以下に添付図面を参照して本願に係るマッチングプログラム、マッチング方法およびマッチング装置について説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[マッチングサービスの関係者]
図1は、関係者の相関の一例を示す図である。図1に示すように、求貨求車のマッチングサービスを利用する利用者として、甲1~甲nおよび乙1~乙mが含まれると共に、上記のマッチングサービスを提供する提供者として、丙が存在する。以下、甲1~甲nのことを「甲」と記載し、また、乙1~乙mのことを「乙」と記載する場合がある。
これらのうち、甲は、求車サイドに対応する。例えば、甲には、真・荷主の他、真・荷主から物流業務が委託された3PL(3-Party Logistics)などが含まれる。また、乙は、求貨サイドに対応する。例えば、乙には、甲を元請けとする運送事業者や個人事業主の他、甲の発注先となる3PLなどが含まれる。また、丙は、甲および乙にマッチングサービスを提供する事業者等に対応する。
[システム構成]
図2は、実施例1に係るマッチングシステムの構成例を示す図である。図2に示すように、マッチングシステム1には、乙から受け付ける求貨のリクエストと、甲から受け付ける求車のリクエストとをマッチングすることにより、甲に乙の車両を配車するマッチングサービスを提供するマッチング装置10が含まれる。
マッチング装置10は、上記のマッチングサービスを提供するコンピュータである。例えば、マッチング装置10は、丙によって運営される。
一実施形態として、マッチング装置10は、パッケージソフトウェア又はオンラインソフトウェアとして、上記のマッチングサービスに対応する機能を実現するマッチングプログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、マッチング装置10は、上記のマッチングサービスを提供するサーバとしてオンプレミスに実装することとしてもよいし、アウトソーシングによって上記のマッチングサービスを提供するクラウドとして実装することとしてもかまわない。
例えば、マッチング装置10は、乙から場所、時間、荷物および価格などの条件が指定された求貨リクエストを受け付けると共に、甲から場所、時間、荷物および価格などの条件が指定された求車リクエストを受け付ける。そして、マッチング装置10は、乙から受け付けた求貨リクエストおよび甲から受け付けた求車リクエストをマッチングする。その上で、マッチング装置10は、求貨リクエストで指定された条件と適合する求車リクエストの発行元である甲に当該求貨リクエストの発行元である乙の車両を配車する。
図2に示すマッチングシステム1において、マッチング装置10は、上記のマッチングサービスを運営する側面から、運行管理システム30と連携して乙からの求貨リクエストを受け付けることができる。
運行管理システム30は、トラックやバス等の車両の運行管理を支援する運行管理サービスを提供するシステムである。例えば、上記の運行管理サービスは、乙により利用される。また、上記の運行管理サービスは、あくまで一例として、上記のマッチングサービスの提供者でもある丙により提供される他、丙以外の第三者により提供されることとしてもかまわない。なお、図2には、マッチング装置10と連携する運行管理システム30が1つである例を説明したが、マッチング装置10は複数の運行管理システム30と連携することとしてもかまわない。
例えば、上記の運行管理サービスの一環として、運行管理システム30は、車両の乗務員による運転日報の作成や車両の動態管理、配車管理などのサービスを提供することができる他、運行計画の作成を支援する運行計画の作成支援サービスなどを提供できる。例えば、上記の運行計画の作成支援サービスでは、車両から収集される走行データ、あるいは走行データの収集および解析が実行された商用車のプローブデータを用いて、出発および目的の地点や日時などの指定条件に対応する運行ルートが策定される。以下、運行計画で策定される運行ルートのうち車籍地等の出発地から目的地へ進むルートのことを「往路」と記載し、目的地から出発地までへ戻るルートのことを「復路」と記載する場合がある。
さらに、運行管理システム30では、上記の運行計画の作成支援サービスに加えて、運行計画の変更支援サービスが提供される。例えば、上記の運行計画の変更支援サービスは、運行計画にしたがって運行が実際に行われる運行中の局面と、運行計画が作成される局面との間では、道路や交通の状況にずれが生じる場合がある側面から有用である。このように道路および交通の状況にずれが生じる場合、運行計画を円滑に変更するのが困難である現状がある。なぜなら、運行計画の変更の要否の判断を始め、ルートや目的地の到着予定時間等の変更内容の決定が運行管理者個人の技量、例えば経験則などに委ねられているからである。このため、運行計画の変更の要否を判断出来なかったり、運行計画の変更内容に見通しが立たなかったりすることが一因となって運行計画の変更の判断が遅れることがある。これらのことから、上記の運行計画の変更支援サービスでは、デジタルタコグラフを搭載する車両から取得される現在の位置および日時と、運行計画で定められたルートの予定位置および到着予定日時とのずれが許容範囲を超えると、運行管理者等が使用する端末から承認を受け付けることを条件に直近の走行実績を用いて再計算されたルートおよび所要時間に基づいて運行計画が変更される。
ここで、あくまで一例として、運行管理システム30は、上記の運行計画の作成支援サービスにより運行計画が策定された場合、運行計画に基づいて求貨リクエストをマッチング装置10に行う。例えば、運行計画が策定された時点では、往路の配車計画は策定されているものの、復路の配車計画は未策定である場合がある。この場合、往路の目的地に到着した段階で車両は実車から空車になる。このように復路の空車回送を回避する側面から、上記のマッチングサービスが乙により利用される。例えば、運行管理システム30は、場所の条件として、往路の目的地の他、車籍地そのもの、あるいは目的地から見て車籍地の方面を指す車籍地方面などが指定されると共に、時間の条件として、往路の目的地への到着予定日時が指定された求貨リクエストをマッチング装置10へ送信する。
なお、ここでは、あくまで一例として、運行計画の策定時に求貨リクエストが運行管理システム30からマッチング装置10へ自動的に発行される例を挙げたが、これに限定されない。例えば、乙により運用される端末、例えば運行管理者の端末等から求貨リクエストが手動で発行されることとしてもかまわない。
また、図2に示すマッチングシステム1において、マッチング装置10は、上記のマッチングサービスを運営する側面から、荷主側システム50A~50Cと連携して甲からの求車リクエストを受け付ける。以下、荷主側システム50A~50Cのことを「荷主側システム50」と記載する場合がある。
荷主側システム50は、甲により運用される各種のシステムの一例に対応する。例えば、荷主側システム50には、乙への発注の担当者、乙の車両の乗務員による荷積みや荷卸し等を確認する担当者、これらの責任者等により使用されるコンピュータなどが対応する。この他、荷主側システム50は、サプライチェーンを最適化する目的で構築されるSCM(Supply Chain Management)システムの他、真・荷主やその3PLが乙への発注に用いる発注システム等などであってもかまわない。
荷主側システム50は、場所の条件として荷物の荷積地および荷卸地が指定されると共に、時間の条件として、荷積みや荷卸しの希望日時が設定された求車リクエストをマッチング装置10へ送信する。
[課題の一側面]
上記のマッチングサービスの利用には、丙から甲および乙へ手数料が課される場合がある。この手数料を回避する側面から、甲および乙は、上記のマッチングサービスを介さない直接取引を行う場合がある。例えば、過去に上記のマッチングサービスを介して行われた取引で甲および乙が相互に信頼できる取引先であることが確認できた場合、次回以降は、上記のマッチングサービスを介さない直接取引を行うことがある。
この直接取引によって、求車サイドの甲には、上記のマッチングサービスの手数料相当分を安値で取引するメリットが生じると共に、求貨サイドの乙には、上記のマッチングサービスの手数料相当分を高値で取引するメリットが生じる。
このように直接取引が横行する場合、上記のマッチングサービスへの求貨リクエストおよび求車リクエストのエントリが減少するおそれがある。さらに、上記のマッチングサービスへのエントリが減少すると、マッチングが成立しづらくなるので、上記のマッチングサービスの品質が低下することも考えられる。これらのことから、上記のマッチングサービスに参加する動機付けを高める側面から、上記のマッチングサービスの手数料を割り引く対策などが取られる場合がある。
しかしながら、上記のマッチングサービスの手数料の割引には限界がある。すなわち、上記のマッチングサービスの手数料を割り引いたとしても、運賃は、上記の直接取引が行われる場合よりも甲にとって安値にし、また、乙にとって高値にすることが困難である。
[課題解決のアプローチの一側面]
そこで、本実施例に係るマッチング装置10は、求貨リクエストで指定される荷卸地及び求車リクエストで指定される荷積地の間の距離を用いるマッチングで求貨リクエストが抽出される距離のレンジをマッチングサービスへのエントリ回数に応じて設定する。以下、求貨リクエストが抽出される距離のレンジのことを「求貨レンジ」と記載する場合がある。
図3は、求貨レンジの一例を示す図である。図3には、乙1の求貨リクエストで指定された荷卸地P1および乙2の求貨リクエストで指定された荷卸地P2が示されている。ここで、乙2のマッチングサービスへのエントリ回数が乙1のマッチングサービスへのエントリ回数よりも多い場合、すなわち乙2のエントリ回数>乙1のエントリ回数である場合、図3に示す通りに求貨レンジが設定される。図3に示すように、乙1の求貨レンジR1には、乙1よりもエントリ回数が多い求貨レンジR2よりも小さいレンジが設定される。一方、乙2の求貨レンジR2には、乙2よりもエントリ回数が少ない求貨レンジR1よりも大きいレンジが設定される。
このように上記のマッチングサービスへのエントリ回数によって乙の求貨レンジを変えることで、乙のマッチング機会の多寡に差が生じる。図3には、乙1の求貨レンジR1にのみ含まれる甲の荷積地が塗りつぶし無しの矩形のマークで示される一方で、乙1の求貨レンジR1および乙2の求貨レンジR2に含まれる甲の荷積地が塗りつぶし有りの矩形のマークで示されている。例えば、図3の例で言えば、乙1の求貨レンジR1には、甲の荷積地が1つしか含まれないので、マッチングの機会が1回しか得られない。一方、乙2の求貨レンジR2には、乙1の求貨レンジR1にも含まれる甲の荷積地が1つ含まれると共に、乙1の求貨レンジR1には含まれない甲の荷積地も19個含まれるので、マッチングの機会が計20回も得られる。
例えば、マッチング機会が多い乙2の求貨リクエストの場合、甲の求車リクエストとのマッチングが成立する可能性が高まる。例えば、乙2の求貨リクエストで指定される価格の条件が乙1の求貨リクエストで指定される価格の条件よりも高値である場合でも、乙1の求貨リクエストよりも19回も多く価格のマッチングを実施できるので、価格面でもマッチングが成立する可能性が高まる。
