JP6607167B2 - リチウムイオン二次電池の検査方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の検査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6607167B2
JP6607167B2 JP2016215733A JP2016215733A JP6607167B2 JP 6607167 B2 JP6607167 B2 JP 6607167B2 JP 2016215733 A JP2016215733 A JP 2016215733A JP 2016215733 A JP2016215733 A JP 2016215733A JP 6607167 B2 JP6607167 B2 JP 6607167B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
battery
value
ion secondary
lithium ion
peak
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016215733A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018073755A (ja
Inventor
崇礼 副島
真一 ▲濱▼崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2016215733A priority Critical patent/JP6607167B2/ja
Publication of JP2018073755A publication Critical patent/JP2018073755A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6607167B2 publication Critical patent/JP6607167B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Tests Of Electric Status Of Batteries (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の検査方法に関する。
特許文献1には、二次電池の電圧を検出するステップと、二次電池を定電流でパルス放電させながら二次電池の電圧を検出するステップと、検出した両電圧の差及びそのときの電流量の差を用いて二次電池の内部抵抗値を算出するステップと、算出した内部抵抗値を予め設定されたデータテーブルと比較して、二次電池の劣化の程度を診断するステップと、を備える二次電池の検査方法が開示されている。
特開2000−121710号公報
ところで、リチウムイオン二次電池の劣化モードには、通常劣化モードと異常劣化モードとがある。通常劣化モードとは、使用に伴って経時的に(正常に)電池が劣化(容量低下や入出力性能低下)してゆく劣化モードである。一方、異常劣化モードとは、電池のシール(封止)が不十分である場合に、外部から電池内に水分が浸入したり、電解液が外部へ蒸発することにより減少してゆくことが原因で、電池の劣化が進行してゆき、やがて、急速に劣化が進行(容量低下や入出力性能低下が急激に進行)して、通常劣化モードに比べて劣化の程度が著しく大きくなる劣化モードである。
リチウムイオン二次電池の内部に水分が浸入したり、電解液が外部へ蒸発することにより減少したりすることは、好ましいことではない。このため、使用中のリチウムイオン二次電池において、異常劣化モードで劣化が進行している場合は、当該電池の使用を中止して、新たな電池に交換するのが好ましい。しかしながら、特許文献1に開示されている検査方法では、使用中のリチウムイオン二次電池の劣化モードが、異常劣化モードであるか否かを、適切に判別することができない。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、リチウムイオン二次電池の劣化モードが、異常劣化モードであるか否かを、適切に判定することができるリチウムイオン二次電池の検査方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、リチウムイオン二次電池の検査方法において、予め、前記リチウムイオン二次電池と同等品であるサンプル電池であって、通常劣化モードで劣化が進行している複数の前記サンプル電池について、電池電圧値が3.45V以下の状態から各々の前記サンプル電池を充電したときの、当該サンプル電池の電池電圧値Vの変化量dVに対する当該サンプル電池の蓄電量Qの変化量dQの割合である、dQ/dVの値を算出し、各々の前記サンプル電池について、前記電池電圧値Vと算出された前記dQ/dVの値との関係を表すV−dQ/dV曲線上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークの前記dQ/dVの値である第1ピーク値Pnと、このときの電池電圧値Vnとを取得し、複数の前記サンプル電池について取得した複数の前記第1ピーク値Pnのうち各々の前記電池電圧値Vnにおいて最も小さい値である第1ピーク下限値Pnmと、当該電池電圧値Vnとの関係を表すデータを、通常劣化モード下限データとして取得しておき、前記検査方法は、前記リチウムイオン二次電池について、電池電圧値が3.45V以下の状態から充電したときの前記dQ/dVの値を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された前記dQ/dVの値のうち前記第1ピークの前記dQ/dVの値である第1ピーク値P1と、このときの電池電圧値V1とを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記第1ピーク値P1と、前記電池電圧値V1における前記通常劣化モード下限データの前記第1ピーク下限値Pnmとを比較して、P1<Pnmである場合に、前記リチウムイオン二次電池は異常劣化モードで劣化が進行していると判定する判定ステップと、を備えるリチウムイオン二次電池の検査方法である。
本願発明者の調査の結果、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池と比較して、相対的に、「当該電池を充電したときの電池電圧値VとdQ/dVの値との関係を表すV−dQ/dV曲線上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークのdQ/dVの値である第1ピーク値」が小さくなることが判明した。具体的には、例えば、電池容量が同等の値にまで低下している場合でも、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池よりも、第1ピーク値が小さくなることが判明した。さらには、劣化初期の段階においても、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池よりも、第1ピーク値が小さくなることが判明した。このため、以下に説明するように、上述のような検査方法を行うことで、リチウムイオン二次電池の劣化モードが、異常劣化モードであるか否かを適切に判定することができる。
