本発明はエンジンの油圧制御装置に関する。
従来から、オイルポンプによって送油されるオイルのエンジン内における油圧を制御する装置が提案されている。このような装置では、電磁弁を用いて油路の開閉等を行うことによって油路内の油圧が制御されている。例えば、オイルコントロールバルブを用いてリリーフ弁が低油圧で開弁する状態としたり、高油圧(通常油圧)で開放する状態としたりする。このようなシステムは、2ステージ油圧システムと称されることがある。このような2ステージ油圧システムは、低油圧状態でオイルをリリーフすることによりオイルの粘度が高いときのオイルポンプンの負荷を軽減したり、冷間時におけるピストンオイルジェットからのオイル噴射を停止させたりすることができる。これにより、エンジン負荷低下や早期暖機完了による燃費向上の効果を得ることができる。
エンジン内における油圧をコントロールする油圧制御装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開2007−107485号公報
特開2006−249940号公報
ところで、上記のような2ステージ油圧システムは油圧を低油圧と高油圧との間で切り替える際にフリクションが大きく変動するため、エンジンのトルクが変化し、これによりドライバビリティが悪化するおそれがあった。特にオイルは温度によって粘度が変化し、低温になればなるほどトルク変化が大きくなるため、低温時には最悪エンストに至るおそれもあった。
そこで、本発明は、いわゆる2ステージ油圧システムを備えたエンジンの油圧制御装置を油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できるものとすることを課題とする。
かかる課題を解決する本発明の第一のエンジンの油圧制御装置は、エンジンのオイルポンプが吐出するオイルの油圧を第一油圧、又は当該第一油圧よりも油圧が高い第二油圧に制御するエンジンの油圧制御装置において、前記第一油圧と前記第二油圧との間での前記オイルの油圧の切り替えに応じて、前記エンジンの燃料噴射量を増減する燃料噴射量補正手段を備え、前記燃料噴射量補正手段が、前記オイルの油圧が前記第一油圧から前記第二油圧に切り替わる場合に燃料噴射量を増量するとともに、前記オイルの油圧が前記第二油圧から前記第一油圧に切り替わる場合に燃料噴射量を減量することを特徴とする(請求項1)。このような構成とすることにより、油圧の切り替えに起因して発生するトルク変化を防止或いは抑制できる。このためこのような構成とすることにより、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。
また本発明の第二のエンジンの油圧制御装置は、エンジンのオイルポンプが吐出するオイルの油圧を第一油圧、又は当該第一油圧よりも油圧が高い第二油圧に制御するエンジンの油圧制御装置において、前記第一油圧と前記第二油圧との間での前記オイルの油圧の切り替えに応じて、前記エンジンの燃料噴射量を増減する燃料噴射量補正手段を備え、前記燃料噴射量補正手段が、前記第一油圧と前記第二油圧との間での前記オイルの油圧の切り替えに応じて変動する油圧の変動に基づき、前記エンジンの燃料噴射量を増減することを特徴とする(請求項2)。このような構成とすることにより、油圧の切り替えに起因して発生するトルク変化を防止或いは抑制できる。このためこのような構成とすることにより、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。また第一油圧と第二油圧との間でのオイルの油圧の切り替えに応じて、エンジンの燃料噴射量を増減することができる。またこのような構成とすることにより、例えばオイルの油圧が第一油圧から第二油圧に切り替わった場合には、エンジンの燃料噴射量を増大させることが可能になる。
また本発明の第三のエンジンの油圧制御装置は、エンジンのオイルポンプが吐出するオイルの油圧を第一油圧、又は当該第一油圧よりも油圧が高い第二油圧に制御するエンジンの油圧制御装置において、前記第一油圧と前記第二油圧との間での前記オイルの油圧の切り替えに応じて、前記エンジンの燃料噴射量を増減する燃料噴射量補正手段と、前記オイルの油圧を機関冷間始動時に前記第一油圧にするための制御を行う第一切替制御手段とを備え、前記第一切替制御手段が、機関冷間始動直後の機関運転状態が所定の運転状態になる場合には、前記オイルの油圧を前記第二油圧にするための制御を行うことを特徴とする(請求項3)。このような構成とすることにより、油圧の切り替えに起因して発生するトルク変化を防止或いは抑制できる。このためこのような構成とすることにより、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。ここで、機関冷間始動時にはオイルの粘度が高く、始動性が悪化するところ、このような構成とすることにより、機関冷間始動時のオイルポンプの駆動仕事を低減でき、これによりさらに機関冷間始動時の始動性を高めることもできる。また、このような構成とすることにより、機関冷間始動直後にレーシング(空吹かし)などによって機関運転状態が高負荷、高回転数になる場合には、潤滑に必要とするオイルをエンジン各部に供給することも可能になる。なお、第一切替制御手段は、燃料噴射量補正手段を備えたエンジンの油圧制御装置に限られず、オイルの油圧を第一油圧、又は第二油圧に制御するエンジンの油圧制御装置に広く適用することが可能である。
