JP4349385B2 - 粒子追跡法を用いた流場計測方法 - Google Patents

粒子追跡法を用いた流場計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体中に混入させたトレーサ粒子の位置追跡を非接触で行い、トレーサ粒子の位置の時間変化を検出することにより流場を計測する粒子追跡法を用いた流場計測方法に関するものである。
従来から、流体中に微小粒子であるトレーサ粒子を混入させ、位置計測装置によって非接触でトレーサ粒子の位置を追跡し、トレーサ粒子の位置の時間変化を検出することにより流体の速度分布を求める技術が知られている。この種の技術において、個々のトレーサ粒子を追跡し、各トレーサ粒子の速度ベクトルを求める技術はPTV(Particle Tracking Velocimetry)と呼ばれている。PTVによって得られるトレーサ粒子の速度ベクトルからは速度分布が求められ、さらに速度分布からは、渦度、せん断ひずみ速度、流線などを求めることができる。このように、速度分布を求めたり、速度分布から流体の振る舞いに関する情報を抽出したりすることで流場に関する定量的な計測がなされる。つまり、流場が計測される。
ところで、位置計測装置としては主としてTVカメラが用いられており、トレーサ粒子の速度ベクトルを求める方法には、単独のTVカメラで撮像した時間差を持つ複数枚の2次元画像において対応するトレーサ粒子の位置関係を求める2次元PTVと、複数台のTVカメラで撮像した画像内で同じトレーサ粒子同士を対応付け、TVカメラの視差を考慮してトレーサ粒子の3次元位置を求める3次元PTVとが知られている。
ただし、2次元PTVでは、トレーサ粒子の移動方向がTVカメラによる撮像平面に交差しているとトレーサ粒子の速度ベクトルを正確に抽出することができない。そこで、トレーサ粒子の速度ベクトルを求める必要があるときには3次元PTVが採用される(たとえば、特許文献1参照)。
特許第3599938号公報
ところで、3次元PTVではトレーサ粒子の3次元位置を追跡することができるから、速度ベクトルを正確に抽出することができるが、流場の特定箇所における速度分布を検出しようとすれば、多数個のトレーサ粒子について3次元位置を検出しなければならず、個々のトレーサ粒子の追跡が困難になる。一方、追跡が容易になるようにトレーサ粒子の個数を少なくすれば、位置計測装置の空間分解能に対して相対的にトレーサ粒子の個数が少なくなるから、位置計測装置の空間分解能に対して相対的に流場の特定箇所における速度分布の抽出精度が低下することになる。
この種の問題を解決するために、本発明者は、流場のすべての位置において幾何学的に同一の断面が得られる場合に、流場のどの断面においても速度ベクトルの分布が同一とみなせる点に着目した。言い換えると、幾何学的に同一とは、連続した流場において断面の形状および寸法が同一であるだけではなく、速度ベクトルの分布が同一であることを意味している。このような流場は、たとえば、中心軸が一直線であり断面積が一定である管路内に中心軸に沿って形成される流場、円筒形であって中心軸の周りに回転している流場などがある。
速度ベクトルの分布が同一である流場では、各断面で得られた速度ベクトルの分布は他の断面で得られた速度ベクトルの分布と等しいから、トレーサ粒子の追跡により各断面で得られた沿う速度ベクトルを1枚の断面の速度ベクトルとみなすことが可能である。つまり、各トレーサ粒子で求めた速度ベクトルを1枚の断面となる2次元平面に配置することにより、多数個のトレーサ粒子を用いて1枚の断面の速度ベクトルの分布を求めたことと等価になる。
上述のように、幾何学的に同一の断面が得られる流場においては、流場の幾何学的な性質を利用することにより、比較的少数のトレーサ粒子を用いながらも流場を精度よく計測することができる。ただし、流場の1枚の断面における速度ベクトルの分布を求めるだけでは、渦度、せん断ひずみ速度、流線などの諸量を求めることはできない。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、位置計測装置で計測するトレーサ粒子の個数を比較的少なくしてトレーサ粒子の追跡を容易にしながらも、速度分布を抽出する際には位置計測装置の空間分解能に見合う程度に多数個のトレーサ粒子の位置を用いて速度ベクトルの分布を精度よく抽出し、しかも速度勾配テンソルを求めることにより流場に関する諸量を求めることを可能とする粒子追跡法を用いた流場計測方法を提供することにある。
請求項1の発明は、内側面が撹拌翼の回転軸を中心とする回転体形状に形成された槽であって撹拌翼の回転に伴って撹拌翼の回転軸を中心とする流動を生じる撹拌槽内の流体にトレーサ粒子を混入させ、非接触かつ所定の時間間隔で位置計測を行う位置計測装置によりトレーサ粒子の3次元位置を追跡し、トレーサ粒子の位置の時間変化により撹拌槽内の流場を計測する方法であって、撹拌翼の回転軸の延長方向を一つの座標軸に持つ2次元平面を基準平面として設定し、トレーサ粒子の3次元位置を追跡することにより撹拌槽内の全体で得られる速度ベクトルの原データを回転軸の回りに回転させて原データを基準平面の位置に配置した後、基準平面の上の着目位置の周囲に3次元の微小領域を設定するとともに微小領域内における基準平面の上の複数個の原データを用いて着目位置に関する微分演算を有限差分法で代用することにより着目位置の速度勾配テンソルの成分を求めることを特徴とする。
