JPH06173821A

JPH06173821A - エンジンの燃料噴射装置

Info

Publication number: JPH06173821A
Application number: JP4352508A
Authority: JP
Inventors: Akira Kageyama; 明陰山; Shigeru Sakurai; 茂櫻井; Shizo Kariyama; 四三苅山; Yoichi Kuji; 洋一久慈
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1992-12-09
Filing date: 1992-12-09
Publication date: 1994-06-21

Abstract

(57)【要約】【目的】複数のインジェクタのうちの一部を使用して
筒内噴射を行うエンジンにおいて、一部インジェクタを
使用する軽負荷時に他のインジェクタが焼損するのを防
止し、かつ、燃焼安定性を確保する。【構成】エンジンの気筒内に二つの燃料噴射用インジ
ェクタ１０Ａ，１０Ｂを設置する。そして、低回転・軽
負荷域では二つのインジェクタ１０Ａ，１０Ｂを交互に
使用することにより、いずれのインジェクタ１０Ａ，１
０Ｂも周期的に燃料によって冷却され焼損が防止される
ようにする。また、噴射された噴霧が点火プラグ１１に
届くまでの距離が短いインジェクタ１０Ａの噴射時期を
遅くし、噴霧が点火プラグ１１に届くまでの距離が長い
インジェクタ１０Ｂの噴射時期を早くすることによっ
て、噴霧が点火プラグ１１に届くタイミングを揃え、安
定した燃焼が得られるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は筒内噴射を行うエンジン
の燃料噴射装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から例えば実開昭６２−９３１６４
号公報に記載されているように、燃焼室内に二つの燃料
噴射用インジェクタを設け、一方のインジェクタから点
火プラグの電極部に向けて着火に必要な最低量の燃料を
噴射することで点火プラグの電極部近傍に着火し易い混
合気を確保するとともに他方のインジェクタから主たる
燃料を噴射するようにして着火性を改善するようにした
ものが知られている。

【０００３】ところで、気筒内に直接燃料を噴射する２
サイクルエンジンにおいては、燃料の排気側への吹き抜
けを防止するため排気ポートが閉じた後に燃料を噴射す
るようにしたいという要求がある。そして、シリンダ下
部に掃気ポートが配列され、シリンダヘッドに排気弁に
よって開閉されるタイプの排気ポートが設けられたユニ
フロー式２サイクルエンジン等においては、排気弁の開
閉タイミングの設定によって掃気ポートが閉じる前に排
気ポートを閉じるようにし排気ポートを閉じた後掃気ポ
ートが閉じる迄に燃料を噴射するよう噴射時期を設定す
ることが可能である。しかしながら、このように排気ポ
ートを閉じた後掃気ポートが閉じる迄に燃料を噴射する
よう噴射時期を設定しようとしても、高回転・高負荷時
のように要求噴射量が大きくかつ掃気期間が時間的に短
くなる運転領域においては噴射期間が足りなくなり、そ
のため排気ポートが閉じる前に噴射を始めなければなら
なくなる場合があって、その場合には燃料の吹き抜けが
増大する。また、それを避けるために単位時間あたりの
噴射量が大きいインジェクタを用いるようにすると、ア
イドル時や軽負荷時に要求噴射量よりインジェクタの最
小噴射量が大きくなってしまい、適正な噴射量を噴射で
きないという問題が生ずる。また、４サイクルエンジン
においても、高回転・高負荷時に高出力を得るため燃料
噴射量を一層増量したいという要求があり、この場合
も、単位時間あたりの噴射量が大きいインジェクタを一
つ設けたのでは、アイドル時や軽負荷時に少量の適正な
噴射量を得ることができなくなるという問題が生ずる。
ところで、上記公報にあるようにインジェクタを二つに
分け、ただし、該公報のもののように一方を着火用とし
他方を主噴射用として常時二つを使用するのではなく、
高負荷時には両方を使用し軽負荷時には片方を使用する
ようにすれば、いずれの運転領域においても要求噴射量
を確保しつつ燃料の吹き抜けを防止できると考えられる
ことから、そのような試みが従来からなされている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エンジ
ンの気筒内に複数のインジェクタを設け、軽負荷時に一
部のインジェクタを使用し、高負荷時には全部のインジ
ェクタを使用するようにした場合に、軽負荷時に一部の
インジェクタだけが使用されて、他のインジェクタが使
用されないと、この使用されない方のインジェクタは軽
負荷時には燃料が流れないことによって冷却されること
がなくなり、焼損する恐れがある。

