以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<<第1実施形態>>
図1は第1実施形態における配線体を備えたタッチセンサを示す平面図であり、図2は図1のII部の拡大図であり、図3は図2のIII−III線に沿った断面図であり、図4は図2のIV−IV線に沿った断面図である。
本実施形態における配線体2を備えたタッチセンサ1は、例えば、静電容量方式等のタッチパネルやタッチパッドに用いられるタッチ入力装置である。タッチセンサ1は、配線基板10と、当該配線基板10に含まれる網目状電極層22上に樹脂層を介して設けられる第2の網目状電極層と、を備えている。図1において、樹脂層及び第2の網目状電極層は、その図示を省略している。本実施形態における配線基板10は、基板21と、配線体2と、を備えている。
基板21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等の透明なフィルムや、ガラス等から構成される絶縁性の透明基板である。また、基板21としては、表示装置やカバーパネルであってもよい。このため、配線基板10の下方にLED等のバックライトやディスプレイ(不図示)を配置した際に、当該バックライトやディスプレイの光が配線体2を透過するようになっている。
配線体2は、接着層25と、当該接着層25上に形成された複数(本例において6つ)の網目状電極層22と、引出配線層23と、を備えている。
接着層25は、基板21と、網目状電極層22及び引出配線層23と、をそれぞれ相互に接着して固定するための層であり、図3に示すように、基板21における一方主面の全体に設けられている。接着層25を構成する接着材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂やセラミクス等を例示することができる。この接着層25は、第1の導体線221A、221Bを支持する支持部251と、第2の導体線231A、231Bを支持する支持部251Bと、当該支持部251、251Bと基板21の主面との間に設けられ、当該主面を覆う平状部252と、を有しており、それら支持部251、251B及び平状部252は一体的に形成されている。
本実施形態における支持部251の断面形状(第1の導体線221A、221Bの延在方向に対する断面形状)は、図3に示すように、基板21から離れる方向(図3中の上方向)に向かって幅狭となる形状となっている。平状部252は、略均一な高さ(厚さ)で基板21の一方主面全体に設けられている。支持部251が平状部252上に設けられていることにより、支持部251において接着層25は突出しており、当該支持部251において第1の導体線221A、221Bの剛性が向上している。
なお、接着層25から平状部252を省略し、支持部251、251Bのみで接着層25を構成してもよい。この場合には、配線基板10全体の光透過性が向上するため、タッチセンサ1の視認性を向上することができる。本実施形態における接着層25が本発明の樹脂層の一例に相当する。
網目状電極層22は、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム、グラファイト等を含有する導電性材料と、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を含有するバインダ樹脂等から構成されている。なお、網目状電極層22を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。この網目状電極層22は、図2に示すように、平行に配置された複数の第1の導体線221Aと、平行に配置された複数の第1の導体線221Bとが略直角に互いに交差して形成された網目形状を有している。なお、網目状電極層22の網目形状は特に限定されない。例えば、正方形や長方形、菱形等の網目形状であってもよく、六角形(ハニカム形状)の網目形状であってもよい。
本実施形態において第1の導体線221A、221Bは、網目状電極層22の延在方向(図1中のY軸方向)に対してそれぞれ45度傾斜して配置されているが、それらが他の角度(例えば30度)でそれぞれ傾斜して配置されていてもよい。また、第1の導体線221A、221Bの一方が網目状電極層22の延在方向(図1中のY軸方向)に対して90度傾斜して配置されていてもよい。なお、第1の導体線221A、221Bが曲線状に延在していてもよく、直線状の部分と曲線状の部分とが混在していてもよい。
図3に示すように、第1の導体線221A、221Bの側部223と接着層25における支持部251の側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。第1の導体線221A、221Bは、基板21から離れる側(図3中の上側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより第1の導体線221A、221Bの外面の断面形状(第1の導体線221A、221Bの延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。なお、第1の導体線221A、221Bの外面の断面形状は、特にこれに限定されない。例えば、第1の導体線221A、221Bの断面形状が正方形状、長方形状、三角形状等であってもよい。
