JP6305696B2 - 原子炉の廃炉方法及び廃炉システム - Google Patents

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Description

本発明は、原子炉の廃炉方法及び廃炉システムに関し、特に、破損した原子炉の廃炉に適した原子炉の廃炉方法及び廃炉システムに関する。
メルトダウン(炉心溶融)、メルトスルー(炉心貫通)又は水素爆発に至った原子炉は、極めて高い放射線線量を有する残骸核燃料貯蔵庫ともいうべき状態になっており、制御棒により核分裂を制御できない状態になっている。したがって、これらの状態に至った原子炉は、一刻も早く放射線の放出及び再臨界の発生を抑制する必要がある。
例えば、特許文献1には、軽水炉の冷却系設備に故障が生じ炉心溶融の恐れがある場合に、中性子を吸収する制御材としてボロン粒体を原子炉圧力容器内に投入し、燃料棒が溶融した際の再臨界を防止する方法が開示されている。かかる発明では、圧力容器内にボロン粒体を投入して水面に浮遊させることにより、圧力容器内の水位が低下して燃料棒が水面に露出した場合に、ボロン粒体を燃料棒の表面に付着させ、熱中性子を吸収して再臨界を未然に防止するようにしている。
また、特許文献2には、原子力発電所が地震や津波等の天災により破損又は破壊された場合に、圧力容器の水漏れしている破損部分を外側から氷結して破損部分を塞ぐようにする方法が開示されている。かかる発明では、圧力容器の破損部分を氷で塞いで水漏れを防止できると共に、圧力容器の内部の核燃料の温度を下げることができる。
特開2013−24826号公報 特開2013−2869号公報
ところで、特許文献1に記載された発明は、水に浮くボロン粒体によって再臨界を未然に防止するものであるが、核燃料が収容された圧力容器が損傷して水漏れが発生している場合、その破損箇所を塞ぐことができない。従って、損傷部分からの水漏れを補うように冷却水を圧力容器に注入し続けなければ圧力容器内の核燃料を適切に冷却できない。また、圧力容器の損傷部分から漏れ出た汚染水の処理が問題となる。
また、特許文献2に記載された発明では、圧力容器の水漏れしている破損部分を外側から氷結して水漏れを防止していることから、水漏れを一時的に抑えることは可能であるが、水漏れを長期間に亘って安定して防止するためには、氷結装置を圧力容器の破損部分の近傍に設置して継続的に破損部分を氷結し続ける必要があり、実際上困難である。
本発明は、上述した問題点を鑑みて創案されたものであり、原子炉が破損した場合であっても、再臨界を回避しつつ原子炉を冷却することができ、破損部分を塞いで放射線及び放射性物質の漏出を抑制することができ、頑健な閉じ込めを行うことができる、原子炉の廃炉方法及び廃炉システムを提供することを目的とする。
本発明によれば、破損した原子炉の放射性物質の閉じ込めを行う原子炉の廃炉方法であって、前記原子炉内に水、硼酸及び二酸化珪素を含む泥漿を注入する泥漿注入工程と、前記泥漿により前記原子炉を冷却しつつ熱中性子を吸収すると共に前記原子炉の破損部分又は溶融核燃料の表面を被覆する被覆工程と、を含み、前記泥漿注入工程は、前記原子炉の破損状態に応じて、前記硼酸の濃度、前記二酸化珪素の濃度及び前記二酸化珪素の粒径のうち少なくとも一つを調整する調整工程を含む、ことを特徴とする原子炉の廃炉方法が提供される。
た、前記泥漿注入工程により前記原子炉内に供給された泥漿を吸い上げて冷却し、再び前記原子炉内に供給する泥漿循環工程を有していてもよい。
