JP6604371B2 - 車体構造 - Google Patents

車体構造

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Description

本発明は、車体構造に関するものである。
自動車などの車両は、車両前後方向に延びる一対のサイドフレームを含む車体構造を備えている。一対のサイドフレームは、車幅方向に離間して配置される部材であり、例えば矩形状の閉断面を有している。サイドフレームには、車両前後方向に延びる途中で車幅方向や車両上下方向に形状が変化する箇所が存在する場合がある(例えば特許文献1)。
特許文献1には、左右一対のサイドメンバのうち形状が変化する形状変化部の中空部内に、直線状に延びる補強部材を挿入した車枠構造が記載されている。この補強部材は、形状変化部の中空部内に、形状変化部の長手方向に沿って斜めに掛け渡して配置され、中空部内で動かないように固着されている。
特許文献1では、形状変化部の中空部内に補強部材を固定したので、サイドメンバの形状変化部を補強することができる、としている。
特許第5161727号公報
ところで車体構造では、一対のサイドフレームの各々の車幅方向外側に一対のボディマウントブラケットを配置し、この一対のボディマウントブラケットを用いて一対のサイドフレームと車体とを接続する場合がある。ボディマウントブラケットには、車体が搭載されることから、車体の慣性重量を支えることが求められる。すなわち運転時に車体が前後、左右(車幅方向)、上下または回転方向に揺動するため、ボディマウントブラケットは、車体の慣性重量の反作用としての荷重を受けることになる。
このような車体構造では、車体からの荷重がボディマウントブラケットを介して一対のサイドフレームに伝達される。このため、一対のサイドフレームのうちボディマウントブラケットが配置されている箇所やその付近は、車体からの荷重が集中し変形し易くなってしまう。
特許文献1に記載の技術は、一対のサイドメンバのうち形状が変化する形状変化部に補強部材を固定することで、サイドメンバの形状変化部を補強するものに過ぎない。すなわち特許文献1では、車体からの荷重がボディマウントブラケットを介してサイドフレームに伝達されることでサイドフレームが変形することに関し、何ら対策が講じられていない。
本発明は、このような課題に鑑み、ボディマウントブラケットを介してサイドフレームが荷重を受けた場合でのサイドフレームの変形を低減できる車体構造を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる車体構造の代表的な構成は、車両前後方向に延びている部材であり車幅方向に離間して配置される一対のサイドフレームを備える車体構造において、車体構造はさらに、一対のサイドフレームの各々の車幅方向外側に配置され一対のサイドフレームと車体とを接続する一対のボディマウントブラケットと、一対のサイドフレームのうち右側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め左後方に向かう右前側腕部、左側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め右後方に向かう左前側腕部、右側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め左前方に向かう右後側腕部、左側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め右前方に向かう左後側腕部、ならびに、一対のサイドフレームの間で各腕部を結合する結合部を含むクロスメンバとを備え、一対のボディマウントブラケットは、車両後側に面する縦壁と、縦壁の上端に連続し天面を成す上壁と、上壁に形成され一対のサイドフレームと車体とを接続するマウント部とを有し、クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部は、上下方向から見て、結合部からマウント部に向かう第1ラインに沿って延びていて、縦壁は、上下方向から見て、一対のサイドフレームから車幅方向外側に向かって第1ラインに平行に張り出していることを特徴とする。
本発明によれば、ボディマウントブラケットを介してサイドフレームが荷重を受けた場合でのサイドフレームの変形を低減できる車体構造を提供することができる。
本発明の実施例に係る車体構造および車体構造に配置されるキャビンを概略的に示す図である。 図1の車体構造の一部を示す図である。 図2の車体構造を下方から見た状態を示す図である。 図2の車体構造のA矢視図である。 図4の車体構造の一部を省略して示す図である。 図2の車体構造のクロスメンバの接合工程を示す図である。 図6の接合工程の変形例を示す図である。