この方法によれば、流体に撹拌翼の回転軸を中心とする流動が生じていることを利用し、トレーサ粒子と回転軸の延長方向とを含む平面に対するトレーサ粒子の速度ベクトルの向きが、撹拌翼の回転方向における位置には依存しないとみなしている。言い換えると、トレーサ粒子の3次元位置の追跡で得られる速度ベクトルのような原データは、回転軸の回りに回転させても情報が失われることなく保存されることに着目している。したがって、回転軸を一つの座標軸に持つ2次元平面である基準平面を設定し、原データを回転軸の軸回りに回転させることにより設定した基準平面に原データを配置することにより、原データが持つ情報を保存しながらも、基準平面に多数の原データを集約して配置することができる。つまり、位置計測装置の空間分解能に対して流体に混入させるトレーサ粒子の個数を比較的少なくすることができるから、位置計測装置において計測したトレーサ粒子の位置の追跡が容易になる。しかも、1枚の基準平面に原データを集めて配置するから、流場を計測する際には基準平面に集められた多数個の原データを用いることができ、位置計測装置の空間分解能に見合う程度に多数個のトレーサ粒子を用いて速度分布を精度よく抽出することができる。
ただし、流場の速度勾配テンソルは、1枚の基準平面の上の速度ベクトルの成分のみでは求めることができない。そこで、基準平面の上の着目位置の周囲に3次元の微小領域を設定し、微小領域内の基準平面の上の複数個の原データを用いて着目位置に関する微分演算を有限差分法で代用している。微小領域内の任意の位置の速度ベクトルは、基準平面の上の速度ベクトルの原データを複数個用いた補間演算によって求めることができる。このことを利用して、着目位置の速度勾配テンソルに含まれる微分値を有限差分法で求めた差分値で代用し、基準平面上の任意の位置の速度勾配テンソルを求めることが可能になる。つまり、流場に関する諸量を求めることが可能になる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記微小領域が前記基準平面を含む立方体の単位格子であって、有限差分法で用いる成分のうち基準平面に含まれない速度ベクトルを用いる成分には、前記回転軸の周りに基準平面を回転させたときの対応点の速度ベクトルの成分を適用することを特徴とする。
この方法によれば、微小領域を立方体の単位格子としているから、微小領域の形状が単純であって任意の位置の速度ベクトルを簡単な演算で求めることができる。また、基準平面で得られた速度ベクトルと基準平面との関係は、基準平面を回転軸の周りに回転させても保存されるから、速度勾配テンソルの成分を求める演算には、基準平面を回転軸の周りに回転させたときの対応点の速度ベクトルの成分を求めればよく、このことによって、撹拌槽内の任意位置の速度ベクトルを求めることが可能になる。その結果、撹拌槽内の所望の着目位置について速度勾配テンソルを求めることが可能になる。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記単位格子の一面が前記基準平面であることを特徴とする。
この方法によれば、単位格子の一面が基準平面に含まれるから、単位格子の6面のうち基準平面に並行な一面における速度ベクトルの成分を基準平面の上の速度ベクトルから求めるだけで、着目位置に関する微分値(差分値)を求めることができ、比較的少ない演算量で速度勾配テンソルの成分を求めることができる。
請求項4の発明では、請求項2の発明において、前記着目位置が前記単位格子の中心であって、単位格子の6面のうちの4面の中心の位置の速度ベクトルの成分は前記基準平面の上で前記原データにより求め、単位格子の6面のうちの残りの2面の中心の位置の速度ベクトルの成分は前記回転軸の周りに基準平面を回転させたときの対応点の速度ベクトルの成分により求めることを特徴とする。
この方法によれば、着目位置を中心とする4点については基準平面内で求めることができるから、着目位置に関する微分値(差分値)の演算量を低減することができ、速度勾配テンソルの成分を処理負荷の少ない高速な演算で求めることが可能になる。
請求項5の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記基準平面の上で求めた速度勾配テンソルの成分を回転軸の周りに回転させることにより撹拌槽内の所望の位置の流場を計測することを特徴とする。
この方法によれば、撹拌槽内であれば、どの位置であっても速度勾配テンソルの成分を求めることができるから、所望位置のせん断歪み速度や渦度のほか、流線も求めることが可能である。
本発明の方法によれば、回転軸を一つの座標軸に持つ2次元平面である基準平面を設定し、原データを回転軸の軸回りに回転させることにより設定した基準平面に原データを配置することにより、原データが持つ情報を保存しながらも、基準平面に多数の原データを集約して配置することができ、位置計測装置の空間分解能に対して流体に混入させるトレーサ粒子の個数を比較的少なくすることができるから、位置計測装置において計測したトレーサ粒子の位置の追跡が容易になるという利点がある。しかも、1枚の基準平面に原データを集めて配置するから、流場を計測する際には基準平面に集められた多数個の原データを用いることができ、位置計測装置の空間分解能に見合う程度に多数個のトレーサ粒子を用いて速度分布を精度よく抽出することができるという利点がある。さらに、基準平面の上の着目位置の周囲に3次元の微小領域を設定するとともに、微小領域内の基準平面の上の複数個の原データを用いて着目位置に関する微分演算を有限差分法で代用するから、基準平面上の任意の位置の速度勾配テンソルを求めることが可能になり、結果的に、流場に関する諸量を求めることが可能になるという利点がある。
以下に説明する実施形態では、図1に示すように、有底円筒状であって軸方向を上下方向に一致させて設置される撹拌槽1の中に、複数枚(図示例では6枚)の羽根2aを有した撹拌翼2が配置される。撹拌翼2には撹拌槽1の軸方向に沿った中心線上に回転軸3が設けられる。回転軸3は上端部に結合されたモータ4により回転駆動力が与えられる。
