JP2000179441A - 直接筒内噴射式火花点火機関 - Google Patents

直接筒内噴射式火花点火機関

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    • Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12—Improving ICE efficiencies

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のものと比較して最適燃焼位置の制御が
容易となり、燃費改善を図ることができる直接筒内噴射
式火花点火機関を提供すること。 【解決手段】 ピストン１１上部に形成された燃焼室７
と、吸気ポート９下部に燃焼室７に対し斜め下向きに燃
料を筒内に直接噴射するようにした高圧の燃料噴射弁６
とを有し、燃料噴射弁６の噴射軸線方向に沿って複数の
点火栓（第１点火栓１０，第２点火栓４，第３点火栓
５）が離間して配設された成層燃焼を行う直接筒内噴射
式火花点火機関１において、運転条件により、２個所以
上の異なる位置において、時間差を設けて点火すること
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、直接筒内噴射式
火花点火機関に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来の直接筒内噴射式火花点火機関とし
ては、例えば、図１０〜図１４に示すようなものがある
（特開平１０−１６９４４６号公報）。この直接筒内噴
射式火花点火機関０１は、シリンダ内の上部空間を燃焼
室０７とし、この燃焼室０７に燃料噴射弁０６から燃料
を噴射して混合気０８を形成し点火栓で点火して成層燃
焼を行うものであって、前記燃料噴射弁０６はその噴射
軸線方向をシリンダ径方向にほぼ沿わせて配置され、燃
料噴射弁０６の噴射軸線方向に沿って複数の点火栓０
４，０５が互いに離間して配列されており、成層燃焼領
域では、機関回転数の低い時には燃料噴射弁０６に近い
点火栓０４により混合気０８に点火し、機関回転数の上
昇に従って燃料噴射弁０６から遠い点火栓０５により混
合気０８に点火する構成となっている。なお、０２は吸
気弁、０３は排気弁である。
【０００３】このような構成とすることによって成層燃
焼領域を大幅に拡大することができ、その結果燃費改善
が図れるというものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の直接筒内噴射式火花点火機関０１にあって
は、運転条件により主に、点火位置を変えており、各条
件で燃焼安定性は向上するものの、燃料噴霧や濃混合気
の分布のバラツキによる安定性のサイクル変動の悪化は
防げない。また、噴射期間の長い低回転高負荷域のみで
は、噴霧の拡散を防止するために噴霧の先端と後端の多
点点火を行っているが、多点同時点火であるため、成層
運転は可能となり成層燃焼領域はひろがるものの、点火
時期は燃料噴射期間、噴霧形状、点火栓位置間隔により
決まり、最適燃焼位置での点火は制御できない。このた
め、燃費重視の点火時期制御ができない。この発明は、
このような従来の問題点に着目してなされたもので、複
数の点火栓を燃料噴射弁の噴射軸線方向に沿って配列
し、運転条件により、２個所以上の異なる位置の点火栓
において、移動する濃混合気位置にあわせるように、時
間差を設けて点火することで上記問題点を解決すること
を目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段として、請求項１記載の発明では、ピストン上部
に形成された燃焼室と、吸気ポート下部に燃焼室に対し
斜め下向きに燃料を筒内に直接噴射するようにした高圧
の燃料噴射弁と、を有し、前記燃料噴射弁の噴射軸線方
向に沿って複数の点火栓が離間して配設された成層燃焼
を行う直接筒内噴射式火花点火機関において、運転条件
により、２個所以上の異なる位置において、時間差を設
けて点火することを特徴とする。請求項２記載の発明で
は、請求項１記載の直接筒内噴射式火花点火機関におい
て、前記機関の運転条件が低中速域の成層燃焼域では、
燃料噴射弁に近い側の複数の点火栓において濃混合気の
