JP2008157197A - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関の始動時に排気ガス浄化用の触媒床温を増加させる大幅遅角点火の処理のため成層燃焼をさせた際におけるスモークの抑制と、全負荷運転の領域での良好な均質燃焼とを両立して実行可能とする。
【解決手段】燃焼室Cの天井中央部に燃料の噴射方向を変更可能なインジェクタ10を配置し、これに隣接して点火プラグ13を配置し、インジェクタ10に対して一方の側に吸気バルブ7を配置し、他方の側に排気バルブ9を配置し、ピストン2の頂面に、全負荷運転ときにインジェクタ10から噴射された第1燃料噴霧11をガイドするためのタンブル流増強用の第1キャビティ21と、冷間始動のときにインジェクタ10から噴射された第2燃料噴霧12を点火プラグ13へ向けてガイドする第2キャビティ22とを設けて構成する。
【選択図】 図9

Description

この発明は、運転条件に対応して、均質燃焼又は成層燃焼を選択的に実行可能とした筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
自動車等に利用される筒内噴射式火花点火内燃機関には、運転条件に対応して2つの燃焼形態をとれるものが提案されている。この2つの燃焼形態は、例えば、圧縮行程時に燃料噴射を行うことで混合気を成層化し空燃比がリーン(酸素過多雰囲気)状態での運転を実現可能とする成層燃焼と、吸気行程時に燃料噴射を行い、十分な混合時間をとることで空燃比がストイキ(理論空燃比)状態での運転を実現可能とする均質燃焼である。
この2つの燃焼形態を行う内燃機関では、全運転条件の中で比較的低負荷および低回転の運転領域では成層燃焼を行い、比較的高負荷および高回転の運転領域では均質燃焼を行うのが一般的である。
従来の内燃機関には、ピストンの冠面に円錐形状の凹部を形成し、吸気ポートから供給された空気で作られるタンブル流が円錐形状の凹部に沿って流れるようにして、タンブル流を維持可能に構成したものが提案されている。すなわち、この内燃機関では、ピストンの冠面に、円錐形状の凹部を形成し、その底面部に溝状のキャビティを形成する。また、この内燃機関では、シリンダヘッドに形成された燃焼室天井部における中央部位に、燃料噴射弁と点火プラグを並べて配置する。
そして、この内燃機関では、燃料噴射弁から一時に噴射した燃料噴霧を、凹部と溝状のキャビティの双方に衝突させることで、凹部および溝状のキャビティのそれぞれの形状に応じた混合気塊を形成する。
この内燃機関では、凹部への燃料噴霧の衝突によって、燃焼室の中心部に負荷に応じた大きさの混合気塊を形成する。また、この内燃機関では、溝状のキャビティへの燃料噴霧の衝突によって、点火プラグ近傍に安定して混合気塊を形成する。これにより、この内燃機関では、安定した点火、燃焼が可能な成層混合気塊を形成できるので、安定した成層燃焼を行うことが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−183597号公報
ところで、このような筒内噴射式火花点火内燃機関に対しては、内燃機関の冷間始動時に、この内燃機関から排出される排気ガスを浄化するため設置された触媒の触媒床温を常温から触媒の機能を活性化させる温度まで急速に増加させるための大幅遅角点火の処理を行えるようにしたいという要求がある。
この大幅遅角点火の処理では、内燃機関の圧縮行程における上死点(TDC)付近において燃料噴射弁(インジェクタ)から燃料を噴射して、膨張行程で点火して燃料の燃焼エネルギが内燃機関を回転させるために消費されるのを減じ、排気ガスを高温のまま排気ガス浄化触媒へ送給することにより触媒床温を急速に上昇させる。
前述したようなシリンダヘッドに形成した燃焼室天井部における中央部位にインジェクタと点火プラグとを並べて配置した構成の筒内噴射式火花点火内燃機関で大幅遅角点火の処理を行う場合には、良好な成層燃焼を行うことが困難となる場合がある。
これは、この筒内噴射式火花点火内燃機関では、圧縮行程における上死点の付近においてインジェクタから燃料の噴霧を噴射すると、噴霧がピストン頂面にあるキャビティにガイドされて燃焼室の温度の低い内壁面に直接に当たるように流れて燃料の粒が付着する。
その結果、筒内噴射式火花点火内燃機関では、多量の未燃HC(炭化水素)が発生するばかりでなく、シリンダボア内壁面に付着したまま燃焼せずに残った付着燃料によって潤滑油が希釈されるという問題を生じる。さらに、この場合には、インジェクタから噴射された燃料の全量が適正に燃焼しないので燃焼効率が低下するという問題を生じる。
また、シリンダヘッドの中央部にインジェクタと点火プラグとが配置されている筒内噴射式火花点火内燃機関では、大幅遅角点火の処理を行う場合に、インジェクタから噴射された直後の噴霧燃料に、インジェクタに近接して配置された点火プラグで点火することが考えられる。
しかし、この場合には、インジェクタから点火プラグまでの噴霧飛行距離が極端に短くなる。このため、この筒内噴射式火花点火内燃機関では、噴霧燃料が気化して空気と混合する期間が十分にとれないので、噴霧燃料に多く含まれる液状の燃料の粒子で点火プラグが濡れてくすぶるようになったり、リッチな状態の噴霧燃料に点火して未燃の炭化水素(HC)やスモークを発生させたりするおそれがある。
