以下、実施形態につき、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1から図19は、第1実施形態を示す図である。図1は、本実施形態の運送管理システムのネットワーク構成図である。図1に示すように、運送管理装置(以下、管理装置と称する)300を中心に、配送依頼を行う発荷主(発荷主端末400)、配送依頼に基づく荷物の届け先である着荷主(着荷主端末500)、及び荷物を配送する運送事業者(事業者端末200及び配送員端末100)が、ネットワークを介して接続されている。ネットワークは、無線通信網/有線通信網、専用回線網等を問わない。例えば、インターネット等のネットワークを利用することができる。
図2は、管理装置300の機能ブロック図である。管理装置300は、通信装置310、制御装置320、及び記憶装置330を含んで構成されている。通信装置310は、ネットワークを介して接続される各端末との間のデータ通信を制御する。
制御装置320は、車両登録部321、運行情報収集部322、運行情報提供部323、運行予測部324、配送依頼受付部325、配車マッチング部326、見積・注文制御部327、及び運行予定計画制御部328を含んで構成されている。
図3は、本実施形態の配送員端末100の機能ブロック図である。配送員端末100は、通信部110、制御部120、記憶部130、表示部140、操作部150及び撮影部160を含んで構成されている。制御部120は、運行状況制御部121と運行予定データ制御部122とを含み、運行状況制御部121は、GPS制御部121A及び積載情報制御部121Bとを含んで構成されている。配送員端末100は、例えば、無線通信機能を有する携帯情報端末である。
図4及び図5は、本実施形態の運送管理システムの処理フローを示すフローチャートである。運送管理システムは、発荷主からの配送依頼を集約して管理すると共に、配送車両を管轄する運送事業者に代わって、配送依頼に対する各配送車両の運行予定計画を作成して提供する管理システムである。また、運送事業者に代わり、配送依頼に対する配送費の見積書及び発注書を提供する機能を備え、発荷主と運送事業者との間の配送依頼の発注管理を支援する。
図4に示すように、運送事業者は、本運送管理システムを利用するにあたり、配送車両及び配送員を登録する。管理装置300の車両登録部321は、管理装置300に接続した事業者端末200との間で、運送事業者の事業者情報及び運送事業者が管轄する複数の各配送車両、配送員(例えば、運転者)に関する情報の登録制御を行う。なお、配送車両及び配送員は、運送事業者と契約を結んだ個人事業主も含むことができる。
例えば、事業者端末200が管理装置300に接続して車両登録要求を行うと(S201)、車両登録部321は、事業者端末200に所定の車両・配送員登録画面を送信し、車両・配送員登録画面に対する入力制御及び表示制御を行う。事業者は、車両・配送員登録画面を介して車両基本情報、配送員情報を入力することで、管轄する各配送車両及び各配送員の登録を行うことができる。車両登録部321は、車両・配送員登録画面に入力された車両基本情報、配送員情報を記憶装置330に記憶する登録処理を行う(S301)。
図6(a)は、車両基本情報の一例を示す図であり、各運送事業者を識別する事業者ID毎に、車両ID、車両高、荷室容積などが含まれる。図6(b)は、配送員情報の一例を示す図であり、各配送員を識別する配送員ID、氏名、年齢、資格などが含まれる。
なお、車両基本情報及び配送員情報の登録は、管理装置300の運営側で行うこともできる。例えば、運送事業者は、紙媒体ベースの車両基本情報及び配送員情報を管理装置300の運営側にFAXや郵送で送付し、運営側の入力者が車両登録部321の登録機能を通じて、車両基本情報及び配送員情報を登録することができる。
事業者端末200は、登録した配送車両に対する運行予定データを管理装置300から受信し、該当する配送員端末100に運行予定データを送信する(S202)。配送員端末100の運行予定データ制御部122は、受信した運行予定データを記憶部130に記憶する(S101)。
運行予定データ制御部122は、表示部140に配送業務開始画面を表示し、配送員に車両ID及び配送員IDを入力させるように制御する。配送員は、例えば、入力ボタンやタッチパネルなどの操作部150を介して車両ID及び配送員IDを入力し、業務開始ボタンを選択する。運行予定データ制御部122は、業務開始ボタンが選択されると、車両ID及び配送員IDを含む配送業務開始を示すデータを、管理装置300に送信する(S102)。また、運行予定データ制御部112は、GPS制御部121Aに、配送員端末100(配送車両)の位置情報を取得する処理を開始するトリガー信号を出力する。このとき、運行予定データ制御部122は、表示部140に、今日一日の配送依頼を時系列に並べた運行予定データ計画表を表示することもできる(S103)。
配送員端末100のGPS制御部121Aは、配送業務中の移動する配送車両の位置情報を所定の間隔で取得し、配送車両のGPSデータを管理装置300に送信する(S104)。また、配送員は、配送依頼の集荷場所及び配送場所において、荷物の積み込み後の積載情報及び配送場所での荷卸し後の積載情報を、管理装置300に登録する。積載情報制御部121Bは、図7に示すような積載情報取得機能を提供する(S105)。
図7の例において、配送員は、集荷場所で荷物を積み込んだ後、配送員端末100から積載情報登録画面を起動する。積載情報制御部121Bは、画面Aを表示部140に表示し、積載率登録ボタンが選択されると、画面Bを表示し、配送員に積み込み後の荷室を撮影部160で撮影するメッセージを出力する。配送員は、画面Bにおいてカメラ起動ボタン(アイコン)を選択して撮影部160を起動し、荷物積み込み後の荷室を撮影する。画面Cは、撮影部160で撮影された荷室の撮影画像を表示する画面である。画面Cにおいて、配送員は、荷室の撮影画像を確認する。
続いて、積載情報制御部121Bは、画面Dを表示する。画面Dは、積載率を選択または入力する積載率選択欄を含み、配送員は、例えば、予め設定された複数の積載率選択情報の中から、撮影した荷室の積載率を選択する。積載情報制御部121Bは、荷室の撮影画像と選択された積載率を含む送信前確認画面Eを表示部140に表示し、画面Eにおいて送信ボタンが選択されると、積載率及び撮影画像を含む送信データ(積載情報)を生成して管理装置300に送信する(S106)。
