JP6623206B2 - 不織布の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は不織布の製造方法及び製造装置に関する。
従来、凹凸形状を有する不織布を製造する技術が知られている。
例えば、特許文献1に記載の不織布の製造方法においては、不織布化される前の繊維ウエブに対し2段階の熱風処理によって凹凸形状を有する不織布を得る。具体的には、第1の熱風によって繊維ウエブを支持体の凹凸形状に沿わせて賦形して仮融着し、第2の熱風によって繊維ウエブの凹凸形状を固定して不織布化する。
特許文献2には、上記のような繊維ウエブではなく、繊維同士の交点が既に融着固定された不織布を凹凸賦形する技術が記載されている。同文献においては、加工対象の不織布を予熱加工した後に、噛み合いながら回転する一対の延伸ロールによって前記不織布を延伸し、凹凸賦形することが記載されている。
特開2012−144834号公報 特開2016−123651号公報
特許文献1記載の製造方法において、繊維同士の移動が生じ易い繊維ウエブに付与した凹凸形状の保持性を高めて、賦形性の高い不織布を得ることができる。凹凸賦形に関し、不織布の風合いを高める観点から、より柔らかく、嵩高く(見掛け厚みを大きく)することが望まれており、改善の余地がある。
一方、特許文献2記載の製造方法においては、繊維ウエブではなく不織布を加工対象とするため、繊維同士の融着により繊維の移動が生じ難く、凹凸形状への賦形性が低い。また、繊維の移動が生じ難い不織布に対してロールの噛み合いによって延伸するため、硬くなる部分が生じてしまう。そのため、賦形された不織布全体の柔らかさを保持することが難しい。さらに賦形性を高めるために延伸の程度を高め過ぎては、不織布の強度が低下して所望の凹凸形状が得られない虞がある。
本発明は、不織布化される前の繊維ウエブを用いて、高低差のある凹凸賦形を精度よく行い、柔らかく嵩高い不織布を製造する方法及び装置に関する。
本発明は、複数の凸部、複数の該凸部の間に配された凹部、及び、該凹部の底部に配された開孔を有し、前記凹部が第一方向に延在し、複数の前記凸部が前記第一方向と交差する第二方向に離間して配された支持体上に、繊維ウエブを載置し、前記第一方向に延在する前記凹部に沿って、前記繊維ウエブを、押し込み部材の押し込み部によって押し込む、押し込み工程と、次いで熱風を吹き付けて前記繊維ウエブ中の繊維同士を融着する熱融着工程とを有する不織布の製造方法を提供する。
また、本発明は、複数の凸部、複数の該凸部の間に配された凹部、及び、該凹部の底部に配された開孔を有し、前記凹部は第一方向に延在し、複数の前記凸部は前記第一方向と交差する第二方向に離間して配された支持体を有し、前記第一方向に延在する前記凹部に沿って挿入する押し込み部を具備する押し込み部材を有し、前記押し込み部材の下流に熱風吹き付け部を有する不織布の製造装置を提供する。
本発明によれば、不織布化される前の繊維ウエブを用いて、高低差のある凹凸賦形を精度よく行い、柔らかく嵩高い不織布を製造することができる。
本発明の不織布の製造方法及び製造装置の好ましい一実施形態(第1実施形態)を示した概略構成図である。 (A)は第1実施形態において用いられる支持体を模式的に示す斜視図であり、(B)は(A)示す支持体の周面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 (A)は第1実施形態において用いられる押し込み部材を模式的に示す斜視図であり、(B)は(A)に示す押し込み部材の周面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 (A)は第1実施形態において製造することができる不織布の具体例を示す、第一面を上側にして示す図面代用写真であり、(B)は(A)に示す不織布の第二面を上側にして示す図面代用写真であり、(C)は(A)に示す不織布の第一方向に沿った右側面を示す図面代用写真である。 (A)は第1実施形態において製造することができる不織布の別の具体例を示す、第一面を上側にして示す図面代用写真であり、(B)は(A)に示す不織布の第二面を上側にして示す図面代用写真であり、(C)は(A)に示す不織布の第一方向に沿った右側面を示す図面代用写真である。 本発明の不織布の製造方法及び製造装置の別の好ましい一実施形態(第2実施形態)を示した概略構成図である。 第2実施形態において用いられる押し込み部材の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 (A)は本発明の不織布の製造方法及び製造装置の別の好ましい一実施形態(第3実施形態)において、用いられる押し込み部材を模式的に示す斜視図であり、(B)は(A)に示す押し込み部材の周面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 (A)は第3実施形態において製造することができる不織布の具体例を示す、第一面を上側にして示す図面代用写真であり、(B)は(A)に示す不織布の第二面を上側にして示す図面代用写真である。
本発明に係る不織布の製造方法は、次の2つの工程を有する。
(A1)支持体が、複数の凸部、複数の該凸部の間に配された凹部、及び、該凹部の底部に配された開孔を有し、前記凹部は第一方向に延在し、複数の前記凸部は前記第一方向と交差する第二方向に離間して配されており、前記支持体上に、繊維ウエブを載置し、前記第一方向に延在する前記凹部に沿って、前記繊維ウエブを、押し込み部材の押し込み部によって押し込む、押し込み工程。
(A2)次いで熱風を吹き付けて前記繊維ウエブ中の繊維同士を融着する熱融着工程。
本発明に係る不織布の製造装置は、前記(A1)の押し込み工程に用いる前記支持体及び前記押し込み部材、並びに前記押し込み部材の下流に配された、前記(A2)の熱融着工程に用いる熱風吹き付け部を備える。
さらに支持体及び押し込み部材の上流には、繊維ウエブの供給部が配される。繊維ウエブの供給部は、繊維ウエブの製造部と送給部とを備える。前記製造部においては、種々の厚み及び坪量の繊維ウエブを製造することができる。例えばカード機を用いて、またエアレイド法やスパンボンド法によって繊維ウエブを製造することができる。前記送給部においては、製造された繊維ウエブを、例えばベルトコンベア等の種々の手段によって前記支持体及び押し込み部の位置まで送る。
本発明において用いる「繊維ウエブ」とは、構成繊維が融着固定されずに緩やかに交絡し、それ自体ではシートとしての保形性を有さない繊維集合体のことである。すなわち、不織布化される前の繊維集合体である。そのため、繊維ウエブにおける繊維間の移動性は高く、前記(A1)の押し込み工程における繊維ウエブの変形性が高い。
前記(A1)の押し込み工程(以下、工程(A1)ともいう。)は、不織布化する前の繊維ウエブに対し接触方式によって凹凸賦形を行う。具体的には、押し込み部材の押し込み部が機械的な圧力で直接的に繊維ウエブを押し込む。これにより、繊維ウエブが支持体の形状に沿って凹凸に賦形される。また、風などの、機械的でない圧力で押し込んだ場合に比べ、繊維が強配向し、不織布平面に対して垂直な配向を得ることもできる。
工程(A1)では、押し込みの深さによって、様々な厚みの繊維ウエブに対して、所望の凹凸高低差を付与することができる。すなわち押し込み深さを制御することによって、凹凸高低差を精度よく付与することができる。このとき、繊維ウエブに対して賦形する凹凸高低差を大きくするのに、さほど押し込む力を強くする必要がなく、繊維ウエブを柔らかく賦形することができる。また、繊維の乱れを抑えて賦形性を高めることができる。
