JP6618347B2 - エンジン駆動型圧縮機の始動制御方法及びエンジン駆動型圧縮機 - Google Patents

エンジン駆動型圧縮機の始動制御方法及びエンジン駆動型圧縮機 Download PDF

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本発明はエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法,及び前記始動制御方法を実行するエンジン駆動型圧縮機に関し,より詳細には,エンジン駆動型圧縮機を,始動負荷を軽減した状態で始動させるための始動制御方法及び前記始動方法を実行するエンジン駆動型圧縮機に関する。
圧縮機本体を駆動する駆動源としてディーゼルエンジン(以下単に「エンジン」と言う)を備えたエンジン駆動型圧縮機は,電源の確保が困難である土木作業現場や建築現場等の屋外における作業等において広く使用されている。
このようなエンジン駆動型圧縮機の一例として,被圧縮気体を潤滑油と共に圧縮して気液混合流体として吐出する,油冷式の圧縮機を圧縮機本体340として備えたエンジン駆動型圧縮機300の構成例を図7に示す。
このエンジン駆動型圧縮機300では,前述した圧縮機本体340とエンジン350の他,圧縮機本体340より圧縮気体と共に吐出された潤滑油を分離するためのレシーバタンク360を備え,このレシーバタンク360内で潤滑油が分離された後の圧縮気体を,オイルセパレータ366を介してさらに油分を除去した後,図示せざる空気作業機等が接続された消費側に供給することができるように構成されていると共に,レシーバタンク360内に回収された潤滑油を,オイルクーラ363,オイルフィルタ367を介して圧縮機本体340に供給する給油流路364が設けられている。
このようなエンジン駆動型圧縮機300には,消費側に対し,安定した圧力の圧縮気体を供給することができるようにするために,圧縮機本体340の吐出側圧力,図示の構成ではレシーバタンク360内の圧力に応じて,圧縮機本体340の吸気量を調整する吸気調整装置310が設けられている。
この吸気調整装置310として,図7に示すエンジン駆動型圧縮機では,圧縮機本体340の吸気口341を開閉する吸気調整弁311と,この吸気調整弁311を開閉制御するアンローダレギュレータ316を設け,このアンローダレギュレータ316とレシーバタンク360を制御流路312によって連通してレシーバタンク360内の圧縮気体を,吸気調整弁311を閉弁するための作動圧力としてアンローダレギュレータ316に導入可能と成すと共に,レシーバタンク360内の圧力が所定の定格圧力以上のとき制御流路312を開く圧力調整弁313を設けている。
なお,図7中の符号314は逃がし流路であり,圧力調整弁313が制御流路312を閉じてアンローダレギュレータ316に対する圧縮気体の導入が停止した際,アンローダレギュレータ316の受圧室内の圧縮気体を絞り315を介して放気して,アンローダレギュレータ316をリターンスプリング(図示せず)の付勢力によって全開位置に復帰させることができるように構成されている。
このように構成された吸気調整装置310を設けることで,レシーバタンク360内の圧力が定格圧力以上になると,アンローダレギュレータ316にレシーバタンク360内の圧縮気体の導入が開始されて,吸気調整弁311が圧縮機本体340の吸気口341を絞り,又は閉じると共に,レシーバタンク360内の圧力が定格圧力未満に低下すると,吸気調整弁311が圧縮機本体340の吸気口341を開くことで,レシーバタンク360内の圧力が圧力調整弁313の作動圧力によって設定された定格圧力に近付くよう圧縮機本体340に対する吸気調整が行われる。
以上のように構成されたエンジン駆動型圧縮機300において,圧縮機本体340の駆動源であるエンジン350は,低回転域でのトルクが小さく,始動時に負荷がかかると停止(ストール)し易い。
その一方で,エンジン駆動型圧縮機300では,エンジン350に対する負荷である圧縮機本体340がエンジン350に直結されており,エンジン350は,始動開始時より圧縮機本体340の回転に伴う負荷を受けることから,エンジン350の始動時,圧縮機本体340から受ける負荷を低減することができれば,エンジン350を円滑に始動させることができる。
このようなエンジン駆動型圧縮機300の構成に着目し,始動時にエンジン350にかかる負荷を軽減するために,後掲の特許文献1には,図7中に符号320で示した始動負荷軽減装置が開示されている。
この始動負荷軽減装置320は,圧力調整弁313の一次側と二次側を連通して圧力調整弁313をバイパスするバイパス流路321と,このバイパス流路321を開閉する始動アンローダバルブ325によって構成されており(特許文献1[0008]欄,図5参照),始動時,始動アンローダバルブ325の操作によってバイパス流路321を開くことで,圧力調整弁313の作動圧力に基づいて行われる吸気調整をキャンセルし,アンローダレギュレータ316を,圧力調整弁313を介さずに直接,レシーバタンク360に連通することができるように構成されている。
その結果,エンジン350の始動により圧縮機本体340が回転を開始することによってレシーバタンク360内の圧力が上昇すると,アンローダレギュレータ316が作動して吸気調整弁311を閉じて圧縮機本体340が無負荷運転に移行することで,始動開始時のエンジン350にかかる負荷を軽減することができるように構成されている。
そして,エンジン350の運転状態が安定した後に,始動負荷軽減装置320に設けた始動アンローダバルブ325を操作してバイパス流路321を閉じ,圧力調整弁313がレシーバタンク360内の圧力に応じて制御流路312を開閉する通常運転に復帰することで,既知の吸気調整を行うことができるように構成されている。
特開2002−168177号公報
前掲の特許文献1として紹介した始動負荷軽減装置320では,始動時に圧力調整弁313をバイパスしてレシーバタンク360とアンローダレギュレータ316を直接連通することで,エンジン350の始動により圧縮機本体340が回転を開始してレシーバタンク360内の圧力がアンローダレギュレータ316の作動圧力まで上昇すれば,圧力調整弁313の作動圧力より低い圧力であっても吸気調整弁311が閉じて無負荷運転に移行することから,圧力調整弁313の作動圧力に対し,アンローダレギュレータ316の作動圧力を充分に低く設定しておくことで,始動時のエンジン350に対して加わる負荷を大幅に低減することができる。
しかし,上記構成の始動負荷軽減装置320では,エンジン350の始動後,レシーバタンク360内の圧力がアンローダレギュレータ316の作動圧力に達する迄の間,圧縮機本体340は吸気口341を全開とした全負荷運転を行うこととなるため,最も不安定な運転状態にある,始動直後のエンジン350に対する負荷を充分に軽減することができない。
特に,近年の排ガス規制に対応するために,電子制御化と,吸気冷却器付ターボ(インタークーラ付ターボ)エンジン等の過給式エンジンの採用によって単位排気量あたりのトルク・出力を向上させて,同一の最大出力を発生する自然吸気エンジンに比較して小排気量化を図る,所謂「ダウンサイジング」を行ったエンジンを搭載したエンジン駆動型圧縮機にあっては,エンジンの起動から無負荷運転の回転速度まで立ち上がる始動時における低回転域では,過給の効果が得られず,同一の最大出力を発生する自然吸気エンジンに比較して始動時のトルクや出力が小さいことから,始動負荷の更なる軽減の達成は,過給式のエンジンを搭載したエンジン駆動型圧縮機を円滑に始動させる上で不可欠となる。
また,エンジンの始動に成功して所定の回転速度に達したとしても,エンジンが冷えた状態では十分な出力が出ないため,この状態で始動アンローダバルブ325を操作して始動負荷軽減装置320による制御を終了して吸気調整装置310による既知の吸気調整を開始すると,圧縮機本体340の吸気口341を全開した全負荷運転に移行するため,エンジン350には急激な負荷が加わる。
このような急激な負荷が加わることによるエンジンストールを防止する方法としては,エンジン350の回転速度が所定の回転速度に達した後においても,始動負荷軽減装置320によって負荷が軽減された状態を維持してエンジンの暖機運転を行うことが有効である。
しかし,前掲の特許文献1として紹介した従来の始動負荷軽減装置320では,手動式の始動アンローダバルブ325をオペレータが切替操作する構成であるとこから,オペレータが適切な切替タイミングを掴めずに早期に切替を実行してしまうと,充分な暖機がされていないまま通常運転に移行することでエンジンをストールさせてしまうおそれがあり,また,逆に,ストールをおそれるあまり切替が遅れると,充分な暖機運転が行われた後も負荷軽減状態での運転が必要以上に継続されることで燃料が浪費されることとなるため,オペレータの技能如何によっては,始動負荷軽減装置の機能を充分に引き出すことができない。
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので,エンジン駆動型圧縮機の始動時に,エンジン及び圧縮機本体の回転開始後,より短時間で,好適には始動時にスタータモータによってエンジンを回転させている間に,吸気調整弁を全閉とできるようにすることで,スタータモータが切り離されて自立運転を開始した,始動直後のエンジンにかかる負荷の大幅な軽減を図ることで,自然吸気型エンジンが搭載されている場合はもとより,過給式の採用によってダウンサイジングされたエンジンが搭載されている場合であっても,始動時におけるエンジンストールの発生を確実に防止することができるエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法,及びエンジン駆動型作業機を提供することを目的とする。
また,本発明の更なる目的は,前記目的に加え,始動負荷軽減モードでの運転の解除を,オペレータの勘や経験によらずに適切なタイミングで行うことができるようにすることで,暖機不足によるエンジンストールの発生や,不必要に長い負荷軽減状態での運転継続に伴う燃料の浪費を防止することのできるエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法及びエンジン駆動型圧縮機を提供することを目的とする。
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
上記目的を達成するために,本発明のエンジン駆動型圧縮機1の始動制御方法は,