なお、配送員端末100から積載情報を登録する際に、荷室の撮影画像を管理装置300に送信しているが、この限りではない。例えば、荷室の撮影自体を行わずに、予め設定された複数の積載率選択情報の中から配送員が目視して確認した積載率を選択したり、配送員が直接積載率を入力したりして、管理装置300に登録するように構成してもよい。
管理装置300の運行情報収集部322は、配送員端末100から送信される配送車両のGPSデータ及び積載情報を受信し、配送車両毎の運行状況を時系列に蓄積する運行情報収集処理を行う(S302)。運行情報収集部322は、リアルタイムに又は一日の配送業務終了後に一括して配送員端末100からGPSデータ及び積載情報を受信して記憶装置330に記憶することができる。また、運行情報取得部322は、一日の配送業務毎(日別)に各配送車両の運行状況データを記憶装置330に記憶するように制御することができる。
図8は、車両位置・積載情報の一例を示す図である。図8に示すように、配送車両(車両ID)毎に、配送車両のGPSデータ及び積載率が時系列に並んでいる。運行情報収集部322は、配送員端末100からGPSデータ及び積載情報を受信する度に、シーケンスNoを付与して、日付、時刻や荷台の空容積率などを含む車両位置・積載情報を、運行状況データとして蓄積する。
また、運行情報収集部322は、図9に示すように、図8の運行状況データに基づいて、運行実績情報を生成することができる(S304)。運行実績情報は、実績日、車両ID、配送員ID、配送依頼番号、集荷場所における集荷時間、GPSデータ及び空容積率(100−積載率)、荷物容積、荷受場所における荷受時間、荷受(配送)場所のGPSデータ及び空容積率(100−積載率)などを含む。
なお、図8及び図9に示す運行状況データや運行実績情報は、各車両の日々の配送履歴(配送業務実績)である。また、運行状況データは、1日の運行状況をリアルタイムにトレースした情報であり、運行実績情報は、運行状況データから生成される日々の運行実績を示す情報である。このため、運行実績情報に基づいて生成される情報は、運行状況データから生成することもできる。
例えば、集荷時間は、集荷場所に到着してから集荷が終了するまでの時間を、図8に示す運行状況データから算出することができる。ここで、配送車両が集荷場所に到着した時刻は、例えば、集荷希望時間において、GPSデータに基づく車両位置が配送依頼から予め把握することができる集荷場所の位置情報の範囲内であるかを判別することで、配送車両が集荷場所に到着した時刻を把握することができる。また、GPSデータに基づいて集荷場所で配送車両が停車しているか否か(時系列に連続するGPSデータが所定時間同じ位置に留まっているなど)を判別することで、配送車両が集荷場所に到着した時刻を判断することができる。
また、集荷終了は、上述した積載情報取得処理において、配送員端末100から受信する積載情報の送信データに基づいて、判別することができる。空容積率は、配送員端末100から受信する積載率に基づいて算出することができる。荷受時間などについても同様です。なお、図8の例のように、配送業務を開始する際や配送業務を終了する際に、例えば、配送車両の拠点において、配送員は、図7に示した積載情報取得処理を行い、運行状況データに反映することができる。
管理装置300の運行情報提供部323は、図8に示した運行状況データに基づいて、発荷主端末400及び着荷主端末500それぞれに、車両把握情報を提供することができる(S303)。例えば、配送依頼毎に、現在の車両位置や配送場所をアイコンで表示した地図マップや、到着予定時刻などを含む車両把握情報を提供することができる。運行情報提供部323は、発荷主端末400からの配送依頼番号を含む車両把握要求に基づいて、該当する配送車両の運行状況データを記憶装置330から取得し、最新の配送車両のGPSデータに該当する地図座標上に配送車両のシンボルマーク(車両オブジェクト)を配置した地図マップを生成することができる。また、時系列の車両位置を含む運行状況データに基づいて、地図上に配送車両の移動軌跡をトレースした地図マップを表示することもできる。
また、運行情報提供部323は、運行事業者用に、1つ又は複数の配送車両の現在位置や移動軌跡を含む地図マップを、事業者端末200に提供することもできる。この場合、運行情報提供部323は、例えば、各配送車両のシンボルマークに積載率を含ませて表示するように制御することもできる。1つの地図マップ上に複数の配送車両の各シンボルマークを表示させることで、運行事業者は、管轄する複数の配送車両の運行状況を把握することができる。
運行予測部324は、図8の運行状況データに基づいて、各配送車両の運行予測エリア及び運行予測積載率を含む運行予測データを生成する(S305)。各配送車両の運行予測データは、発荷主からの配送依頼に対する配送車両の配送予定データの生成、すなわち、配送依頼に対する配送車両の配車マッチング処理に利用される。運行予測データの生成処理については後述する。なお、運行予測エリア及び運行予測積載率は、それぞれ個別の運行予測データとして生成することもできる。
配送員端末100の運行予定データ制御部122は、配送員による操作入力に基づいて、表示部140に配送業務終了画面を表示し、配送業務終了を示すデータを管理装置300に送信するとともに、運行状況制御部121によるGPSデータ取得処理を終了するように制御する。
配送員は、例えば、操作部150を介して車両ID及び配送員IDを入力し、業務終了ボタンを選択する。運行予定データ制御部122は、業務終了ボタンが選択されると、車両ID及び配送員IDを含む配送業務終了を示すデータを、管理装置300に送信する(S107)。なお、図7に示した積載情報取得処理と組み合わせた配送業務終了処理を行うこともできる。例えば、最後の配送依頼の配達を終えた配送場所や配送車両の拠点での積載情報取得処理の際に、配送業務終了を選択するためのボタンを表示して、積載情報と共に配送業務終了を示すデータを管理装置300に送信することができる。