【０００５】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であって、気筒内に複数のインジェクタを設けて軽負荷
時には一部のインジェクタを使用するようにしたエンジ
ンにおいて、軽負荷時の全インジェクタの冷却を確保し
焼損を防止することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係るエンジンの
燃料噴射装置は、気筒内に複数の燃料噴射用インジェク
タを設けるとともに、エンジン軽負荷時にはインジェク
タを一部ずつ周期的に変更して使用するインジェクタ変
更手段を設けたことを特徴とする。

【０００７】また、本発明に係るエンジンの燃料噴射装
置は、気筒内に吸気スワールを生成するスワール生成手
段を備えたエンジンに適用する場合に、気筒内に複数の
燃料噴射用インジェクタを設けるとともに、エンジンの
所定運転領域ではインジェクタを一部ずつ周期的に変更
して使用するインジェクタ変更手段を設け、また、各イ
ンジェクタの取付位置の関係で使用インジェクタの異な
る各サイクル毎に燃焼状態が異なって燃焼不安定となる
のを防止するため、噴射した燃料が吸気スワールの流れ
に乗って点火プラグに届くまでの距離が長いインジェク
タほど噴射時期を早くし、前記距離が短いインジェクタ
ほど噴射時期を遅くする噴射時期変更手段を設けるもの
とする。

【０００８】

【作用】本発明によれば、エンジン軽負荷時には気筒内
に設置された複数の燃料噴射用インジェクタが一部ずつ
周期的に変更して使用され、高負荷時には全インジェク
タが使用される。それにより、高負荷時には限られた噴
射期間で十分な噴射量を確保するようにでき、また、軽
負荷時には一部のインジェクタを使用することによって
過不足のない噴射量を得ることができる。また、軽負荷
時に使用するインジェクタが周期的に変更されることに
よって、どのインジェクタも周期的に燃料が流れ全イン
ジェクタが均等に冷却されて焼損が防止される。

【０００９】また、周期的に変更して使用されるそれぞ
れのインジェクタか噴射された噴霧が点火プラグに届く
タイミングが揃うよう、噴霧が点火プラグに届くまでの
距離が長いインジェクタほど噴射時期が早くされ、同距
離が短いインジェクタほど噴射時期が遅くされることに
よって、インジェクタの取付位置にかかわらず安定した
燃焼が得られるようになる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１１】図１は本発明の第１実施例に係るユニフロ
ー式２サイクルエンジンの全体図、図２はその燃焼室を
ヘッド下面側から見た模式図である。図において、１は
ユニフロー式２サイクルエンジンであって、シリンダブ
ロック２の内部に各気筒を構成するシリンダ室３が形成
され、その上部にシリンダヘッド４が連結されている。
そして、シリンダヘッド４の内面には燃焼室凹部５が形
成されている。また、シリンダブロック２の下部にはピ
ストン６の上下動に伴って所定のタイミングで開閉され
るようスワール生成式の掃気ポート７が形成されてい
る。この掃気ポート７から流入する吸気によってシリン
ダ室３には下方から上方に流れる一方向の掃気流がで
き、また、その掃気流は図２に矢印で示す方向のスワー
ル成分を有するものとなる。一方、シリンダヘッド４の
上記燃焼室凹部５には、中心から一方に偏った位置に二
つの排気ポート８Ａ，８Ｂが設けられ、また、それぞれ
の排気ポート８Ａ，８Ｂを開閉する排気弁９Ａ，９Ｂが
設けられている。燃焼室凹部５には、また、二つの排気
ポート８Ａ，８Ｂを挟むよう周辺寄りの位置に二つの燃
料噴射用インジェクタ１０Ａ，１０Ｂが設置され、ま
た、これら二つのインジェクタ１０Ａ，１０Ｂに挟まれ
る周辺寄りの位置に点火プラグ１１が設置されている。

【００１２】シリンダブロック２には、上記掃気ポート
７の上流にサージタンク１２が形成されている。そし
て、このサージタンク１２の入口に接続された吸気通路
１３には、上流から順にスロットル弁１４，機械式過給
機１５およびインタークーラ１６が設置されている。ま
た、吸気通路１３のスロットルボディ１４下流から分岐
して機械式過給機１５およびインタークーラ１６をバイ
パスするバイパス通路１７が設けられ、このバイパス通
路１７にバイパス制御弁１８が設置されている。

【００１３】そして、エンジン１には、コントロールユ
ニット１９が搭載され、また、クランク軸２０の回転角
を検出するクランク角センサ２１と、サージタンク１２
上流のブースト圧を検出するブーストセンサ２２が設け
られている。

【００１４】排気ポート８Ａ，８Ｂは膨張行程後期の所
定クランク角で開かれ、圧縮行程初期の所定クランク角
で閉じられる。また、掃気ポート７は膨張行程において
排気ポート８Ａ，８Ｂが閉じた後所定期間をおいたクラ
ンク角で開かれ、圧縮行程において排気ポート８Ａ，８
Ｂが閉じた後所定期間をおいたクランク角で閉じられ
る。