このように、上記のマッチングサービスへのエントリ回数に応じてマッチング機会の多寡を変わるので、乙のマッチングサービスへの参加にインセンティブを与えることができる結果、乙がマッチングサービスに参加する動機付けを高めることができる。
したがって、本実施例に係るマッチング装置10によれば、マッチングサービスの利用を促進できる。
[他の課題の一側面]
上記のマッチングサービスには、甲および乙の需要を満たす面で貢献を果たす一方で、マッチングによる運行が一因となって車両の乗務員の労働実績が労働基準を超える場合がある。例えば、マッチングの成立時には、乙の乗務員の連続勤務時間や連続運転時間が運行計画の策定時よりも長くなることがある。この場合、車両の運行計画が策定された当時では、乗務員の連続勤務時間や連続運転時間などの労働実績が労働基準以内であったとしても、マッチングの成立によって労働実績が労働基準を超えてしまう場合がある。この結果、運送の安全性が低下したり、労働基準の側面でコンプライアンスに抵触したりするおそれがある。
[課題解決のアプローチの一側面]
そこで、本実施例に係るマッチング装置10は、求貨リクエストに対応する運行ルートに求車リクエストに基づくマッチング運行が追加される場合の所要時間に基づく労働実績が労働基準を超える場合、求貨リクエストを求車リクエストとのマッチング対象から除外する。
図4Aは、マッチング運行の一例を示す図である。図4Aには、あくまで一例として、乙の車籍地を出発地とし、乙の荷卸地を目的地とする往路から折り返して乙の車籍地まで戻る復路の運行ルートが策定された運行計画の復路にマッチング運行が追加される例が示されている。図4Aに示すように、運行計画の復路には、往路の荷卸地から甲の荷積地を経由して荷物を積んで甲の荷卸地まで荷物を運送して荷卸しするマッチング運行が追加されている。このようにマッチング運行が追加された場合、車両から収集される走行データ、あるいは走行データの収集および解析が実行された商用車のプローブデータを用いて、運行計画にマッチング運行が追加された運行ルートにおける所要時間が再計算される。さらに、マッチング運行が追加された運行ルートにおける所要時間に基づいて、労働実績の一例として、乙の乗務員が連続して勤務する時間に対応する連続勤務時間が算出される。
このようにマッチング運行の追加後の所要時間から算出された連続勤務時間が労働基準で定められた閾値を超えるか否かにより、求貨リクエストを求車リクエストとのマッチング対象から除外するか否かを決定する。労働基準は、例えば労働基準法で規定されている基準であっても良いし、労働基準法に準拠するように各企業やマッチングシステムで独自に定めた基準であっても良い。
図4Bは、求貨リクエストの除外方法の一例を示す図である。図4Bに示す例で言えば、5つの求貨リクエストr1~r5のうち、ある求車リクエストで指定される荷積地が上記の求貨レンジに含まれる求貨リクエストは、求貨リクエストr1、求貨リクエストr4および求貨リクエストr5の3つである。これら3つの求貨リクエストのうち、マッチング運行の追加後の所要時間から算出された連続勤務時間が労働基準で定められた閾値、例えば13時間以内である求貨リクエストが求貨リクエストr1のみである。この場合、上記の求車リクエストとのマッチングは求貨リクエストr1のみ成功する。一方、連続勤務時間が13時間を超える求貨リクエストr4及びr5は、求貨リクエストr1に比べて甲の荷積地から近くとも、甲の荷積地に早く到着できようとも、あるいは安値の運賃であろうとも、求車リクエストとのマッチング対象から除外される。
したがって、本実施例に係るマッチング装置10によれば、マッチング運行により車両の運転者の労働実績が労働基準を超えることを抑制できる。これによって、運送の安全性を向上させることができ、さらには、労働基準の側面でコンプライアンスに抵触するおそれも抑制できる。
[マッチング装置10の構成]
図5は、実施例1に係るマッチング装置10の機能的構成の一例を示す図である。図5に示すように、マッチング装置10は、通信I/F(InterFace)部11と、記憶部13と、制御部15とを有する。なお、図5には、データの授受の関係を表す実線が示されているが、説明の便宜上、最小限の部分について示されているに過ぎない。すなわち、各処理部に関するデータの入出力は、図示の例に限定されず、図示以外のデータの入出力、例えば処理部及び処理部の間、処理部及びデータの間、並びに、処理部及び外部装置の間のデータの入出力が行われることとしてもかまわない。
通信I/F部11は、他の装置、例えば運行管理システム30や荷主側システム50などとの間で通信制御を行うインタフェースに対応する。
一実施形態として、通信I/F部11には、LAN(Local Area Network)カードなどのネットワークインタフェースカードなどが対応する。例えば、通信I/F部11は、運行管理システム30から運行計画、あるいは運行計画から生成された求貨リクエストを受け付けたり、また、荷主側システム50から求車リクエストを受け付けたりする。また、また、通信I/F部11は、求貨リクエストとのマッチングが成功した求車リクエストもしくは求車リクエストの発行元である甲の情報を運行管理システム30へ通知したり、あるいは求車リクエストとのマッチングが成功した求貨リクエストもしくは求貨リクエストの発行元である乙の情報を荷主側システム50へ通知したりする。
記憶部13は、制御部15で実行されるOS(Operating System)を始め、アプリケーションプログラム、例えば上記のマッチングプログラムの他、ミドルウェアなどの各種プログラムに用いられるデータを記憶する機能部である。
一実施形態として、記憶部13は、マッチング装置10における補助記憶装置として実装することができる。例えば、記憶部13には、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスクやSSD(Solid State Drive)などを採用できる。なお、記憶部13は、必ずしも補助記憶装置として実装されずともよく、運行管理装置10における主記憶装置として実装することもできる。この場合、記憶部13には、各種の半導体メモリ素子、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリを採用できる。
記憶部13は、制御部15で実行されるプログラムに用いられるデータの一例として、運行計画情報13aと、求貨情報13bと、エントリ情報13cと、求車情報13dとを記憶する。
これら図5に示されたデータ以外にも、記憶部13には、他の電子データが記憶されることとしてもかまわない。例えば、記憶部13には、トラックやバス等の車両に搭載されたデジタコから収集された走行データ、あるいは走行データの収集および解析が実行された商用車のプローブデータ等が記憶される。また、記憶部13には、道路地図情報の他、甲や乙のマッチングサービスに関するアカウント情報などが記憶される。
なお、図5に示す運行計画情報13a、求貨情報13b、エントリ情報13cおよび求車情報13dの説明は、各データの取得、生成または参照が行われる制御部15の説明と合わせて行うこととする。
制御部15は、マッチング装置10の全体制御を行う処理部である。
一実施形態として、制御部15は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などのハードウェアプロセッサにより実装することができる。ここでは、プロセッサの一例として、CPUやMPUを例示したが、汎用型および特化型を問わず、任意のプロセッサ、例えばGPU(Graphics Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)の他、DLU(Deep Learning Unit)やGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)により実装することができる。この他、制御部15は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによって実現されることとしてもかまわない。
制御部15は、図示しない主記憶装置として実装されるRAMのワークエリア上に、上記のマッチングプログラムを展開することにより、下記の処理部を仮想的に実現する。なお、ここでは、上記のマッチングサービスに対応する機能がパッケージ化されたマッチングプログラムが実行される例を挙げたが、上記の運行管理サービスに対応する機能をさらに含めてパッケージ化されたプログラムが実行されることとしてもよい。この他、上記のマッチングサービスが提供する機能のうち、上記の求貨レンジの設定機能または上記の求貨リクエストの除外機能などの単位でプログラムモジュールが実行されたり、ライブラリが参照されたりすることとしてもかまわない。
図5に示すように、制御部15は、第1受付部15aと、第2受付部15bと、マッチング処理部17とを有する。
第1受付部15aは、求貨リクエストを受け付ける処理部である。ここでは、あくまで一例として、運行管理システム30から通知される運行計画に基づいて第1受付部15aが求貨リクエストを生成する例を説明するが、運行計画に基づいて生成された求貨リクエストが運行管理システム30から通知されることとしてもよい。
一実施形態として、第1受付部15aは、運行管理システム30から通知される運行計画に基づいて求貨リクエストを生成する。例えば、第1受付部15aは、運行管理システム30から運行計画が通知された場合、当該運行計画を記憶部13の運行計画情報13aのエントリに追加して保存する。このような運行計画のスキーマの一例として、運行ルートの所要時間、出発地、目的地、休憩ポイント、経由地とする物流拠点、主要な分岐などのノード、各ノードにおける予定到着日時、各ノードにおける実車または空車のステータスなどの項目が含まれる。さらに、運行計画には、車両の属性情報、例えば車両ID(IDentification)や車番、車種、最大の総重量や積載量などの他、車両が積載する荷物の種類などが含まれていてもかまわない。このような運行計画を参照して、第1受付部15aは、求車リクエストとのマッチングに用いる各種の条件、例えば場所や時間、荷物、価格などの条件を設定する。
(1)場所(ロケーション)
第1受付部15aは、乙が甲との運送取引を希望する起点(Origin)および終点(Destination)の2つの地点ODを場所の条件として設定する。例えば、第1受付部15aは、運行計画で策定された目的地、例えば往路における最後の荷卸地を起点として設定できる。以下、往路における最後の荷卸地のことを「往路荷卸地」と記載する場合がある。ここでは、あくまで一例として、空車回送を最小限に抑える側面から、往路荷卸地を起点として設定する例を挙げたが、往路荷卸地から見て車籍地の方面に位置する地点が起点として設定されることとしてもかまわない。例えば、第1受付部15aは、運行計画で復路の運行ルートに休憩ポイントが設定されている場合、休憩ポイントを起点として設定することができる。さらに、求貨リクエストの場所のマッチングが成功する機会を高める側面から、起点には、地点の代わりに地域を設定することもできる。例えば、日本の都道府県を所定数、例えば20個程度のエリアに区分けし、往路荷卸地や休憩ポイントが含まれるエリアを起点として設定することができる。
