得られなくなる傾向がある。
ユーカリ油の含有量が1重量%を超える場合には、外用剤を人体に塗布した時に、ユーカリ油に起因する特異な芳香の強度が著しく強くなり、使用する人によっては不快感を感じる等の弊害を生じる傾向がある。
[l−メントールについての説明]
第十五改正日本薬局方の記載によると、l−メントールは無色の結晶で、エタノールに極めて溶けやすく、水に溶けにくく、室温で徐々に昇華する性質を有する。
ミノキシジルが溶媒に溶解されて混合されてなる外用剤において、さらに、l−メントールを含有する外用剤が実施可能である。l−メントールの含有量は、特に限定されないが、例えば、外用剤の組成物の全量に対して、0.001〜1重量%のl−メントールを含有する外用剤が実施可能であり、特に望ましくは、0.01〜0.1重量%のl−メントールを含有する外用剤が更に望ましい。
これにより、(効果リ)外用剤を人体に塗布した時に、爽快感、清涼感などの使用感を向上する」という作用効果が得られる。また、溶媒に均一に溶解されて混合されてなるミノキシジル含有外用剤において、0.001〜1重量%程度のl−メントールを添加混合した時に、l−メントールは容易に溶媒に完全に溶解した状態を有する外用剤が得られる。
l−メントールの含有量が0.001重量%未満の場合には、上記の「人体に塗布した時に、爽快感、清涼感などの使用感を向上する」」という作用効果が十分に得られなく、その効果が低下する傾向にある。
l−メントールの含有量が1重量%を超える場合には、外用剤を人体に塗布した時に、l−メントールに起因して皮膚に対して刺激感を強く感じる傾向があり、使用する人によっては逆に不快感を感じる等の弊害を生じる場合がある。
[変色防止剤についての説明]
ミノキシジルが溶媒に溶解されてなるミノキシジル含有外用剤において、長期間、その外用剤を保管した場合、外用剤が黄色〜褐色に変色する傾向がある。変色の原因としては、溶解されているミノキシジルの何らかの劣化に起因することが想到される。
本発明の、ミノキシジルが溶媒に溶解されて混合されてなる外用剤において、さらに、変色防止剤を含有する外用剤が実施可能である。変色防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ベンゾトリアゾール、グルコノラクトン、チモール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及び、ポリソルベートからなる群から選ばれる少なくとも一つが実施できる。
変色防止剤の含有量は、特に限定されないが、変色防止剤の種類によって変動し、例えば、組成物の全量に対して、0.05〜2.0重量%が実施可能であり、更に望ましくは、0.1〜1.0重量%である。変色防止剤の含有量が0.05重量%未満の場合は、外用剤の変色・変色を抑制する効果が少なくなる傾向がある。変色防止剤の含有量が2.0重量%を超える場合は、使用する変色防止剤の種類によっては、人体に有害な副作用が生じる場合がある。従って、変色防止剤の含有量は変色防止効果を発揮できる最少含有量に設定することが望ましい。
[pH調節剤についての説明]
一般に、人体の皮膚(肌、皮膚膜)のpHは約4.5〜約6.5の弱酸性であり、健康な皮膚のpHは約5.5前後であり、また、人体皮膚には本来、自然に弱酸性を保つことのできる自己浄化作用が備わっていると言われている。例えば、pH9.5〜10.5程度の弱アルカリ性の石鹸で皮膚を洗浄した場合でも、皮膚の機能が正常に作用することにより、約10分〜約3時間程度で弱酸性に戻ると言われている。
皮膚を洗浄する石鹸は、弱アルカリ性を有するものが一般であり、弱アルカリ性の洗浄剤で、一時的に肌を柔らかくして肌に弾力性を与え、老廃物である角質や雑菌等を落とすという作用もあると言われている。また、酸性化粧品は、肌が引き締まる作用及び汗や皮脂の分泌を抑制する作用があり、弱アルカリ化した肌を正常な弱酸性肌に戻す作用があると言われている。
これらを勘案して、本発明において、さらに、「pH調節剤」を含有するミノキシジル含有外用剤も実施可能であり、所望のpHを有するミノキシジル含有液剤を調製できる。
pH調節剤としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リン酸、塩酸、硫酸、及び、水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも一つが実施可能である。
望ましいpHの値は、特に限定されることなく、例えば、ミノキシジル含有外用剤を人体皮膚に塗布した時に、ミノキシジルの皮膚浸透作用が妨げられなく、さらに、皮膚の刺激・損傷などの不快感を与えないようなpH値が実施できる。例えば、pHが5〜9の範囲である外用剤が実施できる。
また、例えば、pHが7.1〜8.1の範囲である外用剤も実施できる。
pHが7.1未満の場合には、人体皮膚に近いpHであるために皮膚に優しく皮膚を傷めないという利点が想到されるが、しかしながら、皮膚を柔らかくする作用に劣るために、ミノキシジル有効成分を皮膚内部の毛乳頭にまで浸透させる効果が低下し、そのために、育毛等の作用を促進するという効果が低下していく傾向があることが想到される。また、pHが9.0を超える場合には、人体皮膚を傷める等の不利益が生じる傾向が想到される。なお、pHが7.1〜8.1の範囲である外用剤を人体皮膚に塗布した時に、一時的に、皮膚が柔らかくなり、ミノキシジル有効成分を皮膚内部に浸透させるが、その後、数時間以内に、肌のpHは、自然に、弱酸性のpH5.5前後に戻るために、人体肌に副作用等の影響を与えないことが想到される。
例えば、pH調節剤として、組成物の全量に対して、0.005〜2.0重量%のクエン酸が使用可能である。第十五改正日本薬局方の記載によると、クエン酸は、無色の結晶又は結晶性粉末であり、水に極めて溶けやすく、エタノールに溶けやすい性質を有する。従って、ミノキシジルが溶媒に溶解されたミノキシジル含有外用剤に添加使用した場合においても、溶媒に溶解して、所望のpH値を有する外用剤を調製できる。
[液状状態、粘性状態、乳化状態、クリーム状態、軟膏状態のミノキシジル含有外用剤について]
本発明のミノキシジル含有外用剤において、液状状態、粘調状態、乳化状態、クリーム状態、軟膏状態のミノキシジル含有外用剤が実施できる。
液状状態のミノキシジル含有外用剤としては、例えば、全ての含有成分が溶媒に溶解された透明な液状を有するミノキシジル含有外用剤が実施できる。液状状態のミノキシジル含有外用剤の他の例としては、少なくともミノキシジルとラウロマクロゴールとが溶媒に溶解されるとともに、他の添加含有成分の一部又は全てが懸濁状態で含有されるミノキシジル含有外用剤が実施できる。
粘性状態のミノキシジル含有外用剤としては、例えば、全ての含有成分が溶媒に溶解された高い粘性を有するミノキシジル含有外用剤が実施できる。