本発明は上述した点に鑑み、内燃機関の始動時に排気ガス浄化触媒の触媒床温を急速に増加させるための大幅遅角点火の処理を行って成層燃焼をさせた際にスモークが発生することを抑制できると共に、少なくとも全負荷運転の領域で均質燃焼を良好に実行可能とした筒内噴射式火花点火内燃機関を提供することを目的とする。
第1に、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、燃焼室の天井部分の中央部に配置した、燃料の噴射方向を変更可能なインジェクタと、燃焼室の天井部分にインジェクタに隣接して配置した点火プラグと、燃焼室の天井部分におけるインジェクタに対して一方の側に設けられた吸気ポートと、燃焼室の天井部分におけるインジェクタに対して他方の側に設けられた排気ポートと、燃焼室内に面したピストンの頂面に、吸気側から排気側へ向けて凹状の湾曲面に形成した第1キャビティと、ピストンの頂面に、吸気側から排気側へ伸びる中心線に沿うように、第1キャビティよりも深い溝状に形成した第2キャビティと、を備え、少なくとも全負荷運転の領域で運転する際にインジェクタから第1キャビティへ向けて第1燃料噴霧を噴射し、少なくとも冷間始動の運転を行うときにインジェクタから第2キャビティへ向けて第2燃料噴霧を噴射することを特徴とする。
上述のように構成することにより、全負荷運転の領域で運転する際にインジェクタから第1キャビティへ向けて第1燃料噴霧を噴射して、吸気ポートから燃焼室内に急速に流れ込む空気の流れと、インジェクタから噴射される第1燃料噴霧の貫徹力とが相俟って、この空気の流れが加速され強められる。このように強められた空気の流れが圧縮行程で長く続き、最後に崩壊して乱れが多数できた状態において、均質な混合気に点火する。これにより、この筒内噴射式火花点火内燃機関では、火炎が伝播して燃焼室の内部全体での燃焼を比較的に短い期間で行うように燃焼速度を速めて燃焼効率を向上し、全負荷運転の領域でのノッキング特性を改善することができる。さらに、内燃機関の冷間始動時に排気ガス浄化触媒の触媒床温を急速に増加させるための大幅遅角点火の処理を行う際に、インジェクタから噴射した第2燃料噴霧をピストンの第2キャビティで反転させて点火プラグへ導くことにより、第2燃料噴霧に含まれる液状の燃料の粒子が燃焼室の内壁面に付着して未燃のHCやスモークの発生を抑制できると共に、点火プラグにかかるように成層混合気を集めた状態で点火するので点火プラグが燃料で濡れてくすぶることを抑制できる。
第2に、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、冷間始動の運転を行うためインジェクタからピストンの第2キャビティへ向けて第2燃料噴霧を噴射する場合又は全負荷運転の領域で運転するためインジェクタからピストンの第1キャビティへ向けて第1燃料噴霧を噴射する場合に、インジェクタから燃料の所要噴射量を複数回に分割して噴射するマルチ噴射を行うことを特徴とする。
上述のように構成することにより、分割された短い期間でインジェクタから第2燃料噴霧が分割された少ない噴射量で燃焼室内に断続的に噴射されることになるので、燃料の噴霧のペネトレーション(貫徹力)を低く抑えることができる。これにより第2キャビティにガイドされて点火プラグの近傍に至るまでの間に燃焼室におけるピストンの頂面及び燃焼室の内壁面に燃料が付着することを減少させることができる。よって、未燃HC(炭化水素)の発生を抑制すると共に、スモークの発生を抑制できる。また、全負荷運転の領域で運転を行う際にマルチ噴射を行う場合には、インジェクタから第1燃料噴霧が燃焼室内に断続的に噴射される。よって、この場合には、先に噴射された第1燃料噴霧の塊と後に噴射された第1燃料噴霧の塊との間に空気が挟まれる状態で巻き込まれ、ピストンの第1キャビティにガイドされてタンブル流を強化することとなる。このため、燃焼室内では、各第1燃料噴霧の塊と空気との混合が進み、気化した燃料と空気との混合状態をより均質にしてノッキング特性を改善することができる。
第3に、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、インジェクタが、第1燃料噴霧を多孔から扇状に噴射すると共に、第2燃料噴霧を単数の噴孔から直線状に噴射することを特徴とする。
第4に、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、インジェクタが、第1燃料噴霧を吸気行程で噴射し、第2燃料噴霧を圧縮行程で噴射することを特徴とする。
第5に、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、第2キャビティが、第2燃料噴霧を点火プラグに向けて反転させるための噴霧反転用湾曲部を有することを特徴とする。
第6に、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関は、第2キャビティを、第2燃料噴霧が当たる範囲に対応した部分に設けることを特徴とする。
本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、内燃機関の始動時に排気ガス浄化触媒の触媒床温を急速に増加させるための大幅遅角点火の処理を行って成層燃焼をさせた際にスモークが発生することを抑制できると共に、少なくとも全負荷運転の領域で均質燃焼を行うことにより燃焼効率を向上できるという効果がある。
〔第1実施の形態〕
本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関Eに関する第1実施の形態について、図1乃至図13により説明する。