また本発明の第四のエンジンの油圧制御装置は、エンジンのオイルポンプが吐出するオイルの油圧を第一油圧、又は当該第一油圧よりも油圧が高い第二油圧に制御するエンジンの油圧制御装置において、前記第一油圧と前記第二油圧との間での前記オイルの油圧の切り替えに応じて、前記エンジンの燃料噴射量を増減する燃料噴射量補正手段と、前記オイルの油圧が前記第一油圧から前記第二油圧に切り替わったときに、前記エンジンの回転数が低下した場合に、前記オイルの油圧を前記第二油圧から前記第一油圧に切り替えるための制御を行う第二切替制御手段とを備えたことを特徴とする(請求項4)。このような構成とすることにより、油圧の切り替えに起因して発生するトルク変化を防止或いは抑制できる。このためこのような構成とすることにより、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。また、このような構成とすることにより、第一油圧から第二油圧への油圧の切り替えに応じて燃料噴射量を増大した場合であっても、失火の発生等によってエンジンがストールするおそれがある場合に、さらにこれを防止することも可能になる。
また第一または第四のエンジンの油圧制御装置において、前記燃料噴射量補正手段が、前記第一油圧と前記第二油圧との間での前記オイルの油圧の切り替えに応じて変動する油圧の変動に基づき、前記エンジンの燃料噴射量を増減する構成とすることができる(請求項5)。このような構成とすることにより、第一油圧と第二油圧との間でのオイルの油圧の切り替えに応じて、エンジンの燃料噴射量を増減することができる。またこのような構成とすることにより、例えばオイルの油圧が第一油圧から第二油圧に切り替わった場合には、エンジンの燃料噴射量を増大させることが可能になる。
またこのようなエンジンの油圧制御装置は、前記油圧の変動が、前記オイルの油圧を前記第一油圧又は前記第二油圧にするオイルリリーフ装置のサブ室にかかる油圧の変動であり、当該油圧の変動を前記サブ室に連通する油圧路に設けられた油圧検知手段で検知するようにした構成とすることができる(請求項6)。具体的にはこのような構成とすることにより、油圧の変動に基づいてエンジンの燃料噴射量を増減することができる。また、例えば油圧を第二油圧にする場合でも、機関始動時(特にオイルの粘度が高い機関冷間始動時)の場合には、オイルリリーフ装置の構造上、サブ室にオイルが到達するまでの期間は遅れ期間となり、当該遅れ期間経過後に初めて油圧が第二油圧になるところ、このような構成とすることにより、機関始動時に油圧を第二油圧にする場合でも、油圧が第二油圧になるタイミングで燃料噴射量を増大させることができる。
また第一、第二又は第四のエンジンの油圧制御装置において、前記オイルの油圧を機関冷間始動時に前記第一油圧にするための制御を行う第一切替制御手段をさらに備えた構成とすることができる(請求項7)。ここで、機関冷間始動時にはオイルの粘度が高く、始動性が悪化するところ、このような構成とすることにより、機関冷間始動時のオイルポンプの駆動仕事を低減でき、これによりさらに機関冷間始動時の始動性を高めることもできる。
またこのようなエンジンの油圧制御装置は、前記第一切替制御手段が、機関冷間始動直後の機関運転状態が所定の運転状態になる場合には、前記オイルの油圧を第二油圧にするための制御を行う構成とすることができる(請求項8)。このような構成とすることにより、機関冷間始動直後にレーシング(空吹かし)などによって機関運転状態が高負荷、高回転数になる場合には、潤滑に必要とするオイルをエンジン各部に供給することも可能になる。
また第一のエンジンの油圧制御装置において、前記オイルの油圧が前記第一油圧から前記第二油圧に切り替わったときに、前記エンジンの回転数が低下した場合に、前記オイルの油圧を前記第二油圧から前記第一油圧に切り替えるための制御を行う第二切替制御手段をさらに備えた構成とすることができる(請求項9)。このような構成とすることにより、第一油圧から第二油圧への油圧の切り替えに応じて燃料噴射量を増大した場合であっても、失火の発生等によってエンジンがストールするおそれがある場合に、さらにこれを防止することも可能になる。
またこのようなエンジンの油圧制御装置は、前記燃料噴射量補正手段が、補正した燃料噴射量を時間経過とともに次第に通常噴射量に近づくように補正する構成とすることができる(請求項10)。ここで、通常噴射量とは油圧変更に基づく補正がされていない燃料噴射量を指す。このような構成とすることにより、補正した燃料噴射量を元に戻す際にもドライバビリティが悪化することを抑制できる。
