JP2009019502A - 筒内噴射型火花点火式内燃機関 - Google Patents

筒内噴射型火花点火式内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】低撚費特性を保持しながら、安定燃焼を図り、燃焼ロバスト性を簾価に改善できる筒内噴射型火花点火式内燃機関を提供する。
【解決手段】エンジン1のシリンダヘッド2の燃焼室壁3の一部に凹設された凹部13と、噴孔211が凹部13内に位置するよう設けられた燃料噴射弁17と、燃料噴射弁から噴射される燃料噴霧流に点火可能に設けられた点火栓19と、凹部13内で噴孔211と点火栓の電極との間に位置して噴孔からの燃料噴霧流の一部が干渉するよう配設された突起22とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼室内に噴霧された可燃燃料を点火栓で着火するようにした筒内直接噴射型火花点火式内燃機関に関する。
燃料噴射弁を用いて燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内直接噴射型火花点火式内燃機関が知られている。
このタイプの内燃機関では、圧縮行程中に燃料噴射弁より噴射された燃料の一部が点火栓の方向に向けて噴射され、燃料噴射時期と点火時期が近接するという条件のもとで、燃料噴霧自身の気流で点火栓電極位置に可燃混合気を形成し、成層希薄燃焼を行うというスプレーガイド方式は、優れた低燃費特性をもつことで知られている。
ところで、上述のスプレーガイド方式には以下の課題が存在する。
(1) 燃料噴射弁によって燃料噴射が開始されると、噴霧が点火栓近傍を通過中、及び通過後の限られた期間にのみ、点火栓の中心電極の近傍に可燃混合気が形成される。また、燃料噴射弁と点火栓を過度に近接させた配置構成を採ると、可燃混合気が点火栓近傍を通過する大凡の期間、噴霧に誘発された高速の周辺気流に点火栓電極の火花が煽られ、吹き消されて着火困難となる場合がある。なお、図15(a)に点火栓電極位置における流速特性線図を、図15(b)に点火栓電極位置における局所空燃比特性線図を、それぞれ従来例として実線で示した。これら実線より明らかなように、安定燃焼が成立する点火可能域Aは、火花点火拭き消え限界線a1よりも流速が低く、希薄可燃限界線b1と過濃可燃限界線b2の間に局所空燃料比が規制され、比較的狭い領域(図15(a)における従来のA1)となるという第1の課題(燃焼ロバスト性)が存在する。
(2) 噴射弁と点火栓を近接配置する中央噴射スプレーガイド方式の場合では、点火栓電極位置における可燃混合気の濃度や範囲、存在期間が噴霧流速や流量、微粒化など噴霧自身の特性に強く依存するため、燃料噴射弁の製作個体差に起因した噴霧特性のバラツキや、噴射弁噴孔部のカーボン堆積に起因して噴霧特性が経時変化し、点火栓電極位置が可燃限界域からはずれて失火を招く。また噴霧は点火栓電極を液相領域が直撃しない程度に近づけて配置されるが、上記理由により噴霧特性が変化すると、液相領域が点火栓電極を直撃して点火栓が燻り、失火を招くという第2の課題(経時劣化)が存在する。
(3) 点火栓の側極位相や中心電極の突き出し位置も、点火栓電極位置での燃料分布や周辺気流の変化要因となるため、安定燃焼可能な領域が変わるという第3の課題(点火柱の位相や突き出し位置のずれ)が存在する。
なお、図14にはスプレーガイドで安定燃焼可能な燃料噴射時期と点火時期の設定領域を1回噴射と複数回噴射の場合とに分けて符号E1、E2により示した。符合E3はウォールガイド方式の場合を示す。これより明らかなように、スプレーガイド方式はウォールガイド方式に比べて低燃費特性に優れると言われているが、符号E1、E2で示すように、安定燃焼可能な領域が比較的狭く、燃焼ロバスト性が低いことが明らかである。
なお、上述のような課題に対処するため、特開平11−303721号公報(特許文献1)の技術では、点火エネルギを高めて放電期間を拡大している。更に、特開2007−51564号公報(特許文献2)の技術では、特殊形状の点火栓を採用している。
特開平11−303721号公報 特開2007−51564号公報
上述のように、スプレーガイド方式E1、E2を採用する際には、第1の課題として、安定撚焼が成立する燃料噴射時期と点火時期が噴射中または噴射後の極めて限られた領域に限定されるため、原理的に燃焼ロバスト性が脆弱となる(燃焼ロバスト性の脆弱)との問題がある。更に、第2の課題として、噴射弁製作の要求精度が厳しく、噴射弁のカーボン堆積を抑制する必要がある(経時劣化)との問題がある。更に、第3の課題として、点火栓の位相や突き出し位置を厳しく管理する必要がある(点火柱の位相や突き出し位置のずれ)との問題がある。
このような(1)〜(3)の課題が存在するため、その対策として、特開平11−303721号公報(特許文献1)に示されるように、点火エネルギを高めて放電期間を拡大した場合、高コストで燃費悪化要因となり、点火栓の電極消耗も早まるという問題が生じる。また、特開2007−51564号公報(特許文献2)に示されるように、特殊形状の点火栓を採用した場合、点火栓の組み付け位相を決める処理作業に手間取り、高コスト要因となるという問題が生じる。