また、第1の導体線221A、221Bの下面225は凹凸形状となっており、接着層25の支持部251の上面も当該下面の凹凸形状に対応した凹凸形状となっている。
本実施形態における第1の導体線221A、221Bにおける図3中の下面225の面粗さは、第1の導体線221A、221Bと接着層25との接触面積を増加し、第1の導体線221A、221Bと接着層25とを強固に固定する観点から、当該第1の導体線221A、221Bにおける図3中の上面226の面粗さよりも粗いことが好ましい。
具体的には、第1の導体線221A、221Bの下面225の面粗さがRaが0.1〜3μm程度であるのに対し、上面226の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、上面226の面粗さはRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
本実施形態では、図2又は図3に示すように、網目状電極層22を構成する第1の導体線221A、221Bは互いに略等しい幅(第1の導体線221A、221Bの延在方向に対する断面視における平均最大幅)W1を有している。第1の導体線221A、221Bの幅W1は、100nm〜100μmであることが好ましく、タッチセンサ1の視認性向上の観点から、500nm〜10μmであることさらに好ましく、500nm〜5μmであることがより好ましい。
引出配線層23は、外縁部241と、配線部242と、を含んでいる。この引出配線層23は、上述した網目状電極層22と同様の材料によって一体的に形成されている。また、引出配線層23を構成する外縁部241及び配線部242も一体的に形成されている。なお、この「一体的に」とは、部材同士が分離しておらず、且つ、同一材料(同一粒径の導電性粒子、バインダ樹脂等)により一体の構造体として形成されていることを意味する。網目状電極層22の外縁において、外縁部241が設けられる位置は特に限定されない。例えば、網目状電極層22の外縁全てに外縁部241が設けられていてもよい。
なお、引出配線層23と網目状電極層22とをそれぞれ個別に形成することとしてもよい。この場合において、引出配線層23と網目状電極層22とをそれぞれ異なる方法で形成してもよい。また、同様に、引出配線層23を構成する外縁部241と配線部242とをそれぞれ個別に形成することとしてもよい。この場合においても、外縁部241と配線部242とをそれぞれ異なる方法で形成してもよい。
外縁部241は、図1に示すように、網目状電極層22における図中の上辺に沿って延在するように形成されている。また、図2に示すように、外縁部241は網目状電極層22に直接接続されており、平行に配置された複数の第2の導体線231Aと、平行に配置された複数の第2の導体線231Bとが略直角に互いに交差して形成された網目形状を有している。外縁部241の網目形状は特に限定されない。例えば、正方形や長方形、菱形等の網目形状であってもよく、六角形(ハニカム形状)の網目形状であってもよい。本実施形態における外縁部241が、本発明の網目部の一例に相当する。
本実施形態において第2の導体線231A、231Bは、図1中のY軸方向に対してそれぞれ45度傾斜して配置されているが、それらが他の角度(例えば30度)でそれぞれ傾斜して配置されていてもよい。また、第2の導体線231A、231Bの一方が図1中のY軸方向に対して90度傾斜して配置されていてもよい。なお、第2の導体線231A、231Bが曲線状に延在していてもよく、直線状の部分と曲線状の部分とが混在していてもよい。
本実施形態において第2の導体線231A、231Bを支持する支持部251Bの断面形状(第2の導体線231A、231Bの延在方向に対する断面形状)は、図4に示すように、基板21から離れる方向(図4中の上方向)に向かって幅狭となる形状となっている。支持部251Bが平状部252上に設けられていることにより、支持部251Bにおいて接着層25は突出しており、当該支持部251Bにおいて第2の導体線231A、231Bの剛性が向上している。
図4に示すように、第2の導体線231A、231Bの側部233と接着層25における支持部251Bの側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。第2の導体線231A、231Bは、基板21から離れる側(図4中の上側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより第2の導体線231A、231Bの外面の断面形状(第2の導体線231A、231Bの延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。なお、第2の導体線231A、231Bの外面の断面形状は、特にこれに限定されない。例えば、第2の導体線231A、231Bの断面形状が正方形状、長方形状、三角形状等であってもよい。
