JP6620783B2 - エンジンの燃焼室構造 - Google Patents

エンジンの燃焼室構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6620783B2
JP6620783B2 JP2017109600A JP2017109600A JP6620783B2 JP 6620783 B2 JP6620783 B2 JP 6620783B2 JP 2017109600 A JP2017109600 A JP 2017109600A JP 2017109600 A JP2017109600 A JP 2017109600A JP 6620783 B2 JP6620783 B2 JP 6620783B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cavity
combustion chamber
engine
chamber structure
piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017109600A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018204505A (ja
Inventor
今村 悟志
悟志 今村
真生 福馬
真生 福馬
康志 中原
康志 中原
井上 淳
淳 井上
浩太 松本
浩太 松本
義治 植木
義治 植木
通治 河野
通治 河野
雄哉 本田
雄哉 本田
謙斗 大西
謙斗 大西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2017109600A priority Critical patent/JP6620783B2/ja
Publication of JP2018204505A publication Critical patent/JP2018204505A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6620783B2 publication Critical patent/JP6620783B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/3011Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion
    • F02D41/3017Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used
    • F02D41/3035Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode
    • F02D41/3041Controlling fuel injection according to or using specific or several modes of combustion characterised by the mode(s) being used a mode being the premixed charge compression-ignition mode with means for triggering compression ignition, e.g. spark plug
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/0002Controlling intake air
    • F02D2041/0015Controlling intake air for engines with means for controlling swirl or tumble flow, e.g. by using swirl valves
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/38Controlling fuel injection of the high pressure type
    • F02D41/40Controlling fuel injection of the high pressure type with means for controlling injection timing or duration
    • F02D41/402Multiple injections

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Description

本発明は、火花点火式のエンジンの燃焼室構造に関する。
自動車などの車両のガソリンエンジンでは、点火プラグを用いて燃焼室内の混合気に着火させる火花点火式が広く採用されている。一般に燃焼室は、シリンダの側周面、シリンダヘッドの底面(燃焼室天井面)及びピストンの冠面によって区画され、点火プラグの着火部は燃焼室天井面に配置される。特許文献1には、ピストンの冠面にキャビティを配置してなる燃焼室構造が開示されている。
上記燃焼室構造のガソリンエンジンでは、インジェクタから噴射された燃料をキャビティ内にトラップし、スワール流により燃料噴霧を点火プラグの電極周辺に集めて燃焼することができる。
ところで、エンジンの駆動では、燃焼室が高温になる高負荷運転域において、プリイグニッションを回避するために圧縮上死点近傍で燃料噴射を行うこともなされている。ここで、プリイグニッションとは、エンジンの運転環境の変化などに伴い、シリンダ内の混合気が点火後の正常燃焼タイミングよりも前のタイミングで自己着火する現象をいう。
特開2016−121630号公報
しかしながら、上記のようにプリイグニッションを回避するために圧縮上死点付近で燃料噴射を行った場合には、燃料噴射してから点火プラグで着火するまでの期間が短くなってしまい、十分な霧化が行われないことによりデポジットが生成されてしまうことが懸念される。
また、点火プラグについては、その冷却性能を確保する必要があるため、比較的冷却し易い場所、具体的には吸気バルブ側の場所に配置することが望ましい。このため、燃焼室の中央部分から点火プラグの電極までの距離が長くなり、燃料噴霧への着火という面で不利となる。場合によっては、着火不良を生じ、エンジントルクの低下を招くことも懸念される。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、プリイグニッションの発生を抑制しながら、高速かつ燃焼室全体での均質な燃焼が可能であるエンジンの燃焼室構造を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る火花点火式のエンジンの燃焼室構造は、シリンダと、ピストンと、燃焼室構成部材と、インジェクタと、点火プラグと、吸気口及び排気口と、を備える。
互いに直交する第1軸及び第2軸を仮定するとき、前記シリンダは、前記第1軸上に中心線が配置されている。前記ピストンは、前記シリンダ内を前記第1軸に沿って往復摺動する。前記燃焼室構成部材は、前記シリンダ及び前記ピストンを含む前記エンジンの燃焼室を区画する燃焼室壁面を有する。前記インジェクタは、前記燃焼室を臨むように設けられた噴射孔を有する。前記点火プラグは、前記燃焼室を臨むよう設けられた着火部を有する。前記吸気口及び前記排気口は、それぞれが前記燃焼室に開口され、前記第2軸に沿った方向に並んでいる。