次に、図5を参照して、発荷主からの配送依頼に対して運送事業者の配送車両を配車するまでの処理フローについて説明する。図5に示すように、管理装置300の配送依頼受付部325は、管理装置300に接続した発荷主端末400との間で配送依頼に関する制御を行う。配送依頼受付部325は、例えば、発荷主端末400に対して所定の配送依頼画面を送信し(S311)、配送依頼画面に対する入力制御及び表示制御を行う。発荷主は、配送依頼画面を介して配送依頼データを入力し(S401)、発送依頼を行うことができる。配送依頼受付部325は、配送依頼画面から入力された配送依頼データを受信して記憶装置330に記憶する(S312)。
図10は、配送依頼情報の一例を示す図である。配送依頼毎に、配送依頼番号、依頼日、依頼主(発荷主)ID、集荷場所、集荷希望時刻(始)、集荷希望時刻(終)、荷物容積、個数、配送(荷受)場所、配送(荷受)希望時刻(始)、配送(荷受)希望時刻(終)などを含んで構成されている。配送依頼画面は、これらの入力項目を含むように構成されている。
ここで、荷物容積は、発荷主側で入力することもできるが、配送依頼受付部325が自動的に計算するように構成することもできる。例えば、荷主側が、定型段ボールの型番とその個数を入力すると、配送依頼受付部325は、予め記憶装置330に記憶されている型番毎の容積情報を参照して、配送する個数に基づき配送依頼の荷物全体の容積を算出することができる。なお、配送依頼の荷物全体の容積を算出する手法を、これに限らず、公知の技術を適宜適用することができる。
配車マッチング部326は、運送事業者が登録した複数の配送車両に、運行予測データを用いて発荷主からの配送依頼を割り当てる配車マッチング処理を行う(S313)。配車マッチング処理については後述する。
配車マッチング処理の結果、引当車両がない、すなわち、配送依頼を組み込む(請負う)ことが可能な配送車両がないと判別された場合(S314のNO)、配送依頼受付部325は、配送依頼内容の修正通知処理を行う(S315)。配送依頼受付部325は、配送依頼内容を修正するか否かを選択する選択画面を発荷主端末400に送信する。発荷主が「修正する」を選択した場合(S402のYES)、ステップS401に戻り、配送依頼受付部325は、入力された配送依頼内容を含む配送依頼画面を発荷主端末400に送信する。発荷主は、配送依頼画面から、集荷希望時間や配送希望時間、荷物の個数などを修正する。修正後の配送依頼は、発荷主端末400から管理装置300に送信される。発荷主が「修正しない」を選択した場合(S402のNO)、配送依頼キャンセル要求が発荷主端末400から管理装置300に送信され(S403)、配送依頼受付部325は、ステップS401で入力された配送依頼の受け付けを中止する処理を行う(S316)。
配車マッチング処理の結果、引当車両があると判別された場合(S314のYES)、配車マッチング部326は、仮配車通知処理を行い、運送事業者の配送車両に対して配送依頼が割り当てられる旨の仮通知を、事業者端末200に送信する(S317)。
また、引当車両があると判別された場合(S314のYES)、見積・注文制御部327は、配送依頼に係る運賃を計算し、見積書データを生成する。例えば、予め運送事業者から運送料金データを取得して記憶装置330に記憶しておき、配送依頼の荷物容積や個数、重量などに応じて配送依頼に対する運賃を計算することができる。見積・注文制御部327は、配送依頼に対する見積書データ及び注文書データを生成して、発荷主端末400に送信する見積・注文書発行処理を行う(S318)。
発荷主は、発荷主端末400から注文書データに基づく注文データ(注文OK/NG)を管理装置300に送信する(S404)。見積・注文制御部327は、発荷主端末400から送信される注文データを受信し、注文NGである場合は(S319のNO)、該当する配送依頼に対するキャンセル処理を行う(S320)。キャンセル処理としては、例えば、ステップS317の仮配車通知をキャンセルする通知を事業者端末200に送信したり、配送依頼自体を保留または破棄(削除)したりすることができる。
一方、見積・注文制御部327によって、発荷主端末400から送信される注文データが注文OKであると判別されると(S319のYES)、運行予定計画制御部328は、配車マッチング処理でマッチングした配送車両の運行予定計画データ、言い換えれば、配送車両の運行予定データに、配送依頼を組み込んだ運行予定計画データを生成し、記憶装置330に記憶する(S321)。運行予定計画制御部328は、生成した運行予定計画データを事業者端末200に送信し(S322)、事業者端末200は、配送員端末100に、運行予定計画データに基づく配車予定データを送信する(S203)。
なお、見積・注文制御部327は、見積書データ及び注文書データをFAXで発荷主に送信することもできる。この場合、発荷主は、FAXで管理装置300の運営側に注文OK又は注文NGを含む注文書を送信し、管理装置300の運営側で見積・注文書制御部327の機能を使用し、注文データを入力することができる。
このように本実施形態の運送管理システムは、管理装置300が、各発荷主端末400から配送依頼データを受信し、運送事業者が登録した複数の配送車両に配送依頼を割り当て、配車マッチング処理を行う。管理装置300は、配車マッチング処理の結果に基づく配送依頼が組み込まれた各配送車両の運送予定計画データを生成し、事業者端末200に提供する。
そして、本実施形態では、配送車両の日々の運行状況を把握し、運行予測エリア及び運行予測積載率を含む運行予測データを用いて配送依頼を各配送車両に割り当てることで、配送車両の積載率の向上を図り、運送事業者が管轄する複数の配送車両に対する効率的な配車予定を提供する。以下に、本実施形態の運行予測データの生成処理及び配車マッチング処理について詳細に説明する。
<運行予測データ生成処理>
図11から図15は、本実施形態の運行予測データ生成処理を説明するための図である。図11は、運行予測データの生成処理フローを示す図である。運行予測部324は、例えば、配送業務終了後の任意のタイミングに、配送車両毎に運行予測データ生成処理を遂行することができる。
運行予測部324は、まず、記憶装置330から1つの配送車両の運行状況データ(配送業務履歴)を取得する(S3051)。次に、運行予測部324は、GPSデータ(GPS座標)に基づいて、配送車両の車両位置を時系列に結んだ運行実績ルート情報を生成する(S3052)。図12は、過去の複数の運行実績ルート情報を示す模式図である。図12に示すように、例えば、過去のX日、X+1日、及びX+2日における各運行実績ルートを生成することができる。図12の例では、配送車両の拠点(運行事業者の事業所や所定の駐車場などの配送員が配送業務を行うための配送車両を駐車する拠点)から出発した配送車両が、配送業務を終えて拠点に戻るまでの運行実績ルートを示している。
