以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下説明は、図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。なお、図1に示すテーブルこんろ1(以下、単に、こんろ1と称する。)は、テーブルこんろであるが、ビルトインこんろ等であってもよい。
図1および図2を参照して、こんろ1の構造について説明する。こんろ1は、器具本体を構成する筐体2と、トッププレート3とを備える。筐体2は、上面に開口部25(図4参照)を備えた略直方体状に形成された金属製である。筐体2の内部には、左右一対のガスバーナ5,5が配置されている。本実施形態において、トッププレート3は、板金をプレス加工することで形成されており、一枚の板金からなる。トッププレート3の少なくとも上面には、煮こぼれした液体等による汚れの固着を防止するため、ホーローによるコーティングが施されている。トッププレート3は、筐体2の開口部25を閉塞して、筐体2の上部に固定されている。トッププレート3には、左右一対の略円形のバーナ開口4,4が形成されており、トッププレート3が筐体2の上部に設置されることで、ガスバーナ5が筐体2側から上方に突出して、各バーナ開口4の中央に臨む。ガスバーナ5,5の各周囲には、五徳6,6がそれぞれ配置されている。五徳6,6の各上部には、鍋、フライパン等を含む調理器具等の被加熱物(図示せず)が載置される。
ガスバーナ5は、筐体2の内部に配置されたバーナ本体50(図5参照)と、バーナヘッド52とを主に備える。バーナ本体50の上部にバーナヘッド52が載置されることで、バーナヘッド52の外周部に多数の炎口51が形成される。炎口51は、バーナ開口4,4よりも上方に配置されるので、バーナヘッド52は、燃料ガスの燃焼に必要な空気を十分に確保できる。バーナヘッド52の中央には、内部にサーミスタを格納し、鍋底温度等、被加熱物の温度を検知するための鍋センサ53が、バーナヘッド52およびバーナ本体50の中央を貫通するように設けられている。図2に示すように、バーナヘッド52後方の炎口51近傍には、放電による点火を行うための軸状の点火電極54および火炎の有無を検知するための軸状の熱電対55が設けられている。点火電極54と熱電対55とがバーナヘッド52の後方側に配置されることで、筐体2正面側からこんろ1を使用する使用者から、点火電極54と熱電対55が視認されにくくなる。このため、こんろ1の外観がすっきりとするので、こんろ1の美観が向上する。
筐体2の正面中央には、グリル扉10が設けられている。グリル扉10の下部には、取っ手10Aが前方に突出して設けられている。こんろ1の使用者は、取っ手10Aを把持してグリル扉10を引き出すことで、グリル庫7(図4参照)を開閉できる。トッププレート3の後方には、複数の排気孔を備える排気口カバー7Bが設置されている。排気口カバー7Bは、後述のグリル排気口7A(図3参照)を上側から覆うカバー部材である。
グリル扉10の右側には、点火スイッチ11,12等がそれぞれ設けられている。点火スイッチ11は、グリル扉10の右側に隣接して設けられ、右側のガスバーナ5の点火/消火の操作を行う。点火スイッチ11が押下操作されると、バーナ本体50へ一次空気と燃料ガスが供給され、混合気となってバーナヘッド52の炎口51から流出する。同時に、筐体2の内部に設けられた図示しないコントローラが点火電極54を放電させて混合気に点火し、バーナヘッド52の外周部に火炎が形成される。また、ガスバーナ5が点火されている状態で点火スイッチ11が操作されると、ガスバーナ5は消火される。点火スイッチ12は、点火スイッチ11の右隣に設けられ、グリル庫7の内部に設けられた上バーナおよび下バーナ(図示せず)の点火/消火の操作を行う。
グリル扉10の左側には、点火スイッチ13、電池ケース14等がそれぞれ設けられている。点火スイッチ13は、グリル扉10の左側に隣接して設けられ、左側のガスバーナ5の点火/消火の操作を行う。電池ケース14は、点火スイッチ13の左隣に設けられ、こんろ1の電源として、例えば二つの乾電池(図示せず)を格納する。
図3を参照して、トッププレート3の構造について説明する。トッププレート3は、筐体2上面の開口部25に対応する大きさの矩形状に形成されている。トッププレート3の上面31における後方には、左右に延びる略長方形状の孔部であるグリル排気口7Aが設けられている。グリル排気口7Aは、グリル庫7と連通して、グリル庫7内部の排気を行う。グリル排気口7Aの左右の両側には、排気口カバー7Bを位置決めするための複数の孔部7Dが設けられている。
トッププレート3の外縁には、上面31から延設された板金が筐体2上部の外周に沿うように下方に折り返された外周部39が設けられている。トッププレート3は、筐体2の上部に配置され、外周部39の複数の所定位置においてねじ止めされて筐体2に固定されている。
