以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。なお、図1,図2に示す筐体2は、コンロの筐体であり、説明の便宜上、その開口する上部に固定される天板と前壁10(図3参照)は省略する。
図1〜図4を参照し、筐体2の構造について説明する。筐体2は、金属製であり、前壁10(図3参照)、右側壁11、左側壁12、背壁13、底壁14を備えている。筐体2は、上面が開口する略直方体状に形成されている。図3,図4に示すように、前壁10の上端部には、前方に向けて略直角に折り返して形成された受け部10Aが設けられている。受け部10Aは、天板の前端部を下方から受けて支持する。受け部10Aの中央、右側、左側の各部分には、3つの係止爪17が設けられている。係止爪17は、受け部10Aに支持された天板の前端部の下部に係止する。
図1〜図4に示すように、右側壁11の上端部には、右方に向けて略直角に折り返して形成された受け部11Aが設けられている。受け部11Aは、天板の右端部を下方から受けて支持する。左側壁12の上端部には、左方に向けて略直角に折り返して形成された受け部12Aが設けられている。受け部12Aは、天板の左端部を下方から受けて支持する。背壁13の上端部には、後方に向けて略直角に折り返して形成された受け部13Aが設けられている。受け部13Aは、天板の前端部を下方から受けて支持する。受け部13Aの両角部には、天板固定部18,19が夫々固定されている。天板固定部18,19は、ネジ(図示略)で天板の後端側を固定する。
筐体2の内側において、右側壁11と左側壁12との間には、左右方向に延びる細長板状の梁部材7,8が渡設されている。梁部材7は前側に、梁部材8は後ろ側に配置され、互いに平行になるように設けられている。梁部材7の上面左側には、コンロバーナ5が支持され、梁部材8の上面右側には、コンロバーナ4が支持されている。これらコンロバーナ4,5は、図示しない天板の対角線上に設けられた二つの開口部(図示略)から夫々の炎孔部(図示略)を天板上に突出させる形態で配置されている。例えば、右奥側のコンロバーナ4は標準バーナ、左手前側のコンロバーナ5は強火力バーナである。
前壁10の内面の右側には、取付部材20が筐体2の内側に張り出すように設けられ、ネジ29,29で固定されている。取付部材20には、ガス供給装置80,90がネジ16,16で取り付けられている。ガス供給装置80は右側、ガス供給装置90は左側に配置されている。ガス供給装置80には、押し回し式の操作ツマミ201が設けられ、ガス供給装置90には、押し回し式の操作ツマミ202が設けられている。なお、これら操作ツマミ201,202は、天板の前端部の右側に設けられる操作部上(図示略)に配置される。
ガス供給装置80とコンロバーナ4との間には、ガス配管121が接続されている。ガス供給装置90とコンロバーナ5との間には、ガス配管122が接続されている。ガス供給装置80は、操作ツマミ201の押し回し操作により、コンロバーナ4に設けられるイグナイタ301を駆動させ、操作ツマミ201の回動操作に応じて、ガス配管121を介してコンロバーナ4に供給するガス流量を調整する。他方、ガス供給装置90も、操作ツマミ202の押し回し操作により、コンロバーナ5に設けられるイグナイタ302を駆動させ、操作ツマミ202の回動操作に応じて、ガス配管122を介してコンロバーナ5に供給するガス流量を調整する。
図2,図4に示すように、底壁14の左前角部近傍には、固定部30が設けられている。固定部30には、筐体2の外側からガス供給管(図示略)の端部が固定され、筐体2の内側から後述するガス配管70の端部71に取り付けられた配管固定具50が固定される。ガス供給管は、コンロが設置されるキッチンに設けられたガス栓(図示略)に接続され、コンロにガスを供給する。ガス供給管とガス配管70は、固定部30を介して互いに接続している。固定部30には、後述する挿通孔33が設けられている。ガス供給管から供給されるガスは、挿通孔33を介してガス配管70に流れる。
ガス配管70は、固定部30に固定された配管固定具50から右方に延びている。ガス配管70のガスが流れる方向の下流側の端部72は閉塞されている。ガス配管70の端部72側の外周面には、ガス供給装置80,90が接続されている。ガス供給装置80,90の夫々の下部に設けられた接続部811,911は、ガス配管70の内側のガス通路と連通している。これにより、ガス配管70を流れたガスは、接続部811,911を介してガス供給装置80,90に流入する。本実施形態では、上記の通り、ガス供給装置80,90、ガス配管70、配管固定具50は互いに固定されており、一つのガス供給ユニット40(図2,図5参照)を構成している。
