JP6603502B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
このような技術として、下記の特許文献1が開示されている。特許文献1によれば、筆記ボールとアウターの先端とを同時に筆記面に接触させることによって、筆記ボールの先端のみが筆記面と接触している状態で筆記する場合よりも太い幅の線を描くことができる、とされている。
本発明は、異なる太さの描線を自在に描くことを可能とするという上記の優れた機能に加え、需要者の視覚に訴える先鋭的なデザインを備えた筆記具を提供することを課題とする。
本発明のうち第1の発明は、インクが充填されるインク収容部23を内部に有する軸筒10と、前記軸筒10に収容されるとともに前記インク収容部23と接触し、毛細管現象によりインクを誘導可能なインク誘導部40と、前記インク誘導部40と接触し、前記軸筒10の先端に装着される内側部材50と、前記内側部材50の外周を覆う外側部材60と、前記外側部材60の先端から突出するように装着された筆記先端32とからなる筆記具において、前記筆記先端32は、前記内側部材50と前記外側部材60とによって抱持されることを特徴とする。
インク誘導部40とは、インク収容部23内のインクと接触し、毛細管現象によりそのインクを内側部材50まで誘導する部材である。たとえば、毛細管現象が発生する程度の太さで束ねられた棒状の繊維芯が用いられる。
内側部材50とは、筆記圧により撓みが生じる程度の硬度を有する樹脂素材から形成されるとともに、インク誘導部40との接触によりインク誘導部40が保持するインクを毛細管現象によって、筆記先端32に供給する役割を果たす部材である。このとき、内側部材50の素材は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択された樹脂素材が用いられる。
外側部材60とは、内側部材50の外周を覆うように装着する金属素材から形成された部材である。このとき、外側部材60の素材は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択された金属素材が用いられる。
本発明のうち第2の発明は、前記した第1の発明の特徴に加え、前記外側部材60の先端から突出するように装着された前記筆記先端32は、ボールペン用の筆記ボールであり、前記筆記ボールは、前記内側部材50の先端を受座53として、前記内側部材50の外周を覆う前記外側部材60によりカシメられることで抱持されることを特徴とする。
本発明のうち第3の発明は、前記した第1又は第2の発明の特徴に加え、前記内側部材50の表面には、前後方向にインク誘導スリット55が形成され、前記インク誘導部40から供給されたインクが前記インク誘導スリット55を通じて、毛細管現象により前記筆記先端32まで供給されることを特徴とする。
なお、第1、第2の発明におけるインク誘導方法は、インク誘導部40が保持するインクを毛細管現象により内側部材50まで誘導し、内側部材50とこの内側部材50の外周を覆う外側部材60との隙間を伝って、毛細管現象によりインクを筆記先端32に供給するものである。
本発明は、筆記圧により生じる内側部材50の弾性作用を利用したものである。内側部材50が筆記圧により弾性変形することで、インク誘導スリット55に撓みが生じることによりスリットの幅が広がることとなる。そのため、インク誘導スリット55を流通可能なインク量が増加することで、インク誘導部40から供給されるインク量が増加し、その結果、筆記先端32に供給されるインク量が増加することとなる。
具体的には、筆記荷重を強くかけた場合は、インク誘導スリット55の幅が広がることとなる結果、筆記先端32に供給されるインク量が増加するため、常に太い幅の線を描くことができる。また、「トメ」や「ハライ」などの動作によって、筆記面から筆記部分が離れるために筆記荷重が弱くなるときは、インク誘導スリット55の幅が狭まることとなる結果、筆記先端32に供給されるインク量が減少するため、太い幅の線から細い幅の線へ連続的かつ滑らかに筆記幅が変化していく。
第3の発明は、インク誘導スリット55の形成箇所を特定したものである。インク誘導スリット55が各開口部70間に形成されたことで、各インク誘導スリット55間に一定の間隔が設けられることになる。そのため、何れの方向からの筆記圧を加えた場合であっても、均一な量のインクを筆記先端32に供給することが可能となる。また、各インク誘導スリット55の間隔が狭いことによって、その加圧箇所付近のインク誘導スリット55にインクが集中して供給された結果、インク誘導スリット55の保持可能量を超えてしまうことによるインク漏れが生じることもない。
