JPWO2007066565A1 - エンジン - Google Patents

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Abstract

燃焼室(4)内に燃料を直接噴射するインジェクタ(3)を1気筒当たり2本備える。これらのインジェクタ(3,3)は、クランク軸の軸線方向から見て吸気ポートの下側でクランク軸の軸線方向に互いに重なるような位置と、平面視において吸気ポート間でシリンダの軸線方向に互いに重なるような位置とのうち何れか一方に位置して、互いに近接して1気筒当たり2本設けられ、平面視において吸気ポート(7)の吸気口(7a)に近接する燃焼室周縁部からシリンダの略中央方向へ燃料を噴射する。これら2本のインジェクタ(3,3)から1回の燃焼サイクルにおいて必要な燃料を分配して供給した。

Description

本発明は、燃焼室内に燃料を直接噴射するインジェクタを備えたエンジンに関するものである。
従来、エンジンとしては、例えば特開2003−269176号公報(以下、単に特許文献1という)に開示されているように、燃費の向上と排ガスの清浄化とを達成するために、燃焼室内に燃料をインジェクタによって直接噴射し、点火プラグの周辺近傍に燃料を集める構成のものがある。
特許文献1に記載されている従来のエンジンは、頂部にキャビティが設けられたピストンと、キャビティに向けて燃料を噴射するインジェクタとを備えている。
インジェクタは、1気筒当たり1本装備され、シリンダヘッドにおける燃焼室の中央部または周縁部を形成する部位に装着されている。
ピストンのキャビティは、インジェクタから噴射された燃料を点火プラグ側へ跳ね返すように機能する。
すなわち、この従来のエンジンにおいては、インジェクタから噴射された燃料がピストンのキャビティに当たった後に点火プラグ側へ跳ね返されて、点火プラグの周辺近傍に集められる。この結果、このエンジンによれば、いわゆる燃料混合気の成層化が図られ、燃料の噴射量が少なくても確実に着火するようになる。
特許文献1に示された従来のエンジンにおいては、ピストンの頂部へ燃料が噴射されるために、頂部に燃料からなる液状の膜が形成され易い。このため、このエンジンでは、膜状の燃料が不完全燃焼を起こすことに起因してカーボンが発生し易くなるという問題があった。
また、上述した従来のエンジンのようにインジェクタによって燃焼室内に燃料を直接噴射する構成を採る場合、高回転高出力運転時などで燃料噴射量が増大すると、噴射された燃料が特にインジェクタと対向するシリンダの周壁に当たり付着し易くなる。このようにシリンダの周壁に燃料が付着すると、この周壁に付着しているオイルが燃料によって洗い流されるようにして失われたり、燃料が周壁とピストンとの間の隙間からクランク室内に流下し、クランク室内のオイルを希釈してしまうおそれがある。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、ピストンにキャビティを設けることなく燃料を所定の部位に集めることができ、しかも、燃料噴射量が増大しても燃料がシリンダの周壁に付着することがないエンジンを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係るエンジンは、シリンダヘッドとシリンダとピストン頂面とによって形成された燃焼室と、シリンダヘッドに形成され、燃焼室に連通された吸気ポートおよび排気ポートと、燃焼室内に燃料を直接噴射するインジェクタとを備えたエンジンにおいて、インジェクタは、クランク軸の軸線方向から見て吸気ポートの下側でクランク軸の軸線方向に互いに重なるような位置と、平面視において吸気ポート間でシリンダの軸線方向に互いに重なるような位置とのうち何れか一方に位置して、互いに近接して1気筒当たり2本設けられ、かつ平面視において吸気ポートの吸気口に近接する燃焼室周縁部からシリンダの略中央方向へ燃料を噴射するように構成され、1回の燃焼サイクルにおいて必要な燃料は、これら2本のインジェクタから分配して供給されるものである。
本発明によれば、1回の燃焼サイクルにおいて必要な燃料が2本のインジェクタから分配して供給されるので、インジェクタを1気筒当たり1本しか装備せず、必要な燃料の全量を1本のインジェクタから供給する従来のエンジンに較べて、インジェクタ1本当たりの燃料噴射量が低減される。したがって、各インジェクタからの燃料噴射時間が短縮され、インジェクタから噴射された燃料の到達距離が相対的に短くなる。
したがって、本発明によれば、インジェクタから所定の距離だけ離間した部位に燃料を集めることができ、従来のようにピストンにキャビティを形成して燃料を集める必要はなくなる。このため、ピストンのキャビティに向けて燃料を噴射する構成の従来のエンジンに較べてピストンに付着する燃料の量を低減でき、カーボンが発生することを防ぐことができる。
また、本発明によれば、インジェクタから噴射された燃料の到達距離が短くなることから燃料がシリンダの周壁に付着し難くなる。このため、シリンダの周壁に付着しているオイルが燃料によって洗い流されることが抑制され、シリンダの周壁をオイルによって確実に潤滑できる。