移動にあわせて燃料噴射弁に近い側から順に点火してい
き、機関の運転条件が高速域の成層燃焼域では、燃料噴
射弁に遠い側の複数の点火栓において濃混合気の移動に
あわせて燃料噴射弁により近い側から順に点火していく
ことを特徴とする。請求項３記載の発明では、請求項２
記載の直接筒内噴射式火花点火機関において、前記成層
燃焼時に燃料噴霧をエアガイドするタンブル流を形成す
るピストン形状として、点火栓の配置方向のタンブル流
動を安定化するため、燃料噴射弁の噴射軸線方向に沿っ
て長手形状化した凹面部を有することを特徴とする。請
求項４記載の発明では、請求項２記載の直接筒内噴射式
火花点火機関において、前記燃焼室を形成するシリンダ
ヘッド形状において、燃料噴射弁に近い側の第１点火栓
は突起させないようにして均質運転時に噴霧が点火栓に
直接かからないようにし、燃料噴射弁に遠い側の燃焼室
上面部を凹形状にすることで成層燃焼時も十分燃料が第
１点火栓近傍に届くようにしたことを特徴とする。請求
項５記載の発明では、請求項２記載の直接筒内噴射式火
花点火機関において、前記複数の点火栓の位置間隔にお
いて、高速条件で使用する燃料噴射弁に遠い側の点火栓
の間隔を、低中速条件で使用する燃料噴射弁に近い側の
点火栓の間隔よりも短くしたことを特徴とする。
【０００６】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。 （実施の形態１）図１は、この発明の実施の形態１を示
す図である。まず、構成を説明すると、本実施の形態の
直接筒内噴射式火花点火機関１は、ピストン１１上部に
形成された燃焼室７と、吸気ポート９下部に燃焼室７に
対し斜め下向きに燃料を筒内に直接噴射するようにした
高圧の燃料噴射弁６とを有し、点火栓で点火して成層燃
焼を行うものであり、前記燃料噴射弁６の噴射軸線方向
に沿って複数の点火栓（第１点火栓１０，第２点火栓
４，第３点火栓５）が離間して配設され、運転条件によ
り、２個所以上の異なる位置において、時間差を設けて
点火する点火時期制御手段１２が設けられている。機関
の運転条件として負荷はアクセル開度センサ１４により
検出され、回転数はクランク角センサ１５により検出さ
れ、これらはコントロールユニット１３へ入力される。
このコントロールユニット１３はこうした機関の運転条
件に応じて前述した点火時期制御手段１２を制御する。
なお、２は吸気弁、３は排気弁である。
【０００７】次に作用を説明する。図２および図３に示
すように、機関の運転条件が低中速域の成層燃焼領域で
は、燃料噴射弁６に近い側の第１点火栓１０および第２
点火栓４において、濃混合気８の移動にあわせて燃料噴
射弁６に近い側の第１点火栓１０から燃焼室７中央の第
２点火栓４へと順に点火していく。低中速域では１回転
あたりの時間が長く燃料噴射時期は上死点（以下、ＴＤ
Ｃと称す）に近いタイミングとなるため、高背圧下での
燃料噴射となり燃料噴霧の貫徹距離が短くなり濃混合気
８は燃焼室７の燃料噴射弁６に近い側に存在する。そこ
で、燃料噴射弁６に近い側の第１点火栓１０および第２
点火栓４において点火し、かつ、前記濃混合気８の移動
にあわせて順番に点火することで噴霧形状（噴霧の貫徹
距離）のバラツキによらず安定して点火できる。また、
このように点火することで燃え残しの無いように混合気
後端から、ガス流動でガードされた燃焼室７中央部付近
のメインの濃混合気８まですばやく燃焼でき、従来例に
比べ、最適燃焼（熱発生）位置の制御（燃費重視の点火
時期設定）が容易となり、燃費改善が図れる。
【０００８】機関の運転条件が高速域の成層燃焼領域で
は燃料噴射弁６に遠い側の第２点火栓４および第３点火
栓５において、濃混合気８の移動にあわせて燃焼室７中
央の第２点火栓４から燃焼室７排気側の第３点火栓５へ
と順に点火していく。前述の低中速域に対し高速域では
１回転あたりの時間が短く燃料噴射時期はＴＤＣから離
れた早いタイミングとなるため、低背圧下での燃料噴射
となり、燃料噴霧の貫徹距離は長くなり濃混合気８は燃
料噴射弁６から遠い燃焼室７の排気側に存在する。そこ
で、燃料噴射弁６に遠い側の第２点火栓４および第３点
火栓５において点火し、かつ、低中速域と同様に前記濃
混合気８の移動にあわせて順番に点火することで噴霧形