また、工程(A1)では、繊維ウエブを直接的に接触方式で押し込むため、繊維の戻りが生じ難く、凹凸形状の保持性が高い。さらに、賦形対象が繊維ウエブであるため、繊維の移動が制限された従来の不織布のようにシート面を延伸して賦形するのではなく、繊維の配置と配向とを変えることで賦形を行う。そのため、従来の不織布に対する延伸加工に比べて、押し込み力を過度に高めずとも破断なく賦形性を高めることができる。また、不織布を賦形した場合には、不織布自体が持つ繊維配向(例えばMD配向)が賦形後も維持される一方、繊維ウエブを賦形した場合には、繊維ウエブが当初持っていた配向に関係なく、全方向が賦形による配向方向に沿うことができる。また賦形には、繊維を溶融させる加熱や圧搾を使用しない。そのため不織布を賦形するのとは異なり、賦形による部分的な繊維の硬化が生じ難い。凹凸の高低差を大きくする賦形を行う場合でも、全体のふわっとした柔らかさ、言い換えれば、全体の綿のような柔らかさが保持される。これらのことから、支持体における凸部の高さ及び凸部の起立角度、押し込み部材の押し込み部の長さの設定の幅が従来に比べて大きく、賦形性を高めることができる。
工程(A1)において、繊維ウエブの厚み表面が支持体の凸部の頂部の高さよりも低くなるまで押し込むことが好ましい。一方で、押し込み深さは、支持体の凹部の底部に達しない位置までに留めることが好ましい。押し込み深さを、繊維ウエブの厚み表面が支持体の凸部の頂部の高さよりも低くなるまでとする場合、両面に凹凸が付与され、繊維ウエブの一方の面の凹部及び凸部は、反対面の凸部及び凹部となる。
工程(A1)において、支持体と押し込み部材とが干渉しないようにする観点から、支持体の凸部の間隔(凹部の幅)よりも、押し込み部材の押し込み部の幅の方が小さくされていることが好ましい。また、これによって繊維ウエブに対する過度の圧力を回避することができ、繊維ウエブの硬化を回避する観点から好ましい。
具体的には、押し込み部材の押し込み部の幅と支持体の凸部の間隔との差は、両部材の干渉回避の観点から、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上が更に好ましい。また、前記の差は、繊維ウエブに対する凹凸賦形を良好なものとする観点から、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下が更に好ましい。具体的には、1mm以上10mm以下が好ましく、1.5mm以上9mm以下がより好ましく、2mm以上8mm以下が更に好ましい。
なお、前記の関係は、第二方向における間隔について示している。すなわち、第二方向に離間する複数の凸部の間隔(H1)と、第一方向に延在する各押し込み部の第二方向の幅(H2)との関係を示している。この前記間隔(H1)及び幅(H2)の関係は、後述のように複数の凸部が第一方向にも離間し、これに対応して押し込み部材が、第二方向に延在し第一方向に離間する複数の押し込み部を有する場合にもあてはまる。すなわち、第一方向に離間した複数の凸部の間隔(H3)と、第二方向に延在する各押し込み部の第一方向の幅(H4)との間にも当てはまる。この点は後述する実施形態において詳述する。
工程(A1)において、支持体は、繊維を溶融させないようにする観点から、繊維ウエブが有する繊維のうち最も融点が低い樹脂の融点よりも低い温度とすることが好ましい。具体的には、工程(A1)において、支持体は130℃以下にされていることが好ましく、110℃以下にされていることがより好ましく、100℃以下にされていることが更に好ましい。
また、繊維ウエブの厚み及び坪量は、工程(A1)において柔らかさを維持する程度に適切に押し込み処理できる範囲で、適宜設定することができる。例えば、繊維ウエブの厚みは、凹凸の高低差を明確にする観点から、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、6mm以上が更に好ましい。繊維ウエブの厚みは、全体の柔らかさを維持する観点から、150mm以下が好ましく、120mm以下がより好ましく、100mm以下が更に好ましい。具体的には、3mm以上150mm以下が好ましく、5mm以上120mm以下がより好ましく、6mm以上100mm以下が更に好ましい。また、繊維ウエブの坪量は、凹凸の高低差を明確にする観点から、10g/m以上が好ましく、12g/m以上がより好ましく、15g/m以上が更に好ましい。繊維ウエブの厚みは、全体の柔らかさを維持する観点から、100g/m以下が好ましく、80g/m以下がより好ましく、60g/m以下が更に好ましい。具体的には、10g/m以上100g/m以下が好ましく、12g/m以上80g/m以下がより好ましく、15g/m以上60g/m以下が更に好ましい。
前記(A2)の熱融着工程(以下、工程(A2)ともいう。)は、工程(A1)で賦形した繊維ウエブに対し、支持体上で凹凸に賦形したまま熱処理を行う。その際、支持体の凹部底部に有する開孔を通して、熱風が吹き抜けるようにされている。これにより、繊維ウエブの繊維同士の融着処理を行って不織布化し、凹凸形状の不織布を得る。
工程(A2)において、熱風の温度は、繊維ウエブが有する繊維のうち最も融点が低い樹脂の融点より高く設定される。不織布に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、熱風の温度と、繊維ウエブが有する繊維のうち最も融点が低い樹脂の融点との差は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。また、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。具体的には、0℃以上60℃以下が好ましく、5℃以上40℃以下がより好ましく、10℃以上30℃以下が更に好ましい。
また、工程(A2)において、熱風の風速は、支持体の凸部の高さにもよるが、2m/s以上が好ましく、3m/s以上がより好ましい。これにより、繊維への熱伝達を十分なものとして繊維同士を融着させ、凹凸形状の固定を十分なものとすることができる。また、熱風の風速は、50m/s以下が好ましく、40m/s以下がより好ましい。これにより、繊維へ過度な熱伝達を抑えて、不織布の風合いを良好なものとすることができる。
本発明に係る不織布の製造方法及び製造装置を用いれば、高低差のある凹凸賦形を精度よく行い、柔らかく嵩高い不織布を製造することができる。特に、工程(A1)と工程(A2)とに処理工程を分け、この順に処理を行うことによって、繊維ウエブに対して、繊維の乱れなく、高低差のある凹凸賦形を精度よく効率的に行うこができる。
このようにして製造された嵩高い不織布は、厚み方向の圧縮変形量が大きく厚み回復率の高いものとなり、クッション性に優れ風合いの良いものとなり得る。また、不織布化する前の繊維ウエブを賦形するため、繊維の配向性を制御して凹凸形状の保形性が高い不織布を製造することができる。
本発明において、支持体は、第一方向に延在する凹部を有し、凸部が前記第一方向と交差する第二方向に離間している。前記凹部が第一方向に延在するとは、該凹部が第一方向に筋状に連続していることである。
前記第一方向及び第二方向は、互いに交差する方向である限り、賦形したい凹凸形状に合わせて適宜設定できる。例えば、前記第一方向を、製造工程における機械流れ方向(Machine Direction;MD)と一致させることができる。ここで言う機械流れ方向とは、製造工程が順に進められる方向であり、繊維ウエブの搬送方向である。すなわち、搬送される繊維ウエブの長手方向である。また、前記第二方向を、前記機械流れ方向と直交する幅方向(Cross Direction;CD)に一致させることができる。ここで言う幅方向とは、搬送される繊維ウエブの幅方向である。第一方向をMD方向に一致させ、第二方向をCD方向に一致させる場合、第二方向に一致する繊維ウエブの幅方向に沿って凹凸が形成される。この繊維ウエブに形成された凹部及び凸部は、第一方向に一致する繊維ウエブの機械流れ方向(長手方向)に延在する。