撹拌槽1の内側面は回転軸3の軸方向に直交する断面が円形であるから、撹拌槽1の内側面は撹拌翼2の回転軸3を中心とする回転体形状に形成されていることになる。回転体形状としては、軸方向における直径が変化しない円筒状のほか、軸方向の位置に応じて直径が変化する形状を採用することも可能である。また、撹拌翼2は回転軸3を対称軸として対称性を有するように形成されている。具体的には、回転軸3の下端部から回転軸3の回転方向における等角度間隔で羽根2aが放射状に突設される。したがって、撹拌槽1に流体7を注入し、モータ4により回転軸3を回転させると、撹拌槽1の中の流体7に撹拌翼2の回転軸3を中心とする流動が生じる。
本実施形態では3次元PTVの技術を用いて撹拌槽1の中の流体7に生じる流場を計測するるために、撹拌槽1の中の流体7には微粒子(粒子径が0.5〜150μm)であるトレーサ粒子が混入される。また、トレーサ粒子の3次元位置を計測するために位置計測装置5が設けられる。位置計測装置5は、2台のTVカメラ5a,5bを用いてトレーサ粒子を所定の時間間隔で撮像する。TVカメラ5a,5bで撮像する時間間隔はトレーサ粒子の移動速度に応じて設定され(1秒間に数十枚から数千枚の画像が得られるように時間間隔が設定される)、撮像された画像は、動画像のように、異なる時刻に撮像した複数枚の静止画像を時系列に並べたものになる。また、両TVカメラ5a,5bの視差を利用して多数のトレーサ粒子の3次元位置を非接触で計測する。すなわち、位置計測装置5ではトレーサ粒子について撹拌槽1の中での3次元位置の情報を持つ3次元画像を生成する。
TVカメラ5a,5bは撹拌槽1の外部に配置されており、撹拌槽1の外部から撹拌槽1の内部のトレーサ粒子を撮像するから、撹拌槽1は透明材料により形成される。また、3次元位置は回転軸3に並行な方向をz軸とする直交座標系において求める。この場合、各TVカメラ5a,5bを、光軸がz軸に直交し、かつ両TVカメラ5a,5bの光軸が互いに直交するように配置すれば、各TVカメラ5a,5bで撮像された画像の水平方向をそれぞれx方向,y方向に対応付けることができる。
位置計測装置5には流場解析装置6が接続される。流場解析装置6は、コンピュータを用いた一種の画像処理装置であって、位置計測装置5で生成された3次元画像を対象として以下の処理を行う。3次元画像は所定時間ごとに得られているから、各3次元画像の中でトレーサ粒子の対応付けを行い、各トレーサ粒子を追跡する必要がある。トレーサ粒子の追跡には、時間軸方向において隣接する2枚ずつの3次元画像の間でトレーサ粒子を対応付ける。トレーサ粒子を追跡する技術については種々提案されているので、適宜の技術を採用すればよい。
流場解析装置6では、トレーサ粒子の追跡後に各トレーサ粒子ごとに速度ベクトルを原データとして求める。以下では、ベクトルとテンソルとの少なくとも一方を含む数式を表記する際に、ベクトルまたはテンソルを[A]という形式で表記する。
いま、時刻tと時刻t(>t)とにおける3次元画像において、1個のトレーサ粒子について3次元位置がそれぞれ[A](t)=(x,y,z)、[A](t)=(x,y,z)であったとし、速度ベクトル[U](t)の時刻として始点位置の時刻tを採用し、Δt=t−tとおけば、速度ベクトル[U](t)は、次式で表される。
[U](t)={[A](t)−[A](t)}/Δt
=((x−x)/Δt,(y−y)/Δt,(z−z)/Δt)
ところで、本実施形態における流場は撹拌翼2の回転軸3を中心とする流動を生じるから、回転軸3を中心とする撹拌翼2の回転方向におけるどの位置であっても、回転軸3を含む断面に対する速度ベクトルは等価に扱うことができる。つまり、回転軸3を中心として回転方向のどの位置においても幾何学的には同一であると言える。そこで、回転方向の位置成分を除去しやすいように、トレーサ粒子の3次元位置を直交座標系から円筒座標系に変換する。この変換を容易にするために、直交座標系における原点の位置は回転軸3の上に設定しているものとする。
なお、とくに限定する趣旨ではないが、撹拌槽1と撹拌翼2との寸法関係は、以下のように設定した。すなわち、撹拌槽1の内径は200mm、撹拌槽1内の流体7の高さは200mm、撹拌翼2の外径は50mm、撹拌翼2の回転軸3に沿う方向の幅は10mm、撹拌槽1の内底面から撹拌翼2の下面までの高さは100mmとした。この条件では、回転軸3の回転方向のすべての位置において幾何学的に同一であるという条件を満たすことができる。つまり、撹拌槽1の内部は、回転軸を含むすべての断面において断面の形状および寸法が同一であり、また各断面における速度ベクトルの分布が同一になる。
時刻tにおけるトレーサ粒子の3次元位置を直交座標系で表したときに、[A](t)=(x(t),y(t),z(t))であり、円筒座標系で表したときに[A](t)=(r(t),θ(t),z(t))であるとすれば、数1の関係が成立する。
Figure 0004349385
上述したように、撹拌槽1の中の流場が回転方向のすべての位置において幾何学的に同一であって、速度ベクトルが回転軸3の回転方向の位置の影響を受けないとみなせる場合には、円筒座標系における角度成分θを無視することができる。つまり、回転軸3の回転方向の各位置の速度ベクトルについて、回転方向の各位置においてz軸を含むように設定した2次元平面に対する情報にのみ着目すればよいと言える。
そこで、図2、図3に示すように、z軸を一つの座標軸に持つ基準の2次元平面である基準平面PLを設定し、回転軸3の回転方向の各位置においてz軸を含む断面に対する各位置の速度ベクトルの関係を、基準平面PLとの関係に置き換える。つまり、基準平面PLの位置に、原データである速度ベクトルを配置するように速度ベクトル[U](t)の座標を変換する。座標変換にあたっては、速度ベクトルの始点を基準平面PLの上に位置させる。時刻tの速度ベクトル[U](t)であれば、始点である3次元位置[A](t)を基準平面PLの上に位置するように、着目するトレーサ粒子について座標変換を行う。
