以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
≪第1実施形態≫
図1は第1実施形態における配線体を備えたタッチセンサを示す平面図であり、図2は図1のII−II線に沿った断面図であり、図3は図1のIII部の拡大図であり、図4(A)は図1のIVA−IVA線に沿った断面図であり、図4(B)は図3のIVB−IVB線に沿った断面図であり、図5は本発明の第1実施形態における第1の導体線を説明するための断面図である。
本実施形態における配線体2を備えたタッチセンサ1は、例えば、静電容量方式等のタッチパネルやタッチパッドに用いられるタッチ入力装置である。図1に示すように、タッチセンサ1は配線基板10と、当該配線基板10に含まれる網目状電極層22上に樹脂層を介して設けられる第2の網目状電極層と、を備えている。図1において、樹脂層及び第2の網目状電極層は、その図示を省略している。本実施形態における配線基板10は、基板21と、配線体2と、を備えている。
基板21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等の透明なフィルムや、ガラス等から構成される絶縁性の透明基板である。また、基板21としては、表示装置やカバーパネルであってもよい。このため、配線基板10の下方にLED等のバックライトやディスプレイ(不図示)を配置した際に、当該バックライトやディスプレイの光が配線体2を透過するようになっている。
配線体2は、接着層25と、当該接着層25上に形成された複数(本例において3つ)の網目状電極層22と、当該網目状電極層22に接続された引き出し配線層23と、を備えている。
樹脂層としての接着層25は、基板21と、網目状電極層22及び引き出し配線層23と、を相互に接着して固定するための層であり、図2に示すように、基板21における一方主面の全体に設けられている。接着層25を構成する接着材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂やセラミクス等を例示することができる。この接着層25は、第1の導体線221A、221B又は第2の導体線231A、231Bを支持する支持部251と、当該支持部251と基板21の主面との間に設けられ、当該主面を覆う平状部252と、を有しており、それら支持部251及び平状部252は一体的に形成されている。
本実施形態における支持部251の断面形状は、図2に示すように、基板21から離れる方向(図2中の+Z方向)に向かって幅狭となる形状となっている。また、支持部251の上面(支持部251と第1の導体線221A、221B又は第2の導体線231A、231Bとの境界における接着面)は、断面視において、第1の導体線221A、221B又は第2の導体線231A、231Bの下面の凹凸形状に対応した凹凸状となっている。このような凹凸形状は、第1の導体線221Aの下面224の面粗さに基づいて形成されている。なお、特に図示しないが、第1の導体線221Aの延在方向に沿った断面における支持部251と当該第1の導体線221Aとの境界も、当該第1の導体線221Aの下面224の凹凸形状に対応した凹凸形状となっている。下面224の面粗さについては、後に詳細に説明する。図2においては、本実施形態における配線体2を分かり易く説明するために、支持部251と第1の導体線221Aとの境界の凹凸形状を誇張して示している。特に図示しないが、支持部と後述する第1の導体線221Bとの境界も、支持部と第1の導体線221Aとの境界と同様、当該第1の導体線221Bの下面の凹凸形状に対応した凹凸形状となっている。
平状部252は、略均一な高さ(厚さ)で基板21の一方主面全体に設けられている。この平状部252の厚さは、特に限定しないが、5μm〜100μmの範囲内で設定することができる。支持部251が平状部252上に設けられていることにより、支持部251において接着層25は突出しており、当該支持部251において第1の導体線221A、221B及び第2の導体線231A、231Bの剛性が向上している。
なお、接着層25から平状部252を省略し、支持部251のみで接着層25を構成してもよい。この場合には、配線基板10全体の光透過性が向上するため、タッチセンサ1の視認性を向上することができる。
網目状電極層22は、導電性材料(導電性粒子)と、バインダ樹脂と、から構成されている。導電性材料としては、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属材料や、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等のカーボン系材料を挙げることができる。なお、導電性材料として、金属塩を用いてもよい。金属塩としては、上述の金属の塩を挙げることができる。
この網目状電極層22に含まれる導電性粒子としては、形成する導体パターン(第1の導体線221A,221Bの幅に応じて、例えば、0.5μm〜2μmの直径φ(0.5μm≦φ≦2μm)を有する導電性粒子を用いることができる。なお、網目状電極層22における電気抵抗値を安定させる観点から、形成する導体パターンの幅の半分以下の平均直径φを有する導電性粒子を用いることが好ましい。また、導電性粒子としては、BET法により測定した比表面積が20m2/g以上の粒子を用いることが好ましい。
網目状電極層22として、一定以下の比較的小さい電気抵抗値が求められる場合、導電性材料としては金属材料を用いることが好ましいが、網目状電極層22として、一定以上の比較的大きい電気抵抗値が許容される場合、導電性材料としてはカーボン系材料を用いることができる。なお、カーボン系材料を用いると、メッシュフィルムのヘイズや全光線反射率を改善させる観点から好ましい。
また、本実施形態では、光透過性を付与するため、網目状電極層22を網目状に形成している。このため、銀、銅、ニッケルの金属材料や、上述のカーボン系材料といった導電性は優れるが不透明な導電性材料(不透明な金属材料及び不透明なカーボン系材料)を網目状電極層22の構成材料として用いることができる。
バインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を例示することができる。
このような網目状電極層22は、導電性ペーストを塗布して硬化させることで形成されている。このような導電性ペーストの具体例としては、上述の導電性材料及びバインダ樹脂を、水、もしくは溶剤、及び各種添加剤に混合して構成される導電性ペーストを例示することができる。導電性ペーストに含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。なお、網目状電極層22を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。
この網目状電極層22は、図1に示すように、平行に配置された複数の第1の導体線221Aと、平行に配置された複数の第1の導体線221Bとが略直角に互いに交差して形成されたメッシュ形状を有している。なお、網目状電極層22の網目形状は特に限定されない。例えば、正方形や長方形、菱形等の網目形状であってもよい。また、網目状電極層22の網目形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、網目の形状が、六角形(ハニカム形状)、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。
本実施形態において第1の導体線221A、221Bは、網目状電極層22の延在方向(図1中のY軸方向)に対してそれぞれ45°傾斜して配置されているが、それらが他の角度(例えば30°)でそれぞれ傾斜して配置されていてもよい。なお、第1の導体線221A、221Bが曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等に延在していてもよく、直線状の部分と曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等の部分とが混在していてもよい。
本実施形態において、網目状電極層22を構成する第1の導体線221Aと第1の導体線221Bとは互いに略等しい幅(第1の導体線221A、221Bの延在方向に対する断面視における最大幅)W1を有している。また、本実施形態における網目状電極層22の開口率(後述)は85%以上、100%未満となっている。網目状電極層22の開口率は、配線体2の下方に設置するバックライトやディスプレイ等の光透過性を向上させる観点から、90%以上、100%未満であることが好ましい。
このような第1の導体線221A,221Bの幅としては、タッチセンサ1の視認性向上の観点から、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましく、1μm〜5μmであることがさらにより好ましい。また、第1の導体線221A,221Bの高さとしては、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
図2に示すように、第1の導体線221A、221Bの側部222と接着層25における支持部251の側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。第1の導体線221A、221Bは、基板21から離れる側(図2中の+Z軸方向側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより第1の導体線221A、221Bの外面の断面形状(第1の導体線221A、221Bの延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。第1の導体線221A、221Bと接着層25の支持部251との接着面は、基板21と実質的に平行になっている。
第1の導体線221Aの形状を、図4(A)を用いて詳細に説明する。なお、第1の導体線221Bは、第1の導体線221Aと基本的な構成は同じである。したがって、第1の導体線221Bについては、繰り返しの説明を省略し、第1の導体線221Aの説明を援用する。
第1の導体線221Aは、図4(A)に示すように、当該第1の導体線221Aの幅方向の断面において、下面224と、上面223と、側部222と、を有している。下面224は、支持部251の上面と接触している。上面223は、第1の導体線221Aにおいて下面224と反対側に位置している。上面223は、基板21の主面(接着層25の平状部252の上面)に対して実質的に平行となっている。
上面223は、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、平坦部2231を含んでいる。この平坦部2231は、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、上面223に存在する直線状の部分(すなわち、曲率半径が極めて大きい部分)であり、平面度が0.5μm以下となっている。なお、平面度は、JIS法(JIS B0621(1984))により定義されている。
本実施形態では、平坦部2231の平面度は、レーザー光を用いた非接触式の測定方法を用いて求める。具体的には、帯状のレーザー光を測定対象(具体的には、上面223)に照射し、その反射光を撮像素子(たとえば、2次元CMOS)上に結像させて平面度を測定する。平面度の算出方法としては、対象の平面において、できるだけ離れた3点を通過する平面をそれぞれ設定し、それらの偏差の最大値を平面度として算出する方法(最大ふれ式平面度)を用いる。なお、平面度の測定方法や算出方法は、特に上述に限定されない。例えば、平面度の測定方法は、ダイヤルゲージ等を用いた接触式の測定方法であってもよい。また、平面度の算出方法は、対象となる平面を、平行な平面で挟んだときにできる隙間の値を平面度として算出する方法(最大傾斜式平面度)であってもよい。
本実施形態の平坦部2231は、上面223の略全体に形成されている。なお、特に上述に限定されず、平坦部2231は、上面223の一部に形成されていてもよい。この場合、例えば、平坦部が上面の両端を含まない領域に形成されていてもよい。平坦部が上面の一部に形成される場合、当該平坦部の幅は、上面の幅に対して少なくとも1/2以上となっている。
側部222は上面223と下面224との間に位置している。この側部222は、第1の部分2221で上面223と繋がり、第2の部分2222で下面224と繋がっている。本実施形態の第1の導体線221Aは、接着層25から離れる側に向かって幅狭となるテーパー形状を有していることから、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、第2の部分2222は、第1の部分2221よりも外側に位置している。本実施形態の側部222は、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、この第1及び第2の部分2221,2222を通る仮想直線(不図示)上を延在する面となっている。
なお、側部222の形状は、特に上述に限定されない。たとえば、側部222は、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、外側に向かって突出する円弧形状であってもよい。この場合、側部222は、第1及び第2の部分2221,2222を通る仮想直線よりも外側に存在する。つまり、側部222の形状としては、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、当該側部222の一部が、第1及び第2の部分2221,2222を通る仮想直線よりも内側に存在しない形状であることが好ましい。たとえば、第1の導体線の幅方向の断面において、第1の導体線の外形が、樹脂層に近づくに従い漸次的に大きくなる場合に、当該側部が内側に向かって突出する円弧形状(すなわち、第1の導体線の裾が広がっている形状)であると、配線体に入射する光が乱反射し易くなるおそれがある。
本実施形態の側部222は、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、平坦部2223を含んでいる。平坦部2223は、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、側部222に存在する直線状の部分(すなわち、曲率半径が極めて大きい部分)であり、平面度が0.5μm以下となっている。平坦部2223の平面度は、平坦部2231の平面度の測定方法と同様の方法により測定することができる。本実施形態では、側部222の略全体に平坦部2223が形成されている。なお、平坦部2223の形状は、特に上述に限定されず、側部222の一部に形成されてもよい。