図1は、筒内噴射式火花点火内燃機関Eにおける単一の気筒の要部を取り出して示す断面概略構成図である。なお、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eは、多気筒の内燃機関又は単気筒の内燃機関として構成することができる。
この筒内噴射式火花点火内燃機関Eは、シリンダヘッド4、シリンダブロック3及びピストン2を備える。このシリンダヘッド4とシリンダブロック3とは、図示しないヘッドガスケットを介してボルト等で締結されて一体的に組み付けられる。
このピストン2は、シリンダブロック3に形成されたシリンダボア1内に移動自在に支持されている。ピストン2は、コネクティングロッド(図示せず)を介してクランクシャフトに連結されることで往復移動可能となっている。
このように構成した筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、シリンダヘッド4の凹部5の内壁面と、シリンダボア1の内壁面と、ピストン2の頂面(冠面)とで囲まれた空間によって、燃焼室Cを構成する。
この燃焼室Cは、いわゆるペントルーフ型に形成する。すなわち、燃焼室Cのペントルーフ型の燃焼室の天井部分(シリンダヘッド4の内壁面の凹部5)は、縦断面視で鈍角の二等辺三角形となるような2つの斜面部を有する切妻屋根形状に形成する。
図1に示すように、燃焼室Cの一方の斜面部には、シリンダヘッド4に設けられた空気吸入用の通路である吸気ポート6の端部を開口させる開口部分6aを形成する。また、吸気ポート6の開口部分6aには、開口部分6aを開放又は遮断するための吸気バルブ7を装着する。吸気バルブ7は、図示しない動弁装置によって操作されることにより、開口部分6aを開放又は遮断する動作を行う。
また、燃焼室Cの他方の斜面部には、シリンダヘッド4に設けられた排気ガス排出用の通路である排気ポート8の端部を開口させる開口部分8aを形成する。排気ポート8の開口部分8aには、開口部分8aを開放又は遮断するための排気バルブ9をそれぞれ装着する。排気バルブ9は、動弁装置によって操作されることにより、開口部分8aを開放又は遮断する動作を行う。
すなわち、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、吸気バルブ7と、排気バルブ9とが動弁装置によって所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート6と排気ポート8を開閉して吸気ポート6と燃焼室Cを連通し又は燃焼室Cと排気ポート8とを連通する動作を行う。なお、吸気ポート6には、インテークマニホールドを介して吸気管が連結される。一方、排気ポート8には、エギゾーストマニホールドを介して排気管が連結されている。
燃焼室Cのペントルーフ型の燃焼室の天井部分であるシリンダヘッド4の内壁面の凹部5には、その中央から排気バルブ9側に偏芯した所定位置に点火プラグ13を配置する。この点火プラグ13は、その下端部がシリンダボア1の中心線H方向に向くよう傾斜して、一方の端部に設けた着火部である電極部が燃焼室C内に若干突出する状態で露呈するように設置する。
この点火プラグ13は、内燃機関制御システムで制御されるプラグ駆動回路から所要の点火時期に駆動電流が供給されて、所要の点火エネルギで2つの電極間にアークを飛ばして着火させるように構成する。
燃焼室Cのペントルーフ型の燃焼室の天井中央部(シリンダヘッド4の内壁面の凹部5におけるシリンダボア1の中心線H上の位置)には、点火プラグ13と対向するように燃料噴射弁であるインジェクタ10を配置する。このインジェクタ10は、その先端部を燃焼室C内に露呈させるように配置する。
また、このインジェクタ10は、燃料供給系に接続される。この燃料供給系は、燃料をインジェクタ10によって燃焼室C内へ直接噴射させるように構成する。すなわち、この燃料供給系では、予め燃料タンクに貯留されている燃料をフィードポンプで吸い上げて燃料流路を通し高圧燃料ポンプへ送出する。さらに、高圧燃料ポンプは、送液されて来た燃料を所定の燃圧となるように加圧し高圧燃料流路を通して、燃焼室Cに設けたインジェクタ10へ分配するためのデリバリパイプへ送出する。デリバリパイプは、燃料を各燃焼室Cに設けたインジェクタ10へ所定の燃圧(燃料噴射圧力)で供給する。インジェクタ10は、デリバリパイプから供給された燃料を燃焼室C内に直接噴射する。
この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、制御装置であるECU(Electronic Control Unit)24によって、インジェクタ10の燃料噴射タイミングや点火プラグ13の点火時期などを制御可能に構成する。ECU24は、検出した吸入空気量、スロットル開度(またはアクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期(開弁時間)、点火時期などを決定している。この筒内直接噴射式内燃機関では、エンジン回転数とスロットル開度とに基づいて燃料噴射モードを決定している。例えば、内燃機関の中・低負荷領域では、主に圧縮行程時に燃料を噴射してリーンな空燃比で成層燃焼を行うことが可能である。また、内燃機関の高負荷領域では、主に吸気行程時、圧縮行程時に燃料を噴射して均質燃焼を行うことが可能である。
