JP6627844B2 - エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、火花点火式のエンジンに関する。
自動車等の車両における火花点火式のエンジンでは、燃焼室内に対してインジェクタから燃料を噴射するとともに、吸気口から空気等を導入して燃料を霧化した混合気を形成し、これに点火プラグを用いて着火する構成が採用されている。
特許文献1には、圧縮上死点付近で燃料噴射し、点火プラグで着火(火花点火)するエンジンが開示されている。また、特許文献1のエンジンでは、ピストンの冠面にキャビティを設けている。
このように、火花点火式のエンジンでは、ピストンの冠面にキャビティを設けることによって、インジェクタから噴射された燃料を霧化するための移動距離を確保し易くなり、着火までの間に十分な霧化を実現することができる。
特開2017−61907号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術をはじめとする従来技術では、燃焼室天井面付近に、前の排気行程で掃気しきれなかったガスが残留する場合が生じ得る。このように、燃焼室天井面付近に残留ガスが溜まった状態では、点火プラグの着火性に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、燃焼室天井面付近の掃気が確実になされ、混合気の高い着火性を確保することができるエンジンを提供することを目的とする。
発明の火花点火式のエンジンは、ピストンの冠面と、前記ピストンが摺動可能に構成された気筒壁面と、シリンダヘッドに形成された燃焼室天井面と、前記燃焼室天井面に取り付けられているとともに、前記燃焼室を臨むように配された着火部を有し、前記ピストンが圧縮上死点又はその近傍にある所定のタイミングで点火するように構成された点火プラグと、前記燃焼室の天井面に開口された吸気口及び排気口と、を備え、前記吸気口は機関出力軸方向に並んで形成された第1吸気口と第2吸気口とで構成され、前記点火プラグは、着火部が前記第1吸気口と前記第2吸気口との間に位置するように設けられ、前記ピストンの冠面は、気筒軸方向からの平面視で前記点火プラグの前記着火部の下方を含む領域において、前記気筒軸方向に凹設されて、吸気側立面部及び排気側立面部を有するキャビティと、前記気筒軸方向からの平面視で前記キャビティを囲む外周部分の一部において、前記ピストンが圧縮上死点にあるときに前記燃焼室天井面における気筒軸方向上方の対応領域に対して隙間を空けて沿う沿面部と、前記気筒軸方向からの平面視で前記沿面部と前記着火部との間の領域において、前記沿面部および前記キャビティの周縁に連続して設けられ、前記沿面部よりも小面積で前記ピストンが圧縮上死点にあるときに前記点火プラグの前記着火部に指向するように形成された傾斜面部と、を有し、気筒軸方向の一方側からの平面視において、前記点火プラグの着火部が配置された箇所を基準として、前記吸気口が開口する側を前記燃焼室の吸気口側、前記排気口が開口する側を前記燃焼室の排気口側とするとき、前記燃焼室天井面は、前記吸気口側の部分が、前記沿面部と前記傾斜面部に沿って形成されるとともに、当該傾斜面部に対応する部分と前記排気口側に対応する部分とが、前記インジェクタが配設された部分を頂点とするペントルーフ形状に構成され、前記傾斜面部は、前記ペントルーフ形状の吸気口側端部に対応する位置に形成され、気筒軸方向視において、当該傾斜面部の全体が吸排気方向のプラグ着火部と沿面部との間に位置し、前記燃焼室天井面と前記沿面部及び前記傾斜面部とは、前記ピストンの上昇時にスキッシュ流を生成するスキッシュ流生成部を構成し、機関出力軸方向おける前記傾斜面部の両側の部分よりも当該傾斜面部の方が燃焼室天井面寄りに位置するように、機関出力軸方向における当該傾斜面部の両端が段差部を介して前記両側の部分に繋がっており、気筒軸方向において、前記排気側立面部は、高さが前記吸気側立面部よりも高く形成されているものであ
上記の各態様に係るエンジンでは、スキッシュ流を用いて燃焼室天井面付近の掃気が確実になされ、混合気の高い着火性を確保することができる。
第1実施形態に係るエンジンの燃焼室構造を示す模式断面図である。 エンジンにおけるピストンの構成を示す模式斜視図である。 ピストンの冠面の構成を示す模式平面図である。 図3のIV−IV断面を示す図であって、ピストンの冠面の構成を示す模式断面図である。 図3のV−V断面を示す図であって、ピストンの冠面の構成を示す模式断面図である。 図3のVI−VI断面を示す図であって、ピストンの冠面の構成を示す模式断面図である。 ピストンのキャビティと点火プラグの着火部及びインジェクタとの位置関係を示す模式平面図である。 ピストンの冠面における吸気側平面部及び吸気側斜面部とシリンダヘッドにおける吸気側天面部との関係を示す模式断面図である。 ピストンの冠面における側方立面部と点火プラグの着火部との位置関係を示す模式断面図である。 燃料噴射期間及び点火タイミングを示すタイムチャートである。 燃焼室に噴射された燃料と燃焼室内で生じるスワール流とを示す模式平面図である。 (a)は、圧縮行程前半でピストンが上昇中である場合の燃焼室の一部構成を示す模式断面図であり、(b)は、ピストンが圧縮上死点付近にあるときの燃焼室の一部構成を示す模式断面図である。 第2実施形態に係る燃料噴射期間及び点火タイミングを示すタイムチャートである。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
以下の説明で用いる図面において、X方向はエンジンの機関出力軸方向であり、Z方向は気筒軸方向である。
