JP2004052613A - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン停止後、排気ガスが吸気側に逆流した場合の次回始動性悪化を防ぐため、吸気系に取り付けられた圧力センサの情報を有効に活用し、コストアップなしで良好な始動性を確保する。
【解決手段】エンジンを停止させるとき、吸気管内圧力が大気圧または所定圧力となるまでは空気通路面積を所定値以下とし、吸気管内圧力が大気圧または所定圧力となるまでの吸気管内圧力の変化量を検出するとともに、前記検出された変化量と予め定める閾値とを比較し、その差異を前記の記憶手段に記憶する差異記憶手段と、記憶した前記変化量の差異が予め定める閾値より大きい場合は、始動の燃料供給量を変更する補正手段、または始動の燃料供給時期を変更する補正手段、または始動の点火時期を変更する補正手段、または始動の吸気系の通路面積を変更する補正手段の少なくとも1つ以上をエンジン始動の補正手段とを有することを特徴とするエンジンの制御装置。
【選択図】 図3
【解決手段】エンジンを停止させるとき、吸気管内圧力が大気圧または所定圧力となるまでは空気通路面積を所定値以下とし、吸気管内圧力が大気圧または所定圧力となるまでの吸気管内圧力の変化量を検出するとともに、前記検出された変化量と予め定める閾値とを比較し、その差異を前記の記憶手段に記憶する差異記憶手段と、記憶した前記変化量の差異が予め定める閾値より大きい場合は、始動の燃料供給量を変更する補正手段、または始動の燃料供給時期を変更する補正手段、または始動の点火時期を変更する補正手段、または始動の吸気系の通路面積を変更する補正手段の少なくとも1つ以上をエンジン始動の補正手段とを有することを特徴とするエンジンの制御装置。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの制御装置のエンジン始動時の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンがバルブオーバーラップ状態(図6の判定Bの領域)で停止すると、シリンダを介して吸気系と排気系がスルー状態になる。その状態下では、吸気管内圧力が大気圧に戻るまでの差圧(負圧)により、排気ガスが吸気系に逆流することがある。そして、逆流が発生した時にスロットル弁が全閉状態にあると、排気ガスは通路を塞がれた状態になるので、スロットル弁下流のインテークマニホールド内部に溜まってしまう。この状態を知らずにエンジンを始動すると、クランキング初期の頃にシリンダへ吸入されるのはインテークマニホールドに溜まっていた排気ガスなので、この状態で始動時の燃料を供給してしまうとリッチ失火が発生し、始動時間が長引く問題が起こる。最悪時にはプラグがくすぶり始動不能状態になる。
【0003】
このような問題に対し、最も有効な手段は、エンジン停止前にバルブタイミング可変機構を用いてバルブオーバーラップを0度にする、またはバルブリフト可変機構を用いて吸気バルブのリフト量を0mmにする方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の問題を根本的に防止するには、バルブタイミング可変機構やバルブリフト可変機構を必要とするが、それはコストアップになってしまうし、これらの機構を有しないエンジンでは対応が困難である。
【0005】
そこで本発明では、上記課題を解決するために、バルブタイミング可変機構やバルブリフト可変機構有しないエンジンにおいて、排気ガスの逆流を予測するとともに、次回始動時の燃料噴射量や噴射時期や点火時期や吸気通路面積を適切な制御量に変更することを可能としたエンジンの制御装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明であるエンジンの制御装置は、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、エンジンの運転状態や制御データを記憶する記憶手段と、エンジンの吸入空気量を制御する空気通路面積制御手段と、エンジンの吸気通路に設置されたスロットル弁下流の吸気管内圧力を検出する圧力検出手段と、エンジンの燃料供給量または点火時期を制御するエンジン制御手段を備えたエンジン制御装置において、吸気管内圧力の変化量を検出し、その変化量と所定値とを比較し、その大小関係を前記の記憶手段に記憶するとともに、吸気管内圧力の変化速度が所定値より大きいと記憶されていた場合は、始動時の燃料供給量を変更する補正手段、または始動時の燃料供給時期を変更する補正手段、または始動時の点火時期を変更する補正手段、または始動時の空気通路面積を変更する補正手段の少なくとも1つ以上を始動時の補正手段とを有するものである。
【0007】
このエンジンの制御装置によれば、エンジン停止時の吸気管圧力の変化量から排気ガス逆流の有無を検出し、排気ガス逆流と判定したら、次回始動時の、燃料噴射量補正,燃料噴射開始時期補正,点火時期補正,吸気系の空気通路面積補正のいずれか1つ以上で対策手段を講じるので、吸気系が排気ガス充満による酸素不足状態であっても、適切な噴射,適切な点火,適切な掃気が行われるので、始動性の悪化を防止することができる。
【0008】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料供給量を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の燃料噴射パルス幅に対し小さいパルス幅に変更するので、吸気系が排気ガス充満したとしても少ない空気量に見合った適切な燃料供給が可能となり始動性の悪化を防止することができる。
【0009】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料供給時期を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の燃料供給時期に対し遅延する方向に補正するので、吸気系が排気ガス充満したとしてもクランキングによる掃気を完了した後に燃料供給を行うので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0010】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の点火時期を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の点火時期に対し進角側へ変更するので、吸気系が排気ガス充満したとしても酸素不足状態に応じた適切な点火時期を設定できるので、始動性の悪化を防止することができる。
【0011】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の吸気系通路面積を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時のISCバルブ開度に対し高開度に変更するので、クランキングによる掃気を促進することができ、排気ガス掃気時間の短縮となり始動性の悪化を防止することができる。
【0012】
このエンジンの制御装置によれば始動時の吸気系通路面積を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時のスロットル弁開度に対し高開度に変更するので、クランキングによる掃気を促進することができ、排気ガス掃気時間の短縮となり始動性の悪化を防止することができる。
【0013】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期の遅延は、クランキング開始を検出してからエンジンが所定の回転を経過するまで燃料噴射を禁止させるので、掃気に必要なクランキング期間を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0014】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してから所定時間が経過するまで燃料噴射を禁止させるので、掃気に必要なクランキング時間を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0015】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期を遅延する方向は、クランキング開始を検出してから所定のクランク角度が経過するまで燃料噴射を禁止させるので、掃気に必要なクランキング角度を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0016】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してから所定のカム角度が経過するまで燃料噴射を禁止させるので掃気に必要な回転数を