乳化状態又はクリーム状態のミノキシジル含有外用剤としては、例えば、ミノキシジルとラウロマクロゴールとが溶媒に溶解されるとともに、他の添加含有成分の一部又は全てが乳化状態又はクリーム状態で含有されるミノキシジル含有外用剤が実施できる。
軟膏状態のミノキシジル含有外用剤としては、例えば、ミノキシジルとラウロマクロゴールとが水を含有しない溶媒に溶解されるとともに、高い粘性を有するミノキシジル含有外用剤が実施できる。
これらの構成のミノキシジル含有外用剤において、ミノキシジルと皮膚浸透促進剤とが溶媒に溶解されている状態を有し、溶媒に溶解されている皮膚浸透促進剤の作用により、溶媒に溶解されているミノキシジルの皮膚の内部への浸透が促進される効果が期待できる。
以下、本発明のミノキシジル含有外用剤について典型的実施例を説明する。
(典型的実施例1)
本実施例は、ミノキシジルの含有量が5g(ミノキシジル含有外用剤の全量に対して約4.76〜約5.26重量%)を含有し、ラウロマクロゴール含有量を替えた種々のミノキシジル含有外用剤の試料を調製し、それぞれの試料について、ミノキシジルの人工皮膚膜透過量を測定した。
(a)所定量の、ミノキシジル、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴール(化粧品成分表示名称はラウレス−9:9モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール:日光ケミカルズ株式会社製商品名NIKKOL BL−9EX)、多価アルコールとしてのグリセリン、低級アルコールとしてのエタノール、水、育毛補助剤としてのユーカリ油、清涼化剤としてのl−メントール、変色防止剤としてのジブチルヒドロキシトルエン、及び、pH調節剤としてのクエン酸を準備する。
次に、室温の約25℃において、樹脂製容器の中に、(bc)所定量のグリセリンとエタノールを投入し、攪拌混合し、それにより、分離なく均一に混和された混合液剤を調製する。次に、そのグリセリンとエタノールとの前記混合液剤に、固体状ミノキシジルを添加し、溶解して、それにより、ミノキシジルが溶解された液剤を調製し、次に、(c)水を添加して、攪拌混合し、それにより、分離なく均一に混和されたミノキシジル・溶媒・水・混合液剤を調製する。
次に、(e)得られた前記混合溶剤・液剤に、ユーカリ油を添加し、混合して、分離なく均一に混和された液剤を調製する。
別途、別の樹脂製容器の中に、(f)前記エタノールに、l−メントールを添加し混合して、メントール含有エタノール溶液を調製する。そして、該メントール含有エタノール溶液を、前記(e)工程により得られた混合溶剤・液剤と混合して、分離なく均一に混和された液剤を調製する。
別途、別の樹脂製容器の中に、(g)前記エタノールにジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を添加し混合して、ジブチルヒドロキシトルエン含有エタノール溶液を調製する。そして、該ジブチルヒドロキシトルエン含有エタノール溶液を、前記(e)工程により得られた混合溶剤・液剤と混合して、分離なく均一に混和された液剤を調製する。
次に、(h)クエン酸を水に溶解したクエン酸水溶液を、液剤に添加して混合して、液剤を調製する。この場合、クエン酸の含有割合は全量に対して0.05重量%以下の微量であり、所望のpHになるように調製する。なお、本実施例では、pHが7.5になるように調製した。
このようにして、ミノキシジル、グリセリン、エタノール、水、ユーカリ油、メントール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、クエン酸を含有する標準ミノキシジル含有外用剤を調製する。
次に、(k)上記標準ミノキシジル含有外用剤に、ラウロマクロゴール等の所定量の皮膚浸透促進剤を添加混合して、溶解した皮膚浸透促進剤を含有するミノキシジル・皮膚浸透促進剤含有外用剤を調製する。
このようにして、表1に示すような、所定量の、ミノキシジリ、グリセリン、エタノール、水、ユーカリ油、l−メントール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びクエン酸に加えて、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールの含有量を変えた種々のミノキシジル・皮膚浸透促進剤含有外用剤を調製した。
得られたそれぞれの外用剤について、含有成分の溶解混和性、すなわち、ミノキシジルや皮膚浸透促進剤、及び、添加含有成分の溶解性を目視で観察した。
[ミノキシジルの皮膚浸透性の評価]
得られたそれぞれのミノキシジル含有外用剤について、第17改正・日本薬局方解説書・B一般試験法・「皮膚に適用する製剤の放出試験法」の「縦型拡散セル法」に準じて、縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジル含有外用剤について、ミノキシジルの人工皮膚膜浸透量を測定して、含有されている皮膚浸透促進剤のミノキシジルの皮膚浸透性に与える効果・影響を評価した。
試験法の概略を以下に示す。
ミノキシジル標準溶液の調製:ミノキシジル20mgを量り、エタノールを加えて100mLとする。この液10mLにPBS(リン酸カルシウム・バッファ液)を加えて20mLとする。この5mLにPBSを加えて25mLとする。この液2mLにPBSを加えて20mLとする。この液1mLにPBSを加えて10mLとする。このようにして、ミノキシジル含有濃度が0.1μg/mLのミノキシジル標準溶液を調製する。
各種のミノキシジル含有外用剤・試料溶液の調製:縦型拡散セル(有効面積1.766平方センチメータ)のレシーバ内に,撹拌子を入れ、所定の人体皮膚に類似の人口皮膚膜を装着し、パッキンを挟むようにして拡散セルのドナーをのせ、パラフィンを巻き付けて、固定グリップで挟み、撹拌セルを組み立てる。レシーバ側に注射器でPBSを注入し、温度32℃の温水を還流させながら、マグネティサクスターラにより500rpmで撹拌する。ドナーの上部から試料15μLを添加する。試料添加後、所定時間後(例えば、1時間後、2時間後、3時間後、5時間後)にレシーバ側から200mLを採取する。採取後、直ちに、新たなPBS200mLを補充する。このようにして、各種の「ミノキシジル含有外用剤・試料溶液」を調製する。この試料を直ちに冷蔵庫で保管する。
上記のように調製した「ミノキシジル標準溶液」及び「ミノキシジル含有外用剤・試料溶液」の10mLについて、液体クロマトグラフイーにより試験を行う。
このようにして、それぞれのミノキシジル含有外用剤・試料溶液について、所定時間後のミノキシジルの人工皮膚膜透過量を測定する。すなわち、一定量のミノキシジル(典型的実施例1においては、5gのミノキシジル)を含有するミノキシジル含有外用剤において、ラウロマクロゴールの含有量変化に対するミノキシジル透過量の経時変化を測定した。