請求項2記載の発明によれば、燃料が噴射される範囲をシリンダの軸線方向においてエンジンのボア−ストローク比に対応させて設定することができる。このため、この発明によれば、インジェクタとして噴霧形状が単純なものを使用しながら、シリンダ内の適正な範囲に燃料を噴射することができるから、ピストンやシリンダの周壁に燃料が付着することをより一層確実に防ぐことができる。
請求項3記載の発明によれば、1本のインジェクタを2段階に噴射させて弱成層混合気を形成する従来の手法と比較して、より広範囲の運転条件にて良好な弱成層混合気を形成することが可能であり、安定燃焼、排ガス低減効果が得られる。
請求項4記載の発明によれば、2本のインジェクタを使用していることから噴霧(燃料)の到達距離を短くでき、その上、2つの噴霧の組合わせを変えることによって、燃料が供給される範囲の形状の自由度を高くすることができる。このため、この発明によれば、ピストンキャビティによる筒内流動に頼らずに、燃料が1箇所に集められた良好な混合気を燃焼室内で形成することがき、圧縮行程でいわゆる燃料の成層化を容易に図ることができる。
したがって、この発明によれば、シリンダ内に空気を大量に供給するリーンバーン運転あるいは大量EGR運転を行う場合であっても燃焼が安定し、しかも、過給機を使用してリーンバーン運転あるいは大量EGR運転を行うことも可能になる。特に、この発明によるエンジンにおいては、リーンバーン運転時に吸気量の増大を図れることから、低速運転時にもスロットル弁を開けておくことができるようになり、いわゆるノンスロットル化が実現されてポンピングロスを低減することができる。
また、前述のように燃料が供給される範囲の形状(成層混合気形状)の自由度が高くなるので、噴霧形状の自由度が高いマルチホールインジェクタを使用する場合はもとより、従来からよく使われているスワールインジェクタを使用する場合であっても噴霧形状による成層化を達成できる。
さらに、この発明に係るエンジンは、低回転低負荷運転時においては上述したように筒内流動に頼らずに燃料の成層化が可能であるから、吸気ポートの形状の設計上の自由度が高くなる。このため、このエンジンの吸気ポートの構造としては、シリンダ内にタンブルを発生させるタンブルポートや、シリンダ内にスワールを発生させるスワールポートや、高流量を流すハイフローポートなどの種々のポート形状を採ることができる。
請求項5記載の発明によれば、インジェクタから噴射された燃料の到達距離が短かく、いわゆる噴霧貫徹力が低く抑えられた燃料が吸気行程で噴射される。このため、燃料が吸気流に乗り易くなるから、シリンダの周壁に燃料が付着することを、吸気に燃料を乗せることによって防ぐことができる。この結果、この発明によれば、シリンダの周壁のオイルによる潤滑を損なうようなことがない。
また、この発明によれば、上述したように燃料が吸気流に乗り易いことから、燃料を燃焼室内に直接噴射する構成を採っているにもかかわらず、吸気管内に燃料を噴射するエンジンと同等もしくはそれ以上に吸気中に燃料を均等に分布させることができる。この結果、この発明に係るエンジンは、高回転高負荷運転時において燃焼改善による熱効率の向上が可能となり、大出力を容易に得ることができる。
請求項6記載の発明によれば、1回の燃焼サイクルにおいて、第1のインジェクタから噴射された燃料の層と、第2のインジェクタから噴射された燃料の層とがシリンダの軸線方向に二層に重なるように形成される。この場合、先に噴射された燃料の層内の温度は気化潜熱により低下する。この後に第2のインジェクタから燃料が噴射される。この燃料の層内においても温度が低下するが、燃料の気化時間が短く限定されるため、先の燃料の層ほど温度は低下しない。このため、二つの燃料の層のうち、後から噴射された燃料の層の温度は、先に噴射された燃料の層の温度より高くなる。
このため、この発明によれば、層をなす燃料の温度差を利用して燃焼を制御することが可能になる。この請求項6記載の発明は、いわゆる予混合圧縮自己着火燃焼{HCCI(Homogeneous-Charge Compression-Ignition combustion)}エンジンに適用することができ、このエンジンにおいて上記のように温度差のある複数の燃料層を設けることにより、燃焼速度を緩慢にするなど燃焼を制御することが可能になる。
請求項7記載の発明によれば、高回転高負荷運転時は両方のインジェクタに燃料を同時噴射させ、低回転低負荷運転時では第1のインジェクタと第2のインジェクタとを1サイクル毎に交互に噴射させる。なお、一般的に、エンジンの運転域が低回転低負荷運転域にあるときは、インジェクタ先端部の熱負荷が小さくなるから、上述したように1回の燃焼サイクル毎に交互に燃料を噴射させても、インジェクタ先端部を燃料によって充分に冷却し、インジェクタ先端部の焼損を防ぐことができる。
一般的に低回転低負荷運転時には、1回の燃焼サイクルにおいて必要な燃料の量は極少量となる。もし、そのような運転時にも2本のインジェクタから同時に噴射させると、1本当たりの燃料噴射量がさらに少量となってしまい、そのような極少量を正確に噴射量(噴射時間)制御することは困難である。しかし、この発明によれば、2本のインジェクタは、低回転低負荷運転時には、同時ではなく、1回の燃焼サイクル毎に交互に噴射するようにしているので、各インジェクタからの噴射量は従来の1本のみのインジェクタの場合と同等にでき、よって噴射量(噴射時間)制御が容易となる。このため、低回転低負荷運転域におけるインジェクタの低流量側のダイナミックレンジを確保することが容易となる。一方、高回転高負荷運転時は、両方のインジェクタによって燃料を充分に供給することができる。
