以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、電子写真方式の画像形成装置の構成図である。画像形成装置1は、例えば複写機や複合機である。画像形成装置1は、複数の光走査装置2a、2b、2c、2d、制御部5、スキャナ500、作像部503、定着器504、給紙搬送部505、及び手差しトレイ509を備える。作像部503は、複数の光走査装置2a、2b、2c、2dそれぞれに対応する感光体であるところの複数の感光ドラム25、各感光ドラム25に対応して設けられる現像ユニット512、及び中間転写体511を備える。
スキャナ500は、原稿台上に載置される原稿を照射し、その反射光を受光して原稿画像を光学的に読み取る。スキャナ500は、受光した反射光を電気信号に変換して出力する。制御部5は、スキャナ500から出力される電気信号を処理して原稿画像に応じた画像データを生成する。制御部5は、生成した画像データに基づいて光走査装置2a、2b、2c、2dの発光を制御する。
光走査装置2a、2b、2c、2dは、レーザ光(レーザビーム)を対応する感光ドラム25に照射する。作像部503は、各感光ドラム25を回転駆動し、帯電器によりその表面を帯電する。表面が帯電した感光ドラム25は、レーザ光の照射により表面に静電潜像が形成される。現像ユニット512は、現像剤としてトナーを収容しており、静電潜像にトナーを付着させることで現像する。これにより感光ドラム25にトナー像が形成される。感光ドラム25には、それぞれ異なる色のトナー像が形成される。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が感光ドラム25に形成される。各感光ドラム25に形成されたトナー像は、中間転写体511に重畳して転写される。これにより中間転写体511にフルカラーのトナー像が形成される。
給紙搬送部505は、給紙カセット或いは手差しトレイ509に載置されるシートを中間転写体511と接触する位置まで搬送する。シートには、中間転写体511に形成されたトナー像が転写される。トナー像が転写されたシートは、定着器504に搬送される。定着器504は、トナー像をシートに熱圧着する。これによりシートに画像が定着する。画像が定着されたシートは、画像形成装置1の外部に排出される。以上のようにして画像形成装置1は、画像形成処理を行う。
図2は、光走査装置2aの構成図である。光走査装置2a、2b、2c、2dは、同じ構成であるので、ここでは光走査装置2aについて説明し、他の光走査装置2b、2c、2dについては説明を省略する。
光走査装置2aは、レーザ回路基板11、レーザ光を出射する半導体レーザ12、コリメートレンズ13、シリンドリカルレンズ14、回転多面鏡であるポリゴンミラー15a、f−θレンズ17、反射ミラー18、集光レンズ19、及びBD20を備える。
レーザ回路基板11には、後述する基準電圧生成回路33、レーザドライバ30および半導体レーザ12が実装されている。半導体レーザ12のLD12a(後述)から出射されるレーザ光は、コリメートレンズ13及びシリンドリカルレンズ14を通過してポリゴンミラー15aの反射面に入射する。ポリゴンミラー15aは、駆動モータ15により図中時計回りに回転駆動される。レーザ光は、感光ドラム25上を矢印方向に走査するようにポリゴンミラー15aにより偏向される。ポリゴンミラー15aにより偏向されたレーザ光は、f−θレンズ17を通過し、反射ミラー18によって反射されることで感光ドラム25上に導かれる。
BD20は、非画像領域を走査するレーザ光を受光するように配置されている。BD20は、ポリゴンミラー15aによって偏向されたレーザ光L1をf−θレンズ17および集光レンズ19を介して受光する。BD20は、光電変換素子であり、受光光量に応じた電圧の受光信号であるBD信号21(あるいは同期信号)を出力する。BD信号21は、制御部5に入力される。制御部5は、BD信号21を所定の電圧の閾値を用いてパルス信号に変換し、当該パルス信号の生成タイミングに基づいて、各走査周期における画像データに基づいたレーザ光の出射タイミング制御を行う。BD信号21は、ポリゴンミラー15aの複数の反射面それぞれに偏向されたレーザ光によって生成されるため、ポリゴンミラー15aの回転速度が安定している場合、一定周期で出力される。
図3は、半導体レーザ12を駆動するための制御ブロック図である。レーザ回路基板11には、レーザドライバ30、基準電圧生成回路33、抵抗37、コンデンサ38a(第1ホールドコンデンサ)、コンデンサ38b(第2ホールドコンデンサ)、スイッチ44、抵抗40、半導体レーザ12が実装されている。レーザ回路基板11はケーブルによって制御部5に接続されている。
半導体レーザ12は、レーザ光を出射する発光素子であるレーザダイオード(以下、「LD」という。)12aと、LD12aが出射したレーザ光を受光する受光素子であるフォトダイオード(以下、「PD」という。)12bと、を備える。LD12aは、レーザドライバ30から供給される電流ILDの値に応じた光量のレーザ光を出射する。PD12bは、受光光量に応じた値の電流Ipdをレーザドライバ30に入力する。本実施例の半導体レーザ12は双方向にレーザ光を出射する端面発光型半導体レーザである。半導体レーザ12が一方の側に出射するレーザ光はコリメートレンズ13に入射し、他方の側に出射するレーザ光はPD12bに入射する。