この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、燃焼室Cにおけるペントルーフ型の燃焼室の天井中央部に装着したインジェクタ10の先端部が、シリンダボア1の中心線H上に位置するように配置する。
このインジェクタ10は、全負荷運転を含む通常運転時に燃料を多孔(6個の噴孔)から扇状に噴射する噴霧状態である第1燃料噴霧11を実行可能とすると共に、冷間始動時(大幅遅角点火時)に単数の噴孔から燃料が直線状に噴射される噴霧状態である第2燃料噴霧12を実行可能に構成する。
図7、図8、図11及び図12に示すように、このインジェクタ10は、その先端部分を二重構造の外開弁として構成する。このため、インジェクタ10は、その先端部分を、大径の円筒形状に形成したホルダ14と、中径の円筒形状に形成した第1ニードル弁15と、小径の円柱形状に形成した第2ニードル弁16とを同芯となるように装着して構成する。
図11及び図12に示すように、このインジェクタ10では、中径の円筒形状に形成した第1ニードル弁15と、その内側に配置される小径の円柱形状に形成した第2ニードル弁16とを軸方向に沿って相対的に移動操作可能に構成する。これと共に、第1ニードル弁15と第2ニードル弁16との間には、リング形となる所定間隔の隙間として構成した第2燃料通路19を設ける。
さらに、第1ニードル弁15の断面円環形の先端における吸気側から排気側に向いた直径の線上には、第2燃料通路19を通じて送られて来た燃料を噴射するための第2噴孔20を設ける。
この第2噴孔20は、第1ニードル弁15の先端内周部に断面三角形状の切欠凹部を形成すると共に第2ニードル弁16の先端外周部に断面三角形状の突起を形成し、第1ニードル弁15の断面三角形状の切欠部斜面に第2ニードル弁16の突起の斜面が密接可能なように構成する。
すなわち、この第2噴孔20では、第1ニードル弁15の切欠部斜面と第2ニードル弁16の突起の斜面が密接して燃料漏れを生じないようにノズルが閉じた状態となり、第1ニードル弁15の切欠部斜面と第2ニードル弁16の突起の斜面が離間してノズルが開いた状態となる。
また、この第2噴孔20では、第2燃料噴霧12が圧縮行程における上死点(TDC)付近にあるピストン2の頂面の所定部所に当たるように、ホルダ14の切欠部斜面と第1ニードル弁15の突起の斜面との角度を設定する。さらに図12に示すように、この第2噴孔20では、第2燃料噴霧12の噴射方向が第1ニードル弁15の断面円環形の先端における吸気側から排気側に向いた直径の延長線に沿うように構成する。
図7及び図8に示すように、このインジェクタ10では、大径の円筒形のホルダ14と、その内側に配置される中径の円筒形の第1ニードル弁15とを、軸方向に沿って相対的に移動操作可能に構成する。これと共に、ホルダ14と第1ニードル弁15との間には、リング形となる所定間隔の隙間として構成した第1燃料通路18を設ける。さらに、ホルダ14と第1ニードル弁15との先端の環状部分における所定6箇所には、第1燃料通路18を通じて送られて来た燃料を噴射するための第1噴孔17を設ける。
この第1噴孔17は、ホルダ14の先端内周部に断面三角形状の切欠凹部を形成すると共に第1ニードル弁15の先端外周部に断面三角形状の突起を形成し、ホルダ14の断面三角形状の切欠部斜面に第1ニードル弁15の突起の斜面が密接可能なように構成する。
すなわち、この第1噴孔17では、ホルダ14の切欠部斜面と第1ニードル弁15の突起の斜面が密接して燃料漏れを生じないようにノズルが閉じた状態なり、ホルダ14の切欠部斜面と第1ニードル弁15の突起の斜面が離間してノズルが開いた状態となる。
また、この第1噴孔17は、図5に示すように、吸気工程の下死点(BDC)付近の所要タイミングでノズルが開いて噴射した第1燃料噴霧11の飛び出す方向が、燃焼室C内で生じるタンブル流の流れに沿うように方向を定めてタンブル流を増強できるように、ホルダ14の切欠部斜面と第1ニードル弁15の突起の斜面との角度を設定する。
さらに図8に示すように、このインジェクタ10では、ホルダ14と第1ニードル弁15との先端の環状部分における排気側に向く所定範囲に、6個の第1噴孔17を配置する。これら6個の第1噴孔17は、2組に分けて、断面円環形のホルダ14における吸気側から排気側に向いた直径に対して、対称となる位置に配置する。
すなわち、このインジェクタ10では、断面円環形のホルダ14における吸気側から排気側に向いた直径の線に沿った方向へ第1燃料噴霧11が噴射される範囲(図12に図示)を設定する。そして、第1燃料噴霧11が噴射される範囲の両側におけるインジェクタ10の中心線から扇形に広がる範囲に、それぞれ3本の第2燃料噴霧12を放射線方向に噴射するよう構成する。なお、このインジェクタ10は、第2噴孔20の両側に、それぞれ単数又は複数の第1噴孔17を等間隔で配置して構成しても良い。
また図示しないが、このインジェクタ10では、第1ニードル弁15をスプリングにより図7に向かって上方に付勢することによって、第1噴孔17のホルダ14の断面三角形状の切欠部斜面に第1ニードル弁15の突起の斜面を圧接して密接状態とすることにより、第1噴孔17を閉止する。
一方、第2ニードル弁16は、スプリングにより図7に向かって上方に付勢することによって、第1ニードル弁15の断面三角形状の切欠部斜面に第2ニードル弁16の突起の斜面を圧接して密接状態とすることにより、第2噴孔20を閉止する。
このインジェクタ10では、第1ニードル弁15をスプリングの付勢力に抗して図7に向かって下方に移動させる電磁コイルを設け、この電磁コイルに通電することによって、第1噴孔17を開放し、図8に示すように6本の第1燃料噴霧11を噴射するように構成する。
