JPH1152061A - 放射能測定装置 - Google Patents

放射能測定装置

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JPH1152061A
JPH1152061A JP21174497A JP21174497A JPH1152061A JP H1152061 A JPH1152061 A JP H1152061A JP 21174497 A JP21174497 A JP 21174497A JP 21174497 A JP21174497 A JP 21174497A JP H1152061 A JPH1152061 A JP H1152061A
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JP
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nuclide
life
radioactivity
radiation
measuring
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JP21174497A
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Shohei Matsubara
昌平 松原
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Hitachi Ltd
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Aloka Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定対象の核種を入力する操作の手間と操作
ミスをなくし、正確な放射能測定が行われる放射能測定
装置を提供する。 【解決手段】 半減期測定部26は、電離箱検出器2の
出力を少なくとも2つの時刻にてサンプリングし、その
減衰率とサンプリング時間間隔とから、測定対象核種の
半減期Tを求める。シンチレーション検出器10の出力
は、エネルギー測定部32にて波高分析され、測定対象
核種が発するγ線のエネルギーEγが求められる。核種
同定部28は、それぞれ核種ごとの半減期とγ線エネル
ギーを格納した半減期テーブル40、放射線テーブル4
2を検索し、測定されたEγとTに合致する核種を測定
対象核種として特定する。特定された核種は、放射能量
測定部24に渡される。放射能量測定部24は、核種に
依存した電離箱検出器2の出力から崩壊率に換算する係
数を、換算係数テーブル44から読み出して、放射能量
を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射性原子核物質
の放射能量を測定する放射能測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放射性同位元素(RI:Radioisotope)
は様々な分野、例えば、放射線医薬品等の医療の分野
や、トレーサ等として化学、その他工業の分野で利用さ
れている。特に放射線医薬品は、人体に投与されるた
め、比較的半減期の短いRIが用いられる。そのため、
それらの購入や保管に際しては、使用時期に十分に留意
する必要がある。つまり、生成から使用までに半減期に
比して無視できない長さの期間があると、使用時に放射
能が失われていたり、放射線ダメージで医薬品として変
性していたりするトラブルが生じうる。
【0003】放射能測定器は、例えばこのような放射線
医薬品の購入時の検収や在庫管理、また使用時の放射能
量の同定といった放射線被ばく管理上、不可欠であり、
その他、多くのRI使用施設で使用されている。
【0004】従来の放射能測定装置は、例えば、大型の
Arガス封入電離箱を放射線検出器として用いている。
この電離箱検出器は、γ線に対するエネルギー依存性が
少なく、ダイナミックレンジが広いという特徴を有して
おり、例えば0.1μCiのオーダーからCiオーダー
までの測定が可能である。
【0005】電離箱検出器は、例えば、放射線の入射に
よって電離したガスイオンと電子とを電圧をかけて収集
し、それにより生じる電位差を電位計で検知し、電流に
変換して出力する。ガス中での電離量は、入射放射線の
エネルギーに全く依存しない訳ではない。そのため、正
確な放射能量をキュリー(Ci)やベクレル(Bq)と
いった崩壊数に基づいた単位で表現するためには、入射
放射線のエネルギーに応じた換算係数を電流値に乗じ、
電流値を崩壊率(単位時間当たりの崩壊数)に換算する
必要がある。
【0006】従来の装置はこの核種ごとの換算係数を例
えばメモリ等に格納されており、測定者が計測対象のR
I核種を装置に入力すると、装置はその核種に応じた換
算係数をメモリから読み出して、例えば内蔵したマイク