側部222における光の乱反射を抑制する観点から、側部222と上面223との間の角度θ3は、90°〜170°(90°≦θ3≦170°)であることが好ましく、90°〜120°(90°≦θ3≦120°)であることがより好ましい。本実施形態では、一の第1の導体線221Aにおいて、一方の側部222と上面223との間の角度と、他方の側部222と上面223との間の角度とは、実質的に同一となっている。なお、一の第1の導体線221Aにおいて、一方の側部222と上面223との間の角度と、他方の側部222と上面223との間の角度とは、異なる角度であってもよい。
本実施形態における第1の導体線221Aにおける下面224の面粗さは、第1の導体線221Aを接着層25に強固に固定する観点から、当該第1の導体線221Aにおける上面223の面粗さよりも粗いことが好ましい。本実施形態では、上面223が平坦面2231を含んでいることから、上記第1の導体線221Aにおける面粗さの相対的関係(下面224の面粗さが上面223の面粗さに対して相対的に粗い関係)が成立している。具体的には、第1の導体線221Aの下面224の面粗さRaが0.1μm〜3μm程度であるのに対し、上面223の面粗さRaは0.001μm〜1.0μm程度となっていることが好ましい。第1の導体線221Aの下面224の面粗さRaは0.1μm〜0.5μmであることがより好ましく、上面223の面粗さRaは0.001μm〜0.3μmであることがさらにより好ましい。また、下面224の面粗さと、上面223の面粗さとの比(下面224の面粗さに対する上面223の面粗さ)は、0.01〜1未満であることが好ましく、0.1〜1未満であることがより好ましい。また、上面223の面粗さは、第1の導体線221Aの幅(最大幅)の5分の1以下であることが好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。上面223及び下面224の面粗さの測定は、第1の導体線221Aの幅方向に沿って行ってもよいし、当該第1の導体線221Aの延在方向に沿って行ってもよい。
因みに、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))に記載されるように、ここでの「面粗さRa」とは、「算術平均粗さRa」のことをいう。この「算術平均粗さRa」とは、断面曲線から長波長成分(うねり成分)を遮断して求められる粗さパラメータのことをいう。断面曲線からのうねり成分の分離は、形体を求めるのに必要な測定条件(たとえば対象物の寸法等)に基づいて行われる。
また、本実施形態では、側部222が平坦部2223を含んでいる。このため、下面224の面粗さが、側部222の面粗さに対して相対的に粗くなっている。具体的には、第1の導体線221Aの下面224の面粗さRaが0.1μm〜3μm程度であるのに対し、側部222の面粗さRaは0.001μm〜1.0μm程度となっていることが好ましい。なお、側部222の面粗さRaは0.001μm〜0.3μmであることがより好ましい。側部222の面粗さの測定は、第1の導体線221Aの幅方向に沿って行ってもよいし、当該第1の導体線221Aの延在方向に沿って行ってもよい。
本実施形態では、下面224の面粗さが上面223の面粗さ及び側部222の面粗さに対して相対的に粗いことから、当該下面224を除く他の面(すなわち、上面223及び側部222)側における配線体2の乱反射率が、当該下面224側における配線体2の乱反射率に対して相対的に小さくなっている。配線体2の視認性の向上を図る観点から、この下面224側における配線体2の乱反射率と下面224を除く他の面側における配線体2の乱反射率との比(下面224側における配線体2の乱反射率に対する当該下面224を除く他の面側における配線体2の乱反射率)は、0.1〜1未満であることが好ましく、0.3〜1未満であることがより好ましい。
上述した下面と当該下面を除く他の面との面粗さの相対的関係を有する第1の導体線の形状の一例について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、導電性粒子Mとバインダ樹脂Bとにより構成される第1の導体線221A1では、複数の導電性粒子Mがバインダ樹脂B中に分散している。この第1の導体線221A1の下面224Bでは、幅方向の断面において、導電性粒子Mの一部がバインダ樹脂Bから突出している。このため、下面224Bは凹凸形状を有している。一方、上面223B及び側部222Bでは、導電性粒子M同士の間にバインダ樹脂Bが入り込み、当該バインダ樹脂Bが導電性粒子Mを覆っている。このため、上面223Bは、平坦部2231Bを含み、側部222Bは、平坦部2223Bを含んでいる。なお、上面223B及び側部222Bにおいて、導電性粒子Mがバインダ樹脂Bにより覆われていることで、隣り合う第1の導体線221A1同士の間における電気絶縁性が向上し、マイグレーションの発生が抑制される。
図5に示す形態では、下面224Bが凹凸形状を有する一方、上面223Bが平坦部2231Bを含んでいる。このため、下面224Bの面粗さが上面223Bの面粗さに対して相対的に粗くなっている。同様に、図5に示す形態では、側部222Bが平坦部2223Bを含んでいる。このため、下面224Bの面粗さが側部222Bの面粗さに対して相対的に粗くなっている。なお、第1の導体線における上面及び下面(側部)の形態は、特に上述に限定されない。
引き出し配線層23は、図1に示すように、網目状電極層22における図中の−Y軸方向側に設けられた直線状の外縁部220から引き出されている。この引き出し配線層23は、上述した網目状電極層22と同様の材料によって一体的に形成されている。なお、この「一体的に」とは、部材同士が分離しておらず、且つ、同一材料(同一粒径の導電性粒子、バインダ樹脂等)により一体の構造体として形成されていることを意味する。網目状電極層22の外縁において、引き出し配線層23が設けられる位置は特に限定されない。また、配線体2の構成から外縁部220を省略してもよく、この場合には、引き出し配線層23と網目状電極層22とが直接接続される。
本実施形態における引き出し配線層23は、図3に示すように、平行に配置された複数の第2の導体線231Aと、平行に配置された複数の第2の導体線231Bとが略直角に互いに交差することにより形成される単位網目Uが複数集まって構成される網目部232を有している。この単位網目Uは、第2の導体線231A,231B同士の交点である端部U1を有している。本実施形態の単位網目Uは、平面視において略正方形状であるから、4つの端部U1を有する。なお、単位網目Uの形状は特に限定されない。例えば、正方形や長方形、菱形等の網目形状であってもよく、六角形(ハニカム形状)や円形の網目形状であってもよい。また、第2の導体線231A,231Bによって構成されるメッシュの網目の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、網目の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。なお、特に図示しないが、駆動回路Cと接続する際に使用する端子を引き出し配線層23の端部に設けてもよく、この場合おいて当該端子も引き出し配線層23と同様の網目形状としてもよい。
本実施形態において第2の導体線231A、231Bは、図3中のY軸方向(引き出し配線層23の延在)に対してそれぞれ45°傾斜して配置されているが、それらが他の角度(例えば30°)でそれぞれ傾斜して配置されていてもよい。なお、第2の導体線231A、231Bが曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等に延在していてもよく、直線状の部分と曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等の部分とが混在していてもよい。因みに、引き出し配線層23の延在方向と第2の導体線231Aの延在方向とのなす角度と、引き出し配線層23の延在方向と第2の導体線231Bの延在方向とのなす角度は、実質的に等しいことが好ましい。この場合、引き出し配線層23の延在方向に沿った当該引き出し配線層23の側端部に存在する端部U1(特に、外側端部U1a(後述))同士の位置を揃えることができるので、当該引き出し配線層23の幅を一定にすることができる。
このような第2の導体線231A,231Bの幅としては、引き出し配線層23の電気的抵抗値の増大を抑制しつつ、配線体2の耐久性を向上させる観点から、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。
なお、本実施形態では、図3中のX軸方向に沿って配置された4つの単位網目Uと、当該X軸方向に沿って配置された5つの単位網目Uと、が交互にY軸方向に沿って配置されているが、単位網目の配置は特にこれに限定されない。また、本実施形態では、引き出し配線層23の網目部232は、一種類の形状及び大きさの単位網目Uのみから構成されているが、特にこれに限定されない。例えば、網目部232が複数種の形状又は大きさの単位網目から構成されていてもよい。
本実施形態において網目部232の幅L(本例では、引き出し配線層23の幅に等しい)は、図3に示すように、単位網目Uの外側端部U1aにより規定されている。この外側端部U1aとは、引き出し配線層23の側端部に存在する単位網目Uの端部U1のうち最も外側に位置する端部のことをいう。すなわち、引き出し配線層23の側端部は、単位網目Uが当該引き出し配線層23の延在方向に沿って並んで配置されることにより形成されており、引き出し配線層23の側端部には単位網目Uを構成しない第2の導体線231A、231Bが外側に向かって突き出した状態とはなっていない。さらに換言すると、引き出し配線層23の側端部は、外側端部U1aにつながる第2の導体線231A,231Bにより閉じられている。この外側端部U1aにつながる第2の導体線231A,231Bの少なくとも一つは、引き出し配線層23の延在方向に対して傾斜して配置されている。本実施形態では、外側端部U1aに一つの第2の導体線231Aと、一つの第2の導体線231Bとがつながっており、いずれの導体線231A,231Bも引き出し配線層23の延在方向に対して傾斜して配置されている。このため、引き出し配線層23の側端部は、第2の導体線231A、231Bによって構成される波形状となっている。
図2に示すように、第2の導体線231A、231Bの側部230と接着層25における支持部251の側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。第2の導体線231A、231Bは、基板21から離れる側(図2中の+Z軸方向側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより第2の導体線231A、231Bの外面の断面形状(第2の導体線231A、231Bの延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。
第2の導体線231Aの形状を、図4(B)を用いて詳細に説明する。なお、第2の導体線231Bは、第2の導体線231Aと基本的な構成は同じである。したがって、第2の導体線231Bについては、繰り返しの説明を省略し、第2の導体線231Aの説明を援用する。
第2の導体線231Aは、図4(B)に示すように、当該第2の導体線231Aの幅方向の断面において、下面236と、上面235と、側部230と、を有している。下面236は、支持部251の上面と接触している。上面235は、第2の導体線231Aにおいて下面236と反対側に位置している。上面235は、基板21の主面(接着層25の平状部252の上面)に対して実質的に平行となっている。
上面235は、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、平坦部2351を含んでいる。この平坦部2351は、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、上面235に存在する直線状の部分(すなわち、曲率半径が極めて大きい部分)であり、平面度が0.5μm以下となっている。平坦部2351の平面度は、平坦部2231の平面度の測定方法と同様の方法により測定することができる。
本実施形態の平坦部2351は、上面235の略全体に形成されている。なお、特に上述に限定されず、平坦部2351は、上面235の一部に形成されていてもよい。この場合、例えば、平坦部が上面の両端を含まない領域に形成されていてもよい。平坦部が上面の一部に形成される場合、当該平坦部の幅は、上面の幅に対して少なくとも1/2以上となっている。
側部230は上面235と下面236との間に位置している。この側部230は、第1の部分2301で上面235と繋がり、第2の部分2302で下面236と繋がっている。本実施形態の第2の導体線231Aは、基板21から離れる側に向かって幅狭となるテーパー形状を有していることから、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、第2の部分2302は、第1の部分2301よりも外側に位置している。本実施形態の側部230は、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、この第1及び第2の部分2301,2302を通る仮想直線(不図示)上を延在する面となっている。
なお、側部230の形状は、特に上述に限定されない。たとえば、側部230は、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、外側に向かって突出する円弧形状であってもよい。この場合、側部230は、第1及び第2の部分2301,2302を通る仮想直線よりも外側に存在する。つまり、側部230の形状としては、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、当該側部230の一部が、第1及び第2の部分2301,2302を通る仮想直線よりも内側に存在しない形状であることが好ましい。たとえば、第2の導体線の幅方向の断面において、第2の導体線の外形が、樹脂層に近づくに従い漸次的に大きくなる場合に、当該側部が内側に向かって突出する円弧形状(すなわち、第2の導体線の裾が広がっている形状)でないことが好ましい。
本実施形態の側部230は、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、平坦部2303を含んでいる。平坦部2303は、第2の導体線231Aの幅方向の断面において、側部230に存在する直線状の部分(すなわち、曲率半径が極めて大きい部分)であり、平面度が0.5μm以下となっている。平坦部2303の平面度は、平坦部2231の平面度の測定方法と同様の方法により測定することができる。本実施形態では、側部230の略全体に平坦部2303が形成されている。なお、平坦部2303の形状は、特に上述に限定されず、側部230の一部に形成されてもよい。
