以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るタッチセンサ1を示す平面図、図2はそのタッチセンサ1を示す分解斜視図、図3は本発明の一実施形態に係る配線体4を示す平面図、図4は図3のIV-IV線に沿った断面図である。
本実施形態の第1の配線体4を備えるタッチセンサ1は、投影型の静電容量方式のタッチパネルセンサであり、例えば、表示装置(不図示)等と組み合わせて、タッチ位置を検出する機能を有する入力装置として用いられる。表示装置としては、特に限定されず、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等を用いることができる。このタッチセンサ1は、相互に対向して配置された検出電極と駆動電極(後述する電極4Aと電極9A)を有しており、この2つの電極の間には、外部回路(不図示)から所定電圧が周期的に印加されている。
このようなタッチセンサ1では、例えば、操作者の指(外部導体)がタッチセンサ1に接近すると、この外部導体とタッチセンサ1との間でコンデンサ(静電容量)が形成され、2つの電極間の電気的な状態が変化する。タッチセンサ1は、2つの電極間の電気的な変化に基づいて、操作者の操作位置を検出することができる。
図1及び図2に示すように、タッチセンサ1は、基材3と、第1の配線体4と、樹脂層8と、第2の配線体9とを備えた配線基板から構成されている。このタッチセンサ1は、上記表示装置の視認性を確保するために、全体的に透明性(透光性)を有するように構成されている。本実施形態における「タッチセンサ1」が本発明における「タッチセンサ」、「配線基板」の一例に相当する。また、本実施形態における「第1の配線体4」、「第2の配線体9」が本発明における「配線体」の一例に相当する。
基材3は、可視光線が透過可能であると共に第1の配線体4を支持する透明な基材である。こうした基材3を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、グリーンシート、ガラス等を例示できる。この基材3に、易接着層や光学調整層が形成されていてもよい。本実施形態における「基材3」が本発明における「支持体」の一例に相当する。
第1の配線体4は、図3に示すように、複数の検出用の電極4Aと、複数の引出線4Bと、複数の端子4Cとを有している。なお、この第1の配線体4が有する電極4Aの数は、特に限定されず、任意に設定することができる。また、第1の配線体4が有する引出線4Bの数や端子4Cの数は、電極4Aの数に応じて設定される。
それぞれの電極4Aは、第1の線状体10Aと第2の線状体10Bとを交差させて構成されており、全体として四角形を繰り返す網目形状を有している。また、それぞれの電極4Aは、図中Y方向に延在しており、複数の電極4Aは、図中X方向に並列されている。それぞれの電極4Aの長手方向一端には引出線4Bの一端が接続されている。また、各引出線4Bの他端には端子4Cが設けられている。この端子4Cが外部回路に電気的に接続される。なお、以下の説明では、必要に応じて「第1の線状体10A」及び「第2の線状体10B」を「線状体10」と総称する。
本実施形態の電極4Aでは、以下のように、線状体10を配する。第1の線状体10Aは、X方向に対して+45°傾斜した方向(以下、単に「第1の方向」との称する。)に沿って直線状に延びている。当該複数の第1の線状体10Aは、この第1の方向に対して直交する方向(以下、単に「第2の方向」とも称する。)に等ピッチP1で並べられている。これに対し、第2の線状体10Bは、第2の方向に沿って直線状に延びており、当該複数の第2の線状体10Bは、第1の方向に等ピッチP2で並べられている。そして、これら第1及び第2の線状体10A,10Bが互いに直交することで、四角形状の単位網目を繰り返す網目状の電極4Aが形成されている。
なお、電極4Aの構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第1の線状体10AのピッチP1と第2の線状体10BのピッチP2とを同一として、正方形状の単位網目となっているが(P1=P2)、特にこれに限定されず、第1の線状体10AのピッチP1と第2の線状体10BのピッチP2とを異ならせてもよい(P1≠P2)。
また、本実施形態では、第1の線状体10Aの延在方向である第1の方向は、X方向に対して+45°傾斜した方向とされている。また、第2の線状体10Bの延在方向である第2の方向は、第1の方向に対して直交する方向とされている。しかしながら、この第1及び第2の方向(すなわち、X軸に対する第1の方向の角度やX軸に対する第2の方向の角度)は、任意に設定することができる。
また、上記網目状の電極4Aの単位網目の外形は、次のような幾何学模様であってもよい。すなわち、網目状の電極4Aの単位網目の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、単位網目の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。
このように、網目状の電極4Aとして、種々の図形単位を繰り返して得られる幾何学模様を、当該網目状の電極4Aの単位網目の形状として用いることができる。また、本実施形態では、線状体10は、直線状とされているが、線状に延在しているのであれば、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