ここで、通常劣化モードとは、使用(充放電)に伴って経時的に(正常に)電池が劣化(容量低下や入出力性能低下)してゆく劣化モードである。一方、異常劣化モードとは、電池のシールが不十分である場合に、外部から電池内に水分が浸入したり、電解液が外部へ蒸発することにより減少してゆくことなどが原因で、電池の劣化が進行してゆき、やがて、急速に劣化が進行(容量低下や入出力性能低下が急激に進行)して、通常劣化モードに比べて劣化の程度が著しく大きくなる劣化モードである。
上述のリチウムイオン二次電池の検査方法では、予め、本検査方法による検査対象であるリチウムイオン二次電池と同等品(同等仕様)のサンプル電池について、以下のようにして、通常劣化モード下限データを取得しておく。ここで、「通常劣化モード下限データ」とは、通常劣化モードで電池の劣化が進行している場合の、電池電圧値と第1ピーク値の下限値との相関を表すデータである。
なお、複数のリチウムイオン二次電池の間では、同等品(同等仕様)であっても(初期状態であっても)、充電時における電池電圧値の変動に対する蓄電量の値の変動の仕方に、多少の違い(バラツキ)がある。このため、通常劣化モードで劣化が進行している複数のサンプル電池間において、同等の電池電圧値であっても、当該電池電圧値における第1ピーク値に違い(バラツキ)が生じる。このことを考慮して、上述の検査方法では、各々の電池電圧値において第1ピーク値のうち最も小さい値である第1ピーク下限値を選択して、電池電圧値と第1ピーク下限値との相関を表すデータを取得するようにしている。
具体的には、通常劣化モードで劣化が進行している複数のサンプル電池について、電池電圧値が3.45V以下の状態から各々の前記サンプル電池を充電したときの、当該サンプル電池の電池電圧値Vの変化量dVに対する当該サンプル電池の蓄電量Qの変化量dQの割合である、dQ/dVの値を算出する。そして、各々のサンプル電池について、「電池電圧値Vと、算出された前記dQ/dVの値と、の関係を表すV−dQ/dV曲線」上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークのdQ/dVの値である第1ピーク値Pnと、このときの電池電圧値Vnとを取得する。そして、複数のサンプル電池について取得した複数の第1ピーク値Pnのうち各々の前記電池電圧値Vnにおいて最も小さい値である第1ピーク下限値Pnmと、当該電池電圧値Vnとの関係(相関)を表すデータを、通常劣化モード下限データとして、予め取得しておく。
そして、上述のリチウムイオン二次電池の検査方法では、まず、算出ステップにおいて、検査対象であるリチウムイオン二次電池について、当該リチウムイオン二次電池の電池電圧値が3.45V以下の状態から充電したときの(充電期間中の)dQ/dVの値を算出する。具体的には、例えば、充電期間中に一定時間毎に検出される電池電圧値Vと蓄電量Qの値に基づいて、一定時間毎のdQ/dVの値を算出する。
次いで、取得ステップにおいて、先の算出ステップで算出されたdQ/dVの値のうち第1ピークのdQ/dVの値である第1ピーク値P1と、このときの電池電圧値V1とを取得する。
次いで、判定ステップにおいて、先の取得ステップで取得した第1ピーク値P1と、前記電池電圧値V1における通常劣化モード下限データの第1ピーク下限値Pnmとを比較して、P1<Pnmである場合に、検査対象であるリチウムイオン二次電池は異常劣化モードで劣化が進行していると判定する。これにより、リチウムイオン二次電池の劣化モードが、異常劣化モードであるか否かを適切に判定することができる。
なお、dQ/dVの値は、例えば、次のようにして算出することができる。まず、検査対象であるリチウムイオン二次電池の充電中に、所定時間毎(例えば、1秒毎)に、電池電圧値V及び蓄電量Qに基づいてdQ/dVの値を算出する。電池電圧値Vは、例えば、電圧検知手段(電圧計)により検知することができる。また、蓄電量Qは、例えば、電流値I(充電電流)の積算(∫Idt)により算出(推定)することができる。
なお、リチウムイオン二次電池としては、例えば、正極活物質として、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有し、負極活物質として炭素系材料を有するリチウムイオン二次電池が挙げられる。このようなリチウムイオン二次電池は、3.45V以上の電池電圧範囲において、電池電圧値VとdQ/dVの値との関係を表すV−dQ/dV曲線上に、明確な第1ピークが現れる。なお、第1ピークとは、充電時のV−dQ/dV曲線上に現れるピーク(上に凸のピーク)のうち、3.45V以上の電池電圧範囲において(3.45V以降に)最初に(最も電圧が低い側に)現れるピークである。
また、dQ/dVの値は、第1ピークの前後において増加から減少に転ずるので、3.45V以上の電池電圧範囲において、最初にdQ/dVの値が増加から減少に転じるときに、第1ピークに達したと判断することができる。従って、3.45V以上の電池電圧範囲において、最初にdQ/dVの値が増加から減少に転じたときのdQ/dVの値を、第1ピーク値P1として取得すると良い。
また、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiMO(Mは、1または複数種の遷移金属)を挙げることができる。より具体的には、LiNi1/3Co1/3Mn1/32を挙げることができる。また、炭素系材料としては、例えば、黒鉛を挙げることができる。
実施形態にかかる車両の概略図である。 実施形態にかかる二次電池システムの概略図である。 実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面図である。 同電池にかかる電極体の断面図である。 同電極体を構成する正極の斜視図である。 同電極体を構成する負極の斜視図である。 リチウムイオン二次電池のV−dQ/dV曲線を示す図である。 実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の検査方法の流れを示すフローチャートである。 実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の検査方法を説明する図である。 実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の検査方法を説明する他の図である。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の車両1は、図1に示すように、車体2、エンジン3、フロントモータ4、リヤモータ5、ケーブル7、二次電池システム6、及び、二次電池システム6に接続された電源プラグ8を有するハイブリッド自動車である。このハイブリッド自動車は、エンジン3と、フロントモータ4及びリヤモータ5との併用で駆動する。具体的には、この車両1は、二次電池システム6を、フロントモータ4及びリヤモータ5の駆動用電源システムとして搭載し、エンジン3とフロントモータ4及びリヤモータ5とを用いて走行できるように構成されている。