それぞれのミノキシジル含有外用剤について、3個の試料を作成して試験を行い、その平均値を透過量として算出した。
これらの実施結果を表1に示す。表1において、含有成分の配合量の単位は「g」である。それぞれの外用剤の組成物の合計量は必ずしも100gではない。ラウロマクロゴールの含有量については、その重量%の計算値も併記した。
ミノキシジルの透過量は、1セル当たりの透過量「μg/cell」で表示する。
Figure 0006628059
表1において、試料2〜7は皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤であり、試料1はラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤である。
試料1〜7において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは溶媒に溶解され、それぞれの試料は透明で澄明な液状を有する。
ラウロマクロゴールの含有量が多くなるに従って、所定の時間経過後におけるミノキシジル透過量が増加する。
それぞれの試料において、約2〜3時間後までのミノキシジル透過量は時間とともに比例して増加し、その後のミノキシジル透過量は緩やかな増加となる。
3〜5時間後のミノキシジル透過量において、約1重量%を超えて約4重量%までのラウロマクロゴール含有量を含有する試料(試料3〜5)は、ラウロマクロゴール含有量に対するミノキシジル透過量の増加幅が大きく、ラウロマクロゴール含有量が約6重量%(試料6)を超えて多くなるに従って、ミノキシジル透過量は緩やかに増加する。
5時間後のミノキシジル透過量において、ラウロマクロゴールを含有しない試料(試料1)と比べて、約3重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料4)は5.6倍のミノキシジル透過量であり、約4重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料5)は10.1倍のミノキシジル透過量であり、著しい透過促進効果を有する。
5時間後のミノキシジル透過量において、ラウロマクロゴールを含有しない試料(試料1)と比べて、約6重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料6)は11.4倍のミノキシジル透過量であり、約10重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料7)は12.3倍のミノキシジル透過量であり、ラウロマクロゴール含有量が約6重量%を超えて多く含有するに従ってミノキシジル透過量の増加は緩やかになる。
以上の結果により、溶媒に溶解されたミノキシジル含有外用剤において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは、溶媒に溶解され、ラウロマクロゴールの添加含有により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性が促進されることが解かる。
すなわち、ラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤を、人体頭部の皮膚に塗布した場合に、ミノキシジルの皮膚浸透性が促進されることが推測でき、期待できる。
(典型的実施例2)
本実施例は、ミノキシジルの含有量が1g(ミノキシジル含有外用剤の全量に対して約0.99〜約1.11重量%)を含有し、ラウロマクロゴール含有量を替えた種々のミノキシジル含有外用剤の試料を調製し、それぞれの試料について、ミノキシジルの人工皮膚膜透過量を測定した。典型的実施例1と類似の製造方法により、所定量の、ミノキシジル、多価アルコールとしてのグリセリン、エタノール、水、ユーカリ油、l−メントール、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、及び、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールを含有する試料11〜17のそれぞれのミノキシジル含有外用剤を調製した。
試料11〜17において、約1重量%のミノキシジルを含有し、その他の成分の含有量は、典型的実施例1のミノキシジル含有外用剤と同じである。
得られたそれぞれの試料について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性を評価した。
これらの実施結果を表2に示す。表2において、含有成分の配合量の単位は「g」である。それぞれの外用剤の組成物の合計量は必ずしも100gではない。ラウロマクロゴールの含有量については、その重量%の計算値も併記した。
ミノキシジルの透過量は、1セル当たりの透過量「μg/cell」で表示する。
Figure 0006628059
表2において、試料12〜17は皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤であり、試料11はラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤である。
試料11〜17において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは溶媒に溶解され、それぞれの試料は透明で澄明な液状を有する。
ラウロマクロゴールの含有量が多くなるに従って、所定の時間経過後におけるミノキシジル透過量が増加する。
ラウロマクロゴールのそれぞれの含有量におけるミノキシジル透過量の経時変化は実施例1のミノキシジル5重量%含有外用剤と類似する状態で、時間経過に従って増加する。
5時間後のミノキシジル透過量において、ラウロマクロゴールを含有しない試料(試料11)と比べて、約3重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料14)は5.4倍のミノキシジル透過量であり、約4重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料15)は9.7倍のミノキシジル透過量であり、著しい透過促進効果を有する。
5時間後のミノキシジル透過量において、ラウロマクロゴールを含有しない試料(試料11)と比べて、約6重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料16)は10.9倍のミノキシジル透過量であり、約10重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料17)は11.9倍のミノキシジル透過量であり、ラウロマクロゴール含有量が約6重量%を超えて多く含有するに従ってミノキシジル透過量の増加は緩やかになる。