また、第1受付部15aは、運行計画で策定された出発地、例えば車籍地等を終点として設定できる。このとき、求貨リクエストの場所のマッチングが成功する機会を高める側面から、終点には、地点の代わりに地域を設定することもできる。例えば、日本の都道府県を所定数、例えば20個程度のエリアに区分けし、車籍地が含まれるエリアを終点として設定することができる。また、終点には、必ずしも車籍地そのものの地点やエリアが設定されずともかまわない。例えば、第1受付部15aは、往路荷卸地から見て車籍地の方面に位置する地点や方面を終点として設定することもできる。
(2)時間
第1受付部15aは、乙が甲との運送取引を希望する時間帯を時間の条件として設定する。例えば、第1受付部15aは、運行計画で策定された目的地、例えば往路荷卸地の予想到着日時に基づいて時間帯を設定することができる。あくまで一例として、第1受付部15aは、往路荷卸地の予想到着日時から所定の単位期間n、例えば3時間後までの区間に対応する時間帯を時間の条件として設定することができる。このとき、時間帯の開始日時は、必ずしも往路荷卸地の予想到着日時に限定されない。例えば、運行計画で復路の運行ルートに休憩ポイントが設定されている場合、第1受付部15aは、休憩終了日時を区間の開始日時とし、そこからn時間後の日時を区間の終了日時として設定することもできる。
(3)荷物
第1受付部15aは、乙の車両が積載可能である荷物の種類を荷物の条件として設定することができる。例えば、第1受付部15aは、運行計画で車両が運送する荷物の品目と同一の種類の品目を荷物の条件として設定することができる。なお、荷物の品目は、必ずしも指定されずともよい。ただし、荷物の品目が指定されない求貨リクエストは、荷物の品目が指定された求車リクエストのマッチング相手から除外される。
(4)価格
第1受付部15aは、乙が希望する下限の運賃単価を価格の条件として設定することができる。例えば、第1受付部15aは、乙ごとに当該乙が希望する下限の運賃単価が設定された運賃単価情報を参照して、運行計画の対象とされた車両の運賃単価を特定し、該特定された運賃単価を荷物の条件として設定することができる。例えば、運賃単価情報には、距離制運賃の場合、単位距離、例えば1kmあたりの運賃が1t、2t、・・・、10t、12tなどの積載量別に設定されたエントリを採用できる。
このように場所、時間、荷物および価格の条件が設定された上で、第1受付部15aは、当該条件が設定された求貨リクエストを記憶部13の求貨情報13aのエントリに追加する。さらに、第1受付部15aは、乙ごとに当該乙の累計エントリ回数が対応付けられたエントリ情報13cのうち当該求貨リクエストの発行元である乙の累計エントリ回数をインクリメントする。ここで言う「累計エントリ回数」とは、乙が上記のマッチングサービスに参加した回数の累計値を指す。
なお、ここでは、運行管理システム30から取得される運行計画に基づいて求貨リクエストで指定される各種の条件が自動的に設定される例を挙げたが、乙、例えば運行管理者が使用する端末等から、自動設定された条件の編集を受け付けたり、条件を手動で設定したりすることもできる。
第2受付部15bは、求車リクエストを受け付ける処理部である。
(1)場所
1つの側面として、第2受付部15bは、甲が乙との運送取引を希望する起点および終点の2つの地点ODを場所の条件として設定する。例えば、第2受付部15bは、荷主側システム50から受け付けた甲の荷積地もしくは荷積地を含むエリアを起点として設定することができる。また、第2受付部15bは、荷主側システム50から受け付けた甲の荷卸地もしくは荷卸地を含むエリアを終点として設定することができる。これら2つの地点ODは、SCMシステムや発注システムに登録された荷物のうち運送が未発注である荷物を抽出して自動設定することもできれば、発注の担当者や乙の車両の乗務員による荷積みや荷卸しを確認する担当者等が使用する端末を介して手動設定することもできる。
(2)時間
第2受付部15bは、甲が乙との運送取引を希望する時間帯を時間の条件として設定する。例えば、第2受付部15bは、甲の荷積地への荷物の引取日時を荷主側システム50から受け付け、該受け付けた荷物の引取日時を時間帯の開始日時として設定することができる。また、第2受付部15bは、甲の荷卸地への荷物の引渡日時を荷主側システム50から受け付け、該受け付けた荷物の引渡日時を時間帯の終了日時として設定することができる。このような時間帯は、SCMシステムや発注システムに登録された荷物のうち求車リクエストを行う荷物に関する予定引取日時や予定引渡日時を抽出して自動設定することもできれば、発注の担当者や乙の車両の乗務員による荷積みや荷卸しを確認する担当者等が使用する端末を介して手動設定することもできる。
(3)荷物
第2受付部15bは、甲が運送を希望する荷物の種類を荷物の条件として設定することができる。例えば、第2受付部15bは、荷主側システム50から受け付けた荷物の種類を設定することができる。このような荷物の種類は、SCMシステムや発注システムに登録された荷物のうち求車リクエストを行う荷物の種類を抽出して自動設定することもできれば、発注の担当者や乙の車両の乗務員による荷積みや荷卸しを確認する担当者等が使用する端末を介して手動設定することもできる。なお、荷物の品目は、必ずしも指定されずともよい。ただし、荷物の品目が指定されない求車リクエストは、荷物の品目が指定された求貨リクエストのマッチング相手から除外される。
(4)価格
第2受付部15bは、甲が希望する運賃の上限値を価格の条件として設定することができる。例えば、第2受付部15bは、荷主側システム50から受け付けた運賃の上限値を設定することができる。このような運賃の上限値は、SCMシステムや発注システムに登録された荷物のうち求車リクエストを行う荷物の予定運送コストを抽出して自動設定することもできれば、発注の担当者や乙の車両の乗務員による荷積みや荷卸しを確認する担当者等が使用する端末を介して手動設定することもできる。
このように場所、時間、荷物および価格の条件が設定された上で、第2受付部15bは、当該条件が設定された求車リクエストを記憶部13の求車情報13dのエントリに追加する。
マッチング処理部17は、求貨リクエストおよび求車リクエストをマッチングする処理部である。図5に示すように、マッチング処理部17には、抽出部17a、除外部17b及び関連付け部17cが含まれる。
抽出部17aは、求車リクエストで指定された条件に適合する求貨リクエストを抽出する処理部である。抽出部は、設定部の一例に対応する。以下では、あくまで一例として、求貨リクエストおよび求車リクエストのマッチングが所定の周期、例えば10分間、30分間または1時間ごとに繰り返して実行される例を説明する。
一実施形態として、抽出部17aは、記憶部13に記憶された求貨情報13bの求貨リクエストごとに、上記の求貨レンジを算出する。具体的には、抽出部17aは、求貨情報13bに含まれる求貨リクエストのうちマッチングが未成立である求貨リクエストを1つ選択する。続いて、抽出部17aは、運行計画情報13aのうち選択中の求貨リクエストに対応する運行計画を参照して、往路の運行ルートの所要時間を算出する。以下、往路の運行ルートの所要時間のことを「往路運行時間」と記載する場合がある。その上で、抽出部17aは、往路運行時間が所定の閾値Th1、例えば5時間以上であるか否かを判定する。このとき、抽出部17aは、往路運行時間が閾値Th1以上である場合、第1のルールを参照して、求貨リクエストの発行元である乙の累計エントリ回数から求貨レンジを算出する。一方、抽出部17aは、往路運行時間が閾値Th1以上でない場合、第2のルールを参照して、求貨リクエストの発行元である乙の累計エントリ回数から求貨レンジを算出する。このような求貨レンジの算出が求貨情報13bに含まれる全ての求貨リクエストが選択されるまで繰り返して実行される。
図6は、移動許容時間および累計エントリ回数の対応関係の一例を示す図である。図6に示すグラフの縦軸は、乙の求貨リクエストで指定された起点から乙の車両の移動を許容する時間、以下移動許容時間を指し、また、グラフの横軸は、累計エントリ回数を指す。図6に示すように、往路運行時間が5時間以上である場合に適用される第1のルール、並びに、往路運行時間が5時間未満である場合に適用される第2のルールのいずれも、乙の累計エントリ回数が多いほど大きい移動許容時間が設定される。また、第1のルール並びに第2のルールのいずれも、乙の累計エントリ回数が少ないほど小さい移動許容時間が設定される。その一方で、第1のルールでは、第2のルールよりも移動許容時間を伸張または収縮させる範囲が大きく、第2のルールでは、第1のルールよりも移動許容時間を伸張または収縮させる範囲が小さい。
例えば、第1のルールでは、0.5h~5hの幅の移動許容時間が求貨レンジの算出に用いられる。一方、第2のルールでは、0.4h~2hの幅の移動許容時間が求貨レンジの算出に用いられる。
このように累計エントリ回数に対応付けられた移動許容時間に基づいて求貨レンジが算出される。例えば、往路荷卸地等の起点から移動許容時間で走行可能なレンジが求貨レンジとして算出される。
この求貨レンジは、一例として、上記の走行データを用いて算出することができる。例えば、抽出部17aは、道路を走行する車両に搭載されたデジタルタコグラフから時刻、位置、速度および距離の時系列データが収集された走行データのうち、往路荷卸地を出発点または通過点に含む走行データを抽出する。続いて、抽出部17aは、往路荷卸地を出発点または通過点に含む走行データごとに、往路荷卸地を出発または通過してから上記の移動許容時間後の商用車の所在位置を地図上にプロットする。その上で、抽出部17aは、地図上にプロットされた商用車の所在位置を含む領域、例えば凸包を移動許容時間に対応する求貨レンジとして算出する。
このように求貨リクエストごとに求貨レンジが算出された上で、抽出部17aは、求貨情報13bに含まれる求貨リクエストおよび求車情報13dに含まれる求車リクエストのうちマッチングが未成立であるものを対象に、次のような処理を実行する。すなわち、抽出部17aは、時間条件のマッチング、荷物条件のマッチング、第1の場所条件のマッチング、第2の場所条件のマッチング、価格条件のマッチングの順に実行することで、求車リクエストで指定された各条件に適合する求貨リクエストをマッチングする。
より詳細には、抽出部17aは、現時点、すなわちマッチングの実行時点から近い時間帯から順に時間帯を1つ選択する。続いて、抽出部17aは、マッチング未成立の求貨リクエストおよび求車リクエストのうち、求貨リクエストまたは求車リクエストで指定された時間帯が選択中の時間帯に対応する求貨リクエストおよび求車リクエストを抽出する時間条件のマッチングを実行する。