このうち、二次電池システム6は、車両1の車体2に取り付けられており、ケーブル7によりフロントモータ4及びリヤモータ5と接続されている。この二次電池システム6は、図2に示すように、複数のリチウムイオン二次電池100(単電池)を互いに電気的に直列に接続した組電池10と、電圧検知手段40と、電流検知手段50と、電池コントローラ30と、変換装置44とを備えている。
リチウムイオン二次電池100は、図3に示すように、直方体形状の電池ケース110と、正極端子120と、負極端子130とを備える、角形密閉式のリチウムイオン二次電池である。このうち、電池ケース110は、金属からなり、直方体形状の収容空間をなす角形収容部111と、金属製の蓋部112とを有している。電池ケース110(角形収容部111)の内部には、電極体150、電解液(図示省略)、正極接続部材122、負極接続部材132などが収容されている。
電極体150は、帯状の正極155及び負極156が、帯状のセパレータ157を介して扁平形状に捲回されてなる捲回型電極体である(図4参照)。詳細には、長手方向DAに延びる帯状の正極155、負極156、及びセパレータ157を、長手方向DAに捲回して、捲回型の電極体150を形成している(図4〜図6参照)。なお、この電極体150では、セパレータ157を介して、正極155の正極活物質層152と負極156の負極活物質層159とが対向している。
正極155は、図5に示すように、長手方向DAに延びる帯状で、アルミニウム箔からなる正極集電部材151と、この正極集電部材151の両面に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの正極活物質層152,152とを有している。なお、正極155のうち、正極集電部材151の両面に正極活物質層152が形成されていない部位を正極未塗工部155bという。
正極活物質層152は、正極活物質153と、アセチレンブラックからなる導電材と、PVdF(結着剤)とを含んでいる。なお、本実施形態では、正極活物質153として、層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を用いている。詳細には、LiNi1/3Co1/3Mn1/32を用いている。
また、負極156は、図6に示すように、長手方向DAに延びる帯状で銅箔からなる負極集電部材158と、この負極集電部材158の両面に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの負極活物質層159,159とを有している。なお、負極156のうち、負極集電部材158の両面に負極活物質層159が形成されていない部位を負極未塗工部156bという。また、図6では、負極156の幅方向(長手方向DAに直交する方向)をDBと表記している。
負極活物質層159は、負極活物質154とSBR(スチレンブタジエンゴム)とCMCと(カルボキシメチルセルロース)を含んでいる。なお、本実施形態では、負極活物質154として、炭素材料(詳細には、黒鉛)を用いている。
電極体150では、正極未塗工部155bが、電極体150の軸線方向(図3において左右方向)の一方端部(図3において右端部)の位置で、渦巻状に重なっている。正極未塗工部155bは、正極接続部材122を通じて、正極端子120に電気的に接続されている。また、負極未塗工部156bが、電極体150の軸線方向の他方端部(図3において左端部)の位置で、渦巻状に重なっている。負極未塗工部156bは、負極接続部材132を通じて、負極端子130に電気的に接続されている。
なお、リチウムイオン二次電池100では、電解液として、EC(エチレンカーボネート)とEMC(エチルメチルカーボネート)とDMC(ジメチルカーボネート)とを混合した溶媒に、六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)を溶解したものを用いている。
電流検知手段50は、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100を流れる電流値Iを検知する。また、電圧検知手段40は、組電池10を構成する各々のリチウムイオン二次電池100について、電池電圧値V(端子間電圧値)を検知する。
電池コントローラ30は、ROM31、CPU32、RAM33等を有している(図2参照)。この電池コントローラ30は、スイッチ41,42を介して、組電池10に電気的に接続されている。電池コントローラ30は、スイッチ41,42をONにした状態で、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100の充放電を制御する。例えば、車両1の運転中は、組電池10(二次電池100)とインバータ(モータ)との間における電気のやりとりを制御する。
変換装置44は、AC/DCコンバータにより構成されており、外部電源46(商用電源)の電圧を、一定電圧値を有する直流定電圧に変換することができる。この変換装置44は、ケーブル7に含まれるケーブル71を通じて、電源プラグ8に電気的に接続されている。さらに、変換装置44は、スイッチ43を介して、組電池10に電気的に接続されている。
電源プラグ8は、外部電源46に電気的に接続可能に構成されている。この電源プラグ8は、変換装置44と電気的に接続されている。従って、電源プラグ8を通じて、変換装置44と外部電源46とを電気的に接続することができる。なお、本実施形態では、電源プラグ8と共にケーブル71を車両1の外部に引き出すことができ、車両1から離れた外部電源46に電源プラグ8を接続できるようになっている。
このため、本実施形態の車両1では、車両1の停車中に、電源プラグ8を外部電源46に電気的に接続することで、外部電源46から供給される電力を用いて、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100を充電することができる。
具体的には、電池コントローラ30は、変換装置44を監視しており、外部電源46から電源プラグ8を通じて変換装置44に電力が供給されたことを検知すると、スイッチ41,42をOFFにすると共に、スイッチ43をONにする。これにより、外部電源46から供給される電力を用いて、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100を充電することができる。詳細には、外部電源46の電圧を、変換装置44により、所定の一定電圧値を有する直流定電圧に変換しつつ、外部電源46から供給される電力を、変換装置44を通じて、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100に供給する。
さらに、電池コントローラ30は、外部電源46を用いたリチウムイオン二次電池100の充電時に、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値Vの変化量dVに対するリチウムイオン二次電池100の蓄電量Qの変化量dQの割合である、dQ/dVの値を算出する。
具体的には、外部電源46を用いたリチウムイオン二次電池100の充電時に、電池コントローラ30は、所定時間毎に、電流検知手段50で検知された電流値I(充電電流)を積算(∫Idt)して、リチウムイオン二次電池100の充電電気量を算出し、算出された充電電気量からリチウムイオン二次電池100の蓄電量Qを推定する。さらに、電池コントローラ30は、電流積算と同期させて、電圧検知手段40で検知されたリチウムイオン二次電池100の電池電圧値Vを取得する。