運行予測部324は、運行実績ルートを所定の時間間隔で区画し、所定の時刻における車両位置に対して仮想エリアrを設定する(S3053)。例えば、30分おきに運行実績ルートを区画し、午前11時に位置する配送車両の位置(座標)を取得する。運行実績ルートが1つである場合、その時刻における位置を中心に予め決められた範囲を仮想エリアrとして設定する。図12の例では、車両位置を中心に所定の半径内を仮想エリアr(点線で示す円)として設定している。
また、図12の例のように複数の運行実績ルートを用いて仮想エリアrを設定することができる。例えば、午前11時に位置する配送車両の各運行実績ルートの位置を取得し、複数の車両位置の平均中心を求め、仮想エリアrの中心位置とすることができる。つまり、日々の運行実績ルートによって、仮想エリアr(後述する運行予測エリアR)が更新されることになる。
ここで、各仮想エリアrは、各時刻において同じ又は異なる大きさなど、任意に設定することができる。例えば、複数の運行実績ルートを用いて仮想エリアrを設定する場合、上述のように各車両位置の平均中心を求めて仮想エリアrを設定することができるが、各車両位置間の分散度合いによって、仮想エリアを設定する際の半径などの大きさを可変に制御してもよい。
例えば、各車両位置から公知の統計学的な分散を求め、分散度合いが大きくなるほど、平均中心に対して生成される仮想エリアrを大きく設定することができる。また、分散度合いに対して閾値を設け、閾値に対する分散度合いの大小を判別して、閾値よりも分散度合いが大きいときに設定される第1仮想エリアr1、閾値よりも分散度合いが小さいときに設定される第1仮想エリアr1よりも小さい第2仮想エリアr2を、予め規定しておくこともできる。
さらに、運行実績の車両位置に基づいて仮想エリアの平均中心を求める際、前回設定された仮想エリアの中心又は平均中心に対して今回の車両位置が所定値以上離れているときは、今回の車両位置の運行実績を除外し、仮想エリアの平均中心を更新しないように構成することもできる。イレギュラーケースの車両位置を除外することで、日々の運行実績に則して精度良く運行予測データを生成することができる。
また、本実施形態では、運行状況データに積載率が含まれているので、運行予測部324は、仮想エリア毎に、すなわち、各時刻における積載率を生成することができる(S3054)。各時刻における積載率は、例えば、複数の積載率の平均値や最大値、中央値などを用いることができる。
このように設定された所定の時間間隔で区画された複数の仮想エリアrは、図12に示すように時系列に並んでいる。そして、運行予測部324は、図13に示すように各仮想エリアrを少なくとも含む領域を、運行予測エリアRとして生成する(S3055)。例えば、時系列に並ぶ隣同士の各仮想エリアrを接線で結び、配送車両の拠点を中心として1つ閉じられた運行予測エリアRを生成することができる。
なお、運行予測エリアRとして、図12で示した複数の仮想エリアrをそのまま利用してもよい。つまり、本実施形態では、日々の運行実績ルートに基づいて設定される各配送車両が位置するエリアを運行予測エリアRとして設定できればよく、上述の手法以外の手法で運行予測エリアRを設定してもよい。また、図12及び図13の例では、仮想エリアとして、所定時刻における車両位置を中心(平均中心)として、円状の仮想エリアを設定する一例を示しているが、多角状などの他の形状の仮想エリアを設定することもでき、仮想エリアの形状、大きさは任意である。
このように本実施形態では、各配送車両の運行実績ルート及び積載率を含む配送履歴を把握し、日、曜日、週、月、四半期、半年、一年などの各単位別に、各配送車両の現時点から将来の各日の運行予測エリア及び積載率を生成する。
例えば、将来の運行予測エリア及び運行予測積載率の生成例として、例えば、現在日付(X日)が、2016年2月15日(月)の場合、明日((X+1)日)の2月16日(火)の運行予測データとして、過去の毎週火曜日の配送履歴を抽出し、各火曜日における配送履歴から所定時間帯毎に上述の運行予測エリアを算出して、これを明日の運行予測エリアとして適用することができる。
運行予測積載率についても同様であり、過去の毎週火曜日の配送履歴から各時間帯における平均積載率を算出し、これを明日の運行予測積載率として適用することができる。このように、現在日付から将来の各日((X+1)日,(X+2)日,・・・,(X+n)日)の運行予測データを生成し、記憶装置330に記憶する。
上述した運行予測データの生成例は、一例であり、これに限るものではない。運行予測データは、様々な手法を用いて生成することができる。例えば、曜日ではなく時期を考慮した運行予測データを生成することもできる。2016年4月某日を現在の日付として、来月2016年5月某日の運行予測データを生成する場合、昨年の2015年3月、4月、5月及び同時期の2016年3月、4月の配送履歴実績データを抽出し、過去データの比較や傾向等から日別時間帯ごとの運行予測データを生成することができる。
図14は、運行予測エリアと運行予測積載率を含む運行予測データの一例を示す図である。運行予測データは、所定の時間間隔で区画され、時系列に並ぶ各運行予測エリアR(n)の座標情報(地図上の座標情報)及びその運行予測積載率を含むように構成することができる。このように、本実施形態では、時系列に並ぶ運行予測エリアに運行予測積載率を関連付けて運行予測データを生成することができる(S3056)。運行予測部324は、生成された運行予測データを配送車両毎に生成し、記憶装置330に記憶する(S3057)。
図15は、図14に示した運行予測データを、行程表形式(タイムチャート形式)で示した模式図である。図15の示すように、過去の配送依頼に対する運行状況から生成される運行予測データは、運行実績に基づく将来の運行状況を把握する情報として利用される。