また、本発明によれば、破損した原子炉の放射線及び放射性物質の閉じ込めを行う原子炉の廃炉システムであって、溶媒又は冷却材として水を供給する水分供給部と、熱中性子を吸収する硼酸を供給する硼酸供給部と、原子炉の破損部分又は核燃料の表面を被覆するための二酸化珪素を供給する二酸化珪素供給部と、水、硼酸及び二酸化珪素を混合して泥漿を生成する泥漿生成部と、泥漿を原子炉内に注入する泥漿注入部と、水、硼酸及び二酸化珪素の供給量を制御する制御部と、を備えることを特徴とする原子炉の廃炉システムが提供される。
前記制御部は、原子炉の破損状態に応じて、水、硼酸及び二酸化珪素の流量を調整可能に構成されていてもよい。前記二酸化珪素供給部は、粒径の異なる二酸化珪素を貯留する複数の二酸化珪素貯留タンクを有していてもよい。また、前記原子炉内に供給された泥漿を吸い上げて冷却し、再び前記原子炉内に供給する泥漿循環部を備えていてもよい。
本発明に係る原子炉の廃炉方法及び廃炉システムによれば、破損した原子炉内に水、硼酸及び二酸化珪素を含む泥漿を注入し、かかる泥漿により原子炉を冷却しつつ熱中性子を吸収すると共に原子炉の破損部分又は核燃料の表面を被覆するようにしていることから、原子炉が破損した場合であっても、再臨界を回避しつつ原子炉を冷却することができるだけでなく、破損部分を塞いで放射線及び放射性物質の漏出を抑制することができ、頑健な閉じ込め(封じ込め)を行うことができ、適切に廃炉することができる。
本発明の第一実施形態に係る原子炉の廃炉システムの概要図である。 本発明の第二実施形態に係る原子炉の廃炉システムの概要図である。 本発明を沸騰水型原子炉(BWR)に適用した場合の説明図である。 本発明を加圧水型原子炉(PWR)に適用した場合の説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付すことにより重複した説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(廃炉の対象となる原子炉)
地震や津波等により、メルトダウン(炉心溶融)、メルトスルー(炉心貫通)又は水素爆発に至った原子炉は、極めて高い放射線線量を有する残存核燃料の貯蔵庫であり、制御棒によって核分裂を制御できる状態ではない。従って、溶融した核燃料から放射線が放出されることを抑え、万が一にも核分裂が発生しないように再臨界管理及び崩壊熱管理を確実に行い、頑健な閉じ込め(封じ込め)が可能となる廃炉方法が求められる。
かかる要請に基づき、破損した原子炉を適切に廃炉にできる廃炉方法及び廃炉システムとして、本発明が創案された。なお、廃炉の概念には、原子炉を停止させて炉をその状態のまま放棄する他、原子炉を停止させた後に炉とそれに関連する設備を解体する概念も含まれる。
(廃炉システムS1の概要)
図1に本発明の第一実施形態に係る原子炉1の廃炉システムS1の概要を示す。本実施形態に係る原子炉1の廃炉システムS1は、溶媒又は冷却材として水を供給する水分供給部2と、熱中性子を吸収する硼酸を供給する硼酸供給部3と、原子炉1の破損部分又は溶融核燃料の表面を被覆するための二酸化珪素(以下、「シリカ」と称する。)を供給する二酸化珪素供給部4と、水、硼酸及びシリカを混合して泥漿を生成する泥漿生成部5と、泥漿を原子炉1の液体流通経路内に注入する泥漿注入部6と、水、硼酸及びシリカの供給を制御する制御部7と、を備えている。なお、図1及び図2に示した原子炉1は、説明の便宜上、簡略化した構成を図示している。
(水分供給部)
図1に示すように、水分供給部2は、原子炉1の上方に配置された水タンク2aを有し、水タンク2a内には水が貯留されている。水は、冷却材として機能すると共に、硼酸及びシリカの溶媒としても機能する。
(硼酸供給部)
図1に示すように、硼酸供給部3は、原子炉1の上方に配置された硼酸タンク3aを有し、硼酸タンク3a内には硼酸水が貯留されている。硼酸水は、例えば、五硼酸ナトリウム水溶液が用いられ、硼酸が熱中性子の吸収材として機能する。