図4に示すように、それぞれの配線体10は、基材3上に形成された樹脂部5と、この樹脂部5上に形成された導体部6とを備えている。本実施形態における第1の配線体4の網目状の電極4Aでは、導体部6が、網目状パターンを構成していると共に、樹脂部5が、導体部6と同様の網目状パターンを構成しており、導体部6と樹脂部5とが相互に重ね合わされている。つまり、本実施形態における第1の配線体4では、相互に隣接する線状体10の間の部分は空隙となっており、その部分に樹脂部5は介在していない。本実施形態における「樹脂部5」が本発明における「樹脂部」の一例に相当し、本実施形態における「導体部6」が本発明における「導体部」の一例に相当する。
樹脂部5は、線状体10の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面形状として、横長(幅方向が長手方向)の矩形状を有しており、頂面5A、底面5B及び両側の側面5Cが平坦である。それに対して、導体部6は、頂面6A、底面6Bは平坦であるが、両側の側面6Cは、外側に向かって弧状に突出している。
本実施形態において、樹脂部5の頂面5Aの幅と導体部6の底面6Bの幅とは等しくなっている。また、樹脂部5の底面5Bの幅と導体部6の底面6Bの幅とは等しくなっている。これらの幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましい。また、導体部6の厚さ(高さ)は、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
ここで、導体部6の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面形状は、互いに平行な上下辺が左右の円弧で結ばれた形状であるところ、該円弧の曲率半径Rと、下辺の長さ(底面61Bの幅)H1とは下記(1)の関係を満たすように設定されている。
R≧H1×1/2 …(1)
即ち、導体部6の底面6Bの幅H1が1μmであれば、上記曲率半径Rは0.5μm以上に設定され、導体部6の底面6Bの幅H1が3μmであれば、上記曲率半径Rは、1.5μm以上に設定される。
また、頂面6Aの幅H2と底面6Bの幅H1とは、下記(2)式の関係を満たすように設定されている。
[数1]
0.1×H1≦H2≦0.75×H1 …(2)
本実施形態における導体部6の底面6Bの面粗さは、導体部6と樹脂部5とを強固に固定する観点から、頂面6Aの面粗さに対して相対的に粗いことが好ましい。具体的には、底面6Bの面粗さRaが0.1〜3.0μm程度であるのに対し、頂面6Aの面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、当該頂面6Aの面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。
本実施形態の樹脂部5を構成する材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。
本実施形態の導体部6は、導電性ペーストを塗布して硬化させることで形成されている。この導体部6を構成する導電性ペーストの具体例としては、導電性粉末もしくは金属塩が、バインダ樹脂、水もしくは溶剤、および各種添加剤を混合して構成される導電性ペーストを例示することができる。導電性粉末としては、銀、銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属や、グラファイト等を挙げることができる。金属塩としては、これら金属の塩を挙げることができる。また、導電性ペーストに含まれるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を例示することができる。導電性ペーストに含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。
なお、本実施形態において、導体部6の幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましい。また、導体部6の厚さ(高さ)は、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
本実施形態における「頂面6A」が本発明における「頂面」の一例に相当し、本実施形態における「底面6B」が本発明における「底面」の一例に相当し、本実施形態における「側面6C」が本発明における「側面」の一例に相当する。
図1に示すように、樹脂層8は、第1の配線体4を覆うように基材3の上に形成されている。この樹脂層8は、電極4A、引出線4B、及び端子4Cが存在しない領域、並びに、電極4Aの線状体10間の空隙の領域では、基材3上に直接積層されている。
この樹脂層8は、第1の配線体4の導体部6(図4参照)と第2の配線体9の導体部(図示省略)との間の絶縁を確保する機能を有する絶縁層である。この樹脂層8は、可視光線が透過可能な透明性(透光性)を有する材料により構成されている。こうした透明な樹脂層8を構成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。
第2の配線体9は、複数の電極9Aと、複数の引出線9Bと、複数の端子9Cとを有している。なお、この第2の配線体9が有する電極9Aの数は、特に限定されず、任意に設定することができる。また、第2の配線体9が有する引出線9Bの数や端子9Cの数は、電極9Aの数に応じて設定される。