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0017】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料噴射パルス幅よりも小さいパルス幅は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の燃料噴射量に1より小さい係数を乗算して算出するので、酸素不足状態が解消された時に減量した燃料供給を行うので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0018】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料噴射パルス幅よりも小さいパルス幅は、排気ガス逆流が無い状態で算出した始動時の燃料噴射量に所定の噴射量を減算して算出するので、クランキングによる掃気を促進し酸素不足状態が解消された時に減量した燃料供給を行うので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0019】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料噴射パルス幅よりも小さいパルス幅は、始動時の燃料噴射量に1より大きい係数で除算して求めた燃料供給量なので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0020】
このエンジンの制御装置によれば、、イグニションスイッチのオフを検出後の空気通路面積は、電子制御式スロットル弁またはISCバルブ等で空気通路面積を所定値以下に制御するので、安定した面積を確保することが可能となる。これにより、吸気管内圧力の変化量を正確に検出することができるので、高地などの環境変化に対しても排気ガス逆流判定の信頼性を高めることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明によるエンジン制御装置が適用される燃料噴射式内燃機関の全体システムを示している。
【0023】
エンジン本体:1は、各気筒の燃焼室:2にピストン:3を有し、ピストン3はコンロッド:4によってクランク軸に連結されている。
【0024】
エンジン本体1の吸気系には、エアクリーナ8,吸気管内圧力を検出する圧力センサ9,吸入空気量を制御するスロットル弁10,スロットル弁10を駆動するスロットルアクチュエータ18,スロットル弁10をバイパスして吸入空気量を制御するISCバルブ14,吸入空気の温度を検出する吸気温度センサ16が接続されており、吸気バルブ11を通過して燃焼室2に空気が吸入される。さらにエンジン本体1には、燃料を噴射する燃料噴射弁12と、燃焼室2内に点火コイル19で発生した高電圧により火花スパークを発生する点火プラグ13とが設けられている。
【0025】
排気ガスは、エンジン本体1の排気バルブ15が開いた時に燃焼室2から排出される。
【0026】
排気系には、三元触媒17,O2 センサ(または空燃比センサ)25が接続されており、排気ガスはこれらを通過して大気へ排出される。
【0027】
エンジン各部には、スロットル開度センサ21,冷却水温センサ22,ノックセンサ23,クランク角センサ24,カム角センサ26が設けられている。これらの検出値は、電子制御装置(以下、ECUと記す)30に入力される。
【0028】
ECU30には、図2に示されているように、CPU31,エンジン制御やAT制御のシステムプログラムと制御に必要なデータ等が書き込まれたROM32と、入力信号の値や演算結果等を記憶するワークメモリ等として使用されるRAM33と、上述したセンサの入力信号を入力回路35を介して入力したり、後述する駆動回路や出力回路へ信号を出力する入出力ポート34とを有している。
【0029】
CPU31は、ROM32に記憶されたプログラムやデータに基づいて前記入力信号を入出力ポート34より読み込み、吸気管圧力,エンジン回転速度,クランク角度,車速,冷却水温度,スロットル開度,ノック信号等を検出、あるいはそれらの演算処理を行う。
【0030】
CPU31は、さらに、演算処理の結果として、点火時期,インジェクタ駆動パルス幅に関する指令信号を入出力ポート34を介して点火出力回路36,燃料噴射弁駆動回路37,スロットルアクチュエータ駆動回路38,ISCバルブ駆動回路39へ出力し、点火時期制御,燃料噴射制御,スロットル弁開度制御,
ISCバルブ制御等を実行する。また、上述したセンサや出力回路の故障を判定し、異常と判定された場合には、警告灯を点灯させる制御も行う。
【0031】
また、空燃比センサ25は、排気ガス中の酸素濃度に応じた信号を出力し、
ECU30は空燃比センサ25によって検出した排気ガス中の酸素濃度に基づいて、目標空燃比となるように混合気(燃料噴射量)をフィードバック制御する機能も有している。
【0032】
図3は、図2に記載の電子制御装置30内部での処理される本発明に関わる制御ブロック図を示した一例である。ECU30には、入力信号としてイグニションSW信号IG:5A,バッテリ電圧をA/D変換した電圧信号VB:6A,スタータSW信号ST:7A,圧力センサ9信号をA/D変換した圧力信号PM:9A,スロットルセンサ信号をA/D変換した開度信号THR:21A,冷却水温センサ16信号をA/D変換した温度信号TW:22A,吸気温度センサ16信号をA/D変換した温度信号TA:16A,クランク角センサ24信号をA/D変換したクランク角センサ信号CR:24A,カム角センサ26信号をA/D変換したカム角センサ信号CAM:26A,車速センサ信号をA/D変換した車速信号VSP:27Aが入力処理される。イグニションSW信号IG:5Aがオンからオフへ切り替わった後、エンジンを停止するために、燃料噴射停止と点火通電停止を行う。その後、吸気管圧力変化速度判定50にてエンジンが停止したときに吸気バルブ11と排気バルブ15が図6に示したバルブリフトカーブのオーバーラップ状態で停止したかどうかを判定するためにIGオフ後のPM:9Aの変化速度ΔPMを測定する。オーバーラップ停止判定手段51では、80ms間のPM:9Aの変化速度ΔPMを求め、その変化速度ΔPMが予め設定した閾値よりも大きい場合をオーバーラップ状態で停止したと判定し(以下:判定Bと称する)排気ガス逆流が発生したものと判断し、閾値より小さい場合は非オーバーラップ状態で停止したと判定し(以下:判定Aと称する)排ガス逆流は発生していないものと判断する。オーバーラップ状態で停止した場合と非オーバーラップ状態で停止した場合のPM:9Aの変化速度の違いは図4に示したような違いがある。ISCバルブ開度QISCは、イグニションSW信号IG:5Aがオフとなった後、吸気管内圧力PM:9Aが大気圧に戻るまでは(ΔPM=0またはΔPM<所定値となるまで)オフ直前の開度を保持するか(変化させないか)固定開度とする。エンジン停止後(0回転)、吸気管内圧力PM:9Aは大気圧に戻るが、その時にオーバーラップ状態で停止すると、吸気バルブ11と排気バルブ15が開いているので、排気ガスが吸気系へ逆流するため吸気管内圧力PM:9Aは急速に大気圧へ戻る挙動を示す。一方、非オーバーラップ状態で停止すれば、吸気系はISCバルブ14の開度分しか開いていないので、吸気管内圧力PM:9Aはゆっくりと大気圧へ戻る。吸気管内圧力PMが大気圧に戻る速さは吸気系の空気通路面積に比例するので、ISCバルブに限定されるものではなく、スロットル弁開度でも同様である。これによる吸気管内圧力PM:9Aの変化速度の違いは図5に示したように、明確な差があるので、閾値に対する大小関係からオーバーラップ状態で停止したかを判定することができる。なお、吸気系の空気通路面積を大きくしすぎると非オーバーラップ状態時でもPMの変化速度ΔPMが閾値よりも大きくなってしまうので、吸気系の空気通路面積は所定値以下に制限する。
【0033】
そして、判定結果記憶52にて、この判定結果を次回始動時に用いるために前記RAM33のバックアップ領域に記憶する。
【0034】
なお、図4ではイグニションSWを例として説明したが、本発明による効果はこれに限定されるものではない。例えば、エンジン回転が所定回転以下となった時点から検出しても同等の結果を得ることができる。
【0035】
また、図5は吸気管内圧力の変化量を変化速度とした例であるが、圧力の変化率や、所定圧力までの到達時間,所定圧力までの積算値でも代用できる。
【0036】
上記のオーバーラップ判定手段である50,51,52の制御フローは、図23に示したフローチャートの一例で説明する。
【0037】