「機械流れ方向と一致する」とは、前記機械流れ方向に対し、前記第一方向が−0.5°以上+0.5°以下の範囲にあることを意味する。また、前記機械流れ方向に対し、前記第一方向が、好ましくは−0.2°以上、より好ましくは−0.1°以上、また、好ましくは+0.2°以下、より好ましくは+0.1°以下の範囲である。これにより、支持体の凸部と押し込み部材の押し込み部との間の隙間を設定した範囲で十分にとることができ、互いの干渉を回避して、良好な賦形を行うことができる。具体的には、−0.2°以上+0.2°以下が好ましく、−0.1°以上+0.1°以下がより好ましい。
さらに、本発明に係る支持体において、前記凸部が前記第一方向にも離間していることが、より多様な凹凸形状を賦形できる観点から好ましい。該賦形性の観点から、第一方向に離間した前記凸部の間に、前記第二方向に延在する凹部を有することがより好ましい。前記押し込み部材は、前記第二方向に延在する前記凹部に沿っても、前記繊維ウエブを押し込むようにしてもよい。本発明においては、このように互いに交差する第一方向及び第二方向のそれぞれに沿って凹凸賦形を行っても、前述のとおり全体の柔らかさを維持できるため、柔らかく嵩高い不織布を製造することができる。
本発明の不織布の製造方法においては、(A1)の押し込み工程の後、押し込み部材を繊維ウエブから外した後に、(A2)の熱融着工程の熱風を吹き付ける処理を行ってもよい。押さえ部材が無い状態で熱風を吹き付けると、ふっくらした不織布、言い換えれば柔らかく膨らんだ不織布を製造することができる。
さらに、上記のように押し込み部材を繊維ウエブから外した後に、該繊維ウエブを支持体に沿わせた状態のまま、繊維ウエブの支持体とは反対側の面に、他の繊維ウエブを載置してもよい。この場合、支持体に沿わされた繊維ウエブと載置された他の繊維ウエブとに対して(A2)の熱融着工程が行われ、2層構造でより嵩高い不織布が製造される。
また、押し込み部材及び支持体を熱風の吹き抜ける構造にして、(A1)の押し込み工程の後、繊維ウエブを前記支持体及び前記押し込み部材で挟んで、(A2)の熱融着工程において、前記支持体及び前記押し込み部材が互いに遊挿された状態で、熱風を吹き付ける処理を行ってもよい。押し込み部材の形状によっては、より均等な形状の賦形をすることができる。
また、本発明において、熱風吹き付け部の下流に冷却部を備え、(A2)の熱融着工程の後に、支持体及び賦形された不織布に対して冷却処理を行う冷却工程(A3)を有することが好ましい。冷却工程は、支持体を、繊維ウエブが有する繊維のうち最も融点が低い樹脂の融点よりの低い温度まで冷却することが好ましい。具体的には、冷却工程は、支持体を、130℃以下まで冷却することが好ましく、110℃以下まで冷却することがより好ましく、100℃以下まで冷却することがより好ましい。
(A3)の冷却工程によって、賦形された不織布を支持体から剥がす際に形状が保持されやすく、賦形によって付与されたクッション性が良好なものとなる。また、支持体が冷却されることによって、次の繊維ウエブに対する(A1)の押し込み工程において、繊維ウエブの溶融の発生を防止することができる。
本発明に係る不織布の製造方法及び製造装置において、繊維ウエブに対する凹凸賦形は、バッチ的で行ってもよく、連続的に行ってもよい。連続的に行う場合、支持体は、凸部を外方に向けた周面を持ち、回転する構造であることが好ましい。同様に、押し込み部材は、支持体と遊挿し合う面を外方に向けた周面を持ち、回転する構成であることが好ましい。回転する構造としては、不織布の製造に通常用いられる種々の態様のものを特に制限なく採用することができる。例えば、回転するドラム形状のもの、ベルト状にしたものなどが挙げられる。
以下、本発明に係る不織布の製造方法及び製造装置について、好ましい実施形態(第1実施形態〜第3実施形態)を挙げて、図面を参照してより具体的に説明する。第1実施形態〜第3実施形態のいずれにおいても、前述した事項が適用され得る。
まず、図1〜3を参照して、第1実施形態の不織布の製造方法について、好ましく用いられる不織布の製造装置100と共に説明する。
不織布の製造装置100は、ドラム形状にした支持体1及び押し込み部材2を備える。ドラム形状の支持体1及び押し込み部材2は互いに対向配置されており、上流から搬送されてくる加工対象の繊維ウエブ70を挟み込んで回転する。
ドラム形状の支持体1及び押し込み部材2の上流には、前述した繊維ウエブ70の供給部(図示せず)を備え、所望の厚み及び坪量の繊維ウエブ70を製造して、支持体1及び押し込み部材2の位置まで送給する。図1には、繊維ウエブ70の供給部が有する送給部として、送給ベルトコンベア9が示されている。
支持体1は、図2(A)及び(B)に示すように、複数の凸部11、複数の凸部11間に配された凹部12、及び、凹部12の底部12Tに配された開孔13を有する。これにより、支持体1は、凸部11を外方に向けた周面を持ち、回転する構成にされている。
複数の凹部12は、第一方向Xに延在する第一凹部121を有する。複数の凸部11は、第一方向Xと交差する第二方向Yに離間して配されている。第1実施形態における第一方向Xは、製造装置100における機械流れ方向(MD)に一致する方向である。該機械流れ方向は、ドラム形状の支持体1の回転方向であり、繊維ウエブ70が支持体1に沿って搬送される方向である。第1実施形態における第二方向Yは、製造装置100における機械流れ方向(MD)と直交する幅方向(CD)に一致する方向である。該幅方向は、ドラム形状の支持体1の回転軸方向であり、繊維ウエブ70の幅方向である。
さらに第1実施形態において、凸部11は第一方向Xにも離間して配されている。すなわち、凸部11は、支持体11の周面において、回転方向及び回転軸方向に互いに離間して、複数配されている。これより、凹部12は、前述の第一方向Xに延在する第一凹部121に加え、第二方向Yに延在する第二凹部122を有する。凹部12は、第一凹部121と第二凹部122とによって、支持体1の周面に格子状に配されている。
なお、第一方向Xが機械流れ方向に一致するとは、両者の方向がなす各度が前述した範囲あることであり、前述の好ましい範囲にあることが好ましい。ただし、第一方向X及び第二方向Yは本実施形態のものに限定されるものではなく、目的の賦形に応じて種々設定できる。また、凸部11の離間方向及び凹部12の延在方向は、本実施形態に限定されるものではない。凸部11は第一方向Xに離間していなくてもよく、凹部12は第二方向Yに延在するものを有さなくてもよい。
図2(A)及び(B)は、凸部11を、四角柱の形状を有し凸部11の頂部11Tが平面にされたものとして示している。ただし、凸部11の形状はこれに限定されるものではない。凸部11の形状は、押し込み部材2によって繊維ウエブ70を適切に押し込むことができる限り、目的の賦形形状に応じて種々設定できる。また、凸部11の高さは、目的とする凹凸の高低差に応じて種々設定できる。凸部11の高さは、賦形対象の繊維ウエブ70の厚み及び坪量にもよるが、凹凸の高低差を明確にする観点から、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましい。また、凸部11の高さは、加工した不織布自身の凹凸形状保持の観点から、15mm以下が好ましく、13mm以下がより好ましく、12mm以下が更に好ましい。具体的には、3mm以上15mm以下が好ましく、4mm以上13mm以下がより好ましく、5mm以上12mm以下が更に好ましい。
押し込み部材2は、図3(A)及び(B)に示すように、支持体1と遊挿し合う面を外方に向けた周面に持ち、回転する構成である。第1実施形態の押し込み部材2は格子ロールとも言い、具体的には次のような構成を有する。