すなわち、本実施例のミノキシジル1重量%を含有するミノキシジル含有外用剤においても、溶媒に溶解されたミノキシジル含有外用剤において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは、溶媒に溶解され、ラウロマクロゴールの添加含有により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性が促進されることが解かる。
(典型的実施例3)
本実施例は、ミノキシジルの含有量が8g(ミノキシジル含有外用剤の全量に対して約7.40〜約8.16重量%)を含有し、ラウロマクロゴール含有量を替えた種々のミノキシジル含有外用剤の試料を調製し、それぞれの試料について、ミノキシジルの透過量を測定した。典型的実施例1と類似の製造方法により、所定量の、ミノキシジル、多価アルコールとしてのグリセリン、エタノール、水、ユーカリ油、l−メントール、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、及び、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールを含有する試料21〜27のそれぞれのミノキシジル含有外用剤を調製した。
試料21〜27において、約8重量%のミノキシジルを含有し、その他の成分の含有量は、典型的実施例1のミノキシジル含有外用剤と同じである。
得られたそれぞれの試料について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの人口皮膚膜透過性を評価した。
これらの実施結果を表3に示す。表3において、含有成分の配合量の単位は「g」である。それぞれの外用剤の組成物の合計量は必ずしも100gではない。ラウロマクロゴールの含有量については、その重量%の計算値も併記した。
Figure 0006628059
表3において、試料22〜27は皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤であり、試料21はラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤である。
試料21〜27において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは溶媒に溶解され、それぞれの試料は透明で澄明な液状を有する。
ラウロマクロゴールの含有量が多くなるに従って、所定の時間経過後におけるミノキシジル透過量が増加する。
ラウロマクロゴールのそれぞれの含有量におけるミノキシジル透過量の経時変化は実施例1のミノキシジル5重量%含有外用剤と類似する状態で、時間経過に従って増加する。
5時間後のミノキシジル透過量において、ラウロマクロゴールを含有しない試料(試料21)と比べて、約3重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料24)は5.6倍のミノキシジル透過量であり、約4重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料25)は9.4倍のミノキシジル透過量であり、著しい透過促進効果を有する。
5時間後のミノキシジル透過量において、ラウロマクロゴールを含有しない試料(試料21)と比べて、約6重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料26)は10.9倍のミノキシジル透過量であり、約10重量%のラウロマクロゴールを含有する試料(試料27)は11.7倍のミノキシジル透過量であり、ラウロマクロゴール含有量が約6重量%を超えて多く含有するに従ってミノキシジル透過量の増加幅は緩やかになる。
すなわち、本実施例のミノキシジル8重量%を含有するミノキシジル含有外用剤においても、溶媒に溶解されたミノキシジル含有外用剤において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは、溶媒に溶解され、ラウロマクロゴールの添加含有により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性が促進されることが解かる。
(典型的実施例4)
本実施例は、5gのミノキシジルと4gのラウロマクロゴール含有量を含有し、多価アルコールの種類を替えて含有する種々のミノキシジル含有外用剤の試料を調製し、それぞれの試料について、ミノキシジルの人工皮膚膜透過量を測定した。典型的実施例1と類似の製造方法により、所定量の、ミノキシジル、多価アルコールとしてのグリセリン、エタノール、水、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、及び、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールを含有する試料31〜38のそれぞれのミノキシジル含有外用剤を調製した。
試料32、34、36、38において、約5.05重量%のミノキシジルと約4.04重量%のラウロマクロゴールを含有し、多価アルコールとしてグリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又は、プロピレングリコールを含有する。また、典型的実施例1と比べて、ユーカリ油、l−メントール、を含有しない。
比較例として、ラウロマクロゴールを含有しない試料31、33、35、37を調製した。
得られたそれぞれの試料について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性を評価した。
これらの実施結果を表4に示す。表4において、含有成分の配合量の単位は「g」である。それぞれの外用剤の組成物の合計量は必ずしも100gではない。表には記載していないが、ラウロマクロゴールを含有する試料においてラウロマクロゴールは約4.04重量%を含有し、ミノキシジルは約5.05重量%を含有する。
ミノキシジルの透過量は、1セル当たりの透過量「μg/cell」で表示する。
Figure 0006628059
表4において、試料32、34、36、38は皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴール約4.04重量%を含有するミノキシジル含有外用剤であり、試料31、33、35、37はラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤である。また、多価アルコールとしてグリセリンを含有する試料については、実施例1の試料1と試料5に記載している。