ステップ100でイグニションSWオフを検出し、ここで燃料供給停止および点火通電停止が行われる。オーバーラップ停止判定が一旦終了すれば、以後は判定を行わないので、ステップ101にてオーバーラップ停止判定が終了しているかどうかを確認する。終了していたらステップ108にてオーバーラップ停止判定を終了する。未終了の場合は、ステップ102にて、エンジン停止時の吸気管内圧力信号PM:9の変化速度ΔPMを測定する。その後ステップ103にて図5に記載したようにΔPMと閾値の大小関係を判定する。ΔPMが閾値より大きい状態を1度でも判定すれば、ステップ104に進みオーバーラップでエンジンが停止したと判断し、判定Bとする。これに対し一度もΔPMが閾値より大きいと判定されなかった場合はステップ105へ分岐し、オーバーラップでエンジンが停止しなかったものと判断し、判定Aとして処理する。そしてステップ106で、オーバーラップ停止判定の結果が判定Aであるか判定BであるかをバックアップRAMに記憶し、ステップ107でオーバーラップ停止判定が終了したものとする。最後はステップ108にて、オーバーラップ停止判定を終了する。
【0038】
次に、オーバーラップ停止判定が終了し、次回始動時における60,61,62,63の制御フローを図24に記載したフローチャートの一例で説明する。
【0039】
始動時判定手段60はステップ200に該当し、始動が行われる前提条件はイグニションSWのオンを検出することで判断する。オーバーラップ停止判定結果確認61はステップ201に該当し、バックアップRAMに記憶されている判定Aまたは判定Bを確認する処理である。ステップ202で判定Bと判定されたら、始動時制御量変更手段62となりステップ203からステップ207の処理を行う。ステップ203では、始動時の燃料噴射開始時期の遅延量が決定される。ステップ204では始動時の燃料噴射量の減量分が決定される。ステップ205では始動時の点火時期の進角分が決定される。ステップ206では、始動時のISCバルブ開度の変更分が決定される。ステップ207では、始動時のスロットル開度の変更分が決定される。
【0040】
一方、ステップ202で判定Aと判定された場合は、始動時制御量変更手段は不要であり、ステップ208からステップ212の処理を行う。ステップ208では、始動時の燃料噴射開始時期の遅延は無しに決定する。ステップ209では、始動時の燃料噴射パルスの減量は無しと決定する。ステップ210では、始動時の点火時期の進角量を0とする。ステップ211では、始動時のISC開度の変更量を0と決定する。ステップ212では、始動時のスロットル開度の変更量を0と決定する。
【0041】
始動時制御量設定手段63は、ステップ213からステップ217に該当し、最終的に判定Aの設定値とするか判定Bの設定値とするかを決定する処理である。ステップ213は、後述する図9から図12と図16から図19に該当し、始動時の燃料噴射開始時期を最終決定する。ステップ214は、後述する図8と図20の内容に該当し、始動時の燃料噴射パルスTI:70を最終決定する。ステップ215は、後述する図13と図21に該当し、始動時の点火時期ADV:71を最終決定する。ステップ216は、後述する図14と図22に該当し、始動時のISCバルブ開度QISC:72を最終決定する。ステップ217は、後述する図15と図22に該当し、始動時のスロットル開度ETB:73を最終決定し、ステップ218で終了する。
【0042】
図7は、クランキング速度と冷機時のエンジン水温との関係を一例として示したものであり、始動時の水温が低い程クランキング速度は低下する。しかし、掃気に必要なクランキング回転は、(1)で求まるので、エンジン水温でクランキング速度が異なっても影響は無い。
【0043】
掃気に必要なクランキング回転=逆流した排気ガス容積÷(排気量÷2)…(1)
これは、クランク角度で求めた一例である図11やカム角度で求めた一例である図12も、時間の要素は関係しないので、同様の考え方である。
【0044】
これに対し、図10に示したように掃気に必要な時間を求める場合には、クランキング速度が影響する。
【0045】
クランキング速度はエンジン水温が低いほど遅く、かつ水温に応じて可変の値をとるので、始動時噴射開始時間は水温が低いほど長くする必要がある。
【0046】
なお、逆流した排気ガス容積を直接検出することは困難であるが、その容積は吸気系の容積とほぼ同等であることから、排気ガス逆流による始動性悪化の度合いは、(1)(2)からも判るように吸気系容積が大きくて排気量の小さいエンジンほどダメージは大きくなる。
【0047】
図8は、始動時の燃料噴射量を減量する場合の一例であり、始動時のエンジン水温と燃料噴射パルスの関係を示したものである。図20は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、その結果に応じて始動時の燃料噴射パルスを変更,決定する。その噴射パルスは、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bは、排気ガスの充満による空気不足(酸素不足)に合わせ判定Aの噴射パルスTISAに対し、少ない噴射量に設定する。噴射パルスの減量方法は、下記(3)(4)(5)のいずれか方法で可能となるが、減量する手法はこれらに限定されるものではない。最終的に出力される始動時噴射パルスTISは、
TIS=TISB=TISA×α …(3)
この時α≦1で制限する
TIS=TISB=TISA−β …(4)
この時β≧0で制限する
TIS=TISB=TISA÷γ …(5)
この時γ≧1で制限する
判定Aの噴射パルスTISAは、エンジン水温との相関が強いので上記α,β,γの値は、固定値でも良いしエンジン水温により可変値としても良い。また、高地など大気圧が低いところではTISAが小さくなるので、大気圧、または吸気温度に応じて可変にしても良い。
【0048】
図9,図10,図11,図12は始動時の燃料噴射開始時期を遅延する場合の例で、始動時のエンジン水温と遅延方法の関係を示しており、クランキング開始からの吸気系の掃気(排気ガスを排出し新気を吸入)するために必要な条件を設定する。
【0049】
図9は、クランキング開始からのエンジン回転で設定した場合の遅延方法の例であり、図16は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始を判定する。エンジンが何回転したかの判定はカム角センサ信号
26Aを基に判定し、オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図9に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を変更する。始動時の燃料噴射時期の遅延は、掃気をエンジン何回転分NCRANKするかで決定し、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、吸気系内の排気ガスを掃気するのに必要なクランキング回転を設定する。なお、図16中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAより大きくても良い。
【0050】
図10は、クランキング開始からの遅延時間で設定した場合の遅延方法の例であり、図17は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始した時点から遅延時間TDELAYを計測する。オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図10に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を変更する。図10には、始動時の燃料噴射時期の遅延時間をエンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、判定Aよりも遅延時間TDELAYを長い時間に設定することで、吸気系の掃気時間を確保する。なお、図17中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAより大きくても良い。
【0051】
図11は、クランク角センサ信号CR:24Aで設定した場合の遅延方法の例であり、図18は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始した時点からクランク角センサ信号CR:24Aの検出を開始する。オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図11に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を可変にする。燃料噴射開始時期は、検出したクランク角度が図11で設定したクランク角度θCR経過した後とし、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、判定Aよりもクランク角度θCRを大きい角度に設定することで、吸気系の掃気時間を確保する。なお、図11では、クランク角度で設定しているがクランク角センサ信号CR:24Aの検出回数で代用しても良い。また、図17中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAよりも大きくても良い。