エンジン50,前記エンジン50によって駆動される圧縮機本体40,及び前記圧縮機本体40に対する吸気を制御する吸気調整装置10を備え,前記吸気調整装置10が,前記圧縮機本体40の吸気口41を開閉する吸気調整弁11と,前記吸気調整弁11の閉弁受圧室113と前記圧縮機本体40の吐出側(図示の実施形態においてレシーバタンク60)間を連通する制御流路12と,前記圧縮機本体40の吐出側圧力が所定の定格圧力(P4)以上のときに前記制御流路12を開き,前記定格圧力(P4)未満のとき前記制御流路12を閉じる圧力調整弁13を備えたエンジン駆動型圧縮機1において,
前記吸気調整弁11に気密室(図示の例ではシリンダ)112を設け,該気密室112内を弁体116の動作を制御する受圧体(図示の例ではピストン)119によって仕切ることで,一方を前記閉弁受圧室113と成すと共に,他方を補助受圧室(図示の例ではスプリング室)114とし,前記閉弁受圧室113内の圧縮気体を逃がす逃がし流路14と,前記補助受圧室114内への外気の導入及び排出を可能とする吸排気流路22を設け,
前記逃がし流路14と前記吸排気流路22を閉じ,かつ,前記閉弁受圧室113と前記圧縮機本体の吐出側(図示の例ではレシーバタンク60)とを連通すると共に,前記補助受圧室114を前記吸気調整弁11の二次側に連通した状態でエンジン50を始動させる,始動負荷軽減モードでの始動を行い,
前記エンジン50の始動が判定され,かつ,前記エンジン50が所定の安定運転状態になったと判定されるまで,前記始動負荷軽減モードでの運転を維持すると共に,その後,前記吸気調整装置10による吸気調整を行う通常運転モードに移行することを特徴とする(請求項1)。
なお,本発明における吸気調整弁11は,図1及び図2に示した吸気調整弁11のように,前記気密室112,閉弁受圧室113及び補助受圧室114が弁体116や弁座115aと共に共通の弁箱111内に形成されている場合の他,図7に従来技術として示した構成のように,弁体や弁座を備えた吸気調整弁(吸気調整弁の本体)311と,この吸気調整弁311を開閉動作するアンローダレギュレータ316を別個に設けた構成とすることもでき,この場合,アンローダレギュレータ316のシリンダが前述の気密室112,このシリンダ(気密室)内に,ピストンやダイヤフラム等の受圧体を介して仕切られた室が,前述の閉弁受圧室113及び補助受圧室114となる。
前述の始動制御方法において,前記エンジン50が前記安定運転状態になったと判定された後,前記逃がし流路14と前記吸排気流路22を開き,かつ,前記補助受圧室114と前記吸気調整弁11の二次側との連通を遮断すると共に,前記始動負荷軽減モードでの始動の際に行った前記閉弁受圧室113と前記圧縮機本体の吐出側(レシーバタンク60)との連通を遮断して,前記通常運転モードに移行することができる(請求項2)。
更に,前記エンジン50の運転状態が所定の始動判定条件を満たしたときに,前記エンジンの始動を判定し,
前記エンジン50の始動判定後,第一の所定時間が経過し,かつ,前記エンジンの冷却水温度が所定の暖機完了温度(T1)を超えるか,又は,前記第一の所定時間の経過から更に第二の所定時間が経過するかの,いずれかの条件が満たされたとき,前記エンジン50が前記安定運転状態となったことを判定するものとしても良い(請求項3)。
前述の通常運転への移行は,エンジン50が安定運転状態であることの判定がされた後,直ちに行うものとしても良いが,
前記安定運転状態となったことの判定により,先ず,前記吸排気流路22を開くと共に,前記補助受圧室114と前記吸気調整弁11の二次側との連通を遮断する通常運転移行準備を行い,
前記安定運転状態となったことの判定より更に第三の所定時間が経過したとき,前記逃がし流路14を開くと共に,前記始動負荷軽減モードでの始動の際に行った前記閉弁受圧室113と前記圧縮機本体の吐出側(レシーバタンク60)との連通を遮断して,前記通常運転モードに移行することが好ましい(請求項4)。
更に,前記通常運転モードによる運転時,前記圧縮機本体40の吐出側圧力に応じて無負荷回転速度(N2)と定格回転速度(N4)間で前記エンジンの回転速度を制御する速度制御を行うと共に,
前記通常運転モードへの移行前,前記通常運転モードにおける前記無負荷回転速度(N2)よりも高い回転速度である始動回転速度(N3)での定速運転となるよう前記エンジンの回転速度を制御することもできる(請求項5)。
なお,前記エンジンの始動判定は,前記エンジン50の回転速度が所定の始動判定回転速度(N1)を超えたとき,前記エンジン50に設けた発電装置(図示せず)の発電電圧又は電流が所定の始動判定値を超えたとき,又は,前記エンジン50の油圧が所定の始動判定圧力を超えたときのいずれかの条件を満たしたときに行うものとすることができる(請求項6)。
また,前記始動制御方法を実行する,本発明のエンジン駆動型圧縮機1は,
エンジン50,前記エンジン50によって駆動される圧縮機本体40,及び前記圧縮機本体40に対する吸気を制御する吸気調整装置10を備え,前記吸気調整装置10が,前記圧縮機本体40の吸気口41を開閉する吸気調整弁11と,前記吸気調整弁11の閉弁受圧室113と前記圧縮機本体40の吐出側(図示の例ではレシーバタンク60)間を連通する制御流路12と,前記圧縮機本体40の前記吐出側圧力が所定の定格圧力(P4)以上のときに前記制御流路12を開き,前記定格圧力(P4)未満のとき前記制御流路12を閉じる圧力調整弁13を備えたエンジン駆動型圧縮機1において,
前記吸気調整弁11に気密室(図示の例ではシリンダ)112を設け,該気密室112内を,弁体116の動作を制御する受圧体(図示の例ではピストン)119によって仕切ることで,一方を前記閉弁受圧室113と成すと共に,他方を補助受圧室(図示の例ではスプリング室)114とし,前記閉弁受圧室113内の圧縮気体を逃がす逃がし流路14,前記補助受圧室114内への外気の導入及び排出を可能とする吸排気流路22,前記吸気調整弁11の前記閉弁受圧室113を前記圧縮機本体の吐出側(レシーバタンク60)
と連通させる強制閉弁流路21,及び,前記補助受圧室114を前記吸気調整弁11の二次側に連通する吸引流路23をそれぞれ設けると共に,前記各流路(14,21,22,23)を開閉する電磁弁(図1の例ではSV1〜SV3,図2の例ではSV3,SV4)を設け,
前記エンジン駆動型圧縮機1の各部の動作を制御するコントローラ30によって,前記エンジンの運転状態を判定するエンジン運転状態判定手段31と,前記エンジン運転状態判定手段31の判定結果に従い,運転モードを切り替える運転モード切替手段32を実現し,
前記運転モード切替手段32に,前記電磁弁の開閉動作を制御する電磁弁制御手段34を設けると共に,
前記電磁弁制御手段34が,
前記エンジン運転状態判定手段31が,前記エンジン50が始動待機状態にあると判定したとき,前記逃がし流路14と前記吸排気流路22を閉じ,前記強制閉弁流路21と前記吸引流路23を開く制御信号を前記各電磁弁に出力した始動負荷軽減モードで前記エンジン50の始動を待機し,
前記エンジン運転状態判定手段31が,前記エンジン50が始動したことを判定し,かつ,前記エンジンが所定の安定運転状態になったと判定する迄,前記始動負荷軽減モードを維持すると共に,その後,前記吸気調整装置10による吸気調整を行う通常運転モードに移行する(請求項7)。
なお,本発明において電磁弁制御手段34が出力する前述の制御信号には,信号の出力停止(無信号)を含む。
上記構成のエンジン駆動型圧縮機1において,前記電磁弁制御手段34は,前記エンジン運転状態判定手段31が前記安定運転状態になったことを判定した後,前記逃がし流路14と前記吸排気流路22の開放と,前記強制閉弁流路21と前記吸引流路23の閉塞を行う制御信号を前記各電磁弁に出力することにより,前記通常運転モードへの切り替えを行うように構成することができる(請求項8)。
また,前記エンジン運転状態判定手段31は,前記エンジン50の運転状態が所定の始動判定条件を満たしたときに,前記エンジン50の始動を判定すると共に,前記エンジン50の始動判定後,第一の所定時間が経過し,かつ,前記エンジン50の冷却水温度が所定の暖機完了温度(T1)を超えるか,又は,前記第一の所定時間の経過から更に第二の所定時間が経過するかの,いずれかの条件が満たされたとき,前記エンジン50が前記安定運転状態となったことを判定するものとすることができる(請求項9)。
また,前記電磁弁制御手段34は,
前記エンジン運転状態判定手段31が,前記エンジン50が前記安定運転状態になったことを判定したとき,前記吸排気流路22を開くと共に,前記吸引流路23を閉じる制御信号を出力する,通常運転移行準備を実行すると共に,
前記安定運転状態の判定後,更に第三の所定時間が経過したとき,前記逃がし流路14を開くと共に,前記強制閉弁流路21を閉じる制御信号を出力して,前記通常運転モードへ移行するものとすることが好ましい(請求項10)。
更に,前記運転モード切替手段32には,エンジン50〔エンジン50のエンジンコントロールユニット(ECU)51〕に対し回転速度を指令する速度指令を出力するエンジン速度指令手段35を設けることができ,
前記エンジン速度指令手段35が,
前記通常運転モードによる運転時,前記圧縮機本体40の吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)に応じて無負荷回転速度(N2)と定格回転速度(N4)間で前記エンジン50の回転速度を制御する速度指令を出力すると共に,
前記通常運転モードへの移行前,前記エンジン50の回転速度を,前記通常運転モードにおける前記無負荷回転速度(N2)よりも高い回転速度である始動回転速度(N3)による定速運転とする速度指令を出力するよう構成することができる(請求項11)。
更に,前記エンジン運転状態判定手段31が,前記エンジン50の始動判定を,前記エンジン50の回転速度が所定の始動判定回転速度(N1)を超えたとき,前記エンジン50に設けた発電装置(図示せず)の発電電圧又は電流が所定の始動判定値を超えたとき,又は,前記エンジン50の油圧が所定の始動判定圧力を超えたときのいずれかの条件を満たしたときに行うものとすることができる(請求項12)。
以上で説明した本発明の構成により,本発明の始動制御方法を実行することにより,本発明のエンジン駆動型圧縮機1では,以下の顕著な効果を得ることができた。