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、スプレーガイド方式を採用するにあたり、燃料噴霧の一部を燃焼室壁に設けた突起と干渉させることで可燃混合気を形成し、その可燃混合気を点火栓電極位置に安定的に滞留させると共に電極位置の流速を抑制することにより、低撚費特性を保持しながら、安定燃焼を図り、燃焼ロバスト性を簾価に改善できる筒内噴射型火花点火式内燃機関を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、請求項1の発明は、内燃機関のシリンダヘッドの燃焼室壁の一部に凹設された凹部と、噴孔が前記凹部内に位置するよう設けられた燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴霧流に点火可能に設けられた点火栓と、前記凹部内で前記噴孔と前記点火栓の電極との間に位置して前記噴孔からの燃料噴霧流の一部が干渉するよう配設された突起と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記噴射弁は前記噴孔が前記凹部の底部近傍に位置するよう設けられ、前記点火栓は前記凹部において前記底部の略外周壁に設けられることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記凹部と前記燃料噴射弁、及び前記点火栓が前記燃焼室壁の略中央部に設けられ、前記点火栓の電極ギャップは前記噴射弁の噴孔よりも下方に配置されることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記燃料噴射弁の噴孔からの燃料噴霧流は前記燃料噴射弁の軸線に対して略放射状に噴霧され、その噴霧流の一部が前記突起に干渉することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1、2又は3に記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記燃料噴射弁は複数本の噴霧細流を分散して噴霧する多孔噴射弁であり、前記突起は前記点火栓方向に向かう少なくとも1本の噴霧細流と干渉するように形成されることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、ピストンにキャビティーが凹設され、前記キャビティーの内壁は、前記ピストンが圧縮行程後期に達した際に前記燃料噴射弁を作動させると、噴射された燃料噴霧流の一部が衝突し、そこで反転した燃料噴霧流を前記点火栓に向かわせるような形状に形成されることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記突起の燃料噴射弁側との対向面の高さと幅を機械加工して形成することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記突起の燃料噴射弁側の面を噴射弁取付け穴と共加工することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記突起の点火栓側の面を点火栓取付け穴と共加工することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記突起の前記噴霧流に干渉する幅は前記点火栓の側極の幅にほぼ等しいことを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記凹部は平面視で長穴状に形成されたことを特徴とする。
請求項1の発明は、燃焼室壁の一部に凹設された凹部内に噴孔が位置するように燃料噴射弁を設けると共に、凹部内で噴孔と点火栓の電極との間に位置して燃料噴霧流の一部が干渉する突起を配設するので、噴孔からの燃料噴霧流の一部が突起に干渉して運動量を喪失した噴霧微粒子が、突起周辺の燃料噴霧流のコアンダ効果により迂回された流れに乗って点火栓電極近傍に輸送され、可燃混合気が確実に点火栓電極位置に形成されると共に、点火栓電極近傍の流速が下がるため突起の下流における点火栓の電極近傍に可燃混合気が滞留し易くなるし、点火栓放電アークの吹き消しが抑制されて着火も容易となり、さらに点火栓に向かう燃料噴霧流は気化し易い噴霧微粒子であるため、液相領域を含む燃料噴霧が点火栓電極を直撃することがなく点火栓の燻りを防止することもできる。これらによりスプレーガイド方式で燃料噴霧の経時劣化、または点火柱の位相や突き出し位置のずれに強く、確実且つ安定的な着火を実現することができ、低撚費特性を保持しながら、燃焼系のロバスト性を簾価に改善することができる。また、噴孔及び突起は凹部内に配置されることから、噴射弁と点火栓が近接した配置であっても比較的容易に突起を配置することができるし、突起は凹部に設けられるので燃焼室内に突起が大きく突出することがなく、突起に高温高圧下でも十分な強度を持たせることが容易で耐久性に優れるし、突起があまり邪魔にならないことから吸排気弁径の確保も容易で出力向上に有利に働く利点もある。
請求項2の発明は、噴射弁の噴孔は凹部の底部近傍に位置し、点火栓は凹部において底部の略外周壁に設けられるので、噴射弁と点火栓との間の燃焼室壁の最小肉厚を大きく取ることができるため同部分の十分な強度を確保でき、さらに点火栓のピストン側、すなわち、燃焼室内への突き出し量を比較的小さく抑えることができるため点火栓の耐久性を向上できるし、耐プレイグ性も改善できる。
請求項3の発明は、燃焼室壁のほぼ中央部に燃料噴射弁を備えた凹部と点火栓が近接して設けられるので、噴霧近傍の可燃混合気に点火するスプレーガイド燃焼が好適に実現でき、かつ火炎伝播が全周方向に略均等となるため均質燃焼モードにおいても熱効率が向上すると共にノッキング抑制にも有利であり、しかも、燃焼室壁の中央域の周囲にその他の吸気弁及び排気弁のスペース確保を比較的容易に行うことができるため、均質燃焼モードにおける出力を向上できる。また点火栓の電極は噴射弁の噴孔よりも下方に配置されるので、ピストン壁の方向に燃料を噴射する配置が容易で、噴霧のシリンダ壁への衝突が抑制されて燃焼効率とシリンダの耐久性が向上すると共に、潤滑油の燃料希釈を回避できる。