【００１５】コントロールユニット１９には上記クラン
ク角センサ２１からクランク角信号およびエンジン回転
信号が入力され、ブーストセンサ２２からブースト圧信
号が入力される。そして、クランク角センサ２１の出力
から演算したエンジン回転数とブースト圧に基づいてエ
ンジンの要求燃料噴射量が決定される。そして、常時は
二つのインジェクタ１０Ａ，１０Ｂを使用してシリンダ
室３内に燃料が噴射される。また、エンジン回転数とブ
ースト圧から低回転・軽負荷側の所定運転領域が検出さ
れ、この所定運転領域では二つのインジェクタ１０Ａ，
１０Ｂが交互に使用され、サイクル毎に図３の（ａ），
（ｂ）示すように異なるインジェクタから燃料噴射が行
われる。図３において（ａ）は第１のインジェクタ１０
Ａから燃料が噴射された場合を示し、（ｂ）は第２のイ
ンジェクタ１０Ｂから燃料が噴射された場合を示す。点
線はそれぞれの場合において噴射された燃料噴霧が矢印
方向のスワールに乗って点火プラグ１１の方向に流れる
様子を示している。このように使用するインジェクタ１
０Ａ，１０Ｂがサイクル毎に変更されることで、いずれ
のインジェクタ１０Ａ，１０Ｂにも周期的に燃料が流
れ、それによってインジェクタ１０Ａ，１０Ｂの冷却が
確保され、焼損が防止される。また、その際、噴射され
た噴霧が点火プラグ１１に届くまでの距離が短い方の第
１のインジェクタ１０Ａの噴射時期は図４の（ａ）に示
すように点火タイミングまでが比較的短くなるよう遅い
タイミングに設定され、噴霧が点火プラグ１１に届くま
での距離が長い方の第２のインジェクタ１０Ｂの噴射時
期は図４の（ｂ）に示すように点火タイミングまでが長
くなるよう早いタイミングに設定される。それにより、
二つのインジェクタ１０Ａ，１０Ｂから交互に噴射され
た燃料が点火プラグ１１に届くタイミングが揃い、イン
ジェクタ変更にかかわらず安定した燃焼が得られる。

【００１６】なお、上記実施例ではバルブ開閉式の排気
ポートを備えたユニフロー式２サイクルエンジンに関す
るものを説明したが、本発明は他の形式の２サイクルエ
ンジンにも適用でき、また、４サイクルエンジンに対し
ても適用することが可能である。また、気筒内に設ける
インジェクタの数が三つ以上の場合にも本発明を適用で
きる。

【００１７】

【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、気筒内に複数のインジェクタを設け軽負荷時に一部
のインジェクタを使用するようにしたエンジンにおい
て、軽負荷時に使用するインジェクタを周期的に変更す
ることにより、いずれのインジェクタにも周期的に燃料
を流して冷却を促進し焼損を防止するようにできるとと
もに、周期的に変更するインジェクタのそれぞれの取付
位置が相違することによる燃焼不安定を噴射時期の調整
によって防止するようにできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るユニフロー式２サイク
ルエンジンの全体図

【図２】本発明の一実施例に係るエンジンの燃焼室をヘ
ッド下面側から見た模式図

【図３】本発明の一実施例における燃料噴射状態の説明
図

【図４】本発明の一実施例における燃料噴射時期の説明
図

【符号の説明】

１ユニフロー式２サイクルエンジン７掃気ポート８Ａ，８Ｂ排気ポート９Ａ，９Ｂ排気弁１０Ａ，１０Ｂインジェクタ１１点火プラグ１９コントロールユニット２１クランク角センサ２２ブーストセンサ

フロントページの続き (72)発明者久慈洋一広島県安芸郡府中町新地３番１号マツダ株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】気筒内に複数の燃料噴射用インジェクタ
を設けるとともに、エンジン軽負荷時には前記インジェ
クタを一部ずつ周期的に変更して使用するインジェクタ
変更手段を設けたことを特徴とするエンジンの燃料噴射
装置。
【請求項２】気筒内に吸気スワールを生成するスワー
ル生成手段を備えたエンジンにおいて、気筒内に複数の
燃料噴射用インジェクタを設けるとともに、エンジンの
所定運転領域では前記インジェクタを一部ずつ周期的に
変更して使用するインジェクタ変更手段を設け、かつ、
噴射した燃料が吸気スワールの流れに乗って点火プラグ
に届くまでの距離が長いインジェクタほど噴射時期を早
くし、前記距離が短いインジェクタほど噴射時期を遅く
する噴射時期変更手段を設けたことを特徴とするエンジ
ンの燃料噴射装置。