またこのようなエンジンの油圧制御装置は、前記燃料噴射量補正手段が、前記エンジンの油温、前記エンジンの水温および前記エンジンのオイルの粘度のいずれか1つに基づいて増減する燃料噴射量の大きさを設定する構成とすることができる(請求項11)。燃料噴射量補正手段がエンジンの油温に基づいて増減する燃料噴射量の大きさを設定する場合、オイルの粘度は温度に応じて変化するところ、このような構成とすることにより、温度に依存するオイルの粘性も考慮して増減する燃料噴射量の大きさを設定できる。このため、低温時に最悪エンストに至るおそれも低減できる。この点、オイルは一般に低温になるほど粘度が高くなり、これによりフリクションも大きくなるため、燃料噴射量補正手段は具体的には油温が低くなるほど増減する燃料噴射量の大きさを大きく設定する(換言すれば油温が高くなるほど増減する燃料噴射量の大きさを小さく設定する)構成とすることができる。また、燃料噴射量補正手段がエンジンの水温に基づいて増減する燃料噴射量の大きさを設定する場合、油温と水温とは相関性を有することから、このような構成とすることにより、エンジンが油温センサを有しない場合であっても、比較的容易にオイルの粘性を考慮して増減する燃料噴射量の大きさを設定できる。また、燃料噴射量補正手段がエンジンのオイルの粘度に基づいて増減する燃料噴射量の大きさを設定する場合、より直接的にフリクションの変動を予測できるため、より高い精度でオイルの粘性を考慮して増減する燃料噴射量の大きさを設定できる。
本発明のエンジンの油圧制御装置は、油圧の切り替えに応じて燃料噴射量を増減することで、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1乃至図4は、いずれも本発明の実施例であるエンジンの油圧制御装置(以後、単に「油圧制御装置」という)100の概略構成を示した構成図である。油圧制御装置100は、オイルのリリーフ圧が可変であるオイルリリーフ装置5とオイルコントロールバルブ(以下、OCVという)10を備えている。油圧制御装置100は、ECU(Electronic control unit)20の指令によって動作するOCV10の状態により、オイルリリーフ装置5のリリーフ圧を変更することができる。図1、図2は、オイルリリーフ装置5が低油圧(請求項記載の第一油圧に相当)でリリーフする状態を示している。図3、図4は、オイルリリーフ装置5が高油圧(請求項記載の第二油圧に相当)でリリーフする状態を示している。油圧制御装置100はこのようにリリーフ圧を2ステージに切り替えることができる。
オイルパン11内のオイルをエンジン各部へオイルを供給するオイル通路1には、オイルポンプ2が配置されている。オイル通路1は、オイルポンプ2の下流側で第一バイパス通路3へ分岐するとともに、第二バイパス通路4へ分岐している。第一バイパス通路3には、オイルリリーフ装置5が組み込まれている。オイルリリーフ装置5には、オイルポンプ2により吐出されたオイルをオイルポンプ2の上流側にリリーフする第一リリーフ経路121が接続されている。オイル通路1はオイルポンプ2により吐出されたオイルをメインギャラリーへ供給する。オイルパン11内にはセンサ・スイッチ類30の一部を構成する油温センサが配置されている。また油圧制御装置100は、ピストン冷却用にピストンに向けてオイルを噴射するピストンジェット(図示しない)を備えており、油圧制御装置100は低油圧でピストンジェットからのオイル噴射を停止するように構成されている。
オイルリリーフ装置5は、図5に拡大して示すようにケース51内にリリーフ弁52、リテーナ53、リリーフ弁52とリテーナ53との間に挟持されたスプリング54が配置されて構成されている。ケース51は、断面直径が小径である小径部511と断面直径が大径である大径部512とを備えている。小径部511から大径部521へ移行する段部が、リテーナ53のリリーフ弁52側への移動距離を規制するストッパ17を構成している。
このケース51の小径部511の先端側が、メイン室7を形成している。メイン室7は、オイルポンプ2の下流側のオイルが導入されるとともに、第一リリーフ通路121が接続される第一リリーフ口6が設けられている。このメイン室7内にリリーフ弁52が内装されている。リリーフ弁52は受圧面521でメイン室7内の油圧を受ける。ケース51には、リリーフ弁52とリテーナ53との間に入り込んだオイルをオイルポンプ2の上流側へ排出するための第二リリーフ通路122が接続されている。
ケース51の大径部512の先端側が、OCV10を介してオイルポンプ2の下流側のオイルが導入されるサブ室8を形成している。このサブ室8内にリテーナ53が内装されている。サブ室8内の油圧を受けるリテーナ53の受圧面531の面積は、リリーフ弁52の受圧面521の面積よりも大きい。このため、OCV10が高油圧状態へ切り替わり、リテーナ53の受圧面531にリリーフ弁52の受圧面521にかかる油圧と同等の油圧が作用すると、リテーナ53には、リリーフ弁52よりも大きな力が作用することとなる。このような状態で、リテーナ53はスプリング54を圧縮する。これにより、リリーフ弁52のリリーフ圧は上昇することになる。なお、リテーナ53は、ストッパ17に当接すると、それ以上にスプリング54を圧縮することはない。
オイルリリーフ装置5は、以上のように構成されている。なお、ケース51はエンジンのクランク軸の回転をオイルポンプ2へ伝達するギヤが収納されたギヤケースと兼用とし、また、このギヤケースに組み込むことができる。
次に、OCV10について説明する。OCV10は、第二バイパス通路4を通じてオイルポンプ2から供給されるオイルをオイルリリーフ装置5のサブ室8へ導入する、または、オイルパン11へ排出する三方弁となっている。