状（噴霧の貫徹距離）のバラツキによらず安定して点火
できる。また、低中速域と同様に、従来例に比べ、最適
燃焼（熱発生）位置の制御（燃費重視の点火時期設定）
が容易となり、燃費改善が図れる。
【０００９】（実施の形態２）図４および図５には実施
の形態２を示す。この実施の形態は、実施の形態１の構
成において、機関の運転条件が高速域の成層燃焼領域で
第１点火栓１０、第２点火栓４、および第３点火栓５を
用い、濃混合気８の移動にあわせて燃料噴射弁６に近い
側の第１点火栓１０から燃焼室７中央の第２点火栓４、
さらに、燃焼室７排気側の第３点火栓５へと順に点火し
ていくものである。これにより、より一層噴霧形状（噴
霧の貫徹距離）のバラツキによらず安定して点火でき
る。また、燃え残しの無いように混合気後端から、ガス
流動でガードされた燃焼室７中央部付近のメインの濃混
合気８まですばやく燃焼でき、従来例に比べ、最適燃焼
（熱発生）位置の制御（燃費重視の点火時期設定）が容
易となり、燃費改善が図れる。
【００１０】（実施の形態３）図６には実施の形態３を
示す。この実施の形態は、実施の形態１の構成におい
て、機関の運転条件が低中速域のアイドル時の成層燃焼
領域では、第１点火栓１０、第２点火栓４、および第３
点火栓５を用い、濃混合気８の移動にあわせて燃料噴射
弁６に近い側の第１点火栓１０から燃焼室７中央の第２
点火栓４、さらに、燃焼室７排気側の第３点火栓５へと
順に点火していくものである。アイドル領域では、ガス
流動が弱く、このガス流動により第２点火栓４近傍に濃
混合気８がガードされにくくなるが、本実施の形態では
燃焼室７排気側の第３点火栓５まで濃混合気８の移動に
あわせて順番に点火していくので、噴霧形状（噴霧の貫
徹距離）のバラツキによらず安定して燃焼できる。
【００１１】（実施の形態４）図７には実施の形態４を
示す。この実施の形態は、実施の形態１の構成におい
て、成層燃焼時に燃料噴霧をガイドするタンブル流を形
成するピストン１１は、この冠面部に燃料噴射弁６の噴
射軸線方向（点火栓の配列方向）に沿って長手形状化し
た凹面部１６を配設する。これにより、点火栓の配列方
向のタンブル流を安定化でき、濃混合気８の移動速度
や、最終到達位置のバラツキを低減でき、安定した点火
ができる。
【００１２】（実施の形態５）図８には実施の形態５を
示す。この実施の形態は、実施の形態１の構成におい
て、燃焼室７を形成するシリンダヘッド形状において、
燃料噴射弁６に近い側の第１点火栓１０は突起させない
形状とし、さらに、第１点火栓１０の燃料噴射弁６に遠
い側の燃焼室７上面を凹形状１７にする。これにより均
質運転時に噴霧が点火栓１０に直接かからないようにす
るとともに、成層燃焼時は背圧下で巻き上がった噴霧が
第１点火栓１０の燃料噴射弁６に遠い側の端面から届く
ようになる。
【００１３】（実施の形態６）図９には実施の形態６を
示す。この実施の形態は、実施の形態１を構成する複数
の点火栓間隔において、高速条件で使用する第２点火栓
４と第３点火栓５の間隔を、低中速条件で使用する第１
点火栓１０と第２点火栓４の間隔よりも短くする。これ
により、高速条件では、流動が強く混合気が分散しやす
くなるが、点火栓間隔が短いため、これを抑制できる。
【００１４】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の直接
筒内噴射式火花点火機関にあっては、以上のような構成
としたため、低中速域では１回転あたりの時間が長く燃
料噴射時期は上死点に近いタイミングとなるため、高背
圧下での燃料噴射となり燃料噴霧の貫徹距離が短くなり
濃混合気は燃焼室の燃料噴射弁に近い側に存在するが、
燃料噴射弁に近い側の第１点火栓および第２点火栓にお
いて点火し、かつ、前記濃混合気の移動にあわせて順番
に点火することで噴霧形状（噴霧の貫徹距離）のバラツ
キによらず安定して点火でき、また、このように点火す
ることで燃え残しの無いように混合気後端部から、ガス
流動でガードされた燃焼室中央部付近のメインの濃混合
気部まですばやく燃焼でき、従来例に比べ、最適燃焼
（熱発生）位置の制御（燃費重視の点火時期設定）が容
易となり、燃費改善が図れる。また、高速域では１回転
あたりの時間が短く燃料噴射時期は上死点から離れた早
いタイミングとなるため、低背圧下での燃料噴射とな