図2〜図4を参照し、取付部材20の形状を説明する。取付部材20は、側面視略L字型に折曲された金属の板部材であり、ガス供給ユニット40のうち、ガス供給装置80,90を筐体2の前壁10の内面に取り付けるものである。取付部材20は、固定部21と支持部22を備える。固定部21は、筐体2の前壁10の内面に密着してネジ29,29(図2,図4参照)で固定される部位であり、背面視横長の略矩形状に形成されている。支持部22は、固定部21の上端部から後方に対して斜め上方に延び、筐体2の内側に張り出すように形成された平面視横長の略矩形状の部位である。支持部22は、ガス供給装置80,90を上方に支持する部分である。支持部22の上端部の中央には、下端側に略矩形状に窪んで形成された凹部23が設けられている。
その凹部23よりも右側において、右側から順に、固定孔241、凹部242、スリット243が設けられている。固定孔241には、ガス供給装置80を支持部22に固定する為のネジ16が締結される。凹部242は、支持部22の下端部に向かって略円弧状に窪んで形成されている。凹部242は、取付部材20に支持されるガス供給装置80の後述するバルブボディ81との干渉を避ける。スリット243には、ガス供給装置80に設けられた後述する差込爪86(図2参照)が差し込まれて係合する。他方、凹部23よりも左側において、右側から順に、固定孔251、凹部252、スリット253が設けられている。固定孔251には、ガス供給装置90を支持部22に固定する為のネジ16が締結される。凹部252は、支持部22の下端部に向かって略円弧状に窪んで形成されている。凹部252は、取付部材20に支持されるガス供給装置90の後述するバルブボディ91との干渉を避ける。スリット253には、ガス供給装置80に設けられた後述する差込爪96(図2参照)が差し込まれて係合する。
図2,図4を参照し、固定部30の形状を説明する。固定部30は、台座部31、挿通孔33、四つの固定孔38等を備える。台座部31は、底壁14から上方に隆起する平面視略円形状に形成され、その外周縁部には径方向外側に向かうにつれて下る斜面が形成されている。台座部31の上面には、平面状の固定面32が設けられている。固定面32には、配管固定具50の後述するフランジ部52の下面に設けられた段部54(図6参照)の下面が密着して固定される。挿通孔33は、固定面32の中央に設けられ、平面視略円形状に形成されている。挿通孔33の内縁部には、係止凹部35〜37が設けられている。係止凹部35は、筐体2の右斜め後方の位置に設けられ、係止凹部36は、筐体2の左斜め前側の位置に設けられ、係止凹部37は、筐体2の右斜め前側の位置に設けられている。係止凹部35,36は、挿通孔33の中心を挟んで、互いに対向する位置に配置されている。係止凹部35,36は、平面視略半円状に形成され、係止凹部37は、平面視略矩形状に形成されている。四つの固定孔38は、固定面32において、挿通孔33の前側、右側、左側、後ろ側に夫々設けられている。
図5を参照し、ガス供給装置80,90の構造を説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、操作軸82,92の延設方向が前後方向に向いた状態を基本姿勢として説明する。ガス供給装置80は、バルブボディ81、操作軸82、回動板83、支持部材84、板バネ101等を備える。バルブボディ81は略筒状に形成され、内部にガス通路、ニードル弁、複数の弁(図示略)等を備える。バルブボディ81の下部に設けられた接続部811には、ガス流入口(図示略)が設けられている。ガス流入口は、バルブボディ81内のガス通路に繋がっている。接続部811は、ガス配管70の端部72側に接続される。ガス配管70において接続部811が接続される部分には、ガス配管70の内側と連通する第一孔部(図示略)が設けられている。これにより、ガス配管70の第一孔部から流出したガスは、接続部811に設けられたガス流入口を介して、バルブボディ81内のガス通路に流れる。バルブボディ81の背面側上部には、ガス流出口(図示略)が設けられている。ガス流出口からは、ガス通路内のニードル弁等で流量が調整されたガスが流出する。ガス流出口には、ガス配管121(図1参照)のガスが流れる上流側の端部が接続されている。ガス配管121の下流側の端部は、コンロバーナ4に接続されている。