その後、抽出部17aは、荷物の種類として定められた品目のうち品目を1つ選択する。ここで、求貨リクエストおよび求車リクエストには、品目の指定がないものも含まれるので、品目の指定がない同士の求貨リクエストおよび求車リクエストをマッチングする側面から、全ての品目が選択された後には、品目指定なしが選択されることとする。続いて、抽出部17aは、時間条件のマッチングで抽出された求貨リクエストおよび求車リクエストのうち、求貨リクエストまたは求車リクエストで指定された品目が選択中の品目と一致する求貨リクエストおよび求車リクエストを抽出する荷物条件のマッチングを実行する。なお、抽出部17aは、品目指定なしの求貨リクエストと、品目指定なしの求車リクエストとは品目が一致するものとして、求貨リクエストおよび求車リクエストを抽出する荷物条件のマッチングを実行する。
さらに、抽出部17aは、起点Oのエリアおよび終点Dのエリアのペアを1つ選択する。以下、起点Oのエリアおよび終点Dのペアのことを「ODペア」と記載する場合がある。続いて、抽出部17aは、荷物条件のマッチングで抽出された求貨リクエストおよび求車リクエストのうち、求貨リクエストまたは求車リクエストで指定されたODペアが選択中のODペアと一致する求貨リクエストおよび求車リクエストを抽出する第1の場所条件のマッチングを実行する。
その上で、抽出部17aは、価格条件および第2の場所条件のマッチングを実行する。すなわち、抽出部17aは、第1の場所条件のマッチングで抽出された求車リクエストごとに当該求車リクエストで指定された運賃上限値から上記のマッチングサービスの手数料が割り引かされた手数料込みの運賃上限値を算出する。そして、抽出部17aは、第1の場所条件のマッチングで抽出された求車リクエストのうち、手数料込みの運賃上限値が最高である求車リクエストを選択する。
その後、抽出部17aは、第1の場所条件のマッチングで抽出された求貨リクエストのうち、選択中の求車リクエストで指定された空車予定の荷卸地が求貨レンジの圏内である求貨リクエストを抽出する第2の場所条件のマッチングを実行する。
図7は、第2の場所条件のマッチングの一例を示す図である。図7の例では、乙1のマッチングサービスへのエントリ回数が乙2のマッチングサービスへのエントリ回数よりも多い場合、すなわち乙1のエントリ回数>乙2のエントリ回数である条件の下、乙1の求貨レンジおよび乙2の求貨レンジが算出されることとする。さらに、図7の例では、乙1の求貨リクエストおよび乙2の求貨リクエストで指定された往路運行時間がいずれも上記の閾値Th1以上であり、上記の第1のルールに基づいて移動許容時間が設定されることとする。さらに、図7の例では、乙1のマッチングサービスへのエントリ回数が5hの移動許容時間に対応する一方で、乙2のマッチングサービスへのエントリ回数が1hの移動許容時間に対応することとする。
図7に示すように、乙1の求貨レンジには、乙1よりもエントリ回数が少ない乙2の求貨レンジよりも大きいレンジが設定される。一方、乙2の求貨レンジには、乙2よりもエントリ回数が多い乙1の求貨レンジよりも小さいレンジが設定される。この場合、甲2の求車リクエストで指定された甲2の荷積地は、乙1の求貨レンジおよび乙2の求貨レンジにも含まれる。一方で、甲1の求車リクエストで指定された甲1の荷積地は、乙1の求貨レンジにしか含まれない。このため、乙1の往路荷卸地から甲2の荷積地までの移動時間2hが乙2の往路荷卸地から甲2の荷積地までの移動時間1hに比べて長いことから、乙1の求貨リクエストが甲2の求車リクエストとの間でマッチングの成約を逃すことも考えられる。この場合でも、甲1の求車リクエストには、他のマッチング相手がいない。このように、乙1は、乙2よりもエントリ回数が多いことがインセンティブとなって甲1の求車リクエストとのマッチング機会が増加する結果、乙1の求貨リクエストはマッチングが成約する可能性が高まっている。
このように第2の場所条件のマッチングが実行された後、抽出部17aは、第2の場所条件のマッチングで抽出された求貨リクエストごとに、当該求貨リクエストで指定された運賃単価と、求車リクエストで指定された甲の荷積地および甲の荷卸地の実車区間とに基づいて上記のマッチングサービスの手数料が割り増しされた手数料込みの運賃下限値を算出する。そして、抽出部17aは、第2の場所条件のマッチングで抽出された求貨リクエストのうち、手数料込みの運賃下限値が手数料込みの運賃上限値以下であり、その中で手数料込みの運賃下限値が最高である求貨リクエストを抽出する価格条件のマッチングを実行する。
このような価格条件のマッチングによって、乙の求貨リクエストがマッチングに成功する可能性を高めると共に、乙の求貨リクエストにより高値の求車リクエストとマッチングさせる可能性を高めることができる。
図8は、価格条件のマッチングの一例を示す図である。ここで、図8に示す例では、甲1~甲3の求車リクエストと乙1~乙4の求貨リクエストの間で時間条件、荷物条件、第1の場所条件および第2の場所条件の全てが適合することとする。
図8の上段には、甲1~甲3の手数料込みの運賃上限値が示されると共に、乙1~乙4の手数料込みの運賃下限値が示されている。この場合、手数料込みの運賃上限値が最高である甲2の求車リクエストから優先してマッチング相手が抽出される。甲2の手数料込みの運賃上限値は、乙1~乙4の手数料込みの運賃下限値よりも高い。このため、甲2の求車リクエストは、乙1~乙4の求貨リクエストのいずれともマッチングできるが、運賃下限値が最高である乙1の求貨リクエストが抽出される。続いて、甲2の求車リクエストの次に手数料込みの運賃上限値が高い甲1の求車リクエストのマッチング相手が抽出される。この場合、甲1の手数料込みの運賃上限値以下であるのは、乙3および乙4の手数料込みの運賃下限値となる。一方、乙2の手数料込みの運賃下限値は甲1の手数料込みの運賃上限値を超えるので、乙2の求貨リクエストは甲1の求車リクエストのマッチング相手から外れる。そして、乙3および乙4の手数料込みの運賃下限値では、乙3の手数料込みの運賃下限値の方が甲1の手数料込みの運賃上限値に近い。このため、甲1の求車リクエストのマッチング相手には、乙3の求貨リクエストが抽出される。最後に、甲1の求車リクエストの次に手数料込みの運賃上限値が高い甲3の求車リクエストのマッチング相手が抽出される。この場合、甲3の手数料込みの運賃上限値以下であるのは、乙4の手数料込みの運賃下限値のみとなる。一方、乙2の手数料込みの運賃下限値は甲3の手数料込みの運賃上限値を超えるので、乙2の求貨リクエストは甲3の求車リクエストのマッチング相手からも外れる。このため、甲3の求車リクエストのマッチング相手には、乙4の求貨リクエストが抽出される。以上の結果、図8の下段に示すように、乙1の求貨リクエストおよび甲2の求車リクエストのマッチングが成立し、乙3の求貨リクエストおよび甲1の求車リクエストのマッチングが成立し、さらに、乙4の求貨リクエストおよび甲3の求車リクエストのマッチングが成立する。このため、乙の求貨リクエストがマッチングに成功する可能性を高めると共に、乙の求貨リクエストにより高値の求車リクエストとマッチングさせる可能性を高めることができる。
図5の説明に戻り、除外部17bは、抽出部17aにより抽出された求貨リクエストのうち労働実績が労働基準を超える求貨リクエストを求車リクエストのマッチング相手から除外する処理部である。
一実施形態として、除外部17bは、抽出部17aによる価格条件のマッチングで求貨リクエストが抽出された場合、運行計画情報13aに含まれる運行計画のうち、当該求貨リクエストの発行元である乙の運行計画を参照する。その上で、除外部17bは、当該乙の運行計画の復路に乙のマッチング相手である甲の求車リクエストで指定された荷積地および荷卸地の実車区間を追加する。その上で、除外部17bは、復路にマッチング相手の実車区間が追加された運行計画に基づいて復路の運行ルートとその運行ルートの所要時間を算出する。以下、復路の運行ルートの所要時間のことを「復路運行時間」と記載する場合がある。
この復路の運行ルート及びその運行ルートの所要時間は、次のようにして算出できる。例えば、除外部17bは、上記の走行データを用いて、指定の条件を満たす運行ルートを算出する。
例えば、除外部17bは、過去の所定期間、例えば6ヶ月間の走行データを参照して、出発地として往路荷卸地の周辺地域を出発又は通過し、中継地点として甲の荷積地および荷卸地を通過し、かつ目的地として乙の車籍地に到着又は通過するルートを検索する。そして、除外部17bは、走行データから検索されたルートのうち同一のルートをクラスタリングすることにより、同一のルートごとに当該ルートの走行回数を計数する。その上で、除外部17bは、走行回数が所定の閾値以上であるルートを復路の運行ルートの候補として抽出する。
さらに、除外部17bは、上記のプローブデータを用いて、復路の運行ルートの候補ごとに復路運行時間を算出する。ここで、上記のプローブデータは、車両の走行時の走行データの収集およびその解析が実行されることにより得られる。ここでは、デジタルタコグラフの装着義務が課される貨物商用車を例に挙げるが、デジタコに類する運行監視装置を搭載する任意の車両、すなわち自動車全般から収集される走行データを用いることもできる。より詳細には、デジタルタコグラフの個体を識別する個体番号ごとに、時刻、位置、速度および距離などが対応付けられた走行データがモバイルネットワーク等を介してプラットフォームへ収集される。このようにデジタルタコグラフごとに収集された走行データの間で、道路が所定の単位、例えば50mで区切られた道路区間、及び、時間が所定の単位、例えば時、分または秒ごとに区切られた時間区間ごとに、当該道路区間を当該時間区間に走行する車両の交通量や走行時間を集計する統計処理がプラットフォームにより実行される。このとき、プラットフォームは、デジタルタコグラフの個体番号等から車種、例えば超大型や大型、一般などを識別し、車種ごとに車両の交通量を集計することもできる。この他、プラットフォームは、進行方向ごとに車両の交通量および走行時間を集計することもできる。これによって、道路区間および時間区間ごとに車種別および進行方向別の車両走行量が対応付けられたプローブデータが得られる。
例えば、除外部17bは、候補とする復路の運行ルートの出発地から目的地までの道路区間ごとに当該道路区間における走行時間を積算することにより、上記の復路運行時間を算出する。このように走行時間を積算する際、走行する日時の曜日に対応する走行時間であり、かつ当該道路区間が走行される時間帯に対応する走行時間を用いることにより、所要時間を高精度に算出することができる。その上で、除外部17bは、復路の運行ルートの候補のうち復路運行時間が最短である候補を復路の運行ルートとして抽出する。これによって、マッチング運行が追加された復路の運行計画の運行ルートおよび復路運行時間を算出できる。
その後、除外部17bは、マッチング運行が追加された復路の運行計画の復路運行時間から連続勤務時間および連続運転時間を算出する。例えば、除外部17bは、運行計画の策定時に算出された往路運行時間およびマッチング運行が追加された復路の運行計画における復路運行時間を合計する計算により、連続勤務時間を算出することができる。また、除外部17bは、復路の運行ルートのうち休憩ポイントや荷積みまたは荷卸しが行われるバースの予約を含まない連続運転区間を抽出した上で上記の復路運行時間のうち当該連続運転区間に対応する部分復路運行時間を連続運転時間として算出する。その後、除外部17bは、マッチング運行が追加された復路の運行計画の連続勤務時間が所定の閾値Th2、例えば13時間を超える求貨リクエスト、あるいは連続運転時間が所定の閾値Th3、例えば4時間を超える求貨リクエストを当該求車リクエストのマッチング相手から除外する。
