JP6612033B2 - マイグレーション抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、マイグレーション抑制剤に関する。
ビスケット、クッキー等の焼き菓子と、クリーム、チョコレート等の油性食品とを組み合わせた複合菓子においては、焼き菓子部分の表面が白い粉をふき全体的に白く見える白色化現象がしばしば発生することが問題となっている。この現象は、複合菓子の流通過程や保存中に、焼き菓子に含まれる油脂が油性食品に移行すること(マイグレーション)により引き起こされるため、複合菓子のマイグレーションを抑制する方法が種々検討されている。
そのような方法としては、特定の物性や脂肪酸組成を有する油脂を複合菓子に用いる方法が数多く知られている他、マイグレーション抑制効果のある乳化剤を複合菓子に添加する方法がいくつか提案されている。
例えば、構成脂肪酸全体中、飽和脂肪酸が30重量%以上であり、且つC24(リグノセリン酸)以上の飽和脂肪酸量が3〜30重量%で、且つマイグレーション抑制用添加剤中のトランス脂肪酸含量が2重量%以下であるマイグレーション抑制用添加剤(特許文献1)、澱粉質、油脂、及び甘味料を主原料とした焼菓子類とチョコレート又はクリーム類とよりなり、両者が接触して存在している複合菓子類を製造するに際し、焼菓子製造用油脂として、25℃における固体脂含量が20重量%以上の常温で固体の油脂と、HLBが3以下であって、構成脂肪酸が炭素数12〜22の飽和脂肪酸20〜80重量%及び炭素数16〜22の不飽和脂肪酸80〜20重量%からなるショ糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルとからなる油脂組成物を使用することを特徴とする複合菓子類の製造方法(特許文献2)、食用油脂を主成分とする組成物であって、ジグリセリン脂肪酸エステルを1〜50重量%配合することを特徴とする焼き菓子用油脂組成物(特許文献3)等が提案されている。
しかしながら、上記方法は、実用上必ずしも満足できるものではなく、より有効な手段が求められている。
特開2010−220482号公報 特開平7−327604号公報 特開平7−327582号公報
本発明は、焼き菓子と油性食品とが接触してなる複合菓子に対するマイグレーション抑制効果の高い新規なマイグレーション抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、特定のソルビタン脂肪酸エステルをマイグレーション抑制剤として用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、下記の(1)及び(2)からなっている。
(1)下記条件(A)〜(C)を満たすソルビタン脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とするマイグレーション抑制剤。
(A):構成脂肪酸中の炭素数18の脂肪酸含有量が60%以上;
(B):ソルビトール型含有量が15%以上;
(C):エステル化率が60%以上。
(2)焼き菓子と油性食品とが接触してなる複合菓子であって、請求項1に記載のマイグレーション抑制剤を含有することを特徴とする複合菓子。
本発明のマイグレーション抑制剤を焼き菓子と油性食品とが接触してなる複合菓子に添加すると、マイグレーション及び焼き菓子部分の白色化が抑制される。
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、下記条件(A)〜(C)を満たすものである。
[条件(A)について]
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、構成脂肪酸100%中、炭素数18の脂肪酸(好ましくは炭素数18の飽和脂肪酸、より好ましくはステアリン酸)の含有量が60%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。炭素数18の脂肪酸の含有量が60%未満であると、本発明の効果が十分に得られず、好ましくない。
ここで、構成脂肪酸100%中の炭素数18の脂肪酸の含有量とは、ソルビタン脂肪酸エステルの製造において原料として用いる全脂肪酸100%質量中の炭素数18の脂肪酸の含有量を指すが、この含有量は、製造されたソルビタン脂肪酸エステルについて下記工程(1)〜(3)を実施して測定しても良い。
(1)試料の調製
「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.4.1.2−1996 メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)]に従い試料を調製する。
(2)測定方法
「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)]に従い測定する。
(3)定量
データ処理装置により記録されたピーク面積の総和に対する各ピーク面積の百分率をもって構成脂肪酸の含有量とする。
[条件(B)について]
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトール型含有量が15%以上のものである。ここで、ソルビトール型含有量とは、ソルビタン脂肪酸エステルを構成するアルコール(例えば、ソルビトール、ソルビタン、ソルバイド等)100%中のソルビトールの含有量(%)を意味する。ソルビトール型含有量が15%未満であると、本発明の効果が十分に得られず、好ましくない。また、ソルビトール型含有量の上限値に特に制限はないが、ソルビトール型含有量が高すぎると、熱反応による反応時間が長くなり、工業的生産に適さないため、その上限値は60%が好ましく、50%がより好ましい。
[条件(C)について]
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルのエステル化率は60%以上であり、より好ましくは65%以上である。エステル化率が60%未満であると、本発明の効果が十分に得られず、好ましくない。また、エステル化率の上限値に特に制限はないが、エステル化率が85%未満のソルビタン脂肪酸エステルは、その製造において反応時間が著しく延長することや、得られるソルビタン脂肪酸エステルが着色する等の問題がなく、工業的に製造又は商業的に販売されている市販品の入手が容易であるため好ましい。