請求項4の発明は、噴孔から略放射状に噴霧された燃料噴霧流の一部が突起に干渉することで、突起に干渉する一部の燃料を確実且つ安定的に着火させることができ、これを起点に燃焼室全体に火炎を伝播させ安定した燃焼を確保させることができる。さらにピストン壁の方向に向けて噴孔から略放射状に燃料を噴射するので、噴霧のシリンダ壁への衝突が抑制されて燃焼効率とシリンダの耐久性が向上すると共に、潤滑油の燃料希釈を回避できる。
請求項5の発明は、多孔噴射弁から複数本に分散して噴霧される噴霧細流のうち点火栓方向に向かう少なくとも1本の噴霧細流が突起と干渉することで、突起に干渉する噴霧細流の燃料を確実且つ安定的に着火させることができ、これを起点に燃焼室全体に燃焼を伝播させ安定した燃焼を確保させることができる。
請求項6の発明は、圧縮行程後期に達した際に燃料噴射弁を作動させると、ピストン上のキャビティーの内壁が、噴孔からの燃料噴霧流の一部を衝突させ、反転した燃料噴霧流を点火栓電極位置に向かわせ、着火を容易化させることができ、ウォールガイド方式を利用した燃焼も併用できる。
請求項7の発明は、凹部内に支持された突起を機械加工することで、形状精度を高めることができ、特に、凹部内の燃焼室壁と一体的に鋳造された突起の仕上げ加工を精度よく行える。
請求項8の発明は、凹部内に支持された突起の加工において、同突起の燃料噴射弁側の面を噴射弁取付け穴と共加工することで、加工の容易化、コスト低減を図れ、特に、凹部内の燃焼室壁と一体的に鋳造された突起の加工において、有効である。
請求項9の発明は、凹部内に支持された突起の加工において、同突起の点火栓側の面を点火栓取付け穴と共加工することで、加工の容易化、コスト低減を図れ、特に、凹部内の燃焼室壁と一体的に鋳造された突起の加工において、有効である。
請求項10の発明は、突起の噴霧流に干渉する幅は点火栓の側極の幅にほぼ等しいことから、噴霧流が点火栓の電極付近を直撃することを確実に回避して点火栓の燻りを回避しながら安定した着火を実現できる。
請求項11の発明は、長穴状凹部の長手方向に燃料噴射弁と点火栓を配設することで、その整列方向と直交する方向の幅を比較的短くでき、燃焼室壁の中央に長穴状凹部が設けられるとしても、その他の吸気弁及び排気弁のスペース確保が比較的容易化される。
図1には本発明の一実施形態としての筒内噴射型火花点火式内燃機関を説明する。
筒内噴射型火花点火式内燃機関は、スプレーガイド方式の多気筒の直噴エンジン(以後単にエンジン1と記す)1であり、各気筒の燃焼室Cは同様に形成されることより、代表して1つの気筒の燃焼室Cを図1、2で説明する。
図1、2に示すように、シリンダヘッド2の燃焼室壁3は、その平面視がほぼ円形を成すように形成され、シリンダブロック4のシリンダライナ5と、ピストン6の上面と共に燃焼室Cを形成している。
図2に示すように、燃焼室Cは所謂ペントルーフ型であり、平面視がほぼ円形を成すシリンダヘッド2の燃焼室壁3には、ペントルーフ型燃焼室の峰部を構成するよう略中央部と交差する直状の峰状凹部12が形成されている。また、燃焼室壁3には、吸気ポート7を開閉する一対の吸気バルブ8と、排気ポート9を開閉する一対の排気バルブ11とがそれぞれ設けられる。一対の吸気ポート7と一対の排気ポート9とは、峰状凹部12を挟んでそれぞれ配設されている。
燃焼室壁3のほぼ中央部で峰状凹部12の中間部には峰状凹部12の長手方向に長く平面視で長穴状の凹部13が凹設される。
図3、4に示すように、凹部13は中央に楕円状の底壁15が形成され、その凹部長手方向Aでの一端側に噴射弁取付け穴16が形成され、同穴16に燃料噴射弁17が嵌着されている。底壁15の回りには外周壁18が形成され、その凹部長手方向Aでの他端側に点火栓取付け穴23が形成され、同穴23に点火栓19が取り付けられる。しかも、図3、4に示すように、凹部13内における燃料噴射弁17と点火栓19の間には燃料噴射弁17の噴孔211からの燃料噴霧流f0の一部が干渉する突起22が配設される。なお、この突起の高さは凹部13の深さ以下に設定されており凹部13からははみ出さないように形成されている。
このように平面視で長穴状の凹部13は、その内部に凹部長手方向A(峰状凹部12の長手方向と同一)に沿って燃料噴射弁17、突起22、点火栓19を直状に配設することができ、突起22の取付けスペースの確保を比較的容易化することが出来る。更に、図2に示すように、長穴状の凹部13を円形を成すシリンダヘッド2の燃焼室壁3内の中央部に配備され、突起が邪魔になることもないので、凹部13の両側に、一対の吸気バルブ8と一対の排気バルブ11とを比較的拡大させた状態で配備でき、円形を成す燃焼室壁3のスペースを有効利用できる。また、突起22は凹部13に設けられるので燃焼室内に突起22が大きく突出することがなく、高温高圧下でも十分な強度を突起22に持たせることが容易で耐久性確保の上で有利な構成となっている。
更に、燃焼室壁3のほぼ中央部に燃料噴射弁17を備えた凹部18と点火栓19が設けられるので、噴霧近傍の可燃混合気に点火するスプレーガイド燃焼が好適に実現でき、かつ火炎伝播が全周方向に略均等となるため均質燃焼モードにおいても熱効率が向上すると共にノッキング抑制にも有利である。
上述のところにおいて、図2のように、凹部13に対し、その凹部長手方向Aでの一端側(図2で上側)に一対の吸気バルブ8を、他端側(図2で下側)に一対の排気バルブ11を配設するのに代えて、図9のように、凹部13に対し、その凹部長手方向Aでの一端側(図9で上側)に吸気バルブ8と排気バルブ11を各一つ、他端側(図9で下側)に吸気バルブ8と排気バルブ11を各一つ配設するような構成を採ってもよい。この場合も、凹部13の両側に、各一つずつの吸気バルブ8と排気バルブ11とを比較的拡大させた状態で配備でき、円形を成す燃焼室壁3のスペースを有効利用できる。