図9は、求貨リクエストの除外方法の一例を示す図である。図6の例では、車両の運行計画は、出発地AからバースBおよびバースCを経由して車籍地方面に向かう。バースBおよびバースCの予約は、それぞれ13:00、15:00に指定されている。なお、バースBは、バースの予約登管理を行うバース予約システムを利用しておらず、バースCは、バース予約システムを利用しているものとする。従来の運行計画では、バースBおよびバースCへの到着予測日時の信頼性が低いので、車両は、余裕を持って出発地Aを8:30に出発する必要がある。一方、運行管理システム30により策定される運行計画では、バースBおよびバースCへの到着予測日時の信頼性が高いので、車両は、出発地AからバースBまでの移動時間が210分であることから、出発地Aの出発を9:00に設定できる。このように、運行管理システム30では、正確な運行計画の策定が可能であり、乗務員の無駄な拘束時間を削減できる。
車両がバースBの出発後、バースCに向かっている途中で、次のような求車リクエストがマッチング相手として成立したとする。例えば、16:00にバースXで荷積み(リンゴ)を行い、バースYに17:00に到着するという求車リクエストであるものとする。この場合、運行管理システム30は、車両の現在地および運行計画に基づいて、バースCでの荷卸し作業が終了すると、車両が空車となると判定する。なお、バースCは、バース予約システムを利用しているため、正確な荷捌き時刻を提供できるものとする。また、ここでの現在地は、往路の出発地であるともいえる。
ここで、仮に、バースBでは、作業に遅延が発生しており、バースBの手前で待ち状態が発生したとする。これに連動して、車両は、バースBにおいて荷卸し作業の開始が13:30からに遅れたとする。さらに連動して、運行管理システム30で策定された運行計画では、バースBを14:00に出発の予定であったが、30分遅れの14:30の出発になったとする。この場合、運行管理システム30は、運行計画の変更支援サービスを通じてバースBの30分遅れの出発を動態監視することにより、バースCの到着予定時刻を15:30に修正する運行計画を実施することができる。このような運行計画の修正により、運行進捗をふまえた時間の見直しを実現できる。
一方、バースBの作業に遅延は発生せず、バースCに予定の15:30に出発できるとする。この場合、マッチング装置10は、上記の求貨リクエストで指定されたマッチング運行「16:00にバースXで荷積み(リンゴ)、バースYに17:00に到着」が追加された運行計画に基づいて連続運転時間や連続勤務時間を算出する。そして、コンプライアンス(労働基準1)に示す通り、マッチング運行が追加された運行計画の連続運転時間が労働基準で定められた閾値、例えば5hを超える場合、当該求車リクエストのマッチング相手から除外される。また、コンプライアンス(労働基準2)に示す通り、マッチング運行が追加された運行計画の連続勤務時間が労働基準で定められた閾値、例えば13hを超える場合も、当該求車リクエストのマッチング相手から除外される。これらによって、運送の安全性を向上させることができ、さらには、労働基準の側面でコンプライアンスに抵触するおそれも抑制できる。
なお、上記のマッチング運行「16:00にバースXで荷積み(リンゴ)、バースYに17:00に到着」では、バースXからバースYまでの区間が30分の実車が前提となるが、これが必ずしも道路交通法に則った条件指定であるとは限らない。このため、マッチング装置10は、求車リクエストで指定されたバースX及びバースY間の実車時間が、バースXおよびバースYの運行ルートに含まれる道路の距離と、各道路に定められた速度制限の上限値とから求まる最低所要時間よりも短い場合、最低所要時間よりも長い実車時間、例えば上記の走行データ用いて算出された所要時間として60分間を再設定するように、荷主側システム50へ通知する。
関連付け部17cは、求貨リクエストと求車リクエストを関連付ける処理部である。
1つの側面として、関連付け部17cは、抽出部17aによる価格条件のマッチングで抽出された求貨リクエストのうち、除外部17bによりマッチング相手から除外されなかった求貨リクエストを抽出部17aによる価格条件のマッチングで抽出された求車リクエストに関連付ける。この関連付けによって、求貨リクエストおよび求車リクエストのマッチングに成功する。このようにマッチングに成功した場合、関連付け部17cは、求貨リクエストとのマッチングが成功した求車リクエストもしくは求車リクエストの発行元である甲の情報を運行管理システム30へ通知する。また、関連付け部17cは、求車リクエストとのマッチングが成功した求貨リクエストもしくは求貨リクエストの発行元である乙の情報を荷主側システム50へ通知する。その後、甲および乙の双方から契約OKの確認操作がなされた場合、マッチングが成約する。
[処理の流れ]
図10~図12は、実施例1に係るマッチング処理の手順を示すフローチャート(1)~(3)である。このマッチング処理は、一例として、所定の周期、例えば10分間、30分間または1時間ごとに繰り返して実行される。
図10に示すように、抽出部17aは、求貨情報13bに含まれる求貨リクエストのうちマッチングが未成立である求貨リクエストを1つ選択する(ステップS101)。続いて、抽出部17aは、運行計画情報13aのうちステップS101で選択された求貨リクエストに対応する運行計画を参照して、往路運行時間を算出する(ステップS102)。
その上で、抽出部17aは、ステップS102で算出された往路運行時間が所定の閾値Th1、例えば5時間以上であるか否かを判定する(ステップS103)。このとき、往路運行時間が閾値Th1以上である場合(ステップS103Yes)、抽出部17aは、第1のルールを参照して、求貨リクエストの発行元である乙の累計エントリ回数から求貨レンジを算出する(ステップS104)。
一方、往路運行時間が閾値Th1以上でない場合(ステップS103No)、抽出部17aは、第2のルールを参照して、求貨リクエストの発行元である乙の累計エントリ回数から求貨レンジを算出する(ステップS105)。
その後、マッチングが未成立である全ての求貨リクエストが選択されるまで(ステップS106No)、上記のステップS101から上記のステップS105までの処理が繰り返し実行される。そして、マッチングが未成立である全ての求貨リクエストが選択された場合(ステップS106Yes)、ステップS107の処理へ移行する。
続いて、抽出部17aは、現時点、すなわちマッチングの実行時点から近い時間帯から順に時間帯を1つ選択する(ステップS107)。その後、抽出部17aは、マッチング未成立の求貨リクエストおよび求車リクエストのうち、求貨リクエストまたは求車リクエストで指定された時間帯がステップS107で選択された時間帯に対応する求貨リクエストおよび求車リクエストを抽出する(ステップS108)。
そして、抽出部17aは、荷物の種類として定められた品目のうち品目を1つ選択する(ステップS109)。続いて、抽出部17aは、ステップS108で抽出された求貨リクエストおよび求車リクエストのうち、求貨リクエストまたは求車リクエストで指定された品目がステップS109で選択された品目と一致する求貨リクエストおよび求車リクエストを抽出する(ステップS110)。
さらに、抽出部17aは、起点Oのエリアおよび終点Dのエリアのペアを1つ選択する(ステップS111)。続いて、抽出部17aは、ステップS110で抽出された求貨リクエストおよび求車リクエストのうち、求貨リクエストまたは求車リクエストで指定されたODペアがステップS111で選択されたODペアと一致する求貨リクエストおよび求車リクエストを抽出する(ステップS112)。
その後、抽出部17aは、図11に示すように、ステップS112で抽出された求車リクエストごとに当該求車リクエストで指定された運賃上限値から上記のマッチングサービスの手数料が割り引かされた手数料込みの運賃上限値を算出する(ステップS113)。続いて、抽出部17aは、ステップS112で抽出された求車リクエストのうち、手数料込みの運賃上限値が最高である求車リクエストを選択する(ステップS114)。
その上で、抽出部17aは、ステップS112で抽出された求貨リクエストのうち、ステップS114で選択された求車リクエストで指定された空車予定の荷卸地が求貨レンジの圏内である求貨リクエストを抽出する(ステップS115)。
その後、抽出部17aは、ステップS115で抽出された求貨リクエストごとに、当該求貨リクエストで指定された運賃単価と、求車リクエストで指定された甲の荷積地および甲の荷卸地の実車区間とに基づいて上記のマッチングサービスの手数料が割り増しされた手数料込みの運賃下限値を算出する(ステップS116)。
そして、抽出部17aは、ステップS115で抽出された求貨リクエストのうち、手数料込みの運賃下限値が手数料込みの運賃上限値以下であり、その中で手数料込みの運賃下限値が最高である求貨リクエストを抽出する(ステップS117)。
その後、除外部17bは、運行計画情報13aに含まれる運行計画のうち、ステップS117で抽出された求貨リクエストの発行元である乙の運行計画を参照して、当該乙の運行計画の復路に乙のマッチング相手である甲の求車リクエストで指定された荷積地および荷卸地の実車区間を追加する。その上で、除外部17bは、復路にマッチング相手の実車区間が追加された運行計画に基づいて復路の運行ルートにおける所要時間を復路走行時間として算出する(ステップS118)。
そして、除外部17bは、ステップS118で算出された復路運行時間と、運行計画の策定時に算出された往路運行時間とから求めた連続勤務時間が労働基準で定められた閾値Th2、例えば13h以内であるか否かを判定する(ステップS119)。
このとき、連続勤務時間が閾値Th2以内である場合(ステップS119Yes)、除外部17bは、ステップS118で算出された復路運行時間のうち、復路の運行ルートで休憩ポイントや荷積みまたは荷卸しが行われるバースの予約を含まずに連続して運転される区間に対応する連続運転時間が労働基準で定められた閾値Th3、例えば5h以内であるか否かを判定する(ステップS120)。
ここで、連続勤務時間が閾値Th2を超える場合、あるいは連続運転時間が閾値Th3を超える場合(ステップS119NoまたはステップS120No)、除外部17bは、ステップS117で抽出された求貨リクエストをステップS114で選択された求車リクエストのマッチング相手から除外する(ステップS121)。この場合、ステップS115で抽出された求貨リクエストのうち、ステップS121で除外された求貨リクエストの次に手数料込みの運賃下限値が高い求貨リクエストを再抽出し(ステップS117)、以降の処理を繰り返す。