[第1実施形態]
1.エンジンの全体構成
第1実施形態に係る火花点火式のエンジンの燃焼室構造について、図1を用い説明する。
本実施形態に係るエンジンは、シリンダ及びピストンを含む、自動車等の車両の走行駆動用の動力源として、車両に搭載される多気筒エンジンである。エンジンは、エンジン本体1と、これに組み付けられた吸排気マニホールド及び各種ポンプとを含む(吸排気マニホールド及び各種ポンプ等の補機については、図示を省略)。エンジン本体1に供給される燃料は、例えば、ガソリンを主成分とするものである。
図1に示すように、エンジン本体1は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、及びピストン5を備える。シリンダブロック3は、紙面に垂直な方向(X方向)に並ぶ複数の気筒を有している(図1では、1つの気筒のみを図示)。本実施形態に係るエンジン本体1において、気筒壁面2は、シリンダブロック3の内側に嵌入されたシリンダライナ20により構成されている。
シリンダヘッド4は、シリンダブロック3上に取り付けられ、気筒の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、各気筒に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッドを介してクランク軸と連結されている(コネクティングロッド及びクランク軸の図示を省略)。
ピストン5における+Z側の冠面50よりも上方には、燃焼室6が形成されている。燃焼室6の燃焼室天井面6Uは、シリンダヘッド4の吸気側天面部43及び排気側天面部44を含む天面部により構成されている。
エンジン本体1における燃焼室天井面6Uは、上向き(+Z側の向き)に僅かに凸のペントルーフ型の形状(扁平ペントルーフ型形状)を有している。
ここで、本実施形態において、燃焼室6を区画する燃焼室壁面は、気筒壁面2と、ピストン5の冠面50と、シリンダヘッド4の底面(−Z側の面)である燃焼室天井面6uと、吸排気バルブのバルブ面(吸排気バルブについては、図示を省略。)と、で構成されている。即ち、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、ピストン5、及び吸排気バルブは、燃焼室6を構成する燃焼室構成部材ということができる。
シリンダヘッド4の吸気側天面部43には、点火プラグ17が取り付けられており、当該点火プラグ17の着火部170が、燃焼室天井面6Uから燃焼室6を臨むように配されている。点火プラグ17は、点火回路(図示を省略。)からの給電に応じて着火部170から火花を放電して、燃焼室6内の混合気に点火する。
また、シリンダヘッド4には、燃焼室天井面6Uの頂部に相当する部分に、インジェクタ(燃料噴射弁)18が取り付けられており、当該インジェクタ18の噴射孔181が、燃焼室天井面6Uから燃焼室6を臨むように配されている。インジェクタ18には、高圧燃料ポンプに繋がる燃料供給管が接続されている(高圧燃料ポンプ及び燃料供給管については、図示を省略)。なお、高圧燃料ポンプと燃料供給管との間には、エンジン本体1の全気筒に共通のコモンレール(図示を省略。)が設けられている。これらの構成により、インジェクタ18の噴射孔181からは、高圧の燃料が燃焼室6内に噴射される。
ピストン5の冠面50には、−Z側に凹設されたキャビティ51が設けられている。キャビティ51を含むピストン5の構成について、次に説明する。
2.ピストン5の構成
ピストン5の構成について、図2〜図6を用い説明する。図2は、ピストン5の構成を示す模式斜視図であり、図3は、ピストン5の冠面50の構成を示す模式平面図であり、図4〜図6は、ピストン5の冠面50の構成を示す模式断面図である。
図2に示すように、ピストン5は、ピストンヘッド部5Aと、その下方(−Z側)に連接されたピストンスカート部5Sと、を含む。ピストンヘッド部5Aは円柱形状を有し、燃焼室6の壁面の一部(底部)を構成する冠面50を上面(+Z側の面)に備えるとともに、気筒壁面2と摺接する側周面とを備える。
ピストンスカート部5Sは、ピストンヘッド部5Aの+Y側及び−Y側に配置され、ピストン5の往復運動の際の首振り揺動を抑制する部分である。
ピストンヘッド部5Aの下方(−Z側)には、X方向に延びるピン孔を区画するピストンボス部5Bが設けられている。ピストンボス部5Bのピン孔には、ピストンピンが挿通される。
ピストン5の冠面50は、燃焼室天井面6UとZ方向に対向する面であって、その径方向(X方向及びY方向)の略中央部分に椀状のキャビティ51を含む。キャビティ51は、−Z側に向けて凹入された(凹設された)部分であり、インジェクタ18からの燃料噴射を受ける部分である。
+Z側からの平面視において、冠面50におけるキャビティ51を囲む外周部分には、上凸部512、吸気側平面部53、排気側平面部54、吸気側斜面部55、及び排気側斜面部56が設けられている。上凸部52は、キャビティ51に対して−X側及び+X側の外周部分に設けられており、+Z側に向けて錐台状に突設されてなる部分である。
吸気側平面部(「沿面部」に相当。)53は、キャビティ51に対して+Y側の外周部分に設けられ、排気側平面部54は、キャビティ51に対して−Y側の外周部分に設けられている。本実施形態に係るピストン5では、吸気側平面部53の方が排気側平面部54よりも大きな面積を有するよう構成されている。このように、吸気側平面部53の面積を排気側平面部54よりも大きくすることにより、ピストン5が圧縮行程にあるときに吸気側平面部53と吸気側天面部43との間で生成されるスキッシュ流が、排気側平面部54と排気側天面部44との間で生成されるスキッシュ流よりも相対的に大きくなり、残留ガスの掃気効果をより高めることができる。