また、第2の導体線231A、231Bの下面234は凹凸形状となっており、接着層25の支持部251Bの上面も当該下面234の凹凸形状に対応した凹凸形状となっている。本実施形態における第2の導体線231A、231Bにおける図4中の下面234の面粗さは、第2の導体線231A、231Bと接着層25との接触面積を増加し、第2の導体線231A、231Bと接着層25とを強固に固定する観点から、当該第2の導体線231A、231Bにおける図4中の上面235の面粗さよりも粗いことが好ましい。
具体的には、第2の導体線231A、231Bの下面234の面粗さがRaが0.1〜3μm程度であるのに対し、上面235の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、上面235の面粗さはRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
本実施形態における第2の導体線231A、231Bにおける下面234の凹凸形状を均した面は、図4に示すように、第1の導体線221A(221B)における下面225の凹凸形状を均した面(図3参照)に比べ、基板21から離れる方向に向かって緩やかに湾曲している。
このため本実施形態では、下記(5)式及び(6)式が成立している。
S1<S2・・・(5)
R1<R2・・・(6)
ただし、上記(5)式において、S1は第1の導体線221A、221Bの下面225との接着部分(接着面)における樹脂層25の厚さ(面内全体の断面視における平均最大厚さ)であり、S2は第2の導体線231A、231Bの下面234との接着部分(接着面)における樹脂層25の厚さ(面内全体の断面視における平均最大厚さ)である。また、上記(6)式において、R1は第1の導体線221A、221Bにおいて下面225を均した面(第1の接着面)における湾曲率であり、R2は第2の導体線231A、231Bにおいて下面234を均した面(第2の接着面)における湾曲率である。上記(5)式及び(6)式が成立することにより、第2の導体線231A、231Bと接着層25の支持部251Bとの接触面積を相対的に増大させ、当該第2の導体線231A、231Bと支持部251Bとの密着性を向上することができる。
なお、「面内全体の断面視における平均最大厚さ」とは、それぞれの導体線の幅方向に沿った断面を、当該導体線の延在方向全体に亘って複数採取し、それぞれの断面ごとに求められる最大厚さを平均したものである。因みに、上記導体線には、第1の導体線221A,221B及び第2の導体線231A,231Bが含まれる。求めるパラメータに応じて、上記導体線は、適宜選択される。
外縁部241を構成する第2の導体線231A、231Bは、図2又は図4に示すように、互いに略等しい幅(第2の導体線231A、231Bの延在方向に対する断面視における平均最大幅)W2を有している。第2の導体線231A、231Bの幅W2は、1μm〜500μmが好ましく、電気的抵抗値の増大を抑制しつつ、配線体2の耐久性を向上させる観点から3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらにより好ましい。本実施形態において、第2の導体線231A、231Bの断面視におけるアスペクト比(厚さ/幅)は、1以下となっている。すなわち、第2の導体線231A、231Bは、断面視において、基材2の主面に沿って横長の形状となっている。
また、本実施形態において、第1の導体線221A、221Bの幅W1と第2の導体線231A、231Bの幅W2とは、下記(7)式の関係を満たしている。
W1<W2・・・(7)
なお、第1の導体線221A、221Bの幅W1と第2の導体線231A、231Bの幅W2とは、下記(8)式を満たすことが好ましい。
2×W1<W2・・・(8)
本実施形態では、第1の導体線221Aと第2の導体線231Aとは略平行となっていると共に、第1の導体線221Bと第2の導体線231Bとは略平行となっている。また、第2の導体線231A同士の間のピッチ及び第2の導体線231B同士の間のピッチは、第1の導体線221A同士の間のピッチ及び第1の導体線221B同士の間のピッチよりもそれぞれ小さくなっている。
また、本実施形態において、網目状電極層22の開口率は85%以上、100%未満となっている。一方、外縁部241の開口率は50%以下となっている。網目状電極層22の開口率は、配線体2の下方に設置するバックライト等の光透過性を向上させる観点から、90%以上、100%未満であることが好ましい。また、外縁部241の開口率は、網目状電極層22と外縁部241との剛性の差を縮小する観点や、外縁部241の耐久性を向上させる観点から10%以上であることが好ましい。
なお、この「開口率」とは、下記(9)式で表される比率を言う(図5参照)。
(開口率)=b×b/(a×a)・・・(9)
但し、上記(9)式において、aは任意の導体線221と、当該導体線221と隣り合う他の導体線221との間のピッチ(中心線CL間の距離)であり、bは任意の導体線221と、当該導体線221と隣り合う他の導体線221との間の距離を表す。