本発明のエンジン駆動型圧縮機1の構成にあっては,エンジン50の始動時,吸気調整弁11の閉弁受圧室113に設けた逃がし流路14を閉じると共に,受圧体(図示の例ではピストン)119を介して閉弁受圧室113の反対側に形成された補助受圧室(スプリング室)114の吸排気流路22を閉じ,且つ,この補助受圧室114を吸引流路23によって吸気調整弁11の二次側に連通し,吸気調整弁11の閉弁受圧室113と圧縮機本体の吐出側(レシーバタンク60)とを強制閉弁流路21で連通する構成を採用したことで,図7を参照して説明した従来技術の始動負荷軽減装置320を使用して始動を行う場合に比較して,エンジン50の始動動作(圧縮機本体40の回転動作)の開始後,より短時間で圧縮機本体40の吸気口41を閉じることができ,これによりエンジン50の始動直後の負荷を大幅に軽減することができた。
すなわち,前掲の特許文献1に記載の構成では,始動時においても逃がし流路314が開放された状態にあるため,圧縮機本体340の回転によってレシーバタンク360内の圧力が上昇しても,上昇した圧力の一部は吸気調整弁311の閉弁動作に使用されずに放気されていた。
また,特許文献1に記載の構成では,アンローダレギュレータ316に設けられているピストンやダイヤフラム等の受圧体(図示せず)を,負圧によって閉弁方向に移動させる一切の構成を備えていない。
これに対し,上記本願の構成では,強制閉弁流路21によって閉弁受圧室113を,逃がし流路14を閉じた状態で圧縮機本体の二次側(レシーバタンク60)に連通することで,圧縮機本体の吐出側圧力と閉弁受圧室113内の圧力が同圧となることで圧縮機本体の吐出側で生じた僅かな圧力上昇であってもダイレクトに受圧体119に伝えることができるようになっている。
しかも,補助受圧室114を吸気調整弁11の二次側において吸入流路115と連通したことで,圧縮機本体40が回転を開始して吸入流路115内が負圧となると,補助受圧室114内も負圧となることで,受圧体119を閉弁方向へ移動させる力を発揮する。
その結果,本願の構成では,同性能の吸気調整弁11を使用した場合であっても,特許文献1に記載の構成を採用する場合に比較して,圧縮機本体40の二次側圧力(レシーバタンク60内の圧力)が低い状態で吸気調整弁11を全閉とした無負荷運転状態に移行することができ,これにより,起動から回転立上がり時の始動トルクが小さく最も不安定な状態にある始動直後のエンジン50にかかる負荷を低減することができ,スムーズにエンジン50を立ち上げることで,エンジンストールを防止することができた。
エンジン運転状態判定手段31が,エンジン50の始動判定後,所定の第一設定時間を経過し,かつ冷却水温が予め設定した温度(T1)を超えるか,または第二設定時間経過するかの,いずれかの条件が満たされたときに,エンジン50が安定運転状態にあると判定すると共に,該安定運転状態であることの判定がされた後に,始動負荷軽減モードから通常運転モードに移行(自動移行)する構成を採用したことで,エンジン50の回転速度や出力が不安定な状態(暖機運転未完)で始動負荷軽減モードを終了して通常運転モードに移行することがなく,エンジンストールの発生をより確実に防止することができた。
特に,上記構成では,夏季等の暖かい時期における始動や,エンジン50の停止後の再始動のように,既にエンジン50が暖まった状態で始動する場合,前記第一設定時間が経過した後,第二設定時間が経過する前に,水温が設定温度(T1)に達すると安定運転状態であることが判定されて通常運転モードへの移行が可能となることで,常に第二設定時間が経過するまで運転を継続する場合に比較して始動負荷軽減モードでの運転時間を短縮でき,始動負荷軽減モードでの運転による燃料の消費量を減少させることができた。
なお,油冷式の圧縮機本体を搭載したエンジン駆動型圧縮機では,レシーバタンク60内に回収された潤滑油をレシーバタンク60内の圧力によって圧送することで圧縮機本体40に再度給油する構成を採用するが,本発明の構成では前述したように,従来の構造(図7参照)に比較して,圧縮機本体40の吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)が低い状態で吸気調整弁11を全閉とした始動負荷軽減モード運転が行われる。
そのため,寒冷時等,潤滑油の粘性が増大して,流動性が低下している場合,この状態から通常運転に移行して全負荷運転が開始されると,全負荷運転への移行初期において圧縮機本体40に対する給油が不足するおそれがある。
しかし,始動負荷軽減モード後の,通常運転への移行を,通常運転移行準備を行った後に行う,2段階の構成とした例では,補助受圧室114に連通する吸引流路23を閉じると共に吸排気流路22を開くことで受圧体119に作用していた負圧が消失することにより,吸気調整弁11が一時的に僅かに開き,圧縮機本体40が吸気,圧縮を開始することで吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)が始動負荷軽減モード時の圧力(P1)よりも高い圧力(P2)に上昇すると共に,この圧縮に伴い吐出空気温度も上昇して潤滑油が温められることで,油冷式の圧縮機本体40を搭載したエンジン駆動型圧縮機1を,寒冷時等に使用する場合であっても,圧縮機本体40に対する給油不足や,給油不足に伴う吐出空気温度の異常上昇により当該圧縮機が非常停止することを防止することができた。
また,通常運転移行準備時に吸気調整弁11が僅かに開いて負荷が増大し,その後,通常運転モードへの移行時に吸気調整弁11が全開となることで,圧縮機本体40の負荷についても段階的に増加させることができ,無負荷運転の状態から急激に全負荷運転に移行する場合に比較してエンジンストールを生じ難くすることができると共に,通常運転移行準備時に,圧縮機本体40の吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)が,既に,始動負荷軽減モード時の圧力(P1)よりも高い圧力(P2)に上昇していることで,定格圧力(P4)まで昇圧させる時間を短縮することができた。
始動負荷軽減モード時のエンジン50の回転速度である始動回転速度(N3)を,通常運転モードでの運転時における無負荷回転速度(N2)に対し高回転に設定することで,エンジン50の始動から立上がり時における始動トルクが大きくなり,始動性を向上させることができた。
また,始動回転速度(N3)を通常運転モード時における無負荷回転速度(N2)よりも高回転に設定したことで,冷却水温の上昇が早くなり,冷却水温を安定運転状態であることの判定基準とする場合,冷却水温が判定基準となる所定温度(T1)を超える迄の時間が短くなり,始動負荷軽減モードでの暖機運転を早期に終了して通常運転モードに移行して,被圧縮気体の圧縮を開始することができた。
さらに,始動回転速度(N3)を,通常運転モード時の無負荷回転速度(N2)よりも高く設定することは,低回転域のトルクや出力が小さく,始動時にストールし易いターボ過給器を備えたエンジンを搭載したエンジン駆動型圧縮機を始動する場合であっても,始動時における過給圧,従ってエンジン50の出力を高めることができ,エンジンストールを生じ難くすることができ,しかも,通常運転に移行した際,無負荷回転速度(N2)から定格回転速度(N4)に回転速度を上昇させる場合に比較して,前記無負荷回転速度(N2)よりも高速である始動回転速度(N3)から定格回転速度(N4)に回転速度を上昇させる場合の方が,より短時間で定格回転速度(N4)に到達するため,圧縮機本体の吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)を短時間で,特に,前述したように,圧縮機本体の吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)が始動負荷軽減モード時の圧力(P1)よりも高い圧力(P2)に上昇している場合には更に短時間で,定格圧力(P4)まで昇圧させることが可能となる。
本発明のエンジン駆動型圧縮機の説明図。 本発明のエンジン駆動型圧縮機の変形例を示す説明図。 コントローラの機能ブロック図。 各部の動作タイミングを示すタイムチャート。 各部の動作タイミングを示すタイムチャート(通常運転移行準備を行う場合)。 吸気調整弁(変形例)の断面図。 従来のエンジン駆動型圧縮機の説明図。
以下に,本発明の始動制御方法を実行する,本発明のエンジン駆動型圧縮機の構成例を,添付図面を参照しながら説明する。
〔エンジン駆動型圧縮機の全体構成〕
図1中の符号1は本発明のエンジン駆動型圧縮機であり,このエンジン駆動型圧縮機1は,圧縮機本体40,前記圧縮機本体40を駆動するエンジン50,前記圧縮機本体40より吐出された圧縮気体を貯留するレシーバタンク60を備え,圧縮機本体40より吐出された圧縮気体を,レシーバタンク60内に貯留した後,逆止弁61を介して図示せざる空気作業機等が接続された消費側に対して供給することができるように構成されている。
本実施形態において,前述の圧縮機本体40は潤滑,冷却及び密封のための潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮する油冷式のスクリュ圧縮機であり,レシーバタンク60内には,吐出流路62を介して潤滑油との気液混合流体として吐出された圧縮気体が導入され,このレシーバタンク60内で潤滑油を分離することができるように構成されていると共に,レシーバタンク60内に回収された潤滑油を,オイルクーラ63を介して圧縮機本体40に再度供給する,給油流路64を備えている。
もっとも,本発明で対象とするエンジン駆動型圧縮機1に搭載する圧縮機本体40は,このような油冷式のものに限定されず,被圧縮気体の圧縮に潤滑油を必要としない,オイルフリー式の圧縮機本体を搭載するものとしても良く,この場合,前述のレシーバタンク60や,レシーバタンク60内に回収された潤滑油を圧縮機本体40に供給するための給油流路64等は省略することができる。
〔吸気調整装置〕
以上のように構成されたエンジン駆動型圧縮機1には,圧縮機本体40の二次側圧力,本実施形態にあってはレシーバタンク60内の圧力が所定の定格圧力(P4)に近付くよう,レシーバタンク60内の圧力が所定の定格圧力(P4)以上になると圧縮機本体40の吸気口41を絞り又は閉じ,定格圧力(P4)未満になると全開にする吸気調整を行う吸気調整装置10を備えている点では,図7を参照して説明した従来のエンジン駆動型圧縮機の構成と同様である。