トッププレート3の上面31に設けられた中央凹部32には、バーナ開口4,4が設けられている。本実施形態において、こんろ1は、トッププレート3を筐体2に固定するためのねじ止め部分を上面31および中央凹部32に設けていないので、上側から見たトッププレート3の美観が保たれる。また、こんろ1は、煮こぼれを直接に受けにくい外周部39にねじ止め部分を設けているので、ねじ孔の隙間を介して煮こぼれ等の液体が浸入し難く、トッププレート3の下面および筐体2の内部に汚れや錆等が生じ難い。
中央凹部32において、バーナ開口4,4およびその周辺部は、それぞれ同じ構成を備える。バーナ開口4の周縁部には、五徳装着部33が設けられている。五徳装着部33は、トッププレート3に五徳6を配置するために設けられる部位である。五徳装着部33は、り、平面視略円形状に形成され、中央凹部32よりも上方に膨出する。五徳装着部33には、五徳6の五徳リング6Aが上方から装着される(図1参照)。
五徳装着部33は、電極挿通部334、熱電対挿通部335を備える。電極挿通部334および熱電対挿通部335は、点火電極54および熱電対55を五徳装着部33の下側から上側へ挿通させるための部位であり、前述の点火電極54および熱電対55の設置位置に対応して設けられている。電極挿通部334および熱電対挿通部335はバーナ開口4の後側において、バーナ開口4に連続して窪んだ部分である。
図4を参照して、筐体2の内部構造について説明する。筐体2は、前壁21、右側壁22、左側壁23、後壁24、底壁(図示せず)を備える。前壁21、右側壁22、左側壁23、後壁24によって囲まれてなる筐体2の開口部25の内側に、グリル庫7、一対の取付台60,60、ガスバーナ5,5等が備えられている。グリル庫7は、開口部25の略中央に配置される略直方体状である。グリル庫7の後部には、グリル庫7の内部と前述のグリル排気口7Aとに連通してグリル庫7内部の燃焼排気をこんろ1の外部へ排出するための排気部7Cが設けられている。
一対の取付台60,60は、筐体2の左部および右部から開口部25の内側へ向けて延び、筐体2の内部にガスバーナ5,5を固定するための骨組である。左側の取付台60は、開口部25の前後方向における略中央において、左側壁23とグリル庫7との間に架設される。右側の取付台60は、開口部25の前後方向における略中央において、右側壁22とグリル庫7との間に架設される。取付台60は、前後方向において対称となるように形成されており、左側の取付台60と右側の取付台60は同一形状である。左側の取付台60は左側のガスバーナ5を、右側の取付台60は右側のガスバーナ5を、それぞれの上部において支持する。一対の取付台60,60は、左側壁23および右側壁22とグリル庫7とを架設することで、こんろ1全体の強度を向上する役割も担う。なお、実際のこんろ1においては、グリル庫7の上方を覆い、グリル庫7の熱がトッププレート3に伝導することを防止するための遮熱板(図示せず)が設けられるが、筐体2の内部構造をわかりやすく示すため、遮熱板の図示を省略している。
ガスバーナ5,5は、後述する取付座70(図5参照)を介して、一対の取付台60,60のそれぞれに対してねじ止めによって取り付けられている。ガスバーナ5は、前述のバーナヘッド52に加え、バーナ本体50、混合管部56を備える。バーナ本体50は、平面視で中央に円孔を有する環状であり(図5参照)、内部が中空に形成されている。混合管部56は、ガスと一次空気を混合し、ガスと空気の混合気をバーナ本体50に向けて通過させる中空の管状部である。混合管部56は、前方から後方に向けて上方に傾斜しながら、略前後方向に沿って延びる。混合管部56の前端は、火力調節装置(図示せず)に接続している。火力調節装置は、点火スイッチ11,12等の操作に応じて混合管部56にガスを供給する装置であり、前壁21と混合管部56の前端との間に設置されている。混合管部56の後端は、バーナ本体50の下部50Aに接続している。バーナ本体50の下部50Aの左側部にはフランジ部57が設けられている(図5参照)。下部50Aの右側部にはフランジ部58が設けられている。フランジ部57,58には、フランジ部57,58のそれぞれを上下に貫通する丸穴である固定穴571,581がそれぞれ設けられている(図5参照)。固定穴571,581は、取付座70を介して取付台60にバーナ本体50を固定するためのねじ孔である。
図5から図7を参照して、筐体2内部にガスバーナ5、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55をそれぞれ取り付けるための取付機構について説明する。取付機構は、取付台60、取付座70、突出部80を備える。なお、図5は、左側のガスバーナ5についての取付機構を示す。左側のガスバーナ5の取付機構における取付台60および取付座70は、右側のガスバーナ5の取付機構における取付台60および取付座70と左右対称の構造を有するので、右側のガスバーナ5の取付機構については、説明を省略する。本実施形態では、取付台60、取付座70、突出部80は、それぞれ一枚の金属板によって形成されている。