側部230と上面235との間の角度θ4は、90°〜170°(90°≦θ4≦170°)であることが好ましく、90°〜120°(90°≦θ4≦120°)であることがより好ましい。本実施形態では、一の第2の導体線231Aにおいて、一方の側部230と上面235との間の角度と、他方の側部230と上面235との間の角度とは、実質的に同一となっている。なお、一の第2の導体線231Aにおいて、一方の側部230と上面235との間の角度と、他方の側部230と上面235との間の角度とは、異なる角度であってもよい。
本実施形態における第2の導体線231Aにおける下面236の面粗さは、第2の導体線231Aを接着層25に強固に固定する観点から、当該第2の導体線231Aにおける上面235の面粗さよりも粗いことが好ましい。本実施形態では、上面235が平坦面2351を含んでいることから、上記第2の導体線231Aにおける面粗さの相対的関係(下面236の面粗さが上面235の面粗さに対して相対的に粗い関係)が成立している。具体的には、第2の導体線231Aの下面236の面粗さRaが0.1μm〜3μm程度であるのに対し、上面235の面粗さRaは0.001μm〜1.0μm程度となっていることが好ましい。第2の導体線231Aの下面236の面粗さRaは0.1μm〜0.5μmであることがより好ましく、上面235の面粗さRaは0.001μm〜0.3μmであることがさらにより好ましい。また、下面236の面粗さと、上面235の面粗さとの比(下面236の面粗さに対する上面235の面粗さ)は、0.01〜1未満であることが好ましく、0.1〜1未満であることがより好ましい。また、上面235の面粗さは、第2の導体線231Aの幅(最大幅)の5分の1以下であることが好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。上面235及び下面236の面粗さの測定は、第2の導体線231Aの幅方向に沿って行ってもよいし、当該第2の導体線231Aの延在方向に沿って行ってもよい。
また、本実施形態では、側部230が平坦部2303を含んでいる。このため、下面236の面粗さが、側部230の面粗さに対して相対的に粗くなっている。具体的には、第2の導体線231Aの下面236の面粗さRaが0.1μm〜3μm程度であるのに対し、側部230の面粗さRaは0.001μm〜1.0μm程度となっていることが好ましい。なお、側部230の面粗さRaは0.001μm〜0.3μmであることがより好ましい。側部230の面粗さの測定は、第2の導体線231Aの幅方向に沿って行ってもよいし、当該第2の導体線231Aの延在方向に沿って行ってもよい。
上述した下面と当該下面を除く他の面との面粗さの相対的関係を有する第2の導体線の形状の一例としては、図5に示す第1の導体線221A1と同様の形状を挙げることができる。つまり、第2の導体線の下面では、当該第2の導体線の幅方向の断面において、導電性粒子の一部がバインダ樹脂から突出している。一方、第2の導体線の上面及び側部では、当該第2の導体線の幅方向の断面において、導電性粒子同士の間にバインダ樹脂が入り込み、当該バインダ樹脂が導電性粒子を覆っている。この場合、下面は凹凸形状を有し、上面は平坦部を含んでいる。このため、第2の導体線の下面の面粗さが、当該第2の導体線の上面の面粗さに対して相対的に粗くなっている。また、本例では、第2の導体線の側部も平坦部を含んでいる。このため、第2の導体線の下面の面粗さが、当該第2の導体線の側部の面粗さに対して相対的に粗くなっている。なお、第2の導体線の下面及び上面(側部)の形態は、特に上述に限定されない。
第2の導体線231A、231Bと接着層25の支持部251との接着面(たとえば、第2の導体線231Aの下面236)は、基板21から離れる側(図2中の+Z軸方向側)に向かって僅かに湾曲している。なお、この接着面の湾曲率は、第1の導体線221A、221Bと支持部251との接着面の湾曲率よりも大きくなっている。因みに、第1の導体線221A、221Bと支持部251との接着面及び第2の導体線231A、231Bと支持部251との接着面は、図2に示されるように当該導体線に含まれる導電性粒子等の影響により僅かに凹凸形状が形成されている。
なお、第2の導体線231A、231Bの外面の断面形状は、特にこれに限定されない。例えば、第2の導体線231A、231Bの断面形状が正方形状、長方形状、三角形状等であってもよい。
本実施形態では、図3に示すように、引き出し配線層23を構成する第2の導体線231Aと第2の導体線231Bとは互いに略等しい幅(第2の導体線231A、231Bの延在方向に対する断面視における最大幅)W2を有している。本実施形態では、第1の導体線221A、221Bの幅W1と第2の導体線231A、231Bの幅W2とは、下記(4)式の関係を満たしている。
W1≦W2・・・(4)
上記(4)式は必ずしも満たされていなくてもよいが、引き出し配線層23の電気的抵抗値の増大を抑制する観点から、上記(4)式が満たされていることが好ましい。第2の導体線231A、231Bの幅W2は、断線箇所を削減する観点から第1の導体線221A、221Bの幅W1の4倍以下(W2≦4×W1)であることがより好ましい。
また、本実施形態における配線体2では、下記(5)式を満たしている。
P1>P2・・・(5)
ただし、上記(5)式において、P1は、網目状電極層22において隣り合う第1の導体線221A同士の間のピッチ(中心間の距離)、及び隣り合う第1の導体線221B同士の間のピッチであり(図1参照)、P2は、引き出し配線層23において隣り合う第2の導体線231A同士の間のピッチ(中心間の距離)、及び隣り合う第2の導体線231B同士の間のピッチ(中心間の距離)である(図3参照)。上記(5)式は必ずしも満たされていなくてもよいが、引き出し配線層23の電気的抵抗値の増大を抑制する観点から、上記(5)式が満たされていることが好ましい。
本実施形態では、図3に示すように、第2の導体線231Aと第2の導体線231Bとは直交している。このため、本実施形態における単位網目Uのアスペクト比(引き出し配線層23の延在方向に対する幅方向に沿った単位網目Uの長さD1に対する、引き出し配線層23の延在方向に沿った単位網目Uの長さD2の比(D2/D1))は、1となっている。このアスペクト比は、1より大きいことが好ましい。
本実施形態において、引き出し配線層23の開口率は50%以下となっている。この引き出し配線層23の開口率は、網目状電極層22と引き出し配線層23との剛性の差を縮小する観点や、引き出し配線層23における電気抵抗値の増大抑制効果を向上する観点から10%以上、50%以下であることが好ましい。
なお、この「開口率」とは、下記(6)式で表される比率を言う(図6参照)。
(開口率)=b×b/(a×a)・・・(6)
但し、上記(6)式において、aは任意の導体線20と、当該導体線20と隣り合う他の導体線20との間のピッチ(中心線CL間の距離)であり、bは任意の導体線20と、当該導体線20と隣り合う他の導体線20との間の距離を表す。
以上のような構成を有する配線体2は、図1に示すように、引き出し配線層23を介して駆動回路Cに接続されている。本実施形態では、3つの網目状電極層22から引き出し配線層23がそれぞれ取り出されている。
この際、隣り合う引き出し配線層23において、当該引き出し配線層23の幅が極大となる極大部233は、図3に示すように、当該引き出し配線層23の延在方向に沿って相互に距離Sずれて配置されている。すなわち、引き出し配線層23は、その側端部に位置する単位網目Uの端部U1(第2の導体線231Aと第2の導体線231Bとの交点)において、当該引き出し配線層23の延在方向に沿った幅が極大となる極大部233を有している。そして、隣り合う引き出し配線層23において、当該極大部233は引き出し配線層23の延在方向に沿って相互に距離Sずれている。この距離S1は、引き出し配線層23の延在方向に沿った単位網目Uの長さD2よりも小さく(S1<D2)、これにより引き出し配線層同士が相互に対向する方向(図3中のX軸方向)に沿って極大部233同士は互いに対向しないように配置されている。
なお、本実施形態では、図3中のX軸方向に沿って配置された4つの単位網目Uと、当該X軸方向に沿って配置された5つの単位網目Uと、が交互にY軸方向に沿って配置されている。このため、極大部233はY軸方向に沿って距離D2置きに周期的に形成されている。
また、本実施形態では、図3に示すように、引き出し配線層23の側端部は、平面視において、引き出し配線層23の外側に向かって突出した凸部241と、平面視において引き出し配線層23の内側に向かって凹んだ凹部242と、を含んで構成されている。凸部241は、外側端部U1a及び当該外側端部U1aにつながる第2の導体線231A,231Bを含んで構成されている。凹部242は、引き出し配線層23の延在方向に沿って凸部241と交互に配置されている。本実施形態では、隣り合う引き出し配線層23,23において、一方の引き出し配線層23(例えば、+X軸方向側の引き出し配線層)の−X軸方向側の側端部に対向する他方の引き出し配線層23(−X軸方向側の引き出し配線層)の+X軸方向側の側端部を構成する凸部241と、当該他方の引き出し配線層23の+X軸方向側の側端部に対向する一方の引き出し配線層23の−X軸方向側の側端部を構成する凸部241とは、当該引き出し配線層23,23の延在方向に沿って相互にずれている。
また、本実施形態では、隣り合う引き出し配線層23,23において、一方の引き出し配線層23(例えば、+X軸方向側の引き出し配線層)の−X軸方向側の側端部に対向する他方の引き出し配線層23(−X軸方向側の引き出し配線層)の+X軸方向側の側端部を構成する凸部241と、当該他方の引き出し配線層23の+X軸方向側の側端部に対向する一方の引き出し配線層23の−X軸方向側の側端部を構成する凹部242とは、当該引き出し配線層23,23の延在方向に直交する方向において相互に対向している。また、隣り合う引き出し配線層23,23において、一方の引き出し配線層23(例えば、+X軸方向側の引き出し配線層)の−X軸方向側の側端部に対向する他方の引き出し配線層23(−X軸方向側の引き出し配線層)の+X軸方向側の側端部を構成する凹部242と、当該他方の引き出し配線層23の+X軸方向側の側端部に対向する一方の引き出し配線層23の−X軸方向側の側端部を構成する凸部241とは、当該引き出し配線層23,23の延在方向に直交する方向において相互に対向している。
本実施形態におけるタッチセンサ1では、網目状電極層22の延在する方向が交差するように配置される第2の網目状電極層(不図示)を、網目状電極層22との絶縁を確保するための樹脂層を介して配線基板10上に設ける。そして、網目状電極層22及び第2の網目状電極層を、駆動回路Cにそれぞれ接続する。この駆動回路Cは、網目状電極層22と第2の網目状電極層との間に所定電圧を周期的に印加し、2つの網目状電極層の交点毎の静電容量の変化に基づいてタッチセンサ1における操作者の指の接触位置を判別する。なお、網目状電極層22の延在方向が互いに直交するように2枚の配線基板10を重ねることによりタッチセンサを構成してもよい。
次に、本実施形態における配線基板10の製造方法について説明する。図7(A)〜図7(E)は、本発明の実施形態における配線基板10の製造方法を示す断面図(簡略図)である。
まず、図7(A)に示すように、網目状電極層22の形状に対応する形状の第1の凹部41及び引き出し配線層23の形状に対応する形状の第2の凹部42が形成された凹版4を準備する。
凹版4を構成する材料としては、ニッケル、シリコン、二酸化珪素などガラス類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。第1の凹部41の幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましく、1μm〜5μmであることがさらにより好ましい。また、第1の凹部41の深さは、100nm〜100μmであることが好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましく、1μm〜5μmであることがさらにより好ましい。一方、第2の凹部42の幅は、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。また、第2の凹部42の深さは、1μm〜500μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜30μmであることがさらにより好ましい。本実施形態において第1及び第2の凹部41、42の断面形状は、底部に向かうにつれて幅狭となるテーパー形状が形成されている。
なお、第1及び第2の凹部41、42の表面には、離型性を向上するために、黒鉛系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料等からなる離型層(不図示)を予め形成することが好ましい。
上記の凹版4の第1及び第2の凹部41、42に対し、導電性材料5を充填する。このような導電性材料5としては、上述した導電性ペーストを用いる。
導電性材料5を凹版4の第1及び第2の凹部41、42に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に第1及び第2の凹部41、42以外に塗工された導電性材料をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
次に、図7(B)に示すように、凹版4の第1及び第2の凹部41、42に充填された導電性材料5を加熱することにより網目状電極層22及び引き出し配線層23を形成する。導電性材料5の加熱条件は、導電性材料の組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料5が体積収縮し、当該導電性材料5のうち引き出し配線層23の表面51には湾曲形状が形成される。また、当該導電性材料5の表面51には、僅かに凹凸形状が形成されている。この際、導電性材料5の上面を除く外面は、第1及び第2の凹部41、42に沿った形状に形成される。
なお、導電性材料5の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザー光等のエネルギー線を照射しても良いし、乾燥のみでもよい。また、これらの2種以上の処理方法を組合せても良い。表面51の凹凸形状や湾曲形状の存在により、網目状電極層22及び引き出し配線層23と接着層25との接触面積が増大し、網目状電極層22及び引き出し配線層23をより強固に接着層25に固定することができる。
続いて、図7(C)に示すように、接着層25を形成するための接着材料6が基板21上に略均一に塗布されたものを用意する。このような接着材料6としては、上述した接着層25を構成する材料を用いる。接着材料6を基板21上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