ここで、エステル化率(%)は下記式により算出される。尚、下記式中のエステル価及び水酸基価は、「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.3.3−1996 エステル価]及び[2.3.6−1996 ヒドロキシル価]に従い測定される。
Figure 0006612033
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの原料として用いられるソルビトールとしては、例えば、D−ソルビトールを50.0〜70.0質量%含有するD−ソルビトール液或いは白色粉末又は粒状のD−ソルビトールが挙げられる。
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの原料として用いられる脂肪酸としては、炭素数18の脂肪酸が好ましく用いられる。
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの製造(エステル化反応)において、ソルビトールに対する脂肪酸の仕込み量は、ソルビトール1モルに対して1.4〜3.5モル程度であるのが好ましい。
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルの製造方法は特に限定されないが、例えばソルビトールと脂肪酸とのエステル化反応は無触媒で行って良く、又は酸触媒あるいはアルカリ触媒を用いて行っても良いが、アルカリ触媒の存在下で行われるのが好ましい。酸触媒としては、例えば、濃硫酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。アルカリ触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。アルカリ触媒の使用量は、全仕込み量(乾燥物換算)の0.01〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%である。
上記製造に用いる製造装置としては特に限定されないが、例えば上記エステル化反応は、例えば攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板、不活性ガス吹き込み管、温度計及び冷却器付き水分分離器等を備えた通常の反応容器に、ソルビトール、脂肪酸、及び触媒を供給して攪拌混合し、窒素又は二酸化炭素等の任意の不活性ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で一定時間加熱して行われる。反応温度は通常、180〜260℃の範囲、好ましくは200〜240℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下又は常圧下で、反応時間は0.5〜15時間、好ましくは2〜13時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、10以下を目安に決められる。
エステル化反応終了後、触媒を用いた場合は、反応混合物中に残存する触媒を中和しても良い。その際、エステル化反応の温度が200℃以上の場合は液温を180〜200℃に冷却してから中和処理を行うのが好ましい。また反応温度が200℃以下の場合は、そのままの温度で中和処理を行って良い。中和後、その温度で好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1〜10時間放置する。未反応のソルビトール又はソルビトール分子内縮合物が下層に分離した場合はそれを除去するのが好ましい。
本発明のマイグレーション抑制剤は、上記条件(A)〜(C)を満たすソルビタン脂肪酸エステルを有効成分とするものである。本発明のマイグレーション抑制剤は、これら条件を満たすソルビタン脂肪酸エステルをそのまま食品に添加して用いても良く、又は該ソルビタン脂肪酸エステルを含有する製剤を調製し、これを食品に添加して用いても良い。
本発明のマイグレーション抑制剤の使用対象の食品に特に制限はないが、例えば、焼き菓子と油性食品とが接触してなる複合菓子(以下、単に「複合菓子」ともいう。)が好ましい。本発明のマイグレーション抑制剤を複合菓子に用いることにより、複合菓子における焼き菓子の白色化が抑制される。
本発明において焼き菓子とは、小麦粉、コーンフラワー、乾燥マッシュポテト、米粉等の澱粉性原料と油脂(例えば、バター、ラード、マーガリン、ショートニング等)を含む生地を焼成して得られるものである。該焼き菓子としては、例えば、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、パイ、カットパン、ショートブレッド等が挙げられ、好ましくはクッキー、ビスケット、ショートブレッド又はクラッカーである。
本発明において油性食品とは、油脂を含有する食品(但し、焼き菓子を除く)のことである。該油性食品としては、例えば、チョコレート、グレーズ、クリーム(例えば、ホイップクリーム、サンドクリーム、バタークリーム等)、フィリング、ナッツ類等が挙げられ、好ましくはチョコレートである。該油性食品の油脂の含有量は特に限定されないが、好ましくは20〜65質量%であり、より好ましくは20〜60質量%であり、最も好ましくは30〜45質量%である。
尚、本発明においてチョコレートとは、カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、食用油脂、糖類を主原料とし、必要により乳製品、香料等を加え、チョコレート製造の工程を経て製造されたもののことである。即ち、本発明においてチョコレートは、カカオマス、ココアパウダーを使用しないホワイトチョコレート、カラーチョコレートをも包含する。
本発明の複合菓子において、焼き菓子と油性食品が接触する形態に特に制限はなく、例えば、焼き菓子と油性食品とを張り合わせた形態、焼き菓子で油性食品をサンドした形態、焼き菓子を油性食品でコーティングした形態等が挙げられる。