それぞれの電極9Aは、第1の配線体4のそれぞれの電極4Aに対して直交する方向(図中X方向)に延在しており、複数の電極4Aは、図中Y方向に並列されている。電極9Aの構成は、第1の配線体4の電極4Aと同様である。また、それぞれの電極9Aの長手方向一端には引出線9Bの一端が接続されている。また、それぞれの引出線9Bの他端には端子9Cが設けられている。この端子9Cが外部回路に電気的に接続される。
次に、本実施形態における第1の配線体4の製造方法について説明する。図5は、本実施形態における第1の配線体4の製造方法を説明するための工程図である。図6(A)〜(F)及び図7(A)〜(G)は、本実施形態における第1の配線体4の製造方法を説明するための断面図である。
まず、図5のステップ100において、図6(A)〜図6(F)に示すように、第1の配線体4を製造するのに用いる凹版11を作製する。
凹版11の作製工程では、まず、平板12を準備する。平板12を構成する材料としては、シリコン、ニッケル、二酸化珪素等のガラス類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができるところ、本実施形態では、シリコンを採用する。次に、図5のステップ110において、図6(A)に示すように、平板12の一方の主面に酸化膜14を形成する。酸化膜14を形成する材料として、本実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)を採用する。
次に、図5のステップS120において、図6(B)に示すように、酸化膜14上にレジスト15を形成し、図5のステップS130において、図6(C)に示すように、レジスト15のトレンチ13に対応する領域を、選択的に露光することにより開口させる。次に、図5のステップS140において、図6(D)に示すように、レジスト15の開口を通して酸化膜14に対して等方性エッチングを施す。ここで、酸化膜14に対して等方性エッチングを施すことにより、酸化膜14において、レジスト15の無い領域のみならずレジスト15の直下の領域をも含んで半円状にエッチングを進行させる。なお、本実施形態では、等方性エッチングとして、フッ酸をエッチング液として使用するウェットエッチングを採用する。
そして、図6(E)に示すように、エッチングを酸化膜14と平板12との境界まで進行させる。ここで、エッチングが酸化膜14と平板12との境界まで達した後は、酸化膜14のエッチングレートが平板12のエッチングレートよりも高いことにより、エッチングは下方には進行せず、側方にのみ進行する。これにより、底面は平坦で側面は幅方向外側に弧状に膨らんだトレンチ13が、凹版11に形成される。
その後、図5のステップS150において、図6(F)に示すように、トレンチ13を形成した凹版11の一方の主面からレジスト15を除去する。
なお、本実施形態では、トレンチ13の開口の幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜3μmであることがさらに好ましい。トレンチ13の深さとしては、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
次に、図5のステップS200以降において、図7(A)〜図7(G)に示すように、第1の配線体4を製造する。まず、図7(A)に示すように、トレンチ13内に導電性材料16を充填する。導電性材料16としては、上述したような導電性ペーストを用いる。
また、導電性材料16を凹版11のトレンチ13に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後にトレンチ13以外に塗工された導電性材料16をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料16の組成等、凹版11の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
次に、図5のステップS300において、図7(B)に示すように、トレンチ13に充填した導電性材料16を乾燥もしくは加熱する。導電性材料16の乾燥もしくは加熱の条件は、導電性材料16の組成等に応じて適宜設定することができる。
ここで、乾燥もしくは加熱の処理により、導電性材料16に体積収縮が生じる。この際、導電性材料16の底面は、トレンチ13の底面の形状に沿って平坦になるのに対して、導電性材料16の側面の形状は、トレンチ13の側面の形状に沿って円弧状になる。また、導電性材料16の頂面の形状は、トレンチ13の形状に影響されない。ここで、導電性材料16の頂面には微細な凹凸形状が形成される。
次に、図5のステップS400において、図7(C)に示すように、樹脂部5を形成するための樹脂材料17を凹版11上に塗布する。このような樹脂材料17としては、上述した樹脂材料を用いる。また、樹脂材料17を凹版11上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法を例示することができる。この塗布により、トレンチ13内に樹脂材料17が入り込む。
次に、図5のステップS500において、図7(D)に示すように、凹版11上に塗布された樹脂材料17の層の上に基材3を配置する。本工程は、樹脂材料17と基材3との間に気泡が入り込むことを抑制するために、真空下で行うことが好ましい。基材3の材料は上述したものを例示できる。