取付台60は、左右方向に延びる金属製の帯状である。取付台60の上面61には、センサ開口612、第一支持部62および第二支持部63が設けられている。センサ開口612は、鍋センサ53を取付台60に挿通させるため、上面61の略中央に形成された平面視略長方形状の孔部である。センサ開口612の左右方向の長さはL1である(図5参照)。
第一支持部62および第二支持部63は、所定の高さを有し、後述の取付座70を上面61に対して所定の間隔を置いて支持するための部位である。第一支持部62は、センサ開口612の左側に設けられている。第一支持部62は、立設部621および上側固定部622を備える。立設部621は、センサ開口612の左側の上面61の一部が上方に折り曲げられて形成されている。上側固定部622は、立設部621の上端から左方に略水平に延びる板状に形成されている。第二支持部63は、センサ開口612の右側に設けられており、センサ開口612を挟んで第一支持部62と対向している。第二支持部63は、立設部631および上側固定部632を備える。立設部631は、センサ開口612の右側の上面61の一部が上方に折り曲げられて形成されている。上側固定部632は、立設部631の上端から右方に略水平に延びる板状に形成されている。上側固定部622,632には、固定穴623,633がそれぞれ設けられている。固定穴623,633は、上側固定部622,632のそれぞれを上下に貫通する丸穴である。上面61と上側固定部622,632のそれぞれの上面との間の長さは、図5に示すL2である。
取付台60の左端には、垂直上方に延びる壁部613が立設されている。壁部613は、取付台60が左側壁23とグリル庫7との間に架設されるときに左側壁23に当接して、取付台60を左右方向において位置決めする(図4参照)。取付台60の右端には、垂直上方に延びる壁部614と、壁部614の上端から右方へ略水平に延びる上側部615とを備える。壁部614および上側部615は、前述の遮熱板をグリル庫7の上面とトッププレート3の下面との間において支持するために設けられている。上面61のうち壁部613と第一支持部62との間の部分には、上面61を上下に貫通する丸穴である固定穴611が設けられている。
取付座70は、ガスバーナ5、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55を取付台60に固定するための部材である。取付座70は金属製であり、左側板部74、右側板部75、架設部71、第一固定部72、第二固定部73および第三固定部76を備える。左側板部74は、取付座70の左部において平面視略長方形状に形成され、第一支持部62の上側固定部622の上面に載置される。左側板部74には、上方に向かって延出する起立部742,743と、起立部742,743の間の位置において左側板部74を上下に貫通する丸穴である固定穴741とが設けられている。右側板部75は、取付座70の右部において平面視略長方形状に形成され、第二支持部63の上側固定部632の上面に載置される。右側板部75には、上方に向かって延出する起立部752,753と、起立部752,753の間の位置において右側板部75を上下に貫通する丸穴である固定穴751とが設けられている。架設部71は、左側板部74と右側板部75との間を左右方向に延びて架設する面部である。左側板部74、右側板部75および架設部71それぞれの上面は、上下方向において略同じ位置に配置されている。
第一固定部72は、架設部71の後部の左右方向略中央に設けられ、点火電極54を取付座70に固定するための部位である。第一固定部72は、立柱部721、折返部722を備える。立柱部721は、架設部71の後部の左右方向略中央の部分が略垂直上方に折り曲げられて形成されている。立柱部721の略中央には、点火電極54の軸部と略同一の曲率で前方に湾曲して上下方向に延びる湾曲部723,724が設けられている(図6参照)。折返部722は、立柱部721の上端が前方に折り返されて略水平に延びる部分である。点火電極54は、その軸部を立柱部721の湾曲部723,724に沿わせた状態で、所定の針金等を用いて第一固定部72に固定される。
第二固定部73は、架設部71の後部において第一固定部72の右側に設けられ、熱電対55を取付座70に固定するための部位である。第一固定部72は、立設部731、一対の係止爪732,732(図6参照)を備える。立設部731は、架設部71の後部の第一固定部72の右側部分が斜め上方に折り曲げられて形成されている。一対の係止爪732,732は、立設部731の延出方向先端部に設けられている。熱電対55は、その軸部が一対の係止爪732,732によって挟持された状態で、所定の針金等を用いて第二固定部73に固定される。