さらに、電池コントローラ30は、電圧検知手段40で検知されたリチウムイオン二次電池100の電池電圧値Vと、推定した蓄電量Qとから、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値Vの変化量dVに対するリチウムイオン二次電池100の蓄電量Qの変化量dQの割合である、dQ/dVの値を算出する。換言すれば、リチウムイオン二次電池100の蓄電量Qを電池電圧値Vで微分して、dQ/dVの値を算出する。具体的には、リチウムイオン二次電池100の充電時に、所定時間毎に電池電圧値Vと蓄電量Qを取得し、各所定時間毎の電池電圧値Vの変化量dVと蓄電量Qの変化量dQとを算出し、これらに基づいて、所定時間毎のdQ/dVの値を算出する。
さらに、電池コントローラ30は、各々のリチウムイオン二次電池100について、電池電圧値Vと算出されたdQ/dVの値との関係を表すV−dQ/dV曲線上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークのdQ/dVの値である第1ピーク値P1と、このときの電池電圧値V1とを取得する。なお、本実施形態のリチウムイオン二次電池100における第1ピークは、SOC0%〜100%の全範囲にわたって当該電池を充電したときのV−dQ/dV曲線上に最初に現れるピークでもある。
但し、本実施形態では、電池コントローラ30は、各々のリチウムイオン二次電池100について、充電を開始したときの電池電圧値が3.45V以下であるか否かを判断し、充電を開始したときの電池電圧値が3.45V以下である場合に限り、当該リチウムイオン二次電池100について、所定時間毎のdQ/dVの値を算出し、第1ピーク値P1及び電池電圧値V1を取得する。充電を開始したときの電池電圧値が3.45Vよりも高い場合は、充電を開始した時点で、既に、第1ピークが現れる電池電圧値を上回っている可能性があり、第1ピーク値P1を適切に取得できない虞があるからである。
ところで、後述するように、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100と比較して、相対的に、「当該電池100を充電したときの電池電圧値VとdQ/dVの値との関係を表すV−dQ/dV曲線上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークのdQ/dVの値である第1ピーク値」が小さくなる。
具体的には、例えば、電池容量が同等の値にまで低下している場合でも、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100よりも、第1ピーク値が小さくなる。さらには、劣化初期の段階においても、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100よりも、第1ピーク値が小さくなる。このため、以下に説明するように、本実施形態の検査方法を行うことで、リチウムイオン二次電池100の劣化モードが、異常劣化モードであるか否かを適切に判定することができる。
ここで、通常劣化モードとは、使用(充放電)に伴って経時的に(正常に)リチウムイオン二次電池100が劣化(容量低下や入出力性能低下)してゆく劣化モードである。一方、異常劣化モードとは、リチウムイオン二次電池100のシール(封止)が不十分である場合に、外部から電池内に水分が浸入してきたり、電解液が外部へ蒸発することにより減少してゆくことなどが原因で、リチウムイオン二次電池100の劣化が進行してゆき、やがて、急速に劣化が進行(容量低下や入出力性能低下が急激に進行)して、通常劣化モードに比べて劣化の程度が著しく大きくなる劣化モードである。
本実施形態では、予め、組電池10を構成しているリチウムイオン二次電池100と同等品(同等仕様)のサンプル電池を多数用意し、これらのサンプル電池について、以下のようにして、通常劣化モード下限データを取得している。ここで、「通常劣化モード下限データ」とは、通常劣化モードで電池の劣化が進行している場合の、電池電圧値と第1ピーク値の下限値(第1ピーク下限値)との相関を表すデータである。
なお、複数のリチウムイオン二次電池100の間では、同等品(同等の仕様)であっても(初期状態であっても)、充電時における電池電圧値の変動に対する蓄電量の値の変動の仕方に、多少の違い(バラツキ)がある。このため、通常劣化モードで劣化が進行している複数のサンプル電池間において、同等の電池電圧値であっても、当該電池電圧値における第1ピーク値に違い(バラツキ)が生じる。このことを考慮して、本実施形態では、各々の電池電圧値において第1ピーク値のうち最も小さい値である第1ピーク下限値を選択して、電池電圧値と第1ピーク下限値との相関を表すデータ(すなわち、通常劣化モード下限データ)を取得するようにしている。
具体的には、まず、リチウムイオン二次電池100と同等品(同等仕様)で新品状態の多数のサンプル電池を用意し、電池のシール(封止)が良好な状態で、所定のサイクル充放電を繰り返し行うことで、通常劣化モードで劣化が進行しているサンプル電池(以下、通常劣化サンプル電池ともいう)を作製する。但し、サイクル充放電のサイクル数を様々に異ならせることで、劣化の程度が異なる通常劣化サンプル電池を多数作製している。
次に、各々の通常劣化サンプル電池について、電池電圧値が3.45V以下の状態から各々のサンプル電池を充電したときの、当該サンプル電池の電池電圧値Vの変化量dVに対する当該サンプル電池の蓄電量Qの変化量dQの割合である、dQ/dVの値を算出する。より具体的には、充電開始電池電圧値を3.4V、充電終了電池電圧値を3.8Vに設定して、各々の通常劣化サンプル電池について、電池電圧値が3.4Vの状態から3.8Vに達するまでの間、充電を行い、その充電期間中、所定時間毎(例えば、1秒毎)に、電池電圧値V及び蓄電量Qに基づいてdQ/dVの値を算出する。なお、電池電圧値Vは、例えば、電圧検知手段40により検知することができる。また、蓄電量Qは、例えば、電流値I(充電電流)の積算(∫Idt)により求めることができる。
次いで、各々の通常劣化サンプル電池について、「電池電圧値Vと、算出された前記dQ/dVの値と、の関係を表すV−dQ/dV曲線」上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークのdQ/dVの値である第1ピーク値Pnと、このときの電池電圧値Vnとを取得する。具体的には、各々の通常劣化サンプル電池について、前述のようにして算出したdQ/dVの値に基づいて、V−dQ/dV曲線を作製し、当該曲線上に3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークのdQ/dVの値である第1ピーク値Pnと、このときの電池電圧値Vnとを取得する(図7参照)。
図7は、リチウムイオン二次電池100のV−dQ/dV曲線を示す図である。図7において、実線で示しているV−dQ/dV曲線は、通常劣化サンプル電池のV−dQ/dV曲線の一例である。この通常劣化サンプル電池では、第1ピーク値Pn=9.6、電池電圧値Vn=3.55(V)となる。