この結果、この発明によれば、従来のエンジンに用いる1本のみのインジェクタに較べて、2本のインジェクタによる実質的なダイナミックレンジ(最大噴射量と最小噴射量との比)を拡げることができるから、ピストンや周壁への燃料の付着を防ぎながら、低回転域から高回転域に至るまで燃料を適正な噴射量をもって噴射することができる。特に、この発明においては、高回転高負荷運転時に要求最大噴射量・要求噴射率が増大したとしても、従来のエンジンでは不可能であったような高過給圧による過給や、高回転での運転が可能になる。
図1は、本発明に係るエンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図2は、図1に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。 図3は、吸気行程で燃料が噴射されている状態を示すエンジンの断面図である。 図4は、マルチホールインジェクタを使用したエンジンの断面図である。 図5は、エンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図6は、図5に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。 図7は、エンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図8は、インジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。 図9は、エンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図10は、インジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。 図11は、エンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図12は、エンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図13Aは、インジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図で、同図は両方のインジェクタが燃料を同時に噴射している状態を示す。 図13Bは、インジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図で、同図は第1のインジェクタが燃料を噴射している状態を示す。 図13Cは、インジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図で、同図は第2のインジェクタが燃料を噴射している状態を示す。 図14は、エンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図15は、インジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。 図16は、他の例のエンジンの要部を拡大して示す断面図である。 図17は、インジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るエンジンの一実施の形態を図1ないし図4によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るエンジンの要部を拡大して示す断面図、図2は図1に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図、図3は吸気行程で燃料が噴射されている状態を示すエンジンの断面図、図4はマルチホールインジェクタを使用したエンジンの断面図である。
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるエンジンを示す。このエンジン1は、シリンダヘッド2に設けられたインジェクタ3によって燃焼室4内に燃料を直接噴射する水冷式DOHC型4サイクルエンジンである。このエンジン1は、図示していないクランクケースの上に設けられたシリンダボディ5と、このシリンダボディ5の上端部に取付けられたシリンダヘッド2と、シリンダボディ5内に嵌挿されたピストン6などを備えている。シリンダボディ5によって、本発明でいうシリンダが構成されている。ピストン6の頂部は、前述した従来のエンジンのピストンに設けられているようなキャビティは形成されておらず略平坦に形成されている。なお、ピストン6の頂部の形状は、略平坦に限定されることはなく、筒内流動や火炎伝播を考慮した形状とすることができる。
クランクケースの内部には、ピストン6によって燃焼室4とは画成されたクランク室が形成されている。このクランクケースの下部には、オイルを貯留するためのオイルパン(図示せず)が設けられている。
