JPH0745392B2

JPH0745392B2 - 歯磨組成物

Info

Publication number: JPH0745392B2
Application number: JP61300759A
Authority: JP
Inventors: 雄二小林
Original assignee: Sunstar Inc
Current assignee: Sunstar Inc
Priority date: 1986-12-16
Filing date: 1986-12-16
Publication date: 1995-05-17
Anticipated expiration: 2010-05-17
Also published as: EP0272878A3; EP0272878A2; JPS63154614A

Description

【発明の詳細な説明】産業上の利用分野本発明は歯磨組成物、さらに詳しくは、香料ぬけを生じ
やすい容器に充填される歯磨組成物の香料ぬけを抑制
し、使用感を向上させた歯磨組成物に関する。

従来の技術歯磨組成物には香料が配合されるが、これは、歯磨組成
物の他の成分から由来する不快な味や臭いをマスキング
し、使用に際し、爽快感を与え使用感を向上させるため
のもので、歯磨組成物の１つの必須成分といえる。

一般に、香料は揮散して使用者の鼻腔や口腔で香り、味
として感知されることによりその効果を発揮するもので
あり、そのほとんどは低沸点の揮散しやすい物質で構成
されている。したがって、歯磨組成物中に配合された香
料も揮散しやすい状態にあり、使用前に揮散してしまえ
ば、香料の配合効果は失なわれ、歯磨組成物の使用感の
向上は図れなくなる。

一方、歯磨組成物は種々の容器に充填され市販に供され
ており、従来汎用されていたアルミニウム製チューブは
香料の揮散性成分に対して不透過性であり、香料の揮散
による使用感の低下という問題はあまり生じなかった。
ところが、近年、使用上の簡便性等から、ラミネート・
チューブ、プラスチック・チューブ、プラスチック製ポ
ンプ・ディスペンサー等のプラスチック系容器が歯磨組
成物に用いられるようになっており、これらが香料の揮
発性成分に対して透過性のため、香料の揮散による使用
感の低下をきたし、長期保存時に商品価値を失なうとい
う問題が生じている。

このような問題を解消するため、従来から、歯磨組成物
に種々の保香成分を添加することが検討されているが、
未だ満足するものが見当らない。

例えば、沸点の高い香料成分（例えば、ムスク、オーク
モス、オリス等の天然香料、クマリン、バニリン等の合
成香料）を通常の歯磨香料と併用することが提案されて
いるが、これら自体独特な香気を有し、保香に有効な量
を用いることができず、また、通常用いられているペパ
ーミント系やスペアミント系などの歯磨香料との調合が
困難という問題がある。また、グリセリンやプロピレン
グリコール等の多価アルコールを保香成分として用いる
ことが行なわれているが、特有の味を呈するため、保香
に有効な量を用いるとかえって使用感の低下が生じやす
い。さらに、フタル酸エステル等の可塑剤を用いること
も提案されているが、完全性に問題がある。最近、保香
成分として、炭素数16〜28の常温での液体の高級脂肪酸
アルコールを使用したり（特開昭61−151114号）、フレ
ーバー油にポリビニルピロリドンを混合したプレミック
スを用いること（特開昭61−243012号）が提案されてい
るが、その効果は不明である。

発明が解決しようとする問題点このような事情にかんがみ、本発明者らは歯磨組成物に
おける香料揮散の問題を防止すべく、保香成分について
種々検討した。その結果、ある種のトリグリセリドが保
香成分として好適であることを見出し、本発明を完成す
るにいたった。

問題点を解決するための手段本発明は、前記のラミネート・チューブ、プラスチック
・チューブ、プラスチック製ポンプ・ディスペンサー等
のプラスチック系容器のごとく、香料ぬけを生じうる容
器に充填される歯磨組成物において、保香成分として炭
素数８および／または10の飽和脂肪酸のトリグリセリド
を配合したことを特徴とする歯磨組成物を提供するもの
である。

