JP6565968B2 - エンジン - Google Patents

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    • F02D41/3011Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion
    • F02D41/3017Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used
    • F02D41/3035Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode
    • F02D41/3041Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode with means for triggering compression ignition, e.g. spark plug

Description

本発明は、火花点火式のエンジンの燃焼室構造に関する。
近年、自動車などの車両用のガソリンエンジンでは、熱効率向上のために高圧縮化の取り組みが広がっている。この種のエンジンではプリイグニッションが起こり易くなる。プリイグニッションとは、圧縮工程における筒内温度の上昇により、先の工程で残った未燃燃料が火種となって、点火プラグの着火による燃焼より前に燃焼が起きる現象である。プリイグニッションの発生を抑制するには、圧縮工程において、ピストンが上死点付近にあるときに燃焼室内に燃料を直接噴射し、その直後に点火プラグにより着火を行うことが有効である。特許文献1には、そのようなエンジン(直噴型エンジン)が例示されている。
特開2012−215098号公報
ところで、エンジンの高負荷運転時には低負荷運転時に比べて燃焼室温度が高く、プリイグニッションがより発生し易くなる。そのため、前記直噴型エンジンにおいては、燃料噴射後、より早期に着火を行えるように、燃料噴射弁と点火プラグの着火部とを近接して配置するのが理想的である。しかし、燃料噴射弁と点火プラグの着火部とが近接していると、燃焼室温度が比較的低い場合(例えばエンジン始動直後など)に、噴射燃料が充分に霧化されないまま着火部に到達して着火不良を誘発することが考えられる。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、火花点火式エンジンにおいて、燃焼室低温時の着火性を向上させることを目的とする。
本発明の一局面に係るエンジンは、火花点火式のエンジンであって、キャビティを備えるピストン及び気筒を含むエンジンの燃焼室を区画する燃焼室壁面を有する燃焼室構成部材と、前記燃焼室内の上部に着火部が配置された点火プラグと、燃料噴射弁と、を備え、前記燃焼室壁面の一部は、吸気側開口部及び排気側開口部を有する燃焼室天井面で形成され、前記吸気側開口部は、第1吸気側開口部と第2吸気側開口部とで構成され、前記点火プラグは、前記着火部が、気筒軸方向視で前記第1吸気側開口部の中心と前記第2吸気側開口部の中心との間に対応する位置に配設され、前記燃料噴射弁は、当該燃料噴射弁の中心軸周りに等間隔で複数の噴射孔が形成されたノズルヘッドが前記燃焼室天井面の略中心に位置するように配置され、前記複数の噴射孔は、前記キャビティ内に燃料を噴射可能に構成され、前記複数の噴射孔は、指向軸が前記着火部の気筒軸方向下方を通過するように設定されており、前記着火部は、中心電極と、気筒軸方向と直交する方向視においてL字型をなす接地電極とを備えており、前記点火プラグは、前記燃焼室の中心よりも径方向外側かつ前記キャビティの周縁よりも径方向内側に前記着火部が位置し、かつ、気筒軸方向視において前記接地電極の先端が前記径方向外側を向くように前記燃焼室天井面に配置され、前記キャビティの周縁部のうち、気筒軸方向視で点火プラグに対応する部分は、その両側に設けられた、燃焼室径方向内方に向けて凹む窪み部を介して当該周縁部のその他の部分に連続するとともに、当該その他の部分に対して燃焼室径方向外方に向けて突出しているものである。
上記の燃焼室構造によれば、ピストンが上死点付近にあるときに前記燃焼室内に生成される気流のスワール成分(単にスワール流という)が点火プラグの着火部に導かれ易くなる。つまり、混合気がスワール流によって着火部に運ばれ易くなる。特に、スワール流は気筒の内壁面に沿って流れ易いため、接地電極の先端が燃焼室の径方向外側を向くように点火プラグが配設された上記燃焼室構造によれば、混合気をより円滑に着火部に運ぶことができ、燃焼室温度が比較的低い場合の点火プラグの着火性を向上させることが可能となる。そのため、高圧縮比のガソリンエンジンにおいて、プリイグニッションの発生を抑制すべく、ピストンが上死点位置又はその近傍にあるときに燃焼室内に燃料が直接噴射されて着火が行われるような場合でも、燃焼室低温時の着火不良の発生を抑制することが可能
となる。
また、接地電極の先端が燃焼室の径方向外側を向くように点火プラグが配設される上記燃焼室構造によれば、噴射燃料が接地電極によってブロックされる。すなわち、充分に霧化しない状態の噴射燃料が中心電極と接地電極との間の空間(放電空間)に入り込むことが防止される。そのため、プラグ被りの発生を抑制することができる。
また、燃料噴射弁から噴射された燃料は、キャビティの底面等に沿って案内されつつその間に霧化されて点火プラグの着火部に到達する。そのため、ピストンが上死点位置又はその近傍にあるときに燃料を噴射させながらも、点火プラグの着火部に対して霧化された燃料を与えることが可能となる。