また,この吸気調整装置10が,圧縮機本体40の吸気口41を開閉制御する,図示の例では常時開(ノーマリオープン)型の吸気調整弁11と,この吸気調整弁11の閉弁受圧室113と圧縮機本体の吐出側(レシーバタンク60)間を連通する制御流路12,レシーバタンク60内の圧力に応じて,レシーバタンク60内の圧力が所定の定格圧力(P4)以上であるとき前記制御流路12を開くと共に,定格圧力(P4)未満であるとき前記制御流路12を閉じる圧力調整弁13によって構成されている点,及び,前記閉弁受圧室113内の圧縮気体を絞り15を介して放出する逃がし流路14を備えている点でも,図7を参照して説明したエンジン駆動型圧縮機の構成と同様であるが,本発明のエンジン駆動型圧縮機1では,本発明の始動制御を可能とするため,各部を下記のように構成している。
〔吸気調整弁〕
圧縮機本体40の吸気口41を開閉する前述の吸気調整弁11は,そのボディ(弁箱)111内に形成された空間によって被圧縮気体が通過する吸入流路115が形成されていると共に,この吸入流路115内に設けた弁座115aに,弁体116を着座させることで,吸入流路115を閉塞することができるように構成されている。
この弁体116は,円盤状の弁体116に弁軸116aが取り付けられた,所謂「傘型弁」であり,ボディ111内に形成された円筒状のスリーブ117内に弁軸116aを挿入した状態で,このスリーブ117の軸線方向に弁体116を進退移動させることで,弁体116を弁座115aに着座させた閉弁位置と,弁座115aから弁体116が離間した開弁位置間を移動できるように構成されている。
このような弁体116の移動を可能とするために,吸気調整弁11の弁箱111には,前述のスリーブ117を介して吸入流路と連通するシリンダ112が前記スリーブ117と同軸に形成されている。
このシリンダ112は,スリーブ117に弁軸116aが挿入された状態で,且つ,前記スリーブ117の形成側とは反対側の端部を端板118で塞ぐことにより気密室を成し,この気密室(シリンダ)112内を,弁軸116aの他端に連結された受圧体119,本実施形態ではピストンを介して二室に分割することにより,前記端板118側に吸気調整弁11の閉弁受圧室113が形成されていると共に,ピストン119を介して前記閉弁受圧室113とは反対側に,補助受圧室114が形成されている。
図示の構成では,吸気調整弁11を常時開(ノーマリオープン)型とするために,前述した補助受圧室114内にピストン119を閉弁受圧室113側に押圧するスプリング114aを収容して,補助受圧室114にスプリング室としての機能を持たせているが,吸気調整弁11を常時開型とすることができるものであれば,スプリング114aは必ずしも補助受圧室114に設ける必要はない。
なお,図示の構成では,弁体116や弁座115aのみならず,弁体116を進退移動させるためのシリンダ112やピストン119等をいずれもボディ(弁箱)111に設けた構成を示したが,図7を参照して従来技術として説明したエンジン駆動型圧縮機のように,弁体の駆動機構を備えない吸気調整弁本体と,この吸気調整弁本体の弁体を駆動するアンローダレギュレータ等の駆動機構をそれぞれ別体とした構成を採用するものとしても良く,この場合,前述した閉弁受圧室113や補助受圧室114,受圧体119は,アンローダレギュレータ内に形成される。
また,図1及び図2に示した例では,受圧体(ピストン)119を,弁体116の弁軸116aに直接取り付けた構成を示したが,図6に示すように,図1及び図2の構成における弁軸116aを長手方向の中間位置で分割して,弁体116に連結された弁軸116a’と,受圧体(ピストン)119に連結されたピストンロッド119aを別個に設け,弁体閉鎖用スプリング116bによって,圧縮機本体40の回転によって生じた吸入流路115内の負圧によって弁体116が弁座115aから離間し得る程度の弱い力で,弁体116を弁座115a側に付勢した吸気調整弁11を使用するものとしても良い。
この構成では,圧縮機本体40が停止した状態では,弁体116は弁座115aと接触した状態にあるが,圧縮機本体40の作動時,スプリング114aの付勢力によって受圧体(ピストン)119が紙面左側に移動している状態では圧縮機本体40に対する吸気が可能な状態(開弁状態)となり,閉弁受圧室113に対する圧縮気体の導入によって受圧体(ピストン)119が紙面右側に移動すると,ピストンロッド119aが弁軸116a’に突合して弁体116を弁座115aに押圧して開かないようにすることで閉弁できるようになっている。
更に,弁体116の駆動機構として,図示の例では,気密室であるシリンダ112内を,閉弁受圧室113に導入された圧縮気体の圧力を受けて移動するピストン119を受圧体として設けることによって仕切る構成を採用したが,受圧体119は前述のピストンに限定されず,閉弁受圧室113内に導入された圧縮気体によって弁体116の動作を制御し得るものであれば,例えばダイヤフラム等を受圧体119としても良い。
〔閉弁受圧室側の流路〕
(1)閉弁受圧室側流路の種類
吸気調整弁11に設けられた閉弁受圧室113には,前述の吸気調整装置10を構成する前述の制御流路12や,前述の逃がし流路14が連通されている他,前記制御流路12をバイパスして閉弁受圧室113を圧縮機本体の吐出側(レシーバタンク60)に連通する強制閉弁流路21が連通されている。
(2)制御流路
このうちの制御流路12は,前述した吸気調整装置10を構成するもので,圧縮機本体40の吐出側(レシーバタンク60)と吸気調整弁11の閉弁受圧室113間を連通する流路であり,該制御流路12中に設けられた圧力調整弁13によって圧縮機本体40の吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)が定格圧力(P4)以上になると制御流路12を開き,定格圧力(P4)未満のとき制御流路12を閉じて,吸気調整弁11の閉弁受圧室113に対する作動圧力の導入を制御する。
図示の例では,この圧力調整弁13として,圧力調整弁13の一次側圧力によって弁体を弁座より離間させる機械制御式の構造のものを示したが,圧力調整弁は,例えばこれを電空レギュレータ等の電気制御式の弁によって構成し,レシーバタンク60内の圧力を検出した圧力センサからの検出信号を受信した後述のコントローラ30からの制御信号によって,レシーバタンク60内の圧力に応じた開度で制御流路12を開閉するように構成するものとしても良い。
(3)逃がし流路
また,前述した逃がし流路14は,吸気調整弁11の閉弁受圧室113内の圧縮気体を放気するための流路であり,この逃がし流路14によって閉弁受圧室113内の圧縮気体を放気する。
本発明の構成では,この逃がし流路14に電磁弁SV2を設けて逃がし流路14を開閉できるようにすることで,通常運転モードでの運転時には閉弁受圧室113内の圧縮気体を放気するが,始動負荷軽減モード時には逃がし流路14を閉じることができるように構成している。
図示の構成では,この逃がし流路14に絞り15を設け放気量を調整しているが,逃がし流路14の管径を調整して放気量を調整する場合,絞り15は必ずしも設けなくても良い。
(4)強制閉弁流路
更に,前述の強制閉弁流路21は,始動負荷軽減モード時,レシーバタンク60内の圧力如何に拘わらず,吸気調整弁11の閉弁受圧室113を圧縮機本体40の吐出側(本実施形態ではレシーバタンク60)に連通する流路であり,図示の例では,前述した制御流路12とは別にレシーバタンク60と閉弁受圧室113間を連通する強制閉弁流路21を設けると共に,強制閉弁流路21を開閉する電磁弁SV1を設ける構成を採用している。
もっとも,この強制閉弁流路21は,レシーバタンク60内の圧力に拘わらず吸気調整弁11の閉弁受圧室113とレシーバタンク60を連通することできるものであれば,前述した制御流路12と一部又は全部を共用する流路として形成するものとしても良い。
制御流路12と一部を共用する構成例としては,圧力調整弁13の一次側と二次側をバイパスするバイパス流路を設け,このバイパス流路に電磁弁SV1を設けることで,始動負荷軽減モード時に電磁弁SV1を開くことで,レシーバタンク60と吸気調整弁11の閉弁受圧室113間を連通する強制閉弁流路が形成されるようにしても良い。
また,制御流路12に設けた圧力調整弁13を前述したように電空レギュレータによって構成した例では,通常運転モードでの運転時には,後述するコントローラ30がレシーバタンク60内の圧力に応じて電空レギュレータの開閉を制御するが,始動負荷軽減モード時には,レシーバタンク60内の圧力に応じた制御をキャンセルして,電空レギュレータを開くようにすることで,制御流路12及び圧力調整弁13に,強制閉弁流路21と電磁弁SV1の機能を併せ持たせる構成としても良い。
更に,この強制閉弁流路21は,例えば図2に示すように,前述した逃がし流路14とその一部を共用する流路として形成することも可能であり,一例として,三方電磁弁SV4のコモンポートdを閉弁受圧室113に連通し,三方電磁弁SV4の他のポートeをレシーバタンク60に連通すると共に,残りのポートfを,絞り15を介して開放(図示の例では吸気調整弁11の一次側における吸流路115内で開放)し,三方電磁弁SV4の操作によって,吸気調整弁11の閉弁受圧室113をレシーバタンク60に連通する強制閉弁流路21と,閉弁受圧室113を吸気制御弁11の一次側における吸入流路115に連通する逃がし流路14のいずれか一方が択一的に形成されるように構成するものとしても良い。
〔補助受圧室側の流路〕
(1)補助受圧室に連通される流路の種類
吸気調整弁11のボディ111内に形成された前述の気密室(シリンダ)112内には,受圧体であるピストン119を介して前述の閉弁受圧室113とは反対側に,前述の補助受圧室114が形成されている。
この補助受圧室114には,補助受圧室114に対する外気の吸排気を可能とする吸排気流路22と,補助受圧室114内を吸引して負圧とする吸引流路23が連通されている。
(2)吸排気流路
このうちの吸排気流路22は,通常運転モードでの運転時,補助受圧室114を大気開放して,受圧体(ピストン)119の移動に伴う補助受圧室114の容積変化に伴って,補助受圧室114内に対する外気の導入及び排出を可能とすると共に,始動負荷軽減モード時には,閉じることができるように構成されている。
図示の例では,前述の補助受圧室114に連通した吸排気流路22を,吸気調整弁11の一次側における吸流路115内に連通し,補助受圧室に対し,圧縮機本体の吸入流路に設けた図示せざるエアフィルタを通過した気体を導入可能とすることで,補助受圧室114内に塵芥が吸入されて作動不良等が生じることを防止すると共に,吸排気音の消音を図っている。
(3)吸引流路
また,前述の吸引流路23は,始動負荷軽減モード時,補助受圧室114を吸気調整弁11の二次側で吸入流路115に連通して,補助受圧室114内を負圧に吸引するためのもので,通常運転モードでの運転時には,補助受圧室114と吸気調整弁11の二次側間の連通を遮断することができるように構成されている。