シリンダヘッド2には、燃焼室4から図1において右方に延びる一対の独立吸気ポート7と、燃焼室4から左方に延びる一対の独立排気ポート8とが形成されている。また、シリンダヘッド2は、各ポート7,8の燃焼室への一対の吸・排気口7a,7a,8a,8aに1気筒当たり2本ずつの吸気弁9と排気弁10とを備えている。これらの吸・排気弁9,10は、図示していない吸気カム軸と排気カム軸とによって所定の時期に開閉される。
このシリンダヘッド2における4本の吸・排気弁9,10によって囲まれた部位であって、燃焼室4の中央部には、点火プラグ11が取付けられている。
吸気ポート7は、この実施の形態では吸気弁9毎にそれぞれ独立して形成されている。なお、吸気ポート7としては、従来からよく知られているように、上流側は一つになっていて下流側端部が吸気弁9毎に分岐される断面Y字状のサイアミーズタイプに形成することもできる。
インジェクタ3は、図1に示すように、クランク軸(図示せず)の軸線方向から見てシリンダヘッド2における吸気ポート7とシリンダボディ5とによって挟まれるような一端部に吸気ポート7に沿うような状態で取付けられている。また、このインジェクタ3は、図2に示すように、1気筒当たり2本設けられている。これら2本のインジェクタ3は、クランク軸の軸線方向から見て(図1参照)クランク軸の軸線方向に互いに重なるとともに、シリンダの軸線方向から見て(図2参照)その軸線が互いに平行になるようにシリンダヘッド2に取付けられている。
また、これらのインジェクタ3,3は、図2に示すように、平面視で吸気ポート7の吸気口7aに近接する燃焼室4の周縁部からシリンダの略中央方向へ燃料Fを噴射するように構成されている。これらのインジェクタ3,3は、図1、図2に示すように、燃料Fを円錐状に噴射する構造のスワールインジェクタが用いられている。
さらに、これらのインジェクタ3,3は、一つの気筒の1回の燃焼サイクル(吸気→圧縮→膨張→排出)において必要な燃料が分配して供給されるように構成されている。すなわち、この実施の形態による2本のインジェクタ3,3は、常に互いに等しい量または不等量の燃料を噴射することになる。なお、これらのインジェクタ3,3としては、図4に示すように、燃料Fを放射状に噴射するマルチホールインジェクタを用いることもできる。
この実施の形態による2本のインジェクタ3,3は、エンジン1の運転域が低回転低負荷運転域にあるときは、図1に示すように、圧縮行程において燃料を噴射し、エンジン1の運転域が高回転高負荷運転域にあるときは、図3に示すように、吸気行程において燃料を噴射する構成が採られている。
上述したように1気筒当たり2本のインジェクタ3,3を備えたエンジン1においては、1気筒当たり1本のインジェクタを装備している従来のエンジンに較べて、インジェクタ1本当たりの燃料噴射量を低減している。このようにインジェクタ3の燃料噴射量を低減すると、燃料を噴射する時間が短縮され、インジェクタ3から噴射された燃料の到達距離は、従来のエンジンにおける燃料の到達距離と較べて相対的に短くなる。
すなわち、この実施の形態によるエンジン1においては、1本のインジェクタによって燃料が全量供給される従来のエンジンに較べて、1回の燃焼サイクルにおける燃料供給量を同一とした場合、燃料の到達距離が短縮する。
したがって、この実施の形態によるエンジン1によれば、図2に示すように、噴霧Fは、2本のインジェクタ3,3からシリンダの軸線Cの近傍、言い換えれば点火プラグ11の周辺近傍に噴射され、燃焼室4内におけるシリンダヘッド側の中央部に集められるようになる。しかも、図2に示すように、2つの噴霧Fは、互いに平行かつ到達距離が短いことによって、噴霧Fどうしが激しく衝突することがなく、したがって衝突によって燃料粒子が大型化したり噴霧が乱されることもない。
この結果、このエンジン1においては、ピストン6にキャビティを形成して燃料を集める必要はなく、ピストンに向けて燃料を噴射する構成の従来のエンジンに較べてピストン6に付着する燃料の量を低減でき、カーボンの発生を防ぐことができる。
また、この実施の形態によるエンジン1においては、上述したようにインジェクタ3から噴射された燃料の到達距離が短くなることから、燃料がシリンダの周壁12に付着し難くなる。このため、周壁12を潤滑しているオイルが燃料によって流されてしまうようなことはなく、ピストン6とシリンダの周壁12との摺動部の潤滑を損なうようなことはない。
この実施の形態によるエンジン1は、運転域が低回転低負荷運転域にあるときは圧縮行程において上記のように燃料が噴射される。このため、圧縮行程において燃料の噴霧形状と噴霧(燃料)の到達距離によって点火プラグ11の周辺近傍に濃度の高い混合気の層が形成され、いわゆる成層化を図ることができる。すなわち、このエンジン1によれば、筒内流動に頼らずに燃料が1箇所(点火プラグ11の周辺近傍)に集められた良好な混合気を圧縮行程において燃焼室4内で形成することができる。
したがって、このエンジン1によれば、空気をシリンダ内に大量に供給するリーンバーン運転あるいは大量EGR運転を行う場合であっても燃焼が安定し、しかも、過給機(図示せず)を使用してリーンバーン運転あるいは大量EGR運転を行うことも可能になる。特に、このエンジン1においては、リーンバーン運転時に吸気量を従来のエンジンに較べて増大させることができるから、低速運転時にもスロットル弁を開けておくことができるようになり、いわゆるノンスロットル化が実現されてポンピングロスを低減することができる。