本局面に係るエンジンの燃焼室構造において、前記ピストンが圧縮行程中に移動する方向を第1方向、当該第1方向とは反対側の方向を第2方向とするとともに、前記第2軸に沿った方向のうち、前記吸気口が開口された側を吸気口側、前記排気口が開口された側を排気口側とするとき、前記燃焼室壁面における前記第2方向側の一部は、前記ピストンの冠面で形成され、前記冠面は、前記第1方向側に開口する第1キャビティ及び第2キャビティを含む。そして、本局面では、前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、前記第1キャビティは、前記点火プラグの着火部と一部が重複する領域に設けられ、前記第2キャビティは、前記第1キャビティよりも前記排気口側に配された領域を有し、前記第1キャビティと前記第2キャビティとは、隣接配置されている。そして、本局面において、前記第2キャビティの容積は、前記第1キャビティの容積に対して大きい。
また、本局面に係るエンジンの燃焼室構造において、前記燃焼室壁面における前記第1方向側の部分は、前記シリンダの天井面で形成され、前記天井面を前記第2方向側から平面視するとき、前記インジェクタは、前記天井面における中心部分(前記第1軸が交差する部分)に配設されており、前記インジェクタは、前記ピストンが上死点位置及びその近傍にあるときに、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティの双方に対して燃料を噴射可能な噴射孔を有しており、前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、当該冠面には、前記インジェクタが配設された箇所と少なくとも一部が重複する箇所に、前記第1方向側に向けて膨出する凸部が形成されており、前記凸部の周縁部は、前記第1キャビティの周縁部の一部及び前記第2キャビティの周縁部の一部と境界を接する。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、相対的に容積が小さい第1キャビティを吸気口側に設けている。逆に言うと、上記態様では、相対的に容積が大きい第2キャビティを高温になる排気口側に設けている。これにより、上記態様では、インジェクタから噴射された燃料の霧化を素早く行うことが可能となる。
また、上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、第1方向側からの平面視で、第1キャビティを点火プラグの着火部と重複する箇所に設けている。これにより、相対的に容積が小さな第1キャビティ内の燃料噴霧に対して着火させることができる。そして、上記局面では、第1キャビティと第2キャビティとが隣接配置されているので、第1キャビティ内で着火した火炎を第2キャビティ内にも伝搬させることができるので、燃焼室内に未燃燃料を残すことなく、燃焼室全体に均質な燃焼を行うことができる。
また、上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、点火プラグを吸気口側に配置しているので、その冷却性能の確保が可能である。そして、上記のように第1キャビティ内で着火した火炎を第2キャビティへと伝播させることができるので、点火プラグの配置を吸気側としても着火性の低下を招き難い。
従って、上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、プリイグニッションを回避するために上死点位置及びその近傍で燃料噴射を行った場合にあっても、高速かつ燃焼室全体での均質な燃焼が可能である。
また、上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、インジェクタから噴射された燃料が、凸部の周縁部に沿って第1キャビティ及び第2キャビティ内へと導かれる。よって、上記局面では、第1キャビティ及び第2キャビティの双方に対して高効率に燃料を供給することができ、燃焼室全体に均質な燃焼を生じさせる上でより望ましい。
本発明の別局面に係るエンジンの燃焼室構造は、上記局面において、前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、前記第2キャビティの投影面積は、前記第1キャビティの投影面積に対して大きい。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、第2キャビティの投影面積を第1キャビティの投影面積よりも大きく形成し、これにより、第2キャビティの容積を第1キャビティの容積よりも大きくしているので、点火プラグの着火部から第2キャビティの底部までの距離が遠くなるのを防ぐことができる。よって、上記局面では、燃焼室全体に均質な燃焼を生じさせる上でより望ましい。
本発明の別局面に係るエンジンの燃焼室構造は、上記局面において、前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、前記第2キャビティは、前記凸部の周囲を取り囲む略C字形状を有し、前記第1キャビティは、前記C字形状の開放部分に挟まれる位置に形成されている。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、第1キャビティと第2キャビティとの組み合わせにより、環状のキャビティが構成されていることとなり、第2キャビティに沿って流れてくる混合気を第1キャビティ内に供給することができ、高い着火性を確保することができる。また、第1キャビティと第2キャビティとの組み合わせを以って構成される環状のキャビティにより、燃焼室内においてスワール流を積極的に利用して燃焼室全体での均質な燃焼を実現することができる。
なお、上記局面に係るエンジンの燃焼構造では、第2キャビティが平面視でC字形状をしているので、第2キャビティの開口領域の図心が第1キャビティの開口領域の図心よりも排気口側に位置することとなる。
本発明の別局面に係るエンジンの燃焼室構造は、上記局面において、前記点火プラグは、前記ピストンが上死点を通過した後のタイミングで点火するように構成されており、前記インジェクタと前記点火プラグとを前記第1方向側から平面視するとき、前記点火プラグの着火部は、前記第2軸上において、前記インジェクタよりも前記吸気口側の箇所に配置されており、前記燃焼室においては、前記点火プラグの着火部よりも更に前記吸気口側の領域に、膨張行程中に混合気を前記吸気口側へと引き込む逆スキッシュ流生成部が設けられている。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、点火プラグの着火部よりも更に吸気口側の領域に逆スキッシュ流生成部が設けられているので、ピストンが下降するのに従って霧化された混合気を点火プラグの着火部に集めることができる。よって、上記局面では、短時間での霧化を実現しながら、燃焼室全体の酸素を使って燃焼を生じさせることができ、エミッション性能の低下(NOの発生など)を抑制することができる。
