JP6608686B2 - トリチウム濃度測定装置及びトリチウム濃度測定方法 - Google Patents
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Description
トリチウムから放出されるβ線は、エネルギーが最大18.6keVで平均5.7keVと小さい。このため、トリチウム濃度測定には、キシレンなどの有機溶媒に蛍光体を溶かした液体シンチレータを利用した装置(液体シンチレーションカウンター)を用いるのが一般的である。
この高濃度汚染水は、多核種除去装置(ALPS:Advanced Liquid Processing System)等によって浄化処理されるが、水として存在するトリチウムは除去できない。
さらに設定されている排出基準値は、高感度測定が必要である程度に低濃度である。このため、測定結果の信頼性を確保するために、精度の高い測定が要求される。
そこで、測定精度を向上させるために測定回数を増やすことが考えられる。しかし、一般的なオフライン装置で実行する液体シンチレーション測定では、試料を採取してから測定結果を出すまでのリードタイムが長く、限界がある。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態に係るトリチウム濃度測定装置10は、核燃料デブリの近傍を通過した水に対しイオン性放射性核種の除去処理を実施した処理水11を蓄積するタンク12と、このタンク12に蓄積されている処理水11を撹拌する撹拌部20と、撹拌されている処理水11の一部を試料15としてタンク12の外部に採取する採取部13と、採取された試料15に対し含まれているトリチウムの定量分析を行う分析部30と、断続的に採取された複数の試料15に対して行った複数の定量分析の結果に基づいてタンク12に蓄積されている処理水11のトリチウム濃度を計算する濃度計算部14と、を備えている。
そして、第1開閉弁26を閉設定にし、第2開閉弁27を開設定にし、第3開閉弁28を閉設定にし、ポンプPを起動することで、タンク12に蓄積されている処理水11を撹拌することができる。
また、第1開閉弁26を閉設定にし、第2開閉弁27を開設定にし、第3開閉弁28を閉設定にすることで、タンク12から処理水11を外部Bに放出することができる。
なお、撹拌部20の構成は、図1に示されたものに限定されるものではなく、例えば、タンク12の内部で機械的に回転する回転体である場合もある。
また、第2輸送管22の先端側に位置する外部Bは、トリチウム濃度が排出基準値を満たしている場合、処理水11を海洋放出するシステムとなり、排出基準値を満たして無い場合、処理水11のトリチウム濃度を減少させるシステムとなる。
混合部33で混合液32を収容した容器35は、キャップで密閉された後に、光電子増倍管37の検出窓の近傍に配置される。
この混合液32では、試料15に含まれるトリチウムから放出するβ線が、液体シンチレータ31の原子や分子を励起し、この原子や分子が、基底状態に戻るときに特定波長の蛍光36を放出する。
計数部39は、光電子増倍管37から出力される電気信号38をカウントして、その数を出力する。
処理水11においてイオン性放射性核種の除去処理が完璧である場合、電気信号38をカウント数は、トリチウムが放出したβ線に全て由来するとみなせる。この場合、パルス状の電気信号38の波高値を識別する必要なく、カウント数のみからトリチウムの定量分析の結果を導出することができる。
この場合、容器35の洗浄をしてから液体シンチレータ31の注入を行った後に、試料15の代わりに純水を収容し、シンチレーション計数測定を実施して、容器35に残留汚染が有るか否かを判定する場合もある。
つまり、個々の定量分析の結果は、バラツキを有するものであっても、分析の検体数を向上させて統計処理(例えば平均値)を施すことにより、測定の正確さ及び精度並びに分析結果に対する信頼性を向上させることができる。
そのようなイオン性放射性核種のうちストロンチウム90(90Sr)は、半減期28.8年でβ崩壊してイットリウム90(90Y)を生成し、これはさらにβ崩壊して半減期64時間で安定なジルコニウム(90Zr)となる。
一定間隔で出力された複数の電気信号38は、その波高値に基づいて、所定の間隔で区切ったチャンネル毎に割り振られ、各々のチャンネルにおいて度数がカウントされる。
このように、ストロンチウム90、イットリウム90及びトリチウムは、計数されるチャンネルの違いを利用して弁別可能に、各々を定量分析することができる。
次に図5を参照して本発明における第2実施形態について説明する。
第2実施形態のトリチウム濃度測定装置10は、第1実施形態の構成に加えて、タンク12に蓄積されている処理水11に固体微粒子16を添加する添加部17と、試料15に分散している固体微粒子16を計測する微粒子計測部(図示略)と、を備えている。
なお、図5において図1と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
微粒子計測部(図示略)は、試料15の単位体積当たりに含まれる固体微粒子16の個数に関連する情報を取得する。
これにより、撹拌部20による処理水11が均一に撹拌されているか否かの判断を行うことができる。
これにより、シンチレーション計数測定の検体数を増加させることができ、タンク12に蓄積した処理水11を測定して得たトリチウム濃度の正確さ及び精度並びに分析結果に対する信頼性を向上させることができる。
核燃料デブリの近傍を通過した水に対しイオン性放射性核種の除去処理がなされる(S11)。そして、第1開閉弁26を開設定、第2開閉弁27及び第3開閉弁28を閉設定にすることで、処理水11をタンク12に蓄積する(S12,S13:No)。