(二酸化珪素供給部)
図1に示すように、二酸化珪素供給部4は、原子炉1の上方に配置されたシリカタンク4aを有し、シリカタンク4a内には粉粒状のシリカが水に分散されたシリカ懸濁液が貯留されている。粉粒状のシリカは、原子炉1の破損部分(例えば、ひび、亀裂、孔等)又は核燃料の表面を被覆する機能を有する。シリカの粒径は、原子炉1の破損部分の大きさに応じて、例えば、10μm〜1cm程度のものが用いられる。
(泥漿生成部)
図1に示すように、泥漿生成部5は、水タンク2aの底部に接続された配管2bと、硼酸タンク3aの底部に接続された配管3bと、シリカタンク4aの底部に接続された配管4bと、これら配管2b,3b,4bを集合する集合配管5aと、この集合配管5aに接続された撹拌機5bと、を有する。撹拌機5bには、水、硼酸水及びシリカ懸濁液の混合液が供給され、撹拌回転羽根等の撹拌手段(図示せず)によって略均一に撹拌され、水、硼酸及びシリカを含む泥漿(硼酸水にシリカが分散された流動体)が生成される。
なお、「泥漿」とは、液体中に固体粒子が分散された懸濁液をいい、スラリーやスライムと同義である。かかる泥漿を容器内に供給すると、固体粒子である粉粒状のシリカが時間の経過と共に沈下し、定常状態に落ち着く。
(泥漿注入部)
図1に示すように、泥漿注入部6は、撹拌機5bで生成された水、硼酸及びシリカを含む泥漿を原子炉1に注入するものであり、上端が撹拌機5bに接続され下端が原子炉1内の設備(例えば、圧力容器、格納容器、使用済燃料プール等)に接続された配管6aと、配管6aに設けられた圧送ポンプ6bと、を有する。圧送ポンプ6bを作動させると、撹拌機5bによって生成された泥漿が配管6aを通って原子炉1内に注入され、圧送ポンプ6bを停止させると、泥漿の原子炉1内への注入が停止される。なお、配管6aは、泥漿を供給する原子炉1内の各設備に直に接続してもよいし、原子炉1に装備されている流体流通経路(冷却水の配管等)に接続するようにしてもよい。
(泥漿循環部)
図1に示すように、原子炉1には、炉内に貯留された液体(水及び泥漿)を吸い上げて冷却し、再び撹拌機5bに戻して原子炉1に供給する泥漿循環部8が接続されている。泥漿循環部8は、原子炉1に接続された配管8aと、配管8aに設けられた吸上ポンプ8bと、吸上ポンプ8bで吸い上げられた液体を冷却する熱交換器8cと、熱交換器8cで冷却された液体を貯留する調整タンク8d(バッファタンク)と、調整タンク8d内の液体を撹拌機5bに導く配管8eと、を備えている。なお、配管8aは、泥漿を供給する原子炉1内の各設備に直に接続してもよいし、原子炉1に装備されている流体流通経路(冷却水の配管等)に接続するようにしてもよい。
(制御部)
図1に示すように、制御部7は、原子炉1の破損状態に応じて、水、硼酸及びシリカの原子炉1への供給流量を調整するものである。すなわち、制御部7は、水タンク2aの配管2bに設けられた調整弁2cの開度、硼酸タンク3aの配管3bに設けられた調整弁3cの開度、シリカタンク4aの配管4bに設けられた調整弁4cの開度、圧送ポンプ6bの運転状態、吸上ポンプ8bの運転状態を、原子炉1の破損状態に応じて制御し、原子炉1に注入される泥漿の組成及び量を調整する。
ここで、原子炉1の「破損状態に応じて」とは、「原子炉1の破損部分のひびや亀裂等の大きさ、すなわち、放射能漏れ(放射線線量)の程度に応じて」という意味である。例えば、原子炉1の近傍に放射線測定器9を配置し、その放射線測定器9で放射線(中性子線、ガンマ線等)の線量を計測し、その計測値の変化に基づいて原子炉1に注入される泥漿の組成及び量をリアルタイムで調整してもよいし、過去のデータやシミュレーションに基づいて一定時間毎に泥漿の組成及び量を調整してもよい。