ロコンピュータ等によって換算を行って放射能量を上記
単位で表示する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
放射能測定装置では、測定者が測定対象の核種を装置に
設定する必要があった。この設定操作は、測定者に測定
対象物質の試料容器等に基づいて核種を確認するという
行為と装置に入力するという行為を要求する点で煩わし
いという問題があるとともに、もし、それらいずれかの
行為を誤ると、正確な放射能測定が行われないおそれが
あるという問題があった。また、従来の装置は、核種が
不明である試料の放射能測定を正確に行えないという問
題もあった。放射性物質は、他の方法で代えることがで
きない有益な機能を発揮する反面、取り扱いを誤ると危
険な物質である。そのため、放射能測定において、誤り
なく正確な測定を行うことは極めて重要な課題である。
【0008】本発明は上述の問題点を解決するためにな
されたものであり、測定対象の核種を自動的に同定して
正確な放射能測定を可能とする放射能測定装置を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る放射能測定
装置は、所定の時間間隔の前後での放射能量の減衰率を
求める減衰率測定部と、前記放射能量の減衰率と前記時
間間隔とに基づいて測定対象の放射性原子核の半減期を
算定する半減期算定部と、放射性原子核の半減期を核種
ごとに格納した半減期テーブルと、前記半減期の算定値
に基づいて前記半減期テーブルを検索し、測定対象の放
射性原子核の核種を特定する核種同定部とを有するもの
である。
【0010】本発明によれば、減衰率測定部が、放射線
検出器から得られる計数率や電流といった出力に基づい
て、所定時間間隔における放射能量の相対的な変化を求
める。半減期は、放射能量が相対的にどれだけ減衰した
かという情報とその減衰に要した時間間隔とから求める
ことができる。所定の時間間隔の半減期に対する比が一
般に大きい程、算定される半減期の精度が得られる。よ
って所定の時間間隔は、例えば、求める半減期の精度を
考慮して定められる。半減期は核種ごとに固有な値が一
般に知られている。半減期テーブルは、既知の半減期と
核種との対応関係の情報を格納している。核種同定部は
半減期テーブルから、半減期算定部で得られた半減期の
算定値に対応する核種を検索し、これを測定対象の放射
性原子核の核種として特定する。
【0011】本発明に係る放射能測定装置は、上記装置
においてさらに前記放射線のエネルギーを測定する放射
線エネルギー測定部と、放射性原子核の放射線エネルギ
ーを核種ごとに格納した放射線テーブルとを有し、前記
核種同定部が、前記半減期の算定値と前記放射線エネル
ギーの測定値とに応じた核種を、前記半減期テーブルと
前記放射線テーブルとを検索して特定する。
【0012】本発明によれば、半減期と併せて放射性原
子核が発する放射線のエネルギーが核種同定に利用され
る。つまり、本発明は、放射性原子核が崩壊時に発する
放射線のエネルギーは、多くの場合、核種ごとに固有で
あることを利用する。例えば、γ線をシンチレーション
検出器や半導体検出器と波高分析器を用いて測定するこ
とによって、γ線のエネルギーの核種ごとの違いを弁別
することができる。放射線テーブルは、放射線エネルギ
ーと核種との対応関係の情報を格納している。核種同定
部は、半減期と放射線エネルギーとの両方を用いて核種
を同定する。これにより、核種同定の精度が向上する。
【0013】本発明に係る放射能測定装置は、放射線の
エネルギーを測定する放射線エネルギー測定部と、放射
性原子核の放射線エネルギーを核種ごとに格納した放射
線テーブルと、所定の時間間隔の前後での放射能量の減
衰率を求める減衰率測定部と、前記放射能量の減衰率と
前記時間間隔とに基づいて、測定対象の放射性原子核の
半減期を算定する半減期算定部と、放射性原子核の半減
期を核種ごとに格納した半減期テーブルと、前記放射線
テーブルから前記放射線エネルギーの測定値に応じた核
種を検索し、当該核種が複数の場合には、さらに前記半
減期の算定値に基づいて前記半減期テーブルを検索し、
測定対象の放射性原子核の核種を特定する核種同定部と
を有するものである。
【0014】半減期を精度よく算定するには、時間間隔
をある程度大きくとって減衰率を測定することが望まし
い。これに対し、放射線のエネルギー測定に要する時間
は短時間である。一方、放射線のエネルギーには、異な
る複数の核種の崩壊が対応しうる。例えば、β+崩壊を
するポジトロン核種はそれぞれ、陽電子の消滅時に51
1keVという同一エネルギーを有するγ線を放出す
る。本発明では、核種同定部は、まず、短時間で同定可
能な放射線エネルギーによる同定を実施し、上述のよう
に、同一エネルギーの放射線を放出する核種が複数存在
する場合には、半減期を併せて考慮して、それら複数の