なお、上記において「点火プラグの着火部よりも更に吸気口側の領域」とは、第1方向からの平面視において、吸気口が配置された箇所よりも更に燃焼室の外縁領域を含むことを意味する。
本発明の別局面に係るエンジンの燃焼室構造は、上記局面において、前記逆スキッシュ流生成部は、互いに沿う状態で対向する、前記シリンダにおける天井面の一部領域と前記ピストンの冠面の一部領域とにより形成されてなる。
上記局面に係るエンジンの燃焼構造では、互いに沿う状態で対向する、シリンダにおける天井面の一部領域とピストンの冠面の一部領域とにより形成されているので、ピストンが上死点を通過した後に生じる上記領域間での負圧を利用して、燃焼室内に逆スキッシュ流を生成することができ、上記のようにエミッション性能の低下を抑制することができる。
本発明の別局面に係るエンジンの燃焼室構造は、上記局面において、前記点火プラグの着火部は、側面視でL字形の接地電極を有し、前記点火プラグは、前記接地電極における前記L字形の先端が前記吸気口側を向くように、前記シリンダに取り付けられている。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、上記のように点火プラグをL字形の先端が吸気口側を向くよう取り付けているので、インジェクタの噴射孔から噴射された燃料が直接点火プラグの電極間ギャップ(中心電極と接地電極との間のギャップ)に付着するのを抑制することができる。即ち、L字形の背部分により電極間ギャップを噴射孔の影に配することとなり、プラグ被りが生じるのを抑制することができる。そして、第1キャビティの表面を通過し、十分に混合された混合気に対して着火することができる。
本発明の別局面に係るエンジンの燃焼室構造は、上記局面において、前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、前記第1キャビティの周縁部の一部と前記第2キャビティの周縁部の一部とは、境界を接し、前記第1キャビティの周縁部と前記第2キャビティの周縁部とが境界を接する部分は、稜線となっている。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、第1キャビティと第2キャビティとを稜線を介して接続しているので、第1キャビティ内で高速に拡がる火炎を、スムーズに第2キャビティ内の混合気に伝搬させることができ、燃焼室全体での高速な燃焼を生じさせることができる。
本発明の別局面に係るエンジンの燃焼室構造は、上記局面において、前記第1キャビティと前記第2キャビティとを前記第1方向側から平面視するとき、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティの各々は、前記第2軸に対して線対称の形状を以って形成されている。
上記局面に係るエンジンの燃焼室構造では、第1キャビティ及び第2キャビティの各々が、第2軸に対して線対称の形状を以って形成されているので、燃焼室内での偏りなく燃焼を生じさせることができる。よって、燃焼室内での更なる均質な燃焼が可能である。
上記の各局面に係るエンジンの燃焼室構造では、プリイグニッションの発生を抑制しながら、高速かつ燃焼室全体での均質な燃焼が可能である。
実施形態に係るエンジンの燃焼室構造が適用されるエンジンを示す気筒軸方向での概略断面図である。 図1におけるシリンダヘッド要部の断面図である。 図1におけるエンジンのピストンの斜視図である。 ピストンの冠面の平面図である。 図4のV−V線断面図である。 図4のVI―VI線断面図である。 ピストンの冠面に対する、インジェクタ及び点火プラグの配置関係を示す平面図である。 ピストンの冠面に対するインジェクタの配置関係を示す断面図である。 燃料噴射期間及び点火タイミングとクランク角との関係を示すタイムチャートである。 (a)は、圧縮上死点付近でのピストンを示す断面図であり、(b)は、圧縮上死点後におけるピストンを示す断面図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[エンジンの全体構成]
図面に基づいて、実施形態に係る火花点火式のエンジンの燃焼室構造を詳細に説明する。図1は、実施形態に係るエンジンの燃焼室構造が適用されるエンジンを示す概略断面図、図2は、図1に示されたシリンダヘッドの要部の断面図である。図1及び図2、これら以降の図において、XYZの方向表示を付している。Z方向は気筒軸方向、Y方向はクランク軸の延伸方向、X方向はZ方向及びY方向の双方と直交する方向である。
本実施形態に係るエンジンは、シリンダ及びピストンを含み、自動車等の車両の走行駆動用の動力源として、車両に搭載される多気筒エンジンである。エンジンは、エンジン本体1と、これに組み付けられた図外の吸排気マニホールド及び各種ポンプ等の補機とを含む。エンジン本体1に供給される燃料は、ガソリンを主成分とするものである。
本実施形態に係るエンジン本体1は、点火プラグにて燃焼室内の混合気に強制点火する通常のSI(Spark Ignition)燃焼と、SI燃焼において燃料噴射のタイミングを圧縮上死点(TDC)付近とするリタードSI燃焼と、SI燃焼とCI(Compression Ignition)燃焼とを組み合わせたSICI燃焼と、を実行することが可能とされている。SI燃焼では、吸気行程の中期に燃料が噴射され、圧縮行程のTDC付近で混合気に強制点火されるが、リタードSI燃焼では、圧縮行程のTDC前後で燃料が噴射され、その後の膨張行程初期に混合気に強制点火される。SICI燃焼では、燃焼室の混合気に強制点火して火炎伝播により燃焼させるとともに、燃焼室内の未燃混合気を自己着火により燃焼させる。
なお、SICI燃焼において、自己着火を発生させず、火炎伝播により燃焼を完了させる場合もある。これらの燃焼態様は、運転領域に応じて選択される。例えば、SI燃焼は、エンジンの高回転・高負荷領域で、リタードSI燃焼は低回転・高負荷領域で、SICI燃焼は回転数に依らず低負荷領域で、各々選択される。
エンジン本体1は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5(これらは、本発明における「燃焼室構成部材」の一例である。)を備える。シリンダブロック3は、図1の紙面に垂直な方向に並ぶ複数のシリンダ2(図中ではそのうちの1つのみを示す。)を有している。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3上に取り付けられ、シリンダ2の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、各シリンダ2に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されている。ピストン5の往復運動に応じて、クランク軸7はその中心軸回りに回転する。ピストン5の構造については、後述する。
ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の底面4aは燃焼室天井面6Uであり、この燃焼室天井面6Uは、上向きに僅かに凸のペントルーフ型の形状(扁平ペントルーフ型形状)を有している。燃焼室天井面6Uには、吸気ポート9の下流端である吸気側開口部41と、排気ポート10の上流端である排気側開口部42とが形成されている。シリンダヘッド4には、吸気側開口部41を開閉する吸気バルブ11と、排気側開口部42を開閉する排気バルブ12とが組み付けられている。
なお、本実施形態に係るエンジン本体1は、ダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンであり、吸気側開口部41と排気側開口部42とは、各シリンダ2につき2つずつ設けられると共に、吸気バルブ11及び排気バルブ12も2つずつ設けられている。
図2に示されるように、吸気バルブ11及び排気バルブ12は、所謂ポペットバルブである。吸気バルブ11は、吸気側開口部41を開閉する傘状の弁体11aと、この弁体11aから垂直に延びるステム11bとを含む。同様に、排気バルブ12は、排気側開口部42を開閉する傘状の弁体12aと、この弁体12aから垂直に延びるステム12bとを含む。吸気バルブ11の弁体11aは、燃焼室6に臨むバルブ面11cを有する。排気バルブ12の弁体12aは、燃焼室6に臨むバルブ面12cを有する。
吸気バルブ11及び排気バルブ12も、本発明の「燃焼室構成部材」に相当する。本実施形態において、燃焼室6を区画する燃焼室壁面は、シリンダ2の内壁面、ピストン5の上面(+Z側の面)である冠面50、シリンダヘッド4の底面4a、吸気バルブ11のバルブ面11c及び排気バルブ12のバルブ面12cからなる。
シリンダヘッド4には、吸気バルブ11、排気バルブ12を各々駆動する吸気側動弁機構13、排気側動弁機構14が配設されている。これら動弁機構13,14によりクランク軸7の回転に連動して、吸気バルブ11及び排気バルブ12が駆動される。これら吸気バルブ11及び排気バルブ12の駆動により、吸気バルブ11の弁体11aが吸気側開口部41を開閉し、排気バルブ12の弁体12aが排気側開口部42を開閉する。
吸気側動弁機構13には、吸気側可変バルブタイミング機構(吸気側VVT)15が組み込まれている。また、排気側動弁機構14には、排気側可変バルブタイミング機構(排気側VVT)16が組み込まれている。吸気側VVT15は吸気カム軸に設けられた電動式のVVTであり、排気側VVT16は排気カム軸に設けられた電動式のVVTである。そして、吸気側VVT15はクランク軸7に対する吸気カム軸の回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更することにより、吸気バルブ11の開閉タイミングを変更し、排気側VVT16はクランク軸7に対する排気カム軸の回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更することにより、排気バルブ12の開閉タイミングを変更する。
シリンダヘッド4には、燃焼室6内の混合気に点火エネルギーを供給する点火プラグ17が、各シリンダ2につき1つずつ取り付けられている。点火プラグ17は、その先端に着火部17Aを備え、この着火部17Aが燃焼室6内に臨む姿勢でシリンダヘッド4に取り付けられている。点火プラグ17は、図外の点火回路からの給電に応じてその先端から火花を放電して、燃焼室6内の混合気に点火する。
シリンダヘッド4(燃焼室天井面6U)には、先端部から燃焼室6内にガソリンを主成分とする燃料を噴射するインジェクタ18(燃料噴射弁)が、各シリンダ2につき1つずつ取り付けられている。インジェクタ18には、燃料供給管19が接続されており、当該燃料供給管19を通して供給された燃料を燃焼室6に噴射する。
なお、図示を省略しているが、燃料供給管19の上流側には、クランク軸7と連動連結されたプランジャー式のポンプ等からなる高圧燃料ポンプが接続されている。そして、高圧燃料ポンプと燃料供給管19との間には、全シリンダ2に共通の蓄圧用のコモンレールが設けられている。この構成により、インジェクタ18からは、高い圧力の燃料が燃焼室6内に噴射される。
[ピストンの詳細構造]
図3〜図8を参照して、ピストン5の構造、とりわけ冠面50の構造について詳細に説明する。図3は、ピストン5の斜視図、図4は、冠面50の平面図である。また、図5は、図4のV−V線断面図であり、図6は、図4のVI−VI線断面図である。また、図7は、ピストン5に対する点火プラグ17及びインジェクタ18の配置関係を示す平面図、図8は、冠面50とインジェクタ18との配置関係を示す断面図である。
ピストン5は、ピストンヘッド5Aと、その下方(−Z側)に連接されたスカート部5Sを含む。ピストンヘッド5Aは円柱体からなり、燃焼室6の壁面の一部(底面)を構成する冠面50を上面に備えると共に、シリンダ2の内壁面と摺接する側周面とを備える。なお、スカート部5Sは、ピストンヘッド5Aの+X側及び−X側に配置され、ピストン5の往復運動の際の首振り揺動を抑制する。図6に示されるように、ピストンヘッド5Aの下方には、Y方向に延びるピン孔を区画するピストンボス5Bが設けられている。ピストンボス5Bのピン孔には、ピストンピン81が挿通される。ピストンピン81は、コネクティングロッド8の小端部8Sと、ピストン5とを連結するピンである。
冠面50は、燃焼室天井面6UとZ方向に対向する面であって、その径方向(X方向及びY方向)の概ね中央部分にキャビティ5Cを含む。キャビティ5Cは、+Z側に開口し、−Z側に凹没された部分であり、インジェクタ18から燃料の噴射を受ける部分である。冠面50におけるキャビティ5Cの外周には、当該キャビティ5Cの−X側(吸気口側)に隣接する領域に吸気側平面部55が配置され、キャビティ5Cの+X側(排気口側)に隣接する領域に排気側平面部56が配置されている。
吸気側平面部55は、ピストン5が上死点(TDC)付近にあるときに、図2に示されるシリンダヘッド4における吸気側天面43に僅かな隙間を空けて沿うよう設けられており、排気側平面部56は、同様に、ピストン5が上死点(TDC)付近にあるときに、図2に示されるシリンダヘッド4における排気側天面44に沿うよう設けられている。ここで、エンジン本体1においては、吸気側平面部55と吸気側天面43との組み合わせにより逆スキッシュ流生成部が構成されている。これについては、後述する。
キャビティ5Cは、小キャビティ51(第1キャビティ)、大キャビティ52(第2キャビティ)及び凸部53を含む。図7に示すように、小キャビティ51は、点火プラグ17の着火部17Aに対応する位置、つまり着火部17Aの真下の位置に凹設されている。大キャビティ52は、小キャビティ51に隣接する位置に凹設され、+Z側からの平面視において、小キャビティ51よりも大きい投影面積を有している。例えば、大キャビティ52の投影面積は、小キャビティ51の投影面積に対して8倍程度大きい。凸部53は、冠面50のXY方向の中央付近に配置されている。図7に示すように、凸部53は、インジェクタ18のノズルヘッド18N(図2を参照。)の真下の位置に凸設されている。