本発明のうち第4の発明は、前記した第1又は第2の発明の特徴に加え、前記内側部材50は、多孔質に形成されたことにより、該内側部材50自体を通じて前記インク誘導部40から供給されたインクを、毛細管現象により前記筆記先端32まで供給することを特徴とする。
なお、第4の発明においても、内側部材50の弾性作用を利用することで、筆記荷重により各孔の面積が広がり、内側部材50を流通するインク量が増加する結果、筆記先端32に供給されるインク量が増加することとなるため、上記第3の発明と同様の作用効果を奏することが可能となっている。
本発明のうち第5の発明は、前記した第1、第2、第3又は第4の発明の特徴に加え、前記内側部材50及び前記外側部材60の外周面には、複数の開口部70が設けられ、前記複数の開口部70は該内側部材50及び該外側部材60の軸心部で互いに交通することで、前記軸心部が空洞となっていることを特徴とする。
なお、本発明の実施形態においてはボールペンを例に説明するが、以下の態様に限定されるものではなく、本発明の実施形態に係る内側部材50及び外側部材60を装着可能な筆記具においても適用することができる。
本発明の各実施形態に係る筆記具1は、図1(A)、(B)に示すように、先端は開口し、その後端は閉塞している筒形状の内軸20と、内軸20の後端から先端にかけて2/3程度の部分を覆い、その先端は開口し、その後端は閉塞している筒形状の外軸30とからなる軸筒10を備え、この軸筒10の先端に装着される筆記部80に設けられた複数の開口部70が、筆記部80の軸心部で互いに交通することで、軸心部が空洞を呈する外観となっている。
図1(B)に示すように、内軸20の内部には、前方から順に、内軸20の先端に装着される筆記部80と、筆記部80に毛細管現象によりインクを誘導するインク誘導部40と、複数枚の板状部材を軸方向に平行に配し、インク誘導部40を軸心に貫装したコレクター31と、インクを保留しておくためのインク収容部23とを備えている。
図2(A)、(B)に示すように、本発明の各実施形態に係る内軸20は、内軸20の後端から2/3程度の位置に形成された外軸30と螺合するための内軸ネジ24を境にして、内軸ネジ24の前方側には内軸前部21が、後方側には内軸後部22が設けられている。
内軸後部22は、外軸30に容易に被覆されるべく、後端にかけてその外径が縮径するテーパ状を呈しており、その内部はインクを保留しておくためのインク収容部23として用いられる。
図5(A)、(B)に示すように、本発明の第1の実施形態に係る筆記部80とは、筆記圧により撓みが生じる程度の硬度を有する樹脂素材から形成されるとともに、インク誘導部40との接触によりインク誘導部40が保持するインクを毛細管現象によって、筆記ボール32に供給する役割を果たす内側部材50と、内側部材50の外周を覆うように装着され、金属素材から形成された外側部材60と、外側部材60の先端から突出するように装着された筆記ボール32とを備えている。また、筆記ボール32は、内側部材50の先端を受座53(図3、参照。)として、内側部材50の外周を覆う外側部材60によりカシメられることで抱持される。なお、内側部材50及び外側部材60の素材は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択された樹脂素材又は金属素材が用いられる。
図3(A)、(B)に示すように、本発明の第1の実施形態に係る内側部材50は、中空に形成された筒形状の内側部材基部51と、前記内側部材基部51と連接しており、その先端にかけてその外径が縮径するテーパ状を呈する内側部材錐部52とを備えている。
また、内側部材基部51及び内側部材錐部52の表面には、インク誘導部40から供給されたインクを毛細管現象により筆記ボール32まで供給すべく、内側部材50の前後方向にインク誘導スリット55が形成されている。このインク誘導スリット55は、内側部材50の表面に形成された溝であり、インク誘導部40から供給されたインクは、このインク誘導スリット55を通じて、毛細管現象により筆記ボール32まで供給される構造となっている。
図4(A)、(B)に示すように、本発明の各実施形態に係る外側部材60は、その中央付近に形成され、外方に突出している外側部材鍔部64を境にして、外側部材鍔部64の前方側には外側部材前部61が、後方側には外側部材後部62が設けられている。
外側部材後部62は、中空に形成された筒形状を呈しており、その後端付近には、内軸20に装着される際に内軸内方突起27と係合する外側部材段部65が形成されている。