押し込み部材2は、ドラム形状の周面に、支持体1の凹部12に沿って挿入する押し込み部21を有する。押し込み部21は、支持体1の第一方向Xに延在する第一凹部121に沿って挿入する第一押し込み部211を有する。さらに、押し込み部21は、支持体の第二方向Yに延在する第二凹部122に沿って挿入する第二押し込み部212を有する。これにより、押し込み部21は、ドラム形状の押し込み部材2の周面において格子状に配されている。押し込み部材2の周面は、押し込み部21の間が空洞にされて、桝目状の空間部22を有する。このように押し込み部材2は、ドラム形状の周面に格子状の押し込み部21と桝目状の空間部22とを有する。
図3(A)及び(B)は、第一押し込み部211を円盤形状のものとし、回転軸方向に互いに離間させて配置したものとして示している。また、第二押し込み部212を、押し込み部材2の回転軸方向に延在する線状のものとし、押し込み部材2の外周に沿って互いに離間させて配置したものとして示している。ただし、第一押し込み部211及び第二押し込み部212の形状及び配置はこれらに限定されるものではない。第一押し込み部211及び第二押し込み部212の形状及び配置は、繊維ウエブ70を適切に押し込むことができる限り、支持体1の凹部12の形状等、賦形対象の繊維ウエブ70の厚み及び坪量等に応じて種々設定することができる。
支持体1と押し込み部材2とは、凸部11と押し込み部21とが干渉し合わないように互いに遊挿し合って、機械流れ方向に回転する。そのため、凸部11間の間隔よりも押し込み部21の幅の方が小さくされている。第1実施形態において、凸部11の間隔は、第二方向Yの間隔(第一凹部121の幅、H1)と第一方向Xの間隔(第二凹部122の幅、H3)とを有する。押し込み部21の幅は、第二方向Yの幅(第一押し込み部211の幅、H2)と第一方向Xの幅(第二押し込み部212の幅、H4)とを有する。いずれの方向においても、凸部11間の間隔よりも押し込み部21の幅の方が小さくされており、両者の差は前述した範囲にあることが好ましい。
第1実施形態の不織布の製造方法における(A1)の押し込み工程は、支持体1と押し込み部材2とが、送給ベルトコンベア9によって送給される繊維ウエブ70を挟んで、互いに回転しながら遊挿し合うことで行われる。
第1実施形態においては、支持体1の格子状に配された凹部12に対し、押し込み部材2の格子状に配された押し込み部21が遊挿して、繊維ウエブ70を凹部12に押し込む。支持体1は、凸部11の頂部11Tにおいて、繊維ウエブ70を支え、押し込み部材2の空間部22に入り込む。このようにして、押し込み部材2は支持体1の凹部12において、繊維ウエブ70の厚み表面が凸部11の頂部11Tの高さよりも低くなるまで押し込む。すなわち、押し込み部材2の押し込み部21は、凹部12に挿入された状態において、凸部11の頂部11Tよりも凹部12側に位置する。このとき、押し込み部材2の押し込み部21の押し込み深さは、支持体1の凹部12の底部12Tに達しない位置までに留めることが好ましい。押し込み深さは、支持体1と押し込み部材2との位置関係の設定等によって定めることができる。
これにより、押し込み部21による押し込みに伴って、繊維ウエブ70が支持体1の凸部11及び凹部12からなる凹凸面に沿って賦形される。
(A1)の押し込み工程においては、支持体1は前述した温度設定をされていることが、賦形時に繊維ウエブ70における繊維同士の溶融の発生を防止することができ好ましい。
第1実施形態においては、支持体1は、ドラム内部において、押し込み部材2と対向する位置及びその前後の領域に吸引部(図示せず)を有していてもよい。支持体1は、吸引部によって繊維ウエブ70に負圧を加えて、繊維ウエブ70が支持体1の周面に沿いやすくなり、賦形性がより高まる。
(A1)の押し込み工程において凹凸賦形された繊維ウエブ70は、支持体1の周面に沿わされた状態で、支持体1が回転して搬送される。該回転によって、繊維ウエブ70は、押し込み部材2よりも下流の、熱風ノズルを有する熱風吹き付け部3の位置まで搬送される。
第1実施形態の不織布の製造方法における(A2)の熱融着工程は、熱風吹き付け部3の位置において行われる。熱風吹き付け部3は、ヒーター31を有し、繊維ウエブ70の、前工程で押し込み部材2が押し当てられていた面に対して、熱風3Wを吹き付ける。熱風3Wは、賦形した繊維ウエブ70を不織布化する。熱風3Wは支持体1が有する開孔13から支持体1内部へと吹き抜けられる。
第1実施形態においては、支持体1は、ドラム内部において、熱風吹き付け部3と対向する位置に熱風吸引部35を有することが好ましい。熱風吸引部35が熱風3Wを吸引し、さらに、熱風吸引部35に接続された排気装置36が熱風3Wを外部へと排気する。これによって、吹き抜けた熱風3Wが乱れることなく、繊維ウエブ70の繊維の乱れが生じることを防ぐ。また、支持体1のドラム外周が高温になり過ぎることを防止できる。これらによって、同じ支持体1上の上流で行われる(A1)の押し込み工程における繊維ウエブ70に対して、繊維の融着の発生をより効果的に防止し、繊維の乱れなく安定的な賦形を行うことができる。また、繊維ウエブ70が支持体1に保持されやすくなり、(A1)及び(A2)の工程全体を安定的に行うことができる。熱風3Wの温度や風速は、前述した範囲に設定されることが好ましい。
前記(A1)及び(A2)の工程を経て製造された不織布80は、支持体1の回転に伴って支持体1の外周から離間され、案内ロール91によって搬送される。
第1実施形態においては、前記(A1)の押し込み工程の後、押し込み部材2を繊維ウエブ70から外し、繊維ウエブ70を支持体1に沿わせた状態のまま、繊維ウエブ70の支持体1とは反対側の面に、他の繊維ウエブを載置してもよい(図示せず)。すなわち、(A1)の押し込み工程の後、繊維ウエブを2層積層した状態で、(A2)の熱融着工程を行ってもよい。
また第1実施形態においては、熱風3Wを吹き付けて得た不織布80が支持体1のドラム外周に沿わされている位置において、冷却ノズルを有する冷却部4を配置することが好ましい。冷却部4は、不織布80に対し冷風4Wを吹き付けて、冷却処理を行う((A3)の冷却工程)。これにより、前述のとおり、支持体1を一定温度以下に抑えることができ、得られた不織布80を、形状を保持したまま剥がすことができ良好なクッション性を保持することができる。冷却工程においは、前述した範囲の温度まで冷却を行うことが好ましい。この場合、支持体1は、ドラム内部において、冷却部4と対向する位置及びその前後の領域に冷風吸引部45を有することが好ましい。冷風吸引部45が冷風4Wを吸引し、さらに、冷風吸引部45に接続された排気装置46によって冷風4Wを外部へと排気する。これにより、支持体1の外周に保持された繊維ウエブ70の繊維の乱れをより効果的に防止できる。また、(A1)〜(A3)の工程全体をより安定的に行うことができる。
第1実施形態の不織布の製造方法及び製造装置によれば、例えば、支持体1を図2に示すものとした場合、図4(A)〜(C)に示すような不織布80Aを製造することができる。また、図5(A)〜(C)に示すような2層構造の不織布80Cを製造することができる。不織布80Cは、前述のとおり(A1)の押し込み工程の後に、押し込み部材2を外して、別の繊維ウエブを積層して(A2)の熱融着工程を行うことによって製造することができる。