また、連続勤務時間が閾値Th2以内であり、かつ連続運転時間が閾値Th3以内である場合(ステップS119YesかつステップS120Yes)、関連付け部17cは、ステップS114で選択された求車リクエストおよびステップS117で抽出された求貨リクエストを関連付ける(ステップS122)。この関連付けによって、求貨リクエストおよび求車リクエストのマッチングに成功する。この場合、求貨リクエストの発行元および求車リクエストの発行元にマッチングの成立を通知することもできる。
その後、ステップS112で抽出された全ての求車リクエストが選択されていない場合(ステップS123No)、ステップS112で抽出された求貨リクエストの中にマッチングが未成立の求貨リクエストが残っていれば(ステップS124Yes)、上記のステップS114からステップS122までの処理を繰り返して実行する。
また、ステップS112で抽出された全ての求車リクエストが選択されるか、あるいはステップS112で抽出された求貨リクエストの中にマッチングが未成立の求貨リクエストが残っていなければ(ステップS123YesまたはステップS124No)、図12に示すステップS125の処理へ移行する。
その後、図12に示すように、抽出部17aは、全ての組合せのODペアが選択されたか否かを判定する(ステップS125)。このとき、全ての組合せのODペアが選択されていない場合(ステップS125No)、上記のステップS111からステップS124までの処理を繰り返して実行する。そして、全ての組合せのODペアが選択された場合(ステップS125Yes)、抽出部17aは、全ての荷物の種類が選択されたか否かを判定する(ステップS126)。
このとき、全ての荷物の種類が選択されていない場合(ステップS126No)、上記のステップS109からステップS125までの処理を繰り返して実行する。その後、全ての荷物の種類が選択された場合(ステップS126Yes)、抽出部17aは、全ての時間帯が選択されたか否かを判定する(ステップS127)。
そして、全ての時間帯が選択されていない場合(ステップS127No)、上記のステップS107からステップS126までの処理を繰り返して実行する。そして、全ての時間帯が選択された場合(ステップS127Yes)、処理を終了する。
[効果の一側面]
上述してきたように、本実施例に係るマッチング装置10は、求貨リクエストで指定される荷卸地及び求車リクエストで指定される荷積地の間の距離を用いるマッチングで求貨リクエストが抽出される距離のレンジをマッチングサービスへのエントリ回数に応じて設定する。このように、上記のマッチングサービスへのエントリ回数に応じてマッチング機会の多寡を変わるので、乙のマッチングサービスへの参加にインセンティブを与えることができる結果、乙がマッチングサービスに参加する動機付けを高めることができる。したがって、本実施例に係るマッチング装置10によれば、マッチングサービスの利用を促進することが可能である。
[効果の他の一側面]
また、本実施例に係るマッチング装置10は、求貨リクエストに対応する運行計画にマッチング運行が追加される場合の所要時間を再計算し、再計算後の所要時間に基づく労働実績が労働基準を超える場合、求貨リクエストを求車リクエストとのマッチング対象から除外する。したがって、本実施例に係るマッチング装置10によれば、マッチング運行により車両の運転者の労働実績が労働基準を超えることを抑制することが可能である。これによって、運送の安全性を向上させることができ、さらには、労働基準の側面でコンプライアンスに抵触するおそれも抑制できる。
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
[甲への手数料]
マッチング装置10は、丙が甲へ課すマッチングサービスの手数料を割り引くことにより、甲のマッチングサービスへの参加にインセンティブを与えることもできる。
図13は、マスタデータの一例を示す図である。図13に示すように、甲のマスタデータには、一例として、荷主基本情報、参加ODペアおよび荷物属性などの項目が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「荷主基本情報」とは、荷主に関する基本情報を指し、例えば、荷主コード、累計エントリ回数、累計約定回数、累計荷物種類指定数、抜け駆け回数および最新抜け駆け日などの細目がさらに含まれる。例えば、荷主コードは、荷主の識別情報の一例に対応し、例えば、英字、数字およびこれらの組合せを所定のコードに従って生成することができる。また、「累計エントリ回数」とは、甲が上記のマッチングサービスに参加した回数の累計値を指し、例えば、これまでの全期間、前月、前々月といった単位で累計値を格納することができる。また、「累計約定回数」とは、甲が上記のマッチングサービスを介して運送取引を約定した回数の累計値を指し、例えば、これまでの全期間、前月、前々月といった単位で累計値を格納することができる。また、「累計荷物種類指定数」とは、甲が求車リクエストで荷物の種類を指定した回数の累計値を指し、例えば、これまでの全期間、前月、前々月といった単位で累計値を格納することができる。また、「抜け駆け回数」とは、甲が上記のマッチングサービスを行わずに乙と直接取引を行うことにより抜け駆けした回数を指す。例えば、所定の周期、例えば一ヶ月が経過する度に、前月の累計エントリ回数が前々月の累計エントリ回数を下回ったか否かを判定する。その上で、前月の累計エントリ回数が前々月の累計エントリ回数を下回った場合、抜け駆け回数を1つインクリメントする。また、「最新抜け駆け日」とは、最新に抜け駆けが行われた日時を指し、例えば、抜け駆け回数が最後にインクリメントされた時点を最新抜け駆け日として登録することができる。
また、「参加ODペア」とは、甲が上記のマッチングサービスに参加する際に典型パターンとして用いられるODペアを指す。また、「荷物属性」とは、荷物の属性情報を指し、例えば、品目、細目、重量、容積、荷姿などの項目がさらに含まれる。このうち、「品目」とは、荷物の種類が分類されたカテゴリを指す。また、「細目」とは、品目がさらに詳細に分類されたカテゴリを指す。また、「重量」とは、甲が乙に運送を依頼する荷物の重量を指す。また、「容積」とは、甲が乙に運送を依頼する荷物の容積を指す。また、「荷姿」とは、荷物の外観を指し、例えば、パレット、スキッド、ケースおよびカートン等の梱包形態などが対応する。
このようなマスタデータが登録された状況の下、例えば、マッチング装置10は、図11に示すステップS113で甲の手数料込みの運賃上限値が算出される段階で、全期間の累計約定回数に応じて丙が甲へ課す手数料を割り引くことができる。また、マッチング装置10は、図11に示すステップS113で甲の手数料込みの運賃上限値が算出される段階で、全期間の累計荷物種類指定数に応じて丙が甲へ課す手数料を割り引くことができる。これら全期間の累計約定回数および全期間の累計荷物種類指定数に応じた手数料の割引は、いずれか一方のみ行うこともできるし、両方とも行うこともできる。
以下、あくまで一例として、丙が甲の運賃下限値にマッチングサービスの手数料を課す例を挙げ、甲の運賃下限値に課す手数料率のうち全期間の累計約定回数に基づく手数料率のことを「第1の手数料率」と記載し、全期間の累計荷物種類指定数に基づく手数料率のことを「第2の手数料率」と記載する場合がある。
図14Aは、第1の手数料率及び累計約定回数の対応関係の一例を示す図である。図14Aに示すグラフの縦軸は、甲に課すマッチングサービスの手数料率を指し、また、グラフの横軸は、累計約定回数を指す。図14Aに示すように、第1の手数料率は、累計約定回数が多くなるに連れて低い値が設定される。より具体的には、第1の手数料率は、最大で3.0%として設定される一方で、最小で1.8%が設定される。すなわち、累計約定回数が10回以下である場合、第1の手数料率が3.0%であるのに対し、累計約定回数が100回に達すると、第1の手数料率が1.8%まで割り引かれる。
図14Bは、第2の手数料率及び累計荷物種類指定数の対応関係の一例を示す図である。図14Bに示すグラフの縦軸は、マッチングサービスの手数料率を指し、また、グラフの横軸は、累計約定回数に対する累計荷物種類指定数の割合(%)、すなわち累計荷物種類指定数÷累計約定回数×100を指す。図14Bに示すように、第2の手数料率は、累計約定回数に対する累計荷物種類指定数の割合(%)が高くなるに連れて低い値が設定される。より具体的には、第2の手数料率は、最大で+2.0%である一方で、最小で-0.3である。すなわち、累計約定回数に対する累計荷物種類指定数の割合(%)が20%以下である場合、第2の手数料率が2.0%加算される。これを例えると、甲が累計で荷物の種類を指定する回数が、甲が累計でマッチングサービスを介して運送取引を約定した回数の2割を切れば、ペナルティとして、2.0%加算されることを意味する。さらに、甲が累計で荷物の種類を指定する回数が、甲が累計でマッチングサービスを介して運送取引を約定した回数の3割に達すると、ペナルティが0%になることを意味する。さらに、甲が累計で荷物の種類を指定する回数が、甲が累計でマッチングサービスを介して運送取引を約定した回数の10割に達すると、割引率が1.8%になることを意味する。
図15は、実施例2に係る手数料算出処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、所定の周期、例えば一週間、隔週、一ヶ月間、隔月などで繰り返し実行することができる。図15に示すように、マッチング装置10は、甲のマスタデータに含まれる荷主コードのうち1つの荷主コードを選択する(ステップS301)。
そして、マッチング装置10は、ステップS301で選択された荷主コードを持つ甲の前月の累計約定回数が前々月の累計約定回数を下回るか否か、すなわち前月の累計約定回数<前々月の累計約定回数であるか否かを判定する(ステップS302)。
ここで、前月の累計約定回数<前々月の累計約定回数である場合(ステップS302Yes)、前月の累計約定回数が前々月の累計約定回数から下回った分が直接取引に流れている可能性があるので、甲が抜け駆けを行ったと推定される。この場合、マッチング装置10は、全期間の累計約定回数を所定の初期値、例えばゼロに初期化する(ステップS303)。
また、前月の累計約定回数<前々月の累計約定回数でない場合(ステップS302No)、マッチング装置10は、上記のステップS303の処理をスキップし、ステップS304の処理へ移行する。
その後、マッチング装置10は、全期間の累計約定回数から第1の手数料率を算出する(ステップS304)。さらに、マッチング装置10は、全期間の累計約定回数に対する全期間の累計荷物種類指定数の割合から第2の手数料率を算出する(ステップS305)。その上で、マッチング装置10は、一例として、ステップS304で算出された第1の手数料率およびステップS305で算出された第2の手数料率を加算する計算により、第1の手数料率および第2の手数料率が総合された総合手数料率を算出する(ステップS306)。
そして、甲のマスタデータに含まれる全ての荷主コードが選択されるまで(ステップS307No)、上記のステップS301から上記のステップS306までの処理が繰り返して実行される。その後、甲のマスタデータに含まれる全ての荷主コードが選択された場合(ステップS307Yes)、処理を終了する。