レーザドライバ30は、APC回路35(電圧制御回路)、スイッチ36、コンパレータ39、トランジスタ41、およびトランジスタ43を備え、LD12aに電流供給を行う。レーザドライバ30には、制御部5からPWM信号であるビデオ信号42が入力される。ビデオ信号42は、トランジスタ41をON/OFFさせる信号である。例えば、ビデオ信号42がHighレベルの場合、LD12aに電流ILDが流れる。LD12aは、電流ILDの値に応じた光量のレーザ光を出射する。一方、ビデオ信号42がLowレベルの場合、LD12aに電流ILDが流れない。トランジスタ41は、LD12aをON/OFFさせるためのスイッチであり、実質的に電流増幅機能を備えていないものとする。
コンデンサ38aは、BD20に入射させるレーザ光をLD12aから出射させるために設けられている。一方、コンデンサ38bは、感光ドラム25上を走査するレーザ光をLD12aから出射させるために設けられている。
スイッチ44は、図4に示す容量切替信号45に応じて動作する。容量切替信号45がLowの場合、スイッチ44は、端子aと端子bを接続する。端子aと端子bが接続されると、コンデンサ38aの電圧Vch_aがコンパレータ39の非反転端子に印加される。一方、容量切替信号45がHighの場合、スイッチ44は、端子aと端子cを接続する。端子aと端子cが接続されると、コンデンサ38bの電圧Vch_bがコンパレータ39の非反転端子に印加される。コンパレータ39の反転端子は、トランジスタ43のエミッタ端子および抵抗40のアノード端子に接続されている。そのため、コンパレータ39の反転端子の電圧V−は、抵抗40のアノード端子の電圧と等しくなる。
電流ILDの値は、コンデンサ38aおよびコンデンサ38bのうちのコンパレータ39の非反転端子に接続されたコンデンサの電圧と抵抗40の抵抗値によって規定される。抵抗40のアノード端子は、トランジスタ41のエミッタ端子に接続されている。抵抗40のカソード端子は、接地されている。トランジスタ41のコレクタ端子はトランジスタ43のエミッタ端子に接続されている。トランジスタ43のベース端子はコンパレータ39の出力端子に接続されている。
コンパレータ39の反転端子の電圧V−は、電流ILDの値と抵抗40によって規定される。コンパレータ39は、非反転端子の電圧V+と反転端子のV−との比較結果に基づいてトランジスタ43のベース電圧を制御する。つまり、トランジスタ43のベース電圧は、コンデンサ38aあるいはコンデンサ38bの電圧に対応する電圧になるように制御される。このようにトランジスタ43のベース電圧が制御されることによって、抵抗40のアノード端子の電圧が制御され、結果として電流ILDの値が制御される。
次に、APC(Automatic Power Control)について説明する。APCは、LD12aが出射するレーザ光の光量を目標光量に制御するために実行される。即ち、本実施例の画像形成装置1におけるAPCは、コンデンサ38aあるいはコンデンサ38bの電圧をレーザ光の目標光量に対応する電圧に制御することである。本実施例の画像形成装置1は複数の目標光量が設定されている。複数の目標光量のうちの1つの目標光量はBD20に入射するレーザ光の目標光量(第1の目標光量)である。また、複数の目標光量のうちの他の目標光量は感光ドラム25上を走査するレーザ光の目標光量(第2の目標光量)である。本実施例のAPCは、レーザ光の光量を第1の目標光量および第2の目標光量に制御するために、レーザ光の1走査周期中にそれぞれ実行されるシーケンスである。本実施例の画像形成装置1は、レーザ光を第1の目標光量に制御するためのAPC(後述する第1光量制御モード)とレーザ光を第2の目標光量に制御するためのAPC(後述する第2光量制御モード)とをレーザ光の1走査周期中にそれぞれ1回ずつ実行する。
制御部5は、APCを実行する際にサンプルホールド信号によってスイッチ36を接続する。制御部5は、LD12aが出射するレーザ光の目標光量に対応する電圧設定信号31を出力する。本実施例において、電圧設定信号31は、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。制御部5は、レーザ光の目標光量に対応するパルス幅のPWM信号を出力する。
図5(a)は、基準電圧生成回路33の回路構成例示図である。基準電圧生成回路33は、FET(Field Effect Transistor)52を備える。FET52のドレイン端子は、固定電圧(例えば、5[V])を出力する電圧源51に接続されている。FET52のゲート端子は、制御部5に接続されている。FET52のゲート端子には、制御部5から電圧設定信号31が入力される。FET52のソース端子は、抵抗53の一方の端子、抵抗55の一方の端子に接続されている。抵抗55の他方の端子は接地されている。抵抗53の他方の端子は、コンデンサ54に接続されている。
FET52は、ゲート端子に入力されるPWM信号によってドレイン端子とソース端子とを接続或いは解除するスイッチング動作を実行する。FET52がONになることによって、FET52のソース端子の電圧は電圧源51が出力する電圧5[V]となる。一方、FET52がOFFになることによって、FET52のソース端子の電圧は0[V]となる。従って、FET52のソース端子の電圧は、PWM信号のデューティー比に応じて5[V]と0[V]の2値の間の値を取る。