図4(A)は、不織布80Aの第一面Z1を上側にして示している。第一面Z1は、不織布の製造方向において支持体1に対向して配されていた面である。不織布80Aの第一面Z1には、縦横の畝部81、82が直交格子状に配されており、その間に、箱型の凹部83が縦横に規則的に離間して配置されている。縦横の畝部81、82は、支持体1の第一凹部121及び第二凹部122に沿って繊維ウエブ70が押し込まれて形成されている。不織布80Aにおける箱型の凹部83は、支持体1の凸部11の壁面及び頂部11Tに沿って繊維ウエブ70が賦形されてなる。図4(B)は、不織布80Aの第二面Z2(第一面Z1の反対面)を上側にして示している。第二面Z2は不織布の製造方法において押し込み部21を押し込んだ面、熱風3Wを吹き付けた面である。不織布80Aの第二面Z2には、第一面Z1おける凹部83に対応する、四角柱状の凸部84が縦横に規則的に離間して配置されている。不織布80Aにおける凸部84は、支持体1の凸部11の壁面及び頂部に沿って繊維ウエブ70が賦形されて形成される。図4(C)は、不織布80Aの側面を示しており、第二面Z2に突出する四角柱状の凸部84が規則的に離間して配置されている。このように、押し込み部材2を用いて繊維ウエブ70を賦形することによって、支持体の凸部11の形状に合わせて、高低差が明確な様々な凹凸形状を有する不織布を製造することができる。
図5(A)は第一面Z1を上側に示しており、図4(A)と同様の畝部が配されている。図5(B)は図4(B)に対応する第二面Z2を上側に示しており、賦形された不織布80Aの第二面Z2に第二不織布80Bが積層された状態となる。図5(C)は、不織布80Cの側面を示しており、不織布80Aの第二面Z2と第二不織布80Bの間に平面方向に縦横に貫通する空間部90が配されている。
以上のとおり、第1実施形態の不織布の製造方法及び製造装置によれば、従来の熱風による賦形よりも更に嵩高で柔らかい不織布を製造することができる。また、機械的な押し込みによる凹凸賦形によって、高低差のある凹凸賦形を精度よく行うことができる。さらに繊維の配向性を所望の方向に制御することができる。これにより、従来よりも更に圧縮変形性及び厚み回復性に優れたクッション性を備え、保形性が高く、風合いの良い不織布を製造することができる。
次に、図6及び7を参照して、第2実施形態の不織布の製造方法について、好ましく用いられる不織布の製造装置200と共に説明する。第2実施形態においては、押し込み部材が第1実施形態のものと異なり、それ以外は共通する。以下、相違する点について説明する。特に説明しない事項については第1実施形態と同様のものとすることができる。
第2実施形態の製造装置200において、押し込み部材2Aは、紐状の素材(線材)からなる。すなわち、線材を網状に組んだものである。言い換えると、押し込み部材2Aはネットであり、線材同士の交差部分の変形性が高く、全体として柔軟性ないし可撓性がある。そのため、押し込み部材2Aは加工対象の繊維ウエブ70に対して馴染みやすい。
紐状の素材は、種々のものを用いることができる。例えば樹脂からなる単繊維であってもよい。耐熱性の素材であることが好ましく、180℃以上の耐熱性を有するものがより好ましい。具体的には、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂から選ばれる1又は複数の素材からなることが特に好ましい。また、紐状の素材がどのようなものであっても、表面を樹脂コーティングなどして、紐状の素材が解けたり毛羽だったりしないよう、繊維ウエブが絡まないようにすることが好ましい。
押し込み部材2Aは、図7に示すように、紐状の押し込み部21Aを有する。押し込み部21Aは、支持体1の第一凹部121及び第二凹部122に対して遊挿される、第一押し込み部211A及び第二押し込み部212Aを有する。押し込み部材2Aは、紐状の押し込み部21Aの間に桝目状の空間部22Aを有する。桝目状の空間部22Aには、支持体1の凸部11が遊挿される。
押し込み部材2Aは、ベルト状にして図6に示すように複数の案内ロール92A〜92Iによって回転するようにされている。すなわち、押し込み部材2Aは、支持体1と遊挿入し合う面を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である。この場合、押し込み部材2Aは連続的なものであってもよく、複数のユニットを組み合わせたものであってもよい。いずれの場合においても、回転する構成として、押し込み部材2Aの幅両側にプロフィールベルトやチェーンなどの搬送手段23、23を装着しておくことが好ましい。
押し込み部材2Aと支持体1とは、第1実施形態と同様に、凸部11と押し込み部21Aとが干渉し合わないように互いに遊挿し合って、機械流れ方向に回転する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、凸部11間の間隔(図2(B)に示すH1、H3)よりも押し込み部21Aの幅(図7に示すH2、H4)の方が小さくされており、両者の差は前述した範囲にあることが好ましい。
図6においては、押し込み部材2Aは、案内ロール92A〜92Iによって、(A1)の押し込み工程から、(A2)の熱融着工程、(A3)の冷却工程を行う位置に対応する支持体1の周面領域を覆い、回転するようにしている。これにより、(A1)〜(A3)の工程は、押し込み部材2Aを支持体1に対して遊挿させたままで行うことができる。この場合、熱風3W及び冷風4Wは、紐状の押し込み部21Aと支持体1の凸部11との隙間から、支持体1の開孔13を介して吹き抜けるようにされている。押し込み部材2Aの配置は、前述した図7に示す配置に限定されない。押し込み部材2Aは、少なくとも(A1)の押し込み工程の位置で支持体1と遊挿し合う範囲に設置される限り、配置範囲を適宜設定することができる。押し込み部材2Aは、配置範囲に合わせてその長さを決定することができる。
さらに、押し込み部材2Aには、先細りの突起が前記支持体1の凸部11と同じ配列で並んだ位置合わせロール24が接続されていることが好ましい。位置合わせロール24としては、例えばチェーンスプロケットなどが挙げられ、その他種々のものを用いることができる。位置合わせロール24は、支持体1と同期して駆動され、押し込み部材2Aが支持体1と位相合わせされて支持体1に接触するようにされていることが好ましい。駆動の同期は、種々の方法により行うことができる。例えば、支持体1のドラムにギヤを配置して、そこから位置合わせロール24の駆動を取る方法が挙げられる。また、支持体1のドラムと同じ駆動源から分岐して位置合わせロール24の駆動を取る方法が挙げられる。これにより、押し込み部材2Aの紐状の押し込み部21Aが支持体1の凸部11に干渉することなく、凹部12に適切に遊挿され得る。同時に、押し込み部材2Aが有する桝目状の空間部22Aに、支持体1の凸部11が干渉することなく適切に遊挿され得る。
上記のようにして、第2実施形態における(A1)の押し込み工程が行われる。
第2実施形態においては、第1実施形態のようにドラム形状の押し込み部材2を回転させて押し込みを行うのとは異なり、長尺のベルト状の押し込み部材2Aを用いている。
そのため、第2実施形態においては、第1実施形態に比べて、押し込み部材2Aを支持体1の凹部12に遊挿する時間を長くするよう設定することができる。これは、例えば案内ロール92A〜92Iの配置位置によって、搬送されてくる繊維ウエブ70との伴走距離を長くとることにより行うことができる。これにより、繊維ウエブ70に対する押し込み時間が長くなり、より確かな賦形を行うことができ好ましい。
また、この場合、押し込み部材2Aを、繊維ウエブ70と平行に近づけながら、支持体1のロール周面における接線方向から合流させ、支持体1の凹部12に押し込ませることができる。これにより、繊維ウエブ70に対する衝撃を更に和らげ、繊維ウエブ70を早くから抑えることができるので好ましい。
第2実施形態においては、(A1)の押し込み工程の後、(A2)の熱融着工程を、押し込み部材2Aを繊維ウエブ70から外して行ってもよく、外さずに行ってもよい。押し込み部材2A及び支持体1はそれぞれ、空間部22A及び開孔13において、熱風3Wが吹き抜ける構造になっており、(A2)の熱融着工程を支障なく行うことができる。