同一エネルギー核種の弁別を行う。
【0015】上記本発明の好適な態様は、前記放射性原
子核の崩壊率に応じた電流を出力する電離箱と、放射性
原子核に応じた前記電離箱の出力電流から前記崩壊率へ
の換算係数を、前記核種ごとに格納した換算係数テーブ
ルと、前記核種同定部にて特定された核種に応じた前記
換算係数に基づいて、前記電離箱の前記出力電流を前記
崩壊率へ換算し、前記放射能量を求める放射能量測定部
とを有するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0017】図1は、本発明に係る放射能測定装置の全
体構成を示す模式図である。図において、電離箱検出器
2は、例えば、従来同様、Arを主成分としたガスを封
入された電離箱を備えており、例えば、0.1μCiの
オーダーからCiのオーダーまでといった幅広い測定が
可能である。電離箱は、井戸型に構成され、その井戸の
中に放射能測定対象の試料3が置かれる。これにより、
試料から発せられる放射線を高効率で検出することがで
きる。
【0018】電離箱は、集電極4と外側電極6との間に
高電圧を印加され、これにより内部に電位勾配が生じ
る。電離箱にγ線等の放射線が入射して、封入されたガ
スが電離されると、電離によって生じた荷電粒子、例え
ば正イオンと電子は、それぞれ電位勾配にしたがって集
電極4と外側電極6とに移動、分離される。集電極4
は、電離によって生じた荷電粒子の一方を収集する。例
えば、集電極4を正電位にすれば電子が集められる。電
位計8は、この電荷収集による集電極4の電位の変化を
測定する。
【0019】本装置の井戸型の電離箱は、試料3から発
せられたγ線のエネルギーを測定するために、例えばN
aI(Tl)を放射線検出部として有したシンチレーシ
ョン検出器10が取り付けられる。シンチレーション検
出器10は、シンチレータNaI(Tl)にγ線が入射
して生じる発光を光電子増倍管12で電気信号に変換す
るとともに、増幅して出力する。
【0020】計測部20には、電位計8とシンチレーシ
ョン検出器10からの出力信号が入力される。電位計8
の出力は電流測定部22に入力され、この信号を基に電
流測定部22は、放射線入射により電離箱の電極間に流
れる電流を測定する。この電流は基本的には、電離箱に
入射する放射線量に比例し、これを利用して後述する放
射能量測定部24は放射能量を測定する。
【0021】さて、本装置は、電流測定部22から出力
される電流測定値を基に試料の放射性物質の半減期を測
定する半減期測定部26を備えていることを一つの特徴
とする。周知のように、放射性原子核は放射線を発して
崩壊し、指数関数に従って減少していく。つまり、ある
時刻t=0における放射性原子核の存在量をN0とする
と、任意の時刻tでの存在量Nは次式で表される。
【0022】 N=N0exp(−λt) ………(1) ここでλは崩壊定数であり、放射性原子核の核種ごとに
固有である。半減期とは、N/N0=1/2となるのに
要する時間tであり、ここでは記号Tで表す。半減期T
は崩壊定数λと次式で表される関係を有し、よって半減
期Tも核種ごとに固有である。
【0023】 T=ln2/λ ………(2) 半減期Tは、各核種について測定されており、すなわち
既知である。本装置は、このことを利用して、試料中に
含まれる放射性物質の半減期を測定して、得られた半減
期から逆に核種を特定する機能を有するものである。試
料中の放射性原子核の崩壊定数をλとすると、単位時間
当たりの崩壊数(dN/dt)は(1)式からもわかる
ように、次式で表される。
【0024】 dN/dt=−λN ………(3) 電流測定部22はこの単位時間当たりの崩壊数に応じた
電流値を出力する。半減期測定部26は、この電流値を
所定の時間間隔をおいて、少なくとも2回サンプリング
し、その電流値の比を求める。例えばサンプリングの時
刻をt1、t2とし、当該時刻での電流をI1、I2、放射
性原子核の存在量をN1、N2とする。すると、(1)、
(3)式から次式を得る。
【0025】 I2/I1=N2/N1=exp{−λ(t2−t1)} ………(4) つまり、(4)式により電流値の比(I2/I1)とサン
プリングの時間間隔(t2−t1)とから、崩壊定数λを
決定することができ、(2)式から半減期Tを算定する
ことができる。このような原理に基づいて、半減期測定
部26は、求めた電流値の比から、放射能量の減衰率を
求め、半減期を算定する機能を有する。
【0026】半減期測定部26は、電流値のサンプリン
グを行う所定時間間隔として、測定対象の試料に含まれ
ることが想定される核種の半減期に応じた値をあらかじ
め設定されていてもよいし、想定核種や測定に許される
時間等に応じて外部から設定される構成としてもよい。
また、サンプリング回数を多くすることによって、半減
期の測定精度を向上することができる。
【0027】サンプリング時間間隔は、測定対象の核種