抵抗53およびコンデンサ54は、平滑化回路を構成する電子部品である。平滑化回路は、FET52のスイッチング動作によって変動するソース端子の電圧を平滑化した電圧VrefをVref信号34として出力する。例えば、図5(b)に示すように、FET52のゲート端子に入力されるPWM信号のデューティー比100[%]の場合、Vrefは5[V]となる。FET52のゲート端子に入力されるPWM信号のデューティー比50[%]の場合、Vrefは2.5[V]となる。FET52のゲート端子に入力されるPWM信号のデューティー比25[%]の場合、Vrefは1.25[V]となる。このようにPWM信号のパルス幅を制御することによって基準電圧Vrefを目標値に制御することができる。基準電圧生成回路33によって生成されたVref信号34は、レーザドライバ30に内蔵されたAPC回路35に入力される。
制御部5は、APCを実行する際にビデオ信号42をHighレベルに設定する。これにより、LD12aには、コンデンサ38bの電圧Vch_bに対応する値の電流ILDが流れる。LD12aは、電流ILDの値に応じた光量のレーザ光を出射する。PD12bは、当該レーザ光を受光することによって、その光量に応じた値の電流Ipd(受光信号)を出力する。PD12bは、抵抗37およびAPC回路35に接続されている。電流Ipdは、抵抗37を介してグランドに流れる。抵抗37のアノードの電圧Vpdは、電流Ipdと抵抗37の抵抗値によって規定される。APC回路35には当該電圧Vpdが入力される。即ち、PD12bが電流Ipdを出力することによって、電圧Vpdが生成される。
APC回路35は、基準電圧Vrefと電圧Vpdとを比較するコンパレータ(不図示)を内蔵している。APC回路35は、基準電圧Vrefと電圧Vpdとの比較結果に基づいて、コンデンサ38aあるいはコンデンサ38bの電圧を制御する。即ち、APC回路35は、基準電圧Vref>電圧Vpdの場合、コンデンサ38aあるいはコンデンサ38bの電圧が増加するようにコンデンサ38aあるいはコンデンサ38bを充電する。一方、APC回路35は、基準電圧Vref<電圧Vpdの場合、コンデンサ38aあるいはコンデンサ38bの電圧が減少するようにコンデンサ38aあるいはコンデンサ38bから電荷を放電する。APC回路35は、基準電圧Vref=電圧Vpdの場合、コンデンサ38aあるいはコンデンサ38bの電圧を維持する。
制御部5は、APCが終了するとサンプルホールド信号によってスイッチ36の接続を解除する。スイッチ36が解除されることによって、コンデンサ38aあるいはコンデンサ38bの電圧がホールドされる。
このように レーザドライバ30がAPCを実行することによって、LD12aが出射するレーザ光の光量を目標光量に制御することができる。なお、通常、ビデオ信号42に関わらず、LD12aには画像形成中に待機電流としてのバイアス電流が供給されるが、本実施例は説明を簡易にするために、バイアス電流の説明を省略している。
なお、基準電圧生成回路33は、制御部5に備えられていてもよい。また、基準電圧生成回路33は、電圧設定信号31がシリアル又はパラレルのnビット(nは2以上の整数)のデジタル信号である場合、電圧設定信号31をデジタル−アナログ変換してVref信号34を生成してもよい。
次に、光走査装置2aの起動後のレーザドライバ30の制御モードについて説明する。制御部5は、BD信号21の立ち下がりを起点とするタイミングで光走査装置2aの制御モードを切り換える。本実施例のレーザドライバ30の制御モードは、停止(DISCHARGE)モード、第1光量制御モード(APC(1))、第2光量制御モード(APC(2))、OFFモード、VIDEOモードを含む。制御部5は、制御モードを切り換えるために、当該5つのモードそれぞれに対応する3bitのコントロール信号(不図示)をレーザドライバ30に出力する。レーザドライバ30は、当該コントロール信号を受け取ることによって制御モードを切り換える。
停止モードは、画像形成をするためのジョブが入力されていない状態における待機モードである。第1光量制御モードは、BD20に入射するレーザ光の光量を目標光量に制御するために実行されるモードである。第2光量制御モードは、感光ドラム25上を走査するレーザ光の光量を目標光量に制御するために実行されるモードである。OFFモードは、LD12aからレーザ光を出射させないようにトランジスタ41をOFFに制御するモードである。VIDEOモードは、画像データに基づくレーザ光による感光ドラム25上の走査が実行されるモードである。VIDEOモードにおいて感光ドラム25上を走査するレーザ光の光量は、第2光量制御モードにおいて設定される。以下、各モードについて説明する。
図6は、レーザ回路基板11の制御状態を示すタイミングチャートである。図6(a)は、光走査装置2aの起動時のタイミングチャートを表し、図6(b)は、画像形成中におけるレーザ光の1走査周期のタイミングチャートを表す。図6(a)に引き続き図6(b)のタイミングチャートに応じた処理が行われる。レーザドライバ30の制御状態は、BD信号21の立ち下がりを起点として制御部5によって切り換えられる。
光走査装置2aの起動前において、制御部5は、レーザドライバ30の制御モードを停止(DISCHARGE)モードに設定する。停止モードにおいて、コンデンサ38aおよびコンデンサ38bには電荷が蓄積されていない。画像形成装置1に画像データが入力されることによって、制御部5は、光走査装置2aのポリゴンミラー15aの回転を開始させるべく、モータドライバ16に加速信号を送信する。制御部5は、光走査装置2aの起動の際、レーザドライバ30の制御モードを第1制御モード(APC(1))に設定する。本実施例の画像形成装置1は、BD信号21を用いてポリゴンミラー15aを目標回転速度で回転させる。BD20が出力する受光信号の電圧が閾値を超えないとBD信号21が生成されない。そのため、当該BD信号21が生成されるように、制御部5は、レーザドライバ30を第1光量制御モードに設定する。