なお、第1の導体線221A、221Bの構成は特に上記に限定されず、図6に示すような構成であってもよい。具体的には、図6の形態では、外縁部241に近づくに従って漸次的に幅広となる幅広部222が第1の導体線221A、221Bの端部に設けられている。なお、この幅広部222の傾斜角度θ1、θ2は、それぞれ15°以上であることが好ましい(θ1≧15°、θ2≧15°)。また、図6に示す形態では、外縁部241に接続する部分における第1の導体線221A、221Bの両側側部に幅広部222が設けられているが、特にこれに限定されない。例えば、外縁部241に接続する部分における第1の導体線の221A、221Bの一方側部のみに当該幅広部222を設けてもよい。
配線部242は、図1に示すように、外縁部241を介して網目状電極層22を配線基板10の外部に引き出すための端子26に接続されている。この端子26は、駆動回路3に繋がる不図示の相手方端子と接続される。このように、本実施形態の引出配線層23における外縁部241及び配線部242は何れも端子としての機能は有しておらず、網目状電極層22は引出配線層23及び端子26を介して駆動回路3に接続される。
本実施形態における配線部242はベタパターンとして形成されているが、配線部242の構成は特にこれに限定されない。例えば、特に図示しないが、外縁部241が網目形状を有することに加え、配線部242も外縁部241と同様の網目形状を有することとしてもよい。なお、本実施形態のように、外縁部241と配線部242とを一体的に形成する場合には、配線部242も網目状とすることが好ましい。因みに、端子26を外縁部241及び配線部242と一体的に形成してもよく、この場合には端子26が網目形状を有することが好ましい。
本実施形態におけるタッチセンサ1では、網目状電極層22の延在する方向が交差するように配置される第2の網目状電極層(不図示)を、網目状電極層22との絶縁を確保するための樹脂層を介して配線基板10上に設ける。そして、網目状電極層22及び第2の網目状電極層を、駆動回路3にそれぞれ接続する。この駆動回路3は、網目状電極層22と第2の網目状電極層との間に所定電圧を周期的に印加し、2つの網目状電極層の交点毎の静電容量の変化に基づいてタッチセンサ1における操作者の指の接触位置を判別する。なお、網目状電極層22の延在方向が互いに直交するように2枚の配線基板10を重ねることによりタッチセンサを構成してもよい。
次に、本実施形態における配線体2の製造方法について説明する。図7(A)〜図7(E)は、本実施形態における配線体2の製造方法を説明するための断面図(簡略図)である。
まず、図7(A)に示すように、網目状電極層22の形状に対応する形状の第1の凹部41及び引出配線層23の形状に対応する形状の第2の凹部42が形成された凹版4を準備する。
凹版4を構成する材料としては、ニッケル、シリコン、二酸化珪素などガラス類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。第1の凹部41の幅は、100nm〜100μmであることが好ましく、500nm〜10μmであることがより好ましく、500nm〜5μmであることがさらに好ましい。
一方、第2の凹部42の幅は、1μm〜500μmであることが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。また、第1の凹部41及び第2の凹部42の深さは、100nm〜300μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。本実施形態において第1及び第2の凹部41、42の断面形状は、底部に向かうにつれて幅狭となるテーパー形状が形成されている。
なお、第1及び第2の凹部41、42の表面には、離型性を向上するために、黒鉛系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料等からなる離型層(不図示)を予め設けることが好ましい。
上記の凹版4の第1及び第2の凹部41、42に対し、導電性材料5を充填する。このような導電性材料5としては、導電性粉末若しくは金属塩、バインダ樹脂、水若しくは溶剤及び各種の添加剤を混合して構成される導電性ペーストや導電性インクを例示することができる。上記の導電性粉末としては、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属や、グラファイト等を例示することができる。金属塩としては、上記金属の塩を挙げることができる。導電性材料5に含まれる導電性粒子としては、形成する導体パターンの幅に応じて、例えば、0.5μm以上2μm以下の直径φ(0.5μm≦φ≦2μm)を有する導電性粒子を用いることができる。なお、形成する導体パターンの幅の半分以下の平均直径φを有する導電性粒子を用いることが好ましい。
導電性材料5に含まれるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
導電性材料5に含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。