また、このインジェクタ10では、第2ニードル弁16をスプリングの付勢力に抗して図7に向かって下方に移動させる電磁コイルを設け、この電磁コイルに通電することによって、第2噴孔20を開放し、図11に示すように1本の第2燃料噴霧12を噴射するように構成する。
図1乃至図4に示すように、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、ピストン2の頂面に、インジェクタ10から噴射される第1燃料噴霧11に対応した第1キャビティ21と、第2燃料噴霧12に対応した第2キャビティ22とを設ける。
この第2キャビティ22は、ピストン2における吸気側から排気側に向いた直径の線に沿う縦断面で見たときに略長円形の凹部となるように形成する。すなわち、第2燃料噴霧12と同じ方向に延びる深い長溝状に形成する。
図9、図10に示すように、第2キャビティ22における排気側に当たる部分には、第2燃料噴霧12の噴霧反転用湾曲部22Aを形成する。この噴霧反転用湾曲部22Aは、大幅遅角点火を行う際に、ピストン2が圧縮行程における上死点(TDC)近くの所定位置にあるとき、インジェクタ10から噴射された第2燃料噴霧12を点火プラグ13の周囲に成層混合気層(成層混合気層の塊)をつくるように反転させられる曲率の湾曲部に形成する。
この噴霧反転用湾曲部22Aは、1本の第2燃料噴霧12だけを反転させて点火プラグ13の近傍に燃料の噴霧を集めるため、第2燃料噴霧12の横幅(噴射方向に直交する方向の幅)程度の幅に形成する。またこの噴霧反転用湾曲部22Aは、第2燃料噴霧12が第1キャビティ21側へ流出しないようにガイドするため、第1キャビティ21の底面より深い底面となるように形成された深溝状に形成する。すなわち、このピストン2では、その頂面において、最も高く突出するガイド突部23の先端より、第1キャビティ21の底面が低くなり、この第1キャビティ21の底面より第2キャビティ22の底面が低くなるように構成する。
また、この噴霧反転用湾曲部22Aは、その排気側の端部が、ピストン2の外周面から所定距離離間させた位置となるように形成し、第2燃料噴霧12が噴霧反転用湾曲部22Aにガイドされてシリンダボア1の内壁面に直接当たらない方向に向けて反転されるように構成する。
このように構成した噴霧反転用湾曲部22Aでは、点火プラグ13の周囲に着火性の良い最適な成層混合気を形成できると共に、第2燃料噴霧12がシリンダブロック3のシリンダ穴の内壁面に付着して燃焼せずに残るようなことを抑制できる。
なお、前述した第1実施の形態では、第2キャビティ22をピストン2の頂面における直径方向に延びる長溝状に形成したものについて説明したが、これを例えば図13に示すように構成しても良い。
この場合には、ピストン2の頂面に形成する第2キャビティ22Bを、インジェクタ10から噴射された第2燃料噴霧12をガイドするための部分だけを凹部に形成した噴霧反転用の部分的な湾曲凹部形状に形成する。すなわち、この第2キャビティ22Bでは、ピストン2の頂面における第2燃料噴霧12が当たる範囲だけに対応した部分(排気側の所定範囲)を断面U字状に凹ませた形状に形成する。
このように構成した第2キャビティ22Bでは、第2燃料噴霧12から排気側に向けて斜めに噴射された第2燃料噴霧12が断面U字状の第2キャビティ22Bにガイドされたその略全量が点火プラグ13側へ反転されるようにガイドできる。なお、第2キャビティ22が吸気側から排気弁側へ向けたピストン2の直径方向に長く形成されている場合には、第2燃料噴霧12が排気側へ反転されるものの他に、一部が吸気側に分岐して流れる場合がある。
図1乃至図4に示すように、ピストン2の頂面に形成するインジェクタ10から噴射される第1燃料噴霧11をガイドするように対応した第1キャビティ21は、第2キャビティ22の両側に一対形成する。これら一対の第1キャビティ21は、第2キャビティ22の長手方向の中心線に対して左右対称に形成する。
これら一対の第1キャビティ21は、それぞれ平面で見たときに略長方形で、縦断面が凹状の湾曲面となるように形成する。すなわち、この第1キャビティ21は、燃焼室C内に面したピストン2の頂面に、吸気側から排気側へ向けて縦断面が凹状の緩い湾曲面を構成するように形成する。さらに一対の第1キャビティ21における各ピストン2の外周面側には、それぞれ湾曲して折り返すように形成したガイド突部23を設ける。
これら2個の第1キャビティ21は、それぞれが図6、図7、図8に示すように、3本一組の第1燃料噴霧11がタンブル流に乗って回る流動状態を長引かせるようにガイドして第1燃料噴霧11を均質に混合させるように構成する。なお、この2個の第1キャビティ21は、その間に第2キャビティ22が形成されているが、インジェクタ10が第2キャビティ22を避けるように第2燃料噴霧12の噴射範囲を外してその両側に第1燃料噴霧11を噴射する。
よって、このピストン2の頂面に形成した第1キャビティ21及び第2キャビティ22の構成によれば、第1燃料噴霧11が第2キャビティ22にガイドされて燃焼室C内にできるタンブル流を阻害しないようにできる。
次に、上述のように構成した筒内噴射式火花点火内燃機関Eにおけるインジェクタ10と、ピストン2の頂面に形成した第1キャビティ21及び第2キャビティ22とに関わる作用及び動作について説明する。