図6(a)を用いて、光走査装置2aの起動時においてレーザドライバ30が実行する第1光量制御モードを説明する。まず、ポリゴンミラー15aの回転速度を安定させるためにBD信号を生成する必要がある。そのため、制御部5は、レーザ駆動回路を第1光量制御モードに制御することによって、光走査装置2aを、BD信号を生成可能な状態に移行させる。
制御部5は、第1光量制御モードにおいて、デューティー比100[%]の電圧設定信号31を出力する。また、制御部5は、第1光量制御モードにおいて、Lowレベルのサンプルホールド信号を出力する。Lowレベルのサンプルホールド信号によってスイッチ36が接続状態となる。また、制御部5は、第1光量制御モードにおいて、Highレベルのビデオ信号42を出力する。さらに、制御部5は、第1光量制御モードにおいて、Lowレベルの容量切替信号45を出力する。Lowレベルの容量切替信号45によって、スイッチ44は端子aと端子bを接続する。
図6(a)において第1光量制御モードが開始された直後、コンデンサ38aに電荷がチャージされていないため、抵抗40の両端に電位差は生じない。そのため、第1制御モード開始直後、LD12aに電流は流れない。従って、PD12bは、レーザ光の光量に対応する電流Ipdを出力しない。
APC回路35には、デューティー比100[%]の電圧設定信号31によって生成されたVref信号34が入力されている。APC回路35は、内部のコンパレータによるVref信号34の電圧Vrefと電圧Vpdとの比較結果に基づいて、コンデンサ38aを充電する。コンデンサ38aの電圧Vch_aはAPC回路35による充電によって増加する。コンデンサ38aの電圧Vch_aが増加することによって、抵抗40の両端の電位差が増加する。抵抗40の両端に電位差が生じることによって、電流ILDがLD12aに流れる。図6(a)に示すように、コンデンサ38aの電圧Vch_aがAPC回路35の充電によって増加することで、LD12が出射するレーザ光の光量(レーザ出力)が増加する。
第1光量制御モードに設定された間、コンデンサ38aの電圧Vch_aが徐々に増加していく。コンデンサ38aの電圧Vch_aの増加に応じてLD12aから出射されるレーザ光の光量も増加する。レーザ光の光量がある程度増加することによってBD20が出力する受光信号が閾値を超えるため、BD信号21が生成される。その後、レーザドライバ30は、Vref信号34の電圧Vrefと電圧Vpdとが等しくなるまでコンデンサ38aの電圧Vch_aを制御する。BD20が、レーザ光L1を所定回数検知して、BD信号21を所定回数出力すると、レーザ制御モードが第2光量制御モード(APC(2))になり、光走査装置2aは、1ラインの画像形成時の発光制御を行う(図6(b))。
制御部5は、BD信号21が目標周期で生成されるようになったことに応じて、画像形成を開始する。以下、図6(b)を用いて画像形成中にレーザドライバ30に設定される制御モードについて説明する。図6(b)は、BD信号の1周期のタイミングチャートを示す図である。画像形成中、レーザドライバ30は図6(b)に示す制御モードを1走査周期後毎に繰り返す。
図6(b)に示すように、制御部5は、1走査周期内においてレーザドライバ30の制御モードを、第1光量制御モード、OFFモード、第2光量制御モード、OFFモード、VDOモード、OFFモード、第1光量制御モードの順に切り換える。
制御部5は、BD信号21を生成するためにレーザドライバ30を第1光量制御モードに設定する。第1光量制御モードは上述したとおりである。制御部5は、最新のBD信号21を基準に次にレーザ光がBD20上を走査する少し前にレーザドライバ30を第1光量制御モードに設定する。レーザ光がBD20を走査する前にレーザ光の光量がデューティー比100[%]の電圧設定信号31に対応する光量に達しており、BD信号21はその光量のレーザ光によって生成される。
続いて、図6(b)に示すように、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ30を第1光量制御モードからOFFモードに切り替える。OFFモードにおいて、制御部5は、Highレベルのサンプルホールド信号を出力する。レーザドライバ30は、Highレベルのサンプルホールド信号を受け取ることによって、スイッチ36の接続を解除する。そのため、コンデンサ38aの電圧Vch_aは、OFFモードに切り替わる直前の第1光量制御モードにおいて設定された電圧となっている。そして、スイッチ36が解除されているため、コンデンサ38aはAPC回路35によって充放電されない。
また、OFFモードにおいて、制御部5はビデオ信号42を出力しない。そのため、OFFモードにおいて、トランジスタ41がOFFとなり、LD12aには電流ILDは流れない。さらに、OFFモードにおいて、制御部5は、デューティー比100[%]以下の電圧設定信号31をレーザドライバ30に出力する。なお、図6(b)は、制御部5がデューティー比25[%]の電圧設定信号31を出力している様子を示している。
さらに、制御部5は、OFFモードの間に容量切替信号45をLowからHighに切り換える。Highレベルの容量切替信号45によって、スイッチ44は端子aと端子cを接続する。