導電性材料5を凹版4の第1及び第2の凹部41、42に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に第1及び第2の凹部41、42以外に塗工された導電性材料をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
なお、幅広部222を第1の導体線221A、221Bの端部に設けた場合には(図6参照)、導電性材料5を第1及び第2の凹部41、42に充填する際の充填不良の発生を抑制できると共に、完成した配線体2における網目状電極層22と外縁部241との間の接続信頼性を向上することができる。
次に、図7(B)に示すように、凹版4の第1及び第2の凹部41、42に充填された導電性材料5を加熱することにより網目状電極層22及び引出配線層23を形成する。導電性材料5の加熱条件は、導電性材料の組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料5が体積収縮し、当該導電性材料5の上面は凹凸形状51となると共に、第2の凹部42に充填された導電性材料5の上面は当該第2の凹部42の底部に向かって湾曲する(図7(B)の引出図参照)。なお、第1の凹部41に充填された導電性材料5の上面もW1の幅の大きさにより第1の凹部41の底部に向かって僅かに湾曲する場合もあるが、当該湾曲の度合は第2の凹部42に充填された導電性材料5に比べて相対的に小さくなる。導電性材料5の上面を除く外面は、第1及び第2の凹部41、42に沿った形状に形成される。
なお、導電性材料5の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザー光等のエネルギー線を照射しても良いし、乾燥のみでもよい。また、これらの2種以上の処理方法を組合せても良い。凹凸形状51の存在により、網目状電極層22及び引出配線層23と接着層25との接触面積が増大し、網目状電極層22及び引出配線層23をより強固に接着層25に固定することができる。
続いて、図7(C)に示すように、接着層25を形成するための接着材料6が基板21上に略均一に塗布されたものを用意する。このような接着材料6としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂やセラミクス等を例示することができる。接着材料6を基板21上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
次いで、図7(D)に示すように、当該接着材料6が凹版4の第1及び第2の凹部41、42に入り込むよう基板21及び接着材料6を凹版4上に配置して基板21を凹版4に押し付け、接着材料6を硬化させる。接着材料6を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。これにより、接着層25が形成されると共に、当該接着層25を介して基板21と網目状電極層22及び引出配線層23とが相互に接着され固定される。
なお、接着層25の形成方法は特に上記に限定されない。例えば、網目状電極層22及び引出配線層23が形成された凹版4(図7(B)に示す状態の凹版4)上に接着材料6を塗布し、当該接着材料6上に基板21を配置した後に、当該基板21を凹版4に配置して押し付けた状態で接着材料6を硬化させることにより接着層25を形成してもよい。
続いて、図7(E)に示すように、基板21、接着層25、網目状電極層22及び引出配線層23を凹版4から離型させ、配線体2を得ることができる。
次に、本実施形態における配線体の作用について説明する。
本実施形態の配線体2では、網目状電極層22が第1の導体線221A、221Bで構成されていると共に、引出配線層23に含まれる外縁部241は第2の導体線231A、231Bで構成されている。これにより、網目状電極層22と外縁部241との剛性の差を縮小することができるため、網目状電極層22と外縁部241との間の境界に応力が集中することを抑制し、当該網目状電極層22と引出配線層23との間の断線を抑制することができる。配線部242は網目状電極層22を構成する第1の導体線221A、221Bよりも大きい幅を有するため、外縁部241と配線部242との間の境界における応力の集中よりも、網目状電極層22と外縁部241との間の境界における応力の集中の方が、網目状電極層22と引出配線層23との間の断線を抑制する上でより重要となる。
また、本実施形態の配線体2では上記(7)式を満たしており、第2の導体線231A、231Bの線幅は第1の導体線221A、221Bの線幅よりも大きくなっている。このため、外縁部241の形状を網目状にすることによる引出配線層23の電気的抵抗値の増大を抑制することができる。本実施形態では、上記(8)式を満たすことにより、この効果をより向上することができる。
また、本実施形態における配線体2では、網目状電極層22の開口率は85%以上であると共に、外縁部241の開口率は50%以下となっている。このため、配線体2の下方に設置するバックライト等の光透過性を向上させつつ、引出配線層23の電気的抵抗値の増大抑制を図ることができる。