操作軸82は、バルブボディ81の前端部から斜め前方に突出されている。操作軸82の先端部には、上述の操作ツマミ201(図1参照)が取り付けられる。操作ツマミ201を介して操作軸82が回動されることによって、バルブボディ81内の弁の開閉、及びニードル弁(図示略)の開度が調整される。回動板83は、操作軸82に固定され、軸方向から見て略扇型に形成されている。回動板83の前面には、後述する板バネ101の先端部に設けられたピン(図示略)が摺動する。さらに、回動板83の前面において、操作軸82の回動に伴って摺動するピンの軌跡上で、且つ小火力と中火力の境界に相当する位置には、ピンを落着させる為の孔部831が設けられている。
支持部材84は、側面視逆U字型に形成され、バルブボディ81の前端部に固定されている。支持部材84は、例えば一枚の板金を折り曲げて形成され、重合部841、前方突出部842、支持部843を備える。重合部841は、正面視略矩形状に形成され、操作軸82の長手方向に直交する方向に延設されている。重合部841は、バルブボディ81の前端部に固定されている。重合部841の左下角部には、重合部841の背面側に折れ曲がって突出する差込爪86が設けられている。重合部841の右下角部近傍には、固定孔87が設けられている。
前方突出部842は、重合部841の上端部から前方に延び、平面視略矩形状に形成されている。支持部843は、前方突出部842の前端部から下方に延設され、操作軸82及び回動板83との干渉を避けるように、正面視略逆L字状に形成されている。板バネ101は、支持部843の前面に固定されている。板バネ101は、上下方向に延びる正面視略帯状に形成され、先端部には、後方に突出する略円錐状のピン(図示略)が固定されている。板バネ101は、ピンを回動板83の前面に対して押しつけるように付勢する。ピンは、操作軸82と一体して回動する回動板83の前面を摺動する。例えば、操作ツマミ201を回動させて、中火力から小火力に調整する場合、ピンは孔部831に一旦落着する。そのときの衝撃が操作軸82及び操作ツマミ201を介して、ユーザの手にクリック感として付与される。
ガス供給装置90は、ガス供給装置80と同様に、バルブボディ91、操作軸92、回動板93、支持部材94、板バネ102等を備える。バルブボディ91も略筒状に形成され、内部にガス通路、ニードル弁、複数の弁(図示略)等を備える。バルブボディ91の下部に設けられた接続部911には、ガス流入口(図示略)が設けられている。ガス流入口は、バルブボディ91内のガス通路に繋がっている。接続部911は、ガス配管70の端部72側であって、ガス供給装置80の右隣りに接続される。ガス配管70において接続部911が接続される部分には、ガス配管70の内側と連通する第二孔部(図示略)が設けられている。これにより、ガス配管70の第二孔部から流出したガスは、接続部911に設けられたガス流入口を介して、バルブボディ91内のガス通路に流れる。バルブボディ91の背面側上部には、ガス流出口912が設けられている。ガス流出口912からは、ガス通路内のニードル弁等で流量が調整されたガスが流出する。ガス流出口912には、ガス配管122(図1参照)のガスが流れる上流側の端部が接続されている。ガス配管122の下流側の端部は、コンロバーナ5に接続されている。
操作軸92は、バルブボディ91の前端部から斜め前方に突出されている。操作軸92の先端部には、上述の操作ツマミ202(図1参照)が取り付けられる。操作ツマミ202を介して操作軸92が回動されることによって、バルブボディ91内の弁の開閉、及びニードル弁(図示略)の開度が調整される。回動板93は、操作軸92に固定され、軸方向から見て略扇型に形成されている。回動板93の前面には、後述する板バネ102の先端部に設けられたピン(図示略)が摺動する。さらに、回動板93の前面において、操作軸92の回動に伴って摺動するピンの軌跡上で、且つ小火力と中火力の境界に相当する位置には、ピンを落着させる為の孔部931が設けられている。