【0052】
図12は、カム角センサ信号CAM:26Aで設定した場合の遅延方法の例であり、図19は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始した時点からカム角センサ信号CAM:26Aの検出を開始する。オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図12に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を可変にする。燃料噴射開始時期は、検出したカム角度が図12で設定したカム角度θCAM を経過した後とし、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、判定Aよりもカム角度θCAM を大きい角度に設定することで、吸気系の掃気時間を確保する。なお、図12では、カム角度で設定しているがカム角センサ信号CAM:26Aの検出回数で代用しても良い。また、図19中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAより大きくても良い。
【0053】
図13は、始動時の点火時期を変更する補正手段の例であり、図21は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aのオン検出後の初回始動時燃料噴射が実行された後、所定の角度から点火コイル1次側への通電が行われ、設定された点火時期ADV:70で点火する。この点火時期ADVはエンジン水温に応じた可変値とし、オーバーラップ判定結果が判定Aか判定Bかに応じて切り替える。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)の設定値ADVBは、判定Aの点火時期ADVAより進角側に設定する。なお、ADVBの設定値は、ADVAに対する固定値を加算したり乗算して設定しても良い。
【0054】
図14および図15は、始動時の吸気系の通路面積を変更する補正手段の例であり、図22は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認後、ISCバルブ開度QISC:72またはスロットル開度ETB:73の少なくとも一方を図14または図15の設定値に基づき設定する。判定B時のISCバルブ開度QISCBとスロットル開度ETBBの設定値は、エンジン水温に応じた可変値とし、全水温域で判定AのISCバルブ開度QISCAとスロットル開度QETBAに対し高開度もしくは同等に設定されている。そして判定Bで始動する場合は、初回始動時燃料噴射が実行されるまでの期間、ISCバルブ開度はQISCBまたはスロットル開度ETBBの少なくとも一方とし、通気抵抗を減らした状態でクランキングし完全な掃気を行う。これにより吸気系に充満していた排気ガスは排出されたので、QISCAまたはETBAの設定値に戻す。図22では急激に戻しているが、滑らかに戻しても良いし、判定Bのまま保持しても良いし、判定Aと判定Bの間に設定にしても良い。なお、QISCBとETBBの設定値は、QISCAやETBAに対する固定値を加算したり乗算して設定しても良い。
【0055】
なお、上記の実施例の図16から図22では、エンジン始動のタイミングをスタータSWの例としたが、本発明による効果はこれに限定されるものではない。エンジンを始動する前条件に該当するものであればよく、例えば、リモコンスタータの信号検知,イグニションSWのオン信号,エンジン回転数の変化,ドアロックの解除信号,シートベルト着用時の信号,MT車のクラッチペダル信号、あるいは、これら組み合わせによる方法でも代用できる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、排気ガスの吸気系への逆流による始動性悪化を軽減しつつ、良好な始動性を確保できるエンジンの制御装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン制御装置の構成図。
【図2】ECUの構成図。
【図3】制御ブロック図。
【図4】イグニションSWオフ後の吸気管圧力の変化を説明する図。
【図5】イグニションSWオフ後の吸気管圧力の変化速度を説明する図。
【図6】バルブリフトカーブを説明する図。
【図7】始動時のクランキング速度を説明する図。
【図8】始動時の噴射パルスの変更を説明する図。
【図9】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図10】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図11】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図12】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図13】始動時の点火時期の変更を説明する図。
【図14】始動時のISCバルブ開度の変更を説明する図。
【図15】始動時のスロットルバルブ開度の変更を説明する図。
【図16】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図17】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図18】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図19】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図20】始動時の噴射パルスの変更を説明するタイミング図。
【図21】始動時の点火時期の変更を説明するタイミング図。
【図22】始動時のISCバルブ開度とスロットル開度の変更を説明するタイミング図。
【図23】本発明の一実施例のフローチャート。
【図24】本発明の一実施例のフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン本体、2…燃焼室、3…ピストン、4…コンロッド、8…エアクリーナ、9…圧力センサ、10…スロットル弁、11…吸気バルブ、12…燃料噴射弁、13…点火プラグ、14…ISCバルブ、15…排気バルブ、16…吸気温度センサ、17…三元触媒、18…電子制御スロットルアクチュエータ、
19…点火コイル、21…スロットル開度センサ、22…冷却水温センサ、23…ノックセンサ、24…クランク角センサ、25…空燃比センサ、26…カム角センサ、30…電子制御装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの制御装置のエンジン始動時の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンがバルブオーバーラップ状態(図6の判定Bの領域)で停止すると、シリンダを介して吸気系と排気系がスルー状態になる。その状態下では、吸気管内圧力が大気圧に戻るまでの差圧(負圧)により、排気ガスが吸気系に逆流することがある。そして、逆流が発生した時にスロットル弁が全閉状態にあると、排気ガスは通路を塞がれた状態になるので、スロットル弁下流のインテークマニホールド内部に溜まってしまう。この状態を知らずにエンジンを始動すると、クランキング初期の頃にシリンダへ吸入されるのはインテークマニホールドに溜まっていた排気ガスなので、この状態で始動時の燃料を供給してしまうとリッチ失火が発生し、始動時間が長引く問題が起こる。最悪時にはプラグがくすぶり始動不能状態になる。
【0003】
このような問題に対し、最も有効な手段は、エンジン停止前にバルブタイミング可変機構を用いてバルブオーバーラップを0度にする、またはバルブリフト可変機構を用いて吸気バルブのリフト量を0mmにする方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の問題を根本的に防止するには、バルブタイミング可変機構やバルブリフト可変機構を必要とするが、それはコストアップになってしまうし、これらの機構を有しないエンジンでは対応が困難である。
【0005】