第三固定部76は、架設部71の前部の左右方向略中央に設けられ、鍋センサ53を取付座70に固定するための板状部である。第三固定部76は、架設部71の前部の左右方向略中央の部分が、左右方向に所定の長さを有して下方に略直角に折り曲げられて形成されている。第三固定部76は、第一延出部761および第二延出部762を備える。第一延出部761は、第三固定部76の上部を構成する。第一延出部761の左右方向の長さはM1である(図6参照)。第一延出部761の上下の長さ、即ち、第三固定部76が架設部71の前部において折り曲げられている部分に相当する第一延出部761の上端766と下端761Aとの間の長さはM3である(図6参照)。第一延出部761の上端766の左右方向略中央には、一対の上係止爪764,764が設けられている。なお、本実施形態では、M3と前述のL2とは、同じ長さである。
第二延出部762は、第一延出部761の左右方向における略中央において、左右方向に所定の長さを有して第一延出部761よりもさらに下方に延びる部分である。第二延出部762の左右方向の長さは第一延出部761の左右方向の長さよりも短い。第二延出部762の左右方向の長さはM2である(図6参照)。M2はM1よりも短い。また、前述のL1は、M2よりも長く、M1よりも短い。
第二延出部762は、一対の下係止爪765,765、固定穴763を備える。一対の下係止爪765,765は、第二延出部762の下端の左右方向略中央に設けられている。固定穴763は、第二延出部762の右部の上下方向略中央に設けられている円孔である。鍋センサ53は、その軸部の下端部に金属製のホルダ53Aを装着している。鍋センサ53は、その軸部を一対の上係止爪764,764および一対の下係止爪765,765のそれぞれに挟持された状態で、ねじ53Bによってホルダ53Aに設けられている図示しないねじ孔を介して固定穴763にねじ止めされる。
なお、図6に示すように、取付座70の前端部のうち、左側板部74の右端744と、第一延出部761の上端766と、右側板部75の左端754とに囲まれた部分に切欠き部711が形成されている。固定穴741,751は、切欠き部711を左右に挟む位置に配置されている。固定穴741,751は、取付座70にバーナ本体50を固定するためのねじ孔である。
突出部80は、上方へ突出する段部を形成するように所定の幅で折り曲げられた金属製の板によって構成される部材であり、取付台60に対して取付座70の左方に取り付けられる。突出部80の上方に突出する部分は、左右方向に所定の幅を有し、筐体2の左部および右部において前後方向に延びる平面視略長方形状である。突出部80は、基部81、壁部82、上面部83、折曲部84を備える。基部81は、突出部80の最下部において略水平に延びる面部である。基部81の略中央部には図示しないねじ孔が設けられており、基部81は、このねじ孔を介してねじ91によって取付台60の固定穴611にねじ止めされる。壁部82は、基部81から略垂直上方に延びる面部である。上面部83は、壁部82の上端から右方へ略水平に延びる面部である。折曲部84は、上面部83の右端が下方に折り曲げられて形成されている。
突出部80と取付台60の壁部614および上側部615とは、ガスバーナ5を左右に互いに挟むように配置されている。取付台60の上面61に対する上面部83の高さは、取付台60の上面61に対する上側部615の高さと略同一である。上面部83および上側部615は、筐体2の内部においてトッププレート3の中央凹部32の下面よりも下方に配置されている。ガスバーナ5において燃焼が行われると、トッププレート3のバーナ開口4近傍の部分が熱によって歪む熱歪みが生じることがある。こんろ1は、上面部83および上側部615を備えているので、熱歪みによって中央凹部32が上面部83および上側部615よりも下方に変位することが防止される。
図5および図7を参照して、取付台60に取付座70、突出部80およびガスバーナ5を取り付ける手順について説明する。まず、作業者は、点火電極54、熱電対55および鍋センサ53のそれぞれを、取付座70の第一固定部72、第二固定部73および第三固定部76のそれぞれに固定する。
次いで、作業者は、取付座70の第三固定部76を、取付台60のセンサ開口612に挿入させる。第三固定部76のうち、第一延出部761の左右方向の長さはM2であり、センサ開口612の左右方向の長さL1よりも長い。一方、第二延出部762の左右方向の長さM3は、L1よりも短い。このため、図7に示すように、第三固定部76のうち第二延出部762がセンサ開口612に挿入され、第一延出部761はセンサ開口612に挿入されず、下端761Aがセンサ開口612の外側の位置にあたる上面61に当接する。このとき、作業者は、センサ開口612に挿入されている第二延出部762の後面がセンサ開口612の最後部に接する位置に、取付座70を配置する。