次いで、図7(D)に示すように、当該接着材料6が凹版4の第1及び第2の凹部41、42に入り込むよう基板21及び接着材料6を凹版4上に配置して基板21を凹版4に押し付け、接着材料6を硬化させる。接着材料6を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。これにより、接着層25が形成されると共に、当該接着層25を介して基板21と網目状電極層22及び引き出し配線層23とが相互に接着され固定される。
なお、接着層25の形成方法は特に上記に限定されない。例えば、網目状電極層22及び引き出し配線層23が形成された凹版4(図7(B)に示す状態の凹版4)上に接着材料6を塗布し、当該接着材料6上に基板21を配置した後に、当該基板21を凹版4に配置して押し付けた状態で接着材料6を硬化させることにより接着層25を形成してもよい。なお、接着材料6として、熱可塑性材料を用いた場合には、熱等を加え溶融した後、冷却することにより、接着層25を形成することができる。
続いて、図7(E)に示すように、基板21、接着層25、網目状電極層22及び引き出し配線層23を凹版4から離型させ、配線体2を備えた配線基板10を得ることができる。
次に、本実施形態における配線体を備えた配線基板の作用について説明する。図8は、比較例における引き出し配線層を示す平面図である。
配線基板の透明性を確保するために電極層を網目状に形成した場合において、当該電極層に接続される引き出し配線層を線状のベタパターンとすると、電極層と引き出し配線層との剛性の差が大きいため、当該電極層と引き出し配線層との間の境界に応力が集中し、電極層と引き出し配線層とが断線してしまう場合がある。このような断線は、引き出し配線層を網目状にして電極層と引き出し配線層との剛性の差を縮めることにより防ぐことは可能ではあるが、単に引き出し配線層を網目状にすると、当該引き出し配線層の電気的抵抗値が増大する場合がある。
すなわち、単に引き出し配線層を網目状にした場合には、図8に示すように、当該引き出し配線層23Eの側端部において、単位網目を構成しない導体線231Eが外側に向かって突き出した状態で配置されることとなる。この場合には、導体線231Eは閉じられていないため、当該導体線231Eは引き出し配線層23の導通に実質的に寄与せず、引き出し配線層23Eにおいて実質的に導通が図られる部分は、引き出し配線層23Eの網目部232の幅L´よりも小さい幅F(F<L´)となる。このため、引き出し配線層23Eでは、実際の網目部232の幅L´から想定される電気的抵抗値よりも大きい電気的抵抗値を有することとなる。
これに対し、本実施形態における配線体2では、網目部232の幅が単位網目Uの端部により規定されている。これにより、引き出し配線層23の側端部は、第2の導体線231A、231Bによって閉じられて形成された波形状となり、引き出し配線層23の網目部232の全幅L内に存在する第2の導体線231A、231Bの全域に亘って当該引き出し配線層23の導通が図られる。このため、本実施形態では、網目状電極層22と引き出し配線層23との断線を防ぎつつ、当該引き出し配線層23の電気的抵抗値の増大を抑制することができると共に、タッチセンサ1の検出感度の向上を図ることができる。この効果は、網目部232の幅Lが小さくなるほど、当該幅Lに占める単位網目Uの幅の割合が増大するためより顕著となる。
また、一般に、配線の側部に突出部分がある場合には、当該突出部分において電界集中が起こり易くなるため、隣り合う配線との間でマイグレーションを引き起こす恐れが高まる。すなわち、図8に示すような引き出し配線層23Eにおいては、当該引き出し配線層23層Eの側端部に導体線231Eが突き出しているため、隣り合う引き出し配線層との間でマイグレーションを引き起こす恐れが高まる場合がある。
これに対し、本実施形態における配線体2では、引き出し配線層23の側端部において第2の導体線231A、231Bは閉じられており、このため、隣り合う引き出し配線層23との間でマイグレーションを引き起こす恐れを軽減することができる。この効果は、図3に示すように、隣り合う引き出し配線層23同士の間で、当該引き出し配線層23の幅の極大部233が引き出し配線層23の延在方向に沿って相互にずれている場合(隣り合う引き出し配線層23,23同士の間で、対向する側端部の凸部241,241同士が相互にずれている場合)においてより向上する。また、この効果は、隣り合う引き出し配線層23,23の相互に対向する側端部同士において、一方の側端部を構成する凸部241及び凹部242と、他方の側端部を構成する凹部242及び凸部241とが、当該引き出し配線層23,23の延在方向に直交する方向において相互に対向している場合においてより向上する。さらに、単位網目Uのアスペクト比(引き出し配線層23の延在方向に対する幅方向に沿った単位網目Uの長さD1に対する、引き出し配線層23の延在方向に沿った単位網目Uの長さD2の比(D2/D1))が1より大きい場合において、極大部233(凸部241)が鋭角形状ではなくなるため上記効果をより向上することができる。
また、網目部を構成するに際し、導体線を引き出し配線層の延在方向に対して直交且つ平行な方向に延在するように配置する場合がある。この場合、引き出し配線層の延在方向に対して平行な方向に延在する導体線のみを通る導通経路に対して、引き出し配線層の延在方向に対して垂直な方向に延在する導体線を通る導通経路が極端に長くなる。このため、比較的電気的抵抗が低い導体線(引き出し配線層の延在方向に対して平行な方向に延在する導体線)に電流が優先して流れてしまい、比較的電気的抵抗が高い導体線(引き出し配線層の延在方向に対して垂直な方向に延在する導体線)が引き出し配線層の導通に十分に寄与できない。このため、想定よりも引き出し配線層の電気的抵抗が大きくなるおそれがある。これに対し、本実施形態では、第2の導体線231A,231Bを引き出し配線層23の延在方向に対して傾斜させて配置している。この結果、網目部232を構成する複数の第2の導体線231A,231B間において電気的抵抗値に差異が生じるのを抑えることができる。これにより、網目部232の全域に亘って当該引き出し配線層23の導通が図られ、当該引き出し配線層23の電気的抵抗をより確実に低減することができる。
また、引き出し配線層23が網目状であることにより、配線基板10の製造時において、例えばドクターブレードを用いて凹版4に導電性材料5を充填する際の充填不良の発生を抑制することができる(図7(A)参照)。すなわち、引き出し配線層が線状のベタパターンである場合には、導電性材料5の充填時において、当該引き出し配線層に対応する凹版4の凹部の底にドクターブレードの先端部が接近又は接触することにより、導電性材料5の充填不良が発生する場合がある。この点、本実施形態では引き出し配線層23が網目状であるため、凹版4の第2の凹部42の底にドクターブレードの先端部が接近又は接触する恐れを軽減し、導電性材料5の充填不良の発生を抑制することができる。これに伴い、完成したタッチセンサ1における引き出し配線層23の導通不良の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の配線体2では、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、第1の導体線221Aの下面224と当該下面224以外の他の面(上面223及び側部222を含む面)との面粗さ(すなわち、うねり成分を遮断した粗さパラメータ)の相対的関係にも着目しており、当該下面224の面粗さRaを他の面の面粗さRaに対して相対的に粗くしている。このため、接着層25と第1の導体線221Aとを強固に接着しつつ、外部から入射する光の乱反射を抑制することができる。特に、第1の導体線221Aの幅が1μm〜5μmの場合に、下面224と他の面との面粗さの相対的関係が上述の関係を満たすことで、接着層25と第1の導体線221Aとを強固に接着しつつ、外部から入射する光の乱反射を抑制することができるという効果を顕著に奏することができる。
また、本実施形態では、側部222は、第1及び第2の部分2221,2222を通る仮想直線と実質的に一致するように延在している。この場合、第1の導体線221Aの幅方向の断面において、側部の一部が、第1及び第2の部分を通る仮想直線よりも内側に存在しない形状となっていないため、配線体2の外部から入射する光の乱反射が抑えられる。これにより、配線体2の視認性をさらに向上することができる。
また、本実施形態では、下面224の面粗さRaを下面224以外の他の面(上面223及び側部222を含む面)の面粗さRaに対して相対的に粗くしていることで、当該他の面側における配線体2の乱反射率が、下面224側における配線体2の乱反射率に対して相対的に小さくなっている。ここで、配線体2の乱反射率が小さいと、第1の導体線221Aが白く映るのを抑え、当該第1の導体線221Aを視認できる領域においてコントラストの低下を抑制することできる。このように、本実施形態の配線体2の視認性のさらなる向上を図ることができる。
なお、第1の導体線221Bや、第2の導体線231A,231Bは、基本的な構成は第1の導体線221Aと同じである。このため、第1の導体線221Bや、第2の導体線231A,231Bを配線体2が備えることで、上述の作用・効果をさらに奏することができる。
以下に、第1実施形態で説明した配線基板10(配線体2)の変形例について説明する。図9(A)及び図9(B)は本発明の第1実施形態における引き出し配線層の第1変形例及び第2変形例をそれぞれ示す平面図であり、図10は本発明の第1実施形態における引き出し配線層の第3変形例を示す平面図である。
例えば、図9(A)に示すように、引き出し配線層23Bが網目部232に加えて側辺部234を有していてもよい。この側辺部234は、引き出し配線層23Bの側端部に配置された単位網目U(具体的には、外側端部U1a)同士を連結している。この側辺部234は網目部232と同様の材料及び方法により構成されており、当該側辺部234と網目部232とは一体的に形成されている。図9(A)の例では、側辺部234は直線状となっているが、特にこれに限定されず、図9(B)に示すように、側辺部234Bが曲線状であってもよく、この場合には側辺部234Bが網目部232よりも外側に配置されないようにすることが好ましい。なお、配線基板10の製造時における導電性材料5の充填性の観点から、側辺部234Bが曲線状(波状)であることが好ましい。
また、側辺部234Bの幅は、製造時における導電性材料5の凹版4への充填性の観点から、第2の導体線231A、231Bの幅よりも小さいことが好ましい。図9(A)及び図9(B)の例では、引き出し配線層23Bの両側端部に側辺部234、234Bがそれぞれ設けられているが、引き出し配線層23Bの側端部の一方のみに当該側辺部234、234Bが設けられていてもよい。
これらの場合においては、引き出し配線層23Bの側端部に存在する単位網目Uの外側端部U1a(すなわち、上述した実施形態における極大部233に相当する部分)同士の導通が側辺部234、234Bにより図られるため、引き出し配線層23Bの電気的抵抗値の増大をより一層抑制することができる。また、側辺部234、234Bにより、引き出し配線層23Bの側部の形状がなだらかとなるため、隣り合う引き出し配線層23Bとの間におけるマイグレーションの発生をより一層抑制することができる。
また、例えば、引き出し配線層を図10に示すような形態としてもよい。図10に示す例では、引き出し配線層23Cの第2の導体線231Aが図8中のY軸方向(引き出し配線層23Cの延在方向)に対して角度θ1傾斜して配置されていると共に、第2の導体線231Bが図10中のY軸方向に対して角度θ2傾斜して配置されている。この際、角度θ1、θ2が何れも45°よりも小さいことにより(θ1<45°、θ2<45°)、単位網目Uのアスペクト比(引き出し配線層23Cの延在方向に対する幅方向に沿った単位網目Uの長さD1に対する、引き出し配線層23Cの延在方向に沿った単位網目Uの長さD2の比(D2/D1))は、網目状電極層22を構成する網目のアスペクト比(網目状電極層22の延在方向に対する幅方向に沿った網目の長さD3に対する、網目状電極層22の延在方向に沿った網目の長さD4の比(D4/D3(図1参照)))よりも大きくなっている。
すなわち、この例では、引き出し配線層23Cの単位網目Uの形状は、当該引き出し配線層23Cの延在方向に沿って引き伸ばされた形状となっている。上記の角度θ1、θ2は、10°以上であることが好ましく、単位網目Uのアスペクト比(D2/D1)は1より大きく、5以下(1<(D2/D1)≦5)であることが好ましい。
この場合には、引き出し配線層23Cの延在方向に沿った所定距離の間に含まれる第2の導体線231A、231Bの総距離を短くすることができるため、引き出し配線層23Cの電気的抵抗値の増大をさらにより一層抑制することができる。
以下に、本発明をさらに具体化した実施例により本発明の効果を確認した。以下の実施例は、上述した第1実施形態における引き出し配線層の電気的抵抗値の増大抑制効果を確認するためのものである。
<実施例1>
実施例1では、図1に示すような配線基板10を作製した。この際、網目状電極層22を構成する第1の導体線221A、221Bの線幅W1を2μmとして固定し、引き出し配線層23を構成する第2の導体線231A、231Bの線幅W2を3μmとすることにより、第1の導体線221A、221Bの線幅W1に対する第2の導体線231A、231Bの線幅W2の比(W2/W1)を1.5とした。第1の導体線221A、221B及び第2の導体線231A、231Bの高さ(厚さ)は、3μmとした。基板21としてはPETフィルムを用い、導電性材料5としては熱硬化型の銀(Ag)ペーストを用いた。凹版4の第1及び第2の凹部41、42に対する導電性材料5の充填は、ブレードコート法による塗工の後に第1及び第2の凹部41、42以外に塗工された導電性材料を掻き取ることにより行った。
本例では、作製した配線基板10について、網目状電極層22と引き出し配線層23の端部との間の電気抵抗値を測定及び外観を確認した。測定した電気的抵抗値が設計値の±10%未満かつ引き出し配線層の外観も良好である場合には「〇」(良)として判定し、測定した電気的抵抗値が設計値の±10%未満であるが、引き出し配線層の外観に断線箇所が散見される場合には「△」(可)として判定した。
<実施例2>
実施例2では、第2の導体線231A、231Bの線幅W2を5μmとすることにより、第1の導体線221A、221Bの線幅W1に対する第2の導体線231A、231Bの線幅W2の比(W2/W1)を2.5としたこと以外は、実施例1と同様の要領で試験サンプルを作製した。
<実施例3>
実施例3では、第2の導体線231A、231Bの線幅W2を7μmとすることにより、第1の導体線221A、221Bの線幅W1に対する第2の導体線231A、231Bの線幅W2の比(W2/W1)を3.5としたこと以外は、実施例1と同様の要領で試験サンプルを作製した。
<実施例4>