具体的な構成を、図6を参照しつつ説明する。OCV10は第一室1011、連通部1012、第二室1013を備えたケース101内に、ニードル102を備えて構成されている。ニードル102、先端側にボール弁1021が形成され、基端側は、コイル部103への通電により摺動する駆動部1022となっている。ニードル102は、ボール弁1021が第一室1011内、駆動部1022が第二室1012内に位置するように配置されている。第一室1011内にはボール弁1021と当接する第一スプリング104が装着され、第二室1013内には、駆動部1022と当接する第二スプリング105が装着されている。第一室1011と連通部1012との境界部は、ボール弁1021が着座する第一シール部106を構成し、連通部1012と第二室1013との境界部は、駆動部1022が着座する第二シール部107を構成している。連通部1012には第一開口108が形成され、第二室1013にはオイルパン11へオイルを排出する第二開口109が形成されている。
第一室1011には、第二バイパス通路4が接続され、オイルポンプ2から供給されるオイルが流入する。図6(a)は、コイル部103に通電されていない状態を示している。この状態では、第二スプリング105に付勢されたニードル102が上方へ押し上げられ、駆動部1022が第二シール部107に着座する。このとき、第一シール部106は開放されているから、連通部1012までオイルは流入し、第一開口108から流出する。一方、図6(b)は、コイル部103に通電された状態を示している。この状態では、駆動部1022が第二スプリング105のバネ力に抗して下方に引き込まれる。このとき、ボール弁1021は、第一シール部106へ着座する。これにより、第二バイパス通路4から供給されるオイルは、第一開口108からも、第二開口109からも排出されなくなる。OCV10の第一開口108には、連通パイプ13の一端が接続されている。この連通パイプ13の他端はサブ室8に接続されている。すなわち、OCV10とサブ室8とは連通パイプ13によって接続されている。
ECU20には制御対象としてOCV10(具体的にはコイル部103)が電気的に接続されている。またECU20には機関運転状態を検出するために、油温を検知するための油温センサや、エンジンの冷却水温THWを検知するための水温センサや、エンジン回転数NEを検出するためのクランク角センサや、アクセル開度ACCP(或いは負荷)を検出するためのアクセル開度センサなどを含む各種のセンサ、スイッチ類30が電気的に接続されている。ECU20は内蔵するROMに格納されたプログラムに基づき、オイルポンプ2が吐出する油圧を低油圧又は高油圧に制御する。このときECU20は具体的には各種のセンサ、スイッチ類30の出力等に基づき、機関運転状態に応じてオイルポンプ2が吐出する油圧を低油圧又は高油圧に制御する。油圧を低油圧に制御した場合には、例えばオイルポンプ2の駆動仕事を低減できる。また油圧を低油圧に制御した場合には、ピストンジェットからのオイル噴射を停止できることから、エンジンの暖機性を向上させることもできる。
また、ECU20は内蔵するROMに格納されたプログラムに基づき、低油圧と高油圧との間での油圧の切り替えに応じて、エンジンの燃料噴射量を増減する。燃料噴射量を増減するにあたって、ECU20は具体的には補正噴射量を算出するとともに、算出した補正噴射量を燃料噴射量に加算することで、燃料噴射量を増減する。この補正噴射量は燃料噴射量を減量する場合には負の値として算出され、燃料噴射量を増量する場合には正の値として算出される。
また燃料噴射量を増減するにあたって、ECU20は油圧が低油圧から高油圧に切り替わる場合に燃料噴射量を増量する。このときECU20は具体的には正の値の補正噴射量を算出するとともに、算出した補正噴射量を燃料噴射量に加算することで、燃料噴射量を増量する。一方、油圧が高油圧から低油圧に切り替わる場合には、ECU20は燃料噴射量を減量する。このときECU20は具体的には負の値の補正噴射量を算出するとともに、算出した補正噴射量を燃料噴射量に加算することで、燃料噴射量を減量する。これにより、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。
またECU20は、増減した分の燃料噴射量(すなわち補正噴射量)を時間経過とともに次第にゼロに近づくように補正する。このように、補正がされていない通常噴射量に戻すときに緩やかに燃料噴射量を変化させることにより、補正した燃料噴射量を元に戻す際にもドライバビリティが悪化することを抑制できる。さらにECU20は油温センサが検知したエンジンの油温に基づいて、増減する燃料噴射量の大きさ(すなわち補正噴射量の大きさ)を設定する。このときECU20は具体的には油温が低くなるほど、補正噴射量の大きさを大きく設定する。これにより、温度に依存するオイルの粘性も考慮して補正噴射量の大きさを設定できる。このため、低温時に最悪エンストに至るおそれも低減できる。ECU20はこのような制御を行うことで、本発明の燃料噴射量補正手段として機能する。
次にECU20で行われる制御動作を図7に示すフローチャート及び図8に示すタイムチャートを用いて詳述する。ECU20は機関運転状態に応じて油圧を高油圧又は低油圧に制御する(ステップS11)。例えば機関運転状態が軽負荷運転状態である場合には、ECU20は油圧を低油圧に制御する。このときOCV10はECU20の制御のもと通電状態となるがこの状態を「ON」とし、ECU20は油圧を低油圧に制御したときにはOCV制御フラグを「ON」にする。また例えば機関運転状態が高負荷運転状態である場合には、ECU20は油圧を高油圧に制御する。このときOCV10はECU20の制御のもと非通電状態となるがこの状態を「OFF」とし、ECU20は油圧を高油圧に制御したときにはOCV制御フラグを「OFF」にする。