ここでは、基準平面PLをxz平面とし、回転軸3の回転方向の角度θをx軸の正の向きからy軸の正の向きに向かう回転方向で求めるものとする。この場合、時刻tにおいて、着目するトレーサ粒子の円筒座標系での位置が(r(t),θ(t),z(t))であるとすれば、速度ベクトル[U](t)を角度θ(t)だけ回転させることにより、基準平面PLに位置させることができる。数1によれば、θ(t)=tan−1(y(t)/x(t))であるから、時刻tについて一般化し、角度がθ(t)である位置の速度ベクトル[U](t)=(u,v,w)について、基準平面PL上の速度ベクトル[U]への座標変換を行うとすれば、数2のようになる。なお、速度ベクトル[U](t)のうちz成分wについては座標変換の影響を受けない。
Figure 0004349385
数2に示す座標変換を、すべてのトレーサ粒子について行えば、回転軸3の回転方向におけるトレーサ粒子の位置にかかわらず、着目するトレーサ粒子の速度ベクトル[U](t)を基準平面PLに対する速度ベクトル[U]として扱うことが可能になる。その結果、たとえば、1個のトレーサ粒子に着目するだけでも基準平面PLの上では多数個の速度ベクトル[U]として扱うことが可能になる。また、原データである速度ベクトルを基準平面PLに集約することにより多数個のデータとして扱うことが可能になるから、TVカメラ5a,5bの分解能に対するトレーサ粒子の個数を減らしてトレーサ粒子の追跡を容易にしながらも、流場の計測に用いるデータの密度を高めることによって、流場を精度よく計測することができるようになる。速度ベクトルからは、回転軸3を含む断面内での流体7の速度分布を求めることができ、また、速度分布の微分演算や積分演算によって、せん断ひずみ速度、流線などを求めることができる。これらの諸量を求める手順については後述する。
なお、上述した方法では、速度ベクトルを基準平面PLに配置するから、回転軸3の回転方向における速度ベクトルの情報は失われるが、回転軸3に直交する断面内あるいは回転軸3に沿った断面内での速度分布の情報は保たれている。速度分布、せん断ひずみ速度、流線などを撹拌槽1の内部空間の各位置に対応付けるには、基準平面PLの上での演算の後に、後述するように、撹拌槽1の各空間へのデータの再配置を行う。
また、上述の例では速度ベクトル[U](t)の始点位置を基準平面PLに一致させる例を示したが、基準平面PLに速度ベクトル[U](t)の終点を一致させてもよい。この場合、数2の角度θ(t)として、tan−1(y(t)/x(t))を用いる。
上述した動作を図4に簡単にまとめる。まず、撹拌槽1内のトレーサ粒子について位置計測装置5を用いて3次元位置を計測する(S1)。得られた3次元画像において着目するトレーサ粒子を追跡し(S2)、さらに、回転軸3の回転方向におけるトレーサ粒子の位置と基準平面PLとの間の角度差θ(t)を求める(S3)。また、着目するトレーサ粒子について速度ベクトル[U](t)を求める(S4)。速度ベクトル[U](t)を基準平面PLの上に配置するように座標変換を施す(S5)。基準平面PLに配置された速度ベクトル[U]により流場を計測し(S6)、速度分布やせん断ひずみ速度などを求める。基準平面PL上での流場計測の結果を撹拌槽1内の空間に展開することにより、撹拌槽1の中の流場を出力する(S7)。この結果は、コンピュータのモニタ装置のような出力装置に出力される。
ところで、基準平面PLの上に配置された原データ(速度ベクトル)を用いて流場に関する諸量を求めるには、原データを配置した基準平面PLを諸量の演算が可能となるように撹拌槽1の適宜の位置に適用する。撹拌槽1の内部は幾何学的に同一であるから、回転軸3の周りで基準平面PLをどの位置に回転させても、該位置の基準平面PLの上での速度ベクトルの分布として用いることができる。
そこで、撹拌槽1内の流場に関する諸量を求めようとするときには、原データを配置した基準平面PLを回転軸3の周りに回転させることによって、諸量を求めようとする所望位置に位置させる。このように基準平面PLを所望位置に位置させることにより、xz平面以外の位置における諸量を求めることができる。つまり、基準となるxz平面上に配置した原データに対して数2に示した座標変換の逆変換を行うのであって、所望位置の基準平面PLと基準とする基準平面PLとの角度差を求め、逆変換の際にこの角度差を適用することにより所望位置における速度ベクトルを求めることができる。
以下では、流場に関する諸量の一例としてせん断ひずみ速度を求める場合を例示する。せん断ひずみ速度は、速度勾配テンソル(トレーサ粒子の速度ベクトルの勾配=grad[U])を、対称テンソルと非対称テンソルとの和の形式で表し、さらにこの対称テンソルを対角成分からなるテンソルと非対角成分からなるテンソルとの和で表したとき、非対角成分からなるテンソルと微小変位とのスカラー積に相当する。言い換えると、速度勾配テンソルに0ではない成分が含まれているときには、流場の近接した2点の速度が異なることを意味するのであって、当該2点を含む微小領域は時間の経過に伴って、形状および体積が変化しない変化(回転)、形状のみの変化(ずれ歪み)、形状および体積の変化(伸縮歪み)のいずれかを生じることになる。回転は非対称テンソルに対応し、ずれ歪みは対称テンソルの非対角成分からなるテンソルに対応し、伸縮歪みは対称テンソルの対角成分からなるテンソルに対応する。ずれ歪みに対応するテンソルを求めるとせん断ひずみ速度を求めることができ、回転に対応するテンソルを求めると渦度を求めることができる。