この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、その冷間始動時に、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eから排出される排気ガスを浄化するため設置された触媒の触媒床温を常温から触媒の機能を活性化させる温度まで急速に増加させるために、いわゆる大幅遅角点火の処理を行う。
この筒内噴射式火花点火内燃機関Eで大幅遅角点火の処理を行うときには、図9に示すように、筒内噴射式火花点火内燃機関Eの圧縮行程における上死点(TDC)付近において、インジェクタ10からピストン2の第2キャビティ22へ向けて第2燃料噴霧12を噴射させる。
すると、シリンダヘッド4の燃焼室Cの天井部分の中央部位に配置したインジェクタ10から噴射された第2燃料噴霧12が、ピストン2の頂面の第2キャビティ22によって反転されて点火プラグ13の位置へ戻される。すなわち、この動作では、第2燃料噴霧12が第2キャビティ22に向けて噴射されて凹状に湾曲した曲面にガイドされて反転し、周囲の空気を巻き込んで濃い混合気塊となって点火プラグ13側へ集まり、点火プラグ13の電極部分にかかる良好な成層混合気を形成できる。なお、第2燃料噴霧12は、第2キャビティ22にガイドされて反転するときに、燃焼室Cの内壁面に接触しないよう離れて流れるので、第2燃料噴霧12に含まれた燃料の粒が燃焼室Cの内壁面に付着し未燃の炭化水素(HC)やスモークが発生することを抑制できる。
よって、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、上述のようにして、点火プラグ13の電極部分の周辺に着火性の良い最適な混合気を形成した状態で、膨張行程で点火プラグ13により点火して良好に燃焼させることができる。この場合には、燃料の燃焼エネルギが筒内噴射式火花点火内燃機関Eを回転させるために消費されるのが減じられて排気ガスを高温のまま排気ガス浄化触媒へ送給できるので、触媒床温を急速に上昇させることができる。
次に、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eで、高負荷高回転となる全負荷運転(WOT)の領域で運転を行う時には、吸気行程で開いた吸気バルブ7から燃焼室C内に急速に流れ込む空気の流れと、インジェクタ10から噴射される第1燃料噴霧11の貫徹力とが相俟って加速され強められて強いタンブル流を形成できる。
よって、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、このように強められたタンブル流が圧縮行程で長く続き、最後にこのタンブル流が崩壊して乱れが多数できた状態において、均質な混合気に点火プラグ13で点火する。これにより、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、火炎が伝播して燃焼室Cの内部全体での燃焼を比較的に短い期間で行うように燃焼速度を速めて燃焼効率を向上し、全負荷運転の領域でのノッキング特性を改善することができる。
〔第2実施の形態〕
次に、本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関Eに関する第2実施の形態について、図14乃至図16により説明する。
本第2実施の形態は、ピストン2の頂面に第1キャビティ21と第2キャビティ22とを形成した筒内噴射式火花点火内燃機関Eにおいて、インジェクタ10から燃料の同一噴射量を複数回に分割して噴射するマルチ噴射を行うものである。
図14及び図15に示すように、筒内噴射式火花点火内燃機関Eにおいて全負荷運転又は通常の運転の領域で運転する際にマルチ噴射を行う場合には、例えば図14のマルチ噴射ダイアグラムに示すタイミングで5回に分けて所要量の燃料を噴射する。このマルチ噴射を行う場合には、等間隔で5回の噴射を行う。すなわち、このマルチ噴射を行う場合には、5回に分割した各噴射動作の間に一定の噴射休止時間を設けて所要量の燃料を噴射する。なお、マルチ噴射では、噴射休止時間を異ならせるように設定しても良い。
この図14のマルチ噴射ダイアグラムに示すマルチ噴射では、クランク角度が吸気行程の下死点前(BBDC)の所定クランク角度でマルチ噴射の動作を完了するように、マルチ噴射の動作全体のタイミングを設定する。
これにより、このマルチ噴射では、吸気行程の下死点前(BBDC)の所定クランク角度でのマルチ噴射完了時を基準とし、この時点より燃料を所要量噴射する時間と4回の噴射休止時間とを加算した時間だけ前となる噴射開始タイミングに相当するクランク角度で、マルチ噴射を開始する。また、基準となるマルチ噴射完了時のクランク角度は、この時点にインジェクタ10から燃料を噴射する動作を完了したときに、点火時期までに燃料の噴霧が燃焼室C内で適切に燃焼できる状態に気化されるという条件に基づいて設定することができる。
なお、筒内噴射式火花点火内燃機関Eで1回の噴射動作で所要全量の燃料を噴射する通常噴射の場合には、吸気行程の下死点前(BBDC)の所定クランク角度での通常噴射完了時を基準とし、この時点より燃料を所要量噴射する時間だけ前となる噴射開始タイミングに相当するクランク角度で、通常噴射を開始する。