続いてECU20は油圧が高油圧から低油圧に切り替わったか否かを判定する(ステップS12)。否定判定であれば、ECU20は油圧が低油圧から高油圧に切り替わったか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13で否定判定であればリターンしてステップS11に戻る。一方、ステップS12で肯定判定であれば、ECU20は燃料噴射量を減量する(ステップS14)。図8に示すタイムチャートはOCV制御フラグが「OFF」の状態(すなわち油圧が高油圧に制御された状態)からスタートしており、この状態から時間t1でOCV制御フラグが「ON」になっている。すなわち、図8に示すタイムチャートでは時間t1で油圧が高油圧から低油圧に切り替わっている。このときECU20は燃料噴射量を減量するため、補正噴射量は負の値として算出されている。
またステップS14で補正噴射量を算出するにあたって、ECU20は油温に基づいて、補正噴射量の大きさを設定する。このときECU20は具体的には油温に基づき、補正噴射量と油温との関係を規定したマップデータを参照して、補正噴射量の大きさを設定する。図9は補正噴射量と油温との関係を規定したマップデータの一例を模式的に示す図であり、ECU20はROMにこのマップデータを予め格納している。オイルは一般に低温になるほど粘度が高くなり、これによりフリクションも大きくなるため、このマップデータでは油温が低くなるほど補正噴射量が大きくなっている。これにより温度に依存するオイルの粘性を考慮して補正噴射量の大きさを設定できる。
なお、エンジンが油温センサを備えていない場合には、例えば油温の代わりに水温センサが検知したエンジンの水温に基づいて、補正噴射量の大きさを設定することもできる。これにより比較的容易にオイルの粘性を考慮して補正噴射量の大きさを設定できる。この場合、補正噴射量と水温との関係は図9に示すマップデータと同様の傾向となる。
また例えばオイルパン11内にオイルの粘度(動粘度)を検知するための粘度センサを備えることで、油温の代わりに粘度センサが検知した動粘度に基づいて、補正噴射量の大きさを設定することもできる。これにより、より直接的にフリクションの変動を予測できるため、より高い精度でオイルの粘性を考慮して補正噴射量を設定できる。図10は補正噴射量と動粘度との関係を規定したマップデータの一例を模式的に示す図である。ECU20はROMにこのマップデータを予め格納するとともに、粘度センサが検知した動粘度に基づいてこのマップデータを参照することで、補正噴射量の大きさを設定することができる。このマップデータでは動粘度が高くなるほどフリクションが大きくなるため、補正噴射量が大きくなっている。
続いてECU20は補正噴射量を時間経過とともに次第にゼロに近づくように補正し、燃料噴射量を補正がされていない通常噴射量へ徐々に近づくようにする(ステップS16)。このため図8に示すタイムチャートでは時間t1から補正噴射量が次第にゼロに近づき、時間t2でゼロになっている。ステップS16の後にはリターンしてステップS11に戻る。その後、ステップS11で油圧が高油圧に制御されるまでの間は、ステップS11、S12、S13の順に進み、リターンしてステップS11に戻る動作を繰り返す。このため図8に示すタイムチャートでは、これに対応する時間t2、t3間で特段変化がない。
一方、ステップS11で油圧が高油圧に制御された場合には、ステップS13で肯定判定される。この場合、ECU20は燃料噴射量を増量する(ステップS15)。これに対応して、図8に示すタイムチャートでは時間t3でOCV制御フラグが「OFF」になっている。すなわち、図8に示すタイムチャートでは時間t3で油圧が低油圧から高油圧に切り替わっている。このときECU20は燃料噴射量を増量するため、補正噴射量は正の値として算出されている。なお、ステップS15でもステップS14と同様に補正噴射量の大きさが設定される。続いてECU20は補正噴射量を時間経過とともに次第にゼロに近づくように補正する(ステップS16)。このため図8に示すタイムチャートでは時間t3から補正噴射量が次第にゼロに近づき、時間t4でゼロになっている。ステップS16の後にはリターンしてステップS11に戻る。このように油圧制御装置100は、油圧の切り替えに応じて燃料噴射量を増減することで、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。
図11は本実施例に係る油圧制御装置200の概略構成を示した構成図である。油圧制御装置200は、油圧制御装置100に対して、さらにオイルリリーフ装置5のサブ室8に連通する油圧路である連通パイプ13に油圧センサ(請求項記載の油圧検知手段に相当)31が設けられたものとなっている。油圧センサ31はサブ室8にかかる油圧(以下、単にOCV油圧と称す)をON、OFFで検知するための構成であり、ECU21に電気的に接続されている。なお、この油圧センサ31は構成上、センサ・スイッチ類30に含まれるものであるが、図11では具体的な配置を示すために油圧センサ31をセンサ・スイッチ類30とは分けて図示している。