り、燃料噴霧の貫徹距離は長くなり濃混合気は燃料噴射
弁から遠い燃焼室の排気側に存在するが、燃料噴射弁に
遠い側の第２点火栓および第３点火栓において点火し、
かつ、低中速域と同様に前記濃混合気の移動にあわせて
順番に点火することで噴霧形状（噴霧の貫徹距離）のバ
ラツキによらず安定して点火でき、低中速域と同様に従
来例に比べ、最適燃焼（熱発生）位置の制御（燃費重視
の点火時期設定）が容易となり、燃費改善が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態１を示す図である。
【図２】実施の形態１の作用を示す図である。
【図３】実施の形態１の作用を示す図である。
【図４】実施の形態２を示す図である。
【図５】実施の形態２を示す図である。
【図６】実施の形態３を示す図である。
【図７】実施の形態４を示す図である。
【図８】実施の形態５を示す図である。
【図９】実施の形態６を示す図である。
【図１０】従来の直接筒内噴射式火花点火機関を示す図
である。
【図１１】従来の直接筒内噴射式火花点火機関を示す図
である。
【図１２】従来の直接筒内噴射式火花点火機関を示す図
である。
【図１３】従来の直接筒内噴射式火花点火機関を示す図
である。
【図１４】従来の直接筒内噴射式火花点火機関を示す図
である。
【符号の説明】
１ 直接筒内噴射式火花点火機関 ２ 吸気弁 ３ 排気弁 ４ 第２点火栓 ５ 第３点火栓 ６ 燃料噴射弁 ７ 燃焼室 ８ 混合気 ９ 吸気ポート １０ 第１点火栓 １１ ピストン １２ 点火時期制御手段 １３ コントロールユニット １４ アクセル開度センサ １５ クランク角センサ １６ 凹面部 １７ 凹形状
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｍ 61/14 ３１０ Ｆ０２Ｍ 61/14 ３１０Ｓ ３１０Ａ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ピストン上部に形成された燃焼室と、吸
    気ポート下部に燃焼室に対し斜め下向きに燃料を筒内に
    直接噴射するようにした高圧の燃料噴射弁と、を有し、 前記燃料噴射弁の噴射軸線方向に沿って複数の点火栓が
    離間して配設された成層燃焼を行う直接筒内噴射式火花
    点火機関において、 運転条件により、２個所以上の異なる位置において、時
    間差を設けて点火することを特徴とする直接筒内噴射式
    火花点火機関。
  2. 【請求項２】 前記機関の運転条件が低中速域の成層燃
    焼域では、燃料噴射弁に近い側の複数の点火栓において
    濃混合気の移動にあわせて燃料噴射弁に近い側から順に
    点火していき、機関の運転条件が高速域の成層燃焼域で
    は、燃料噴射弁に遠い側の複数の点火栓において濃混合
    気の移動にあわせて燃料噴射弁により近い側から順に点
    火していくことを特徴とする請求項１記載の直接筒内噴
    射式火花点火機関。
  3. 【請求項３】 前記成層燃焼時に燃料噴霧をエアガイド
    するタンブル流を形成するピストン形状として、点火栓
    の配置方向のタンブル流動を安定化するため、燃料噴射
    弁の噴射軸線方向に沿って長手形状化した凹面部を有す
    ることを特徴とする請求項２記載の直接筒内噴射式火花
    点火機関。
  4. 【請求項４】 前記燃焼室を形成するシリンダヘッド形
    状において、燃料噴射弁に近い側の第１点火栓は突起さ
    せないようにして均質運転時に噴霧が点火栓に直接かか
    らないようにし、燃料噴射弁に遠い側の燃焼室上面部を
    凹形状にすることで成層燃焼時も十分燃料が第１点火栓
    近傍に届くようにしたことを特徴とする請求項２記載の
    直接筒内噴射式火花点火機関。
  5. 【請求項５】 前記複数の点火栓の位置間隔において、
    高速条件で使用する燃料噴射弁に遠い側の点火栓の間隔
    を、低中速条件で使用する燃料噴射弁に近い側の点火栓
    の間隔よりも短くしたことを特徴とする請求項２記載の
    直接筒内噴射式火花点火機関。
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