図1に示すように、燃焼室Cの中央上部に配備される燃料噴射弁17はシリンダヘッド2の燃焼室壁3のほぼ中央部の噴射弁取付け穴16に嵌着され、これによって噴射弁中心線Lbがシリンダ中心線Lcと略並列するように配設される。
燃料噴射弁17は噴射弁本体171と、噴孔211を備えた先端部としてのノズル部21と、噴射弁本体171の後端より突出する接続端子172とで形成される。
噴射弁本体171はその内部に励磁コイルを備え、同励磁コイルの励磁時にノズル部21の不図示の針弁を開作動させ、不図示の高圧燃料供給系から送り込まれている高圧燃料を燃焼室Cに噴孔211より噴霧する。ここで、燃料噴射弁17は噴孔211からの噴霧f0を噴射弁中心線Lbの回りにコーン状(図3参照)に拡散するように噴射する。噴射弁本体171内の不図示の励磁コイルに接続された接続端子172には後述のECU(電子制御ユニット)31が接続される。
図4に示すように、凹部13の楕円状の底壁15は外周壁18で囲まれ、特に、外周壁18の凹部長手方向での他端に他部位より拡大された端部外周壁18aが形成される。この端部外周壁18aには点火栓取付け穴23が形成され、同穴23に点火栓19のプラグ本体191が螺着されている。このため、図1、3に示すように、プラグ本体191及び点火栓取付け穴23の共通の点火栓中心線Lpはシリンダ中心線Lcに対して所定量の傾き角αを保って対向配備される。
ここで、点火栓19のプラグ本体191が外周壁18内の点火栓取付け穴23に螺着されていたが、場合により、図5に示すように、外周壁18より燃焼室壁3の下向き面側に一部はみ出すような位置に点火栓取付け穴23aが形成され、そこにプラグ本体191が螺着されるようにしてもよい。この場合、噴射弁取付け穴16と点火栓取付け穴23aとの対向間隔e1を比較的大きく確保することができ、その対向スペースへの突起22の取付け位置の自由度を比較的大きく確保することができる。
このように、点火栓19のプラグ本体191を外周壁18あるいは同外周壁18より燃焼室壁3の下向き面側に一部はみ出すような位置に配備するので、噴射弁取付け穴16と点火栓取付け穴23aとの間の最小肉厚を大きく取ることができるため十分な強度を確保でき、さらに点火栓のピストン側、すなわち、燃焼室内への突き出し量K(図3参照)を比較的小さく抑えることができ、点火栓19の耐久性を向上できるし耐プレイグ性も改善できる。
図1、3に示すように、点火栓19は燃焼室壁3に取り付けられるプラグ本体191と、同プラグ本体191の中央に碍子部190(中心電極絶縁部)を介して支持される中心電極24と、同中心電極24の回りに設けられた側極25とを備える。プラグ本体191には雄ネジが形成され、これがシリンダヘッド2に形成された点火栓取付け穴23の雌ネジ部に螺合できるようになっている。
ここで側極25はL字状に屈曲された矩形断面の突片を成し、その基端がプラグ本体191、シリンダヘッド2へと接続される接地電極を成す。中心電極24は断面円形の柱状片をなし、プラグ本体191の後端側の接続端子192に導通し、これがイグナイター27を介し後述のECU(電子制御ユニット)31に接続される。このイグナイター27よりの高圧電流が中心電極24に印加されると、外径d1(図3参照)の中心電極24の先端と左右側面幅b1の側極25(図4参照)との間のギャップt(図3参照)の領域に火花放電であるスパークが生じるようになっている。
図1乃至図4に示すように、燃焼室壁3の一部である凹部13内の下向き壁面であって、噴射弁取付け穴16と点火栓取付け穴23とに挟まれた穴対向スペース部位には、燃焼室C側であるピストン6側に向けて突起22が突設される。
突起22は横断面が略矩形をなす柱状体として形成され、その下部である先端部221が、ノズル部21の噴孔211と点火栓19のギャップt間に位置して噴孔211からの燃料噴霧流f0の一部が干渉するよう配設される。
ここでの突起22は、その基端部の断面積が先端部より比較的大きく確保されている。しかも、同基端部が凹部13内の底壁15の一部に一体的に形成されており、十分な剛性確保が成され、耐久性に優れるという利点がある。
柱状体として形成された突起22は、図4に示すように、燃料噴射弁17との噴孔対向面c1が噴射弁取付け穴16と共加工により形成される。その噴孔対向面c1の背側の点火栓19との点火栓対向面c2が点火栓取付け穴23と共加工により形成される。
図3に示すように、点火栓取付け穴23の点火栓中心線Lpは噴射弁中心線Lb(シリンダ中心線Lcと平行)に対して傾き角αを保っていることより、図3に示すように、突起22の凹部長手方向Aでの縦幅h1は基端より先端に向かうに従い小さく形成される。
一方、図4に示すように、突起22の左右側面c3の幅である凹部長手方向Aと直交する幅h2(噴霧流に干渉する幅)は、基端より先端に向かうに従い、多少、小さくなるように形成されるが、基端側の主要部は点火栓19の側極25の左右側面幅b1にほぼ等しい幅に形成され、先端部221が多少小幅に形成される。
なお、突起22の高さを規制する頂面c4は噴射弁中心線Lbと略直交する略平坦面に形成される。