の半減期に比してあまりに短いと半減期の測定精度を得
られないし、一方、半減期に比してあまりに長く、測定
対象核種がほとんど崩壊してしまうような期間であって
も精度を得られない。よって、核種を想定することがで
きないような場合や、時間間隔を逐一設定する手間を省
く構成とする場合には、例えば、短時間間隔でサンプリ
ングを反復し、様々な半減期の核種に対して崩壊による
存在量の減衰の様子を見逃さないような構成が有効であ
る。また、このサンプリングを反復する構成は、核種を
想定できる場合においても、サンプリングデータ数を稼
げ、精度が向上するので有効である。
【0028】半減期測定部26によって求められた半減
期は、核種同定部28へ渡される。核種同定部28での
処理は後述する。
【0029】本装置の別の特徴は、シンチレーション検
出器10を用いて、試料から発せられるγ線のエネルギ
ーを測定する点にある。光電子増倍管12からの出力パ
ルスの波高は、シンチレータへの入射γ線のエネルギー
に比例する。計測部20のA/D変換部30は、アナロ
グの出力パルスの波高をデジタル値に変換する。エネル
ギー測定部32は例えば波高値に応じた複数のチャネル
を有した波高分析器等で構成され、出力パルスをそのデ
ジタルの波高値に応じたチャネルに振り分け計数する。
つまり、エネルギー測定部32内では、波高値に対する
出力パルス数のヒストグラム、すなわちγ線のエネルギ
ー分布が求められる。
【0030】放射性原子核が崩壊により放射するγ線の
エネルギーは、同一核種ならば同じであるので、そのよ
うなγ線は、ヒストグラムにピークを形成する。エネル
ギー測定部32は、バックグラウンドレベルの上に表れ
るそのようなピークを見つけ、そのピークが位置する波
高値、又はそれをeV等のエネルギーの単位に換算した
値Eγを、核種同定部28へ出力する。
【0031】核種同定部28は、半減期測定部26から
半減期T、またエネルギー測定部32からγ線エネルギ
ーEγが入力される。核種同定部28は、これらの入力
値と半減期テーブル40と放射線テーブル42とを用い
て測定対象核種を同定する。半減期テーブル40には、
様々な放射性原子核の半減期が核種ごとにあらかじめ格
納されている。また、放射線テーブル42には、様々な
放射性原子核が崩壊時に発するγ線エネルギーが核種ご
とにあらかじめ格納されている。核種同定部28は、基
本的に、半減期テーブル40と放射線テーブル42とを
検索して、入力された半減期T、γ線エネルギーEγに
対応する核種を特定する。
【0032】この特定の仕方には、いくつかのやり方が
あるが、本装置では、具体的には、以下のようにして核
種の同定を行っている。上述したように、半減期Tの測
定を精度よく行うには、少なくとも2回、時間間隔を置
いてサンプリングを行うため、半減期Tに応じたある程
度の測定時間を必要とする。これに対し、γ線のエネル
ギー測定に要する時間は短時間である。そこで、本装置
では、核種同定部28はEγをエネルギー測定部32か
ら入力されると、半減期測定部26からの半減期Tの入
力を待つことなく、Eγをキーにして放射線テーブル4
2を検索し、対応するエネルギーのγ線を放射する核種
を選び出す。Eγの測定を十分に精度よく行えば、多く
の場合、これによって核種を1つに限定することができ
る。そのため、半減期の測定を完了する前に迅速に核種
を特定することが可能となる。
【0033】しかし、一部の核種は、互いに同一エネル
ギーのγ線を放射する場合がある。例えば、11C、
13N、15O、18Fといったβ+崩壊をするポジトロン核
種はそれぞれ陽電子を放射するが、それら陽電子は直ち
にエネルギー511keVのγ線をそれぞれ2本生成し
て消滅する。つまり、これらの核種は同一エネルギーの
γ線を放出し、放射線テーブル42にはEγ=511k
eVに対してこれら複数の核種が登録される。よって、
どんなに精度よくγ線エネルギーが測定されても、核種
同定部28は、この場合、Eγのみでは核種を1つに特
定することができない。また、現実には、Eγの測定値
は、主としてシンチレーション検出器10の精度に起因
する誤差やγ線の計数率に依存して変化する統計誤差で
定まる誤差範囲を有する。装置はこの誤差範囲内のエネ
ルギーを有する異なる核種のγ線を弁別することができ
ない。例えば、上記ポジトロン核種の511keVのγ
線と85Srの514keVのγ線との弁別は難しいかも
しれない。よって、放射線テーブル42の検索では、正
確にはEγの誤差範囲に入るγ線エネルギーを有する核
種を選び出す必要があるだろう。
【0034】本装置は、このようにEγによる選別で測
定対象核種の候補が複数残った場合に、それらの半減期
Tの差異を利用して、候補を一つに特定する。例えば、
上述した11C、13N、15O、18F、85Srの半減期はそ
れぞれ20.38分、9.96分、122秒、109.