このように算出された総合手数料率を用いて、マッチング装置10は、甲の手数料込みの運賃上限値を算出することができる。例えば、マッチング装置10は、図11に示すステップS113の処理で下記の式(1)に求車リクエストで指定された運賃上限値および総合手数料率を代入することにより、甲の手数料込みの運賃上限値を算出することができる。
甲の手数料込みの運賃上限値=甲が指定する運賃上限値×(1-総合手数料率)・・・(1)
図14Aに示す第1の手数料率及び図14Bに示す第2の手数料率の例で言えば、総合手数料率は、上記の式(1)により1.5%~5.0%の数値範囲で算出される。このように累計約定回数が多くなるほど手数料を割り引くことができるので、甲のマッチングサービスへの参加にインセンティブを与えることもできる。さらに、累計荷物種類指定数が多くなるほど手数料を割り引くことができるので、荷物の品目の入力にインセンティブを与えることもできる。これによって、荷物の品目の統計データの収集効率を高め、その統計データの2次利用を促進できる。
なお、ここでは、荷物の品目が指定された場合、累計荷物種類指定数が1つインクリメントされる例を挙げたが、累計荷物種類指定数の計上方法はこれに限定されない。例えば、荷物の細目が入力されて始めて累計荷物種類指定数が1つインクリメントされることとしてもよいし、荷物の品目の指定に加えて細目が指定された場合、累計荷物種類指定数がさらに追加でインクリメントされることとしてもよい。これによって、荷物の細目の統計データの収集効率を高め、その統計データの2次利用を促進できる。
[乙の手数料]
上記の実施例1では、丙が乙へ与えるマッチングサービスへの参加のインセンティブとして、累計エントリ回数に応じて求貨レンジを変更する例を挙げたが、乙に他のインセンティブを与えることとしてもかまわない。例えば、マッチング装置10は、丙が乙へ課すマッチングサービスの手数料を割り引くことしてもかまわない。
図16は、マスタデータの一例を示す図である。図16に示すように、乙のマスタデータには、一例として、事業者基本情報、時間帯分布指定、参加ODペアおよび荷物属性などの項目が対応付けられたデータを採用できる。ここで言う「事業者基本情報」とは、運送事業者に関する基本情報を指し、例えば、事業者コード、信用情報、累計エントリ回数、抜け駆け回数および最新抜け駆け日などの細目がさらに含まれる。例えば、「事業者コード」は、運送事業者の識別情報の一例に対応し、例えば、英字、数字およびこれらの組合せを所定のコードに従って生成することができる。また、「信用情報」とは、乙の丙に対する信用情報を指し、例えば、上記のマッチングサービスに対する乙の支払い状況、例えば遅滞支払い履歴などを指す。また、「累計エントリ回数」とは、乙が上記のマッチングサービスに参加した回数の累計値を指し、例えば、これまでの全期間、前月、前々月といった単位で累計値を格納することができる。また、「抜け駆け回数」とは、乙が上記のマッチングサービスを行わずに甲と直接取引を行うことにより抜け駆けした回数を指す。例えば、所定の周期、例えば一ヶ月が経過する度に、前月の累計エントリ回数が前々月の累計エントリ回数を下回ったか否かを判定する。その上で、前月の累計エントリ回数が前々月の累計エントリ回数を下回った場合、抜け駆け回数を1つインクリメントする。また、「最新抜け駆け日」とは、最新に抜け駆けが行われた日時を指し、例えば、抜け駆け回数が最後にインクリメントされた時点を最新抜け駆け日として登録することができる。
また、「参加ODペア」とは、乙が上記のマッチングサービスに参加する際に典型パターンとして用いられるODペアを指す。また、「荷物属性」とは、荷物の属性情報を指し、例えば、品目、細目、重量、容積、荷姿などの項目がさらに含まれる。このうち、「品目」とは、荷物の種類が分類されたカテゴリを指す。また、「細目」とは、品目がさらに詳細に分類されたカテゴリを指す。また、「重量」とは、甲が乙に運送を依頼する荷物の重量を指す。また、「容積」とは、甲が乙に運送を依頼する荷物の容積を指す。また、「荷姿」とは、荷物の外観を指し、例えば、パレット、スキッド、ケースおよびカートン等の梱包形態などが対応する。
ここで、「下限値の時間帯分布指定」とは、運賃下限値を複数の時間帯に分布して指定させる項目を指す。すなわち、上記の実施例1では、1つの求貨リクエストで指定される時間帯が1つである例を挙げたが、1つの求貨リクエストで複数の時間帯が指定されることとしてもかまわない。このとき、複数の時間帯の間で必ずしも同一の運賃下限値が指定されずともかまわない。
例えば、乙にとって運送取引のモチベーションが高い時間帯ほど運賃下限値を引き下げ、また、乙にとって運送取引のモチベーションが低い時間帯ほど運賃下限値を引き上げるといった柔軟な指し値を実現する側面から、次のような設定を受け付ける。すなわち、乙が求貨リクエストで運送取引を希望する時間帯をxx日yy時~xx日yy+n時とし、その時間帯における運賃下限値を「100%」としたとき、当該時間帯を含む前後5つの時間帯、例えば「yy-3n時~yy-2n時」、「yy-2n時~yy-n時」、「yy-n時~yy時」、「yy+n時~yy+2n」で運賃下限値に対する比率の設定を受け付ける。
図16に示す例で言えば、時間帯「yy-3n時~yy-2n時」にはブランクが設定され、時間帯「yy-2n時~yy-n時」には比率「80%」が設定され、時間帯「yy-n時~yy時」には比率「90%」が設定されると共に、時間帯「yy+n時~yy+2n」には比率「70%」が設定されている。この場合、図17に示す通りの指し値となる。図17は、時間帯分布指定の一例を示す図である。図17に示すように、図16に示すマスタデータに設定された時間帯分布指定に従えば、乙が求貨リクエストで時間帯および運賃単価を指定した段階で、次のような指し値が可能である。例えば、時間帯「yy-3n時~yy-2n時」には指し値がなされず、当該時間帯でのマッチングには参加されない。次に、時間帯「yy-2n時~yy-n時」には、運賃単価から甲の求車リクエスト個別に定まる運賃下限値の80%の指し値でマッチングに参加される。次に、時間帯「yy-n時~yy時」には、運賃単価から甲の求車リクエスト個別に定まる運賃下限値の90%の指し値でマッチングに参加される。次に、時間帯「yy+n時~yy+2n」には、運賃単価から甲の求車リクエスト個別に定まる運賃下限値の70%の指し値でマッチングに参加される。なお、ここでは、あくまで一例として、100%以下の比率が設定されている例を挙げたが、当然のことながら、時間帯分布指定には100%を超える比率が設定されることとしてもかまわない。
このようなマスタデータが登録された状況の下、例えば、マッチング装置10は、図11に示すステップS116で乙の手数料込みの運賃下限値が算出される段階で、全期間の累計エントリ回数に応じて丙が乙へ課す手数料を割り引くことができる。
図18は、手数料率及び累計約定回数の対応関係の一例を示す図である。図18に示すグラフの縦軸は、乙に課すマッチングサービスの手数料率を指し、また、グラフの横軸は、累計約定回数を指す。図18に示すように、手数料率は、累計約定回数が多くなるに連れて低い値が設定される。より具体的には、手数料率は、最大で3.0%として設定される一方で、最小で1.5%が設定される。すなわち、累計約定回数が3回以下である場合、手数料率が3.0%であるのに対し、累計約定回数が20回に達すると、手数料率が1.5%まで割り引かれる。
図19は、実施例2に係る手数料算出処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、所定の周期、例えば一週間、隔週、一ヶ月間、隔月などで繰り返し実行することができる。図18に示すように、マッチング装置10は、乙のマスタデータに含まれる事業者コードのうち1つの事業者コードを選択する(ステップS501)。
そして、マッチング装置10は、ステップS501で選択された事業者コードを持つ乙の前月の累計約定回数が前々月の累計約定回数を下回るか否か、すなわち前月の累計約定回数<前々月の累計約定回数であるか否かを判定する(ステップS502)。
ここで、前月の累計約定回数<前々月の累計約定回数である場合(ステップS502Yes)、前月の累計約定回数が前々月の累計約定回数から下回った分が直接取引に流れている可能性があるので、乙が抜け駆けを行ったと推定される。この場合、マッチング装置10は、全期間の累計約定回数を所定の初期値、例えばゼロに初期化する(ステップS503)。
また、前月の累計約定回数<前々月の累計約定回数でない場合(ステップS502No)、マッチング装置10は、上記のステップS503の処理をスキップし、ステップS504の処理へ移行する。
その後、マッチング装置10は、全期間の累計約定回数から手数料率を算出する(ステップS504)。そして、乙のマスタデータに含まれる全ての事業者コードが選択されるまで(ステップS505No)、上記のステップS501から上記のステップS504までの処理が繰り返して実行される。その後、乙のマスタデータに含まれる全ての事業者コードが選択された場合(ステップS505Yes)、処理を終了する。
このように算出された数料率を用いて、マッチング装置10は、乙の手数料込みの運賃上限値を算出することができる。例えば、マッチング装置10は、図11に示すステップS116の処理で下記の式(2)に求貨リクエストで指定された運賃下限値の時間帯分布指定の指し値および手数料率を代入することにより、乙の手数料込みの運賃下限値を算出することができる。
乙の手数料込みの運賃下限値=乙が指定する運賃下限値×(1+手数料率)・・・(2)
図18に示す手数料率の例で言えば、手数料率は、上記の式(2)により1.5%~3.0%の数値範囲で算出される。このように累計約定回数が多くなるほど手数料を割り引くことができるので、乙のマッチングサービスへの参加に更なるインセンティブを与えることもできる。
ここで、甲が指定する運賃上限値をAとし、甲の手数料込みの運賃上限値をBとし、乙の手数料込みの運賃下限値をCとし、乙が指定する運賃下限値をDとしたとき、これらは下記の(3)および下記の(4)の大小関係となる。そして、下記の(5)が成立するとき、価格のマッチングが成立する。この場合、丙のマッチングサービスの手数料は、下記の(6)の通りとなる。なお、価格のマッチングがB>Cで成立する場合、(B-C)をCに加算することにより、乙の運賃はBに引き上げる。
A>B・・・(3)
C>D・・・(4)
B≧C・・・(5)
A-B+C-D・・・(6)