実施例4では、第2の導体線231A、231Bの線幅W2を8μmとすることにより、第1の導体線221A、221Bの線幅W1に対する第2の導体線231A、231Bの線幅W2の比(W2/W1)を4としたこと以外は、実施例1と同様の要領で試験サンプルを作製した。
<実施例5>
実施例5では、第2の導体線231A、231Bの線幅W2を10μmとすることにより、第1の導体線221A、221Bの線幅W1に対する第2の導体線231A、231Bの線幅W2の比(W2/W1)を5としたこと以外は、実施例1と同様の要領で試験サンプルを作製した。
以上の実施例1〜5について、引き出し配線層23の電気的抵抗値の増大抑制効果を確認した結果を下記の表1に示す。
以上の結果から、実施例1〜5の全てについて電気的抵抗値の増大抑制効果が認められると共に、実施例1〜4について引き出し配線層の形成外観が特に優れることが認められた。これは、第1の導体線221A、221Bの線幅W1に対する第2の導体線231A、231Bの線幅W2の比(W2/W1)が4以下である場合には、配線基板10の作製時において、導電性材料5を凹版4の第2の凹部42に充分する際の充填ムラが生じ難くなることに起因すると考えられる。
≪第2実施形態≫
図11は本発明の第2実施形態におけるタッチセンサを示す斜視図であり、図12は本発明の第2実施形態における配線基板を示す平面図であり、図13(A)は図12のXIIIA−XIIIA線に沿った断面図であり、図13(B)は図12のXIIIB−XIIIB線に沿った断面図であり、図14は図12のXIV部の拡大平面図であり、図15は、図12のXVI部の拡大平面図である。
本実施形態の配線体11を備えるタッチセンサ7は、たとえば、静電容量方式等のタッチパネルやタッチパッドに用いられるタッチ入力装置である。図11及び図12に示すように、タッチセンサ7は、基材9及び配線体11を備える配線基板8と、当該配線基板8(配線体11)上に樹脂層15を介して積層された網目状電極層16及び引き出し配線層17と、を備えている。
配線体11が備える網目状電極層13は、Y方向にそれぞれ延在する複数(本実施形態では、3つ)の検出電極であり、網目状電極層16は、網目状電極層13に対向して配置され、X方向にそれぞれ延在する複数(本実施形態では、4つ)の検出電極である。このタッチセンサ7では、網目状電極層13が引き出し配線層14を介して外部回路と接続されると共に、網目状電極層16が引き出し配線層17を介して外部回路と接続される。そして、網目状電極層13,16間に所定電圧を周期的に印加し、2つの網目状電極層13,16の交点毎の静電容量の変化に基づいて、タッチセンサ7における操作者の操作位置(接触位置)を判別する。
なお、本実施形態では、樹脂層15は、接着層12と同様の構成を有しており、網目状電極層16は、網目状電極層13と同様の構成を有しており、引き出し配線層17は、引き出し配線層14と同様の構成を有している。したがって、本明細書において、以下の説明では、樹脂層15、網目状電極層16、及び、引き出し配線層17の詳細の説明を省略する。本実施形態における「配線基板8」が本発明における「配線基板」及び「タッチセンサ」の一例に相当する。
基材9としては、第1実施形態で説明した基板21を用いることができる。本実施形態における「基材9」が本発明における「支持体」の一例に相当する。
配線体11は、基材9の主面91上に形成されており、当該基材9により支持されている。この配線体11は、接着層12と、網目状電極層13と、引き出し配線層14と、を備えている。本実施形態における「配線体11」が本発明における「配線体」の一例に相当する。
本実施形態における樹脂層としての接着層12は、基材9と網目状電極層13とを相互に接着して固定する部材である。同様に、接着層12は、基材9と引き出し配線層14も相互に接着して固定する。このような接着層12を構成する材料としては、第1実施形態で説明した接着層25を構成する材料を用いることができる。本実施形態における接着層12は、図13(A)及び図13(B)に示すように、基材9の主面91上に略一定の厚さで設けられた平坦部121と、当該平坦部121上に形成された支持部122と、から構成されている。
平坦部121は、基材9の主面91を覆うように一様に設けられており、当該平坦部121の主面1211は、基材9の主面91と略平行な面となっている。支持部122は、平坦部121と網目状電極層13との間、及び、平坦部121と引き出し配線層14との間に形成されており、基材9から離れる方向(図12中の+Z方向)に向かって突出するように形成されている。このため、支持部122が設けられている部分における接着層12の厚さ(高さ)は、平坦部121における接着層12の厚さ(高さ)よりも大きくなっている。
この接着層12は、支持部122の上面である接触面1222において、網目状電極層13(具体的には、接触面131(後述))や引き出し配線層14(具体的には、接触面141(後述))と接している。この支持部122は、短手方向断面視において、基材9から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた2つの側面1221,1221を有している。
なお、本実施形態の接着層12の平坦部121及び支持部122は、第1実施形態で説明した接着層25の平状部252及び支持部251と基本的な構成は同じである。したがって、支持部251を支持部122に、平状部252を平坦部121に、それぞれ読み替えて、繰り返しの説明を省略し、第1実施形態でした説明を援用する。
網目状電極層13は、図12に示すように、Y方向に延在するタッチセンサ7の検出電極であり、接着層12の支持部122上に積層され、+Z方向に向かって突出するように形成されている(図13(A)参照)。本実施形態における「網目状電極層13」が本発明における「網目状電極層」の一例に相当する。
この網目状電極層13は、導電性粉末とバインダ樹脂とから構成されている。このような導電性粉末としては、第1実施形態で説明した網目状電極層22を構成する導電性材料を用いることができる。また、バインダ樹脂としては、第1実施形態で説明した網目状電極層22を構成するバインダ樹脂を用いることができる。網目状電極層13では、バインダ樹脂中に導電性粉末が略均一に分散して存在しており、この導電性粉末同士が相互に接触することで、当該網目状電極層13に導電性が付与されている。このような網目状電極層13は、導電性ペーストを塗布して硬化させることで形成されている。このような導電性ペーストとしては、上述の導電性ペーストを用いることができる。
本実施形態の網目状電極層13は、図12に示すように、導電性を有する複数の第4の導体線134a,134bを交差させて構成されており、その全体として、四角形状とされた網目135が繰り返し配列された形状を有している。本実施形態における「第4の導体線134a,134b」が本発明における「第1の導体線」の一例に相当し、本実施形態における「網目135」が本発明における「網目」の一例に相当する。なお、以下の説明では、必要に応じて「第4の導体線134a」及び「第4の導体線134b」を「第4の導体線134」と総称する。
本実施形態の第4の導体線134の外形は、図13(A)に示すように、接触面131と、頂面132と、2つの側面133,133と、から構成されている。接触面131は、接着層12(具体的には、接触面1222)と接触している面である。本実施形態の網目状電極層13は、接着層12を介して基材9に支持されるものであるが、この場合、接触面131は、頂面132に対して基材9側に位置する面となる。また、接触面131は、短手方向断面において、微細な凹凸からなる凹凸状の面となっている。
一方、頂面132は、接触面131の反対側の面であり、略平坦な面とされている。この頂面132は、基材9の主面91(或いは、主面91と対向する接着層12の面)と実質的に平行な面とされている。この頂面132は、第4の導体線134の短手断面視において、平坦部1321を含んでいる。
側面133,133は、短手方向断面視において、接着層12から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた面である。また、本実施形態では、側面133,133は、短手方向断面視において、接触面1222,131の界面とつながる部分で側面1221,1221と連続的につながっている。この側面133は、第1の部分1331で頂面132と繋がり、第2の部分1332で接触面131と繋がり、当該第1及び第2の部分1331,1332を通る仮想直線上に延在する面である。この側面133は、平坦部1333を含んでいる。
本実施形態の第4の導体線134は、第1実施形態で説明した第1の導体線221A(221B)と基本的な構成が同じである。したがって、下面224を接触面131に、上面223を頂面132に、側部222を側面133に、それぞれ読み替えて、繰り返しの説明を省略し、第1実施形態でした説明を援用する。また、平坦部2231を平坦部1321に、第1の部分2221を第1の部分1331に、第2の部分2222を第2の部分1332に、平坦部2223を平坦部1333に、それぞれ読み替えて、繰り返しの説明を省略し、第1実施形態でした説明を援用する。
本実施形態の網目状電極層13では、以下のように第4の導体線134を配設する。すなわち、図12に示すように、第4の導体線134aは、X方向に対して+45°に傾斜した方向(以下、単に「第3の方向」との称する。)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第4の導体線134aは、この第1の方向に対して実質的に直交する方向(以下、単に「第4の方向」とも称する。)に等ピッチP3で並べられている。これに対し、第4の導体線134bは、第4の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第4の導体線134bは、第3の方向に等ピッチP4で並べられている。そして、これら第4の導体線134a,134bが相互に直交することで、四角形状(菱型状)の網目135が繰り返し配列された網目状電極層13が形成されている。
なお、網目状電極層13の構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第4の導体線134aのピッチP3と第4の導体線134bのピッチP4とを実質的に同一としているが(P3=P4)、特にこれに限定されず、第4の導体線134aのピッチP3と第4の導体線134bのピッチP4とを異ならせてもよい(P3≠P4)。この場合、網目は、長方形状の外形を有する。
また、本実施形態では、第4の導体線134aの延在方向である第3の方向は、X方向に対して+45°に傾斜した方向とされ、第4の導体線134bの延在方向である第4の方向は、第3の方向に対して実質的に直交する方向とされているが、第3及び第4の方向の延在方向(すなわち、X軸に対する第3の方向の角度やX軸に対する第4の方向の角度)は、任意とすることができる。
また、網目状電極層13の網目135の形状は、幾何学模様であってもよい。すなわち、網目135の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、長方形、正方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、網目135の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。
このように、網目状電極層13として、種々の図形単位を繰り返してえられる幾何学模様を、当該網目状電極層13の網目135の形状として用いることができる。また、本実施形態では、第4の導体線134は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
引き出し配線層14は、図12に示すように、網目状電極層13に対応して設けられており、本実施形態では、3つの網目状電極層13に対して3つの引き出し配線層14が形成されている。この引き出し配線層14は、網目状電極層13における図中の−Y方向側に設けられた直線状の外縁部136から引き出されている。この引き出し配線層14は、上述した網目状電極層13と同様の材料によって一体的に形成されている。
なお、網目状電極層13の外縁において、引き出し配線層14が設けられる位置は特に限定されない。また、配線体11の構成から外縁部136を省略してもよく、この場合には、引き出し配線層14と網目状電極層13とが直接接続される。
本実施形態の引き出し配線層14(具体的には、第1の導体線1441(後述))の外形は、図13(B)に示すように、網目状電極層13と同様、接触面141と、頂面142と、2つの側面143,143と、から構成されている。接触面141は、接着層12と接触する面であり、短手方向断面において、微細な凹凸からなる凹凸状とされている。一方、頂面142は、接触面141の反対側に位置する略平坦な面であり、基材9の主面91と実質的に平行となるように延在している。
側面143,143は、短手方向断面視において、接着層12から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた面である。また、本実施形態では、側面143,143は、短手方向断面視において、接触面1222,141の界面とつながる部分で側面1221,1221と連続的につながっている。
頂面142は、第1の導体線1441の短手断面視において、平坦部1421を含んでいる。側面143は、第1の部分1431で頂面142と繋がり、第2の部分1432で接触面141と繋がり、当該第1及び第2の部分1431,1432を通る仮想直線上に延在する面である。この側面143は、平坦部1433を含んでいる。
本実施形態の第1の導体線1441は、第1実施形態で説明した第2の導体線231A(231B)と基本的な構成が同じである。したがって、下面236を接触面141に、上面235を頂面142に、側部230を側面143に、それぞれ読み替えて、繰り返しの説明を省略し、第1実施形態でした説明を援用する。また、平坦部2351を平坦部1421に、第1の部分2301を第1の部分1431に、第2の部分2302を第2の部分1432に、平坦部2303を平坦部1433に、それぞれ読み替えて、繰り返しの説明を省略し、第1実施形態でした説明を援用する。
タッチセンサ7において、網目状電極層13は操作者による操作が検出可能な検出領域に形成される一方、引き出し配線層14は検出領域の外側に位置する外側領域(額縁領域)に形成される。この場合、引き出し配線層14は、検出領域内を通過しないように、外側領域内を屈曲させながら配設される(図11参照)。
本実施形態の引き出し配線層14は、図14に示すように、第1の方向に沿って延在する第1の直線部144aと、第2の方向に沿って延在する第2の直線部144bと、当該第1及び第2の直線部144a,144bを相互に接続する屈曲部145を有している。また、本実施形態の引き出し配線層14では、第1の直線部144aの端部1444aと、第2の直線部144bの端部1444bとが、相互に離間して形成されている。