また、第1、第2吸気側開口部を通じて燃焼室に入る吸気の一部が各吸気バルブ(弁体)に沿って点火プラグの着火部に運ばれる。そのため、着火部の周りの残留ガスが効果的に排除される。従って、点火プラグの着火部に新鮮な混合気を与えて、点火プラグによる着火性を向上させることが可能となる。
上記の燃焼室構造において、前記エンジンは、燃焼室内に強制的にスワール流を生成するためのスワール流生成部を備えるものであるのが好適である。
この燃焼室構造によれば、スワール流生成部により生成される強力な斜めスワール流により、混合気が点火プラグの着火部に円滑に運ばれることとなる。そのため、点火プラグによる着火性をより一層向上させることが可能となる。
本発明によれば、火花点火式エンジンにおいて、燃焼室低温時の着火性を向上させることが可能なエンジンを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの燃焼室構造が適用されるエンジンを示す概略断面図である。 図2は、図1に示されたシリンダヘッド要部の断面図である。 図3は、前記ピストンに対する点火プラグ及びインジェクタの配置を示す斜視図である。 図4は、前記ピストンの冠面の平面図である。 図5は、図4のV−V線断面図である。 図6は、図4のVI−VI線断面図である。 図7は、燃焼室天井面の平面図である。 図8は、図12の要部拡大図である。 図9は、燃料噴射期間及び点火タイミングとクランク角との関係を示すタイムチャートである。 図10は、燃焼室で発生するスワール流を説明するための平面図である。 図11は、燃焼室で発生するスワール流を説明するための断面図である。 図12は、燃料噴射直後の燃焼室における混合気のフローを説明するための斜視図である。 図13は、燃料噴射直後の燃焼室における混合気のフローを説明するための断面図である。 図14は、吸気バルブに沿って流入する吸気の流を示す平面図である。
[エンジンの全体構成]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る火花点火式のエンジンの燃焼室構造を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの燃焼室構造が適用されるエンジンを示す概略断面図、図2は、図1に示されたシリンダヘッドの要部の断面図である。図1、図2及びこれら以降の図においては、XYZの方向表示を付している。Z方向は気筒軸方向、Y方向はクランク軸の延伸方向、X方向はZ方向及びY方向の双方と直交する方向である。
本実施形態に係るエンジンは、気筒(シリンダ)及びピストンを含み、自動車等の車両の走行駆動用の動力源として前記車両に搭載される多気筒エンジンである。エンジンは、エンジン本体1と、これに組付けられた図外の吸排気マニホールド及び各種ポンプ等の補機とを含む。エンジン本体1に供給される燃料は、ガソリンを主成分とするものである。
本実施形態のエンジン本体1は、点火プラグにて燃焼室内の混合気に強制点火する通常のSI(Spark Ignition)燃焼と、SI燃焼において燃料噴射のタイミングを圧縮上死点(TDC)付近とするリタードSI燃焼と、SI燃焼とCI(Compression Ignition)燃焼とを組み合わせたSICI燃焼と、を実行することが可能とされている。SI燃焼では、吸気行程の中期に燃料が噴射され、圧縮行程のTDC付近で混合気に強制点火されるが、リタードSI燃焼では、圧縮行程のTDC前後で燃料が噴射され、その後の膨張行程初期に混合気に強制点火される。SICI燃焼では、燃焼室の混合気に強制点火して火炎伝播により燃焼させると共に、燃焼室内の未燃混合気を自己着火により燃焼させる。なお、SICI燃焼において、自己着火を発生させず、火炎伝播により燃焼を完了させる場合もある。これらの燃焼態様は、運転領域に応じて選択される。例えば、SI燃焼は、エンジンの高回転・高負荷領域で、リタードSI燃焼は低回転・高負荷領域で、SICI燃焼は回転数に依らず低負荷領域で、各々選択される。
エンジン本体1は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5(これらは、本発明における「燃焼室構成部材」の一例である)を備える。シリンダブロック3は、図1の紙面に垂直な方向に並ぶ複数の気筒2(図中ではそのうちの1つのみを示す)を有している。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上面に取り付けられ、気筒2の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、各気筒2に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されている。ピストン5の往復運動に応じて、クランク軸7はその中心軸回りに回転する。ピストン5の構造については、図3〜図6に基づき後記で詳述する。
ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の底面4aは燃焼室天井面6Uであり、この燃焼室天井面6Uは、上向きに僅かに凸のペントルーフ型の形状を有している。燃焼室天井面6Uには、吸気ポート9の下流端である吸気側開口部41と、排気ポート10の上流端である排気側開口部42とが形成されている。シリンダヘッド4には、吸気側開口部41を開閉する吸気バルブ11と、排気側開口部42を開閉する排気バルブ12とが組み付けられている。燃焼室天井面6Uの平面図である図7を参照して、本実施形態のエンジン本体1は、ダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンであり、吸気側開口部41と排気側開口部42とは、各気筒2につき2つずつ設けられると共に、吸気バルブ11および排気バルブ12も2つずつ設けられている。