(4)吸排気流路と吸引流路の構成例
前述した吸排気流路22と吸引流路23は,それぞれ独立して設けることもできるが,図示の実施形態では,吸排気流路22と吸引流路23とを一部共通の流路によって構成すると共に,両流路の開閉を,単一の三方電磁弁SV3によって行うことができるように構成している。
このような構成として,図1及び図2に示す例では,三方電磁弁SV3のコモンポートaを吸気調整弁11の補助受圧室114に連通すると共に,三方電磁弁SV3の他のポートbを吸気調整弁11の一次側において吸入流路115に連通し,残りのポートcを吸気調整弁11の二次側において吸入流路115に連通している。
この構成により,始動負荷軽減モード時には,補助受圧室114と吸気調整弁11の二次側とを連通することで吸引流路23が形成される一方,補助受圧室114と吸気調整弁11の一次側間(吸排気流路22)が遮断され,通常運転モード時には,補助受圧室114を吸気調整弁11の一次側に連通することで吸排気流路22が形成されると共に,補助受圧室と吸気調整弁の二次側(吸引流路23)が遮断されるように構成されている。
〔エンジン〕
本発明は,低回転速度域でのトルクや出力が,同程度の最大出力を発生する自然吸気エンジンに比較して小さい過給式のエンジンを搭載したエンジン駆動型圧縮機1に対し適用する場合に特に効果的であるが,本発明の適用対象とするエンジン駆動型圧縮機1は,このような過給式のエンジンを搭載したものに限定されず,自然吸気型のエンジンを搭載したエンジン駆動型圧縮機に対しても適用可能である。
また,本発明は,図7を参照して説明したように,ガバナレバーによって機械式の速度制御を行うエンジンを搭載したエンジン駆動型圧縮機1を対象とするものとすることも可能であるが,本実施形態のエンジン駆動型圧縮機1では,エンジンコントロールユニット(ECU)を備えた電子制御式のエンジン50を搭載したエンジン駆動型圧縮機1を対象とした。
従って,本実施形態のエンジン駆動型圧縮機1では,図7を参照して説明したエンジンのカバナレバーに代わり,ECUによって,後述するコントローラ30からの速度指令によりエンジン50の回転速度を制御する回転速度制御手段51が実現されている。
また,エンジン50には,該エンジン50の運転状態を検出するための水温センサや水温スイッチ等の冷却水温検出手段52,回転速度センサ等の回転速度検出手段53,油圧センサまたは油圧スイッチ等の油圧検出手段(図示せず)等が設けられていると共に,オルタネータやダイナモ等の発電手段(図示せず)と,該発電手段の発電電圧及び/又は電流を検出する発電電圧/電流検出手段(図示せず)等の各種の検出手段が設けられている。
なお,前述の冷却水温検出手段52である水温センサまたは水温スイッチは,エンジン50のウォータジャケットの出口部(図示せず)に設けることが好ましく,ウォータジャケットの出口部にサーモスタット(図示せず)を設けている場合には,このサーモスタットの上流側に設ける。
〔キースイッチ〕
図1中の符号70は,エンジン駆動型圧縮機1の始動及び停止操作を行うための既知のキースイッチであり,このキースイッチ70にキー(図示せず)を指し込んで回転させることにより,「OFF」,「ON」,「C」のいずれかのポジションに回転させることができるように構成されている。
このうちの「OFF」はエンジン駆動型圧縮機1の各部に対する通電が停止された停止状態,「ON」は,所謂「アクセサリーポジション」であり,エンジン,コントローラなどの電子制御装置,センサや各種計器類等に対する通電が行われた状態,「C」は,「ON」ポジションで行われた通電状態を維持しつつ,更にエンジンのスタータモータに対し通電を行ってエンジン50を始動させる,所謂「始動ポジション」である。
このようなキースイッチ70を備えたエンジン駆動型圧縮機1の構成において,「OFF」ポジションでキーが抜かれた状態にあるキースイッチ70に,キーを差し込んで「ON」ポジションに回転させた後,更に「C」ポジションに回転させてスタータモータに対する通電を開始してエンジンを始動させた後,「ON」位置に戻すことで,エンジン駆動型圧縮機1の始動と運転の継続を行うことができると共に,「ON」ポジションから,「OFF」ポジションに回転させると,エンジン駆動型圧縮機1を停止させ,且つ,キーを抜き取ることができるように構成されている。
なお,エンジン駆動型圧縮機1の始動及び停止操作のためのスイッチは,このようなキースイッチ70に限定されず,アクセサリーのON,OFFを行うことができると共に,スタータモータのON,OFFを行うことができるものであれば,各種の構成を採用することかでき,アクセサリーのON,OFFと,スタータモータのON,OFFを行うスイッチは別々に設けるものとしても良い。
〔コントローラ〕
(1)全体構成
以上のように,各流路に設けられた電磁弁(図1ではSV1〜SV3,図2ではSV3,SV4)やエンジン50等,エンジン駆動型圧縮機1の動作を統括的に制御するために,エンジン駆動型圧縮機1には,制御用のコントローラ30が設けられている。
このコントローラ30は,図3に示すように,エンジン50の運転状態を判定する,エンジン運転状態判定手段31と,このエンジン運転状態判定手段31の判定結果に従い,始動負荷軽減モードでの運転,又は,通常運転モードでの運転を実行するための制御信号を各部に対して出力する,運転モード切替手段32が実現されている。
(2)エンジン運転状態判定手段
前述のエンジン運転状態判定手段31は,前述したキースイッチ70のポジションと,エンジン50に設けられた回転速度検出手段53,冷却水温検出手段52,油圧検出手段(図示せず),及び発電電圧/電流検出手段(図示せず)からの検出信号,及び内蔵するタイマ36によってカウントされたカウント時間に応じて,エンジン50の運転状態を判定するもので,エンジン50の運転状態として,始動待機状態,始動状態,及び,安定運転状態を判定する。
このうち,始動待機状態は,キースイッチがOFFからON(アクセサリーポジション)の状態に切り替えられ,エンジン運転状態判定手段31が起動したときに判定される。
また,始動状態は,前記エンジン50の運転状態が所定の始動判定条件を満たしたときに判定されるもので,例えば,回転速度検出手段53によって検出されたエンジンの回転速度が所定の始動判定回転速度(N1)を超えたとき,発電電圧/電流検出手段(図示せず)が検出した電圧/電流値が所定の始動判定値を超えたとき,又は,油圧検出手段(図示せず)が検出した圧力値が所定の始動判定圧力を超えたとき,のいずれかの条件を満たしたときに判定するものとすることができ,本実施形態にあっては,このうち,回転速度検出手段が,始動判定回転速度(N1)を超える回転速度を検出したときに始動状態の判定を行うものとした。
さらに,安定運転状態は,前記始動状態が判定された後,所定の安定運転条件を満たしたときに判定され,本実施形態にあっては,エンジンの始動判定後,第一の所定時間が経過し,かつ,冷却水温検出手段52によって検出されたエンジンの冷却水温度が所定の暖機完了温度(T1)を超えるか,又は,前記第一の所定時間の経過から更に第二の所定時間が経過するかの,いずれかの条件が満たされたとき,安定運転状態を判定するよう構成した。
(3)運転モード切替手段
(3-1) 全体構成
運転モード切替手段32は,前述したエンジン運転状態判定手段31による判定結果に従い,エンジン駆動型圧縮機1の運転モードを,始動負荷軽減モードと通常運転モードのいずれかに切り替えるもので,この運転モード切替手段32は,一例として,図3に示すように,更に,エンジン運転状態判定手段31の判定結果に従い,前記いずれの運転モードと成すかを選択する運転モード選択手段33と,前記運転モード選択手段33の選択結果に従い,吸気調整弁11の閉弁受圧室113と補助受圧室114に連通された各流路を開閉する電磁弁(図1の例ではSV1〜SV3,図2の例では又はSV3,SV4)の動作を制御する制御信号を出力する電磁弁制御手段34と,エンジン50の回転速度制御手段(ECU)51に対し選択結果に従った速度指令を出力するエンジン速度指令手段35を備えている。
(3-2) 運転モード選択手段
前述の運転モード選択手段33は,エンジン運転状態判定手段31が始動待機状態であることの判定後,安定運転状態であることの判定を行う迄,始動負荷軽減モードによる運転を選択すると共に,エンジン運転状態判定手段が安定運転状態にあることの判定を行うと,通常運転モードによる運転への移行を選択する。
(3-3) 電磁弁制御手段
前述の電磁弁制御手段34は,運転モード選択手段33による運転モードの選択が,始動負荷軽減モードであるとき,逃がし流路14と吸排気流路22を閉じ,強制閉弁流路21と吸引流路23を開く制御信号を電磁弁(図1の例ではSV1〜SV3,図2の例ではSV3,SV4)に出力する。
一方,運転モード選択手段33が通常運転モードを選択した後,逃がし流路14と吸排気流路22の開放と,強制閉弁流路1と吸引流路23の閉塞を行う制御信号を前記各電磁弁(図1の例ではSV1〜SV3,図2の例ではSV3,SV4)に出力し,定格圧力(P4)を基準とした前記圧力調整弁13の開閉動作による圧縮機本体40の吐出側(レシーバタンク60)と吸気調整弁11の閉弁受圧室113間の連通及び遮断が行われる既知の吸気制御を開始する。
(3-4) エンジン速度指令手段
前述のエンジン速度指令手段35は,通常運転モードでの運転時,圧縮機本体の吐出側圧力(レシーバタンク内の圧力)を検出する圧力スイッチや圧力センサ等の圧力検出手段65の検出圧力に応じて,エンジン50の回転速度を無負荷回転速度(N2)と定格回転速度(N4)間で変化させる速度指令を回転速度制御手段(ECU)51に出力し,エンジン駆動型圧縮機1の始動から前記通常運転モードへの移行が行われるまでは,前記無負荷回転速度(N2)よりも高速であるが,定格回転速度(N4)よりも低速である始動回転速度(N3)となるようエンジン50の回転速度制御手段(ECU)51に対し速度指令を出力する。
ここで,エンジンの始動と暖機運転を,定格回転速度(N4)(最大出力)で行えば,エンジンストールのおそれは無くなるが,燃料消費量が多くなるため,始動及び暖機運転時の回転速度である始動回転速度(N3)は,可能な限り低回転とすることが好ましい。
そこで,本実施形態にあっては,圧縮機本体40の無負荷運転時(N2)の動力に対し所定の余裕を加えた動力を設定し,この設定した動力を超えるエンジン出力,トルクを発生する回転速度という条件を満足する,可及的に低い回転速度に始動回転速度(N3)を設定している。
〔動作説明等〕