そして、作業者は、上側固定部622に設けられている固定穴623と、左側板部74に設けられている固定穴741とが上下方向に重なり合うように位置決めする。また、作業者は、上側固定部632に設けられている固定穴633と、右側板部75に設けられている固定穴751とが上下方向に重なり合うように位置決めする。本実施形態では、センサ開口612の前後方向の長さが、取付座70の切欠き部711の前後方向の長さに対応している。また、センサ開口612に第二延出部762が挿入されており、取付座70の左右方向における位置がある程度規制されるので、固定穴623,633に対する固定穴741,751の位置決めが容易である。
そして、固定穴623,633に固定穴741,751が重なり合った状態で、第一支持部62および第二支持部63の上に取付座70が、載置される。取付座70は、上側固定部622,632によって左側板部74および右側板部75のそれぞれが支持されることに加えて、上面61に下端761Aが当接しているので、取付座70の上下方向における位置が安定する。また、上面61に下端761Aが当接するので、上面61に対して第三固定部76の上下方向における位置が規定され、バーナ本体50に対する鍋センサ53の位置が安定する。このようにして、作業者は、センサ開口612を用いて、取付座70の上下方向および前後方向における位置合わせを容易に行うことができる。また、これらの作業によって、鍋センサ53がセンサ開口612を上下に挿通される。
次いで、作業者は、ガスバーナ5を取付台60に取り付けるため、バーナ本体50の下部50Aのフランジ部57,58の位置合わせを行う。まず、作業者は、鍋センサ53がバーナ本体50の中央に挿入されるようにして、取付座70の上方にバーナ本体50を配置する。そして、フランジ部57の外縁が左側板部74の起立部742,743に、また、フランジ部58の外縁が右側板部75の起立部752,753にそれぞれ当接するように、バーナ本体50の位置合わせを行う。作業者は、この状態でバーナ本体50を取付座70に載置する。これにより、フランジ部57の固定穴571が、上側固定部622の固定穴623および左側板部74の固定穴741に対して、上下方向に重なるように位置決めされる。また、フランジ部58の固定穴581が、上側固定部632の固定穴623および右側板部75の固定穴751に対して、上下方向に重なるように位置決めされる。本実施形態では、切欠き部711の左右方向の長さは、フランジ部57,58を除いたバーナ本体50の下部50Aの左右方向の長さよりも僅かに長くされている。このため、切欠き部711にバーナ本体50の下部50Aが納まるようにバーナ本体50が配置される。そして、作業者は、図示しないねじを、上側固定部622の固定穴623および左側板部74の固定穴741を介して、フランジ部の固定穴571にねじ止めする。また、作業者は、図示しないねじを、上側固定部632の固定穴633および右側板部75の固定穴751を介して、フランジ部の固定穴581にねじ止めする。
次いで、作業者は、ねじ91を用いて取付台60の固定穴611に突出部80の基部81をねじ止めして、突出部80を取付台に取り付ける。なお、突出部80が取付台60に対して取り付けられると、折曲部84の下端841が取付座70に上側から当接するので、取付座70が前後方向に傾くことが規制される。
次いで、作業者は、バーナヘッド52を、バーナヘッド52の中央に鍋センサ53が挿入されるようにしてバーナ本体50の上方に配置した後、バーナヘッド52をバーナ本体50の上部に載置する。これにより、取付台60への取付座70、突出部80およびガスバーナ5の取り付けが完了する。
図8に示すように、取付台60に取付座70、突出部80およびガスバーナ5が取り付けられると、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55のそれぞれが、バーナ本体50の近傍に配置される。なお、図8では、点火電極54、熱電対55を見やすくするために、バーナヘッド52の図示を省略している。鍋センサ53、点火電極54、熱電対55およびバーナ本体50は、一つの部材である取付座70に対して固定されているので、これらの部品が別々の取付機構に取り付けられる場合に比べて、公差の集積による部品間の位置ずれが生じにくい。このため、バーナ本体50に対する鍋センサ53、点火電極54、熱電対55の配置にずれが生じにくいので、こんろ1は、ガスバーナ5の点火性能および各種の検出性能を良好に保つことができる。また、取付座70を取付台60に取り付けることによって、取付台60にガスバーナ5、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55のそれぞれを一度に固定できる。こんろ1は、ガスバーナ5、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55を取付台60に取り付けるための部品点数を削減でき、こんろ1の製造コスト・管理コストが軽減される。