次に、図5のステップS600において、樹脂材料17を硬化させる。樹脂材料17を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザ光等のエネルギ線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。その後、図7(E)に示すように、基材3、樹脂材料17及び導体部6を凹版11から離型することにより、樹脂材料17及び導体部6を基材3に追従させて凹版11から剥離させる。なお、本実施形態では、樹脂材料17を凹版11上に塗布した後に基材3を凹版11に積層しているが、特にこれに限定されない。例えば、基材3の主面(凹版に対向する面)に予め樹脂材料17を塗布したものを凹版11上に配置することにより、樹脂材料17を介して基材3を凹版11に積層してもよい。
次に、図5のステップS700において、図7(F)に示すように、導体部6及び樹脂材料17を覆うレジスト18を形成した後に、レジスト18の導体部6の無い領域(樹脂材料17の平坦部17Aを覆う領域)を選択的に露光することにより開口させる。次に、図5のステップS800において、図7(G)に示すように、エッチング処理によりレジスト18から露出した樹脂材料17の平坦部17Aを基材3から除去し、その後、レジスト18を除去する。エッチング処理としては、フッ酸等を用いたウェットエッチング等を例示することができる。以上により、樹脂部5と導体部6とから構成される線状体10を備え、導体部6の頂面6Aが平坦で側面61Cが外側に円弧状に突出した第1の配線体4を得ることができる。
なお、特に図示しないが、上記工程を実行して第1の配線体4を得た後、樹脂層8を構成する透明な樹脂材料を、第1の配線体4を覆うように塗布する。このような樹脂材料としては、上述したような透明な樹脂材料を用いる。
なお、樹脂層8を構成する透明な樹脂材料の粘度は、塗布時の十分な流動性を確保する観点から、1mPa・s〜10,000mPa・sであることが好ましい。また、硬化後の樹脂の貯蔵弾性率は、導体部6の耐久性の観点から、106Pa以上、109Pa以下であることが好ましい。樹脂層8の樹脂材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
また、特に図示しないが、樹脂層8の樹脂材料が硬化した後、樹脂層8上に、第2の配線体9を形成することにより、本実施形態のタッチセンサ1を得ることができる。第2の配線体9は、第1の配線体4の形成方法と同様の方法により形成することができる。
図8は、第1の比較例に係る配線体104の作用を示す断面図であり、図9は、第2の比較例に係る配線体204の作用を示す断面図である。
図8に示すように、第1の比較例に係る配線体104は、線状体100を備えている。この線状体100は、の樹脂部5と、樹脂部5上に形成された導体部106とを備えている。
導体部106は、線状体100の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面形状が矩形状である。このため、同図において矢印で示すように、導体部106の頂面106Aでは光の散乱が抑えられるのに対して、導体部106の頂面106Aと側面106Bとの境界である角部106Cにおいて、光の散乱が顕著に生じる。これにより、導体部106が視認し易くなる。
ここで、側面106Bを傾斜させて角部106Cの角度を鈍角にすることにより、該角部106Cにおける光の散乱を抑えることができる。しかしながら、側面106Bの傾斜角度を大きくするほど、頂面106Aの幅が狭くなり、光の散乱が抑えられる領域が狭くなる。
図9に示すように、第2の比較例に係る配線体204は、線状体200を備えている。この線状体200は、樹脂部5と、樹脂部5上に形成された導体部206とを備えている。
導体部206は、線状体200の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面形状が半円形状であり、導体部206の底面を除く外面の全体が、円弧状となっている。即ち、導体部206には、光の散乱が抑えられる平坦な頂面が存在しない。このため、導体部206では、頂部を含む外面全体において光の散乱が生じる。これにより、導体部206が視認し易くなる。
これらの比較例に対して、図4に示すように、本実施形態に係る第1の配線体4では、まず、導体部6に、光の散乱が抑えられる頂面61Aが存在する。そして、導体部61の側面61Cが、外側に弧状に突出していることにより、該側面61Cが平面である場合に比して、該側面61Cと頂面61Aとの境界部の角度が大きく(緩やかに)なっている。従って、第1及び第2の比較例に比して、導体部6で生じる光の散乱が抑えられ、導体部6が視認し難くなる。
また、本実施形態に係る第1の配線体4では、導体部6の側面6Cの曲率半径Rと、導体部6の底面6Bの幅H1とが上記(1)式(R≧H1×1/2)の関係を満たすように設定されている。これによって、平坦な頂面6Aと曲率半径Rの側面6Cとを有する導体部6が形成されるので、第2の比較例に比して、導体部6で生じる光の散乱が抑えられ、導体部6が視認し難くなる。