そこで本発明では、上記課題を解決するために、バルブタイミング可変機構やバルブリフト可変機構有しないエンジンにおいて、排気ガスの逆流を予測するとともに、次回始動時の燃料噴射量や噴射時期や点火時期や吸気通路面積を適切な制御量に変更することを可能としたエンジンの制御装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明であるエンジンの制御装置は、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、エンジンの運転状態や制御データを記憶する記憶手段と、エンジンの吸入空気量を制御する空気通路面積制御手段と、エンジンの吸気通路に設置されたスロットル弁下流の吸気管内圧力を検出する圧力検出手段と、エンジンの燃料供給量または点火時期を制御するエンジン制御手段を備えたエンジン制御装置において、吸気管内圧力の変化量を検出し、その変化量と所定値とを比較し、その大小関係を前記の記憶手段に記憶するとともに、吸気管内圧力の変化速度が所定値より大きいと記憶されていた場合は、始動時の燃料供給量を変更する補正手段、または始動時の燃料供給時期を変更する補正手段、または始動時の点火時期を変更する補正手段、または始動時の空気通路面積を変更する補正手段の少なくとも1つ以上を始動時の補正手段とを有するものである。
【0007】
このエンジンの制御装置によれば、エンジン停止時の吸気管圧力の変化量から排気ガス逆流の有無を検出し、排気ガス逆流と判定したら、次回始動時の、燃料噴射量補正,燃料噴射開始時期補正,点火時期補正,吸気系の空気通路面積補正のいずれか1つ以上で対策手段を講じるので、吸気系が排気ガス充満による酸素不足状態であっても、適切な噴射,適切な点火,適切な掃気が行われるので、始動性の悪化を防止することができる。
【0008】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料供給量を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の燃料噴射パルス幅に対し小さいパルス幅に変更するので、吸気系が排気ガス充満したとしても少ない空気量に見合った適切な燃料供給が可能となり始動性の悪化を防止することができる。
【0009】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料供給時期を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の燃料供給時期に対し遅延する方向に補正するので、吸気系が排気ガス充満したとしてもクランキングによる掃気を完了した後に燃料供給を行うので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0010】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の点火時期を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の点火時期に対し進角側へ変更するので、吸気系が排気ガス充満したとしても酸素不足状態に応じた適切な点火時期を設定できるので、始動性の悪化を防止することができる。
【0011】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の吸気系通路面積を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時のISCバルブ開度に対し高開度に変更するので、クランキングによる掃気を促進することができ、排気ガス掃気時間の短縮となり始動性の悪化を防止することができる。
【0012】
このエンジンの制御装置によれば始動時の吸気系通路面積を変更する補正手段は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時のスロットル弁開度に対し高開度に変更するので、クランキングによる掃気を促進することができ、排気ガス掃気時間の短縮となり始動性の悪化を防止することができる。
【0013】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期の遅延は、クランキング開始を検出してからエンジンが所定の回転を経過するまで燃料噴射を禁止させるので、掃気に必要なクランキング期間を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0014】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してから所定時間が経過するまで燃料噴射を禁止させるので、掃気に必要なクランキング時間を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0015】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期を遅延する方向は、クランキング開始を検出してから所定のクランク角度が経過するまで燃料噴射を禁止させるので、掃気に必要なクランキング角度を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0016】
このエンジンの制御装置によれば、燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してから所定のカム角度が経過するまで燃料噴射を禁止させるので掃気に必要な回転数を確保できるため始動性の悪化を防止することができる。
【0017】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料噴射パルス幅よりも小さいパルス幅は、排気ガス逆流が無い状態で設定した始動時の燃料噴射量に1より小さい係数を乗算して算出するので、酸素不足状態が解消された時に減量した燃料供給を行うので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0018】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料噴射パルス幅よりも小さいパルス幅は、排気ガス逆流が無い状態で算出した始動時の燃料噴射量に所定の噴射量を減算して算出するので、クランキングによる掃気を促進し酸素不足状態が解消された時に減量した燃料供給を行うので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0019】
このエンジンの制御装置によれば、始動時の燃料噴射パルス幅よりも小さいパルス幅は、始動時の燃料噴射量に1より大きい係数で除算して求めた燃料供給量なので、プラグくすぶりなどの始動性の悪化を防止することができる。
【0020】
このエンジンの制御装置によれば、、イグニションスイッチのオフを検出後の空気通路面積は、電子制御式スロットル弁またはISCバルブ等で空気通路面積を所定値以下に制御するので、安定した面積を確保することが可能となる。これにより、吸気管内圧力の変化量を正確に検出することができるので、高地などの環境変化に対しても排気ガス逆流判定の信頼性を高めることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明によるエンジン制御装置が適用される燃料噴射式内燃機関の全体システムを示している。
【0023】
エンジン本体:1は、各気筒の燃焼室:2にピストン:3を有し、ピストン3はコンロッド:4によってクランク軸に連結されている。
【0024】
エンジン本体1の吸気系には、エアクリーナ8,吸気管内圧力を検出する圧力センサ9,吸入空気量を制御するスロットル弁10,スロットル弁10を駆動するスロットルアクチュエータ18,スロットル弁10をバイパスして吸入空気量を制御するISCバルブ14,吸入空気の温度を検出する吸気温度センサ16が接続されており、吸気バルブ11を通過して燃焼室2に空気が吸入される。さらにエンジン本体1には、燃料を噴射する燃料噴射弁12と、燃焼室2内に点火コイル19で発生した高電圧により火花スパークを発生する点火プラグ13とが設けられている。
【0025】
排気ガスは、エンジン本体1の排気バルブ15が開いた時に燃焼室2から排出される。
【0026】
排気系には、三元触媒17,O2 センサ(または空燃比センサ)25が接続されており、排気ガスはこれらを通過して大気へ排出される。
【0027】
エンジン各部には、スロットル開度センサ21,冷却水温センサ22,ノックセンサ23,クランク角センサ24,カム角センサ26が設けられている。これらの検出値は、電子制御装置(以下、ECUと記す)30に入力される。
【0028】
ECU30には、図2に示されているように、CPU31,エンジン制御やAT制御のシステムプログラムと制御に必要なデータ等が書き込まれたROM32と、入力信号の値や演算結果等を記憶するワークメモリ等として使用されるRAM33と、上述したセンサの入力信号を入力回路35を介して入力したり、後述する駆動回路や出力回路へ信号を出力する入出力ポート34とを有している。
【0029】
CPU31は、ROM32に記憶されたプログラムやデータに基づいて前記入力信号を入出力ポート34より読み込み、吸気管圧力,エンジン回転速度,クランク角度,車速,冷却水温度,スロットル開度,ノック信号等を検出、あるいはそれらの演算処理を行う。