また、図1に示すように、原子炉1の内部に放射線液位測定器10を設け、その放射線液位測定器10で原子炉1内の中性子線やガンマ線等の放射線の線量を計測すると共に炉内の液位を計測し、それらの計測値の変化に基づいて原子炉1に注入される泥漿の組成及び量を調整するようにしてもよい。放射線液位測定器10は、例えば、伸縮性を有するチューブに収容されており、原子炉1に装備されている流体流通経路(冷却水の配管等)を通して原子炉1の外部から内部に挿入される。
(作用・効果)
上述した原子炉1の廃炉システムS1を用いた廃炉方法を説明する。破損した原子炉1を廃炉にする際には、制御部7によって各調節弁2c,3c,4cの開度が調整され、圧送ポンプ6bが運転され、吸上ポンプ8bが原子炉1内の液位に応じて運転される。これにより、水タンク2aの水と硼酸タンク3aの硼酸水とシリカタンク4aのシリカ懸濁液とが撹拌機5bで撹拌されて泥漿状態(スラリー)とされ、その泥漿が圧送ポンプ6bによって原子炉1内に注入される。原子炉1内に供給された泥漿は、固体粒子である粉粒状のシリカが時間の経過と共に沈下し、原子炉1の破損部分(例えば、ひび、亀裂、孔等)及び核燃料の表面を被覆する。
詳しくは、泥漿中の水分により原子炉1内の核燃料が冷却され、泥漿中の硼酸により熱中性子が吸収される。また、泥漿が原子炉1の破損部分(ひび、亀裂、孔等)から漏れ出る際に、泥漿中のシリカが破損部分の開口縁に付着して積層し、破損部分がシリカによって次第に覆われて最終的には塞がれる。また、泥漿中のシリカは、水よりも比重が大きいことから、原子炉1内にて緩やかに沈下し、原子炉1の底部に溶け落ちた核燃料の表面に積層され、核燃料を閉じ込める。なお、核燃料の表面に積層したシリカは、核燃料の温度がシリカの融点(約1650℃)よりも高い場合、溶融して核燃料の表面を適切にコーティングすることができ、核燃料の溶融が広がらないようにすることができる。
このように、上述した原子炉1の廃炉システムS1によれば、原子炉1内に水、硼酸及びシリカを含む泥漿を注入する泥漿注入工程と、泥漿により原子炉1を冷却しつつ熱中性子を吸収すると共に原子炉1の破損部分又は核燃料の表面を被覆する被覆工程と、を含む原子炉1の廃炉方法を実施することができる。また、上述した原子炉1の廃炉システムS1では、泥漿循環部8を備えていることから、泥漿注入工程により原子炉1内に供給された泥漿を吸い上げて冷却し、再び原子炉1内に供給する泥漿循環工程を有する原子炉1の廃炉方法を実施することもできる。
上述の泥漿注入工程において、原子炉1内に設けられた放射線液位測定器10により検出された炉内の液位の変化や放射線線量の計測値に基づき、原子炉1の破損部分の程度を制御部7が推定し、所望の性状(例えば、硼酸やシリカの濃度)を有する泥漿を原子炉1内に供給する。また、原子炉1内の液位を所望の液位に保つように水の供給量を調整するようにしてもよい。なお、泥漿注入工程は、原子炉1に泥漿を供給する工程であるが、原子炉1の状態に応じて、冷却水のみを供給するようにしてもよいし、硼酸水のみを供給するようにしてもよい。
また、泥漿注入工程は、原子炉1の破損状態に応じて、泥漿中における硼酸の濃度、シリカの濃度及びシリカの粒径のうち少なくとも一つを調整する調整工程を含んでいてもよい。例えば、原子炉1内の放射線液位測定器10で計測される炉内の液位の低下率が高い場合、原子炉1の破損部分が大きいと判断できることから、炉内に注入する泥漿中のシリカの濃度を高め、泥漿の粘性を大きくし、泥漿中のシリカで破損部分を塞ぎ易くする。シリカの濃度を高めると共にシリカの粒径を大きくしてもよい。また、原子炉1近傍の放射線測定器9で計測される熱中性子の密度が高まった場合、再臨界を未然に回避するため、泥漿中の硼酸の濃度を高くするようにしてもよい。