本実施形態における「第1の直線部144a」が本発明における「第1の直線部」の一例に相当し、本実施形態における「第2の直線部144b」が本発明における「第2の直線部」の一例に相当し、本実施形態における「屈曲部145」が本発明における「屈曲部」の一例に相当する。
本実施形態において、第1の方向は、X方向に対して実質的に平行な方向である。この第1の方向に延在する第1の直線部144aは、導電性を有する複数の第1の導体線1441a,1441bを交差させて構成されており、全体として、四角形状とされた第1の単位網目1442が繰り返し配列された形状を有している。
一方、第2の方向は、X方向に対して30°傾斜した方向である。この第2の方向に延在する第2の直線部144bは、上述の第1の直線部144aと同様、導電性を有する複数の第1の導体線1441a,1441bを交差させて構成されており、全体として、四角形状とされた第1の単位網目1442が繰り返し配列された形状を有している。本実施形態では、第1の直線部144aを構成する第1の単位網目1442と、第2の直線部144bを構成する第1の単位網目1442とは、実質的に同一形状とされている。
本実施形態における「第1の導体線1441a,1441b」が本発明における「第2の導体線」の一例に相当し、本実施形態における「第1の単位網目1442」が本発明における「第1の単位網目」の一例に相当する。なお、以下の説明では、必要に応じて「第1の導体線1441a」及び「第1の導体線1441b」を「第1の導体線1441」と総称する。
第1の直線部144aでは、第1の導体線1441aが第1の方向(すなわち、X方向)に対して−45°に傾斜した方向(すなわち、第4の方向)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線1441aは、この第4の方向に対して実質的に直交する方向(すなわち、第3の方向)に等ピッチP5で並べられている。これに対し、第1の導体線1441bは、第3の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線1441bは、第3の方向に等ピッチP6で並べられている。
このように、第1の直線部144aでは、第4の方向に延在する第1の導体線1441aと、第3の方向に延在する第1の導体線1441bとが相互に直交することで、実質的に同一形状とされた複数の四角形状の第1の単位網目1442が形成される。ここでは、第4の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向を、第1の直線部144aにおける第1の単位網目1442の配列方向とする。
なお、第4の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向を、第1の直線部144aにおける第1の単位網目1442の配列方向としたが、平面視において、複数の第1の単位網目1442と交差する仮想直線であって、当該仮想直線の延在方向に並設されたすべての第1の単位網目1442の面積を二等分割する直線と実質的に一致していれば、当該第1の単位網目1442の配列方向は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態の第1の直線部144aにおいて、第1の単位網目1442の配列方向を、第3の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向としてもよい。或いは、第1の方向に対して直交する方向に延在する仮想直線と実質的に一致する方向としてもよい。
一方、第2の直線部144bでは、第1の導体線1441aが第2の方向に対して−45°に傾斜した方向(以下、単に「第5の方向」とも称する。)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線1441aは、この第5の方向に対して実質的に直交する方向(以下、単に「第6の方向」とも称する。)に等ピッチP5で並べられている。これに対し、第1の導体線1441bは、第6の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線1441bは、第5の方向に等ピッチP6で並べられている。
なお、本実施形態では、第1及び第2の直線部144a,144bにおいて、第1の単位網目1442の形状を同一形状とするため、第1の直線部144aにおける複数の第1の導体線1441a同士のピッチと、第2の直線部144bにおける複数の第1の導体線1441a同士のピッチとを、実質的に等しいピッチP5とする。同様に、第1の直線部144aにおける複数の第1の導体線1441b同士のピッチと、第2の直線部144bにおける複数の第1の導体線1441b同士のピッチとを、実質的に等しいピッチP6とする。
第2の直線部144bでは、第5の方向に延在する第1の導体線1441aと、第6の方向に延在する第1の導体線1441bとが相互に直交することで、実質的に同一形状とされた複数の四角形状の第1の単位網目1442が形成される。そして、第5の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向を、第2の直線部144bにおける第1の単位網目1442の配列方向とする。
以上のように、本実施形態の引き出し配線層14は、下記(7)式が成立している。
α1=α2・・・(7)
但し、上記(7)式において、α1は第1の直線部144aにおける第1の単位網目1442の配列方向(第4の方向)に沿って延在する仮想直線と第1の方向に沿って延在する仮想直線とのなす角度であり、α2は第2の直線部144bにおける第1の単位網目1442の配列方向(第5の方向)に沿って延在する仮想直線と第2の方向に沿って延在する仮想直線とのなす角度である。
上記(7)式が成立していることで、第1の直線部144aにおける第1の方向に対する第1の単位網目1442の配列方向(第4の方向)と、第2の直線部144bにおける第2の方向に対する第1の単位網目1442の配列方向(第5の方向)と、が実質的に一致する。これにより、第1及び第2の直線部144a,144bの一方が、当該第1及び第2の直線部144a,144bの他方に比べて導通経路が減少するのを抑止する。
なお、第1及び第2の直線部144a,144bのそれぞれにおいて、第1の単位網目1442の配列方向が複数存在する場合、引き出し配線層14の延在方向を基準として、第1の直線部144aにおける第1の単位網目1442の配列方向に沿った隣り合う第1の単位網目1442同士の位置関係と、第2の直線部144bにおける第1の単位網目1442の配列方向に沿った隣り合う第1の単位網目1442同士の位置関係と、が同一となる配列方向をそれぞれ選択する。「隣り合う第1の単位網目1442同士の位置関係」とは、当該隣り合う第1の単位網目1442の一方に対する、隣り合う第1の単位網目1442の他方の配置のことを示す。
さらに、本実施形態では、第1の直線部144aにおける配列方向に沿って並んだ第1の単位網目1442a,1442bについて、当該第1の単位網目1442aの頂点1443Aと、当該頂点1443Aに対応する第1の単位網目1442bの頂点1443Bと、が第1の方向に沿って延在する仮想直線上に位置している。
このように、本実施形態では、第1の方向において、複数の第1の単位網目1442が周期的に繰り返して配列されるので、一の第1の単位網目1442aに欠損が生じていなければ、他の第1の単位網目1442bに新たな欠損は生じない。このため、第1の直線部144a全体において、第1の単位網目1442の一部に欠損が生じるのを抑制することができる。また、第1の単位網目1442の欠損発生を抑制することで、第1の直線部144a全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目1442同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。なお、本実施形態では、第1の直線部144aにおいて、複数の第1の単位網目1442の配列方向の1つが、当該第1の直線部144aの延在方向と実質的に一致しているため、上記関係が成立する。
また、第2の直線部144bにおいても、第1の直線部144aと同様、配列方向に沿って並んだ複数の第1の単位網目1442について、一の第1の単位網目1442の頂点1443と、当該頂点1443に対応する他の第1の単位網目1442の頂点1443と、が第2の方向に沿って延在する仮想直線上に位置している。これにより、第2の直線部144b全体において、第1の単位網目1442の一部に欠損が生じるのを抑制することができる。また、第1の単位網目1442の欠損発生を抑制することで、第2の直線部144b全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目1442同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。
なお、引き出し配線層14の第1及び第2の直線部144a,144bの構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第1及び第2の直線部144a,144bにおいて、第1の導体線1441aのピッチP5と第1の導体線1441bのピッチP6とを実質的に同一としているが(P5=P6)、特にこれに限定されず、第1の導体線1441aのピッチP5と第1の導体線1441bのピッチP6とを異ならせてもよい(P5≠P6)。この場合、第1の単位網目は、長方形状の外形を有する。
また、本実施形態では、第1の直線部144aにおいては、第1の導体線1441aの延在方向は、X方向に対して−45°に傾斜した第4の方向とされ、第1の導体線1441bの延在方向は、第4の方向に対して実質的に直交する第3の方向とされているが、第1の導体線1441a,1441bの延在方向(すなわち、X軸に対する角度)は、任意とすることができる。
この場合、第2の直線部144bにおいて、第1の導体線1441aの延在方向である第5の方向、及び、第1の導体線1441bの延在方向である第6の方向は、当該第1の導体線1441a,1441bにより形成される第1の単位網目1442の配列方向が上記(7)式を満たすように延在させる。
また、第1の単位網目1442の形状は、幾何学模様であってもよい。すなわち、第1の単位網目1442の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、長方形、正方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、第1の単位網目1442の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。さらに、複数の異なる形状を集合させた集合体を第1の単位網目1442として採用することもできる。この場合、第1の単位網目1442とされた上記集合体を、所定の配列方向に沿って繰り返し配列する。
このように、引き出し配線層14の第1及び第2の直線部144a,144bとして、種々の図形単位を繰り返してえられる幾何学模様を、第1の単位網目1442の形状として用いることができる。また、本実施形態では、第1の導体線1441は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
なお、上記(7)式を満たすように引き出し配線層14を形成すると、図12の下側拡大図に示すように、当該引き出し配線層14をY方向に沿って延在させる場合、第1の導体線1441aが第3の方向に延在し、第1の導体線1441bが第4の方向に延在する。
本実施形態の屈曲部145は、図14に示すように、端部1444a,1444b間に位置しており、当該端部1444a,1444bを相互に接続している。結果として、この屈曲部145では、第1の直線部144aの延在方向である第1の方向から、第2の直線部144bの延在方向である第2の方向へ、引き出し配線層14の延在方向が変化している。本実施形態における「端部1444a,1444b」が本発明における「端」に相当する。
この屈曲部145は、離間する端部1444a,1444bを相互に接続する第2の導体線1451を含む第2の単位網目1452を有している。本実施形態における「第2の導体線1451」が本発明における「第3の導体線」の一例に相当し、本実施形態における「第2の単位網目1452」が本発明における「第2の単位網目」の一例に相当する。
第2の導体線1451は、第1及び第2の直線部144a,144bを構成する第1の導体線1441と同一の組成を有する材料によって一体的に形成されている。この第2の導体線1451は、第1の直線部144aを構成する第1の単位網目1442の頂点1443と、第2の直線部144bを構成する第1の単位網目1442の頂点1443と、を相互に接続する導体線である。
第2の導体線1451として、第1の直線部144aの頂点1443及び第2の直線部144bの頂点1443を接続する導体線を形成する場合、第1の直線部144aの端部1444aから露出する頂点、及び、第2の直線部144bの端部1444bから露出する頂点のそれぞれが、少なくとも一本の第2の導体線1451と接続されていることが好ましい。また、このような第2の導体線1451の数量は、第1の直線部144aの端部1444aから露出する頂点の数量、或いは、第2の直線部144bの端部1444bから露出する頂点の数量のうち多い側の数量以上であることが好ましい。これにより、屈曲部145において電気的抵抗値の増大の抑制を図ることができる。
また、引き出し配線層14の可撓性を確保する観点から、この第2の導体線1451は、第1及び第2の直線部144a,144bを構成する第1の導体線1441と交差しないように形成することが好ましい。なお、このような第2の導体線1451は、引き出し配線層14における電気的抵抗値の増大の抑制、及び、配線体11の視認性の低下の抑制の観点から、その幅が第1の導体線1441の幅と実質的に等しいことが好ましい。
なお、本実施形態の第2の導体線1451は、第1及び第2の直線部144a,144bを構成する頂点1443,1443間を相互に接続しているが、特にこれに限定されず、第1の導体線1441,1441間を相互に接続してもよい。
第2の単位網目1452は、当該第2の単位網目1452を構成する辺のうち、少なくとも一辺が第2の導体線1451により構成されている。この第2の単位網目1452は、第1の単位網目1442とは、異なる外形とされている。
このような第2の単位網目1452の形状としては、種々の図形を用いることができる。屈曲部145に形成される複数の第2の単位網目1452同士は、相互に異なる外形とされていてもよいが、当該第2の単位網目1452の開口率が第1の単位網目1442の開口率と略等しくなることが好ましい。