ここで突起22の高さH1と突起22の幅h2は燃料噴霧流f0の一部が突起22と干渉する量を規制するものである。このため、これら部位を精度よく形成することで、噴孔211からの燃料噴霧流f0の一部が突起22に干渉して運動量を喪失した噴霧微粒子が、突起周辺の燃料噴霧流のコアンダ効果により迂回された流れに乗って点火栓電極近傍に輸送され、可燃混合気が確実に点火栓電極位置に形成されると共に、点火栓電極近傍の流速が下がるため突起の下流における点火栓の電極近傍に可燃混合気が滞留し易くなるし、点火栓放電アークの吹き消しが抑制されて着火も容易となり、さらに点火栓に向かう燃料噴霧流は微粒子が主となるため気化し易く、液相領域を含む燃料噴霧が点火栓電極を直撃することがなく点火栓の燻りを防止することもできる。これらによりスプレーガイド方式で燃料噴霧の経時劣化、または点火柱の位相や突き出し位置のずれに強く、確実且つ安定的な着火を実現することができ、低撚費特性を保持しながら、燃焼系のロバスト性を簾価に改善することができる。
燃料噴霧の流動に関してより詳しく説明すると、図6に示すように、噴孔211からの燃料噴霧流f0の一部はコアンダ効果により、突起22の幅が規制された左右側面c3及び突起22の高さが規制された頂面c4を経て、突起22の背面である点火対抗面c2に沿う方向に曲げられる。さらに、点火対抗面c2で合流した噴流を突起22の背面である点火栓対向面c2と対向する下流側域に流動させ、即ち、図6に示すように、突起22の下流の側極25と中心電極24との間のギャップt近傍に可燃混合気を拡散噴霧fgとして拡散させるように左右側面c3と頂面c4が加工される。
突起22の頂面c4の高さは、燃料噴霧流f0の外縁の一部が頂面c4に干渉する程度に規制するのが望ましく、この場合、周辺空気の抗力により噴霧外縁から剥ぎ取られて分裂した噴霧微粒子と、図3に示す様に燃料噴霧流f0の一部が突起22の先端部221に衝突して分裂した噴霧微粒子は運動量を喪失するため、これらの噴霧微粒子群はコアンダ効果により突起22の背面である点火対抗面c2を経て、選択的に拡散噴霧fgとしてギャップt近傍に流動し、コアンダ効果の流動が及ぶ比較的広範囲に可燃混合気を形成する。
さらにコアンダ効果で経路が迂回されることにより流速が低下し、さらに燃料噴射終了後の減衰した慣性流により運動量を喪失した微粒子群が刻々と輸送されるので、ギャップt近傍には比較的低い流速を伴う拡散噴霧fgが流動し続けることとなり、可燃混合気が長期間滞在する。
ここで、図15には、スプレーガイド方式の従来の技術(二点鎖線)と本発明の適用された突起22のある技術(破線)を比較説明する線図を示した。図15(a)に示した点火栓電極位置における流速特性線図において、火花点火吹き消え限界線a1よりも下が流速が低い領域を示す。図15(b)に示した点火栓電極位置における局所空燃比特性線図において、局所空燃比が希薄可燃限界線b1と過膿可燃限界線b2の間で可燃領域となっていることを示す。
ここで、図15(a)、及び及び図15(b)にはそれぞれ二点鎖線により従来技術の特性を、破線で本発明の適用された突起22のある技術の特性を示した。これより明らかなように、火花点火拭き消え限界線a1よりも流速が低く、かつ空燃比域が希薄可燃限界線b1と過濃可燃限界線b2の間が可燃領域である。即ち、安定燃焼が成立する領域は、従来のA1域に比べて本発明の適用された突起22のある技術の場合のA域が拡大し、比較的広い領域となっていることが明らかである。このため、本発明の適用された突起22のある技術の場合、燃料噴霧の経時劣化、または点火柱の位相や突き出し位置のずれに強く、低撚費特性を保持しながら、燃焼系のロバスト性を簾価に改善することができる。
上述したような特性が得られる突起22は、シリンダヘッド2の鋳造時において、燃焼室壁3の一部である凹部13内に一体的に鋳造される。
その上で、突起22の高さを規制する頂面c4と、突起22の幅h2を規制する左右側面c3と、噴孔対向面c1及び点火栓対向面c2が機械加工により所定の精度で形成される。これによって、燃焼室壁の一部の凹部内に一体的に鋳造された突起の仕上げ加工精度を上げ、形状精度を高めることができる。
ここで、噴射弁取付け穴16の穴加工の際に、同時に連続的に噴孔対向面c1の切削加工を行っており(図3参照)、これによって作業工数を低減できる。
一方、点火栓対向面c2の穴加工の際に、同時に連続的に点火栓対向面c2の切削加工を行っており(図3参照)、これによって作業工数を低減できる。なお、この穴加工の後、点火栓取付け穴23に対しては別途螺子加工が成される。
更に、突起22の頂面c4と左右側面c3とが順次切削加工され、これによって、突起22の高さH1と、突起22の幅h2を精度よく加工できる。
図1に示すように、燃焼室Cの下部に位置するピストン6は燃焼ガス圧を上壁601で受け、その押圧力を不図示のクランク機構を介して出力軸側に出力する。このようなピストン6の上壁601にはキャビティー28が凹設される。
図7(a)〜(d)に示すように、キャビティー28は、後述の成層燃焼運転時に、ピストン6が圧縮行程後期に達した際に噴孔211からの燃料噴霧流f0の一部f1を突起22の先端部221に衝突させる一方、突起に衝突する燃料噴霧流f1とは別の燃料噴霧流の主要部分f2をキャビティー28の内壁に衝突させ(図7(b)参照)、内壁で反転し、霧化が促進された燃料噴霧流f2を点火栓19のギャップtに向けて流動することができるような形状に形成される。
このようなエンジン1には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM、RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)31が設置されている。ECU31の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出する回転速度センサ32、エンジン1のスロットル開度θsを検出するスロットルセンサ33、アクセル操作量θaを検出するアクセルセンサ34等の各種センサ類が接続され、出力側には燃料噴射弁17、点火栓19を駆動するイグナイター27等の各種デバイス類が接続されている。