図2に示されるように、吸気バルブ11及び排気バルブ12は、いわゆるポペットバルブである。吸気バルブ11は、吸気側開口部41を開閉する傘状の弁体11aと、この弁体11aから垂直に延びるステム11bとを含む。同様に、排気バルブ12は、排気側開口部42を開閉する傘状の弁体12aと、この弁体12aから垂直に延びるステム12bとを含む。吸気バルブ11の弁体11aは、燃焼室6に臨むバルブ面11cを有する。排気バルブ12の弁体12aは、燃焼室6に臨むバルブ面12cを有する。
吸気バルブ11及び排気バルブ12も、上記の「燃焼室構成部材」に相当する。本実施形態において、燃焼室6を区画する燃焼室壁面は、気筒2の内壁面、ピストン5の上面(+Z側の面)である冠面50、シリンダヘッド4の底面4a、吸気バルブ11のバルブ面11c及び排気バルブ12のバルブ面12cからなる。
シリンダヘッド4には、吸気バルブ11、排気バルブ12を各々駆動する吸気側動弁機構13、排気側動弁機構14が配設されている。これら動弁機構13、14によりクランク軸7の回転に連動して、吸気バルブ11および排気バルブ12が駆動される。これら吸気バルブ11および排気バルブ12の駆動により、吸気バルブ11の弁体11aが吸気側開口部41を開閉し、排気バルブ12の弁体12aが排気側開口部42を開閉する。
吸気側動弁機構13には、吸気側可変バルブタイミング機構(吸気側VVT)15が組み込まれており、同様に、排気側動弁機構14には、排気側可変バルブタイミング機構(排気側VVT)16が組み込まれている。
シリンダヘッド4には、燃焼室6内の混合気に点火エネルギーを供給する点火プラグ17が、各気筒2につき1つずつ取り付けられている。点火プラグ17は、その先端に着火部17Aを備え、この着火部17Aが燃焼室6内に臨む姿勢でシリンダヘッド4に取り付けられている。点火プラグ17は、図外の点火回路からの給電に応じてその先端から火花を放電して、燃焼室6内の混合気に点火する。点火プラグ17の配置、着火部17Aの構造などについては、後記で詳述する。
シリンダヘッド4(燃焼室天井面6U)には、先端部から燃焼室6内にガソリンを主成分とする燃料を噴射するインジェクタ18(燃料噴射弁)が、各気筒2につき1つずつ取り付けられている。インジェクタ18には燃料供給管19が接続されている。インジェクタ18は、燃料供給管19を通して供給された燃料を燃焼室6に噴射する。燃料供給管19の上流側には、クランク軸7と連動連結されたプランジャー式のポンプ等からなる高圧燃料ポンプ(図示せず)が接続されている。この高圧燃料ポンプと燃料供給管19との間には、全気筒2に共通の蓄圧用のコモンレール(図示せず)が設けられている。このコモンレール内で蓄圧された燃料が各気筒2のインジェクタ18に供給されることにより、各インジェクタ18からは、高い圧力の燃料が燃焼室6内に噴射される。
なお、図1において、符号91は、スワールコントロールバルブ(SCV/本発明のスワール流生成部に相当する)であり、2つの吸気側開口部41に連通する吸気ポート9のうちの一つに設けられている。前記エンジン本体1では、運転状態(モード)に応じて、このSCV91により一方の吸気ポート9(吸気側開口部41)を閉止又はそれに近い状態とすることにより、燃焼室6内に気筒軸周りの渦流であるスワール流を発生させ、着火性及び燃焼性を向上させている。当例では、前記SI燃焼やSICI燃焼が実行される際に、図外の制御回路の制御によりSCV91が駆動され、前記一方の吸気ポート9(吸気側開口部41)が閉止又はそれに近い状態とされる。
[ピストンの詳細構造]
図3〜図6を参照して、ピストン5の構造、とりわけ冠面50の構造について詳細に説明する。図3は、ピストン5に対する点火プラグ17及びインジェクタ18の配置関係を示す斜視図、図4は、冠面50の平面図である。また、図5、図6は、それぞれ図4のV−V線、VI−VI線断面図である。
ピストン5は、ピストンヘッド5Aと、ピストンヘッド5Aの下方(−Z側)に連設されたスカート部5Sとを含む。ピストンヘッド5Aは円柱体からなり、上記の通り燃焼室6の壁面の一部(底面)を形成する冠面50を上面に備えると共に、気筒2の内壁面と摺接する側周面とを備える。前記側周面には、ピストンリングが嵌め込まれるリング溝が複数備えられている。スカート部5Sは、ピストンヘッド5Aの+X側及び−X側に配置され、ピストン5の往復運動の際の首振り揺動を抑制する。ピストンヘッド5Aの下方には、Y方向に延びるピン孔を区画するピストンボス5Bが設けられている。ピストンボス5Bの前記ピン孔には、ピストンピン81が挿通される(図5)。ピストンピン81は、コネクティングロッド8の小端部8Sと、ピストン5とを連結するピンである。
冠面50は、燃焼室天井面6UとZ方向に対向する面である。冠面50は、その径方向(X方向及びY方向)の概ね中央部分に配置されたキャビティ5Cを含む。キャビティ5Cは、冠面50が下方(−Z側)に凹没された部分であり、例えば上述のリタードSI燃焼を行うモードにおいて、インジェクタ18から燃料の噴射を受ける部分である。冠面50においてキャビティ5Cの外周には、吸気側平面部55、排気側平面部56及び一対の側方上面57が配置されている。吸気側平面部55は、キャビティ5Cの−X側に隣接する平面、排気側平面部56は、キャビティ5Cの+X側に隣接する平面、一対の側方上面57はキャビティ5Cの+Y側及び−Y側に各々隣接する、概ね平坦な面である。