なお、本実施形態に係るエンジン本体1では、吸気側平面部53と、燃焼室天井面6Uにおける吸気側平面部53に対して+Z側に対向する対応領域とが、互いに隙間を空けて対向配置されており(図1を参照。)、吸気側平面部53と、燃焼室天井面6Uにおける対応領域との組み合わせを以ってスキッシュ流生成部が構成されている。これについては、後述する。
吸気側斜面部(「傾斜面部」に相当。)55は、キャビティ51と吸気側平面部53との間の領域に設けられており、+Y側から−Y側へ行くのに従って+Z側に向けてせり上がっている。
なお、本実施形態に係るエンジン本体1では、吸気側斜面部55と、燃焼室天井面6Uにおける吸気側斜面部55に対して+Z側に対向する対応傾斜領域とが、互いに隙間を空けて対向配置されており(図1を参照。)、吸気側斜面部55と、燃焼室天井面6Uにおける対応傾斜領域との組み合わせを以って第2スキッシュ生成部が構成されている。これについても、後述する。
排気側斜面部56は、キャビティ51と排気側平面部54との間の領域に設けられており、−Y側から+Y側へと行くのに従って+Z側に向けてせり上がっている。
図3に示すように、キャビティ51は、側方立面部512と、排気側立面部513と、吸気側立面部514と、底面部511と、を有している。この内、側方立面部512、排気側立面部513、及び吸気側立面部514は、ピストン5の冠面50を平面視する場合に、キャビティ50の周縁部に配設されている。これに対して、底面部511は、キャビティ51の内側の領域に配設されている。
図4に示すように、キャビティ51では、底面部511、排気側立面部513、及び吸気側立面部514が、それぞれ湾曲面を以って構成されている。そして、排気側立面部513及び吸気側立面部514は、底面部511よりもZ方向に立ち上がっており、底面部511と境界部分で接している。
ピストン5の冠面50において、キャビティ51を囲む外周部分の+Y側の領域には、吸気側平面部(沿面部)53が設けられている。そして、Y方向において、キャビティ51の周縁と吸気側平面部53との間には、吸気側斜面部(傾斜面部)55が設けられている。吸気側斜面部55は、+Y側から−Y側へ行くのに従って+Z側へとせり上がるように設けられた傾斜面部である。吸気側斜面部55は、+Y側で吸気側平面部53に連続するとともに、−Y側の傾斜頂部P55でキャビティ51の吸気側立面部514に連続している。
ここで、図4に示すように、キャビティ51の底部P511は、傾斜頂部P55に対して−Z側に深さDPに配置されている。なお、本実施形態に係るエンジン本体1では、底部P511は、吸気側平面部53よりも−Z側に配置されている。
同様に、ピストン5の冠面50において、キャビティ51を囲む外周部分の−Y側の領域には、排気側平面部54が設けられており、キャビティ51の周縁と排気側平面部54との間には、排気側斜面部56が設けられている。排気側斜面部56は、−Y側から+Y側へと行くのに従って+Z側へとせり上がるように設けられている。排気側斜面部56についても、−Y側で排気側平面部54に連続し、+Y側でキャビティ51の排気側立面部513に連続している。
次に、図5に示すように、キャビティ51において、底面部511は、曲率半径R511の湾曲面を以って構成されており、側方立面部512は、曲率半径R512の湾曲面を以って構成されている。底面部511及び側方立面部512の各曲率中心は、+Z側に存在する。
本実施形態に係るピストン5において、曲率半径R511と曲率半径R512とは、次の関係を満足する。
[数1]R511>R512
[数1]の関係を換言すると、側方立面部512は、底面部511よりもZ方向に立ち上がった湾曲面を以って構成されている。
なお、図5の拡大部分に示すように、側方立面部512と底面部511とは、互いの境界部分P51で湾曲面同士が接している。
図6に示すように、キャビティ51において、底面部511と側方立面部512とは、滑らかに連続するように設けられている。これにより、側方立面部512は、圧縮行程中におけるピストン5の上昇に伴って、燃焼室6内における筒内流動がキャビティ51内に集約される際の、混合気の流れFlow1を点火プラグ17の着火部170に向けて導く案内部として機能する。
3.ピストン5のキャビティ51と点火プラグ17の着火部170及びインジェクタ18との位置関係
ピストン5のキャビティ51と点火プラグ17の着火部170及びインジェクタ18との位置関係について、図7を用いて説明する。図7は、ピストン5のキャビティ51と点火プラグ17の着火部170及びインジェクタ18との位置関係を示す模式平面図である。
図7に示すように、ピストン5の冠面50におけるキャビティ51は、点火プラグ17における着火部170の下方(紙面に垂直な方向)を含む領域に設けられている。また、燃焼室天井面6U(図7では、図示を省略。)には、2つの吸気口41と2つの排気口42とが設けられている。そして、吸気口41及び排気口42は、Z方向(紙面に垂直な方向)からの平面視で、各一部がキャビティ51と重複するようになっている。
2つの吸気口41は、X方向に互いに間隔を空けた状態で設けられており、間に点火プラグ17の着火部170を挟むように配置されている。