運行予測部324は、日々の運行実績(運行状況データ)が蓄積される度に、運行予測データを更新することができ、上述したように、運行予測エリア及び運行予測積載率は、運行予測データ生成処理が行われる度にその運行実績に基づいて変化する。例えば、現在の2月15日の運行状況データが蓄積されると、来週の2016年2月22日(月)の運行予測エリア及び運行予測積載率は、現在の2月15日の配送履歴が反映されて更新される。
なお、運行予測データは、曜日毎に生成することもできる。また、運行予測データ生成処理は、リアルタイムに行ったり、一週間や一ヶ月、半年といった長期的なタイミングで行ったりすることもできる。
<配車マッチング処理>
図16から図19は、本実施形態の配車マッチング処理を説明するための図である。図16は、配車マッチング処理を説明するための模式図である。
本実施形態の配車マッチング処理は、配車マッチング部326によって遂行され、上述した運行予測データの運行予測エリアを利用する。すなわち、現時点から少なくとも明日以降の将来の日を集配送日とする配送依頼を、配送車両の将来の運行予定に組み込むための処理であり、図16に示すように、運行予測データの運行予測エリアを利用して、運行予測エリア内に配送依頼を埋めて行くイメージで、配送依頼を配送車両に引き当てる配車マッチング処理を行う。
まず、配送依頼の集荷場所P及び配送場所Qが、運行予測エリア内に含まれる配送車両(第1候補車両)を抽出する。住所情報などから集荷場所P及び配送場所Qの地図上の座標を把握(算出)できるので、集荷場所P及び配送場所Qの双方の座標が、運行予測エリア内に含まれているか否かを判別することができる。
次に、1つ又は複数の第1候補車両を対象に、集荷場所Qでの集荷希望時間における積載率を確認する。ここで、配送依頼の依頼荷物の容積をX、集荷希望時間の際に既に積載している荷物の容積、すなわち、既に確定している別の配送依頼(確定予定)の積載済み荷物の容積をYとする。配送車両の荷室容積には上限があるので、依頼荷物Xを集荷するためには、依頼荷物X+確定予定Yの合計積載率が、荷室容積の上限値よりも小さい配送車両である必要がある。そこで、第1候補車両のうち、依頼荷物X+確定予定Y<上限値となる第2候補車両を抽出する。
そして、第2候補車両の中で、集荷場所まで最も近い配送車両を引当車両として抽出する。例えば、第2候補車両の運行予測エリアにおいて、集荷場所Pを含む仮想エリアの中心(又は平均中心)と、集荷場所Pとの間の距離を算出し、仮想エリアの中心を予測位置として集荷場所Pまで最短距離で行くことができる最も近い配送車両を引当車両として抽出する。なお、最短距離としては、仮想エリアの中心と集荷場所Pとの間の直線距離を用いたり、地図上の道路に沿って移動軌跡をトレースした集荷場所Pまでの最短距離を用いたりすることができる。
このとき、依頼荷物X+確定予定Yが上限値に近いほど、積載率の向上が見込め、配送依頼に対して効率的な配送車両の引き当て(配車)を行うことができる。そこで、第2候補車両において、例えば、候補車両Aの積載率が80%、候補車両Bの積載率が60%であり、候補車両Bの方が集荷場所に最も近いとき、候補車両Bではなく、候補車両Aを抽出するように構成することができる。
つまり、集荷場所まで最も近い配送車両を引当車両として抽出することで、時間的(または距離的)な効率向上が図れるものの、候補車両A及び候補車両Bは共に運行予測エリア内に集荷場所Pが含まれるため、候補車両A及び候補車両B間の時間的なロスが最小限に抑えられる。このため、本実施形態では、配送依頼(集荷場所P及び配送場所Q)が運行予測エリア内に含まれる配送車両を候補車両として抽出し、配送依頼の依頼荷物Xに対して積載率が高い候補車両Aを抽出することで、積載率向上を図る配車マッチング処理を提供している。
配送依頼にマッチングする運行予測エリアを有する配送車両において、積載率(依頼荷物X+確定予定Y)が高い順に、当該配送依頼をマッチングさせることで、配送車両一台あたりの積載率の向上を図ることができ、配送車両台数の最適化を図ることができる。
例えば、積載率向上により、運送事業者は、必要となる配送車両の台数削減を図ることができ、配送員(運転手)不足による運送サービスの低下を抑制することができる。また、配送車両一台あたりの積載率を向上させることができるので、運送費削減によるコスト低減及び運送事業者(配送員)の収益向上を図ることができる。また、配送車両一台あたりの積載率向上は、例えば、候補車両Bに対しては新たな配送依頼を割り当てる余裕を持たせることにも繋がり、配送依頼の受任機会の損失を低減させることができる。
さらに本実施形態の運送管理システムは、配送依頼から引当車両の抽出及び配送予定計画データの提供を一元的に管理するので、運送事業者の配車業務の負担を軽減することができる。例えば、従来、運送事業者の配車担当者は、荷主と配送員との間を仲介し、電話連絡などで調整を行う必要があった。このような連絡は、配送員にとっても手間であり、配送業務の時間的なロスに繋がり、かつ配送員との連絡がつかなかったり、配送員に連絡しても配送を依頼できなかったりして配車調整を効率良く行えない課題があった。これに対して、本実施形態では、配送員側及び運送事業者側での配車調整が不要となり、配送業務の効率化を図ることができる。
このように本実施形態では、配送依頼の集荷場所P及び配送場所Qが運行予測エリアに含まれているか否かを判別する第1マッチング条件と、第1マッチング条件を満たす配送車両のうち、依頼荷物X+確定予定Y(<上限値)の合計積載率が最も高い配送車両を優先的に配送依頼とマッチングさせる第2マッチング条件と、を少なくとも含む配車マッチング処理を行う。そして、第3マッチング条件として集荷場所に最も近い配送車両をマッチングするものの、第2マッチング条件の方が第3マッチング条件よりも優先順位が高く設定されている。
なお、配車マッチング処理において、第1マッチング条件を満たした配送車両のうち、集荷場所Pに対して所定の許容範囲内に位置する配送車両の中から、第2マッチング条件を持たす配送車両を引当車両として抽出することもできる。第3マッチング条件のように、最短距離に基づいて配車マッチング処理を行ってもよいが、第1マッチング条件を満たす配送車両は、配送依頼の集荷場所Pが運行予測エリアに含まれているので、最短距離に代わり、所定の許容範囲(距離または時間)内に位置する配送車両の中から、合計の積載率が最も高い配送車両を配送依頼とマッチングさせるように構成することもできる。