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されておらずともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、第1受付部15a、第2受付部15bまたはマッチング処理部17をマッチング装置10の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、第1受付部15a、第2受付部15bまたはマッチング処理部17を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記のマッチング装置10の機能を実現するようにしてもよい。また、記憶部13に記憶される運行計画情報13a、求貨情報13b、エントリ情報13cおよび求車情報13dの全部または一部を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記のマッチング装置10の機能を実現するようにしてもかまわない。
[マッチングプログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図20を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するマッチングプログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
図20は、実施例1~実施例2に係るマッチングプログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。図20に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180とを有する。これら110~180の各部はバス140を介して接続される。
HDD170には、図20に示すように、上記の実施例1で示した第1受付部15a、第2受付部15b及びマッチング処理部17と同様の機能を発揮するマッチングプログラム170aが記憶される。このマッチングプログラム170aは、図5に示した第1受付部15a、第2受付部15bまたはマッチング処理部17の各構成要素と同様、統合又は分離してもかまわない。すなわち、HDD170には、必ずしも上記の実施例1で示した全てのデータが格納されずともよく、処理に用いるデータがHDD170に格納されればよい。
このような環境の下、CPU150は、HDD170からマッチングプログラム170aを読み出した上でRAM180へ展開する。この結果、マッチングプログラム170aは、図20に示すように、マッチングプロセス180aとして機能する。このマッチングプロセス180aは、RAM180が有する記憶領域のうちマッチングプロセス180aに割り当てられた領域にHDD170から読み出した各種データを展開し、この展開した各種データを用いて各種の処理を実行する。例えば、マッチングプロセス180aが実行する処理の一例として、図10~図12や図15、図19に示す処理などが含まれる。なお、CPU150では、必ずしも上記の実施例1で示した全ての処理部が動作せずともよく、実行対象とする処理に対応する処理部が仮想的に実現されればよい。
なお、上記のマッチングプログラム170aは、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶されておらずともかまわない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にマッチングプログラム170aを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体からマッチングプログラム170aを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などにマッチングプログラム170aを記憶させておき、コンピュータ100がこれらからマッチングプログラム170aを取得して実行するようにしてもよい。
本実施例では復路の配車計画が未策定である場合を例に説明した。マッチングシステム1は、本実施例に限らず、往路の配車計画が未策定である車両や、荷卸地から次の荷積地に移動する配車計画が未策定である車両に対しても、求貨リクエストをマッチングすることが可能である。例えば、当初の運行計画では、車両が富山県から出発して、東京都で荷主の荷物を荷積みして、富山県に荷物を運ぶものとする。この運行計画では、出発地である富山県から東京都まで車両は空車の状態で移動することとなり無駄が生じている。上記の運行計画における富山県から東京都までの空車での移動について、マッチングシステム1が新潟県で荷物を受け取り、東京で荷卸をする荷物運送業務をマッチングさせることができれば、往路の無駄を削減することができる。
往路又は途中経路にて求貨求車マッチングを行う場合、マッチングシステム1は、当初の運行計画に登録されている出発地からマッチング対象となる荷積地までの移動時間、及び/又は、当初の運行計画に登録されている荷積み地からマッチング対象となる荷卸地までの移動時間を乙のエントリ回数に応じて拡張することをインセンティブとすることができる。
例えば、マッチングシステム1は、運行計画における出発地を空車の状態で出発して最初の荷積地までの往路についてマッチングを行う場合、荷積地、荷積時刻、荷卸地および荷卸時刻を含む条件が指定された求車リクエストと、車両の出発地、前記車両が荷物を荷積みする予定地、及び、前記予定地への到着予定時刻を含む条件が指定された求貨リクエストとを受け付ける。マッチングシステム1は、前記求貨リクエストで指定される出発地及び前記求車リクエストで指定される荷積地の間のマッチング、又は、前記求貨リクエストで指定される予定地及び前記求車リクエストで指定される荷卸地の間のマッチングで前記求貨リクエストが抽出される距離及び/又は移動時間のレンジを前記マッチングへのエントリ回数に応じて設定する。
例えば、マッチングシステム1は、運行計画における途中地点でのマッチングを行う場合、荷積地、荷積時刻、荷卸地および荷卸時刻を含む条件が指定された求車リクエストと、車両が空車になる第1の予定地および前記第1の予定地に到着する第1の予定時刻、並びに、前記第1の予定地の次に移動する地点であって、前記車両が荷物を荷積みする第2の予定地および前記第2の予定地に到着する第2予定時刻とを含む条件が指定された求貨リクエストとを受け付ける。マッチングシステム1は、前記求貨リクエストで指定される第1の予定地及び前記求車リクエストで指定される荷積地の間のマッチング、及び/又は、前記求貨リクエストで指定される第2の予定地及び前記求車リクエストで指定される荷卸地の間のマッチングについて、前記求貨リクエストが抽出される距離及び/又は移動時間のレンジを前記マッチングへのエントリ回数に応じて設定する。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)荷積地、荷積時刻、荷卸地及び荷卸時刻を含む条件が指定された求車リクエストと、車両が空車になる第1の予定地及び前記第1の予定地への第1の到着予定時刻を含む第1の条件、車両の出発地、前記車両が荷物を荷積みする第2の予定地及び前記第2の予定地への第2の到着予定時刻を含む第2の条件、又は、車両が空車になる第3の予定地及び前記第3の予定地に到着する第3の到着予定時刻、並びに、前記第3の予定地の次に移動する地点であって、前記車両が荷物を荷積みする第4の予定地及び前記第4の予定地に到着する第4予定時刻を含む第3の条件の何れかが指定された求貨リクエストとを受け付け、
前記求車リクエストで指定された条件に適合する条件が指定された求貨リクエストを抽出し、
抽出された求貨リクエストのうち、運行計画に設定された運行ルートに前記求車リクエストで指定された条件に対応する求車ルートが追加された場合の所要時間に基づく労働実績が所定の労働基準を超える求貨リクエストを前記求車リクエストのマッチング相手から除外する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするマッチングプログラム。
(付記2)前記労働実績は、前記所要時間に対応する連続勤務時間であることを特徴とする付記1に記載のマッチングプログラム。
(付記3)前記労働実績は、前記所要時間のうち、前記運行ルートに前記求車ルートが追加された運行ルートのうち休憩、荷積み又は荷卸しのポイントが含まれずに連続して運転が行われる区間に対応する連続運転時間であることを特徴とする付記1に記載のマッチングプログラム。
(付記4)荷積地、荷積時刻、荷卸地及び荷卸時刻を含む条件が指定された求車リクエストと、車両が空車になる第1の予定地及び前記第1の予定地への第1の到着予定時刻を含む第1の条件、車両の出発地、前記車両が荷物を荷積みする第2の予定地及び前記第2の予定地への第2の到着予定時刻を含む第2の条件、又は、車両が空車になる第3の予定地及び前記第3の予定地に到着する第3の到着予定時刻、並びに、前記第3の予定地の次に移動する地点であって、前記車両が荷物を荷積みする第4の予定地及び前記第4の予定地に到着する第4予定時刻を含む第3の条件の何れかが指定された求貨リクエストとを受け付け、
前記求車リクエストで指定された条件に適合する条件が指定された求貨リクエストを抽出し、
抽出された求貨リクエストのうち、運行計画に設定された運行ルートに前記求車リクエストで指定された条件に対応する求車ルートが追加された場合の所要時間に基づく労働実績が所定の労働基準を超える求貨リクエストを前記求車リクエストのマッチング相手から除外する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするマッチング方法。
(付記5)前記労働実績は、前記所要時間に対応する連続勤務時間であることを特徴とする付記4に記載のマッチング方法。
(付記6)前記労働実績は、前記所要時間のうち、前記運行ルートに前記求車ルートが追加された運行ルートのうち休憩、荷積み又は荷卸しのポイントが含まれずに連続して運転が行われる区間に対応する連続運転時間であることを特徴とする付記4に記載のマッチング方法。
(付記7)荷積地、荷積時刻、荷卸地及び荷卸時刻を含む条件が指定された求車リクエストと、車両が空車になる第1の予定地及び前記第1の予定地への第1の到着予定時刻を含む第1の条件、車両の出発地、前記車両が荷物を荷積みする第2の予定地及び前記第2の予定地への第2の到着予定時刻を含む第2の条件、又は、車両が空車になる第3の予定地及び前記第3の予定地に到着する第3の到着予定時刻、並びに、前記第3の予定地の次に移動する地点であって、前記車両が荷物を荷積みする第4の予定地及び前記第4の予定地に到着する第4予定時刻を含む第3の条件の何れかが指定された求貨リクエストとを受け付ける受付部と、
前記求車リクエストで指定された条件に適合する条件が指定された求貨リクエストを抽出する抽出部と、
抽出された求貨リクエストのうち、運行計画に設定された運行ルートに前記求車リクエストで指定された条件に対応する求車ルートが追加された場合の所要時間に基づく労働実績が所定の労働基準を超える求貨リクエストを前記求車リクエストのマッチング相手から除外する除外部と、
を有することを特徴とするマッチング装置。
(付記8)前記労働実績は、前記所要時間に対応する連続勤務時間であることを特徴とする付記7に記載のマッチング装置。
(付記9)前記労働実績は、前記所要時間のうち、前記運行ルートに前記求車ルートが追加された運行ルートのうち休憩、荷積み又は荷卸しのポイントが含まれずに連続して運転が行われる区間に対応する連続運転時間であることを特徴とする付記7に記載のマッチング装置。