試料31〜38において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは溶媒に溶解され、それぞれの試料は透明で澄明な液状を有する。
表4のそれぞれの多価アルコールを含有するミノキシジル含有外用剤において、約2〜3時間後までのミノキシジル透過量は時間とともに比例して増加し、その後のミノキシジル透過量は緩やかな増加となる。
5時間後のミノキシジル透過量において、ラウロマクロゴールを含有しないそれぞれの試料(試料31、33、35、37)のミノキシジル透過量と比べて、ジプロピレングリコールを含有する試料(試料32)は9.8倍であり、1,3−ブチレングリコールを含有する試料(試料34)は9.6倍であり、プロピレングリコールを含有する試料(試料36)は9.8倍である。また、前記典型的実施例1のグリセリンを含有する試料5(表1の試料5)はラウロマクロゴールを含有しない試料(試料1)と比べて10.1倍である。すなわち、これらの多価アルコールを含有する溶媒に溶解されたミノキシジルを含有する外用剤は、優れた人工皮膚膜透過促進効果を有する。
また、多価アルコールとして、グリセリンと1,3−ブチレングリコールとの混合多価アルコールを含有する試料(試料38)はラウロマクロゴールを含有しない試料(試料37)のミノキシジル透過量と比べて、約9.8倍のミノキシジル透過量であり、優れた人工皮膚膜透過促進効果を有する。
すなわち、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又は、プロピレングリコール等の溶媒としての多価アルコールに溶解されたミノキシジルを含有する外用剤において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールは、溶媒に溶解され、ラウロマクロゴールの添加含有により、ミノキシジルの皮膚浸透性が著しく促進されることが期待できる。
溶媒としての多価アルコールのうち、特に、グリセリンを含有するミノキシジル含有外用剤は、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又は、プロピレングリコールを含有するミノキシジル含有外用剤と比べて、若干に優れたミノキシジルの透過を促進する効果を有する。
(典型的実施例5)
本実施例は、ミノキシジルが約5重量%(50.5重量%)を含有し、皮膚吸収促進剤としてラウロマクロゴールに加えて、ベンジルアルコールとの双方の皮膚吸収促進剤を含有するミノキシジル含有外用剤である。
ミノキシジルが約5重量%を含有し、ラウロマクロゴールとベンジルアルコールとの双方の皮膚吸収促進剤を含有するノキシジル含有外用剤であって、ラウロマクロゴールとベンジルアルコールのそれぞれの皮膚吸収促進剤の含有量を替えたミノキシジル含有外用剤を調製し、得られたそれぞれのミノキシジル含有外用剤のミノキシジルの人工皮膚膜透過量を測定した。典型的実施例1におけるラウロマクロゴールに替えてラウロマクロゴールとベンジルアルコールを使用して、典型的実施例1と類似の製造方法により、所定量の、ミノキシジル、多価アルコールとしてのグリセリン、エタノール、水、ユーカリ油、l−メントール、ジブチルヒドロキシトルエン、クエン酸、及び、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールとベンジルアルコールを含有する試料のそれぞれのミノキシジル含有外用剤を調製した。
ラウロマクロゴールとベンジルアルコールのそれぞれの皮膚吸収促進剤の含有量を替えたミノキシジル含有外用剤についての実施例の結果を表5に示す。
比較例としての所定量(約4.04重量%)のベンジルアルコールのみを含有するミノキシジル含有外用剤についての実施例の結果を表5の試料49に示す。
得られたそれぞれの試料について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの透過性を評価した。これらの実施結果を表5に示す。
表5において、含有成分の配合量の単位は「g」である。それぞれの外用剤の組成物の合計量は必ずしも100gではない。
ミノキシジルの透過量は、1セル当たりの透過量「μg/cell」で表示する。
Figure 0006628059
調製したいずれの試料においても、ミノキシジル及びその他の含有成分が溶解・混和された透明なミノキシジル含有外用剤が得られた。
ミノキシジル5gを溶媒(グリセリンとエタノールと水との混合溶媒)に溶解したミノキシジル含有外用剤において、ベンジルアルコール4gを含有する試料49の5時間後におけるミノキシジル透過量は、150μg/cellであり、ベンジルアルコールを含有しない試料1(表1の試料1)のミノキシジル透過量は、55μg/cellであり、すなわち、ベンジルアルコール4gを含有する試料49は、ベンジルアルコールを含有しない試料1の約2.72倍のミノキシジル透過量である。
これに対して、ラウロマクロゴールを約4g含有する試料45(表1の試料5)のミノキシジル含有外用剤のミノキシジル透過量は553μg/cellであり、ラウロマクロゴールを含有しない試料1の約10.1倍である。
すなわち、ベンジルアルコールのみを含有するミノキシジル外用剤(試料49)は、ラウロマクロゴールのみを含有する試料45(表1の試料5と同じ)と比べて、ミノキシジルの透過量を促進する効果は少ない。
表5において、ラウロマクロゴール3gにベンジルアルコールを0.2gから1gの範囲で添加含有するミノキシジル含有外用剤において、ラウロマクロゴールのみを含む試料(試料41)に対する1時間経過後の透過量の倍率は、ベンジルアルコール0.2g添加含有の試料42は1.07倍、ベンジルアルコール0.5g添加含有の試料43は1.43倍、ベンジルアルコール1.0g添加含有の試料44は1.61倍であり、また、2時間経過後の透過量の倍率は、ベンジルアルコール0.2g添加含有の試料42は1.05倍、ベンジルアルコール0.5g添加含有の試料43は1.78倍、ベンジルアルコール1.0g添加含有の試料44は1.30倍である。このように、ラウロマクロゴールに加えてベンジルアルコールを添加含有するミノキシジル含有外用剤において、人工皮膚膜に塗布後の1〜2時間の経過におけるミノキシジルの人工皮膚膜透過量は、ラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤の約1.05〜1.78倍の透過量を有し、ラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤と比較して、優れたミノキシジル透過を促進する効果を奏する。