図6(b)に示すように、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ30をOFFモードから第2光量制御モードに切り替える。第2光量制御モードにおいて、制御部5は、Lowレベルのサンプルホールド信号を出力する。レーザドライバ30は、Lowレベルのサンプルホールド信号を受け取ることによって、スイッチ36を接続する。また、第2光量制御モードにおいて、制御部5はHighレベルのビデオ信号42を出力する。そのため、第2光量制御モードにおいて、トランジスタ41がONとなり、LD12aには電流ILDが流れ、LD12aは、電流ILDの値に応じた光量のレーザ光を出射する。さらに、第2光量制御モードにおいて、切り替わる直前のOFFモードにおいて出力していたデューティー比の電圧設定信号31を継続して出力する。
第2光量制御モードにおいて、LD12aから出射されたレーザ光は、PD12bに入射する。PD12bは、受光した光量に応じた値の電流Ipdを出力する。APC回路35には、抵抗37の一端側の電圧が入力されている。そして、APC回路35には、デューティー比25[%]の電圧設定信号31によって生成されたVref信号34が入力されている。APC回路35は、内部のコンパレータによってVref信号34の電圧Vrefと電圧Vpdとの比較結果に基づいて、コンデンサ38bの電圧Vch_bを制御する。
図6(b)に示すように、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ30を第2光量制御モードからOFFモードに切り替える。第2光量制御モードとVDOモードとの間のOFFモードにおいて、制御部5は引き続きHighレベルの容量切替信号45を出力する。
続いて、図6(b)に示すように、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ30をOFFモードからVDOモードに切り替える。VDOモードにおいて、制御部5は、直前のOFFモードから引き続きHighレベルのサンプルホールド信号およびHighレベルの容量切替信号45を出力する。そのため、レーザドライバ30のスイッチ36の接続は解除されている。スイッチ36の接続が解除されているため、コンデンサ38bの電圧ch_bは、直前の第2光量制御モードにおいて設定された電圧で維持されている。そして、スイッチ36が解除されているため、コンデンサ38bはAPC回路35によって充放電されない。また、容量切替信号45によって端子aと端子cが接続されているため、コンデンサ38bの電圧がコンパレータ39の非反転端子に入力される。
VDOモードにおいて、制御部5は画像データに基づいて生成されたビデオ信号(PWM信号)を出力する。そのため、VDOモードにおいて、トランジスタ41は、VDO信号のパルスに基づいてON/OFF制御される。トランジスタ41がONとなる場合、LD12aには電流ILDが流れる。このときLD12aに流れる電流ILDの値は、第2光量制御モードにおいて設定されたコンデンサ38bの電圧ch_bに基づく。即ち、LD12aに流れる電流ILDは、抵抗40の両端子の電位差および抵抗40の抵抗値によって規定される。抵抗40の一端側の電圧はコンデンサ38bの電圧ch_bに基づく。
続いて、図6(b)に示すように、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ30をVDOモードからOFFモードに切り替える。このときのOFFモードにおいて、制御部5は容量切替信号45をHighレベルからLowレベルに切り替える。それによって、スイッチ44は端子aと端子bを接続する。
続いて、図6(b)に示すように、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ30をOFFモードから第1光量制御モードに切り替える。上述したように、制御部5は、第1光量制御モードにおいて、デューティー比100[%]の電圧設定信号31を出力する。また、制御部5は、第1光量制御モードにおいて、Lowレベルのサンプルホールド信号を出力する。Lowレベルのサンプルホールド信号によってスイッチ36が接続状態となる。さらに、制御部5は、第1光量制御モードにおいて、Highレベルのビデオ信号を出力する。第1光量制御モードに切り替わる直前における、コンデンサ38aの電圧ch_aは、前回の第1光量制御モードによって設定された電圧である。第1光量制御モードにおいて、APC回路35は、デューティー比100[%]の電圧設定信号に対応するVref信号34の電圧VrefとVpdとの比較結果に基づいてコンデンサ38aの電圧ch_aを制御する。
ここで、第2光量制御モードについて説明する。電子写真方式の画像形成装置1は、感光ドラム25上を露光するレーザ光を、画像形成装置1の状態に応じて制御する必要がある。即ち、感光ドラム25の経時劣化や画像形成装置1が置かれた環境状態(温度、湿度)によって、感光ドラム25のレーザ光に対する感度が変化する。また、現像ユニット512内部に格納されたトナーの帯電量は環境状態によって変化する。このような変化は、画像形成装置1が出力する画像の濃度と、ユーザが求める画像の濃度と、が異なる要因となる。このような課題を解決するために、電子写真方式の画像形成装置1は、装置の電源ON直後、所定枚数のシートに画像形成するなどの所定条件を満たしたことに応じてLD12aの光量を制御する。例えば、画像形成装置1は、中間転写体511上に形成した各色の濃度検出用パターンを形成し、その検出結果に基づいて各色に対応するLD12aの光量を制御している。