そして、撹拌時間が所定時間に達したところで(S15:Yes)、タンク12内の処理水11の一部を試料15として採取部13を介して採取する(S16)。
この放出された蛍光36を、容器35の近傍に設置された光電子増倍管37に入射させ、パルス状の電気信号38に変換して出力させる。そしてこの電気信号をカウントするシンチレーション計数測定を実施する(S18)。
なお、必要に応じ、試料15の単位体積当たりに含まれる固体微粒子16の個数を、全ての検体において検討し、処理水11が均一に撹拌されているか否かの診断を行う(S21)。そして、均一撹拌の条件が満たされていない検体が存在する場合は(S21:No)、再び(S16)〜(S21)の工程を繰り返す(S21:Yes)。
この計算されたトリチウム濃度値を排出基準値に照らし、クリアする場合は海洋放出、クリアしない場合はトリチウム濃度値を低減させる施設に移送するように、第1開閉弁26及び第3開閉弁28を閉設定にし、第2開閉弁27を開設定にすることで、処理水11をタンク12から外部に移送する(S23:END)。
Claims (5)
- 核燃料デブリの近傍を通過した水に対しイオン性放射性核種の除去処理を実施した処理水を蓄積するタンクと、
前記タンクに蓄積されている前記処理水を撹拌する撹拌部と、
撹拌されている前記処理水の一部を試料として前記タンクの外部に採取する採取部と、
採取された前記試料に対し含まれているトリチウムの定量分析を行う分析部と、
断続的に採取された複数の前記試料に対して行った複数の前記定量分析の結果に基づいて前記タンクに蓄積されている前記処理水のトリチウム濃度を計算する濃度計算部と、を備え、
前記撹拌部は、
前記処理水を外部から前記タンクの内部に輸送する第1輸送管と、
前記第1輸送管の先端に設けられ前記処理水を前記タンクの内部に吐出させる吐出部と、
前記タンクの内部の前記処理水を前記タンクの外部に輸送する第2輸送管と、
前記タンクの外部において前記第1輸送管及び前記第2輸送管を連結する連結管と、
前記タンクの内部、前記第2輸送管、前記連結管、前記第1輸送管の順番で前記処理水を循環させるポンプと、を有し、
前記第1輸送管の基端側には、前記イオン性放射性核種の除去処理するための多核種除去装置が設けられているか、もしくはこの多核種除去装置で処理した前記処理水を一時的に蓄積しているタンクが設けられ、
前記第2輸送管の先端側には、前記トリチウム濃度が排出基準値を満たしている場合に前記処理水を海洋放出するシステムが接続されていることを特徴とするトリチウム濃度測定装置。 - 請求項1に記載のトリチウム濃度測定装置において、
前記分析部は、
採取された前記試料と液体シンチレータとを混合して混合液にする混合部と、
前記混合液を収容した容器を近傍に配置し、前記トリチウムから放出されるβ線と前記液体シンチレータとの相互作用により発生した蛍光を入射して電気信号に変換する光電子増倍管と、
前記電気信号のカウント数に基づいて前記定量分析の結果を導出する計数部と、
前記容器から前記混合液を排出して前記容器の内壁を洗浄する容器洗浄部と、を有することを特徴とするトリチウム濃度測定装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のトリチウム濃度測定装置において、
前記分析部は、
前記トリチウム及びストロンチウムを別々に検出するチャンネルが設定されていることを特徴とするトリチウム濃度測定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトリチウム濃度測定装置において、
前記タンクに蓄積されている前記処理水に固体微粒子を添加する添加部と、
前記試料に分散している前記固体微粒子を計測する微粒子計測部と、を備えることを特徴とするトリチウム濃度測定装置。 - 核燃料デブリの近傍を通過した水に対しイオン性放射性核種の除去処理を実施した処理水をタンクに蓄積するステップと、
前記タンクに蓄積されている前記処理水を撹拌部で撹拌するステップと、
撹拌されている前記処理水の一部を試料として前記タンクの外部に採取するステップと、
採取された前記試料に対し含まれているトリチウムの定量分析を行うステップと、
断続的に採取された複数の前記試料に対して行った複数の前記定量分析の結果に基づいて前記タンクに蓄積されている前記処理水のトリチウム濃度を計算するステップと、を含み、
前記撹拌部は、
前記処理水を外部から前記タンクの内部に輸送する第1輸送管と、
前記第1輸送管の先端に設けられ前記処理水を前記タンクの内部に吐出させる吐出部と、
前記タンクの内部の前記処理水を前記タンクの外部に輸送する第2輸送管と、
前記タンクの外部において前記第1輸送管及び前記第2輸送管を連結する連結管と、
前記タンクの内部、前記第2輸送管、前記連結管、前記第1輸送管の順番で前記処理水を循環させるポンプと、を有し、
前記第1輸送管の基端側には、前記イオン性放射性核種の除去処理するための多核種除去装置が設けられているか、もしくはこの多核種除去装置で処理した前記処理水を一時的に蓄積しているタンクが設けられ、
前記第2輸送管の先端側には、前記トリチウム濃度が排出基準値を満たしている場合に前記処理水を海洋放出するシステム、及び前記排出基準値を満たして無い場合に前記処理水のトリチウム濃度を減少させるシステムが接続されていることを特徴とするトリチウム濃度測定方法。
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