図15に示すように、筒内噴射式火花点火内燃機関Eにおいて全負荷運転又は通常の運転の領域で運転を行う際にマルチ噴射を行う場合には、インジェクタ10から第1燃料噴霧11が燃焼室C内に断続的に噴射される。よって、この場合には、先に噴射された第1燃料噴霧11の塊と後に噴射された第1燃料噴霧11の塊との間に空気が挟まれる状態で巻き込まれ、ピストン2の第1キャビティ21にガイドされてタンブル流を強化することとなる。このため、燃焼室C内では、各第1燃料噴霧11の塊と空気との混合が進み、気化した燃料と空気との混合状態をより均質にしてノッキング特性を改善することができる。
さらに、このマルチ噴射を行う場合には、燃焼室C内で発生しているタンブル流に向けて断続的に噴射された各第1燃料噴霧11が、それぞれの間にタンブル流をつくっている空気を挟み込みながら第1キャビティ21にガイドされて進むことにより、タンブル流を増速させる効果を増加させることができる。これにより筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、増速されて強化されたタンブル流が崩壊したときに混合気に生じる乱れを増加させた状態で点火することにより燃焼速度を速めて燃焼効率を向上できる。なお、この筒内噴射式火花点火内燃機関Eでは、低回転低負荷の運転時(例えば、いわゆるパーシャルの運転時)に、インジェクタ10の第2噴孔20から第2燃料噴霧12を噴射し、第2キャビティ22で点火プラグ13へ向けて反転させて成層燃焼を行うようにすることも可能である。
次に、筒内噴射式火花点火内燃機関Eにおいて冷間始動時における大幅遅角点火で運転する際にマルチ噴射を行う場合には、例えば図14のマルチ噴射ダイアグラムに示すタイミングで3回に分けて冷間始動に必要な所要量の燃料を噴射する。このマルチ噴射を行う場合には、等間隔で3回の噴射を行う。すなわち、このマルチ噴射を行う場合には、3回に分割した各噴射動作の間に一定の噴射休止時間を設けて冷間始動時に必要な噴射量の燃料を噴射する。なお、マルチ噴射では、噴射休止時間を異ならせるように設定しても良い。
この図14のマルチ噴射ダイアグラムに示す冷間始動時のマルチ噴射では、クランク角度が圧縮行程の上死点前(BTDC)の所定クランク角度でマルチ噴射の動作を完了するように、マルチ噴射の動作全体のタイミングを設定する。
これにより、このマルチ噴射では、圧縮行程の上死点前(BTDC)の所定クランク角度でのマルチ噴射完了時を基準とし、この時点より燃料を所要量噴射する時間と2回の噴射休止時間とを加算した時間だけ前となる噴射開始タイミングに相当するクランク角度で、マルチ噴射を開始する。また、基準となるマルチ噴射完了時のクランク角度は、この時点にインジェクタ10から燃料を噴射する動作を完了したときに、点火時期までに燃料の噴霧が燃焼室C内で燃焼可能な状態まで気化されるという条件に基づいて設定することができる。
なお、筒内噴射式火花点火内燃機関Eで1回の噴射動作で冷間始動時における所要全量の燃料を噴射する場合には、圧縮行程の上死点前(BTDC)の所定クランク角度での冷間始動の噴射完了時を基準とし、この時点より燃料を所要量噴射する時間だけ前となる噴射開始タイミングに相当するクランク角度で、冷間始動時に必要な噴射総量の燃料の噴射を開始する。
図16に示すように、筒内噴射式火花点火内燃機関Eにおいて冷間始動時にマルチ噴射を行う場合には、3分割された短い期間でインジェクタ10から第2燃料噴霧12が燃焼室C内に断続的に噴射される。
この場合には、冷間始動時に必要な噴射総量の燃料を一回で噴射する場合と比較して、3分割された短い期間内に噴射することとなり、1回毎の第2燃料噴霧12の噴射量を3分の1に低減できる。このため、1回毎の第2燃料噴霧12は、インジェクタ10から短い期間内に噴射されることになるので、燃料の噴霧のペネトレーション(貫徹力)を低く抑えることができる。
すなわち、マルチ噴射する場合の第2燃料噴霧12では、個々の噴霧期間が短くなることで噴霧のペネトレーションが低下することにより、第2キャビティ22にガイドされて点火プラグ13の近傍に至るまでの間に燃焼室Cにおけるピストン2の頂面及びシリンダボア1の排気側内壁面に燃料が付着することを減少させることができる。よって、第2燃料噴霧12をマルチ噴射する場合には、燃焼室Cの内壁面に燃料が付着することを減少し、未燃HC(炭化水素)の発生を抑制すると共に、スモークの発生を抑制できる。
なお、上述した本第2実施の形態における以上説明した以外の構成、作用、効果は、前述した第1実施の形態と同様であるので、同一部材には同一符号を付して説明の便に供すると共に、重複する説明を省略する。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他種々の構成を採り得ることは勿論である。
本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、一つの気筒の要部を取り出して示す断面概略構成図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、ピストン部分を取り出して示す斜視図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、ピストンを取り出して示す平面図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、ピストンを取り出して示す側面図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、全負荷運転時の気筒内でインジェクタから第1燃料噴霧を噴射している状態を示す断面概略説明図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