そして、通常劣化サンプル電池について取得した多数の第1ピーク値Pnのうち各々の前記電池電圧値Vnにおいて最も小さい値である第1ピーク下限値Pnmと、当該電池電圧値Vnとの関係(相関)を表すデータを、通常劣化モード下限データとして取得した。
なお、図7では、「通常劣化モード下限データ」として、通常劣化モード下限ラインLmとして示している。また、図7には、通常劣化サンプル電池について取得した多数の第1ピーク値Pnのうち各々の前記電池電圧値Vnにおいて最も大きい値である第1ピーク上限値と、当該電池電圧値との関係(相関)を表すデータを、通常劣化モード上限ラインLuとして示している。すなわち、各々の通常劣化サンプル電池について作製したV−dQ/dV曲線の第1ピークは、いずれも、通常劣化モード下限ラインLmと通常劣化モード上限ラインLuとの間(線上を含む)に現れた。
本実施形態では、通常劣化モード下限ラインLmのデータ(例えば、通常劣化モード下限ラインLm上の各点を表すデータマップ、あるいは、通常劣化モード下限ラインLmを表す相関式など)を、通常劣化モード下限データとして、電池コントローラ30のROM31に、予め記憶させている。
また、本実施形態では、サンプル電池として、異常劣化モードで劣化が進行しているサンプル電池(以下、異常劣化サンプル電池ともいう)も作製した。具体的には、同等品(同等仕様)で新品状態の多数のサンプル電池(リチウムイオン二次電池100)を用意し、電池のシール(封止)を不良とした状態(具体的には、電池ケースに貫通孔を空けた状態)で、所定のサイクル充放電を繰り返し行うことで、多数の異常劣化サンプル電池を作製した。但し、サイクル充放電のサイクル数を様々に異ならせることで、劣化の程度が異なる異常劣化サンプル電池を多数作製している。
これらの異常劣化サンプル電池では、サイクル充放電期間中に、外部から電池内に水分が浸入してきたり、電解液が外部へ蒸発することにより減少してゆくことが原因で、電池の劣化が促進される。このため、サイクル充放電を繰り返してゆくと、やがて、急速に劣化が進行(容量低下や入出力性能低下が急激に進行)して、通常劣化モードに比べて劣化の程度が著しく大きくなった。
これらの異常劣化サンプル電池についても、前述した通常劣化サンプル電池と同様にして、V−dQ/dV曲線を作製した。図7において、破線で示しているV−dQ/dV曲線は、異常劣化サンプル電池のV−dQ/dV曲線の一例である。この異常劣化サンプル電池では、図7に示すように、V−dQ/dVの座標平面において、V−dQ/dV曲線の第1ピークが、通常劣化モード下限ラインLmよりも下方に位置している。このように、全ての異常劣化サンプル電池にかかるV−dQ/dV曲線の第1ピークは、いずれも、通常劣化モード下限ラインLmよりも下方に位置した。
すなわち、異常劣化サンプル電池の第1ピーク値は、いずれも、各々の第1ピークの電池電圧値における通常劣化モード下限ラインLmの第1ピーク値(第1ピーク下限値)よりも小さくなった。例えば、図7に破線で示す異常劣化サンプル電池では、第1ピークの座標が、(V,dQ/dV)=(3.54,8.2)であるのに対し、電池電圧値が3.54Vにおける通常劣化モード下限ラインLmのdQ/dVの値(すなわち、第1ピーク下限値)は9.4であり、正常劣化サンプル電池に比べて第1ピークの値が小さくなっている。
従って、本実施形態では、検査対象のリチウムイオン二次電池100について求めたV−dQ/dV曲線の第1ピーク値が、通常劣化モード下限ラインLmの第1ピーク値よりも小さいか否かを判断することで、検査対象のリチウムイオン二次電池100が、異常劣化モードで劣化が進行しているか否かを、適切に判断することができる。
なお、リチウムイオン二次電池100(サンプル電池)では、劣化の程度が小さい(電池容量の低下が小さい)ほど、V−dQ/dV曲線の第1ピークの電池電圧値は低く、且つ、第1ピーク値(第1ピークのdQ/dVの値)は大きくなる傾向にあった。換言すれば、劣化の程度が大きい(電池容量の低下が大きい)ほど、V−dQ/dV曲線の第1ピークの電池電圧値は高く、且つ、第1ピーク値(第1ピークのdQ/dVの値)が小さくなる傾向にあった。
詳細には、劣化の程度が同程度である(電池容量が同等の値にまで低下している)場合でも、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100(サンプル電池)は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100(サンプル電池)よりも、第1ピーク値が小さくなった。さらには、劣化初期の段階(初期容量からの電池容量の低下量が小さい段階)においても、異常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100(サンプル電池)は、通常劣化モードで劣化が進行しているリチウムイオン二次電池100(サンプル電池)よりも、第1ピーク値が小さくなった。従って、本実施形態では、劣化初期の段階から、早期に、検査対象のリチウムイオン二次電池100が、異常劣化モードで劣化が進行しているか否かを判断することが可能となる。
さらに、電池コントローラ30は、前述のように取得した第1ピーク値P1と、これと同等の電池電圧値V1における通常劣化モード下限データ(通常劣化モード下限ラインLmのデータ)の第1ピーク下限値Pnmとを比較する。具体的には、予めインプットされている通常劣化モード下限データから、電池電圧値V1における第1ピーク下限値Pnm(通常劣化モードである場合の第1ピーク値の下限値)を取得する。そして、第1ピーク下限値Pnmと第1ピーク値P1との大きさを比較する。電池コントローラ30は、比較した結果、P1<Pnmである場合に、検査対象であるリチウムイオン二次電池100が、異常劣化モードで劣化が進行していると判定する。
さらに、電池コントローラ30は、リチウムイオン二次電池100が異常劣化モードで劣化が進行していると判定した場合は、リチウムイオン二次電池100を交換すべきであることを運転者等に知らせるための、電池交換信号を出力する。なお、本実施形態では、電池コントローラ30は、組電池10に含まれる各々のリチウムイオン二次電池100について、異常劣化モードで劣化が進行しているか否かを判断しており、組電池10に含まれる複数のリチウムイオン二次電池100のうち、いずれの電池が異常劣化モードで劣化が進行しているのかを把握することができる。このため、電池交換信号には、組電池10に含まれる複数のリチウムイオン二次電池100のうち、いずれの電池を交換すべきであるかという情報も含まれる。