これらの関係を数式を用いて簡単に説明する。着目する流場については連続体として考える。流場の近接した2点の速度について考察するために、各点の位置をそれぞれ位置ベクトル[X],[X+ΔX]で表す。各点の速度ベクトルをそれぞれ[U],[U+ΔU]とすれば、速度ベクトルの差[dU]は次式で表すことができる。
[dU]=[U([X+ΔX])]−[U([X])]=grad[U]・[dX]
上述のように、grad[U]は速度勾配テンソルであって、テンソルの性質から対称成分と非対称成分の和として表すことができる。すなわち、grad[U]=[L]とおけば、次式が成立するから、次式の第1項と第2項とをそれぞれ[D],[W]おけば、[D]は速度勾配テンソル[L]の対称テンソル(「伸長テンソル」または「変形速度テンソル」という)、[W]は速度勾配テンソル[L]の非対称テンソル(「渦度テンソル」または「スピンテンソル」という)になる。
[L]=(1/2)([L]+[L])+(1/2)([L]−[L]
[D]=(1/2)([L]+[L]
[W]=(1/2)([L]−[L]
具体的には、伸長テンソル[D]、渦度テンソル[W]は数3のように表される。
Figure 0004349385
上述したように渦度テンソル[W]は変形を伴わない回転を意味しており、伸長テンソル[D]は変形を伴う伸縮歪みとずれ歪みとの和を意味している。伸長テンソル[D]は対角成分のテンソル[D1]と非対角成分のテンソル[D2]との和として表すことができる(すなわち、[D]=[D1]+[D2])。対角成分からなるテンソル[D1]は単純伸長変形速度テンソル、非対角成分からなるテンソル[D2]はせん断変形速度テンソル(または、単純ずり変形速度テンソル)と呼ばれる。単純伸長変形速度テンソル[D1]とせん断変形速度テンソル[D2]とはそれぞれ数4のように表される。非対角成分によるせん断変形では、体積は変化しない。
Figure 0004349385
ここまでの説明を簡単にまとめる。まず、[dU]=grad[U]・[dX]=[L]・[dX]であって、[L]=[D]+[W]=[D1]+[D2]+[W]であるから、次式が得られる。
[dU]=([D1]+[D2]+[W])・[dX]
上式はスカラー積であるから、展開することができ、次式が得られる。
[dU]=[D1]・[dX]+[D2]・[dX]+[W]・[dX]
ここで、[D2]・[dX]=[dU2]とおけば、[dU2]がせん断ひずみ速度になる。したがって、せん断ひずみ速度[dU2]を算出するには、数4に示したせん断変形速度テンソル[D2]の成分を演算する必要がある。ただし、トレーサ粒子により計測されるデータは基準平面PLに配置した速度ベクトルの原データであるから、数4の演算に原データを用いるための工夫が必要になる。
いま、基準平面PL上では速度ベクトルの原データが十分に高い密度で得られていると仮定すると、図5のように、基準平面PLの上で正方形の各頂点の位置に始点を持つ4個の速度ベクトルを選択することができると考えることができる(実際には4個の速度ベクトルの始点の位置が正方形の頂点に位置するとは限らないが、ここでは、理想化して説明する。また、始点が正方形の頂点に位置する4個の原データが得られないときには、後述する補間演算を行うことにより、始点が正方形の頂点に位置する4個の速度ベクトルを用いることができる)。以下では、これらの4個の速度ベクトルの原データを用い、正方形の中心の位置を着目位置として、着目位置におけるせん断変形速度テンソル[D2]の各成分を求める方法について説明する。
せん断変形速度テンソル[D2]の各成分には、∂u/∂x、∂u/∂y、∂u/∂z、∂v/∂x、∂v/∂y、∂v/∂z、∂w/∂x、∂w/∂y、∂w/∂zの9種類の偏微分の要素が含まれているから、これらの各要素を4個の原データを用いて表せば、数4によりせん断変形速度テンソル[D2]を求めることができる。ただし、原データは離散値であるから、偏微分の値は差分で代用することになる。偏微分を差分で代用する演算方法には数種類が知られており、以下では演算が単純で負荷が少ない方法として、1次元の有限差分法のうちの中心差分法を用いる例を示すが、他の演算方法を採用することも可能である。
いま、3次元空間を立方体の単位格子で区分し、各単位格子の格子点の位置の座標を(i,j,k)で表すものとする。i,j,kは原点位置からx,y,zの各軸方向における単位格子の個数に相当する整数値であり、各軸方向の正の向きでは正の値になり、負の向きでは負の値になる。したがって、原点位置ではi,j,k=0になる。着目する位置に関する偏微分の値を求めるにあたり、1次元有限差分法では各軸方向の一直線上に並ぶ値を用い、中心差分法では着目する位置の前後の値を用いて中心の値を求める。
たとえば、着目位置の座標を(i,j,k)とし、この座標(i,j,k)での関数fのxに関する偏微分∂f/∂xを差分で代用すれば次式で表すことができる。
(∂f/∂x)={f(i+1,j,k)−f(i−1,j,k)}/2Δx
ただし、Δxはx軸方向における単位格子の格子定数であって、Δx=(i+1)−i=i−(i−1)=……=1である。同様にして、∂f/∂y、∂f/∂zは、それぞれ次式で求めることができる。
(∂f/∂y)={f(i,j+1,k)−f(i,j−1,k)}/2Δy
(∂f/∂z)={f(i,j,k+1)−f(i,j,k−1)}/2Δz