<<第2実施形態>>
図8は第2実施形態における配線体を備えたタッチセンサを示す平面図であり、図9は図8のIX部の拡大図である。第2実施形態における配線体2Bは、引出配線層の構成が第1実施形態と異なる以外は、上述した第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一である部分については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における引出配線層23Bは、図8に示すように、第1実施形態で説明した外縁部241を含んでおらず、配線部242Bのみから構成されている。網目状電極層22と引出配線層23Bは一体的に形成されている。
本実施形態の配線部242Bは、第1実施形態で説明した引出配線層23の外縁部241と同様の構成となっている。すなわち配線部242Bは、図9に示すように、平行に配置された複数の第2の導体線231Aと、平行に配置された複数の第2の導体線231Bとが略直角に互いに交差して形成された網目形状を有している。配線部242Bの網目形状は特に限定されない。例えば、正方形や長方形、菱形等の網目形状であってもよく、六角形(ハニカム形状)の網目形状であってもよい。本実施形態における配線部242Bが、本発明の網目部の一例に相当する。
本実施形態では、網目状電極層22と端子26との間の全体において、配線部242Bは網目状となっているが、少なくとも網目状電極層22との接続部分が網目形状であればよく、特にこれに限定されない。
本実施形態における配線部242Bの幅Lは、当該配線部242Bの網目形状を構成する単位網目の端部により規定されており、単位網目を構成しない第2の導体線231A、231Bが外側に向かって突き出した状態とはなっていない。このため、配線部242Bの側端部は、第2の導体線231A、231Bによって構成される波形状となっている。
また、本実施形態における網目状電極層22において、配線部242に接続される端部には、網目状電極層22と一体的に形成された縁部224が設けられている。縁部224の幅W3は、網目状電極層22を構成する第1の導体線221A、221Bの幅W1と略等しくなっているが(W3≒W1)、縁部224の幅W3が、第1の導体線221A、221Bの幅W1とよりも大きいこと((W3>W1))が電気的抵抗値の増大をより抑制しつつ、網目状電極層と引出配線層との間の断線をより抑制することができるため好ましい。また、縁部224の幅W3は、第2の導体線231A、231Bの幅W2よりも小さくても(W3<W2)、大きくてもよく(W3>W2)、縁部224の幅W3は特に限定されない。また、本実施形態における縁部224は直線状であるが、曲線状であってもよく、直線状の部分と曲線状の部分とが混在していてもよい。
本実施形態においても、引出配線層23Bの配線部242Bと網目状電極層22との間の境界に応力が集中することを抑制し、当該網目状電極層22Bと引出配線層23Bとの間の断線抑制効果を奏することができる。
また、本実施形態の配線体2Bにおいても、上述の(7)式を満たしており、第2の導体線231A、231Bの線幅は第1の導体線221A、221Bの線幅よりも大きくなっている。このため、配線部242Bの形状を網目状にすることによる当該引出配線層23Bの電気的抵抗値の増大を抑制することができる。
また、本実施形態の引出配線層23Bでは、外縁部241が設けられていないことにより、配線基板10を小型化することができる。さらに、当該外縁部241が設けられていないことにより、引出配線層23Bと接続される網目状電極層22の縁部において、外縁部241による光の遮断が無くなるため、タッチセンサ1の画面の縁部における輝度の低下を抑制することができる。
<<第3実施形態>>
図10は、本発明の第3実施形態における配線体を示す平面図である。第3実施形態における配線体2Cは、網目状電極層の構成が第1実施形態と異なる以外は、上述した第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一である部分については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における配線体2Cは、接着層25と、当該接着層25上に形成された複数の網目状電極層22Bと、当該網目状電極層22Bの外縁に設けられた外縁部241を含む引出配線層23と、を備えている。網目状電極層22Bは、第1実施形態で説明した網目状電極層22と同様の材料及び製造方法によって設けることができる。
網目状電極層22Bは、第1実施形態の網目状電極層22と同様に、第1の導体線221A、221Bにより構成されている。本実施形態では、図10に示すように、第1の導体線221Aが引出配線層23を構成する外縁部241の第2の導体線231A、231Bとは非平行となっていると共に、第1の導体線221Bも第2の導体線231A、231Bとは非平行となっている。