本発明の一実施の形態に係る車体構造の代表的な構成は、車両前後方向に延びている部材であり車幅方向に離間して配置される一対のサイドフレームを備える車体構造において、車体構造はさらに、一対のサイドフレームの各々の車幅方向外側に配置され一対のサイドフレームと車体とを接続する一対のボディマウントブラケットと、一対のサイドフレームのうち右側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め左後方に向かう右前側腕部、左側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め右後方に向かう左前側腕部、右側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め左前方に向かう右後側腕部、左側のサイドフレームに取付けられサイドフレームから斜め右前方に向かう左後側腕部、ならびに、一対のサイドフレームの間で各腕部を結合する結合部を含むクロスメンバとを備え、一対のボディマウントブラケットは、車両後側に面する縦壁と、縦壁の上端に連続し天面を成す上壁と、上壁に形成され一対のサイドフレームと車体とを接続するマウント部とを有し、クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部は、上下方向から見て、結合部からマウント部に向かう第1ラインに沿って延びていて、縦壁は、上下方向から見て、一対のサイドフレームから車幅方向外側に向かって第1ラインに平行に張り出していることを特徴とする。
ここでボディマウントブラケットは、サイドフレームと車体とを接続するブラケットであり、車体が搭載されることから、車体の慣性重量を支えることが求められる。すなわち、運転時に車体が前後、左右(車幅方向)、上下または回転方向に揺動するため、ボディマウントブラケットは、車体の慣性重量の反作用としての荷重を受けることになる。このため、ボディマウントブラケットが受ける荷重としては、単に下向き荷重だけではなく、サイドフレームを圧縮あるいは引っ張る方向に作用する荷重や前後への荷重もある。
そこで上記構成では、クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部を、結合部からマウント部に向かう第1ラインに沿うように配置し、さらにボディマウントブラケットの縦壁も車幅方向外側に向かって第1ラインに平行に張り出すようにしている。すなわち、クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部、および、ボディマウントブラケットの縦壁は、互いに平行に延びている。このようにすれば、サイドフレームを、ボディマウントブラケットの縦壁と平行に延びるクロスメンバの右前側腕部と左前側腕部によって支えることができる。
このため、ボディマウントブラケットのマウント部が車幅方向の荷重を受けると、サイドフレームを圧縮あるいは引っ張る方向に作用する荷重が、縦壁を介してサイドフレームに伝達される。このとき、サイドフレームは、荷重を伝達した縦壁と同じ方向に延びるクロスメンバの右前側腕部と左前側腕部によって支えられている。したがって、サイドフレームが受けた荷重を、クロスメンバに効率的に伝達し分散できるため、サイドフレームの変形を低減できる。
また運転時の車体の挙動によっては、マウント部が上下方向の荷重を受けて、サイドフレームを捩じる方向に荷重が作用したり、前後方向の荷重を受けて、サイドフレームに局所的な回転歪みを与えるように荷重が作用したりする場合もある。これに対して上記構成では、クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部は、車体からの荷重を受ける起点となるマウント部に向かう第1ラインに沿って延びている。したがって、マウント部が上下方向、前後方向の荷重を受け、サイドフレームがボディマウントブラケットから荷重を受けた場合であっても、クロスメンバに効率的に荷重を伝達し分散でき、サイドフレームの変形を低減できる。
上記の車体構造はさらに、一対のサイドフレームの各々の下側に配置され縦壁を前後に跨いでいて前輪を懸架しているサスペンションブラケットを備えるとよい。ここで、サスペンションブラケットは、前輪を懸架するブラケットであり、リンク荷重に耐える高い剛性を有している。上記構成では、このようなサスペンションブラケットを、ボディマウントブラケットの縦壁を前後に跨ぐように、サイドフレームの下側に配置している。つまり、サスペンションブラケットは、ボディマウントブラケットからクロスメンバの右前側腕部と左前側腕部に伝達される荷重の伝達経路上に位置している。このため、サイドフレームの下側のうち荷重の伝達経路上に位置する箇所を、剛性の高いサスペンションブラケットによって補強できる。したがって、ボディマウントブラケットからサイドフレームに荷重が伝達された場合であっても、サイドフレームの変形をより防止できる。