また、このエンジン1においては、2本のインジェクタを使用しているから噴霧(燃料)の到達距離(燃料を短くでき、その上2つの噴霧の組合せを変えることによって、燃料が供給される範囲の形状(成層混合気形状)の自由度が高くなる。よって噴霧形状の自由度が高いマルチホールインジェクタはもとより、従来からよく使われているスワールインジェクタでも噴霧形状による成層化が達成できる。
この実施の形態によるエンジン1は、上述したように低回転低負荷運転時においては筒内流動に頼らずに成層化が可能なので、吸気ポート7の形状の設計上の自由度を高めることができる。このため、このエンジン1の吸気ポート7の構造としては、シリンダ内にタンブルを発生させるタンブルポートや、シリンダ内にスワールを発生させるスワールポートあるいはハイフローポート(高流量ポート)などの種々のポート形状を採ることができる。
加えて、この実施の形態によるエンジン1は、運転域が高回転高負荷運転域にあるときは吸気行程において燃料が噴射されるから、燃料の到達距離が短くなる(噴霧貫徹力が小さくなる)ことと相俟って燃料が吸気に乗り易くなる。このため、このエンジン1によれば、高回転高負荷運転時において、シリンダの周壁12に燃料が付着することを吸気に燃料を乗せることによって防ぐことができる。この結果、このエンジン1によれば、シリンダの周壁12をオイルによって確実に潤滑することができる
また、この実施の形態によるエンジン1においては、上述したようにインジェクタ3から噴射された燃料が吸気流に乗り易くなる。このため、このエンジン1によれば、燃料を燃焼室4内に直接噴射する構成を採っているにもかかわらず、吸気管内に燃料を噴射するエンジンと同等もしくはそれ以上に吸気中に燃料を均等に分布させることができる。この結果、この実施の形態によるエンジン1は、高回転高負荷運転時において燃焼改善による熱効率の向上が可能となり、大出力を容易に得ることができる。なお、2本のインジェクタ3,3をエンジン1に装備するに当っては、下記の第2ないし第4の実施の形態を採ることができ、これらの実施の形態を採ることによっても第1の実施の形態を採るときと同等の効果が期待できる。
(第2の実施の形態)
請求項2に記載した発明に係るエンジンを図5および図6によって詳細に説明する。
図5はエンジンの要部を拡大して示す断面図、図6は図5に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。これらの図において、図1〜図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
図5および図6に示すエンジン1の2本のインジェクタ3は、第1のインジェクタ3Aと第2のインジェクタ3Bとから構成されている。第1のインジェクタ3Aは、燃料の噴射方向が燃焼室4内における点火プラグ11に近接する部位を指向するように構成されている。第2のインジェクタ3Bは、燃料の噴射方向が第1のインジェクタ3の噴射方向とはシリンダの軸線方向に異なる部位を指向するように構成されている。この第2のインジェクタ3Bの噴射方向は、図5に示すように、第1のインジェクタ3Aから噴射された燃料F1よりピストン6側にずれた部位に燃料F2が噴射される方向を指向している。そして、第1の実施形態と同様にその到達距離は短い。したがって、このエンジン1によれば、2つの噴霧F1,F2どうしが激しく衝突することがなく、燃料粒子の大型化や噴霧の乱れが防止される。
また、これら第1および第2のインジェクタ3A,3Bの噴射方向は、図6に示すように、シリンダの軸線方向から見て点火プラグ11を指向する方向に設定されている。なお、第1および第2のインジェクタ3A,3Bは、同時噴射であるが、燃料を噴射する時期は、吸気行程と圧縮行程とのいずれか一方のみとする他に、吸気行程と圧縮行程の両方とすることができる。
この実施の形態に示すエンジン1においては、2本のインジェクタ3A,3Bによって燃料が噴射される範囲をシリンダの軸線方向に広くとることができる。このため、このエンジン1によれば、第1、第2のインジェクタ3A,3Bとしてそれぞれ噴霧開き角度や噴射方向の異なるものを取付けることによって、シリンダのボア−ストローク比に対応した最適な範囲に燃料を噴射することができる。
したがって、この実施の形態によるエンジン1においては、ボア−ストローク比を設計する上で制約を受けることはなく、しかも、インジェクタ3としてスワールインジェクタのような噴霧形状が単純なものを使用しながら、シリンダ内の適正な範囲に燃料を噴射することができる。
(第3の実施の形態)
請求項3に記載した発明に係るエンジンを図7ないし図10によって詳細に説明する。
図7はエンジンの要部を拡大して示す断面図、図8は図7に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図、図9はエンジンの要部を拡大して示す断面図、図10は図9に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。これらの図において、図1〜図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