第2実施形態においては、(A2)の熱融着工程において、(A1)の押し込み工程の後、繊維ウエブ70を挟んで、支持体1及び紐状の押し込み部21Aが互いに遊挿された状態で、熱風3Wを吹き付けることが好ましい。これにより、紐状の押し込み部21Aが柔らかく繊維ウエブ70を押し込んで繊維の飛散を抑えることができ、地合が整った賦形が可能となる。
第2実施形態においても、例えば支持体1を図2に示すものとした場合、図4(A)〜(C)、図5(A)〜(C)に示すような嵩高な不織布を製造することができる。
以上のとおり、第2実施形態の不織布の製造方法及び製造装置においては、第1実施形態と同様に、従来の熱風による賦形よりも更に嵩高で柔らかい不織布を製造することができる。また、従来よりも更に圧縮変形性及び厚み回復性に優れたクッション性を備え、保形性が高く、風合いの良い不織布を製造することができる。
次に、第3実施形態の不織布の製造方法及び製造装置について説明する。第3実施形態においては、押し込み部材が第1実施形態のものと異なり、それ以外は共通する。以下、相違する点について説明する。特に説明しない事項については第1実施形態と同様のものとすることができる。
第3実施形態において、押し込み部材2Bは、図8に示すように、リングを回転軸方向に複数組み合わせたドラム形状であり、支持体1と遊挿し合う面を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である。リングの部分が押し込み部21Bとなる。リングの間が空間部22Bとなっている。
押し込み部材2Bの押し込み部21Bは、支持体1の第一方向Xに延在する第一凹部121に沿って、繊維ウエブ70を押し込む。一方、押し込み部材2Bは、支持体1の第二方向Yに延在する第二凹部122に対応する押し込み部を有さない。そのため、押し込み部材2Bは、支持体1の第二方向Yに延在する第二凹部122に沿った繊維ウエブ70の押し込みを行わない。一方、押し込み部材2Bにおけるリング間の空間部22Bには、支持体の凸部11が遊挿される。
上記のようにして、第3実施形態における(A1)の押し込み工程が行われる。このとき、前述のとおり支持体1の第二方向Yに延在する第二凹部122に沿った繊維ウエブ70の押し込みを行わない。しかし、支持体1の第一方向Xに延在する第一凹部121に沿って、押し込み部材2Bの押し込み部21Bが連続的に繊維ウエブ70を押し込むと、第一凹部121に隣接する凸部11の列においては、次のような賦形がなされる。すなわち、押し込み部21Bの押し込み力が、隣接する凸部11の列上の繊維ウエブ70に波及し、該列の中の第二凹部122にある繊維ウエブ70が浅く窪んで賦形される。浅く窪んだ部分においては、前後に配された凸部11、11の張力が弱い。そのため、支持体1の凸部11と押し込み部材2Bの押し込み部21Bとの間における繊維ウエブ70の広がりに比べ、凸部11、11間の第二凹部122と押し込み部21Bとの間における繊維ウエブ70の広がりは小さくなる。その結果、支持体1の凸部11が第一方向Xに並ぶ列に沿って、凸部11の高さで繊維ウエブ70の凸条部ができ、該凸条部は高さが波打つ形状を有するものとなる。すなわち、複数の凸部が尾根状に連なる形状の凸条部が形成される。加えて、該凸条部は、平面視した幅が広い部分と狭い部分とを交互にした波形状の輪郭を有するものとなる。
第3実施形態においては、第1実施形態と同様に、(A1)の押し込み工程の後、(A2)の熱融着工程を、押し込み部材2Bを繊維ウエブ70から外して行う。
第3実施形態の不織布の製造方法及び製造装置においては、第1実施形態と同様に、従来の熱風による賦形よりも更に嵩高で柔らかい不織布を製造することができる。また、従来よりも更に圧縮変形性及び厚み回復性に優れたクッション性を備え、保形性が高く、風合いの良い不織布を製造することができる。
ただし、第3実施形態においては、第1実施形態と同じ支持体1を用いながら、第1実施形態とは異なる凹凸形状を備えた不織布を製造することができる。
例えば支持体1を図2に示すものとした場合、図9(A)及び(B)に示すような嵩高な不織布80Dを製造することができる。図9(A)は、不織布80Dの第一面Z1を上側にして示している。第一面Z1は、不織布の製造方向において支持体1に対向して配されていた面である。不織布80Dの第一面Z1には、第一方向Xに延在する縦畝部85が第二方向Yに規則的に複数配置されている。加えて、縦畝部85を第二方向Yに繋ぐ、縦畝部85よりも低い横畝部86が配置されている。横畝部86は、第一方向Xに離間して規則的に複数配置されている。第一方向Xに並ぶ横畝部86、86間には、凹部87が形成されている。縦畝部85は、支持体1の第一凹部121に沿って繊維ウエブ70が連続的に押し込まれて形成され、横畝部86は、押し込みに引っ張られて弱く押しこまれて形成されている。また、図9(B)は、不織布80Dの第二面Z2(第一面Z1の反対面)を上側にして示している。第二面Z2は不織布の製造方法において押し込み部21Bを押し込んだ面、熱風3Wを吹き付けた面である。不織布80Dの第二面Z2には、第一面Z1おける横畝部86及び凹部87が第一方向Xに並ぶ列に対応してなる、複数の凸部88が尾根状に連なる形状の凸条部89が形成されている。該凸条部89は、前述のとおり、平面視した幅が広い部分89Aと狭い部分89Bとを交互にした波形状の輪郭を有する。このように、押し込み部材2Bを用いて繊維ウエブ70を賦形することによって、支持体1の凸部11の形状に合わせて、高低差が明確な様々な凹凸形状を有する不織布を製造することができる。また、図示しないが、図9(A)及び(B)の不織布80Dの製造工程において、(A2)の熱融着工程の前に、他の繊維を積層して2層構造のものとすることもできる。
なお、上記の第1〜第3実施形態において、ドラム形状の支持体1及び押し込み部材2、2A、2Bを一方向に回転するものとして示した。しかし、これに限らず、例えば押し込み部材2、2A、2Bをリンク機構によってレシプロ移動させて、繊維ウエブ70に対し複数回の押し込み処理を行うようにしてもよい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の、不織布の製造方法及び製造装置を開示する。
<1>
複数の凸部、複数の該凸部の間に配された凹部、及び、該凹部の底部に配された開孔を有し、前記凹部が第一方向に延在し、複数の前記凸部が前記第一方向と交差する第二方向に離間して配された支持体上に、繊維ウエブを載置し、前記第一方向に延在する前記凹部に沿って、前記繊維ウエブを、押し込み部材の押し込み部によって押し込む、押し込み工程と、
次いで熱風を吹き付けて前記繊維ウエブ中の繊維同士を融着する熱融着工程とを有する不織布の製造方法。
<2>
前記押し込み部材が、前記凹部において、前記繊維ウエブの厚み表面が前記凸部の頂部の高さより低くなるまで押し込む、前記<1>に記載の不織布の製造方法。
<3>
前記支持体が、前記凸部を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、前記<1>又は<2>に記載の不織布の製造方法。
<4>
前記支持体がドラム形状である、前記<3>に記載の不織布の製造方法。
<5>
前記押し込み部材が、前記支持体と遊挿し合う面を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<6>
前記押し込み部材がドラム形状である、前記<5>に記載の不織布の製造方法。
<7>
前記押し込み部材が、前記第一方向に延在する前記押し込み部を周面に有するロールである、前記<6>に記載の不織布の製造方法。
<8>