インク誘導部40は、インク収容部23内のインクと接触し、毛細管現象によりそのインクを内側部材50まで誘導する部材であり、毛細管現象が発生する程度の太さで束ねられた棒状の繊維芯などから形成される。
そして、中芯42まで誘導されたインクは、中芯42と接触しているインク誘導スリット55を通じて筆記ボール32にインクが供給される構造となっている。
図1(B)に示すように、本発明の各実施形態に係るコレクター31は、ABS樹脂素材から形成され、複数のフィンが外周に設けられた略筒形状を呈する部材である。また、コレクター31は、複数枚の板状部材が軸方向に平行に配されており、この板状部材間に図示しないインクが保留可能となっている。さらに、そのコレクター31の軸心には、コレクター芯41及び中芯42が貫装されている。
続いて、本発明の各実施形態に係る筆記具1の組立方法について説明する。
筆記部80は、筆記ボール32を受座53に配置した内側部材50と内側部材50の外周を覆う外側部材60との互いの開口部70を重複させるように、外側部材60を内側部材50に嵌め込んで装着する。このとき、外側部材60のカシメ部63により押圧されることで抱持される筆記ボール32の先端部が、カシメ部63の先端縁から露出する構造となっている。
本発明の各実施形態に係る筆記具1は、内側部材50及び外側部材60の外周面に形成された複数の開口部70により独創的な外観を呈するため、需要者の視覚に訴える先鋭的なデザインを備えた筆記具を提供することができる。
それは、内側部材50が筆記圧により弾性変形することで、インク誘導スリット55に撓みが生じることによりスリットの幅が広がり、インク誘導スリット55を流通可能なインク量が増加することでインク誘導部40から供給されるインク量が増加し、その結果、筆記ボール32に供給されるインク量が増加するものである。
そのため、本発明の実施形態に係る筆記具1は、筆記荷重を変えることで太さの異なる線を描くことができる。
以下、図6及び図7を参照して、本発明の実施形態に係る第2の実施形態を説明する。また、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成要素には、第1の実施形態において用いた符号と同一の符号を用いている。そして、第1の実施形態と重複する部分は説明を省略し、第2の実施形態における特徴点を中心に説明する。
このとき、本発明の第2の実施形態に係るインク誘導方法は、図1(B)に示すように、インク誘導部40が保持するインクを毛細管現象により内側部材50まで誘導し、内側部材50とこの内側部材50の外周を覆う外側部材60との隙間を伝って、毛細管現象によりインクを筆記ボール32に供給するものである(図7(B)参照。)。
以下、図8を参照して、本発明の実施形態に係る第3の実施形態を説明する。また、第3の実施形態において、第1、第2の実施形態と同一の構成要素には、第1、第2の実施形態において用いた符号と同一の符号を用いている。そして、第1、第2の実施形態と重複する部分は説明を省略し、第3の実施形態における特徴点を中心に説明する。
この構成によれば、第1、第2の実施形態と同様に、内側部材50及び外側部材60の外周面に形成された複数の開口部70により独創的な外観を呈するため、需要者の視覚に訴える先鋭的なデザインを備えた筆記具1を提供することができる。
10 軸筒
20 内軸 21 内軸前部
22 内軸後部 23 インク収容部
24 内軸ネジ 25 内軸鍔部
26 内軸外方突起 27 内軸内方突起
30 外軸 31 コレクター
32 筆記ボール(筆記先端)
40 インク誘導部 41 コレクター芯
42 中芯
50 内側部材 51 内側部材基部
52 内側部材錐部 53 受座
54 内側部材鍔部 55 インク誘導スリット
60 外側部材 61 外側部材前部
62 外側部材後部 63 カシメ部
64 外側部材鍔部 65 外側部材段部
70 開口部 80 筆記部
Claims (1)
- インクが充填されるインク収容部を内部に有する軸筒と、
前記軸筒に収容されるとともに前記インク収容部と接触し、毛細管現象によりインクを誘導可能なインク誘導部と、
前記インク誘導部と接触し、前記軸筒の先端に装着される内側部材と、
前記内側部材の外周を覆う外側部材と、
前記外側部材の先端から突出するように装着された筆記先端とからなる筆記具において、
前記筆記先端は、前記内側部材と前記外側部材とによって抱持されるとともに、
前記内側部材及び前記外側部材の外周面には、複数の開口部が設けられ、前記複数の開口部は該内側部材及び該外側部材の軸心部で互いに交通することで、前記軸心部が空洞となっていることを特徴とする筆記具。
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