本発明のマイグレーション抑制剤を複合菓子に使用する方法に特に制限はなく、例えば、(a)焼き菓子の製造においてマイグレーション抑制剤を含有する油脂を生地に添加する方法、(b)油性食品の製造においてマイグレーション抑制剤を添加する方法、(c)製造された油性食品にマイグレーション抑制剤を添加する方法等が挙げられる。
本発明のマイグレーション抑制剤の添加量に特に制限はないが、例えば、上記(a)の方法であれば、生地に用いられる油脂100質量部に対して通常0.1〜10.0質量部であり、好ましくは0.3〜5.0質量部である。また、上記(b)又は(c)の方法であれば、油性食品100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.3〜3.0質量部である。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[製造例1]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソルビトール(商品名:ソルビトールS;日研化成社製)を187g仕込み、次にステアリン酸(商品名:NAA−180;ステアリン酸含有量99.5%;日油社製)を613g仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.56gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3.0時間エステル化反応を行なった。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品A)約670gを得た。
[製造例2]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソルビトール(商品名:ソルビトールS;日研化成社製)を179g仕込み、次にステアリン酸(商品名:NAA−180;ステアリン酸含有量99.5%;日油社製)を443g、ステアリン酸及びパルミチン酸を主体とする脂肪酸組成物(商品名:ステアリン酸65;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)を178g仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.58gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、200℃で酸価10以下となるまで約11時間エステル化反応を行なった。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品B)約660gを得た。
[製造例3]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソルビトール(商品名:ソルビトールS;日研化成社製)を184g仕込み、次にステアリン酸(商品名:NAA−180;ステアリン酸含有量99.5%;日油社製)を352g、ステアリン酸及びパルミチン酸を主体とする脂肪酸組成物(商品名:ステアリン酸65;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)を264g仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.56gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、215℃で酸価10以下となるまで約5時間エステル化反応を行なった。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品C)約660gを得た。
[製造例4]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソルビトール(商品名:ソルビトールS;日研化成社製)を187g仕込み、次にステアリン酸(商品名:NAA−180;ステアリン酸含有量99.5%;日油社製)を88g、ステアリン酸及びパルミチン酸を主体とする脂肪酸組成物(商品名:ステアリン酸65;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)を525g仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.56gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、215℃で酸価10以下となるまで約5時間エステル化反応を行なった。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品D)約650gを得た。
[製造例5]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソルビタン(商品名:ソルビタン70;三光化学工業製)を172g仕込み、次にステアリン酸(商品名:NAA−180;ステアリン酸含有量99.5%;日油社製)を628g仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.54gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約5時間エステル化反応を行なった。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品E)約660gを得た。
[製造例6]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソルビトール(商品名:ソルビトールS;日研化成社製)を202g仕込み、パルミチン酸(商品名:パルミチン酸98;パルミチン酸含有量99.5%;ミヨシ油脂社製)を598g仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.51gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3時間エステル化反応を行なった。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品F)約630gを得た。