また、図8に示すように、本実施形態では、バーナ本体50に接続している混合管部56の延びる方向を示す仮想直線Pと、固定穴571と固定穴581とを通過する仮想直線Qとが交差するようにして、バーナ本体50が取付台60に対して取り付けられている。なお、取付台60に取付座70、突出部80およびガスバーナ5が取り付けられた状態で、固定穴571は、左側板部74の固定穴741および上側固定部622の固定穴623は、上下方向に重なり合っている。また、固定穴581は、右側板部75の固定穴751および上側固定部632の固定穴633は、上下方向に重なり合っている。固定穴741,751は、切欠き部711を左右に挟む位置に配置されているので(図6参照)、仮想直線Qは、切欠き部711を横切るように配置される(図6参照)。また、仮想直線Pと仮想直線Qとは、切欠き部711の内側において交差する。即ち、バーナ本体50に混合管部56が接続するバーナ本体50の下部50Aが、切欠き部711の内側に配置される。このように、バーナ本体50は、切欠き部711の内側に下部50Aを配置した状態で、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55をバーナ本体50に対して精度よく配置させつつ、取付座70に安定して固定される。
仮に、取付座70に切欠き部711が設けられない場合、取付座70の形状を、下部50Aを含めたバーナ本体50の形状に合わせて、上下方向に複雑な形状にする必要が生ずる。取付座70の形状が複雑化すると、取付座70の成型において誤差が生じやすくなる場合がある。この場合、取付座70に固定される鍋センサ53、点火電極54および熱電対55の配置の精度が低下する可能性がある。また、取付座70の形状が複雑化すると、取付座70に第一固定部72、第二固定部73および第三固定部76を設けるスペースを確保しづらくなったり、取付台60への取付座70の取付作業が複雑になったりする可能性もある。図9に示すように、こんろ1は、取付座70に切欠き部711を設けるとともに、切欠き部711の内側にバーナ本体50の下部50Aを配置する。そして、取付台60の上面から上方向にL2(図5参照)の間隔を置いて、取付座70の左側板部74および右側板部75が支持されるので、上下方向に高さを有するバーナ本体50が、取付台60と取付座70との間隔において収容される。このようにして、こんろ1は、取付座70に切欠き部711を設けることで取付座70の形状が複雑化することを防止して、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55をバーナ本体50に対して精度よく配置させることができる。
図10を参照して、トッププレート3が筐体2上部に設置された状態におけるバーナ本体50の周辺部について説明する。なお、図10では、点火電極54の近傍を見やすくするために、バーナヘッド52の図示を省略している。トッププレート3に設けられているバーナ開口4の内側に、バーナ本体50が配置される。電極挿通部334の内側には、トッププレート3の下方から上方へ向けて点火電極54が挿通している。熱電対挿通部335の内側には、トッププレート3の下方から上方へ向けて熱電対55が挿通している。
ガスバーナ5およびグリル庫7の内部において燃焼が行われる場合、燃焼に必要な空気が筐体2の内側および外側からガスバーナ5に向けて移動することで、ガスバーナ5に向かう空気の流れが発生することがある。本実施形態において、トッププレート3の上面31および中央凹部32には、ねじ孔等の隙間が設けられていないので、筐体2の外側の空気がバーナ開口4、電極挿通部334および熱電対挿通部335を介して筐体2の内側へ流れることがある。例えば、一方のガスバーナ5で燃焼が行われるとき、燃焼の行われていない他方のガスバーナ5に対応するバーナ開口4を介して、筐体2の外側から内側へ空気が流れる。この状態で、他方のガスバーナ5に点火しようとする場合、電極挿通部334を流れる空気の流れによって、点火時にバーナ本体50から流出する混合気が点火電極54まで到達できず、点火電極54で放電が行われてもガスバーナ5に点火できないことがある。本実施形態では、点火電極54は取付座70の第一固定部72に固定されており、第一固定部72上部の折返部722は略水平に前方に延びる。これにより、点火電極54とバーナ開口4との間の隙間が折返部722によって閉塞される。このため、電極挿通部334における点火電極54とバーナ開口4との間を流れる空気の流れが折返部722によって阻害され、バーナ本体50から流出する混合気が点火電極54まで到達しやすくなる。このようにして、こんろ1は、第一固定部72を用いてガスバーナ5の点火不良の発生を低減している。