【0030】
CPU31は、さらに、演算処理の結果として、点火時期,インジェクタ駆動パルス幅に関する指令信号を入出力ポート34を介して点火出力回路36,燃料噴射弁駆動回路37,スロットルアクチュエータ駆動回路38,ISCバルブ駆動回路39へ出力し、点火時期制御,燃料噴射制御,スロットル弁開度制御,
ISCバルブ制御等を実行する。また、上述したセンサや出力回路の故障を判定し、異常と判定された場合には、警告灯を点灯させる制御も行う。
【0031】
また、空燃比センサ25は、排気ガス中の酸素濃度に応じた信号を出力し、
ECU30は空燃比センサ25によって検出した排気ガス中の酸素濃度に基づいて、目標空燃比となるように混合気(燃料噴射量)をフィードバック制御する機能も有している。
【0032】
図3は、図2に記載の電子制御装置30内部での処理される本発明に関わる制御ブロック図を示した一例である。ECU30には、入力信号としてイグニションSW信号IG:5A,バッテリ電圧をA/D変換した電圧信号VB:6A,スタータSW信号ST:7A,圧力センサ9信号をA/D変換した圧力信号PM:9A,スロットルセンサ信号をA/D変換した開度信号THR:21A,冷却水温センサ16信号をA/D変換した温度信号TW:22A,吸気温度センサ16信号をA/D変換した温度信号TA:16A,クランク角センサ24信号をA/D変換したクランク角センサ信号CR:24A,カム角センサ26信号をA/D変換したカム角センサ信号CAM:26A,車速センサ信号をA/D変換した車速信号VSP:27Aが入力処理される。イグニションSW信号IG:5Aがオンからオフへ切り替わった後、エンジンを停止するために、燃料噴射停止と点火通電停止を行う。その後、吸気管圧力変化速度判定50にてエンジンが停止したときに吸気バルブ11と排気バルブ15が図6に示したバルブリフトカーブのオーバーラップ状態で停止したかどうかを判定するためにIGオフ後のPM:9Aの変化速度ΔPMを測定する。オーバーラップ停止判定手段51では、80ms間のPM:9Aの変化速度ΔPMを求め、その変化速度ΔPMが予め設定した閾値よりも大きい場合をオーバーラップ状態で停止したと判定し(以下:判定Bと称する)排気ガス逆流が発生したものと判断し、閾値より小さい場合は非オーバーラップ状態で停止したと判定し(以下:判定Aと称する)排ガス逆流は発生していないものと判断する。オーバーラップ状態で停止した場合と非オーバーラップ状態で停止した場合のPM:9Aの変化速度の違いは図4に示したような違いがある。ISCバルブ開度QISCは、イグニションSW信号IG:5Aがオフとなった後、吸気管内圧力PM:9Aが大気圧に戻るまでは(ΔPM=0またはΔPM<所定値となるまで)オフ直前の開度を保持するか(変化させないか)固定開度とする。エンジン停止後(0回転)、吸気管内圧力PM:9Aは大気圧に戻るが、その時にオーバーラップ状態で停止すると、吸気バルブ11と排気バルブ15が開いているので、排気ガスが吸気系へ逆流するため吸気管内圧力PM:9Aは急速に大気圧へ戻る挙動を示す。一方、非オーバーラップ状態で停止すれば、吸気系はISCバルブ14の開度分しか開いていないので、吸気管内圧力PM:9Aはゆっくりと大気圧へ戻る。吸気管内圧力PMが大気圧に戻る速さは吸気系の空気通路面積に比例するので、ISCバルブに限定されるものではなく、スロットル弁開度でも同様である。これによる吸気管内圧力PM:9Aの変化速度の違いは図5に示したように、明確な差があるので、閾値に対する大小関係からオーバーラップ状態で停止したかを判定することができる。なお、吸気系の空気通路面積を大きくしすぎると非オーバーラップ状態時でもPMの変化速度ΔPMが閾値よりも大きくなってしまうので、吸気系の空気通路面積は所定値以下に制限する。
【0033】
そして、判定結果記憶52にて、この判定結果を次回始動時に用いるために前記RAM33のバックアップ領域に記憶する。
【0034】
なお、図4ではイグニションSWを例として説明したが、本発明による効果はこれに限定されるものではない。例えば、エンジン回転が所定回転以下となった時点から検出しても同等の結果を得ることができる。
【0035】
また、図5は吸気管内圧力の変化量を変化速度とした例であるが、圧力の変化率や、所定圧力までの到達時間,所定圧力までの積算値でも代用できる。
【0036】
上記のオーバーラップ判定手段である50,51,52の制御フローは、図23に示したフローチャートの一例で説明する。
【0037】
ステップ100でイグニションSWオフを検出し、ここで燃料供給停止および点火通電停止が行われる。オーバーラップ停止判定が一旦終了すれば、以後は判定を行わないので、ステップ101にてオーバーラップ停止判定が終了しているかどうかを確認する。終了していたらステップ108にてオーバーラップ停止判定を終了する。未終了の場合は、ステップ102にて、エンジン停止時の吸気管内圧力信号PM:9の変化速度ΔPMを測定する。その後ステップ103にて図5に記載したようにΔPMと閾値の大小関係を判定する。ΔPMが閾値より大きい状態を1度でも判定すれば、ステップ104に進みオーバーラップでエンジンが停止したと判断し、判定Bとする。これに対し一度もΔPMが閾値より大きいと判定されなかった場合はステップ105へ分岐し、オーバーラップでエンジンが停止しなかったものと判断し、判定Aとして処理する。そしてステップ106で、オーバーラップ停止判定の結果が判定Aであるか判定BであるかをバックアップRAMに記憶し、ステップ107でオーバーラップ停止判定が終了したものとする。最後はステップ108にて、オーバーラップ停止判定を終了する。
【0038】
次に、オーバーラップ停止判定が終了し、次回始動時における60,61,62,63の制御フローを図24に記載したフローチャートの一例で説明する。
【0039】
始動時判定手段60はステップ200に該当し、始動が行われる前提条件はイグニションSWのオンを検出することで判断する。オーバーラップ停止判定結果確認61はステップ201に該当し、バックアップRAMに記憶されている判定Aまたは判定Bを確認する処理である。ステップ202で判定Bと判定されたら、始動時制御量変更手段62となりステップ203からステップ207の処理を行う。ステップ203では、始動時の燃料噴射開始時期の遅延量が決定される。ステップ204では始動時の燃料噴射量の減量分が決定される。ステップ205では始動時の点火時期の進角分が決定される。ステップ206では、始動時のISCバルブ開度の変更分が決定される。ステップ207では、始動時のスロットル開度の変更分が決定される。
【0040】
一方、ステップ202で判定Aと判定された場合は、始動時制御量変更手段は不要であり、ステップ208からステップ212の処理を行う。ステップ208では、始動時の燃料噴射開始時期の遅延は無しに決定する。ステップ209では、始動時の燃料噴射パルスの減量は無しと決定する。ステップ210では、始動時の点火時期の進角量を0とする。ステップ211では、始動時のISC開度の変更量を0と決定する。ステップ212では、始動時のスロットル開度の変更量を0と決定する。
【0041】
始動時制御量設定手段63は、ステップ213からステップ217に該当し、最終的に判定Aの設定値とするか判定Bの設定値とするかを決定する処理である。ステップ213は、後述する図9から図12と図16から図19に該当し、始動時の燃料噴射開始時期を最終決定する。ステップ214は、後述する図8と図20の内容に該当し、始動時の燃料噴射パルスTI:70を最終決定する。ステップ215は、後述する図13と図21に該当し、始動時の点火時期ADV:71を最終決定する。ステップ216は、後述する図14と図22に該当し、始動時のISCバルブ開度QISC:72を最終決定する。ステップ217は、後述する図15と図22に該当し、始動時のスロットル開度ETB:73を最終決定し、ステップ218で終了する。
【0042】
図7は、クランキング速度と冷機時のエンジン水温との関係を一例として示したものであり、始動時の水温が低い程クランキング速度は低下する。しかし、掃気に必要なクランキング回転は、(1)で求まるので、エンジン水温でクランキング速度が異なっても影響は無い。
【0043】
掃気に必要なクランキング回転=逆流した排気ガス容積÷(排気量÷2)…(1)
これは、クランク角度で求めた一例である図11やカム角度で求めた一例である図12も、時間の要素は関係しないので、同様の考え方である。
【0044】
これに対し、図10に示したように掃気に必要な時間を求める場合には、クランキング速度が影響する。
【0045】
クランキング速度はエンジン水温が低いほど遅く、かつ水温に応じて可変の値をとるので、始動時噴射開始時間は水温が低いほど長くする必要がある。
【0046】