小キャビティ51は、当該小キャビティ51を区画する外周縁である第1周縁511を含む。大キャビティ52は、当該大キャビティ52を区画する外周縁である第2周縁521を含む。第1周縁511は、+Z側からの平面視において、略扇形の形状であり、凸部53、吸気側平面部55及び大キャビティ52との境界線となる。第2周縁521は、+Z側からの平面視において、略C字形の形状を有する。つまり、大キャビティ52は、冠面50を+Z側から平面視した場合において、略C字形状をしている。第2周縁521は、凸部53、吸気側平面部55、排気側平面部56及び小キャビティ51との境界線となる。
第1周縁511の一部は、第2周縁521の一部を兼ねる共通周縁部である。換言すると、小キャビティ51の第1周縁511は、その一部において、大キャビティ52の第2周縁521の一部と境界を接する。より具体的には、第1周縁511における、凸部53及び吸気側平面部55と各々境界をなす円弧状部分を除いた部分は、第2周縁521の一部と共通である。この第2周縁521の一部は、C字形状の開放部分(解放端縁)に相当する。共通周縁部は、図4等に示されているように、上方へ突出した稜線54である。即ち、本実施形態では、稜線54を境に小キャビティ51と大キャビティ52とが隣り合っている。
図4等に示されるように、大キャビティ52は+Z側からの平面視において略円形の凸部53を取り囲むC字形状を有している。小キャビティ51は、このような大キャビティの、C字形状の開放部分に挟まれる位置に形成されている。これにより、稜線54で区切られてはいるが、小キャビティ51及び大キャビティ52によって、凸部53と略同心の環状凹部が冠面50に形成されている。
また、凸部53の外周縁である周縁部57は、小キャビティ51の第1周縁511の一部及び大キャビティ52の第2周縁521の一部と境界を接する。なお、本実施形態では、凸部53は、山形状に形成されており、周縁部57が山の裾野となっている。
インジェクタ18のノズルヘッド18Nには、放射状に複数の噴射孔181が設けられている(図2を参照)。つまり、本実施形態に係るインジェクタ18は、マルチポートタイプのノズルヘッド18Nを備える。このため、図7及び図8に示すように、インジェクタ18からは、+Z側からの平面視において、放射状に燃料が噴射され、噴射された燃料(噴射燃料18E)は、小キャビティ51及び大キャビティ52に向かうことになる。このとき、噴射燃料18Eは、斜面である第1周縁511及び第2周縁521に沿って各キャビティ51,52内へと円滑に導入される。
図6に示すように、吸気側平面部55及び排気側平面部56を基準としたときの大キャビティ52の深さh2は、小キャビティ51の深さh1よりも深くなっている。上述のように、大キャビティ52の投影面積は、小キャビティ51の投影面積よりも低いので、各キャビティ51,52の深さh1,h2を合わせて考慮するとき、大キャビティ52は小キャビティ51に比べて大きな容積を以って形成されていることになる。
[燃料噴射期間及び点火タイミングとクランク角]
図9を参照して、燃料噴射期間及び点火タイミングとクランク角との関係を説明する。図9は、燃料噴射期間及び点火タイミングとクランク角との関係を示すタイムチャートである。
図9に示すように、本実施形態に係るエンジン本体1は、少なくともモードI及びモードIIの燃料噴射期間及び点火タイミングで、運転を成立させる。
モードIは、上述のリタードSI燃焼の実行の際に採用されるもので、燃料噴射期間PF1は圧縮行程のTDC前後、点火タイミングは膨張行程初期である。即ち、TDCよりも前の圧縮行程終盤のクランク角−CA11のタイミングT11からインジェクタ18による燃料噴射が開始され、TDC後の膨張行程開始初期のクランク角+CA12のタイミングT12まで燃料噴射が実行される。その後、膨張行程初期の所定のクランク角+CA13のタイミングT13において、点火プラグ17によって混合気に点火される。各クランク角は、例えば、−CA11がTDC前15°(より好ましくは、TDC前10°)、+CA12がTDC後5°(より好ましくは、TDC後2°)、+CA13が圧縮TDC後8〜10°(より好ましくは、TDC後9°)である。このモードIによれば、TDC前後で燃料が噴射されるので、ノッキングを防止することができる。
モードIIは、上述のSI燃焼及びSICI燃焼の際に採用されるもので、燃料噴射期間PF2は吸気行程の中期、点火タイミングは圧縮行程のTDC付近である。即ち、排気工程におけるTDCからピストン5が行程の半分程度下降するクランク角CA2を挟んだタイミングT21〜T22が、燃料噴射期間PF2とされる。点火タイミングは、TDCに至るタイミングT23である。CA2は、例えば、TDC後70°である。
なお、ノッキング防止のため、TDC前のクランク角CA3で、CA2に加えて追加的に燃料噴射を行わせてもよい。
[逆スキッシュ流の生成]
図10を参照しながら、モードI(リタードSI燃焼)が採用された場合に生成される逆スキッシュ流について説明する。図10(a)は、TDC付近での断面図であり、図10(b)は、TDC後での断面図である。
図10(a)に示すように、TDC付近においては、ピストン5の冠面50が燃焼室天井面6Uに最も接近した状態となっている。そして、吸気側平面部55が吸気側天面43に対して僅かな隙間を空けた状態で対向し(矢印Aで指し示す部分を参照)、排気側平面部56も排気側天面44に対して狭い隙間を空けた状態で対向している。
図10(b)に示すように、TDC後の膨張行程において、ピストン5が下降して行くと吸気側平面部55が吸気側天面43から離間し(矢印Bで指し示す部分を参照)、排気側平面部56も排気側天面44から離間する。このとき、ハッチングを付した矢印で示すように、点火プラグ17の着火部17Aよりも−X側に向けた逆スキッシュ流(混合気を−X側の領域に引き込む流れ)が生成される。これより、本実施形態では、吸気側平面部55と吸気側天面43とにより、逆スキッシュ流生成部が構成されているといえる。
なお、排気側平面部56と排気側天面44とについても互いに沿った状態にあるが、ピストン5及び燃焼室天井面6Uでは、吸気側平面部55と吸気側天面43との対向面積が、排気側平面部56と排気側天面44との対向面積よりも大きいため、矢印で示すような逆スキッシュ流が生成される。
ここで、図10(a)に示す状態において、互いに近接して対向する排気側平面部56と排気側天面44とを設けることにより、TDC付近で燃料噴射された際に、噴射燃料がシリンダ2の内壁面(シリンダライナ)に直接付着することが防止される。
[効果]
本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6の構造では、燃焼室壁面の一部をなすピストン5の冠面50が、小キャビティ51(第1キャビティ)及び大キャビティ52(第2キャビティ)を含み、小キャビティ51が、+Z側からの平面視において、点火プラグ17の着火部17Aと一部が重複する領域に設けられ、小キャビティ51を大キャビティ52よりも吸気側開口部41側(−X側)に配しているとともに、小キャビティ51と大キャビティ52とを隣接配置している。そして、大キャビティ52の容積は、小キャビティ51の容積に対して大きい。