また、ラウロマクロゴール4gにベンジルアルコール0.5gを添加含有するミノキシジル含有外用剤(試料46)においても、上記のラウロマクロゴール3gを含有するミノキシジル含有外用剤と類似の挙動を有し、人工皮膚膜に塗布後の1時間後、2時間後の経過におけるミノキシジルの人工皮膚膜透過量は、それぞれ、1.45倍、1.13倍であり、ラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤と比較して、優れたミノキシジル透過を促進する効果を奏する。
一方、表5において、ラウロマクロゴールのみを含む試料(試料41)に対する3時間経過後の透過量の倍率は、ベンジルアルコール0.2g添加含有の試料42は0.96倍、ベンジルアルコール0.5g添加含有の試料43は1.09倍、ベンジルアルコール1.0g添加含有の試料44は1.14倍であり、いずれも、ラウロマクロゴールのみを含む試料(試料41)と比べて、同等程度のミノキシジル透過量を有する。
また、5時間経過後の透過量の倍率は、ベンジルアルコール0.2g添加含有の試料42は0.76倍、ベンジルアルコール0.5g添加含有の試料43は0.89倍、ベンジルアルコール1.0g添加含有の試料44は0.93倍であり、いずれも、ラウロマクロゴールのみを含む試料(試料41)と比べて少ない。
このような、ラウロマクロゴールに、ベンジルアルコールを添加含有したミノキシジル含有外用剤において、ラウロマクロゴールのみのミノキシジル含有外用剤と比較して、人工皮膚膜に塗布後の1〜3時間経過後のミノキシジル透過量は著しく増加するが、3時間経過後以降のミノキシジル透過量の増加割合は穏やかになる傾向がある。
すなわち、下記のことが解かる。
ラウロマクロゴールに加えてベンジルアルコールを添加含有するミノキシジル含有外用剤は、ラウロマクロゴールのみを含むミノキシジル含有外用剤と比べて、人工皮膚膜に塗布後、約1〜3時間経過後におけるミノキシジル透過量が増加し、優れた短時間経過後人工皮膚膜浸透促進作用効果を奏する。すなわち、ラウロマクロゴールと、更にベンジルアルコールとの双方の皮膚浸透促進剤を含有するミノキシジル含有外用剤は、人体皮膚に塗布した場合に、塗布後の1〜3時間後の短時間経過後のミノキシジルの皮膚浸透性を高めるミノキシジル透過量の短時間後透過促進作用効果が期待できる。
(典型的実施例6)
本実施例は、溶媒としての低級アルコールとしてのエタノールに替えてイソプロピルアルコールを含有するとともに、約5重量%のノキシジルを含有し、皮膚吸収促進剤として約4重量%のラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤である。
典型的実施例1の試料5におけるエタノールに替えてイソプロピルアルコールを使用して、典型的実施例1と類似の方法により、ミノキシジル5g、グリセリン20g、イソプロピルアルコール45g、水25g、及び、0.1g以下のメントール、ユーカリ油、BHT、クエン酸を含有するとともに、皮膚浸透促進剤としてのマクロマクロゴール4gを含有するミノキシジル含有外用剤(試料55)を調製した。また、比較例として、マクロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤(試料56)を調製した。
得られた試料55、56において、ミノキシジル及びラウロマクロゴールが溶媒に溶解された透明な外用剤が得られた。
また、調製した試料55、56について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性を評価した。
その結果、ラウロマクロゴールを含有しない試料56の経過時間後のミノキシジルの透過量において、1時間後は28μg/cell、2時間後は36μg/cell、3時間後は45μg/cell、5時間後は51μg/cell、である。
これに対して、ラウロマクロゴールを含有する試料55の経過時間後のミノキシジルの透過量において、1時間後は151μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しない試料の5.39倍)、2時間後は265μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しない試料の7.36倍)、3時間後は336μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しない試料の7.47倍)、5時間後は426μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しない試料の8.35倍)、である。
すなわち、低級アルコールとしてイソプロピルアルコールを含有するミノキシジル含有外用剤において、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールを含有するミノキシジル含有外用剤は、ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤と比べて、優れたミノキシジルの皮膚浸透性を高める皮膚浸透促進効果が期待できることが解かる。
(典型的実施例7)
本実施例は、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールを溶媒として含有するミノキシジル含有外用剤において、皮膚浸透促進剤として、ラウロマクロゴールに加えて、皮膚浸透促進を更に高める皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを添加含有するミノキシジル含有外用剤である。
前述の典型的実施例4の1,3−ブチレングリコール20gを含有するミノキシジル含有外用剤(試料34:ラウロマクロゴール4g)に替えて、1,3−ブチレングリコール16gとグリセリン4gを含有するミノキシジル含有外用剤(試料66)を調製した。また、前述の実施例4のプロピレングリコール20gを含有するミノキシジル含有外用剤(試料36:ラウロマクロゴール4g)に替えて、プロピレングリコール16gとグリセリン4gを含有するミノキシジル含有外用剤(試料68)を調製した。すなわち、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールのそれぞれの多価アルコールの一部をグリセリンに替えて含有するミノキシジル含有外用剤(試料66、68)を調製した。
調製したいずれの試料においても、ミノキシジル及びその他の含有成分が溶解・混和された透明なミノキシジル含有外用剤が得られた。
調製したそれぞれの試料について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性を評価した。その結果、以下の知見を得た。