ここで、図7の二点鎖線で囲んだ部分に示すように、点火プラグ17は、円柱状の点火プラグ本体174と、その先端に設けられた着火部170と、を有している。点火プラグ17の着火部170は、中心電極171と接地電極172とにより構成されている。中心D年極171と接地電極172とは、互いに放電ギャップGを空けて配設されている。接地電極172は、対向部173に連続する先端部分であり、対向部173と接地電極172とを側面視するとき、全体としてL字形状となっている。
インジェクタ18は、ピストン5の冠面50におけるキャビティ51の略中央部分の上方に設けられており、噴射孔181(図1を参照。)からは、キャビティ51内に向けて燃料噴射を実行するようになっている。
なお、図7に示すように、Z方向(紙面に垂直な方向)からの平面視において、エンジン本体1では、点火プラグ17の着火部170がインジェクタ18が設けられた部分と吸気側平面部53との間の部分に配されている。また、点火プラグ17は、対向部173がインジェクタ18に対して背を向ける状態で配されている。
4.ピストン5の冠面50における吸気側平面部53及び吸気側斜面部55とシリンダヘッド4における吸気側天面部43
ピストン5の冠面50における吸気側平面部53及び吸気側斜面部55とシリンダヘッド4における吸気側天面部43との関係について、図8を用いて説明する。図8は、ピストン5の冠面50における吸気側平面部53及び吸気側斜面部55とシリンダヘッド4における吸気側天面部43との関係を示す模式断面図である。
図8に示すように、シリンダヘッド4における吸気側天面部43は、シリンダブロック3とシリンダヘッド4との合わせ面と平行、即ち、気筒軸に対して垂直に構成されて、ピストン5の冠面50における吸気側平面部53に沿う平面部43aと、吸気側斜面部55に沿う斜面部43bと、を有している。そして、図8に示すように、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときに、シリンダヘッド4の吸気側天面部43における平面部43aは、ピストン5の吸気側平面部53に対して僅かな隙間G53を空けて対向し、斜面部43bは、吸気側斜面部55に対して僅かな隙間G55を空けて対向するようになっている。
なお、隙間G53と隙間G55とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なお、本実施形態では、ピストン5の吸気側斜面部55が、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときに、点火プラグ17の着火部170を指向するように設けられている(仮想線DR)。
本実施形態に係るエンジン本体1では、吸気側天面部43における平面部43aと、ピストン5の冠面50における吸気側平面部53との組み合わせを以ってスキッシュ流生成部を構成し、また、吸気側天面部43における斜面部43bと、ピストン5の冠面50における吸気側斜面部55との組み合わせを以って第2スキッシュ流生成部を構成している。これらについては、後述する。
また、図8では図示を省略しているが、シリンダヘッド4における排気側天面部44(図1を参照。)についても、ピストン5の冠面50における排気側平面部54に対して沿う平面部、及び、排気側斜面部56に対して沿う斜面部が、上記同様に構成されている。これにより、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときに、シリンダヘッド4における排気側天面部44と、ピストン5の冠面50における排気側平面部54及び排気側斜面部56とについても、僅かな隙間を空けて対向するようになっている。
5.ピストン5の冠面50における側方立面部512と点火プラグ17の着火部170
ピストン5の冠面50における側方立面部512と点火プラグ17の着火部170との位置関係について、図9を用い説明する。図9は、ピストン5の冠面50における側方立面部512と点火プラグ17の着火部170との位置関係を示す模式断面図である。
図9に示すように、点火プラグ17の着火部170は、インジェクタ18よりも紙面奥側であって、吸気口41同士の間の位置に配されている。なお、図9では、吸気口41が吸気バルブ11で塞がれた状態を示している。
そして、ピストン5の冠面50における2箇所の側方立面部512は、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときに、間に点火プラグ17の着火部170を挟む状態となっている。
6.燃料噴射期間及び点火タイミングの関係
本実施形態に係る燃料噴射期間及び点火タイミングについて、図10を用い説明する。図10は、燃料噴射期間及び点火タイミングを示すタイムチャートである。
図10に示すように、本実施形態に係るエンジンでは、少なくともモードIとモードIIの燃料噴射期間及び点火タイミングで、運転を成立させている。
(1)モードI
モードIは、エンジン本体1が高負荷低回転領域から高負荷中回転領域までの運転状態にある際に適用されるモードである。
図10に示すように、モードIでは、吸気行程の中盤での前段噴射PF1と、圧縮上死点(TDC)直前での後段噴射PF2と、が実行される。前段噴射PF1は、例えば、吸気行程の前半のタイミングT1に開始され、吸気行程の鋼板のタイミングT2に終了される。タイミングT1及びタイミングT2は、排気行程におけるTDCからピストン5が行程の半分程度下降するクランク角(例えば、TDC後70°CA)を挟んだタイミングに設定されている。このように、吸気行程の中盤で前段噴射PF1を行うことにより、燃焼室6内での混合気の形成時間を十分に確保することができる。