以上のように構成された本発明のエンジン駆動型圧縮機1における,始動負荷軽減モードでの始動から,通常運転モードによる運転迄の一連の動作を図4に示したタイムチャートを参照して説明すれば,以下の通りである。
(1)始動負荷軽減モードによる始動
キースイッチ70にキーを差し込み,OFFポジションからONポジションに切り替えると,エンジン駆動型圧縮機1を構成するエンジン50やコントローラ30等の制御装置類,各検出手段や計器盤等に対する通電が開始され,コントローラ30のエンジン運転状態判定手段31が起動して,エンジン50が始動を待機した状態にある,始動待機状態であると判定する。
この,エンジン運転状態判定手段31の判定結果に従い,運転モード選択手段33は運転モードとして始動負荷軽減モードを選択し,電磁弁制御手段34は,この選択結果に従い,各電磁弁(図1の例ではSV1〜SV3,図2の例ではSV3,SV4)に制御信号を出力し,前記逃がし流路14と前記吸排気流路22を閉じ,前記強制閉弁流路21と前記吸引流路23を開く制御信号を出力してエンジン50の始動を待機する。
図1に示す例では,電磁弁制御手段34からの制御信号によって,強制閉弁流路21に設けた電磁弁SV1を開,逃がし流路14に設けた電磁弁SV2を閉と成すと共に,三方電磁弁SV3によって,補助受圧室114と吸気調整弁11の二次側(ポートa−c)間を連通して,補助受圧室114内を負圧と成す吸引流路23が形成されると共に,補助受圧室114と吸気調整弁の一次側(ポートa−b)間(吸排気流路22)を遮断する。
また,図2に示す例では,電磁弁制御手段34からの制御信号によって三方電磁弁SV4が吸気調整弁11の閉弁受圧室113とレシーバタンク60間(ポートd−e)を連通して強制閉弁流路21を形成すると共に,閉弁受圧室113と吸気調整弁11の一次側間(ポートd−f),すなわち逃がし流路14を遮断し,また,三方電磁弁SV3によって,補助受圧室114と吸気調整弁11の二次側間(ポートa−c)を連通して,補助受圧室114内を負圧と成す吸引流路23を形成すると共に,補助受圧室114と吸気調整弁11の一次側間(ポートa−b),すなわち吸排気流路22を遮断する。
このように,始動負荷軽減モードでエンジン50の始動を待機している状態では,吸気調整弁11の閉弁受圧室113と補助受圧室(スプリング室)114内の圧力は共に大気圧(ゲージ圧0MPa)であるため,スプリング114aの付勢力のみが受圧体(ピストン)119に作用し,受圧体119は図中,紙面左側に押され,吸気調整弁11の弁体116が弁座115aより最大限離間した,全開状態となっている。
また,運転モード切替手段32のエンジン速度指令手段35は,運転モード選択手段33の選択に従い,エンジン50に設けた回転速度制御手段(ECU)51に対し,通常運転モード時の無負荷回転速度(N2)よりも高い回転速度である始動回転速度(N3)とする速度指令を出力する。
このようにして,エンジン50の始動を待機した状態から,キースイッチ70をONポジションからCポジション(始動ポジション)に切り替えて,スタータモータに対する通電を開始してエンジン50を回転させると,スタータモータによるエンジン50の回転に伴ってエンジン50の出力軸に連結されている圧縮機本体40も回転を開始する。
このとき,吸気調整弁11は全開の状態にあることから,スタータモータによってエンジン50と共に回転された圧縮機本体40は,被圧縮気体の吸入と圧縮を開始する。
このように圧縮機本体40が吸気を開始することで,圧縮機本体40の吸入流路115が負圧になると,吸入流路115に吸引流路23を介して連通された補助受圧室(スプリング室)114内も負圧となる。
また,圧縮機本体40内に吸引された被圧縮気体は,圧縮機本体40内で圧縮されて吐出されることで圧縮機本体40の吐出側圧力(レシーバタンク60内の圧力)が上昇し,圧縮機本体40の吐出側(レシーバタンク60)と強制閉弁流路21を介して連通された吸気調整弁11の閉弁受圧室113内の圧力が上昇を開始する。
閉弁受圧室113内の圧縮気体を放気する逃がし流路14は,始動負荷軽減モードの選択時,閉じているため,このようにしてレシーバタンク60内の圧力が上昇すると,この圧力上昇は,そのまま,閉弁受圧室113内の圧力上昇となって,受圧体119に対し直接作用すると共に,補助受圧室(スプリング室)114が吸気調整弁11の二次側に連通されて負圧となっていることで,気密室(シリンダ)112内の受圧体(ピストン)119には,閉弁受圧室113側からの加圧と,補助受圧室114側からの吸引力が同時に作用し,両者の相乗効果によって,これを図1中,紙面右方向に移動させて,弁体116を弁座115aに着座させる,閉弁方向の力が加わる。
その結果,同一の性能を有する吸気調整弁11を使用した場合,逃がし流路によって放気されている閉弁受圧室内に対し圧縮気体を導入して始動時における閉弁を達成しようとした前掲の特許文献1に記載の構成に比較して,逃がし流路14を閉じた状態で,且つ,閉弁受圧室113側からの加圧と,補助受圧室114側からの負圧吸引によって受圧体119を移動させる構成を採用した本発明の構成では,特許文献1に記載の始動負荷軽減状態での始動によって吸気調整弁が全閉となるレシーバタンク内の圧力(P3)に対し,より低いレシーバタンク60内の圧力(P1)によって吸気調整弁11を全閉とすることができ,その結果,圧縮機本体40が回転を開始した後,より早期に吸気調整弁11を閉じることができる。
このように,本発明の構成では,圧縮機本体40が回転を開始した後,極めて短時間のうちに吸気調整弁を閉じることが可能であることから,スタータモータによるエンジンの回転中に吸気調整弁11が絞られ,好ましくは閉じることで,スタータモータから切り離され,自立運転を開始した始動直後の最も不安定な運転状態にあるエンジン50の負荷を大幅に軽減して,低回転領域から始動回転速度(N3)への立ち上がりを円滑に行わせることが可能であると共に,始動負荷軽減モードによる始動時のエンジンの回転速度である始動回転速度(N3)を,通常運転モード時における無負荷回転速度(N2)よりも高回転に設定したことにより,始動負荷軽減モードでの運転時におけるエンジンのトルクと出力を高めることで,エンジンストールを発生させることなく,所定の安定運転状態となる迄,暖機運転を行うことが可能である。
(2)始動負荷軽減モードから通常運転モードへの移行
以上のようにして,始動負荷軽減モードでの始動を行った後,回転速度検出手段53が所定の始動判定回転速度(N1)以上の回転速度を検出すると,エンジン運転状態判定手段31は,エンジン50が始動したことを判定し,このエンジン50の始動判定後,所定の安定運転判定条件が満たされることで,エンジン運転状態判定手段31は,エンジン50が安定運転となったことを判定する。
本実施形態において,この安定運転判定条件は,エンジンの始動判定から第一の所定時間が経過した後,更に,冷却水温が予め設定した温度(T1)を超えるか,又は,前記第一の所定時間の経過から更に第二の所定時間が経過するかのいずれか一方の条件が満たされたときに満たされ,エンジン運転状態判定手段31はエンジン50が安定運転状態になったことを判定する。
図4には,第一の所定時間経過後,第二の所定時間が経過する前に,冷却水温が設定温度(T1)を超えることで安定運転状態であることの判定が行われた例を示している。
なお,本実施形態では,上記第一設定時間を,エンジン50の始動判定後,無負荷回転速度(N2)に達し,かつエンジン50の各部に設けた各種センサからの信号によりECUが,エンジン運転状態を自己診断するに要する時間を考慮し,一例として30秒に設定した。
また,本実施形態では,上記第二の設定時間を,通常の周囲環境条件(常温)時に,エンジン始動後,冷却水温が所定温度(T1)を超える,または,エンジンオイルが各部に行き渡る,所謂「暖機運転」が完了するまでに要する時間に基づいて,一例として120秒に設定した。
なお,本実施形態にあっては,前述のようにエンジンの始動判定を,エンジン回転速度の検出結果に基づいて行うものとしたが,この構成に代えて,オルタネータやダイナモ等のエンジンに設けた発電装置(図示せず)の発電電圧や発電電流を検出する,発電電圧/電流検出手段(図示せず)が検出する電圧/電流値が,所定の始動判定値以上となったときにエンジン50の始動判定を行うものとしても良く,又は,エンジン50の油圧を検出する油圧検出手段(図示せず)を設け,該油圧検出手段が検出した油圧が所定の始動判定値以上となったときにエンジンの始動を判定するものとしても良く,エンジンの運転状態を判定可能な各種検出手段からの検出信号を利用して判定することができる。
このように,エンジン運転状態判定手段31が,エンジン50が安定運転状態となったことを判定すると,運転モード切替手段32に設けた運転モード選択手段33は,運転モードとして,通常運転モードを選択し,以降,キースイッチ70をOFFポジションに操作してエンジン駆動型圧縮機1を停止する迄,通常運転モードによる運転が行われる。
この通常運転モードの選択に従い,電磁弁制御手段34は,各電磁弁(図1の例ではSV1〜SV3,図2の例ではSV3,SV4)に作動信号を出力し,前記逃がし流路14と前記吸排気流路22を開き,前記強制閉弁流路21と前記吸引流路23を閉じる。
図1に示す例では,電磁弁制御手段34からの制御信号によって,強制閉弁流路21に設けた電磁弁SV1を閉,逃がし流路14に設けた電磁弁SV2を開と成すと共に,三方電磁弁SV3によって,補助受圧室114と吸気調整弁11の一次側間(ポートa−b)を連通して吸排気流路22を開くと共に,補助受圧室114と吸気調整弁11の二次側間(ポートa−c),すなわち吸引流路23が閉ざされる。
また,図2に示す例では,電磁弁制御手段34からの制御信号によって三方電磁弁SV4が,吸気調整弁11の閉弁受圧室113と吸気調整弁11の一次側間(ポートd−f)を連通して逃がし流路を開くと共に,閉弁受圧室とレシーバタンク間(ポートd−e),従って強制閉弁流路21を閉じ,また,三方電磁弁SV3によって,補助受圧室114と吸気調整弁11の一次側間(ポートa−b)を連通して吸排気流路22を開くと共に,補助受圧室114と吸気調整弁11の二次側間(ポートa−c),従って吸引流路23を閉じる。
これにより,圧縮機本体40に対する吸気調整が,レシーバタンク60内の圧力に応じて圧力調整弁13が制御流路12を開閉制御することにより行われる,既知の通常運転モードでの運転に移行する。
すなわち,閉弁受圧室113と補助受圧室114に対する各流路の連通状態を前述したように切り替えたことにより,補助受圧室(スプリング室)114は閉弁状態にある吸気調整弁11の一次側と連通することで,負圧の状態から大気圧となる。