このような構造を採用する本実施形態では、相対的に容積が小さい小キャビティ51を吸気側開口部41側(−X側)に設けている。逆に言うと、本実施形態では、相対的に容積が大きい大キャビティ52を高温になる排気側開口部42側(+X側)に設けている。これにより、本実施形態では、インジェクタ18から噴射された燃料(噴射燃料18E)の霧化を素早く行うことが可能となる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1では、+Z側からの平面視において、小キャビティ51を点火プラグ17の着火部17Aと重複する箇所に設けている。これにより、相対的に容積が小さな小キャビティ51内の燃料噴霧に対して着火させることができる。そして、本実施形態では、小キャビティ51と大キャビティ52とが稜線54を挟んで隣接配置されているので、小キャビティ51内での着火により発生した火炎を大キャビティ52内にも伝搬させることができ、燃焼室6内に未燃燃料を残すことなく、燃焼室6全体に均質な燃焼を行うことができる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、点火プラグ17の着火部17Aを吸気バルブ11が配された吸気側の部分に配置しているので、点火プラグ17の冷却性能を確保することができる。
従って、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6の構造では、プリイグニッションを回避するためにTDC付近で燃料噴射を行った場合にあっても、高速かつ燃焼室6全体での均質な燃焼が可能である。
図3及び図4等からも分かるように、本実施形態に係るエンジン本体1のピストン5では、冠面50を+Z側から平面視するとき、大キャビティ52(第2キャビティ)の投影面積は、小キャビティ51(第1キャビティ)の投影面積に対して大きい。これにより、本実施形態に係る燃焼室6の構造では、点火プラグ17の着火部17Aから大キャビティ52の底部までの距離が不要に遠くなるのを防ぐことができ、燃焼室6全体に均質な燃焼を生じさせる上でより望ましい。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6においては、シリンダ2の天井面(シリンダヘッド4の底面4a)を−Z側から平面視するとき、インジェクタ18が、底面4aの略中央領域に配設されており、インジェクタ18は、ピストン5がTDC直前の位置にあるときに、小キャビティ51及び大キャビティ52の双方に対して燃料を噴射可能な噴射孔を有している(図8等を参照)。そして、ピストン5の冠面50を+Z側から平面視するとき、当該冠面50には、インジェクタ18が配設された箇所と少なくとも一部が重複する箇所に凸部53が形成されており(図7を参照。)、凸部53の周縁部57は、小キャビティ51の周縁部(第1周縁511)の一部及び大キャビティ52の周縁部(第2周縁521)の一部と境界を接する。
本実施形態では、このような構成を採用することにより、インジェクタ18から噴射された燃料(噴射燃料18E)が、凸部53の裾野部である山周縁部57に沿って小キャビティ51及び大キャビティ52内へと導かれる(図7及び図8を参照)。よって、エンジン本体1の燃焼室6では、小キャビティ51及び大キャビティ52の双方に対して高効率に燃料を供給することができ、燃焼室6全体に均質な燃焼を生じさせる上でより望ましい。
また、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、ピストン5の冠面50を+Z側から平面視するとき、大キャビティ52は、凸部53の周囲を取り囲む略C字形状を有し、小キャビティ51は、C字形状の開放部分に挟まれる位置に形成されている(図4を参照)。
このような構成を採用する本実施形態では、小キャビティ51と大キャビティ52との組み合わせにより、環状のキャビティ5Cが構成されていることとなり、大キャビティ52と小キャビティ51との双方に混合気を円滑に流通させることができ、高い着火性を確保することができる。また、小キャビティ51と大キャビティ52との組み合わせを以って構成される環状のキャビティ5Cにより、燃焼室6内においてスワール流を積極的に利用して燃焼室6全体での均質な燃焼を実現することができる。
なお、本実施形態では、+Z側からの平面視において、大キャビティ52がC字形状をしているので、大キャビティ52の開口領域の図心が小キャビティ51の開口領域の図心よりも排気側開口部42側に位置することとなる。
また、本実施形態に係るエンジン本体1では、点火プラグ17の着火部17Aよりも更に−X側(吸気側)の領域に逆スキッシュ流生成部(吸気側平面部55と吸気側天面43との組み合わせ)が設けられているので(図10等を参照)、ピストン5が−Z側へ下降するのに従って霧化された混合気を点火プラグ17の着火部17Aに集めることができる。よって、エンジン本体1の燃焼室6では、短時間での霧化を実現しながら、燃焼室6全体の酸素を使って燃焼を生じさせることができ、エミッション性能の低下(NOの発生など)を抑制することができる。
図2等に示すように、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、点火プラグ17の着火部17Aは、側面視でL字形の接地電極172を有し、点火プラグ17は、接地電極172におけるL字形の先端(対向部173)が−X側(インジェクタ18とは反対側)を向くように、シリンダヘッド4に取り付けられている。このような構成を採用することにより、インジェクタ18の噴射孔181から噴射された燃料(噴射燃料18E)が直接点火プラグ17の電極間ギャップ(中心電極171と接地電極172との間のギャップG)に付着するのを抑制することができる。即ち、L字形の背部分(基部174)により電極間のギャップGを噴射孔181の影に配することとなり、プラグ被りが生じるのを抑制することができる。そして、小キャビティ51内を通過し、十分に混合された混合気に対して着火することができる。
図3及び図4等に示すように、本実施形態に係るエンジン本体1の燃焼室6では、ピストン5の冠面50を+Z側から平面視するとき、小キャビティ51の周縁部(第1周縁511)の一部と大キャビティ52の周縁部(第2周縁521)の一部とは、境界を接し、当該境界部分が稜線54(共通周縁部)となっている。本実施形態では、このような構成を採用することにより、小キャビティ51内で高速に拡がる火炎を、スムーズに大キャビティ52内の混合気に伝搬させることができ、燃焼室6全体での高速な燃焼を生じさせることができる。
図4等に示すように、本実施形態に係るピストン5は、+Z側からの平面視において、小キャビティ51と大キャビティ52の各々が、冠面50の中心を通りX方向に延伸する仮想軸に対して線対称の形状を以って形成されている。本実施形態では、このような構成を採用することにより、燃焼室6内での偏りなく燃焼を生じさせることができ、燃焼室6内での更なる均質な燃焼が可能である。
[変形例]
以上、本発明の一態様としての実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、次のような変形例を採用することも可能である。
(1)上記実施形態では、小キャビティ51と大キャビティ52とが、稜線54を介して互いに接するように配置されている例を示したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、第1キャビティである小キャビティと第2キャビティである大キャビティとは、混合気の流れ(スワール流)及び火炎伝播の観点で実質的に隣接配置されていればよく、構造的に互いが離間していてもよい。