次に、実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の検査方法について、具体的に説明する。図8は、実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の検査方法の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、電池コントローラ30は、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100の充電が開始されたか否かを判断する。具体的には、電池コントローラ30は、変換装置44を監視しており、外部電源46から電源プラグ8を通じて変換装置44に電力が供給されたことを検知することで、電源プラグ8が外部電源46に電気的に接続されたことを検知する。そして、電源プラグ8が外部電源46に電気的に接続されたことを検知すると、電池コントローラ30は、スイッチ41,42をOFFにすると共に、スイッチ43をONにする。これにより、外部電源46から変換装置44を通じて組電池10に電力が供給されて、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100の充電が開始される。これにより、電池コントローラ30は、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100の充電が開始されたと判断する。
ステップS1において、リチウムイオン二次電池100の充電が開始された(YES)と判断したら、ステップS2に進み、電池コントローラ30は、組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100の充電が開始されたときの各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値が、3.45V以下であるか否かを判断する。具体的には、電池コントローラ30は、リチウムイオン二次電池100の充電が開始されたと判断したときに、電圧検知手段40で検知された各々のリチウムイオン二次電池100の電池電圧値を取得し、取得した電池電圧値が3.45V以下であるか否かを判断する。一方、ステップS1において、リチウムイオン二次電池100の充電が開始されていない(NO)と判断したら、電池コントローラ30は、その後、再びステップS1の処理を行う。
ステップS2において、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値が3.45V以下でない(NO)と判断した場合は、次のステップS3に進むことなく、一連の処理(今回の検査)を終了する。
一方、ステップS2において、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値が3.45V以下である(YES)と判断したら、ステップS3に進み、電池コントローラ30は、当該リチウムイオン二次電池100について、充電期間中、所定時間毎に、電池電圧値Vの変化量dVに対する蓄電量Qの変化量dQの割合であるdQ/dVの値を算出する。
具体的には、電池コントローラ30は、所定時間(例えば1秒)毎に、電圧検知手段40によって検知されたリチウムイオン二次電池100の電池電圧値Vを取得すると共に、電流検知手段50により検知されたリチウムイオン二次電池100を流れる電流値Iを取得する。さらに、電池コントローラ30は、電流検知手段50で検知された電流値Iを積算して、リチウムイオン二次電池100の充電電気量を算出する。次いで、電池コントローラ30は、算出された充電電気量に基づいて、リチウムイオン二次電池100に蓄えられている電気量(蓄電量Q)を推定する。なお、本実施形態では、所定時間(例えば1秒)毎に検知された電流値Iに基づいて、所定時間毎の蓄電量Qを推定する。
その後、電池コントローラ30は、電池電圧値Vの変化量dVに対する蓄電量Qの変化量dQの割合であるdQ/dVの値を算出する。換言すれば、リチウムイオン二次電池100の蓄電量Qを、これに対応する電池電圧値Vで微分して、dQ/dVの値を算出する。具体的には、リチウムイオン二次電池100について、所定時間毎に取得される電池電圧値Vと蓄電量Qに基づいて、所定時間毎の電池電圧値Vの変化量dVと蓄電量Qの変化量dQとを算出し、これらに基づいて、所定時間毎のdQ/dVの値を算出する。
なお、このステップS3が、「算出ステップ」に相当する。
ステップS3において各々のリチウムイオン二次電池100についてdQ/dVの値を算出したら、ステップS4に進み、電池コントローラ30は、各々のリチウムイオン二次電池100について、第1ピーク値P1と、このときの電池電圧値V1とを取得する。なお、第1ピーク値P1とは、電池電圧値Vと算出されたdQ/dVの値との関係を表すV−dQ/dV曲線上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピーク(凸のピーク)のdQ/dVの値である。電池電圧値V1は、この第1ピークの電池電圧値である。
なお、dQ/dVの値は、第1ピークの前後において増加から減少に転ずるので、3.45V以上の電池電圧範囲において、最初にdQ/dVの値が増加から減少に転じるときに、第1ピークに達したと判断することができる。従って、本実施形態では、3.45V以上の電池電圧範囲において、最初にdQ/dVの値が増加から減少に転じたときのdQ/dVの値を、第1ピーク値P1として取得する。
例えば、ステップS3で算出されたdQ/dVの値と電池電圧値Vとの関係が、図9で破線で示すV−dQ/dV曲線で表される関係である場合は、第1ピーク値P1=8.2、電池電圧値V1=3.54として取得することができる。また、ステップS3で算出されたdQ/dVの値と電池電圧値Vとの関係が、図10で実線で示すV−dQ/dV曲線で表される関係である場合は、第1ピーク値P1=9.6、電池電圧値V1=3.55として取得することができる。
このステップS4が、「取得ステップ」に相当する。
なお、第1ピークが現れる前に(第1ピークの電池電圧値に達する前に)、リチウムイオン二次電池100の充電が終了されることもあり得る。この場合には、ステップS4において、第1ピーク値P1と電池電圧値V1を取得することができない。従って、第1ピークが現れる前にリチウムイオン二次電池100の充電が終了した場合は、ステップS4の処理を行うことなく、一連の処理(今回の検査)を終了することになる。
次いで、ステップS5に進み、電池コントローラ30は、前述のように取得した第1ピーク値P1と、これと同等の電池電圧値V1における通常劣化モード下限データ(通常劣化モード下限ラインLmのデータ)の第1ピーク下限値Pnmとを比較する。具体的には、ROM31にインプットされている通常劣化モード下限データから、電池電圧値V1における第1ピーク下限値Pnm(通常劣化モードである場合の第1ピーク値の下限値)を取得する。なお、通常劣化モード下限データは、通常劣化モードである場合の第1ピーク値の下限値である第1ピーク下限値Pnmと、当該電池電圧値Vnとの相関を表すデータである(図7、図9、図10の通常劣化モード下限ラインLmを参照)。
例えば、ステップS3で算出されたdQ/dVの値と電池電圧値Vとの関係が、図9で破線で示すV−dQ/dV曲線で表される関係であり、ステップS4において、第1ピーク値P1=8.2、電池電圧値V1=3.54として取得した場合は、通常劣化モード下限ラインLmのデータに基づいて、第1ピーク下限値Pnm=9.4として取得することができる。また、ステップS3で算出されたdQ/dVの値と電池電圧値Vとの関係が、図10で実線で示すV−dQ/dV曲線で表される関係であり、ステップS4において、第1ピーク値P1=9.6、電池電圧値V1=3.55として取得した場合は、通常劣化モード下限ラインLmのデータに基づいて、第1ピーク下限値Pnm=9.0として取得することができる。