ECU31は予め設定された燃料噴射量マップ、燃料噴射時期マップ及び点火時期マップに基づき、機関回転速度Neやアクセル操作量θa等から燃料噴射量Q、燃料噴射時期Tij及び点火時期Tigを設定し、これらの目標値に基づいて燃料噴射弁17の開弁期間及び開弁時期を制御すると共に、イグナイター27を駆動して点火栓19の点火時期を制御する。
運転時のエンジン1はアクセル操作量θa等から求められた目標トルクT及びエンジン回転速度Neに応じて均一燃焼と成層燃焼とに切換えられ、目標トルクT又はエンジン回速度Neが比較的高い運転領域では吸気行程で噴射した燃料により均一な混合気を形成して燃焼させる均一燃焼を行い、目標トルクT及びエンジン回転速度Neが比較的低い運転領域では圧縮行程で噴射した燃料により点火プラグのギャップtの周囲に理論空燃比近傍の混合気を形成した上で、全体として極めてリーンな空燃比で燃焼させる成層燃焼を行う。
ここで、成層燃焼によるエンジン1の運転には、図14に示すように噴射時期や点火時期の設定がそれぞれ異なる、1回噴射によるスプレーガイドモードE1、複数回噴射モードE2、ウォールガイドモードE3、の3つのモードが設定されており、各モードは目標トルクT及びエンジン回転速度Neによって切換えられるようになっている。
まず、複数回噴射モードE2について説明すると、図8に示すように、圧縮行程で燃料噴射弁17から時点t1で先行して噴射された燃料噴霧f1、f2は自己の運動エネルギによりコーン状に拡散する。
この際、燃料噴霧流f0の主要部f2はキャビティー28内に噴霧され(図7(a)、(b)参照)、キャビティー28内で上方に反転され、拡散する。その上で、ピストンの上昇運動に伴い上死点に接近し(図7(c)、(d)参照)、キャビティー28内で拡散した燃料噴霧の一部が、点火プラグ19のギャップt近傍に到達する。
同時に、燃料噴霧流f0の一部f1は突起22の先端部221に衝突し、運動量を喪失した噴霧微粒子がコアンダ効果により突起22の左右側面c3と頂面c4に沿って選択的に流動し(図7(a)、(b)参照)、突起22の下流の側極25と中心電極24との間のギャップtの近傍に流速が低い拡散噴霧fgとして流動させることができる。なお、点火時期における流速特性を図15(a)に、破線中のm2域として示し、空燃比特性を図15(b)にAF2として示した。
図8に示すように、ここでは、時点t1の先行噴射の後、間隔δs後の時点t2で後続の噴射が成される。これにより、図7(c)、(d)に示すように、再度、燃料噴霧流f0の一部f1が先端部221に衝突してコアンダ効果により突起22の下流に位置するギャップtの近傍に拡散噴霧fgとして流動する。点火時期における流速特性と空燃比特性を図15(a)、(b)に、破線中のm1域とAF1域として示した。
この際、ピストンは圧縮上死点直前にあり、上昇してきたキャビティー28内の先行噴射時の拡散混合気も再度点火栓19のギャップtの近傍に達しており、この時点でのギャップtの近傍の可燃混合気の空燃比はAF1及びAF2、さらにキャビティー28内の先行噴射時の拡散混合気を合算した値となり、理論空燃比近傍あるいはそれを上回る状態である。このため、その直後の時点t3(図8参照)8に点火信号がECUより発せられ、イグナイター27の駆動により、高圧電流が中心電極24に印加され、火花放電がギャップtに発生し、ギャップt周りの可燃混合機が安定的に着火し、上死点通過後の燃焼によって、成層燃焼によるエンジン1の運転時における出力発生が成されることとなる。
このように、スプレーガイド式での成層燃焼によるエンジン1の運転時には、図7(b)、(d)に示すように、燃料噴霧流f0の一部f1が先端部221に衝突して分裂した噴霧微粒子は運動量を喪失するため、これらの噴霧微粒子群はコアンダ効果により突起22の背面である点火対抗面c2を経て、選択的に突起22の下流に位置するギャップtの近傍に拡散噴霧fgとして流動させ、同時に、上昇してきたキャビティー28内の主噴射時の拡散混合気を点火柱19のギャップtの近傍に導き、十分な濃度の可燃混合気に、その時点を点火時期t3として点火栓19を駆動させ、火花放電により着火し、確実に安定して燃焼させることができる。さらに、点火時期における混合気は成層化された状態にあるが、点火プラグ電極近傍の広い空間範囲に可燃混合気が長期間配置されるので、燃料噴射弁の製作個体差に起因した噴霧特性のバラツキや、噴射弁噴孔部のカーボン堆積に起因して噴霧特性が経時変化しても、点火栓電極位置が可燃限界域からはずれて難く、低撚費特性を保持しながら、燃焼系のロバスト性を簾価に改善することができる。
特に、ここでは、先行噴射及び後続噴射における複数噴射が成されるので成層燃焼において1回噴射よりも燃焼系のロバスト性をより確実化できるので、低負荷運転での圧縮行程後期での燃料噴射時の着火を容易化させることができる。
次に、1回噴射によるスプレーガイドモードE1について説明すると、本モードは燃料噴射を、上述の複数回噴射モードにおける後続する噴射に相当する噴射のみの1回噴射としたモードであり、上述の複数回噴射モードで後続する噴射に関して説明した内容と同等の作用が得られ、スプレーガイド方式でも確実且つ安定的な着火を実現することができ、低撚費特性を保持しながら、燃焼系のロバスト性を簾価に改善することができる。
また、ウォールガイドモードE3について説明すると、本モードは燃料噴射を、上述の複数回噴射モードにおける先行する噴射に相当する噴射のみの1回噴射としたモードであり、上述の複数回噴射モードで先行する噴射に関して説明した内容と同等の作用が得られ、キャビティーから反転してきた燃料に加えて突起と干渉して点火栓付近に滞留する燃料も利用できウォールガイド方式でも確実且つ安定的な着火を実現することができ、低撚費特性を保持しながら、燃焼系のロバスト性を簾価に改善することができる。