キャビティ5Cは、小キャビティ51(本発明のキャビティに相当する)、大キャビティ52及び山型の形状を有する凸部53を含む。小キャビティ51は、図3に示すように、点火プラグ17の着火部17Aに対応する位置、つまり着火部17Aの直下の位置を含む領域に凹設されている。大キャビティ52は、小キャビティ51に隣接する位置に凹設され、気筒軸方向の上面視(図4)において、小キャビティ51よりも大きい投影面積を有している。本実施形態では、大キャビティ52の気筒軸方向の投影面積が、小キャビティ51よりも8倍程度大きい態様を例示している。凸部53は、冠面50のXY方向の中央付近に配置されている。凸部53は、インジェクタ18のノズルヘッド18Nの直下の位置に凸設されている。
後記で詳述するが、小キャビティ51は、着火部17A周辺の比較的狭い領域に混合気を集約し、着火部17Aによる強制点火によって火種となる燃焼領域を作る役目を果たす。従って、小キャビティ51の気筒軸方向の投影面積は、着火部17Aの周囲を取り囲む程度の小面積で足りる。小キャビティ51のキャビティ形状は、インジェクタ18から当該小キャビティ51に噴射される燃料を燃焼室天井面6Uに向かって案内できる形状、すなわち燃料を点火プラグ17の着火部17Aに向かって案内できる形状とされている(図13参照)。小キャビティ51のキャビティ形状は特に限定されものではないが、例えば着火部17Aの鉛直下方を中心とするパラボラ形状は、好ましい形状の一つである。
一方、大キャビティ52は、同様に混合気を集約する役目を果たすが、小キャビティ51で発生した火炎を火種として、燃焼室6の全体に速やかにその火炎を拡張させることが企図されたキャビティである。このため、大キャビティ52の投影面積はなるべく大きいことが望ましく、小キャビティ51の投影面積に対して5〜15倍程度の投影面積を具備していることが望ましい。また、火炎を燃焼室6の全体に均等に拡張させるためには、図4に例示しているように、上面視において冠面50と大略的に同心円となる外形形状を備えていることが望ましい。
小キャビティ51は、当該小キャビティ51を区画する外周縁である第1周縁511を含む。大キャビティ52は、当該大キャビティ52を区画する外周縁である第2周縁521を含む。第1周縁511は、上面視で略扇型の形状であり、凸部53、吸気側平面部55及び大キャビティ52との境界線となる。第2周縁521は、上面視で略C字型の形状を有している。つまり、大キャビティ52は、冠面50の気筒軸方向視において略C字形状を有している。第2周縁521は、凸部53、吸気側平面部55、排気側平面部56、側方上面57及び小キャビティ51との境界線となる。
第1周縁511の一部は、第2周縁521の一部を兼ねる共通周縁部である。具体的には、第1周縁511における、凸部53及び吸気側平面部55と各々境界をなす円弧状部分を除いた部分は、第2周縁521の一部と共通である。この第2周縁521の一部は、前記C字形状の開放部分(開放端縁)に相当する。前記共通周縁部は、図6に示されているように、上方へ突出した稜線54である。すなわち、本実施形態では、稜線54だけを間に介して小キャビティ51と大キャビティ52とが隣り合っている。
図4を参照して、大キャビティ52は、略円形の凸部53を取り囲むC字形状を有している。小キャビティ51は、このような大キャビティ52の、C字形状の開放部分に挟まれる位置に形成されている。これにより、稜線54で区切られてはいるが、小、大キャビティ51、52によって、凸部53と略同心の環状凹部が冠面50に形成されている。
凸部53はインジェクタ18(ノズルヘッド18N)の直下に位置しているので、小キャビティ51及び大キャビティ52はノズルヘッド18Nを取り囲む形状を有しているとも言える。ノズルヘッド18Nは、放射状に燃料を噴射可能なマルチホールタイプのヘッドであり、ノズルヘッド18Nからピストン5のTDC又はその近傍付近で燃料が噴射される場合には、当該燃料は小、大キャビティ51、52(上記の環状凹部)に向かうことになる。つまり、ノズルヘッド18Nは、小、大キャビティ51、52の双方へ燃料噴射が可能である。
吸気側平面部55は、小キャビティ51の−X側に隣接する平面であり、平面視で概ね扇型の形状を有している。排気側平面部56は、大キャビティ52の+X側に隣接する平面であり、吸気側平面部55よりも小さいが、同様に平面視で概ね扇型の形状を有している。吸気側平面部55及び排気側平面部56は同じ高さ位置にある平面であり、冠面50において最も高い位置にある。一対の側方上面57は、大キャビティ52の+Y側及び−Y側に各々隣接し、大キャビティ52の外側において吸気側平面部55と排気側平面部56とを繋ぐ面である。側方上面57は、吸気側及び排気側平面部55、56よりもやや高さ位置が低い部分であり、燃焼室天井面6Uの緩いペントルーフ形状に応じた緩い凸形状を有している。側方上面57は、吸気、排気バルブ11、12と冠面50との干渉を回避するバルブリセスでもある。
図5を参照して、キャビティ5Cの深さに関し、小キャビティ51の底面512は、大キャビティ52の底面522よりも気筒軸方向(Z方向)において高い位置に形成されている。つまり、小キャビティ51は大キャビティ52よりも気筒軸方向において高い位置に形成されているとも言える。底面512、522は、それぞれ小、大キャビティ51、52において、吸気側及び排気側平面部55、56に対する窪み深さが最も深い部分である。凸部53は、底面512、522よりも高い位置にあるが、吸気側及び排気側平面部55、56に対しては窪んだ位置にある。