上記のクロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部は、少なくとも前面または後面を有する角棒状の部材であるとよい。これにより、ボディマウントブラケットからサイドフレームに伝達された荷重を、右前側腕部と左前側腕部のうち縦壁と平行に延びる前面または後面を介してより効率的に伝達し分散できる。したがって、ボディマウントブラケットからサイドフレームに荷重が伝達された場合であっても、サイドフレームの変形をより十全に防止できる。
上記の車体構造はさらに、一対のサイドフレームの各々をその内部から補強するバルクヘッドを備え、バルクヘッドは、縦壁を延長した位置、または、クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部が沿う第1ラインに重なる位置にあるとよい。これにより、バルクヘッドは、ボディマウントブラケットからクロスメンバの右前側腕部と左前側腕部に伝達される荷重の伝達経路上に位置する。このため、バルクヘッドは、サイドフレームの内部のうち荷重の伝達経路上に位置する箇所を補強できる。したがって、ボディマウントブラケットからサイドフレームに荷重が伝達された場合であっても、サイドフレームの変形をより防止できる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施例に係る車体構造100および車体構造100に配置されるキャビン102を概略的に示す図である。図中では車体構造100およびキャビン102を斜め下方から見た状態を示している。以下、各図に示す矢印X、Yは車両前側、車両右側をそれぞれ示している。
車体構造100は、車幅方向に離間して配置される一対のサイドフレーム104、106と、一対のサイドフレーム104、106間に差し渡された複数のクロスメンバ108a〜108iとを備えている。車体構造100は、これらの部材によって図示のような枠状のフレーム構造を形成している。また車体構造100は、図示のようにフレーム構造の上方にキャビン102を配置するような形式の車両に適用可能である。
図2は、図1の車体構造100の一部を示す図である。図中では車体構造100を上方から見た状態を示している。図2に示すように、クロスメンバ108a〜108iのうち、車両前側から4番目・5番目には、クロスメンバ108d、クロスメンバ108eが位置している。
クロスメンバ108dは、車幅方向両端部が車幅方向中央部よりも車両前側に位置するように屈曲していて、車幅方向両端部がブラケット110a、110bを介してサイドフレーム104、106にそれぞれ接合されている。クロスメンバ108eは、クロスメンバ108dよりも車両後側で一対のサイドフレーム104、106に差し渡されていて、車幅方向両端部が車幅方向中央部よりも車両後側に位置するように屈曲している。クロスメンバ108eは、車幅方向両端部がブラケット112a、112bを介してサイドフレーム104、106にそれぞれ接合されている。
図2に示すように、クロスメンバ108d、108eは、互いの車幅方向中央部がマウントブラケット114で接合され、上下方向から見て平面視でX字状に形成されている。具体的には、クロスメンバ108dは、一対のサイドフレーム104、106に取付けられた2つの腕部すなわち右前側腕部116a、左前側腕部116bを含む。そしてクロスメンバ108eは、一対のサイドフレーム104、106に取付けられた2つの腕部すなわち右後側腕部118aおよび左後側腕部118bを含む。さらに、これらの腕部116a、116b、118a、118bは、一対のサイドフレーム104、106の間で結合部によって結合されている。なお結合部とは、図2ではマウントブラケット114の位置にある領域である。より具体的には図6に示すように、クロスメンバ108d、108e同士を、パッチ160、164およびマウントブラケット114を介して結合するための、溶接箇所162a、162b、166a、166b、168a、168b、170a、170bを含む領域を結合部としている。
図2に示すように、右前側腕部116aは、一対のサイドフレーム104、106のうち右側のサイドフレーム104に取付けられサイドフレーム104から斜め左後方に向かって延びている。左前側腕部116bは、左側のサイドフレーム106に取付けられサイドフレーム106から斜め右後方に向かって延びている。右後側腕部118aは、右側のサイドフレーム104に取付けられサイドフレーム104から斜め左前方に向かって延びている。左後側腕部118bは、左側のサイドフレーム106に取付けられサイドフレーム106から斜め右前方に向かって延びている。