支持部材94は、側面視逆U字型に形成され、バルブボディ91の前端部に固定されている。支持部材94は、例えば一枚の板金を折り曲げて形成され、重合部941、前方突出部942、支持部943を備える。重合部941は、正面視略矩形状に形成され、操作軸92の長手方向に直交する方向に延設されている。重合部941は、バルブボディ91の前端部に固定されている。重合部941の左下角部には、重合部941の背面側に折れ曲がって突出する差込爪96が設けられている。重合部941の右下角部近傍には、固定孔97が設けられている。
前方突出部942は、重合部941の上端部から前方に延び、平面視略矩形状に形成されている。支持部943は、前方突出部942の前端部から下方に延設され、操作軸92及び回動板93との干渉を避けるように、正面視略逆L字状に形成されている。板バネ102は、支持部943の前面に固定されている。板バネ102は、上下方向に延びる正面視略帯状に形成され、先端部には、後方に突出する略円錐状のピン(図示略)が固定されている。板バネ102は、ピンを回動板93の前面に対して押しつけるように付勢する。ピンは、操作軸92と一体して回動する回動板93の前面を摺動する。例えば、操作ツマミ202を回動して、中火力から小火力に調整する場合、ピンは孔部931に一旦落着するので、そのときの衝撃が操作軸92及び操作ツマミ202を介して、ユーザの手にクリック感として付与される。
図5〜図7を参照し、配管固定具50の構造を説明する。配管固定具50は、本体部51とフランジ部52を備える。本体部51は、上下方向に延びる略円筒状に形成され、その内側には、軸線方向に延びるガス通路53が形成されている。本体部51の外周面には、斜め上方に突出する略円筒状の第一固定部57が設けられている。第一固定部57の内側には、ガス通路571が設けられている。ガス通路571は、本体部51のガス通路53の途中から分岐する。第一固定部57には、ガス配管70の端部71が接続される(図5参照)。そして、本体部51の開口する上端部には、第二固定部58が設けられている。第二固定部58は、筐体2内にグリル(図示略)が設置された場合に、そのグリルにガスを供給する為のガス配管(図示略)の端部が接続される。これにより、コンロを組み立てる作業者は、グリル用のガス配管の端部を、配管固定具50の第二固定部58に接続するだけで、ガス供給管から供給されるガスを、ガス配管70だけでなく、グリル用のガス配管にも流すことができる。これにより、筐体2内の配管構成が簡素化されるので、組立性能をより一層向上できる。なお、本実施形態のようにグリルが設置されないコンロの場合は、第二固定部58を使用しないので、第二固定部58の内側は閉塞される。
フランジ部52は、本体部51の下部の外周面から径方向外側に鍔状に延びる底面視略リング状(図7参照)に形成されている。フランジ部52の下面には、段部54が設けられている。段部54は、フランジ部52の下面から下方に突出して上下方向に厚みを有し、底面視略リング状に形成されている。段部54の下面は平面である。そのような段部54の下面には、4つの固定孔61A〜61Dが周方向に互いに等間隔に設けられている。固定孔61Aと61Cは、段部54の中心部を挟んで互いに対向し、固定孔61Bと61Dは、段部54の中心部を挟んで互いに対向する位置関係にある。さらに、固定孔61Aと61Bは、段部54の下面において、第一固定部57に対応する部分を周方向の両側から挟み込む位置に配置されている。なお、フランジ部52の外周縁部において、固定孔61A〜61Dに対応する各部分は、夫々径方向外側に向けて略円弧状に隆起している。それ故、固定孔61A〜61D周囲が補強されている。
段部54の下面の中心部には、略円筒状の接続部55が下方に突出して設けられている。接続部55の内側は、本体部51内のガス通路53と連通している。接続部55の外周面には、径方向外側に突出する三つの突起部63〜65が設けられている。図7に示すように、フランジ部52を底面側から見た場合、突起部63は、第一固定部57に対応する位置に配置されている。突起部64は、固定孔61Aと61Dの間に配置されている。突起部65は、固定孔61Bと61Cの間に配置されている。突起部63は、底面視略矩形状に形成され、固定部30の挿通孔33に設けられた係止凹部37(図4参照)の形状と対応している。突起部64,65は、突起部63よりも大きく、且つ全体が底面視略半円弧状に膨出しており、固定部30の挿通孔33に設けられた係止凹部35,36(図4参照)の形状と対応している。突起部64には、固定孔64Aが設けられている。突起部65には、固定孔65Aが設けられている。