そして、電池コントローラ30は、第1ピーク下限値Pnmと第1ピーク値P1との大きさを比較して、P1<Pnmであるか否かを判断する。
P1<Pnmである(YES)と判断した場合には、ステップS6に進み、電池コントローラ30は、当該リチウムイオン二次電池100が、異常劣化モードで劣化が進行していると判定する。なお、ステップS5,S6が、「判定ステップ」に相当する。
一方、P1<Pnmでない(NO)と判断した場合には、一連の処理を終了する。但し、この場合は、当該リチウムイオン二次電池100は異常劣化モードで劣化が進行していない(すなわち、通常劣化モードである)と判断することができる。
例えば、ステップS3で算出されたdQ/dVの値と電池電圧値Vとの関係が、図9で破線で示すV−dQ/dV曲線で表される関係であり、ステップS4において第1ピーク値P1=8.2として取得し、ステップS5において第1ピーク下限値Pnm=9.4として取得した場合は、P1<Pnmである(YES)と判断されるので、ステップS6において、当該リチウムイオン二次電池100が、異常劣化モードで劣化が進行していると判定することができる。
また、ステップS3で算出されたdQ/dVの値と電池電圧値Vとの関係が、図10で実線で示すV−dQ/dV曲線で表される関係であり、ステップS4において第1ピーク値P1=9.6として取得し、ステップS5において第1ピーク下限値Pnm=9.0として取得した場合は、P1<Pnmでない(NO)と判断されるので、ステップS6に進むことなく一連の処理を終了する。但し、この場合は、当該リチウムイオン二次電池100は異常劣化モードで劣化が進行していない(すなわち、通常劣化モードである)と判断することができる。
さらに、ステップS6において、リチウムイオン二次電池100が異常劣化モードで劣化が進行している(YES)と判定した場合は、ステップS7に進み、電池コントローラ30は、リチウムイオン二次電池100を交換すべきであることを運転者等に知らせるための、電池交換信号を出力する。これにより、運転者等に対し、リチウムイオン二次電池100の交換を促すことができる。
なお、本実施形態では、電池コントローラ30は、組電池10に含まれる各々のリチウムイオン二次電池100について、異常劣化モードで劣化が進行しているか否かを判断しており、組電池10に含まれる複数のリチウムイオン二次電池100のうち、いずれの電池が異常劣化モードで劣化が進行しているのかを把握することができる。このため、電池交換信号には、組電池10に含まれる複数のリチウムイオン二次電池100のうち、いずれの電池を交換すべきであるかという情報も含まれる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態では、組電池10を構成する全てのリチウムイオン二次電池100を検査対象としたが、組電池10を構成する全てのリチウムイオン二次電池100から予め選択した1または複数のリチウムイオン二次電池100のみを検査対象としても良い。具体的には、例えば、組電池10を構成する全てのリチウムイオン二次電池100から、予め1つのリチウムイオン二次電池100を検査対象として選択しておき、当該1つのリチウムイオン二次電池100についてのみ、ステップS1〜S7の処理を行うようにしても良い。
また、実施形態では、外部電源46から供給される電力を用いて組電池10を構成するリチウムイオン二次電池100を充電するときに、ステップS1〜S7の処理を行って、リチウムイオン二次電池100を検査する方法を示した。しかしながら、例えば、車両1の回生ブレーキで発生した電力を利用してリチウムイオン二次電池100を充電するときなど、外部電源46を用いることなくリチウムイオン二次電池100を充電するときにも、ステップS1〜S7の処理を行って、リチウムイオン二次電池100を検査するようにしても良い。
1 車両
6 二次電池システム
10 組電池
30 電池コントローラ
40 電圧検知手段
46 外部電源
50 電流検知手段
100 リチウムイオン二次電池
150 電極体
153 正極活物質
154 負極活物質
155 正極
156 負極
157 セパレータ
Lm 通常劣化モード下限ライン(通常劣化モード下限データ)
S3 算出ステップ
S4 取得ステップ
S5,S6 判定ステップ

Claims (1)

  1. リチウムイオン二次電池の検査方法において、
    予め、前記リチウムイオン二次電池と同等品であるサンプル電池であって、通常劣化モードで劣化が進行している複数の前記サンプル電池について、電池電圧値が3.45V以下の状態から各々の前記サンプル電池を充電したときの、当該サンプル電池の電池電圧値Vの変化量dVに対する当該サンプル電池の蓄電量Qの変化量dQの割合である、dQ/dVの値を算出し、各々の前記サンプル電池について、前記電池電圧値Vと算出された前記dQ/dVの値との関係を表すV−dQ/dV曲線上に、3.45V以上の電池電圧範囲において最初に現れる第1ピークの前記dQ/dVの値である第1ピーク値Pnと、このときの電池電圧値Vnとを取得し、複数の前記サンプル電池について取得した複数の前記第1ピーク値Pnのうち各々の前記電池電圧値Vnにおいて最も小さい値である第1ピーク下限値Pnmと、当該電池電圧値Vnとの関係を表すデータを、通常劣化モード下限データとして取得しておき、
    前記検査方法は、
    前記リチウムイオン二次電池について、電池電圧値が3.45V以下の状態から充電したときの前記dQ/dVの値を算出する算出ステップと、
    前記算出ステップで算出された前記dQ/dVの値のうち前記第1ピークの前記dQ/dVの値である第1ピーク値P1と、このときの電池電圧値V1とを取得する取得ステップと、
    前記取得ステップで取得した前記第1ピーク値P1と、前記電池電圧値V1における前記通常劣化モード下限データの前記第1ピーク下限値Pnmとを比較して、P1<Pnmである場合に、前記リチウムイオン二次電池は異常劣化モードで劣化が進行していると判定する判定ステップと、を備える
    リチウムイオン二次電池の検査方法。
JP2016215733A 2016-11-03 2016-11-03 リチウムイオン二次電池の検査方法 Active JP6607167B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016215733A JP6607167B2 (ja) 2016-11-03 2016-11-03 リチウムイオン二次電池の検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016215733A JP6607167B2 (ja) 2016-11-03 2016-11-03 リチウムイオン二次電池の検査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018073755A JP2018073755A (ja) 2018-05-10
JP6607167B2 true JP6607167B2 (ja) 2019-11-20

Family