前述の典型的実施例4の、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコールを含有するとともに皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールのみ(皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有しない)を含有するミノキシジル含有外用剤(表4の試料34)において、1時間後は151μg/cell、2時間後は318μg/cell、3時間後は414μg/cell、5時間後は462μg/cell、である。
本実施例において、1,3−ブチレングリコールを含有する外用剤にラウロマクロゴールとグリセリンとを含有する試料66の経過時間後のミノキシジルの透過量において、1時間後は170μg/cell(皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.13倍)、2時間後は336μg/cell(皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.06倍)、3時間後は433μg/cell(皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.05倍)、5時間後は501μg/cell(皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.08倍)である。このように、多価アルコールとして1,3−ブチレングリコールを含有するミノキシジル含有外用剤において、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤(表4の試料34)と比べて、ラウロマクロゴールに加えて皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有するミノキシジル含有外用剤(試料66)のそれぞれの経過時間後のミノキシジルの透過量は多い。
前述の典型的実施例4の、多価アルコールとしてプロピレングリコールを含有するとともに皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤(表4の試料36)において、1時間後は110μg/cell、2時間後は250μg/cell、3時間後は340μg/cell、5時間後は410μg/cell、である。
本実施例において、プロピレングリコールを含有する外用剤にラウロマクロゴールとグリセリンとを含有する試料68の経過時間後のミノキシジルの透過量において、1時間後は141μg/cell(グリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.28倍)、2時間後は294μg/cell(グリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.18倍)、3時間後は391μg/cell(グリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.15倍)、5時間後は475μg/cell(グリセリンを含有しないミノキシジル含有外用剤の1.16倍)、である。このように、多価アルコールとして2[プロピレングリコールを含有するミノキシジル含有外用剤において、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールのみを含有するミノキシジル含有外用剤(表4の試料36)と比べて、ラウロマクロゴールに加えて皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有するミノキシジル含有外用剤(試料68)のそれぞれの経過時間後のミノキシジルの透過量は多い。すなわち、皮膚浸透促進剤として、ラウロマクロゴールに加えて、皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを添加含有するミノキシジル含有外用剤は、ミノキシジルの皮膚浸透性を更に促進する皮膚浸透促進作用効果を有することが期待できる。
このように、グリセリンは、ミノキシジルを溶解する溶媒としての機能と、ラウロマクロゴールとの併用による皮膚浸透促進剤助剤としての機能との双方の機能を有する。
(典型的実施例8−a)
本実施例は、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールにおいて、2モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(日光ケミカルズ株式会社製商品名NIKKOL BL−2:ラウレス−2)、を含有するミノキシジル含有外用剤である。典型的実施例1の試料5における9モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(ラウレス−9)に替えて、2モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(ラウレス−2)を含有するミノキシジル含有外用剤(試料71)を調製した。
得られた試料71のミノキシジル含有外用剤は、ミノキシジル及びラウロマクロゴールが溶媒に溶解された透明な液状を有している。調製したそれぞれの試料について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの人工皮膚膜透過性を評価した。
ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤は、前述の典型的実施例1の表1の試料1に記載され、1時間後のミノキシジル透過量は31μg/cell、2時間後は40μg/cell、3時間後は51μg/cell、5時間後は55μg/cell、である。
本実施例の結果、ラウロマクロゴール(ラウレス−2)を含有する試料71の経過時間後のミノキシジルの人工皮膚膜透過量において、1時間後は142μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の4.58倍)、2時間後は246μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の6.15倍)、3時間後は326μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の6.39倍)、5時間後は422μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の7.67倍)、であり、いずれも、ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤のミノキシジル含有外用剤と比べて、著しく優れたミノキシジル透過量を呈する。
すなわち、約2モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(ラウレス−2)を含有するミノキシジル含有外用剤においても、ミノキシジルの皮膚浸透性を高める優れた皮膚浸透促進効果が期待できる。