8分、64.8日である。核種同定部28は、測定対象
核種候補として残ったこれら核種について、半減期テー
ブル40に登録された半減期を読み出す。そして、それ
ら読み出した半減期と、半減期測定部26から得られた
半減期測定値Tとの照合を行う。この照合によって、半
減期測定値Tの測定誤差範囲内に入るような半減期を有
する核種が候補の中に存在すれば、それが測定対象核種
として特定される。上述の例では、各半減期は、互いに
十分異なる。本装置は、この半減期の違いを利用して、
Eγで特定できなかった候補を容易に一つに限定するこ
とができる。すなわち、本装置は、測定対象の核種の放
射するγ線と、崩壊の半減期との組み合わせによって核
種を判別するので、それらのいずれか一方が互いに似通
った値を有する複数の核種が存在してもそれらを容易に
区別することができる。
【0035】特定された核種は、放射能量測定部24へ
伝達される。放射能量は、毎秒当たりの崩壊数に基づい
たCiやBqといった単位で表されるので、放射能量測
定部24は電流測定部22から得られた電流値を、崩壊
率に換算する処理を行う。この換算係数は、γ線のエネ
ルギーに依存性を有し、よって基本的に核種ごとに異な
る。換算係数テーブル44には、この換算係数が核種ご
とにあらかじめ格納されている。放射能量測定部24
は、特定された核種をキーにして、換算係数テーブル4
4を検索し、対応する換算係数を取り出して、上記電流
値から崩壊率への換算を行う。
【0036】計測部20は、図示しない表示部や印字出
力部に、放射能量測定部24が求めた放射能を出力し、
表示部や印字出力部は放射能測定値をCi、Bqのいず
れかの単位で、または両方で画面や記録紙へ出力する。
その他、表示部等に核種同定部28が求めた核種を表示
等するように構成してもよい。
【0037】核種同定部28の処理の他の形態として、
以下のような方法を取ることもできる。その一つは、γ
線エネルギー測定値Eγと半減期測定値Tとの組み合わ
せで、基本的に核種を同定する方法である。常に、両方
の値を用いることにより、信頼性の高い核種同定が図ら
れる。また、この方法によれば、シンチレーション検出
器10のエネルギー分解能が多少低い場合においても、
核種同定を確実に行うことができる放射能測定装置を構
成することができる。
【0038】また、放射線医薬品の放射能測定等、特定
の用途に対応した装置の場合のように、試料に含まれ得
る核種が限定され、それら核種の半減期が、測定時間と
して許容されるようなある程度の短時間のサンプリング
間隔で、減衰率N2/N1の有意な差異を生じることがあ
らかじめ判明している場合には、シンチレーション検出
器10、A/D変換部30、エネルギー測定部32とい
ったγ線エネルギー測定のための構成を用いず、半減期
Tのみで核種を同定する構成とすることもできる。
【0039】本装置では、γ線エネルギー測定のために
NaI(Tl)のシンチレーション検出器10を用いた
が、これをより高精度な半導体検出器等とすることは当
然可能であるし、シンチレーション検出器以外のエネル
ギー測定可能な検出器とすることは自在である。また、
井戸型の電離箱検出器2の代わりに、他の検出器、例え
ば井戸型に構成されたプラスチックシンチレータを有し
たシンチレーション検出器を用いてもよい。ちなみに、
上述した装置の例ではγ線を測定対象放射線種別とし
た。しかし、検出器として他の放射線種別に適したもの
を用いることにより、他の種別の放射線を崩壊時に発す
る核種の特定を行い、かつその核種の放射能を測定する
放射能測定装置を構成することもできる。
【0040】また、本装置では、半減期を電離箱検出器
2の出力に基づいて求めたが、シンチレーション検出器
10の出力計数率に基づいて求める構成も可能である。
【0041】なお、計測部20の換算等の処理を行う部
分、例えば、放射能量測定部24、半減期測定部26、
核種同定部28などは中央演算装置(CPU:Central
Processing Unit)を有した計算機で構成することがで
きる。その場合、各部分の処理はCPUにより実行され
るプログラムにより実現される。またその場合、半減期
テーブル40、放射線テーブル42、換算係数テーブル