なお、逆流した排気ガス容積を直接検出することは困難であるが、その容積は吸気系の容積とほぼ同等であることから、排気ガス逆流による始動性悪化の度合いは、(1)(2)からも判るように吸気系容積が大きくて排気量の小さいエンジンほどダメージは大きくなる。
【0047】
図8は、始動時の燃料噴射量を減量する場合の一例であり、始動時のエンジン水温と燃料噴射パルスの関係を示したものである。図20は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、その結果に応じて始動時の燃料噴射パルスを変更,決定する。その噴射パルスは、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bは、排気ガスの充満による空気不足(酸素不足)に合わせ判定Aの噴射パルスTISAに対し、少ない噴射量に設定する。噴射パルスの減量方法は、下記(3)(4)(5)のいずれか方法で可能となるが、減量する手法はこれらに限定されるものではない。最終的に出力される始動時噴射パルスTISは、
TIS=TISB=TISA×α …(3)
この時α≦1で制限する
TIS=TISB=TISA−β …(4)
この時β≧0で制限する
TIS=TISB=TISA÷γ …(5)
この時γ≧1で制限する
判定Aの噴射パルスTISAは、エンジン水温との相関が強いので上記α,β,γの値は、固定値でも良いしエンジン水温により可変値としても良い。また、高地など大気圧が低いところではTISAが小さくなるので、大気圧、または吸気温度に応じて可変にしても良い。
【0048】
図9,図10,図11,図12は始動時の燃料噴射開始時期を遅延する場合の例で、始動時のエンジン水温と遅延方法の関係を示しており、クランキング開始からの吸気系の掃気(排気ガスを排出し新気を吸入)するために必要な条件を設定する。
【0049】
図9は、クランキング開始からのエンジン回転で設定した場合の遅延方法の例であり、図16は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始を判定する。エンジンが何回転したかの判定はカム角センサ信号
26Aを基に判定し、オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図9に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を変更する。始動時の燃料噴射時期の遅延は、掃気をエンジン何回転分NCRANKするかで決定し、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、吸気系内の排気ガスを掃気するのに必要なクランキング回転を設定する。なお、図16中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAより大きくても良い。
【0050】
図10は、クランキング開始からの遅延時間で設定した場合の遅延方法の例であり、図17は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始した時点から遅延時間TDELAYを計測する。オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図10に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を変更する。図10には、始動時の燃料噴射時期の遅延時間をエンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、判定Aよりも遅延時間TDELAYを長い時間に設定することで、吸気系の掃気時間を確保する。なお、図17中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAより大きくても良い。
【0051】
図11は、クランク角センサ信号CR:24Aで設定した場合の遅延方法の例であり、図18は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始した時点からクランク角センサ信号CR:24Aの検出を開始する。オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図11に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を可変にする。燃料噴射開始時期は、検出したクランク角度が図11で設定したクランク角度θCR経過した後とし、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、判定Aよりもクランク角度θCRを大きい角度に設定することで、吸気系の掃気時間を確保する。なお、図11では、クランク角度で設定しているがクランク角センサ信号CR:24Aの検出回数で代用しても良い。また、図17中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAよりも大きくても良い。
【0052】
図12は、カム角センサ信号CAM:26Aで設定した場合の遅延方法の例であり、図19は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aによりクランキング開始した時点からカム角センサ信号CAM:26Aの検出を開始する。オーバーラップ停止判定結果が判定Aか判定Bかに応じて図12に示した設定値に基づき燃料噴射開始時期を可変にする。燃料噴射開始時期は、検出したカム角度が図12で設定したカム角度θCAM を経過した後とし、エンジン水温に応じた可変値としている。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)場合、判定Aよりもカム角度θCAM を大きい角度に設定することで、吸気系の掃気時間を確保する。なお、図12では、カム角度で設定しているがカム角センサ信号CAM:26Aの検出回数で代用しても良い。また、図19中の判定Bにおける燃料噴射パルスは、判定Aと同じTISAとしているが、始動時の燃料噴射開始時点では吸気系の掃気が完了しているのでTISAより大きくても良い。
【0053】
図13は、始動時の点火時期を変更する補正手段の例であり、図21は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認し、スタータSW信号ST:7Aのオン検出後の初回始動時燃料噴射が実行された後、所定の角度から点火コイル1次側への通電が行われ、設定された点火時期ADV:70で点火する。この点火時期ADVはエンジン水温に応じた可変値とし、オーバーラップ判定結果が判定Aか判定Bかに応じて切り替える。そして判定Bの(排気ガスが吸気系に逆流した)の設定値ADVBは、判定Aの点火時期ADVAより進角側に設定する。なお、ADVBの設定値は、ADVAに対する固定値を加算したり乗算して設定しても良い。
【0054】
図14および図15は、始動時の吸気系の通路面積を変更する補正手段の例であり、図22は、その動作タイミングの例である。イグニションSWのオンを検出後に判定Aまたは判定Bを確認後、ISCバルブ開度QISC:72またはスロットル開度ETB:73の少なくとも一方を図14または図15の設定値に基づき設定する。判定B時のISCバルブ開度QISCBとスロットル開度ETBBの設定値は、エンジン水温に応じた可変値とし、全水温域で判定AのISCバルブ開度QISCAとスロットル開度QETBAに対し高開度もしくは同等に設定されている。そして判定Bで始動する場合は、初回始動時燃料噴射が実行されるまでの期間、ISCバルブ開度はQISCBまたはスロットル開度ETBBの少なくとも一方とし、通気抵抗を減らした状態でクランキングし完全な掃気を行う。これにより吸気系に充満していた排気ガスは排出されたので、QISCAまたはETBAの設定値に戻す。図22では急激に戻しているが、滑らかに戻しても良いし、判定Bのまま保持しても良いし、判定Aと判定Bの間に設定にしても良い。なお、QISCBとETBBの設定値は、QISCAやETBAに対する固定値を加算したり乗算して設定しても良い。
【0055】
なお、上記の実施例の図16から図22では、エンジン始動のタイミングをスタータSWの例としたが、本発明による効果はこれに限定されるものではない。エンジンを始動する前条件に該当するものであればよく、例えば、リモコンスタータの信号検知,イグニションSWのオン信号,エンジン回転数の変化,ドアロックの解除信号,シートベルト着用時の信号,MT車のクラッチペダル信号、あるいは、これら組み合わせによる方法でも代用できる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、排気ガスの吸気系への逆流による始動性悪化を軽減しつつ、良好な始動性を確保できるエンジンの制御装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン制御装置の構成図。