なお、確定された配送依頼が1つも割り当てられていない配送車両には、確定予定Yが含まれていないので、確定予定=0として上述の配車マッチング処理が行われる。この場合、第1マッチング条件で抽出された第1候補車両の全てが確定予定Yを含まない車両(フリー車両)である場合、第2マッチング条件を省略して第3マッチング条件が適用され、集荷場所Pに最も近い配送車両が引当車両として抽出されることになる。
また、配車マッチング処理は、配送依頼の集荷場所Pにおける集荷希望時間と、既に確定された配送依頼の集荷希望時間または配送希望時間とが、重ならない配送車両であることが前提として行われる。先に確定した配送依頼が優先されるロジックとなっている。
図16に示すように、引当車両に対しては、配送予定計画データが生成される。配送予定計画データは、配送依頼毎に集荷場所、集荷希望時間、配送場所、配送希望時間を含む計画データである。なお、配送予定計画データは、例えば、図14又は図15で示した各配送車両の運行予測データに配送依頼を割り当て、運行予測データを配送依頼で上書きすることで生成することもできる。この場合、配送車両に対して配送依頼が確定した確定予定と運行予測データが混在した形となり、配送予定計画データは、配送予定・予測データとして生成される。
図17(a)は、運行予測データの運行予測エリア内に複数の配送依頼を割り当てた模式図であり、図17(b)は、複数の確定予定を含む配送予定計画データの一例を示す図である。図17(a)に示すように、複数の配送依頼は、車両Xの運行予測エリア内に敷き詰められるイメージで割り当てられる。
そして、図17(b)に示すように、配送依頼1の集荷後、配送依頼2が割り当てられ、積載率が80%となり、さらに、配送依頼3が割り当てられ、積載率が90%となっている。このように、集荷希望時間から配送希望時間までの時間帯が、配送依頼同士で重ならないように割り当てるだけでなく、積載率が高くなるように配送依頼同士を重ねて割り当てる配車マッチング処理が可能となるので、配送車両1台あたりの積載率が向上する。
図18は、配車マッチング処理の処理フローを示す図である。配車マッチング部326は、発荷主からの配送依頼情報から依頼荷物の容積X、集荷場所、集荷希望時間、配送場所、配送希望時間を抽出する(S3131)。このとき、配送依頼受付部325は、発荷主から受信した配送依頼情報を記憶装置330に記憶する際、集荷場所及び配送場所の住所情報から地図上の座標情報に変換し、集荷場所及び配送場所の住所情報と共に地図上の座標情報を含む配送依頼情報を生成することができる。
次に、配車マッチング部326は、配送予定計画データを参照して、確定予定の集荷希望時間又は配送希望時間と、配送依頼の集荷希望時間又は配送希望時間とが、重複しない配送車両を抽出する(S3132)。ステップS3132で抽出された車両のうち、配車マッチング部326は、配送予定確定データに確定予定Yが含まれる配送車両を抽出する(S3133)。
配車マッチング部326は、確定予定Yが含まれる配送車両を対象に、運行予測データの運行予測エリアを参照し、座標情報に基づいて配送依頼の集荷場所及び配送場所が、運行予測エリア内に含まれるか否かを判別し、含まれていると判別された配送車両を第1候補車両として抽出する(S3134,第1エリア条件)。
次に、配車マッチング部326は、第1候補車両を対象に、集荷場所での集荷希望時間における積載率(依頼荷物X+確定予定Y)の合計積載率が、荷室容積の上限値よりも小さい配送車両を第2候補車両として抽出する(S3135)。
配車マッチング部326は、第2候補車両のうち、積載率(依頼荷物X+確定予定Y)が最も高い配送車両を引当車両として抽出する(S3136)。このとき、積載率が同じ車両が複数引当車両として抽出されたとき(S3137のYES)、配車マッチング部326は、配車マッチング部326は、複数の引当車両それぞれに対し、集荷場所Pを含む仮想エリアの中心(又は平均中心)と、集荷場所Pとの間の距離を算出し、集荷場所まで最短に位置する配送車両を引当車両として抽出する(S3138)。
配車マッチング部326は、ステップS3139において、引当車両が抽出されたか否かを判別し、引当車両が抽出された場合は、配車マッチング処理を終了する。一方、この段階で引当車両が抽出されないときは、ステップS3134の配送依頼の集荷場所及び配送場所と運行予測エリアとのエリアマッチングの条件(第1エリア条件)よりも緩和した第2エリア条件で、確定予定Yを含む車両を対象に、配車マッチング処理を行う。
配車マッチング部326は、第1エリア条件で引当車両が抽出されていないと判別された場合(S3139のNO)、既に第2エリア条件での配車マッチング処理が行われているか否かを判別し、第2エリア条件での配車マッチング処理が行われていないと判別されたとき(S3140のYES)、ステップS3141に進み、確定予定Yが含まれる配送車両を対象に、運行予測データの運行予測エリアを参照し、座標情報に基づいて配送依頼の集荷場所または配送場所のどちらか一方が、運行予測エリア内に含まれるか否かを判別し、含まれていると判別された配送車両(第2エリア条件車両)を抽出する。
配車マッチング部326は、第2エリア条件車両を対象に、ステップS3135からステップS3138を遂行し、第2エリア条件車両の中から引当車両を抽出する。配車マッチング部326は、配送依頼に対して第2エリア条件で引当車両が抽出されたときは(S3139のYES)、配車マッチング処理を終了する。
一方、配車マッチング部326は、配送依頼に対して第2エリア条件でも引当車両が抽出されない場合(S3139のNO,S3140のYES)、運行予定計画データを参照して確定予定Yを含まないフリー車両を抽出する(S3142)。このとき、配車マッチング部326は、フリー車両として、配送依頼の集荷場所P及び配送場所Qが、運行予測エリア内に含まれるフリー車両または運行予測エリア内に含まれるフリー車両を抽出することができる。
配車マッチング部326は、複数のフリー車両それぞれに対し、運行予測データに基づいて、集荷場所Pを含む仮想エリアの中心(又は平均中心)と、集荷場所Pとの間の距離を算出し、集荷場所まで最短に位置するフリー車両を引当車両として抽出する(S3143)。