ブラケット110a、110bは、クロスメンバ108d、108eのうち右前側腕部116aと左前側腕部116bを一対のサイドフレーム104、106に取付けている。ブラケット112a、112bは、クロスメンバ108d、108eのうち右後側腕部118aと左後側腕部118bを一対のサイドフレーム104、106に取付けている。
一対のサイドフレーム104、106の各々の車幅方向外側には、図2に示すように一対のボディマウントブラケット120、122が配置されている。ボディマウントブラケット120、122は、サイドフレーム104、106とキャビン102とを接続するブラケットであり、キャビン102が搭載されることから(図1参照)、キャビン102の慣性重量を支えることが求められる。
すなわちキャビン102は、運転時に前後、左右(車幅方向)、上下または回転方向に揺動する場合がある。このため、ボディマウントブラケット120、122は、キャビン102の慣性重量の反作用としての荷重を受けることになる。またボディマウントブラケット120、122が受ける荷重としては、単に下向き荷重だけではなく、前後への荷重、さらにサイドフレーム104、106を圧縮あるいは引っ張る方向に作用する荷重もある。
このため、サイドフレーム104、106には、キャビン102からの荷重がボディマウントブラケット120、122を介して伝達される。その結果、サイドフレーム104、106のうちボディマウントブラケット120、122が配置されている箇所やその付近は、キャビン102からの荷重が集中し変形し易くなる。
そこで本実施例では、ボディマウントブラケット120、122を介してサイドフレーム104、106に伝達される荷重を、クロスメンバ108dに効率的に伝達させることで、サイドフレーム104、106の変形を低減する構成を採用した。
図2に示すように、ボディマウントブラケット120、122は、車両後側に面する縦壁124、126と、上壁128、130と、マウント部132、134とを有する。上壁128、130は、縦壁124、126の上端136、138に連続し天面を形成する。マウント部132、134は、上壁128、130に形成され、サイドフレーム104、106とキャビン102とを接続する。このため、マウント部132、134は、キャビン102からの荷重を受ける起点となる場合がある。
クロスメンバ108dの右前側腕部116aと左前側腕部116bは、図示のように、マウントブラケット114の位置にある領域すなわち結合部からマウント部132、134に向かう第1ライン140a、140bに沿ってそれぞれ延びている。また、ボディマウントブラケット120、122の縦壁124、126は、図示のように、サイドフレーム104、106から車幅方向外側に向かって、第1ライン140a、140bに平行に張り出している。なお図中には、縦壁124、126が張り出す方向に沿う第2ライン142a、142bも示している。このため、第1ライン140a、140bと第2ライン142a、142bとは平行になっている。
すなわちクロスメンバ108dの右前側腕部116aと左前側腕部116b、および、ボディマウントブラケット120、122の縦壁124、126は、互いに平行に延びている。このようにすれば、サイドフレーム104、106を、ボディマウントブラケット120、122の縦壁124、126と平行に延びるクロスメンバ108dの右前側腕部116aと左前側腕部116bによって支えることができる。ただし本実施例においては、サイドフレーム104、106が受けた荷重をクロスメンバ108dに効率的に伝達できるのであれば、縦壁124、126の張り出す方向は、第1ライン140a、140bに厳密に平行になっていなくてもよい。
ここで、ボディマウントブラケット120のマウント部132が車幅方向の荷重(矢印B参照)を受けた場合について説明する。この場合には、サイドフレーム104を圧縮する方向に作用する荷重が、縦壁124を介してサイドフレーム104に伝達される。サイドフレーム104は、荷重を伝達した縦壁124と同じ方向に延びるクロスメンバ108dの右前側腕部116aによって支えられている。
したがって、サイドフレーム104が受けた荷重は、クロスメンバ108dの右前側腕部116aに効率的に伝達される(矢印C参照)。右前側腕部116aに伝達された荷重は、マウントブラケット114を介してさらに斜め後方に延びるクロスメンバ108eの左後側腕部118bに伝達される(矢印D参照)。そして左後側腕部118bに伝達された荷重は、左側のサイドフレーム106にまで分散される(矢印E参照)。このようにして、ボディマウントブラケット120のマウント部132を介してサイドフレーム104が受けた荷重を、クロスメンバ108dに効率的に伝達し、さらにクロスメンバ108eに伝達し分散できる。このため、サイドフレーム104の変形を低減できる。