小キャビティの底面512のZ方向における高さ位置をh1、大キャビティ52の底面522のZ方向における高さ位置をh2とするとき、h1はh2よりも高い位置(+Z側)にあり、両者間には所定の高低差dが与えられている。これによりキャビティ5Cの小、大キャビティ51、52からなる環状凹部は、その底面が−X側が+X側よりも高くなるように傾斜する傾向を有している。
[燃焼室構造の詳細]
続いて、冠面50を含む燃焼室6の各部の構造について説明する。図7は、燃焼室天井面6Uの平面図である。燃焼室天井面6Uは、シリンダヘッド4の底面4aと、吸気ポート9の2つの吸気側開口部41を開閉する2つの吸気バルブ11のバルブ面11cと、排気ポート10の2つの排気側開口部42を開閉する2つの排気バルブ12のバルブ面12cとによって構成されている。2つの吸気側開口部41(吸気ポート9)は、−X側においてY方向に2つが並ぶように配置されている。排気側開口部42(排気ポート10)は、+X側においてY方向に2つが並ぶように配置されている。以下、燃焼室6において、吸気ポート9が配置される側を吸気側、排気ポート10が配置される側を排気側という。
燃焼室天井面6Uの吸気側には吸気側天面43が、排気側には排気側天面44が備えられている。吸気側天面43は、2つの吸気側開口部41の間の−X側領域において延びる平坦な面である。排気側天面44は、2つの排気側開口部42の間の+X側領域において延びる平坦な面である。吸気側天面43は、冠面50の吸気側平面部55と対向する面、排気側天面44は、排気側平面部56と対向する面である。バルブ面11c、12cは、概ね半分が側方上面57と対向し、残りの半分が大キャビティ52と対向する。
2つの吸気側開口部41の中間にはプラグ凹部45が凹設されている。プラグ凹部45は、点火プラグ17の着火部17Aを燃焼室6内に露出させるための円柱型の凹部である。つまり、着火部17Aは、2つの吸気側開口部41の間に配置されている。インジェクタ18のノズルヘッド18Nは、燃焼室天井面6Uにおいて、X方向及びY方向の略中心位置に配置されている。従って、インジェクタ18は、気筒軸方向視において、点火プラグ17の着火部17Aよりも燃焼室6の中心寄りの位置に配置されている。
小、大キャビティ51、52の燃焼室6内の配置に関し、大略的には、小キャビティ51は吸気側、大キャビティ52は排気側に配置されている。図4を参照して、ノズルヘッド18Nと対向する位置にある凸部53よりも−X側が吸気側、+X側が排気側となる。着火部17Aと対向する小キャビティ51は、全体が吸気側に位置している。一方、大キャビティ52は、大部分(少なくとも一部)が排気側に位置している。
大キャビティ52は、凸部53よりも+X側の排気側領域52Aと、凸部53の+Y側及び−Y側に位置する側方領域52Bと、小キャビティ51の+Y側及び−Y側に隣接する隣接領域52Cとを含む。排気側領域52Aは、投影面積及び容積が最も大きい領域であって、排気側(燃料噴射弁よりも排気側寄り)に位置している。側方領域52Bは、吸気側と排気側とのボーダー上に位置している。一方、隣接領域52Cは吸気側に位置している。隣接領域52C及び側方領域52Bは、排気側領域52Aに比べて投影面積が小さい領域であり、排気側領域52Aと小キャビティ51とを繋ぐ領域である。
図6及び図7に示すように、大キャビティ52の底面522の高さ位置は、排気側領域52Aから隣接領域52Cにかけて略同じ高さ位置であり、大キャビティ52は、その底面522から前記第2周縁521に向かって曲面状に立ち上がっている。つまり、大キャビティ52は、曲面で小キャビティ51に繋がっている。
次に、図2を主に参照して、点火プラグ17の着火部17Aの構造を説明する。着火部17Aは、中心電極171と、気筒軸方向と直交する方向視(+Y方向又は−Y方向から視た場合)においてL字型に折曲された角棒からなる接地電極172とを含む。接地電極172は、放電空間となるギャップGを隔てて中心電極171と対向する対向部173と、対向部173に連なる基部174とを含む。基部174は、点火プラグ17の軸心方向に延びている。対向部173は、基部174と直交する方向に延びている。
点火プラグ17は、接地電極172の先端、すなわち対向部173の反基部側の端部が、気筒軸方向視において燃焼室6の径方向外側を向くように燃焼室天井面6U(プラグ凹部45)に配置されている。つまり、中心電極171と対向部173との間に形成されているギャップGとノズルヘッド18Nとの間に、基部174(接地電極172)が介在するように、点火プラグ17がシリンダヘッド4に対して組み付けられている。この組付けにより、インジェクタ18の後記噴射孔181から噴き出される噴射燃料18E(図2参照)は、接地電極172にブロックされて放電空間であるギャップGに直接入り込むことができない。つまり、噴射燃料18Eが、充分に霧化しない状態でギャップGに入り込まないように工夫されている。
既述の通り、ノズルヘッド18Nはマルチホールタイプのヘッドであり、その中心軸周りの複数の位置に噴射孔181が形成された構造を有する。当例では、図12に示すように、第1〜第10の合計10個の噴射孔181a〜181iが中心軸周りに等間隔で形成されている。この構成により、インジェクタ18(ノズルヘッド18N)を中心として、噴射孔181a〜181iから燃焼室6内に放射状に燃料が噴射される。各噴射孔181からは先広がりの円錐状(コーン状)に燃料が噴射されるが(図8参照)、図12では、噴射孔181a〜181iからの噴射燃料を、各噴射孔181a〜181iの指向軸(破線矢印)181Ea〜181Eiで示している。