(2)上記実施形態では、ピストン5の冠面50に吸気側平面部55を設け、シリンダヘッド4の底面4aに吸気側天面43を設けることで、逆スキッシュ流生成部を構成することとしたが、本発明は、逆スキッシュ流生成部を必ずしも具備しなくてもよい。
(3)また、上記実施形態では、ピストン5の冠面50に吸気側平面部55を設け、シリンダヘッド4の底面4aに吸気側天面43を設けることで、逆スキッシュ流生成部を構成することとしたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。即ち、燃焼室内における吸気側の領域に、ピストンの冠面の一部とシリンダヘッドの底面の一部とが沿う領域を形成し、これにより逆スキッシュ流生成部を構成することができればよく、上記実施形態のように必ずしも平面で各部分を構成する必要はなく、曲面同士とすることもできる。
(4)上記実施形態では、ピストン5の冠面50に設けた小キャビティ51と大キャビティ52とについて、大キャビティ52の投影面積が小キャビティ51の投影面積よりも広く、かつ、大キャビティ52の深さh2が小キャビティ51の深さh1よりも深いとの構成を例として示したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、大キャビティと小キャビティとの深さを同一とし、投影面積の差異だけで、大キャビティの容積を小キャビティの容積よりも大きくすることも可能である。
(5)上記実施形態では、ピストン5の冠面50に2つのキャビティ(小キャビティ51と大キャビティ52)を設けることとしたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、上記実施形態と同様の特徴を有する小キャビティ及び大キャビティの他に、1又は複数のキャビティを形成することとしてもよい。
(6)上記実施形態では、インジェクタ18のノズルヘッド18Nが燃焼室6内に配置され、直噴方式で燃料が燃焼室6内に噴射される例を示したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、吸気ポート9にインジェクタ18を配置するポート噴射方式を採用することとしてもよい。
(7)上記実施形態では、燃焼室天井面6Uに2つの吸気側開口部41が設けられてなる例を示したが、そのうちの1つの吸気側開口部41に連通する吸気ポート9に、スワールコントロールバルブを設け、燃焼室6内におけるスワール流を積極的に発生させることが可能な構成を採用することとしてもよい。
スワール流を積極的に活用する状況において、スワールコントロールバルブによって一方の吸気側開口部41を閉止し、シリンダ軸回り(気筒軸周り)の渦流であるスワール流を発生させ易くすることができる。これにより、例えば、上述のSI燃焼やSICI燃焼(モードII)の燃焼において、スワールコントロールバルブを動作させることが望ましい。
(8)上記実施形態では、吸気側開口部41及び排気側開口部42を燃焼室天井面6Uに開口することとしたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、燃焼室6の上部におけるシリンダ2の側周面に開口することとしてもよい。
1 エンジン本体
2 シリンダ(燃焼室壁面)
3 シリンダブロック(燃焼室構成部材)
4 シリンダヘッド(燃焼室構成部材)
5 ピストン(燃焼室構成部材)
5C キャビティ
17 点火プラグ
17A 着火部
18 インジェクタ
43 吸気側天面
50 冠面
51 小キャビティ(第1キャビティ)
52 大キャビティ(第2キャビティ)
53 凸部
54 稜線
55 吸気側平面部
172 接地電極

Claims (8)

  1. 火花点火式のエンジンの燃焼室構造において、
    互いに直交する第1軸及び第2軸を仮定するとき、
    前記第1軸上に中心線が配置されたシリンダと、
    前記シリンダ内を前記第1軸に沿って往復摺動するピストンと、
    前記シリンダ及び前記ピストンを含む前記エンジンの燃焼室を区画する燃焼室壁面を有する燃焼室構成部材と、
    前記燃焼室を臨むよう設けられた噴射孔を有するインジェクタと、
    前記燃焼室を臨むよう設けられた着火部を有する点火プラグと、
    前記燃焼室に開口され、前記第2軸に沿った方向に並ぶ吸気口及び排気口と、
    を備え、
    前記ピストンが圧縮行程中に移動する方向を第1方向、当該第1方向とは反対側の方向を第2方向とするとともに、前記第2軸に沿った方向のうち、前記吸気口が開口された側を吸気口側、前記排気口が開口された側を排気口側とするとき、
    前記燃焼室壁面における前記第2方向側の部分は、前記ピストンの冠面で形成され、
    前記冠面は、前記第1方向側に開口する第1キャビティ及び第2キャビティを含み、
    前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、前記第1キャビティは、前記点火プラグの着火部と一部が重複する領域に設けられ、前記第2キャビティは、前記第1キャビティよりも前記排気口側に配された領域を有し、前記第1キャビティと前記第2キャビティとは、隣接配置されており、
    前記第2キャビティの容積は、前記第1キャビティの容積に対して大きく、
    前記燃焼室壁面における前記第1方向側の部分は、前記シリンダの天井面で形成され、
    前記天井面を前記第2方向側から平面視するとき、前記インジェクタは、前記天井面における中心部分に配設されており、
    前記インジェクタは、前記ピストンが上死点位置及びその近傍にあるときに、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティの双方に対して燃料を噴射可能な噴射孔を有しており、
    前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、
    当該冠面には、前記インジェクタが配設された箇所と少なくとも一部が重複する箇所に、前記第1方向側に向けて膨出する凸部が形成されており、
    前記凸部の周縁部は、前記第1キャビティの周縁部の一部及び前記第2キャビティの周縁部の一部と境界を接する、
    エンジンの燃焼室構造。
  2. 請求項1に記載のエンジンの燃焼室構造であって、
    前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、前記第2キャビティの投影面積は、前記第1キャビティの投影面積に対して大きい、
    エンジンの燃焼室構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のエンジンの燃焼室構造であって、
    前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、
    前記第2キャビティは、前記凸部の周囲を取り囲む略C字形状を有し、