また運転時のキャビン102の挙動によっては、ボディマウントブラケット120のマウント部132が前後方向の荷重(矢印F参照)を受けて、サイドフレーム104に局所的な回転歪みを与えるように荷重が作用する場合がある。あるいは、マウント部132が上下方向の荷重を受けて、サイドフレーム104を捩じる方向に荷重が作用する場合もある。
このような場合であっても、クロスメンバ108dの右前側腕部116aは、キャビン102からの荷重を受ける起点となるマウント部132に向かう第1ライン140aに沿って延びている。したがって、マウント部132がキャビン102から前後方向あるいは上下方向の荷重を受け、さらにサイドフレーム104が荷重を受けた場合であっても、クロスメンバ108dに効率的に荷重を伝達できる。さらにクロスメンバ108dに伝達された荷重は、クロスメンバ108eに伝達し分散される。このため、サイドフレーム104の変形を低減できる。
なおボディマウントブラケット122のマウント部134が車幅方向、前後方向あるいは上下方向の荷重を受けた場合も同様である。すなわちボディマウントブラケット122を介してサイドフレーム106が受けた荷重は、第1ライン140bに沿って延びるクロスメンバ108dの左前側腕部116bに効率的に伝達される。さらに荷重は、クロスメンバ108eの右後側腕部118a、サイドフレーム104に伝達し分散される。このため、サイドフレーム106の変形を低減できる。
図3は、図2の車体構造100を下方から見た状態を示す図である。図示のように、一対のサイドフレーム104、106の各々の下側には、一対のサスペンションブラケット144、146が配置されている。サスペンションブラケット144、146は、不図示の前輪を懸架するブラケットであり、リンク荷重に耐える高い剛性を有している。
サスペンションブラケット144、146は、図示のように、ボディマウントブラケット120、122の縦壁124、126を前後に跨ぐように、サイドフレーム104、106の下側に配置されている。さらにサスペンションブラケット144、146は、第1ライン140a、140bおよび第2ライン142a、142bを前後に跨いだ位置にある。すなわちサスペンションブラケット144、146は、ボディマウントブラケット120、122からクロスメンバ108dの右前側腕部116aと左前側腕部116bに伝達される荷重の伝達経路上に位置していることになる。
このため、サイドフレーム104、106の下側のうち荷重の伝達経路上に位置する箇所を、剛性の高いサスペンションブラケット144、146によって補強できる。したがって、ボディマウントブラケット120、122からサイドフレーム104、106に荷重が伝達された場合であっても、サイドフレーム104、106の変形をより防止できる。
なお図3に示すように、サスペンションブラケット144が車幅方向の荷重(矢印G参照)や前後方向の荷重(矢印H参照)を受けた場合について説明する。これらの場合には、サスペンションブラケット144を介してサイドフレーム104が受けた荷重は、クロスメンバ108dの右前側腕部116aに伝達される(矢印I参照)。右前側腕部116aに伝達された荷重は、マウントブラケット114を介してさらに斜め後方に延びるクロスメンバ108eの左後側腕部118bに伝達される(矢印J参照)。そして左後側腕部118bに伝達された荷重は、左側のサイドフレーム106にまで分散される(矢印K参照)。
このようにして、サスペンションブラケット144を介してサイドフレーム104が受けた荷重は、クロスメンバ108dに伝達し、さらにクロスメンバ108eに伝達し分散される。このため、サイドフレーム104の変形を低減できる。なおサスペンションブラケット146を介してサイドフレーム106が受けた荷重も、クロスメンバ108d、108eに伝達し分散される。このため、サイドフレーム106の変形を低減できる。
図4は、図2の車体構造100のA矢視図である。サイドフレーム104は、車内側に位置するインナ部材148と、車外側に位置するアウタ部材150とを有し、これらの部材が接合することで矩形状の閉断面を形成している。図5は、図4の車体構造100の一部を省略して示す図である。ここでは、サイドフレーム104のインナ部材148およびアウタ部材150、さらにボディマウントブラケット120を省略して、サイドフレーム104の内部を示している。なお図示は省略するが、サイドフレーム106の内部も同様の構成を有している。
車体構造100はさらに、図5に示すように、サイドフレーム104をその内部から補強する部材として、バルクヘッド152および補強部材154、156、158を備える。なお図中では、補強部材154にハッチングを施している。