本発明において保香成分として用いるトリグリセルド
は、その構成脂肪酸が炭素数６〜12の直鎖状または分枝
状脂肪酸を主体としてなるものである。このような脂肪
酸としては、カプリル酸、カプリン酸が挙げられる。炭
素数の小さい脂肪酸は、精製度の高いものが得られず、
そのため特異臭が強く歯磨への使用に適さない。また、
炭素数が大きすぎると肌あれ、分離等を生じる場合があ
るため、歯磨の性状安定性の面から好ましくない。トリ
グリセリドにおけるこれらの脂肪酸の結合位置は特に限
定するものではなく、α位およびβ位が全て同じ脂肪酸
のものでも、また、異なる脂肪酸のものでもよく、さら
に、脂肪酸組成の異なるトリグリセリド同志を適宜組合
わせてもよい。特に本発明においては、保香効果が非常
に良好なことから、保香成分として用いるトリグリセリ
ドの構成脂肪酸が炭素数８の飽和脂肪酸と炭素数10の飽
和脂肪酸との重量比が10:1〜1:8の組成を有するものが
好ましい。本発明に用いるトリグリセリドは、商業的に
入手が可能であり、例えば、太陽化学（株）製、サンフ
アットGTC、サンフアット10D、オンオイルGTE−Ｄ花王
（株）製ココナードRK、ココナードSK、ココナードMC、
エキセパールTGO日清（株）製ODO、TIO、日本油脂
（株）製パナセート800、パナセート810、パナセート10
00、日光ケミカルズ（株）製トリファットＳ−308、日
本エマルジョン（株）製エマレックスOTG、エマレック
スTG、キャピタルシティ製キャプテックス300、同350、
ダイナマイト・ノーベル社製ミグリオール810、同812、
同814、ヘンケル社製ミリトール318、PVO社製ネオビーM
5、同Ｏが挙げられる。

本発明において、保香成分として用いる該トリグリセリ
ドの配合量は他の配合成分との関係で適宜決定すること
ができるが、通常、歯磨組成物の全量に基いて0.01〜５
重量％、好ましくは、0.1〜３重量％程度とすることが
望ましい。特に、本発明においては、該トリグリセリ
ド：歯磨組成物中の香料の重量比を1:9〜9:1とすること
が保香上好ましい。

用いる香料は特に限定するものではなく、通常の歯磨香
料を通常の配合量で用いることができる。

他の配合成分も特に限定するものではなく、例えば、炭
酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、無水ケイ酸、水
酸化アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、不溶性メタ
リン酸ナトリウムなどの研磨剤、カルボキシメチルセル
ロースナトリウム、カラギーナン、ポリアクリル酸ナト
リウム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセル
ロースなどの粘結剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖
脂肪酸エステル、ラウロイルサルコシンナトリウム、Ｎ
−アシルグルタミン酸ナトリウムなどの発泡剤、グリセ
リン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコールなどの湿潤剤、フッ素化合物、アラント
イン、アルミウムアラントイン、クロルヘキシジン、塩
化セチルピリジニウム、ε−アミノカプロン酸、トラネ
キサム酸、ビタミンＥおよびその誘導体、塩化ナトリウ
ム、各種酵素などの薬効剤、サッカリンナトリウム、グ
リチルリチン酸塩、ステビア抽出物、アスパルチールな
どの甘味料、各種防腐剤が適宜配合される。

本発明の歯磨組成物は常法に従って製造でき、トリグリ
セリドと香料の添加順序に制限はなく、両者を予め混合
しておいても、個別に添加してもよく、練歯磨、半練歯
磨、粉歯磨などの通常の剤形とすることができる。

実施例つぎに実験、実施例および比較例を挙げて本発明をさら
に詳しく説明する。

実験つぎの試料１〜４を調製し、ポリエチレンチューブ（直
径3cm）に充填し、テトラパック状に密封し、室温に放
置して経時的な重量変化を測定し、歯磨用香料（ペパー
ミント35％、メントール25％、アネトール５％、スペア
ミント５％、その他30％）の透過性を調べた。結果を添
付の第１図に示す。第１図中、縦軸は重量減の割合
（％）、横軸は経時（週）を示す。

試料1:歯磨用香料2.5g＋トリグリセリド（構成脂肪酸：カプリル酸およびカプリン酸（25:7
5））2.0g 試料2:歯磨用香料2.5g＋トリカプリル酸グリセリド2.0g 試料3:歯磨用香料2.5g＋ショートニング用油脂（硬化魚
油：硬化大豆油＝90:10）2.0g 試料4:歯磨用香料2.5g なお、トリグリセリドを同じ条件で放置した場合、ほと
んど重量減はなく、試料の重量変化は香料の揮散による
ものとみなすことができる。