以上説明したように、本実施形態のこんろ1は、取付座70に切欠き部711が設けられており、切欠き部711を左右に挟む位置に、取付座70にバーナ本体50を固定するための固定穴741,751を配置している。このため、取付座70の上下方向における形状を複雑にすることなく、バーナ本体50と取付座70との干渉を避けて、固定穴741,751に対して、バーナ本体50のフランジ部57,58に設けられた固定穴571,581を介してバーナ本体50を固定できる。取付座70の上下方向における形状が複雑にならないので、取付座70は、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55のそれぞれを自身に固定する第一固定部72、第二固定部73および第三固定部76を設けることができる。この場合、鍋センサ53、点火電極54、熱電対55およびバーナ本体50が全て取付座70に対して固定されるので、これらの部品が別々の取付機構に取り付けられる場合に比べて、公差の集積による部品間の位置ずれが生じにくい。また、ガスバーナ5、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55を取付台60に取り付けるための部品点数を削減できるので、こんろ1の製造コスト・管理コストが軽減される。さらに、筐体2にガスバーナ5、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55を取り付ける作業が容易になる。バーナ本体50の下部50Aには混合管部56が接続されるので、バーナ本体50は上下方向に高さを有する。ここで、取付座70の前端部のうち、左側板部74の右端744と、第一延出部761の上端766と、右側板部75の左端754とに囲まれた部分に切欠き部711が形成されている。混合管部56の延びる方向を示す仮想直線Pと、取付座70の固定穴741,751とを結ぶ方向を示す仮想直線Qとは、切欠き部711の内側において交差する。即ち、バーナ本体50の下部50Aは、切欠き部711の内側に配置される。取付台60には、L2の高さを有する第一支持部62、および第二支持部63が設けられており、取付座70の左側板部74および右側板部75は、第一支持部62の上側固定部622の上面および第二支持部63の上側固定部632のそれぞれに載置される。このため、取付座70は、取付台60の上面から上方向にL2の間隔を置いて取付台60に取り付けられる。このため、切欠き部711が設けられる位置に対応する取付台60の上方において、バーナ本体50を収容するスペースが確保される。このようにして、仮想直線P,Qを基準にして、鍋センサ53、点火電極54および熱電対55が精度良く配置される。このため、こんろ1は、バーナ本体50に対して鍋センサ53、点火電極54および熱電対55を配置できる。
取付座70は、第三固定部76の第一延出部761の下端761Aを取付台60のセンサ開口612外側の位置にあたる上面61に当接させるとともに、第二延出部762をセンサ開口612の上方から下方へ挿通させた状態で、第一支持部62および第二支持部63によって支持される。このため、取付座70の上下方向における位置が安定する。また、取付座70の上下方向および前後方向における位置合わせが容易になる。また、上面61に下端761Aが当接するので、上面61に対して第三固定部76の上下方向における位置が規定され、バーナ本体50に対する鍋センサ53の位置が安定する。
第三固定部76は、取付座70のうち切欠き部711に接する部分である第一延出部761の上端766において下方に折り曲げられて形成されるので、取付座70を一枚の金属板を用いて成型できる。また、複数の部材を用いて鍋センサ53を取付台60に固定した場合に生ずる部材ごとの公差の集積を排して、鍋センサ53の位置ずれを低減できる。
ガスバーナ5,5のうち一方のガスバーナ5で燃焼が行われる場合、他方のガスバーナ5に対応するバーナ開口4に連続する電極挿通部334における隙間に空気の流れが発生し、点火電極54を用いて他方のガスバーナ5に点火を行いにくくなることがある。こんろ1では、取付座70の第一固定部72上部の折返部722が略水平に前方に延びて、点火電極54とバーナ開口4との間の隙間が閉塞される。このため、トッププレート3の電極挿通部334における点火電極54とバーナ開口4との間を流れる空気の流れが折返部722によって阻害され、点火時にバーナ本体50から流出する混合気が点火電極54まで到達しやすくなる。従って、点火電極54の点火性能の低下が防止される。