各噴射孔181a〜181iは、ピストン5のTDC又はその近傍付近で燃料が噴射された場合に、キャビティ5c(小キャビティ51及び大キャビティ52)に燃料が向かうように指向軸181Ea〜181Eiの向きが設定されている。詳しくは、第1〜第10の噴射孔181a〜181iのうち、互いに隣接する第1、第2の噴射孔181a、181bは、燃料が小キャビティ51に向かうように指向軸181Ea、181Ebの向きが設定され、それ以外の噴射孔181c〜181iは、燃料が大キャビティ52に向かうように指向軸181Ec〜181Eiの向きが設定なっている。よって、大キャビティ52への燃料の噴射量よりも小キャビティ51への燃料の噴射量は少ない。
前記第1、第2の噴射孔181a、181bの指向軸181Ea、181Ebは、図8に示すように、気筒軸方向視において着火部17Aの両脇を通過するように設定されている。つまり、インジェクタ18は、第1、第2の噴射孔181a、181bの指向軸181Ea、181Ebの間に着火部17Aが位置するように配置されている。これにより、第1、第2の噴射孔181a、181bから円錐状(コーン状)に噴射される燃料のうち、主に霧化が進んだ周縁部の燃料が着火部17Aに与えられるようにされている。
[燃料噴射および点火のタイミング]
図9は、燃料噴射期間及び点火タイミングとクランク角との関係を示すタイムチャートである。本実施形態のエンジン本体1は、図9に示す、少なくともモードI及びモードIIの燃料噴射期間及び点火タイミングで、運転を成立させる。
モードIは、上述のリタードSI燃焼の実行の際に採用されるもので、燃料噴射期間PF1は圧縮行程のTDC前後、点火タイミングは膨張行程初期である。すなわち、TDCよりも前の圧縮行程終盤のクランク角−CA11のタイミングT11からインジェクタ18による燃料噴射が開始され、TDC後の膨張行程開始期のクランク角+CA12のタイミングT12まで燃料噴射が実行される。このタイミングT11〜T12が燃料噴射期間PF1である。その後、膨張行程初期の所定のクランク角+CA13のタイミングT13において、点火プラグ17によって混合気に点火される。一例を挙げると、−CA11は圧縮TDC前10°、+CA12は圧縮TDC後2°、+CA13は圧縮TDC後9°である。このモードIによれば、圧縮TDC前後で燃料が噴射されるので、プリイグニッションを防止することができる。
モードIIは、上述のSI燃焼及びSICI燃焼の際に採用されるもので、燃料噴射期間PF2は吸気行程の中期、点火タイミングは圧縮TDC付近である。すなわち、排気TDCからピストン5が半分程度下降するクランク角CA2を挟んだタイミングT21〜T22が、燃料噴射期間PF2とされる。点火タイミングは、圧縮TDCに至るタイミングT23である。一例を挙げると、CA2は排気TDC後70°である。なお、プリイグニッション防止のため、圧縮TDC前のクランク角CA3で、CA2に加えて追加的に燃料噴射を行わせても良い。
[燃焼動作]
既述の通り、SI燃焼やSICI燃焼が実行される際には、SCV91が駆動され、2つの吸気側開口部41のうちの一方が閉止又はそれに近い状態とされる。これにより、吸気行程には、図10に示すように、他方の吸気側開口部41から気筒2のほぼ接線方向に沿って燃焼室6に吸気が導入され、白抜き矢印で示すように、燃焼室6内に気筒軸周りの渦流であるスワール流FSが形成される。
吸気行程後、圧縮行程が進行し、ピストン5がTDCに近づくに連れて、スワール流FSは、燃焼室6内において徐々に気筒軸方向に圧縮されていく。
図11は、図9のタイミングT11の直前の状態を示している。つまり、モードI(リタードSI燃焼の実行)の圧縮工程後期において、インジェクタ18による燃料噴射が開始される直前の状態を示している。既述した通り、小キャビティ51の底面512は、大キャビティ52の底面522よりも気筒軸方向において高い位置に形成されている。すなわち、小キャビティ51は大キャビティ52よりも気筒軸方向において高い位置に形成されている。このため、ピストン5がTDC付近にあるときの燃焼室6内のスワール流FSは、同図に示すように、大キャビティ52から小キャビティ51へ向けて斜め上方へせり上がる斜めスワール流FSとなる。この斜めスワール流FSは、小キャビティ51の上方領域において燃焼室天井面6Uに到達し、小キャビティ51に対応する位置に配置された着火部17Aを通過することとなる。
着火部17Aは、燃焼室天井面6Uのプラグ凹部45に収容されている。プラグ凹部45の近傍には、着火時に発生するガス(残留ガス)が滞留しがちとなるが、斜めスワール流FSがプラグ凹部45を通過することにより、着火部17Aに存在する残量ガスが、斜めスワール流FSによって除去されることとなる。すなわち、放電空間となる前記ギャップGやその周辺に存在する残留ガスが除去される。
図12、図13は、図9のタイミングT11の直後の状態を示している。つまり、モードIの圧縮工程後期において、燃料噴射が開始された直後の状態を示している。燃料は、インジェクタ18のノズルヘッド18Nによって、小キャビティ51及び大キャビティ52に噴射される。ここで、大キャビティ52の大部分(排気側領域52A)は、排気側に配置されている。排気側は、燃焼後の高温ガスを排出する排気ポート10を有するので、吸気側よりも高温化している。従って、大キャビティ52に向けて噴射された燃料は、排気側の熱によって比較的早く霧化し易くなり、短時間で充分に吸気と混合された混合気FAとなる。このように充分に混合された混合気FAは、前記斜めスワール流FSによって着火部17Aに運ばれる(図12)。一方、小キャビティ51に噴射された燃料は、その底面512に沿ってインジェクタ18の着火部17Aに向かって案内される(図13)。