上述のところでは、成層燃焼でのエンジン作動を説明した。これに対し均一燃焼でのエンジン作動時には、吸気行程時に理論空燃比相当の燃料噴射がなされ、吸気行程から圧縮行程を経て十分に予混合された筒内の混合気に対して圧縮上死点近傍の点火時期で点火作動が行われる。
図10、11には第2の実施形態を示した。
この第2の実施形態としてのエンジン1aは、図1、2のエンジン1と比較し、突起22の支持構成が異なる点以外は同一構成を採ることより、重複する説明を略す。
図10、11に示すように、エンジン1aの燃焼室壁3の凹部13は、中央に楕円状の底壁15が形成される。底壁15の凹部長手方向Aでの一端側には噴射弁取付け穴16が形成され、同穴16に燃料噴射弁17aが嵌着されている。底壁15の回りに形成された外周壁18の凹部長手方向Aでの他端側に点火栓取付け穴23が形成され、同穴23に点火栓19が取り付けられる。しかも、図10、11に示すように、燃料噴射弁17aの点火栓19との対向周縁部には噴孔211aからの燃料噴霧流f0の一部が干渉する突起22aが一体的に形成されている。
このように平面視で長穴状の凹部13は、その底壁15に燃料噴射弁17aを、外周壁18の一端に点火栓19を配設する。しかも、直状に噴孔211a、突起22a、ギャップtを順次配設するので、取付けスペースのコンパクト化を図ることができる。
図10、11に示すように、燃料噴射弁17aは噴射弁本体171と、噴孔211aを備えた先端部としてのノズル部21と、噴射弁本体171の後端より突出する接続端子172とで形成される。噴射弁本体171はその内部に励磁コイルを備え、同励磁コイルの励磁時にノズル部21aを駆動させ、不図示の高圧燃料供給系からの高圧燃料を燃焼室Cに噴孔211aより噴霧する。ここで、燃料噴射弁17aは噴孔211aからの噴霧f0を噴射弁中心線Lbの回りにコーン状(図9参照)に噴射する。噴射弁本体171内の不図示の励磁コイルに接続された接続端子172にはECU31が接続される。
図10、11に示すように、ノズル部21aの先端の外周壁からは噴射弁中心線Lbの方向に沿って矩形断面の角柱状の突起22aが突設される。突起22aは、その下端である先端部が、ノズル部21の噴孔211aと点火栓19のギャップt間であって噴孔211aからの燃料噴霧流f0の一部が干渉するよう配設される。
ここで、図12に示すように、突起22aは、噴孔211a及び点火栓19と対向する噴孔対向面g1及び点火栓対向面g2の幅j1と、左右側面g3の幅j2と、突起22aの高さj3(図10参照)とがそれぞれ設定値となるように形成される。なお、突起22aは、ノズル部21の加工の際に同時に機械加工される。即ち、シリンダヘッド2への装着前に切削加工され、シリンダヘッド2への装着時には、噴孔211aと点火栓19のギャップtを結ぶ直線状の位置と干渉するように組み付けられる。
ここで、突起22aの高さj3と突起22aの幅j1は燃料噴霧流f0の一部が突起22aと干渉する量を規制する。このため、噴孔211aからの燃料噴霧流f0の一部が突起22aに干渉することで、噴霧が反転や旋回して拡散噴霧fg’(図12参照)となり、可燃混合気の生成が促進される。ここでの燃料噴射弁17aは、そのシリンダヘッド2への装着前に、ノズル部21の突起22aを精度よく加工できるという利点がある。更に、突起22aを図1の実施形態での突起22のように凹部の底壁15に鋳造加工するものではないので、製造コストを低減できるという利点がある。
図10、11に示したエンジン1aの運転時の作動は、図1、2に示したエンジン1の運転時と比較し、相違点は燃料噴霧流f0の一部f1が突起22aの先端部221に衝突した際の燃料噴霧の挙動のみが、一部相違するのみで、その他の挙動は同一であるため、重複説明を略す。
図10、11に示したエンジン1aの場合も、図1、2に示した第1実施形態でのエンジン1の場合とほぼ同様の作用効果が得られる。特に、ここでの突起22aは燃料噴射弁17aのノズル部21aに一体形成されるので、シリンダヘッド2への装着前に、ノズル部21aの突起22aを精度よく加工でき、この突起22aと干渉することで噴霧が反転や旋回することで生じる拡散噴霧fg’(図12参照)の発生量の精度調整が容易となる利点がある。
上述の実施形態において、燃料噴射弁17、17aは噴射弁中心線Lbの回りにコーン状(図3参照)に拡散するように噴射するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図13(a)、(b)に示すように、複数本の噴霧細流sfを分散して噴霧する多孔噴射弁17bを用いても良い。この場合、複数本の噴霧細流sfのうち、点火栓方向に向かう少なくとも1本の噴霧細流sfと干渉するように突起22bを配設することと成る。この場合も図1のエンジン1におけると同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、1回噴射によるスプレーガイドモードE1、複数回噴射モードE2、ウォールガイドモードE3の各モードを有する設定となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのうち少なくとも1つのモードを有するものであってもよい。