本実施形態において、こんろ1が、本発明の「こんろ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。ガスバーナ5が、本発明の「バーナ」に相当する。バーナ本体50が、本発明の「バーナ本体」に相当する。バーナヘッド52が、本発明の「バーナヘッド」に相当する。混合管部56が、本発明の「混合管部」に相当する。点火電極54が、本発明の「点火手段」に相当する。熱電対55が、本発明の「火炎検知手段」に相当する。鍋センサ53が、本発明の「温度検知手段」に相当する。取付台60が、本発明の「取付台」に相当する。第一支持部62および第二支持部63が、本発明の「支持部」に相当する。センサ開口612が、本発明の「挿通孔」に相当する。取付座70が、本発明の「取付座」に相当する。湾曲部723,724が、本発明の「点火手段固定部」に相当する。一対の係止爪732,732が、本発明の「火炎検知手段固定部」に相当する。固定穴763、一対の上係止爪764,764および一対の下係止爪765,765が、本発明の「温度検知手段固定部」に相当する。第三固定部76が、本発明の「第一延出部」に相当する。第一延出部761が、本発明の「第一部分」に相当する。第二延出部762が、本発明の「第二部分」に相当する。第二固定部73が、本発明の「第二延出部」に相当する。
折返部722が、本発明の「第三部分」に相当する。切欠き部711が、本発明の「切欠き部」に相当する。固定穴741,751が、本発明の「バーナ固定部」に相当する。トッププレート3が、本発明の「天板」に相当する。バーナ開口4が、本発明の「バーナ開口」に相当する。電極挿通部334が、本発明の「挿通部」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、取付座70の第一延出部761の上端766と下端761Aとの間の長さM3は、取付台60の上面61と上側固定部622,632のそれぞれの上面との間の長さL3と同じ長さであるが、M3がL3よりも短くてもよい。この場合であっても、第三固定部76の第二延出部762がセンサ開口612に挿入されることで、センサ開口612に対する第三固定部76の前後方向および左右方向における位置が規制され、取付座70を取付台60に対して位置決めすることが可能である。
第三固定部76は、左右方向の長さがM1である第一延出部761と、左右方向の長さがM2である第二延出部762とを備えているが、例えば、第三固定部76が第一延出部761を備えず、第二延出部762だけを備える構成であってもよい。この場合であっても、第三固定部76の下部がセンサ開口612に挿通されることで、センサ開口612に対する第三固定部76の前後方向および左右方向における位置の規制が可能である。よって、取付座70にセンサ開口612に挿通される部分が設けられない場合に比べて、取付座70を取付台60に対して位置決めすることが容易となる。
電極挿通部334および熱電対挿通部335は、ともにバーナ開口4に連続した凹みとして設けられていなくてもよく、例えば、バーナ開口4とは独立した孔部として五徳装着部33における点火電極54および熱電対55の設置位置に対応する位置に配置されてもよい。この場合、折返部722が、電極挿通部334のうちガスバーナ5に近接する側の隙間を閉塞していれば、バーナ本体50から流出する混合気が点火電極54に到達しやすくなるので、上記実施形態と同様にガスバーナ5の点火不良の発生が低減される。また、折返部722は、立柱部721の上端から前方に延びていれば点火電極54とバーナ開口4との間を流れる空気の流れを阻害できるので、必ずしも略水平に延びていなくてもよい。
上記実施形態において、切欠き部711は取付座70の前端部に設けられているのは、バーナ本体50の下部50Aに対して混合管部56の接続する角度が比較的緩やかであるので、混合管部56と取付座70とが干渉することを避けるためである。従って、仮想直線Pに示される略前後方向に延びる混合管部56と取付座70の前端部とが干渉しない角度で混合管部56がバーナ本体50の下部50Aに接続する場合には、取付座70の後端部に切欠き部711が設けられてもよい。また、この場合、取付座70の前端部に第一固定部72および第二固定部73を設けてもよい。
上記実施形態において、第一支持部62および第二支持部63が所定の高さを有することで、取付座70が上面61に対して所定の間隔を置いて支持されるが、例えば、取付座70に上面61に対して所定の間隔を置くことのできる部材が設けられていてもよい。
ガスバーナ5に点火するための手段は、上記実施形態の点火電極54に限られず、燃料ガスを含む混合気に点火可能なヒータ等であってもよい。また、上記実施形態のこんろ1は、ガスバーナ5を備えるガスこんろであるが、例えば石油等の液体燃料を含むその他の燃料を用いる種々のこんろであってもよい。