図7〜図10に示すエンジン1のインジェクタ3は、燃料を燃焼室4内の相対的に広い範囲に拡散するように噴射する第1のインジェクタ3Aと、燃料を点火プラグ11の周辺近傍に集まるように噴射する第2のインジェクタ3Bとから構成されている。このエンジン1においては、両インジェクタ3A,3Bからの噴霧F1,F2の到達距離も短い。この実施の形態においては、両インジェクタ3A,3Bは、燃料を中空円錐状に噴射するスワールインジェクタが用いられている。
第1のインジェクタ3Aの噴射方向は、図7に示すように、クランク軸の軸線方向から見て後述する第2のインジェクタ3Bが指向する部位より下方であって、図8に示すように、平面視において点火プラグ11を指向する方向に設定されている。第1のインジェクタ3Aによって噴射された燃料を図7および図8において二点鎖線F1で示す。この第1のインジェクタ3Aの噴霧形状は、第2のインジェクタ3Bの噴霧形状に較べて円錐の頂点の角度(噴霧開き角度)が大きくなるように形成されている。この第1のインジェクタ3Aは、主に吸気行程で主に均質用の噴霧を噴射するように構成されている。ここでいう均質用の噴霧とは、燃料にむらがない噴霧であって、燃料が噴射された範囲内のどの部位においても燃料の粒が略均等に分布しているような噴霧のことをいう。
第2のインジェクタ3Bの噴射方向は、図9に示すように、クランク軸の軸線方向から見て点火プラグ11の下方近傍を指向する方向であって、図10に示すように、平面視において点火プラグ11を指向する方向に設定されている。この第2のインジェクタ3Bは、主に圧縮行程で主に成層用の噴霧を噴射するように構成されている。第2のインジェクタ3Bによって噴射された燃料を図9および図10において二点鎖線F2で示す。
そして、吸気行程で第1のインジェクタ3Aによって燃料を噴射し、続く圧縮行程で第2のインジェクタ3Bによって燃料を噴射することにより弱成層混合気を形成できる。さらに各々のインジェクタの噴射時期と噴射量(割合)を変更することによって、運転条件に適した弱成層混合気形成の自由度が増す。
(第4の実施の形態)
請求項6に記載した発明に係るエンジン1を図11および図12によって詳細に説明する。
図11および図12はエンジンの要部を拡大して示す断面図である。これらの図において、図1〜図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
図11に示すエンジン1の2本のインジェクタ3は、噴射時期が相対的に早くなるように設定された第1のインジェクタ3Aと、噴射時期が相対的に遅くなるように設定された第2のインジェクタ3Bとから構成されている。
第1のインジェクタ3Aは、図11および図12において二点鎖線F1で示すように、圧縮行程の相対的に早い時期において、燃焼室4内における相対的にピストン6に近接する部位に燃料を噴射するように構成されている。
第2のインジェクタ3Bは、図11および図12において、二点鎖線F2で示すように、同一圧縮行程の相対的に遅い時期において、燃焼室4内における相対的に点火プラグ11に近接する部位に燃料を噴射するように構成されている。すなわち、これらの2本のインジェクタ3,3は、1回の燃焼サイクルにおける圧縮行程において燃料を噴射する時期と噴霧位置とを異ならせている。
なお、第1、第2のインジェクタ3A,3Bの燃料を噴射する時期は、一方のインジェクタにおいて1回の燃焼サイクルにおける吸気行程の早期に燃料を噴射し、他方のインジェクタにおいて同じ燃焼サイクルの吸気行程の後期に燃料を噴射するように設定することができる。また、第1、第2のインジェクタ3A,3Bの燃料を噴射する時期は、一方のインジェクタにおいて1回の燃焼サイクルにおける吸気行程の後期に燃料を噴射し、他方のインジェクタにおいて同じ燃焼サイクルの圧縮行程の中期に燃料を噴射するように設定することができる。
図11に示す2本のインジェクタ3A,3Bは、第1の実施の形態で示したインジェクタ3と同様に、平面視において軸線方向が互いに平行になり、クランク軸の軸線方向から見て吸気ポート7に沿うような状態でクランク軸の軸線方向に互いに重なるような位置に設けられている。
図12に示す2本のインジェクタ3A,3Bは、平面視においてシリンダの軸線方向に互いに重なるような位置に設けられるとともに、クランク軸の軸線方向から見た状態での角度が互いに異なるようにシリンダヘッド2に取付けられている。図12に示す第1のインジェクタ3Aの軸線は、吸気ポート7に沿うように設けられた第2のインジェクタ3Bに較べてシリンダの軸線Cとのなす角度が小さくなる(図12において起立する)ように設定されている。この第1のインジェクタ3Aの一部は、2つの吸気ポート7,7の間に配置されている。