    前記第1キャビティは、前記C字形状の開放部分に挟まれる位置に形成されている、
    エンジンの燃焼室構造。
  4. 請求項1から請求項の何れかに記載のエンジンの燃焼室構造であって、
    前記点火プラグは、前記ピストンが上死点を通過した後のタイミングで点火するように構成されており、
    前記インジェクタと前記点火プラグとを前記第1方向側から平面視するとき、前記点火プラグの着火部は、前記第2軸上において、前記インジェクタよりも前記吸気口側の箇所に配置されており、
    前記燃焼室においては、前記点火プラグの着火部よりも更に前記吸気口側の領域に、膨張行程中に混合気を前記吸気口側へと引き込む逆スキッシュ流生成部が設けられている、
    エンジンの燃焼室構造。
  5. 請求項に記載のエンジンの燃焼室構造であって、
    前記逆スキッシュ流生成部は、互いに沿う状態で対向する、前記シリンダにおける天井面の一部領域と前記ピストンの冠面の一部領域とにより形成されてなる、
    エンジンの燃焼室構造。
  6. 請求項又は請求項に記載のエンジンの燃焼室構造であって、
    前記点火プラグの着火部は、側面視でL字形の接地電極を有し、
    前記点火プラグは、前記接地電極における前記L字形の先端が前記吸気口側を向くように、前記シリンダに取り付けられている、
    エンジンの燃焼室構造。
  7. 請求項1から請求項の何れかに記載のエンジンの燃焼室構造であって、
    前記冠面を前記第1方向側から平面視するとき、前記第1キャビティの周縁部の一部と前記第2キャビティの周縁部の一部とは、境界を接し、
    前記第1キャビティの周縁部と前記第2キャビティの周縁部とが境界を接する部分は、稜線となっている、
    エンジンの燃焼室構造。
  8. 請求項1から請求項の何れか記載のエンジンの燃焼室構造であって、
    前記第1キャビティと前記第2キャビティとを前記第1方向側から平面視するとき、前記第1キャビティ及び前記第2キャビティの各々は、前記第2軸に対して線対称の形状を以って形成されている、
    エンジンの燃焼室構造。
JP2017109600A 2017-06-02 2017-06-02 エンジンの燃焼室構造 Active JP6620783B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017109600A JP6620783B2 (ja) 2017-06-02 2017-06-02 エンジンの燃焼室構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017109600A JP6620783B2 (ja) 2017-06-02 2017-06-02 エンジンの燃焼室構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018204505A JP2018204505A (ja) 2018-12-27
JP6620783B2 true JP6620783B2 (ja) 2019-12-18

Family

ID=64956794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017109600A Active JP6620783B2 (ja) 2017-06-02 2017-06-02 エンジンの燃焼室構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6620783B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04107485U (ja) * 1991-02-28 1992-09-17 富士重工業株式会社 筒内直噴式エンジンの点火装置
JP3743895B2 (ja) * 1996-10-31 2006-02-08 富士重工業株式会社 筒内噴射式エンジン
JP3741494B2 (ja) * 1996-10-31 2006-02-01 富士重工業株式会社 筒内噴射式エンジン
JP3945158B2 (ja) * 2000-12-22 2007-07-18 日産自動車株式会社 筒内直接噴射式内燃機関
JP4100401B2 (ja) * 2005-02-24 2008-06-11 トヨタ自動車株式会社 内燃機関
JP6232767B2 (ja) * 2013-06-13 2017-11-22 三菱自動車工業株式会社 排気ガス再循環装置を備えた内燃機関

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018204505A (ja) 2018-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6565999B2 (ja) エンジン
CN110709594B (zh) 发动机的燃烧室结构
JP6565987B2 (ja) エンジン
JPWO2007066565A1 (ja) エンジン
JP6620783B2 (ja) エンジンの燃焼室構造
WO2007080746A1 (ja) 予混合圧縮自着火燃焼機関
WO2018221639A1 (ja) エンジンの燃焼室構造
WO2018221306A1 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP6627844B2 (ja) エンジン
JP6565968B2 (ja) エンジン
JP6489157B2 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP6620784B2 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP6620785B2 (ja) エンジン
WO2018221638A1 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP2003278548A (ja) 副室式希薄燃焼ガスエンジン
WO2018221308A1 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP6565986B2 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP2005139988A (ja) 筒内直接噴射式内燃機関の燃焼室構造
JP6627843B2 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP4082277B2 (ja) 筒内直噴cngエンジン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190129

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190211

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6620783

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150