さらに、泥漿注入工程は、シリカの濃度が低い状態で注入する第一注入工程と、シリカの濃度が高い状態で注入する第二注入工程と、を含んでいてもよい。第一注入工程では、泥漿のシリカの濃度が低く粘性が低いことから、泥漿を速やかに原子炉1内に供給して、効率よく冷却することができる。第二注入工程では、泥漿のシリカの濃度が高く粘性が高いことから、泥漿中の高濃度のシリカによって、原子炉1の破損部分を効率よく塞ぐと共に、原子炉1の底部に溶け落ちた核燃料の表面を効率よく被覆することができる。
第一注入工程及び第二注入工程は、原子炉1内に設けられた放射線液位測定器10により検出された炉内の液位の変化や放射線線量の計測値に基づいて選択するようにしてもよいし、これら二工程をワンセットとして所定時間毎に繰り返し行うようにしてもよい。
また、泥漿注入工程、被覆工程の後、原子炉1内を脱水することで炉内の泥漿を固化させる泥漿固化工程を有していてもよい。原子炉1内の脱水は、泥漿の原子炉1への注入を停止し、原子炉1内の核燃料の熱で泥漿の水分を蒸発させることによって行うことができる。脱水により炉内の泥漿が固化すると、原子炉1の破損部分に付着している湿ったシリカが固化すると共に、原子炉1の底部に溶け落ちた格燃料の表面に積層している湿ったシリカが固化するため、原子炉1の閉じ込め効果を向上させることができる。
泥漿固化工程の後、原子炉1内に水又は泥漿を注入して核燃料の熱(崩壊熱)を冷却するようにしてもよい。上述の泥漿固化工程は、所定時間毎に繰り返し行ってもよい。泥漿固化工程を繰り返すことで、原子炉1の破損部分が、固化したシリカによって徐々に塞がれ、原子炉1底部に溶け落ちた核燃料が、固化したシリカで多層に覆われることから、原子炉1の放射線や放射性物質を適切に閉じ込めることができる。
(第二実施形態)
図2に本発明の第二実施形態に係る原子炉1の廃炉システムS2の概要を示す。この実施形態に係る廃炉システムS2は、上述した第一実施形態に係る廃炉システムS1と比較して、硼酸タンク3aに粉粒状の硼酸が収容されている点、シリカタンク4aが粒径の異なるシリカ(粉粒体)を収容した複数の二酸化珪素貯留タンク(サブタンク4ax,4ay,4az)から成る点が異なっており、その他は同様の構成となっている。
撹拌機の上方には、シリカタンク4aを構成する3個のサブタンク4ax,4ay,4azが配設されており、各サブタンク4ax,4ay,4azには、粒径の異なる粉粒状のシリカが収容されている。サブタンク4ax,4ay,4azの数は、3個に限られず2個でも4個以上でもよく、各サブタンク4ax,4ay,4azに収容されるシリカの粒径は、例えば、10μm〜1cm程度の範囲から任意に選択される。
例えば、各サブタンク4ax,4ay,4azの底部には、配管4bx,4by,4bzが夫々接続され、これら配管4bx,4by,4bzが集合管4dを介して撹拌機5bに接続されている。各配管4bx,4by,4bzには、調整弁4cx,4cy,4czが設けられ、各調整弁4cx,4cy,4czは、制御部7によって原子炉1の破損状態に応じて開度が調整される。なお、硼酸タンク3aに硼酸水を収容し、各サブタンク4ax,4ay,4azに粒径の異なるシリカを水に分散させたシリカ懸濁液を収容するようにしてもよい。
かかる第二実施形態によれば、水タンク2aの水、硼酸タンク3aの硼酸、サブタンク4ax,4ay,4azのシリカが撹拌機5bで混合され、硼酸水にシリカが分散された泥漿が生成される。この泥漿は、第一実施形態と同様にして、原子炉1に注入される。その際、原子炉1の破損状態に応じて、制御部7が各調整弁4cx,4cy,4czの開度を制御することで、泥漿中のシリカの粒径の混合比が調整される。