ここで、基準平面PLの上の着目位置における速度勾配テンソルを求めるものとし、上述した単位格子を着目位置の周囲に微小領域として設定するものとする。微小領域としての単位格子は、着目位置の微分演算による微分値を有限差分法により求めた差分で代用するために設定した領域であって、図5に示すように、xz平面である基準平面PLの上の着目位置を中心とする立方体として設定される。ここでは、単位格子を基準平面PLで切り取った断面である正方形の頂点の位置の速度ベクトルが原データから求められるものとする。つまり、単位格子の6面のうちの2面は基準平面PLに平行であって、この2面に平行で単位格子の中心を中心とする正方形の頂点における速度ベクトルを原データから求めるものとする(この速度ベクトルは原データであることが望ましいが、他の原データから補間演算により求めてもよい)
求めた4個の速度ベクトルを上式に適用すれば、以下の演算によりxに関する偏微分の値とzに関する偏微分の値とを求めることができる。
いま、時刻については考慮しないこととし(つまり、同時刻について考えることとし)、座標(i,j,k)における速度ベクトルを[U]i,j,kと表記し、速度ベクトル[U]i,j,kの各成分を、ui,j,k,vi,j,k,wi,j,kと表記するものとして、着目位置に関する演算を行うために選択した4個の原データが[U]i,j,k、[U]i+1,j,k、[U]i,j,k+1、[U]i+1,j,k+1であるとする。つまり、原データが単位格子の格子定数の間隔で求められるものとする。
この場合、着目位置である正方形の中心の座標は(i+0.5,j,k+0.5)であり、単位格子の面心(一面の中心)の位置が着目位置になる。なお、基準平面PLはy=0であるからj=0である。原データは単位格子の格子定数の間隔で求められると仮定しているから、着目位置の座標に対するx軸方向の前後の座標は、(i,j,k+0.5)と(i+1,j,k+0.5)とになり、着目位置の座標に対するz軸方向の前後の座標は(i+0.5,j,k)と(i+0.5,j,k+1)とになる。
したがって、着目位置の座標での速度ベクトル[U]i+0.5,j,k+0.5のx,zに関する偏微分(差分)の値は、それぞれ次式で与えられる。
∂[U]i+0.5,j,k+0.5/∂x={[U]i+1,j,k+0.5−[U]i,j,k+0.5}/2Δx
∂[U]i+0.5,j,k+0.5/∂z={[U]i+0.5,j,k+1−[U]i+0.5,j,k}/2Δz
基準平面PLの上の速度ベクトルの原データの間の距離は等間隔とは限らないから、実際にはΔx、Δzは原データの位置によって異なるが、後述するように補間演算を行うことによりΔx=Δz=1として演算することができる。
ところで、基準平面PLの上の速度ベクトルの関係は以下のように考えることができる。
[U]i,j,k+0.5=([U]i,j,k+1+[U]i,j,k)/2
[U]i+1,j,k+0.5=([U]i+1,j,k+1+[U]i+1,j,k)/2
[U]i+0.5,j,k=([U]i+1,j,k+[U]i,j,k)/2
[U]i+0.5,j,k+1=([U]i+1,j,k+1+[U]i,j,k+1)/2
それゆえ、次式が成立する。
∂[U]i+0.5,j,k+0.5/∂x={([U]i+1,j,k+1+[U]i+1,j,k)/2−([U]i,j,k+1+[U]i,j,k)/2}/2Δx
∂[U]i+0.5,j,k+0.5/∂z={([U]i+1,j,k+1+[U]i,j,k+1)/2−([U]i+1,j,k+[U]i,j,k)/2}/2Δz
たとえば、速度ベクトルの成分uに着目すると、着目位置の座標(i+0.5,j,k+0.5)におけるxに関する微分値∂ui+0.5,j,k+0.5/∂xは、次式で表される。
∂ui+0.5,j,k+0.5/∂x={(ui+1,j,k+1+ui+1,j,k)/2−(ui,j,k+1+ui,j,k)/2}/2Δx
同様にして、着目位置の座標(i+0.5,j,k+0.5)におけるzに関する微分値∂ui+0.5,j,k+0.5/∂zは、次式で表される。
∂ui+0.5,j,k+0.5/∂z={(ui+1,j,k+1+ui,j,k+1)/2−(ui+1,j,k+ui,j,k)/2}/2Δz
以上の説明から明らかなように、数4のうちxに関する偏微分の値と、zに関する偏微分の値とは、基準平面PLの上の速度ベクトルの原データにより求めることができる。yに関する偏微分の値についても、x,zに関する偏微分の値と同様に、1次元有限差分法のうちの中心差分法で求めた差分で代用する。つまり、次式を用いる。
∂[U]i+0.5,j,k+0.5/∂y={[U]i+0.5,j+0.5,k+0.5−[U]i+0.5,j−0.5,k+0.5}/2Δy
ただし、Δy=1とする。
ここにおいて、yに関する偏微分を差分で表すには、基準平面PLに存在しない速度ベクトルのデータを用いる必要があるから、x,zに関する偏微分のように基準平面PLに配置した速度ベクトルの原データを用いるだけでは、yに関する偏微分の値を求めることはできない。そこで、z軸を含むすべての断面において流場が幾何学的に同一であることを利用し、以下に説明するように、基準平面PLに配置した速度ベクトルの原データを用いて、座標位置(i+0.5,j+0.5,k+0.5),(i+0.5,j−0.5,k+0.5)のそれぞれの速度ベクトル[U]i+0.5,j+0.5,k+0.5,[U]i+0.5,j−0.5,k+0.5として、基準平面PLの上で座標位置(i+0.5,j+0.5,k+0.5),(i+0.5,j−0.5,k+0.5)に対応する対応点における速度ベクトルで代用する。