このように、制御部5が1走査周期内において上述した制御モードの切り替えを実行することによって、BD20に入射させるレーザ光の光量制御と感光ドラム25上を走査するレーザ光の光量制御とを個別に行うことができる。それによって、BD20に入射させるレーザ光の光量と感光ドラム25上を露光するレーザ光の光量の両方を精度良く制御することができる。BD20に入射するレーザ光の光量は感光ドラム25を露光するレーザ光の光量とは無関係に略一定に制御されるため、感光ドラム25を露光するレーザ光の光量に関わらず主走査方向に画像の書出し位置を略一定にすることができる。感光ドラム25を露光するレーザ光の光量は、BD20に入射させるレーザ光の光量より少ない。そのために、Vref信号34の電圧Vrefは、BD20に入射させるレーザ光を出射させるときの基準電圧が、感光ドラム25を露光するレーザ光を出射させるときの基準電圧以上の値となる。
なお、BD信号21を生成するための電圧設定信号31のデューティー比100[%]でなくても良い。例えばBD信号21を生成するための電圧設定信号31のデューティー比は、BD20の光電変換素子のゲイン等によって組立時に装置個々に調整されることが望ましい。
次に、半導体レーザ12の仕様例及び制御目標値の例を示す。
(仕様)
・半導体レーザ12の発光開始電流Ithは、5[mA]、発光効率ηは0.5[mW/mA]である。
・レーザドライバ30の充放電電流Idは1[μA]、スイッチ44が接続される端子のリーク電流I_leakは0.1[μA]、電流増幅率αは100倍、抵抗40は10[kΩ]である。
・光走査装置2aの走査時間は、第1発光制御モード時の時間T1は25[μS]、画像形成モード時の時間T2は500[μS]である。
(制御目標値)
光量Po=5[mW]としたときの各レーザ制御モードにおける制御目標値は以下の通りである。
・第1光量制御モード時には、光量波形の立ち上がり時間Trを5[μS]以下とする(第1目標値)。
・画像形成モード時には、光量変動率ΔPoを0.5[%]以下とする(第2目標値)。
コンデンサ38aの容量は、第1光量制御モードの走査間に発生するコンデンサ38aの端子間電圧の変動量ΔVchaに対して、第1光量制御モードの時間T1内に収束させる必要がある。そのためには、第1目標値を満足する必要がある。半導体レーザ12の光量変動率ΔPoに対する駆動電流の変動量ΔILDは式1で示され、ΔILDは式2に示すコンデンサ38aの端子間電圧の変動量ΔVch_aで決定される。
ΔILD=ΔPo/η
=5[mW]×0.5%/0.5[mW/mA]
=0.05[mA] (式1)
ΔVch_a=ΔILD×Rs/α
=0.05[mA]×10[kΩ]/100
=0.005[V] (式2)
以上から、コンデンサ38aの容量は、小さいほどΔVch_aに達することが可能であり、光量制御/立ち上がり時間Tr及び充放電電流Idから、式3にて導出できる。
コンデンサ38a容量=Tr×Id/ΔVch_a
=5[μS]×1[μA]/0.005[V]≦1000[pF] (式3)
コンデンサ38bは、第2光量制御モードによって制御された電圧Vch_bを保持する。半導体レーザ12の駆動電流はコンデンサ38bの端子間電圧により決定される。第2目標値を満たすためには、コンデンサ38bの端子間電圧の変動量ΔVch_bを式2で得られる値以下とする必要がある。
変動量ΔVch_bは、レーザドライバ30のリーク電流I_leakと、コンデンサ38bが電荷を蓄積している画像形成モードの時間T2と、により発生する。コンデンサ38bは、容量が大きいほどΔVch_bを抑えることが可能であり、画像形成モードの時間T2及びリーク電流I_leakとにより、式4から導出できる。
コンデンサ38b容量=T2×I_leak/ΔVch_b
=500[μS]×0.1[μA]/0.005[V]≧0.01[μF] (4)
このように、第1光量制御モードで選択されるコンデンサ38aの容量は、第2光量制御モードで選択されるコンデンサ38bの容量よりも小さくする必要がある。以上のようにコンデンサ38a及びコンデンサ38bの容量を設定することで、第1光量制御モード時に立ち上がり時間Trを5[μS]以下とし、画像形成モード時に光量変動率ΔPoを0.5%以下とすることができる。
図7は、BD20の受光光量Pdと出力遅延時間τdとの関係の説明図である。BD20は、受光光量Pdが10[μW]以下のときにレーザ光L1を検知することができず、BD信号21を出力しない。BD20は、光量変動率ΔPoを0.5%とすると、受光光量Pdが20[μW]のときにBD信号21の出力遅延時間τdが25[ns]程度変動する。受光光量Pdが100[μW]のときは、BD信号の出力遅延時間τdが5[ns]程度となり、受光光量Pdが20[μW]のときの1/5程度に出力遅延時間を短縮することができる。
このように、制御部5が1走査周期内においてコンデンサ38aとコンデンサ38bとを切り換えることによって、BD20に入射させるレーザ光の光量制御と感光ドラム25上を走査するレーザ光の光量制御とを個別に行うことができる。それによって、BD20に入射させるレーザ光の光量と感光ドラム25上を露光するレーザ光の光量の両方を精度良く制御することができる。