前記押し込み部材は紐状である、前記<5>に記載の不織布の製造方法。
<9>
前記熱融着工程において、前記押し込み工程の後、前記押し込み部材を前記繊維ウエブから外した後に、前記繊維ウエブに熱風を吹き付ける処理を行う、前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<10>
前記押し込み工程の後、前記押し込み部材を前記繊維ウエブから外し、該繊維ウエブを前記支持体に沿わせた状態のまま、前記繊維ウエブの前記支持体とは反対側の面に、他の繊維ウエブを載置する、前記<9>に記載の不織布の製造方法。
<11>
前記支持体及び前記押し込み部材は熱風が吹き抜ける構造になっており、
前記熱融着工程において、前記押し込み工程の後、前記繊維ウエブを挟んで、前記支持体及び前記押し込み部材が互いに遊挿された状態で、熱風を吹き付ける処理を行う、前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<12>
前記押し込み部材が複数の前記押し込み部を有し、複数の前記凸部の間隔よりも、複数の前記押し込み部の幅の方が小さい、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<13>
前記凸部は、前記第一方向にも離間して配されている、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<14>
前記第一方向に離間した前記凸部の間に、前記第二方向に延在する凹部を更に有する、前記<13>に記載の不織布の製造方法。
<15>
前記押し込み部材が、前記第二方向に延在する前記凹部に沿っても、前記繊維ウエブを押し込む、前記<14>に記載の不織布の製造方法。
<16>
前記支持体及び前記押し込み部材がドラム形状であり、互いに遊挿し合って回転する、前記<15>に記載の不織布の製造方法。
<17>
前記押し込み工程において、先細りの突起が前記支持体の凸部と同じ配列で並んだ位置合わせロールが前記押し込み部材に接続されており、
前記位置合わせロールが前記支持体と同期して駆動され、前記押し込み部材が前記支持体と位相合わせされて該支持体に接触する、前記<15>に記載の不織布の製造方法。
<18>
前記第一方向は、機械流れ方向と一致している、前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<19>
前記機械流れ方向と一致とは、前記機械流れ方向に対し、前記第一方向が−0.5°以上+0.5°以下の範囲であり、好ましくは−0.2°以上、より好ましくは−0.1°以上、また、好ましくは+0.2°以下、より好ましくは+0.1°以下である、前記<18>に記載の不織布の製造方法。
<20>
前記機械流れ方向と一致とは、前記機械流れ方向に対し、前記第一方向が−0.1°以上+0.1°以下である、前記<18>に記載の不織布の製造方法。
<21>
前記押し込み工程において、前記支持体は130℃以下にされており、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<22>
前記押し込み工程において、前記支持体は100℃以下にされている、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<23>
前記熱融着工程において、前記熱風の温度が、前記繊維ウエブが有する繊維のうち最も融点が低い樹脂の融点より高く、前記熱風の温度と前記繊維うち最も融点が低い樹脂の融点との差が0℃以上60℃以下であり、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、また、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である、前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<24>
前記熱融着工程において、前記熱風の温度が、前記繊維ウエブが有する繊維のうち最も融点が低い樹脂の融点より高く、前記熱風の温度と前記繊維うち最も融点が低い樹脂の融点との差が10℃以上30℃以下である、前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<25>
前記熱融着工程の後、前記支持体及び繊維ウエブを冷却する冷却工程を有する、前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の不織布の製造方法。
<26>
前記冷却工程は、前記支持体を130℃以下まで冷却し、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下まで冷却する、前記<25>に記載の不織布の製造方法。
<27>
前記冷却工程は、前記支持体を100℃以下まで冷却する、前記<25>に記載の不織布の製造方法。
<28>
複数の凸部、複数の該凸部の間に配された凹部、及び、該凹部の底部に配された開孔を有し、前記凹部は第一方向に延在し、複数の前記凸部は前記第一方向と交差する第二方向に離間して配された支持体を有し、
前記第一方向に延在する前記凹部に沿って挿入する押し込み部を具備する押し込み部材を有し、
前記押し込み部材の下流に熱風吹き付け部を有する不織布の製造装置。
<29>
前記押し込み部は前記凹部に挿入された状態において、前記凸部の頂部よりも前記凹部側に位置する、前記<29>に記載の不織布の製造装置。
<30>
前記支持体は、前記凸部を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、前記<28>又は<29>に記載の不織布の製造装置。
<31>
前記支持体はドラム形状である、前記<30>に記載の不織布の製造装置。
<32>
前記押し込み部材は、前記支持体と遊挿し合う面を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、前記<28>〜<31>のいずれか1に記載の不織布の製造装置。
<33>
前記押し込み部材はドラム形状である、前記<32>に記載の不織布の製造装置。
<34>
前記押し込み部材は、前記第一方向に延在する前記押し込み部を周面に有するロールである、前記<33>に記載の不織布の製造装置。
<35>
前記押し込み部材は紐状である、前記<32>に記載の不織布の製造装置。
<36>
前記押し込み部材が、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂から選ばれる1又は複数の素材を有する、前記<35>に記載の不織布の製造装置。
<37>
前記押し込み部材が複数の前記押し込み部を有し、複数の前記凸部の間隔よりも、複数の前記押し込み部の幅の方が小さい、前記<28>〜<36>のいずれか1に記載の不織布の製造装置。
<38>
前記凸部は、前記第一方向にも離間して配されている、前記<28>〜<37>のいずれか1に記載の不織布の製造装置。
<39>
前記第一方向に離間した前記凸部の間に、前記第二方向に延在する凹部を更に有する、前記<38>に記載の不織布の製造装置。
<40>
前記押し込み部材は、前記第二方向に押し込み部を更に有する、前記<39>に記載の不織布の製造装置。
<41>
前記支持体及び前記押し込み部材が互いに遊挿し合うように配されたドラム形状である、前記<40>に記載の不織布の製造装置。
<42>
先細りの突起が前記支持体の凸部と同じ配列で並んだ位置合わせロールが前記押し込み部材に接続されており、
前記位置合わせロールが前記支持体と同期して駆動され、前記押し込み部材が前記支持体と位相合わせされて該支持体に接触する、前記<40>に記載の不織布の製造装置。
<43>