【図2】ECUの構成図。
【図3】制御ブロック図。
【図4】イグニションSWオフ後の吸気管圧力の変化を説明する図。
【図5】イグニションSWオフ後の吸気管圧力の変化速度を説明する図。
【図6】バルブリフトカーブを説明する図。
【図7】始動時のクランキング速度を説明する図。
【図8】始動時の噴射パルスの変更を説明する図。
【図9】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図10】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図11】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図12】始動時の噴射開始時期の変更を説明する図。
【図13】始動時の点火時期の変更を説明する図。
【図14】始動時のISCバルブ開度の変更を説明する図。
【図15】始動時のスロットルバルブ開度の変更を説明する図。
【図16】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図17】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図18】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図19】始動時の噴射開始時期の変更を説明するタイミング図。
【図20】始動時の噴射パルスの変更を説明するタイミング図。
【図21】始動時の点火時期の変更を説明するタイミング図。
【図22】始動時のISCバルブ開度とスロットル開度の変更を説明するタイミング図。
【図23】本発明の一実施例のフローチャート。
【図24】本発明の一実施例のフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン本体、2…燃焼室、3…ピストン、4…コンロッド、8…エアクリーナ、9…圧力センサ、10…スロットル弁、11…吸気バルブ、12…燃料噴射弁、13…点火プラグ、14…ISCバルブ、15…排気バルブ、16…吸気温度センサ、17…三元触媒、18…電子制御スロットルアクチュエータ、
19…点火コイル、21…スロットル開度センサ、22…冷却水温センサ、23…ノックセンサ、24…クランク角センサ、25…空燃比センサ、26…カム角センサ、30…電子制御装置。
Claims (17)
- エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、エンジンの運転状態や制御データを記憶する記憶手段と、エンジンの吸入空気量を制御する空気通路面積制御手段と、エンジンの吸気通路に設置されたスロットル弁下流の吸気管内圧力を検出する圧力検出手段と、エンジンの燃料供給量または点火時期の少なくとも一方と、を制御するエンジン制御手段を備えたエンジンの制御装置において、
エンジンを停止させるとき、吸気管内圧力が大気圧または所定圧力となるまでは空気通路面積を所定値以下とし、吸気管内圧力が大気圧または所定圧力となるまでの吸気管内圧力の変化量を検出するとともに、前記検出された変化量と予め定める閾値とを比較し、その差異を前記の記憶手段に記憶する差異記憶手段と、
記憶した前記変化量の差異が予め定める閾値より大きい場合は、始動の燃料供給量を変更する補正手段、または始動の燃料供給時期を変更する補正手段、または始動の点火時期を変更する補正手段、または始動の吸気系の通路面積を変更する補正手段の少なくとも1つ以上をエンジン始動の補正手段とを有することを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項第1項に記載のエンジンの制御装置において、前記変化量は、吸気管内圧力の変化速度、または所定圧力までの到達時間、または変化率、または変化量の積算値とすることを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジンの制御装置において、前記変化量は、イグニションスイッチのオフ検出後、またはエンジン回転が所定回転以下のときに検出することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジンの制御装置において、前記エンジン始動の補正手段は、イグニションスイッチのオン検出後に実施、またはスタータスイッチのオン検出後に実施、またはエンジン回転が零から所定回転になるまで実施することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジン制御装置において、前記始動時の燃料供給量を変更する補正手段は、予め設定されている始動に必要な燃料噴射量よりも減量となるように変更することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジン制御装置において、前記始動時の燃料供給時期を変更する補正手段は、予め設定されている始動時の燃料供給時期を遅延する方向に補正することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジン制御装置において、前記始動時の点火時期を変更する補正手段は、予め設定されている始動時の点火時期よりも進角側へ変更することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジン制御装置において、前記始動時の吸気系通路面積を変更する補正手段は、予め設定されている始動時のISCバルブの開度よりも高開度に変更することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジン制御装置において、前記始動時の吸気系通路面積を変更する補正手段は、予め設定されている始動時のスロットル弁開度よりも吸気系通路面積が大きくなる開度に変更することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第6項に記載のエンジン制御装置において、前記燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してからエンジンが所定の回転を経過するまで燃料噴射を禁止することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第6項に記載のエンジン制御装置において、前記燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してから所定時間が経過するまで燃料噴射を禁止することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第6項に記載のエンジン制御装置において、前記燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してから所定のクランク角度が経過するまで燃料噴射を禁止することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第6項に記載のエンジン制御装置において、前記燃料供給時期を遅延する方法は、クランキング開始を検出してから所定のカム角度が経過するまで燃料噴射を禁止することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第5項に記載のエンジン制御装置において、前記始動の燃料噴射量の減量は、始動時の燃料噴射量に1より小さい係数を乗算して算出することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第5項に記載のエンジン制御装置において、前記始動の燃料噴射量の減量は、始動時の燃料噴射量に所定の噴射量を減算して算出することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第5項に記載のエンジン制御装置において、前記始動の燃料噴射量の減量は、始動時の燃料噴射量に1より大きい係数で除算して算出することを特徴とするエンジンの制御装置。
- 請求項第1項に記載のエンジン制御装置において、前記吸気管内圧力が大気圧となるまでは空気通路面積を所定値以下とする手段は、電子制御式スロットル弁またはスロットル弁をバイパスした補助空気通路面積を制御する1つ以上のアクチュエータの少なくとも一方を制御することを特徴とするエンジンの制御装置。
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- 2002-07-18 JP JP2002209025A patent/JP2004052613A/ja active Pending
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