補強部材154は、断面L字型の部材であり、インナ部材148に接合されていて、ハッチングで示すように補強部材156よりも車両後方まで延びている。補強部材156は、断面L字型の部材であり、補強部材154から離間していて、インナ部材148およびアウタ部材150に接合されている。補強部材158は、バルクヘッド152の車両後側に位置し、補強部材154から車外側に離間していて、補強部材154とともにサイドフレーム104を内部から補強している。
バルクヘッド152は、図示のように補強部材156の車両後側に位置していて、サイドフレーム104のインナ部材148およびアウタ部材150に接合されている。そしてバルクヘッド152は、図5に示すように、ボディマウントブラケット120を延長した位置すなわち第2ライン142aに重なる位置にある。
ただしバルクヘッド152は、これに限られず、クロスメンバ108dの右前側腕部116aが沿う第1ライン140aに重なる位置であってもよく、あるいは、第1ライン140a、第2ライン142aの付近に位置してもよい。つまりバルクヘッド152は、ボディマウントブラケット120からクロスメンバ108dの右前側腕部116aに伝達される荷重の伝達経路上あるいはその付近に位置すればよい。このようにすれば、バルクヘッド152は、サイドフレーム104の内部のうち荷重の伝達経路上に位置する箇所を補強できる。
図6は、図4の車体構造100のクロスメンバ108d、108eの接合工程を示す図である。クロスメンバ108d、108eは、剛性の高いパイプ部材を屈曲させて形成されている。まず図6(a)に示すように、クロスメンバ108d、108eの車幅方向中央部同士を接近させてパッチ160を介して接合する。なおパッチ160は、溶接箇所162aでクロスメンバ108dの上側に溶接され、溶接箇所162bでクロスメンバ108eの上側に溶接される。
また図6(c)に示すようにクロスメンバ108d、108eの下側には、パッチ164が配置されている。パッチ164は、溶接箇所166aでクロスメンバ108dの下側に溶接され、溶接箇所166bでクロスメンバ108eの下側に溶接される。なお図6(c)は、図6(b)のL−L断面図である。
さらにクロスメンバ108d、108eの上側には、マウントブラケット114が配置される。マウントブラケット114は、図6(b)に示すように溶接箇所168a、168bでクロスメンバ108dの上側に溶接され、溶接箇所170a、170bでクロスメンバ108eの上側に溶接される。
このようにして、クロスメンバ108d、108eは、パッチ160、164およびマウントブラケット114を介して車幅方向中央部同士が強固に接合された状態でX字状に形成される。すなわちクロスメンバ108d、108eは、右前側腕部116a、左前側腕部116b、右後側腕部118aおよび左後側腕部118bと、各溶接箇所を含む領域である結合部とを含み、各腕部が結合部により一対のサイドフレーム104、106の間で結合された状態となる。
図7は、図6の接合工程の変形例を示す図である。変形例の接合工程では、まず、角パイプで形成されたクロスメンバ108j、108k、108lを用意する。つぎに、図7(a)に示すようにクロスメンバ108k、108lがクロスメンバ108jを挟んで直線状になるように配置する。なお図7(b)は、図7(a)のM−M断面図である。
続いて図7(b)に示すように、クロスメンバ108kの端部とクロスメンバ108jを溶接箇所172aで溶接し、クロスメンバ108lの端部とクロスメンバ108jを溶接箇所172bで溶接する。このような接合工程によっても、X字形状を成すクロスメンバ108j、108k、108lを形成できる。すなわち、クロスメンバがX字形状を成すためには、クロスメンバ同士を必ずしも屈曲させた上で接合する必要はなく(図6参照)、図7に示すように、直線状のクロスメンバを交差するように接合してもよい。
ここでクロスメンバ108jのうち溶接箇所172a、172bよりも前方、後方に位置する部位174、176をそれぞれ右前側腕部、左後側腕部、クロスメンバ108kを右後側腕部、さらにクロスメンバ108lを左前側腕部とした場合について説明する。
このような場合、角パイプで形成されたクロスメンバ108jの部位174すなわち右前側腕部は、第1ライン140a(図4参照)に沿う側壁としての前面178、後面180を有する。また、角パイプで形成されたクロスメンバ108lすなわち左前側腕部は、第1ライン140b(図4参照)に沿う側壁としての前面182、後面184を有する。
このため、ボディマウントブラケット120、122からサイドフレーム104、106に伝達された荷重を、右前側腕部と左前側腕部のうち縦壁124、126と平行に延びる前面178、182または後面180、184を介してより効率的に伝達し分散できる。