第2の単位網目の開口率が、第1の単位網目の開口率に比べて極端に小さい場合、屈曲部において、引き出し配線層の可撓性が損なわれ、当該引き出し配線層が断線するおそれがある。一方、第2の単位網目の開口率が、第1の単位網目の開口率に比べて極端に大きい場合、屈曲部において導通経路が減少するので、引き出し配線層の電気的抵抗値の増大するおそれがある。
因みに、本実施形態において、引き出し配線層14の開口率は50%以下となっていることが好ましい。さらに、この引き出し配線層14の開口率は、網目状電極層13と引き出し配線層14との剛性の差を縮小する観点や、引き出し配線層14における電気抵抗値の増大抑制効果を向上する観点から10%以上、50%以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態における「開口率」とは、第1実施形態で定義した「開口率」と同じである。
図14に戻り、第1の直線部144aにおいて、引き出し配線層14の両方の側端部146,146は、第1の頂点1443aと、第2の頂点1443bと、これら第1及び第2の頂点1443a,743b間を接続する第1の導体線1441から構成されている。本実施形態における「第1の頂点1443a」及び「第2の頂点1443b」が本発明における「端部」の一例に相当し、本実施形態における「第1の頂点1443a」が本発明における「外側端部」の一例に相当する。
同様に、第2の直線部144bにおいて、引き出し配線層14の両方の側端部146,76は、第1の頂点1443aと、第2の頂点1443bと、これら第1及び第2の頂点1443a,1443b間を接続する第1の導体線1441から構成されている。
第1の頂点1443aは、引き出し配線層14において最外側に位置する第1の単位網目1442を構成する頂点1443(図11参照)の中で最も外側に位置する頂点である。第2の頂点1443bは、引き出し配線層14において最外側に位置する第1の単位網目1442を構成する頂点1443であって、第1の頂点1443aとは異なる当該引き出し配線層14の外側に露出した頂点である。第1の頂点1443aでは、第1の導体線1441a,1441bが相互に接しているのに対し、第2の頂点1443bでは、第1の導体線1441a,1441bが相互に交差している。
本実施形態の側端部146において、隣り合う第1の頂点1443a,1443a同士は距離D5で略均等に配置され、隣り合う第2の頂点1443b,1443b同士は距離D6で略均等に配置されている。この側端部146では、引き出し配線層14の延在方向に沿って第1及び第2の頂点1443a,1443bは交互に連続しており、当該第1及び第2の頂点1443a,1443b間を第1の導体線1441a,1441bにより相互に接続している。結果として、側端部146は、引き出し配線層14の延在方向に沿って波形状とされている。
また、側端部146は、第1の頂点1443aを含んで構成されていることから、引き出し配線層14では、最外側に位置する第1の単位網目1442が欠損しない状態で存在している。この場合、本実施形態の引き出し配線層14の幅は、当該引き出し配線層14の延在方向に対して実質的に垂直な方向において、一方の側端部146が含む第1の頂点1443aと、他方の側端部146が含む第1の頂点1443aと、の間の距離となる。このように、引き出し配線層14は、その幅L全体において、導通経路が確保されるので、当該引き出し配線層14の電気的抵抗値の増大が抑制される。
屈曲部145における側端部146は、第1の直線部144aにおける側端部146を構成する第1の頂点1443aと、第2の直線部144bにおける側端部146を構成する第1の頂点1443aと、当該第1及び第2の直線部144a,144bの第1の頂点1443a,1443a間を接続する第2の導体線1451と、を含んで構成されている。なお、屈曲部145における側端部146は、特に上述に限定されず、第2の頂点を含んで構成されていてもよい。或いは、第1の導体線を含んで構成されていてもよい。
この屈曲部145では、引き出し配線層14の電気的抵抗値を低減する観点から、当該屈曲部145における引き出し配線層14の幅が、第1及び第2の直線部144a,144bにおける引き出し配線層14の幅と実質的に等しくなるように形成することが好ましい。
引き出し配線層14は、図11及び図12に示すように、網目状電極層13と接続する側の端部と反対側の端部が、基材9の外縁に臨む位置に形成されている。この際、複数の引き出し配線層14を一括して外部回路と接続し易くするため、基材9の外縁近傍において、当該複数の引き出し配線層14を相互に接近させて配置するように集合させる。本実施形態では、集合された複数の引き出し配線層14は、Y方向に沿って相互に略平行に配設されている。
この場合、図15に示すように、引き出し配線層14の延在方向(すなわち、Y方向)において、相互に略平行に並設された複数の引き出し配線層14では、隣り合う引き出し配線層14の一方の第1の頂点1443aと、隣り合う引き出し配線層14の他方の第1の頂点1443aと、が距離S2ずれて配置されている。
つまり、引き出し配線層14は、その幅が両方の側端部146,146を構成する第1の頂点1443a,1443a間の距離とされた極大部147を有するが、隣り合う引き出し配線層14の一方の極大部147の位置と、隣り合う引き出し配線層14の他方の極大部147の位置と、が距離S2ずれて配置されている。なお、距離S2は、引き出し配線層14の延在方向に沿った第1の頂点1443a,1443a間の距離D5よりも小さい(S2<D5)。
これにより、隣り合う引き出し配線層14間の空隙を極力小さくすることができ、高密度に引き出し配線層14を形成することが可能となる。また、隣り合う引き出し配線層14間に所定の空隙が確保されるので、当該隣り合う引き出し配線層14同士において、マイグレーションの発生を抑制することができる。
本実施形態の配線体11では、上述で説明したように、網目状電極層13及び引き出し配線層14のいずれも、網目状(メッシュ状)に形成されている。この場合、引き出し配線層14の電気的抵抗値の増大を抑制する観点から、本実施形態の配線体11では、下記(8)式が成立していることが好ましい(図13(A)及び図13(B)参照)。
W6≦W3・・・(8)
但し、上記(8)式において、W3は第1の導体線1441の幅であり、W6は第4の導体線134の幅である。
なお、第1の導体線1441の幅W3は、断線箇所を削減する観点から、第4の導体線134の幅W6の4倍以下(W3≦4×W6)であることがより好ましい。
このような第4の導体線134の幅W6の具体的な値としては、第1実施形態で説明した第1の導体線221A,221Bの幅として好ましい範囲と同じ範囲内において設定することが好ましい。また、第1の導体線1441の幅W3の具体的な値としては、第1実施形態で説明した第2の導体線231A,231Bの幅として好ましい範囲と同じ範囲内において設定することが好ましい。
また、本実施形態における配線体11では、下記(9)式が成立していることが好ましい(図12の拡大図参照)。
P3,P4>P5,P6・・・(9)
ただし、上記(9)式において、P3は網目状電極層13において隣り合う第4の導体線134a同士の間のピッチ、P4は網目状電極層13において隣り合う第4の導体線134b同士の間のピッチ、P5は引き出し配線層14において隣り合う第1の導体線1441a同士の間のピッチ、P6は引き出し配線層14において隣り合う第1の導体線1441b同士の間のピッチである。上記(9)式を満たすことで、引き出し配線層14の電気的抵抗値の増大が抑制される。
本実施形態における配線基板は、第1実施形態で説明した配線基板の製造方法と同様の方法を用いることで製造することができる。従って、配線基板の製造方法ついては、繰り返しの説明を省略し、第1実施形態でした説明を援用する。
なお、特に図示しないが、第1実施形態で説明した配線基板の製造方法が実行された後、得られた配線基板8上に、網目状電極層13及び引き出し配線層14を覆うように樹脂材料を塗布して硬化させることで、樹脂層15が形成される。そして、形成された樹脂層15を介して網目状電極層13と対向するように網目状電極層16を形成する。また、網目状電極層16に接続される引き出し配線層17を形成する。以上により、配線体11を備えたタッチセンサ7を得ることができる。
樹脂層15を形成する方法としては、接着層12の形成方法と同様の方法を例示することができる。網目状電極層16及び引き出し配線層17を形成する方法としては、網目状電極層13及び引き出し配線層14の形成方法と同様の方法により形成することができる。
なお、網目状電極層16及び引き出し配線層17を形成する方法は、特に上述に限定されず、たとえば、樹脂層15を硬化させた後、当該樹脂層15上にスクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷等を用いて導電性材料を印刷することで形成してもよい。或いは、樹脂層15上に積層された金属層を網目状にパターニングすることで形成してもよい。或いは、スパッタリング法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、無電解めっき法、電解めっき法、或いはそれらを組み合わせた方法を用いて、樹脂層15上に形成してもよい。
本実施形態における配線体11及び配線基板8は、以下の効果を奏する。
従来のタッチパネルにおいて、導電性細線により構成された検出電極と、当該検出電極に接続された引き出し配線と、を有するものが知られている(例えば特許文献1参照)。この場合、一般に、引き出し配線は、操作者が視認できる入力領域を避けた外側領域に位置しており、当該外側領域において屈曲させながら配設される。
上記引き出し配線を、その全体において網目が一様に配列された網目状(メッシュ状)に形成すると、当該引き出し配線の延在方向が変化する屈曲部の一方側に位置する直線部と、当該屈曲部の他方側に位置する直線部との間おいて導通経路が減少したり、導通距離が長くなる等して、引き出し配線の電気的抵抗値の増大を招来する、という問題があった。
これに対し、本実施形態では、上記(7)式が成立していることで、第1の直線部144aにおける第1の方向に対する第1の単位網目1442の配列方向と、第2の直線部144bにおける第2の方向に対する第1の単位網目1442の配列方向と、が実質的に一致する。これにより、屈曲部145を介して相互に接続される第1及び第2の直線部144a,144bの一方が、当該第1及び第2の直線部144a,144bの他方に比べて導通経路が減少するのを抑止する。この結果、引き出し配線層14の電気的抵抗値の増大を抑制することができる。
また、本実施形態では、第1の直線部144aの端部1444aと、第2の直線部144bの端部1444bと、は相互に離間され、当該端部1444a,1444b間を第2の導体線1451により接続しているが、この際、第1の直線部144aの第1の単位網目1442を構成する頂点1443と、第2の直線部144bの第1の単位網目1442を構成する頂点1443と、を第2の導体線1451により相互に接続することで、第1の単位網目1442,1442を構成する第1の導体線1441,1441同士を接続する場合に比べて、引き出し配線層14の導通経路を効率良く確保することができる。
すなわち、第1の単位網目1442や第2の単位網目1452を構成する第1及び第2の導体線1441,1451を第1の単位網目1442を構成する頂点1443に接続することで、複数本の導体線が相互に導通を図ることが可能となる。したがって、第1及び第2の直線部144a,144bにおいて、複数の導体線が接する頂点1443,1443同士を第2の導体線1451により接続することで、当該1本の第2の導体線1451により複数の導通経路が確保される。なお、屈曲部145において、引き出し配線層14の導通経路を効率良く確保すると、当該引き出し配線層14の可撓性の向上を図ることができる。また、屈曲部145において、引き出し配線層14の導通を安定的に確保することができる。
また、本実施形態では、第2の導体線1451を第1及び第2の直線部144a,144bを構成する第1の導体線1441と同一の組成を有する材料によって一体的に形成することで、第1の直線部144a及び屈曲部145間、並びに、第2の直線部144b及び屈曲部145間での導通を安定的に確保することができる。
また、本実施形態では、第1の直線部144aにおける配列方向に沿って並んだ複数の第1の単位網目1442について、一の第1の単位網目1442aの頂点1443Aと、当該頂点1443Aに対応する他の第1の単位網目1442bの頂点1443Bと、が第1の方向に沿って延在する仮想直線上に位置している。これにより、第1の直線部144a全体において、当該第1の単位網目1442の一部に欠損が生じるのを抑制することができる。また、第1の単位網目1442の欠損発生を抑制することで、第1の直線部144a全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目1442同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。なお、第2の直線部144bも、第1の直線部144aと同様の構成を有しているので、当該第2の直線部144b全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目1442同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。
また、従来では、単に引き出し配線層を網目状とすると、当該引き出し配線層の最外側に位置する単位網目の一部が欠損して、当該引き出し配線層を構成する導体線が外側に向かって突き出した状態で配置される場合がある。この場合、引き出し配線層の最外側に位置する突出した状態の導体線は、引き出し配線層の導通に実質的に寄与しない。このため、引き出し配線層のうち導通が図られる領域が狭まり、当該引き出し配線層の幅から想定される電気的抵抗値よりも大きい電気的抵抗値を有することとなる。
これに対し、本実施形態における配線体11では、引き出し配線層14の両方の側端部146は、当該引き出し配線層14において最外側に位置する第1の単位網目1442を構成する頂点1443の中で最も外側に位置する第1の頂点1443aを含んでおり、引き出し配線層14の幅Lは、引き出し配線層14の延在方向に対して実質的に垂直な方向において、一方の側端部146が含む第1の頂点1443aと、他方の側端部146が含む第1の頂点1443aと、の間の距離に相当する。
このため、引き出し配線層14の幅方向の全体において、当該引き出し配線層14の導通を図ることができるので、網目状電極層13と引き出し配線層14との断線を防ぎつつ、当該引き出し配線層14の電気的抵抗値の増大を抑制することができると共に、タッチセンサ7の検出感度の向上を図ることができる。この効果は、引き出し配線層14の幅Lが小さくなるほど、当該幅Lに占める第1の単位網目1442の幅の割合が増大するためより顕著となる。