後段噴射PF2は、例えば、圧縮行程の後期のタイミングT3に開始され、圧縮上死点(TDC)の直前のタイミングT4に終了される。タイミングT3は、例えば、圧縮上死点(TDC)前10°CAとすることができる。このように、圧縮上死点(TDC)前に後段噴射PF2を実行することにより、ノッキングの防止を図ることができる。
点火プラグ17による点火IG1は、圧縮上死点(TDC)付近のタイミングT5に実行される。
なお、モードIでは、後段噴射PF2を実行することにより、点火直前に燃焼室6内のガス流動(筒内流動)を強くすることができる。そして、燃料圧力は、例えば、30MPa以上の高い圧力に設定されており、これにより、燃料の噴射期間及び混合気の形成期間(ミキシング期間)を短くすることができるとともに、燃焼室6内のガス流動をより強いものとすることができる。燃料圧力については、例えば、120MPaを上限値とすることもできる。
(2)モードII
モードIIは、エンジン本体1が高回転領域の運転状態にある際に適用され、SI燃焼を行うモードである。
図10に示すように、モードIIでは、吸気行程の前半のタイミングT11から噴射PF11が開始され、圧縮行程の前半のタイミングT12に終了される。モードIIでは、吸気行程から圧縮行程に至る期間で、一括して燃料噴射PF11が実行される。
点火プラグ17による点火IG11は、圧縮上死点(TDC)前のタイミングT15に実行される。
モードIIにおける燃料噴射PF11については、上記のように、吸気行程から圧縮行程に至る期間に一括して実行されるので、燃焼室6内に均質又は略均質な混合気を形成することができる。また、モードIIでは、エンジン本体1の回転数が高い状態で、燃料の気化時間をできるだけ長く確保することができ、未燃損失の低減を図ることもできる。
このように、モードIIを以って高回転領域の運転が実行されるエンジン本体1では、混合気の空燃比を略理論空燃比とすることにより、三元触媒を利用して燃焼室6から排出された排気ガスを浄化することができるとともに、SI燃焼の実行により異常燃焼を回避することができる。
7.燃焼室6内で生じるスワール流
燃焼室6内で生じるスワール流について、図11を用い説明する。図11は、燃焼室6内に噴射された燃料と燃焼室6内で生じるスワール流とを示す模式平面図である。
図11に示すように、Z軸方向(図面に垂直な方向)からの平面視で、燃焼室6の略中央部分に配設されたインジェクタ18からは、放射状に燃料が噴射される(噴射燃料18E)。具体的に、インジェクタ18からは、ピストン5の冠面50に設けられたキャビティ51内に向けて燃料が噴射されるように構成されている。
なお、本実施形態に係るエンジン本体1では、インジェクタ18からの燃料噴射が、点火プラグ17の着火部170に対して指向軸が向かないようになっている。即ち、インジェクタ18からの噴射燃料18Eは、その指向軸が点火プラグ17の着火部170の両脇を通過するようになっている。これにより、プラグ被りの発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1では、上記のように、点火プラグ17における対向部173が−Y側に向けられており、着火部170がインジェクタ18の噴射孔181に背を向けるようになっている。これによっても、プラグ被りの発生を抑制することができる。
燃焼室6内では、矢印で示すように、キャビティ51の周縁部を周回するようにスワール流Flow2は生じる。このようにキャビティ51の周縁部に生じるスワール流Flow2によって、空気と燃料との混合が十分に行われ、点火プラグ17の着火部170及びその近傍へと導かれる。
なお、図6を用い説明したように、キャビティ51の周縁部に設けられた側方立面部(案内部)512によって、スワール流Flow2が周回する内に点火プラグ17の着火部170及びその近傍へと向けて混合気が+Z側(紙面手前側)に持ち上げられる。
また、上記のように、混合気が点火プラグ17の着火部170及びその近傍へと導かれることにより、着火部170近傍の残留ガスを押し流すこともできる。
8.燃焼室6内で生じるスキッシュ流
燃焼室6内で生じるスキッシュ流について、図12を用い説明する。図12は、(a)が圧縮行程前半でピストン5が上昇中である場合の燃焼室6の状態を示す模式断面図であり、(b)が、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときの燃焼室6の状態を示す模式断面図である。なお、先の説明で用いた図8についても、適宜用いる。
図12(a)に示すように、圧縮行程においてピストン5が矢印Aで示すように+Z側に上昇中の状態では、ピストン5の吸気側平面部53及び吸気側斜面部55と燃焼室天井面6Uとの間隔が狭まるに従って、矢印Bで指し示す部分に存在する混合気が圧縮されてゆく。
図12(b)に示すように、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近に到達した状態では、ピストン5の吸気側平面部53とシリンダヘッド4の平面部43aとは僅かな隙間G53を残した状態で対向し、吸気側斜面部55と斜面部43bとは僅かな隙間G55を残した状態で対向することとなる(図8を合わせて参照)。
上記のように、本実施形態に係るエンジン本体1では、ピストン5における吸気側平面部53とシリンダヘッド4における平面部43aとは、互いに隙間G53を空けて沿う状態で形成され、吸気側斜面部55と斜面部43bとは、互いに隙間G55を空けて沿う状態で形成されている。そして、ピストン5の吸気側斜面部55は、ピストン5がTDC付近に位置する状態で、指向軸(仮想線DR)が点火プラグ17の着火部170に向くように設けられている(図8を参照)。