この実施の形態によるエンジン1によれば、1回の燃焼サイクルにおいて第1のインジェクタ3Aから噴射された燃料F1の層と、第2のインジェクタ3Bから噴射された燃料F2の層とがシリンダの軸線方向に二層に重なるように形成される。一般的に、燃焼室内にインジェクタによって燃料が噴射されると、気化潜熱により噴霧内の温度は低下する。すなわち、この実施の形態によるエンジン1において、噴霧F1内の温度は、第1のインジェクタ3Aから燃料が噴射され気化することによって低下する。この後に第2のインジェクタ3Bから新たに噴射される噴霧F2内においても温度が低下するが、燃料の気化時間が短く限定されるため噴霧F1ほど温度は低くはならない。
このため、二つの燃料の層のうち、後から噴射された燃料F2の層の温度は、先に噴射された燃料F1の層の温度より高くなる。すなわち、この実施の形態によるエンジン1によれば、上述したように燃焼室4内に温度の異なる二つの燃料の層が形成されることになる。この結果、このエンジン1によれば、層をなす燃料の温度差を利用して燃焼を制御することが可能になる。
このように温度差を利用して行う燃焼制御は、図11,12に示すエンジン1、すなわち点火プラグ11によって点火させる一般的なガソリンエンジンの他に、いわゆる予混合圧縮自己着火燃焼{HCCI(Homogeneous-Charge Compression-Ignition combustion)}エンジンにも適用することができる。このHCCIエンジンは、点火プラグを用いることなく発火させるもので、この種のエンジンに上記燃焼制御を適用することによって、燃焼温度を緩慢にする等、燃焼パターンを制御することが可能になる。
(第5の実施の形態)
請求項7に記載した発明に係るエンジンを図13A〜図13Cによって詳細に説明する。
図13A〜図13Cはインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。これらの図において、図1〜図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
図13A〜図13Cに示す第1のインジェクタ3Aと第2のインジェクタ3Bの噴射時期は、これら二つのインジェクタ3A,3Bが燃料をサイクル毎に交互に噴射するように設定されている。すなわち、図13Aに示すように、高回転高負荷運転時においては両方のインジェクタ3A,3Bに燃料を同時噴射させ、低回転低負荷運転時では、図13B、図13Cに示すように、第1のインジェクタ3Aと第2のインジェクタ3Bとを1燃焼サイクル毎に交互に燃料を噴射させる。図13A〜図13Cにおいては、第1のインジェクタ3Aによって噴射された燃料を二点鎖線F1によって示し、第2のインジェクタ3Bによって噴射された燃料を二点鎖線F2によって示す。
なお、一般的に、エンジンの運転域が低回転低負荷運転域にあるときは、インジェクタの先端部の熱負荷が小さくなる。このため、この実施の形態によれば、上述したように1回の燃焼サイクル毎に交互に燃料を噴射させても、インジェクタの先端部を燃料によって充分に冷却することができ、インジェクタの先端部の焼損を防ぐことができる。
また、一般的に低回転低負荷運転時には、1回の燃焼サイクルにおいて必要な燃料の量は極少量となる。もし、そのような運転時にも2本のインジェクタ3A,3Bから同時に噴射させると、1本当たりの燃料噴射量がさらに少量となってしまい、そのような極少量を正確に噴射量(噴射時間)制御することは困難である。しかし、この実施の形態によれば、インジェクタ3A,3Bは図13Bおよび図13Cに示すように、低回転低負荷運転時には、同時ではなく、1回の燃焼サイクル毎に交互に噴射するようにしているので、各インジェクタからの噴射量は従来の1本のみのインジェクタの場合と同等にでき、よって噴射量(噴射時間)制御が容易となる。一方、高回転高負荷運転時は、両方のインジェクタ3A,3Bによって燃料を充分に供給することができる。
この結果、この実施の形態によれば、従来のエンジンに用いる1本のみのインジェクタに較べて、2本のインジェクタによる実質的なダイナミックレンジ(最大噴射量と最小噴射量との比)を拡げることができる。このため、この実施の形態によれば、ピストン6や周壁12への燃料の付着を防ぎながら、低回転域から高回転域に至るまで燃料を適正な噴射量をもって噴射することができる。特に、この実施の形態によるエンジン1においては、高回転高負荷運転時に要求最大噴射量・要求噴射率が増大したとしても、従来のエンジンでは不可能であったような高過給圧による過給や、高回転での運転が可能になる。
図13A〜図13Cに示すエンジン1は、1気筒当たり2本の点火プラグ11A,11Bが装備されている。これらの点火プラグ11A,11Bは、クランク軸の軸線方向(図13A〜図13Cにおいては上下方向)に並ぶように設けられている。図13A〜図13Cに示す第1のインジェクタ3Aは、一方の点火プラグ11Aと対応する部位に燃料を噴射し、第2のインジェクタ3Bは、他方の点火プラグ11Bと対応する部位に燃料を噴射するように構成されている。
このように1気筒当たり2本のインジェクタ3A,3Bと2本の点火プラグ11A,11Bとを装備することにより、図13A〜図13Cに示したように2本のインジェクタ3A,3Bによって燃料を交互に噴射する場合であっても確実に点火するようになる。このため、このエンジン1においてリーンバーン運転を行うに当って、リーン限界を向上させることができる。また、2本のインジェクタ3A,3Bによって同時に燃料を噴射する場合は、このように2本点火プラグ11A,11Bを使用することによって燃焼期間を短縮することができ、いわゆる図示平均有効圧力を向上させることができるから、出力向上と燃費低減とを図ることができる。