、全負荷運転時の気筒内でインジェクタから第1燃料噴霧を噴射している状態を平面で示す概略説明図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係るインジェクタの先端から第1燃料噴霧を噴射する状態を示す要部の断面概略説明図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係るインジェクタの先端から6本の第1燃料噴霧を噴射する状態を示す要部の概略正面図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、全負荷運転時の気筒内でインジェクタから第2燃料噴霧を噴射している状態を示す断面概略説明図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、全負荷運転時の気筒内でインジェクタから第2燃料噴霧を噴射している状態を平面で示す概略説明図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係るインジェクタの先端から第2燃料噴霧を噴射する状態を示す要部の断面概略説明図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係るインジェクタの先端から1本の第2燃料噴霧を噴射する状態を示す要部の概略正面図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第1実施の形態に係る、全負荷運転時の気筒内でインジェクタから第2燃料噴霧を、他の構成の第2キャビティへ向けて噴射している状態を示す断面概略説明図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第2実施の形態に係る、インジェクタからマルチ噴射で燃料を噴射する場合の噴射タイミングを通常の噴射と比較して示すマルチ噴射ダイアグラムの線図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第2実施の形態に係るインジェクタから第1燃料噴霧をマルチ噴射で噴射する状態を示す要部の概略正面図である。 本発明の筒内噴射式火花点火内燃機関の第2実施の形態に係るインジェクタから第2燃料噴霧をマルチ噴射で噴射する状態を示す要部の概略正面図である。
符号の説明
1 シリンダボア
2 ピストン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
10 インジェクタ
11 第1燃料噴霧
12 第2燃料噴霧
13 点火プラグ
17 第1噴孔
20 第2噴孔
21 第1キャビティ
22 第2キャビティ
22A 噴霧反転用湾曲部
C 燃焼室

Claims (6)

  1. 燃焼室の天井部分の中央部に配置した、燃料の噴射方向を変更可能なインジェクタと、
    前記燃焼室の天井部分に前記インジェクタに隣接して配置した点火プラグと、
    前記燃焼室の天井部分における前記インジェクタに対して一方の側に設けられた吸気ポートと、
    前記燃焼室の天井部分における前記インジェクタに対して他方の側に設けられた排気ポートと、
    前記燃焼室内に面したピストンの頂面に、吸気側から排気側へ向けて凹状の湾曲面に形成した第1キャビティと、
    前記ピストンの頂面に、吸気側から排気側へ伸びる中心線に沿うように、前記第1キャビティよりも深い溝状に形成した第2キャビティと、を備え、
    少なくとも全負荷運転の領域で運転する際に前記インジェクタから前記第1キャビティへ向けて第1燃料噴霧を噴射し、少なくとも冷間始動の運転を行うときに前記インジェクタから前記第2キャビティへ向けて第2燃料噴霧を噴射することを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
  2. 前記冷間始動の運転を行うため前記インジェクタから前記ピストンの前記第2キャビティへ向けて前記第2燃料噴霧を噴射する場合又は前記全負荷運転の領域で運転するため前記インジェクタから前記ピストンの前記第1キャビティへ向けて前記第1燃料噴霧を噴射する場合に、前記インジェクタから燃料の所要噴射量を複数回に分割して噴射するマルチ噴射を行うことを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  3. 前記インジェクタは、前記第1燃料噴霧を多孔から扇状に噴射すると共に、前記第2燃料噴霧を単数の噴孔から直線状に噴射することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  4. 前記インジェクタは、前記第1燃料噴霧を吸気行程で噴射し、前記第2燃料噴霧を圧縮行程で噴射することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  5. 前記第2キャビティは、前記第2燃料噴霧を点火プラグに向けて反転させるための噴霧反転用湾曲部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  6. 前記第2キャビティを、前記第2燃料噴霧が当たる範囲に対応した部分に設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
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