このため、本実施形態における配線体2Bでは、当該配線体2Bに加わる外力を受けて網目状電極層22Bが湾曲(屈曲)し易い方向と、外縁部241が湾曲(屈曲)し易い方向と、を相互に異なる方向とすることができる。これに従い、網目状電極層22Bと外縁部241との間の境界に応力が集中することを抑制し、当該網目状電極層22Bと引出配線層23との間の断線抑制効果をより向上することができる。
また、本実施形態の配線体2Bにおいても、上述の(7)式を満たしており、第2の導体線231A、231Bの線幅は第1の導体線221A、221Bの線幅よりも大きくなっている。このため、外縁部241の形状を網目状にすることによる当該引出配線層23の電気的抵抗値の増大を抑制することができる。
なお、特に図示しないが、第1実施形態で説明した網目状電極層22と、第1の導体線221A、221Bとはそれぞれ互いに非平行である第2の導体線231A、231Bから構成される外縁部を含む引出配線層と、を備える配線体においても、上記と同様の効果を奏することができる。
<<第4実施形態>>
図11は、本発明の第4実施形態における配線体を示す平面図である。第4実施形態における配線体2Dは、網目状電極層及び外縁部の境界の形状が第1実施形態と異なる以外は、上述した第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一である部分については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
配線体2Dは、接着層25と、当該接着層25上に形成された複数の網目状電極層22と、引出配線層23と、を備えている。
本実施形態における配線体2Dでは、図11に示すように、引出配線層23の外縁部241を構成する第2の導体線231A、231Bが、網目状電極層22を構成する単位網目の縁から設けられている。すなわち、網目状電極層22と外縁部241との間の境界は、当該網目状電極層22を構成する網目の単位(単位網目)で仕切られて形成される波型形状となっている。本実施形態では、図11中のX軸方向に沿って隣り合う単位網目が、網目状電極層22と外縁部241との間の境界を形成しており、当該境界の波型形状を構成する複数の直線部分の長さは、単位網目の一辺の長さとそれぞれ略等しくなっている。
なお、網目状電極層22と外縁部241との間の境界の形状は特に上記に限定されない。例えば、当該境界の波型形状を構成する直線部分の長さが、網目状電極層22を構成する単位網目の一辺の長さの複数倍の長さと略等しくてもよい。また、当該境界の波型形状を構成する特定の直線部分の長さが、他の直線部分の長さと相互に異なっていてもよい。
本実施形態における配線体2Dでは、上記のように、第2の導体線231A、231Bが、網目状電極層22を構成する単位網目の縁から設けられているため、網目状電極層22と外縁部241との境界が波型状となり、当該境界は全体に亘って非直線状となる。これにより、網目状電極層22と外縁部241との間の境界において配線体2Dが湾曲(屈曲)し難くなり、網目状電極層22と外縁部241との間の境界に応力が集中することを抑制できるため、当該網目状電極層22と引出配線層23との間の断線抑制効果をより一層向上することができる。
また、本実施形態の配線体2Dにおいても、上述の(7)式を満たしており、第2の導体線231A、231Bの線幅は第1の導体線221A、221Bの線幅よりも大きくなっている。このため、外縁部241の形状を網目状にすることによる当該引出配線層23の電気的抵抗値の増大を抑制することができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、特に図示しないが、上述の第1実施形態で説明した幅広部222(図6参照)を、第2〜第4実施形態で説明した配線体2B〜2Dにおける第1の導体線221A、221Bの端部に設けてもよい。この場合には、配線体2B〜2Dの製造時において、導電性材料5を凹版4の凹部に充填する際(図7(A)参照)における充填不良の発生を抑制できると共に、完成した配線体2B〜2Dにおける網目状電極層22、22Bと引出配線層23、23Bとの間の接続信頼性を向上することができる。
また、例えば、第3実施形態及び第4実施形態で説明した構成を第2実施形態で説明した構成に応用してもよい。すなわち、第3実施形態及び第4実施形態において引出配線層の外縁部の形状と網目状電極層の形状との関係を、第2実施形態において引出配線層の配線部の形状と網目状電極層の形状との関係に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、配線体は、タッチセンサに用いられるとして説明したが、配線体の用途は特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒーターとして用いてもよい。また、配線体の導体部の一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。
なお、上述の実施形態から接着層25を省略し、網目状電極層22、22B及び引出配線層23、23Bを直接基板21上に設けることとしてもよい。また、上述の実施形態から基板21を省略し、接着層25として説明した樹脂層を基材として用いることとしてもよい。