44は計算機が有する磁気ディスク等の記憶装置に格納
し、必要時に読み出す構成とすることもできるし、装置
動作中はメモリ上に常駐する構成とすることもできる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
測定者が測定対象の核種を装置に入力する必要がなく、
装置が、核医学、化学トレーサ、工業トレーサで使用さ
れる比較的半減期の短い核種を自動的に判別することが
できるという効果がある。これにより、測定者の測定作
業の負荷が軽減されるという効果が得られる。また、測
定者による核種入力ミスにより放射能の測定に誤差が生
じることが防止されるので、正確な放射能測定が可能に
なるという、放射線管理上重要な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る放射能測定装置の全体構成を示
す模式図である。
【符号の説明】
2 電離箱検出器、8 電位計、10 シンチレーショ
ン検出器、20 計測部、22 電流測定部、24 放
射能量測定部、26 半減期測定部、28 核種同定
部、30 A/D変換部、32 エネルギー測定部、4
0 半減期テーブル、42 放射線テーブル、44 換
算係数テーブル。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射性原子核の崩壊による放射線を測定
    し放射能量を求める放射能測定装置において、 所定の時間間隔の前後での前記放射能量の減衰率を求め
    る減衰率測定部と、 前記放射能量の減衰率と前記時間間隔とに基づいて、測
    定対象の前記放射性原子核の半減期を算定する半減期算
    定部と、 放射性原子核の半減期を核種ごとに格納した半減期テー
    ブルと、 前記半減期の算定値に基づいて前記半減期テーブルを検
    索し、測定対象の放射性原子核の核種を特定する核種同
    定部と、 を有することを特徴とする放射能測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の放射能測定装置におい
    て、 前記放射線のエネルギーを測定する放射線エネルギー測
    定部と、 放射性原子核の放射線エネルギーを核種ごとに格納した
    放射線テーブルと、 を有し、 前記核種同定部は、前記半減期の算定値と前記放射線エ
    ネルギーの測定値とに応じた核種を、前記半減期テーブ
    ルと前記放射線テーブルとを検索して特定すること、 を特徴とする放射能測定装置。
  3. 【請求項3】 放射性原子核の崩壊による放射線を測定
    し放射能量を求める放射能測定装置において、 前記放射線のエネルギーを測定する放射線エネルギー測
    定部と、 放射性原子核の放射線エネルギーを核種ごとに格納した
    放射線テーブルと、 所定の時間間隔の前後での前記放射能量の減衰率を求め
    る減衰率測定部と、 前記放射能量の減衰率と前記時間間隔とに基づいて、測
    定対象の前記放射性原子核の半減期を算定する半減期算
    定部と、 放射性原子核の半減期を核種ごとに格納した半減期テー
    ブルと、 前記放射線テーブルから前記放射線エネルギーの測定値
    に応じた核種を検索し、当該核種が複数の場合には、さ
    らに前記半減期の算定値に基づいて前記半減期テーブル
    を検索し、測定対象の放射性原子核の核種を特定する核
    種同定部と、 を有することを特徴とする放射能測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の放射能測定装置において、 前記放射性原子核の崩壊率に応じた電流を出力する電離
    箱と、 放射性原子核に応じた前記電離箱の出力電流から前記崩
    壊率への換算係数を、前記核種ごとに格納した換算係数
    テーブルと、 前記核種同定部にて特定された核種に応じた前記換算係
    数に基づいて、前記電離箱の前記出力電流を前記崩壊率
    へ換算し、前記放射能量を求める放射能量測定部と、 を有することを特徴とする放射能測定装置。
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