前記第一方向は、機械流れ方向と一致している、前記<28>〜<42>のいずれか1に記載の不織布の製造装置。
<44>
前記機械流れ方向と一致とは、前記機械流れ方向に対し、前記第一方向が−0.5°以上+0.5°以下の範囲であり、好ましくは−0.2°以上、より好ましくは−0.1°以上、また、好ましくは0.2°以下、より好ましくは0.1°以下である、前記<43>に記載の不織布の製造装置。
<45>
前記機械流れ方向と一致とは、前記機械流れ方向に対し、前記第一方向が−0.1°以上+0.1°以下である、前記<43>に記載の不織布の製造装置。
<46>
前記熱風吹き付け部の下流に冷却部を有する、前記<28>〜<45>のいずれか1に記載の不織布の製造装置。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
図1〜3に示す第1実施形態の製造装置を用いて、坪量37g/mの繊維ウエブに対して、表1に示す条件で(A1)の押し込み工程、(A2)の熱融着工程の処理を施し、凹凸賦形された不織布試料を作製した。なお、繊維ウエブには、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点が255℃)で、鞘部がポリエチレン(融点が132℃)の芯鞘構造の複合繊維を用いた。
(実施例2)
図2、6及び7に示す第2実施形態の製造装置を用いて、坪量32g/mの繊維ウエブに対して、表1に示す条件で(A1)及び(A2)の処理を施し、凹凸賦形された不織布試料を作製した。なお、用いた繊維は実施例1と同様のものとした。
(実施例3)
図1、2及び8に示す第3実施形態の製造装置を用いて、坪量32g/mの同様の繊維ウエブに対して、表1に示す条件で(A1)及び(A2)の処理を施し、凹凸賦形された不織布試料を作製した。なお、用いた繊維は実施例1と同様のものとした。
(比較例)
特開2012−144834の図1に示す製造装置を用いて、坪量30g/mの繊維ウエブに対して、第1の熱風処理、第2の熱風処理、を行って、比較例の不織布試料を作製した。なお、用いた繊維は実施例1と同様のものとした。エアー賦形処理を行う第1の熱風W1は、温度を120℃、風速を52m/secに設定し、熱融着処理を行う第2の熱風W2は、温度を160℃、風速を6.0m/secに設定した。
上記実施例及び比較例の不織布試料について下記の試験を行った。
(不織布試料の厚みの測定)
荷重49Paとなるアルミ円板を準備した。このアルミ円板を載せたシートの厚みを、レーザー変位計(株式会社キーエンス製 CCDレーザー変位計 LK−085)を用いて測定した。測定は、シートの任意の場所(但しアルミ円板が重ならない場所)を5点測定し、その平均値をそのシートの厚みとした。
(圧縮変形量の測定)
カトーテック株式会社製、KES−FB3圧縮試験機を用いて測定した。先ず、各不織布試料を2.5cm×2.5cmの正方形に切りとり、これを試験試料として、圧縮試験機にセットした。そして、加圧速度0.02mm/秒で加圧部を下降させてシートを加圧し、荷重50gf/cmになるまで圧縮した。荷重が5gf/cmの時の試料の厚み(t1)及び25gf/cmの厚み(t2)を求めた。(t2−t1)の値が大きいほど人が柔らかいと感じる。より詳細には、この数値が大きいほど、小さい荷重で圧縮方向に潰れにくいことを示し、同様に適度に弾力性がある。また、数値が大きいほど2.5kPaの荷重の間に潰れやすいことを示しており、数値が大きいと触った時に大きく変形するために、クッション性を感じやすい。
(柔らかさの評価)
成人女性10名に各不織布試料の表面に手のひらで触れてもらい、「柔らかさ」を評価してもらった。比較例を5点として10点満点で数値化してもらった値を平均した。
10点:比較例の不織布試料よりも非常に柔らかい。
9点:比較例の不織布試料よりもかなり柔らかい。
8点:比較例の不織布試料よりも明らかに柔らかい。
7点:比較例の不織布試料よりも少し柔らかい。
6点:比較例の不織布試料よりもやや柔らかい。
5点:比較例の不織布試料と同程度の柔らかさである。
4点:比較例の不織布試料よりやや硬い。
3点:比較例の不織布試料よりも少し硬い。
2点:比較例の不織布試料よりも明らかに硬い。
1点:比較例の不織布試料よりもかなり硬い。
0点:比較例の不織布試料よりも非常に硬い。
表1に示すとおり、実施例1〜3の製造装置及び製造方法で作製した不織布試料は、比較例の製造方法で作製した不織布試料に対して、1.8倍以上の厚みを有し、3倍以上の圧縮変形量であり、柔らかさの評価が高いものであった。
1 支持体
11 凸部
11T 凸部の頂部
12 凹部
12T 凹部の底部
121 第一凹部
122 第二凹部
13 開孔
2、2A、2B 押し込み部材
21、21A、21B 押し込み部
211、211A 第一押し込み部
212、212A 第二押し込み部
22、22A、22B 空間部
23 搬送手段
24 位置合わせロール
3 熱風吹き付け部
4 冷却部
9 送給ベルトコンベア
70 繊維ウエブ
80、80A、80C、80D 不織布
80B 第二不織布
91、92A〜92I 案内ロール
100、200 不織布の製造装置

Claims (10)

  1. 複数の凸部、複数の該凸部の間に配された凹部、及び、該凹部の底部に配された開孔を有し、前記凹部が第一方向に延在し、複数の前記凸部が前記第一方向と交差する第二方向に離間して配された支持体上に、繊維ウエブを載置し、前記第一方向に延在する前記凹部に沿って、前記繊維ウエブを、押し込み部材の押し込み部によって押し込む、押し込み工程と、
    次いで熱風を吹き付けて前記繊維ウエブ中の繊維同士を融着する熱融着工程とを有する不織布の製造方法。
  2. 前記支持体が、前記凸部を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、請求項1記載の不織布の製造方法。
  3. 前記押し込み部材が、前記支持体と遊挿し合う面を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、請求項1又は2記載の不織布の製造方法。
  4. 前記熱融着工程において、前記押し込み工程の後、前記押し込み部材を前記繊維ウエブから外した後に、前記繊維ウエブに熱風を吹き付ける処理を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布の製造方法。
  5. 前記凸部は、前記第一方向にも離間して配されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布の製造方法。
  6. 前記第一方向に離間した前記凸部の間に、前記第二方向に延在する凹部を更に有する、請求項5記載の不織布の製造方法。
  7. 前記押し込み部材が、前記第二方向に延在する前記凹部に沿っても、前記繊維ウエブを押し込む、請求項6記載の不織布の製造方法。
  8. 複数の凸部、複数の該凸部の間に配された凹部、及び、該凹部の底部に配された開孔を有し、前記凹部は第一方向に延在し、複数の前記凸部は前記第一方向と交差する第二方向に離間して配された支持体を有し、
    前記第一方向に延在する前記凹部に沿って挿入する押し込み部を具備する押し込み部材を有し、
    前記押し込み部材の下流に熱風吹き付け部を有する不織布の製造装置。
  9. 前記支持体は、前記凸部を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、請求項8記載の不織布の製造装置。
  10. 前記押し込み部材は、前記支持体と遊挿し合う面を外方に向けた周面を持ち、回転する構成である、請求項8又は9記載の不織布の製造装置。

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