上記のように、ピストン5における吸気側平面部53及び吸気側斜面部55と、シリンダヘッド4における平面部43a及び斜面部43bと、を設けているので、ピストン5の吸気側平面部53及び吸気側斜面部55とシリンダヘッド4の吸気側天面部43との間で圧縮された混合気は、吸気側斜面部55と斜面部43bとの間の隙間から、点火プラグ17の着火部170に向けたスキッシュ流Flow3として噴出される。即ち、ピストン5における吸気側平面部53とシリンダヘッド4における平面部43aとの組み合わせを以ってスキッシュ流生成部が構成されるとともに、吸気側斜面部55と斜面部43bとの組み合わせを以って第2スキッシュ流生成部が構成される。
よって、本実施形態に係るエンジン本体1では、ピストン5の上昇時に生成されるスキッシュ流Flow3を利用して、点火プラグ17の着火部170及びその周辺の残留ガスを掃気することができる。
なお、図12では図示を省略したが、ピストン5には、排気側平面部54及び排気側斜面部56と、シリンダヘッド4における排気側天面部44(図1を参照。)と、についてもピストン5がTDC付近に位置する状態で、僅かな隙間を残して対向する。このため、ピストン5の上昇に伴って、燃焼室6内における排気側の領域からも燃焼室天井6Uに沿う混合気の流れが生成される。これによって、燃焼室6内におけるインジェクタ18の噴射孔181及びその周辺の残留側を掃気することもできる。
9.効果
本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、図8を用いて説明したように、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときに吸気側斜面部(傾斜面部)55が点火プラグ17の着火部170を指向するように(指向軸DRが着火部170に向くように)形成されているので、吸気側平面部(沿面部)53とシリンダヘッド4の平面部43aとの組み合わせで構成されたスキッシュ流生成部で生成されたスキッシュ流を着火部170に向けて送ることができる。よって、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、スキッシュ流を利用して点火プラグ17の着火部170及びその周辺の残留ガスを掃気することができる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、ピストン5の冠面50にキャビティ51を設けているので、燃料と新気との移動距離を長くとることができ、着火までの間に燃料の霧化を確実に行うことができる。
従って、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、ピストン5の冠面50にキャビティ51が設けられてなる構成を採用することで燃料を霧化するための移動距離を確保しながら、燃焼室天井面6U付近(特に、点火プラグ17の着火部170及びその近傍)の掃気が確実になされ、混合気の高い着火性を確保することができる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、図4を用いて説明したように、キャビティ51の底部P511が吸気側斜面部(傾斜面部)55の傾斜頂部P55よりも−Z側に深く位置するようにしているので、燃料と新気との混合気をキャビティ51内に留めることができる。即ち、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、キャビティ51の底部P511を傾斜頂部P55よりも−Z側に深く配置することにより、吸気側斜面部(傾斜面部)55に沿って点火プラグ17の着火部170に向けての流動の影響を受けて、燃焼室6内の混合気が着火部170から離間する方向に流されてしまうといった事態が生じるのを抑制することができる。よって、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、混合気の着火性を更に向上させることができる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、キャビティ51が燃焼室天井面6Uから離れる方向(−Z側)に凸(下凸)の椀状、換言すると、底面部511に上凸の障害物が存在しない椀状のキャビティ51を採用するので、着火後における火炎伝播が燃焼室全体にスムーズに実行される。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、点火プラグ17の放電ギャップGが吸気側斜面部(傾斜面部)55の方に向けて解放されるように配されているので、スキッシュ流Flow3が遮られることなく放電ギャップGに到達し、残留ガスの掃気効果をより高く得ることができる。よって、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、さらに混合気の着火性を高めることができる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6構造では、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときに、ピストン5の吸気側斜面部(傾斜面部)55とシリンダヘッド4の斜面部(対応傾斜領域)43bとについても、隙間G55を空けて互いが沿った状態になっており、これらの組み合わせを以って第2スキッシュ流生成部が構成されているので、より確実に燃焼室天井面6U付近の残留ガスを掃気することができる。