また油圧制御装置200は油圧制御装置100に対して、ECU20の代わりにECU21を備えたものとなっている。ECU21は、内蔵するROMに格納されたプログラムに基づき、低油圧と高油圧との間での油圧の切り替えに応じてエンジンの燃料噴射量を増減するにあたって、ECU20に対して、さらに具体的には低油圧と高油圧との間での油圧の切り替え(本実施例ではさらに具体的には、低油圧から高油圧に切り替わるときの油圧の切り替え)に応じて変動する油圧の変動に基づき、エンジンの燃料噴射量を増減(本実施例ではさらに具体的には増量)するものとなっている。
この油圧の変動は本実施例では具体的にはOCV油圧の変動となっており、OCV油圧は、低油圧から高油圧に切り替わるときの油圧の切り替えに応じて、油圧がかかっていない状態から油圧がかかった状態に変動する。ECU21はこのような制御を行うことで、本発明の燃料噴射量補正手段として機能する。油圧制御装置200は上記の点を除き、油圧制御装置100と実質的に同一のものとなっている。
図12は油圧を低油圧から高油圧に切り替えたときに増大する切り替えトルク(負荷)の一例をグラフで示す図である。このグラフでは、回転数NEを2,000rpmとして、油温を変化させた場合の切り替えトルクをメインギャラリーの油温に応じて示しており、同時にOCV10がONである場合とOFFである場合(すなわち油圧が低油圧である場合と高油圧である場合)に台上試験で計測したモータリングトルクも示している。この例では油圧を低油圧から高油圧に切り替えたときに図示のように切り替えトルクが増大し、油温25℃ではその大きさがおよそ3.6Nm程度になることがわかる。すなわち、このようなトルク変化が油圧を低油圧から高油圧に切り替えたときのドライバビリティの悪化や、最悪エンストが発生する原因となる。
次にECU21で行われる制御動作を図13に示すフローチャートを用いて詳述する。なお、本フローチャートはステップS13の代わりにステップS23が追加されている点以外、図7に示すフローチャートと同一のものとなっている。このため、本実施例では特にステップS23について詳述する。ECU21は油圧センサ31の出力に基づき、OCV油圧の変動があったか否かを判定する(ステップS23)。本ステップでECU21は具体的には、油圧がかかっていない状態から油圧がかかった状態にOCV油圧が変動したか否かを、油圧センサ31がOFFからONになったか否かで判定する。このステップS23は油圧が低油圧から高油圧に切り替わったか否かを判定するためのものであり、ステップS13の一具体例となっている。
否定判定であれば、本フローチャートで特段の処理を要しないためリターンしてステップS11に戻る。一方、肯定判定であれば、ECU21は燃料噴射量を増量する(ステップS15)。なお、ステップS12においても、油圧が高油圧から低油圧に切り替わったか否かを、OCV油圧の変動があったか否かで判定してもよく、このときには、具体的には油圧がかかった状態から油圧がかかっていない状態にOCV油圧が変動したか否かを、油圧センサ31がONからOFFになったか否かで判定すればよい。
このようにECU21は、油圧の切り替えに応じて燃料噴射量を増減することで、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制できる。また例えば油圧を高油圧にする場合でも、機関始動時(特にオイルの粘度が高い機関冷間始動時)には、オイルリリーフ装置5の構造上、サブ室8にオイルが到達するまでの期間は遅れ期間となり、当該遅れ期間経過後に初めて油圧が高油圧になるところ、ECU21によれば、このような場合でも油圧が高油圧になるタイミングで燃料噴射量を増大させることができる。また油圧センサ31は例えば油圧切り替え不良等の故障検知にも利用できるところ、油圧制御装置200が故障検知等のために油圧センサ31を備えている場合にあっては、新たに油圧センサ31を設ける必要もないことから、油圧センサ31を利用することによるコストの上昇も抑制することができる。
本実施例に係る油圧制御装置300は、ECU21の代わりにECU22を備えている点以外、油圧制御装置200と実質的に同一のものとなっている。ECU22は、内蔵するROMに格納されたプログラムに基づき、ECU21に対してさらに機関冷間始動時に油圧を低油圧にするための制御(具体的にはOCV10に通電するための制御)を行うものとなっている。またECU22は、内蔵するROMに格納されたプログラムに基づき、ECU21に対してさらに機関冷間始動直後の機関運転状態が所定の運転状態になる場合には、油圧を高油圧にするための制御(具体的にはOCV10への通電を停止するための制御)を行うものとなっている。この所定の運転状態は、本実施例では具体的には高負荷、高回転数となっている。機関冷間始動直後に機関運転状態が高負荷、高回転数になる場合としては、例えば機関始動直後にレーシングが行われるときがある。
またECU22は、内蔵するROMに格納されたプログラムに基づき、ECU21に対して、さらにオイルの油圧が低油圧から高油圧に切り替わったときに、回転数NEが低下した場合に、オイルの油圧を高油圧から低油圧に切り替えるための制御を行うものとなっている。ECU22はこれらの点を除き、ECU21と実質的に同一のものとなっている。ECU22はこのような制御を行うことで、本発明の第一切替制御手段、及び第二切替制御手段として機能する。