[製造例7]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソルビトール(商品名:ソルビトールS;日研化成社製)を243g仕込み、次にステアリン酸(商品名:NAA−180;ステアリン酸含有量99.5%;日油社製)を557g仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.28gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約2時間エステル化反応を行なった。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品G)約580gを得た。
[試験例]
[複合菓子の製造及び評価]
(1)原材料
1)チョコレート(製品名:Couverture Sweet Cacao58;不二製油社製)
2)ソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜G)
3)ソルビタン脂肪酸エステル(市販品A;製品名:ポエムS−65V;理研ビタミン社製)
4)ソルビタン脂肪酸エステル(市販品B;製品名:GRINDSTED STS Q;Danisco社製)
5)ソルビタン脂肪酸エステル(市販品C;製品名:ポエムB−150;理研ビタミン社製)
6)ソルビタン脂肪酸エステル(市販品D;製品名:ポエムS−60V;理研ビタミン社製)
7)クッキー(製品名:ムーンライト;森永製菓社製)
(2)ソルビタン脂肪酸エステルの分析値
上記原材料に用いたソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜G及び市販品A〜D)について、構成脂肪酸の組成、ソルビトール型含有量及びエステル化率を表1に示した。この内、試作品A〜Dは本発明に係る実施例であり、試作品E〜G及び市販品A〜Dはそれらに対する比較例である。
Figure 0006612033
ここで、表1に示すソルビトール型含有量は、下記方法により測定した。
[ソルビトール型含有量の測定方法]
先ず、ソルビタン脂肪酸エステルを、ケン化分解処理して脂肪酸とポリオールとに分解した。具体的には、被検試料2.0gをケン化用フラスコに量り取り、これに0.5mol/L水酸化カリウム−エタノール標準液30mLを加え、該フラスコに冷却器を付け、時々振り混ぜながら、還流するエタノールが冷却器の上端に達しないように約70〜80℃の範囲内で温度を調節して穏やかに約1時間加熱した後、水50mLを添加した。その後、得られた内容物を分液漏斗に移し、ヘキサン100mL及び35%塩酸約5mL添加して分液漏斗を振り、その後静置した。続いて、分離した下層を別の分液漏斗に移しヘキサン50mLを添加して同様に処理した。分離した下層をビーカーに採り、0.5mol/L水酸化カリウム溶液でpHを調製して中和し、60℃の通風乾燥機内にビーカーを静置し、脱水した。完全に脱水したらメタノール約10mLと少量の芒硝を加えてかき混ぜ、内容物を自然濾過する。得られた濾液をフラスコに移し、エバポレータにてメタノールを除去した。
次に、得られた濃縮物を、常法によりTMS化した後、GC(ガスクロマトグラフィー)を用いてポリオール組成分析を行った。GCは以下に示すGC分析条件で行った。分析後、データ処理装置によりクロマトグラム上に記録された被検試料の各成分に対応するピークについて、積分計を用いてピーク面積を測定し、測定されたピーク面積に基づいて、面積百分率としてアルコール組成中のソルビトール型含量を求めた。
<GC分析条件>
装置
ガスクロマトグラム(型式:GC−17A;島津製作所社製)
データ処理装置(型式:C−R7A plus;島津製作所社製)
カラム(型式:DB−5HT;Agilent Technologies社製)
カラムオーブン条件
初期温度 120℃(1分間)
昇温速度 8℃/分
最終温度 340℃(25分間)
検出器温度 330℃
注入口温度 330℃
試料注入量 3μL
検出機 FID(水素炎イオン化検出器)
キャリアガス ヘリウム75kPa
スプリット比 1:80
(3)複合菓子の製造方法
100mL容ビーカーにチョコレート40g及びソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜G及び市販品A〜Dのうちいずれか)0.24gを加え、65℃で加温溶融し、冷却水を用いて34℃まで撹拌冷却した。これにシード剤(上記チョコレートと同じものを粉砕したもの)0.8gを添加して均一に分散し、さらに32℃まで撹拌冷却して逆円錐台形状のプラスチック製容器(開口部内径:80mm;底面部内径:65mm;高さ:40mm)に15g入れた。その容器内のチョコレートの上にクッキーを乗せ、5℃の冷蔵庫で30分間冷却した後、20℃で1時間保管し、クッキーとチョコレートとを張り合わせた形態の複合菓子1〜11を得た。また、対照として、ソルビタン脂肪酸エステルを使用せずに上記の工程を実施し、複合菓子12を得た。
(4)白色化の評価
複合菓子1〜12を30℃で24時間保管し、更に20℃で20日間保管した後、そのクッキー部分の表面について、色差計(製品名:SPECTRO COLOR METER SE2000;日本電色工業社製)により白色度(WB)を測定した。結果を表2に示す。尚、表2には、製造直後の複合菓子1〜12について同様に白色度(WB)測定した結果を併せて示す。
Figure 0006612033
表2の結果から明らかなように、本発明のソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜D)を添加して得られた複合菓子1〜4の白色度(WB)は、比較例の複合菓子5〜11及び対照の複合菓子12に比べて製造直後のものに近く、白色化が抑制されていた。

Claims (1)

  1. 下記条件(A)〜(C)を満たすソルビタン脂肪酸エステルを有効成分とすることを特徴とする、焼き菓子と油性食品とが接触してなる複合菓子において焼き菓子に含まれる油脂が油性食品に移行するマイグレーションを抑制するためのマイグレーション抑制剤。
    (A):構成脂肪酸中の炭素数18の脂肪酸含有量が60%以上;
    (B):ソルビトール型含有量が15%以上;
    (C):エステル化率が60%以上。
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