ID=62115664

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016215733A Active JP6607167B2 (ja) 2016-11-03 2016-11-03 リチウムイオン二次電池の検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6607167B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023227722A1 (fr) * 2022-05-25 2023-11-30 Powerup Procédé de détection d'un risque de défaillance par déséquilibre d'un dispositif de stockage d'énergie comprenant un ensemble d'étages de cellules électrochimiques

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7455655B2 (ja) 2020-05-18 2024-03-26 日産自動車株式会社 二次電池の電解液量の減少を判定する判定装置及び判定方法
KR20220065604A (ko) * 2020-11-13 2022-05-20 주식회사 엘지에너지솔루션 배터리 진단 장치 및 방법
CN113884908A (zh) * 2021-09-17 2022-01-04 江苏海基新能源股份有限公司 一种评判烘烤后锂离子电池水分合格的方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4401809B2 (ja) * 2004-02-18 2010-01-20 株式会社マキタ 二次電池の診断装置とそれに有用な情報収集装置
US8653793B2 (en) * 2009-09-25 2014-02-18 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Secondary battery system
JP5741348B2 (ja) * 2011-09-21 2015-07-01 トヨタ自動車株式会社 二次電池システム及び車両
JP5662968B2 (ja) * 2012-06-19 2015-02-04 株式会社日立製作所 二次電池の検査システム、充放電機、及び検査方法
JP2014139897A (ja) * 2013-01-21 2014-07-31 Toyota Industries Corp 二次電池システム
JP2015102396A (ja) * 2013-11-22 2015-06-04 株式会社東芝 蓄電池劣化検出システムおよびその方法、ならびにプログラム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023227722A1 (fr) * 2022-05-25 2023-11-30 Powerup Procédé de détection d'un risque de défaillance par déséquilibre d'un dispositif de stockage d'énergie comprenant un ensemble d'étages de cellules électrochimiques
FR3136114A1 (fr) * 2022-05-25 2023-12-01 Powerup Procédé de détection d'un risque de défaillance par déséquilibre d'un dispositif de stockage d'énergie comprenant un ensemble d’étages de cellules électrochimiques

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018073755A (ja) 2018-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111542759B (zh) 二次电池的异常检测装置、异常检测方法以及程序
JP5660003B2 (ja) 二次電池の劣化状態判別システム及び劣化状態判別方法。
JP5287872B2 (ja) 二次電池システム
JP4561859B2 (ja) 二次電池システム
JP5741348B2 (ja) 二次電池システム及び車両
JP5332983B2 (ja) 電池システム
JP5315369B2 (ja) リチウム二次電池の異常充電状態検出装置及び検査方法
JP5464119B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP2013019709A (ja) 二次電池システム及び車両
JP5407893B2 (ja) 二次電池システム、及びハイブリッド車両
JP6500789B2 (ja) 二次電池の制御システム
JP6607167B2 (ja) リチウムイオン二次電池の検査方法
JP2017133870A (ja) リチウムイオン二次電池の異常劣化検知装置および異常劣化検知方法
JP5565276B2 (ja) リチウムイオン電池の蓄電量補正方法
JP6478121B2 (ja) 二次電池の回復処理方法および再利用処理方法
JP6898585B2 (ja) 二次電池の状態推定方法および状態推定システム
US11448702B2 (en) Charging method for nonaqueous electrolyte secondary cell and charging system for nonaqueous electrolyte secondary cell
JP7356986B2 (ja) 二次電池の充電システム
JP2010049882A (ja) 車両
JP2009199929A (ja) リチウム二次電池
JP2012084326A (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP2012221648A (ja) 非水電解質二次電池の製造方法
JP2015065119A (ja) 蓄電装置
JP5618156B2 (ja) 密閉型リチウム二次電池の製造方法
JP5779914B2 (ja) 非水電解液型二次電池システムおよび車両

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181218

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190918

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191007

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6607167

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151