JP6602026B2 - 製鋼工場における物流の処理スケジュール作成装置 - Google Patents
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Description
高炉から出銑された溶銑は、混銑車に装入されて溶銑処理設備に搬送される。溶銑処理設備においては、溶銑が溶銑鍋に装入され、その溶銑に対して主に脱硫処理、脱りん処理が行われる。脱硫・脱りん処理が行われた溶銑は、溶銑鍋に装入された状態で転炉設備に搬送される。転炉設備においては、溶銑が転炉設備に装入され、その溶銑に対して主に脱炭処理が行われる。
特許文献1には、リードタイムの長さが異なる複数の連々鋳セットを1つ又は複数の処理設備で製造し、予め設定されている製造順に係る制約条件を満たしている連々鋳セットを抽出し、抽出された連々鋳セットにリードタイムの長さが長い連々鋳セットが含まれている場合には、抽出された連々鋳セットから、リードタイムの長さが長い製造ロットが選択される確率を相対的に低くして任意の連々鋳セットを選択して製造順序を決め、予め設定されている時間に係る制約条件に基づいて連々鋳セットの製造工程の時刻情報を決定して製造スケジュールを作成する方法が開示されている。
特許文献3には、異常やトラブル発生時の計画変更に対処するとともに、再計画を自動的に作成することが可能な生産計画変更支援方法およびシステムが開示されている。
鉄鋼の技術ではないものの、スケジュールを決定する技術としては、特許文献5、6が開示されている。
特許文献6には、製造などの処理工程ごとに処理開始時点を設定でき、処理開始時点の遅れを解消して作業能率や処理能率を向上させるスケジューリング方法及びスケジューリングシステムが開示されている。
また、効率よく溶銑の処理を行うために各設備の配置転換が行われることもある。この場合、設備の操業を一時的に停止して、設備の点検・整備や、各設備の配置転換を行っている。
ここで、特許文献1の技術を用いて、設備の停止時間を考慮した物流の処理スケジュールを作成しようと試みる。ところが、特許文献1の技術は、設備の操業を一時的に停止する時間を考慮したものとはなっていないため、同文献から設備の停止時間を考慮した物流の処理スケジュールを作成することは非常に困難である。
しかしながら、近年の製鋼工場においては、設備が数多く配置され、且つその配置が複雑なってきている。加えて、製鋼工場は従来より24時間操業でもあるので、操業オペレータの蓄積した経験だけでは、設備の停止時間を考慮した物流の処理スケジュールを作成することが難しくなってきている。
そこで、本発明は上記問題点を鑑み、転炉などの設備の操業を一時的に停止する時間を考慮すると共に、その停止時間による操業の遅れが最少となるような物流の処理スケジュールを容易に且つ正確に作成する製鋼工場における物流の処理スケジュール作成装置を提供することを目的とする。
本発明にかかる製鋼工場における物流の処理スケジュール作成装置は、脱硫設備、脱りん設備、脱炭設備、少なくとも2基の搬送クレーンを有する搬送設備を備えた製鋼工場の操業を行うに際し、前記製鋼工場における物流の処理スケジュールを作成する装置であって、前記製鋼工場での操業パターンに基づいて、前記設備ごとの前記処理スケジュールを組み立てるに際し、前記設備の操業を停止する停止時間帯と停止時間幅を入力し、入力された前記停止時間帯と停止時間幅を反映させた上で、前記搬送クレーンの停止時間の時間帯に基づいて、前記脱硫設備及び前記脱炭設備の停止時間の時間帯の組み合わせを求めて、前記搬送クレーンの差し合いを回避する処理スケジュールを複数算出すると共に、算出された複数の処理スケジュールにおける操業の遅れを算出し、算出された操業の遅れに基づいて、複数算出された処理スケジュールの中から当該操業の遅れが最小となる処理スケジュールを選択するように構成されていることを特徴とする。
まず、本発明が適用される製鋼工場1について説明する。
図2に示すように、製鋼工場1は、主に脱硫処理、脱りん処理を行う溶銑処理設備2と、主に脱炭処理を行う転炉設備3とからなり、本実施形態の場合、2つの建屋から構成されている。図2中の左側の建屋が溶銑処理設備2であり、図2中の右側の建屋が転炉設備3であり、互いに離れて配置されている。
脱りん炉7は、脱硫処理及び除滓処理が終了した溶銑に対して脱りん処理を行うものである。脱りん炉7は、脱硫処理を終えた溶銑を脱りん炉7の炉前で装入した後、上吹きランスで酸素を吹き込みながら脱りん剤を投入することにより、溶銑の脱りんを行う。
溶銑処理設備2にて脱りんが終了した溶銑は、軌道17上を走行する搬送列車に積載されて転炉設備3に運ばれ、脱炭設備8(処理炉)により脱炭処理が行われる。
ところで、以上述べた複数の処理設備(脱硫設備6、脱りん炉7、脱炭設備8など)及び搬送クレーン14,15を含む製鋼工場1では、各処理設備及び搬送クレーン14,15の点検・整備が、定期的に行われている。