また、本実施形態に係る第1の配線体4では、導体部6の頂面6Aの幅H2と、導体部6の底面6Bの幅H1とが上記(2)式(0.1×H1≦H2≦0.75×H1)の関係を満たすように設定されている。即ち、光の散乱が抑えられる頂面6Aの幅H2を、底面6Bの幅H1の10%以上に設定することにより、第2の比較例に比して、導体部6で生じる光の散乱を抑えている。そして、頂面6Aの幅H2を、底面6Bの幅H1の75%以下に設定して側面6Cの曲率を確保することにより、第1の比較例に比して、頂面6Aと側面6Cとの境界部で生じる光の散乱を抑えている。
また、本実施形態に係る第1の配線体4では、樹脂部5が、線状体10を構成し、導体部6と重なる部分のみからなる。即ち、導体部61の無い領域には、樹脂部5を構成する樹脂材料が存在していない。これにより、第1の配線体4の導体部6の存在しない領域の透明性を高めることができる。また、樹脂部5を着色することも可能となる。
また、本実施形態に係る第1の配線体4では、導体部6の底面6Bの表面粗さは、導体部6の頂面6Aの表面粗さに対して相対的に粗くなっている。これにより、導体部6の底面6Bと樹脂部5との密着性を向上でき、これらの剥離を抑制できる。
また、本実施形態に係る第1の配線体4の製造方法(図6及び図7参照)では、まず、平板12と、それよりもエッチングレートが高い酸化膜14とが積層された版を準備する。そして、酸化膜14の上にレジスト15を形成し、このレジスト15の導体部6に対応する箇所を開口させた後、酸化膜14に平板12との境界まで等方性エッチングを施すことにより、版に導体部6に対応するトレンチ13を形成する。ここで、等方性エッチングは、酸化膜14と平板12との境界に達した後は、トレンチ13の深さ方向には進行せずにトレンチ13の幅方向にのみ進行する。これにより、平坦な底面と外側に弧状に突出した側面とを有するトレンチ13が版に形成される。
その後、レジスト15を凹版11から除去し、凹版11に形成したトレンチ13に導体部6を構成する導電性材料16を充填して該導電性材料16を加熱する。そして、酸化膜14及び加熱された導電性材料16の上に、樹脂部5を構成する樹脂材料17を塗布し、該樹脂材料17に基材3を被せる。その後、基材3を被せた樹脂材料17を硬化させ、基材3、硬化した樹脂材料17、及び加熱された導電性材料16を凹版11から剥離する。
以上により、樹脂部5と導体部6とから構成される線状体10を備え、導体部6の頂面6Aが平坦で側面61Cが外側に弧状に突出した第1の配線体4を形成できる。
ここで、トレンチ13の側面を外側に弧状に突出させたことにより、トレンチ13の底面と側面との境界部の角度が緩やかになっている。これによって、加熱された導電性材料16をトレンチ13から剥離する際に、導電性材料16の頂面6Aと側面6Cとの境界部に亀裂が生じることを抑制できる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述の実施形態では、第1の配線体4を、線状体10が存在しない領域には樹脂材料が存在しないように構成したが、これは必須ではない。例えば、図10に示すように、第1の配線体4は、線状体10が存在しない領域に、樹脂材料から構成される平坦部17Aを備えてもよい。この場合、平坦部17Aは、樹脂部5から側方に向かって面状に広がるように形成されており、樹脂部5は、平坦部17Aから突出するように形成されている。この平坦部17Aは、樹脂部5の樹脂材料と同一の組成の樹脂材料から構成されており、樹脂部5と一体的に形成されている。即ち、この平坦部17Aは、相互に隣り合う樹脂部5の間に介在してその間を埋めており、樹脂部5と平坦部17Aは、第1の配線体4の全体に面状に広がる樹脂層を形成している。このように第1の配線体4を構成することにより、上述の第1の配線体4の製造方法において、図7(F)に示すレジスト18を形成する工程と、図7(G)に示すエッチング工程とを省略できる。また、第2の配線体9を同様の構成にした場合には、第2の配線体9の樹脂部5に、樹脂層8の機能をもたせることが可能になるので、タッチセンサ1から樹脂層8を省略することが可能になる。なお、この形態では、「平坦部17A」が本発明の「平坦部」の一例に相当する。
また、たとえば、タッチセンサ1から基材3を省略してもよい。この場合において、たとえば、樹脂部5の下面に剥離シートを設け、実装時に当該剥離シートを剥がして実装対象(フィルム、表面ガラス、偏光板、ディスプレイ等)に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。なお、この形態では、「樹脂部5」が本発明の「樹脂部」の一例に相当し、「実装対象」が本発明の「支持体」の一例に相当する。また、第1の配線体4を覆う樹脂層8を介して、上述の実装対象に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。
また、上述の実施形態のタッチセンサ1は、2層の導体部からなる投影型の静電容量方式のタッチパネルセンサであるが、特にこれに限定されず、1層の導体層からなる表面型(容量結合型)静電容量方式のタッチパネルセンサにも、本発明を適用することができる。
さらに、上述の実施形態では、配線体又は配線基板は、タッチパネルセンサに用いられるとして説明したが、特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒーターとして用いてもよい。また、配線体の導体部の一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。この場合、配線体を実装する実装対象が本発明の「支持体」の一例に相当する。