また、BD20に入射させるレーザ光の光量と感光ドラム25上を走査するレーザ光の光量を異なるコンデンサによって制御することによって、それぞれのコンデンサの電圧制御時間の増大を抑制することができる。BD20に入射させるレーザ光の光量と感光ドラム25上を走査するレーザ光の光量を1つのコンデンサによって制御すると、第1光量制御モードによって制御したコンデンサの電圧を基準に第2光量制御モードによってコンデンサの電圧を変化させなければならない。また、第2光量制御モードによって制御したコンデンサの電圧を基準に第1光量制御モードによってコンデンサの電圧を変化させなければならない。BD20に入射させるレーザ光の目標光量と感光ドラム25上を走査するレーザ光の目標光量の差が大きいと、コンデンサの電圧変動量が大きくなり、目標電圧に到達させるための時間が増大するため、それぞれの光量制御時間を長く確保しなければならない。
それに対して、本実施例の画像形成装置は、上述したように2つのコンデンサを切り換えるため、それぞれの光量制御モードを実行するにあたり前の走査周期の同一の光量制御モードで制御した電圧を基準に各コンデンサの電圧を制御することができる。そのために、光量制御時間の増大が抑制される。
(実施例2)
図8は、レーザ回路基板11の他の構成図である。実施例2のレーザ回路基板11は、それぞれ発光する複数の発光素子であるLD12a、12cの発光制御を行う。レーザ回路基板11は、図3のレーザドライバ30と同じ構成の複数のレーザドライバ60a、60bを備える。レーザドライバ60aおよびレーザドライバ60bは1つのICであっても良いし、別体のICであっても良い。レーザドライバ60a、60bの各々の構成は、実施例1のレーザドライバ30と同じ構成であるので、説明を省略する。制御部5は、2つのレーザドライバ60a、60bのそれぞれに、サンプルホールド信号62a、62b及びビデオ信号72a、72bを入力する。
レーザ回路基板11は、2つのレーザドライバ60a、60bの他に、基準電圧生成回路33及びPD切替器80を備える。基準電圧生成回路33は、図3に示すものと同じ構成、機能であり、制御部5から入力される電圧設定信号31に応じてVref信号34を生成する。PD切替器80は、制御部5から入力されるPD切替信号81に応じてPD12bから出力された電流Ipdを、レーザドライバ60a及びレーザドライバ60bのいずれか一方に入力する。
図9は、図8のレーザ回路基板11の制御状態を示すタイミングチャートである。図9(a)は、光走査装置2aの起動時のタイミングチャートを表し、図9(b)は、1ラインの画像形成中におけるレーザ光の1走査周期タイミングチャートを表す。図9(a)に引き続き図9(b)のタイミングチャートに応じた処理が行われる。レーザ回路基板11は、制御部5から入力されるサンプルホールド信号62a、62b及びビデオ信号72a、72bに応じて、BD信号21の立ち下がりを起点として半導体レーザ12の発光制御を行う。本実施例の画像形成装置1は、LD12aから出射されるレーザ光L1をBD20に入射させることによってBD信号21を生成する。LD12cから出射されるレーザ光L2はBD信号21の生成に寄与しない。図9は、BD20がLD12aから出力されるレーザ光L1を受光することにより出力するBD信号21を基準としたタイムチャートである。レーザドライバ60a、60bは、BD信号21の立ち下がりを起点として制御状態が決められる。
光走査装置2aの起動前において、制御部5は、レーザドライバ60a、60bの制御モードを停止(DISCHARGE)モードに設定する。停止モードにおいて、コンデンサ68a、コンデンサ68bおよびコンデンサ69a、コンデンサ69bには電荷が蓄積されていない。
画像形成装置1に画像データが入力されることによって、制御部5は、光走査装置2aのポリゴンミラー15aの回転を開始させるべく、モータドライバ16に加速信号を送信する。制御部5は、光走査装置2aの起動の際、レーザドライバ60aの制御モードを第1光量制御モード(LD1−APC(1))に設定する。なお、第1光量制御モードが実行されている間、レーザドライバ60bはOFFモードとなる。また、図9(a)、図9(b)に示すOFFモードは、レーザドライバ60a、60bが共にOFFモードになることを示している。OFFモードにおいて、制御部5はLowレベルのビデオ信号72a、72bを出力する。これによって、トランジスタ71a、71bがOFF状態となり、LD12aに電流ILD1は流れず、LD12cにも電流ILD2は流れない。
第1光量制御モード(LD1−APC(1))において、制御部5は、ビデオ信号72aをHighレベルに設定し、ビデオ信号72bをLowレベルに設定する。これによって、トランジスタ71aがON状態となり、トランジスタ71bがOFF状態となる。また、第1光量制御モードにおいて、制御部5は、デューティー比100[%]の電圧設定信号31を出力する。また、第1光量制御モードにおいて、制御部5は、HighレベルのPD切替信号81を出力してPD12bと抵抗67aとを接続するとともに、Lowレベルのサンプルホールド信号62aを出力することによってスイッチ66aを接続する(サンプル状態)。このとき、サンプルホールド信号62bはHighレベルであり、スイッチ66bは非接続状態である(ホールド状態)。
第1光量制御モードにおいて、レーザドライバ60aは、デューティー比100[%]の電圧設定信号31が平滑化されたVref信号34の値と抵抗67aの接地されていない側の端子電圧Vpd1との差が低減するように、コンデンサ68aを徐々に充電する。コンデンサ68aの電圧の増加に応じて、LD12aから出射されるレーザ光L1の光量も増加する。LD12aから出射されるレーザ光L1の光量がある程度増加することによってBD20が出力する受光信号が閾値を超えるため、BD信号21が生成される。その後、レーザドライバ30は、Vref信号34の電圧Vrefと端子電圧Vpd1とが等しくなるまでコンデンサ68aの電圧を制御する。BD20が、レーザ光L1を所定回数検知してBD信号21を所定回数出力すると、レーザ制御モードが第2光量制御モード(LD1−APC(2))になる。光走査装置2aは、1ラインの画像形成時の発光制御を行う(図9(b))。