従って、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、スキッシュ流Flow3を用いて点火プラグ17の着火部170及びその近傍の掃気が確実になされ、混合気の高い着火性を確保することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る火花点火式のエンジンについて、図13を用い説明する。図13は、本実施形態に係る燃料噴射期間及び点火タイミングを示すタイムチャートである。
なお、本実施形態に係るエンジンでは、上記第1実施形態に対して、燃料噴射期間が一部異なる以外は同じ構成を採用しているので、燃料噴射期間及び点火タイミングについてのみ説明する。
図13に示すように、本実施形態に係るエンジンでも、少なくともモードIとモードIIの燃料噴射期間及び点火タイミングで、運転を成立させている。この内、モードIIについては、上記第1実施形態と同じであるので、以下では、モードIについてのみ説明する。
本実施形態に係るモードIでは、吸気行程中盤から圧縮行程前半にかけての燃料噴射PF21は実行されるが、上記第1実施形態と異なり圧縮上死点(TDC)直前での燃料噴射は実行されない。即ち、本実施形態に係るモードIにおいて、燃料噴射PF21は、吸気行程の中盤のタイミングT21に燃料噴射が開始され、圧縮行程の前半のタイミングT22に終了される。
ここで、燃料噴射PF21の開始タイミングT21は、例えば、圧縮上死点(TDC)前280°CAとすることができる。
なお、点火プラグ17による点火IG21は、上記第1実施形態のモードIと同様に、圧縮上死点(TDC)付近のタイミングT25に実行される。
本実施形態に係るモードIでは、図13に示すような燃料噴射PF21の期間を設定することにより、燃焼室6の外周部においてCI(Compression Ignition)燃焼のための混合気を形成することができるとともに、燃焼室6の中央部において、SI(Spark Igmition)燃焼のための混合気を形成することができる。
なお、燃焼室6の中央部における混合気は、好ましくは空気過剰率λが1以下であり、外周部の混合気は、空気過剰率λが1以下(好ましくは、1未満)である。そして、燃焼室6の中央部での混合気の空燃比(A/F)は、例えば、13以上、理論空燃比(14.7)以下とすることが可能である。
また、燃焼室6の外周部における混合気の空燃比については、例えば、11以上、理論空燃比(14.7)以下、あるいは、11以上、又は12.5以上、13以下とすることもできる。
即ち、本実施形態では、エンジン本体1の回転数が高い状態において、燃料噴射PF21によって噴射された燃料が反応する時間が短くなるため、混合気の反応を抑制するための後段噴射(上記第1実施形態の後段噴射PF2)を省略することができる。
本実施形態では、上記第1実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6と同じ構成を採用しているので、上記第1実施形態と同様に、スキッシュ流Flow3を用いて点火プラグ17の着火部170及びその近傍の掃気が確実になされ、混合気の高い着火性を確保することができる。
[変形例]
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ピストン5の冠面50における吸気側斜面部55とシリンダヘッド4における斜面部43bとについても、ピストン5が圧縮上死点(TDC)付近にあるときに僅かな隙間G55を空けて対向し、これらの組み合わせを以って第2スキッシュ流生成部を構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、吸気側斜面部55と斜面部43bとが沿っていない形態を採用することもできる。この場合にも、吸気側斜面部55がスキッシュ流を点火プラグ17の着火部170に向けて導く機能を果たすことができる。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、沿面部の一例として吸気側平面部53を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、沿面部として凹曲面や凸曲面を採用することとしてもよい。
同様に、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、傾斜面部として平面形状の吸気側斜面部55を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、傾斜面部として凹曲面や凸曲面を採用することもできる。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ピストン5における排気側平面部54及び排気側斜面部56についても、それぞれ平面で構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、凹曲面や凸曲面で構成することも可能である。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ピストン5のキャビティ51について、図3のV−V断面(図5に示す断面)で、1つの底面部511と2つの側方立面部512との組み合わせを以って断面を構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、底面部511と側方立面部512との間に湾曲面や平面が介挿された断面構成を採用することもできる。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、底面部511と側方立面部512とが境界部分P51で接することとしたが、本発明は、必ずしもこれに限定を受けるものではない。微小な角度で交差することとしてもよい。これによっても、筒内気流への影響はほとんどないものと考えることができる。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、ピストン5における吸気側平面部53を排気側平面部54よりも大面積である構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、面積が同じである吸気側平面部と排気側平面部を採用することもできる。