1気筒当たり2本のインジェクタ3A,3Bを装備するに当っては、シリンダヘッド2を図14ないし図17に示すように形成することができる。
図14はエンジンの要部を拡大して示す断面図、図15は図14に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図、図16は他の例のエンジンの要部を拡大して示す断面図、図17は図16に示したエンジンにおけるインジェクタおよび燃焼室側の各部材の位置を模式的に示す平面図である。これらの図において、図1〜図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
図14および図16に示すエンジン1のシリンダヘッド2には、シリンダの周壁12の上端部12aが形成されている。言い換えれば、このシリンダヘッド2は、シリンダヘッド2とシリンダボディ5の合面位置を下げ、第1の実施の形態で示したシリンダヘッドに較べて、燃焼室4におけるシリンダヘッド2内に形成されている部分の容積が大きくなるように形成されている。
このようにシリンダヘッド2を形成することによって、シリンダボディ5と吸気ポート7との間の距離が長くなり、2本のインジェクタ3A,3Bを取付ける位置の自由度を高めることができる。すなわち、図12、図16および図17に示すように、クランク軸の軸線とは直交する仮装平面上でシリンダの軸線方向に重なるように2本のインジェクタ3A,3Bを配設することが可能になる。
また、この実施の形態を採ることにより、図14および図15に示すように、シリンダヘッド2におけるインジェクタ3A,3Bの先端部の近傍に冷却水通路21を形成することができ、先端部を充分に冷却することができる。このエンジン1によれば、インジェクタ3A,3Bの先端部が充分に冷却されることにより、先端部にカーボンが堆積することを防ぐことができる。さらに、この実施の形態を採ることにより、吸・排気弁9,10の弁体9a,10aの径を大きく形成することができるようになるから、出力向上をも図ることができる。
上記全ての実施の形態では、ピストンの頂部が平坦な例のみについて述べてきたが、必ずしもこの形態に特定されるものではなく、ピストンの頂部の形状は適宜変更することができる。
本発明に係るエンジンは、車両用エンジンや船舶用エンジンなどとして使用することができる。

Claims (7)

  1. シリンダヘッドとシリンダとピストン頂面とによって形成された燃焼室と、
    シリンダヘッドに形成され、前記燃焼室に連通された吸気ポートおよび排気ポートと、
    前記燃焼室内に燃料を直接噴射するインジェクタとを備えたエンジンにおいて、
    前記インジェクタは、クランク軸の軸線方向から見て吸気ポートの下側でクランク軸の軸線方向に互いに重なるような位置と、平面視において吸気ポート間でシリンダの軸線方向に互いに重なるような位置とのうち何れか一方に位置して、互いに近接して1気筒当たり2本設けられ、かつ平面視において吸気ポートの吸気口に近接する燃焼室周縁部からシリンダの略中央方向へ燃料を噴射するように構成され、
    1回の燃焼サイクルにおいて必要な燃料は、これら2本のインジェクタから分配して供給されることを特徴とするエンジン。
  2. 請求項1記載のエンジンにおいて、
    燃焼室の中央部に臨む少なくとも1つの点火プラグを備え、
    2本のインジェクタは、側面視において噴射方向が燃焼室内における点火プラグに近接する部位を指向する第1のインジェクタと、
    噴射方向が前記第1のインジェクタの噴射方向とはシリンダの軸線方向に異なる部位を指向する第2のインジェクタとから構成されていることを特徴とするエンジン。
  3. 請求項1記載のエンジンにおいて、
    燃焼室の中央部に臨む少なくとも1つの点火プラグを備え、
    2本のインジェクタは、
    1回の燃焼サイクルにおける吸気行程で燃料を燃焼室内の相対的に広い範囲に拡散するように噴射する第1のインジェクタと、
    圧縮行程で燃料を点火プラグの周辺近傍に集まるように噴射する第2のインジェクタとから構成されていることを特徴とするエンジン。
  4. 請求項1記載のエンジンにおいて、
    2本のインジェクタは、低回転低負荷運転時に圧縮行程において燃料を噴射することを特徴とするエンジン。
  5. 請求項1記載のエンジンにおいて、
    2本のインジェクタは、高回転高負荷運転時に吸気行程において燃料を噴射することを特徴とするエンジン。
  6. 請求項1記載のエンジンにおいて、
    2本のインジェクタは、1回の燃焼サイクルにおいて、燃料噴射時期と噴霧位置とがインジェクタ毎に異なっていることを特徴とするエンジン。
  7. 請求項1記載のエンジンにおいて、
    2本のインジェクタは、低回転低負荷運転時に1回の燃焼サイクル毎に交互に燃料を噴射することを特徴とするエンジン。
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