その後、図9のタイミングT13で着火部17Aによる着火が行われる。この強制点火によって、小キャビティ51内において火炎が高速で拡がる。つまり、小キャビティ51に集約された混合気が一気に燃焼する。これは、斜めスワール流FSによって着火部17Aに存在する残量ガスが除去されるとともに、高温の排気側で霧化が促進された燃料と吸気との混合気FAが斜めスワール流FSにより着火部17A及び小キャビティ51に運ばれることで、小キャビティ51内の混合気の着火性が良好となっていることによる。
前記強制着火により着火部17Aの周囲に形成された燃焼領域は、燃焼室6内の残りの混合気を燃焼させるための火種となる。すなわち、小キャビティ51で発生した火炎が、大キャビティ52に集約された混合気へ火炎伝播して、大キャビティ52内に燃焼領域を作り、これを拡張させてゆく。このとき、吸気側平面部55上では、ピストン5の下降に伴う負圧力の作用(逆スキッシュ流の形成)も相俟って火炎伝播し、燃焼領域を拡大させゆく。
そして、この燃焼領域の拡大による燃焼室6内の高温高圧化によって、大キャビティ52及びその他の残部領域において自己着火による燃焼も発生する。これら火炎伝播及び自己着火によって、大キャビティ52内の混合気及びその他の残部領域において燃焼が急速に拡がる。従って、燃焼室6全体に火炎を高速で拡大させ、燃焼室6の空間全体を利用した均質燃焼を実現させることができる。なお、自己着火による燃焼が発生せず、火炎伝播のみで燃焼が完遂される場合もある。
以上、主にモードI(リタードSI燃焼)の燃焼状態について説明したが、モードIIについてもSICI燃焼が実行される際には、2つの吸気側開口部41のうちの一方が閉止又はそれに近い状態とされることで燃焼室6内にスワール流FSが形成される。そして、ピストン5の上昇に伴い斜めスワール流FSとなり、このスワール流FSにより着火部17Aに存在する残量ガスが除去される。また、排気側で霧化が促進された燃料と吸気の混合気が斜めスワール流FSによって着火部17A及び小キャビティ51に運ばれる。そのため、図9のタイミングT23で着火が行われると、小キャビティ51内において火炎が高速で拡がり、さらに燃焼室6全体に火炎を高速で拡大させ、燃焼室6の空間全体を利用した均質燃焼が実現される。
[作用効果]
以上説明した本実施形態に係る火花点火式のエンジンの燃焼室構造によれば、次のような作用効果を奏する。
本実施形態のエンジン本体1において、点火プラグ17は、燃焼室6の中心位置よりも径方向外側に着火部17Aが位置し、かつ、接地電極172の先端、すなわち対向部173の反基部側の端部が燃焼室6の径方向外側を向くように燃焼室天井面6U(プラグ凹部45)に配置されている。そのため、ピストン5が上死点付近にあるときに燃焼室6内に生成される前記スワール流FSによって混合気が円滑に着火部17Aに運ばれ易い。特に、スワール流FSは気筒2の内壁面に沿って流れ易いため、接地電極172の先端が燃焼室6の径方向外側を向くように点火プラグ17が配設された本実施形態の構造によれば、混合気がより円滑に中心電極171と接地電極172(対向部173)との間のギャップG(放電空間)に運ばれる。従って、ピストン5が上死点位置又はその近傍にあるときに燃焼室6内に燃料が直接噴射されてその直後に着火が行われるような上記モードIにおいて、燃焼室温度が比較的低い場合(例えばエンジン始動直後など)であっても、着火部17Aの上記ギャップGに混合気を到達させて、点火プラグ17による着火を良好に行わせることができる。
なお、本実施形態のエンジン本体1では、燃焼室天井面6Uのうち、点火プラグ17の着火部17Aの位置よりも燃焼室6の中心寄りの位置に、インジェクタ18が着火部17Aに近接して配置されている。この構造では、燃料が充分に霧化されないまま着火部17Aに到達し、中心電極171及び対向部173に霧化不足の燃料が直接付着して炭化する、いわゆるプラグ被りを誘発することが考えられる。しかし、点火プラグ17は、上記の通り接地電極172の先端が燃焼室6の径方向外側を向くように配置されている。これにより、噴射燃料は接地電極172によってブロックされ、充分に霧化しない状態の噴射燃料が中心電極171と接地電極172との間のギャップGに入り込むことが防止される。そのため、プラグ被りを効果的に防止することができる。
また、ピストン5の冠面50には、点火プラグ17の着火部17Aに対応する位置に小キャビティ51が凹設されており、ピストン5が上死点位置又はその近傍にあるときに燃料が噴射される場合(モードI)には、この小キャビティ51に向かって燃料が噴射される。小キャビティ51に向かって噴射された燃料は、小キャビティ51の底面512に沿って案内されつつその間に霧化されて点火プラグ17の着火部17Aに到達することになる。そのため、着火部17Aに対して霧化された燃料を与え易くなり、燃焼室温度が比較的低い場合の点火プラグ17による着火性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、インジェクタ18は、複数(第1〜第10)の噴射孔181a〜181jから燃料を噴射するマルチホールタイプなので、必要な噴射量を確保しつつ噴射孔からの噴射量を少なくして、噴射燃料の霧化を促進させることができる。しかも、第1、第2の噴射孔181a、181bの指向軸181Ea、181Ebの間に点火プラグ17の着火部17Aが位置しており、着火部17Aに対しては、第1、第2の噴射孔181a、181bから円錐状(コーン状)に噴射される燃料のうち、主に霧化が進んだ周縁部の燃料が主に与えられる(図8)。そのため、この点でも、点火プラグ17による着火性が向上する。また、燃料噴射量が比較的多い高負荷運転時などに、充分に霧化されない状態の燃料が過剰に着火部17Aに与えられることに起因するプラグ被りを抑制することもできる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、次のような変形例に係る実施形態を取り得る。