(典型的実施例8−b)
本実施例は、皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールにおいて、25モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(日光ケミカルズ株式会社製商品名NIKKOL BL−25:ラウレス−25)を含有するミノキシジル含有外用剤である。典型的実施例1の試料5における9モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(ラウレス−9)に替えて、25モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(ラウレス−25)を含有するミノキシジル含有外用剤(試料72)を調製した。
得られた試料72のミノキシジル含有外用剤は、ミノキシジル及びラウロマクロゴールが溶媒に溶解された透明な液状を有している。調製したそれぞれの試料について、典型的実施例1と同じ縦型フランツセル人工皮膚膜透過試験により、ミノキシジルの透過性を評価した。
ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤は、前述の典型的実施例1の表1の試料1に記載され、1時間後のミノキシジル透過量は31μg/cell、2時間後は40μg/cell、3時間後は51μg/cell、5時間後は55μg/cell、である。
本実施例の結果、ラウロマクロゴール(ラウレス−25)を含有する試料72の経過時間後のミノキシジルの透過量において、1時間後は85μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の2.74倍)、2時間後は176μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の4.4倍)、3時間後は228μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の4.47倍)、5時間後は276μg/cell(ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤の5.01倍)であり、いずれも、ラウロマクロゴールを含有しないミノキシジル含有外用剤のミノキシジル含有外用剤と比べて、著しく優れたミノキシジル透過量を呈する。
すなわち、25モルの酸化エチレン基を有するラウロマクロゴール(ラウレス−25)を含有するミノキシジル含有外用剤においてもミノキシジルの皮膚浸透性を高める優れた皮膚浸透促進効果が期待される。
少なくとも、溶媒とその溶媒に溶解されたミノキシジルとを含有する外用剤であって、さらに、ミノキシジルの皮膚浸透性を促進する皮膚浸透促進剤を含有し、その皮膚浸透促進剤がラウロマクロゴールであり、該ラウロマクロゴールが前記溶媒に溶解されてなるミノキシジル含有外用剤により、皮膚に塗布したときに、ミノキシジルの皮膚浸透性を高め、皮膚浸透の改善及び/又は皮膚浸透の促進等のミノキシジルの皮膚浸透性促進効果を期待できるミノキシジル含有外用剤が得られる。

Claims (10)

  1. 溶媒と、前記溶媒に溶解されたミノキシジルと、水と、を含有する外用剤であって、
    さらに、ミノキシジルの皮膚浸透性を促進する皮膚浸透促進剤を含有し、
    前記溶媒は、多価アルコールと低級アルコールの双方の溶媒を含有し、
    前記皮膚浸透促進剤がラウロマクロゴールであり、該ラウロマクロゴールが前記溶媒に溶解されてなる、ことを特徴とするミノキシジル含有外用剤。
  2. 前記ミノキシジルの含有量は、組成物の全量に対して、0.2〜10重量%である、ことを特徴とする請求項1に記載のミノキシジル含有外用剤。
  3. 前記ラウロマクロゴールの含有量が、組成物の全量に対して、0.2〜10重量%である、ことを特徴とする請求項1または2記載のミノキシジル含有外用剤。
  4. 前記皮膚浸透促進剤が、前記ラウロマクロゴールと、更にベンジルアルコールとの双方を含有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミノキシジル含有外用剤。
  5. 前記皮膚浸透促進剤が前記ラウロマクロゴールであり、更に、皮膚浸透促進剤助剤としてのグリセリンを含有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミノキシジル含有外用剤。
  6. 前記多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、からなる群から選ばれる少なくとも一つである、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミノキシジル含有外用剤。
  7. 前記低級アルコールは、エタノールとプロピルアルコールのうちの少なくとも一つである、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミノキシジル含有外用剤。
  8. 少なくとも、
    ミノキシジルと、
    グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び、ジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールと、
    エタノールとプロピルアルコールのうちの少なくとも一つの低級アルコールと、
    水と、
    皮膚浸透促進剤としてのラウロマクロゴールと、
    を含有してなる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミノキシジル含有外用剤。
  9. 少なくとも、
    ミノキシジルと、
    グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び、ジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールと、
    エタノールとプロピルアルコールのうちの少なくとも一つの低級アルコールと、
    水と、
    ラウロマクロゴールとベンジルアルコールとの双方の皮膚浸透促進剤と、
    を含有してなる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミノキシジル含有外用剤。
  10. 前記多価アルコールはグリセリンである、ことを特徴とする請求項1、6、8、または、9に記載のミノキシジル含有外用剤。
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