本実施例にかかる車体構造100では、サイドフレーム104、106を、ボディマウントブラケット120、122の縦壁124、126と平行に延びるクロスメンバ108dの右前側腕部116aと左前側腕部116bによって支えている。したがって車体構造100では、ボディマウントブラケット120、122を介してサイドフレーム104、106に伝達される荷重を、クロスメンバ108dに効率的に伝達し分散させることで、サイドフレーム104、106の変形を低減できる。
また車体構造100では、サイドフレーム104、106の下側のうち荷重の伝達経路上に位置する箇所を、剛性の高いサスペンションブラケット144、146によって補強している。さらに車体構造100では、サイドフレーム104、106の内部のうち荷重の伝達経路上に位置する箇所を、バルクヘッド152によって補強している。
したがって車体構造100では、ボディマウントブラケット120、122からサイドフレーム104、106に荷重が伝達された場合であっても、サイドフレーム104、106の変形をより防止できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車体構造に利用することができる。
100…車体構造、102…キャビン、104、106…サイドフレーム、108a〜108i、108j〜108l…クロスメンバ、110a、110b、112a、112b…ブラケット、114…マウントブラケット、116a…右前側腕部、116b…左前側腕部、118a…右後側腕部、118b…左後側腕部、120、122…ボディマウントブラケット、124、126…ボディマウントブラケットの縦壁、128、130…ボディマウントブラケットの上壁、132、134…マウント部、136、138…上壁の上端、140a、140b…第1ライン、142a、142b…第2ライン、144、146…サスペンションブラケット、148…インナ部材、150…アウタ部材、152…バルクヘッド、154、156、158…補強部材、160、164…パッチ、162a、162b、166a、166b、168a、168b、170a、170b、172a、172b…溶接箇所、174、176…クロスメンバの部位、178…右前側腕部の前面、180…右前側腕部の後面、182…左前側腕部の前面、180…左前側腕部の後面

Claims (4)

  1. 車両前後方向に延びている部材であり車幅方向に離間して配置される一対のサイドフレームを備える車体構造において、
    当該車体構造はさらに、
    前記一対のサイドフレームの各々の車幅方向外側に配置され該一対のサイドフレームと車体とを接続する一対のボディマウントブラケットと、
    前記一対のサイドフレームのうち右側のサイドフレームに取付けられ該サイドフレームから斜め左後方に向かう右前側腕部、左側のサイドフレームに取付けられ該サイドフレームから斜め右後方に向かう左前側腕部、前記右側のサイドフレームに取付けられ該サイドフレームから斜め左前方に向かう右後側腕部、前記左側のサイドフレームに取付けられ該サイドフレームから斜め右前方に向かう左後側腕部、ならびに、前記一対のサイドフレームの間で各腕部を結合する結合部を含むクロスメンバとを備え、
    前記一対のボディマウントブラケットは、車両後側に面する縦壁と、該縦壁の上端に連続し天面を成す上壁と、該上壁に形成され前記一対のサイドフレームと車体とを接続するマウント部とを有し、
    前記クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部は、上下方向から見て、前記結合部から前記マウント部に向かう第1ラインに沿って延びていて、
    前記縦壁は、上下方向から見て、前記一対のサイドフレームから車幅方向外側に向かって前記第1ラインに平行に張り出していることを特徴とする車体構造。
  2. 当該車体構造はさらに、前記一対のサイドフレームの各々の下側に配置され前記縦壁を前後に跨いでいて前輪を懸架しているサスペンションブラケットを備えることを特徴とする請求項1に記載の車体構造。
  3. 前記クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部は、少なくとも前面または後面を有する角棒状の部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の車体構造。
  4. 当該車体構造はさらに、前記一対のサイドフレームの各々をその内部から補強するバルクヘッドを備え、
    前記バルクヘッドは、前記縦壁を延長した位置、または、前記クロスメンバのうち右前側腕部と左前側腕部が沿う前記第1ラインに重なる位置にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車体構造。
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