本発明の実施形態としてのエンジンの概略構成図である。 図1のエンジンに設けられたシリンダヘッドの部分切欠底面図である。 図1のエンジンの燃料噴射弁と点火栓を燃焼室壁の凹部に組み付けた部分切欠拡大断面図である。 図3の燃料噴射弁と点火栓を凹部に組み付けた状態での燃料噴射時の燃料噴射状態の説明図である。 図1のエンジンの燃料噴射弁と点火栓を燃焼室壁の凹部に組み付けた場合の変形例を表す部分切欠拡大断面図である。 図3の燃料噴射弁と点火栓を凹部に組み付けた状態での燃料噴射時の燃料噴霧の挙動を説明する図である。 図1のエンジンの燃料噴射弁と点火栓の噴射及び点火挙動を説明する図で、(a)は主噴射直後を、(b)は主噴射によるキャビティーへの噴霧の挙動を、(c)は圧縮上死点に接近したキャビティーへのアフター噴射の挙動を、(d)は点火直前の燃料噴霧の拡散状態をそれぞれ示している。 図1のエンジンの燃料噴射信号と点火信号の経時パターンを説明する線図である。 本発明の他の実施形態としてのエンジンの概略構成図である。 本発明の第2の実施形態としてのエンジンの概略構成図である。 図10のエンジンに設けられたシリンダヘッドの燃焼室対向部の部分切欠底面図である。 図10のエンジンの燃料噴射弁と点火栓を凹部に組み付けた状態での燃料噴射時の燃料噴霧の挙動を説明する図である。 図1、9のエンジンに装着された燃料噴射弁に代えて用いられる多孔噴射弁の挙動を説明する図であり、(a)は側面部分拡大断面図を、(b)は部分拡大底面図である。 スプレーガイド方式とウォールガイド方式における安定燃焼可能域の説明図である。 本願及び従来のエンジンにおける点火柱電極位置における流速特性線図を(a)として示し、本願及び従来のエンジンにおける点火柱電極位置における局所空燃比特性線図を(b)として示す。
符号の説明
1 エンジン
2 シリンダヘッド
3 燃焼室壁
13 凹部
15 底壁
17 燃料噴射弁
19 点火栓
191 プラグ本体
211 噴孔
22 突起
221 先端部
24 中心電極
25 側極
t ギャップ

Claims (11)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドの燃焼室壁の一部に凹設された凹部と、
    噴孔が前記凹部内に位置するよう設けられた燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴霧流に点火可能に設けられた点火栓と、
    前記凹部内で前記噴孔と前記点火栓の電極との間に位置して前記噴孔からの燃料噴霧流の一部が干渉するよう配設された突起と、
    を備えたことを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  2. 請求項1記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記噴射弁は前記噴孔が前記凹部の底部近傍に位置するよう設けられ、
    前記点火栓は前記凹部において前記底部の略外周壁に設けられることを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  3. 請求項1又は2記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記凹部と前記燃料噴射弁、および前記点火栓が前記燃焼室壁の略中央部に設けられ、前記点火栓の電極ギャップは前記噴射弁の噴孔よりも下方に配置されることを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  4. 請求項1、2又は3記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記燃料噴射弁の噴孔からの燃料噴霧流は前記燃料噴射弁の軸線に対して略放射状に噴霧され、その噴霧流の一部が前記突起に干渉することを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  5. 請求項1、2又は3に記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記燃料噴射弁は複数本の噴霧細流を分散して噴霧する多孔噴射弁であり、前記突起は前記点火栓方向に向かう少なくとも1本の噴霧細流と干渉するように形成されることを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    ピストンにキャビティーが凹設され、前記キャビティーの内壁は、前記ピストンが圧縮行程後期に達した際に前記燃料噴射弁を作動させると、噴射された燃料噴霧流の一部が衝突し、そこで反転した燃料噴霧流を前記点火栓に向かわせるような形状に形成されることを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記突起の燃料噴射弁側との対向面の高さと幅を機械加工して形成することを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記突起の燃料噴射弁側の面を噴射弁取付け穴と共加工することを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記突起の点火栓側の面を点火栓取付け穴と共加工することを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記突起の前記噴霧流に干渉する幅は前記点火栓の側極の幅にほぼ等しいことを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一つに記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記凹部は平面視で長穴状に形成されたことを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
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