例えば、原子炉1内の放射線液位測定器10で計測される炉内の液位の低下率が高い場合、原子炉1の破損部分が大きいと判断できることから、粒径が大きいシリカの割合を高くし、炉内の液位低下率が小さくなるに応じて粒径が小さいシリカの割合を高くすることで、原子炉1の破損部分を塞ぐ速度を高めることができると共に、細かな破損部分を隙間なく適切に塞ぐことができる。その他、基本的な作用効果は第一実施形態と同様である。
(BWRへの適用例)
図3に示すように、沸騰水型原子炉11(BWR)においては、核燃料を収容する圧力容器12に、内部の冷却材(水)を取り出して再び戻す再循環ループ13が接続されている。再循環ループ13は、圧力容器12から水を取り出す排水管14と、圧力容器12に水を注入する注水管15と、排水管14と注水管15とを接続する再循環ポンプ16と、を有している。また、沸騰水型原子炉11は、圧力容器12にタービン設備からの主蒸気復水を導入する冷却水導入管17及び圧力容器12から蒸気を取り出す主蒸気取出管18を有している。なお、ここでは、沸騰水型原子炉11として、格納容器内の図のみを図示し、原子炉建屋及びその他の付帯設備(使用済燃料プール等)の図を省略してある。
かかる沸騰水型原子炉11に本実施形態に係る廃炉システムS1,S2を装備する場合、例えば、圧力容器12や格納容器内に泥漿が注入される。圧力容器12内に泥漿を注入する場合には、泥漿を注入する配管6aは、例えば、注水管15や冷却水導入管17に接続される。また、圧力容器12から泥漿を取り出す配管8aは、例えば、排水管14や主蒸気取出管18に接続される。
このように、沸騰水型原子炉11に装備されている流体流通経路を介して泥漿を供給することにより、圧力容器12に特別な加工をすることなく、圧力容器12内に泥漿を注入することができる。勿論、圧力容器12や格納容器に配管6a,8aを直に接続するようにしてもよい。なお、泥漿注入時は、再循環ポンプ16を停止してもよい。
(PWRへの適用例)
図4に示すように、加圧水型原子炉21(PWR)においては、核燃料を収容する圧力容器22に、冷却材(水)を注入する戻り管23と冷却材を取り出す出口管24とが接続され、これら戻り管23と出口管24とが冷却材ポンプ25で接続されている。圧力容器22から出口管24を通して取り出された冷却材は、蒸気発生器26において水と熱交換して冷却された後、冷却材ポンプ25及び戻り管23を通って圧力容器22に戻される。なお、ここでは、加圧水型原子炉21として、格納容器内の図のみを図示し、原子炉建屋及びその他の付帯設備(燃料取替用水タンク、使用済燃料プール等)の図を省略してある。
かかる加圧水型原子炉21に本実施形態に係る廃炉システムS1,S2を装備する場合、例えば、圧力容器22や格納容器内に泥漿が注入される。圧力容器22内に泥漿を注入する場合には、泥漿を注入する配管6aは、例えば、戻り管23に接続される。また、圧力容器22から泥漿を取り出す配管8aは、例えば、出口管24に接続される。また、蒸気発生器26に泥漿を注入するようにしてもよい。
このように、加圧水型原子炉21に装備されている流体流通経路を介して泥漿を供給することにより、圧力容器22に特別な加工をすることなく、圧力容器22内に泥漿を注入することができる。勿論、圧力容器22や格納容器に配管6a,8aを直に接続するようにしてもよい。なお、泥漿注入時は、冷却材ポンプ25を停止してもよい。
上述した沸騰水型原子炉11及び加圧水型原子炉21において、圧力容器や格納容器以外の設備(例えば、核燃料を一時保管する使用済燃料プールのような水冷式貯蔵庫等)に上述した泥漿を注入するようにしてもよい。かかる処理により、原子力施設内の全ての設備において、核燃料等の放射性物質が泥漿中のシリカによって固定され、泥漿中の硼酸によって中性子線が吸収遮蔽され、泥漿中の水分によって冷却される。なお、使用済燃料プール等に泥漿を注入する場合には、核燃料を安定して固定するために、底面から水面までの深さの1/3以上の深さにシリカが貯まるように注入することが好ましい。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