図1〜図3を参照し、筐体2に対するガス供給ユニット40の組み付け方法の一例を説明する。本実施形態では、ガス供給装置80,90、ガス配管70、配管固定具50を一つにユニット化したガス供給ユニット40(図5参照)を、筐体2内に組み付ける。
図2に示すように、作業者は、先ず、ガス供給ユニット40を筐体2の上側から組み付ける前に、筐体2の上方において、ガス供給ユニット40の向きを調整する。即ち、ガス供給装置80,90が、筐体2の前壁10の内面の右側に固定された取付部材20の上方に位置し、配管固定具50が筐体2の底壁14に設けられた固定部30の上方に位置するように、ガス供給ユニット40の向きを調整する。次いで、ガス供給ユニット40の位置を降ろし、ガス供給装置80,90の支持部材84,94の重合部841,941の夫々の裏面を、取付部材20の支持部22の斜め上方に向く上面に重ねる。さらに、重合部841に設けられた差込爪86を、取付部材20の支持部22に設けられたスリット243に差し込み、重合部941に設けられた差込爪96を、取付部材20の支持部22に設けられたスリット253に差し込む。このとき、例えば、配管固定具50を固定部30に設けられた挿通孔33に差し込んで配置することで、ガス供給ユニット40を自立させた状態で、筐体2内に仮組みすることができる。
作業者は、ガス供給ユニット40を自立させた状態で、重合部841に設けられた固定孔87を、取付部材20の支持部22に設けられた固定孔241に位置決めし、ネジ16(図1参照)で締結する。他方、重合部941に設けられた固定孔97を、取付部材20の支持部22に設けられた固定孔251に位置決めし、ネジ16(図1参照)で締結する。これにより、ガス供給装置80,90が取付部材20に取り付けられ、筐体2の前壁10の内面に支持される。
次いで、配管固定具50を、筐体2の底壁14に設けられた固定部30に位置決めし、配管固定具50のフランジ部52の下面に設けられた接続部55を、固定部30に設けられた挿通孔33に上方から挿入する。このとき、接続部55の外周面に設けられた突起部63を、固定部30の挿通孔33に設けられた係止凹部37に係合させる。さらに、接続部55の外周面に設けられた突起部64,65を、固定部30の挿通孔33に設けられた係止凹部35,36に夫々係合させる。これにより、挿通孔33に対して、接続部55が正しく位置決めされる。なお、突起部63は、係止凹部37にのみ係合でき、係止凹部35,36には係合できないので、挿通孔33に対して、接続部55の位置が周方向にずれて固定されるのを防止できる。また、突起部63が係止凹部37に係合し、突起部64,65が係止凹部35,36に夫々係合した状態では、挿通孔33に対して、接続部55が回ることが無いので、接続部55の位置がずれるのを防止できる。
この状態では、固定部30の台座部31の固定面32に対して、フランジ部52の段部54の下面が密着する。作業者は、段部54に設けられた固定孔61A〜61Dを、固定面32に設けられた4つの固定孔38に位置決めし、ネジ59(図1,図5参照)を締結することで、固定部30の台座部31の固定面32に対して、配管固定具50が強固に固定される。なお、筐体2の底壁14の外側において、固定部30の挿通孔33から配管固定具50の接続部55の下側の端面が露出している。この接続部55に対して、ガス供給管(図示略)の端部を接続する為に、該端部に設けられた二つの固定孔(図示略)を、接続部55の突起部64,65に設けられた固定孔64A,65Aに位置決めし、ネジ(図示略)を締結することで、接続部55に対してガス供給管の端部が固定される。このように、本実施形態では、筐体2の上側からガス供給ユニット40を取り付ける作業のみで、ガス供給ユニット40の組み付けができるので、組み付け性をより一層向上させることができる。
また、ガス供給ユニット40は、ガス供給装置80,90、ガス配管70、配管固定具50を一体化して構成されていることで、左右方向に長く大きな部品となるが、ガス供給装置80,90の支持部材84,94に設けられた重合部841,941を、筐体2の前壁10に固定された取付部材20の支持部22に重ねると共に、その重合部841,941に設けられた差込爪86,96を、取付部材20に設けられたスリット243,253に差し込むことで、大きなガス供給ユニット40を自立させた状態で仮組みすることができる。ガス供給ユニット40を自立させることで、ガス供給ユニット40を手で支えることなく、各固定孔をネジで順に締結できることから、作業性を向上できる。