制御部5は、BD信号21が目標周期で生成されるようになったことに応じて、画像形成を開始する。以下、図9(b)を用いて画像形成中にレーザドライバ60aに設定される制御モードについて説明する。レーザドライバ60bについても同様に制御モードが設定される。
図9(a)に示す第1の光量制御モード後、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ60aを第1光量制御モードからOFFモードに切り替える(図9(b)参照)。その後、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ60aの制御モードをOFFモードから第2光量制御モード(LD1−APC(2))に切り換える。なお、第2光量制御モードが設定されている間、レーザドライバ60bはOFFモードとなる。
第2光量制御モード(LD1−APC(2))において、制御部5は、ビデオ信号72aをHighレベルに設定し、ビデオ信号72bをLowレベルに設定する。これによって、トランジスタ71aがON状態となり、トランジスタ71bがOFF状態となる。また、第2光量制御モードにおいて、制御部5は、デューティー比25[%]の電圧設定信号31をレーザ回路基板11に出力する。これによりVref信号34の値も電圧設定信号31のデューティー比100[%]のときの1/4になる。半導体レーザ12から出射されるレーザ光の光量も、電圧設定信号31のデューティー比100[%]のときの1/4になる。
第2光量制御モードにおいて、制御部5は、HighレベルのPD切替信号81を出力してPD12bと抵抗67aとを接続するとともに、Lowレベルのサンプルホールド信号62aを出力することによってスイッチ66aを接続する(サンプル状態)。このとき、サンプルホールド信号62bはHighレベルであり、スイッチ66bは非接続状態である(ホールド状態)。
第2光量制御モードにおいて、レーザドライバ60aは、デューティー比25[%]の電圧設定信号31が平滑化されたVref信号34と抵抗67aの接地されていない側の端子電圧Vpd1とを比較する。レーザドライバ60aは、両電圧が等しくなるようにコンデンサ68aの電圧を制御する。ここで制御された電圧に基づく値の電流ILD1が感光ドラム25上を走査する期間にLD12aに供給される。
その後、制御部5は、BD信号21を基準とするタイミングでレーザドライバ60aを第2光量制御モードからOFFモードに切り替える(図9(b)参照)。そして、制御部5は、レーザドライバ60bをOFFモードから第3光量制御モード(LD2−APC(2))に切り替える。
第3光量制御モード(LD2−APC(2))において、制御部5は、ビデオ信号72aをLowレベルに設定し、ビデオ信号72bをHighレベルに設定する。これによって、トランジスタ71aがOFF状態となり、トランジスタ71bがON状態となる。また、第3光量制御モードにおいて、制御部5は、デューティー比25[%]の電圧設定信号31をレーザ回路基板11に出力する。これによりVref信号34の値も電圧設定信号31のデューティー比100[%]のときの1/4になる。半導体レーザ12から出射されるレーザ光の光量も、電圧設定信号31のデューティー比100[%]のときの1/4になる。
第3光量制御モードにおいて、制御部5は、LowレベルのPD切替信号81を出力してPD12bと抵抗67bとを接続するとともに、Highレベルのサンプルホールド信号62bを出力することによってスイッチ66bを接続する(サンプル状態)。このとき、サンプルホールド信号62aはLowレベルであり、スイッチ66aは非接続状態である(ホールド状態)。
第3光量制御モードにおいて、レーザドライバ60aは、デューティー比25[%]の電圧設定信号31が平滑化されたVref信号34と抵抗67aの接地されていない側の端子電圧Vpd2とを比較する。レーザドライバ60aは、両電圧が等しくなるようにコンデンサ68bの電圧を制御する。ここで制御された電圧に基づく値の電流ILD2が感光ドラム25上を走査する期間にLD12cに供給される。
図9(b)に示すように、本実施例の画像形成装置1は、第1光量制御モードと第2光量制御モードと第3光量制御モードとを、レーザ光の1走査周期中にそれぞれ1回ずつ実行する。画像形成装置1は、第1光量制御モードで、レーザ光L1を第1の目標光量に制御する。画像形成装置1は、第2光量制御モードで、レーザ光L1を第2の目標光量に制御する。画像形成装置1は、第3光量制御モードで、レーザ光L2を第2の目標光量に制御する。
このように、制御部5が1走査周期内において上述した制御モードの切り替えを実行することによって、BD20に入射させるレーザ光L1の光量制御と感光ドラム25上を走査するレーザ光L1およびレーザ光L2の光量制御を個別に行うことができる。それによって、BD20に入射させるレーザ光L1の光量と感光ドラム25上を露光するレーザ光L1、L2の光量の両方を精度良く制御することができる。BD20に入射するレーザ光L1の光量は感光ドラム25を露光するレーザ光L1、L2の光量とは無関係に略一定に制御されるため、感光ドラム25を露光するレーザ光L1、L2の光量に関わらず主走査方向に画像の書出し位置を略一定にすることができる。