また,強制閉弁流路21を介した閉弁受圧室113とレシーバタンク60間の連通が遮断されると共に,通常運転モードへの移行直後には,レシーバタンク60内の圧力は圧力調整弁13の作動圧力未満であるため制御流路12を介した閉弁受圧室113とレシーバタンク60間の連通も行われていない。
しかも,閉弁受圧室113内の圧縮気体は,逃がし流路14が開くことで放気され,受圧体119を図示右側に押圧する力,すなわち,吸気調整弁11の弁体116を閉弁方向に押圧する力が消失する。
その結果,受圧体119はスプリング114aの付勢力によって紙面左側,従って,吸気調整弁11の弁体116を弁座115aより離間する方向に押圧されて吸気調整弁11が全開状態となる。
また,エンジン速度指令手段35は,運転モード選択手段33による通常運転モードの選択により始動回転速度(N3)による一定回転速度での運転を解除して,レシーバタンク60内の圧力を検出する圧力検出手段65が検出した圧力に応じて,無負荷回転速度(N2)から定格回転速度(N4)の間で無段階にエンジン50の回転速度を可変と成す速度指令を出力する,既知の速度制御が行われる。
そして,始動負荷軽減モードから通常運転モードに移行した際のレシーバタンク60内の圧力(P1)は,定格圧力(P4)よりも低圧であり,このレシーバタンク60内の圧力(P1)を検出した圧力検出手段65からの検出信号に基づき,エンジン速度指令手段35は,エンジンの回転速度を定格回転速度(N4)とする速度指令を回転速度制御手段(ECU)51へ出力する。
また,圧力調整弁13も定格圧力(P4)未満では閉弁状態であるため,吸気調整弁11の閉弁受圧室113に対しレシーバタンク60内の圧力が導入されていないことから,吸気調整弁11は全開状態を維持し,レシーバタンク60内の圧力が上昇する。
レシーバタンク60内の圧力上昇に応じ,レシーバタンク60内の圧力を検出する圧力検出手段65からの検出信号を受信したエンジン速度指令手段35は,レシーバタンク60内の圧力が定格圧力(P4)を超えると,エンジン50の回転速度を定格回転速度(N4)から圧力の上昇に応じて徐々に減速していき,無負荷回転速度(N2)まで低下させる。
また,レシーバタンク60内の圧力が上昇して定格圧力(P4)以上になると,圧力調整弁13が制御流路12を開いて吸気調整弁11の閉弁受圧室113に対する圧縮気体の導入が開始されて圧縮機本体40の吸気口41が絞り又は閉ざされ,一方,レシーバタンク60内の圧力が定格圧力(P4)未満になると圧力調整弁13が制御流路12を閉じて吸気調整弁11の閉弁受圧室113に対する圧縮気体の導入が停止されて吸気調整弁11は圧縮機本体40の吸気口41を開くことで,レシーバタンク60内の圧力が定格圧力(P4)となるよう,既知の吸気調整が行われ,以降,エンジン駆動型圧縮機1が停止する迄,前述した速度制御と吸気調整が行われる。
〔効果等〕
図7を参照して説明した特許文献1に記載の構成では,アンローダレギュレータ316の閉弁受圧室は逃がし流路314を介して常時開放されており,レシーバタンク360内の圧力の一部しか閉弁動作に利用されていない。
しかも,特許文献1に記載の構成では,負圧を利用した閉弁作用がないことから,圧力調整弁313をバイパスしてレシーバタンク360とアンローダレギュレータ316を直接連通した状態でエンジン350を始動させたとしても,レシーバタンク360内の圧力が本実施例の始動負荷軽減モード時に吸気調整弁311が全閉となる圧力(P1)よりも高い圧力(P3)とならなければ吸気調整弁311は全閉(無負荷運転)にはならず,エンジン350の始動から無負荷運転となるまでの間,始動から回転立上がり途中のエンジン350には本実施例と比べて長時間,圧縮に伴う負荷がかかるため,始動に失敗してエンジンストールが生じる恐れがある。
これに対し,図1〜図4を参照して説明した本発明の構成では,始動負荷軽減モードによるエンジン駆動型圧縮機1の始動後,即座に圧縮機本体40の吸気口41を閉じて無負荷運転とすることにより,スムーズにエンジン50を始動できると共に,エンジン50が所定の始動判定回転速度(N1)に達し,更に,所定の安定運転状態となるまで暖機運転を行ってから通常運転モードに移行する構成としたことで,通常運転への移行によって全負荷運転に移行してもエンジン50がストールすることがない。
さらに,エンジン50の始動判定から第一の所定時間経過後,エンジン50の冷却水温度が設定温度(T1)を超えるか,または第二の所定時間を経過するかの,いずれか一方の条件が満たされたときに安定運転状態となったことを判定し,始動負荷軽減モードから通常運転モードに移行することにより,冷却水温が所定の設定温度(T1)以上となっていて暖機が不要な場合に迄,第二の所定時間が経過する迄始動負荷軽減モードによる運転を継続することによる燃料の浪費を防止することができ,速やかに圧縮空気を用いた作業を開始することができる。
〔その他(変更例)〕
以上で説明した構成では,エンジン運転状態判定手段31による安定運転状態の判定,従って,運転モード選択手段33が通常運転モードを選択した際,電磁弁制御手段34が,前記逃がし流路14と前記吸排気流路22の開放,前記強制閉弁流路21と前記吸引流路23の閉塞をいずれも同時に行う構成について説明した。
しかし,油冷式の圧縮機本体40を搭載したエンジン駆動型圧縮機1では,圧縮気体と共に吐出した潤滑油をレシーバタンク60内に回収し,回収した潤滑油をレシーバタンク60内の圧力によって再度,圧縮機本体40に給油する構成を採用する。
そのため,始動負荷軽減モード時のレシーバタンク60内の圧力が比較的低い圧力(P1)となる本発明のエンジン駆動型圧縮機1の構成では,寒冷時等の低温の環境で使用する場合のように,潤滑油が低温で高粘度の状態にあり,流動性が低くなっていると,圧縮機本体40に対して充分に潤滑油を圧送できない場合が生じ得る。
このように,圧縮機本体40に対する給油が不十分の状態であっても,始動負荷軽減モードでの運転時には吸気調整弁11が全閉となっており,圧縮機本体40は吸気と圧縮を行っていないことから,給油不足が生じていても吐出気体温度が上昇しないため吐出空気温度の異常上昇により当該圧縮機が非常停止することはないが,このように吐出気体温度が上昇しないということは,レシーバタンク60内の潤滑油も温まり難くなっていることを意味する。
そのため,始動負荷軽減モードでの運転によりエンジン50は暖機されても,圧縮機本体40に給油される潤滑油は充分に暖まっていないため,この状態で通常運転モードに移行して全負荷運転が開始されると,全負荷運転開始直後に圧縮機本体40に対する潤滑油の供給量が不足してしまい,圧縮機本体40内の温度(吐出空気温度)が急激に上昇して当該圧縮機が非常停止することも懸念される。
そこで,本実施形態では,図1〜図4を参照して説明した前述の実施形態において,通常運転モードへの移行時に,電磁弁制御手段34が,前記逃がし流路14と前記吸排気流路22の開放と,前記強制閉弁流路21と前記吸引流路23の閉塞をいずれも同時に行っていた構成に代えて,通常運転モードへの移行時,電磁弁制御手段34が,先ず,前記吸排気流路22を開くと共に,前記吸引流路23を閉じる制御信号(ポートa−cを閉じ,ポートa−bを開く制御信号)を三方電磁弁SV3に出力して,通常運転移行準備を実行し,その後,更に,第三の所定時間が経過したときに,電磁弁(図1の構成ではSV1,SV2,図2の構成ではSV4)に対し逃がし流路14を開くと共に,強制閉弁流路21を閉じる制御信号(図1の例ではSV1を閉,SV2を開とする制御信号,図2の例ではSV4のポートd−e間を閉じ,ポートd−f間を開く制御信号)を出力して,通常運転に移行するように構成し,これによって,通常運転モードに移行して全負荷運転に移行する前に,レシーバタンク60内の圧力を,始動負荷軽減モード時の圧力(P1)から,寒冷時等において流動性が低下している潤滑油であっても圧縮機本体40に対し圧送可能な圧力(P2)まで昇圧させるようにした。
この場合,エンジン速度指令手段35は,エンジン運転状態判定手段31が安定運転状態であることの判定を行った後,従って運転モード選択手段33が通常運転モードの選択をした後,前記第三の所定時間が経過して通常運転モードに移行する迄,始動回転速度N3でのエンジン50の回転速度制御を継続し,前記第三の所定時間が経過して通常運転モードに移行した後,圧力検出手段65によって検出されたレシーバタンク60内の圧力に応じて,無負荷回転速度(N2)と定格回転速度(N4)間での速度制御を開始するように構成する(図5参照)。
なお,本実施形態では,この第三の所定時間を,通常運転移行準備中にレシーバタンク60内の圧力がP1からP2まで昇圧に要する時間と,レシーバタンク60内の圧力がP2に到達した後,再びECUがエンジン50の運転状態を自己診断するに要する時間,または,潤滑油が各機器を循環するに要する時間等を考慮し,一例として60秒に設定した。
このように,通常運転移行準備によって吸引流路23を閉じると共に前記吸排気流路22を開くことで,補助受圧室114内の負圧が解消される。
その結果,受圧体119を閉弁方向(図1,図2中の紙面右側)に移動させるように作用していた力が弱まることで,スプリング114aの付勢力によって受圧体119は,図中の紙面左側に移動され,受圧体119に対し弁軸116aを介して連結された弁体116が弁座115aより離間されて吸気調整弁11が僅かに開く。
このようにして吸気調整弁11が開くと,圧縮機本体40は吸気を開始すると共に,吸入した気体を圧縮して吐出することで,レシーバタンク60内の圧力が上昇する。
この通常運転移行準備段階では,未だ,強制閉弁流路21による閉弁受圧室113とレシーバタンク60間の連通は維持されていると共に,逃がし流路14が閉じた状態にあるため,レシーバタンク60内の圧力が所定圧力(P2)迄上昇すると,閉弁受圧室113内の圧力も同一圧力に上昇して,再度,吸気調整弁11を閉じることで,レシーバタンク60内の圧力が,前述した所定の圧力(P2)に維持される。
このときのレシーバタンク内の圧力(P2)は,逃がし流路314を開放した状態の始動負荷軽減状態で運転を行う従来のエンジン駆動型圧縮機(図7参照)におけるレシーバタンク内圧力(P3)に比較して低い圧力とすることができる。