次にECU22で行われる制御動作を図14、図15に示すフローチャート及びこれらのフローチャートに対応する図16に示すタイムチャートを用いて詳述する。なお、図14に示すフローチャートはステップS11をサブルーチンとして、機関冷間始動時にステップS11で行われる制御動作を図15に示すフローチャートで示している点以外、図13に示すフローチャートと同一のものとなっている。このため、本実施例では特にステップS11(図15に示すフローチャート)について詳述する。また、図15に示すフローチャートの制御動作は、実施例1で前述した図7、または実施例2で前述した図13に示すフローチャートのステップS11で機関冷間始動時に行われてもよい。
図14に示すフローチャートのステップS11で機関冷間始動時である場合、ECU22は図15に示すフローチャートに従って制御を行う。機関冷間始動時であるか否かは、具体的には例えばエンジンをクランキングするためのスタータモータSTA(図示しない)が駆動したか否かと、そのときのエンジンの水温が所定値以下であるか否かで判定することができ、ともに肯定判定である場合に、機関冷間始動時であると判定することができる。
図15に示すフローチャートにおいて、ECU22はまずスタータモータSTAが駆動しているか否かを判定する(ステップS111)。肯定判定であれば、ECU22は、油圧を低油圧に制御するための処理を実行する(ステップS112)。ここで、機関始動時にはOCV油圧は高油圧になっていないため、その後、図14に示すフローチャートに戻った場合には、ステップS12で否定判定されるとともに、ステップS13で否定判定され、リターンしてステップS11に戻ることになる。ここまでの制御動作を図16に示すタイムチャートで確認すると、時間t11でスタータモータSTAがON(駆動状態)になっており、このときOCV制御フラグがOFFからONに切り替わっていることがわかる。すなわち、このとき油圧を低油圧に制御していることがわかる。
図17は機関冷間始動時の各部位における油圧の変化の様子を示す図である。このうち、図17(a)では、機関冷間始動時に油圧を低油圧に制御した場合の各部位における油圧の変化を、図17(b)では、比較のために機関冷間始動時に油圧を低油圧に制御しなかった場合の各部位における油圧の変化をそれぞれ示している。また図17では、各部位の油圧として、オイルポンプ2出口側のオイル通路1の油圧を示す吐出圧、ターボチャージャ入口側の油圧を示すターボ入口圧及びOCV油圧をそれぞれ示している。図17(a)に示すように、油圧を低油圧に制御した場合には、吐出圧とターボ入口圧とが図17(b)と比較しておよそ半減していることがわかる。これによりオイルポンプ2の駆動仕事を低減することができ、以って機関冷間始動時の始動性を向上させることができる。なお、図17(a)で、ターボ入口圧がおよそ15secで立ち上がっているのは、オイル供給の遅れによるものである。
リターンしてステップS11に戻った後、ECU22は図15に示すフローチャートに従って制御を行い、ステップS111で否定判定であれば、機関が始動したと判定される。このときECU22は機関冷間始動直後の機関運転状態が高負荷、高回転数になるか否かを判定する(ステップS113)。機関始動直後にレーシングが行われる場合には、機関運転状態が高負荷、高回転数になると判断され、この結果、本ステップで肯定判定される。なお、レーシングが行われるか否かは、例えばアクセル開度センサの出力に基づき、アクセルペダルが急激に踏み込まれたか否かを判定することで判定できる。このときECU22は、油圧を低油圧から高油圧に制御する(ステップS114)。これにより、機関始動直後に、潤滑に必要とするオイルをエンジン各部に供給することも可能になる。
一方、ステップS113で否定判定であれば、ECU22は機関始動後、所定時間(ここでは20,000ms)が経過したか否かを判定する(ステップS115)。否定判定であれば、ECU22はステップS117に進むが、このステップS117は所定時間が経過するまでの間は必ず否定判定されるようになっている。したがって、ステップS115で否定判定であれば、肯定判定されるまでの間、図14に示すフローチャートでは、ステップS12及びS23で否定判定されるとともに、図15に示すフローチャートではステップS111、S113、S115及びS117で否定判定されることになる。
一方、ステップS115で肯定判定であれば、ECU22は油圧を高油圧に制御する(ステップS116)。すなわち、本実施例でECU22は機関冷間始動後、所定時間が経過したときに油圧を低油圧から高油圧に制御する。ここまでの制御動作(ステップS113で肯定判定された場合を除く)を図16に示すタイムチャートで確認すると、スタータモータSTAの駆動によりクランキングが行われた後、回転数NEが800rpmに達したときである時間t12にエンジンが始動し、スタータモータSTAがOFF(非駆動状態)になっていることがわかる。そしてエンジンが始動した時間t12から所定時間(ここでは20,000ms)経過したときである時間t13に、OCV制御フラグがOFFになっていることがわかる。すなわち、時間t13に油圧を低油圧から高油圧に制御していることがわかる。