いま、図6に示すように、x軸上(つまり基準平面PL上)の点qをz軸(回転軸3)の周りにφだけ回転させたときに、点qが座標位置(i+0.5,j+0.5,k+0.5)に移動するものとする(つまり、点qが座標位置(i+0.5,j+0.5,k+0.5)の対応点であるものとする)。流場は幾何学的に同一なので、点qの位置における速度ベクトル[U]と基準平面PLとの関係は、回転軸3と座標位置(i+0.5,j+0.5,k+0.5)とを含む平面と座標位置(i+0.5,j+0.5,k+0.5)における速度ベクトル[U]i+0.5,j+0.5,k+0.5との関係と同じとみなせる。また、yに関する偏微分の値を求めることが目的であるから、xy平面について考慮すればよい。つまり、xy平面において、基準平面PL(x軸)に対する速度ベクトル[U]の角度をψとすれば、回転軸3と座標位置(i+0.5,j+0.5,k+0.5)とを含む平面に対する速度ベクトル[U]i+0.5,j+0.5,k+0.5の角度もψになる。
上述の性質から、速度ベクトル[U]i+0.5,j+0.5,k+0.5,[U]i+0.5,j−0.5,k+0.5を求めるには、基準平面PLの上でそれぞれ(i+0.5,j+0.5,k+0.5),(i+0.5,j−0.5,k+0.5)に対応する点qを求め、点qの上の速度ベクトル[U]を求めればよいことがわかる。任意の位置の速度ベクトルは、近傍の速度ベクトルを用いた補間演算により求めることができると考えてよいから、点qが基準平面PL(x軸)上において点(i,j,k+0.5)と点(i+1,j,k+0.5)との間に位置していることを利用し、両点(i,j,k+0.5),(i+1,j,k+0.5)における速度ベクトル[U]i,j,k+0.5,[U]i+1,j,k+0.5を用いて、点qにおける速度ベクトル[U]を求めることができる。上述したように、速度ベクトル[U]i,j,k+0.5,[U]i+1,j,k+0.5は、既知である4個の原データ[U]i,j,k、[U]i+1,j,k、[U]i,j,k+1、[U]i+1,j,k+1を用いて次式のように求めることができる。
[U]i,j,k+0.5=([U]i,j,k+[U]i,j,k+1)/2
[U]i+1,j,k+0.5=([U]i+1,j,k+[U]i+1,j,k+1)/2
したがって、原点(回転軸3)から点qまでの距離をQとすれば、点qにおける速度ベクトル[U]は次式で表すことができる。
[U]=[{(Q−(i+0.5)+(i+0.5)−i)}/{(i+1)−i}][U]i+1,j,k+0.5+[{(i+1)−(i+0.5)−(Q−(i+0.5)}/{(i+1)−i}][U]i,j,k+0.5
={(Q−i)[U]i+1,j,k+0.5+((i+1)−Q)[U]i,j,k+0.5
={(Q−i)([U]i+1,j,k+[U]i+1,j,k+1)+((i+1)−Q)([U]i,j,k+[U]i,j,k+1)}/2
ここに、距離Qは次式で表される。
Q=[(i+0.5)+{((j+0.5)−(j−0.5))/2}0.5
さらに、図5に示した関係で理想化すれば、(j+0.5)−(j−0.5)=1であるから、これらの関係を適用すれば距離Qは次式で表すことができる。
Q=[{(i+0.5}+(0.5)0.5
以上の結果を用い、点qにおける速度ベクトル[U]の絶対値をrとすると、図6に示す関係から、着目位置の座標での速度ベクトル[U]i+0.5,j,k+0.5の成分ui+0.5,j,k+0.5のyに関する偏微分(差分)の値は次式で与えられる。
∂ui+0.5,j,k+0.5/∂y=(ui+0.5,j+0.5,k+0.5−ui+0.5,j−0.5,k+0.5)/2Δy
=r・cos(ψ+φ)−r・cos(ψ−φ)/2Δy
=−2r・sinψsinφ/2Δy
ここで、速度ベクトル[U]の各成分をu,v,wと表記すれば、
sinψ=v/r
sinφ={(j+0.5)−(j−0.5)}/2/Q=1/2Q
になる。Δy=0.5であるから、上式を次式のように変形することができる。
∂ui+0.5,j,k+0.5/∂y=−2r(v/r){1/2Q}
=−v/Q
ここで、[U]={(Q−i)([U]i+1,j,k+[U]i+1,j,k+1)+((i+1)−Q)([U]i,j,k+[U]i,j,k+1)}/2であるから、vは次式のようになる。
={(Q−i)(vi+1,j,k+vi+1,j,k+1)+((i+1)−Q)(vi,j,k+vi,j,k+1)}/2
それゆえ、次式が成立する。
∂ui+0.5,j,k+0.5/∂y={(i−Q)(vi+1,j,k+vi+1,j,k+1)+(Q−(i+1))(vi,j,k+vi,j,k+1)}/2Q
同様にして速度ベクトル[U]i+0.5,j,k+0.5の成分vi+0.5,j,k+0.5のyに関する偏微分(差分)の値は次式で与えられる。
∂vi+0.5,j,k+0.5/∂y={vi+0.5,j+0.5,k+0.5−vi+0.5,j−0.5,k+0.5}/2Δy
=r・sin(ψ+φ)−r・sin(ψ−φ)/2Δy
=2r・cosψsinφ/2Δy
=2r(u/r){1/2Q}
=u/Q
=−{(i−Q)(ui+1,j,k+ui+1,j,k+1)+(Q−(i+1))(ui,j,k+ui,j,k+1)}/2Q
速度ベクトル[U]i+0.5,j,k+0.5の成分wi+0.5,j,k+0.5はz軸(回転軸3)の周りに回転しても変化しないから、yに関する偏微分の値は0になる。つまり、次式が得られる。
∂wi+0.5,j,k+0.5/∂y=0
以上まとめると、速度ベクトル[U]i+0.5,j,k+0.5の成分各ui+0.5,j,k+0.5,vi+0.5,j,k+0.5,wi+0.5,j,k+0.5のyに関する偏微分の値は、次式のようになる。
∂ui+0.5,j,k+0.5/∂y={(i−Q)(vi+1,j,k+vi+1,j,k+1)+(Q−i−1)(vi,j,k+vi,j,k+1)}/2Q
∂vi+0.5,j,k+0.5/∂y=−{(i−Q)(ui+1,j,k+ui+1,j,k+1)+(Q−i−1)(ui,j,k+ui,j,k+1)}/2Q