配車マッチング部326は、フリー車両の中から配送依頼に対する引当車両を抽出できたとき(S3144のYES)、配車マッチング処理を終了する。配車マッチング部326は、フリー車両の中から配送依頼に対する引当車両を抽出できないとき(S3144のNO)、配送依頼に対するマッチング車両がないと判別して(S3145)、処理を終了する。
図19は、本実施形態の配車マッチング処理の変形例を示す図である。図19に示す変形例は、運行予測データを利用しないで配送依頼と配送車両とをマッチングする態様を示している。図19に示すように、運行予測データを利用するか否かを判別する条件として、配送依頼の集荷受日が現在よりも比較的近い将来(集荷受日>現在+所定日数)を設定している(S3151)。
配車マッチング部326は、配送依頼の集荷受日が現在+所定日数よりも先の将来である場合は、図18に示した運行予測データを利用した配車マッチング処理を行い、配送依頼の集荷受日が現在+所定日数内の近い将来である場合は、運行予測データに関係なく、配送依頼に対して配送車両をマッチングする。
図19に示すように、配車マッチング部326は、配送依頼の依頼荷物Xと配送車両の積載率との関係を判別する。配車マッチング部326は、依頼荷物Xが上限値よりも低くかつ第1閾値よりも高いとき(S3152のYES)、確定予定Yを含まないフリー車両を対象に候補車両を抽出し、例えば、フリー車両の拠点から集荷場所までの距離を算出し、集荷場所まで最短に位置するフリー車両を引当車両として抽出する(S3153)。
配車マッチング部326は、確定予定Yを含まないフリー車両の中から配送依頼に対する引当車両を抽出できたとき(S3154のYES)、配車マッチング処理を終了する。配車マッチング部326は、確定予定Yを含まないフリー車両の中から配送依頼に対する引当車両を抽出できないとき(S3154のNO)、配送依頼に対するマッチング車両がないと判別して(S3157)、処理を終了する。
一方、ステップS3152において、依頼荷物Xが第1閾値よりも低いと判別されたとき(S3152のNO)、配車マッチング部326は、確定予定Yを含む車両を対象に、積載率(依頼荷物X+予定Y)が最も高い車両を抽出する(S3155)。配車マッチング部326は、確定予定Yを含む車両の中から配送依頼に対する引当車両を抽出できたとき(S3156のYES)、配車マッチング処理を終了し、確定予定Yを含む車両の中から配送依頼に対する引当車両を抽出できないとき(S3156のNO)、ステップS3153に進み、フリー車両を対象にした上述の配車マッチング処理を行う。
なお、図18及び図19に示した配車マッチング処理において、配送員の一日の配送業務時間(作業可能時間枠)を考慮することもできる。この場合、作業可能時間枠を超える場合、引当車両として抽出しないように構成することができる。配送員毎に予め作業可能時間枠(例えば、午前8時から午後6時まで)を規定して記憶装置330に記憶しておき、配車マッチング部326は、マッチング処理ありと判別された引当車両に対して、作業可能時間枠判別処理を行う。例えば、配送依頼の配送希望時間が午後9時である場合は、その引当車両をマッチング車両として抽出せずに除外し、配送員の労働時間の適正化を図ることができる。
(第2実施形態)
図20から図22は、第2実施形態の配車マッチング処理を説明するための図である。本実施形態の配車マッチング処理は、取引実績のある荷主に対して優先的な車両確保を実現する。
配車マッチング部326は、荷主別取引実績に基づいて、配送依頼の荷主と取引実績がある候補車両を抽出し、その候補車両の運行予測積載率を用いて、配送依頼の依頼荷物の容積が運行予測積載率以下となる車両を抽出するマッチング処理を行うことができる。
図20は、運行予測積載率を用いた配車マッチング処理を説明するための模式図である。配送依頼には、荷物V(荷物容積)、荷主Sが含まれている。まず、配車マッチング部326は、取引割合情報を参照して、配送依頼をした荷主Sと取引実績のある配送車両を抽出する。
ここで、取引割合情報は、図20に示すように、配送車両毎に、過去に配送を行ったことがある荷主とその荷物の種別(荷物属性)を含む情報であり、取引割合は、例えば、過去の一定期間内に引き受けた配送依頼の総数に対する荷主の配送依頼数の割合である。なお、配送依頼数以外にも、過去の一定期間内の上述した運送料金の総額に対する荷主の配送料金の合計額の割合であってもよい。管理装置300は、取引実績部を含むことができ、登録された配送車両毎に、運行実績情報及び配送依頼情報に基づいて取引割合情報を生成して、記憶装置330に記憶する。
配車マッチング部326は、配送依頼をした荷主Sと取引実績のある配送車両として、車両Aと車両Cを抽出することができる(図20の丸文字1)。そして、配車マッチング部326は、抽出した車両A及び車両Cの各運行予測積載率を用いて、荷物Vの容積が運行予測積載率以下であり、かつ荷物Vの容積が運行予測積載率に最も近い車両を抽出する(図20の丸文字2)。車両Aの場合、荷物Vの容積が運行予測積載率を超えているので、荷物Vの容積が運行予測積載率以下である車両Cが、引当車両として抽出され、車両Cに対して荷主Sの配送依頼を割り当てる(図20の丸文字3)。図20の丸文字1から3の処理が、本実施形態のマッチング処理に相当する。
図21は、本実施形態の配車マッチング処理によって配送予定に配送依頼が組み込まれる一例を示す図である。図21に示すように、登録された配送車両毎に、現時点から将来の各日の運行予測積載率が、運行予測データ生成処理によって記憶装置330に記憶されている。図21の例の各日の運行予測積載率は、図15に示したような行程表形式で示している。
図21に示すように、登録されている各車両の配送予定は、例えば、運行予測積載率の領域(予測積載領域)とフリー領域(100−予測積載率)とに、配送依頼が割り当てられる(上書きされる)ことで生成されていく。なお、確定予定領域とは、配送依頼が既に割り当てられた領域であり、フリー領域に配送依頼が既に割り当てられている場合、残りの領域がフリー領域となる。
図22は、本実施形態の配車マッチング処理フローを示す図である。図22に示すように、配車マッチング部326は、発荷主の配送依頼情報から集荷場所、集荷希望時間、配送場所、配送希望時間とともに、依頼荷物の容積、荷主を抽出する(S501)。