また、一般に、引き出し配線層の側端部が鋭利に突出していると、突出した部分において電界集中が起こり易くなるため、隣り合う配線との間でマイグレーションを引き起こす恐れが高まる。これに対し、本実施形態における配線体11では、引き出し配線層14の側端部146は、第1の頂点1443aから構成され、当該第1の頂点1443aは、第1の導体線1441a、1441bが相互に接する点であるため、鋭利に突出しておらず、隣り合う引き出し配線層14,14間でマイグレーションを引き起こすおそれを低減することができる。
また、本実施形態では、相互に平行に並設された引き出し配線層14の延在方向において、隣り合う引き出し配線層14の一方の第1の頂点1443aと、隣り合う引き出し配線層14の他方の第1の頂点1443aとが、相互にずれているので、当該隣り合う引き出し配線層14,7間でマイグレーションを引き起こすおそれがさらに低減される。
また、本実施形態の配線体11では、第4の導体線134の幅方向の断面において、第4の導体線134の接触面131と当該接触面131以外の他の面(頂面132及び側面133を含む面)との面粗さの相対的関係が、第1実施形態で説明した第1の導体線221Aにおける接触面131及び当該接触面131以外の他の面(頂面132及び側面133を含む面)との面粗さの相対的関係と同様の関係であることで、第1実施形態の配線体2と同様の作用・効果を得ることができる。
また、本実施形態の配線体11では、第4の導体線134の側面133が、第1及び第2の部分を通る仮想直線よりも内側に存在しない形状となっていることで、第1実施形態の配線体2と同様の作用・効果を得ることができる。
また、本実施形態の配線体11では、第4の導体線134の接触面131以外の他の面側における配線体11の乱反射率が、当該接触面131側における配線体11の乱反射率に対して相対的に小さくなっていることで、第1実施形態の配線体2と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、第1の導体線1441や、第2の導体線1451は、基本的な構成は第4の導体線134と同じである。このため、第1の導体線1441や、第2の導体線1451を配線体11が備えることで、上述の作用・効果をさらに奏することができる。
以下に、本実施形態で説明した配線基板8(配線体11)の変形例について説明する。図16は本発明の第2実施形態における引き出し配線層の第1変形例を示す平面図であり、図17(A)は本発明の第2実施形態における引き出し配線層の第2変形例を示す平面図であり、図17(B)は屈曲部を説明するための図であり、図18(A)及び図18(B)は本発明の第2実施形態における引き出し配線層の第3変形例及び第4変形例をそれぞれ示す平面図である。
図16に示すように、引き出し配線層14Bの第1の直線部144aBにおいて、第1の導体線1441aBが第1の方向に対して角度θ5傾斜して延在すると共に、第1の導体線1441bBが第1の方向に対して角度θ6傾斜して延在してもよい。この際、角度θ1、θ2の絶対値がいずれも45°よりも小さいことにより(−45°<θ5,θ6<45°)、第1の単位網目1442Bのアスペクト比(引き出し配線層14Bの延在方向に対する幅方向に沿った第1の単位網目1442Bの長さD7に対する、引き出し配線層14Bの延在方向に沿った第1の単位網目1442Bの長さD8の比(D7/D8))を1より大きくすることができる。
本例では、引き出し配線層14Bの第1の単位網目1442Bの形状は、当該引き出し配線層14Bの延在方向に沿って引き伸ばされた形状となっている。上記の角度θ5、θ6は、10°以上であることが好ましく、第1の単位網目1442Bのアスペクト比(D7/D8)は1より大きく、5以下(1<(D7/D8)≦5)であることが好ましい。
なお、第2の直線部144bBでは、第1の導体線1441aBが第2の方向に対して角度θ7傾斜して延在すると共に、第1の導体線1441bBが第2の方向に対して角度θ8傾斜して延在している。この角度θ7、θ8の絶対値がいずれも45°よりも小さいことにより(−45°<θ7,θ8<45°)、第1の単位網目1442Bのアスペクト比が1よりも大きくなるが、この場合においても、当該第2の直線部144bBの第1の単位網目1442Bと、第1の直線部144aBの第1の単位網目1442Bとが実質的に同一形状を有する。
このように、第1の単位網目1442Bのアスペクト比を1より大きくすることで、引き出し配線層14Bの延在方向に沿った所定距離の間に含まれる第1の導体線1441Bの総距離を短くすることができるため、当該引き出し配線層14Bの電気的抵抗値の増大をさらに一層抑制することができる。
また、第1の単位網目1442Bのアスペクト比が1より大きいと、極大部147Bが鋭角形状ではなくなるため、隣り合う引き出し配線層14B,14B間でマイグレーションを引き起こすおそれをより低減することができる。
なお、本例では、網目状電極6と引き出し配線層14の関係において、第1の単位網目1442Bのアスペクト比が、網目135のアスペクト比(網目状電極層13の延在方向に対する幅方向に沿った網目の長さD9に対する、網目状電極層13の延在方向に沿った網目135の長さD10の比(D10/D9(図12参照)))よりも大きくなっている。
また、たとえば、図17(A)に示すように、引き出し配線層14Cにおいて、第1の直線部144aCの端部1444aCと、第2の直線部144bCの端部1444bCとが相互に重複することで、屈曲部145Cが形成されていてもよい。本例では、第1の直線部144aCの幅に相当する幅を有し、第1の方向に延在すると共に第1の直線部144aCと同一の中心軸を有する第1の領域Z1と、第2の直線部144bCの幅に相当する幅を有し、第2の方向に延在すると共に第2の直線部144bCと同一の中心軸を有する第2の領域Z2と、の重複する領域が屈曲部145Cとなる(図17(B)において、ハッチングした領域)。
この屈曲部145Cでは、第1の単位網目1442と、第2の単位網目1452Cと、を含んで構成されている。本例では、第1の直線部144aCを構成する第1の導体線1441と、第2の直線部144bCを構成する第1の導体線1441とを相互に交差させることで、第1の単位網目1442よりも小さい第2の単位網目1452Cが複数形成される。
このように、第1の単位網目1442の配列に比べて、第2の単位網目1452Cが緻密に配列されることで、屈曲部145Cにおいて引き出し配線層14Cに断線が生じるのを抑制している。なお、特に図示しないが、上述した例のように、第1及び第2の直線部を構成する第1の単位網目が、1よりも大きいアスペクト比を有する形成された場合においても、当該第1の直線部の一方端部と、第2の直線部の一方端部とを相互に重複することで、上述と同様の効果を奏することができる。
また、たとえば、図18(A)に示すように、引き出し配線層14Dは、第1の頂点1443a同士を相互に連結する第3の導体線148を有していてもよい。本例の引き出し配線層14Dでは、この第3の導体線148により側端部146Dが構成される。このような第3の導体線148は、第1の導体線1441と同一の組成を有する材料によって一体的に形成される。なお、図18(A)では、第3の導体線148は直線状となっているが、特にこれに限定されず、図18(B)に示すように、配線基板の製造時における導電性材料の充填性の観点から、第3の導体線148Bを曲線状としてもよい。なお、第3の導体線は、第1の導体線1441と交差しないように形成することが好ましい。
第3の導体線148の幅は、製造時における導電性材料の凹版への充填性の観点から、第1の導体線1441の幅よりも小さいことが好ましい。また、図18(A)及び図18(B)の例では、引き出し配線層14D,14Eの両方の側端部146D,146Eに第3の導体線148,148Bがそれぞれ設けられているが、引き出し配線層14D(14E)の側端部146D(146E)の一方のみに当該第3の導体線148(148B)が設けられていてもよい。
本例のように、引き出し配線層14Dが第3の導体線148を有していることで、当該引き出し配線層14Dの側端部146Dにおいて、第1の頂点1443a,1443a間の導通を図ることができ、延いては、引き出し配線層14Dの電気的抵抗値の増大をより一層抑制することができる。また、第3の導体線148により、側端部146Dの形状が滑らかとなるため、隣り合う引き出し配線層14D,14D間において、マイグレーションの発生をより一層抑制することができる。本例における「第3の導体線148,148B」が本発明における「側辺部」の一例に相当する。
また、たとえば、本実施形態の配線体11では、網目状とされた電極層である網目状電極層13を用いたが、特にこれに限定されず、ベタパターンとされた電極層を用いてもよい。この場合、電極層を構成する材料としては、透明性を有するITO(酸化インジウム錫)や導電性高分子等を用いることができる。
以上のように、この第2実施形態で説明した配線体は、樹脂層と、前記樹脂層上に設けられた電極層と、前記樹脂層上に設けられると共に前記電極層に接続された網目状の引き出し配線層と、を備え、前記引き出し配線層は、第1の方向に沿って延在する第1の直線部と、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って延在する第2の直線部と、前記第1及び第2の直線部を相互に接続する屈曲部と、を有し、前記第1及び第2の直線部は、第1の導体線により形成された実質的に同一形状の複数の第1の単位網目を配列してそれぞれ構成されており、下記(8)式を満たす(第1の構成)。
α1=α2・・・(8)
但し、上記(8)式において、α1は前記第1の直線部における前記第1の単位網目の配列方向に沿って延在する仮想直線と前記第1の方向に沿って延在する仮想直線とのなす角度であり、α2は前記第2の直線部における前記第1の単位網目の配列方向に沿って延在する仮想直線と前記第2の方向に沿って延在する仮想直線とのなす角度である。
上記第1の構成において、前記屈曲部は、前記第1の単位網目の形状と異なる形状の第2の単位網目を含んでいてもよい(第2の構成)。
上記第2の構成において、前記第1の直線部の一方端部と、第2の直線部の一方端部とが相互に重複することで、前記屈曲部が構成され、前記第2の単位網目を構成する導体線は、前記第1の直線部を構成する前記第1の導体線と、前記第2の直線部を構成する前記第1の導体線と、を含んでいてもよい(第3の構成)。
上記第2の構成において、前記第1の直線部の一方端部と、前記第2の直線部の一方端部とが、相互に離間され、前記屈曲部は、前記第1の直線部の一方端部と、前記第2の直線部の一方端部とを相互に接続する第2の導体線を有し、前記第2の単位網目は、前記第2の導体線を含んでいてもよい(第4の構成)。
上記第4の構成において、前記第2の導体線は、前記第1の直線部を構成する前記第1の単位網目の頂点と、前記第2の直線部を構成する前記第1の単位網目の頂点と、を相互に接続してもよい(第5の構成)。
上記第4又は第5の構成において、前記第1の導体線の幅と、前記第2の導体線の幅とが実質的に等しくてもよい(第6の構成)。
上記第1〜第6の何れか1つの構成において、前記第1の直線部における前記配列方向に沿って並んだ複数の前記第1の単位網目について、一の当該第1の単位網目の頂点と、当該頂点に対応する他の当該第1の単位網目の頂点と、が前記第1の方向に沿って延在する仮想直線上に位置し、前記第2の直線部における前記配列方向に沿って並んだ複数の前記第1の単位網目について、一の当該第1の単位網目の頂点と、当該頂点に対応する他の当該第1の単位網目の頂点と、が前記第2の方向に沿って延在する仮想直線上に位置してもよい(第7の構成)。
上記第1〜第7の何れか1つの構成において、前記第1の単位網目の平面視におけるアスペクト比は、1より大きく、前記第1の単位網目の平面視におけるアスペクト比は、前記引き出し配線層の延在方向に対して実質的に垂直な方向に沿った前記第1の単位網目の長さに対する、前記引き出し配線層の延在方向に沿った前記第1の単位網目の長さの比であってもよい(第8の構成)。
上記第1〜第8の何れか1つの構成において、前記引き出し配線層の両方の側端部は、前記引き出し配線層において最外側に位置する前記第1の単位網目を構成する頂点の中で最も外側に位置する第1の頂点を含み、前記引き出し配線層の幅は、前記引き出し配線層の延在方向に対して実質的に垂直な方向において、一方の前記側端部が含む前記第1の頂点と、他方の前記側端部が含む前記第1の頂点と、の間の距離であってもよい(第9の構成)。
上記第1〜第9の何れか1つの構成において、複数の前記電極層と、複数の前記電極層にそれぞれ接続され、相互に略平行に配置された複数の前記引き出し配線層と、を備え、前記引き出し配線の延在方向において、隣り合う前記引き出し配線層の一方の前記第1の頂点と、隣り合う前記引き出し配線層の他方の前記第1の頂点とが、相互にずれていてもよい(第10の構成)。
上記第1〜第10の何れか1つの構成において、前記引き出し配線層の開口率は50%以下であってもよい(第11の構成)。
また、第2実施形態で説明した配線基板は、上記第1〜第11の何れか1つの構成に記載の配線体と、前記配線体を支持する支持体と、を備える(第12の構成)。
また、第2実施形態で説明したタッチセンサは、上記第12の構成に記載の配線基板を備える(第13の構成)。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、第1実施形態の配線基板10から基板21を省略すると共に、接着層25に相当する樹脂層を、網目状電極層22及び引き出し配線層23を支持する基材として用いることにより配線基板を構成してもよい。また、上述の実施形態から接着層25を省略し、網目状電極層22及び引き出し配線層23を直接基板21上に設けることとしてもよい。なお、第2実施形態で説明した配線基板8も、本例と同様に、基材9を省略してもよい。
また、例えば、上述の実施形態では、第1及び第2の導体層を構成する導電性材料として、金属材料又はカーボン系材料を用いているが、特にこれに限定されず、金属材料及びカーボン系材料を混合したものを用いてもよい。この場合、例えば、第1実施形態の第1の導体線221Aを例に説明すると、当該第1の導体線221Aの上面223側にカーボン系材料を配置し、下面224側に金属材料を配置してもよい。また、その逆で、第1の導体線221Aの上面223側に金属材料を配置し、下面224側にカーボン系材料を配置してもよい。
また、上述の実施形態では、配線体は、タッチセンサに用いられるとして説明したが、配線体の用途は特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒーターとして用いてもよい。この場合、導体パターンの導電性粉末としては、比較的電気抵抗値の高いカーボン系材料を用いることが好ましい。また、配線体の導体部の一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。