∂wi+0.5,j,k+0.5/∂y=0
以上説明したように、基準平面PLに集約された速度ベクトルの原データのうち着目位置の近傍に位置する4個の原データを用い、着目位置を中心とした基準平面PL内の正方形を設定してx,zに関する偏微分の値を求める。また、着目位置からy方向に所定距離だけ離れた位置と回転軸3との距離Qを求め、基準平面PLの上で回転軸3から距離Qに位置する速度ベクトル[U]と基準平面PLとの位置関係を用いることによってyに関する偏微分の値を求めることができる。つまり、基準平面PLの上で着目位置を中心とした4個の速度ベクトルを用いることにより、基準平面PLの上の任意の位置のせん断ひずみ速度を求めることができる。したがって、基準平面PLの上でせん断変形速度テンソル[D2]を求めることができる。これにより、せん断変形速度テンソルを求めることができるのである。また、同様にして流場を記述する他のテンソルも求めることができる。つまり、せん断ひずみ速度のほか、渦度も求めることができる。さらに、回転軸3を含むすべての断面において流場は幾何学的に同一であるから、基準平面PLにおいて求めた流場は、撹拌槽1の中の任意の位置に適用することが可能であるから、流線も求めることができる。
なお、上述の演算は着目画素を中心とする正方形の頂点の位置の速度ベクトルを用いているが、基準平面PLの上で求められる速度ベクトルが正方形の頂点位置に位置するとは限らない。したがって、実際には上述した演算で用いたように、速度ベクトルについて適宜の補間を行うことにより、正方形の頂点位置に相当する速度ベクトルを求め、この速度ベクトルを用いればよい。
また、上述の例では1次元の有限差分法のうち中心差分を用いたが、1次元の有限差分法のうちの前進差分、リチャードソン法、最小二乗法などを用いることができ、また、2次元の有限差分法である中心差分、最小二乗法などを用いることができる。これらの演算についてxに関する偏微分の値を差分で代用する場合について概念のみ示しておく。これらの差分を用いる場合も上述した手順に準じる。
前進差分法(1次元):(∂f/∂x)i+0.5={f(i+1,j,k)−f(i,j,k)}/Δx
リチャードソン法(1次元):(∂f/∂x)={f(i−2,j,k)−8f(i−1,j,k)+8f(i+1,j,k)−f(i+2,j,k)}/12Δx
最小二乗法(1次元):(∂f/∂x)={2f(i+2,j,k)+f(i+1,j,k)−f(i−1,j,k)−f(i−2,j,k)}/10Δx
中心差分法(2次元):(∂f/∂x)i,j={f(i+1,j+1,k)−f(i−1,j+1,k)+2(f(i+1,j,k)−f(i−1,j,k))+f(i+1,j−+1,k)−f(i−1,j−1,k)}/8Δx
最小二乗法(2次元):(∂f/∂x)i,j={2(f(i+1,j+1,k)+f(i+1,j−1,k)−f(i−1,j+1,k)−f(i−1,j−1,k))+f(i+1,j,k)−f(i−1,j,k)}/10Δx
本発明に用いる装置の概略構成図である。 同上における直交座標系と円柱座標系との関係を示す斜視図である。 同上における直交座標系と円柱座標系との関係を示す平面図である。 同上の動作説明図である。 同上における演算の概念を示す図である。 同上においてyに関する偏微分の値を求める演算の概念を示す図である。
符号の説明
1 撹拌槽
2 撹拌翼
3 回転軸
4 モータ
5 位置計測装置
6 流場解析装置
7 流体
PL 基準平面

Claims (5)

  1. 内側面が撹拌翼の回転軸を中心とする回転体形状に形成された槽であって撹拌翼の回転に伴って撹拌翼の回転軸を中心とする流動を生じる撹拌槽内の流体にトレーサ粒子を混入させ、非接触かつ所定の時間間隔で位置計測を行う位置計測装置によりトレーサ粒子の3次元位置を追跡し、トレーサ粒子の位置の時間変化により撹拌槽内の流場を計測する方法であって、撹拌翼の回転軸の延長方向を一つの座標軸に持つ2次元平面を基準平面として設定し、トレーサ粒子の3次元位置を追跡することにより撹拌槽内の全体で得られる速度ベクトルの原データを回転軸の回りに回転させて原データを基準平面の位置に配置した後、基準平面の上の着目位置の周囲に3次元の微小領域を設定するとともに微小領域内における基準平面の上の複数個の原データを用いて着目位置に関する微分演算を有限差分法で代用することにより着目位置の速度勾配テンソルの成分を求めることを特徴とする粒子追跡法を用いた流場計測方法。
  2. 前記微小領域は前記基準平面を含む立方体の単位格子であって、有限差分法で用いる成分のうち基準平面に含まれない速度ベクトルを用いる成分には、前記回転軸の周りに基準平面を回転させたときの対応点の速度ベクトルの成分を適用することを特徴とする請求項1記載の粒子追跡法を用いた流場計測方法。
  3. 前記単位格子の一面が前記基準平面であることを特徴とする請求項2記載の粒子追跡法を用いた流場計測方法。
  4. 前記着目位置が前記単位格子の中心であって、単位格子の6面のうちの4面の中心の位置の速度ベクトルの成分は前記基準平面の上で前記原データにより求め、単位格子の6面のうちの残りの2面の中心の位置の速度ベクトルの成分は前記回転軸の周りに基準平面を回転させたときの対応点の速度ベクトルの成分により求めることを特徴とする請求項2記載の粒子追跡法を用いた流場計測方法。
  5. 前記基準平面の上で求めた速度勾配テンソルの成分を回転軸の周りに回転させることにより撹拌槽内の所望の位置の流場を計測することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の粒子追跡法を用いた流場計測方法。
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