このようにして,第3の所定時間(一例として60秒),通常運転移行準備を行うことで,レシーバタンク60内の圧力を所定の圧力(P2)に上昇させた後,逃がし流路14を開くと共に,強制閉弁流路21を閉じて通常運転に移行することで,吸気調整弁11が全開となって全負荷運転に移行した際,所定の圧力(P2)までレシーバタンク60内の圧力が既に上昇しているために,圧縮機本体40に対する潤滑油の供給を確実に行うことができ,その結果,吐出空気温度の異常上昇による非常停止の発生を防止することが可能となる。
1 エンジン駆動型圧縮機
10 吸気調整装置
11 吸気調整弁
111 ボディ(弁箱)
112 気密室(シリンダ)
113 閉弁受圧室
114 補助受圧室(スプリング室)
114a スプリング
115 吸入流路
115a 弁座
116 弁体
116a,116a’ 弁軸
116b 弁体閉鎖用スプリング
117 スリーブ
118 端板
119 受圧体(ピストン)
119a ピストンロッド
12 制御流路
13 圧力調整弁
14 逃がし流路
15 絞り
21 強制閉弁流路
22 吸排気流路
23 吸引流路
30 コントローラ
31 エンジン運転状態判定手段
32 運転モード切替手段
33 運転モード選択手段
34 電磁弁制御手段
35 エンジン速度指令手段
36 タイマ
40 圧縮機本体
41 吸気口
50 エンジン
51 回転速度制御手段(ECU)
52 冷却水温検出手段
53 回転速度検出手段
60 レシーバタンク
61 逆止弁
62 吐出流路
63 オイルクーラ
64 給油流路
65 圧力検出手段
70 キースイッチ
SV1.SV2 電磁弁(2方)
SV3,SV4 電磁弁(3方)
300 エンジン駆動型圧縮機
310 吸気調整装置
311 吸気調整弁
312 制御流路
313 圧力調整弁
314 逃がし流路
315 絞り
316 アンローダレギュレータ
320 始動負荷軽減装置
321 バイパス流路
325 始動アンローダバルブ
340 圧縮機本体
341 吸気口
350 エンジン
360 レシーバタンク
363 オイルクーラ
364 給油流路
366 オイルセパレータ
367 オイルフィルタ

Claims (12)

  1. エンジン,前記エンジンによって駆動される圧縮機本体,及び前記圧縮機本体に対する吸気を制御する吸気調整装置を備え,前記吸気調整装置が,前記圧縮機本体の吸気口を開閉する吸気調整弁と,前記吸気調整弁の閉弁受圧室と前記圧縮機本体の吐出側間を連通する制御流路と,前記圧縮機本体の吐出側圧力が所定の定格圧力以上のときに前記制御流路を開き,前記定格圧力未満のとき前記制御流路を閉じる圧力調整弁を備えたエンジン駆動型圧縮機において,
    前記吸気調整弁に気密室を設け,該気密室内を,弁体の動作を制御する受圧体によって仕切ることで,一方を前記閉弁受圧室と成すと共に,他方を補助受圧室とし,前記閉弁受圧室内の圧縮気体を逃がす逃がし流路と,前記補助受圧室内への外気の導入及び排出を可能とする吸排気流路を設け,
    前記逃がし流路と前記吸排気流路を閉じ,かつ,前記閉弁受圧室と前記圧縮機本体の吐出側とを連通すると共に,前記補助受圧室を前記吸気調整弁の二次側に連通した状態でエンジンを始動させ,始動負荷軽減モードでの始動を行い,
    前記エンジンの始動が判定され,かつ,前記エンジンが所定の安定運転状態になったと判定されるまで,前記始動負荷軽減モードでの運転を維持すると共に,その後,前記吸気調整装置による吸気調整を行う通常運転モードに移行することを特徴とするエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法。
  2. 前記エンジンが前記安定運転状態になったと判定された後,前記逃がし流路と前記吸排気流路を開き,かつ,前記補助受圧室と前記吸気調整弁の二次側との連通を遮断すると共に,前記始動負荷軽減モードでの始動の際に行った前記閉弁受圧室と前記圧縮機本体の吐出側との連通を遮断して,前記通常運転モードに移行することを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法。
  3. 前記エンジンの運転状態が所定の始動判定条件を満たしたときに,前記エンジンの始動を判定し,
    前記エンジンの始動判定後,第一の所定時間が経過し,かつ,前記エンジンの冷却水温度が所定の暖機完了温度を超えるか,又は,前記第一の所定時間の経過から更に第二の所定時間が経過するかの,いずれかの条件が満たされたとき,前記エンジンが前記安定運転状態となったことを判定する請求項1又は2記載のエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法。
  4. 前記安定運転状態となったことの判定により,前記吸排気流路を開くと共に,前記補助受圧室と前記吸気調整弁の二次側との連通を遮断する通常運転移行準備を行い,
    前記安定運転状態となったことの判定より更に第三の所定時間が経過したとき,前記逃がし流路を開くと共に,前記始動負荷軽減モードでの始動の際に行った前記閉弁受圧室と前記圧縮機本体の吐出側との連通を遮断して,前記通常運転モードに移行することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法。
  5. 前記通常運転モードによる運転時,前記圧縮機本体の吐出側圧力に応じて無負荷回転速度と定格回転速度間で前記エンジンの回転速度を制御する速度制御を行うと共に,
    前記通常運転モードへの移行前,前記通常運転モードにおける前記無負荷回転速度よりも高い回転速度である始動回転速度での定速運転となるよう前記エンジンの回転速度を制御することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法。
  6. 前記エンジンの始動判定を,前記エンジンの回転速度が所定の始動判定回転速度を超えたとき,前記エンジンに設けた発電装置の発電電圧又は電流が所定の始動判定値を超えたとき,又は,前記エンジンの油圧が所定の始動判定圧力を超えたときのいずれかの条件を満たしたときに行うことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のエンジン駆動型圧縮機の始動制御方法。
  7. エンジン,前記エンジンによって駆動される圧縮機本体,及び前記圧縮機本体に対する吸気を制御する吸気調整装置を備え,前記吸気調整装置が,前記圧縮機本体の吸気口を開閉する吸気調整弁と,前記吸気調整弁の閉弁受圧室と前記圧縮機本体の吐出側間を連通する制御流路と,前記圧縮機本体の前記吐出側圧力が所定の定格圧力以上のときに前記制御流路を開き,前記定格圧力未満のとき前記制御流路を閉じる圧力調整弁を備えたエンジン駆動型圧縮機において,
    前記吸気調整弁に気密室を設け,該気密室内を,弁体の動作を制御する受圧体によって仕切ることで,一方を前記閉弁受圧室と成すと共に,他方を補助受圧室とし,前記閉弁受圧室内の圧縮気体を逃がす逃がし流路,前記補助受圧室内への外気の導入及び排出を可能とする吸排気流路,前記吸気調整弁の前記閉弁受圧室を前記圧縮機本体の吐出側と連通させる強制閉弁流路,及び,前記補助受圧室を前記吸気調整弁の二次側に連通する吸引流路をそれぞれ設けると共に,前記各流路を開閉する電磁弁を設け,
    前記エンジンの運転状態を判定するエンジン運転状態判定手段と,前記エンジン運転状態判定手段の判定結果に従い,運転モードを切り替える運転モード切替手段を設け,
    前記運転モード切替手段に,前記電磁弁の開閉動作を制御する電磁弁制御手段を更に設けると共に,
    前記電磁弁制御手段が,
    前記エンジン運転状態判定手段が,前記エンジンが始動待機状態にあると判定したとき,前記逃がし流路と前記吸排気流路を閉じ,前記強制閉弁流路と前記吸引流路を開く制御信号を前記各電磁弁に出力した始動負荷軽減モードで前記エンジンの始動を待機し,
    前記エンジン運転状態判定手段が,前記エンジンが始動したことを判定し,かつ,前記エンジンが所定の安定運転状態になったと判定する迄,前記始動負荷軽減モードを維持すると共に,その後,前記吸気調整装置による吸気調整を行う通常運転モードに移行することを特徴とするエンジン駆動型圧縮機。
  8. 前記電磁弁制御手段は,前記エンジン運転状態判定手段が前記安定運転状態になったことを判定した後,前記逃がし流路と前記吸排気流路の開放と,前記強制閉弁流路と前記吸引流路の閉塞を行う制御信号を前記各電磁弁に出力することにより,前記通常運転モードへ移行することを特徴とする請求項7記載のエンジン駆動型圧縮機。
  9. 前記エンジン運転状態判定手段は,前記エンジンの運転状態が所定の始動判定条件を満たしたときに,前記エンジンの始動を判定すると共に,前記エンジンの始動判定後,第一の所定時間が経過し,かつ,前記エンジンの冷却水温度が所定の暖機完了温度を超えるか,又は,前記第一の所定時間の経過から更に第二の所定時間が経過するかの,いずれかの条件が満たされたとき,前記エンジンが前記安定運転状態となったことを判定する請求項7又は8記載のエンジン駆動型圧縮機。
  10. 前記電磁弁制御手段は,
    前記エンジン運転状態判定手段が,前記エンジンが前記安定運転状態になったことを判定したとき,前記吸排気流路を開くと共に,前記吸引流路を閉じる制御信号を出力する,通常運転移行準備を実行すると共に,
    前記安定運転状態の判定後,更に第三の所定時間が経過したとき,前記逃がし流路を開くと共に,前記強制閉弁流路を閉じる制御信号を出力して,前記通常運転モードへ移行することを特徴とする請求項7〜9いずれか1項記載のエンジン駆動型圧縮機。
  11. 前記運転モード切替手段が,エンジンに対し回転速度を指令する速度指令を出力するエンジン速度指令手段を更に備え,
    前記エンジン速度指令手段が,
    前記通常運転モードによる運転時,前記圧縮機本体の吐出側圧力に応じて無負荷回転速度と定格回転速度間で前記エンジンの回転速度を制御する速度指令を出力すると共に,
    前記通常運転モードへの移行前,前記エンジンの回転速度を,前記通常運転モードにおける前記無負荷回転速度よりも高い回転速度である始動回転速度による定速運転とする速度指令を出力することを特徴とする請求項7〜10いずれか1項記載のエンジン駆動型圧縮機。
  12. 前記エンジン運転状態判定手段が,前記エンジンの始動判定を,前記エンジンの回転速度が所定の始動判定回転速度を超えたとき,前記エンジンに設けた発電装置の発電電圧又は電流が所定の始動判定値を超えたとき,又は,前記エンジンの油圧が所定の始動判定圧力を超えたときのいずれかの条件を満たしたときに行うことを特徴とする請求項7〜11いずれか1項記載のエンジン駆動型圧縮機。
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