また、本実施形態では、ガス供給ユニット40を構成するガス供給装置80,90を取付部材20に取り付けることで、その他のガス配管70、及び配管固定具50の夫々の位置も決まるようになっているので、各部材を個別に夫々位置決めする場合に比べて、作業性を容易化できる。特に本実施形態のコンロのように、筐体2内に大きな梁部材7,8が架設されていたり、横幅の狭いタイプのものでは、ガス供給装置80,90、ガス配管70、配管固定具50の夫々の部材の組み付けは困難であるが、本実施形態のように、ガス供給ユニット40として一つにユニット化し、筐体2内で自立させた状態で仮組みできるようにしたことで、組み付けは容易となるので、作業効率を向上させることができる。
以上説明において、取付部材20が本発明の「取付部」の一例である。差込爪86,96が本発明の「差込部」の一例である。固定孔241,251が本発明の「第一固定孔」の一例である。固定孔87,97が本発明の「第二固定孔」の一例である。配管固定具50の第二固定部58が本発明の「グリル配管用固定部」の一例である。
以上説明したように、本実施形態のコンロは、筐体2、ガス配管70、ガス供給装置80,90、コンロバーナ4,5を備える。ガス配管70とガス供給装置80,90は、互いに固定されて一体化したガス供給ユニット40を構成している。筐体2の底壁14には、固定部30が設けられている。固定部30は、ガス供給ユニット40のガス配管70の端部71を、配管固定具50で固定し、且つ外部からガスを供給する為のガス供給管の端部が固定される。筐体2の前壁10の内面には、筐体2の内側に張り出すように、取付部材20が固定されている。取付部材20には、固定孔241,251、及びスリット243,253が設けられている。ガス供給装置80,90には、取付部材20に対して上側から重なる重合部841,941が設けられている。重合部841,941には、差込爪86,96、及び固定孔87,97が設けられている。差込爪86,96は、取付部材20に設けられたスリット243,253に上側から差し込まれている。固定孔87,97は、取付部材20に設けられた固定孔241,251に重なり、ネジ16,16が締結されている。
本実施形態は、このような構成を備えることで、固定部30にガス配管70を差し込み、ガス供給装置80,90の重合部841,941に設けられた差込爪86,96を、取付部材20に設けられたスリット243,253に差し込んだ状態で、ガス供給ユニット40を自立させた状態で仮組みすることができる。これにより、作業者は、筐体2の内側に対してガス供給ユニット40を容易に取り付けることができる。また、筐体2の上側からの作業のみでガス供給ユニット40を固定できるので、組立性能をより一層向上できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のコンロは、ビルトインタイプのコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。また、天板上に二つのコンロバーナ4,5を備えるが、コンロバーナの数は一つでもよく、複数でもよい。その場合、コンロバーナの数に応じて、ガス供給装置の数を増減させればよい。また、右奥側のコンロバーナ4は標準バーナ、左手前側のコンロバーナ5は強火力バーナであるが、例えば、両方を標準バーナ、又は強火力バーナとしてもよい。
上記実施形態のコンロは、筺体内にグリルを備えないタイプであるが、筺体内にグリルを備えるタイプにも適用可能である。その場合、上記のように、コンロを組み立てる作業者は、グリル用のガス配管の端部を、配管固定具50の第二固定部58に接続するだけで、ガス供給管から供給されるガスを、ガス配管70だけでなく、グリル用のガス配管にも流すことができる。これにより、筐体2内の配管構成が簡素化されるので、組立性能をより一層向上できる。
上記実施形態の配管固定具50に設けられた第二固定部58は省略してもよい。また、第一固定部57と第二固定部58の位置を逆にしてもよい。
上記実施形態のガス供給ユニット40において、ガス供給装置80,90、ガス配管70、配管固定具50の夫々の位置は、コンロにおける操作部(図示略)、及び固定部30の位置関係に応じて適宜変更可能である。取付部材20は、操作部(図示略)の位置に応じて、筐体2の前壁10では無く、右側壁11、左側壁12、又は背壁13に固定してもよい。