1 原子炉
2 水分供給部
2a 水タンク
2b,3b,4b 配管
2c,3c,4c 調節弁
3 硼酸供給部
3a 硼酸タンク
4 二酸化珪素供給部
4a シリカタンク
4ax,4ay,4az サブタンク
4bx,4by,4bz 配管
4cx,4cy,4cz 調整弁
4d 集合管
5 泥漿生成部
5a 集合配管
5b 撹拌機
6 泥漿注入部
6a,8a,8e 配管
6b 圧送ポンプ
7 制御部
8 泥漿循環部
8b 吸上ポンプ
8c 熱交換器
8d 調整タンク
9 放射線測定器
10 放射線液位測定器
11 沸騰水型原子炉
12 圧力容器
13 再循環ループ
14 排水管
15 注水管
16 再循環ポンプ
17 冷却水導入管
18 主蒸気取出管
21 加圧水型原子炉
22 圧力容器
23 戻り管
24 出口管
25 冷却材ポンプ
26 蒸気発生器

Claims (6)

  1. 破損した原子炉の放射性物質の閉じ込めを行う原子炉の廃炉方法であって、
    前記原子炉内に水、硼酸及び二酸化珪素を含む泥漿を注入する泥漿注入工程と、
    前記泥漿により前記原子炉を冷却しつつ熱中性子を吸収すると共に前記原子炉の破損部分又は溶融核燃料の表面を被覆する被覆工程と、を含み、
    前記泥漿注入工程は、前記原子炉の破損状態に応じて、前記硼酸の濃度、前記二酸化珪素の濃度及び前記二酸化珪素の粒径のうち少なくとも一つを調整する調整工程を含む、
    ことを特徴とする原子炉の廃炉方法。
  2. 前記泥漿注入工程により前記原子炉内に供給された泥漿を吸い上げて冷却し、再び前記原子炉内に供給する泥漿循環工程を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉の廃炉方法。
  3. 破損した原子炉の放射性物質の閉じ込めを行う原子炉の廃炉システムであって、
    溶媒又は冷却材として水を供給する水分供給部と、
    熱中性子を吸収する硼酸を供給する硼酸供給部と、
    前記原子炉の破損部分又は溶融核燃料の表面を被覆するための二酸化珪素を供給する二酸化珪素供給部と、
    前記水、前記硼酸及び前記二酸化珪素を混合して泥漿を生成する泥漿生成部と、
    前記泥漿を前記原子炉内に注入する泥漿注入部と、
    前記水、前記硼酸及び前記二酸化珪素の供給量を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする原子炉の廃炉システム。
  4. 前記制御部は、前記原子炉の破損状態に応じて、前記水、前記硼酸及び前記二酸化珪素の流量を調整可能に構成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の原子炉の廃炉システム。
  5. 前記二酸化珪素供給部は、粒径の異なる二酸化珪素を貯留する複数の二酸化珪素貯留タンクを有する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の原子炉の廃炉システム。
  6. 前記原子炉内に供給された泥漿を吸い上げて冷却し、再び前記原子炉内に供給する泥漿循環部を備える、ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の原子炉の廃炉システム。
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