ステップS116に続いて、図14に示すフローチャートに戻った場合には、ステップS12で否定判定されるとともに、油圧センサ31がOFFである場合にはステップS23で否定判定され、さらにその後のルーチンで遅れ期間を経て油圧センサ31がONになった場合に、ステップS23で肯定判定されることになる。このときの制御動作を図16に示すタイムチャートで確認すると、時間t13から遅れ期間を経て時間t14になったときに、OCV油圧が油圧がかかった状態となり、このとき油圧センサ31がONになっていることがわかる。このときステップS15で燃料噴射量が増量され、この結果、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することが抑制される。
その後、ステップS16を経てリターンした後、ステップS11で図15に示すフローチャートに移ったときには、ステップS111、S113及びS115で否定判定される。なお、ステップS115は所定時間が経過し、一度肯定判定した後は、否定判定するようになっている。このときECU22は、所定時間経過後、回転数NEが低下したか否かを判定する(ステップS117)。回転数が低下したか否かは具体的には回転数NEが所定値(例えば700rpm)以下になったか否かで判定できる。否定判定であれば、本フローチャートで特段の処理を要しないため、図14に示すフローチャートに戻る。一方、肯定判定であれば、ECU22は油圧を高油圧から低油圧に制御する(ステップS118)。これにより、燃料噴射量を増大した場合であっても、失火の発生などによってエンジンがストールするおそれがある場合に、さらにこれを防止することができる。
ここまでの制御動作を図16に示すタイムチャートを確認すると、このタイムチャートでは、時間t14で燃料噴射量を増量したにも関わらず、回転数NEが低下していることがわかる。さらにこのタイムチャートでは、時間t15で回転数NEが所定値以下になり、この結果、OCV制御フラグが再びOFFからONになっていることがわかる。すなわち、時間t15で油圧を高油圧から低油圧に制御していることがわかる。同時にこのときオイルリリーフ装置5のサブ室8からはOCV10の状態変化に応じてオイルが排出されるので、油圧センサ31がOFFになっていることがわかる。
このようにECU22は、油圧の切り替えに応じて燃料噴射量を増減することで、油圧の切り替えの際にドライバビリティが悪化することを抑制でき、さらに機関冷間始動時に油圧を低油圧にすることで、機関冷間始動時の始動性を高めることができる。また機関冷間始動直後の機関運転状態が高負荷、高回転になる場合には、油圧を高油圧にすることで、潤滑に必要とするオイルをエンジン各部に供給することもできる。また低油圧から高油圧に油圧が切り替わったときに、燃料噴射量を増量した場合であっても、失火の発生などによってエンジンがストールするおそれがある場合には、これを防止することもできる。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、さらに本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
実施例1の油圧制御装置の概略構成を示した構成図であり、OCVを低油圧側とした状態でリリーフ弁が閉じた状態を示す図である。
図1に示す状態からリリーフ弁が開いた状態を示す図である。
実施例1の油圧制御装置の概略構成を示した構成図であり、OCVを高油圧側とした状態でリリーフ弁が閉じた状態を示す図である。
図3に示す状態からリリーフ弁が開いた状態を示す図である。
オイルリリーフ装置を拡大して示した構成図である。
OCVの構成を示す図であり、(a)は高油圧状態を実現する通常時の状態を示す図、(b)は低油圧状態を実現する通電状態を示す図である。
実施例1のECUで行われる制御動作をフローチャートで示す図である。
実施例1のECUで行われる制御動作をタイムチャートで示す図である。
補正噴射量と油温との関係を規定したマップデータの一例を模式的に示す図である。
補正噴射量と動粘度との関係を規定したマップデータの一例を模式的に示す図である。
実施例2の油圧制御装置の概略構成を示した構成図である。
油圧を低油圧から高油圧に切り替えたときに増大する切り替えトルクの一例をグラフで示す図である。
実施例2のECUで行われる制御動作をフローチャートで示す図である。
実施例3のECUで行われる制御動作をフローチャートで示す図である。
実施例3のECUで行われる制御動作のうち、機関冷間始動時にステップS11で行われる制御動作をサブルーチンとしてフローチャートで示す図である。
実施例3のECUで行われる制御動作をタイムチャートで示す図である。
機関冷間始動時の各部位における油圧の変化の様子を示す図である。このうち、図17(a)では、機関冷間始動時に油圧を低油圧に制御した場合の各部位における油圧の変化を、図17(b)では、比較のために機関冷間始動時に油圧を低油圧に制御しなかった場合の各部位における油圧の変化をそれぞれ示している。
符号の説明
1 オイル通路
2 オイルポンプ
3 第一バイパス通路
4 第二バイパス通路
5 オイルリリーフ装置
31 油圧センサ
51 ケース
52 リリーフ弁
53 リテーナ
54 スプリング
10 OCV
20、21、22 ECU