では、設備の停止時間を考慮したガントチャート22(処理スケジュール)を作成することが困難であることは、「発明が解決しようとする課題」で述べたとおりである。
例えば、複数のクレーンのうち1つを点検・整備をしようした場合、操業中の他のクレーンが互いに差し合わせる可能性が生じてくる虞がある。また、上記した第1搬送クレーン14及び第2搬送クレーン15のような、クレーンラインなどの部材に一体的に配備されている2基の搬送クレーン14,15のうち、どちらか一方を停止させる場合には、他方の搬送クレーンの操業を考慮しなければならない。その理由としては、一体的に配備されている2基の搬送クレーン14,15は、それぞれが連動しながら操業を行っていて、一方の搬送クレーンを停止させると、他方の搬送クレーンの操業が行い難くなる、つまり搬送クレーン14,15が互いに差し合わせてしまうからである。
そこで、本発明では、製鋼工場1におけるガントチャート22(物流の処理スケジュール)を、以下に述べるように作成している。すなわち、本発明の処理スケジュール作成装置21(ガントチャート22の作成装置)は、従来のガントチャート作成機能に加えて、以下のような構成を有している。
図1に示すように、例えば、第1搬送クレーン14の箇所をチェックし、希望する停止時間帯を9:00〜12:00までの間と入力し、停止時間を20分間と入力する。また、前述のように、他の設備(除滓ステーション9、脱硫設備6、脱りん炉7、脱炭設備8など)の停止時間と希望する停止時間帯も入力する。
例えば、待機時間に基づいて、第1搬送クレーン14の停止時間を組むことが可能な時間帯を導出する。例えば、9:20〜9:40までの時間帯と、11:30〜11:50までの時間帯とが導出されたとする。
例えば、第1搬送クレーン14の停止時間が9:20〜9:40までの時間帯、脱硫設備6の停止時間が10:50〜11:10までの時間帯、脱炭設備8の停止時間が15:15〜15:35までの時間帯などの組み合わせが求められたとする(最適時間帯A)。
求めた時間帯の組み合わせに基づいて、各設備の停止時間が設定された処理スケジュール22を作成する。
設備の停止時間が設定された処理スケジュール22も作成する(処理スケジュールB)。
そして、作成された各処理スケジュール22のシミュレーションを行って、操業の遅れをそれぞれ算出する。
また、処理スケジュールBのシミュレーションを行って、当該処理スケジュールBにおける出鋼時刻の遅れを算出する。処理スケジュールBのシミュレーションを行った結果、例えば「15分遅れ」と算出されたとする。
以上述べた製鋼工場1における物流の処理スケジュール作成装置21によれば、転炉など様々な設備の操業を一時的に停止する時間を考慮すると共に、その停止時間による操業の遅れが最少となるような物流の処理スケジュール22を容易に且つ正確に作成することが可能となる。
例えば、本発明を説明する上で、搬送クレーン14,15の停止時間が設定された処理スケジュール22の作成手順を例示したが、他の設備の停止時間においても適用可能である。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 溶銑処理設備
3 転炉設備
4 払い出しステーション
5 払い出しピット
6 脱硫設備
7 脱りん設備(脱りん炉)
8 脱炭設備(処理炉)
9 除滓ステーション
10 ノロカキ(スラグドラッガー)
11 溶銑鍋
12 混銑車
13 軌道
14 第1搬送クレーン
15 第2搬送クレーン
16 搬送クレーン
17 軌道
21 物流の処理スケジュール作成装置
22 処理スケジュール(ガントチャート)
23 表示モニタ
24 入力デバイス
30 操業オペレータ
Claims (1)
- 脱硫設備、脱りん設備、脱炭設備、少なくとも2基の搬送クレーンを有する搬送設備を備えた製鋼工場の操業を行うに際し、前記製鋼工場における物流の処理スケジュールを作成する装置であって、
前記製鋼工場での操業パターンに基づいて、前記設備ごとの前記処理スケジュールを組み立てるに際し、
前記設備の操業を停止する停止時間帯と停止時間幅を入力し、
入力された前記停止時間帯と停止時間幅を反映させた上で、前記搬送クレーンの停止時間の時間帯に基づいて、前記脱硫設備及び前記脱炭設備の停止時間の時間帯の組み合わせを求めて、前記搬送クレーンの差し合いを回避する処理スケジュールを複数算出すると共に、算出された複数の処理スケジュールにおける操業の遅れを算出し、
算出された操業の遅れに基づいて、複数算出された処理スケジュールの中から当該操業の遅れが最小となる処理スケジュールを選択するように構成されている
ことを特徴とする製鋼工場における物流の処理スケジュール作成装置。
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