次に、配車マッチング部326は、マッチング対象の配送依頼情報の集荷受日が、現在日から所定日数以降の将来日であるか否かを判別する(S502)。集荷受日が現在日から所定日数以降の将来日であると判別された場合、ステップS503に進み、運行予測積載率を用いたマッチング処理を行う。集荷受日が現在日から所定日数未満の将来日であると判別された場合、処理を終了する。
ステップS503において、配車マッチング部326は、取引割合情報を参照し、配送依頼情報の荷主と取引実績がある(取引割合>0)、候補車両を抽出し、ステップS503で抽出された1つ又は複数の車両を対象に、運行予測データから配送依頼情報の集荷希望時間における運行予測積載率を抽出し、依頼荷物の容積とマッチングする(S504)。
配車マッチング部326は、運行予測積載率を用いて、依頼荷物の容積が運行予測積載率以下である車両を抽出する。依頼荷物の容積が運行予測積載率以下である車両が複数台抽出されたときは、依頼荷物の容積が運行予測積載率に最も近い車両、すなわち、運行予測積載率から依頼荷物の容積を差し引いた差分が、最も小さい車両を抽出する(S505)。
ステップS506において、配車マッチング部326は、ステップS505において複数の車両が抽出されたか否かを判別する。配車マッチング部326は、複数の車両が抽出されたと判別された場合、ステップS507に進み、運行予測エリアデータを用いて、これら複数の車両の中から、集荷場所まで最短(距離又は時間)に位置する車両を、マッチング対象の配送依頼情報に対する引当車両として抽出する(S507)。
一方、ステップS505において、依頼荷物の容積が運行予測積載率以下である車両が抽出されない場合、マッチング対象の配送依頼情報に対する引当車両が抽出されない「マッチング車両なし」と判断して(S508)、処理を終了する。
本実施形態によれば、日々の配送履歴(運行実績)から、各車両の現時点から将来の各日の運行予測積載率を生成する。運行予測積載率は、現時点から将来の配送予定を組み込むために使用され、荷主別取引実績と運行予測積載率に基づいて、将来を集荷日とする配送依頼をマッチングし、引当車両を抽出する。
このように構成することで、荷主側にとっては、車両が優先的に確保され、車両が確保できずに定期的な配送ができなくなったり、特定の配送日に荷物が配送されなかったりすることが抑制される。
そして、本実施形態の配車マッチング処理は、上記第1実施形態の配車マッチング処理と個別に行い、第1実施形態の配車マッチング処理と組み合わせることで、取引実績のある荷主に対して優先的な車両確保を実現しつつ、積載率を向上させることができる。
例えば、現時点から将来のある時点の配送予定が全く埋まっていない車両を対象に、運行予測積載率を用いた本実施形態の配車マッチング処理を行い、取引実績のある荷主に対して優先的な車両確保を実現することができる。
そして、本実施形態の配車マッチング処理によって配送依頼が割り当てられた確定予定領域を含む車両を対象に、上記第1実施形態の配車マッチング処理を行うことで、積載率を向上させることができる。
つまり、将来の配送予定に対して、特定の荷主への優先的な車両確保を、取引実績及び運行予測積載率を用いて実現しつつ、上記第1実施形態の配車マッチング処理によって積載率を向上させることができる。このため、荷主側にとっては、車両が優先的に確保され、車両が確保できずに定期的な配送ができなくなったり、特定の配送日に荷物が配送されなかったりすることが抑制されるとともに、車両を提供する運送会社側にとっては、特定の荷主に対して車両を優先的に確保しつつ、積載率を向上させることができ、多くの車両を抱える必要がなく、人件費等の配送コストを低減させることができる。
なお、本実施形態の配送依頼情報及び取引割合情報には、荷物種別が含まれている。荷物種別は、依頼された荷物の属性を規定した情報であり、例えば、食料品、日用品、洋服などの各荷物を識別するための情報である。荷物種別は、依頼荷物の属性間で相互積込の可否を予め規定することができる。例えば、荷物種別:食料品は、臭いを発することがあるので、荷物種別:洋服を相互積込できないといった可否(OK/NG)を規定した相互積込ルール情報として、記憶装置330に記憶しておくことができる。なお、相互積込とは、荷台に一緒に載せることがNGであることのみならず、相互積込がNGとされる荷物種別間で一方の種別の荷物を運んだ後に、他方の種別の荷物を運ぶことを禁止することを含むことができる。
したがって、本実施形態の配車マッチング処理において、配送依頼情報の荷物種別を運べる車両であるか否かを判別する荷物種別チェック処理、例えば、荷主の取引実績に紐付く荷物種別に、配送依頼情報の荷物種別が含まれているか、含まれていなくても取引実績に紐付く荷物種別に対して、相互積込ルール情報に基づいて相互積込がOKである荷物種別であるか、を判別する処理を行うことで、荷物の品質の低下を招くような相互積込を抑制できる。上記第1実施形態においても、同様に適用可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、配送員端末100、事業者端末200、発荷主端末400及び着荷主端末500には、通信機能を備えた携帯情報端末やPDA(Personal Digital Assistant)等の移動通信端末装置、パーソナルコンピュータなどの通信機能及び演算機能を備えた情報処理端末装置等が含まれる。また、画面や情報の表示制御を行うブラウザ機能を備えることができる。
また、管理装置300は、例えば、サーバ装置であり、ハードウェア構成として上述以外にも、装置全体(各部)の制御を司るCPU、メモリ(主記憶装置)、マウス、キーボード、タッチパネル、スキャナー等の操作入力手段、プリンタ、スピーカなどの出力手段、補助記憶装置(ハードディスク等)等を備える(又は接続される)ことができる。配送員端末100、事業者端末200、発荷主端末400及び着荷主端末500のハードウェア構成についても同様である。
また、本発明の各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行することで、コンピュータ装置に、運送管理装置300、配送員端末100の各部の機能を動作させることができる。他方、本発明の各機能は、各々個別の制御装置で構成することができ、複数の制御装置を直接に又はネットワークを介して接続して、例えば、運送管理装置300を構成することもできる。
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。