ただし、吸気側からのスキッシュ流Flow3の流れを、排気側からの気流の流れよりも強くして、点火プラグ17の着火部170及びその周辺の残留ガスを掃気するという機能を考える場合には、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同じ構成を採用することが望ましい。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、燃焼室天井面6Uを扁平なペントルーフ形状で構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。より高いレシオのペントルーフ形状を採用することもできる。このように高いレシオのペントルーフ形状の燃焼室天井面を採用する場合には、強いタンブル流を生成するのに優位となる。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、吸気口41に繋がる吸気ポートなどについては特に言及しなかったが、本発明では、種々のバリエーション構成を採用することができる。例えば、2つの吸気口に繋がる吸気ポートの内の一方にスワールコントロールバルブを設けることもできる。このような構成を採用する場合には、スワールコントロールバルブの開閉制御により、燃焼室6内におけるスワール流Flow2をより積極的に発生させることが可能となる。
具体的には、スワールコントロールバルブを閉止することにより、気筒軸周りの渦流であるスワール流を発生させ易くすることができる。
1 エンジン本体
2 気筒壁面
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 ピストン
6 燃焼室
17 点火プラグ
18 インジェクタ
41 吸気口
43 吸気側天面部
43a 平面部(対応領域)
43b 斜面部(対応傾斜領域)
50 冠面
51 キャビティ
53 吸気側平面部(沿面部)
55 吸気側斜面部(傾斜面部)
170 着火部
511 底面部
512 側方立面部
514 吸気側立面部

Claims (1)

  1. 火花点火式のエンジンにおいて、
    ピストンの冠面と、
    前記ピストンが摺動可能に構成された気筒壁面と、
    シリンダヘッドに形成された燃焼室天井面と、
    前記燃焼室天井面に取り付けられているとともに、前記燃焼室を臨むように配された着火部を有し、前記ピストンが圧縮上死点又はその近傍にある所定のタイミングで点火するように構成された点火プラグと、
    前記燃焼室の天井面に開口された吸気口及び排気口と、を備え、
    前記吸気口は機関出力軸方向に並んで形成された第1吸気口と第2吸気口とで構成され、
    前記点火プラグは、着火部が前記第1吸気口と前記第2吸気口との間に位置するように設けられ、
    前記ピストンの冠面は、
    気筒軸方向からの平面視で前記点火プラグの前記着火部の下方を含む領域において、前記気筒軸方向に凹設されて、吸気側立面部及び排気側立面部を有するキャビティと、
    前記気筒軸方向からの平面視で前記キャビティを囲む外周部分の一部において、前記ピストンが圧縮上死点にあるときに前記燃焼室天井面における気筒軸方向上方の対応領域に対して隙間を空けて沿う沿面部と、
    前記気筒軸方向からの平面視で前記沿面部と前記着火部との間の領域において、前記沿面部および前記キャビティの周縁に連続して設けられ、前記沿面部よりも小面積で前記ピストンが圧縮上死点にあるときに前記点火プラグの前記着火部に指向するように形成された傾斜面部と、を有し、
    気筒軸方向の一方側からの平面視において、前記点火プラグの着火部が配置された箇所を基準として、前記吸気口が開口する側を前記燃焼室の吸気口側、前記排気口が開口する側を前記燃焼室の排気口側とするとき、
    前記燃焼室天井面は、前記吸気口側の部分が、前記沿面部と前記傾斜面部に沿って形成されるとともに、当該傾斜面部に対応する部分と前記排気口側に対応する部分とが、前記インジェクタが配設された部分を頂点とするペントルーフ形状に構成され、
    前記傾斜面部は、前記ペントルーフ形状の吸気口側端部に対応する位置に形成され、気筒軸方向視において、当該傾斜面部の全体が吸排気方向のプラグ着火部と沿面部との間に位置し、
    前記燃焼室天井面と前記沿面部及び前記傾斜面部とは、前記ピストンの上昇時にスキッシュ流を生成するスキッシュ流生成部を構成し、
    機関出力軸方向おける前記傾斜面部の両側の部分よりも当該傾斜面部の方が燃焼室天井面寄りに位置するように、機関出力軸方向における当該傾斜面部の両端が段差部を介して前記両側の部分に繋がっており、
    気筒軸方向において、前記排気側立面部は、高さが前記吸気側立面部よりも高く形成されている、
    エンジン。
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