(1)上記実施形態では、スワール流FSを形成するために、2つの吸気側開口部41に連通する吸気ポート9のうちの一つにSCV91が設けられている。しかし、スワール流FSを生成するための構成(すなわち、本発明のスワール流生成部の構成)は、これに限らない。例えば、SCV91を設ける代わりに、気筒軸方向視において、2つの吸気ポート9がそれぞれ吸気側開口部41に対してX方向よりも+Y方向側(又は−Y方向側)から斜めに連通するように形成してもよい。すなわち、吸気ポート9自身がスワール流生成部としての機能を兼ねた構成でもよい。この構成によれば、2つの吸気側開口部41からの吸気が気筒2の内周面に沿って流れ易くなり、上記実施形態と同様に、燃焼室6内にスワール流FSを形成することが可能となる。
(2)スワール流FSを強制的に生成するための構成(上記スワール流生成部)は省略されてもよい。吸気バルブ11は傘状の弁体11aを備えており、吸気側開口部41から気筒2内に導入される吸気は、この傘状の弁体11aに沿って気筒内に流入することで自ずとスワール成分(スワール流)を含む流れとなる。そのため、スワール流FSを強制的に生成するための構成を備えていない場合であっても、ある程度は上記実施形態で説明したスワール流FSによる作用効果を享受することが可能となる。
この場合、2つの吸気側開口部41の間に点火プラグ17の着火部17Aが配置されている上記実施形態の構造によれば、図14の2点鎖線矢印に示すように、2つの吸気側開口部41を通じて燃焼室6に入ってくる吸気の一部が各吸気バルブ11の弁体11aに沿って点火プラグ17の着火部17Aに運ばれる。そのため、着火部17Aの周りの残留ガス、特に、中心電極171と接地電極172(対向部173)との間のギャップGの残留ガスが効果的に排除される。従って、点火プラグ17の着火部17Aに新鮮な混合気を与えて、点火プラグ17による着火性を向上させることが可能となる。なお、このような構成では、前記2つの吸気側開口部41およびこれらを開閉する前記2つの吸気バルブ11が、本発明の第1、第2吸気側開口部および第1、第2吸気バルブに相当する。
(3)上記実施形態では、インジェクタ18のノズルヘッド18Nが燃焼室6内に配置され、直噴方式で燃料が燃焼室6に供給される例を示した。これに代えて、吸気ポート9にインジェクタ18を配置するポート噴射方式を採用しても良い。
1 エンジン本体
2 気筒(燃焼室壁面)
3 シリンダブロック(燃焼室構成部材)
4 シリンダヘッド(燃焼室構成部材)
5 ピストン(燃焼室構成部材)
5C キャビティ
50 冠面(燃焼室壁面)
51 小キャビティ(キャビティ)
511 第1周縁
512 底面
52 大キャビティ
521 第2周縁
522 底面
6 燃焼室
6U 燃焼室天井面(燃焼室壁面)
9 吸気ポート
91 スワールコントロールバルブ(SCV)
10 排気ポート
11 吸気バルブ(燃焼室構成部材)
12 排気バルブ(燃焼室構成部材)
17 点火プラグ
17A 着火部
18 インジェクタ(燃料噴射弁)
FS スワール流

Claims (2)

  1. 火花点火式のエンジンであって、
    キャビティを備えるピストン及び気筒を含むエンジンの燃焼室を区画する燃焼室壁面を有する燃焼室構成部材と、
    前記燃焼室内の上部に着火部が配置された点火プラグと、
    燃料噴射弁と、を備え、
    前記燃焼室壁面の一部は、吸気側開口部及び排気側開口部を有する燃焼室天井面で形成され、
    前記吸気側開口部は、第1吸気側開口部と第2吸気側開口部とで構成され、
    前記点火プラグは、前記着火部が、気筒軸方向視で前記第1吸気側開口部の中心と前記第2吸気側開口部の中心との間に対応する位置に配設され、
    前記燃料噴射弁は、当該燃料噴射弁の中心軸周りに等間隔で複数の噴射孔が形成されたノズルヘッドが前記燃焼室天井面の略中心に位置するように配置され、
    前記複数の噴射孔は、前記キャビティ内に燃料を噴射可能に構成され、
    前記複数の噴射孔は、指向軸が前記着火部の気筒軸方向下方を通過するように設定されており、
    前記着火部は、中心電極と、気筒軸方向と直交する方向視においてL字型をなす接地電極とを備えており、
    前記点火プラグは、前記燃焼室の中心よりも径方向外側かつ前記キャビティの周縁よりも径方向内側に前記着火部が位置し、かつ、気筒軸方向視において前記接地電極の先端が前記径方向外側を向くように前記燃焼室天井面に配置され、
    前記キャビティの周縁部のうち、気筒軸方向視で点火プラグに対応する部分は、その両側に設けられた、燃焼室径方向内方に向けて凹む窪み部を介して当該周縁部のその他の部分に連続するとともに、当該その他の部分に対して燃焼室径方向外方に向けて突出している、ことを特徴とするエンジン。
  2. 請求項1に記載のエンジンにおいて、
    前記エンジンは、燃焼室内に強制的にスワール流を生成するためのスワール流生成部を備えるものである、ことを特徴とするエンジン。
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