第１図に示すごとく、カプリル酸およびカプリン酸のト
リグリセリドはポリエチレンチューブを透過する香料の
揮散を抑制する。

実施例１〜３および比較例１〜２つぎの処方に従い、常法により、第１表に示すトリグリ
セリドを配合した練歯磨を調製した。

処方成分重量％無水ケイ酸 15.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.3 カラギーナン 0.2 安息香酸ナトリウム 0.1 ソルビトール液（70％） 50.0 濃グリセリン 10.0 ポリエチレングリコール400 5.0 ラウリル酸ナトリウム 1.3 サッカリンナトリウム 0.1 香料（ペパーミント系） 1.0 酸化チタン 0.1 トリグリセリド（第１表に示す） 0.8 精製水 100％に調整得られた練歯磨をプラスチック・チューブ（ポリエチレ
ン製）に充填し、40℃で１ケ月放置し、香料の揮散を６
名のパネル員により官能的に評価した。結果を第１表に
示す。第１表中、各数値はその項目に該当するパネル員
の人数を示す。

実施例４つぎの処方に従い、常法により練歯磨を調製した。

処方成分重量％炭酸カルシウム 42.0 無水ケイ酸 1.7 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.3 カラギーナン 0.3 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ソルビトール液（70％） 38.0 プロピレングリコール 4.0 サッカリンナトリウム 0.1 香料（スペアミント系） 0.9 カプリル酸、カプリン酸のトリグリセリド（カプリル酸：カプリン酸＝1:1） 0.3 パラベン 0.2 精製水 100％に調整得られた練歯磨をラミネート・チューブに充填し、40℃
に２週間放置したが、香料の揮散はほとんどなかった。

実施例５つぎの処方に従い、常法により練歯磨を調製した。

処方成分重量％水酸化アルミニウム 44.0 ソルビトール液（70％） 30.0 プロピレングリコール 2.5 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 カラギーナン 0.2 ラウリル硫酸ナトリウム 1.6 ミリスチン酸ジエタノールアミド 1.3 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.76 デキストラナーゼ 0.02 パラベン 0.03 サッカリンナトリウム 0.1 香料（ペパーミント系） 1.0 塩酸クロルヘキシジン 0.01 トリカプリル酸グリセリド 1.0 精製水 100％に調整得られた練歯磨をプラスチック製たて型ポンプ・ディス
ペンサーに充填し、40℃で２週間放置したが、香料の揮
散はほとんどなかった。

実施例６つぎの処方に従い、常法により練歯磨を調製した。

処方成分重量％無水ケイ酸 23.0 ソルビトール液（70％） 20.0 濃グリセリン 24.0 ポリエチレングリコール400 0.5 ラウリウ酸ナトリウム 1.3 ラウロイルサルコシンナトリウム 0.3 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.4 カラギーナン 0.3 サッカリンナトリウム 0.1 パラベン 0.1 赤色106号微量香料（フローラルミント系） 1.0 C₆〜C₁₂混合脂肪酸のトリグリセリド 1.5 精製水 100％に調整得られた練歯磨をプラスチック・チューブに充填し、40
℃で２週間放置したが、香料の揮散はほとんどなかっ
た。

実施例７つぎの処方に従い、常法により練歯磨を調製した。

処方成分重量％歯磨用リン酸カルシウム２水塩 13.5 歯磨用リン酸カルシウム無水物 28.0 酸化アルミニウム 1.0 無水ケイ酸 1.7 ソルビトール液（70％） 24.0 プロピレングリコール 3.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.6 カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2 安息香酸ナトリウム 0.2 パラベン 0.4 塩酸クロルヘキシジン 0.005 香料（ダブルミント系） 1.0 カプリル酸とカプロン酸のトリグリセリド 0.3 精製水 100％に調整得られた練歯磨をラミネートチューブに充填し、40℃で
２週間放置したが、香料の揮散はほとんどなかった。

発明の効果本発明によれば、炭素数８および／または10の脂肪酸の
トリグリセリドを保香成分として歯磨組成物に配合する
ことにより、これをプラスチック製容器のごとき香料ぬ
けを生じうる容器に充填しても香料ぬけが抑制でき、歯
磨組成物の良好な使用感を長期にわたって保持させるこ
とができる。しかも、従来用いられているような保香成
分のごとき、特異臭を与えることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は歯磨用香料のポリエチレンチューブからの経時
的透過を試験した結果を示すグラフである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】香料ぬけを生じうる容器に充填される歯磨
組成物において、保香成分として炭素数８および／また
は10の飽和脂肪酸のトリグリセリドを配合したことを特
徴とする歯磨組成物。
【請求項２】該トリグリセリド：歯磨組成物中の香料の
重量比が1:9〜9:1である請求項１記載の歯磨組成物。
【請求項３】炭素数８および10の飽和脂肪酸のトリグリ
セリドを配合した請求項１記載の歯磨組成物。
【請求項４】炭素数８の飽和脂肪酸：炭素数10の飽和脂
肪酸の重量比が10:1〜1:8である請求項３記載の歯磨組
成物。